JP6599109B2 - 容器詰烏龍茶飲料 - Google Patents
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そのため、茶飲料の旨味やすっきり感を得るためにアミノ酸を40ppm以上、カフェインを150ppm以上、及びフラネオールを50ppb以上含有する緑茶としたり(特許文献1)、茶飲料にアミノ酸を高濃度に含有させ、かつカテキン類を除去することにより、豊かな旨味と少ない渋味の緑茶としたり(特許文献2)、アミノ酸の総量の割合が5.0〜12.5重量%、茶葉由来固形分に対するカテキン類の総量の割合が9.0〜15.0重量%、茶葉由来固形分に対するテアニンの割合が1.0重量%以上である緑茶等の茶抽出物(特許文献3)等のようにして、茶飲料の呈味を改善してきた。
本発明は烏龍茶の旨味を維持しながら、苦味と渋味のバランスを取ることによって、より呈味が向上された容器詰烏龍茶飲料を得ることを課題とする。
1.A:アミノ酸含有量(ppm)、B:カフェイン含有量(ppm)、C:タンニン含有量(ppm)としたときに、以下の式を満たす容器詰烏龍茶飲料。
A/(B+C)≧0.017
2.カテキン含有量(ppm)/カフェイン含有量(ppm)が1.00〜1.70である1に記載の容器詰烏龍茶飲料。
3.アミノ酸含有量が7.8ppm以上である1又は2に記載の容器詰烏龍茶飲料。
4.タンニン含有量(ppm)/カフェイン含有量(ppm)が3.4〜4.6である1〜3のいずれかに記載の容器詰烏龍茶飲料。
本発明の容器詰烏龍茶飲料に使用される茶葉としては、Camellia属、C.sinensis、C.assamica又はそれらの雑種の茶樹から得られる茶葉を半発酵させて得た烏龍茶葉である。このような茶葉としては、主に中国で生産される武夷岩茶、鉄観音、水仙、烏龍、包種、色種等が挙げられるが、特にこれらに限定されず、日本のやぶきた種などの緑茶葉を半発酵させた烏龍茶葉も含まれる。
該茶葉から烏龍茶を抽出する方法としては、抽出溶剤、必要により抽出助剤等を添加し、撹拌抽出、ニーダー抽出、ドリップ抽出、カラム抽出等の公知の抽出方法を採用できる。抽出溶剤としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水等の水、さらに、アスコルビン酸や炭酸カリウム等でpHを調整した水、エタノール等の有機溶剤、上記の水とエタノール等の有機溶剤との混合液等が挙げられる。
茶葉からの抽出は、温度70〜100℃、更に好ましくは80〜95℃の水を、茶葉に対する質量比で5〜60倍、更に10〜50倍用いて行うことが好ましい。抽出時間は抽出方法により適宜選択可能であるが、1〜20分、更に2〜10分であることが好ましい。烏龍茶抽出物は、公知の手段によるろ過等により夾雑物を除去することができる。
また、必要により、烏龍茶抽出物を濃縮又は希釈して濃度調整してもよく、また複数の烏龍茶抽出物をブレンドしても良い。風味及び呈味の観点から、容器詰烏龍茶飲料のブリックス値としては、0.1%以上、特に0.2%以上が好ましく、上限を5%以下、更に4%以下とすることが好ましい。
本発明の容器詰烏龍茶飲料は、タンニン、カフェイン、アミノ酸について、特定の要件で規定される範囲となることが必要である。また、場合によりカテキンの含有量も他の成分との関係で特定の範囲となるように含有することが必要である。
これらの成分は元々烏龍茶葉に含有されている成分であるが、本発明にて規定する含有量等の要件を満たすために、場合により複数の烏龍茶葉をブレンドしたり、不足する成分があれば、これらの成分のうちの補充すべき成分を単独または複数で烏龍茶抽出物に添加し、容器詰烏龍茶飲料を作製したりする。補充すべき成分を単独または複数で烏龍茶に添加するときには、抽出されて得た烏龍茶抽出物の各成分の含有量を分析し、不足する成分を該烏龍茶抽出物内に添加し、容器詰烏龍茶飲料を得ることができる。将来、仮に烏龍茶葉の元原料である茶葉を品種改良したり、栽培管理の改善をしたり、さらに烏龍茶葉の製造工程を変更させることにより、烏龍茶抽出液自体が所望の成分量を含んだ容器詰烏龍茶飲料を得るようになる場合には、このような場合を包含することもできるため、成分の添加は必須ではない。
なお、アミノ酸が不足しこれを添加する場合には、アミノ酸として多くの種類が知られているので、アミノ酸の中でも烏龍茶において含有量が多いテアニンを添加することが好ましいが、特に限定されるものではない。なお、本明細書でいうアミノ酸含有量とは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンなどのタンパク質を構成する20種類のアミノ酸、およびテアニンの合計量を指す。
Waters AccQ・Tag試薬キットを用いて分析を行うことができ、例えば以下の方法とすることができる。
N-hydroxysuccinimid活性化複素環状カルバメート(6-aminoquinolyl-N-hydroxysuccinimidyl carbamate, AQC)3mgの結晶をバイアルの底に落としておき、Reagent 2B (アセニト)を1ml加える。ボルテックスで10秒間撹拌する。インキュベーターで結晶が完全に溶解するまで55℃で加温する(10分以内)。
H型アミノ酸標準試料液(2.5μmol/ml)を蒸留水で100倍希釈する。この希釈したアミノ酸標準液10μl(もしくはサンプル)に付属のホウ酸バッファー(5%四ホウ酸ナトリウムbuffer)70μlを加え、ボルテックスで撹拌する。これに調製した試薬20μl(total volume100μl)を加え、直ちにボルテックスで撹拌した後、1分間静置する。55℃で10分間加温し、微量用バイアルに移して、HPLCにて測定を行う。
<HPLC測定条件>
カラム :ODS
検出器 :蛍光検出 EX250nm EM395nm
(UV検出の場合 254nm)
流速 :1ml/min
カラムオーブン:37℃
HPLCを用いて分析することができる。例えば、以下の条件とすることができる。
<HPLC測定条件>
カラム :Inertsil ODS-3 4μm 4.6×150mm(GLサイエンス社製)
温度 :40℃
検出波長 :280nm、242nm
移動相 :A)10mM NaH2PO4
:B)メタノール
流速 :1ml/min
分析時間 :35分
農林水産省茶業試験場研究報告,第6号,167−172頁(1970)の方法に従って測定することができる。
本発明の容器詰烏龍茶飲料は、含有するアミノ酸、カフェイン、及びタンニンのそれぞれの含有量(ppm)の関係が、A:アミノ酸含有量/(カフェイン含有量+タンニン含有量)として、0.017以上であることが必要である。
アミノ酸含有量/(カフェイン含有量+タンニン含有量)の値は、苦渋味に対するアミノ酸の割合を示した値であり、烏龍茶が有する特有の苦味と渋味に対して、旨味成分であるアミノ酸が0.017以上、好ましくは0.019以上、より好ましくは0.022以上、さらに好ましくは0.030以上とすることができる。この値が0.017以上であることにより、旨味を充分に感じ、かつ苦味や渋味を過度に感じることなく、良好な味覚を得ることができる。
本発明の容器詰烏龍茶飲料は、カフェインの含有量が150ppm以下であることが望ましく、好ましくは、140ppm以下、より好ましくは125ppm以下、さらに好ましくは115ppm以下である。
カフェインの含有量が150ppm以下であれば、容器詰烏龍茶飲料の苦味を抑制することができ、上記のとおりアミノ酸を多く含有することにより容器詰烏龍茶飲料の呈味が向上される。
本発明の容器詰烏龍茶飲料は、カテキン含有量/カフェイン含有量の値が1.00〜1.70の範囲であることが望ましく、好ましい下限は1.10、より好ましい下限は1.20であり、好ましい上限は1.65、より好ましい上限は1.60である。この値を1.00〜1.70の範囲とすることにより、カテキンが有する渋味とカフェインが有する苦味をバランスよく調整した呈味とすることができ、苦渋味のなかで、渋味又は苦味のどちらかが強すぎることがない。
本発明の容器詰烏龍茶飲料は、アミノ酸含有量が7.8ppm以上であることが望ましく、好ましくは10.00ppm以上、より好ましくは14.00ppm以上、さらに好ましくは16.00以上である。アミノ酸含有量が7.8ppm以上であることにより、烏龍茶として良好な苦味及び渋味を有しつつ、アミノ酸による旨味に優れた容器詰烏龍茶飲料とすることができる。
本発明の容器詰烏龍茶飲料は、タンニン含有量/カフェイン含有量が3.4〜4.6であることが望ましく、この範囲の下限として好ましくは3.6以上であり、好ましい上限としては4.4である。
タンニン含有量/カフェイン含有量が3.4〜4.6とすることにより、タンニンが有する渋味とカフェインが有する苦味をバランスよく調整した呈味とすることができ、苦渋味のなかで、渋味又は苦味のどちらかが強すぎることがない。
本発明の容器詰烏龍茶飲料には、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、苦味抑制剤、ビタミン類、果汁、果汁エキス類、野菜汁、野菜エキス類、花蜜エキス類、品質安定剤等の添加剤を単独又は併用して配合することができる。また、容器詰烏龍茶飲料の風味や呈味を害しない範囲で、焼酎やビール等のアルコール飲料を添加することもできる。
本発明の容器詰烏龍茶飲料に用いる容器としては、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、ガラス瓶、紙容器、カップなど、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。
さらに、表1のアミノ酸含量となるように烏龍茶葉A〜Cを適宜混合、抽出、希釈し、テアニンを添加することで、実施例1〜7、比較例1、3の容器詰烏龍茶飲料を得た。さらに、実施例1〜7、比較例1〜5の容器詰烏龍茶飲料に含まれるカテキン含量、カフェイン含量、タンニン含量を測定し、カテキン/カフェイン、タンニン/カフェイン、アミノ酸/(カフェイン+タンニン)をそれぞれ算出した。なお、表1に示す各成分含有量の単位は(ppm)である。
・苦味
○:適度な苦味を感じ、好ましい味覚である。
△:苦味を若干強く感じるが、許容範囲である。
×:苦味が強く、好ましくない味覚である。
・渋味
○:適度な渋味を感じ、好ましい味覚である。
△:渋味を若干強く感じるが、許容範囲である。
×:渋味が強く、好ましくない味覚である。
・総合評価
○:旨味と苦渋味を適度に感じ、バランスが良く、非常に良好な味覚である。
△:苦渋味を若干強く感じるが、旨味を十分に感じ、良好な味覚である。
×:旨味と苦渋味のバランスが悪く、好ましくない味覚である。
これに対して、本発明に沿った例ではない比較例1〜5によると、濁度が低く澄んだ容器詰烏龍茶飲料を得ることができるものの、旨味が弱く、苦渋味が強く、バランスが悪かったり、苦味もしくは渋味のどちらかが強くなりすぎたり、好ましい味覚ではなかった。
Claims (2)
- A:アミノ酸含有量(ppm)、B:カフェイン含有量(ppm)、C:タンニン含有量(ppm)としたときに、以下の式を満たし、
36.42≧A≧7.8
0.058≧A/(B+C)≧0.019
タンニン含有量(ppm)/カフェイン含有量(ppm)が3.4〜4.6である、
容器詰烏龍茶飲料。 - カテキン含有量(ppm)/カフェイン含有量(ppm)が1.00〜1.70である請求項1に記載の容器詰烏龍茶飲料。
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