JP6597585B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両が通過すると予想される経路(以下、単に「予想経路」と称する。)を物標が横切る可能性がある場合に、車両の運転者に注意喚起する機能を備えた運転支援装置に関する。
従来から、車両に搭載され、車両の予想経路を物標が横切る可能性がある場合に、車両の運転者に注意喚起する運転支援装置が知られている(以下では、運転支援装置が搭載された車両を「自車両」とも称する。)。
例えば、特許文献1に開示された装置(以下、「従来装置」と称する。)は、自車両の進行方向が物標の進行方向と交差地点で交差する場合に、自車両がその交差地点に到達するまでの時間である第1時間と、物標がその交差地点に到達するまでの時間である第2時間と、を予測する。具体的には、従来装置は、第1時間を、現時点における自車両の位置、進行方向及び速度に基づいて予測し、第2時間を、現時点における物標の位置、進行方向及び速度に基づいて予測する。
従来装置は、予め設定されたマップを有している。このマップの縦軸は第1時間であり、横軸は第2時間である。このマップでは、第1時間と第2時間との時間差の絶対値が所定値以下の領域は、物標が自車両の予想経路を横切る可能性があるエリア(即ち、注意喚起が必要なエリア)として設定されており、それ以外の領域は、物標が自車両の予想経路を横切る可能性はないエリア(即ち、注意喚起が不要なエリア)として設定されている。従来装置は、予測された第1時間及び第2時間を成分に有する座標をこのマップにマッピングし、その座標が何れのエリアに位置しているか特定することにより物標が自車両の予想経路を横切る可能性があるか否かを判定し、その可能性がある場合に注意喚起を行う。
特開2013−156688号公報
しかしながら、従来装置の構成によると、実際には物標が自車両の予想経路を横切る可能性が極めて低い場合であっても、その物標について運転者に対して注意喚起してしまうことがある。即ち、例えば、自車両の進行方向が物標の進行方向と交差地点で交差しており、予測された第1時間及び第2時間によりその物標について注意喚起が必要と判定された場合であっても、自車両の前方を他車両が走行しており、当該他車両の存在により、その物標が自車両の前方を通過することを許容する空間が存在していないときは、その物標は自車両の前方を通過し難くなる。その結果、その物標が自車両の予想経路を横切る可能性は極めて低くなる。従来装置は、自車両の前方にそのような空間が存在しているか否かを考慮していないため、予測された第1時間及び第2時間により注意喚起が必要と判定した場合は、常に注意喚起を行う。この結果、従来装置は、本来は注意喚起が不要な物標についても注意喚起をすることとなり、運転者に対して煩わしさを与える可能性がある。
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、自車両の運転者に対してより適切に注意喚起することが可能な運転支援装置を提供することにある。
本発明の運転支援装置(以下、「本発明装置」とも称する)は、
自車両(100)に搭載された複数のセンサ装置(11、12、13)を用いて、前記自車両(100)の車速(SPDv)及び前記自車両(100)のヨーレート(Y)に相関を有するパラメータを含む自車両情報を取得する自車両情報取得手段と、
前記自車両(100)に搭載された複数のセンサ装置(11、12、13、14)を用いて、前記自車両(100)の周辺に存在する物標の前記自車両(100)に対する相対位置(P)と、前記物標の進行方向(TDo)と、前記物標の速度(SPDo)と、を含む物標情報を取得する物標情報取得手段と、
前記自車両情報に基づいて、前記自車両(100)が通過すると予想される予想経路を推定する予想経路推定手段と、
前記物標情報に基づいて、前記予想経路を閾値時間以内に横切る可能性がある物標である対象物標が存在するか否かを判定する対象物標判定手段と、
前記対象物標が存在すると判定された場合に前記自車両(100)の運転者に対して注意喚起するための要求信号を発生する注意喚起要求手段と、
前記要求信号に応答して前記運転者に対して注意喚起する注意喚起手段と、
を備える。
本発明装置では、対象物標判定手段により、自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性がある物標である対象物標が存在するか否かが判定される。そして、対象物標が存在すると判定された場合、注意喚起手段により、自車両の運転者に対して注意喚起が行われる。ここで、例えば、対象物標が存在すると判定された場合であっても(即ち、注意喚起が行われる場合であっても)、自車両の前方に、対象物標が自車両の前方を通過することを許容する空間が存在していないときは、当該対象物標は自車両の前方を通過し難くなる。その結果、当該対象物標が実際に自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低くなる。このような場合にまで注意喚起が行われると、過剰な注意喚起となり、運転者に煩わしさを与える可能性がある。このため、対象物標が存在すると判定された場合であっても、上記空間がないために当該対象物標が実際に自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性が極めて低くなるときは、注意喚起が行われないことが好ましい。
そこで、本発明装置は、
前記自車両(100)の前方に、前記対象物標が前記自車両(100)の前方を通過することを許容する空間である前方空間が存在していないか否かについて、少なくとも前記物標情報に基づいて前記自車両(100)が追従している物標が存在しているか否かを判定することにより判定する前方空間判定手段を備えており、
前記注意喚起要求手段は、
前記対象物標判定手段により前記対象物標が存在すると判定された場合であっても、前記前方空間判定手段により前記前方空間が存在していないと判定された場合、前記要求信号の発生を禁止するように構成されている。
本発明装置では、前方空間判定手段により、少なくとも物標情報に基づいて自車両が追従している物標が存在しているか否かを判定することにより、自車両の前方に、対象物標が自車両の前方を通過することを許容する空間である前方空間が存在していないか否かが判定される。そして、対象物標が存在すると判定された場合であっても、上記前方空間が存在していないと判定されたときは、注意喚起が禁止される。ここで、前方空間が存在していないときは、対象物標は自車両の前方を通過し難くなる。このため、当該対象物標が自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低くなる。従って、本発明装置によれば、対象物標が存在すると判定された場合であっても、上記前方空間が存在しないために当該対象物標が実際に自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性が極めて低くなるときは、注意喚起を禁止することが可能となる。このため、不要な注意喚起が行われる可能性を大幅に低減でき、自車両の運転者に対してより適切に注意喚起することができる。
本発明装置の一側面では、
前記前方空間判定手段は、
前記自車両(100)の周辺に存在する物標を抽出し、
前記抽出された物標が、
前記自車両(100)から当該物標までの前記自車両(100)の前記進行方向(TDv)における距離である前後距離(d2)が所定の前後距離閾値以下であるとの前後距離条件、
前記自車両(100)から当該物標までの、前記自車両(100)の前記進行方向(TDv)と直交する方向である直交方向における距離である横距離(d3)が、所定の横距離閾値以下であるとの横距離条件、及び、
当該物標の前記直交方向における速度である横速度(SPDoy)が、所定の横速度閾値以下であるとの横速度条件、
の全ての条件を満たすか否かを判定することにより、前記自車両(100)が追従している前記物標であるか否かを判定し、
前記物標が前記全ての条件を満たしていると判定したとき前記前方空間は存在していないと判定するように構成されている。
横速度閾値を適切な値に設定することにより、横速度条件を満たす物標は、その進行方向が自車両の進行方向と略平行であるとみなすことができる。このため、この構成によれば、前方空間判定手段により、「自車両から自車両の進行方向に沿って前後距離閾値の長さを有し、自車両から自車両の直交方向に沿って自車両の両側にそれぞれ横距離閾値の長さを有する領域(以下、「前方領域」と称する。)」内に、その進行方向が自車両の進行方向と略平行である物標が存在するか否かを判定することにより、自車両が追従している物標が存在するか否かが判定され、そのような物標が存在すると判定された場合、前方空間は存在していないと判定される。従って、前後距離閾値及び横距離閾値のそれぞれを適切な値に設定することにより、前方領域内に自車両と略平行な進行方向を有する物標が存在する場合、対象物標の走行は当該物標により阻害されることになる。この結果、対象物標が自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低くなる。この構成によれば、対象物標が自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性が極めて低い場合に前方空間が存在していないと判定することができるため、前方空間が存在しているか否かの判定を適切に行うことができる。
本発明装置の一側面では、
前記予想経路推定手段は、
前記自車両(100)が直進しているか否かを判定し、直進していると判定した場合、前記自車両(100)から前記自車両(100)の前記進行方向(TDv)に直線状に延び、且つ、所定長さを有する経路を前記予想経路として推定し、
前記前方空間判定手段は、
前記前後距離閾値を、前記自車両(100)の前記予想経路の前記所定長さ以下に設定するように構成されている。
これによれば、前後距離閾値は自車両の予想経路の長さ以下であるため、前方領域は、対象物標が通過すると予想される予想経路上に存在していることになる。従って、そのような前方領域内にその進行方向が自車両の進行方向と略平行である物標が存在していると、対象物標の走行は当該物標により阻害されるため、結果として、対象物標が自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低くなる。この構成によれば、対象物標が自車両の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性が極めて低い場合に前方空間が存在していないと判定することができるため、前方空間が存在しているか否かの判定をより適切に行うことができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る運転支援装置(以下、「本実施装置」と称する。)及び当該運転支援装置が適用される車両を示した図である。 本実施装置がn周期目において自車両の周囲に設定する座標軸を示した図である。 n−1周期目及びn周期目における自車両と物標との位置関係を示し、n周期目における物標の物標情報の取得について説明するために用いる図である。 n周期目における自車両と、自車両の周辺に存在する物標との道路上における位置関係を示し、自車両が右折中のときのn周期目における対象物標の有無について説明するために用いる図である。 n周期目における自車両と、自車両の周辺に存在する物標との道路上における位置関係を示し、自車両が直進中のときのn周期目における対象物標の有無について説明するために用いる図である。 図4Bと同一の位置関係を有する自車両と物標とを示し、n周期目における前方空間の有無について説明するために用いる図である。 本実施装置の運転支援ECUのCPU(以下、「本実施装置のCPU」と称する。)が実行するルーチンを示したフローチャート(その1)である。 本実施装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャート(その2)である。 本実施装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャート(その3)である。 本実施装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャート(その4)である。
(実施形態)
以下、図面を参照しながら実施形態に係る運転支援装置(以下、「本実施装置」と称する。)について説明する。本実施装置は、図1に示した車両100に適用される。車両100は、図示しないエンジンを動力源とする自動車である。本実施装置は、運転支援ECU10及び表示ECU20を備える。
ECUは、エレクトリックコントロールユニットの略称であり、ECU10及びECU20は、それぞれ、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより、後述する各種機能を実現する。これらECUは、1つのECUに統合されてもよい。
運転支援ECU10及び表示ECU20は、通信・センサ系CAN(Controller Area Network)90を介してデータ交換可能(通信可能)に接続されている。
車両100は、車速センサ11、車輪速センサ12、ヨーレートセンサ13、左側方向指示器センサ14L、右側方向指示器センサ14R、レーダーセンサ15及び表示装置21を備える。センサ11乃至15は運転支援ECU10に接続されており、表示装置21は表示ECU20に接続されている。なお、車両100は、上記のセンサ以外に、車両100の運転状態を検出する複数のセンサを備えているが、本実施形態では、本明細書に開示する運転支援装置の構成に関わるセンサのみを説明する。
車速センサ11は、車両100の速度(車速)SPDv[km/h]を検出し、その車速SPDvを表す信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、車速センサ11から受信した信号に基づいて所定の演算時間Tcal[s]の経過毎に車速SPDvを取得する。
車輪速センサ12は、車両100の左右の前輪(図示省略)及び後輪(図示省略)にそれぞれ設けられる。各車輪速センサ12は、各車輪の回転速度WS[rps]を検出し、その回転速度WSを表す信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、各車輪速センサ12から受信した信号に基づいて所定演算時間Tcalの経過毎に各車輪の回転速度WSを取得する。更に、運転支援ECU10は、回転速度WSに基づいて車速SPDv[m/s]を取得することもできる。
ヨーレートセンサ13は、車両100の角速度(ヨーレート)Y[°/sec]を検出し、そのヨーレートYを表す信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、ヨーレートセンサ13から受信した信号に基づいて演算時間Tcalの経過毎にヨーレートYを取得する。
左側方向指示器センサ14Lは、左側方向指示器が不灯状態から点滅状態へと変化すると、左側方向指示器が点滅状態にあることを表す信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、左側方向指示器センサ14Lから受信した信号に基づいて、演算時間Tcalの経過毎に左側方向指示器の状態を取得する。
右側方向指示器センサ14Rは、右側方向指示器が不灯状態から点滅状態へと変化すると、右側方向指示器が点滅状態にあることを表す信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、右側方向指示器センサ14Rから受信した信号に基づいて演算時間Tcalの経過毎に右側方向指示器の状態を取得する。
レーダーセンサ15は、車両100の前端部の左端、中央及び右端にそれぞれ設けられる。各レーダーセンサ15は、車両100の左斜め前方、正面前方及び右斜め前方に向かって電波を送信する。その電波(以下、「送信波」と称する。)の到達範囲に他車両又は歩行者等の物体が存在する場合、送信波は、その物体によって反射される。各レーダーセンサ15は、その反射された送信波(以下、「反射波」と称する。)を受信する。各レーダーセンサ15は、送信波を表す信号及び反射波を表す信号を運転支援ECU10に出力する。以下では、上記電波の到達範囲に存在する物体を「物標」とも称する。
運転支援ECU10は、車両100の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性がある物標が存在するか否かを判定し(後述)、存在すると判定した場合、当該物標について車両100の運転者の注意を喚起するための要求信号を発生し、当該要求信号を表示ECU20に送信する。
表示装置21は、車両100の運転席から視認可能な位置(例えば、メータクラスタパネル内)に設けられたディスプレイ装置である。表示ECU20は、運転支援ECU10から上記要求信号を受信すると、表示装置21に指令信号を送信する。表示装置21は、表示ECU20から指令信号を受信すると、運転者の注意を喚起するための表示を行う。なお、表示装置21は、ヘッドアップディスプレイ及びセンターディスプレイ等であってもよい。
<本実施装置の作動の概要>
次に、本実施装置の作動の概要について説明する。本実施装置は、以下に述べる対象物標判定及び前方空間判定の二種類の判定を行う。
対象物標判定は、車両100の予想経路を閾値時間以内に横切る可能性がある物標(以下、「対象物標」とも称する。)が存在するか否かの判定である。
前方空間判定は、車両100の前方に、当該対象物標が車両100の前方を通過することを許容する空間である前方空間が存在しているか否かの判定である。
本実施装置は、上記2つの判定結果に基づいて、注意喚起の要否を判定する。以下、具体的に説明する。
A.対象物標判定と前方空間判定とに共通する作動
まず、対象物標判定と前方空間判定とに共通する作動について説明する。本実施装置は、車両100の図示しないエンジンスイッチ(イグニッション・キー・スイッチ)がオンされると、そのエンジンスイッチがオフされるまで、演算時間Tcalの経過毎に、車両100の情報(自車両情報)を取得し、当該自車両情報に基づいて車両100の現在位置を原点とする座標軸を設定する。加えて、本実施装置は、車両100の周辺に物標が存在するか否かを判定し、物標が存在すると判定した場合、物標の物標情報を取得する。以下、より具体的に説明する。
なお、以下では、エンジンスイッチがオンされてからオフされるまでの期間を「エンジンオン期間」とも称する。更に、任意の要素eに関して、演算周期がn周期目の要素eをe(n)と表し、エンジンスイッチがオンされた時点をn=0と規定する。なお、例えば、車両100はハイブリッド車両又は電気自動車であってもよい。この場合、これらの車両100を走行可能な状態に設定する起動スイッチ(例えば、レディスイッチ)がオンであることは、エンジンスイッチがオンであることと同義であり、起動スイッチがオフであることは、エンジンスイッチがオフであることと同義である。
<自車両情報の取得及び座標軸の設定>
本実施装置の運転支援ECU10は、センサ11乃至センサ14から受信した信号に基づいて、車速SPDv(n)、車輪速WS(n)、ヨーレートY(n)、左側及び右側方向指示器の状態を自車両情報として取得し、そのRAMに格納する。運転支援ECU10は、自車両情報に基づいて車両100の現在位置を原点とする座標軸を設定する。具体的には、図2に示すように、運転支援ECU10は、n周期目の車両100の前端部中央をn周期目の原点O(n)(0,0)とし、n周期目の車両100の進行方向TDv(n)に沿ってx軸を設定し、原点O(n)を通り、当該進行方向TDv(n)と直交する方向にy軸を設定する。x軸は進行方向TDv(n)を正方向として有し、y軸は車両100の左方向を正方向として有する。なお、運転支援ECU10は、n周期目の車速SPDv(n)(又は車輪速SW(n))及びヨーレートY(n)から進行方向TDv(n)を決定する。運転支援ECU10は、これらの座標軸を表す情報をそのRAMに格納する。このxy座標平面におけるx成分及びy成分の単位は[m]である。
<物標情報の取得>
運転支援ECU10は、各レーダーセンサ15から受信した信号に基づいて、車両100の周辺に物標が存在するか否かを判定する。運転支援ECU10は、物標が存在すると判定した場合、車両100から物標までの距離及び車両100に対する物標の方位を取得する。運転支援ECU10は、物標のn周期目の距離及び方位から、車両100のn周期目の位置(即ち、原点O(n))に対する物標のn周期目の相対位置P(n)の座標(x(n),y(n))を算出する。加えて、運転支援ECU10は、図3に示すように、以下の手順で物標の一例である物標200のn周期目の進行方向TDo(n)及び速度SPDo(n)[km/h]を算出する。なお、図3では、n周期目における車両100及び物標200を実線で示し、n−1周期目における車両100及び物標200を破線で示している。
[物標の進行方向TDoの算出]
まず、運転支援ECU10は、下記式(1)、式(2)に則って、n周期目の物標200の相対位置P(n)の位置ベクトルp(n)及びn−1周期目の物標200の相対位置P(n-1)の位置ベクトルp(n-1)を算出する。

p(n)=(x(n),y(n))…(1)
p(n-1)=(x(n-1),y(n-1))…(2)

上記式(1)及び式(2)から明らかなように、位置ベクトルp(n)の成分はn周期目の物標200の相対位置P(n)の座標に等しく、位置ベクトルp(n-1)の成分はn−1周期目の物標200の相対位置P(n-1)の座標に等しい。即ち、位置ベクトルp(n)は、n周期目の原点O(n)を始点とするベクトルであり、位置ベクトルp(n-1)は、n−1周期目の原点O(n-1)を始点とするベクトルであるため、両者のベクトルは始点が異なる。従って、運転支援ECU10は、下記式(3)に則って、位置ベクトルp(n-1)を、n周期目の原点O(n)を始点とする位置ベクトルpc(n-1)に変換する。

pc(n-1)=p(n-1)−O(n-1)O(n)…(3)

ここで、ベクトルO(n-1)O(n)は、n−1周期目の原点O(n-1)からn周期目の原点O(n)までのベクトルである。このベクトルO(n-1)O(n)は、n−1周期目における車両100の車速SPDv(n-1)に演算時間Tcalを乗じた値を大きさに持ち、n−1周期目の進行方向TDv(n-1)を向きに持つベクトルである。
運転支援ECU10は、下記式(4)に則って式(1)から式(3)を減算することにより、n−1周期目からn周期目までの物標200の変位方向を算出する。

p(n)−pc(n-1)=p(n)−p(n-1)+O(n-1)O(n)…(4)

運転支援ECU10は、式(4)により表される物標の変位方向を、n周期目における物標200の進行方向TDo(n)として算出する。
[物標の速度SPDoの算出]
次に、運転支援ECU10は、下記式(5)に則ってn周期目における物標200の速度SPDo(n)を算出する。なお、abs{X}は、ベクトルXの大きさを示す。

SPDo(n)=abs{p(n)−p(n-1)+O(n-1)O(n)}/Tcal…(5)

即ち、運転支援ECU10は、n−1周期目からn周期目までの物標200の変位量(abs{p(n)−p(n-1)+O(n-1)O(n)})を演算周期Tcalで除した値を、n周期目における物標200の速度SPDo(n)として算出する。
運転支援ECU10は、物標の相対位置P(n)の座標、物標の進行方向TDo(n)及び物標の速度SPDo(n)を、物標情報としてそのRAMに格納する。なお、各レーダーセンサ15が同一物標により反射された信号を運転支援ECU10に出力する場合、運転支援ECU10は、それらの信号に基づいて当該同一物標についての物標情報を取得する。
B.対象物標判定に関する作動
次に、対象物標判定に関する作動について説明する。運転支援ECU10は、エンジンオン期間中、演算時間Tcalの経過毎に、車両100が左折又は右折中であるか直進中であるかを判定し、判定結果に応じた車両100の予想経路を推定する。この予想経路は、右左折時(右左折中において一時停止しているときも含む)は円弧形状の経路として推定され、直進時(直進中において一時停止しているときも含む)は線分状の経路として推定される。加えて、運転支援ECU10は、物標の予想経路を推定し、車両100の予想経路と閾値時間以内に交差する物標が存在するか否かを判定する。運転支援ECU10は、上記物標が存在すると判定した場合、当該物標について注意喚起が必要と判定し、当該物標についての注意喚起フラグの値を1に設定する。一方、運転支援ECU10は、上記物標が存在しないと判定した場合、当該物標について注意喚起が不要であると判定し、当該物標についての注意喚起フラグの値を0に設定する。以下、対象物標判定方法についてより具体的に説明する。
<左折開始条件及び右折開始条件>
運転支援ECU10は、車両100が左折又は右折中であるか直進中であるかを判定するに際し、まず、車両100が左折又は右折を開始しようとしているか否かを判定する。運転支援ECU10は、以下に述べる左折開始条件が成立した場合、車両100が左折を開始しようとしていると判定し、以下に述べる右折開始条件が成立した場合、車両100が右折を開始しようとしていると判定する。
[左折開始条件]
左折開始条件は、以下の条件L1、L2及びL3のうちの何れか1つが成立した場合に成立する。
(条件L1)車速SPDv(n)が第1車速閾値SPDv1th(本例では0km/h)以上且つ第2車速閾値SPDv2th(本例では20km/h)以下である場合に、左側方向指示器が不灯状態から点滅状態へと変化する。
なお、第1車速閾値SPDv1th及び第2車速閾値SPDv2thは、車両100が左折を開始しようとしているときの一般的な速度範囲の下限値及び上限値のそれぞれになるように予め設定されている。これは、右折についても同様である。
(条件L2)左側方向指示器が点滅状態である場合に、車速SPDv(n)が第1車速閾値SPDv1th以上であり且つ第2車速閾値SPDv2th以下の速度に変化する。
(条件L3)車速SPDv(n)が第1車速閾値SPDv1th以上であり且つ第2車速閾値SPDv2th以下の速度に変化すると同時に、左側方向指示器が不灯状態から点滅状態へと変化する。
[右折開始条件]
右折開始条件は、以下の条件R1、R2及びR3のうちの何れか1つが成立した場合に成立する。
(条件R1)車速SPDv(n)が第1車速閾値SPDv1th以上且つ第2車速閾値SPDv2th以下である場合に、右側方向指示器が不灯状態から点滅状態へと変化する。
(条件R2)右側方向指示器が点滅状態である場合に、車速SPDv(n)が第1車速閾値SPDv1th以上であり且つ第2車速閾値SPDv2th以下の速度に変化する。
(条件R3)車速SPDv(n)が第1車速閾値SPDv1th以上であり且つ第2車速閾値SPDv2th以下の速度に変化すると同時に、右側方向指示器が不灯状態から点滅状態へと変化する。
<左折中条件及び右折中条件>
一般に、車両100が左折又は右折中の間(即ち、車両100が左折又は右折を開始しようとしてから実際に左折又は右折を行い、その後左折又は右折を終了するまでの間)は、車両100の車速SPDv(n)は、SPDv1th≦SPDv(n)≦SPDv2thを満たすとともに、左側方向指示器又は右側方向指示器は点滅状態に維持されている。従って、一旦左折開始条件又は右折開始条件が成立すると、車両100が左折又は右折を終了するまでは、上記の条件L1〜L3又は条件R1〜R3はいずれも成立しなくなるため、左折開始条件又は右折開始条件が再び成立することはない。このため、運転支援ECU10は、左折開始条件又は右折開始条件が成立したと判定した後は、左側方向指示器又は右側方向指示器が点滅状態でなくなった(即ち、不灯状態へ変化した)と判定するまで、又は、「車両100が左折又は右折を開始しようとしてから現時点までに旋回した角度である旋回角度θtotal(n)(後述)」が、「左折又は右折を行う際に一般的に要する旋回角度(本例では90°)」を超過したと判定するまで、車両100は左折又は右折中であると判定する。
<旋回角度θtotalの初期化及び旋回角度θ(n)の算出>
運転支援ECU10は、左折開始条件又は右折開始条件が成立したと判定した後は、車両100が左折又は右折中であると判定している間、車両100の旋回角度θtotal(n)を算出する。具体的には、運転支援ECU10がm周期目に左折開始条件又は右折開始条件が成立したと判定した場合、運転支援ECU10は、m周期目からn周期目までの間に車両100が旋回した旋回角度θtotal(n)を、下記式(6)及び式(7)に則って算出する。

n=mのとき、θtotal(m)=0°…(6)
n≧m+1のとき、θtotal(n)=θtotal(n-1)+θ(n)…(7)

即ち、本実施装置は、左折開始条件又は右折開始条件が成立したと判定したときの周期(n=m)では、旋回角度θtotal(m)を0°に設定(初期化)する。そして、それ以降(n≧m+1)は、運転支援ECU10は、旋回角度θtotal(n)を、直前の旋回角度θtotal(n-1)に瞬時旋回角度θ(n)を加えることにより算出する。なお、瞬時旋回角度θ(n)は、n周期目のヨーレートY(n)と演算時間Tcalとを積算することにより算出される。このヨーレートY(n)には、Y(n)を含む、直前の複数の周期において取得されたヨーレートYの平均値(以下では、この平均値を「平滑ヨーレートYs(n)」と称する。)が用いられてもよい。運転支援ECU10は、旋回角度θtotal(n)をそのRAMに格納する。
<直進中条件>
運転支援ECU10は、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定した後、左折開始条件及び右折開始条件が一度も成立しておらず、且つ、左側方向指示器及び右側方向指示器が不灯状態であると判定した場合、車両100は直進中であると判定する。
運転支援ECU10は、判定結果(即ち、左折中であるか、右折中であるか、又は直進中であるか)をそのRAMに格納する。
<車両100の左側予想経路及び右側予想経路の推定>
運転支援ECU10は、車両100が左折又は右折中であると判定した場合、及び、車両100が直進中であると判定した場合に、車両100の前端部の左端OL(n)(図4A及び図4B参照)が通過すると予想される予想経路(左側予想経路)と、車両100の前端部の右端OR(n)(図4A及び図4B参照)が通過すると予想される予想経路(右側予想経路)と、をそれぞれ推定する。運転支援ECU10は、車両100が左折又は右折中であると判定した場合、これらの左側及び右側予想経路を円弧状の経路として推定し、車両100が直進中であると判定した場合、これらの左側及び右側予想経路を有限長さを有する直線状(即ち、線分状)の経路として推定する。以下では、円弧状の左側予想経路及び右側予想経路を、それぞれ「第1左側予想経路」及び「第1右側予想経路」と称し、線分状の左側予想経路及び右側予想経路を、それぞれ「第2左側予想経路」及び「第2右側予想経路」と称する。以下では、第1左側及び第1右側予想経路の推定方法について先に説明し、その後、第2左側及び第2右側予想経路の推定方法について説明する。
1.第1左側予想経路及び第1右側予想経路の推定
1−1.旋回半径Rの算出
運転支援ECU10は、図4Aに示すように、車両100が左折又は右折中であると判定した場合、xy座標平面におけるn周期目の第1左側予想経路(図4Aに太線で示す)を、円の式である第1左側予想経路式fL1(n)(後述)の一部として推定し、n周期目の第1右側予想経路(図4Aに太線で示す)を、円の式である第1右側予想経路式fR1(n)(後述)の一部として推定する。運転支援ECU10は、これらの円の中心座標及び半径を、車両100の原点O(n)が通過すると予想される円の半径である旋回半径R(n)に基づいて算出する。この旋回半径R(n)は、例えば、車速SPDv(n)を平滑ヨーレートYs(n)の大きさ|Ys(n)|で除することにより算出される(即ち、R(n)=SPDv(n)/|Ys(n)|)。なお、詳しいR(n)の求め方は、本出願人による特願2016−224957にも記載されている。
1−2.第1左側予想経路式fL1及び第1右側予想経路式fR1の算出
運転支援ECU10は、上記1−1で算出された旋回半径R(n)に基づいて、第1左側予想経路式fL1(n)によって表される円の中心座標(Cx(n),Cy(n))及び左側旋回半径RL(n)を、以下の式(8)乃至式(11)に則って算出する。そして、当該中心座標(Cx(n),Cy(n))及び左側旋回半径RL(n)を用いて、下記式(12)によって表される第1左側予想経路式fL1(n)を算出する。
同様に、運転支援ECU10は、上記1−1で算出された旋回半径R(n)に基づいて、第1右側予想経路式fR1(n)によって表される円の中心座標(Cx(n),Cy(n))及び右側旋回半径RR(n)を、以下の式(13)乃至式(16)に則って算出する。そして、当該中心座標(Cx(n),Cy(n))及び右側旋回半径RR(n)を用いて、下記式(17)によって表される第1右側予想経路式fR1(n)を算出する。
なお、w[m]は車両100の幅(y軸方向の長さ)を表す。wは運転支援ECU10が搭載される予定の車両ごとに予め設定されている。
第1左側予想経路式fL1(n)の中心座標(Cx(n),Cy(n)):
(左折時)(Cx(n),Cy(n))=(0,R(n))…(8)
(右折時)(Cx(n),Cy(n))=(0,−R(n))…(9)

第1左側予想経路式fL1(n)の左側旋回半径RL(n):
(左折時)RL(n)=R(n)−w/2…(10)
(右折時)RL(n)=R(n)+w/2…(11)

第1左側予想経路式fL1(n):
(x(n)−Cx(n))+(y(n)−Cy(n))=RL(n)…(12)
第1右側予想経路式fR1(n)の中心座標(Cx(n),Cy(n)):
(左折時)(Cx(n),Cy(n))=(0,R(n))…(13)
(右折時)(Cx(n),Cy(n))=(0,−R(n))…(14)

第1右側予想経路式fR1(n)の右側旋回半径RR(n):
(左折時)RR(n)=R(n)+w/2…(15)
(右折時)RR(n)=R(n)−w/2…(16)

第1右側予想経路式fR1(n):
(x(n)−Cx(n))+(y(n)−Cy(n))=RR(n)…(17)
即ち、運転支援ECU10は、第1左側予想経路式fL1(n)の中心座標(Cx(n),Cy(n))を、y軸(即ち、原点O(n)を通り、車両100の進行方向TDv(n)と直交する方向)上において、左折時は原点O(n)からy軸の正方向に旋回半径R(n)の大きさだけ移動した点として算出し、右折時は原点O(n)からy軸の負方向に旋回半径R(n)の大きさだけ移動した点として算出する(式(8)及び式(9)参照)。加えて、運転支援ECU10は、第1右側予想経路式fR1(n)の中心座標(Cx(n),Cy(n))を、第1左側予想経路式fL1(n)の中心座標(Cx(n),Cy(n))と同一の点として算出する(式(8)、式(9)、式(13)、式(14)参照)。
更に、運転支援ECU10は、第1左側予想経路式fL1(n)の左側旋回半径RL(n)を、左折時は旋回半径R(n)から車両100の車幅wの半分の長さ(半車幅長)w/2を減算することにより算出し、右折時は旋回半径R(n)に半車幅長w/2を加算することにより算出する(式(10)及び式(11)参照)。加えて、運転支援ECU10は、第1右側予想経路式fR1(n)の右側旋回半径RR(n)を、右折時は旋回半径R(n)に半車幅長w/2を加算することにより算出し、左折時は旋回半径R(n)から半車幅長w/2を減算することにより算出する(式(15)及び式(16)参照)。
運転支援ECU10は、各第1予想経路式fL1(n)及びfR1(n)の式をそのRAMに格納する。
1−3.第1左側予想経路の長さLL1及び第1右側予想経路の長さLR1の算出
運転支援ECU10は、第1左側予想経路の長さLL1(n)及び第1右側予想経路の長さLR1(n)を、下記式(18)及び式(19)に則って算出する。

LL1(n)=RL(n)・(90°−θtotal(n))・π/180°…(18)
LR1(n)=RR(n)・(90°−θtotal(n))・π/180°…(19)
即ち、運転支援ECU10は、第1左側予想経路の長さLL1(n)及び第1右側予想経路の長さLR1(n)を、車両100が現時点で左折又は右折をしている場所において、左折又は右折を終了するまでに旋回することになる角度(即ち、90°−θtotal(n))に対応する円弧の長さとして算出する。運転支援ECU10は、各第1予想経路の長さLL1(n)及びLR1(n)をそのRAMに格納する。
2.第2左側予想経路及び第2右側予想経路の推定
2−1.第2左側予想経路式fL2及び第2右側予想経路式fR2の算出
運転支援ECU10は、車両100が直進中であると判定した場合、xy座標平面におけるn周期目の第2左側予想経路をその一部に含む第2左側予想経路式fL2(n)と、n周期目の第2右側予想経路をその一部に含む第2右側予想経路式fR2(n)と、を下記式(20)及び式(21)に則って算出する。

第2左側予想経路式fL2(n):y=w/2(x≧0)…(20)

第2右側予想経路式fR2(n):y=−w/2(x≧0)…(21)
即ち、運転支援ECU10は、第2左側予想経路式fL2(n)を、車両100の左端OL(n)から車両100の進行方向TDv(n)に延びる半直線の式として算出する。加えて、運転支援ECU10は、第2右側予想経路式fR2(n)を、車両100の右端OR(n)から車両100の進行方向TDv(n)に沿って延びる半直線の式として算出する。運転支援ECU10は、各予想経路式fL2(n)及びfR2(n)をそのRAMに格納する。
2−2.第2左側予想経路の長さLL2及び第2左側予想経路の長さLR2の設定
運転支援ECU10は、第2左側予想経路の長さLL2(n)を、車両100の左端OL(n)から左側所定位置(本例では点(w/2,7))までの長さ(本例では7m)として設定し、第2右側予想経路の長さLR2(n)を、車両100の右端OR(n)から右側所定位置(本例では点(−w/2,7))までの長さ(本例では7m)として設定する。運転支援ECU10は、各第2予想経路の長さLL2(n)及びLR2(n)をそのRAMに格納する。
<物標の予想経路の推定>
運転支援ECU10は、物標情報に基づいて、物標が通過すると予想される予想経路を推定する。運転支援ECU10は、xy座標平面におけるn周期目の物標の予想経路を表す予想経路式g(n)を、物標の相対位置P(n)から物標の進行方向TDo(n)に延びる半直線の式として算出する。
図4Aに示す物体A乃至物体C、及び、図4Bに示す物体D乃至物体Hは、n周期目の車両100の各レーダーセンサ15によって送信された電波の到達範囲に存在する物体(即ち、物標)である。図4A及び図4Bの例では、運転支援ECU10は、n周期目の物標情報に基づいて、物標A乃至物標Hのそれぞれの相対位置Pa(n)乃至相対位置Pg(n)から、それぞれの進行方向TDoa(n)乃至進行方向TDog(n)(図4A及び図4Bの矢印参照)に延びる予想経路式gd(n)乃至予想経路式gg(n)をそれぞれ算出する(以下、予想経路式g(n)を、単に「式g(n)」とも称する。)。運転支援ECU10は、各式gd(n)乃至式gg(n)をそのRAMに格納する。
<車両100が右左折中の場合の判定条件と、車両100が直進中の場合の判定条件>
運転支援ECU10が採用した「車両100が左折又は右折中であると判定した場合の判定条件」と、運転支援ECU10が採用した「車両100が直進中であると判定した場合の判定条件」と、はその一部が相違している。以下では、車両100が左折又は右折中であると判定した場合における判定条件について先に説明し、その後、車両100が直進中であると判定した場合における判定条件に付いて説明する。
3.車両100が左折又は右折中であると判定された場合
3−1.第1交差条件及び交点Q1の座標の算出
運転支援ECU10は、車両100が左折又は右折中であると判定した場合、物標の式g(n)(本例において、式ga(n)乃至式gc(n)のそれぞれ)によって表される直線が、車両100の第1左側予想経路と第1右側予想経路の少なくとも一方と交差しているという第1交差条件が成立しているか否かを判定する。なお、本明細書では、「2つの線が交差している」とは、一方の線が他方の線を横切っている場合を意味しており、2つの線が接している場合は含まない。運転支援ECU10は、第1交差条件が成立していると判定した場合、当該物標を第1交差条件を満たす物標として抽出する。この場合、運転支援ECU10は、式g(n)によって表される直線が第1左側予想経路及び/又は第1右側予想経路と交差している交点の数を算出する。交点の数が2個の場合、運転支援ECU10は、式g(n)によって表される直線が、物標の進行方向TDo(n)において最初に交差している交点の座標を、交点Q1(n)の座標として算出する。一方、交点の数が1個の場合、運転支援ECU10は、当該交点の座標を、交点Q1(n)の座標として算出する。これに対し、運転支援ECU10は、第1交差条件が成立していないと判定した場合、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果及び交点Q1(n)の座標をその交点Q1(n)を有する物標と関連付けてRAMに格納する。
図4Aの例では、物標Aについての式ga(n)によって表される直線は、太い実線により示された第1左側予想経路と点A1で交差しているとともに、太い実線により示された第1右側予想経路と点A2で交差しており、その交点の数は2個である。加えて、物標Bについての式gb(n)によって表される直線は、第1左側予想経路と点B1で交差しており、その交点の数は1個である。このため、運転支援ECU10は、物標A及び物標Bについては第1交差条件が成立していると判定し、物標A及び物標Bを第1交差条件を満たす物標として抽出する。加えて、運転支援ECU10は、物標Aについて式ga(n)によって表される直線が物標Aの進行方向TDoa(n)において最初に交差している交点である点A1の座標を交点Q1a(n)の座標として算出し、物標Bについて交点B1の座標を交点Q1b(n)の座標として算出する。これに対し、物標Cについて式gc(n)によって表される直線は、第1左側及び第1右側予想経路の何れとも交差していない。このため、運転支援ECU10は、物標Cについては第1交差条件が成立していないと判定し、この物標を抽出しない。
3−2.第1時間t1の算出
運転支援ECU10は、物標が第1交差条件を満たす物標として抽出された場合、当該物標が第1左側又は第1右側予想経路に到達すると予想される第1時間t1(n)を算出する。運転支援ECU10は、第1時間t1(n)を、物標の相対位置P(n)から交点Q1(n)までの長さを物標の速度SPDo(n)で除することにより算出する。運転支援ECU10は、当該第1時間t1(n)を物標と関連付けてRAMに格納する。
図4Aの例では、運転支援ECU10は、第1交差条件を満たす物標として抽出された物標A及び物標Bについて、第1時間t1a(n)及び第1時間t1b(n)をそれぞれ算出する。第1時間t1a(n)は、物標Aの相対位置Pa(n)から交点Q1a(n)までの長さを物標Aの速度SPDoa(n)で除することにより算出される。第1時間t1b(n)も同様の方法で算出される。
4.車両100が直進中であると判定された場合
4−1.第2交差条件及び交点Q2の座標の算出
運転支援ECU10は、物標の式g(n)(本例において、式gd(n)乃至式gg(n)のそれぞれ)によって表される直線が、車両100の第2左側予想経路式fL2(n)によって表される直線と第2右側予想経路式fR2(n)によって表される直線の両方と交差しているという第2交差条件が成立しているか否かを判定する。運転支援ECU10は、第2交差条件が成立していると判定した場合、当該物標を第2交差条件を満たす物標として抽出する。加えて、運転支援ECU10は、第2左側及び第2右側予想経路式fL2(n)及びfR2(n)によって表される直線のうち、抽出された物標の式g(n)によって表される直線が最初に交差するほうの直線との交点Q2(n)の座標を算出する。一方、運転支援ECU10は、第2交差条件が成立していないと判定した場合、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果及び交点Q2(n)の座標をその交点Q2(n)を有する物標と関連付けてRAMに格納する。上記の説明から明らかなように、運転支援ECU10が車両100が直進中であると判定した場合において、物標の式g(n)によって表される直線が上記2つの直線の一方としか交差していないとき(即ち、車両100の進行方向TDv(n)と交差する進行方向TDo(n)を有する物標の相対位置P(n)が、上記2つの直線の間に位置しているとき)、交差条件は成立しない。
図4Bの例では、物標Eについての式ge(n)によって表される直線は、車両100の第2左側及び第2右側予想経路式fL2(n)及びfR2(n)によって表される両方の直線と交差し、且つこれらの直線のうち第2左側予想経路式fL2(n)によって表される直線と点Q2e(n)で最初に交差している。加えて、物標Gについての式gg(n)によって表される直線は、第2左側及び第2右側予想経路式fL2(n)及びfR2(n)によって表される両方の直線と交差し、且つこれらの直線のうち第2右側予想経路式fR2(n)によって表される直線と点Q2g(n)で最初に交差している。このため、運転支援ECU10は、物標E及び物標Gについては第2交差条件が成立していると判定し、物標E及び物標Gを第2交差条件を満たす物標として抽出する。加えて、運転支援ECU10は、物標Eについて交点Q2e(n)の座標を算出し、物標Gについて交点Q2g(n)の座標を算出する。一方、物標Dについての式gd(n)、物標Fについての式gf(n)及び物標Hについての式gh(n)によって表される直線は、第2左側及び第2右側予想経路式fL2(n)及びfR2(n)によって表される直線の何れとも交差していない。このため、運転支援ECU10は、物標D、物標F及び物標Hについては第2交差条件が成立していないと判定し、これらの物標を抽出しない。
4−2.距離d1の算出及び長さ条件
運転支援ECU10は、物標が上記第2交差条件を満たす物標として抽出された場合、車両100から当該物標についての交点Q2(n)までの距離d1(n)[m]を算出する。運転支援ECU10は、交点Q2(n)が左側予想経路上に位置している場合、距離d1(n)を、車両100の左端OL(n)から交点Q2(n)までの距離として算出し、交点Q2(n)が右側予想経路上に位置している場合、距離d1(n)を、車両100の右端OR(n)から交点Q2(n)までの距離として算出する。運転支援ECU10は、当該距離d1(n)をそのRAMに格納する。加えて、運転支援ECU10は、当該距離d1(n)が車両100の各第2予想経路の長さ(本例では、7m)以下であるという長さ条件が成立しているか否かを判定する。長さ条件が成立していると判定した場合、運転支援ECU10は、当該物標を長さ条件を満たす物標として抽出する。一方、長さ条件が成立していないと判定した場合、運転支援ECU10は、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果をそのRAMに格納する。
図4Bの例では、第2交差条件を満たす物標として抽出された物標E及び物標Gのうち、物標Eについては、車両100の左端OL(n)から交点Q2e(n)までの距離d1e(n)は第2左側予想経路の長さ(図4の太線参照)以下である。加えて、物標Gについては、車両100の右端OR(n)から交点Q2g(n)までの距離d1g(n)は第2右側予想経路の長さ(図4の太線参照)以下である。このため、運転支援ECU10は、物標E及び物標Gのいずれについても長さ条件が成立していると判定し、これらの物標を長さ条件を満たす物標として抽出する。
4−3.第2時間t2の算出
運転支援ECU10は、物標が上記長さ条件を満たす物標として抽出された場合、当該物標が第2左側又は第2右側予想経路に到達すると予想される第2時間t2(n)を算出する。運転支援ECU10は、第2時間t(n)を、物標の相対位置P(n)から交点Q2(n)までの長さを物標の速度SPDo(n)で除することにより算出する。運転支援ECU10は、当該第2時間t(n)を物標と関連付けてそのRAMに格納する。
図4Bの例では、運転支援ECU10は、長さ条件を満たす物標として抽出された物標E及び物標Gについて、第2時間t2e(n)及び第2時間t2g(n)をそれぞれ算出する。第2時間t2e(n)は、物標Eの相対位置Pe(n)から交点Q2e(n)までの長さを物標Eの速度SPDoe(n)で除することにより算出される。第2時間t2g(n)も同様の方法で算出される。
<時間条件>
運転支援ECU10は、車両100が左折又は右折中であると判定した場合、又は、車両100が直進中であると判定した場合の何れにおいても、第1時間t1(n)又は第2時間t2(n)が閾値時間(本例では4秒)以下であるという時間条件が成立しているか否かを判定する。時間条件が成立していると判定した場合、運転支援ECU10は、当該物標を時間条件を満たす物標として抽出する。一方、時間条件が成立していないと判定した場合、運転支援ECU10は、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果をそのRAMに格納する。
図4Aにおいて、例えば、物標Aについての第1時間t1a(n)が3秒、物標Bについての第1時間t1b(n)が6秒の場合、運転支援ECU10は、第1時間t1a(n)は閾値時間以下であるため物標Aについては時間条件が成立していると判定し、物標Aを時間条件を満たす物標として抽出する。一方、第1時間t1b(n)は閾値時間を超えているため物標Bについては時間条件が成立しないと判定し、物標Bを抽出しない。
一方、図4Bにおいて、例えば、物標Eについての第2時間t2e(n)が2秒、物標Gについての第2時間t2g(n)が5秒の場合、運転支援ECU10は、第2時間t2e(n)は閾値時間以下であるため物標Eについては時間条件が成立していると判定し、物標Eを時間条件を満たす物標として抽出する。一方、第2時間t2g(n)は閾値時間を超えているため物標Gについては時間条件が成立しないと判定し、物標Gを抽出しない。
<注意喚起フラグの設定>
運転支援ECU10は、物標が上記時間条件を満たす物標として抽出された場合、当該物標が第1左側及び/又は第1右側予想経路、若しくは、第2左側及び/又は第2右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性があると判定して(別言すれば、当該物標は対象物標であると判定して)、当該物標について注意喚起フラグの値を1に設定する。一方、運転支援ECU10は、車両100が右左折中であると判定した場合においては、物標が上記第1交差条件又は時間条件を満たす物標として抽出されなかったときに、当該物標が第1左側及び/又は第1右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低いと判定して(別言すれば、当該物標は対象物標ではないと判定して)、当該物標について注意喚起フラグの値を0に設定する。加えて、運転支援ECU10は、車両100が直進中であると判定した場合においては、物標が上記第2交差条件、長さ条件又は時間条件を満たす物標として抽出されなかったときに、当該物標が第2左側及び/又は第2右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低いと判定して、当該物標について注意喚起フラグの値を0に設定する。
以下では、第1左側予想経路及び第2左側予想経路を、「左側予想経路」と総称し、第1右側予想経路及び第2右側予想経路を、「右側予想経路」と総称する場合がある。運転支援ECU10は、各物標についての注意喚起フラグの設定値をそのRAMに保存する。
図4Aの例では、運転支援ECU10は、時間条件を満たす物標として抽出された物標Aについて注意喚起フラグの値を1に設定する。一方、運転支援ECU10は、第1交差条件を満たす物標として抽出されなかった物標C及び時間条件を満たす物標として抽出された物標Bのそれぞれについて注意喚起フラグの値を0に設定する。
加えて、図4Bの例では、運転支援ECU10は、時間条件を満たす物標として抽出された物標Eについて注意喚起フラグの値を1に設定する。一方、運転支援ECU10は、第2交差条件を満たす物標として抽出されなかった物標D、物標F及び物標Hについて注意喚起フラグの値を0に設定し、時間条件を満たす物標として抽出されなかった物標Gについて注意喚起フラグの値を0に設定する。
C.前方空間判定に関する作動
続いて、前方空間判定に関する作動について説明する。運転支援ECU10は、エンジンオン期間中、演算時間Tcalの経過毎に、車両100の前方に存在する所定の大きさを有する矩形状の領域内に、車両100が追従している物標が存在するか否かを判定する。以下、当該矩形状の領域を、「前方領域」とも称する。そして、運転支援ECU10は、前方領域内にそのような物標が存在すると判定した場合、車両100の前方に、対象物標が車両100の前方を通過することを許容する空間は存在していないと判定し、前方空間フラグの値を0に設定する。以下では、「車両100の前方に存在し、対象物標が車両100の前方を通過することを許容する空間」を「前方空間」とも称する。一方、運転支援ECU10は、前方領域内にそのような物標が存在しないと判定した場合、前方空間が存在していると判定し、前方空間フラグの値を1に設定する。
ここで、前方空間判定では、対象物標判定と異なり、車両100が左折又は右折中であると判定された場合も、直進中であると判定された場合も、同一の処理が行われる。このため、以下では、前方空間判定方法について、車両100が直進中であると判定された場合(図5参照)を例に挙げて、より具体的に説明する。
<前方存在条件>
運転支援ECU10は、物標情報に基づいて、物標が車両100の前方に存在するか否かを判定する。具体的には、運転支援ECU10は、物標の相対位置P(n)のx座標の値が0≦xであるという前方存在条件が成立しているか否かを判定する。前方存在条件が成立していると判定した場合、運転支援ECU10は、当該物標は車両100の前方に存在すると判定し、当該物標を、前方存在条件を満たす物標として抽出する。一方、前方存在条件が成立していないと判定した場合、運転支援ECU10は、当該物標は車両100の前方には存在していないと判定し、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果をそのRAMに格納する。
図5の例では、車両100の周辺に存在する物標D乃至物標Hのうち、物標E乃至物標Hの相対位置Pe(n)乃至相対位置Ph(n)のx座標の値はいずれも正である。このため、運転支援ECU10は、物標E乃至物標Hについては前方存在条件が成立していると判定し、これらの物標E乃至物標Hを前方存在条件を満たす物標として抽出する。一方、物標Dの相対位置Pd(n)のx座標の値は負である。このため、運転支援ECU10は、物標Dについては前方存在条件が成立していないと判定し、物標Dを抽出しない。
<前後距離条件>
運転支援ECU10は、物標が前方存在条件を満たす物標として抽出された場合、それらの抽出された物標の物標情報に基づいて、車両100から当該物標までの前後方向(即ち、x軸方向)の距離である前後距離d2(n)[m]が、所定の前後距離閾値(本例では6m)以下であるか否かを判定する。具体的には、運転支援ECU10は、物標の相対位置P(n)のx座標の値が0≦x≦6であるという前後距離条件が成立しているか否かを判定する。前後距離条件が成立していると判定した場合、運転支援ECU10は、車両100から当該物標までの前後距離d2(n)が前後距離閾値以下であると判定し、当該物標を前後距離条件を満たす物標として抽出する。一方、前後距離条件が成立していないと判定した場合(即ち、物標の相対位置P(n)のx座標の値が6<xであると判定した場合)、運転支援ECU10は、車両100から当該物標までの前後距離d2(n)が前後距離閾値より大きいと判定し、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果をそのRAMに格納する。なお、前後距離閾値は、車両100の第2左側及び第2右側予想経路の長さ(本例では7m)以下に設定される。
図5の例では、前方存在条件を満たす物標として抽出された物標E乃至物標Hのうち、物標E乃至物標Gの相対位置Pe(n)乃至相対位置Pg(n)のx座標の値はいずれも0≦x≦6である。このため、運転支援ECU10は、物標E乃至物標Gについては前後距離条件が成立していると判定し、これらの物標E乃至物標Gを、前後距離条件を満たす物標として抽出する。一方、物標Hの相対位置Ph(n)のx座標の値は6<xである。このため、運転支援ECU10は、物標Hについては前後距離条件は成立していないと判定し、物標Hを抽出しない。
<横距離条件>
運転支援ECU10は、物標が前後距離条件を満たす物標として抽出された場合、それらの抽出された物標の物標情報に基づいて、車両100から当該物標までの横方向(即ち、y軸方向)の距離である横距離d3(n)[m]が、所定の横距離閾値(本例では2m)以下であるか否かを判定する。具体的には、運転支援ECU10は、物標の相対位置P(n)のy座標の絶対値が2以下であるという横距離条件が成立しているか否かを判定する。横距離条件が成立していると判定した場合、運転支援ECU10は、車両100から当該物標までの横距離d3(n)が横距離閾値以下であると判定し、当該物標を横距離条件を満たす物標として抽出する。一方、横距離条件が成立していないと判定した場合(即ち、物標の相対位置P(n)のy座標の絶対値が2より大きいと判定した場合)、運転支援ECU10は、車両100から当該物標までの横距離d3(n)が横距離閾値より大きいと判定し、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果をそのRAMに格納する。
前方存在条件、前後距離条件及び横距離条件の成立可否をそれぞれ判定することにより、運転支援ECU10は、車両100の前方に存在する、0≦x≦6且つ−2≦y≦2を満たす矩形状の領域(即ち、前方領域)内に物標が存在しているか否かを判定することができる。
図5の例では、前後距離条件を満たす物標として抽出された物標E乃至物標Gのうち、物標Fの相対位置Pf(n)のy座標の絶対値は2以下である。このため、運転支援ECU10は、物標Fについては横距離条件が成立していると判定し、この物標Fを、横距離条件を満たす物標として抽出する。一方、物標Eの相対位置Pe(n)のy座標の絶対値、及び、物標Gの相対位置Pg(n)のy座標の絶対値は、いずれも2より大きい。このため、運転支援ECU10は、物標E及び物標Gについては横距離条件は成立していないと判定し、これらの物標E及び物標Gを抽出しない。即ち、図5の例では、運転支援ECU10は、前方領域には、物標Fが存在していると判定する。
<横速度条件>
運転支援ECU10は、物標が横距離条件を満たす物標として抽出された場合、抽出された物標の物標情報に基づいて、当該物標の進行方向TDo(n)が車両100の進行方向TDv(n)と略平行であるか否かを判定する。具体的には、運転支援ECU10は、当該物標の横方向の速度(以下、「横速度」とも称する。)SPDoy(n)が、所定の横速度閾値(本例では5km/h)以下であるという横速度条件が成立しているか否かを判定する。ここで、物標の横速度SPDoy(n)は、物標の速度SPDo(n)を大きさに持ち、物標の進行方向TDo(n)を向きに持つ物標の速度ベクトルのy成分として算出され得る。運転支援ECU10は、横速度条件が成立していると判定した場合(即ち、SPDoy(n)≦5と判定した場合)、物標の進行方向TDo(n)は車両100の進行方向TDv(n)と略平行であると判定し、当該物標を横速度条件を満たす略平行物標として抽出する。一方、横速度条件が成立していないと判定した場合(即ち、5<SPDoy(n)と判定した場合)、運転支援ECU10は、物標の進行方向TDo(n)は車両100の進行方向TDv(n)と交差していると判定し、当該物標を抽出しない。運転支援ECU10は、抽出結果をそのRAMに格納する。
前方領域に物標が存在していたとしても、その物標が前方領域を比較的に高速で横切る物標である場合、その物標は前方領域を比較的短時間で通過するため、車両100が追従する物標とはなり得ない。むしろ、そのような物標は、前方領域に進入する前は対象物標として注意喚起の対象であった物標であると考えられる。しかしながら、前方存在条件、前後距離条件及び横距離条件の判定では、前方領域に存在すると判定された物標の全てが各条件を満たす物標として抽出されるため、抽出された物標の中には、前方領域を比較的に高速で横切る物標も含まれている。このため、横速度条件の成立可否を判定することにより、前方領域に存在すると判定された物標のうち、前方領域を横速度閾値より大きい横速度で横切る物標を除外する(抽出の対象外とする)ことができる。このため、運転支援ECU10は、前方領域内においてその横速度SPDoy(n)が横速度閾値以下である物標(即ち、略平行物標。別言すれば、車両100が追従している可能性が高い物標)を適切に抽出することができる。
図5の例において、横距離条件を満たす物標として抽出された物標Fの横速度SPDocy(n)が0km/hであると仮定する。この場合、運転支援ECU10は、物標Fについては横速度条件が成立していると判定し、この物標Fを、横速度条件を満たす略平行物標として抽出する。
<被追従フラグの設定>
運転支援ECU10は、物標が上記横速度条件を満たす略平行物標として抽出された場合、当該略平行物標は、車両100の前方領域内において車両100によって追従されていると判定して、当該略平行物標について被追従フラグの値を1に設定する。以下では、「車両100によって追従されている物標」を「被追従物標」とも称する。一方、運転支援ECU10は、物標が上記前方存在条件、前後距離条件、横距離条件又は横速度条件を満たす物標として抽出されなかった場合、当該物標は被追従物標ではないと判定して、当該物標について被追従フラグの値を0に設定する。運転支援ECU10は、各物標についての被追従フラグの設定値をそのRAMに格納する。
図5の例では、運転支援ECU10は、横速度条件を満たす物標として抽出された物標Fについて被追従フラグの値を1に設定する。一方、運転支援ECU10は、前方存在条件を満たす物標として抽出されなかった物標D、前後距離条件を満たす物標として抽出されなかった物標H、及び、横距離条件を満たす物標として抽出されなかった物標E及び物標Gについて、それぞれ被追従フラグの値を0に設定する。
<前方空間フラグの設定>
車両100の周辺に存在する全ての物標について上記各条件の成立可否を判定して被追従フラグの値を設定した場合、運転支援ECU10は、設定された被追従フラグの値が1である物標が存在するか否か(即ち、前方領域内に被追従物標が存在するか否か)を判定する。被追従フラグの値が1である物標が存在する(即ち、前方領域内に被追従物標が存在する)と判定した場合、運転支援ECU10は、前方空間(即ち、車両100の前方に存在し、対象物標が車両100の前方を通過することを許容する空間)は存在していないと判定し、前方空間フラグの値を0に設定する。一方、被追従フラグの値が1である物標が存在しない(即ち、前方領域内に被追従物標が存在しない)と判定した場合、運転支援ECU10は、前方空間が存在していると判定し、前方空間フラグの値を1に設定する。運転支援ECU10は、前方空間フラグの設定値をそのRAMに格納する。
図5の例では、車両100の周辺に存在する全ての物標である物標D乃至物標Hについて上記各条件の成立可否を判定して被追従フラグを設定した後、運転支援ECU10は、被追従フラグの値が1である物標が存在するか否かを判定する。上述したように、物標Fの被追従フラグの値は1である。このため、運転支援ECU10は、前方領域に前方空間は存在していないと判定して、前方空間フラグの値を0に設定する。
D.注意喚起要否判定に関する作動
次いで、注意喚起要否判定に関する作動について説明する。運転支援ECU10は、エンジンオン期間中、演算時間Tcalの経過毎に、各物標について、上記Bの対象物標判定による判定結果(即ち、注意喚起フラグの値)と、上記Cの前方空間判定による判定結果(即ち、前方空間フラグの値)と、に基づいて、注意喚起の要否を判定する。以下、具体的に説明する。なお、運転支援ECU10は、エンジンオン期間中は、車両100の車速SPDvが0のときにも、注意喚起の要否を判定する。
<注意喚起を行う場合>
具体的には、何れかの物標の注意喚起フラグの値が1であり、且つ、前方空間フラグの値が1であると判定した場合、運転支援ECU10は、「対象物標が存在しており、且つ、前方空間が存在するため、当該対象物標が前方空間を通過し、その結果、車両100の左側及び/又は右側予想経路を横切る可能性がある」と判定して、要求信号を発生し、表示装置21を用いて当該対象物標について注意喚起を行う。
<注意喚起を禁止する場合>
一方、何れかの物標の注意喚起フラグの値が1であり、且つ、前方空間フラグの値が0であると判定した場合、運転支援ECU10は、「対象物標が存在しているものの、前方空間が存在しないため、当該対象物標が車両100の左側及び/又は右側予想経路を横切る可能性が極めて低くなる」と判定して、要求信号を発生することを禁止し、従って、当該対象物標について注意喚起を行うことを禁止する。
<注意喚起を行わない場合>
これに対し、全ての物標の注意喚起フラグの値が0であると判定した場合、運転支援ECU10は、前方空間フラグの値に関わらず、対象物標は存在しない(即ち、当該物標は対象物標ではない)と判定して、要求信号を発生せず、従って、注意喚起を行わない。
<本実施装置の具体的作動>
次に、本実施装置の具体的な作動について説明する。本実施装置の運転支援ECU10のCPUは、エンジンオン期間中、図6乃至図8にフローチャートにより示したルーチンを演算時間Tcalの経過毎に実行するようになっている。以下では、運転支援ECU10のCPUを単に「CPU」と称する。
CPUは、所定のタイミングになると、図6のステップ600から処理を開始してステップ602及びステップ604の処理を順に行う。
ステップ602:CPUは、上述したようにして車両100の自車両情報(車速SPDv(n)及びヨーレートY(n)等)を取得し、運転支援ECUのRAMに格納する。
ステップ604:CPUは、ステップ602で取得された自車両情報に基づいて車両100の進行方向TDv(n)を決定する。更に、CPUは、上述したようにして座標軸(x軸及びy軸)を設定し、当該座標軸を表す情報を運転支援ECUのRAMに格納する。
次いで、CPUはステップ606に進んで、車両100の周辺に物標が存在するか否かを判定する。物標が存在しないと判定した場合、CPUは、ステップ606にて「No」と判定し、ステップ628に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、物標が存在すると判定した場合、CPUは、ステップ606にて「Yes」と判定し、以下のステップ608に進む。
ステップ608:CPUは、上述したようにして物標の物標情報(物標の相対位置P(n)の座標、進行方向TDo(n)及び速度SPDo(n))を取得し、運転支援ECUのRAMに格納する(式(4)及び式(5)参照)。
次に、CPUは、ステップ610に進んで対象物標判定処理を行い、次いで、ステップ612に進んで前方空間判定処理を行う。なお、CPUは、ステップ612の処理を行った後にステップ610の処理を行ってもよいし、これらを並行して行ってもよい。
図6のルーチンでは、CPUは、ステップ610において、図7Aにフローチャートにより示したルーチンを実行するようになっている。CPUは、ステップ610に進むと、図7Aのステップ700から処理を開始し、以下のステップ701の処理を行う。
図7Aのルーチンでは、CPUは、ステップ701において、図7Bにフローチャートにより示したルーチンを実行することにより、上述した「第1左側予想経路及び第1右側予想経路」又は上述した「第2左側予想経路及び第2右側予想経路」を推定する。即ち、CPUは、ステップ701に進むと、図7Bのステップ702から処理を開始し、以下のステップ703に進む。
ステップ703では、CPUは、図6のステップ602で取得した自車両情報に基づいて、左折開始条件が成立しているか否かを判定する。左折開始条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ703にて「Yes」と判定し(即ち、車両100が左折を開始しようとしていると判定し)、以下のステップ704及びステップ706の処理を順に行う。
ステップ704:CPUは、旋回角度θtotalを0°に初期化する(式(6)参照)。旋回角度θtotalの初期化は、左折開始条件が成立したときに1回のみ行われ、その後は、車両100が左折を終了するまでは行われない。
ステップ706:CPUは、上述したようにしてm周期目からn周期目までに車両100が旋回した旋回角度θtotal(n)を算出し(式(7)参照)、運転支援ECU10のRAMに格納する。
次いで、CPUは、ステップ708に進み、ステップ706で算出された旋回角度θtotal(n)がθtotal(n)≦90°を満たしているか否かを判定する。θtotal(n)≦90°が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ708にて「Yes」と判定し(即ち、車両100が左折中であると判定し)、以下のステップ710乃至ステップ714の処理を順に行う。これに対し、旋回角度θtotal>90°であると判定された場合、CPUは、ステップ708にて「No」と判定し(即ち、車両100が左折を終了して直進中であると判定し)、後述するステップ726に進む。
ステップ710:CPUは、上述した手法を用いて旋回半径R(n)を算出し、運転支援ECU10のRAMに格納する。
ステップ712:CPUは、ステップ710で算出された旋回半径R(n)に基づいて、上述したようにして中心座標(Cx(n),Cy(n))(式(8)及び式(13)参照)と、左側旋回半径RL(n)(式(10)参照)及び右側旋回半径RR(n)(式(15)参照)と、を算出する。そして、これらを用いて第1左側予想経路式fL1(n)及び第1右側予想経路式fR1(n)を算出し(式(12)及び式(17)参照)、運転支援ECU10のRAMに格納する。
ステップ714:CPUは、ステップ706で算出された旋回角度θtotal(n)及びステップ710で算出された旋回半径R(n)に基づいて算出された左側旋回半径RL(n)に基づいて、第1左側予想経路の長さLL1(n)を算出する(式(18)参照)。加えて、CPUは、ステップ706で算出された旋回角度θtotal(n)及びステップ710で算出された旋回半径R(n)に基づいて算出された右側旋回半径RR(n)に基づいて、第1右側予想経路の長さLR1(n)を算出する(式(19)参照)。CPUは、これらの式fL1(n)及び式fR1(n)を運転支援ECU10のRAMに格納する。CPUは、ステップ714の処理を終了すると、ステップ729を経由して図7Aのステップ730に進む。
一方、CPUがステップ703の処理を実行する時点において左折開始条件が成立していないと判定した場合、CPUは、ステップ703にて「No」と判定し、以下のステップ716に進む。なお、ステップ703にて「No」と判定される場合は、以下の場合である。
・前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に左折開始条件が成立したと初めて判定された後、ステップ703の判定が行われる場合。
・前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後、左折開始条件が一度も成立していない場合。
いま、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に左折開始条件が成立したと初めて判定された後、ステップ703の判定が行われ、その結果、CPUがステップ703にて「No」と判定したと仮定する。更に、運転者は、左折を開始しようとする意図を有しているために、左側方向指示器を点滅状態に維持していると仮定する。この場合、CPUは、ステップ716にて「Yes」と判定して上述したステップ706に進む。CPUは、ステップ706の処理を終了すると、上述したステップ708乃至ステップ714の処理を順に行い、その後、ステップ729を経由して図7Aのステップ730に進む。
これに対し、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に左折開始条件が一度も成立していない場合(ステップ703:No)であって左側方向指示器が点滅状態でない場合、又は、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に左折開始条件が成立したと初めて判定された後、ステップ703の判定が行われ、その結果、CPUがステップ703にて「No」と判定したものの左側方向指示器が点滅状態でなくなっている場合、CPUは、ステップ716にて「No」と判定し、ステップ718に進む。
ステップ718では、CPUは、図6のステップ602で取得した自車両情報に基づいて、右折開始条件が成立しているか否かを判定する。右折開始条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ718にて「Yes」と判定し(即ち、車両100が右折を開始しようとしていると判定し)、以下のステップ720及びステップ722の処理を順に行う。
ステップ720:CPUは、ステップ704と同一の処理を行い、旋回角度θtotalを0°に初期化する(式(6)参照)。旋回角度θtotalの初期化は、右折開始条件が成立したときに1回のみ行われ、その後は、車両100が右折を終了するまでは行われない。
ステップ722:CPUは、ステップ706と同一の処理を行い、車両100の旋回角度θtotal(n)を算出し(式(7)参照)、運転支援ECU10のRAMに格納する。
次いで、CPUは、ステップ708に進み、ステップ722で算出された旋回角度θtotal(n)がθtotal(n)≦90°を満たしているか否かを判定する。θtotal(n)≦90°が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ708にて「Yes」と判定し(即ち、車両100が右折中であると判定し)、ステップ710乃至ステップ714の処理を順に行う。これに対し、旋回角度θtotal>90°であると判定された場合、CPUは、ステップ708にて「No」と判定し(即ち、車両100が右折を終了して直進中であると判定し)、後述するステップ726に進む。
ステップ710:CPUは、上述した手法を用いて旋回半径R(n)を算出し、運転支援ECU10のRAMに格納する。
ステップ712:CPUは、ステップ710で算出された旋回半径R(n)に基づいて、上述したようにして中心座標(Cx(n),Cy(n))(式(9)及び式(14)参照)と、左側旋回半径RL(n)(式(11)参照)及び右側旋回半径RR(n)(式(16)参照)と、を算出する。そして、これらを用いて円の式である第1左側予想経路式fL1(n)及び第1右側予想経路式fR1(n)を算出し(式(12)及び式(17)参照)、運転支援ECU10のRAMに格納する。
ステップ714:CPUは、第1左側予想経路の長さLL1(n)及び第1右側予想経路の長さLR1(n)を算出し(式(18)及び式(19)参照)、運転支援ECU10のRAMに格納する。CPUは、ステップ714の処理を終了すると、ステップ729を経由して図7Aのステップ730に進む。
一方、CPUがステップ718の処理を実行する時点において右折開始条件が成立していないと判定した場合、CPUは、ステップ718にて「No」と判定し、以下のステップ724に進む。なお、ステップ718にて「No」と判定される場合は、上述したステップ716にて「No」と判定された場合であって、更に、以下の状態が発生している場合である。
・前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に右折開始条件が成立したと初めて判定された後、ステップ718の判定が行われる場合。
・前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後、右折開始条件が一度も成立していない場合。
いま、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に右折開始条件が成立したと初めて判定された後、ステップ718の判定が行われ、その結果、CPUがステップ718にて「No」と判定したと仮定する。更に、運転者は、右折を開始しようとする意図を有しているために、右側方向指示器を点滅状態に維持していると仮定する。この場合、CPUは、ステップ724にて「Yes」と判定して上述したステップ722に進む。CPUは、ステップ722の処理を終了すると、上述したステップ708乃至ステップ714の処理を順に行い、その後、ステップ729を経由して図7Aのステップ730に進む。
これに対し、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に右折開始条件が一度も成立していない場合(ステップ718:No)であって右側方向指示器が点滅状態でない場合、又は、前回の左折又は前回の右折が終了したと判定された後に右折開始条件が成立したと初めて判定された後、ステップ718の判定が行われ、その結果、CPUがステップ718にて「No」と判定したものの右側方向指示器が点滅状態でなくなっている場合、CPUは、ステップ724にて「No」と判定し(即ち、車両100が直進中であると判定して)、以下のステップ726及びステップ728の処理を順に行う。
ステップ726:CPUは、上述したようにして半直線の式である第2左側予想経路式fL2(n)及び第2右側予想経路式fR2(n)を算出し(式(20)及び式(21)参照)、運転支援ECU10のRAMに格納する。
ステップ728:CPUは、第2左側予想経路の長さLL2(n)及び第2右側予想経路の長さLR2(n)をそれぞれ7mに設定し、運転支援ECU10のRAMに格納する。CPUは、ステップ728の処理を終了すると、ステップ729を経由して図7Aのステップ730に進む。
CPUは、図7Aのステップ730に進むと、図6のステップ608で取得された物標情報を有する物標の中から任意の一つの物標を選択し、その選択した物標のxy座標平面における予想経路を推定する(別言すれば、予想経路式g(n)を算出する)。CPUは、当該予想経路式g(n)を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。なお、CPUは、ステップ730から後述するステップ754までの処理を、選択した物標毎に個別に行う(後述するステップ756を参照。)。
次いで、CPUは、ステップ732に進んで、図7Bのステップ703、ステップ716、ステップ718及び/又はステップ724の判定結果に基づいて、車両100が左折又は右折中であるか否かを判定する。CPUは、車両100が左折又は右折中であると判定した場合、ステップ732にて「Yes」と判定し、ステップ734に進む。
ステップ734では、CPUは、ステップ730で選択した物標について第1交差条件が成立しているか否かを判定する。第1交差条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ734にてにて「Yes」と判定し、以下のステップ736及びステップ738の処理を順に行う。
ステップ736:CPUは、ステップ734で第1交差条件が成立していると判定した物標について、その式g(n)によって表される直線が、円弧状の第1左側予想経路又は第1右側予想経路と交差している交点Q1(n)の座標を算出し、当該座標を当該物標に関連付けて運転支援ECU10のRAMに格納する。
ステップ738:CPUは、上述したようにして、物標が交点Q1(n)に到達すると予想される第1時間t1(n)を算出し、当該第1時間t1(n)を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。その後、CPUは、後述するステップ750に進む。
これに対し、CPUは、ステップ732の処理を実行する時点において車両100が左折又は右折中ではないと判定した場合(即ち、車両100が直進中であると判定した場合)、ステップ732にて「No」と判定し、ステップ740に進む。
ステップ740では、CPUは、ステップ730で選択した物標について第2交差条件が成立しているか否かを判定する。第2交差条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ740にて「Yes」と判定し、以下のステップ742及びステップ744の処理を順に行う。
ステップ742:CPUは、ステップ740で第2交差条件が成立していると判定した物標について、その式g(n)によって表される直線が、直線状の第2左側及び第2右側予想経路式fL2(n)及びfR2(n)によって表される直線のうち、最初に交差するほうの直線との交点Q2(n)の座標を算出し、当該座標を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。
ステップ744:CPUは、車両100から、ステップ742で算出された交点Q2(n)までの距離d1(n)を算出し、当該距離d(n)を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。
次いで、CPUは、ステップ746に進んで、ステップ744で算出された距離d(n)を用いて、ステップ740で第2交差条件が成立していると判定された物標について、長さ条件(d1(n)≦各第2予想経路の長さ(本例では7m))が成立しているか否かを判定する。長さ条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ746にて「Yes」と判定し、以下のステップ748の処理を行う。
ステップ748:CPUは、上述したようにして、物標が交点Q2(n)に到達すると予想される第2時間t2(n)を算出し、当該第2時間t2(n)を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。その後、CPUは、以下のステップ750に進む。
CPUは、ステップ738にて第1時間t1(n)を算出した後にステップ750に進んだ場合、ステップ734で第1交差条件が成立していると判定された物標について、時間条件(t1(n)≦閾値時間(本例では4s))が成立しているか否かを判定する。これに対し、CPUは、ステップ748にて第2時間t2(n)を算出した後にステップ750に進んだ場合、ステップ746で長さ条件が成立していると判定された物標について、時間条件(t2(n)≦閾値時間(本例では4s))が成立しているか否かを判定する。CPUは、何れの場合においても、時間条件が成立していると判定した場合、ステップ750にて「Yes」と判定し、以下のステップ752の処理を行う。
ステップ752:CPUは、当該物標について、注意喚起フラグの値を1に設定し、この設定値を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。その後、CPUは、後述するステップ756に進む。
一方、ステップ734にて第1交差条件が成立していないと判定した場合、又は、ステップ750にて時間条件が成立していないと判定した場合、CPUは、物標は車両100の左側からも右側からも接近していないと判定して(別言すれば、物標が、円弧状の第1左側及び/又は第1右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低いと判定して)、ステップ734及びステップ750の何れかにて「No」と判定し、後述するステップ754の処理を行う。
更に、ステップ740にて第2交差条件が成立していないと判定した場合、ステップ746にて長さ条件が成立していないと判定した場合、又は、ステップ750にて時間条件が成立していないと判定した場合も、CPUは、物標は車両100の左側からも右側からも接近していないと判定して(別言すれば、物標が、線分状の第2左側及び/又は第2右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低いと判定して)、ステップ740、ステップ746及びステップ750の何れかにて「No」と判定し、以下のステップ754の処理を行う。
ステップ754:CPUは、着目している物標(即ち、ステップ730にて選択された物標)についての注意喚起フラグの値を0に設定し、この設定値を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。このように、注意喚起フラグは、物標(ステップ730にて選択した物標)毎に設けられる。その後、CPUは、以下のステップ756に進む。
ステップ756では、CPUは、上述したステップ730以降の処理が、図6のステップ608で取得された物標情報を有する物標の全てに対して実行されたか否かを判定する。上記処理が全ての物標に対してはまだ実行されていないと判定した場合、CPUは、ステップ756にて「No」と判定してステップ730に戻り、残りの物標に対してステップ730以降の処理を繰り返す。一方、上記処理が全ての物標に対して実行されたと判定した場合、CPUは、ステップ756にて「Yes」と判定し、ステップ758を経由して、図6のステップ612に進む。
CPUは、ステップ612に進むと、図8にフローチャートにより示したルーチンを実行することにより、前方空間判定を実行する。即ち、CPUはステップ612に進むと、図8のステップ800から処理を開始し、以下のステップ801に進む。
ステップ801では、CPUは、図6のステップ608で取得された物標情報を有する物標の中から任意の一つの物標を選択し、その選択した物標の物標情報に基づいて、前方存在条件(物標の相対位置P(n)のx座標の値が0≦xである)が成立しているか否かを判定する。前方存在条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ801にて「Yes」と判定し、以下のステップ802に進む。なお、CPUは、ステップ801から後述するステップ810までのうちの適当なステップの処理を、選択した物標毎に個別に行う(後述するステップ812を参照。)。
ステップ802では、CPUは、ステップ801にて前方存在条件が成立していると判定された物標について、当該物標の物標情報に基づいて、前後距離条件(物標の相対位置P(n)のx座標の値が0≦x≦6である)が成立しているか否かを判定する。前後距離条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ802にて「Yes」と判定し、以下のステップ804に進む。
ステップ804では、CPUは、ステップ802にて前後距離条件が成立していると判定された物標について、当該物標の物標情報に基づいて、横距離条件(物標の相対位置P(n)のy座標の絶対値が2以下である)が成立しているか否かを判定する。横距離条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ804にて「Yes」と判定し、以下のステップ806に進む。
ステップ806では、CPUは、ステップ804にて横距離条件が成立していると判定された物標について、当該物標の物標情報に基づいて、横速度条件(SPDoy(n)≦5km/h)が成立しているか否かを判定する。横速度条件が成立していると判定した場合、CPUは、ステップ806にて「Yes」と判定し、以下のステップ808の処理を行う。
ステップ808:CPUは、ステップ806にて横速度条件が成立していると判定された物標(略平行物標)についての被追従フラグの値を1に設定し、この設定値を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。その後、CPUは、後述するステップ812に進む。
一方、ステップ801にて前方存在条件が成立していないと判定した場合、ステップ802にて前後距離条件が成立していないと判定した場合、ステップ804にて横距離条件が成立していないと判定した場合、又は、ステップ806にて横速度条件が成立していないと判定した場合、CPUは、物標は被追従物標ではないと判定して、ステップ801、ステップ802、ステップ804及びステップ806の何れかにて「No」と判定し、以下のステップ810の処理を行う。
ステップ810:CPUは、当該物標についての被追従フラグの値を0に設定し、この設定値を当該物標に関連付けて運転支援ECUのRAMに格納する。このように、被追従フラグは、物標(ステップ801にて選択した物標)毎に設けられる。その後、CPUは、以下のステップ812に進む。
ステップ812では、CPUは、上述したステップ801以降の処理が、図6のステップ608で取得された物標情報を有する物標の全てに対して実行されたか否かを判定する。上記処理が全ての物標に対してはまだ実行されていないと判定した場合、CPUは、ステップ812にて「No」と判定してステップ801に戻り、残りの物標に対してステップ801以降の処理を繰り返す。一方、上記処理が全ての物標に対して実行されたと判定した場合、CPUは、ステップ812にて「Yes」と判定し、以下のステップ814に進む。
ステップ814では、CPUは、物標の中に、被追従フラグの値が1である物標が存在するか否か(即ち、前方領域内に被追従物標が存在するか否か)を判定する。被追従フラグの値が1である物標が存在する場合、CPUは、ステップ814にて「Yes」と判定し(即ち、前方空間は存在していないと判定し)、以下のステップ816の処理を行う。
ステップ816:CPUは、前方空間フラグの値を0に設定し、この設定値を運転支援ECUのRAMに格納する。その後、CPUは、ステップ820を経由して、図6のステップ614に進む(後述)。
一方、被追従フラグの値が1である物標が存在しない場合、CPUは、ステップ814にて「No」と判定し(即ち、前方空間が存在していると判定し)、以下のステップ818の処理を行う。
ステップ818:CPUは、前方空間フラグの値を1に設定し、この設定値を運転支援ECUのRAMに格納する。その後、CPUは、ステップ820を経由して、図6のステップ614に進む。
ステップ614では、CPUは、ステップ608で取得された物標情報を有する物標の中から任意の一つの物標を選択し、その選択した物標の注意喚起フラグの値が0であるか否かを判定する。注意喚起フラグの値が0である場合、CPUは、前方空間フラグの値に関わらず、ステップ614にて「Yes」と判定し(即ち、当該物標は対象物標ではないと判定し)、以下のステップ616の処理を行う。なお、CPUは、ステップ614からステップ622までの処理を、選択した物標毎に個別に行う(後述するステップ624参照)。
ステップ616:CPUは、ステップ614にて選択された物標(以下、「選択物標」と称する。)に対しての要求信号を発生しない。このため、選択物標に対する表示装置21による注意喚起は行われない。その後、CPUは、後述するステップ624に進む。
一方、選択物標の注意喚起フラグの値が1である場合、CPUは、ステップ614にて「No」と判定し、以下のステップ618に進む。
ステップ618では、CPUは、前方空間フラグの値が0であるか否かを判定する。前方空間フラグの値が0であると判定した場合(即ち、選択物標の注意喚起フラグの値が1であり、且つ、前方空間フラグの値が0であると判定した場合)、CPUは、ステップ618にて「Yes」と判定し(即ち、選択物標が対象物標として存在しているものの、前方空間が存在しないため、当該対象物標が車両100の左側及び/又は右側予想経路を横切る可能性が極めて低くなると判定し)、以下のステップ620に進む。
ステップ620:CPUは、選択物標に対しての要求信号の発生を禁止する。このため、選択物標に対する表示装置21による注意喚起は禁止される。その後、CPUは、後述するステップ624に進む。
一方、前方空間フラグの値が1であると判定した場合(即ち、選択物標の注意喚起フラグの値が1であり、且つ、前方空間フラグの値が1であると判定した場合)、CPUは、ステップ618にて「No」と判定し(即ち、選択物標が対象物標として存在しており、且つ、前方空間が存在するため、当該対象物標が前方空間を通過し、その結果、車両100の左側及び/又は右側予想経路を横切る可能性があると判定し)、以下のステップ622に進む。
ステップ622:CPUは、選択物標に対しての要求信号を発生し、当該要求信号を表示CPUに送信する。これにより、表示装置21によって選択物標に対する注意喚起が実行される。その後、CPUは、以下のステップ624に進む。
ステップ624では、CPUは、上述したステップ614以降の処理が、ステップ608で取得された物標情報を有する物標の全てに対して実行されたか否かを判定する。上記処理が全ての物標に対してはまだ実行されていないと判定した場合、CPUは、ステップ624にて「No」と判定してステップ614に戻り、残りの物標に対してステップ614以降の処理を繰り返す。なお、例えば、ある物標Aに対する注意喚起がステップ622の処理によって行われているときに、物標Aと異なる物標Bについてステップ616及びステップ620の何れかの処理が行われても、物標Aに対する注意喚起は継続して行われる。更に、例えば、物標Aに対する注意喚起がステップ622の処理によって行われているときに、物標Aと異なる物標Bについてステップ622の処理が行われる場合、物標A及び物標Bの両方に対して注意喚起が行われる。即ち、注意喚起を実行するか否かの判定は物標毎に個別に行われる。一方、上記処理が全ての物標に対して実行されたと判定した場合、CPUは、ステップ624にて「Yes」と判定し、以下のステップ626の処理を行う。
ステップ626:CPUは、各物標について、注意喚起フラグの値及び被追従フラグの値のそれぞれを初期化する(0に設定する)。加えて、CPUは、前方空間フラグの値を初期化する(0に設定する)。なお、これらのフラグの値は、エンジンスイッチがオフからオンに変更された際、CPUによって初期化される。その後、CPUは、ステップ628に進み、本ルーチンを一旦終了する。
本実施装置の作用効果について説明する。本実施装置では、前方空間が存在しているか否かが判定される。そして、対象物標が存在すると判定された場合であっても、上記前方空間が存在していないと判定されたときは、注意喚起が禁止される。ここで、前方空間が存在していないときは、対象物標は車両100の前方を通過し難くなる。このため、当該対象物標が車両100の左側及び/又は右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低くなる。従って、本実施装置によれば、対象物標が存在すると判定された場合であっても、上記前方空間が存在しないために当該対象物標が実際に車両100の左側及び/又は右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性が極めて低くなるときは、注意喚起を禁止することが可能となる。このため、不要な注意喚起が行われる可能性を大幅に低減でき、自車両の運転者に対してより適切に注意喚起することができる。
特に、本実施装置では、前方領域内に略平行物標(横速度SPDoy(n)が横速度閾値以下である物標)が存在するか否かが判定される。そして、そのような物標が存在すると判定された場合、前方空間は存在していないと判定される。ここで、前方領域のx軸方向(車両100の進行方向TDv)の長さは前後距離閾値(本例では6m)であり、車両100の各予想経路の長さ(本例では7m)以下に設定されている。このため、前方領域は、対象物標の予想経路上に存在していることになる。従って、そのような前方領域内に略平行物標が存在していると、対象物標の走行は当該略平行物標により阻害されるため、結果として、対象物標が車両100の左側及び/又は右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性は極めて低くなる。この構成によれば、対象物標が車両100の左側及び/又は右側予想経路を閾値時間以内に横切る可能性が極めて低い場合に前方空間が存在していないと判定することができるため、前方空間が存在しているか否かの判定を適切に行うことができる。
加えて、前方領域のy軸方向(車両100の横方向)における中心はx軸上(即ち、車両100の前端部中央を通り、進行方向TDvに延びる直線上)に位置しており、前方領域のy軸方向における正方向及び負方向の長さはそれぞれ横距離閾値(本例では2m)である。即ち、前方領域は、x軸に関して横方向の長さがそれぞれ等しい。このため、横距離閾値を適切な値に設定することにより、前方領域を、車両100の正面前方に位置する領域とすることができる。これにより、前方空間判定では、車両100の正面前方から横方向にずれた位置に存在する物標を除外する(抽出の対象外とする)ことができるため、車両100の正面前方に存在する物標(即ち、被追従物標)のみを適切に抽出できる。このため、前方空間が存在しているか否かの判定をより適切に行うことができる。
以上、本発明の実施形態に係る運転支援装置について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、前後距離条件、横距離条件、及び、横速度条件が成立しているか否かの判定順序は上記の構成に限られず、順不同である。
加えて、上述した前方存在条件、前後距離条件、横距離条件及び横速度条件に、以下に説明する同方向条件を追加してもよい。即ち、同方向条件とは、「車両100の進行方向TDv(n)と物標の進行方向TDo(n)とのなす角度θip(n)が所定の角度閾値(例えば20°)以下である」という条件である。ある物標についてこの同方向条件が成立している場合、運転支援ECU10は、当該物標の進行方向TDo(n)は、車両100の進行方向TDv(n)と略同方向であると判定する。上記の各条件に同方向条件を追加することにより、前方空間判定では、「前方領域内に存在し、車両100と『略同方向』の進行方向TDo(n)を有する物標」の存在有無を判定できるため、当該物標が車両100が追従している物標であるのか否かをより高精度に判定することができる。なお、上記なす角度θip(n)は、車両100の進行方向TDv(n)に沿った単位ベクトルと、物標の進行方向TDo(n)に沿った単位ベクトルとの内積を用いて算出することができる。
更に、運転支援装置は、表示ECU20及び表示装置21の代わりに、警報ECU及びブザーを備えていてもよい。具体的には、警報ECUは、通信・センサ系CAN90を介して運転ECU10にデータ交換可能に接続されており、ブザーは、警報ECUに接続されている。警報ECUは、運転支援ECU10から注意喚起要求信号を受信すると、ブザーに指令信号を送信する。ブザーは、警報ECUから指令信号を受信すると、運転者の注意を喚起するための警報を発する。この構成によっても上記の実施装置と同様の作用効果を奏することができる。
更に、本実施装置では、車両100の前端部の左端、中央及び右端にそれぞれ設けられた3個のレーダーセンサ15から出力される信号に基づいて取得される物標情報に基づいて、対象物標判定及び前方空間判定が行われた。即ち、同一の物標情報に基づいて対象物標判定及び前方空間判定が行われた。しかしながら、対象物標判定及び前方空間判定を行う際に用いる物標情報は互いに同一である必要はない。即ち、対象物標判定は、車両100の前端部の左端及び右端にそれぞれ設けられた2個のレーダーセンサ15から出力される信号に基づいて取得される物標情報に基づいて行われ、前方空間判定は、車両100の前端部中央に設けられた1個のレーダーセンサ15から出力される信号に基づいて取得される物標情報に基づいて行われてもよい。対象物標となり得る物標は、車両100の左前方及び右前方に存在している可能性が高い。一方、前方空間の有無の判定の基準となる前方領域内における略平行物標は、車両100の正面前方に存在している可能性が高い。このため、上記の構成によっても、それぞれの判定に必要な物標情報を適切に取得できる。更に、レーダーセンサが設けられる位置及び個数はこれに限られない。
更に、運転支援装置は、左側予想経路と右側予想経路の2つの予想経路を推定する代わりに、1つ又は3つ以上の予想経路を推定する構成であってもよい。予想経路は、車両100の左端OL及び右端ORが通過すると予想される経路(即ち、左側予想経路及び右側予想経路)に限られない。例えば、予想経路は、車両100の位置Oが通過すると予想される経路であってもよい。或いは、左側予想径路は、車両100の左端OLから第1所定距離だけ更に左方向に乖離した点が通過すると予想される経路であってもよく、右側予想径路は、車両100の右端ORから第2所定距離だけ更に右方向に乖離した点が通過すると予想される経路であってもよい。
更に、運転支援装置は、レーダーセンサ15の代わりに、或いは、レーダーセンサ15に加えて、カメラ又は路側機を用いて物標情報を取得してもよい。
更に、運転支援装置は、左側通行の道路を走行する車両だけではなく、右側通行の道路を走行する車両に搭載されてもよい。
更に、運転支援装置は、ヨーレートセンサ13が検出した値をヨーレートYとして用いる代わりに、横加速度及び車速SPDvから推定された値をヨーレートYとして用いてもよいし、操舵角及び車速SPDvから推定された値をヨーレートYとして用いてもよい。
10:運転支援ECU、11:車速センサ、12:車輪速センサ、13:ヨーレートセンサ、14L:左側方向指示器センサ、14R:右側方向指示器センサ、15:レーダーセンサ、20:表示ECU、21:表示装置、90:通信・センサ系CAN、100:車両

Claims (3)

  1. 自車両に搭載された複数のセンサ装置を用いて、前記自車両の車速及び前記自車両のヨーレートに相関を有するパラメータを含む自車両情報を取得する自車両情報取得手段と、
    前記自車両に搭載された複数のセンサ装置を用いて、前記自車両の周辺に存在する物標の前記自車両に対する相対位置と、前記物標の進行方向と、前記物標の速度と、を含む物標情報を取得する物標情報取得手段と、
    前記自車両情報に基づいて、前記自車両が通過すると予想される予想経路を推定する予想経路推定手段と、
    前記物標情報に基づいて、前記予想経路を閾値時間以内に横切る可能性がある物標である対象物標が存在するか否かを判定する対象物標判定手段と、
    前記対象物標が存在すると判定された場合に前記自車両の運転者に対して注意喚起するための要求信号を発生する注意喚起要求手段と、
    前記要求信号に応答して前記運転者に対して注意喚起する注意喚起手段と、
    を備えた運転支援装置であって、
    前記自車両の前方に、前記対象物標が前記自車両の前方を通過することを許容する空間である前方空間が存在していないか否かについて、少なくとも前記物標情報に基づいて前記自車両が追従している物標が存在しているか否かを判定することにより判定する前方空間判定手段を備えており、
    前記注意喚起要求手段は、
    前記対象物標判定手段により前記対象物標が存在すると判定された場合であっても、前記前方空間判定手段により前記前方空間が存在していないと判定された場合、前記要求信号の発生を禁止するように構成された、
    運転支援装置。
  2. 請求項1に記載の運転支援装置において、
    前記前方空間判定手段は、
    前記自車両の周辺に存在する物標を抽出し、
    前記抽出された物標が、
    前記自車両から当該物標までの前記自車両の前記進行方向における距離である前後距離が所定の前後距離閾値以下であるとの前後距離条件、
    前記自車両から当該物標までの、前記自車両の前記進行方向と直交する方向である直交方向における距離である横距離が、所定の横距離閾値以下であるとの横距離条件、及び、
    当該物標の前記直交方向における速度である横速度が、所定の横速度閾値以下であるとの横速度条件、
    の全ての条件を満たすか否かを判定することにより、前記自車両が追従している前記物標であるか否かを判定し、
    前記物標が前記全ての条件を満たしていると判定したとき前記前方空間は存在していないと判定するように構成された、
    運転支援装置。
  3. 請求項2に記載の運転支援装置において、
    前記予想経路推定手段は、
    前記自車両が直進しているか否かを判定し、直進していると判定した場合、前記自車両から前記自車両の前記進行方向に直線状に延び、且つ、所定長さを有する経路を前記予想経路として推定し、
    前記前方空間判定手段は、
    前記前後距離閾値を、前記自車両の前記予想経路の前記所定長さ以下に設定するように構成された、
    運転支援装置。
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