JP2010122004A - 測定装置、測定方法、コンピュータ、プログラム及び露光装置 - Google Patents

測定装置、測定方法、コンピュータ、プログラム及び露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的簡単かつ高精度に被測定面の位置を測定することが可能な測定装置、測定方法、コンピュータ、プログラム及び露光装置を提供する。
【解決手段】被測定面の位置を測定する測定装置100は、光源112からの広帯域光を分離し、一方を計測光として被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、計測光と参照光によって形成される干渉光を光電変換素子137で検出する干渉計と、光電変換素子137が検出した干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求め、位相分布データP4を補正用位相分布データP3で補正した後、補正された位相分布データP4a及び振幅分布データAを逆フーリエ変換して得られる干渉信号に基づいて被測定面の位置を算出するコンピュータと、を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、測定装置、測定方法、コンピュータ、プログラム及び露光装置に関する。
露光装置において、基板表面の高さ方向の位置を検出するフォーカス検出系が通常使用する光学式センサは、基板のレジストの下層にある金属層の反射の影響を受けてレジスト表面の位置を金属層の位置と誤計測し易い。そこで、近年、白色干渉方式を利用して基板表面の位置を測定する測定装置が提案されている。白色干渉方式を利用すると、金属層の反射の影響を受けずに基板表面(レジスト表面)の位置を測定することができる。
白色干渉計では、光源からの白色光をビームスプリッタで分離して一方を計測光として被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、両面からの反射光を別のビームスプリッタで合成する。この結果、計測光はビームスプリッタを2回透過し、参照光はビームスプリッタを2回反射する。しかしながら、反射位相と透過位相が異なること、及び他の光学系の誤差により検出される白色干渉信号に歪みが発生する。そこで、これを解決するため、特許文献1はビームスプリッタの透過光路の長波長屈折率と短波長屈折率の光路長差とビームスプリッタの反射光路の長波長屈折率と短波長屈折率の光路長差を等しくして白色干渉信号を改善する方法を開示している。
その他の従来技術としては特許文献2がある。
特開平07−198318号公報 米国特許出願公開第2007/0086013号明細書
しかしながら、特許文献1のように透過光路と反射光路の光路長差を補正する方法は煩雑で製造コストの増加と歩留まりの低下をもたらす。
そこで、本発明は、比較的簡単かつ高精度に被測定面の位置を測定することが可能な測定装置、測定方法、コンピュータ、プログラム及び露光装置を提供することを例示的な目的とする。
本発明の一側面としての測定装置は、被測定面の位置を測定する測定装置であって、光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として前記被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出する干渉計と、前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求め、前記位相分布を補正用位相分布で補正した後、補正された位相分布及び前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求め、該第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出するコンピュータと、を有することを特徴とする。
本発明の一側面としての測定方法は、被測定面の位置を測定する測定方法であって、光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として前記被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出するステップと、前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求めるステップと、前記位相分布を補正用位相分布で補正するステップと、補正された位相分布及び前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求めるステップと、前記第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出するステップと、
を有することを特徴とする。
本発明の別の側面としてのコンピュータは、光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出する干渉計において前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求めるフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段によって求められた前記位相分布を補正用位相分布で補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された位相分布及び前記フーリエ変換手段によって求められた前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求める逆フーリエ変換手段と、前記第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出する算出手段と、を有することを特徴とする。
本発明の別の側面としてのプログラムは、コンピュータを上述の各種の手段として機能させる。
本発明の別の側面としての露光装置は、原板のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、前記基板を支持及び駆動する基板ステージと、前記基板の表面の位置を測定する上述の測定装置と、前記測定装置の測定結果に基づいて前記基板ステージによる駆動を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、比較的簡単かつ高精度に被測定面の位置を測定することが可能な測定装置、測定方法、コンピュータ、プログラム及び露光装置を提供することができる。
図1は本実施例の露光装置のブロック図である。本実施例の露光装置は、ステップアンドスキャン方式を利用するが、本発明はステップアンドリピート方式の露光装置にも適用可能である。図1において、Y方向は走査方向であり、X方向は走査方向に直交する非走査方向である。Z方向はXY平面に垂直な方向であり、投影光学系の光軸方向に平行な方向である。また、X軸を回転軸とする方向をωX方向、Y軸を回転軸とする方向をωY方向とする。
露光装置は、照明装置10、原板ステージ20、投影光学系30、基板ステージ40、フォーカス検出系50、制御部60、測定装置100を有する。露光装置は、光源からの光束を利用して投影光学系30を介して原板Mのパターンの像を基板Wに露光する投影露光装置である。
照明装置10は原板Mを照明する機能を有し、露光用の光束を射出する光源と、原板Mを均一に照明する照明光学系と、を有する。原板(マスク又はレチクル)Mは、露光されるパターンを有する。
原板ステージ20は、原板Mを支持し、少なくとも走査方向であるY方向に原板ステージ20を駆動する不図示の駆動機構が設けられている。
投影光学系30は、原板Mと基板Wとを光学的に共役な関係に維持し、原板パターンの像を基板Wに投影する。
基板Wはフォトレジストが塗布されているウエハや液晶基板などである。基板Wは、フォーカス検出系50及び測定装置100によってその表面(被測定面)のZ方向の位置が測定される被検体である。
基板ステージ40は、基板Wを支持してこれをXYZの各軸の方向及び各軸周りの方向に駆動する。基板ステージ40には基準プレート42が搭載されている。基準プレート42は、オプティカルフラットと呼ばれる面精度の良いガラス板などが使用され、その表面は反射率分布のない均一な領域である。基準プレート42は、露光装置の他のキャリブレーション用(例えばアライメント検出計用や、投影光学系の評価用)に必要な各種較正用マークを設けたプレートの一部を使用するようにしてもよい。
フォーカス検出系50は、基板WのZ方向の位置又は表面形状を検出する。本実施例のフォーカス検出系50は光学式センサを利用し、測定装置100とは異なる構成を有する。即ち、フォーカス検出系50は、投光部からの光(斜入射光)でパターンを照明してその像を基板Wに結像し、基板Wからの反射光をCCDなどの受光部で計測する。なお、フォーカス検出系50は、光学式センサの代わりに、エアゲージ、キャパシタンスゲージ、近接プローブを使用してもよい。
制御部60は、露光装置の各部を制御すると共に、フォーカス検出系50による検出結果に基づいて基板ステージ40の駆動を制御してフォーカス制御を行う。また、制御部60は、測定装置100の測定結果に基づいてフォーカス検出系50の検出結果を較正する。制御部60には記憶部62が接続されている。
測定装置100は、基板W(被検体)の表面(被測定面)のZ方向の位置(又は表面形状)、XY面内の所定領域の平均的な高さ、平均的な傾き情報(ωx、ωy)を測定する。更に、基板W上に複数の薄膜が形成されている場合は、最上面の薄膜表面、各薄膜の界面、あるいは、基板そのものの高さ情報のいずれかを計測するものである。
このようにフォーカス検出系50と測定装置100は共に基板Wの表面位置を計測するが、フォーカス検出系50の方が応答性が良く測定装置100の方がパターンによる騙されが少ない。
図2は、測定装置100の光路図である。照明装置110と、投光光学系120と、ステージ系と、受光光学系130と、データ処理系140と、を有する。照明装置110、投光光学系120、ステージ系、受光光学系130は干渉計を構成し、データ処理系140はコンピュータとして実現可能である。
照明装置110は、光源112と照明光学系を有する。
光源112は、広帯域な波長幅の光を発するLED(所謂白色LEDを含む)やハロゲンランプを適用することができ、狭帯域な波長幅の異なる発光波長のレーザーを複数合成してもよい。光源112の波長帯域は、400nmから800nmが好ましいが、この範囲に限定されず、100nm以上の帯域が好ましく、基板W上にレジストが構成さている場合は、レジストの感光を防ぐために350nmよりも高いことが好ましい。光の偏光状態は、無偏光または円偏光の状態にしている。
照明光学系は、発生した光を集光するコンデンサーレンズ114と基板Wに計測光を照射するスリット板116を含む。スリット板116には、50μmのスリット幅で長さ700μm(X方向)の矩形状の透過領域(スリット)が設けられている。透過領域は、矩形に限らず円形、ピンホールとしてもよい。基板Wの計測領域に応じてスリットの大きさを変更してもよい。スリットは透過領域に限らず、金属板などにスリット形状の光透過領域を設けたものを用いてもよい。
投光光学系120は、光束の方向を変更させるプリズム型ミラー121、凹面ミラー122、凸面ミラー123、開口絞り124、光を分岐するビームスプリッタ125を有する。
照明光学系を構成できる十分なスペースがある場合には、プリズム型ミラー121を設ける必要はない。
凹面ミラー122と凸面ミラー123は、それぞれの曲率中心を同心円の関係とした、いわゆるオフナー型と呼ばれる配置関係にしてもよい。更に、凹面ミラー122の曲率(R凹)と凸面ミラー123の曲率(R凸)の関係をR凸=R凹/2とし、それぞれの曲率中心を非同心円の関係としてもよい。
また、反射膜などにより凸面ミラー123の反射領域を制限することにより、開口絞り124の代替としてもよい。
ビームスプリッタ125は、凹面ミラー122からの光を分離する。ビームスプリッタ125は、分離された光の一方(ほぼ半分の光量の光)を透過して計測光として基板Wの被測定面に案内し、分離された光の他方(ほぼ半分の光量の光)を反射して参照光として参照ミラー131の参照面に案内する。基板Wと参照ミラー131への光の入射角度はθで等しい。基板Wへの入射角度θが大きくなると、基板上の薄膜表面からの反射率が薄膜の裏面からの反射率に対して強くなるので、薄膜表面の形状を測定する場合は入射角度θが大きいほど好ましい。一方、入射角度θが90度に近くなると、光学系の組立てが難しくなる。以上から、入射角度θは、70度から85度が好ましい。
本実施例は、ビームスプリッタ125として1μmから5μm程度の厚さの薄い膜(材質はSiCやSiNなど)で構成されるペリクル型ビームスプリッタを使用している。
ステージ系は、基板Wを保持する不図示のウエハチャックと基板Wを駆動する基板ステージ40を有する。基板ステージ40の位置は不図示のレーザー干渉計を利用して測定することができる。
受光光学系130は、参照ミラー131、ビームスプリッタ132、凹面ミラー133、凸面ミラー134、開口絞り135、プリズム型ミラー136及び光電変換素子137を有する。
参照ミラー131は、面精度が10nmから20nm程度のアルミ平面ミラーや、同様の面精度を持つ、ガラス平面ミラーなどを使用することができる。
ビームスプリッタ132は、基板Wの表面(被測定面)に入射してそこで反射した計測光と参照ミラー131の表面(参照面)に入射してそこで反射した参照光とを合成(合波)する。本実施例は、ビームスプリッタ132として1μmから5μm程度の厚さの薄い膜(材質はSiCやSiNなど)で構成されるペリクル型ビームスプリッタを使用している。ビームスプリッタ125と132は、同じ厚さと材質を使用し、かつ、光の入射角度を同一にしている。なお、ビームスプリッタ125と132は、ペリクル型ビームスプリッタの代わりに、金属膜や、誘電体多層膜など膜をスプリット膜としたプリズム型のビームスプリッタを使用してもよい。
凹面ミラー133と凸面ミラー134は、両側テレセントリックな結像光学系を構成し、基板Wの表面を光電変換素子137の受光面に結像させる。凹面ミラー133と凸面ミラー134の配置も凹面ミラー122と凸面ミラー123の配置と同様にすることができる。
開口絞り135は、凹面ミラー133と凸面ミラー134からなる結像光学系の瞳位置に配置され、結像光学系の開口数(NA)をsin(0.1度)からsin(5度)程度の非常に小さなNAに絞っている。反射膜などにより凸面ミラー134の反射領域を制限することにより、開口絞り135の代替としてもよい。
プリズム型ミラー136は光束の方向を変更する偏向部材である。光電変換素子137を構成できる十分なスペースがある場合には、プリズム型ミラー136を設ける必要はない。
光電変換素子137は、計測光と参照光によって形成される干渉光を検出する。光電変換素子137は、フォトディテクターなどの光量検出素子、1次元ラインセンサ(フォトディテクターアレイ、CCDラインセンサ、CMOSラインセンサなど)、2次元センサ(2次元CCD、2次元CMOSなど)などを使用することができる。1次元ラインセンサや2次元ラインセンサをしようすると、1回の計測にて検出可能な基板Wの計測領域が増加し、測定時間を短縮することができる。
データ処理系140は、演算処理部142、データ保存用の記憶部144、測定結果、測定条件を表示する表示部146を有する。演算処理部142は制御部60に処理結果を出力する。
測定装置100の動作において、光源112からの光は、コンデンサーレンズ114でスリット板116の透過領域(スリット)付近に集光され、投光光学系120は、基板W及び参照ミラー131にスリットの像を結像させる。投光光学系120を通った光のほぼ半分の光量の光はビームスプリッタ125を透過してその主光線は入射角度θで基板Wに入射し、ほぼ半分の光量の光はビームスプリッタ125を反射して参照ミラー131に基板Wと同じ入射角度θで入射する。
基板Wで反射した光と参照ミラー131で反射した光は共にビームスプリッタ132に入射し、ビームスプリッタ132で合成される。また、基板W及び参照ミラー131に結像したスリットの像は、凹面ミラー133と凸面ミラー134により光電変換素子137の受光面に再結像される。光電変換素子137の受光面上では、計測光と参照光が重なり、光の干渉(干渉光)が生じる。
白色干渉信号を光電変換素子137で得るために、基板ステージ40をZ方向に駆動する。なお、基板Wの測定領域を変更させる場合には、基板ステージ40をX方向、または、Y方向に駆動して所望の領域が光電変換素子137の受光領域に位置するように位置合わせした後に上述の測定を行う。
ビームスプリッタにおいてはその半透膜の特性から、透過光と反射光に位相差が生じる。このため、ビームスプリッタ125と132を透過した計測光とそれらを反射した参照光では、各波長で位相が異なる。すると、光電変換素子137が出力する白色信号波形は、図3に示すように、歪む。白色干渉信号の歪みは、ビームスプリッタに起因するだけではなく、測定装置100における各部品の組み立て誤差によっても生じる。例えば、組立時に、入射光に対するビームスプリッタ125又は132の角度が設計値からずれると計測光と参照光の位相ズレ量が変化する。また、参照ミラー131の設置角度がずれたり、参照ミラー131の表面に他の物質が付着したり、変質したり、もしくは、設計値とは異なる反射膜が成膜されたりした場合にも、参照光の位相が変化して白色干渉信号に歪みが生じる。
白色干渉信号(インターフェログラム)は、白色光の各波長(周波数)における光干渉強度の総和である。そこで、白色干渉信号をフーリエ変換(厳密には複素フーリエ変換)すると各波長に対応した周波数において振幅と位相の情報を得ることができる。ここで、周波数を変数とする位相分布(位相の周波数依存性)は、光学系の各波長に対する位相変化、被測定面の各波長に対する位相変化等に依存する。
例えば、図4の左側に示す白色干渉信号をフーリエ変換した波長λ1、λ2、λ3の成分は図4の右側のようになる。振幅a1、a2、a3は、白色干渉信号をフーリエ変換して得られる結果の実部と虚部から算出される振幅であり、対応する周波数f1、f2、f3の振幅の大きさに比例する。図5は、白色干渉信号をフーリエ変換して得られた結果の位相分布を示すグラフである。周波数f1、f2、f3は、図4の波長λ1、λ2、λ3にそれぞれ対応し、周波数f1、f2、f3における位相は図4の位相b1、b2、b3に対応する。
本出願において「白色」という用語は「広帯域光」と同義である。これは、青色を使用しない波長領域(例えば、500nm〜800nm)の広帯域光を使用しても効果が得られるからである。また、広帯域光は、コンピュータによる信号処理により分離可能な複数の波長(又は周波数)を含む光であると定義することができる。
本実施例は、フーリエ変換した結果の振幅を維持し、製造誤差、組立誤差により生じた位相ズレを周波数に対して補正し、その後、逆フーリエ変換することで、高コントラストの白色干渉信号を得る。このように、本実施例は、干渉計の光学系自身を補正する代わりに信号波形の位相を補正しているので比較的簡単且つ高精度に被測定面の位置を測定することができる。
図6及び図7は、データ処理系140による処理を説明するためのフローチャートである。なお、図6及び図7において、「S」はステップの略である。図6に示すフローチャートはプログラム(ソフトウェア)として記憶部144に格納されている。
まず、基板ステージ40をZ方向に駆動させ、光電変換素子137が白色干渉信号(第1干渉信号)を検出する(S1000)。次に、演算処理部142は、白色干渉信号(第1干渉信号)をフーリエ変換して(S1100)、位相分布データP4と振幅分布(強度)データAを求め、記憶部144に記憶する(S1200)。
次に、演算処理部142は、位相分布データP4を補正してそこから干渉計の光学系の誤差が除去された(即ち、誤差を含まない)位相分布データP4aを生成する(S1300)。
図7は、S1300の詳細を示すフローチャートである。
まず、演算処理部142は、基準の位相分布データP1を既に保持しているかどうかを判断する(S1301)。基準の位相分布データP1は、ある被測定面について計測、計算又はシミュレーションを行った場合に得られる誤差のない理想的な位相を表している。
基準の位相分布データP1を保持していないと判断した場合(S1301のNo)、演算処理部142は、実測した光源112の分光特性、光学系の分光特性、波面収差などの設計値を与えてシミュレーションを行い、白色干渉信号を算出する(S1302)。ここでは、計測対象を基準プレート42として屈折率と吸収係数を与えたシミュレーションを実施する。これにより、干渉計の光学系の製造誤差や組立誤差の影響を受けない白色干渉信号が得られる。また、光源112の分光特性としては実測値の代わりに公称値又は設計値を用いてもよい。
次に、演算処理部142は、この白色干渉信号に対してフーリエ変換を実施し(S1303)、フーリエ変換により得られた位相を基準の位相分布データP1として記憶部144に記憶する(S1304)。
位相分布データP1を既に保持していると判断した場合(S1301のYes)又はS1304の処理を実施した場合に、演算処理部142は、誤差含有の位相分布データP2を保持しているかどうかを判断する(S1305)。誤差含有の位相分布データP2が含有する誤差は、干渉計の光学系の誤差である。
S1305で保持していないと判断した場合には(S1305のNo)、演算処理部142は、基準プレート42をZ方向に駆動して実測し、白色干渉信号を取得して記憶部144に記憶する(S1306)。このように、S1304とS1308は、同一の被測定物である基準プレート42を使用して得られる干渉信号を利用する。
次に、演算処理部142は、取得した白色干渉信号をフーリエ変換し(S1307)、位相成分を誤差含有の位相分布データP2として記憶部144に記憶する(S1308)。
誤差含有の位相分布データP2を既に保持していると判断した場合(S1305のYes)又はS1308の処理を実施した場合に、演算処理部142は、誤差含有の位相分布データP2から基準の位相分布データP1を各波長で減算する。これにより、演算処理部142は、干渉計の光学系の誤差を表す補正用位相分布データP3を算出する(S1309)。S1309では、演算処理部142は、製造誤差及び組立誤差を含む位相分布データP2から製造誤差及び組立誤差の無い位相分布データP1を減算することにより、製造誤差及び組立誤差で生じた位相ズレ成分(補正用位相分布データP3)を算出する。
なお、予め算出した補正用位相分布データP3を記憶部144に記憶しておき、S1309を省略することも可能である。このとき、光源を含めた光学系の分光特性または基準プレート42の波長に対する反射特性が変化した場合には、補正用位相分布データP3を算出し直して、記憶部144に記憶していた補正用位相分布データP3を更新することが好ましい。
次に、演算処理部142は、位相分布データP4から補正用位相分布データP3を減算することにより補正された位相分布データP4aを算出する(S1310)。位相分布データP4は、基板Wに対して計測した白色干渉信号をフーリエ変換して求めた位相分布データであり、測定装置100の製造誤差及び組立誤差の影響を含んだ位相である。演算処理部142は、位相分布データP4から補正用位相分布データP3を減算することにより、製造誤差及び組立誤差が無い補正された位相分布データP4aを算出する。
なお、S1306で計測する基板の物性値(屈折率や吸収係数など)が既知である場合は、S1302でその基板に対する白色干渉シミュレーションを行い、S1306でその基板に対する白色干渉信号を取得してもよい。また、S1302で光学系の波面収差を与えずにシミュレーションを行うことにより、S1309で設計値起因による白色干渉信号の悪化をも補正することもできる。また、S1302において、複数の測定装置100を製作して、それらの平均的な白色干渉信号を前記シミュレーションによる白色干渉信号の代わりに用いてもよい。
その後、演算処理部142は、補正された位相分布データP4aと振幅分布データAを逆フーリエ変換し(S1400)、補正された白色干渉信号(第2干渉信号)を求める(S1500)。これにより、測定装置100に製造誤差及び組立誤差が存在する場合でも、歪みを低減した白色干渉信号を得ることが可能となり、高精度な表面形状検出が実現できる。
最後に、演算処理部142は、補正された白色干渉信号(第2干渉信号)に基づいて基板Wの表面である被測定面のZ方向の位置を算出し、基板Wの表面形状を取得する(S1600)。
図8は、白色干渉信号のグラフである。横軸は基板ステージ40のZ方向の位置であり、縦軸は光電変換素子137の出力である白色干渉信号の強度である。基板ステージ40のZ方向の位置は、不図示のZ軸測長干渉計(測長センサとしては、静電容量センサでもよい)によって測定される。演算処理部142は、白色干渉信号の信号ピークの位置を算出し、それに対応したZ位置がその検出領域での高さ位置となる。光電変換素子137に2次元センサを用いれば、基板Wの三次元形状を測定することが可能となる。
より具体的には、白色干渉信号の包絡線のピークや干渉信号の最大コントラストを検出し、基板Wの表面位置を検出する。また、白色干渉信号の中心の干渉縞(以下、セントラルフリンジ)に対して、信号強度ピーク、重心計算、または、二次近似などの関数フィッティングを実施する。これにより、セントラルフリンジのピーク検出が可能となり、基板Wの表面位置を検出することも可能となる。更に、白色干渉信号の測定値に対して移動平均や関数フィッティングなどを実施することで、図8の横軸であるZ方向のサンプリングピッチZpの1/10から1/50程度の分解能で基板Wの表面位置の検出が可能である。サンプリングピッチZpは、等ピッチでステップ的に駆動させる方法でも良い。また、Zステージの速度をZspとし等速度で駆動して、光電変換素子137の取り込みタイミングに同期して、Z軸測長干渉計の出力(Z位置)を取り込む場合、計測時間の短縮が可能である。
演算処理部142は、基板Wの各点のXY方向の各点において図6の処理を実行することによって、基板表面全体の形状を求め、記憶部144にその形状データを保存し、また、形状データを表示部146で表示可能としている。
なお、本実施例は、参照ミラー131を固定し、基板Wを駆動しているが、基板Wを固定し、参照ミラー131をZ方向に駆動してもよい。更に、基板W又は参照ミラー131の駆動を伴わずに、特許文献2に開示されているように、受光センサ手前に分光素子を配置して、センサ上にて波長毎の干渉強度を検出してもよい。
露光においては、測定装置100が基板Wの表面形状を測定し、制御部60が、測定装置100の測定結果に基づいて基板ステージ40の駆動を制御する。
より具体的には、フォーカス検出系50の検出結果を測定装置100の測定結果によって較正することができる。図9は、較正方法を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部60は、フォーカス検出系50により基準プレート42のZ方向の位置を検出し(S1702)、その検出値Omを記憶部62に格納する(S1704)。次に、制御部60は、フォーカス検出系50の検出対象位置とXY面に関して同じ位置を測定装置100で測定し(S1706)その測定値Pmを記憶部62に格納する(S1708)。
次に、制御部60は、図10に示すように、測定装置100の測定値Pmとフォーカス検出系50の検出値Omの差である第1オフセットを算出する(S1710)。第1オフセットは本来ゼロになるべきであるが、基板ステージ40の走査方向のオフセットやフォーカス検出系50又は測定装置100の長期的なドリフトなどの誤差要因によって発生する。このため、本実施例の制御部60は、定期的に第1オフセットを取得しているが、これらの誤差要因が変化しないとみなせる場合には第1オフセットを一度のみ取得すればよい。
これで、基準プレート42を用いた較正フローを終了する。
次に、制御部60は、基板Wの測定位置Wp(XY面内)のZ方向の位置をフォーカス検出系50で検出し(S1712)、その検出値Owを記憶部62に格納する(S1714)。なお、測定位置Wpは、基板内の1点、転写領域(ショット)内の1点、ショット内の全点、複数ショット内の全点、基板内の全点などの各種モードから選択できるようになっている。次に、制御部60は、基板Wの測定位置Wpを測定装置100で測定し(S1716)その測定値Pwを記憶部62に格納する(S1718)。
次に、制御部60は、図10に示すように、測定装置100の測定値Pwとフォーカス検出系50の検出値Owの差である第2オフセットを測定位置Wp毎に算出する(S1720)。
次に、制御部60は、基板上の測定位置毎に、第2オフセットと第1オフセットの差を記憶部62に格納する(S1722)。基板W上の各測定位置におけるオフセット量Opは次式で表わされる。
(数1)
Op(i) =[Ow(i)−Pw(i)]−(Om−Pm) (2)
ここで、iは基板上の測定位置を表す番号である。オフセット量Opとしては、露光ショット単位(ステップアンドリピート方式の場合はショット、ステップアンドスキャン方式の場合は露光スリット単位)で、平均的高さオフセット(Z)、平均傾きオフセット(ωz、ωy)を保存してもよい。更には、基板上の各ショットの平均値としてオフセット量Opを求めて保存してもよい。
これで、基板Wの較正フローを終了する。
その後の走査露光において、フォーカス検出系50は基板W上の測定位置の面位置を測定し、それを数式1で補正して基板の表面形状を測定する。制御部60は、補正後の基板形状に基づいてフォーカス制御を行う。本実施例によれば、基板上の反射率分布やローカルチルトによる測定誤差を低減してフォーカス精度を向上し、高解像度を維持すると共に製造歩留まりを維持することができる。
投光光学系120と受光光学系130はミラーを用いた斜入射の反射光学系の代わりに垂直入射又は屈折光学系を用いてもよい。図11は、垂直入射型屈折光学系を使用した測定装置100Aのブロック図である。図11において、図2と同様の部材には同一の参照符号を付している。
光源112を発した光はコンデンサーレンズ114でスリット板116に集光される。スリット板116を通過した光束は投光光学系120Aのレンズ126を通過した後、ビームスプリッタ127に入射する。ビームスプリッタ127を通過した計測光は基板Wに垂直入射し、基板Wで反射する。その後、ビームスプリッタ127で反射した後、受光光学系130Aのミラー138で反射し、レンズ139を通過して光電変換素子137で検出される。一方、ビームスプリッタ127で反射した参照光は参照ミラー131に垂直入射した後、参照ミラー131で反射する。その後、ビームスプリッタ127を透過した後、ミラー138で反射し、レンズ139を通過して光電変換素子137で検出される。
この際、参照光がビームスプリッタ127を通過する光路はd1+d2+d2+d4であるのに対して計測光がビームスプリッタ127を通過する光路はd1+d3+d3+d4である。ここで、d2とd3を等しく製作するのは困難であり、その厚み差とビームスプリッタ127の光学的性質(分散)の影響により、参照光と計測光に位相差が生じ、図3に示すように、白色干渉信号が崩れる。また、参照光と計測光はビームスプリッタ127の異なる面より入射して反射するため、反射により生じる位相変化が異なり、同様に、白色干渉信号が崩れる。更に、特許文献1で指摘されているように、ビームスプリッタ127の接着層の影響も発生する。計測光と参照光で接着層を通過する回数が異なり、接着層の分散の影響を受け、同様に、白色干渉信号が崩れる。このため、位相を補正することによって、白色干渉信号の波形の歪みを低減することが可能でき、高精度な表面位置計測が可能となる。
つぎに、デバイス(半導体デバイス、液晶表示デバイス等)の製造方法について説明する。ここでは、半導体デバイスの製造方法を例に説明する。
半導体デバイスは、ウエハに集積回路を作る前工程と、前工程で作られたウエハ上の集積回路チップを製品として完成させる後工程を経ることにより製造される。前工程は、前述の露光装置を使用して感光剤を塗布した基板を露光する工程と、その基板を現像する工程を含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)を含む。
本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
実施例の露光装置のブロック図である。 図1に示す露光装置に適用可能な測定装置のブロック図である。 図2に示す測定装置の測定誤差を説明するためのグラフである。 干渉信号をフーリエ変換した図である。 干渉信号をフーリエ変換した位相分布を示すグラフである。 図2に示す演算処理部の動作を説明するためのフローチャートである。 図6のS1300の詳細を説明するためのフローチャートである。 図6のS1600の方法を説明するためのグラフである。 図6のS1600の結果を露光方法において使用する方法を説明するためのフローチャートである。 図9のS1710とS1720の動作を説明するための断面図である。 図1に示す露光装置に適用可能な別の測定装置のブロック図である。
符号の説明
M 原板
W 基板
30 投影光学系
40 基板ステージ
50 フォーカス検出系
60 制御部
100、100A 測定装置
137 光電変換素子
142 演算処理部

Claims (8)

  1. 被測定面の位置を測定する測定装置であって、
    光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として前記被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出する干渉計と、
    前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求め、前記位相分布を補正用位相分布で補正した後、補正された位相分布及び前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求め、該第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出するコンピュータと、
    を有することを特徴とする測定装置。
  2. 被測定面の位置を測定する測定方法であって、
    光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として前記被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出するステップと、
    前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求めるステップと、
    前記位相分布を補正用位相分布で補正するステップと、
    補正された位相分布及び前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求めるステップと、
    前記第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出するステップと、
    を有することを特徴とする測定方法。
  3. シミュレーションもしくは計測により求めた干渉信号をフーリエ変換することにより基準の位相分布を算出するステップと、
    前記測定装置において実測により取得した干渉信号をフーリエ変換することにより誤差含有の位相分布を算出するステップと、
    前記誤差含有の位相分布と前記基準の位相分布との差から前記補正用位相分布を算出するステップと、
    を有することを特徴する請求項2に記載の測定方法。
  4. 前記基準の位相分布を算出するステップと前記誤差含有の位相分布を算出するステップは、同一の被測定物を使用して得られる干渉信号を利用することを特徴とする請求項3に記載の測定方法。
  5. 光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出する干渉計において前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求めるフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段によって求められた前記位相分布を補正用位相分布で補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された位相分布及び前記フーリエ変換手段によって求められた前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求める逆フーリエ変換手段と、
    前記第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出する算出手段と、
    を有することを特徴とするコンピュータ。
  6. コンピュータを、
    光源からの広帯域光を分離し、一方を計測光として被測定面に案内し、他方を参照光として参照面に案内し、前記計測光と前記参照光によって形成される干渉光を光電変換素子で検出する干渉計において前記光電変換素子が検出した第1干渉信号をフーリエ変換して位相分布及び振幅分布を求めるフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段によって求められた前記位相分布を補正用位相分布で補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された位相分布及び前記フーリエ変換手段によって求められた前記振幅分布を逆フーリエ変換して第2干渉信号を求める逆フーリエ変換手段と、
    前記第2干渉信号に基づいて前記被測定面の位置を算出する算出手段と、
    として機能させるためのプログラム。
  7. 原板のパターンの像を基板に露光する露光装置であって、
    前記基板を支持及び駆動する基板ステージと、
    前記基板の表面の位置を測定する請求項1に記載の測定装置と、
    前記測定装置の測定結果に基づいて前記基板ステージによる駆動を制御する制御部と、
    を有することを特徴とする露光装置。
  8. 請求項7に記載の露光装置を用いて基板を露光するステップと、
    露光された基板を現像するステップと、
    を有することを特徴とするデバイスの製造方法。
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