以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
まず、印刷装置の構成について説明する。印刷装置は、例えば、インクジェット式プリンターである。本実施形態では、比較的大型のメディア(媒体)を扱うラージフォーマットプリンター(LFP)を印刷装置の構成例として説明する。
図1は、印刷装置の構成を示す側断面図であり、図2は、印刷装置の第1形態時の構成を示す側面図である。図1に示すように、印刷装置1は、ロール・ツー・ロール方式で媒体Mを搬送する搬送装置2と、媒体Mに対して液体の一例としてのインクを吐出(噴射)して画像や文字等を記録する印刷部3と、搬送部により搬送された媒体Mを案内する搬送面が形成された搬送案内部5と、印刷部3と対向した位置に配置されたプラテン4と、を備えている。また、印刷装置1は、図2に示すように搬送案内部5を支持する支持部70を備えている。また、搬送装置2や印刷部3等を制御する制御部(図示せず)等を有している。また、媒体Mと接することで媒体Mにテンションを付与可能なテンション調整部50を備えている。そして、これらの各構成部は、略鉛直方向に配置された本体フレーム10に支持されている。また、本体フレーム10は、本体フレーム10を支持するベース部11に接続されている。なお、本実施形態では、ロール21,22を除いた搬送装置2の部分と、印刷部3と、プラテン4と、搬送案内部5と、本体フレーム10とを含む部分を装置本体8の基本的な構成として表している。
搬送装置2は、ロール状の媒体Mを搬送方向(図中の矢印方向)に送り出すロール21と、送り出された媒体Mを巻き取り可能な巻取部としてのロール(リールユニット)22とを有している。また、搬送装置2は、ロール21,22間の搬送経路において媒体Mを搬送する第1搬送ローラー対23と搬送部としての第2搬送ローラー対24とを有している。
印刷部3は、吐出領域Eにインクを吐出可能であり、媒体Mに対してインクを吐出可能な記録ヘッド(インクジェットヘッド)31と、記録ヘッド31を搭載して媒体Mの幅方向に往復移動自在なキャリッジ32と、を有している。記録ヘッド31は、複数のノズルを備え、媒体Mとの関係で選択されて浸透乾燥や蒸発乾燥を必要とするインクを吐出可能な構成となっている。そして、キャリッジ32を往復移動させながら記録ヘッド31からインクを吐出させることにより、媒体M上に画像や文字等を記録することができる。なお、印刷部3は、移動することなく媒体Mの幅方向に渡って液体を吐出可能な構成であってもよい。このとき、印刷部3は、媒体Mの幅方向に沿ってノズル列が形成された、いわゆるラインヘッドと言われる構成である。
プラテン4は、印刷部3によりインクが吐出される吐出領域Eで媒体Mを支持可能に配置されている。つまり、印刷装置1は、液体が吐出される媒体Mを吐出領域Eで支持可能なプラテン4を備えている。本実施形態では、第1搬送ローラー対23と第2搬送ローラー対24との間に配置されている。
搬送案内部5は、搬送面を有する案内部500を有し、プラテン4よりも媒体Mの搬送方向における下流側で、媒体Mを支持可能に配置されている。本実施形態では、図1に示すように、媒体Mの搬送経路において第2搬送ローラー対24とロール22との間に設けられている。さらに、搬送案内部5には、媒体Mを加熱可能なヒーター73を有している。本実施形態のヒーター73は、搬送案内部5における媒体Mを支持する面とは反対側の面(裏面)側に配置されている。ヒーター73は、例えば、チューブヒーターであり、アルミテープ等を介して、搬送案内部5の裏面に貼付されている。そして、ヒーター73を駆動させることにより、熱伝導で搬送案内部5における媒体Mを支持する搬送面が加熱され、媒体Mの裏側から媒体Mを加熱することができる。なお、プラテン4にも同様にして、プラテン4における媒体Mを支持する面とは反対側の面(裏面)側にヒーター72が配置されている。ヒーター72の構成はヒーター73の構成と同様である。
さらに、本実施形態では、プラテン4よりも媒体Mの搬送方向における上流側で媒体Mを支持可能とする上流側案内部6が配置されている。上流側案内部6は、媒体Mの搬送経路におけるロール21と第1搬送ローラー対23との間に配置されている。そして、上流側案内部6にも同様にして、上流側案内部6における媒体Mを支持する面とは反対側の面(裏面)側にヒーター71が配置されている。なお、ヒーター71の構成はヒーター73の構成と同様である。
ここで、上流側案内部6に対応するヒーター71は、印刷部3が設けられた位置よりも搬送方向上流側で媒体Mを予熱するものである。媒体Mを常温から目標温度(ヒーター72における温度)に向けて徐々に昇温させることによって、インクの着弾時からの乾燥を速やかに促す構成となっている。プラテン4に対応するヒーター72は、印刷部3の吐出領域Eにおいて媒体Mを加熱するものである。ヒーター72は、目標温度を維持した状態でインクの着弾を媒体Mに受けさせて、インクの着弾時からの乾燥を速やかに促し、インクを媒体Mに速やかに乾燥定着させ、滲みやぼやけを防止して、画質を高める構成となっている。そして、搬送案内部5に対応するヒーター73では、ヒーター71、ヒーター72による昇温よりも高い温度まで媒体Mを昇温させ、媒体Mに着弾したインクのうち未だ乾燥していないものを速やかに乾燥させる。これにより、少なくともロール22で巻き取る前に、着弾したインクを媒体Mに好適に乾燥定着させる構成となっている。なお、ヒーター71,72,73の温度設定等は、媒体Mやインクや印刷状況に合わせて適宜設定することができる。
テンション調整部50は、媒体Mに対してテンション(張力)を付与可能とするものである。本実施形態のテンション調整部50は、搬送案内部5とロール22との間において媒体Mに対してテンション(張力)を付与可能に配置されている。テンション調整部50は、一対のフレーム部54を備え、回動軸53を中心に回動可能に構成されている。また、一対のフレーム部54の一方端側にはテンションバー55が配置されている。テンションバー55は媒体Mの幅よりも幅方向に長く形成されている。そして、テンションバー55の一部が媒体Mに接触して媒体Mに対してテンションが付与される構成となっている。一方、一対のフレーム部54の他方端間には重り部52が配置されている。これにより、テンション調整部50を回動軸53中心に回動することにより、テンション調整部50の位置を変位させることができる。
次に、印刷装置の搬送案内部の変位(第1形態から第3形態)構成について説明する。図2は印刷装置の第1形態時の構成を示す側面図であり、図3から図5は印刷装置の第1形態時の一部構成を示す拡大図である。また、図6は弾性部材の構成を示す平面図であり、図7及び図8は弾性部材の構成を示す側面図である。また、図9は印刷装置の第2形態時の構成を示す側面図であり、図10は印刷装置の第2形態時における第2支持軸の状態を示す側面図である。また、図11は印刷装置の第2形態時の構成を示す側面図である。そして、図12は印刷装置の第3形態時の構成を示す側面図である。
印刷装置1では、図2及び図11に示すように、搬送案内部5が第1位置P1(搬送案内部5が展開した状態:第1形態)と第2位置P2(搬送案内部5が本体フレーム10側に折り畳まれた状態:第2形態)と、の間で変位可能に構成されている。さらに、図12に示すように、搬送案内部5が装置本体8から分離される第3形態に変位可能である。
まず、第1形態時における印刷装置1の構成について説明する。図2及び図3に示すように、印刷装置1の第1形態では、搬送案内部5が第1位置P1で保持されている。本実施形態では、搬送案内部5は媒体Mの搬送方向と交差する方向の両端部で締結部材90により締結され、第1形態を維持する。詳細には、印刷装置1は、本体フレーム10側に固定部材81によって固定された一対の支持部70を備えている。本実施形態の支持部70は、第1支持部80と第2支持部87とを備えている。そして、搬送案内部5の側面部501と第1支持部80とが締結部材90により締結されている。締結部材90は、ボルト穴とボルト91で構成されている。具体的には、一対の第1支持部80のそれぞれに二つのガイド穴85が設けられ、側面部501には、各ガイド穴85の両端部に対応する位置にボルト穴が設けられている。そして、第1支持部80のガイド穴85を介して、各ガイド穴85の両端部に対応する位置に設けられたボルト穴に対してボルト91を嵌め込む。これにより、搬送案内部5と第1支持部80とが締結され、搬送案内部5が第1位置P1で保持される。
また、一対の第2支持部87には基準溝87aが形成されている。基準溝87aは第1搬送ローラー対23の駆動軸の中心を基準とする仮想中心点cが設定された溝穴である。また、搬送案内部5の側面部501には、媒体Mの搬送方向に交差する方向に延在する第1支持軸509を備えている。そして、図4に示すように、搬送案内部5が第1位置P1において第1支持軸509が第2支持部87の基準溝87aに勘合されている。換言すれば、第1位置P1において、第1支持軸509は基準溝87aに支持される。ここで、第1支持軸509の中心点は基準溝87aの仮想中心点cと一致する。また、仮想中心点cは、第1搬送ローラー対23の駆動軸の中心を基準として設けられた点である。従って、第1支持軸509と第1搬送ローラー対23とが同一部材の第2支持部87により位置決めされる。すなわち、第1位置P1において第1搬送ローラー対23に対する搬送案内部5の位置決めが確実に行われる。これにより、第1搬送ローラー対23の軸と第1支持軸509とが平行に保たれ、媒体Mの搬送経路の長さを容易に均一に設定することができる。従って、媒体Mの捻じれや歪みが低減され、搬送不具合を防止することができる。
また、搬送案内部5の側面部501には、媒体Mの搬送方向に交差する方向に延在する第2支持軸510を備えている。当該第2支持軸510は、第1支持軸509よりも第1搬送ローラー対23から遠い位置に設けられている。換言すると、第1支持軸509は、第2支持軸510よりも第1搬送ローラー対23に近い位置に設けられている。第2支持軸510は、第2位置P2において第1支持部80に支持される軸であるが(図11参照)、図5に示すように、第1位置P1においては、第2支持軸510は第1支持部80(受け溝88)に支持されていない。
また、搬送案内部5は、第1位置P1において、媒体Mを巻き取るロール22を支持する巻取支持部110に固定されている。具体的には、図2及び図3に示すように、印刷装置1には、一対の巻取支持部110が設けられている。当該巻取支持部110は、板状を成し、搬送案内部5と締結するための基準穴111が設けられている。そして、側面部501には、基準穴111に対応する位置にボルト穴102(図9参照)が設けられている。そして、巻取支持部110の基準穴111を介して、基準穴111に対応する位置に設けられたボルト穴102に対してボルト101を嵌め込む。これにより、搬送案内部5と巻取支持部110とが締結され、搬送案内部5が第1位置P1で保持される。なお、巻取支持部110に設けられている基準穴111は、ロール22の軸を基準にして設けられた穴である。なお、本実施形態の基準穴111は、ロール22及びロール21の軸を基準にして設けられた穴である。従って、搬送案内部5の両端部に対応する基準穴111を締結部材100で締結することにより、案内部500の搬送面における媒体Mの搬送方向と交差する方向が、各ロール21,22の軸とほぼ平行に保たれる。これにより、ロール21から搬送案内部5を介してロール22に至る媒体Mの搬送経路長が一定となり、媒体Mの搬送時における捻じれや歪みを抑え、媒体Mを安定して搬送を行うことができる。
また、搬送案内部5は弾性部材120に支持されている。本実施形態の弾性部材120は、板バネである(以下、板バネ120とする)。図6及び図7に示すように、板バネ120は、略矩形で金属製の薄い板状を成している。そして、板バネ120は外力により弾性変形するとともに、復元力を有している。板バネ120には、板バネ120の本体部120aの面(平坦面)に対して略垂直方向に形成されたストッパー部121が設けられている。ストッパー部121は、薄板の翼形状を有し、板バネ120の本体部120aの長手方向の両端部に設けられている。ストッパー部121は、規制面121aを有している。また、第1支持部80にはストッパー部121が嵌まり込むことが可能な大きさの切り欠き80aが形成されており、印刷装置1が第1形態において、ストッパー部121が切り欠き80aに嵌まり込んでいる。また、ストッパー部121における規制面121aの側面視における長さは、第1支持部80の厚みと搬送案内部5の側面部501の厚みとを加算した厚みと同等の長さである。そして、ストッパー部121が切り欠き80aに嵌まり込んでいる状態において規制面121aと側面部501の端面501aとが当接し、板バネ120により搬送案内部5が支持される(図7参照)。
また、板バネ120の本体部120aのストッパー部121が配置されていない一方端部側には、本体部120aの一部が折れ曲がった折曲げ部122が形成されている。当該折曲げ部122は、例えば、作業者の手指等を掛けて押すまたは引っ張る等の作業を容易にするものであり、レバーの機能を有するものである。また、本体部120aにおける折曲げ部122が形成された方向とは反対側となる他方端部側には、板バネ120を第1支持部80に取り付けるための固定部128が設けられている。これにより、板バネ120の折曲げ部122を押し上げる等で外力を加えた場合、平板状態から固定部128を支点として本体部120aが弾性変形し、板バネ120は弓形に変形する。また、板バネ120に対して外力を開放すると、弾性力により元の状態に戻り、平板状態に復元する。
なお、本実施形態では、搬送案内部5は媒体Mの搬送方向と交差する方向の一端部で板バネ120により支持される。すなわち、一対の第1支持部80のうち、一方の第1支持部80にのみ板バネ120が設けられている。作業者の操作性を向上させるためである。
次いで、印刷装置1を第1形態から第2形態に変形する場合の構成について説明する。第1形態から第2形態への変形は、例えば、印刷装置1を搬送する際に、搬出用または搬入用の間口が狭い場合に、印刷装置1の奥行方向の長さを、より短くするために有効な手段である。
まず、締結部材90のボルト91と締結部材100のボルト101とを取り外す。この状態において、搬送案内部5は板バネ120によって支持されている。従って、ボルト91,101を取り外した直後に搬送案内部5が本体フレーム10側に移動することがないため、作業の安全性が確保される。
次いで、図8に示すように、板バネ120の折曲げ部122に外力を加え押し上げる。これにより、板バネ120は、固定部128を支点として弓形に変形し、ストッパー部121の規制面121aと側面部501の端面501aとが離間する。板バネ120の弾性変形を利用しているため、短時間かつ僅かな力によってストッパー部121を側面部501から外すことができる。そして、図9に示すように、基準溝87aから第1支持軸509が外れ、搬送案内部5の自重により、第1支持部80の受け溝88で第2支持軸510を受け、第2支持軸510を中心として搬送案内部5の媒体Mの搬送方向の下流側の端部が本体フレーム10側に回転移動する。すなわち、図10に示すように、搬送案内部5の第2支持軸510は、第1支持部80に支持され、第1位置P1から第2位置P2に変位する際の回動中心となる。そして、第2位置P2において第2支持軸510は第1支持部80に支持される。
ここで、板バネ120は第1支持部80のみに固定されている。すなわち、板バネ120は第1支持部80の他に搬送案内部5等と2つ以上の部材に固定されていない。このため、他の部材からの取り外し作業が不要となり、さらに作業効率を高めることができる。
また、本実施形態では、第1支持部80のガイド穴85に対応して締結されたボルト91のうち、各ガイド穴85において搬送面に近いボルト91のみを緩めた状態で側面部501に付けておくことで、板バネ120のストッパー部121が外された際、搬送案内部5はガイド穴85に倣って移動し、ガイド穴85の端部とボルト91とが当接することにより移動が規制される。この状態において、搬送案内部5は第2位置で維持可能となる。
また、この状態において、図11に示すように、印刷装置1の装置本体8の奥行方向の長さに関し、搬送案内部5が第1位置P1に位置するときの装置本体8の長さD1((ベース部11を除く)、図2参照)よりも搬送案内部5が第2位置P2に位置するときの装置本体8の長さD2(ベース部11を除く)の方が短くなっている。ここで、装置本体8の奥行方向とは、印刷装置1を側面方向から見た場合における、地面(印刷装置1の設置面)と水平な方向のことを言う。本実施形態においては、印刷部3のキャリッジ32の移動(走査)方向に対して直交する方向を言う。なお、必要に応じて、ロール21,22及びテンション調整部50を装置本体8から外してもよい。これにより、装置本体8の奥行方向の長さを短くすることができるとともに、重量を軽量化することができ、印刷装置1の搬送作業を効率的に行うことができる。
次いで、印刷装置1を第2形態から第3形態に変形する場合の構成について説明する。図12は、印刷装置の第3形態時の構成を示す側面図である。すなわち、第2形態から第3形態への変形は、装置本体8側から搬送案内部5を取り外すことにより行われる。印刷装置1の第3形態は、第2形態における装置本体8の奥行方向の長さを、さらに、短くするために行われるものである。これにより、さらに間口の狭い場所であっても印刷装置1を搬送することができる。
具体的には、印刷装置1の第2形態において、第1支持部80のガイド穴85と当接しているボルト91を取り外す。これにより、搬送案内部5は、搬送案内部5の第2支持軸510が第1支持部80の受け溝88によってのみ支持されている状態となる。そして、この状態で、搬送案内部5を持ち上げ、受け溝88から第2支持軸510を外し、図12に示すように、搬送案内部5を装置本体8から切り離す。この状態において、印刷装置1の装置本体8の奥行方向の長さに関し、搬送案内部5が第2位置P2に位置する印刷装置1が第2形態における装置本体8の長さD2(ベース部11を除く)、図11参照)よりも第3形態のときの装置本体8の長さD3(搬送案内部5及びベース部11を除く)の方が短くなっている。これにより、さらに、装置の搬送性を向上させることができる。なお、図12に示すように、ベース部11の奥行方向の長さD4が、上記の長さD2,D3よりも長い場合には、例えば、ベース部11を本体フレーム10から取り外すことにより、ベース部11を別途搬送することが可能となり、装置本体8の奥行方向の長さを、さらに、短くすることができる。
次に、印刷装置1を第3形態から第1形態に移行する方法について説明する。すなわち、印刷装置1を組み立てる方法について説明する。まず、印刷装置1を第3形態から第2形態に移行する方法について説明する。図13は、印刷装置の組み立て方法を示し、印刷装置を第3形態から第2形態に移行する方法を示す模式図である。
図13に示すように、装置本体8側から取り外した搬送案内部5を第1支持部80で支持させる。具体的には、搬送案内部5の第2支持軸510を第1支持部80の受け溝88に挿入する。これにより、第2支持軸510は、第1支持部80に支持されるとともに、搬送案内部5は、第2支持軸510を中心として回動可能となる。
次に、印刷装置1を第2形態から第1形態に移行する方法について説明する。図14及び図15は、印刷装置の組み立て方法を示し、印刷装置を第2形態から第1形態に移行する方法を示す模式図である。図14に示すように、印刷装置1を第2形態から第1形態に移行する場合は、第2支持軸510を中心に搬送案内部5の下方側の先端部を本体フレーム10から離れる方向に移動させる。
そうすると、搬送案内部5の第1支持軸509が第2支持部87の基準溝87aに嵌る。ここで、図15に示すように、第2支持部87の基準溝87aの周辺部は、第1支持軸509の移動方向(搬送案内部5の第1位置P1から第2位置P2へ移動する方向)に従って、突部87bと基準溝87aとで構成されている。突部87bは、搬送案内部5が第2位置P2から第1位置P1に変位する際に第1支持軸509が通る平坦部87c及び基準溝87aの底部よりも上方に突き出した凸状を成している。従って、搬送案内部5が第2位置P2から第1位置P1に変位する際に、第1支持軸509が、まず、第2支持部87の突部87b側に移動する。その後、第1支持軸509は突部87bの頂部に到達する。このとき、第1支持軸509は平坦部87cから突部87bの頂部に移動する間、重量方向とは反対方向に移動するため、搬送案内部5の移動にかかる荷重が大きくなる。その後、第1支持軸509は突部87bの頂部から基準溝87aに到達する。このとき、第1支持軸509は突部87bの頂部から基準溝87aに移動する間、重量方向に移動するため搬送案内部5の移動にかかる荷重が小さくなる。このように、第1支持軸509を基準溝87aに嵌める際、一旦荷重が大きくなった後に、荷重が小さくなるように構成されているため、作業者はクリック感を得ることができる。すなわち、印刷装置1の組み立て作業において、第1支持軸509が確実に基準溝87aに嵌ったという安心感を得ることができる。
また、第1支持部80の切り欠き80aの面と搬送案内部5の側面部501の端面501aとが一致する規定の位置で板バネ120のストッパー部121が復元力により元の形状に戻り、側面部501の端面501aとストッパー部121の規制面121aとが当接し、板バネ120により搬送案内部5が支持される。
そして、さらに、搬送案内部5の下方側の先端部を装置本体8から離れる方向に移動させ、巻取支持部110の基準穴111と側面部501のボルト穴102とを合わせる。この際、第1支持軸509が基準溝87aに支持された状態で第1支持軸509を中心として回動される。なお、この際、第2支持軸510は第1支持部80に支持されていない状態(第2支持軸510が受け溝88に対して浮いた状態)である(図5参照)。そして、基準穴111を介してボルト穴102にボルト101を嵌め込む。さらに、第1支持部80のガイド穴85に対応するボルト91を嵌め込む。これにより、搬送案内部5が第2位置P2から第1位置P1に変位し、印刷装置1が第2形態から第1形態への移行が完了する。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
搬送案内部5を第2位置P2から第1位置P1に可変する場合、第1支持軸509を中心に回動することにより第1位置P1に設定される。第1支持軸509は、基準溝87aに配置され、側面部501のボルト穴102が巻取支持部110の基準穴111に合致した状態で締結される。これにより、容易に搬送案内部5の位置合わせが行われ、作業等にかかる工数を低減することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記実施形態では、弾性部材として板バネ120を適用して説明したが、これに限定されない。弾性部材として、他にコイルバネやゴム製部材等を適宜用いてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
(変形例2)上記実施形態では、板バネ120が第1支持部80に固定したが、これに限定されない。例えば、搬送案内部5側に板バネ120を固定してもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
(変形例3)上記実施形態では、板バネ120は外観において目視可能に配置したが、板バネ120を覆うカバー部等を設置してもよい。このようにすれば、誤作動を引き起こすことを防止できる。
(変形例4)上記実施形態では、第1支持部80と第2支持部87とを別体としたが、これに限定されない。第1支持部80と第2支持部87とが一体化された構成であってもよい。このようにすれば、部材の点数を減らすことができる。
(変形例5)上記実施形態では、ヒーター73を搬送案内部5の裏面側に配置したが、この構成に限定されない。例えば、媒体Mを加熱可能なヒーターを搬送案内部5の搬送面と対向する位置に配置した構成であってもよい。これにより、媒体Mに対して印刷部3によってインクが塗布された媒体Mの面側から加熱することができる。また、ヒーター73を搬送案内部5の裏面側と搬送案内部5の搬送面と対向する位置との両方に設けてもよい。このようにすれば、効率よく媒体Mに塗布されたインクを乾燥させることができる。
(変形例6)搬送案内部5の搬送面と対向する位置に気流を発生するファン装置を配置してもよい。このようにすれば、媒体Mをヒーター73によって乾燥する際に発生するインクの溶媒の蒸気を除去し、インクを効率良く乾燥させることができる。
(変形例7)上記実施形態では、搬送案内部5を板バネ120の支持から解除する場合、折曲げ部122に外力を加えてストッパー部121の規制面121aと側面部501の端面501aとを離間させたが、この方法に限定されない。例えば、搬送案内部5の搬送面を本体フレーム10側に押してもよい。図16は、弾性部材の構成を示す側面図であり、搬送案内部5の搬送面を本体フレーム10側に押した際の板バネ120の状態を示している。搬送案内部5の搬送面を本体フレーム10側に押すと板バネ120のストッパー部121に外力がかかり、固定部128を支点として、板バネ120が第1支持部80側とは反対側(図16において上方)に凸形に変形する。そして、さらに、搬送案内部5の搬送面を本体フレーム10側に押すと、さらに板バネ120が凸状に変形し、最終的には、ストッパー部121の規制面121aと側面部501の端面501aとを離間させることができる。
(変形例8)上記実施形態では、第2支持部87の基準溝87aは第1搬送ローラー対23の駆動軸の中心を基準とする仮想中心点cが設定された溝穴であるとしたが、この構成に限定されない。例えば、第2支持部87の基準溝87aが第2搬送ローラー対24の駆動軸の中心を基準とする仮想中心点cが設定された溝穴であってもよい。このようにしても、第2搬送ローラー対24の軸と第1支持軸509とが平行に保たれ、媒体Mの搬送経路の長さを容易に均一に設定することができる。従って、媒体Mの捻じれや歪みが低減され、搬送不具合を防止することができる。
(変形例9)印刷装置1として、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置を採用してもよい。例えば、微小量の液滴を吐出させる記録ヘッド等を備える各種の記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体吐出装置が吐出(噴射)させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。また、記録媒体としては、塩化ビニル系フィルム等のプラスチックフィルム以外に、薄く熱伸びする機能紙、布や織物といったテキスタイル、基板や金属板などを包含するものとする。