JP2013024747A - 計測装置、露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents

計測装置、露光装置およびデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】計測対象物の物理情報を高精度に得るために有利な技術を提供する。
【解決手段】計測装置33は、光源1からの光を計測対象物3に入射させる計測光と参照面4に入射させる参照光とに分割するビームスプリッタ2aと、前記計測対象物3で反射された前記計測光と前記参照面4で反射された前記参照光とを合成して合成光を生成するビームコンバイナ2bとを有し、前記合成光に基づいて前記計測対象物3の物理情報を得るように構成されている。前記計測装置33は、前記計測光と前記参照光との空間コヒーレンスを変更するコヒーレンス制御部10を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、計測装置、露光装置およびデバイス製造方法に関する。
フォトリソグラフィーを用いて半導体メモリや論理回路などの半導体装置または液晶表示装置などの表示装置を製造する際に、原版に形成された回路パターンを投影光学系によって基板に投影することよって該基板を露光する露光装置が使用されている。露光により基板には回路パターンが転写される。露光装置で転写できる最小の寸法(解像度)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。したがって、露光に用いる光の波長を短くすることによって解像力が向上する。このため、近年の光源は、超高圧水銀ランプ(g線(波長約436nm)、i線(波長約365nm))から波長の短いKrFエキシマレーザー(波長約248nm)やArFエキシマレーザー(波長約193nm)に移行し、液浸露光も実用化されている。更に、波長13.4nm付近のEUV光を用いたEUV露光装置についても開発が行われている。
露光方式には、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(「ステッパー」とも呼ばれる)と、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる)とがある。スキャナーでは、基板の露光位置が露光スリット領域に達する前に、光斜入射系の表面検出装置で該露光位置における表面位置(高さ)を計測し、該露光位置を露光する際に基板の表面位置が最適な結像位置に調整される。露光スリット領域の長手方向(即ち、走査方向と垂直な方向)には、基板の表面の位置(高さ)だけではなく、表面の傾き(チルト)を計測するために、複数の計測点が配置されている。特許文献1には、光学式センサによって基板の表面の位置および傾きを計測する方法が記載されている。
特開平6−260391号公報
図16には、光学式センサの使用例が記載されている。反射率に差のある基板SBの表面に計測光MMが照射されている。計測光MMの照射領域の長手方向β’は、反射率の異なる領域間の境界線に対して角度Aだけ傾いている。計測時における基板SBの走査方向は、β’に直交するα’である。図17には、基板SBからの反射光のAA’線、BB’線、CC’線に沿った強度分布が示されている。反射率が一様なAA’線とCC’線においては、反射光の光強度分布の対称性が良いものの、反射率の異なる領域を横切るBB’線は、反射光の光強度分布が非対称になり、その重心がずれることにより、計測誤差を生じることになる。これにより、その反射光を検出した検出波形に非対称性が生じたり、検出波形のコントラストが著しく低下したりして、基板の表面位置を正確に計測することが困難になる。その結果、大きなデフォーカスを生じてしまい、チップ不良を発生させうる。よって、計測対象物の表面における反射率分布の影響に対して鈍感で、表面位置および表面形状などのような表面情報を高精度に得るための技術が求められているところである。
本発明は、計測対象物の物理情報を高精度に得るために有利な技術を提供することを目的とする。
本発明の1つの側面は、光源からの光を計測対象物に入射させる計測光と参照面に入射させる参照光とに分割するビームスプリッタと、前記計測対象物で反射された前記計測光と前記参照面で反射された前記参照光とを合成して合成光を生成するビームコンバイナとを有し、前記合成光に基づいて前記計測対象物の物理情報を得る計測装置に係り、前記計測装置は、前記計測光と前記参照光との空間コヒーレンスを変更するコヒーレンス制御部を備える。
本発明によれば、計測対象物の物理情報を高精度に得るために有利な技術が提供される。
本発明の第1実施形態の計測装置の概略構成を示す図。 信号処理方法を模式的に示す図。 原理を説明する図。 第1例の計測シーケンスを示す図。 第2例の計測シーケンスを示す図。 低コヒーレンスモードでの計測結果を例示する図。 高コヒーレンスモードでの計測結果を例示する図。 本発明の第2実施形態の計測装置の概略構成を示す図。 本発明の第3実施形態の計測装置の概略構成を示す図。 本発明の第4実施形態を説明する図。 照明系を例示する図。 本発明の第5実施形態の露光装置の概略構成を示す図。 本発明の第5実施形態の露光方法を示す図。 本発明の第6実施形態の露光装置の概略構成を示す図。 本発明の第6実施形態の露光方法を示す図。 計測領域を例示する図。 従来の計測装置の問題点を説明する図。
以下、添付図面を参照しながら本発明のいくつかの実施形態を説明する。なお、添付図面において同一の要素には同一の参照符号が付されている。
図1は、本発明の第1実施形態の計測装置33の概略構成を示す図である。計測装置33は、計測対象物である基板(例えばウエハ)3を一方向(Y方向)に走査しながら、基板3の物理情報として、基板3の表面位置、即ち、基板3の表面の高さ方向(Z方向)の位置を検出し、これにより基板3の表面形状を計測するように構成されている。ここで、計測装置33は、基板3の物理情報として、計測対象物の表面位置(高さ)を計測する計測装置としても把握されうる。計測装置33は、光源1、ビームスプリッタ2a、参照面4、ビームコンバイナ2b、結像光学系5、16、開口絞り13aおよび13b、分光器50、イメージセンサ8、演算部9、コヒーレンス制御部10および主制御部90を含む。光源1は、計測用の光として、広帯域光を発するハロゲンランプまたはLED(いわゆる白色LEDを含む)を含みうる。光帯域光は、分光器50によって分光が可能な帯域を有する光である。演算部9は、イメージセンサ8によって検出された信号を処理する。コヒーレンス制御部10は、開口絞り13bの位置を制御する。主制御部90は、演算部9およびコヒーレンス制御部10を制御する。ここで、演算部9の少なくとも一部、コヒーレンス制御部10の少なくとも一部および主制御部90の少なくとも一部は、1つのプロセッサで構成されてもよい。
光源1から放射された光は、結像光学系5を通過した後、ビームスプリッタ2aでほぼ半分の光量の2つの光束に分割され、該2つの光束は、基板3と参照面4にそれぞれ斜入射で入射する。入射角度θinとしては、例えば、レジスト等の半透過膜が塗布された基板3のレジスト表面の形状を計測する場合、レジスト表面の反射率を高くする目的で、レジストのブリュースター角以上の入射角が好ましい。例えば、入射角度θinは70度から85度の範囲でありうる。光源1が発生する光の波長の帯域としては、例えば、400nmから800nmの帯域でありうるが、100nm以上の帯域が好ましい。ただし、基板3上にレジストが塗布されている場合には、該レジストの感光を防ぐために、基板3には紫外線(350nm)以下の波長の光を照射しない方がよい。
ビームスプリッタ2aは、例えば、金属膜や誘電体多層膜など膜をスプリット膜としたキューブ型のビームスプリッタ、または、1μmから10μm程度の厚さの薄い膜(材質はSiCやSiNなど)で構成されるペリクル型ビームスプリッタでありうる。ビームコンバイナ2bは、ビームスプリッタ2aと同様の構成を有しうる。ビームスプリッタ2aで分割された計測光と参照光のうち計測光は、基板3に入射し、基板3で反射された後にビームコンバイナ2bに入射する。一方、参照光は、参照面4に入射し、参照面4で反射された後にビームコンバイナ2bに入射する。ビームコンバイナ2bは、計測光と参照光とを合成して合成光を生成する。参照面4としては、例えば、面精度が5nmから20nm程度のガラス平面ミラーを使用することが好ましい。計測光と参照光とは、ビームコンバイナ2bで合成されて合成光(干渉光)となり、分光器50を介してイメージセンサ8の撮像面に入射する。
分光器50は、例えば、分散プリズムで構成されうる。計測光と参照光との合成光(干渉光)は、分散プリズムにより、波長方向に分散され、空間分解方向の広がり(X方向)と波長分解方向の広がりとを有する像をイメージセンサ8の撮像面に形成する。イメージセンサ8では、この像を一次元位置情報(X方向)と波長情報(分光信号)とを含む分光干渉信号として検出する。結像光学系5は、光源1の像を基板3上に形成する。結像光学系16は、結像光学系5により基板3上に形成された光源1の像をイメージセンサ8の撮像面上に形成する。ここで、結像光学系5、16は、反射型のミラーで構成されてもよい。
開口絞り(第1開口絞り)13aおよび開口絞り(第2開口絞り)12bは、イメージセンサ8の撮像面に干渉光の像を形成する計測光と参照光との空間コヒーレンスを計測モード(空間コヒーレンスモード)の変更に応じて変更するために使用される。開口絞り13aの開口部の径(寸法)は、開口絞り13bの開口部の径(寸法)よりも大きい。開口絞り13aによって、計測光および参照光のNA(開口数)(即ち空間コヒーレンス)が定まるモードを低コヒーレンスモード、開口絞り13bによって、計測光および参照光のNA(即ち空間コヒーレンス)が定まるモードを高コヒーレンスモードと呼ぶことにする。
コヒーレンス制御部10は、主制御部90から高コヒーレンスモードへの変更が指令されると、計測光および参照光の光路における開口絞り13aに隣接する位置に開口絞り13bを移動させるようにアクチュエータACTを制御する。コヒーレンス制御部10は、主制御部90から低コヒーレンスモードへの変更が指令されると、光路から光路外に開口絞り13bを移動させるようにアクチュエータACTを制御する。これにより、低コヒーレンスモードでは、開口絞り13aにより計測光および参照光のNA(開口数)が定まる。この例では、開口絞り13aを光路に固定し、開口絞り13bを光路に移動させたり光路外に移動させたりするが、光路に配置される開口絞りを交換するように構成されてもよい。開口絞り13b(又は、開口絞り13aおよび13b)を駆動するアクチュエータACTは、例えば、回転機構および並進機構の少なくとも1つを含みうる。アクチュエータACtは、駆動源として、例えば、モーターおよびエアーシリンダの少なくとも1つを含みうる。
続いて、イメージセンサ8によって検出された分光干渉信号を演算部9によって処理して基板3またはそれに塗布されたレジストの表面形状または表面位置(高さ)を求める方法を説明する。図2(A)には、イメージセンサ8によって検出された分光干渉信号が例示されている。横軸は波長(λ)、縦軸は光強度である。分光器50を用いて干渉光を複数の波長に分散させることで、参照光と計測光との光路長差を周波数の違いに変換した分光干渉信号をイメージセンサ8によって検出することができる。演算部9は、この分光干渉信号の横軸を図2(B)のように内挿処理を施し波数(k)に変換し、次に、図2(C)のように周波数帯域をkrまで拡大する。この時の始点はk=0とする。ここで、周波数帯域を拡大する理由は、後のフーリエ変換により実空間に変換した時のピッチ分解能を向上させるためである。
次いで、演算部9は、図2(C)の分光信号に高速フーリエ変換(FFT)処理を行って、図2(D)のように実部を抽出し、次に、この実部の中から必要な領域を抽出することで、図2(E)のように実空間での光路長差を有する白色干渉信号を取得する。図2(E)において、横軸が基板の表面の高さ方向(Z軸方向)に相当する計測値、縦軸が光強度を表している。図2(E)は、いわゆるZスキャンの白色干渉信号であり、この干渉信号のピーク位置npを求めることにより、基板の表面位置(高さ)を求めることができる。なお、ピークの位置を計測する方法として、公知の技術であるFDA(米国特許登録番号第5398113)を使用することもできる。FDA法では、フーリエスペクトルの位相勾配を用いて干渉信号のピーク位置を求めている。白色干渉計を用いた計測においては、その分解能を決める鍵は、参照光と計測光との光路長差がゼロとなる位置をいかに正確に求めるかにある。そのため、FDA法以外に、位相シフト法やフーリエ変換法により白色干渉縞の包絡線を求め、縞コントラストの最大位置から光路差のゼロ点を求め方法、位相クロス法等、いくつかの縞解析法が公知の技術として提案されており、適用可能である。具体的な高さの算出式は、図2(F)に示すように、基板への入射角度をθin、周波数帯域をkrとした場合、式(1)のようになる。
Z=π/(kr・cosθin)・np ・・・(1)
このようにして、図1における基板3のX方向における複数の位置に対応するイメージセンサ8上の分光干渉信号を処理することにより、基板3上のY方向のある位置におけるX方向に伸びたスリット状の領域の表面位置(高さ)を得ることができる。基板3を不図示のステージ機構によりY方向に等速で走査することにより、イメージセンサ8のフレームレートで決まる計測ピッチで基板3の表面形状(2次元の面内の複数点における表面位置)を計測することができる。ここで、同時に計測することができるX方向における領域の大きさは、結像光学系16の結像倍率とイメージセンサ8の大きさで決まる。したがって、計測対象物の大きさに応じて、不図示の基板ステージ機構により基板3をX方向にステップさせた後にY方向に走査することにより、基板3の全面の表面形状を計測することができる。
次に、空間コヒーレンスの制御の目的とその原理について説明する。図3に示すように、開口絞り13および結像光学系16を含む結像光学系の開口数(NA)を制御することにより、空間コヒーレンスが制御される。図3(a)は、空間コヒーレンスと開口数(NA)との関係を示していて、図1のYZ平面に対応する。図3において、低コヒーレンスの光源1から放射された光は、結像光学系5およびビームスプリッタ2aを通して基板3および参照面4に入射し、結像光学系16を介してイメージセンサ8の撮像面に像を形成する。ここで、基板3に入射し基板3で反射される光が計測光、参照面4に入射し参照面4で反射される光が参照光である。基板3がz方向にdz変位すると、イメージセンサ8の撮像面上での参照光に対する計測光の変位量Z1は、式(2)で表される。なお、説明を簡単にするために、結像光学系16の結像倍率を1としている。
Z1=2dzsin(θin) ・・・(2)
ここで、θinは、基板3への計測光の入射角度である。低コヒーレンスの光源1は、点光源の集合体と考えることができる。したがって、同一の点光源から放射された光が参照光と計測光に分割され、その点像が重なる時にのみ光の干渉が生じる。結像光学系16の像面(イメージセンサ8の撮像面)における点像強度分布I(r)は、開口絞り13(13aまたは13b)の円形開口のフラウンホーファー回折での強度分布であり、結像光学系16の開口数をNAとして場合に、式(3)で表すことができる。
・・・(3)
ここで、rは像面における半径、λは波長、Jは1種1次ベッセル関数であり、ピーク強度を1に正規化した式である。更に、回折像の強度が最初にゼロになるrの値rは式(4)で与えられる。
=0.61λ/NA ・・・(4)
式(4)は、エアリディスク(エアリー像)の半径を示す。参照光に対する計測光の変位量Z1が、エアリディスクの直径を超えると、参照光と測定光の点像が重ならなくなり、光の干渉が生じなくなる。干渉が生じる条件は、式(2)、(4)より、式(5)で表わされる。
・・・(5)
式(5)において、広帯域の波長の光を放射する光源を使用する場合、その中心波長λcをλとすれば良い(λ=λc)。
更に、式(5)は完全に干渉性が無くなる条件であるが、この範囲内においても、基板3の高さ方向の変位により、参照光に対する計測光の断面方向の位置ずれが生じて干渉性が低下する。干渉性が低下すると、イメージセンサ8によって検出される信号のコントラストが低下し、信号のS/Nが劣化する。そこで、参照光に対する計測光の断面方向の位置ずれがエアリディスクの半径に相当する条件として、式(6)を使用することもできる。
・・・(6)
図3(b)には、空間コヒーレンスが低いモード、すなわち高NAのモードにおける点像強度分布が例示され、図3(c)には、空間コヒーレンスが高いモード、すなわち低NAのモードにおける点像強度分布が例示されている。高NAの場合、比較的点像分布関数のピーク強度は高いものの半径が短いため、測定光と参照光との重なる範囲が狭くなり干渉性は低い。一方、低NAの場合は、点像のぼけ量が大きく、測定光と参照光との重なる範囲が広いが、ピーク強度が低い。したがって、高コヒーレンスモードと低コヒーレンスモードとの使い分けを考える。高コヒーレンスモードでは、干渉性が高いので広い高さレンジ(Zレンジ)を有するが、NAが小さいために光量が少なく、計測精度が比較的悪い。精度が比較的悪くなる理由としては、例えば、イメージセンサ8の暗電流ノイズ、読み出しノイズ、ショットノイズの影響を受けやすくなることを挙げることができる。そこで、高コヒーレンスモードは、粗検出(プリアライメント)に使用することが好ましい。これは、高コヒーレンスモードでは、高さ(表面位置)が不明の計測対象物を広い高さレンジで計測可能であり、その計測精度は、低コヒーレンスモードにおける高さレンジと同等であれば良いからである。一方、低コヒーレンスモードでは、干渉性が低いために高さレンジが狭いが、NAが大きいために、光量が多く計測精度が良いという特徴がある。また、干渉性がより低いので、レジスト等の半透明膜表面からの反射光と半透膜裏面からの反射光の干渉の妨げることにより、半透明膜表面の形状を、より精度良く計測することが可能である。
以下、計測装置33における計測シーケンスを例示的に説明する。図4には、第1例における計測シーケンスが示されている。まず、ステップS11では、計測対象である基板(ウエハ)3を計測装置33に搬入し基板ステージ機構のステージ上に配置する。続いて、ステップS12では、開口絞り13bを光路に挿入して、高コヒーレンスモードを選択する。次に、ステップS13では、基板3の表面(レジストが塗布されている場合にはレジストの表面)の位置(高さ)を計測する。次に、ステップS14では、ステップS13で計測した高さの情報に基づいて、基板3の表面の高さを低コヒーレンスモードで計測することができる位置に基板3の位置を調整する。この時、ステップS13で基板3上の1点を計測して、ステップS14でその計測値に基づいて基板3の傾きを変えずに基板3の高さを調整することができる。あるいは、ステップS13で基板3上の3点以上の領域の高さを計測して、最小二乗法などによって近似平面を求め、基板3の高さと面傾きを調整してもよい。次に、ステップS15では、開口絞り13bを光路から光路外に移動させ、低コヒーレンスモードを選択する。その後、ステップS16では、ステージ機構により基板3をY方向に等速走査しながら基板3の表面(レジストが塗布されている場合にはレジストの表面)の位置(高さ)を計測する。基板3の全域の計測が終了すると、ステップS17で基板3を計測装置33から搬出し、計測を終了する。
次に、図5を参照しながら第2例における計測シーケンスを説明する。まず、ステープS21では、計測対象である基板(ウエハ)3を計測装置33に搬入し基板ステージ機構のステージ上に配置する。続いて、ステップS22では、開口絞り13aによって計測光および参照光のNAが定まる状態(即ち、開口絞り13bが光路外に出された状態)にして、高コヒーレンスモードを選択する。次に、ステップS23では、基板3の表面(レジストが塗布されている場合にはレジストの表面)の位置(高さ)を計測する。次に、ステップS24では、ステップS23において得られた計測値の信頼性を評価する。具体的には、干渉信号の信号コントラストまたはS/N、計測値(計測した高さの値)の絶対値または計測値のばらつき量(ステップS23で取得した数点のばらつき量)などを評価する。この評価の結果、信頼度の判定がOKである場合にはステップS25に進み、引き続いて、基板ステージ機構によって基板3を走査方向に等速走査しながら基板3の表面(レジストが塗布されている場合にはレジストの表面)の位置(高さ)を計測する。一方、ステップS24で信頼度の判定がNGである場合には、計測を中断してステップS27に進む。ステップS27では、開口絞り13bを挿入して、高コヒーレンスモードに切り替える。ステップS28では、基板3の表面(レジストが塗布されている場合にはレジストの表面)の位置(高さ)を計測する。次に、ステップS29では、ステップS28で計測した高さの情報に基づいて、基板3の表面の高さを低コヒーレンスモードで計測することができる位置に基板3の位置を調整する。次に、ステップS30では、開口絞り13bを光路から光路外に移動させて低コヒーレンスモードを選択する。続いて、ステップS25に進み、ステージ機構により基板3をY方向に等速走査しながら、基板3の表面(レジストが塗布されている場合にはレジストの表面)の位置(高さ)を計測する。第2例は、初めから計測精度が高い低コヒーレンスモードで計測を行うことにより計測のスループットを向上させることができる。第2例は、基板3の表面の大凡の高さが既知である可能性が高い場合に有用である。
以下、具体的な数値例を挙げて説明する。低コヒーレンスモードにおける開口数(NA)をsin(1度)=0.009とし、高コヒーレンスモードにおける開口数(NA)をsin(0.05度)=0.0009とする。入射角度を77度、中心波長λを0.6μmとすると、低コヒーレンスモードでは、式(6)より、基板の高さ変位dz=21μmまでが計測可能なレンジである。一方、高コヒーレンスモードでは、同じく式(6)よりdz=210μmまでが計測可能なレンジである。基板の厚さばらつきは、一般的には±100μm内に収まるので、高コヒーレンスモードで十分に計測することができる。
図6には、低コヒーレンスモードで取得した分光信号が例示されている。より具体的には、図6には、低コヒーレンスモードによってz=0の高さの表面と、z=50μmの高さの表面とを計測した結果が例示されている。z=0の場合の信号コントラストは十分にあり、計測再現性は5nm(3σ)であった。一方、z=50μmの場合の信号コントラストは殆ど無く、高さ計測が不可能であった。なお、開口数は0.5度の場合、z=50μmが、参照光と計測光のずれがエアリディスクの直径に相当する。
図7には、高コヒーレンスモードで取得した分光信号が例示されている。図7に例示されるように、基板3の高さが50μmずれた場合においても、十分な信号コントラストが得られている。NAが小さくて光量が少ないため、z=0の信号を図6の低コヒーレンスモードと比較すると、信号のS/Nは劣化しているが、z=0の場合の計測再現性は20nm(3σ)、z=50μmの場合の計測再現性は30nm(3σ)である。
このように、計測対象の表面の高さの不確定性dzと、入射角度θinと、使用する波長帯域などに基づいて高コヒーレンスモードおよび低コヒーレンスモードの各開口数NAを設計することができる。
なお、低コヒーレンスモードで使用する開口絞りを固定とし、高コヒーレンスモードで使用する開口絞りを可動としたのは、開口絞りの位置が変化すると基板3への入射角度が変化し、計測誤差が生じるためである。高コヒーレンスモードは、粗検出に使用されるので、開口絞りの位置変動による誤差が許容される。
図1に示す構成では、照明方式としてクリティカル照明が採用されているが、ケーラー照明が採用された場合においても同様の効果が得られる。図11は、クリティカル照明とケーラー照明の構成を示している。図11(A)は、クリティカル照明の構成図である。焦点距離がf1の2つのレンズA、Bを使用し、レンズAの前側焦点位置に光源1が配置され、レンズAの後側焦点位置に開口絞りが配置されている。更に、レンズBの前側焦点位置がレンズAの後側焦点位置に一致するようにレンズBが配置され、レンズBの後側焦点位置の近傍に基板3の表面位置が一致するように基板3が配置される。一方、図11(B)は、ケーラー照明の構成図である。ケーラー照明を採用した構成は、光源1と、焦点距離f2のレンズCと、焦点距離f3のレンズDと、焦点距離f3のレンズEと、視野絞りと、開口絞りとを含む。レンズCの前側焦点位置に光源1が配置され、レンズCの後側焦点位置に視野絞りを設置している。更に、レンズDの前側焦点位置がレンズCの後側焦点位置に一致するようにレンズDが配置され、レンズDの後側焦点位置に開口絞りが配置されている。更に、レンズEの前側焦点位置がレンズDの後側焦点位置に一致するようにレンズEが配置され、レンズEの後側焦点位置の近傍に基板3の表面位置が一致するように基板3が配置される。
図1に示す構成では、受光側の結像光学系16に開口絞り13a、13bが配置されるが、照明側の結像光学系5に開口絞り13a、13bが配置されてもよい。
また、図1に示す構成では、2つの空間コヒーレンスを選択的に使用することができるが、3以上の開口絞りを備えることにより3以上の空間コヒーレンスを選択的に使用することができる構成とすることもできる。また、開口絞りの開口部の寸法を連続的または段階的に変更可能な虹彩絞りを採用することによって空間コヒーレンスを可変にしてもよい。
以下、図8を参照しながら本発明の第2実施形態の計測装置33について説明する。なお、第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態にしたがいうる。光源1から放射された光は、コンデンサレンズ11で集光された後に透過スリット板30を通過し、レンズ12、42で構成される結像光学系24に入射する。結像光学系24を通過した光は、ビームスプリッタ2aでほぼ半分の光量の2つの光束に分割され、基板3と参照面4にそれぞれ斜入射で入射する。ここで、結像光学系24は、透過スリット板30のスリットの像を基板3と参照面4のそれぞれの面上に形成する。透過スリット板30は、迷光の遮断、計測範囲の規定のために有用である。
基板3で反射された計測光と参照面4で反射された参照光は、ビームコンバイナ2bで合成されて合成光(干渉光)となり、レンズ52、62を含む結像光学系16を通過した後に分光器50に入射する。ここで、基板3と参照面4の面上に形成されたスリットの像が結像光学系16により入射スリット6に形成される。すなわち、結像光学系24、16により、透過スリット板30と、基板3および参照面4と、分光器50の入射スリット6とが光学的に共役な関係にされている。入射スリット6を通過した合成光は、分光素子7に入射する。分光素子7は、回折格子で構成され、合成光を入射スリット6の短手方向に波長毎に分離する。分光素子7を通過した光は、イメージセンサ8の撮像面に入射し該撮像面に像を形成する。すなわち、イメージセンサ8は、第1実施形態と同様に、分光干渉信号を一次元位置情報と波長情報として検出する。第2実施形態では、分光器50は、入射スリット6と、分光素子7(例えば回折格子)と、結像光学系16により構成される。
投光側の結像光学系24の瞳には、開口絞り22が固定的に配置され、受光側の結像光学系16の瞳には、高コヒーレンスモードであるか高コヒーレンスモードであるかに応じて、開口絞り13が配置されたり配置されなかったりする。投光側の結像光学系24内の開口絞り22の寸法(径)は、受光側の結像光学系16内の開口絞り13の寸法(径)より大きい。開口絞り13は、不図示のアクチュエータにより光路に挿入されたり光路から光路外に出されたりする。開口絞り22のみが使用される場合が低コヒーレンスモード、光路に開口絞り13が配置され、開口絞り13が使用される場合が高コヒーレンスモードである。以上とは反対に、投光側の結像光学系24の瞳には計測モードに応じて開口絞りが配置されたり配置されなかったりし、受光側の結像光学系16の瞳には開口絞りが固定的に配置される構成を採用することもできる。
以下、図9を参照しながら本発明の第3の実施形態の計測装置33について説明する。なお、第2実施形態として言及しない事項は、第1、第2実施形態に従いうる。第3実施形態では、投光系側と受光側にバンドルファイバが使用されている。光源1から放射された光は、コンデンサレンズ11で集光されてバンドルファイバ29に入射する。バンドルファイバ28から出射した光は、レンズ12、42で構成される結像光学系24に入射する。結像光学系24を通過した光は、ビームスプリッタ2aでほぼ半分の光量の2つの光束に分割され、基板3と参照面4にそれぞれ斜入射で入射する。基板3で反射された計測光と参照面4で反射された参照光は、ビームコンバイナ2bで合成されて合成光(干渉光)となる。この合成光は、レンズ52、62を含む結像光学系16を通過した後にバンドルファイバ29に入射し、バンドルファイバ29、更には分光器50を介してイメージセンサ8に入射する。分光器50は、第2実施形態と同様の構成を有しうる。
バンドルファイバ28の入射端28aは、図9に示すように概略円形になるようにファイバの素線が束ねられており、光源1からの光を効率良く取り込むことができる。一方、バンドルファイバ28の出射端28bでは、ファイバ素線が矩形形状になるように束ねられている。これにより、光源1を結像光学系24から離れた位置に自由に配置することができ、光源1が結像光学系24に与える熱的な悪影響を低減することができる。更に、バンドルファイバ28の素線の配列を入射端28aから出射端28bまでの間で組み替える構成としたことにより、第2実施形態で説明した透過スリット板30の機能と同様の機能が提供される。結像光学系24は、例えば、拡大光学系として構成され、X方向に関して基板3上の広い範囲に計測光が照射されうる。
バンドルファイバ29の入射端29aと出射端29bの各ファイバ素線はストレートに結ばれており、入射端29aおよび出射端29bの双方がバンドルファイバ28の出射端28bの形状と同じく矩形形状となっている。バンドルファイバ29により、干渉光は分光器50に導かれる。分光器50内の入射スリット6とバンドルファイバ29の出射端29bの位置を一致させている。あるいは、バンドルファイバ29の出射端の矩形形状そのものを分光器の入射スリットとする構成でも良い。
このような構成により、分光器50およびイメージセンサ8を結像光学系16から離れた位置に自由に配置することができる。受光側の結像光学系16は、例えば、縮小光学系として構成され、基板3上の計測領域(X方向)が縮小してバンドルファイバ29、分光器50およびイメージセンサ8に投影される。これにより、X方向の計測領域を拡大することができるので、基板3上の全域を計測するために要する時間を短縮することができる。
空間コヒーレンスの制御あるいは変更の方法は、第2実施形態と同様である。すなわち、投光側の結像光学系24内の開口絞り22の径(寸法)が受光側の結像光学系16の開口絞り13の径(寸法)よりも大きい。開口絞り22のみが使用される場合が低コヒーレンスモード、光路に開口絞り13が配置され、開口絞り13が使用される場合が高コヒーレンスモードである。投光側の結像光学系24の瞳には、開口絞り22が固定的に配置され、受光側の結像光学系16の瞳には、高コヒーレンスモードであるか高コヒーレンスであるかに応じて、開口絞り13が配置されたり配置されなかったりする。これとは反対に、投光側の結像光学系24の瞳には計測モードに応じて開口絞りが配置されたり配置されなかったりし、受光側の結像光学系16の瞳には開口絞りが固定的に配置される構成を採用することもできる。
以下、図10を参照しながら本発明の第4実施形態の計測装置について説明する。第4実施形態の計測装置は、基板上に形成された半透明膜の厚さ分布または厚さを計測するように構成されている。図10(A)には、計測対象物としてのサンプルSが例示されている。サンプルSは、Si基板201と、Si基板201の上に形成されたSiO膜202とを有し、計測対象はSiO膜202の厚さ分布または厚さである。この計測装置としては、第1実施形態乃至第3実施形態の計測装置33をそのまま使用することができる。最初に、計測装置33において、高コヒーレンスモードでサンプルSの表面位置(高さ)を計測し、その計測値に基づいて該表面位置が低コヒーレンスモードにおける計測レンジに入るように基板ステージ機構によりサンプルSの表面の高さを調整する。その後、高コヒーレンスモードから低コヒーレンスモードに計測モードを変更して、サンプルSをY方向に走査しながら分光干渉信号を取得する。図10(B)には、Si基板201上に1.5μmの厚さのSiO膜202が形成されたサンプルSから得られた分光干渉信号が例示されている。図10(C)には、図2を参照しながら説明した信号処理によって得られた信号、即ち、実空間での光路長差を有する白色干渉信号が例示されている(いわゆるZスキャンの白色干渉信号)。
図10(C)において、白色干渉信号に2つのピーク(T’とB’)が存在する。ピークT’は、図10(A)で示されるように、SiO膜202の表面で反射された計測光Tと参照面4で反射された参照光との光路長が一致することによって生じる。ピークB’は、図10(A)に示されるように、SiO膜202とSi基板201との界面で反射された計測光Bと参照面4で反射された参照光との光路長が一致することによって生じる。計測光Tと計測光Bとの光路長差は、SiO膜202の屈折率がn、SiO膜202の膜厚がdである場合、2n・d・cosθである。ここで、θは空気とSiO膜202との界面における屈折角であり、入射角度をθinとした時、スネルの法則により、式(8)が成り立つ。
sinθ=n・sinθin ・・・(8)
一方、基板3のZ方向の位置変化に伴う光路長差は、2(B’−T’)cosθinであるので、双方の光路長差が等しいという関係から、膜厚dは、式(9)で与えられる。
・・・(9)
B’およびT’の位置は、例えば2次関数によるフィッティングなどの手法を用いることにより、高精度に求めることができる。また、基板ステージ機構によってサンプルSをY方向に等速走査することにより、サンプルSの半透明膜(SiO膜)の厚さ分布の計測を高精度に行うことができる。
以下、図12を参照しながら本発明の第5実施形態の露光装置EXについて説明する。露光装置EXには、前述の計測装置33が組み込まれている。露光装置EXは、例えば、照明系ILと、原版ステージ機構RSMと、投影光学系32と、基板ステージ機構WSM、制御部1000とを備えている。制御部1000は、照明系IL、原版ステージ機構RSM、投影光学系32、基板ステージ機構WSMおよび計測装置33を制御する。計測装置33の参照面4としては、投影光学系32の最終面(平面)が使用されうる。照明系ILは、光源部800と、光源部800から供給される光を用いて原版(レチクル)312を照明する照明光学系801とを含む。光源部800は、例えば、レーザーでありうる。レーザーは、波長が約193nmの光を発生するArFエキシマレーザー、波長が約248nmの光を発生するKrFエキシマレーザーなどでありうるが、光源の種類はエキシマレーザーに限定されない。例えば、波長が約157nmの光を発生するFレーザー、または、波長が20nm以下の光を発生するEUV(Extreme ultraviolet)光源を採用することができる。
照明光学系801は、光源部800から射出された光束の断面形状をスリット形状に成形し、原版(レチクル)21を照明する。照明光学系801は、例えば、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレーター、絞り等を含みうる。照明光学系801は、例えば、コンデンサレンズ、ハエの目レンズ、開口絞り、コンデンサレンズ、スリット、結像光学系の順で光学素子が配置されて構成されうる。
原版31は、例えば、石英のプレートの上に遮光部を配置して構成されうる。原版31は、原版ステージ機構RSMによって位置決めされる。照明系ILによって照明された原版31で生じた回折光は、投影光学系32によって基板3に照射され、これによって基板3に原版31のパターンの像が形成される。原版31と基板3とは、互いに光学的に共役な位置に配置される。原版31と基板3を投影光学系32の縮小倍率比に従った速度比で走査することにより原版31のパターンが基板3(のレジスト)に転写される。原版31の位置は、不図示の原版検出器によって計測され、その計測結果に基づいて原版ステージ機構RSMによって制御されうる。原版ステージ機構RSMは、例えば、原版31を保持する原版チャックを有する原版ステージと、該原版ステージを駆動する駆動機構を含みうる。原版ステージ機構RSMは、例えば、原版31をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびこれらの各軸の周りの回転方向、即ち6軸に関して原版31を位置決めすることができる。
投影光学系32は、原版31が配置される物体面からの光束を基板3が配置される像面に結像させる光学系である。投影光学系32は、複数のレンズ素子からなる光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の凹面鏡とを有する光学系(カタディオプトリック光学系)、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のキノフォームなどの回折光学素子とを有する光学系等でありうる。
基板3は、例えば、ウエハやガラス基板等のプレートの表面上にフォトレジストが配置された構造を有しうる。基板ステージ機構WSMは、例えば、基板3を保持する基板チャックを有する基板ステージWSと、基板ステージWSを駆動する駆動機構を含みうる。基板ステージ機構WSMは、例えば、基板3をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびこれらの各軸の周りの回転方向、即ち6軸に関して原版31を位置決めすることができる。原版31および基板3の位置は、レーザー干渉計などの計測器81によって計測され、その計測結果に基づいて、一定の速度比で駆動されうる。基板ステージWSには、基準プレート39が設けられている。
基板3は、露光時にその表面が投影光学系32の像面に一致するように制御される。ここで、基板3の表面位置は、計測装置33によって計測され、その計測結果に基づいて基板ステージ機構WSMによって基板の表面位置(高さ)が投影光学系32の像面に一致するように駆動される。基板3の表面位置の計測シーケンスは、基板3を走査方向(Y方向)に走査しながらその表面位置を計測する走査計測と、計測領域を変更するために走査方向と直交する方向(X方向)に基板3を移動させるステップ移動との繰り返しを含みうる。計測のスループットを高めるために、複数の計測装置33を備えて、これらにより基板3上の異なる領域の表面位置を並行して計測してもよい。また、複数の計測装置33を備えて、これらにより基板3上の異なる領域の表面位置を並行して計測し、その計測結果に基づいて基板3の表面のチルトを検出してもよい。
次に、図13を参照しながら図12に示す第5実施形態の露光装置EXによる基板を露光方法について説明する。この露光方法は、制御部1000によって制御されうる。まず、ステップS1では、基板(ウエハ)3が露光装置EXに搬入され、ステップS101では、基板3のアライメント(より正確には、アライメントのための計測)を行う。ここでは、アライメントスコープ(不図示)により、基板3上のマークの位置を検出し、その検出結果に基づいて基板3と原版31との位置関係が求められる。
ステップS102では、計測装置33により、基板3の表面位置(高さ)が計測され、基板3の表面形状データが生成され、制御部1000内のメモリに保存される。ステップS103では、基板3は、露光対象のショット領域の走査を開始するための位置に基板ステージ機構WSMによって位置決めされる。この際に、制御部1000は、基板3の面形状データに基づいて、投影光学系32の像面からの基板3の表面のずれ量が低減されるように基板3のZ方向の位置および傾き(チルト)を基板ステージ機構WSMに制御させる。ステップS104では、露光対象のショット領域が走査露光される。この走査露光において、制御部1000は、像面からのずれ量が低減されるように基板3のZ方向の位置および傾き(チルト)を基板ステージ機構WSMに制御させる。これにより、各ショット領域の走査露光において、基板3の走査と同期して基板3の表面を投影光学系32の像面に一致させることができる。ステップS105では、制御部1000は、露光すべきショット領域(即ち、未露光ショット領域)がないかどうかを判断する。そして、制御部1000は、未露光ショット領域がなくなるまでステップS102〜S104の処理が繰り返す。全ての露光ショット領域の露光が終了したら、ステップS106において、基板3が搬出される。
基板3上には、複雑な回路パターンや、スクライブラインなどが存在するので、反射率分布やローカルチルトなどが発生しうる。このため、反射率分布やローカルチルトによる計測誤差を低減できる白色干渉計による表面形状の計測が有用である。ステップS102では、高コヒーレンスモードで基板3の表面の高さが計測され、その高さ情報に基づいて基板3のZ方向に関する位置決めがなされ、その後に、低コヒーレンスモードで基板3を走査しながら基板3の表面形状が計測されうる。この方法によれば、基板3の高さを粗検出するためのフォーカスセンサを別途用意する必要がないので露光装置のシステム構成を簡略化することができ、露光装置EXのコストを低減することができる。更に、この方法によれば、最適露光面と基板表面との位置合わせ(フォーカス合わせ)の精度が向上するので、半導体デバイス等のデバイスの性能が向上し、また、製造歩止まりも向上しうる。
以下、図14を参照しながら本発明の第6実施形態の露光装置EXについて説明する。ここで言及しない事項は、第5実施形態に従いうる。第6実施形態では、基板ステージ機構WSMがツインステージ構成を有する。より具体的には、露光装置EXは、基板を露光する露光ステーションと、基板を計測する計測ステーションとを有する。露光ステーションでは、計測ステーションにおいて行われた計測の結果に基づいて基板を位置決めして露光がなされる。基板ステージ機構WSMは、基板ステージWS1、WS2を有し、一方の基板ステージによって保持された基板3が計測ステーションにおいて計測されているときに、他方の基板ステージによって保持された基板3が露光ステーションにおいて露光される。基板ステージWS1、WS2には、基準プレート39が設けられている。
露光ステーションには、照明系ILと、原版ステージ機構RSMと、投影光学系32とが配置され、計測ステーションには、計測装置33と、基板3上のマークの位置を計測するアライメント検出系200が配置されている。ここで、計測装置33には、第1乃至第3実施形態のいずれかが提供されうる。
次に、図15を参照しながら図14に示す第6実施形態の露光装置EXによる基板を露光方法について説明する。この露光方法は、制御部1000によって制御されうる。ステップS1では、基板(ウエハ)3が露光装置EXに搬入される。続いて、ステップS201では、制御部1000は、搬入された基板3がロットの先頭の基板であるかどうかを判定し、当該基板3がロットの先頭の基板であれば処理をステップS202に進め、そうでなければ処理をステップS207に進める。ステップS202では、制御部1000は、計測装置33の計測モードを高コヒーレンスモードに設定する。ステップS203では、制御部1000は、基板3の表面位置(高さ)の計測処理を実行し、ステップS204では、その計測処理によって得られた計測値を保存する。ステップS205では、制御部1000は、ステップS204で得られた計測値に基づいて、基板3の表面の高さが低コヒーレンスモードにおける計測レンジに入るように基板ステージ機構WSMを動作させる。ステップS206では、計測装置33の計測モードを低コヒーレンスモードに切り替え、その後、処理をステップS209に進める。
ステップ209では、制御部1000は、基板3を走査しながら計測装置33によって分光干渉信号を取得し、その分光干渉信号に基づいて基板3の表面の高さ計測値(z)を取得し、保存する。続いて、ステップS210では、制御部1000は、アライメント検出系200により、基板3上の複数箇所に形成されているアライメントマークの位置を検出し、これにより基板3上のショット領域の位置を計算し、その結果を保存する。
ステップS201でロットの先頭の基板ではないとの判定がなされた場合は、ステップS207において、制御部1000は、計測装置33のモードを低コヒーレンスモードに設定する。続いて、ステップS208では、ステップS204で保存した同一ロットの先頭の基板3の高さ計測値に基づいて、基板3の表面の高さが低コヒーレンスモードにおける計測レンジに入るように基板ステージ機構WSMを動作させる。その後、ステップ209では、制御部1000は、基板3を走査しながら計測装置33によって分光干渉信号を取得し、その分光干渉信号に基づいて基板3の表面の高さ計測値(z)を取得し、保存する。続いて、ステップS210では、制御部1000は、アライメント検出系200により、基板3上の複数箇所に形成されているアライメントマークの位置を検出し、これにより基板3上のショット領域の位置を計算し、その結果を保存する。ここで、基板3の厚さはロット間では異なるものの、同一ロットにおける差は僅かであるため、ロットの先頭の基板3の表面の高さ情報を使用することで、2枚目以降の基板3については、高コヒーレンスモードにおける高さの計測を省略することができる。なお、S209における低コヒーレンスモードでの計測の際、計測値や信号に異常がある場合は、計測装置33の計測モードを高コヒーレンスモードに変更して、粗検出を実施するシーケンス(例えば、図5のS24からS30まで)を追加してもよい。
以上が計測ステーションにおける処理である。その後、計測ステーションにおける処理が終了すると、計測ステーションにあった基板ステージが露光ステーションに移動し、露光ステーションにあった基板ステージが計測ステーションに移動する。そして、ステップS211では、制御部1000は、ステップS209で計測された基板の高さ計測値に基づいて、投影光学系32の最適結像面に基板3の表面が一致するように、高さ(Z)およびチルト(ωx、ωy)を基板ステージ機構WSMに制御させる。これと並行して、ステップS212では、制御部1000は、ステップS210で計測された基板3のショット領域の位置情報に基づいてXY方向の位置を補正しながらY方向に基板3が等速駆動されるように基板ステージ機構WSMを制御する。これと並行して、ステップS213では、原版31のパターンを投影光学系32によって基板3に投影し、基板3を走査露光する。ここで、ここまでの説明から明らかなように、ステップS211、ステップ212およびステップ213の動作は、並行して行われる。この後、基板3上の全ショット領域の露光が終了すると、ステップS214において、露光装置EXから基板3が搬出される。
本発明の好適な実施形態のデバイス製造方法は、例えば、半導体デバイス、液晶デバイス等のデバイスの製造に好適である。前記方法は、感光剤が塗布された基板を、上記の露光装置を用いて露光する工程と、前記露光された基板を現像する工程とを含みうる。さらに、前記デバイス製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。

Claims (9)

  1. 光源からの光を計測対象物に入射させる計測光と参照面に入射させる参照光とに分割するビームスプリッタと、前記計測対象物で反射された前記計測光と前記参照面で反射された前記参照光とを合成して合成光を生成するビームコンバイナとを有し、前記合成光に基づいて前記計測対象物の物理情報を得る計測装置であって、
    前記計測光と前記参照光との空間コヒーレンスを変更するコヒーレンス制御部を備えることを特徴とする計測装置。
  2. 前記空間コヒーレンスは、前記計測光および前記参照光の光路に配置される開口絞りの開口部の寸法によって定まる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
  3. 前記コヒーレンス制御部は、前記計測光および前記参照光の光路に開口絞りを移動させたり、前記光路の外に前記開口絞りを移動させたりするアクチュエータを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
  4. 前記コヒーレンス制御部は、第1開口絞りと、第2開口絞りとを含み、前記第1開口絞りの開口部の寸法は前記第2開口絞りの開口部の寸法より大きく、
    前記第1開口絞りは、前記計測光および前記参照光の光路に固定的に配置され、前記第2開口絞りは、前記計測モードに応じて前記光路に配置されたり前記光路の外に配置されたりする、
    ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
  5. 前記コヒーレンス制御部は、前記第2開口絞りを駆動するアクチュエータを含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
  6. 前記物理情報は、前記計測対象物の表面形状または表面位置である、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の計測装置。
  7. 前記物理情報は、前記計測対象物がその表面に有する膜の厚さ分布または厚さである、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の計測装置。
  8. 原版のパターンを投影光学系によって基板に投影し該基板を露光する露光装置であって、
    前記基板の表面位置を計測するように配置された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の計測装置と、
    前記計測装置によって計測された結果に基づいて、前記投影光学系の像面からの前記表面位置のずれ量が低減されるように前記基板の位置を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする露光装置。
  9. デバイスを製造するデバイス製造方法であって、
    請求項8に記載の露光装置によって基板を露光する工程と、
    露光された該基板を現像する工程と、
    を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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