以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した図15に示す空気ばねを構成するダイヤフラムを製造する場合について説明するが、ダイヤフラム自体の構成については特に限定されるものではない。
図1に示すように、一実施形態に係る空気ばね用ダイヤフラムの製造装置10は、筒状の未加硫ゴム成形体1(未加硫又は加硫前のダイヤフラムに相当する。)を受け入れる受入部12と、未加硫ゴム成形体1を予備成形する予備成形装置14と、予備成形した未加硫ゴム成形体1を加硫成形する加硫機16と、加硫成形されたダイヤフラム2を払い出す払出部18と、受入部12から予備成形装置14に未加硫ゴム成形体1を送るとともに予備成形装置14から払出部18にダイヤフラム2を送る搬送部20とを備える。
予備成形装置14は、図2〜5に示すように、筒状の未加硫ゴム成形体1をトロイダル状に予備成形するための成形ユニット22と、成形ユニット22に未加硫ゴム成形体1を組み込むための上下動可能な昇降ユニット24と、を備える。
成形ユニット22は、軸方向中央部が外側に膨出したトロイダル状をなし拡縮可能なゴム弾性体からなるブラダー26と、その軸方向両端部である上端部26Aと下端部26Bを支持する伸縮支持部28と、ブラダー26の内部に加圧流体を供給し排出するための流体ポート30とを備える。
伸縮支持部28は、ブラダー26の上端部26Aと下端部26Bとの間隔を伸縮可能に支持する部材であり、ブラダー26の上端部26Aを固定する上側クランプリング32と、ブラダー26の下端部26Bを固定する下側クランプリング34と、両者32,34の間隔を伸縮可能に支持する伸縮軸部36からなる。伸縮軸部36は、この例では、上側クランプリング32の中央部を垂直に貫通する上側筒部36Aと、下側クランプリング34の中央部に立設された下側軸部36Bとを備えてなり、上側筒部36A内に下側軸部36Bが摺動可能に挿通されることにより伸縮可能に構成されている。伸縮支持部28は、ブラダー26の上端部26Aと下端部26Bとの間隔を広げるように伸張することでブラダー26を筒状に引き伸ばした形状とする伸張位置(図4(B)参照)と、上記間隔を狭めるように縮むことでブラダー26をトロイダル状として未加硫ゴム成形体1を予備成形する予備成形位置(図5(C)参照)との間で伸縮する。
流体ポート30は、図2に示すように、伸縮支持部38の下部側に設けられており、不図示の吸排気装置に接続されて、ブラダー26の内部に気体等の流体を供給/排出可能に構成されている。
昇降ユニット24は、成形ユニット22の上方に配される筒状の本体部38と、本体部38を上下動させる駆動部40と、本体部38の外周に未加硫ゴム成形体1を着脱可能に保持するためのホルダ42と、昇降ユニット24と伸縮支持部28とを着脱可能につなげる接続部44とを備える。
駆動部40は、エアシリンダのような直線状に駆動する駆動装置であり、上部フレーム39に取り付けられて、そこから上下方向に往復動するシャフト41が垂下しており、このシャフト41の下端に本体部38が取り付けられている。そのため、昇降ユニット24は、本体部38を上下方向に直線的に動作させることができる直動ユニットである。
ホルダ42は、加硫前後のダイヤフラム1,2をそのビード部3の内側から支持可能な保持部材であり、筒状の本体部38の外周に設けられている。ホルダ42は、図2に示すように径方向外方に開いた状態で加硫前後のダイヤフラム1,2を保持し、図3(A)に示すように径方向内方に閉じた(折畳んだ)状態で加硫前後のダイヤフラム1,2の保持を解除するように構成されている。
接続部44は、本体部38の下端部に設けられており、この例では、成形ユニット22の伸縮支持部28の上端部を把持するアーム46により把持部として構成されている。詳細には、伸縮支持部28の上側筒部36Aの上端部に、外向きに突出する係合突起48が設けられ、この係合突起48を係止する係止爪50がアーム46の先端に設けられている。そして、図2に示すアーム46を開いた状態から、図4(A)に示す閉じた状態とすることで、アーム46は伸縮支持部28の上側筒部36Aを把持し、これにより昇降ユニット24と伸縮支持部28が接続されるように構成されている。
このように昇降ユニット24と伸縮支持部28が接続されると、昇降ユニット24を上下動させることにより伸縮支持部28が伸縮するので、駆動部40により伸縮支持部28の伸縮量や伸縮速度を自在に調整することができ、上記の伸張位置と予備成形位置との間での伸縮を可能にする。
成形ユニット22には、加硫前後のダイヤフラム1,2の上下のビード部3,3を係止するために、上下のビードリング52,54が上下のクランプリング32,34にそれぞれ取り付けられる。このうち、上側のビードリング52は自動で着脱可能に設けられており、そのため、ビードリング52をクランプリング32に対して着脱するためのビードリング着脱装置56が設けられている。
ビードリング52はクランプリング32の外周に装着される環状部材であり、図10及び図11に示すように、クランプリング32の外周面とビードリング52の内周面には、クランプリング32に対するビードリング52の回動により互いに嵌合する嵌合部58が設けられている。詳細には、図10(A)及び(B)に示すように、ビードリング52の内周面には、ビードリング側嵌合部として、内向きに突出する複数の係合凸部58Aが周方向に等間隔に設けられている。図10(C)及び(D)に示すように、クランプリング32の外周面には、クランプリング側嵌合部として、上記係合凸部58Aが嵌まり込む複数の係合凹溝58Bを周方向に等間隔に形成するように、外向きに突出する複数の係止片58Cが周方向に等間隔に設けられている。図11(A)及び(B)に示すように、ビードリング52の係合凸部58Aとクランプリング32の係止片58Cが周方向で互い違いになるようにクランプリング32の外周にビードリング52を配置させた状態では、嵌合部58は非嵌合状態であり、ビードリング52を取り外し可能である。図11(C)及び(D)に示すように、ビードリング52の係合凸部58Aがクランプリング32の係合凹溝58Bに嵌まり込み、係合凸部58Aと係止片58Cが周方向で重なった状態では、嵌合部58は嵌合状態であり、ビードリング52がクランプリング32に固定される。
ビードリング着脱装置56は、矩形枠状のフレーム60と、フレーム60に取り付けられてビードリング52をクランプリング32に対して回動させる回動装置62と、フレーム60を昇降させる駆動部64とを備えてなり(図2参照)、成形ユニット22の軸方向(即ち、上下方向)に移動可能に設けられている。
駆動部64は、エアシリンダのような直線状に駆動する駆動装置であり、フレーム60を上下方向に直線的に動作させる。この例では、ビードリング着脱装置56は、昇降ユニット24に対して上下動可能に支持されており、そのため、昇降ユニット24と一体に昇降可能であり、かつ、昇降ユニット24に対して相対的に昇降することも可能である。
回動装置62は、ビードリング52を第1の方向J(図13(A)において時計回り)に回動させることで、嵌合部58を嵌合状態として、クランプリング32の外周にビードリング52を固定し(図12、図11(C)及び(D)の状態)、ビードリング52を第1の方向Jとは逆の第2の方向K(図13(A)において反時計回り)に回動させることで、嵌合部58の嵌合状態を解除して、クランプリング32に対するビードリング52の固定を解除(図13、図14、図11(A)及び(B)の状態)するよう構成されている。
ビードリング52には、その周上の1又は複数箇所にリング側係合部66が設けられている。この例では、図11に示すように、リング側係合部66は、ビードリング52の軸芯を挟んで径方向に対向する2箇所に凹部として設けられている。回動装置62は、リング側係合部66と係合可能な装置側係合部68を持つ1又は複数(この例では2つ)の直動ユニット70を備えてなる。直動ユニット70は、エアシリンダ70Aとピストンロッド70Bを備え、ピストンロッド70Bの先端部に装置側係合部68が下向きに突出する凸部として設けられている。図12〜14に示すように、リング側係合部66と装置側係合部68を係合させた状態で、直動ユニット70を、ビードリング52のリング側係合部66での接線方向(詳細には、ビードリング52が回動する際のリング側係合部66の回転角を二等分する位置での接線方向)に沿って動かすことにより、ビードリング52を回動させるよう構成されている。この例では、2つの直動ユニット70,70のピストンロッド70B,70Bが、ビードリング52の軸芯を挟んで径方向に対向する位置で接線方向に沿って互いに平行にかつ逆向きに往復動する。なお、ビードリング52の回動時におけるリング側係合部66の軌跡は厳密には直線でなく円弧状であり、外側に膨らむため、その差を吸収するために、図12に示すように、ピストンロッド70Bは、その先端部側を水平方向に屈曲変形可能にするための可動連結部70Cを備えている。
ビードリング着脱装置56は、クランプリング32に対する固定が解除された状態でビードリング52を支持するリング支持手段72を備える。これにより、ビードリング着脱装置56は、クランプリング32から取り外されたビードリング52を成形ユニット22から軸方向(上下方向)に離間した位置(図7(D)に示す待避位置)に移動させるよう構成されている。図12〜14に示すように、この例では、リング支持手段72は、ビードリング52の径方向に対向する2箇所においてフレーム60に取り付けられており、ビードリング52の外周面を両側から把持する左右一対の把持部74と、把持部74をビードリング52の径方向に往復動させるエアシリンダなどの駆動部76とで構成されている。
予備成形装置14は、図12〜14に示すように、ビードリング着脱装置56によりクランプリング32から取り外されたビードリング52に対して気体を吹き付けて冷却する冷却装置90を備える。冷却装置90は、ビードリング52の上記待避位置において、ビードリング着脱装置56に支持されたビードリング52に気体を吹き付けることができるように設置されており、ビードリング52の外周側から空気を吹き付ける1又は複数のエアノズル92と、エアノズル92を上記待避位置に支持する支持プレート94とを備えてなる。
この例では、複数(図では8個)のエアノズル92が、上記待避位置においてビードリング52の周りを取り囲むように配置されており、これにより、ビードリング52の周方向における複数箇所で外周側から空気を吹き付けられるようになっている。エアノズル92は、先端の吹出口92Aを、ビード部3が嵌合するビードリング52の外周面に対向させて設けられており、該吹出口92Aは、当該外周面に対して幅広く空気を吹き付けられるように、ビードリング52の周方向に沿って細長い扁平状に形成されている。
冷却装置90は、供給エアを冷却可能な冷却器96を備え、冷却器96によって周囲温度よりも冷却した気体をビードリング52に吹き付けることができるように構成されている。冷却器96は配管98を介して複数のエアノズル92に接続されている。なお、冷却装置90は、昇降ユニット24やビードリング着脱装置56とは独立して設けられており、この例では上記待避位置に固定されている。
予備成形装置14は、加硫前後のダイヤフラム1,2を積載可能なテーブル78を備える(図1参照)。テーブル78は、昇降ユニット24の動作範囲内に進退できるように水平方向で移動可能に設けられるとともに、当該動作範囲内で加硫前後のダイヤフラム1,2を上下に移動させることができるように構成されている。
図1に示すように、予備成形装置14には、成形ユニット22を、昇降ユニット24の動作範囲内と、動作範囲外である退避位置と、に移動可能な成形ユニット移動手段80が設けられている。成形ユニット移動手段80は、成形ユニット22を載置した状態で鉛直軸を中心に180度回転することにより、成形ユニット22を上記動作範囲内の位置81Aと退避位置81Bとに切り替え可能に構成されている。
図6に示すように、加硫機16は、予備成形した未加硫ゴム成形体1を成形ユニット22に装着した状態で加硫成形するものであり、上型82と下型84を備えて構成されている。
次に、製造装置10を用いて空気ばね用ダイヤフラム2を製造する方法について説明する。
常法に従い、軸方向の両端部に一対のビード部3,3を備えた筒状の未加硫ゴム成形体1を成形した後、未加硫ゴム成形体1を受入部12に送る。受け入れられた未加硫ゴム成形体1は搬送部20を通って予備成形装置14に送られる。予備成形装置14では、加硫成形に先立って予備成形がなされる。
詳細には、まず、成形ユニット22を上記退避位置においた状態で、未加硫ゴム成形体1を積載したテーブル78を、昇降ユニット24の動作範囲まで前進させ、その後、上昇させることにより、昇降ユニット24の周りを未加硫ゴム成形体1で取り囲むように位置させる(図3(A)参照)。次いで、昇降ユニット24のホルダ42を開いて、昇降ユニット24の本体部38の外周に未加硫ゴム成形体1を保持させた後、テーブル78を上記動作範囲から退避させる(図3(B)参照)。その後、成形ユニット移動手段80により、成形ユニット22を昇降ユニット24の動作範囲内に移動させる(図3(C)参照)。
次いで、未加硫ゴム成形体1を保持した状態で昇降ユニット24を下降させて、昇降ユニット24と成形ユニット22の伸縮支持部28とを接続する(図4(A)参照)。詳細には、昇降ユニット24のアーム46を開いた状態から閉じることにより、伸縮支持部28の上端部を把持する。
このように把持した状態で昇降ユニット24を上昇させることにより、伸縮支持部28を伸長させてブラダー26の外径が未加硫ゴム成形体1の内径よりも小径になるようにブラダー26をトロイダル状から筒状に引き伸ばす(図4(B)参照)。詳細には、成形ユニット22の流体ポート30からブラダー26内の気体を排気しつつ、昇降ユニット24を上昇させて上記の伸張位置まで伸縮支持部28を引き伸ばす。
次いで、テーブル78を昇降ユニット24の動作範囲内に前進させてから上昇させて、未加硫ゴム成形体1を載せた状態で、昇降ユニット24のホルダ42を閉じることにより、ホルダ42による未加硫ゴム成形体1の保持を解除する(図4(C)参照)。その後、テーブル78を下降させることにより、未加硫ゴム成形体1が下降して、成形ユニット22のブラダー26の外周に未加硫ゴム成形体1が組み込まれる(図4(D)参照)。すなわち、ブラダー26の外径が未加硫ゴム成形体1の内径よりも小さいので、テーブル78を下降させることで、未加硫ゴム成形体1の内側にブラダー26をおさめることができ、筒状のブラダー26の周りを未加硫ゴム成形体1が取り囲むように配置される。その後、テーブル78が昇降ユニット24の動作範囲から退避する。
その後、ビードリング着脱装置56を用いて上側のビードリング52をクランプリング32の外周に固定する(図5(A)及び(B)参照)。
詳細には、ビードリング52をクランプリング32に取り付ける際、図14に示すように、ビードリング52はリング支持手段72により支持されており、この状態で図13に示すようにビードリング着脱装置56を成形ユニット22の軸方向に移動させることにより(この例では、下降させることにより)、ビードリング52をクランプリング32の外周に配置させる。
次いで、リング支持手段72による支持状態を解除するとともに、ビードリング52を上記第1の方向Jに回動させることにより、嵌合部58を互いに嵌合させてクランプリング32の外周にビードリング52を固定する。この例では、リング支持手段72の一対の把持部74を駆動部76により互いに外向きに移動させることで支持状態を解除してから、ビードリング52を第1の方向Jに回動させることにより、クランプリング32の外周面とビードリング52の内周面に設けられた嵌合部58を互いに嵌合させる。詳細には、ビードリング着脱装置56の下降によりビードリング52をクランプリング32の外周に配置させた段階では、図11(A)及び(B)に示すように嵌合部58は非嵌合状態である。この状態から、ビードリング52を第1の方向Jに回動させることにより、図11(C)及び(D)に示すように嵌合部58が嵌合状態となる。図14に示すように、ビードリング着脱装置56はビードリング52を支持した状態で、直動ユニット70の装置側係合部68とビードリング52のリング側係合部66とが係合した状態にあるため、直動ユニット70のピストンロッド70Bをリング側係合部66での接線方向に沿って図12に示す位置まで移動させれば(即ち、2つの直動ユニット70,70のピストンロッド70B,70Bをともにエアシリンダ70A,70A側に引き込むことにより)、ビードリング52を第1の方向Jに回動させることができる。このようにしてビードリング52をクランプリング32に固定した後、ビードリング着脱装置56を上昇させる(図5(B)参照)。
その後、成形ユニット22の流体ポート30からブラダー26の内部に加圧流体を供給しながら、昇降ユニット24を下降させて伸縮支持部28を予備成形位置まで縮ませることにより、筒状の未加硫ゴム成形体1をトロイダル状に拡径した状態に予備成形する(図5(C)参照)。その際、ブラダー26をトロイダル状に膨らませることにより、未加硫ゴム成形体1の上下のビード部3,3は、ブラダー26と上下のビードリング52,54との間に挟持された状態となって係止される(図6参照)。
未加硫ゴム成形体1をトロイダル状に予備成形した後、昇降ユニット24のアーム46を開いて伸縮支持部28の係合突起48との係合を解除することにより、昇降ユニット24と伸縮支持部28との接続は解除される。その後、昇降ユニット24を上昇させることにより成形ユニット22から分離する(図5(D)参照)。
このようにして予備成形した未加硫ゴム成形体1は、成形ユニット22に装着した状態で加硫機16にセットしてダイヤフラム2に加硫成形する(図6参照)。詳細には、成形ユニット22に装着された未加硫ゴム成形体1を、成形ユニット移動手段80により、上記動作範囲内の位置81Aから退避位置81Bに移動させ、これを上型82と下型84を備えた加硫機16にセットし、常法に従い、流体ポート30からブラダー26内に気体を供給しつつ、所定時間加熱することにより、ダイヤフラム2に加硫成形する。
次いで、成形ユニット22に装着した状態で加硫成形したダイヤフラム2を加硫機16から取り出し、成形ユニット移動手段80により昇降ユニット24の動作範囲内に移す(図7(A)参照)。そして、昇降ユニット24を下降させ、昇降ユニット24と成形ユニット22の伸縮支持部28とを接続することにより、昇降ユニット24で伸縮支持部28の上端部を把持した後(図7(B)参照)、この把持した状態で昇降ユニット24を上昇させることにより、伸縮支持部28を伸長させてブラダー26の外径がダイヤフラム2の内径よりも小径になるようにブラダー26をトロイダル状から筒状に引き伸ばす(図7(C)参照)。詳細には、成形ユニット22の流体ポート30からブラダー26内の気体を排気しつつ、昇降ユニット24を上昇させて上記の伸張位置まで伸縮支持部28を引き伸ばす。これにより、ダイヤフラム2の上下のビード部3,3は、ブラダー26とビードリング52,54との間での挟持状態から解除される。
その後、ビードリング着脱装置56を用いて上側のビードリング52をクランプリング32から取り外す(図7(D)参照)。詳細には、図12に示す状態から、ビードリング着脱装置56を下降させて、ビードリング52のリング側係合部66に、直動ユニット70の装置側係合部68を係合させる。この状態で、直動ユニット70のピストンロッド70Bをリング側係合部66での接線方向に沿って移動させることにより(即ち、2つの直動ユニット70,70のピストンロッド70B,70Bをエアシリンダ70A,70Aから突出させることにより)、ビードリング52は上記第1の方向Jとは逆の第2の方向Kに回動する。これにより、図11(A)及び(B)に示すように、クランプリング32とビードリング52の嵌合部58の嵌合状態が解除されるので、クランプリング32に対するビードリング52の固定が解除される。そして、リング支持手段72を動作させて把持部74によりビードリング52の外周を支持する(図13参照)。このようにクランプリング32に対する固定が解除されたビードリング52をリング支持手段72により支持した状態で、ビードリング着脱装置56を成形ユニット22の軸方向に移動させることにより(この例では、上昇させることにより)、ビードリング52は成形ユニット22から軸方向に離間される(図14参照)。
次いで、テーブル78を昇降ユニット24の動作範囲まで前進させて、テーブル78によりダイヤフラム2をすくい、昇降ユニット24のホルダ42の高さまでダイヤフラム2を上昇させる(図8(A)参照)。筒状に引き伸ばされたブラダー26の外径がダイヤフラム2の内径よりも小さいので、テーブル78を上昇させることにより、ビード部3が引っかかることなく、ダイヤフラム2をブラダー26から外すことができる。その後、ホルダ42を開くことにより、ダイヤフラム2はホルダ42により昇降ユニット24の外周に保持されるので、テーブル78を上記動作範囲内から退避させる(図8(B)参照)。
その後、成形ユニット22の流体ポート30からブラダー26の内部に加圧流体を供給しながら、昇降ユニット24を下降させて伸縮支持部28を予備成形位置まで縮ませて、ブラダー26をトロイダル状に戻す(図8(C)参照)。次いで、昇降ユニット24のアーム46を開いて昇降ユニット24と伸縮支持部28との接続を解除してから、昇降ユニット24を上昇させることにより成形ユニット22から分離する(図8(D)参照)。
次いで、成形ユニット移動手段80により成形ユニット22を昇降ユニット24の動作範囲内から退避位置に移動させ(図9(A)参照)、テーブル78でダイヤフラム2を支持した後に、ホルダ42を閉じることによりホルダ42によるダイヤフラム2の保持を解除する(図9(B)参照)。ダイヤフラム2を積載したテーブル78を下降させ、上記動作範囲内から退避させることにより、ダイヤフラム2が昇降ユニット24から取り出される(図9(C)参照)。このようにして取り出されたダイヤフラム2は、搬送部20を通って払出部18から払い出される。
以上の製造方法において、本実施形態では、加硫成形後にビードリング着脱装置56により取り外されたビードリング52に対して、冷却装置90により気体を吹き付けて冷却することを特徴とする。
詳細には、ビードリング着脱装置56によりビードリング52をクランプリング32から取り外して、軸方向に離間した待避位置に待避した段階(図7(D)に示す段階)で、冷却装置90を作動させて、エアノズル92によりビードリング52の外周に空気を吹き付ける(図14参照)。空気の吹付けは、ビードリング52が待避位置に移動した段階(図7(D)に示す段階)から開始し、次のダイヤフラム2の加硫成形においてビードリング52をクランプリング32に固定するためにビードリング着脱装置56を下降させる段階(図5(A)に示す段階)の直前(例えば、図4(D)に示す、ブラダー26の外周に未加硫ゴム成形体1を組み込む段階)まで行われる。一実施形態として、ビードリング52が図7(D)に示す待避位置に存在する間中、空気を吹き付けてもよい。特に限定するものではないが、ビードリング52の冷却は、例えば50〜70℃程度になるまで行われる。
なお、下側のビードリング54の冷却方法については、特に限定されず、例えば、エアノズルを用いて冷却してもよく、あるいはまた、下側のビードリング54は成形ユニット22から取り外さないので、成形ユニット22を冷却することで同時に冷却してもよい。成形ユニット22の冷却は、例えば、ブラダー26内に水等の冷却流体を供給することにより行うことができる。
以上のように、本実施形態であると、空気ばね用ダイヤフラムの加硫成形による製造において、クランプリング32からビードリング52を取り外したときに、冷却装置90によりビードリング52に気体を吹き付けることにより自動で冷却するようにしたので、ビードリング52の冷却時間を短縮することができ、製造時間の短縮による生産性の向上を図ることができる。また、加硫サイクル内で所望のビードリング温度に冷却することができるので、次のダイヤフラムの予備成形時に未加硫のダイヤフラム1のビード部3が高温のビードリングによって不所望に局所的に加硫されるのを防ぐことができ、製品品質を向上することができる。また、冷却のために予備のビードリングを用いて入れ替えを行う必要がないので、作業工数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、ビードリング着脱装置56を用いてビードリング52の着脱を自動化したので、省人化による製造コストの低減を図ることができる。また、その際、直動ユニット70を用いてビードリング52を回動させることにより、ビードリング52とクランプリング32の嵌合と嵌合解除を可能にしたので、回動角度の位置決め精度を高めることができ、ビードリング着脱工程の自動化を効率的に行うことができる。
また、本実施形態であると、加硫成形に先だって予備成形する際に、ブラダー26の上下両端部を伸縮可能に支持する伸縮支持部28を備えた成形ユニット22と、該伸縮支持部28の伸縮位置を調整可能な昇降ユニット24とを用いて、上記のように予備成形工程を自動化したことにより、省人化を図ることができ、生産性を向上して、製造コストを低減することができる。しかも、フリー状態においてトロイダル状をなすブラダー26を備えた成形ユニット22を用いたものでありながら、成形ユニット22の上方に配置した昇降ユニット24によりブラダー26の形状をトロイダル状と筒状との間で変化させることで、筒状の未加硫ゴム成形体1の装着と、そのトロイダル状への予備成形と、加硫成形後のダイヤフラム2の取り出しを可能にしたので、自動化を効率的に行うことができる。しかも、昇降ユニット24を直動ユニットにより構成したことにより、成形ユニット24の伸縮状態の位置決め精度を高めることができ、製品品質の安定化につながる。
なお、上記実施形態では、上側のビードリング52を自動で着脱可能にして冷却するようにしたが、下側のビードリング54を自動で着脱可能にして冷却装置により冷却するように構成してもよく、両者を自動で着脱・冷却可能にしてもよい。また、成形ユニット22の軸方向が鉛直方向である場合について説明したが、水平方向である場合にも、軸方向の少なくとも一方のクランプリングに着脱するビードリングについて、同様に適用してもよい。
また、上記実施形態では、ダイヤフラム2の上下両端部のビード部3,3が同径のものを図示して説明したが、両端部で径の異なるビード部を持つダイヤフラムについても適用することができる。
以上の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。