JP6596876B2 - 鉛およびニッケル溶出が抑制された水道用器具の製造方法 - Google Patents

鉛およびニッケル溶出が抑制された水道用器具の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉛およびニッケルの溶出が抑制された水道用器具、例えば水栓金具の製造方法に関する。
水栓金具などの水道用器具は一般に黄銅や青銅等の銅合金を材料として製造されており、その加工性や耐食性を向上させるために鉛が添加されている。また、銅合金を基体とし、その上に、外観表面の美観、耐食性、耐摩耗性等を向上させる目的で、ニッケルめっきをはじめとした各種めっき処理が施されている。近年、鉛の人体や環境に与える影響が懸念されるようになり、各国でPbに関する規制の動きが活発化している。さらにニッケルについてもその規制の動きがあり、例えば、米国および中国では、ニッケルの浸出量について20μg/Lまでの規制が既に発効している。わが国でも規制が検討されており、欧州や韓国をはじめ世界各国でこのような規制の動きは顕著である。従って、鉛に加え、ニッケル浸出量の規制に対応した製品の開発が求められている。
水栓金具などの水道用器具からのニッケル浸出の一つの原因と、それを解決する提案が、特開2002−155391号公報(特許文献1)に次のようになされている。水道用器具のめっきは器具の外面に施されるが、一部内部にもめっきが回り込んで付着してしまう。通常、ニッケルめっきを施した後、その上にクロムめっきが施されるが、ニッケルめっきの方がクロムめっきより多く通水路などの内面についてまわる傾向が見られた。その結果、ニッケルめっき表面が内部を流れる給水と接触し、ニッケルが浸出してしまう原因となる。このニッケル浸出を防ぐために、クロムめっきからはみ出しているニッケルめっきを除去する処理工程を行うことが提案されている。
また、特表2005−85500号公報(特許文献2)、特開2008−255483号公報(特許文献3)および特開2009−242851号公報(特許文献4)は、水と接する面への保護膜の形成を提案している。また、特開2013−83007号公報(特許文献5)は、製造後の後処理によってニッケルの浸出を防止することを提案している。
また、WO99/28536号公報には、鉛含有銅合金の表面をアルカリ性のエッチング液またはフッ化物を添加したクロム酸の液に浸漬して、表面の鉛を除去して、鉛の溶出を低減する方法が提案されている。
しかしながら、鉛およびニッケルの浸出をより効果的に抑制する技術が依然として求められている。
特開2002−155391号公報 特表2005−85500号公報 特開2008−255483号公報 特開2009−242851号公報 特開2013−83007号公報 WO99/28536号公報
本発明者らは、今般、ニッケルめっきまたはニッケル合金めっきを施した後、その上にクロムめっきが施されてなる基本的構成の水道用器具において、クロムめっきからはみ出しているニッケルめっきまたはニッケル合金めっきの除去と、その後の処理を特定組成の処理液により行うことで、鉛およびニッケルの浸出量が大きく低減されるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
従って、本発明は、鉛およびニッケルの浸出が低減・抑制された水道用器具の製造方法およびその方法によって製造された水道用器具の提供をその目的としている。
そして、本発明による水道用器具の製造方法は、
その表面にニッケルめっきまたはニッケル合金めっきと、さらにその上にクロムめっきとを施した、銅合金からなる水道用器具の基体を用意し、
当該基体を、無水クロム酸と、硫酸と、場合により過酸化水素水とを少なくとも含んでなる第1の処理液に浸漬して、クロムめっきからはみ出ているニッケルめっきまたはニッケル合金めっきを除去し、次いで、
前記基材を、無水クロム酸と、リン酸、硝酸、またはその混合物とを含んでなる第2の処理液に浸漬して、前記基材表面を安定化する工程
に付すことを少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明による水道用器具は、上記本発明による方法によって製造されたものである。
ニッケルめっきまたはニッケル合金めっき、その上にクロムめっきが施されてなる水栓金具の断面図であり、図中の丸で囲った部分において、めっきの一部が回り込んで付着する。 図1の丸で囲った部分の拡大模式図である。基体1に上に、ニッケルめっきまたはニッケル合金めっき2、そしてその上にクロムめっき3が施され、ニッケルまたはニッケル合金めっき2の方が、クロムめっき3よりもより内部に回り込むことを示す。
定義
本発明において、「水道用器具」とは、飲料用の水を供給するための蛇口、バルブなどの水栓金具、継手、給水管などを意味し、その位置および機能により、例えば「末端給水用具」、「給水管」、「配管の途中に設置される給水用具」などに分けられるが、本発明においてはいずれも包含する意味に用いる。構造的には水を通す内通水路と、水と接しない外面を持つものである。本発明の好ましい態様によれば、本発明は水栓金具に好ましく提供できる。
基体の製造
本発明による方法によって製造される水道用器具は、銅合金からなる基体からなり、銅合金は好ましくは黄銅および青銅である。本発明において、基体は、銅合金を鋳造または鍛造し、切削加工、研磨加工等で形状を整えて製造される。
本発明による方法において、この基体は、まず、ニッケルまたはニッケル合金のめっきが施され、さらにその上にクロムめっきが少なくとも施されてなる基本構成を有する。
この基本構成を、図面を用いて説明する。本発明による水道用器具は、その外面にニッケルまたはニッケル合金めっきと、さらにその上にクロムめっきが少なくとも施されてなる。その製造にあたり、外面に施されるめっきの一部が、その内部、すなわち内通水路にも回り込んで付着する。具体的には次の通りである。図1に示される水栓金具の断面図において、図中の丸で囲った部分を拡大した模式図が図2である。図2において、基体1に上に、ニッケルまたはニッケル合金めっき2、そしてその上にクロムめっき3が施されてなる。基材の外面にはこの二つのめっき層が施されるが、図1の丸で囲った部分、すなわちその端部ではめっきの一部が回り込んで付着する。その際、ニッケルまたはニッケル合金めっき2の方が、クロムめっき3よりもより内部に回り込む傾向がある。その結果、図2に4として示される部分にはクロムめっきがなく、ニッケルまたはニッケル合金めっきの層が水と接触することとなる。そして、ここからニッケルが水に浸出するものと考えられた。本発明にあっては、このクロムめっきからはみ出ているニッケルまたはニッケル合金めっきを後述する処理により除去する。
なお、基体にニッケルめっきを施し、その上にクロムめっきを施す態様は周知である。他方、基体にニッケル合金めっきを施し、その上にクロムめっきを施す態様は、本発明者らの一部を含めて今般新たに提案されたものであり、ニッケルめっきの前記態様に比較して、それ自体からのニッケルの溶出が抑制されているものである。ニッケルまたはニッケル合金めっきおよびクロムめっきの詳細については後述する。
第1の処理液によるめっき除去
本発明による方法にあって、上述のクロムめっきからはみ出ているニッケルまたはニッケル合金めっきは、基体を、無水クロム酸と、硫酸と、場合により過酸化水素水とを少なくとも含んでなる第1の処理液に浸漬することで除去する。この第1の処理液によれば、効率よく、クロムめっきからはみ出ているニッケルまたはニッケル合金めっきを除去することができる。
本発明の一つの態様において、無水クロム酸と、硫酸(70%硫酸)との比は、めっき除去の効果を勘案して適宜決定されてよいが、その質量比で1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは1:5〜5:1の範囲である。処理の温度および時間は、その除去の程度を勘案しながら適宜決定されてよいが、例えば、50〜80℃の温度において、1〜10分の間、浸漬することが好ましい。また、場合により添加される過酸化水素は、第1の処理液に対し10〜300cc/L程度の量添加されることが好ましい。
第2の処理液による安定化
本発明による方法において、上記の第1の処理液による処理工程後に、第2の処理液による処理によって基材表面の安定化を図る工程を行う。この安定化の処理は、基材を、無水クロム酸と、リン酸、硝酸、またはその混合物とを含んでなる第2の処理液に浸漬して行う。無水クロム酸と、リン酸、硝酸、またはその混合物との比は、安定化の程度を勘案して適宜決定されてよいが、その質量比で1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは1:5〜5:1の範囲である。また、リン酸と硝酸との混合物である場合、その混合比は質量比で1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは1:5〜5:1の範囲である。処理の温度および時間は、その安定化の程度を勘案しながら適宜決定されてよいが、例えば、50〜80℃の温度において、10秒〜10分の間、浸漬することが好ましい。
本発明の一つの態様によれば、この第2の処理液は、さらに硫酸を含んでなるものであることが好ましい。このように硫酸を加えて含むことで、安定化の処理を行いながら、同時に、上述の表面に出現した鉛の除去もされに行うことができる。この硫酸の存在量は、リン酸、硝酸、またはその混合物との比として、その質量比で1:10〜10:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは1:5〜5:1の範囲である。
鉛除去(アルカリエッチング)
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による方法において、上述の第1の処理液による処理後の基材を、第2の処理液による処理工程に代えて、またはその前または後に、鉛除去工程に付す。本発明の好ましい態様にあっては、鉛除去の工程および後記する第2の処理液による処理工程の両方を行う。
本発明における、鉛除去の工程は、WO99/28536号公報の記載に準じて行われてよい。従って、鉛除去工程は、第1の処理液による処理後の基体を、酸化剤を添加したアルカリ性のエッチング液、または(好ましくはフッ化物を添加した)クロム酸の液に浸漬することにより行われる。本発明者らの得た知見によれば、上述の第1の処理液による処理によって効率よくクロムめっきからはみ出ているニッケルまたはニッケル合金めっきを除去することができるが、同時に、内通水路の表面を侵し、鉛が露出してしまう現象が観察された。本来、WO99/28536号公報の記載の鉛除去の処理は、ニッケルまたはニッケル合金めっき、その上のクロムめっきの前に、銅合金の基材を処理する方法として行われるものである。つまり、この処理により、基体表面の鉛を予め除去し、鉛の溶出を抑制する方法である。従って、本発明による方法の実施前に、この鉛除去の工程が行われてもよい。しかしながら、上述の第1の処理液による処理によって、基材表面が侵されることで、内部の鉛が再度、表面に露出してしまうことが観察された。この表面に露出した鉛を除去するのが本工程である。従って、本発明の一つの態様によれば、鉛除去の工程は、上述の第1の処理液による処理前にも行われてよく、またその後に行われるだけでもよい。
アルカリ性のエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。その濃度は、数g/L〜数10g/Lが一般的である。また、酸化剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、バラニトロ安息香酸ナトリウム等の有機酸化性化合物、次亜塩素酸塩、さらし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、過塩素酸塩などが挙げられる。その濃度も、数g/L〜数10g/Lが一般的である。処理の温度および時間は、60〜90℃程度が望ましく、数分〜数10分の間、浸漬する。
また、アルカリ性のエッチング液は、キレート剤または界面活性剤を単独又は複数含むことができる。キレート剤の添加により、鉛が水酸化物となって再付着するのを防ぐとともに、鉛の溶解を促進することができる。キレート剤の好ましい例としては、EDTA、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、チオ尿素、ロッシェル塩、酒石酸等の鉛と錯体を形成し易い化合物が挙げられる。また、界面活性剤の添加により、表面張力を調整でき、その浸透・湿潤性を改善することができる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられ、これらを単独又は併用することができる。アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸ナトリウム、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼン硫酸ナトリウム、高級アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α−オレフィン硫酸ナトリウムが挙げられる。また、ノニオン界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物(プルロニック)が挙げられる。
ニッケルめっきおよびニッケル合金めっき
本発明による方法において、基材に設けられるニッケルめっきは、周知のニッケルめっきであることが出来る。一方で、ニッケル合金めっきは、本発明者らの一部が今般提案するものである。このニッケル合金めっきは、コバルト、スズ、鉄およびリンからなる群から選択される少なくとも一つと、ニッケルとの合金からなるめっきである。より好ましい態様によれば、ニッケル合金めっきはニッケルコバルト合金めっきである。
一つの本発明の態様によれば、ニッケル合金めっきがニッケルコバルト合金めっきである場合、ニッケル:コバルト比が、重量で35:65〜95:5の範囲にあることが好ましい。
また、ニッケル合金めっきがニッケルスズめっきである場合、ニッケル:スズ比が重量で65:35〜35:65の範囲にあることが好ましい。ニッケル合金めっきがニッケル鉄めっきである場合、ニッケル:鉄比が重量で70:30〜97:3の範囲にあることが好ましく、またニッケル合金めっきがニッケルリンめっきである場合、ニッケル:リン比が重量で80:20〜97:3の範囲にあることが好ましい。
基体へのニッケル合金めっきを施す工程は、公知のニッケル合金めっきの手法により行うことが出来る。本発明の好ましい態様によれば、めっきは電解ニッケルめっきによりなされることが好ましく、めっき浴はニッケル合金めっきのめっき浴として公知のものを用いることが出来る。
本発明の好ましい態様によれば、ニッケルコバルトめっきのためのめっき浴として、ワット浴、スルファミン酸浴が挙げられる。ワット浴の場合、硫酸ニッケル、硫酸コバルトを含み、必要に応じて、ホウ酸、光沢剤などを含むことができる。また、スルファミン酸浴の場合、スルファミン酸ニッケル、スルファミン酸コバルト、クエン酸又はホウ酸を含んでなり、必要に応じて、光沢剤などを含むことができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、ニッケルスズめっきのためのめっき浴としてピロリン酸浴が挙げられ、塩化ニッケル、塩化第一スズを含んでなり、必要に応じて錯化剤、界面活性剤などを含むことができる。
本発明の好ましい態様によれば、ニッケル鉄めっきのためのめっき浴として、ワット浴、スルファミン酸浴が挙げられる。ワット浴の場合、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸鉄を含み、必要に応じて、ホウ酸、錯化剤、界面活性剤などを含むことができる。また、スルファミン酸浴の場合、スルファミン酸鉄、塩化ニッケルを含み、必要に応じて、ホウ酸、錯化剤、界面活性剤などを含むことができる。
また本発明の好ましい態様によれば、ニッケルリンめっきのためのめっき浴として、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、亜リン酸、リン酸を含み、必要に応じて、界面活性剤などを含むことができる。
クロムめっき
本発明による水道用器具は、上記のニッケル合金めっきの上に、さらにクロムめっきが施されてなる。本発明においてこのクロムめっきは、当業界において用いられているクロムめっきであれば特に限定されない。
その他の製造工程
本発明の好ましい態様によれば、めっきの前に、基体を、基体に付着した油成分など汚れを除去し、めっきの密着性を確保するための脱脂工程に付す。この工程は、例えば、基体をアルカリ性水溶液に浸漬することにより行われ、アルカリ性水溶液は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウムなどを一またはそれ以上含む水溶液である。
本発明の別の好ましい態様によれば、クロムめっきが施された後、クロメート処理に付されることが好ましい。クロメート皮膜を形成することにより、クロムめっきを安定化し、さらに鉛溶出を低減させることができる。この方法の詳細も、WO99/28536号公報に開示されている。
鉛およびニッケル溶出を低減するための処理方法
以上の本発明の説明から、本発明の別の態様として、本発明によれば、銅合金からなる基体表面にニッケルまたはニッケル合金めっきと、さらにその上にクロムめっきとを施してなる基体からの鉛およびニッケル溶出を低減するための処理方法が提供されることが理解され、この方法は、
当該基体を、無水クロム酸と、硫酸とを少なくとも含んでなる第1の処理液に浸漬して、クロムめっきからはみ出ているニッケルめっきまたはニッケル合金めっきを除去し、次いで、
前記基材を、無水クロム酸と、リン酸、硝酸、またはその混合物とを含んでなる第2の処理液に浸漬して、前記基材表面を安定化する工程
に付すことを少なくとも含んでなることを特徴とするものである。ここで、第1の処理液および第2の処理液の詳細は上述したものと同様である。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による処理方法にあって、第1の処理液による処理後の基体を、前記第2の処理液による処理工程に代えて、またはその前または後に、酸化剤を添加したアルカリ性のエッチング液またはクロム酸の液に浸漬して、基材表面の鉛を除去する工程に付すことを含んでなる。本発明のさらに好ましい態様によれば、この鉛除去工程の後に、第2の処理液による安定化工程を行う。この鉛除去工程に用いられるエッチング液およびクロム酸の液の詳細は上述したものと同様である。
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
基体
基体として、鉛含有青銅鋳物製単水栓(内容積25mL)を用意した。
前処理
WO99/28536号公報に記載の酸化剤を添加したアルカリ性のエッチング液、具体的には水酸化ナトリウム20g/L、オルソ珪酸ナトリウム50g/L、酸化剤としてメタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム2g/Lを添加した溶液に3分間浸漬し、基体表面の脱脂を行った後、酸洗浄を行った。
ニッケルめっきまたはニッケルコバルト合金めっき
以下の組成のめっき浴を用意した。
ニッケルめっきのめっき浴として、硫酸ニッケル(280g/L)、塩化ニッケル(45g/L)、ホウ酸(40g/L)を主成分とし、光沢剤、界面活性剤を添加しためっき浴を用意した。また、ニッケルコバルト合金(Ni:Co=7:3)のめっき浴として、硫酸ニッケル(250g/L)、硫酸コバルト(25g/L)、塩化ニッケル(45g/L)、およびホウ酸(40g/L)を主成分とし、光沢剤、界面活性剤を添加したものを用意した。めっきの条件は、電流密度5A/dm、浴温度55℃、めっき時間8分30秒とした。
クロムめっき
無水クロム酸200g/Lおよび硫酸2g/Lの組成のめっき浴を用意した。また、クロムめっきの条件は、電流密度40A/dm、浴温度60℃、めっき時間2分30秒とした。
第1の処理液によるめっき除去処理
第1の処理液として、無水クロム酸10g/Lと、70%硫酸10g/Lの水溶液を用意した。70℃に加温したこの溶液に、上で得ためっきを施した基体を浸漬した。浸漬の時間は3分とした。
鉛除去(アルカリエッチング)処理
無水クロム酸10g/Lと、70%硫酸10g/Lと、リン酸10g/Lを含む水溶液を用意した。50℃に加温したこの溶液に、第1の処理液で処理した基体を浸漬した。浸漬の時間は22秒とした。
第2の処理液による安定化処理
無水クロム酸20g/Lと、硝酸5g/Lを含む水溶液を用意した。70℃に加温したこの溶液に、鉛除去の工程に付した基体を浸漬した。浸漬の時間は22秒とした。
評価試験
内面からの鉛およびニッケル溶出量の評価方法は、JIS S3200−7(1997年)「水道用器具−浸出性能試験方法」に準じて行った。すなわち、試験サンプル内にpH7、アルカリ度35ppm、硬度45ppm、残留塩素0.3ppmに調整したイオン交換水を入れ、23℃に保ち、途中、規定回数液替えをしながら19日間放置し、その水の鉛およびニッケル濃度をICP分析装置で測定した。
上記に従い、ニッケルまたはニッケル合金めっきを施した基体に対して、第1の処理液によるめっき除去処理を行った。その後、上記の鉛除去(アルカリエッチング)処理と、第2の処理液による安定化処理とを、下記の表1に記載のとおり組み合わせて行った。こうして得られた水栓金具の鉛およびニッケル浸出評価試験の結果は以下に示される通りであった。なお、下記の鉛およびニッケル浸出量の結果は、N=3の平均とし小数点以下を四捨五入した値である。
Figure 0006596876

Claims (2)

  1. 水道用器具の製造方法であって、
    その表面にニッケルめっきまたはニッケル合金めっきと、さらにその上にクロムめっきとを施した、銅合金からなる水道用器具の基体を用意し、
    当該基体を、無水クロム酸と、硫酸とを少なくとも含んでなり、その質量比が1:10〜10:1の範囲にある第1の処理液に浸漬して、クロムめっきからはみ出ているニッケルめっきまたはニッケル合金めっきを除去し、
    前記基体を、無水クロム酸と、リン酸、硝酸、またはその混合物とを含んでなる第2の処理液に浸漬して、前記基体表面を安定化する工程
    に付すことを少なくとも含んでなり、
    前記第1の処理液による処理後の基体を、前記第2の処理液による処理工程の前後に、酸化剤を添加したアルカリ性のエッチング液に浸漬する工程に付すことを特徴とする、水道用器具の製造方法。
  2. 前記ニッケル合金めっきが、コバルト、スズ、鉄およびリンからなる群から選択される少なくとも一つと、ニッケルとの合金からなるめっきである、請求項に記載の製造方法。
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