JP2003185409A - 干渉測定方法及び干渉計の制御装置、並びに、投影レンズの製造方法及び投影露光装置 - Google Patents

干渉測定方法及び干渉計の制御装置、並びに、投影レンズの製造方法及び投影露光装置

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JP2003185409A
JP2003185409A JP2001387753A JP2001387753A JP2003185409A JP 2003185409 A JP2003185409 A JP 2003185409A JP 2001387753 A JP2001387753 A JP 2001387753A JP 2001387753 A JP2001387753 A JP 2001387753A JP 2003185409 A JP2003185409 A JP 2003185409A
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lens
interferometer
light beam
interference
measurement
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Jun Kawakami
潤 川上
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  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コヒーレンス干渉における光路差調整用の
光学素子の最適位置を確実に決定する。 【解決手段】 被検レンズの透過光束である被検光束を
所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計によ
り、前記被検レンズの透過波面を測定する干渉測定方法
であって、前記干渉計において光学素子を移動させると
共に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラ
ストの変化カーブをその干渉縞の各位置について取得
し、前記前測定手順で取得したカーブの重複領域内で最
大コントラストを与える前記光学素子の位置を求め、そ
の位置を前記測定時における前記光学素子の最適位置と
みなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、干渉計により被検
物の透過波面を測定する干渉測定方法及びその干渉計の
制御装置、並びに、前記干渉測定方法を利用した投影レ
ンズの製造方法及び投影露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】投影露光装置に搭載される投影レンズの
性能検査の1つに、干渉測定による透過波面の測定があ
る。図11は、透過波面の干渉測定を説明する図であ
る。この干渉測定は、干渉計(図11では、主に符号1
11、1112、1113、1117、1119であ
る。)から出射された光束L0を被検レンズ110に透
過させることでその被検レンズ110の収差を示す情報
を含んだ透過光束L1を生成し、その透過光束を被検光
束として所定の参照光束L2(図11の干渉計では、参
照面1119にて反射した光束)と干渉させ、その干渉
により生じた干渉縞を検出器1113で検出し、その検
出器1113が示す干渉縞のパターンから、透過光束の
波面(透過波面)を算出するものである。図11におい
て符号1115で示すのは、被検レンズ110を透過し
た被検光束を、干渉計へ戻すための反射鏡である。
【0003】ところで、この干渉測定の光源111の波
長は、被検レンズ110の性能を正確に調べるために、
被検レンズ110の使用時の光源の波長とほぼ同じとさ
れる。しかしながら、投影レンズの使用時の光源は、高
解像度を達成するために短波長化されているので、その
投影レンズの透過波面を測定対象とする干渉測定では、
使用できる光源が、少ない種類に限定されてしまう。
【0004】このため、干渉測定には、単色性の低い
(所定のスペクトル幅を有している)光源が使用される
ことになる。したがって、その干渉は、所謂「低コヒー
レンス干渉」となる。低コヒーレンス干渉は、参照光と
被検光とが干渉し得る光路差(可干渉距離)が小さい
(なお、本明細書中の「光路差」「光路長」「可干渉距
離」などの距離を示す文言は、何れも幾何学的距離では
なく光学的距離を示すとする。)。
【0005】すなわち、仮に、参照光と被検光の光路差
がこの可干渉距離内の適正値を採らなければ、干渉縞の
コントラスト(光路差に応じた干渉縞の強度変化のコン
トラストである。)が十分に得られないので、干渉縞の
パターンを検出器1113が正確に検知できずに測定精
度が低下することとなる。
【0006】したがって、投影レンズの透過波面を測定
対象とする干渉測定では、その測定に先立って、被検光
又は参照光の光路差を調整する所定の光学素子(以下、
「光路差調整用の光学素子」という。例えば参照面11
19である。)を光軸方向に移動させることによって、
その光路差が可干渉距離内の適正値となるよう調整され
る(以下、この調整を「光路差調整」という。)。
【0007】因みに、単色性の高い光源を使用した干渉
では、可干渉距離が十分に長いので、光路差調整は不要
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
光路差調整を行ったとしても、干渉縞の全ての領域で高
コントラストを得るのは困難であることが分かってい
る。
【0009】これは、被検レンズ110の周辺を透過す
る光線と中央を透過する光線との間では光路が異なるの
に対し、所定の光学素子を移動させる光路差調整では、
全光線の光路長を等距離ずつしか伸縮できないため、全
ての光線の光路差をそれぞれ適正値にすることはできず
に、干渉縞の一部の領域のコントラストを高めようとす
ると、干渉縞の他の領域のコントラストが低下するから
である。
【0010】そして仮に、干渉縞のたとえ一部の領域で
あったとしてもコントラストが低いまま測定が行われて
しまうと、干渉縞のパターンが正確に検知されないの
で、測定精度は低下する。なお、現在考えられ得る光路
差調整の方法は、測定者が所定の光学素子(例えば参照
面1119)を移動させながら干渉縞を観察し、その干
渉縞のコントラストが全体的に平均的になったと判断で
きたところで調整を終了するというものであるが、この
ように光路差調整に測定者の試行錯誤が含まれると、測
定精度が測定者によって異なったり、不安定になったり
する可能性がある。
【0011】しかも、一般に、被検レンズ110の透過
波面の干渉測定は、干渉計から出射された光束の集光点
(図11中の点P)を被検レンズ110の各物体位置
(フィールド)に配置してそれぞれ行われるが、各光線
の光路長は、そのフィールドを変える度にそれぞれ変化
する場合がほとんどであるため、光路差調整はフィール
ドを変える毎に必要となり、効率が悪い。
【0012】そこで本発明は、以上の問題に鑑みてなさ
れたもので、低コヒーレンス干渉ににおける光路差調整
用の光学素子の最適位置を確実に決定することのできる
干渉測定方法及び干渉計の制御装置、並びに、高精度な
投影レンズを製造することのできる投影レンズの製造方
法及び高性能な投影露光装置を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の干渉測
定方法は、被検レンズの透過光束である被検光束を所定
の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により生じ
る干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計により、
前記被検レンズの透過波面を測定する干渉測定方法であ
って、前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束
の光路差を調整する光学素子を移動させると共に、その
ときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラストの変化
カーブをその干渉縞の各位置について取得する前測定手
順と、前記前測定手順で取得した各カーブを参照し、そ
れらカーブの重複領域内で最大コントラストを与える前
記光学素子の位置を求め、その位置を前記測定時におけ
る前記光学素子の最適位置とみなす決定手順とを有した
ことを特徴とする。
【0014】請求項2に記載の干渉測定方法は、被検レ
ンズの透過光束である被検光束を所定の参照光束と干渉
させる光学系と、前記干渉により生じる干渉縞を検出す
る検出手段とを備えた干渉計により、前記被検レンズの
透過波面をその被検レンズの各フィールドについて測定
する干渉測定方法であって、前記干渉計において前記被
検光束と前記参照光束の光路差を調整する光学素子を移
動させると共に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞
のコントラストの変化カーブを前記被検レンズの前記各
フィールドについて取得する前測定手順と、前記前測定
手順で取得した各カーブを参照し、それらカーブの重複
領域内で最大コントラストを与える前記光学素子の位置
を求め、その位置を前記測定時における前記光学素子の
最適位置とみなす決定手順とを有したことを特徴とす
る。
【0015】請求項3に記載の干渉測定方法は、被検レ
ンズの透過光束である被検光束を所定の参照光束と干渉
させる光学系と、前記干渉により生じる干渉縞を検出す
る検出手段とを備えた干渉計により、前記被検レンズの
透過波面をその被検レンズの各フィールドについて測定
する干渉測定方法であって、前記干渉計において前記被
検光束と前記参照光束の光路差を調整する光学素子を移
動させると共に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞
のコントラストの変化カーブを、前記被検レンズの前記
各フィールド及び前記干渉縞の各位置について取得する
前測定手順と、前記前測定手順で取得した各カーブを参
照し、それらカーブの重複する重複領域内で最大コント
ラストを与える前記光学素子の位置を求め、その位置を
前記測定時における前記光学素子の最適位置とみなす決
定手順とを有したことを特徴とする。
【0016】請求項4に記載の干渉計の制御装置は、被
検レンズの透過光束である被検光束を所定の参照光束と
干渉させる光学系と、前記干渉により生じる干渉縞を検
出する検出手段とを備えた干渉計を制御することによ
り、前記被検レンズの透過波面を測定する干渉計の制御
装置であって、前記干渉計において前記被検光束と前記
参照光束の光路差を調整する光学素子を移動させると共
に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
トの変化カーブをその干渉縞の各位置について取得する
前測定手段と、前記前測定手段が取得した各カーブを参
照し、それらカーブの重複領域内で最大コントラストを
与える前記光学素子の位置を求め、その位置を、前記測
定時における前記光学素子の最適位置とみなす決定手段
とを有したことを特徴とする。
【0017】請求項5に記載の干渉系の制御装置は、被
検レンズの透過光束である被検光束を所定の参照光束と
干渉させる光学系と、前記干渉により生じる干渉縞を検
出する検出手段とを備えた干渉計を制御することによ
り、前記被検レンズの透過波面をその被検レンズの各フ
ィールドについて測定する干渉計の制御装置であって、
前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
差を調整する光学素子を移動させると共に、そのときに
前記検出手段が示す干渉縞のコントラストの変化カーブ
を前記被検レンズの前記各フィールドについて取得する
前測定手段と、前記前測定手段が取得した各カーブを参
照し、それらカーブの重複領域内で最大コントラストを
与える前記光学素子の位置を求め、その位置を前記測定
時における前記光学素子の最適位置とみなす決定手段と
を有したことを特徴とする。
【0018】請求項6に記載の干渉計の制御装置は、被
検レンズの透過光束である被検光束を所定の参照光束と
干渉させる光学系と、前記干渉により生じる干渉縞を検
出する検出手段とを備えた干渉計を制御することによ
り、前記被検レンズの透過波面をその被検レンズの各フ
ィールドについて測定する干渉計の制御装置であって、
前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
差を調整する光学素子を移動させると共に、そのときに
前記検出手段が示す干渉縞のコントラストの変化カーブ
を、前記被検レンズの前記各フィールド及び前記干渉縞
の各位置について取得する前測定手段と、前記前測定手
段が取得した各カーブを参照し、それらカーブの重複領
域内で最大コントラストを与える前記光学素子の位置を
求め、その位置を前記測定時における前記光学素子の最
適位置とみなす決定手段とを有したことを特徴とする。
【0019】請求項7に記載の投影レンズの製造方法
は、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の干渉測定
方法により、投影レンズのうち少なくとも1枚のレンズ
の透過波面を測定し、測定された透過波面に応じてその
投影レンズの少なくとも1面の加工及び/又は調整を行
う手順を有したことを特徴とする。請求項8に記載の投
影レンズの製造方法は、請求項7に記載の投影レンズの
製造方法により製造された投影レンズを備えたことを特
徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。 [第1実施形態]図1、図2、図3、図4、図5を参照
して本発明の第1実施形態について説明する。
【0021】本実施形態は、投影露光装置(ステッパ
ー)用の高精度投影レンズを被検レンズとし、その透過
波面を干渉測定により測定するものである。図1は、本
実施形態(及び後述する第2実施形態)に係る干渉計の
概略構成図である。なお、図1において、図11に示す
要素と同一の部分については同一の符号を付した。
【0022】また、本発明は、図11に示す干渉計(ト
ワイマン・グリーン型の干渉計である。)にも適用でき
るが、本実施形態では、投影レンズの測定に多く使用さ
れているフィゾー型の干渉計を例に挙げて説明する。先
ず、この干渉計の光源111は、被検レンズ110の使
用時の光源とほぼ同じ波長の光源であり、所定の波長ス
ペクトル幅を有する低コヒーレンス光源である。
【0023】そしてこの干渉計のタイプはフィゾー型で
あるので、光源111の他、コリメータレンズ111
2、ビームスプリッタ1116、フィゾーレンズ12、
検出器1113などが備えられる。また、被検レンズ1
10のフィゾーレンズ12と反対の側には、被検レンズ
110を透過した光を再び被検レンズ110の方向へ戻
すための反射鏡1115が配置される。
【0024】なお、反射鏡1115の面形状は、フィゾ
ーレンズ12の端面であるフィゾー面12aと同様球面
である。また、フィゾーレンズ12は、その焦点を被検
レンズ110の測定対象フィールドに配しており、反射
鏡1115の反射面の焦点は、そのフィゾーレンズ12
のフィゾー面12aの焦点と共役関係にある。また、本
実施形態の干渉計には、光源111とコリメータレンズ
1112との間に、光路差調整を行うための光路長補正
部Hが配置される。
【0025】光路長補正部Hは、ビームスプリッタ16
a,16b、及び折り曲げミラー18a,18b、並び
に、それら折り曲げミラー18a,18bを移動させる
ステージ18からなる。光源111を出射した光は、光
路長補正部Hのうち一方のビームスプリッタ16aによ
って、その一部がステージ18の方向に導かれると共
に、他の一部はビームスプリッタ16bに導かれる。
【0026】ステージ18の方向に導かれた光は、折り
曲げミラー18a,18bに順に入射してから、ビーム
スプリッタ16bに入射する。ビームスプリッタ16b
に入射した光は、コリメータレンズ1112の方向に偏
向される。光源111を射出して光路長補正部Hのステ
ージ18を経由してコリメータレンズ1112に入射し
た光と、光源111を射出してステージ18を経由せず
にコリメータレンズ1112に入射した光は、共に平行
光束に変換される。
【0027】この平行光束は、ビームスプリッタ111
6を介してフィゾーレンズ12に入射する。その後、光
路長補正部Hのステージ18を経由しなかった光のう
ち、フィゾーレンズ12のフィゾー面12aを透過した
光は、被検レンズ110を透過した後、反射鏡1115
によって反射され、再び被検レンズ110に入射する。
この被検レンズ110を透過した光が被検光となる。
【0028】被検光は、その後、フィゾーレンズ12、
ビームスプリッタ1116を介して検出器1113に入
射する。また、光路長補正部Hのステージ18を経由し
た光のうち、光源111側からフィゾーレンズ12に入
射してフィゾー面12aで反射された光は、ビームスプ
リッタ1116を介して検出器1113に入射する。こ
のフィゾー面12aにて反射された光が参照光となる。
【0029】そして、被検光と参照光が形成する干渉縞
は、検出器1113により検出される。この検出器11
13上に形成される干渉縞のパターンは、被検レンズ1
10の透過波面に応じたものとなるので、検出器111
3の出力に基づく所定の演算(公知であるので、説明を
省略する。)によって、その透過波面を算出することが
できる(なお、所定の演算は、干渉計に備えられた回路
によっても、また、別体として構成されたコンピュータ
などによっても行うことができる。)ここで、光路長補
正部H内のステージ18は、ビームスプリッタ16a、
折り曲げミラー18a、折り曲げミラー18b、ビーム
スプリッタ16bを経由する光路を伸縮する方向に移動
可能である。
【0030】よって、本実施形態では、ステージ18が
移動すると、光路長補正部Hを経由した参照光と、光路
長補正部Hを経由しない被検光との光路差が、変化す
る。すなわち、本実施形態のステージ18(及びそれに
載置された折り曲げミラー18a,18b)は、光路差
調整用の光学素子として使用することができる。本実施
形態では、この光路差調整用の光学素子を利用した光路
差調整が、以下のとおり行われる。
【0031】なお、以下に説明する光路差調整の手順の
一部又は全部は、測定者によって実行されてもよいが、
制御部17により実行されることが好ましい。以下、制
御部17によって実行されるものとする。制御部17
は、少なくとも、検出器1113とステージ18とを駆
動しつつ検出器1113の出力する信号を取り込み、そ
の信号に対し処理を施すことができる。
【0032】また、制御部17は、干渉計に専用の回路
により構成されても、また、コンピュータであっても、
また、双方の組み合わせであってもよい。図2は、本実
施形態の光路差調整を説明する図である。先ず、干渉縞
Iのコントラストは、ステージ18を移動させると、そ
のステージ18が或る位置に配置されたときにのみ、ピ
ークを迎える。
【0033】図2の右側のグラフは、ステージ18の位
置(横軸)による干渉縞Iのコントラスト(縦軸)を、
干渉縞Iの各位置P0,・・・,P5,・・・について
示したものである。ところで、前述したように、干渉縞
Iの各位置P0,・・・,P5,・・・に入射する光線
は、互いにその光路が異なるので、コントラストがピー
クを迎えるようなステージ18の位置は互いにずれる。
【0034】しかも、光源111の単色性は低いので、
被検レンズ110の色収差がたとえ結像に影響しない程
度に十分に小さく抑えられていたとしても、被検レンズ
110の同位置に入射した光線が波長の相違により光路
を異とする可能性がある。干渉縞Iのうち、そのような
光線の入射する位置のコントラストは、ピークが低くな
る。
【0035】図2のグラフにも、干渉縞I上の位置によ
って、このピークの高さが異なることを表した。例え
ば、被検レンズ110の測定対象フィールドが、図1に
示すごとく被検レンズ110の物体面の中心であると
き、コントラストのピークは、干渉縞Iの径方向の位置
によって徐々にずれる。
【0036】そこで、本実施形態の制御部17は、ステ
ージ18を介して折り曲げミラー18a,18bを参照
光路が伸縮する方向に移動させつつ、検出器1113の
出力する干渉縞Iのパターンを順次取り込む。制御部1
7は、検出器1113の各画素出力を個別に参照するこ
とによって、ステージ18の位置に対するコントラスト
の変化カーブを、干渉縞Iの各位置についてそれぞれ求
める。
【0037】なお、測定対象フィールドが被検レンズ1
10の物体面の中心であるときには、干渉縞Iのコント
ラストの分布は、回転対称となる。このようなときに
は、前記変化カーブは、干渉縞Iの或る半径上の各位置
についてだけ求められることとしてもよい。因みに、ス
テージ18を中心P5でコントラスト最大になるように
調整した場合、波長による光路のずれは一般に被検レン
ズ110の周辺になるほど顕著になることから、コント
ラストのピークの高さは、干渉縞Iの周辺にいくほど低
くなる。
【0038】図3は、本実施形態の光路差調整におけ
る、ステージ18の最適位置決定方法を説明する図であ
る。図3には、干渉縞Iの各位置のコントラストの変化
カーブを、同一グラフ上に示した。図3のグラフの横軸
は、ステージ18の位置[mm]とし、縦軸は、干渉縞
Iのコントラストの指標である検出器1113の信号振
幅比率(最大を1とする。)とした。
【0039】図3に示すように、ピークの表れるステー
ジ位置及びピークの高さは様々であるが、全ての変化カ
ーブには、重複領域E1(図3中斜線)が存在している
ことが分かる。この重複領域E1の範囲(3760〜3
870)にステージ18が配置されているときには、干
渉縞Iの全ての領域が可能な状態となる。一方、重複領
域E1を外れた範囲(3760以下、又は3870以
上)にステージ18が配置されているときには、干渉縞
Iは部分的にしか観察できない状態となる。
【0040】そして、重複領域E1のうち、特に、重複
領域E1のピーク(最大コントラスト)を与える位置M
0(3813)にステージ18が配置されているときに
は、干渉縞Iのうちの最低コントラスト部分は、ステー
ジ18が他の位置に配置されているときのそれと比較し
て、最も高くなる。これが、干渉縞Iが観察可能となる
状態のうち、全体的なコントラストが最も高くなる状態
である。
【0041】よって、本実施形態の制御部17は、求め
た各変化カーブを参照し、その重複領域E1内において
最大コントラストを与えるステージ18の位置M0(3
813)を、ステージ18の最適位置とみなす。そし
て、測定時にステージ18はその最適位置に配置され
る。このようにすれば、測定時に干渉縞Iは可能な限り
において最も高い精度で検出されることとなる。
【0042】以上、本実施形態の光路差調整によれば、
測定者の試行錯誤を要すことなく、光路差調整用の光学
素子(ここでは、ステージ18)の最適位置を、確実に
決定することができる。なお、測定時にフリンジスキャ
ンを行う場合には、その最適位置の近傍でステージ18
を微小移動させればよい。
【0043】フリンジスキャンのための微小移動と上記
光路差調整のための移動とでは、その移動距離の単位が
大幅に異なるので、フリンジスキャンにはピエゾ素子、
光路差調整にはモータ、というように、それぞれに適し
た素子を用いることが好ましい。なお、フリンジスキャ
ンに要する移動距離は短いので、フィゾーレンズ12を
移動させることによっても実現できる。
【0044】[第2実施形態]図1、図4、図5を参照
して本発明の第2実施形態について説明する。なお、こ
こでは、第1実施形態との相違点についてのみ説明す
る。
【0045】本実施形態が適用され得るのは、透過波面
の測定が、被検レンズ110の互いに異なる複数のフィ
ールドについてそれぞれ行われる場合である。先ず、被
検レンズ110の測定対象となるフィールドを変更する
際には、図4に矢印で示すように、被検レンズ110に
対する光束の入射位置が、変更される。図1において、
符号20で示すのは、被検レンズ110を光軸と垂直な
方向に移動させるステージである。
【0046】図1において、符号25で示すのは、反射
鏡1115を光軸と垂直な方向に移動させるステージで
ある。すなわち、本実施形態の干渉計では、フィールド
を変更するために、被検レンズ110及び反射鏡111
5が移動可能となっている。本実施形態の光路差調整
は、以下のとおりである。なお、以下に説明する光路差
調整の手順の一部又は全部は、測定者によって実行され
てもよいが、制御部27により実行されることが好まし
い。以下、制御部27によって実行されるものとする。
【0047】制御部27は、少なくとも、検出器111
3、ステージ18を駆動しつつ検出器1113の出力す
る信号を取り込み、その信号に対し処理を施すことがで
きると共に、ステージ20、25を駆動して、測定対象
フィールドを変更することができる。また、制御部27
は、干渉計に専用の回路により構成されても、また、コ
ンピュータであっても、また、双方の組み合わせであっ
てもよい。
【0048】図5は、本実施形態の光路差調整におけ
る、ステージ18の最適位置決定方法を説明する図であ
る。先ず、被検レンズ110の測定対象フィールドを変
更すると(これは、ステージ20、25を駆動すること
による。)、干渉縞Iの各位置のコントラストの変化カ
ーブはそれぞれ変化する。
【0049】そこで、本実施形態の制御部27は、コン
トラストの変化カーブを、干渉縞Iの各位置についてだ
けでなく、各フィールドについても取得する。すなわ
ち、制御部27は、ステージ20を駆動して、フィゾー
面12aの焦点を、被検レンズ110の各フィールドに
順次配置する。この際、制御部27は、ステージ20と
共にステージ25を駆動して、反射鏡1115の焦点
を、フィゾー面12aの焦点と共役な位置に順次配置す
る。
【0050】そして、制御部27は、フィゾー面12a
の焦点が各フィールドに配置されたときのそれぞれにお
いて、第1実施形態と同様に、ステージ18の位置に対
するコントラストの変化カーブを干渉縞Iの各位置につ
いてそれぞれ求める。図5には、このようにして得られ
た各変化カーブを、同一グラフ上に示した。なお、図5
のグラフの横軸は、ステージ18の位置[mm]とし、
縦軸は、干渉縞Iのコントラストの指標である検出器1
113の信号振幅比率(最大を1とする。)とした。
【0051】図5では、簡単のため、2つのフィールド
について得られた各変化カーブのみを示した。点線が一
方のフィールドについてのデータ、実線が他方のフィー
ルドについてのデータである。図5に示すように、ピー
クの現れる位置及びピークの大きさは様々であるが、全
ての変化カーブには、重複領域E2(図5中斜線)が存
在していることが分かる。
【0052】この重複領域E2に対応する範囲(376
0〜3850)にステージ18が配置されているときに
は各フィールドについての干渉縞Iの全ての領域が観察
可能な状態となる。一方、重複領域E2を外れた範囲
(3760以下、3860以上)にステージ18が配置
されているときには、干渉縞Iは部分的にしか観察でき
ない状態となる。
【0053】そして、重複領域E2のうち、特に、重複
領域E2のピーク(最大コントラスト)を与える位置M
1(3803)にステージ18が配置されているときに
は、干渉縞Iのうち最低のコントラストは、最も高くな
る。これが、各フィールドについての各干渉縞Iが観察
可能となる状態のうち、全体的なコントラストが最も高
くなる状態である。
【0054】よって、本実施形態の制御部27は、求め
た各変化カーブを参照し、この重複領域E2内において
最大コントラストを与えるステージ18の位置M1(3
803)を、ステージ18の最適位置とみなす。そし
て、測定時にステージ18はその最適位置に配置され
る。このようにすれば、各フィールドについての測定時
に生成される各干渉縞Iは、可能な限りにおいて最も高
い精度で検出されることとなる。
【0055】以上、本実施形態の光路差調整によれば、
測定者の試行錯誤を要すことなく、各フィールドの測定
に共通する光路差調整用の光学素子(ここでは、ステー
ジ18)の最適位置を、確実に決定することができる。
このような本実施形態においては、測定対象フィールド
が変更されたとしても光路差調整をする必要が生じない
ので、測定を効率よく行うことができる。
【0056】[第1実施形態、第2実施形態の補足]な
お、上記各実施形態においては、コントラストの変化カ
ーブが、干渉縞Iの各位置について取得されているとし
たが、実際には、変化カーブを検出器1113の全ての
画素出力について求める必要はなく、数カ所〜数十箇所
程度の代表的な画素出力について求めるだけでよい。
【0057】また、上記第2実施形態においては、コン
トラストの変化カーブが、被検レンズ110の各フィー
ルド及び干渉縞Iの各位置についてそれぞれ取得されて
いるが、同一フィールドについて得られた同一の干渉縞
I内ではコントラストが一様とみなせるときには、その
変化カーブはフィールド毎にだけ(つまり各干渉縞Iの
代表する1点(例えば中央)についてのみ)取得される
こととしてもよい。
【0058】また、上記第2実施形態において、異なる
フィールドについて得られた複数の干渉縞Iの間であっ
ても、コントラストの分布の仕方が同じとみなせるとき
には、その変化カーブは干渉縞Iの位置毎にだけ取得さ
れることとしてもよい。また、上記各実施形態におい
て、干渉縞Iのコントラストの分布が回転対称であると
きには、その変化カーブは干渉縞Iの或る半径上の各位
置についてだけ取得されることとしてもよい。
【0059】また、上記第1実施形態において、干渉縞
Iのコントラストの変化カーブが、例えばその中心から
周囲にかけて徐々にずれるとみなせるときには(図3参
照)、変化カーブは干渉縞Iの中心と周縁との2箇所に
ついてだけ取得されることとしてもよい。すなわち、上
記各実施形態において、互いに同じとなるか、又は互い
の関係が既知である複数の変化カーブは、それらを代表
するものについてのみ取得をし、それ以外の変化カーブ
については取得の処理を省略することができる。
【0060】因みに、変化カーブのピークの位置が同じ
となるか否かについては、被検レンズと干渉計の構成や
使用した材料などから(光線を追跡することなどによ
り)判断することができる。以下、同じフィールドにつ
いて得られる干渉縞I内の互いに異なる点P1と点P2
との間で、コントラストの変化カーブが同じになるか否
かを判断する例を説明する。
【0061】干渉計の参照光路のうちガラス部の幾何学
長をLgr、空気部の幾何学長をLarとする。また、被検
レンズの或るフィールドから射出する被検光束のうち、
干渉縞Iの或る点P1に入射する光線は、ガラス部の幾
何学長Lgm1、空気部の幾何学長La m1を進行したとす
る。
【0062】また、そのフィールドから射出する被検光
束のうち、干渉縞Iの或る点P2に入射する光線は、ガ
ラス部の幾何学長Lgm2、空気部の幾何学長Lam2を進行
したとする。そして、光源から出射される光のガラスに
対する群屈折率をNgg、空気に対する群屈折率をNga
すると、点P1のコントラストが最大になるのは、その
点P1に入射する参照光路の空気部Lar1が、次式を満
たすときである。
【0063】 Lar1=(Ngg/Nga)×(Lgm1−Lgr)+Lam1 また、点P2のコントラストが最大になるのは、その点
P2に入射する参照光路の空気部Lar2が、次式を満た
すときである。 Lar2=(Ngg/Nga)×(Lgm2−Lgr)+Lam2 そして、これら点P1の変化カーブと点P2の変化カー
ブとが同時にピークを採るには、Lar1=Lar2が成立す
る必要がある。
【0064】よって、Lar1とLar2とが一致するか否か
を比較すればよい。なお、変化カーブのピークの高さが
同じとなるか否かについては、被検レンズや干渉計内の
光学素子の透過率分布などを加味すればよい。また、上
記各実施形態では、本発明を或る特定のタイプの干渉計
に適用した場合について説明したが、本発明は、如何な
るタイプの干渉計にも適用が可能である。そこで、以下
に説明する第3実施形態、第4実施形態、第5実施形
態、第6実施形態には、本発明が適用され得る他のタイ
プの干渉計の例を示す。
【0065】これらの各実施形態においても、第1実施
形態や第2実施形態と同様の光路差調整が可能である。
よって、以下では、光路差調整の詳細な説明については
省略する。 [第3実施形態]図6を参照して本発明の第3実施形態
について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形
態との相違点についてのみ説明し、その他の点について
は説明を省略する。因みに、本実施形態の干渉計は、特
願2001−276733の第1実施形態として開示さ
れた干渉計と同じである。
【0066】図6は、本実施形態に係る干渉計の概略構
成図である。この干渉計のタイプは、第1実施形態と同
様、フィゾー型であって、第1実施形態と同様、光路長
補正部Hを有する。その光路長補正部H内のステージ1
8を光路差調整用の光学素子として使用すれば、本実施
形態の干渉計においても、第1実施形態の制御部17に
よるものと同様の光路差調整を行うことができる。
【0067】なお、図6において、符号35は空間周波
数フィルター、符号34は集光レンズ、符号31は結像
レンズである(これらは、図1においては省略したもの
である。)。また、図6に示す本実施形態の干渉計は、
図1に示した第1実施形態と異なり、ビームスプリッタ
1116からフィゾーレンズ12へ向かう光路が、光源
111からビームスプリッタ1116へ向かう光路に対
し垂直となっている。
【0068】また、光源111と光路長補正部Hとを除
く本実施形態の干渉計(干渉計本体)は、図6に示すよ
うに、被検レンズ110の光軸と垂直な方向に移動可能
なステージKに載置される。したがって、本実施形態の
干渉計は、被検レンズ110の測定対象フィールドを変
更する際の移動対象を、被検レンズ110に代えて上記
干渉計本体とすることができる。
【0069】また、本実施形態の干渉計において、透過
波面の測定を各フィールドについてそれぞれ行うときに
は、第2実施形態と同様の光路差調整を適用することが
できる。 [第4実施形態]図7を参照して本発明の第4実施形態
について説明する。なお、本実施形態では、第3実施形
態との相違点についてのみ説明し、その他の点について
は説明を省略する。因みに、本実施形態の干渉計は、特
願2001−276733の第2実施形態として開示さ
れた干渉計と同じである。
【0070】図7は、本実施形態に係る干渉計の概略構
成図である。この干渉計のタイプは、トワイマン・グリ
ーン型であるので、第3実施形態の干渉計において、フ
ィゾーレンズ12に代えて参照面40及び集光レンズ4
6を備えたものである。なお、集光レンズ46は、その
焦点を、図6におけるフィゾーレンズ12の焦点と同様
の位置に配置している。また、参照面40は、被検光と
は別の光路において参照光を生成する反射鏡である。
【0071】そして、この干渉計も、第3実施形態と同
様、光路長補正部Hを有する。なお、図7では、光路長
補正部Hに、3つのレトロリフレクタ18a’,18
b’,18c’を備えたものを示した。光路長補正部H
では、このうち、レトロリフレクタ18a’,18c’
がステージ18’に載置されている。ビームスプリッタ
16aにおいてステージ18’の方向に導かれた光は、
レトロリフレクタ18a’,18b’,18c’に順に
入射してから、ビームスプリッタ16bに入射する。
【0072】ステージ18’は、ビームスプリッタ16
a、レトロリフレクタ18a’,18b’,18c’、
及びビームスプリッタ16bを経由する光路を伸縮する
方向に移動可能である。その光路長補正部H内のステー
ジ18’を光路差調整用の光学素子として使用すれば、
本実施形態の干渉計においても、第1実施形態と同様の
光路差調整を行うことができる。
【0073】また、本実施形態の干渉計において、透過
波面の測定を各フィールドについてそれぞれ行うときに
は、第2実施形態と同様の光路差調整を適用することが
できる。
【0074】なお、本実施形態の干渉計についても、第
3実施形態と同様に、被検レンズ110の測定対象フィ
ールドを変更する際の移動対象を、干渉計本体(光源1
11と光路長補正部Hとを除く干渉計)として、被検レ
ンズ110を固定したままとすることができる。 [第5実施形態]図8を参照して本発明の第5実施形態
について説明する。なお、本実施形態では、第4実施形
態との相違点についてのみ説明し、その他の点について
は説明を省略する。因みに、本実施形態の干渉計は、特
願2001−276733の第3実施形態として開示さ
れた干渉計と同じである。
【0075】図8は、本実施形態に係る干渉計の概略構
成図である。この干渉計は、上記第4実施形態におい
て、光路分割を行っていたビームスプリッタに代えて、
偏光ビームスプリッタを備える構成とした例である。偏
光ビームスプリッタの利用によれば、光量の損失を抑え
ることができる。光源111を出射した直線偏光は、1
/2波長板58を介して光路長補正部Hの偏光ビームス
プリッタ16Paに入射する。偏光ビームスプリッタ1
6Paに入射した光のうちのS偏光、P偏光はそれぞ
れ、該偏光ビームスプリッタ16Paによって反射、透
過する。尚、1/2波長板58によってS偏光とP偏光
との強度比率を調整することが可能である。
【0076】偏光ビームスプリッタ16Paを透過した
P偏光は、偏光ビームスプリッタ16Pbを透過して集
光レンズ34に入射する。一方、偏光ビームスプリッタ
16Paによって反射されたS偏光は、折り曲げミラー
18a,18bを介して偏光ビームスプリッタ16Pb
に入射する。この偏光ビームスプリッタ16Pbに入射
したS偏光は、該偏光ビームスプリッタ16Pbによっ
て反射され、集光レンズ34に入射する。集光レンズ3
4に入射した2つの光は、空間周波数フィルター35を
透過した後、コリメータレンズ1112によって平行光
に変換される。
【0077】この平行光のうち、光路長補正部Hを経由
しないP偏光は、1/2波長板59によってS偏光に変
換されて偏光ビームスプリッタ1116Pに入射する。
このS偏光は、偏光ビームスプリッタ1116Pによっ
て反射されて1/4波長板50と集光レンズ46と被検
レンズ110とを透過した後、反射鏡115によって反
射される。反射鏡115によって反射された光は、再び
被検レンズ110と集光レンズ46と1/4波長板50
とを透過した後、偏光ビームスプリッタ1116Pに入
射する。尚、この偏光ビームスプリッタ1116Pに入
射した光は、1/4波長板50を往復したことによって
P偏光に変換されているため、偏光ビームスプリッタ1
116Pを透過する。この被検レンズ110を経由した
光が被検光となる。
【0078】一方、コリメータレンズ1112によって
変換された平行光のうち、光路長補正部Hを経由したS
偏光は、1/2波長板59によってP偏光に変換されて
偏光ビームスプリッタ1116Pに入射する。偏光ビー
ムスプリッタ1116Pに入射したP偏光は、該偏光ビ
ームスプリッタ1116Pを透過し、1/4波長板51
を経て参照面40によって反射される。参照面40によ
って反射された光は、再び1/4波長板51を経て偏光
ビームスプリッタ1116Pに入射する。尚、この偏光
ビームスプリッタ1116Pに入射した光は、1/4波
長板51を往復したことによってS偏光に変換されてい
るため、偏光ビームスプリッタ1116Pによって反射
される。この参照面40によって反射された光が参照光
となる。
【0079】被検光と参照光とは、偏光板52と結像レ
ンズ31とを介して検出器1113に入射する。ここ
で、偏光ビームスプリッタ1116Pを出射した被検光
と参照光とは、偏光の方位が直交しているためにそのま
までは干渉しない。ここでは、これらの光を45度方向
の偏光板52に透過させることによって干渉するように
している。
【0080】なお、図8に示す光路長補正部Hは、図6
に示す光路長補正部Hと同じ(2つの折り曲げミラー1
8a,18b)となっているが、光路長補正部Hについ
ては、図7と同じ(3つのレトロリフレクタ18a’,
18b’,18c’)でもよいことは言うまでもない。
本実施形態の干渉計でも、光路長補正部H内のステージ
18を光路差調整用の光学素子として使用すれば、第1
実施形態と同様の光路差調整を行うことができる。
【0081】また、本実施形態の干渉計において、透過
波面の測定を各フィールドについてそれぞれ行うときに
は、第2実施形態と同様の光路差調整を適用することが
できる。 [第6実施形態]図9を参照して本発明の第6実施形態
について説明する。因みに、本実施形態の干渉計は、特
願2001−297902の第3実施形態として開示さ
れた干渉計と同じである。
【0082】図9は、第6実施形態に係る干渉計の概略
構成図である。この干渉計のタイプは、点回折型であ
る。光源111は、上記各実施形態で使用される光源と
同様光源であり、所定の波長スペクトル幅を有する低コ
ヒーレンス光源である。図9において、光源111から
射出された光束は、光源用ピンホール92を照明する。
【0083】ここで、該光源用ピンホール92を射出し
た光は、ほぼ理想的な球面波と見なすことができる。点
回折型干渉計では、この球面波が被検光束を生成するた
めの光束、及び参照光束を生成するための光束に利用さ
れる。すなわち、光源用ピンホール92を射出した球面
波は、コリメータレンズ93aと折り曲げミラー94a
とを経由した後、ハーフミラー95aへ入射する。この
ハーフミラー95aに入射した光は、該ハーフミラー9
5aによって2つの光束に分割される。分割された光束
のうちの一方の光束は、光源111側から順に、折り曲
げミラー94b、折り曲げミラー94c、集光レンズ9
6a、被検レンズ110を経由し、反射鏡1115によ
って反射される。この反射された光束は、反射鏡111
5側から順に、再び被検レンズ110、集光レンズ96
a、折り曲げミラー94c、折り曲げミラー94bを経
由する。そして、折り曲げミラー94bを経由した光
は、ハーフミラー95aによって集光レンズ96bに向
かって反射され、集光レンズ96b、開口絞り97a、
コリメータレンズ93b、折り曲げミラー94dを経由
して、ハーフミラー95bへ入射する。
【0084】ハーフミラー95aによって分割された光
束のうちの他方の光束は、折り曲げミラー94f、折り
曲げミラー94e、集光レンズ96dを経由した後、参
照光用ピンホール97へ入射する。該参照光用ピンホー
ル97を射出した光は、ほぼ理想的な球面波と見なすこ
とができるためこれが参照光となる。そしてこの参照光
は、コリメータレンズ93cを経由した後、ハーフミラ
ー95bへ入射する。尚、本実施形態において分割され
た2つの光路は、マッハツェンダー型の分岐光路をな
す。
【0085】ハーフミラー95bへ入射した2つの光束
は、該ハーフミラー95bによって重ね合わされる。そ
してこの重ね合わされた光は、検出器1113へ入射
し、該干渉縞検出部1113上に干渉縞を形成する。こ
こで、本実施形態の干渉計においても、光源111と光
源用ピンホール92との間に光路差補正部Hを備えてい
る。
【0086】光路差補正部Hは、上記各実施形態におけ
る光路長補正部Hと同様、ハーフミラー99a,99b
と折り曲げミラー99c,99d、ステージ18とから
構成される。光源111からの光は、ハーフミラー99
aによって参照光光束と被検光束とに分離される。ハー
フミラー94aによって分離された被検光束は、ハーフ
ミラー99bに入射する。そして参照光束は、折り曲げ
ミラー99cと、折り曲げミラー99dとを経由してハ
ーフミラー99bに入射する。
【0087】本実施形態の干渉計でも、光路差補正部H
内のステージ18を光路差調整用の光学素子として使用
すれば、第1実施形態と同様の光路差調整を行うことが
できる。また、本実施形態の干渉計において、透過波面
の測定を各フィールドについてそれぞれ行うときには、
第2実施形態と同様の光路差調整を適用することができ
る。
【0088】[第7実施形態]図10を参照して本発明
の第7実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係
る投影露光装置の概略構成図である。因みに、この投影
露光装置は、特願2001−297902の第7実施形
態として開示された投影露光装置と同じである。
【0089】先ず、この投影露光装置に搭載された投影
光学系Lを構成する少なくとも1つのレンズは、その製
造時、その透過波面が、上記各実施形態に係る何れかの
光路差調整の手順を含む干渉測定によって測定されてい
る。そして、投影光学系Lの少なくとも何れかの面は、
その測定結果に応じて加工及び/又は調整されたとす
る。
【0090】上記各実施形態によれば、光路差調整用の
光学素子の最適位置を確実に決定することができるの
で、前記レンズの透過波面の測定は、確実に行われる。
前記加工(及び/又は調整)の方法がたとえ従来と同じ
であったとしても、投影レンズの透過波面が確実に測定
されれば、投影レンズは確実に高精度に製造される。さ
て、投影露光装置は、少なくともウェハステージ108
と、光を供給するための光源部101と、投影光学系L
とを含む。ここで、ウェハステージ108は、感光剤を
塗布した基板(ウェハ)Wを表面108a上に置くこと
ができる。また、ステージ制御系107は、ウェハステ
ージ108の位置を制御する。
【0091】投影光学系Lは、上述のように上記各実施
形態に係る干渉測定装置を用いて製造された高精度投影
レンズである。また投影光学系Lは、レチクル(マス
ク)Rが配置された物体面P1と、ウェハWの表面に一
致させた像面P2との間に配置される。さらに投影光学
系Lは、スキャンタイプの投影露光装置に応用されるア
ライメント光学系を有する。
【0092】さらに照明光学系102は、レチクルRと
ウェハWとの間の相対位置を調節するためのアライメン
ト光学系103を含む。レチクルRは、該レチクルRの
パターンのイメージをウェハW上に投影するためのもの
であり、ウェハステージ108の表面108aに対して
平行移動が可能であるレチクルステージ105上に配置
される。そしてレチクル交換系104は、レチクルステ
ージ105上にセットされたレチクルRを交換し運搬す
る。またレチクル交換系104は、ウェハステージ10
8の表面108aに対し、レチクルステージ105を平
行移動させるためのステージドライバー(不図示)を含
む。
【0093】また、主制御部109は位置合わせから露
光までの一連の処理に関する制御を行う。以上の構成に
より、高精度投影レンズを搭載した投影露光装置を実現
することができる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明によれば、低
コヒーレンス干渉における光路差調整用の光学素子の最
適位置を確実に決定することのできる干渉測定方法及び
干渉計の制御装置、並びに、高精度な投影レンズを製造
することのできる投影レンズの製造方法及び高性能な投
影露光装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施形態及び第2実施形態に係る
干渉計の概略構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態の光路差調整を説明する
図である。
【図3】図3は、第1実施形態の光路差調整における、
ステージ18の最適位置決定方法を説明する図である。
【図4】図4は、フィールドの変更を説明する図であ
る。
【図5】図5は、第2実施形態の光路差調整における、
ステージ18の最適位置決定方法を説明する図である。
【図6】図6は、第3実施形態に係る干渉計の概略構成
図である。
【図7】図7は、第4実施形態に係る干渉計の概略構成
図である。
【図8】図8は、第5実施形態に係る干渉計の概略構成
図である。
【図9】図9は、第6実施形態に係る干渉計の概略構成
図である。
【図10】図10は、第7実施形態に係る投影露光装置
の概略構成図である。
【図11】図11は、透過波面の干渉測定を説明する図
である。
【符号の説明】
17,27 制御部 12 フィゾーレンズ 12a フィゾー面 H 光路長補正部 16a,16b ビームスプリッタ 18a,18b 折り曲げミラー 18,20,25,18’ ステージ 18a’,18b’,18c’ レトロリフレクタ 17,27 制御部 34,46,96a,96b,96d、1117 集光
レンズ 35 空間周波数フィルター 40,1119 参照面 50,51 1/4波長板 58,59 1/2波長板 52 偏光板 92 光源用ピンホール 93a,93b,93c コリメータレンズ 94a,94b,94c,94d,94f,94e,9
9c,99d,1114,1118 折り曲げミラー 95a,95b,99a,99b ハーフミラー 97 参照光用ピンホール 101 光源部 102 照明光学系 103 アライメント光学系 104 レチクル交換系 105 レチクルステージ 107 ステージ制御系 108 ウェハステージ 109 主制御部 110 被検レンズ 111 光源 1112 コリメータレンズ 1116 ビームスプリッタ 1113 検出器 1115 反射鏡
フロントページの続き Fターム(参考) 2F064 AA09 BB04 EE02 EE05 GG22 GG38 GG39 2F065 AA49 AA53 BB05 BB22 CC22 FF51 LL00 LL04 LL12 PP12 2G086 HH06 5F046 BA03 CB12 CB25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検レンズの透過光束である被検光束を
    所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
    生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計によ
    り、前記被検レンズの透過波面を測定する干渉測定方法
    であって、 前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
    差を調整する光学素子をその調節方向に移動させると共
    に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
    トの変化カーブをその干渉縞の各位置について取得する
    前測定手順と、 前記前測定手順で取得した各カーブを参照し、それらカ
    ーブの重複領域内で最大コントラストを与える前記光学
    素子の位置を求め、その位置を前記測定時における前記
    光学素子の最適位置とみなす決定手順とを有したことを
    特徴とする干渉測定方法。
  2. 【請求項2】 被検レンズの透過光束である被検光束を
    所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
    生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計によ
    り、前記被検レンズの透過波面をその被検レンズの各フ
    ィールドについて測定する干渉測定方法であって、 前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
    差を調整する光学素子をその調節方向に移動させると共
    に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
    トの変化カーブを前記被検レンズの前記各フィールドに
    ついて取得する前測定手順と、 前記前測定手順で取得した各カーブを参照し、それらカ
    ーブの重複領域内で最大コントラストを与える前記光学
    素子の位置を求め、その位置を前記測定時における前記
    光学素子の最適位置とみなす決定手順とを有したことを
    特徴とする干渉測定方法。
  3. 【請求項3】 被検レンズの透過光束である被検光束を
    所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
    生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計によ
    り、前記被検レンズの透過波面をその被検レンズの各フ
    ィールドについて測定する干渉測定方法であって、 前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
    差を調整する光学素子をその調節方向に移動させると共
    に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
    トの変化カーブを、前記被検レンズの前記各フィールド
    及び前記干渉縞の各位置について取得する前測定手順
    と、 前記前測定手順で取得した各カーブを参照し、それらカ
    ーブの重複する重複領域内で最大コントラストを与える
    前記光学素子の位置を求め、その位置を前記測定時にお
    ける前記光学素子の最適位置とみなす決定手順とを有し
    たことを特徴とする干渉測定方法。
  4. 【請求項4】 被検レンズの透過光束である被検光束を
    所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
    生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計を制
    御することにより、前記被検レンズの透過波面を測定す
    る干渉計の制御装置であって、 前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
    差を調整する光学素子をその調節方向に移動させると共
    に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
    トの変化カーブをその干渉縞の各位置について取得する
    前測定手段と、 前記前測定手段が取得した各カーブを参照し、それらカ
    ーブの重複領域内で最大コントラストを与える前記光学
    素子の位置を求め、その位置を、前記測定時における前
    記光学素子の最適位置とみなす決定手段とを有したこと
    を特徴とする干渉計の制御装置。
  5. 【請求項5】 被検レンズの透過光束である被検光束を
    所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
    生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計を制
    御することにより、前記被検レンズの透過波面をその被
    検レンズの各フィールドについて測定する干渉計の制御
    装置であって、 前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
    差を調整する光学素子をその調節方向に移動させると共
    に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
    トの変化カーブを前記被検レンズの前記各フィールドに
    ついて取得する前測定手段と、 前記前測定手段が取得した各カーブを参照し、それらカ
    ーブの重複領域内で最大コントラストを与える前記光学
    素子の位置を求め、その位置を前記測定時における前記
    光学素子の最適位置とみなす決定手段とを有したことを
    特徴とする干渉計の制御装置。
  6. 【請求項6】 被検レンズの透過光束である被検光束を
    所定の参照光束と干渉させる光学系と、前記干渉により
    生じる干渉縞を検出する検出手段とを備えた干渉計を制
    御することにより、前記被検レンズの透過波面をその被
    検レンズの各フィールドについて測定する干渉計の制御
    装置であって、 前記干渉計において前記被検光束と前記参照光束の光路
    差を調整する光学素子をその調節方向に移動させると共
    に、そのときに前記検出手段が示す干渉縞のコントラス
    トの変化カーブを、前記被検レンズの前記各フィールド
    及び前記干渉縞の各位置について取得する前測定手段
    と、 前記前測定手段が取得した各カーブを参照し、それらカ
    ーブの重複領域内で最大コントラストを与える前記光学
    素子の位置を求め、その位置を前記測定時における前記
    光学素子の最適位置とみなす決定手段とを有したことを
    特徴とする干渉計の制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載
    の干渉測定方法により、投影レンズのうち少なくとも1
    枚のレンズの透過波面を測定し、測定された透過波面に
    応じてその投影レンズの少なくとも1面の加工及び/又
    は調整を行う手順を有したことを特徴とする投影レンズ
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の投影レンズの製造方法
    により製造された投影レンズを備えたことを特徴とする
    投影露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7508488B2 (en) 2004-10-13 2009-03-24 Carl Zeiss Smt Ag Projection exposure system and method of manufacturing a miniaturized device
JP2016017762A (ja) * 2014-07-04 2016-02-01 株式会社東芝 光学遅延装置及び光コヒーレンストモグラフィー装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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