JP6758794B2 - 水道用器具の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、水道用器具の製造方法、及び水道用器具に関する。
近年、水道水中のニッケルの規制強化(水質基準化)の可能性が高まっており、水道用器具からのニッケル浸出を抑制する技術が開発されている。例えば、下記特許文献1には、水栓金具等の水道用器具からのニッケル浸出の一つの原因と、それを解決する提案が示されている。すなわち、水道用器具のめっきは器具の外面に施されるが、一部内部にもめっきが回り込んで析出してしまう。通常、ニッケルめっき(nickel plating)を施した後、その上にクロムめっき(chromium plating)が施されるが、ニッケルめっきの方がクロムめっきより多く通水路等の内面についてまわる傾向が見られる。その結果、ニッケルめっき表面が内部を流れる給水と接触し、ニッケルが浸出してしまう原因となる。このニッケル浸出を防ぐために、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを除去する処理工程が必要となっている。
具体的には、まず、ニッケルめっき、及びクロムめっきが施された水道用器具の基体を用意する。そして、この基体を、無水クロム酸と、硫酸と、場合により過酸化水素とを少なくとも含んでなる第1の処理液に浸漬して、水道用器具内部の内通水路のクロムめっきに覆われていないニッケルめっきを除去する。次いで、基材を、無水クロム酸と、リン酸、硝酸、又はその混合物とを含んでなる第2の処理液に浸漬して、基材表面を安定化する。
特開2016−191096号公報
この技術では、クロムめっき及び基材の銅合金を全く溶解せずに、ニッケルめっきだけを選択的に溶解することは非常に難しく、表面のクロムめっきの外観が腐食により変化したり、金具内部の銅合金が腐食するなどの問題点があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを簡易に除去できる水道用器具の製造方法、及び外観が良好な水道用器具を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、新規な水道用器具の製造方法を開発した。
そして、この方法によれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを簡易に除去できるということを見いだした。さらに、この方法によれば、外観が良好な新規な水道用器具が提供されることを見いだした。この成果に基づいて、次の発明を提供する。
〔1〕水道用器具の製造方法であって、
その表面にニッケルめっき又はニッケル合金めっき(nickel alloy plating)と、さらにその上にクロムめっきとを施した、銅合金からなる基体を、電解液に浸漬した状態で所定の電位を印加し、前記クロムめっきに覆われていない前記ニッケルめっき又は前記ニッケル合金めっきを除去して水道用器具にすることを特徴とする水道用器具の製造方法。
〔2〕前記電解液がニッケル塩を含有することを特徴とする〔1〕に記載の水道用器具の製造方法。
〔3〕前記電解液は、前記ニッケルめっき又は前記ニッケル合金めっきを形成する際に用いためっき浴と同一の塩を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の水道用器具の製造方法。
〔4〕前記電解液は、ワット浴(watt bath)であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の水道用器具の製造方法。
〔5〕前記所定の電位が−0.3V〜−0.05V(vs SCE)であることを特徴とする〔4〕に記載の水道用器具の製造方法。
〔6〕銅合金からなる基体の内部に内通水路が備えられた水道用器具であって、
外面には、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきが施され、さらにその上にクロムめっきが施され、
前記内通水路は、全面に亘って銅合金が露出しており、
前記クロムめっきは、クロムめっき本来の金属光沢を有することを特徴とする水道用器具。
なお、ここでいう「クロムめっき本来の金属光沢」とは、クロムの有する銀白色を意味する。クロムめっき本来の金属光沢を有するか否かは、目視や、各種光学的な測定機器により判断できる。
本発明の水道用器具の製造方法によれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを簡易に除去できる。
電解液がニッケル塩を含有する場合には、効率的にニッケルめっきを除去できる。
電解液は、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを形成する際に用いためっき浴と同一の塩を含有することが好ましい。この場合には、ニッケルめっきの除去のために、特別な塩を用意する必要がなくなるのでコスト的に有利である。
電解液に、ワット浴を用いることが好ましい。ワット浴は、一般的なニッケルめっき浴であるため、コスト的に有利である。
電解液に、ワット浴を用いた場合に、所定の電位が−0.3V〜−0.05V(vs SCE)であることが好ましい。この範囲内であると、銅合金からなる基体及びクロムめっきを溶解させることなく、選択的に、不要なニッケルめっきのみを除去できる。
本発明の水道用器具は、内通水路の全面に亘って銅合金が露出しているから、ニッケル浸出のおそれはない。さらに、水道用器具は、外面のクロムめっきがクロムめっき本来の金属光沢を有するから、外観が良好である。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明する。
水道用器具の断面図である。 試験装置を示す説明図である。 分極曲線を示すグラフである。 試験に用いた水栓金具の外観写真である。 試験に用いた水栓金具の内部状況を示す写真である。 試験後の水栓金具の外観写真である。 試験後の水栓金具の内部状況を示す写真である。 試験前の水栓金具の端面からの距離と、元素の検出比率の関係を示すグラフである。 試験後の水栓金具の端面からの距離と、元素の検出比率の関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳しく説明する。
A.水道用器具の製造方法
本発明の製造方法では、基体の表面にニッケルめっき又はニッケル合金めっきと、さらにその上にクロムめっきとを施した、銅合金からなる基体を、電解液に浸漬した状態で所定の電位を印加し、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっきを除去する。
1.水道用器具
水道用器具とは、水道水を供給するために用いる器具を意味する。例えば、飲料用の水を供給するための蛇口、バルブ等の水栓金具、継手、給水管等が挙げられる。なお、水道用器具は、使用される位置及び機能により、例えば末端給水用具、給水管、配管の途中に設置される給水用具等に分類される。水道用器具は、一般的には、水を通す内通水路と、水と接しない外面を備えている。本発明は、特に、水栓金具に好ましく用いられる。
2.基体
本発明における基体は、銅合金であれば特に限定されず、種々の銅合金を幅広く用いることができる。銅合金としては、例えば、黄銅、青銅を好ましく用いることができる。基体の製造方法は特に限定されない。基体は、一般的には、銅合金を鋳造又は鍛造し、切削加工、研磨加工等で形状を整えて製造される。
基体には、ニッケル又はニッケル合金のめっきが施され、さらにその上にクロムめっきが施されている。
図1に水道用器具の断面図を示す。水道用器具Aは、外面にニッケルめっき又はニッケル合金めっき3と、さらにその上にクロムめっき5とが少なくとも施されている。水道用器具を製造する際に、外面に施されるめっきの一部が、その内部の内通水路にも回り込んで析出してしまう。この様子が図1に示されている。基材1の外面には、ニッケル又はニッケル合金めっき3と、その上にクロムめっき5が施され2層のめっきがなされている。内通水路の端部では、めっきの一部が回り込んで析出する。その際、ニッケル又はニッケル合金めっき3の方が、クロムめっき5よりもより内部に回り込む傾向がある。よって、図1に示されるように、符号7で示す部分では、クロムめっき5がなく、ニッケルめっき又はニッケル合金めっき3が露出した状態となる。よって、この部分のニッケルめっき又はニッケル合金めっき3が水と接触し、ニッケルが水に浸出するものと推測される。
本発明では、クロムめっき5に覆われずに、露出した状態のニッケルめっき又はニッケル合金めっき3を除去する。すなわち、クロムめっき5に覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっき3を除去する。
3.ニッケルめっき、ニッケル合金めっき
ニッケルめっき、ニッケル合金めっきには、公知のめっきを採用することできる。ニッケル合金めっきの組成は特に限定されない。ニッケル合金めっきは、例えば、コバルト、スズ、鉄及びリンからなる群から選択される少なくとも一つと、ニッケルとの合金からなるめっきである。より好ましい態様によれば、ニッケル合金めっきはニッケルコバルト合金めっきとすることができる。
例えば、ニッケル合金めっきがニッケルコバルト合金めっき(nickel−cobalt alloy plating)である場合、ニッケル:コバルト比が、重量で35:65〜95:5の範囲にあることが好ましい。
また、ニッケル合金めっきがニッケルスズめっき(nickel tin plating)である場合、ニッケル:スズ比が重量で65:35〜35:65の範囲にあることが好ましい。ニッケル合金めっきがニッケル鉄めっき(nickel−iron plating)である場合、ニッケル:鉄比が重量で70:30〜97:3の範囲にあることが好ましく、またニッケル合金めっきがニッケルリンめっき(nickel−phosphorus plating)である場合、ニッケル:リン比が重量で80:20〜97:3の範囲にあることが好ましい。
基体へ、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを施す方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
ニッケルめっき又はニッケル合金めっきは電気めっきにより施されることがコストの観点から好ましい。めっき浴としては、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきのめっき浴として公知のものを用いることができる。
ニッケルめっき又はニッケル合金めっきのめっき浴は、特に限定されないが、例えば、ワット浴、スルファミン酸浴(sulfamic acid bath)が挙げられる。
ワット浴として、例えば、硫酸ニッケル・6水和物を100g/L〜400g/L、塩化ニッケル・6水和物を0g/L〜60g/L、ホウ酸を15〜60g/L含有する浴を挙げることができる。例えば、硫酸ニッケル・6水和物の濃度は、濃い方が電流が流れやすくニッケルを溶解し易い。塩化ニッケル・6水和物の濃度は、薄い方がクロムめっきにダメージを与え難い。また、ホウ酸の濃度は、濃い方が水素イオンが多く、電流が流れ易い。
スルファミン酸浴として、例えば、スルファミン酸ニッケル・4水和物を100g/L〜600g/L、塩化ニッケル・6水和物を1g/L〜6g/L、ホウ酸を15〜60g/L含有する浴を挙げることができる。
4.クロムめっき
本発明による水道用器具は、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきの上に、さらにクロムめっきが施されている。クロムめっきは、めっき業界において公知のクロムめっきであれば特に限定されない。
5.電解液
電解液としは、特に限定されないが、ニッケル塩を含有することが好ましい。ニッケル塩は、特に限定されない。ニッケル塩としては、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電解液は、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを形成する際に用いたニッケルめっき浴と同一の塩を含有することが好ましい。特に、電解液は、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを形成する際に用いためっき浴と同一組成であることが好ましい。ニッケルめっきの除去のために、特別な電解液を用意する必要がなくなるのでコスト的に有利だからである。例えば、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきのめっき浴として、ワット浴を用いた場合には、電解液もワット浴と同一組成であることが好ましい。また、例えば、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきのめっき浴として、スルファミン酸浴を用いた場合には、電解液もスルファミン酸浴と同一組成であることが好ましい。
電解液の具体的な組成としては、例えば、硫酸ニッケル・6水和物を好ましくは100g/L〜400g/L、より好ましくは250g/L〜350g/L、特に好ましくは300g/L〜350g/L含有し、塩化ニッケル・6水和物を好ましくは0g/L〜60g/L、より好ましくは0g/L〜15g/L、特に好ましくは含有しない電解液を挙げることができる。また、電解液は、必要に応じて、Hイオンを供給するためのホウ酸(HBO)等の酸、錯化剤、界面活性剤等の有機添加物を含むことができる。酸を含む場合には、酸を好ましくは15g/L〜60g/L、より好ましくは30g/L〜50g/L、特に好ましくは45g/L〜50g/L含有する。この組成の範囲内であれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっきを適切に除去できる。
6.電位
本発明では、電解液に浸漬した状態で印加する所定の電位は、特に限定されないが、好ましくは、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを選択的に溶解する電位である。すなわち、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきは溶解するが、銅合金からなる基体を溶解せず、クロムめっきも溶解しない電位が好ましい。ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを選択的に溶解する電位とすれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっきのみを除去できるからである。
所定の電位は、好ましくは、−0.3V〜−0.05V(vs SCE)であり、特に好ましくは、−0.10V〜−0.06V(vs SCE)である。
なお、基体に印加する電位を調整するために、ポテンショスタットを用い、参照電極として飽和カロメル電極(SCE)を採用することができる。
7.電解温度、及び電解時間
電解温度は特に限定されない。電解温度(電解液の温度)は、好ましくは、40℃〜90℃であり、より好ましくは、50℃〜60℃であり、特に好ましくは、54℃〜56℃である。この温度の範囲内であれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっきを適切に除去できる。例えば、温度が高い方が反応速度が大きくニッケルめっきを溶解し易い。また、温度が高過ぎると、ニッケルめっき液が蒸発し易くニッケルの濃度が制御し難くなる。
電解時間は、特に限定されないが、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっきの厚みに応じて適宜調整される。電解時間は、好ましくは、10秒〜10000秒であり、より好ましくは、780秒〜2400秒であり、特に好ましくは、1800秒〜1920秒である。この電解時間の範囲内であれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき又はニッケル合金めっきを適切に除去できる。
8.本実施形態の水道用器具の製造方法の効果
本実施形態の水道用器具の製造方法によれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを簡易に除去できる。
B.水道用器具
1.本発明の水道用器具は、銅合金からなる基体の内部に内通水路が備えられた水道用器具である。その外面には、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきが施され、さらにその上にクロムめっきが施されている。内通水路は、全面に亘って銅合金が露出している。上述のクロムめっきは、クロムめっき本来の金属光沢を有する。
「基体」「ニッケルめっき」「ニッケル合金めっき」「クロムめっき」については、「A.水道用器具の製造方法」の欄での記載をそのまま適用できる。
2.本実施形態の水道用器具の効果
従来の、内通水路にニッケルめっきが存在しない水道用器具は、次のようにして製造されていた。すなわち、内通水路に付着したニッケルめっきの除去に際し、例えば〔1〕無水クロム酸、硫酸等を含む第1の処理液、及び〔2〕無水クロム酸、リン酸、硝酸等を含む第2の処理液を用いていた。そのため、従来の水道用器具では、これらの処理液によって外面のクロムめっきの外観劣化が生じていた。
これに対して、本実施形態の水道用器具では、外面のクロムめっきは、クロムめっき本来の金属光沢を有するから、外観が良好である。
また、本実施形態の水道用器具では、内通水路は、全面に亘って銅合金が露出しているから、ニッケル浸出のおそれはない。
以下、実施例により更に具体的に説明する。
1.電解液中での分極曲線の測定
(1)試験装置
図2の装置を用いて、光沢ニッケルめっき、基材(青銅)、クロムめっきについて、分極曲線を測定した。図2において、符号11は対極(Pt)を示し、符号13は試料電極(青銅、ニッケルめっき膜、クロムめっき膜)を示し、符号15は塩橋を示し、符号17は参照電極(SCE電極)を示す。また、符号19はウォーターバスを示す。なお、図中に示したポテンショスタット(potentiostat)は、試料電極と参照電極の間の電位を正確に設定し、そのとき試料電極と対極の間に流れる電流を正確に測定することができる装置である。
使用した電解液の組成を次に示す。
(電解液組成)
NiSO・6HO 250g/L
NiCl・6HO 55g/L
BO 45g/L
有機添加剤 適量
(2)分極曲線
図3の測定によって得られた分極曲線を示す。この図から、−0.3V〜−0.05V(vs SCE)では、ニッケル(Ni)めっきだけ溶解できると分かった。なお、この範囲よりも大きい電位であると、青銅も溶解し、更に電位を大きくすると酸素が発生することが分かった。
このように、−0.3V〜−0.05V(vs SCE)の電位では、水道用器具の基体である青銅、及びクロムめっきは溶解せず、ニッケルめっきのみが溶解する領域が存在する。従って、この電位の範囲では、クロムめっきに覆われていないニッケルめっき(又はニッケル合金めっき)だけを選択的に溶解することが可能であることが分かった。
2.水栓金具を用いた試験
(1)試験方法
図4に示す水栓金具を用いて試験した。この水栓金具の切断後の内部状況を図5に示す。なお、図4の水栓金具には、ワット浴を用いてニッケルめっきを施し、さらにニッケルめっきの上から公知の方法でクロムめっきを施してある。
この水栓金具を電解液に浸漬し、この状態で電位を印加して電解した。電解の条件を以下に示す。

(設定電位)
−0.06V(vs SCE)

(電解液組成)
NiSO・6HO 250g/L
NiCl・6HO 55g/L
BO 45g/L
有機添加剤 適量

(電解時間)
1920sec
(2)試験結果
図6に、試験後の水栓金具を示す。これより、表面のクロムめっきに腐食が見られず、試験前の図4の外観とほとんど変化していないことが分かった。また、この水栓金具の切断後の内部状況を図7に示す。この写真からは若干見にくいが、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきが試験後(電解後)に溶解していることが目視により確認された。
この点について更に詳細に検討するために、エネルギー分析装置を用いて、所定の部位における元素の比率を測定した。
図8に、試験前の水栓金具の端面からの距離(図5参照)と、元素の検出比率の関係を示す。この図8から、端面に近い部分ではクロムめっきに覆われていないニッケルめっきの存在が確認された。
図9に、試験後の水栓金具の端面からの距離(図7参照)と、元素の検出比率の関係を示す。この図9から、端面に近い部分ではクロムめっきに覆われていないニッケルめっきが溶解して、その大部分は除去されていることが確認された。
3.実施例の効果
本実施例の水道用器具の製造方法によれば、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを簡易に除去できる。
また、本実施例では、電解液は、ニッケルめっきに用いるワット浴と同一組成のものを用いているため、特別な電解液を用意する必要がなく、コスト的に有利である。
本実施例の水道用器具は、外面のクロムめっきがクロムめっき本来の金属光沢を有するから、外観が良好である。
また、本実施例の水道用器具は、内通水路の全面に亘って銅合金が露出しているから、ニッケル浸出のおそれはない。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明の水道用器具の製造方法は、クロムめっきに覆われていないニッケルめっきを簡易に除去でき、水道水中のニッケルの規制強化に対応することができる。
本発明の水道用器具は、外面のクロムめっきがクロムめっき本来の金属光沢を有するから、外観が良好である。
本発明の水道用器具は、内通水路の全面に亘って銅合金が露出しているから、水道水中のニッケルの規制強化に対応することができる。
1…基材
3…ニッケルめっき又はニッケル合金めっき
5…クロムめっき
A…水道用器具

Claims (5)

  1. 水道用器具の製造方法であって、
    その表面にニッケルめっき又はニッケル合金めっきと、さらにその上にクロムめっきとを施した、銅合金からなる基体を、電解液に浸漬した状態で所定の電位を印加し、前記クロムめっきに覆われていない前記ニッケルめっき又は前記ニッケル合金めっきを除去して水道用器具にすることを特徴とする水道用器具の製造方法。
  2. 前記電解液がニッケル塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の水道用器具の製造方法。
  3. 前記電解液は、前記ニッケルめっき又は前記ニッケル合金めっきを形成する際に用いためっき浴と同一の塩を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水道用器具の製造方法。
  4. 前記電解液は、ワット浴であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水道用器具の製造方法。
  5. 前記所定の電位が−0.3V〜−0.05V(vs SCE)であることを特徴とする請求項4に記載の水道用器具の製造方法。
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