JP6603641B2 - 塩素含有粉体処理方法及び塩素含有粉体処理システム - Google Patents

塩素含有粉体処理方法及び塩素含有粉体処理システム Download PDF

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Description

本発明は、塩素含有粉体を脱塩処理してセメント原料として利用するための処理方法、及び、処理システムに関する。
廃棄物のセメント原料化によるリサイクル処理において、焼却飛灰等の塩素含有粉体は、それらが含有する塩素、硫黄、アルカリ等の揮発成分によってセメント製造設備の閉塞等の問題を引き起こす虞があるため、かかる揮発成分を除去した後に、セメント原料として利用する必要がある。
そこで、一般的に、塩素含有粉体に対して、セメント原料化の処理を行う前に塩素を低減するための脱塩処理が行われる。脱塩処理としては、例えば、塩素含有粉体を温水で洗浄して塩素を水相に溶出させた後、固液分離によって塩素が除去された灰分等の固相分(以下、「灰分」という。)のみを、セメント原料として回収するといった方法がある。
しかし、このような脱塩処理を行うと、塩素とともに亜鉛、銅、鉛等の塩素含有粉体に含まれている重金属も水相に溶出してしまい、その重金属によって、脱塩処理で生じた排水(洗浄水)の処理が困難になってしまうという問題があった。すなわち、排水にはできるだけ重金属を溶出させないことが好ましい。
そこで、そのような問題を解消するために、塩素含有粉体をスラリーとし、そのスラリーのpHを6〜10に調整した後に固液分離を行うことによって、重金属の溶出を低減しつつ、塩素を除去する脱塩処理の方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−202226号公報
ところで、水俣条約を踏まえた大気汚染防止法の改正により、セメントクリンカー製造施設からの水銀の大気への排出基準が、既存施設では80μg/Nmに設定された。この基準の設定に際して考慮された技術のうち、水銀の大気排出抑制に関して利用可能な最良の技術(BAT)は、水銀含有量の少ない原燃料を選択することであった。
すなわち、セメントの品質を確保するためにダストシャトリングを行わず、さらに、セメントキルンダストを系外処理せずに内部循環させるセメントクリンカー製造施設では、使用する原燃料に水銀含有量の少ないものを選択することが、水銀の大気排出抑制のための最良の方法となる。
しかし、特許文献1に記載の脱塩処理では、塩素含有粉体中の水銀は溶出せず、セメント原料となる灰分に水銀が残留する。すなわち、従来の塩素含有粉体の脱塩処理は、セメント製造施設からの水銀の大気排出の問題は考慮されていなかった。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、塩素含有粉体から塩素及び水銀を選択的に溶出させて除去し、且つ、水銀以外の重金属の溶出を抑制することができる塩素含有粉体処理方法、及び、塩素含有粉体処理システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の塩素含有粉体処理方法は、塩素含有粉体に水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、前記スラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整するORP調整工程と、前記スラリーのpHを10〜13に調整するpH調整工程と、調整が行われた前記スラリー中の塩素含有粉体に含まれる塩素及び水銀を選択的に水に溶出させる溶出工程と、前記塩素及び前記水銀を溶出させた前記スラリーを脱水してセメントの原料とする脱水工程とを備えていることを特徴とする。
このように、本発明の塩素含有粉体処理方法では、スラリー化した塩素含有粉体から塩素を溶出させる前に、そのスラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整し、且つ、pHを10〜13に調整している。これにより、塩素及び水銀を選択的に溶出させて除去し、且つ、水銀以外の重金属の溶出を抑制することができる。
一方、スラリーの酸化還元電位が+250mV未満又は+550mVを超える場合、又は、スラリーのpHが10未満の場合、塩素含有粉体から水銀を十分に溶出させることができない。また、スラリーのpHが13を超える場合、塩素含有粉体から重金属を過剰に溶出させてしまうことになる。
なお、本発明の塩素含有粉体処理方法によって水相に溶出させた水銀は、キレート剤を添加する等の通常の排水処理方法によって容易に水相から除去することができる。そのため、本発明の塩素含有粉体処理方法によれば、水銀による環境汚染も抑制することができる。
また、本発明の塩素含有粉体処理方法においては、前記スラリー化工程で得られた前記スラリーの酸化還元電位を測定するORP測定工程を備え、前記スラリーの酸化還元電位が+250mV〜+550mV以外であった場合に、前記ORP調整工程で、該スラリーにORP調整剤を加えて該スラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整するようにしてもよい。
また、本発明の塩素含有粉体処理方法においては、ORP調整剤を用いてスラリーの酸化還元電位を調整する構成の場合には、前記ORP調整剤が、次亜塩素酸ソーダ及びオゾンのうちいずれか一方又は両方であってもよい。
また、本発明の塩素含有粉体処理方法においては、前記スラリー化工程で得られた前記スラリーのpHを測定するpH測定工程を備え、前記スラリーのpHが10〜13以外であった場合に、前記pH調整工程で、該スラリーにpH調整剤を加えて該スラリーのpHを10〜13に調整するようにしてもよい。前記pH調整剤には、苛性ソーダ及び希硫酸等の一般的なpH調整剤が使用できる。
一般に、塩素含有粉体を用いて生成されたスラリーのpHは12程度であるが、塩素含有粉体の種類によっては、生成したスラリーのpHが10〜13以外の値となってしまうことがある。そこで、スラリーのpHを測定するとともに、測定されたpHが10〜13以外の範囲外であった場合には、pH調整剤を用いてpHを10〜13に調整するように構成すると、塩素含有粉体の種類によらず、安定した処理を行うことができるようになる。
また、本発明の塩素含有粉体処理方法においては、pH調整剤を用いてスラリーのpHを調整する構成の場合には、前記pH調整工程で、前記pH調整剤の一部として、炭酸ガス(例えば、セメント製造設備からの排ガス)を用いるようにしてもよい。
また、本発明の塩素含有粉体処理方法においては、前記溶出工程で、前記スラリーの温度を5〜70℃とすることが好ましい。
溶出を行う際のスラリーの温度を上記の範囲とすると、効率よく塩素を溶出させることができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の塩素含有粉体処理システムは、収容された塩素含有粉体をスラリーにするための粉体溶解・反応槽と、前記スラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整するORP調整装置と、前記スラリーのpHを10〜13に調整するpH調整装置と、前記粉体溶解・反応槽から排出されたスラリーを固液分離する固液分離装置とを備えていることを特徴とする。
このように、本発明の塩素含有粉体処理システムでは、ORP調整装置によってスラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整し、且つ、pH調整装置によって、pHを10〜13に調整することができる。これにより、塩素及び水銀を選択的に溶出させて除去し、且つ、水銀以外の重金属の溶出を抑制することができる。
一方、スラリーの酸化還元電位が+250mV未満又は+550mVを超える場合、又は、スラリーのpHが10未満の場合、塩素含有粉体から水銀を十分に溶出させることができない。また、スラリーのpHが13を超える場合、塩素含有粉体から重金属を過剰に溶出させてしまうことになる。
また、本発明の塩素含有粉体処理システムにおいては、前記粉体溶解・反応槽で生成されたスラリーの酸化還元電位を測定するORP測定装置と、前記粉体溶解・反応槽で生成されたスラリーのpHを測定するpH測定装置と、前記ORP測定装置の測定結果に基づいて前記ORP調整装置を自動的に制御するとともに、前記pH測定装置の測定結果に基づいて前記pH調整装置を自動的に制御する制御する制御装置とを備えていることが好ましい。
このように、酸化還元電位及びpHの測定及び管理を自動的に行うようにすると、塩素含有粉体の処理を安定して行うことができるようになる。
実施形態に係る塩素含有粉体の処理システムの概略構成を示す説明図。 図2の処理システムで行われる処理を示すフローチャート。
以下、図面を参照して、本発明に係る塩素含有粉体処理システムについて説明する。
図1に示すように、塩素含有粉体処理システム(以下、「処理システム1」という。)は、スラリーSを生成する粉体溶解・反応槽2と、粉体溶解・反応槽2に薬剤を供給する薬剤添加装置3と、粉体溶解・反応槽2から排出されたスラリーSを固液分離する固液分離装置4と、固液分離装置4から排出された排水を処理する排水処理槽5と、固液分離装置4から排出された灰分をセメント製造設備Kに運搬する脱水ケーキ運搬装置6と、粉体溶解・反応槽2に付設された各種装置及び薬剤添加装置3を制御するための制御装置7とを備えている。
粉体溶解・反応槽2では、その内部で、塩素含有粉体P、水W1、ORP調整剤A1、及び、必要に応じて投入されたpH調整剤A2を混合してスラリーSを生成する処理、並びに、そのスラリーS中の塩素含有粉体から塩素及び水銀を水相に溶出させる処理が行われる。
また、粉体溶解・反応槽2は、その内部に、塩素含有粉体P、水W1、ORP調整剤A1、及び、必要に応じて投入されたpH調整剤A2の混合、並びに、その混合によって生成されたスラリーSの攪拌をするためのスラリー攪拌装置として、攪拌翼21が付設されている。攪拌翼21としては、例えば、一般的な、スクリュー型のもの等を用いればよい。
また、粉体溶解・反応槽2には、その内部で生成されたスラリーSの温度を測定するための温度計22、スラリーSのpHを連続的に測定するpH計23(pH測定装置)、及び、スラリーSの酸化還元電位を連続的に測定するORP計24(ORP測定装置)が付設されている。温度計22、pH計23及びORP計24の測定結果は、制御装置7に随時送信される。
温度計22としては、例えば、公知の温度計を用いればよい。pH計23及びORP計24としては、公知の測定機器を用いればよく、特に、高濃度懸濁液用の測定機器を用いることが好ましい。なお、pH計23及びORP計24としては、それらが一体となった複合機器を用いてもよい。
また、粉体溶解・反応槽2は、その底部に、スラリー排出口2aの周辺を避けるようにして、第1散気装置25が付設されている。この第1散気装置25を介して、粉体溶解・反応槽2に、pH調整剤の一部として炭酸ガスG1が供給される。なお、炭酸ガスG1としては、スラリーSの昇温を補助するために、例えば、セメント製造設備Kのセメントクリンカー焼成装置(不図示)等からの高温排ガス等を用いてもよい。
また、かかる炭酸ガスG1は、スラリーSに溶出したカルシウム成分を炭酸カルシウム(CaCO)として析出させ、除去するために用いてもよい。
第1散気装置25は、スラリーSに供給する炭酸ガスG1の気泡径を調整可能となっている。第1散気装置25としては、スラリーSへの炭酸ガスG1の供給状態を一様にするために、盤状のものが好ましい。
第1散気装置25に接続されたガス配管には、電磁弁である第1流量調整弁26が設置されている。炭酸ガスG1の供給量の制御は、制御装置7が第1流量調整弁26を制御することによって行われる。
また、粉体溶解・反応槽2は、その底部に、スラリー排出口2aの周辺を避けるようにして、第2散気装置27が付設されている。この第2散気装置27を介して、粉体溶解・反応槽2に、ORP調整剤の一部としてオゾンG2が供給される。
第2散気装置27は、スラリーSに供給するオゾンG2の気泡径を調整可能となっている。第2散気装置27としては、スラリーSへのオゾンG2の供給状態を一様にするために、盤状のものが好ましい。
第2散気装置27と後述するオゾン発生装置29とを接続するガス配管には、電磁弁である第2流量調整弁28が設置されている。オゾンG2の供給量の制御は、制御装置7が第2流量調整弁28を制御することによって行われる。
なお、処理システム1では、第1散気装置25を介して炭酸ガスG1を供給し、第2散気装置27を介してオゾンG2を供給する構成としているが、1つの散気装置を介して炭酸ガスG1及びオゾンG2を供給するようにしてもよい。
オゾン発生装置29としては、例えば、JIS B 9946「排水・用水用オゾン処理装置−仕様項目及びオゾン濃度測定方法」に記載されている仕様を備えたオゾン発生装置を用いればよい。具体的には、例えば、原料ガスである空気から酸素濃縮器によって窒素を分離して純度90%以上の酸素ガスを生成した後、この酸素ガスをオゾナイザでオゾンに変換するものを用いればよい。
薬剤添加装置3は、制御装置7からの信号に基づいて、粉体溶解・反応槽2にORP調整剤A1及びpH調整剤A2を供給する。
処理システム1では、薬剤添加装置3から供給されるORP調整剤A1と第2散気装置27から供給されるオゾンG2とによって、粉体溶解・反応槽2で生成されるスラリーSの酸化還元電位を調整している。すなわち、薬剤添加装置3と第2散気装置27とによって、ORP調整装置が構成されている。
また、処理システム1では、薬剤添加装置3から供給されるpH調整剤A2と第1散気装置25から供給される炭酸ガスG1とによって、粉体溶解・反応槽2で生成されるスラリーSのpHを調整している。すなわち、薬剤添加装置3と第1散気装置25とによって、pH調整装置が構成されている。
固液分離装置4には、スラリー用渦巻きポンプ、ピストンポンプ、及び、モーノポンプ等の通常のスラリー液用輸送装置(不図示)によって、粉体溶解・反応槽2から排出されたスラリーSが搬送される。固液分離装置4としては、フィルタープレス、加圧葉状ろ過装置、スクリュープレス、及び、ベルトプレス等の通常のろ過装置等を用いればよい。
固液分離装置4は、搬送されたスラリーSを、塩素及び水銀を含む排水W2と、水銀以外の重金属を含む灰分からなる脱水ケーキCとに分離する。
なお、処理システム1では、溶出成分の回収を確実にするために、固液分離装置4に濾過ケーキの水洗浄装置4aを設けている。しかし、この水洗浄装置4aは、省略してもよい。
排水処理槽5には、固液分離装置4によってスラリーSから分離された排水W2が移送される。排水処理槽5では、キレート剤(例えば、クボタ化水株式会社製のFKキレートシリーズ(商品名)等)や水硫化ナトリウムによって、排水W2に溶存している水銀を沈殿させた後、固液分離によってその水銀を除去する。これにより、排水W2は、一般環境に放流可能な程度まで浄化される。
脱水ケーキ運搬装置6は、固液分離装置4によってスラリーSから分離された脱水ケーキCを、セメント製造設備Kに搬送する。脱水ケーキ運搬装置6としては、例えば、ベルトコンベア、スクリューコンベア、及び、パイプコンベア等の一般的なケーキ輸送装置を用いればよい。
制御装置7は、温度計22、pH計23及びORP計24の測定結果に基づいて、粉体溶解・反応槽2の温度、ORP調整剤A1及びpH調整剤A2の供給量、並びに、炭酸ガスG1及びオゾンG2の供給量を自動的に制御する。これにより、処理システム1では、塩素含有粉体Pの種類によらず、安定した処理を行うことができる。
次に、図1及び図2を参照して、処理システム1において行われる処理について説明する。図2は、処理システム1が行う処理を示すフローチャートである。
まず、粉体溶解・反応槽2の内部で、攪拌翼21が塩素含有粉体Pと水W1と攪拌してスラリーをつくる(図2/STEP01(スラリー化工程))。
このスラリー化工程における塩素含有粉体Pと水W1との混合割合は塩素含有粉体Pの種類によって適宜設定してよい。ただし、塩素含有粉体P:水W1=1:4〜1:20、好ましくは、塩素含有粉体P:水W1=1:5〜1:10とすると、後述する分離工程において、固液分離装置4から排出される排水W2の発生量を抑えることができる。
次に、ORP計24が、スラリーSの酸化還元電位を測定し、その測定結果を制御装置7に送信する(図2/STEP02(ORP測定工程))。
次に、制御装置7が、スラリーSの酸化還元電位が+250mV〜+550mVの範囲内にあるか否かを判定する(図2/STEP03)。
スラリーSの酸化還元電位が+250mV〜+550mVの範囲外であった場合(STEP03でNOの場合)には、制御装置7が、薬剤添加装置3を介してORP調整剤A1を添加することによって、若しくは、第2散気装置27を介してオゾンG2を供給することによって、又は、それらを組み合わせた方法によって、スラリーSの酸化還元電位を調整した後、STEP02に戻る(図2/STEP04(ORP調整工程))。
一般的な塩素含有粉体Pを用いてスラリーSを生成した場合、その酸化還元電位は−20mV程度となる。酸化還元電位がこのように+250mV未満の値の場合、又は、逆に+550mVを超える値である場合、塩素含有粉体から水銀を十分に溶出させることができない。
なお、酸化還元電位の最適範囲は、スラリーSのpHで異なる。具体的には、例えば、pHが10である場合には、酸化還元電位は、+350mV〜+550mVが最適範囲となる。また、pHが13の場合には、+250mV〜+500mVが最適範囲となる。
ORP調整工程において用いられるORP調整剤A1としては、例えば、次亜塩素酸ソーダ等を用いればよい。
スラリーSの酸化還元電位が+250mV〜+550mVの範囲内であった場合(STEP03でYESの場合)には、pH計23が、スラリーSのpHを測定し、その測定結果を制御装置7に送信する(図2/STEP05(pH測定工程))。
次に、制御装置7が、スラリーSのpHが10〜13の範囲内にあるか否かを判定する(図2/STEP06)。
スラリーSのpHが10〜13の範囲外であった場合(STEP06でNOの場合)には、制御装置7が、薬剤添加装置3を介してpH調整剤A2を添加することによって、若しくは、第1散気装置25を介して炭酸ガスG1を供給することによって、又は、それらを組み合わせた方法によって、スラリーSのpHを調整した後、STEP05に戻る(図2/STEP07(pH調整工程))。
塩素含有粉体Pを用いて生成したスラリーSは、通常、pHが12程度であるが、塩素含有粉体Pの種類によっては、pHが10〜13の範囲外となることがある。スラリーSのpHが10未満の場合、塩素含有粉体Pから水銀を十分に溶出させることができない。一方、スラリーSのpHが13を超える場合、塩素含有粉体Pから重金属類を過剰に溶出させてしまうことになる。
なお、pH調整工程における調整は、pHが10〜13の範囲内となるように行えばよいが、11〜13の範囲内となるように行うとより好ましい。
pH調整工程において用いられるpH調整剤A2としては、例えば、苛性ソーダや希硫酸等の通常のpH調整剤を用いればよく、それらを併用してもよい。なお、pH調整剤A2に苛性ソーダを使用する場合、粉末の苛性ソーダは潮解性によって薬剤添加装置3での工程トラブルを生じやすいので、液体での使用が好ましい。
スラリーSの酸化還元電位及びpHのそれぞれを上記適正範囲に維持するように、スラリーSの酸化還元電位の測定と調整(STEP02〜STEP04)、及びスラリーSのpHの測定と調整(STEP05〜STEP07)を連続的に行いながら、スラリーSの攪拌を継続して塩素及び水銀を水相に溶出させる(図2/STEP08(溶出工程))。
溶出工程における攪拌時間は、塩素及び水銀の溶出を促進するためには、30分以上とすることが好ましく、45分以上であると特に好ましい。
また、溶出工程において、制御装置7は温度計22からの信号に基づいて、ヒータ(不図示)を制御することによって、若しくは、炭酸ガスG1が高温ガスである場合にはその炭酸ガスG1の供給量を制御することによって、又は、それらを組み合わせた方法によって、スラリーSの温度を所定の温度に維持する。これは、塩素の溶出をさらに促進するためである。その温度は、5℃〜70℃とすることが好ましく、25℃〜70℃であると特に好ましい。
次に、固液分離装置4が、粉体溶解・反応槽2から排出されたスラリーSを、水銀以外の重金属等を含む灰分からなる脱水ケーキCと塩素及び水銀を含む排水W2とに固液分離する(図2/STEP09(脱水工程))。
脱水工程において、分離された脱水ケーキCの含水率は、脱水ケーキCに水相に溶出した水銀がその水相とともに残留することを防止するために、30〜70質量%とすることが好ましい。
最後に、脱水ケーキ運搬装置6が、脱水ケーキCをセメント製造設備Kに搬送し、排水処理槽5で、排水W2から水銀を除去して放水し、今回の処理を終了する(図2/STEP10)。
以上説明したように、処理システム1では、スラリーSとした塩素含有粉体Pから塩素を溶出させる前に、そのスラリーSの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整し、且つ、pHを10〜13に調整している。これにより、塩素及び水銀を選択的に溶出させて除去し、且つ、水銀以外の重金属の溶出を抑制することができる。
最後に、処理システム1で行われた処理に係る試験結果(すなわち、本発明の塩素含有粉体処理方法の実施例)について説明する。
まず、試験方法について説明する。
塩素含有粉体Pとして、ごみ焼却飛灰(塩素含有量:21.2%、Hg含有量:16.6ppm)を用い、水W1として水道水を用いて、スラリーSを生成した。混合割合は、ごみ焼却飛灰:水道水=1:4とした。生成時のスラリーSのpHは、12であった。
その後、生成したスラリーSに、異なる量のORP調整剤A1及びpH調整剤A2を添加して、複数種類の試料を作成し、各々を30℃で1時間攪拌した。
ORP調整剤A1としては、次亜塩素酸ソーダを用いた。また、pH調整剤A2としては、pHを8.0±0.1又は10.5±0.1に調整する場合には希硫酸を用い、pHを13.5±0.1に調整する場合には苛性ソーダを用いた。
その後、攪拌後のスラリーSを、フィルタープレスで固液分離して得られた液相について、溶存する重金属(Hg、Cr6+、Cu、Cd、Pb)の濃度を比較した。ここで、塩素の溶出に関しては、表1に示す全ての実施例及び比較例において、スラリーSを固液分離して得られた固相(灰分)の塩素含有量が0.4〜0.7%と同程度の塩素溶出効果を有していたので、比較項目から除外した。
なお、Hgの定量測定は、環境省告示第59号に準拠して、還元気化原子吸光法(使用装置:日本インスツルメンツ製RA−3000(商品名))を用いた。
また、Hg以外の重金属濃度の測定は、JIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して行った。具体的には、Cu、Cd、及びPbの定量測定には、ICP質量分析法(使用装置:Agilent Technologies製Agilent 7900 ICP−MS(商品名))を用いた。Cr6+の定量測定には、ジフェニルカルバジド吸光光度法(使用装置:SHIMADZU製UV−2600(商品名))を用いた。
次に、試験結果について、以下の表1に示す。
この表1より、酸化還元電位が+250mV〜+550mVの範囲内、且つ、pHが10〜13の範囲内となっている実施例1〜4については、水銀の溶出量が十分に大きく、且つ、水銀以外の重金属の溶出量が十分に小さいことがわかる。
一方で、酸化還元電位が+250mV〜+550mVの範囲外、又は、pHが10〜13の範囲外となっている比較例1〜7は、水銀のほとんどが溶出せず残存している、又は、水銀以外の重金属の溶出量が大きいことがわかる。
1…処理システム(塩素含有粉体処理システム)、2…粉体溶解・反応槽、2a…スラリー排出口、3…薬剤添加装置、4…固液分離装置、4a…水洗浄装置、5…排水処理槽、6…脱水ケーキ運搬装置、7…制御装置、21…攪拌翼、22…温度計、23…pH計(pH測定装置)、24…ORP計(ORP測定装置)、25…第1散気装置、26…第1流量調整弁、27…第2散気装置、28…第2流量調整弁、29…オゾン発生装置、A1…ORP調整剤、A2…pH調整剤、C…脱水ケーキ、G1…炭酸ガス、G2…オゾン、K…セメント製造設備、P…塩素含有粉体、S…スラリー、W1…水、W2…排水。

Claims (8)

  1. 塩素含有粉体に水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、
    前記スラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整するORP調整工程と、
    前記スラリーのpHを10〜13に調整するpH調整工程と、
    調整が行われた前記スラリー中の塩素含有粉体に含まれる塩素及び水銀を選択的に水に溶出させる溶出工程と、
    前記塩素及び前記水銀を溶出させた前記スラリーを脱水してセメントの原料とする脱水工程とを備えていることを特徴とする塩素含有粉体処理方法。
  2. 請求項1に記載の塩素含有粉体処理方法において、
    前記スラリー化工程で得られた前記スラリーの酸化還元電位を測定するORP測定工程を備え、
    前記スラリーの酸化還元電位が+250mV〜+550mV以外であった場合に、前記ORP調整工程で、該スラリーにORP調整剤を加えて該スラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整することを特徴とする塩素含有粉体処理方法。
  3. 請求項2に記載の塩素含有粉体処理方法において、
    前記ORP調整剤が、次亜塩素酸ソーダ及びオゾンのうちいずれか一方又は両方であることを特徴とする塩素含有粉体処理方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の塩素含有粉体処理方法において、
    前記スラリー化工程で得られた前記スラリーのpHを測定するpH測定工程を備え、
    前記スラリーのpHが10〜13以外であった場合に、前記pH調整工程で、該スラリーにpH調整剤を加えて該スラリーのpHを10〜13に調整することを特徴とする塩素含有粉体処理方法。
  5. 請求項4に記載の塩素含有粉体処理方法において、
    前記pH調整工程で、前記pH調整剤の一部として、セメント製造設備からの排ガスを用いることを特徴とする塩素含有粉体処理方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の塩素含有粉体処理方法において、
    前記溶出工程で、前記スラリーの温度を5〜70℃とすることを特徴とする塩素含有粉体処理方法。
  7. 収容された塩素含有粉体をスラリーにするための粉体溶解・反応槽槽と、
    前記スラリーの酸化還元電位を+250mV〜+550mVに調整するORP調整装置と、
    前記スラリーのpHを10〜13に調整するpH調整装置と、
    前記粉体溶解・反応槽から排出されたスラリーを固液分離する固液分離装置とを備えていることを特徴とする塩素含有粉体処理システム。
  8. 請求項7に記載の塩素含有粉体処理システムにおいて、
    前記粉体溶解・反応槽で生成されたスラリーの酸化還元電位を測定するORP測定装置と、
    前記粉体溶解・反応槽で生成されたスラリーのpHを測定するpH測定装置と、
    前記ORP測定装置の測定結果に基づいて前記ORP調整装置を自動的に制御するとともに、前記pH測定装置の測定結果に基づいて前記pH調整装置を自動的に制御する制御する制御装置とを備えていることを特徴とする塩素含有粉体処理システム。
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