例えば、本書またはその他において特定されているか否かにかかわらず先行技術の1つ又は複数の問題を防止しまたは緩和するトポグラフィ測定システムを提供することが望まれうる。
ある態様によると、基板のトポグラフィを決定するための測定システムであって、放射ビームを発生させるように構成された放射ソースであって、放射を提供する発光ダイオードを備える放射ソースと、放射ビームにパターンを与えるように構成された第1パターニングデバイスと、第1パターニングデバイスの像を基板上で目標位置に形成するように構成された光学系と、目標位置が基板に対して移動するように基板を第1パターニングデバイスの像に対して移動させるように動作可能な移動機構と、基板の目標位置から反射された放射を受け、第1の像の像をグレーティングに形成するように構成された検出光学系と、グレーティングを透過した放射を受け、出力信号を生成するように構成された検出器と、を備える測定システムが提供される。発光ダイオードによって提供される放射は、主として紫外放射から成ってもよい。発光ダイオードによって提供される放射は、主として可視放射から成ってもよい。発光ダイオードによって提供される放射は、紫外放射、可視放射、またはその両方を備えてもよい。
この態様に係る測定システムは、例えば、1つ又は複数の利点を有しうる。それとともに又はそれに代えて、紫外放射を使用することにより、測定システムは、可視放射及び/または赤外放射よりも良好な測定性能を提供しうる。また、紫外発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)は、ガス放電ランプ(例えばキセノンプラズマソース)などの他の公知のUV放射ソースよりも1つ又は複数の利点を有する。とくに、LEDは、寿命に顕著に影響なくオンオフを高速かつ容易に切り替えられ、複雑なシャッタ構成の必要性を回避しうる。また、発光ダイオードは、より複雑なガス放電ソースよりも典型的に安価であり、より広く入手可能である。
放射ソースは、複数の発光ダイオードを備えてもよい。複数の発光ダイオードのうち少なくとも2つの発光ダイオードが異なる波長スペクトルを有してもよい。
こうした構成は、広帯域の紫外ソースを発光ダイオードから形成することを可能にする。有利には、こうした構成は、波長スペクトルを要件に適合させることができるように広帯域の紫外ソースを形成することを可能にする。また、複数の発光ダイオードの相対強度を変化させることによって、放射ソースのスペクトルを調整することもできる。
複数の発光ダイオードの各々は異なる波長スペクトルを有してもよいと理解されよう。あるいは、複数の発光ダイオードのうち少なくとも2つの発光ダイオードが同一または類似の波長スペクトルを有してもよい。実質的に同じスペクトルをもつ2つ以上の発光ダイオードの各々は、(a)放射ソースにいくらかの冗長性を可能とし、及び/または、(b)各波長成分について出力強度またはパワーの動作範囲を広げることを可能とし、及び/または、(c)実質的に同じ発光ダイオードの各々をより低い強度で動作させ、発光ダイオードの寿命を長くすることを可能としうる。一つの実施の形態においては、放射ソースは、例えば、それぞれ265nm、280nm、300nm、320nm、340nmの中心波長をもつ5個の発光ダイオードを備えてもよい。他の中心波長を有する発光ダイオードが第1放射ソースにおいて使用されてもよく、そうした中心波長は例えば、約405nm、約470nm、約515nm、約612nm、約782nm、及び/または約880nmである。約405nmの波長を有する放射はふつう、紫色として認識され、約470nmの波長を有する放射はふつう、青色として認識される。そのため、約405nmの中心波長を有する発光ダイオードは通例、紫色発光ダイオードと称される。あるいは、紫色発光ダイオードは、近紫外発光ダイオードとも称される。約470nmの中心波長を有する発光ダイオードは通例、青色発光ダイオードと称される。これを更に進めると、515nmの波長を有する放射はふつう青緑色として認識され、612nmの波長を有する放射はふつう橙色として認識され、782nmの波長を有する放射は赤外域にある。
放射ソースは、複数の発光ダイオードのうち1つまたは複数の発光ダイオードの相対強度を制御するように構成された調整機構をさらに備えてもよい。
測定システムは、各々が複数の発光ダイオードのうち異なる1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号を生成するように構成され、各発光ダイオードの出力強度またはパワーがコントローラから受け取る制御信号に依存するコントローラをさらに備えてもよい。
したがって、制御信号は、発光ダイオードの駆動信号として働く。一つの実施の形態においては、制御信号は、対応する発光ダイオードを、例えばその発光ダイオードが放射ビームを発する「オン」状態と、例えばその発光ダイオードが放射ビームを生成しない「オフ」状態とに切り替えるように働きうる。それとともに又はそれに代えて、制御信号は、発光ダイオードの各々の出力強度またはパワーをある強度範囲において制御してもよい。
放射ソースは、複数の異なる動作モードを有してもよく、放射ビームのスペクトル強度分布は、放射ソースの選択された動作モードに依存する。こうした構成は、異なるスペクトル強度を有する放射ビームを一つの目的に用いるべく測定システムを複数の異なる目的で使用することを可能としうる。
コントローラは、複数の動作モードの各々について複数の制御信号の異なるセットを生成するように動作可能であってもよい。すなわち、異なる動作モードの各々において、コントローラは、各々が複数の発光ダイオードのうち異なる1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号を生成するように動作可能であってもよい。各動作モードにおいて、複数の制御信号の異なるセットが生成されうる。すなわち、2つの動作モードからなる各組について、複数の発光ダイオードのうち1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号の少なくとも1つがそれら2つの動作モードにおいて異なっていてもよい。このようにして、放射ビームのスペクトル強度分布は、コントローラの選択された動作モードに依存する。
放射ソースは、第1動作モードおよび第2動作モードを有し、第1動作モードにおいては放射ビームが第1スペクトル範囲の放射を備え、第2動作モードにおいては放射ビームが第2スペクトル範囲の放射を備え、第2スペクトル範囲は第1スペクトル範囲の部分的な範囲であってもよい。こうした構成は、測定システムの性能を向上させうるより広いスペクトル範囲を有する第1動作モードと、レジストで被覆された基板の測定システムによる事前露光のリスクを低減しうるより小さいスペクトル範囲を有する第2動作モードの両方を提供する。
それとともに又はそれに代えて、放射ソースは、第1動作モードおよび第2動作モードを有し、第1動作モードにおいては放射ビームが第1スペクトル強度分布を有し、第2動作モードにおいては放射ビームが第2スペクトル強度分布を有し、第2スペクトル強度分布は第1スペクトル強度分布の低い波長部分において第1スペクトル強度分布に対して低減されていてもよい。こうした構成は、測定システムの性能を向上させうる第1スペクトル強度分布を有する第1動作モードと、レジストで被覆された基板の測定システムによる事前露光のリスクを低減しうる第2スペクトル強度分布を有する第2動作モードの両方を提供する。
第2動作モードにおいては、最も短い中心波長をもつ複数の発光ダイオードのうち1つ又は複数の発光ダイオードは、第1動作モードに対して低減された強度を有する。
測定システムは、放射ビームの波長スペクトルの1つ又は複数の特性を決定するように構成されたスペクトル検出器であって、少なくとも1つの検出素子を備えるスペクトル検出器をさらに備えてもよい。
少なくとも1つの検出素子は、フォトダイオードを備えてもよい。
少なくとも1つの検出素子は、検出器によって提供されてもよい。すなわち、測定システムの検出器は、放射ビームの波長スペクトルの1つ又は複数の特性を決定するように使用されてもよい。こうしたある実施の形態では、放射ビームの波長スペクトルの1つ又は複数の特性の測定は望ましくは、一定または既知の表面を有する参照基板を使用して行われる。放射ビームの波長スペクトルの1つ又は複数の特性の測定中、参照基板は静止状態とされてもよい。
それとともに又はそれに代えて、少なくとも1つの検出素子は、検出器から分離されていてもよい。こうしたある実施の形態では、スペクトル検出器は、放射ビームの一部分を少なくとも1つの検出素子へと方向変更するように配設されたビームスプリッタを備えてもよい。ここで、「ビームスプリッタ」との用語は、放射ビームの一部分を少なくとも1つの検出素子へと方向変更するように配設された任意の光学系を含むように意図されているものと理解されたい。放射ビームの他の一部分は、測定システムの主光路に沿って引き続き進む。この光路は、放射ソースから検出器へと延びていてもよい。よって、「ビームスプリッタ」との用語は、例えば、既存のビームスプリッタ、または回折格子を含みうる。ある実施の形態においては、「ビームスプリッタ」との用語は、そうでなければ光路から失われたであろう、例えば追加の光学系によって収集されるいくらかの迷放射を生成し、少なくとも1つの検出素子に向ける光学素子を含んでもよい。ビームスプリッタは、直接に、または1つ又は複数の追加の光学素子を介して間接に、放射ビームの一部分を少なくとも1つの検出素子へと方向付けうる。ビームスプリッタは、測定システムにおいて任意の適当な位置、例えば放射ソースと検出器との間の任意の位置に配置されうる。
スペクトル検出器は、受ける放射ビームの一部分を複数の構成スペクトル成分へと分離するように配設された分離光学系と、各々が複数の構成スペクトル成分のうち異なる1つの構成スペクトル成分のパワーまたは強度を決定するように動作可能な複数の検出素子と、を備えてもよい。
分離光学系は、プリズムなどの分散光学素子を備えてもよい。複数の構成スペクトル成分の各々は、異なる1つの発光ダイオードを起源とする放射ビームの成分に相当してもよい。
スペクトル検出器は、放射ビームの波長スペクトルの特性を表す1つ又は複数の信号を出力するように動作可能であってもよい。例えば、少なくとも1つの検出素子の各々は、分離光学系から受ける放射ビームの強度またはパワーを表す信号を出力するように動作可能であってもよい。少なくとも1つの検出素子によって受け取られる放射ビームの強度またはパワーは、放射ビームの波長スペクトルの特性に関連する情報を含む。
スペクトル検出器によって出力される1つ又は複数の信号またはその各々は、コントローラによって受信されてもよい。制御信号は、スペクトル検出器によって出力される1つ又は複数の信号に依存してコントローラによって生成されてもよい。
このようにして、測定システムは、例えば放射ビームの波長スペクトルを安定化させるために、使用されることのできるフィードバック制御ループを備える。
コントローラは、発光ダイオードの各々がパルス化されるように複数の発光ダイオードの出力を制御するように動作可能であってもよい。
発光ダイオードの各々は、発光ダイオードからのパルスが、異なる波長スペクトルを有する発光ダイオードのパルスとは位相を不一致とするように、パルス化されてもよい。このようにして、放射ソースの出力は、複数の異なる波長を循環する複数のパルスを生成してもよい。したがって、この波長切替は、放射ビームの波長変調を提供する。
検出器は、各パルスを時間的に分解可能であってもよい。これにより、各々が異なる波長(すなわち、異なる発光ダイオードからの)を使用して決定される複数の高さマップを、単一の測定シーケンスから(すなわち、測定システムの下方での基板の一回のスキャン中に)決定することができる。
放射ソースは、複数の発光ダイオードの各々から放射を受け、複数の発光ダイオードの各々からの放射が空間的に重なって放射ビームを形成するように結合するように配設された結合光学系をさらに備えてもよい。
結合光学系は、2つの入力放射ビームを受け、2つの入力放射ビームの各々の一部分を備える少なくとも1つの放射ビームを出力するように配設された1つまたは複数のダイクロイックミラーを備えてもよい。
結合光学系は、概ね一様な波長スペクトルの空間分布を第1パターニングデバイス上に提供する、結合された放射ビームを生成するように動作可能であってもよい。すなわち、第1パターニングデバイス上の異なる空間位置の各々は、実質的に同じ波長スペクトルをもつ放射を受ける。波長スペクトルは、任意の適切な形式を有しうる。
放射ビームは、第1パターニングデバイスを概ね一様に照明してもよい。
放射ビームは、第1パターニングデバイスを概ね一様な角度分布で照明してもよい。
測定システムは、放射ビームを第1パターニングデバイスへと透過させるように配設された透過光学系をさらに備えてもよい。透過光学系は、光ファイバのアレイを備えてもよい。透過光学系は、例えば1つ又は複数のミラー及び/または1つ又は複数のレンズなどの1つ又は複数の追加の光学素子を備えてもよいものと理解されたい。
放射ビームは、200nm〜425nmの範囲の紫外放射を備えてもよい。例えば、放射ビームは、225nm〜400nmの範囲の紫外放射を備えてもよい。例えば、放射ビームは、225nm〜350nmの範囲の紫外放射を備えてもよい。それに加えて又はそれに代えて、放射ビームは、可視放射及び/または350nmから1000nmの範囲内の放射を備えてもよい。
測定システムは、出力信号に依存して基板の高さを決定するように構成されたプロセッサをさらに備えてもよい。
更なる態様によると、複数の本書に説明される測定システムを備える測定装置が提供される。
複数の測定システムは、共通の放射ソースを共有してもよい。
更なる態様によると、本書に説明される測定システムにおける使用のための放射ソースであって、各々が異なる波長スペクトルを有する複数の発光ダイオードと、複数の発光ダイオードの各々から放射を受け、複数の発光ダイオードの各々からの放射が空間的に重なって放射ビームを形成するように結合するように配設された結合光学系と、各々が複数の発光ダイオードのうち異なる1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号を生成するように構成されたコントローラであって、各発光ダイオードの出力強度またはパワーがコントローラから受け取る制御信号に依存するコントローラと、を備える放射ソースが提供される。
こうした構成は、広帯域の紫外ソースを発光ダイオードから形成することを可能にする。有利には、こうした構成は、コントローラによって生成される制御信号を適切に選択することによって波長スペクトルを要件に適合させることができるように広帯域の紫外ソースを形成することを可能にする。また、複数の発光ダイオードの相対強度を変化させることによって、放射ソースのスペクトルを調整することもできる。
放射ソースは、適切とされる場合、測定システムの任意の特徴を備えてもよい。
放射ソースは、放射ビームの波長スペクトルの1つ又は複数の特性を決定するように動作可能なスペクトル検出器をさらに備えてもよい。
スペクトル検出器は、少なくとも1つの検出素子を備えてもよい。
スペクトル検出器は、放射ビームの一部分を少なくとも1つの検出素子へと方向変更するビームスプリッタを備えてもよい。
スペクトル検出器は、受ける放射ビームの一部分を複数の構成スペクトル成分へと分離するように配設された分離光学系と、各々が複数の構成スペクトル成分のうち異なる1つの構成スペクトル成分のパワーまたは強度を決定するように動作可能な複数の検出素子と、を備えてもよい。
スペクトル検出器は、放射ビームの波長スペクトルの特性を表す1つ又は複数の信号を出力するように動作可能であってもよい。
スペクトル検出器によって出力される信号又はその各々は、コントローラによって受信され、それに依存してコントローラによって制御信号が生成されてもよい。
コントローラは、発光ダイオードの各々がパルス化されるように複数の発光ダイオードの出力を制御するように動作可能であってもよい。
発光ダイオードは、1つ又は複数の発光ダイオードの各々からのパルスが、1つ又は複数の他の発光ダイオードとは位相を不一致とするように、パルス化されてもよい。
放射ソースは、複数の異なる動作モードを有してもよく、放射ビームのスペクトル強度分布は、放射ソースの選択された動作モードに依存する。こうした構成は、異なるスペクトル強度を有する放射ビームを一つの目的に用いるべく測定システムを複数の異なる目的で使用することを可能としうる。
コントローラは、複数の動作モードの各々について複数の制御信号の異なるセットを生成するように動作可能であってもよい。すなわち、異なる動作モードの各々において、コントローラは、各々が複数の発光ダイオードのうち異なる1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号を生成するように動作可能であってもよい。各動作モードにおいて、複数の制御信号の異なるセットが生成されうる。すなわち、2つの動作モードからなる各組について、複数の発光ダイオードのうち1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号の少なくとも1つがそれら2つの動作モードにおいて異なっている。このようにして、放射ビームのスペクトル強度分布は、コントローラの選択された動作モードに依存する。
放射ソースは、第1動作モードおよび第2動作モードを有し、第1動作モードにおいては放射ビームが第1スペクトル範囲の放射を備え、第2動作モードにおいては放射ビームが第2スペクトル範囲の放射を備え、第2スペクトル範囲は第1スペクトル範囲の部分的な範囲であってもよい。こうした構成は、測定システムの性能を向上させうるより広いスペクトル範囲を有する第1動作モードと、レジストで被覆された基板の測定システムによる事前露光のリスクを低減しうるより小さいスペクトル範囲を有する第2動作モードの両方を提供する。
放射ソースは、第1動作モードおよび第2動作モードを有し、第1動作モードにおいては放射ビームが第1スペクトル強度分布を有し、第2動作モードにおいては放射ビームが第2スペクトル強度分布を有し、第2スペクトル強度分布は第1スペクトル強度分布の低い波長部分において第1スペクトル強度分布に対して低減されていてもよい。こうした構成は、測定システムの性能を向上させうる第1スペクトル強度分布を有する第1動作モードと、レジストで被覆された基板の測定システムによる事前露光のリスクを低減しうる第2スペクトル強度分布を有する第2動作モードの両方を提供する。
第2動作モードにおいては、最も短い中心波長をもつ複数の発光ダイオードのうち1つ又は複数の発光ダイオードは、第1動作モードに対して低減された強度を有してもよい。
ある態様によると、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するように構築された支持部と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板の目標部分に投影するように構成された投影システムと、本書に説明される測定システム、または本書に説明される測定装置と、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
異なる態様および特徴が組み合わされてもよい。所与の態様の特徴が1つ又は複数の他の態様または特徴と組み合わされてもよい。
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に具体的に言及しているが、本書に説明されたリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造など他の用途を有してもよいものと理解されたい。当業者であればこうした他の用途の文脈において、本書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」との用語の使用がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされうると認識されよう。本書に言及される基板は、露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、またはメトロロジツール、またはインスペクションツールにおいて処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを生成するために複数回処理されてもよく、その場合には本書における基板という用語は処理済みの多数の層を既に含む基板をも意味しうる。
本書に使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)及び極紫外(EUV)放射(例えば5〜20nmの範囲の波長を有する)含むあらゆる種類の電磁放射、さらにはイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを包含する。
本書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板の目標部分にパターンを生成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用可能なデバイスを指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンが基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよいことに留意すべきである。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、目標部分に生成される集積回路などのデバイスにおける特定の機能層に対応する。
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィの分野で周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッドマスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを種々の方向に反射するように個別に傾斜可能であり、それにより反射されたビームにパターンが付与されるというものがある。
支持構造は、パターニングデバイスを保持する。それは、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の設計、あるいは、例えばパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否か等その他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。支持部は、機械的固定、真空固定、または、真空条件下での静電固定など他の固定技術を用いうる。支持構造は例えばフレームまたはテーブルであってよく、固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよく、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。本書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされうる。
本書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光放射に応じて、あるいは液浸液の使用または真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされる、屈折光学系、反射光学系、および反射屈折光学系を含む各種の形式の投影システムを包含するよう広く解釈されるべきである。本書では「投影レンズ」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「投影システム」に同義であるとみなされうる。
本書で使用される「照明システム」という用語は、放射の方向や形状の調整、または放射の制御のために、屈折光学素子、反射光学素子、および反射屈折光学素子を含む各種の光学素子を包含しうるものであり、こうした構成要素は以下、総称または単独で「レンズ」と称されうる。
リソグラフィ装置は、基板が例えば水などの比較的高い屈折率を有する液体で投影システムの最終素子と基板との間の空間を満たすように浸される形式のものであってもよい。液浸技術は投影システムの開口数を増大させるために関連技術において周知である。
図1Aは、ある特定の実施の形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す。本装置は、
− 放射ビームPB(例えば、UV放射、またはDUV放射)を調整するよう構成されている照明システム(イルミネータ)ILと、
− フレームMFと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持する支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 各々が基板(例えば、レジストで被覆されたウェーハ)W1、W2をそれぞれ保持するための2つの基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT1、WT2と、
− パターニングデバイスMAにより放射ビームPBに付与されたパターンを2つの基板テーブルWT1、WT2の一方により保持された基板Wの(例えば1つ以上のダイを含む)目標部分Cに結像するよう構成されている投影システム(例えば、屈折投影レンズ)PLと、を備える。
フレームMFは、振動などの外部影響から実質的に絶縁された振動絶縁フレームである。例えば、フレームMFは、地面上のベースフレーム(図示せず)によって1つ又は複数の音響減衰マウント(図示せず)を介して支持されてもよく、それにより、ベースフレームの振動からフレームMFが絶縁される。1つ又は複数の音響減衰マウントは、ベースフレーム及び/または絶縁フレームMFそれ自体によって導入される振動を絶縁するように能動的に制御されてもよい。
図1Aに示されるデュアルステージリソグラフィ装置においては、アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMSが左側に設けられ、投影システムPLが右側に設けられている。投影システムPL、アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMSは、絶縁フレームMFに接続されている。
支持構造MTは、第1位置決め装置PMを介してフレームMFに移動可能に搭載されている。第1位置決め装置PMは、パターニングデバイスMAを移動させ、これをフレームMF(およびフレームMFに接続されている投影システムPL)に対して正確に位置決めするために使用されてもよい。
基板テーブルWT1、WT2はそれぞれ、第1および第2基板位置決め装置PW1、PW2を介してフレームMFに移動可能に搭載されている。第1および第2基板位置決め装置PW1、PW2はそれぞれ、基板テーブルWT1、WT2により保持された基板W1、W2を移動させ、基板W1、W2をフレームMF(およびフレームMFに接続されている投影システムPL、アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMS)に対して正確に位置決めするために使用されてもよい。支持構造MTおよび基板テーブルWT1、WT2は物体テーブルと総称されてもよい。第1および第2基板位置決め装置PW1、PW2はそれぞれ、放射ビームが基板Wの目標部分Cを走査するように走査経路に沿って基板テーブルWT1、WT2を放射ビームに対して移動させるように動作可能な走査機構とみなされうる。ある実施の形態においては、テーブルWT1、WT2の一方は、基板を保持しなくてもよく、それに代えて、他方のテーブルWT1、WT2上の基板の例えば露光またはアンローディングと並行して例えば測定、洗浄のために使用されてもよい。
よって、図1Aに示されるリソグラフィ装置は、2つの基板テーブルWT1、WT2を有する形式であり、デュアルステージ装置とも称されうる。こうした多重ステージ型の装置においては、2つの基板テーブルWT1、WT2は並行して使用され、一方の基板テーブルが露光のために使用されている間に他方のテーブルで準備工程が実行される。
図1Aにおいては、基板テーブルWT1は左側に配置され、基板テーブルWT2は右側に配置されている。この構成においては、基板テーブルWT1は、そこに保持される基板W1の露光に先行してアライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMS(詳細は後述される)を使用して基板W1に関して各種の準備工程を実行するために使用されることができる。同時に、基板テーブルWT2は、基板テーブルWT2により保持された他の基板W2の露光のために使用されることができる。基板テーブルWT2により保持された基板W2が露光され、基板テーブルWT1により保持された基板W1に関して準備工程が実行されると、2つの基板テーブルWT1、WT2の交換が行われる。続いて、基板テーブルWT1により保持された基板W1が放射で露光され、基板テーブルWT2により保持され先に放射で露光された基板W2が新たな基板と交換され、その新たな基板に関して各種の準備工程が実行される。
したがって、2つの基板テーブルWT1、WT2の各々は図1Aの左側または右側のいずれかに配置されることができる。そうではないと述べない限り、以下では、基板テーブルWT1とは概してその時点で左側に配置された基板テーブルを指し、基板テーブルWT2とは概してその時点で右側に配置された基板テーブルを指すものとする。
図1Bは、図1Aの2つの基板W1、W2のいずれかを表しうる基板Wの平面図を示す。そうではないと述べない限り、以下では、リソグラフィ装置の左側および右側にある両方の基板を、基板Wという。図1Cは、パターニングデバイスアライメントマーク(箱M1、M2として概略的に示す)が設けられたパターニングデバイスMAの平面図を示す。
図示されるように、本装置は、(例えば透過型マスクを用いる)透過型である。これに代えて、本装置は、(例えば、上述の形式のプログラマブルミラーアレイを用いる)反射型であってもよい。
イルミネータILは放射ソースSOから放射ビームを受ける。例えばソースSOがエキシマレーザである場合には、ソースSOとリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、ソースSOはリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは、例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを備えるビーム搬送系BDを介してソースSOからイルミネータILへと受け渡される。ソースが例えば水銀ランプである他の場合においては、ソースは本装置に一体の部分であってもよい。イルミネータILは放射システムと称されてもよい。あるいは、ソースSOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されてもよい。
イルミネータILは、ビームの強度分布を変更しうる。イルミネータは、イルミネータILの瞳面における環状領域内で強度分布が非ゼロとなるように放射ビームの径方向範囲を制限するように構成されていてもよい。それに加えてまたはそれに代えて、イルミネータILは、瞳面において複数の等間隔に配置された扇形において強度分布が非ゼロとなるように瞳面におけるビームの分布を制限するように動作可能であってもよい。イルミネータILの瞳面における放射ビームの強度分布は、照明モードとも称されうる。
イルミネータILは、ビームの強度分布を調整するように構成されたアジャスタAMを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも径方向外側及び/又は内側の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ-outer)」、「シグマ−インナ(σ-inner)」と呼ばれる)を調整することができる。イルミネータILは、イルミネータの瞳面におけるビームの角度分布を変化させるように動作可能であってもよい。例えば、イルミネータILは、強度分布が非ゼロである瞳面における扇形の数および角度範囲を変更するように動作可能であってもよい。イルミネータの瞳面におけるビームの強度分布を調整することによって、様々な照明モードが実現されうる。例えば、イルミネータILの瞳面における強度分布の径方向範囲および角度範囲を制限することによって、強度分布は、例えば双極、四極または六極分布など公知の多極分布を有しうる。所望の照明モードは、その照明モードをイルミネータILに提供する光学系を挿入することによって得られてもよい。
イルミネータILは、ビームの偏光を変更するように動作可能であってもよく、調整手段AMを使用して偏光を調整するように動作可能であってもよい。イルミネータILの瞳面を横切る放射ビームの偏光状態は、偏光モードとも称されうる。様々な偏光モードを使用することによって、より大きいコントラストを基板Wに形成される像に実現することが許容されうる。放射ビームは、非偏光であってもよい。あるいは、イルミネータILは、放射ビームを直線偏光とするように構成されていてもよい。放射ビームの偏光方向は、イルミネータILの瞳面にわたって変化していてもよく、すなわち、イルミネータILの瞳面において領域が異なれば放射の偏光方向が異なっていてもよい。放射の偏光状態は、照明モードに依存して選択されてもよい。
加えて、イルミネータILは一般に、インテグレータINおよびコンデンサCO等その他の各種構成要素を備える。イルミネータILは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を有するように調整された放射ビームPBを提供する。
調整された放射ビームPBの形状および(空間的)強度分布は、イルミネータILの光学系によって定められる。スキャンモードにおいては、調整された放射ビームPBは、パターニングデバイスMA上に概ね矩形の放射の帯を形成するようになっていてもよい。放射の帯は、露光スリット(またはスリット)と称されてもよい。スリットは、より長い寸法(スリットの長さと称されうる)と、より短い寸法(スリットの幅と称されうる)とを有してもよい。スリットの幅は走査方向(図1におけるy方向)に相当し、スリットの長さは非走査方向(図1におけるx方向)に相当してもよい。スキャンモードにおいては、スリットの長さは、単一の動的露光において露光可能な目標部分Cの非走査方向の大きさを制限する。対照的に、単一の動的露光において露光可能な目標部分Cの走査方向の大きさは、スキャン動作の長さによって決定される。
「スリット」、「露光スリット」、または「放射の帯」との用語は、リソグラフィ装置の光軸に垂直な平面においてイルミネータILによって生成される放射の帯を指すために交換可能に使用されてもよい。この平面は、パターニングデバイスMAまたは基板Wのいずれかに、またはその近傍にあってもよい。「スリットプロファイル」、「放射ビームのプロファイル」、「強度プロファイル」、および「プロファイル」との用語は、スリットの、とくに走査方向における(空間的)強度分布の形状を指すために交換可能に使用されてもよい。
ある実施の形態においては、イルミネータILは、2つのマスキングブレード(図1AにおいてBとして概略的に示される)を備える。2つのマスキングブレードの各々は、スリットの長さに概ね平行であり、2つのマスキングブレードは、スリットに対して反対側に配置されている。各マスキングブレードは、放射ビームPBの経路に配置されない後退位置と放射ビームPBを遮蔽する挿入位置との間で独立に移動可能である。マスキングブレードは、イルミネータILのフィールド面に配置されている。したがって、マスキングブレードを放射ビームの経路へと移動させることによって、放射ビームPBのプロファイルは鮮明に切り取られることができ、走査方向における放射ビームPBのフィールドの大きさが制限される。マスキングブレードは、露光領域のうちどの部分が放射を受けるのかを制御するために使用されることができる。
パターニングデバイスMAもリソグラフィ装置のフィールド面に配置されている。一つの実施の形態においては、マスキングブレードは、マスキングブレードとパターニングデバイスMAが実質的に同じ平面に位置するようにパターニングデバイスMAに隣接して配置されていてもよい。あるいは、マスキングブレードは、リソグラフィ装置の異なるフィールド面に位置するようにパターニングデバイスMAから離れていてもよく、適当な集束光学系(図示せず)がマスキングブレードとパターニングデバイスMAとの間に設けられていてもよい。
イルミネータILは、強度アジャスタIA(図1Aに概略的に示される)を備える。強度アジャスタIAは、以下に述べるように、放射ビームの向かい合う両側で放射ビームを弱めるように動作可能である。強度アジャスタIAは、組をなすように配設された複数の可動フィンガーを備え、各組がスリットの各側に一つのフィンガーを備える(すなわち、各組のフィンガーはy方向に離れている)。フィンガーの組は、スリットの長さに沿って配設されている(すなわちx方向に延在する)。各可動フィンガーは、走査方向(y方向)に独立に移動可能である。すなわち、フィンガーは、スリットの長さに垂直な方向に移動可能である。使用において、各可動フィンガーは、走査方向に独立に移動可能である。例えば、各可動フィンガーは、少なくとも放射ビームの経路に配置されない後退位置と放射ビームを部分的に遮蔽する挿入位置との間で移動可能であってもよい。フィンガーを移動させることによって、スリットの形状及び/または強度分布を調整することができる。
フィールドは、フィンガーが放射ビームPBを鮮明に切り取らないように、フィンガーの半影にあってもよい。フィンガーの組は、放射ビームPBの異なる減衰レベルを与えるように使用されてもよい。フィンガーは、例えば、スリットの幅にわたって放射ビームPBの強度プロファイルの全体がスリットの長さに沿って実質的に一定であることを保証するために使用されてもよい。
イルミネータILを出射した放射ビームPBは、支持構造MTに保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。パターニングデバイスMAを横切って、ビームPBは、基板Wの目標部分Cにビームを合焦する投影システムPLを通過する。第2基板位置決め装置PW2と位置センサIF(例えば、干渉計装置)により、例えばビームPBの経路に異なる目標部分Cを位置決めするように、基板テーブルWT2をフレームMFに対して正確に移動させることができる。同様に、第1位置決め装置PMと別の位置センサ(図1Aには明示されていない)は、例えばマスクライブラリからの機械的な検索後または走査中に、パターニングデバイスMAをフレームMFに対して正確に位置決めするために使用することができる。一般に物体テーブルMT、WT1、WT2の移動は、位置決め装置PM、PW1、PW2の一部を構成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。パターニングデバイスMAと基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせされてもよい。
投影システムPLは、ある縮小率を放射ビームPBに適用して、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャをもつ像を形成しうる。例えば、4の縮小率が適用されてもよい。
スキャンモードにおいては、第1位置決め装置PMは、イルミネータILによって調整された放射ビームPBに対して走査経路に沿って支持構造MTを移動させるように動作可能である。ある実施の形態においては、支持構造MTは、走査方向に一定スキャン速度vMTで直線的に移動させられる。上述のように、スリットの配置方向は、その幅が走査方向(図1のy方向に一致する)に延びるようになっている。スリットによって照明されるパターニングデバイスMA上の各点はどの時点でも、基板Wの平面における1つの共役点へと投影システムPLによって結像される。支持構造MTが走査方向に移動すると、パターニングデバイスMA上のパターンがスリットの幅にわたって支持構造MTと同じ速さで移動する。とくに、パターニングデバイスMA上の各点は、走査方向に速度vMTでスリットの幅にわたって移動する。この支持構造MTの移動の結果、パターニングデバイスMAの各点に対応する基板Wの平面における共役点は、基板テーブルWT2の平面においてスリットに対して移動する。
パターニングデバイスMAの像を基板Wに形成するために、基板テーブルWT2は、パターニングデバイスMAの各点の基板Wの平面における共役点が基板Wに対して静止しているように、移動させられる。投影システムPLに対する基板テーブルWT2の速さ(大きさと方向の両方)は、投影システムPLの(走査方向における)縮小率および像反転特性によって決定される。とくに、投影システムPLの特性は、基板Wの平面において形成されるパターニングデバイスMAの像が走査方向に反転されるようになっていて、基板テーブルWT2は、支持構造MTとは反対の方向に移動させられるべきである。すなわち、基板テーブルWT2の移動は、支持構造MTの移動とは逆平行となるべきである。また、投影システムPLが放射ビームPBに縮小率αを適用する場合には、所与の時間に各共役点が進む距離は、パターニングデバイス上の対応点が進む距離よりもα倍小さくなる。したがって、基板テーブルWT2の速度の大きさ|vWT|は、|vMT|/αとなるべきである。
目標部分Cの露光中、イルミネータILのマスキングブレードは、放射ビームPBのスリットの幅を制御するように使用されることができ、それによりパターニングデバイスMAおよび基板Wそれぞれの平面における露光領域の大きさが制限される。すなわち、イルミネータのマスキングブレードは、リソグラフィ装置のためのフィールド絞りとして働く。
スキャンモードを使用すると、リソグラフィ装置は、基板Wの目標部分Cを放射に対し実質的に固定された領域として露光するように動作可能である。例えば、目標部分Cは、ダイの一部または1つ又はいくつかのダイを備えてもよい。単一の基板は複数のステップで放射に露光され、各ステップが基板Wの移動に続く目標部分Cの露光を含みうる。第1の目標部分Cの露光後に、リソグラフィ装置は、別の目標部分Cが放射に露光されることができるように投影システムPLに対して基板Wを移動させるように動作可能であってもよい。例えば、基板W上の2つの異なる目標部分Cの露光の間に、基板テーブルWT2は、次の目標部分を直ちに露光領域で走査されるように位置決めするように基板Wを移動させるように動作可能であってもよい。
あるいは、図示される装置は、ビームPBに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、基板テーブルWTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWT2が移動または走査されるという別のモードで使用されてもよい。このモードにおいては、一般にパルス放射ソースが用いられ、第2のプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWT2の毎回の移動後、または走査中の連続する放射パルスの合間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに直ちに適用されることができる。
上述の使用モードの組み合わせ及び/または変形例、または完全に異なる使用モードが使用されてもよい。
アライメントシステムASは、左側の基板テーブルWT1に保持された基板Wに設けられたアライメントマーク(図1Bにおいて箱P1、P2により概略的に図示される)の位置を測定する。加えて、トポグラフィ測定システムTMSは、後述するように、左側の基板テーブルWT1に保持された基板Wの表面のトポグラフィを測定するために使用される。第1基板位置決め装置PW1および位置センサ(図1Aにおいて明示せず)は、フレームMF(およびこれに接続されたアライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMS)に対して基板テーブルWT1を正確に位置決めするために使用されることができる。それに加えて又はそれに代えて、トポグラフィ測定システムTMSは、右側において、投影システムPLの底部に隣接して設けられていてもよい。
各基板Wの表面のトポグラフィは、説明するように、トポグラフィ測定システムTMSを使用して決定されてもよい。
図2は、ある実施の形態に係るトポグラフィ測定システムTMSの概略図である。放射ソース2は、放射ビーム4を発生させるように構成されている。光学系6は、放射ビーム4を方向付け、及び/または集束させるために設けられていてもよい。放射ビーム4は、第1パターニングデバイス20に入射する。放射ビーム4は、第1パターニングデバイス20を通過する際に第1パターニングデバイス20の像によりパターン付けられる。パターン付けられた放射ビームは、測定ビーム22と称されてもよい(または、単に放射ビームとも称されてもよい)。
測定ビーム22は、第1パターニングデバイス20の像を基板12上で目標位置19に形成するように構成された光学系10を通過する。測定ビーム22は、入射角θで基板12に入射する。第1グレーティングの像が矢印33によって示される場所に形成される。
測定ビーム22は、基板12から再び方向付けられ(例えば、反射、回折等)、検出光学系14を通過する。検出光学系14は、再び方向付けられた測定ビームを受け、第1グレーティングの像の像を形成するように構成されている。この第1グレーティングの像の像がグレーティング16に形成される。検出器18は、グレーティング16を透過した放射を受けるように構成されている。
検出器18は、2つの検出素子18a、18bを備える。グレーティング16は、検出光学系14から受ける放射を、その放射の一部分が検出素子18a、18bの各々に向けられるように分ける。検出素子18a、18bの各々は、入射する放射の強度を検出する。検出器18は、2つの検出素子18a、18bに入射する放射の強度を表す出力信号s1を生成する。とくに、出力信号s1は、2つの検出素子18a、18bに入射する放射の強度の差を表してもよい。
第2グレーティング16は、格子構造を備える。格子構造は、例えば、周期的に反復される単位セルを備える。すなわち、一次元の場合には格子構造は規則的な線の配列を備えてもよい。第2グレーティング16は、透過型のグレーティングである。しかし、ある代替的な実施の形態においては第2グレーティング16は反射型のグレーティングを備えてもよいものと理解されたい。
検出素子18a、18bはそれぞれ例えば、フォトダイオードであってもよい。フォトダイオードを使用する利点は、フォトダイオードが高速の応答時間を有し、比較的低コストであることにある。あるいは、検出器は、例えば、電荷結合素子(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)などのイメージングディテクタ、またはその他の適当なイメージングディテクタを備えてもよい。イメージングディテクタが使用されるこうした実施の形態では、イメージングディテクタからの出力は、入射する放射の強度を表す値に変換されてもよい。イメージングディテクタは、フォトダイオードよりも応答時間が遅くなりうるので、基板12のトポグラフィを測定可能な速さが低減されうる。
基板12のトポグラフィが決定される前に、1つ又は複数の予備測定がトポグラフィ測定システムTMSを使用して行われてもよい。トポグラフィ測定システムTMSは、詳細を後述するように、基板12の高さマップを決定するために基板12上の複数の点で基板12の高さを測定するために使用されることができる。トポグラフィ測定システムTMSは、例えば±2.5μm程度の制限された測定範囲を有しうる。基板12のトポグラフィが決定される前に(すなわち、高さマップが決定される前に)、トポグラフィ測定システムTMSは、基板12の上面がトポグラフィ測定システムTMSの測定範囲内にあることを保証するであろう基板テーブルWT1の(z方向における)位置を決定するために使用されてもよい。これは、「ウェーハ捕捉」と称されてもよい。ウェーハ捕捉は、基板テーブルWT1(および基板12)をz方向に移動させながら、xy平面において基板12上の固定された位置で実行されてもよい。ウェーハ捕捉の間、放射ソース2からの放射(測定ビーム22)は基板12に入射している。
それに加えて又はそれとともに、基板12のトポグラフィが決定される前に(すなわち、高さマップが決定される前に)、トポグラフィ測定システムTMSは、基板12の1つ又は複数の性質を決定するために使用されてもよい。例えば、トポグラフィ測定システムTMSは、例えば(一般に円形の)基板12のエッジを決定することによって、xy平面における基板12の位置を決定するために使用されてもよい。
こうした1つ又は複数の予備測定が完了すると、基板12のトポグラフィを決定するために、第1基板位置決め装置PW1は、基板12上で測定ビーム22を受ける目標位置19が変化するように基板12を移動させるために使用される。第1基板位置決め装置PW1は、第2基板位置決め装置PW2によって実行される投影システムPLに対する基板の移動と同様にして、トポグラフィ測定システムTMSに対して基板12を移動させるように動作可能であってもよい。
基板12が第1パターニングデバイス20の像33に対して直線的に移動されると、グレーティング16にて検出された信号は、基板12のトポグラフィと第1パターニングデバイス20の像33とのコンボリューションに直接比例するとみなされることができる。基板12がパターニングデバイスの像33の下方で走査されると、基板の高さの変化は、グレーティング16での放射の位相分布に変化を生じさせる。グレーティング16は、このような位相分布の変化を検出器18での放射強度の変化へと変換する。基板12の高さの変化は、(グレーティング16に対して)移動するグレーティング16での第1パターニングデバイス20の像を生じさせる。こうしたグレーティング16での像の動きは、2つの検出素子18a、18bによって検出される強度のアンバランスへとグレーティング16によって変換される。その結果、検出器18から出力される信号s1は、基板12の高さを表す。
出力信号s1は、プロセッサPRによって受信される。検出器18から出力される信号は、基板12の高さを決定するためにプロセッサPRによって分析されてもよい。プロセッサPRは、基板12のトポグラフィのマップを生成するために使用されてもよい。プロセッサPRは、メモリを備えてもよく、基板Wの全体のトポグラフィに関する情報を記憶するように動作可能であってもよい。基板Wの表面のトポグラフィは、高さマップと称されてもよい。
(図1Aの右側の)基板Wの露光中には、基板Wを投影システムPLの焦点面に保持することが望ましい。これを実現するために、基板テーブルWT2は、z方向に移動されてもよく、基板テーブルWT2の移動は基板Wの表面のトポグラフィ(前述のようにトポグラフィ測定システムTMSによって決定される)に依存して定められる。
プロセッサPRは、デジタル信号処理システムとみなされてもよい。プロセッサPRは、例えば1つ又は複数のマイクロプロセッサまたは1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を備えてもよい。プロセッサPRは、トポグラフィ測定システムTMSに専用のシステムであってもよい。あるいは、プロセッサPRは、図1Aのリソグラフィ装置における他の機能モジュールからのデジタル信号も処理するより一般のシステムであってもよい。例えば、図1Aに示されるように、プロセッサPRは、アライメントシステムASからの信号s2も処理してもよい。
アライメントシステムASおよびトポグラフィ測定システムTMSからのデータに加えて、プロセッサPRは、第1基板位置決め装置PW1からの基板テーブルWT1の位置情報(図1Aにおける信号s3を参照)も受信する。基板は(典型的にクランプを介して)基板テーブルWT1に固定されているから、基板テーブルWT1に関する位置情報は、基板Wに関する位置情報とみなされうる。
複数のトポグラフィ測定システムTMSが設けられていてもよい。すなわち、複数の放射ビーム4が生成されてもよく、各々が異なる光学系6によって異なるパターニングデバイス20へと向けられ及び/または集束されて複数の測定ビーム22が生成される。すべての第1パターニングデバイス20が単一のレチクルに設けられていてもよい。こうした測定ビーム22の各々は、異なる光学系10を通過して基板12上の多数の目標位置を照明する。複数のトポグラフィ測定システムTMSを使用するこうした実施の形態では、複数の放射ソースが複数の放射ビーム4を生成するために使用されてもよく、各放射ソースは、異なるトポグラフィ測定システムTMSのための放射ビーム4を生成するように動作可能である。あるいは、単一の放射ソースが、放射ソースによって生成される放射の一部分をトポグラフィ測定システムTMSの各々へと分配するように配設された光学系と組み合わされて使用されてもよい。
このようにして、基板Wの複数の目標位置(または「スポット」)が放射ビームによって照明されてもよい。例えば、基板W上で10から100個程度のスポットが照明されてもよい。この複数のスポットは、基板Wの非走査方向に延在してもよく、例えば、基板の単一の目標部分C(図1参照)にわたっていてもよい。
多数の検出器18および多数のグレーティング16が測定放射ビームを検出し出力信号s1を提供するために使用されてもよい。プロセッサPRは、出力信号s1を受信し、これを基板高さ測定に変換してもよい。プロセッサPRは、この測定を使用して基板12についての高さマップを生成してもよい。このように多数の測定放射ビームを使用することは、基板12についてより高速に高さマップを生成することが可能となる(より少ないストロークで基板を走査すればよくなる)ので、有利である。複数のトポグラフィ測定システムTMSは、トポグラフィ測定装置を称されてもよい。
一つの実施の形態においては、フレームMFから分離して設けられていてもよい単一の放射ソースが光ファイバのアレイを照明する。光ファイバの各々は、放射ソースによって出力される放射の一部分を1つ又は複数の光学系6へと伝える。一つの実施の形態においては、複数のこうした光ファイバが光学系6ごとに設けられている。望ましくは、光ファイバは、トポグラフィ測定に影響しないように照明光学系10の焦点面の外に配置されている(すなわち、光ファイバは、第1グレーティング20と同じ平面には配置されない)。
放射ビーム4は、概ね一様な角度分布を有して概ね一様にパターニングデバイス20を照明してもよい。これを実現するために、フレームMFから分離して設けられてもよい放射ソース2は、概ね一様な角度分布を有して概ね一様に光ファイバのアレイを照明してもよい。
一般に、基板には、例えば多層ICを生成するために、複数のパターン付けられた層が設けられる。各層は、基板上のレジストを露光し基板を処理すべくパターン付けられた層を投影することによって形成される。処理には、例えば、レジストをエッチングすること、エッチングによって形成された凹部に材料を堆積させること、および基板を研磨することが含まれてもよい。こうして基板上にパターン付けられた材料の層が形成される。層の厚さは行われる処理に依存し、層ごとに異なる。基板上のパターン付けられた層の一群は、スタックと称されてもよい。リソグラフィ装置は、広く変化する組成のスタックをもって基板にパターンを投影することを可能とすべきである。トポグラフィ測定システムTMSは、予想されるスタック組成について基板トポグラフィを測定することを可能とする。明確化のために、基板トポグラフィ測定システムTMSは、レベル検知システムまたはレベルセンサとも称されてもよい。知られているように、レベルセンサは、基板の高さマップを作るために使用される。
任意の適切な入射角θが選択されてもよい。測定ビーム22の基板スタックへの侵入は、高さ測定に誤差を導入しうる干渉作用を生じさせうる。起こりうる侵入の程度は、測定ビームの波長、偏光、および入射角に依存する。一般に、測定ビーム22の侵入深さは、波長が小さくなれば小さくなり、入射角θが大きくなれば小さくなる。
入射角を大きくすることによって、基板12の部分構造への測定ビーム22の侵入深さは小さくなる。これにより、より少ないスタックで反射が起こり、これに付随する、反射した測定ビームにおける干渉作用は回避され又は低減される。異なるスタック反射によって生じる干渉作用を回避または低減することによって、プロセスに依存するトポグラフィ測定の誤差は低減され、トポグラフィ測定システムの精度は向上される。しかしながら、入射角θを大きくすることは、第1グレーティングの像33のサイズを大きくする原因ともなり、これはトポグラフィ測定システムTMSの解像度を低下させうる。基板12に形成される第1グレーティングの像33のサイズは、例えば、入射角θの余弦に対する放射ビーム22の直径dの比、すなわち、d/cos(θ)によって与えられる。いくつかの実施の形態においては、トポグラフィ測定システムTMSにおいて使用される入射角θは、70°から85°の範囲にあってもよい。図示の便宜のために、概略図にすぎない図2は、70°から85°の範囲にある入射角θを示すのではなく、より小さい角度を示していると理解されるべきである。
異なるスタック層からの反射に起因する干渉作用は放射の波長範囲にわたっておおよそ平均化されるから、トポグラフィ測定の精度を高めるために広帯域放射が使用されてもよい。また、紫外放射は、可視及び/または赤外放射を使用する場合に比べて、より良好な性能のトポグラフィ測定システムTMS(すなわち、測定された高さと基板12の実際の高さとの間のオフセットがより小さくなる)を提供しうる。したがって、トポグラフィ測定システムTMSには、例えば200〜425nmの範囲の広帯域紫外放射を提供する放射ソース2を設けることが望まれうる。
また、こうした放射ソースの強度は基板上のレジストを露光しないように十分に低いことが望ましい。これを実現するために、出力を容易に制御可能な放射ソース2を設けることが望まれうる。
いくつかの実施の形態は、放射ソース2が紫外放射を出力するように動作可能な発光ダイオードを備えるトポグラフィ測定システムTMSに関する。なかでも、放射ソース2が複数の発光ダイオードを備え、複数の発光ダイオードのうち少なくとも2つの発光ダイオードが異なる波長スペクトルを有するトポグラフィ測定システムTMSに関する。
こうした構成は、広帯域の紫外ソースを発光ダイオードから形成することを可能にする。有利には、こうした構成は、波長スペクトルが制御可能であって要件に適合させることができるように、広帯域の紫外ソースを形成することを可能にする。例えば、放射ソース2のスペクトルは、複数の発光ダイオードの相対強度を変化させることによって調整されてもよい。
紫外発光ダイオードは、比較的新しいソリッドステート技術であり、近年この分野では、とくにその出力パワー(すなわち発光ダイオードの外部効率)に関して、顕著な進展がなされている。紫外発光ダイオードは現在、カスタマイズされた波長を有し、即時にオンオフを切替可能で、衝撃耐性のあるものを入手できる。
図3は、ある実施の形態に係るトポグラフィ測定システムTMSについての放射ソース100の概略図である。例えば、放射ソース100は、図2に示される放射ソース2に相当してもよい。
放射ソース100は、複数の発光ダイオード101〜105を備える。発光ダイオード101〜105の各々は、紫外放射を含む放射ビームB1〜B5を生成するように動作可能である。複数の発光ダイオード101〜105の各々は、異なる波長スペクトルを有する。すなわち、放射ビームB1〜B5の各々の中心波長は異なっている。一つの具体的な実施の形態においては、放射ビームB1が265nmの波長を有し、放射ビームB2が280nmの波長を有し、放射ビームB3が300nmの波長を有し、放射ビームB4が320nmの波長を有し、放射ビームB5が340nmの波長を有する。図3に示される具体的な実施の形態は5個の発光ダイオードを備えるが、他の実施の形態は5個より少数または多数の発光ダイオードを備えてもよいものと理解されたい。任意的に、515nm、612nm、782nm、及び/または880nmの波長を有する発光ダイオードが使用されてもよい。
また、図3に示される具体的な実施の形態においては複数の発光ダイオード101〜105の各々が異なる波長スペクトルを有するが、いくつかの代替的な実施の形態においては、少なくともいくつかの発光ダイオードが同一または類似の波長スペクトルを有してもよい。例えば、ある代替的な実施の形態においては、図3に示される発光ダイオード101〜105の各々が同一の発光ダイオードの組に置き換えられてもよい(すなわち、10個の発光ダイオードがあることになる)。これは、放射ソース100の強度を高めることを可能としうる。それに加えて又はそれに代えて、発光ダイオードの各々をより低い動作電流で動作させることを可能としうる。これは放射ソース100における各発光ダイオードの寿命を長くしうる。
放射ソース100は、コントローラ110をさらに備える。コントローラ110は、各々が複数の発光ダイオード101〜105のうち異なる1つの発光ダイオードによってそれぞれ受け取られる複数の制御信号111〜115を生成するように動作可能である。制御信号111〜115は、発光ダイオード101〜105のための駆動信号として働く。発光ダイオード101〜105によって出力される放射ビームB1〜B5の各々の強度またはパワーは、コントローラ110によって生成される対応する制御信号111〜115に依存する。
一つの実施の形態においては、制御信号111〜115は、対応する発光ダイオード101〜105を、例えば発光ダイオード101〜105が放射ビームB1〜B5を発する「オン」状態と、例えば発光ダイオード101〜105が放射ビームを生成しない「オフ」状態とに切り替えるように働いてもよい。
それに加えて又はそれに代えて、制御信号111〜115は、発光ダイオード101〜105の各々の出力強度またはパワーをある値の範囲において制御してもよい。例えば、制御信号111〜115の適切な選択によって、コントローラ110は、放射ビームB1〜B5の各々の出力強度またはパワーをある連続的な値の範囲において制御するように動作可能であってもよい。こうした発光ダイオード101〜105の出力強度またはパワーの連続的な制御は種々の方法により実現されうることは、当業者に理解されるであろう。
例えば、発光ダイオード101〜105の各々を流れる電流は、制御信号111〜115に依存して変化されてもよい。
あるいは、発光ダイオード101〜105の各々は、その出力放射ビームB1〜B5が複数のパルスを備えるようにパルス化されてもよい。こうした実施の形態では、放射ビームB1〜B5の各々の(平均)出力強度またはパワーの制御は、パルス幅変調によって実現されてもよい。例えば、発光ダイオード101〜105の各々は、基板12上の各点が多数回のパルス(例えば、100より大きく、または1000より大きい)を受けるように十分に高い周波数でパルス化されてもよい。発光ダイオード101〜105の各々がパルス化されるデューティサイクルを変化させることによって、適当な時間で平均化または積分されたときの発光ダイオード101〜105の各々の強度(又はパワー)を制御することができる。
あるいは、発光ダイオード101〜105の各々は、可変減衰器を備えてもよい。こうした実施の形態では、コントローラ110によって出力される制御信号111〜115は、発光ダイオード101〜105の各々の減衰レベルを決定してもよい。
あるいは、分離された波長成分の各々について複数の同一の発光ダイオードを備える実施の形態では、分離された波長成分の各々についての出力は、当該波長の発光ダイオードのうち動作する発光ダイオードの数を変化させることによって制御されてもよい。
コントローラ110は、例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサまたは1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を備えてもよい。コントローラ110は、メモリを備えてもよい。コントローラ110は、コントローラ110に専用のシステムであってもよい。あるいは、コントローラ110は、図1Aのリソグラフィ装置における他の機能モジュールとしても機能するより一般のシステムであってもよい。一つの実施の形態においては、コントローラ110およびプロセッサPRは、単一のプロセッサまたはコントローラによって提供される。
放射ソース100は、結合光学系120をさらに備えてもよい。結合光学系120は、複数の発光ダイオード101〜105の各々によって出力される放射ビームB1〜B5を受けるように配設されている。結合光学系120は、複数の放射ビームB1〜B5の各々を結合し、単一の放射ビーム121を出力するように動作可能である。
結合光学系120は、2つの入力放射ビームを受け、それら2つの放射ビームの各々の一部分を含む少なくとも1つの放射ビームを出力するように各々が配設された1つ又は複数のダイクロイックミラーを備えてもよい。こうした構成は図4に示されている。
図4は、2つの入力放射ビーム210、220を受けるように配設されたダイクロイックミラー200を示す。ダイクロイックミラー200(ビームスプリッタとしても知られる)は、交差面203で接する2つの部分201、202を備える。入力放射ビーム210、220の各々は、交差面203に入射する。入力放射ビーム210、220の各々のうち第1部分211、221は、交差面203から反射され、ダイクロイックミラー200を出射する。入力放射ビーム210、220の各々のうち第2部分212、222は、交差面203を通過し、ダイクロイックミラー200を出射する。第1入力放射ビーム210の第1部分211と第2放射ビーム220の第2部分222が第1出力放射ビーム230を形成する。同様に、第1放射ビーム210の第2部分212と第2放射ビーム220の第1部分221が第1出力放射ビーム240を形成する。
図4に示されるこうしたダイクロイックミラー200の特性は、出力放射ビーム230、240の一方を少なくとも部分的に抑制するように2つの入力放射ビーム210、220の波長に関して調節されてもよい。こうした構成は、2つの入力放射ビームの結合を備える1つの主出力放射ビームを生成しうる。例えば、コーティングが交差面203に設けられる。このコーティングの材料および厚さは、例えば、第1入力放射ビーム210の波長をもつ放射については高い透過率を有し、第2入力放射ビーム220の波長をもつ放射については高い反射率を有するように選択される。こうした構成により、第1および第2入力放射ビーム210、220からの放射の大部分が第2出力放射ビーム240に寄与し、第1出力放射ビーム230は抑制される。あるいは、交差面203のコーティングの性質は、第2出力放射ビーム240が抑制され、第1および第2入力放射ビーム210、220からの放射の大部分が第1出力放射ビーム230に寄与するように選択されてもよい。ある代替的な実施の形態においては、図4に示されるダイクロイックミラー200についての立方体状の構成は、適切な光学的性質を有するプレートによって置き換えられてもよいものと理解されたい。
結合光学系120は、波長スペクトルの概ね一様な空間分布をパターニングデバイス20上に提供する結合放射ビーム121を生成するように動作可能であってもよい。すなわち、パターニングデバイス20(または、複数のトポグラフィ測定システムTMSを備える実施の形態では、各第1グレーティング20)上の異なる空間位置の各々が実質的に同じ波長スペクトルをもつ放射を受ける。
任意的に、トポグラフィ測定システムTMSは、スペクトル検出器をさらに備えてもよく、これを以下に述べる。一般に、スペクトル検出器は、トポグラフィ測定システムTMS内で放射ビームの波長スペクトルの特性を決定するように動作可能であってもよい。図3に示される実施の形態においては、放射ソース100は、ビームスプリッタ130、分離光学系140、および複数のフォトダイオード151〜155をさらに備える。
ビームスプリッタ130は、放射ビーム121の一部分を分離光学系140へと方向変更するように配設されていてもよい。放射ビーム121の残部は、ビームスプリッタ130を透過して、放射ソース100の出力放射ビームBoutを形成してもよい。例えば、一つの実施の形態においては、放射ビーム121に含まれる放射の99%が出力放射ビームBoutとして出力され、放射ビーム121の1%がビームスプリッタ130によって分離光学系140へと方向変更されてもよい。
分離光学系140は、受ける放射ビーム121の一部分122を複数の構成スペクトル成分へと分離するように配設されていてもよい。例えば、分離光学系140は、プリズムなどの分散光学素子を備えてもよい。とくに、分離光学系140は、放射ビーム122において異なる発光ダイオード101〜105の各々を起源とする成分の各々を空間的に分離するように動作可能であってもよい。分離光学系140は、複数の出力放射ビーム141〜145を出力するように動作可能であり、放射ビーム141〜145の各々は、発光ダイオード101〜105のうち異なる1つの発光ダイオードを起源とする成分にそれぞれ対応する。
フォトダイオード151〜155の各々は、分離光学系140によって出力される放射ビーム141〜145のうち異なる1つの放射ビームを受けるように配設されている。フォトダイオード151〜155の各々は、分離光学系140によって出力される複数の放射ビーム141〜145のうち1つの放射ビームのパワーまたは強度を決定するように動作可能な検出素子とみなされてもよい。フォトダイオード151〜155の各々は、分離光学系140から受ける放射ビーム141〜145の強度を表す信号161〜165を出力するように動作可能である。出力信号161〜165の各々は、コントローラ110によって受信される。
ビームスプリッタ130、分離光学系140、フォトダイオード151〜155は、出力放射ビームBoutの波長スペクトルの特性を決定するように動作可能なスペクトル検出器170を形成するとみなされてもよい。図3に示される例示的な実施の形態においては、スペクトル検出器170は、放射ソース100の一部であるとみなされてもよい。代替的な実施の形態においては、スペクトル検出器のビームスプリッタは、例えば放射ソース2と検出器18の間の任意の位置など、トポグラフィ測定システムTMSにおける任意の適切な場所に配置されていてもよい。こうした代替的な実施の形態では、スペクトル検出器は、放射ソース100から分離されているとみなされてもよい。例えば、一つの代替的な実施の形態においては、ビームスプリッタは、グレーティング16と検出器18との間に配置されていてもよい。
ある代替的な実施の形態においては、ビームスプリッタ及び/または分離光学系は、スペクトル検出器から省略されてもよく、これを以下に述べる。
スペクトル検出器が分離光学系を備えない実施の形態では、コントローラ110は、複数の発光ダイオード101〜105の出力を(適切な制御信号111〜115を使用して)、発光ダイオード101〜105の各々が順番にオンに切り替えられるように制御するように動作可能であってもよい。例えば、発光ダイオード101〜105の各々は、発光ダイオード101〜105の各々が他の発光ダイオード101〜105とは位相を不一致とするようにパルス化されてもよい。こうした構成により、単一の検出素子が、異なる発光ダイオード101〜105の各々を起源とするスペクトル成分を順番に決定するように動作可能であってもよい。
また、一つの実施の形態においては、スペクトル検出器は、ビームスプリッタを備えない。そうではなく、スペクトル検出器は、トポグラフィ測定システムTMSの検出器18の1つ又は複数の検出素子18a、18bを使用する。こうした実施の形態においても、コントローラ110は、複数の発光ダイオード101〜105の出力を(適切な制御信号111〜115を使用して)、発光ダイオード101〜105の各々が順番にオンに切り替えられるように制御するように動作可能であってもよい。例えば、発光ダイオード101〜105の各々は、発光ダイオード101〜105の各々が他の発光ダイオード101〜105とは位相を不一致とするようにパルス化されてもよい。こうした構成により、トポグラフィ測定システムTMSの検出器18の1つ又は複数の検出素子18a、18bは、異なる発光ダイオード101〜105の各々を起源とするスペクトル成分を順番に決定するように動作可能であってもよい。こうしたスペクトル検出器の実施の形態は、ビームスプリッタまたは分離光学系を要しないので、とくに簡単な設計となる点で有利でありうる。
トポグラフィ測定システムTMSにおける波長の関数としての基板12による放射の伝達は、基板12の表面の形状に依存する。したがって、放射ビームの波長スペクトルの特性が基板12の下流で決定される実施の形態では、こうした測定は望ましくは、実質的に一定または既知の表面を有する参照基板を使用して行われる。放射ビームの波長スペクトルの特性のこうした測定中には、参照基板は静止状態とされてもよい。例えば、一定または既知の参照基板は、スペクトル検出器がトポグラフィ測定システムTMSの検出器18の1つ又は複数の検出素子18a、18bを使用する実施の形態で、またはスペクトル検出器のビームスプリッタがグレーティング16と検出器18との間に配置される実施の形態で、使用されてもよい。
スペクトル検出器は、放射ソース100によって出力される放射ビームBout(または、トポグラフィ測定システムTMSにおいて任意の位置での放射ビーム)の波長スペクトルを決定するように動作可能であってもよい。スペクトル検出器は、放射ソース100によって出力される放射ビームBoutの(または、代替的に、トポグラフィ測定システムTMSにおける他の場所での)波長スペクトルを安定化するためのフィードバック制御ループの一部として使用されてもよい。
説明される放射ソース100は、いくつもの利点を有し、これを以下に述べる。
放射ソース100は、トポグラフィ測定システムTMSにおいて使用される放射ソース2の波長スペクトルを調整することを可能にする。発光ダイオード101〜105に送信される制御信号111〜115を変化させることによって、コントローラ110は、放射ソース100によって出力される放射ビームBoutの波長スペクトルを制御するように動作可能である。とくに、これは、オンラインで、すなわちリソグラフィ装置の動作中にリアルタイムに実現することができる。
また、スペクトル検出器およびコントローラ110によって形成されるフィードバックループは、発光ダイオード101〜105のスペクトル出力における、及び/または、(a)発光ダイオード101〜105と(b)スペクトル検出器のビームスプリッタ(例えばビームスプリッタ130)またはスペクトル検出器の検出器(例えば検出器18)のいずれかとの間でのスペクトル伝達における、何らかの変化または差異を決定するために使用されてもよい。コントローラ110は、コントローラ110によって受信されるスペクトル検出器からの信号(例えば、フォトダイオード151〜155からの信号161〜165)に依存して発光ダイオード101〜105に送信される制御信号111〜115を制御するように動作可能であってもよい。例えば、コントローラ110は、放射ソース100によって出力される放射ビームBoutのスペクトルにおける何らかの決定された変化または差異を少なくとも部分的に補正するように発光ダイオード101〜105に送信される制御信号111〜115を制御するように動作可能であってもよい。このようにして、放射ソース100によって出力される放射ビームBoutの波長スペクトルが安定化されてもよい。それとともに又はそれに代えて、検出器18がスペクトル検出器の一部を構成する実施の形態では、放射ソース2と検出器18との間の光路におけるスペクトル変化が測定され及び/または補正されることができる。
上述のように、いくつかの実施の形態においては、コントローラ110は、発光ダイオード101〜105の各々がパルス化されるように(適切な制御信号111〜115を使用して)複数の発光ダイオード101〜105の出力を制御するように動作可能であってもよい。紫外発光ダイオードは瞬時にオンまたはオフに切替可能であるから、非常に高い周波数でパルス化されることができる。とくに、発光ダイオード101〜105の各々は、発光ダイオード101〜105の各々が他の発光ダイオード101〜105とは位相を不一致とするようにパルス化されてもよい。このようにして、放射ソース100の出力は、複数の異なる波長を循環する複数のパルスを生成してもよい。したがって、この高周波数の波長切替は、出力放射ビームBoutの波長変調を提供する。
この周波数波長切替は、上記に詳述したように、分離光学系の使用を避けるためにスペクトル検出器によって利用されることができる。紫外発光ダイオードを使用して実現可能な高周波数の波長切替は、トポグラフィ測定システムTMSを使用する基板12のトポグラフィの測定中にも有利となりうる。これを以下に述べる。
発光ダイオード101〜105の各々がパルス化される周波数は、トポグラフィ測定システムTMSの動作中、パルス化された発光ダイオード101〜105の各々の時間において目標位置19が無視できる大きさだけ移動するように十分に高いことが望ましい。検出器18が各パルスを時間的に分解可能である場合には、プロセッサPRは、複数の高さマップを同時に(すなわち、トポグラフィ測定システムTMSの下方での基板12の一回の走査中に)決定するように動作可能であってもよく、複数の高さマップの各々は、異なる波長(すなわち異なる発光ダイオードからの)を使用して決定される。したがって、こうした構成により、トポグラフィ測定システムTMSは、複数の基板高さマップを、多数の波長を使用して、リソグラフィ装置のスループットを損なうことなく取得することを可能とする。複数の高さマップは、測定の精度を高めるために結合されてもよい。あるいは、最適な(最も良好な性能の)波長を使用して決定された高さマップが選択されてもよい。
コントローラ110のメモリは、放射ビームBoutについて既定の又は最適な波長スペクトルを提供する信号に関する情報を記憶するように動作可能であってもよい。
トポグラフィ測定システムTMSは、1つ又は複数の利点を有することができる。紫外放射が使用されるので、可視または赤外放射よりもトポグラフィ測定システムTMSの精度が良好となることがわかっている。また、紫外発光ダイオードは、ガス放電ランプ(例えばキセノンプラズマソース)などの他の公知の紫外放射ソースよりも1つ又は複数の利点を有する。とくに、紫外発光ダイオードは、熱の発生が少ないので、より効率的である。また、紫外発光ダイオードは、オゾンの生成がキセノンプラズマソース(例えば窒素を使用してパージされる必要がある)よりも顕著に少なくなりうる。例えば、少なくともある種の紫外発光ダイオードは、キセノンプラズマソースとは対照的に、オゾンをまったく生成しない。
また、紫外発光ダイオードは、寿命に顕著な影響を与えることなく容易にオンオフを切り替えることができ、複雑なシャッタ構成の必要性を回避しうる。加えて、紫外発光ダイオードは、放射ビームの波長を変調することができるように高周波数で切り替えることができる。さらに、発光ダイオード、なかでも紫外発光ダイオードは、より複雑なガス放電ソースよりも広く入手可能であり、安価である。
ある実施の形態においては、トポグラフィ測定システムTMSが可視または赤外放射とは異なり例えばおよそ225nmから400nmのスペクトル範囲をもつ紫外放射を使用するから、基板12上のレジストの事前露光のリスクがありうる。これは、トポグラフィ測定システムTMSのスペクトル強度分布が深紫外のリソグラフィ装置(例えばおよそ193nmの露光波長で動作する)または極紫外のリソグラフィ装置(例えばおよそ13.5nmの露光波長で動作する)で使用される多くのレジストの感度に重なるからである。
上記に説明したように、レジストの事前露光のリスクを緩和するために、出力を比較的容易に制御することができる放射ソース100を提供することが望まれうる。
ある実施の形態においては、放射ソース100は、複数の異なる動作モードを有してもよく、放射ビームBoutのスペクトル強度分布は選択された動作モードに依存する。コントローラ110は、複数の動作モードの各々について複数の制御信号111〜115の異なるセットを生成するように動作可能であってもよい。すなわち、異なる動作モードの各々において、制御信号111〜115の異なる1つのセットが生成される。すなわち、2つの動作モードの組の各々について、複数の発光ダイオード101〜105のうち1つの発光ダイオードによって受け取られる複数の制御信号111〜115のうち少なくとも1つが異なっている。このようにして、放射ビームBoutのスペクトル強度分布は、コントローラ110の選択された動作モードに依存する。
ある実施の形態においては、放射ソース100は、2つの異なる動作モードとして、第1動作モードおよび第2動作モードを有してもよい。
第1動作モードにおいては、放射ソース100は、例えば200nm〜425nmの範囲の広帯域紫外放射を提供してもよく、これは基板12のトポグラフィ(例えば高さマップ)を決定するために使用されてもよい。上述のように、こうした広帯域の紫外スペクトル強度は、トポグラフィ測定システムTMSの性能に改善をもたらすことができる(すなわち、基板12のトポグラフィがより正確に決定される)。したがって、第1動作モードは、基板12のトポグラフィを決定するとき(すなわち基板12の高さマップを測定するとき)に使用されてもよい。
第2動作モードにおいては、放射ソース100は、第1動作モードに対して縮小したスペクトル範囲をもつ紫外放射を提供してもよい。例えば、放射ソース100が第2動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル範囲は、放射ソース100が第2動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル範囲の部分範囲であってもよい。とくに、第2動作モードにおいては、放射ソース100は、スペクトルのうちより短い波長の部分において発せられる放射の強度を低減した紫外放射を提供してもよい。例えば、第2動作モードにおいては、放射ソース100は、325nm〜425nmの範囲の紫外放射のみを提供してもよい。放射ソース100が第2動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル強度分布は、放射ソース100が第1動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル強度分布に対して、スペクトル強度分布のより低い波長の部分において低減されていてもよい。一般に、基板12上に使用されるレジストは、より長い波長をもつ放射ソース100の部分範囲よりも、より短い波長をもつ放射ソース100の部分範囲において放射に高感度である。したがって、より短い波長のスペクトルの部分において発せられる放射の強度を低減することによって、レジストを事前露光するリスクは低減されうる。したがって、第2動作モードは、レジストを事前露光するリスクを緩和すべくトポグラフィ測定システムTMSの全体的な性能を低下させることに耐えられる状況において使用されてもよい。例えば、第2動作モードは、1つ又は複数の事前測定が基板12のトポグラフィの決定に先行してトポグラフィ測定システムTMSを使用して行われる場合、例えばウェーハ捕捉中に使用されてもよい。
コントローラ110が2つの動作モードを有する例示的な実施の形態が、図5、図6A、および図6Bを参照して説明される。
既に説明したように、図3に示される放射ソース100の具体的な実施の形態は5個の発光ダイオードを備えるが、他の実施の形態は5個よりも少数または多数の発光ダイオードを備えてもよいものと理解されたい。図5は、トポグラフィ測定システムTMSのための放射ソース100の概略図であり、図3に示して上述した放射ソースの形式を概ね有する。図5に示される放射ソース100と図3に示される放射ソース100との違いは、図5に示される放射ソース100が、8個の発光ダイオード101〜108を備えることと、コントローラ110が、各々が8個の発光ダイオード101〜108のうち異なる1つの発光ダイオードによって受け取られる8つの制御信号111〜118を生成するように動作可能であることと、分離光学系140が、ビームスプリッタ130から受ける放射ビーム121の部分122を、各々が8個の発光ダイオード101〜108のうち異なる1つの発光ダイオードを起源とするスペクトル成分をもつ8つの出力放射ビーム141〜148へと分離するように配設されていることと、図5に示される放射ソース100が8つのフォトダイオード151〜158を備え、各フォトダイオードが、分離光学系140によって出力される放射ビーム141〜148のうち異なる1つの放射ビームを受けるように配設され、分離光学系140から受ける放射ビーム141〜148の強度を表す信号161〜168をコントローラ110に出力するように動作可能であることにある。
コントローラ110は、2つの動作モードを有する。図6Aは、第1動作モードにおける放射ソース100のスペクトル強度分布300(実線)を示す。また、図6Aは、第1動作モードにおける放射ソース100の8個の発光ダイオード101〜108の各々についてスペクトル強度分布301〜308を示す。図6Bは、第2動作モードにおける放射ソース100のスペクトル強度分布310(実線)を示す。また、図6Bは、第2動作モードにおける放射ソース100のスペクトル強度分布310に寄与する4個の発光ダイオード105〜108についてスペクトル強度分布305〜308を示す。
図6Aおよび図6Bに示される実施の形態においては、発光ダイオード101〜108の各々のスペクトル強度分布は、ガウス状であり、放射ビームB1〜B8の中心波長はおよそそれぞれ265nm、280nm、305nm、320nm、340nm、365nm、385nm、405nmである。また、例えば約515nm、約612nm、約782nm、または約880nmの中心波長を有する発光ダイオードも、ガウス状のスペクトル強度分布または異なる分布とともに使用されてもよい。他の中心波長を有する発光ダイオードも使用されうる。
第1動作モードにおいては、コントローラ110は、放射ビームBoutが図6Aに示されるスペクトル強度分布300を有するように複数の制御信号111〜118の第1セットを生成するように動作可能である。これを実現するために、コントローラ110は、8個の発光ダイオード101〜108の各々が放射を発するように複数の制御信号111〜119の第1セットを生成するように動作可能である。図6Aから理解されるように、発光ダイオード101〜108の各々によって発せられる放射の強度は同程度の大きさをもつが、発光ダイオード101〜108のピーク強度にはいくらかの変動がある。スペクトル強度分布300は、広帯域紫外放射であり、例えばおよそ225nm〜425nmの範囲にある。こうした広帯域紫外スペクトル強度分布は、トポグラフィ測定システムTMSの性能の改善をもたらすことができる(すなわち、基板12のトポグラフィがより正確に決定される)。とくに、スペクトル範囲のうちより低い波長の部分が、トポグラフィ測定システムTMSの性能の改善をもたらす。
第2動作モードにおいては、コントローラ110は、放射ビームBoutが図6Bに示されるスペクトル強度分布310を有するように複数の制御信号111〜118の第2セットを生成するように動作可能である。放射ソース100が第2動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル強度分布310は、放射ソース100が第1動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル強度分布300に対して、スペクトル強度分布300のうちより低い波長の部分において低減されている。これを実現するために、コントローラ110は、最低の中心波長をもつ4個の発光ダイオード101〜104が放射を放出せず、最高の中心波長をもつ4個の発光ダイオード105〜108が放射を放出するように複数の制御信号111〜118の第1セットを生成するように動作可能である。図6Bから理解されるように、これは、スペクトルのうちより低い部分が実質的にオフに切り替えられるようにして、第1動作モードのスペクトル強度分布300に対して、切り取られたスペクトル強度分布310をもたらす。したがって、第2動作モードにおいては、放射ソース100は、第1動作モードに対して縮小されたスペクトル範囲をもつ紫外放射を提供する。放射ソース100が第2動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル範囲は、放射ソース100が第2動作モードにあるとき発せられる放射のスペクトル範囲の部分範囲である。とくに、第2動作モードにおいては、放射ソース100は、スペクトル範囲のうちより短い波長の部分において発せられる放射の強度が低減された紫外放射を提供する。上述のように、スペクトル範囲のうちより短い波長の部分において発せられる放射の強度を低減することによって、レジストを事前露光するリスクが低減されうる。
図7は、深紫外のリソグラフィ装置(例えばおよそ193nmの露光波長で動作する)または極紫外のリソグラフィ装置(例えばおよそ13.5nmの露光波長で動作する)で使用されるいくつかのレジストの吸収係数を波長の関数として示す。図7から理解されるように、これらのレジストではいずれも、吸収係数は波長が増加するにつれて減少する。また、これらのレジストではいずれも、吸収係数は約290nmを超える波長で無視できるレベルにまで落ちている。第2動作モードにおける放射ソース100のスペクトル強度分布310(図6B参照)は、約310nmの波長でゼロに落ちているから、放射ソース100が第2モードで動作するときのレジストの事前露光のリスクは、放射ソース100が第2動作モードで動作するとき顕著に低減される。
本文ではリソグラフィ装置の文脈においていくつかの実施の形態への具体的な言及がなされているが、実施の形態は他の装置に使用されてもよい。実施の形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、または、ウェーハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を構成してもよい。これらの装置は一般に、リソグラフィツールと称されうる。こうしたリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用してもよい。
照明光学系、光学系、および検出光学系は、放射ビームの方向や形状の調整、または放射ビームの制御のために、屈折光学部品、反射光学部品、および反射屈折光学部品を含む各種の光学部品を包含してもよい。
「EUV放射」との用語は、4〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を含むものとみなされうる。EUV放射は、10nm未満の波長、例えば6.7nmまたは6.8nmといった4〜10nmの範囲内の波長を有してもよい。
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本書に説明したリソグラフィ装置は、他の用途を有しうるものと理解されたい。ありうる他の用途には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等が含まれる。
実施の形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはこれらの任意の組合せとして具現化されてもよい。プロセッサPRは、実行されたとき検出器18からの信号出力に復号シーケンスを適用するプロセッサ読取可能命令を記憶するメモリに接続されていてもよい。実施の形態は、1つまたは複数のプロセッサにより読取かつ実行されうるコンピュータ読取可能媒体に記憶された命令として具現化されてもよい。コンピュータ読取可能媒体は、機械(例えば演算装置)により読取可能な形式で情報を記憶または伝送するいかなる機構も含んでもよい。例えば、コンピュータ読取可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記録媒体、光記録媒体、フラッシュメモリ装置、電気的または光学的または音響的またはその他の信号伝送形式(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、またはその他を含んでもよい。また、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令は、ある動作を実行するものとして本書に記述されうる。しかしこれらの記述は単に便宜上のものであり、これらの動作は実際には、そのファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、命令等を実行する演算装置、プロセッサ、コントローラ、または他の装置により得られるものと理解されたい。
以上ではいくつかの具体的な実施の形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実施しうることが理解される。上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、後述の特許請求の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。