JP2006263870A - ラジアスエンドミル、及び、ラジアスエンドミルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被削面の面粗さや耐久性の向上を図ることができると共に、安価に製造することができるラジアスエンドミル、及び、ラジアスエンドミルの製造方法を提供すること。
【解決手段】 逃げ面6a〜6dの研削を一工程で連続して行う。例えば、逃げ面6aの研削は、軸芯回りに回転される研削砥石の外周面を逃げ面6aとなる部位に摺接させつつ、その研削砥石を底刃7aの逃げ面6aとなる部位から外周刃5aの逃げ面6aとなる部位まで連続移動させる。これにより、例えば、底刃7aの逃げ面6aとコーナR刃8aの逃げ面6aとの接続部分などを滑らかに連ならせて、かかる接続部分に段差が発生することを抑制することができる。その結果、従来品のように、段差が被削面に筋を形成して、面粗さが劣化することや、段差を起点として摩耗が促進されて、耐久性が低下することを回避することができる。また、研削時間を短縮して、安価に製造することもできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ラジアスエンドミル、及び、ラジアスエンドミルの製造方法に関し、特に、被削面の面粗さや耐久性の向上を図ることができると共に、安価に製造することができるラジアスエンドミル、及び、ラジアスエンドミルの製造方法に関するものである。
金型などの3次元曲面加工にはボールエンドミルの使用が一般的であり、ラジアスエンドミルは、被切削物に円弧形状(R取り)を付す場合や、切れ刃のコーナ部を補強して損耗を緩和する場合などに使用されるのが一般的であった。しかし、近年では、作業時間の短縮が望まれ、高速切削が要求されていることから、ラジアスエンドミルを3次元加工に使用する技術も開発されている(特許文献1)。
ところで、ラジアスエンドミルの刃付け加工(逃げ面形成工程)は、研削砥石を使用した研削加工により、外周刃及び底刃の逃げ面をそれぞれ別工程で形成した後、次いで、コーナR刃(ラジアス刃)の逃げ面を更に別工程で形成することにより行われる。
特開平11−90722号公報
しかしながら、従来のラジアスエンドミルでは、外周刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分、及び、コーナR刃の逃げ面と底刃の逃げ面との接続部分に段差が生じ、その結果、加工時には、前記段差が被切削物の被削面に筋を形成してしまうという問題点があった。
また、段差部分が偏摩耗して、エンドミルの耐久性が低下するという問題点や、各切れ刃に対しそれぞれ別工程で3種類の刃付け加工(逃げ面形成工程)を行うため、寸法管理コストや加工時間が嵩み、エンドミル全体としての製品コストが増加するという問題点もあった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、被削面の面粗さや耐久性の向上を図ることができると共に、安価に製造することができるラジアスエンドミル、及び、ラジアスエンドミルの製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のラジアスエンドミルは、軸芯回りに回転される工具本体と、その工具本体の先端側に設けられる底刃と、前記工具本体の外周側に設けられる外周刃と、それら外周刃と底刃とを連接して設けられるコーナR刃とを備えたものであり、前記底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面が一工程で連続して形成され、それら底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面形状と前記コーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状との間に生じる最大離間距離が1μm以下に設定されている。
請求項2記載のラジアスエンドミルの製造方法は、軸芯回りに回転される工具本体と、その工具本体の先端側に設けられる底刃と、前記工具本体の外周側に設けられる外周刃と、それら外周刃と底刃とを連接して設けられるコーナR刃とを備えたラジアスエンドミルの製造方法であり、前記工具本体を研磨して前記底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面を形成する逃げ面形成工程を備え、その逃げ面形成工程は、前記底刃から外周刃(又は前記外周刃から底刃)まで研削砥石を連続移動させ、前記底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面形状と前記コーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状との間の最大離間距離を1μm以下に設定するものである。
請求項1記載のラジアスエンドミルによれば、底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面形状とコーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状との間に生じる最大離間距離が1μm以下に設定されているので、外周刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分、及び、コーナR刃の逃げ面と底刃の逃げ面との接続部分を滑らかな形状に構成することができるという効果がある。
その結果、前記接続部分の段差が被切削物の被削面に筋を形成するという従来品の不具合を解消して、被削面の面粗さの向上を図ることができるという効果がある。また、段差部分が偏摩耗するという従来品の不具合を解消して、耐久性の向上を図ることができるという効果もある。
更に、従来品では、底刃、コーナR刃及び外周刃に対する3種類の刃付け加工(逃げ面形成工程)をそれぞれ別工程で行うため、それら各工程で研削砥石を加工部に対して接離移動させる必要が生じ、その分、加工時間が嵩むところ、本発明のラジアスエンドミルによれば、底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面が一工程で連続して形成されるので、刃付け加工における加工時間を短縮して、安価に製造することができるという効果がある。
また、このように、3種類の工程を必要としていた刃付け加工(逃げ面形成工程)が1工程に短縮されれば、寸法管理が容易となるので、管理コストを低減して、ラジアスエンドミルの製品コストを低減することができると共に、前記接続部分の段差が抑制され、高精度の逃げ面形状を得ることができるという効果がある。
請求項2記載のラジアスエンドミルの製造方法によれば、逃げ面形成工程は、底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面形状とコーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状との間に生じる最大離間距離を1μm以下に設定するものであるので、外周刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分、及び、底刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分が滑らかな形状に構成されたラジアスエンドミルを製造することができるという効果がある。
その結果、前記接続部分の段差が被切削物の被削面に筋を形成するという従来品の不具合を解消して、被削面の面粗さの向上を図り得るラジアスエンドミルを製造することができるという効果がある。また、段差部分が偏摩耗するという従来品の不具合を解消して、耐久性の向上を図り得るラジアスエンドミルを製造することができるという効果もある。
更に、従来の製造方法では、底刃、コーナR刃及び外周刃に対する3種類の刃付け加工(逃げ面形成工程)をそれぞれ別工程で行うため、それら各工程で研削砥石を加工部に対して接離移動させる必要が生じ、その分、加工時間が嵩むところ、本発明の製造方法によれば、底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面が一工程で連続して形成される、即ち、底刃から外周刃(又は外周刃から底刃)まで研削砥石を連続移動させるので、刃付け加工における加工時間を短縮して、ラジアスエンドミルを安価に製造することができるという効果がある。
また、このように、3種類の工程を必要としていた刃付け加工(逃げ面形成工程)が1工程に短縮されれば、寸法管理が容易となるので、管理コストを低減して、ラジアスエンドミルを安価に製造することができると共に、前記接続部分の段差が抑制され、高精度の逃げ面形状を有するラジアスエンドミルを製造することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるラジアスエンドミル1の正面図であり、図2は、図1の矢印II方向から見たラジアスエンドミル1の先端面図である。なお、図1では、ラジアスエンドミル1の一端側(シャンク側)の図示を省略している。
まず、図1及び図2を参照してラジアスエンドミル1の全体構成について説明する。ラジアスエンドミル1は、超硬合金からなる工具本体2を有するソリッドタイプのエンドミルであり、その工具本体2の一端(図1の左側)を保持するホルダー(図示せず)を介してマシニングセンタ等の加工機械の回転力が伝達され、例えば、金型の3次元加工を行う用途などに用いられる工具である。
工具本体2は、タングステンカーバイト(WC)等を加圧焼結した超硬合金により構成されており、その一端側(図1の左側)にはシャンク(図示せず)が円柱状に形成されている。一方、工具本体2の他端側(図1の右側)には、図1及び図2に示すように、刃部3が形成されている。
刃部3は、主に、切りくず排出溝4a〜4d、外周刃5a〜5d、底刃7a〜7d、コーナR刃8a〜8d、ギャッシュ9a〜9d等を備えており、この刃部3によって金型等の自由曲面加工が行われる。
切りくず排出溝4a〜4dは、切削加工中の切りくずの生成、収容及び排出を行うためのものであり、図1及び図2に示すように、ねじれを伴う4本の切りくず排出溝4a〜4dが工具本体2の回転軸線Oに対して対称に配設されている。
外周刃5a〜5dは、工具本体2の外周側に形成される切れ刃であり、軸芯Oに対してねじれたねじれ刃として構成されている。底刃7a〜7dは、工具本体2の先端面(図1右側端面)に形成される切れ刃であり、中心凹角を有して構成されている。また、コーナR刃8a〜8dは、底刃7a〜7dと外周刃5a〜5dとを連結し、その連結部分に丸コーナを形成するための切れ刃である。
これら外周刃5a〜5d、底刃7a〜7d及びコーナR刃8a〜8dは、図1及び図2に示すように、切りくず排出溝4a〜4d(又は、ギャッシュ9a〜9d)と逃げ面6a〜6dとが交差する各稜線部分に4枚がそれぞれ形成されている。なお、本実施の形態では、後述するように、逃げ面6a〜6dが一工程で連続して形成されることで、各切れ刃の逃げ面の接続部分が滑らかに連なり、段差の発生が抑制されている。
ギャッシュ9a〜9dは、底刃7a〜7d及びコーナR刃8a〜8dにおける切りくずの排出性を高めるための溝であり、各切りくず排出溝4a〜4dにそれぞれ1本ずつ合計4本が凹設されている。なお、底刃7a〜7d及びコーナR刃8a〜8dは、ギャッシュ9a〜9dのギャッシュ面によりすくい面が形成されている。
図2に示すように、ギャッシュ9b,9dは、逃げ面6a,6cから底刃7a,7cを切削方向(図2反時計回り)前方側に超えて凹設される一方、ギャッシュ9a,9cは、それぞれ逃げ面6b,6dの中途まで凹設されている。その結果、ラジアスエンドミル1の先端側(図2紙面手前側)には、心残しが形成され、底刃7b,7dがそれぞれ回転軸線Oを超えて延設されている。
次いで、ラジアスエンドミル1の製造方法について説明する。ラジアスエンドミル1の製造に際しては、まず、超硬合金からなる工具素材に円筒研削加工を施して、工具素材の一端側にシャンクを形成すると共に、他端側におねじ部3の外形を形成する。
そして、外形が形成されたおねじ部3に溝研削加工を施して、切りくず排出溝4a〜4dを形成した後、その切りくず排出溝4a〜4dにギャッシュ研削加工を施して、ギャッシュ9a〜9dを形成する。
切りくず排出溝4a〜4d及びギャッシュ9a〜9dを形成した後は、逃げ面形成工程へ移行して、研削砥石で逃げ面6a〜6dを研削することで、外周刃5a〜5d、コーナR刃8a〜8d及び底刃7a〜7dをおねじ部3に形成する。
ここで、逃げ面6a〜6dの研削は、それぞれ一工程で連続して行われる。例えば、逃げ面6aの研削は、軸芯回りに回転される研削砥石の外周面を逃げ面6aとなる部位に摺接させつつ、その研削砥石を底刃7aの逃げ面6aとなる部位からコーナR刃8aの逃げ面6aとなる部位を介して外周刃5aの逃げ面6aとなる部位まで連続移動させることで行われる。
これにより、底刃7aの逃げ面6aとコーナR刃8aの逃げ面6aとの接続部分、及び、コーナR刃8aの逃げ面6aと外周刃5aの逃げ面6aとの接続部分を滑らかに連ならせて、かかる接続部分に段差が発生することを抑制することができる。
なお、他の逃げ面6b〜6dについても、逃げ面6aと同様に研削される。また、逃げ面6a〜6dを研削する際の研削砥石の移動方向は、底刃7a〜7dの軸芯O側端を始点とし、外周刃5a〜5dのシャンク側端を終点とする方向に限られず、その逆(即ち、外周刃5a〜5dのシャンク側端を始点とし、底刃7a〜7dの軸芯O側端を終点とする方向)であっても良い。
図3及び図4は、ラジアスエンドミルの逃げ面形状を測定してグラフ化した図であり、図3では本発明のラジアスエンドミル1のコーナR刃8a〜8d及び外周刃5a〜5dの逃げ面6a〜6d形状が、図4では従来のラジアスエンドミルのコーナR刃及び外周刃の逃げ面形状が、それぞれ図示されている。
なお、測定には、コーナ半径2mmのコーナR刃を有するラジアスエンドミルを使用した。図3及び図4では、縦軸と横軸との交点(原点)位置付近がコーナR刃の逃げ面と底刃の逃げ面との接続部分に対応し、横軸上の略1.5mm付近がコーナR刃の逃げ面と外周刃の逃げ面との接続部分に対応する。
また、図3及び図4では、コーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状が2点鎖線を用いて図示されている。但し、図3では、各測定点を結ぶ実線と重なるため、2点鎖線が視認されない。
上述したように、本発明のラジアスエンドミル1では、逃げ面形成工程において、逃げ面6a〜6dの研削をそれぞれ一工程で連続して行うため、図3に示すように、コーナR刃8a〜8dの逃げ面6aと外周刃5a〜5dの逃げ面との接続部分が滑らかに連なり、かかる接続部分に段差が発生することを回避することができる。
一方、従来品のラジアスエンドミルでは、逃げ面形成工程において、外周刃及び底刃の逃げ面の研削をそれぞれ別工程で行った後、コーナR刃の逃げ面の研削を更に別工程で行うため、図4に示すように、コーナR刃の逃げ面と外周刃の逃げ面との接続部分を滑らかに連ならせることができず、かかる接続部分に段差が発生している。
即ち、従来品のラジアスエンドミルでは、コーナR刃の逃げ面を研削する際、その研削砥石が外周刃(又は底刃)の逃げ面に食い込むことを回避するべく、外周刃(又は底刃)の逃げ面との接続部分近傍では研削砥石を理想逃げ面形状よりも大きな半径で移動させる。そのため、外周刃(又は底刃)の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分には、図4に示すように、外方に突出する鋭角形状の段差が発生する。
なお、図3及び図4では、コーナR刃と底刃との接続部分における逃げ面形状の図示を省略したが、かかる接続部分においても、上述と同様の結果(即ち、本発明のラジアスエンドミル1では、コーナR刃8a〜8dの逃げ面6aと底刃7a〜7dの逃げ面6aとの接続部分が滑らかに連なる一方、従来のラジアスエンドミルでは、コーナR刃の逃げ面と底刃の逃げ面との接続部分に段差が発生した)が得られた。
次いで、図5から図8を参照して、上述のように構成されたラジアスエンドミル1を用いて行った3種類の切削試験(以下、第1から第3の試験と称す。)の試験結果について説明する。
図5は、被切削物W及びラジアスエンドミル1の斜視図である。なお、図5では、ラジアスエンドミル1が模式的に図示されると共に、被切削物Wの奥行き方向及び幅方向の図示が省略されている。
第1から第3の試験は、図5に示すように、ラジアスエンドミル1で被切削物Wの切削加工(軸方向切り込み深さaa、径方向切り込み深さar)を行い、逃げ面摩耗VBと被削面Sの面粗さRzとを測定する試験である。なお、図5中には、送り方向を矢印Aで、ピック方向を矢印Bで、それぞれ図示した。
まず、第1の試験について説明する。第1の試験は、側面切削を行い、外周刃5a〜5d及び底刃7a〜7cの逃げ面6a〜6dに生じる摩耗状態(逃げ面摩耗VB)をそれぞれ測定する試験である。なお、切削距離は、送り方向(図5矢印A方向)に10.5mである。
第1の試験の詳細諸元は、被切削物W:JIS−SKD11(60HRC)、切削方法:側面切削(ダウンカット)、切削油材:不使用(エアブローによる乾式切削)、使用機械:縦型マシニングセンタ、主軸回転速度:2800回転/min、送り速度:1680mm/min(0.6mm/回転)、軸方向切り込み深さaa:12mm、径方向切り込み深さar:0.6mmであり、ラジアスエンドミル1の詳細諸元は、工具材質:超硬合金、刃数:6枚歯、外径D:12mm、コーナ半径R:3mmである。
また、第1の試験は、本発明のラジアスエンドミル1(以下、「発明品」と称す。)と、その発明品と緒元は同一であるが、発明品と逃げ面の形成方法のみが異なるラジアスエンドミル(以下、「従来品」と称す。)とを用いて行った。
なお、従来品の逃げ面の形成方法は、上述したように、外周刃及び底刃の逃げ面の研削をそれぞれ別工程で行った後、コーナR刃の逃げ面の研削を更に別工程で行う。そのため、各逃げ面の接続部分を滑らかに連ならせることができず、かかる接続部分に段差が発生している(図4参照)。
図6は、第1の試験の測定結果を示した図であり、横軸には、逃げ面摩耗VBの切削方向の最大幅を示している。
図6に示すように、外周刃の逃げ面の摩耗幅については、従来品の摩耗幅が略0.180mmであったのに対し、発明品の摩耗幅が略0.062mmであり、発明品の摩耗幅が従来品の摩耗幅の略34%まで減少することが確認された。
これは、上述したように、従来品では、外周刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分に段差が生じているため、かかる段差部分に切削負荷が集中して、摩耗が促進されたのに対し、発明品では、前記接続部が滑らかに連なっており、切削負荷の集中が抑制されたことに起因するものと考えられる。
一方、底刃の逃げ面の摩耗幅については、従来品の摩耗幅及び発明品の摩耗幅が共に略0.064mmとなり、両者の間に差異が見られなかった。これは、コーナ半径R(3mm)に対して、径方向切り込み深さar(0.6mm)が小さいという切削条件に起因したと考えられる。
次いで、第2の試験について説明する。第2の試験は、正面切削を行い、底刃7a〜7cの逃げ面6a〜6dに生じる摩耗状態(逃げ面摩耗VB)を測定する試験である。なお、切削距離は、送り方向(図5矢印A方向)に42mである。
第2の試験の詳細諸元は、被切削物W:JIS−SKD81(50HRC)、切削方法:正面切削(ダウンカット)、切削油材:不使用(エアブローによる乾式切削)、使用機械:縦型マシニングセンタ、主軸回転速度:5300回転/min、送り速度:954mm/min(0.18mm/回転)、軸方向切り込み深さaa:0.6mm、径方向切り込み深さar:3.8mmであり、ラジアスエンドミル1の詳細諸元は、工具材質:超硬合金、刃数:6枚歯、外径D:6mm、コーナ半径R:1mmである。
また、第2の試験は、上述した第1の試験の場合と同様に、本発明のラジアスエンドミル1(以下、「発明品」と称す。)と、その発明品と緒元は同一であるが、発明品と逃げ面の形成方法のみが異なるラジアスエンドミル(以下、「従来品」と称す。)とを用いて行った。
図7は、第2の試験の測定結果を示した図であり、横軸には、逃げ面摩耗VBの切削方向の最大幅を示している。
図7に示すように、第2の試験では、従来品の底刃の摩耗幅が略0.085mmであったのに対し、発明品の底刃の摩耗幅が略0.042mmであり、発明品の摩耗幅が従来品の摩耗幅の略50%まで減少することが確認された。
これは、上述した第1の試験の場合と同様に、従来品では、底刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分に段差が生じているため、かかる段差部分に切削負荷が集中して、摩耗が促進されたのに対し、発明品では、前記接続部が滑らかに連なっており、切削負荷の集中が抑制されたことに起因するものと考えられる。
次いで、第3の試験について説明する。第3の試験は、正面切削を行い、被削面Sの面粗さRzを測定する試験である。なお、被削面Sの面粗さRzの測定は、正面切削を複数回パス(合計切削距離:42m)だけ行った際の最後のラップ部分で計測した。なお、第3の試験の詳細諸元は、上述した第2の試験と同様であるので、省略する。
図8は、第3の試験の測定結果を示した図である。図8に示すように、ピック方向(図5矢印B方向)に沿って計測した面粗さRzについては、従来品が略5.6μmであったのに対し、発明品が略3.2μmであり、発明品の摩耗幅が従来品の摩耗幅の略57%まで減少することが確認された。
同様に、送り方向(図5矢印A方向)に沿って計測した面粗さRzについては、図8に示すように、従来品が略2.8μmであったのに対し、発明品が略1.9μmであり、発明品の摩耗幅が従来品の摩耗幅の略68%まで減少することが確認された。
これは、上述したように、従来品では、底刃の逃げ面とコーナR刃の逃げ面との接続部分に段差が生じているため、かかる段差部分により被削面Sに筋が形成されやすくなるのに対し、発明品では、前記接続部が滑らかに連なっており、被削面Sへの筋の形成が抑制されたことに起因するものと考えられる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
本発明の一実施の形態であるラジアスエンドミルの正面図である。 図1の矢印II方向から見たラジアスエンドミルの先端面図である。 本発明のラジアスエンドミルの逃げ面形状を測定してグラフ化した図である。 従来のラジアスエンドミルの逃げ面形状を測定してグラフ化した図である。 被切削物及びラジアスエンドミルの斜視図である。 第1の試験の測定結果を示した図である。 第2の試験の測定結果を示した図である。 第3の試験の測定結果を示した図である。
符号の説明
1 ラジアスエンドミル
2 工具本体
O 軸芯
5a〜5d 外周刃
6a〜6d 逃げ面
7a〜7d 底刃
8a〜8d コーナR刃

Claims (2)

  1. 軸芯回りに回転される工具本体と、その工具本体の先端側に設けられる底刃と、前記工具本体の外周側に設けられる外周刃と、それら外周刃と底刃とを連接して設けられるコーナR刃とを備えたラジアスエンドミルにおいて、
    前記底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面が一工程で連続して形成され、それら底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面形状と前記コーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状との間に生じる最大離間距離が1μm以下に設定されていることを特徴とするラジアスエンドミル。
  2. 軸芯回りに回転される工具本体と、その工具本体の先端側に設けられる底刃と、前記工具本体の外周側に設けられる外周刃と、それら外周刃と底刃とを連接して設けられるコーナR刃とを備えたラジアスエンドミルの製造方法において、
    前記工具本体を研磨して前記底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面を形成する逃げ面形成工程を備え、
    その逃げ面形成工程は、前記底刃から外周刃(又は前記外周刃から底刃)まで研削砥石を連続移動させ、前記底刃、コーナR刃及び外周刃の逃げ面形状と前記コーナR刃を真円と仮定した場合の理想逃げ面形状との間の最大離間距離を1μm以下に設定するものであることを特徴とするラジアスエンドミルの製造方法。
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