JP6602527B2 - シャーベット状飲料用組成物、及び容器入り組成物 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、ぶどう糖、麦芽糖、デキストリン、及び糖アルコールから選ばれる1種以上の糖類と、ペクチン、及び大豆多糖類の両者を含む多糖類系安定剤とを含有し、糖類の配合量A(重量%)、ペクチンの配合量B(重量%)、大豆多糖類の配合量C(重量%)が所定の関係式で示される条件を満足し、0〜30℃で液状化可能であり、かつ0℃未満で凍結可能であるシャーベット状飲料用組成物という技術が開示されている。
したがって、シャーベット状飲料用組成物は、シャーベットの食感といった評価と同様、凍結したシャーベット状飲料のほぐし易さ(以下、適宜「ほぐし易さ」という)という評価も非常に重要視される。
さらに、シャーベット状飲料がシャーベットの状態を長い時間維持できないと、シャーベット状飲料を食している途中で液体状になったり、シャーベット状飲料として食するタイミングを逃す可能性が高くなったりしてしまう。
しかし、シャーベット状飲料用組成物に関する技術として、特許文献1、2に開示された技術とは異なるとともに、これまでに全く無かったアプローチにより、凍結したシャーベット状飲料のほぐし易さや食感を向上させる技術が望まれている。
また、シャーベット状飲料用組成物としては、解凍処理の短時間化だけでなく、シャーベットの状態の長時間化が求められるが、この点、特許文献1、2に開示された技術は、何ら考慮されていない。
(1)タンパク質の含有量が0.20〜5.10g/Lであり、安定剤の含有量が3.0g/L以下であり、前記タンパク質は、脱脂粉乳由来のタンパク質、大豆由来のタンパク質、コラーゲン、不凍タンパク質、のうち1種又は2種以上であり、前記不凍タンパク質の含有量が0.02g/L以下であり、安定剤としてペクチンを含有していないことを特徴とするシャーベット状飲料用組成物(ただし、乳化剤を含有するものを除く)。
(2)前記1に記載のシャーベット状飲料用組成物が、軟包材製容器に充填されていることを特徴とする容器入り組成物。
本実施形態に係るシャーベット状飲料用組成物(以下、適宜「組成物」という)は、タンパク質を所定量含むことを特徴とし、0℃未満で凍結可能である。
そして、本実施形態に係る組成物は、凍結させる前の0℃以上の温度条件下では、液体状又はゼリー状(ゲル状)であり、0℃未満で凍結させた後、解凍することにより、「シャーベット状飲料」として食することができる。
なお、シャーベット状飲料用組成物とは、「シャーベット状飲料用」という用途に用いる組成物であり、最終的にシャーベット状飲料として消費される可能性のある組成物であればよい。
本実施形態に係る組成物は、タンパク質の含有量が0.20〜10.0g/L(0.020〜1.00w/v%)である。
タンパク質は、凍結したシャーベット状飲料のほぐし易さや、食感を向上させる。さらに、タンパク質は、解凍処理の短時間化、シャーベットの状態の長時間化に資する。
一方、タンパク質の含有量が10.0g/L以下であることにより、食感がかえって悪くなってしまうといった事態や、タンパク質の独特の香味が強くなってしまってシャーベット状飲料の香味として適さなくなるような事態を回避することができる。そして、このような事態をより確実に回避するため、タンパク質の含有量は、8.0g/L以下が好ましく、6.0g/L以下が特に好ましい。
特に、タンパク質として、コラーゲンを使用した場合や、不凍タンパク質を使用した場合は、口当たりが非常になめらかとなり、シャーベット状飲料として極めて好適な食感となる。
なお、不凍タンパク質の含有量の上限値は、前記したタンパク質の含有量の下限値を大幅に下回っている。よって、不凍タンパク質をタンパク質として含有させる場合は、当該不凍タンパク質だけでなく、その他のタンパク質(脱脂粉乳由来のタンパク質、大豆由来のタンパク質、コラーゲンなど)を含有させる必要があり、これらのタンパク質の合計の含有量が前記したタンパク質の含有量の範囲に該当するように調製すればよい。
本実施形態に係る組成物は、安定剤の含有量が3.0g/L以下であるのが好ましい。
ここで、安定剤とは、食品のテクスチャーの保持、液に懸濁しているものの分散、食品の保湿・保水、食品の結着、乳化液・乳濁液の安定化などを目的として使用される食品添加剤である。そして、安定剤は、例えば、大豆多糖類、アルギン酸、カシアガム、カードラン、カラギナン、カラヤガム、キサンタンガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、タラガム、プルラン、ローカストビーンガムなどが挙げられる。そして、安定剤として、これらの中から1種又は2種以上を使用することができる。
そして、本実施形態に係る組成物の安定剤の含有量は、冷凍前の液体の状態を安定させるために必要となる最低限の量、例えば、0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、更に好ましくは1.0g/L以上含まれていればよい。
凍結させる前の0℃以上の温度条件下において、本実施形態に係る組成物が、液体状、ゼリー状(ゲル状)のいずれになるのかは、ゲル化剤の添加の有無、並びに含有するゲル化剤の種類及び含有量により決定される。ゲル化剤としては、ゼラチン、寒天、ペクチン、アルギン酸塩、カラギナン、ジェランガムなどのガム類、等を使用することができる。
本実施形態に係る組成物は、糖類を含有しているのが好ましい。
ここで、糖類とは、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール、異性化糖、デキストリンなどの総称であり、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、トレハロース、フラクトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、キシリトール、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、非環状デキストリン、環状デキストリンなどを挙げることができる。なお、糖類として、これらの中から1種又は2種以上を使用することができる。
そして、本実施形態に係る組成物は糖類を含有することにより、シャーベット状飲料として好適な香味(甘さ)とすることができる。
また、糖類の含有量については、特に限定されず、シャーベット状飲料として好適な香味(甘さ)とするため、50〜300g/L程度であればよい。
本実施形態に係る組成物は、果汁を含有しているのが好ましい。
ここで、果汁とは、果実の搾汁であり、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁だけでなく、果実ピューレ(火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの)も含まれ、これらの希釈液、濃縮液、混合液なども含まれる。さらに、果汁は、1種類の果実を原料としてもよいし、2種類以上の果実を原料としてもよい。
そして、本実施形態に係る組成物は果汁を含有することにより、シャーベット状飲料に様々な果実の香味を付与することができる。
例えば、果実としては、オレンジ、ミカン、温州ミカン、夏ミカン、ハッサク、ユズ、イヨカン、ポンカン、カボス、シイクワシャー、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類果実、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、キウイ、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツなどの熱帯果実、ナシ(日本ナシ、西洋ナシなど)、リンゴなどの仁果類果実、梅、桃、スモモ、アンズなどの核果類果実、ラズベリー、クランベリー、ブルーベリー、カシス、チェリー、ブドウ、メロン、カキなどが挙げられる。
なお、果汁の含有量については、特に限定されない。
本実施形態に係る組成物は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される着色料、酸味料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料など(以下、単に添加剤という。)を添加することもできる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸などを用いることができる。甘味料としては、前記した糖類を用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。
さらに、本実施形態に係る組成物は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲でアルコール(飲用アルコール:例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカなどの各種スピリッツ、原料用アルコールなどを1種又は2種以上を組み合わせたもの)を添加して、アルコール入りシャーベット状飲料用組成物としてもよい。
そして、前記したタンパク質、糖類、安定剤、ゲル化剤、果汁、添加剤、アルコールは、一般に市販されているものを使用することができる。
次に、本実施形態に係る容器入り組成物を説明する。
本実施形態に係る容器入り組成物は、前記したシャーベット状飲料用組成物が、軟包材製容器に充填されていることを特徴とする。
なお、シャーベット状飲料用組成物については、既に説明しているので、以下ではその説明を省略する。
本実施形態に係る容器とは、紙容器(一部分または全てが紙で作られている容器)、ラミネートや撥水処理等をした加工紙容器、軟質プラスチック容器、その他保形性を有する軟包材製容器のすべてを包含するものであって、特に軟質プラスチック容器が好適な1例として例挙することができる。そして、本実施形態に係る容器とは、対象物を内部に保持する本体部と、当該本体部の内部と外部とを連通する飲み口部とを有するとともに、本体部に外側から圧力が加えられることにより、飲み口部から対象物を放出する容器がより好ましい。
また、本実施形態に係る組成物、及び容器入り組成物は、タンパク質としてコラーゲンや不凍タンパク質を含む場合、口当たりが非常になめらかとなり、シャーベット状飲料として極めて好適な食感とすることができる。
また、本実施形態に係る組成物、及び容器入り組成物は、安定剤の含有量が所定値以下である場合、冷凍前の液体状の組成物のとろみが強くなり過ぎ、甘さがしつこく口に残ってしまうといった事態を回避することができる。
次に、本実施形態に係るシャーベット状飲料用組成物の製造方法を説明する。
本実施形態に係るシャーベット状飲料用組成物の製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
まず、実施例1では、タンパク質の含有の有無、及びタンパク質の含有量が、解凍後の状態、食感、融解液量などに与える影響について確認する。
表1に示す配合量となるように、糖類、安定剤、タンパク質、果汁、酸味料、香料、水を混合してサンプル液を準備した。そして、サンプル液を85℃で30秒間加熱殺菌し、80℃以上で耐熱ペットボトルに容器詰め(ホットパック)することで、サンプル0−1〜0−5、1−1〜1−8を製造した。
なお、耐熱ペットボトルは、容量が350ml、サイズ(外寸)が50mm×50mm×200mm、キャップが28mmφ耐熱樹脂キャップである、いわゆる角ボトルを使用し、この耐熱ペットボトルにサンプル液を330ml充填した。
一部のサンプルのpHの値については、pHメーター(HM−30G:東亜ティーケーケー社製)を用いて測定した。また、一部のサンプルのBrixの値、融解液のBrixの値については、デジタル屈折計(RX−5000:ATAGO社製)を用いて測定した。また、一部のサンプルの粘度の値については、コーンプレートタイプ粘度計(VT−20:東亜産業社製)を用いて測定した。
なお、サンプルのpH、Brix、粘度の測定は、サンプルを冷凍する前の状態(液体状態)で、室温(25℃)で行うとともに、融解液のBrixの値は、解凍後所定時間経過後の融解液に対して室温(25℃)で測定を行った。
前記の方法により準備した各サンプルを冷凍(−20℃、24時間)した後、解凍(25℃、60分放置)し、下記の状態評価試験、及び食感評価試験に供した。
前記の方法により準備したサンプルの状態について、訓練された専門のパネル5名が下記評価基準に則って○、△、×の3段階で各々評価を行い、最終的な評価を各パネルがディスカッションして決定した。
○:容器を振ると容易にほぐれ、シャーベット状になる。
△:容器を振ってもややほぐれ難く、粗いシャーベット状になる。
×:容器を振っても硬くてほぐれない。
前記の方法により準備したサンプルの食感について、訓練された専門のパネル5名が下記評価基準に則って◎、○、△、×の4段階で各々評価を行い、最終的な評価を各パネルがディスカッションして決定した。
◎:口当たりが非常に滑らかである。
○:口当たりが滑らかである。
△:やや口当たりが悪い。
×:氷粒が大きく口当たりが悪い。
前記の方法により準備した各サンプルを冷凍(−20℃、24時間)した後、25℃での解凍処理(25℃雰囲気下における静置)の開始時から、60、90、120、150分後の融解液の液量、及びBrixを測定した。
なお、この評価試験では、解凍後所定時間経過後に容器を傾けて融解液のみを飲み口部から流れ落とすことで、融解液を採取しており、採取の際には、容器を振ったり容器に外圧をかけたりはしていない。また、採取した融解液は、容器には戻していない。
前記の方法により準備した各サンプル(冷凍前の液体の状態)の口当たりについて、訓練された専門のパネル5名が下記評価基準に則って○、△、×の3段階で各々評価を行い、最終的な評価を各パネルがディスカッションして決定した。
○:さらっとしており、口当たりが良い。
△:とろみと甘さが残り、口当たりがやや悪い。
×:とろみが強く、甘さがしつこく残り、口当たりが悪い。
なお、表中の「−」とは、含有していない(0g/L)ことを示し、表中の「/」とは、測定を実施していないことを示している。また、表中のタンパク質の欄に記載した量は、脱脂粉乳等の含有量ではなく、タンパク質の含有量に換算した後の値である。
サンプル0−1〜0−5は、タンパク質を含有していなかったことから、状態評価、及び食感評価が「×」又は「△」であり、いずれの評価も好ましいものではなかった。
さらに、サンプル0−1の融解液の液量の推移を確認したところ、「3.4」(60分後)→「30.2」(90分後)→「16.5」(120分後)→「80.3」(150分後)であった。よって、タンパク質を含有していなかったサンプル0−1は、60分の解凍処理では、ほとんど融解せずシャーベットの状態にはならなかったとともに、150分後には急激に融解してしまっており、シャーベットの状態を長時間維持できないこともわかった。
さらに、サンプル1−3〜1−6は、60分後の融解液の液量が24〜30gとなっており、迅速に解凍が始まり、シャーベットの状態に移行することがわかった。また、150分後の融解液の液量が32〜55gとなっており、ゆっくりと融解し、シャーベットの状態を長時間維持できることがわかった。
加えて、サンプル1−3〜1−6は、60、90、120、150分後の融解液のBrixの各値の間に、ほとんど差異が生じなかったことから、シャーベット状飲料を食べ始めた時の香味と、食べ終わりの時の香味とを、ほぼ均一にできることも確認できた。
また、サンプル0−5と、サンプル1−3〜1−6とは、同じ種類の糖類を同量含有していたことから、評価結果の優劣を左右したのは、「糖類の種類」ではなく、「タンパク質の有無」、及び「タンパク質の含有量」であることも確認できた。
表2に示す配合量となるように、糖類、安定剤、タンパク質、果汁、酸味料、香料、水を混合してサンプル液を準備した。そして、実施例1と同様にサンプル液を85℃で30秒間加熱殺菌し、80℃以上で耐熱ペットボトルに容器詰め(ホットパック)することで、サンプル2−1〜2−14を製造した。
なお、表2に示す「不凍タンパク質溶液」としては、株式会社カネカ社製のカイワレダイコンエキスである「カネカ不凍タンパク質KP1」を用いた。
前記の方法により準備した各サンプルについて、実施例1と同様の評価方法、及び評価基準を用いて試験を行った。
なお、各試験の評価方法、及び評価基準については実施例1と同様であるので、説明を省略する。
サンプル2−1〜2−14は、所定量のタンパク質を含有していたことから、状態評価、及び食感評価は「○」以上であり、いずれの評価も非常に好ましかった。
特に、タンパク質として不凍タンパク質を使用したサンプル2−2、2−3、2−5、2−6、タンパク質としてコラーゲン(水溶性コラーゲン)を使用したサンプル2−9〜2−14は、食感評価が「◎」となり、極めて好ましい評価となった。
また、サンプル2−1〜2−14は、60分後の融解液の液量が20〜30gとなっており、迅速に解凍が始まり、シャーベットの状態に移行することがわかった。また、150分後の融解液の液量が44〜60gとなっており、ゆっくりと融解し、シャーベットの状態を長時間維持できることがわかった。
そして、サンプル2−1〜2−14の結果から、タンパク質の種類を変更しても、一定の効果が得られることを確認できた。
S2 後処理工程
Claims (2)
- タンパク質の含有量が0.20〜5.10g/Lであり、安定剤の含有量が3.0g/L以下であり、
前記タンパク質は、脱脂粉乳由来のタンパク質、大豆由来のタンパク質、コラーゲン、不凍タンパク質、のうち1種又は2種以上であり、
前記不凍タンパク質の含有量が0.02g/L以下であり、
安定剤としてペクチンを含有していないことを特徴とするシャーベット状飲料用組成物(ただし、乳化剤を含有するものを除く)。 - 請求項1に記載のシャーベット状飲料用組成物が、軟包材製容器に充填されていることを特徴とする容器入り組成物。
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