JP6602148B2 - エンドミル - Google Patents

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Description

この発明はエンドミルに関するものであり、特に、厚みの薄いアルミニウム合金の底面仕上げ加工等に適したエンドミルに関する。
電子機器の小型軽量化、高密度化に伴い、電子機器を構成するアルミニウム合金製の部品には良好な平面度と表面粗さの要求が高まっており、このような部品の加工にはエンドミルが使用される。
アルミニウム合金の加工に適したエンドミルとして、底刃のすくい角(アキシャルレーキ)を0°〜8°に設定したものがある(例えば特許文献1参照)。
また、アルミニウム合金の底面仕上げ加工に適したエンドミルとして、底刃のすかしが外周刃コーナ側の一次切れ刃と一次切れ刃から連続して形成された二次切れ刃から構成され、一次切れ刃のすかし角αは3′〜30′、二次切れ刃のすかし角は1°〜5°とし、一次切れ刃のすかし角αと二次切れ刃のすかし角βの関係をα<βとし、かつ一次切れ刃の量を外径の0.6%〜6.5%の長さとし、少なくともエンドミル先端部の一次切れ刃には0.002〜0.05mmの厚さのコーティング膜を被覆したものがある(例えば特許文献2参照)。
特開2004−90148号公報 特開2000−42822号公報
厚みの薄い部品をエンドミルにより加工すると、加工面に残留応力が生じ、加工時の固定具等を外した際に、応力のつりあいにより変形が生じ、平面度が悪化する。加工時に生じる残留応力は、加工に用いる工具の形状と加工条件の影響を大きく受ける。また、表面粗さも工具の形状と加工条件の影響を大きく受ける。
上記のような従来のエンドミルでは、何れの場合も加工面の表面粗さの改善は図られるものの、加工条件を調整しても要求された平面度と表面粗さを共に達成するのは困難であり、後工程によって手直しや磨き作業が発生するという問題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、加工条件によらず良好な平面度と表面粗さを得ることができるエンドミルを提供することを目的とする。
この発明に係るエンドミルは、底刃のすかしが外周切れ刃のコーナー側の一次切れ刃とその一次切れ刃から連続して形成された二次切れ刃からなり、前記一次切れ刃のすかし角αを0′〜30′としたギャッシュランドを有する少なくとも1つの切れ刃を備えたエンドミルであって、前記外周切れ刃のねじれ角γを30°〜60°、前記底刃のすくい面のすくい角θを前記ねじれ角γよりも小さい角度で30°〜45°の範囲とし、前記ギャッシュランドを有する少なくとも1つの前記切れ刃とともに、外周切れ刃のねじれ角γ2が底刃のすくい面のすくい角θ2と同一である少なくとも1つのピンカド形状の切れ刃を設け、前記ねじれ角γ2は前記ギャッシュランドを有する前記切れ刃を構成する前記底刃の前記すくい面の前記すくい角θと同じであることを特徴とするものである。
この発明に係るエンドミルによれば、底刃の一次切れ刃のすかし角αを0′〜30′と小さくしているため、加工条件を変更しても良好な表面粗さを得ることができる上、底刃のすくい角θを30°〜45°と大きくしているため、加工面に生じる残留応力を低減できることにより、加工後のワークの変形をも抑制できるという効果が得られる。
本発明の実施の形態1によるエンドミルを示す側面図。 図1に示されたエンドミルの下面図。 図1に示されたエンドミルの底刃の要部拡大図。 エンドミルによってワークの底面加工をしたときの一次切れ刃のすかし角α及び一刃送り量fzと加工面の表面粗さRとの関係を説明する図。 図1に示すエンドミルについて測定された底刃の一次切れ刃のすかし角αと加工面の表面粗さの関係を示す図。 エンドミルによる底面加工におけるワークの変形量の定義を説明する図。 本発明の実施の形態1によるエンドミルと一般的なエンドミルで一刃送り量を変えて加工したときのワークの変形量について測定された結果を示す特性図。 一刃送り量を0.2mmに固定した場合における、底刃のすくい角θとワークの変形量との関係について測定された特性図。 本発明の実施の形態2によるエンドミルにおける複数の切れ刃の内、少なくとも1枚に構成されたピンカド形状の切れ刃を示す図。 刃先の形状によって生じるコーナー部の削り残しを説明する図。 本発明の実施の形態2のエンドミルによるワークの底面加工後の加工面の表面粗さとすかし角との関係を説明する図。 本発明の実施の形態3によるエンドミルの底刃のピッチ角を説明する図。 本発明の実施の形態4によるエンドミルの構成を示す側面図。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるエンドミルを示す側面図、図2は図1に示されたエンドミルの下面図、図3は図1に示されたエンドミルの底刃の要部拡大図である。なお、各図を通じて同一または相当の部材・部分には同一符号を付している。図において、本発明のエンドミル1は超微粒子超硬合金等の硬質材料を用いた円柱状のボディ2の外周部に形成された外周切れ刃3と、ボディ2の先端部2aに形成された底刃4を有し、底刃4のすくい面5が外周切れ刃3の位置まで達している、いわゆるギャッシュランド付きの形状となっており、底刃4のすかしが外周切れ刃3のコーナー側の一次切れ刃41と、一次切れ刃41から連続して形成された二次切れ刃42から構成されている。
そして、外周切れ刃3のねじれ角γを30°〜60°、底刃のすくい面5のすくい角θをねじれ角γよりも小さい角度で30°〜45°の範囲にする一方、一次切れ刃41のすかし角αは0′〜30′、二次切れ刃42のすかし角βは1°〜6°とし、かつ一次切れ刃41の幅Bを外周切れ刃の直径Dの2%〜4%としている。本発明のエンドミルの典型的な特徴部分は、ギャッシュランド付きの工具で良好な表面粗さを確保しつつ、ワークの変形量を抑えるために、一次切れ刃41のすかし角αを0′〜30′と小さく設定すると同時に、底刃のすくい面5のすくい角θを30°〜45°と大きく設定したことにある。
通常、アルミニウム合金等軟質材料のバルク材から製品を削り出し加工する場合、最初の工程で除去体積の多い荒加工を行い、最後に図面に指定された寸法精度、形状精度や表面粗さを満足するために、除去体積を少なくした仕上げ加工の2工程で行われることが多いが、本発明のエンドミルは、そのような加工手法における仕上げ加工に好ましく用いることができるものであり、上述の構成によって特に製品の仕上げ加工後の厚みを、例えば1〜2mmというように薄く加工する場合であっても残留応力によるワークの変形が抑制され、寸法精度、形状精度や表面粗さを満足することができるようにしたものである。以下、更に具体的に説明する。
エンドミル1は、何れも図示を省略している焼嵌め式やコレット式などのホルダ類を介してマシニングセンタなどの工作機械の主軸に取り付けられ、使用される。加工の際にはマシニングセンタなどの主軸が回転することによって、ホルダ類を介してエンドミル1に回転が伝達され、図1に示すように軸線Oのまわりに矢印Tで示す方向、即ち軸線Oの上方から下方(刃先の方向)を見たときに時計方向に回転しながら軸線Oに交差する方向に送り出されることによって、外周切れ刃3及び底刃4によりワークに切削加工を施して加工面を形成する。この時に工具の切れ刃毎に工具が進んだ長さを一刃送り量と呼ぶ。一刃送り量は、除去体積に関連する指標であり、加工時に生じる残留応力や表面粗さへの影響が大きい加工条件の一つである。この一刃送り量は下記の式(1)で求められる。
一刃送り量fz[mm/刃]=
工具送り速度[mm/分]/工具回転数[1/分]/工具刃数[刃]・・・式(1)
以後、工具の送り量を示す指標としては式(1)に示される一刃送り量fzを用いて説明する。
図4はエンドミルによってワークの底面加工をしたときの一次切れ刃のすかし角α及び一刃送り量fzと加工面の表面粗さRとの関係を説明する図である。底面の表面粗さRはエンドミルの底刃形状の転写となるため、一刃送り量fzが一次切れ刃の幅Bよりも小さい場合には、一刃送り量と一次切れ刃41のすかし角αを用いて下記式(2)で表わされる。
表面粗さR[μm]=一刃送り量×tan(α)×1000 ・・・式(2)
式(2)より、一刃送り量fzを大きくするほど、あるいはすかし角αを大きくするほど表面粗さRは悪化することが分かる。
一般的なエンドミルでは底刃は一つの連続した切れ刃となっており、そのすかし角αは2°〜6°に設定されている。表面粗さRを向上させるために、単純にすかし角αを小さくすると底面切れ刃の接触面積が大きくなるため、切削時の抵抗が大きくなりびびり等の発生によってかえって表面粗さが悪化する場合がある。これに対して、本発明の実施の形態1では底刃のすかし部に一次切れ刃41から連続して形成された二次切れ刃42を設け、一次切れ刃41のすかし角αを0〜30′と小さくすることによって表面粗さRを良好にする一方、二次切れ刃42のすかし角βを1°〜6°と、一次切れ刃41のすかし角αよりも大きくすることによって接触面積を小さくし、切削抵抗の増加を抑制しているため、切削加工時にびびり等が発生することなく良好な表面粗さを得ることができる。
図5は図1に示す外周切れ刃のねじれ角γを30°〜60°、底刃のすくい面のすくい角θを30°〜45°の範囲で前記ねじれ角γよりも小さい角度にしたエンドミルについて測定された底刃の一次切れ刃のすかし角αと加工面の表面粗さRの関係を示す図である。ここでは、図5に白抜きの丸印で示すように一次切れ刃のすかし角αを30′(=0.5°)、2°、4°、及び6°と変えた工具を製作し、一刃送り量fzを0.1mmとしてアルミニウム合金のワークを加工したときに測定された一次切れ刃のすかし角αと表面粗さの関係を表わしている。なお、いずれの場合も、刃先の直径D=20mm、外周切れ刃のねじれ角γ=45°、底刃のすくい面のすくい角θ=30°、一次切れ刃の幅B=0.6mm(外周切れ刃の直径Dの3%)、二次切れ刃のすかし角βについては、α<2°のときはβ=2°、α≧2°のときはβ=αとし、材質は超微粒子超硬合金とした。
図5から、試験の結果は式(1)とほぼ一致しており、すかし角αが大きいほど表面粗さが悪化することが分かる。なお、より具体的には、一刃送り量fzの上限値は、例えば約0.4mm程度、表面粗さRの許容値は3.2μm程度以下であることから、その範囲で十分満足し得る表面粗さRを得るためには、図5とは別に実施された試験によって、一次切れ刃のすかし角αは0〜30′とするのが良いことが確認された。
次に、底刃のすくい角θを通常の0°〜8°程度よりも大きい30°〜45°の範囲にすることによって、加工後のワークの変形量が抑えられることについて、図6、図7を用いて説明する。なお、図6はエンドミルによる底面加工におけるワークの変形量の定義を説明する図、図7は本発明の実施の形態1によるエンドミルと一般的なエンドミルで一刃送り量を変えて加工したときのワークの変形量wについて測定された結果を示す特性図である。ここで、ワークの変形量w(μm)は30mm×10mmのブロック状のアルミニウム合金A5052を用意し、その厚みが1.5mmになるように、マシニングセンタの主軸に固定されたエンドミルを図6の白抜きの太線矢印で示すように該アルミニウム合金の長手方向に送って加工した後、ワークの保持を開放したときの反り量を変形量wとして定義して評価した。なお、正の変形を凸の反り、負の変形を凹の反りとした。また、エンドミルの刃先の直径D(図1に図示)は20mm、回転数は4775回転/分とした。
図7において、黒塗りの三角印はすくい角θ=6°の一般的な工具、白抜きの丸印はすくい角θ=30°とした本発明の実施例の工具であり、何れも一刃送りを、0.1、0.2、及び0.3と3段階に変えて前述のブロック状のアルミニウム合金A5052の切削加工を行い、加工後のワークの変形量wを評価した結果である。なお、工具のその他の項目は、何れもねじれ角γ=45°、一次切れ刃のすかし角α=24′(=0.4°)、二次切れ刃のすかし角β=2°、及び切れ刃幅B=0.6mmとし、材質は超微粒子超硬合金とした。なお、黒塗りの三角印で示す、底刃のすくい角θ=6°の工具は、ギャッシュランド付きのエンドミルにおいて、底刃のすくい角θが8°を超えると刃先の強度が低下するといわれており、一般的に刃先の強度を確保するためにθ=0°〜8°程度に設定されていることから、比較のためにその範囲の代表例として作成したものである。
図7から明らかなように、底刃のすくい角θを30°というように、大きくすることによって、すくい角θが6°と小さいものよりも変形を抑制できることが確認された。なお、一刃送り量を大きくすることで変形が凸から凹へと変化する傾向にあることから、評価した範囲よりも一刃送り量fzを大きくすることにより、すくい角θが0°〜8°程度の一般的な工具でも変形量wを小さくすることが可能であるようにも考えられるが、一般的に一刃送り量は工具の直径Dの0.5〜1.5%程度の範囲で使用されており、一刃送り量が2%を超えるような条件にすると、工具の欠損や工作機械が追従不可能となる場合があるので好ましくない。
また、図8は一刃送り量を0.2mmに固定した場合における、底刃4のすくい角θとワークの変形量との関係について測定された特性図である。なお、この場合のエンドミルのその他のパラメータは図7の場合と同様である。図8から、すくい角θは30°〜45°の範囲に設定することにより加工後のワークの変形量を30mmの長さで±5μm程度以下に抑えることができることが分かる。なお、すくい角θが36°よりも大きくなると変形が凹に変化する傾向にあり、45°よりも大きくすると凹に変形が大きくなると共に、平面度が悪化するので、底刃のすくい角θを30°〜45°とすることにより、アルミニウム合金などの軽金属の仕上げ加工に用いる上で、良好な表面粗さを得ることができる上、加工面に生じる残留応力が低減されて、ワークの変形をも抑制でき、しかも刃先の強度低下による欠損などの問題を起こすことなく好ましく加工できることが確認された。なお、外周切れ刃のねじれ角γを30°〜60°としたのは、ギャッシュランドを設けるためには、ねじれ角γ>すくい角θとする必要があり、本発明では底刃のすくい面のすくい角θについて上記のように鋭意研究を重ねた結果、有意差のある効果が得られたすくい角θは30°〜45°の範囲であったことに伴うものである。
以上のように、実施の形態1のエンドミルは、ギャッシュランド付きで、底刃4のすかしが外周切れ刃のコーナー側の一次切れ刃41とその一次切れ刃から連続して形成された二次切れ刃42からなり、しかも一次切れ刃41のすかし角αが0′〜30′と小さい角度のさらい刃付きのエンドミルにおいて、外周切れ刃3のねじれ角γを30°〜60°、底刃4のすくい面のすくい角θを、ねじれ角γよりも小さい角度で30°〜45°の範囲と、一般的なすくい角θが0°〜8°のエンドミルよりも大きくしたことを特徴とするものである。上記のように構成された実施の形態1によれば、一次切れ刃41のすかし角αを0′〜30′にすると共に、底刃4のすくい角θをねじれ角γよりも小さい角度で、30°〜45°の範囲に設定したことによって、アルミニウム合金の仕上げ加工において、良好な表面粗さが得られると同時に、加工後のワークの平面度をも良好にすることができるという顕著な効果が得られる。このため、電子機器の小型軽量化、高密度化に伴ってアルミニウム合金等の軟質金属製のワークをエンドミルによって厚みを薄く加工する際に要求される、良好な平面度と表面粗さの双方を満足した製品を製作することができる。また、手直しや磨き作業といった後工程の発生を無くすことができる。
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2によるエンドミルにおける複数の切れ刃の内、少なくとも1枚に構成されたピンカド形状の切れ刃を示す図であり、(a)は要部拡大図、(b)はすくい角θ2と外周切れ刃のねじれ角γ2を示す図である。図10は刃先の形状によって生じるコーナー部の削り残しを説明する図、図11は本発明の実施の形態2のエンドミルによるワークの底面加工後の加工面の表面粗さとすかし角との関係を説明する図である。なお、この実施の形態2は、エンドミルの切れ刃の枚数を複数とする場合において、そのうち少なくとも1枚を、実施の形態1における図3に示すものと同様に、底刃4のすくい面5が外周切れ刃3まで達しているいわゆるギャッシュランド付きの形状で、一次切れ刃41のすかし角αを0′〜30′で、かつ底刃4のすくい角θを30°〜45°に設定したものとし、他の切れ刃のうち少なくとも1枚の切れ刃の底刃4Aを図9(a)に示すような、すくい面5Aが外周切れ刃3まで達していない、いわゆるピンカド形状としたものである。なお、ピンカド形状の場合図9(b)に示すように、外周切れ刃3のねじれ角γ2は底刃4Aのすくい角θ2と同じである。なお、前述のピンカドの切れ刃のねじれ角γ2はギャッシュランド付きの切れ刃を構成する底刃4のすくい角θと同じとしてもよい。
当業者において周知のように、ギャッシュランド付き工具のすくい面5は外周切れ刃3の一部を除去して製作するために、先端部で刃先の後退が生じ、コーナー部の加工に用いると、先端部(隅部)付近で、図10(b)に示すように削り残し部が生じる。幾何学形状から底刃のすくい角θと外周切れ刃3のねじれ角γの差が小さいほどこの削り残し部は小さくなり、ピンカドの工具では外周切れ刃3のねじれ角γ2が底刃のすくい角θ2と同じであるため、図10(a)に示すように、先端部付近で削り残しは生じない。また、ピンカドの工具は底刃4Aが外周切れ刃3の近傍でえぐれた形状で形成されるため、実質的なすかし角α2が大きくなる。したがって、式(1)から表面粗さが悪化することがわかる。
なお、切れ刃はエンドミルの先端面における回転中心から径方向外側に伸びる底刃と、その底刃からエンドミルの外周面に連なる如く形成される外周切れ刃から構成され、「切れ刃の数」は、その底刃の数または外周切れ刃の数で数えられる。
実施の形態2のエンドミルは、上記のように一つの工具にギャッシュランド付きの切れ刃とピンカド形状の切れ刃を設ける構成としたことによって、ギャッシュランド付きの刃によって削り残しが生じても、別のピンカドの刃によって削り残し部をシャープに加工することができるため、工具全体としては隅部に削り残しを生じることなく加工することができる。本実施例ではすかし角αを0′〜30′としたギャッシュランド付きの底刃4を少なくとも1枚備えているため、図11に示すように、加工面の表面粗さはすかし角αと、実質的なすかし角α2で形成される複合的な面で決定され、良好な表面粗さとなる。
以上のように実施の形態2によれば、良好な表面粗さと良好な平面度を得ることができるとともに、コーナー部に削り残しを発生することなく1つの工具で効率的に切削加工できるという効果が得られる。また、一つの工具にギャッシュランドとピンカドの刃を設けているので、工具交換に要する時間やチッピングの確率も抑えることができる。
実施の形態3.
図12は本発明の実施の形態3によるエンドミルの底刃のピッチ角を説明する図である。この実施の形態3は、エンドミルの切れ刃の枚数を複数とする場合において、そのうち少なくとも1枚を、実施の形態1における図1〜図3に示すものと同様に、底刃4のすくい面5が外周切れ刃3にまで達しているいわゆるギャッシュランド付きの形状とし、一次切れ刃41のすかし角αを0′〜30′かつ底刃のすくい角θを30°〜45°に設定したものとし、他の刃のうち少なくとも1枚を図9に示すような、すくい面5Aが外周切れ刃3まで達していない、いわゆるピンカド形状とし、ねじれ角γを前記のギャッシュランド付きの刃の底刃4のすくい角θと同じとする場合、図12に示すように、底刃のピッチ角φを一定となるように、切れ刃を形成したものである。なお、図示の例では切れ刃の数は2枚、底刃のピッチ角φ=180°としているが、切れ刃の数を3枚以上としても良く、奇数枚の場合は、底刃としてギャッシュランド付きの形状とピンカドの形状の何れを枚数の多い方に選んでも差し支えない。
上記のように構成された実施の形態3によれば、ワークの底面を加工する場合には等ピッチのエンドミルとなるため、幾何学的にそれぞれの切れ刃で削る厚みが一定となり、安定した加工を行うことができる。さらに、ワークの側面を加工する場合には上記のような構成によって、ねじれ角に差が生じるため軸方向の高さによって外周切れ刃3のピッチ角が異なる、いわゆる不等ピッチ・不等リードのエンドミルとなる。不等ピッチ・不等リードのエンドミルには加工中の振動を抑制する効果があるため、前述の実施の形態2の効果に加えて、エンドミルが加工中にびびることなく安定した加工を行うことができるようになるという更なる効果が得られる。
実施の形態4.
図13は本発明の実施の形態4によるエンドミルの構成を示す側面図である。図において、この実施の形態4のエンドミル1Aは、図1〜図3に示す実施の形態1と同様の切れ刃、即ち、外周切れ刃3と底刃4を有し、底刃4のすくい面5が外周切れ刃3にまで達しているいわゆるギャッシュランド付きの形状となっており、底刃4のすかしが外周切れ刃3のコーナー側の一次切れ刃41と、一次切れ刃41から連続して形成された二次切れ刃42から構成される。外周切れ刃3のねじれ角γは30°〜60°とし、底刃のすくい面5のすくい角θはねじれ角γよりも小さい角度で30°〜45°の範囲とする。また、一次切れ刃41のすかし角αは0′〜30′、二次切れ刃42のすかし角βは1°〜6°とし、かつ一次切れ刃41の幅を外周切れ刃の直径の2%〜4%とした切れ刃を有するエンドミルを切れ刃部分21とシャンク部分22を分割して構成し、切れ刃部分21を、シャンク部分22に対して着脱可能にネジ結合したものである。ここでは、切れ刃部分21の後端側をおネジ部21aとし、シャフトからなるシャンク部分22の先端部に、おネジ部21aに対して同軸に螺合されるめネジ部22aを設け、シャンク部分22の材質として超硬合金よりも安価で加工が容易な例えば高速度鋼等の材料を用いるようにしたものである。
上記のように構成された実施の形態4においては、シャンク部分22がホルダ等を介してマシニングセンタなどの工作機械の主軸に取り付けられて使用され、おネジ部21aとめネジ部22aによって切れ刃部分21に回転が伝達されて加工が行われる。このように構成した場合、切削に関わる切れ刃部分21のみを交換することが可能となるため、高価な超微粒子超硬合金等の硬質材料の使用量を抑えることができ、安価に工具を製作することができるという効果が得られる。なお、切れ刃部分21の構成は実施の形態2または3と同様のものとしても差し支えないことは言うまでもない。
実施の形態5.
この実施の形態5は、図1〜図3に示す実施の形態1と同様の切れ刃、即ち、外周切れ刃3と底刃4を有し、底刃4のすくい面5が外周切れ刃3まで達しているいわゆるギャッシュランド付きの形状となっており、底刃4のすかしが外周切れ刃3のコーナー側の一次切れ刃41と、一次切れ刃41から連続して形成された二次切れ刃42から構成される。外周切れ刃3のねじれ角γは30°〜60°とし、底刃のすくい面5のすくい角θは前記ねじれ角γよりも小さい角度で30°〜45°の範囲とする。また、一次切れ刃41のすかし角αは0′〜30′、二次切れ刃42のすかし角βは1°〜6°とし、かつ一次切れ刃41の幅Bを外周切れ刃の直径Dの2%〜4%としたエンドミルにおいて、切れ刃部分の表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの硬質膜のコーティングを施したものである(図示省略)。なお、切れ刃の部分は実施の形態2から4に示した構成であってもよい。
実施の形態5においては、上記のように構成することによって、被削材であるアルミニウム合金との親和性を下げることができ、切れ刃部への溶着の防止や耐摩耗性の向上などの効果を得ることができる。
実施の形態6.
この実施の形態5は、図1〜図3に示す実施の形態1と同様の切れ刃、即ち、外周切れ刃3と底刃4を有し、底刃4のすくい面5が外周切れ刃3まで達しているいわゆるギャッシュランド付きの形状となっており、底刃4のすかしが外周切れ刃3のコーナー側の一次切れ刃41と、一次切れ刃41から連続して形成された二次切れ刃42から構成される。外周切れ刃3のねじれ角γは30°〜60°とし、底刃のすくい面5のすくい角θは30°〜45°の範囲で前記ねじれ角よりも小さい角度とする。また、一次切れ刃41のすかし角αは0′〜30′、二次切れ刃42のすかし角βは1°〜6°とし、かつ一次切れ刃41の幅Bを外周切れ刃の直径Dの2%〜4%としたエンドミルにおいて、切れ刃の数を1枚だけとしたものである。
このように切れ刃の数を1枚だけにした構成とすることによって、切れ刃の数を複数にした場合における切れ刃毎の製造誤差がなくなり、工具の製作が容易となる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1、1A エンドミル、2 ボディ、2a 先端部、21 切れ刃部分、21a おネジ部、22 シャンク部分、22a めネジ部、3 外周切れ刃、4 底刃、4A 底刃(ピンカド形状)、41 一次切れ刃、42 二次切れ刃、5 すくい面、5A すくい面(ピンカド形状)、B 一次切れ刃の幅、D 外周切れ刃の直径、O 軸線、R 表面粗さ、fz 一刃送り量、w 変形量、α 一次切れ刃のすかし角、α2 底刃の実質的なすかし角(ピンカド形状)、β 二次切れ刃のすかし角、γ ねじれ角、γ2 ねじれ角(ピンカド形状)、θ 底刃のすくい角、θ2 底刃のすくい角(ピンカド形状)。

Claims (5)

  1. 底刃のすかしが外周切れ刃のコーナー側の一次切れ刃とその一次切れ刃から連続して形成された二次切れ刃からなり、前記一次切れ刃のすかし角αを0′〜30′としたギャッシュランドを有する少なくとも1つの切れ刃を備えたエンドミルであって、前記外周切れ刃のねじれ角γを30°〜60°、前記底刃のすくい面のすくい角θを前記ねじれ角γよりも小さい角度で30°〜45°の範囲とし、前記ギャッシュランドを有する少なくとも1つの前記切れ刃とともに、外周切れ刃のねじれ角γ2が底刃のすくい面のすくい角θ2と同一である少なくとも1つのピンカド形状の切れ刃を設け、前記ねじれ角γ2は前記ギャッシュランドを有する前記切れ刃を構成する前記底刃の前記すくい面の前記すくい角θと同じであることを特徴とするエンドミル。
  2. 前記二次切れ刃のすかし角βを1°〜6°に形成して、前記一次切れ刃の幅Bを前記外周切れ刃の直径Dの2%〜4%にしたことを特徴とする請求項1記載のエンドミル。
  3. 複数の前記切れ刃における前記底刃のピッチ角φを一定としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンドミル。
  4. 前記切れ刃が設けられている部分が、シャンク部分に対して着脱可能に結合されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のエンドミル。
  5. 前記切れ刃の表面に硬質皮膜を施したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のエンドミル。
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