JP3866198B2 - 筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法及び水栓金具並びに鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法及び水栓金具 - Google Patents

筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法及び水栓金具並びに鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法及び水栓金具 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
第1発明は、筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法及び水栓金具に関する。第2発明は、鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法及び水栓金具に関する。第2発明の鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法は水栓金具の製造方法に用いて好適である。
【0002】
【背景技術】
例えば、水栓金具や水道管等の水道用器具には耐腐食性の観点から青銅や黄銅等の銅合金が用いられており、特に複雑な形状の水栓金具には切削性の観点から鉛含有銅合金が用いられている。水栓金具を構成する鉛含有銅合金は、まず鋳造等の後に切削されることにより、水を通す筒状部をもつ水栓金具用のワークとされる。そして、このワークに主に装飾性の観点からニッケル・クロムめっき方法によるニッケル・クロムめっき層が施され、水栓金具とされる。
【0003】
一般的なニッケル・クロムめっき方法は、図13に示すように、そのようなワークに前処理を行う前処理工程S1と、この前処理工程S1後にワークの外周面にニッケル・クロムめっき層を施すめっき工程S2とを備えている。
【0004】
より詳細には、前処理工程S1は、ワークをアルカリ液に浸漬してワークの全表面を脱脂する脱脂工程S11を有している。ここで用いられるアルカリ液は、通常、水酸化ナトリウム等を水に溶解したアルカリ性の水溶液である。このアルカリ液にワークを浸漬すれば、アルカリ液のpHに応じて脱脂が行われる。なお、アルカリ液のpHに応じて鉛のエッチングによる除去も行われている。また、前処理工程S1は、この脱脂工程S11の他、アルカリ液中でワークを陰極としてワークの全表面の脱脂をさらに行う陰極電解工程S12と、ワークを酸性液で洗浄してワークの全表面を活性化する酸活性工程S13と、これらの工程間に設けられる水洗工程とを有し得る。
【0005】
また、めっき工程S2は、ニッケルめっき浴を用いて前処理工程S1後のワークの外周面にニッケルめっき層を施すニッケルめっき工程S21と、クロムめっき浴を用いてニッケルめっき工程S21後のワークの外周面にクロムめっき層を施すクロムめっき工程S22と、これらの工程間に設けられる水洗工程とを有し得る。
【0006】
こうしてめっき製品として得られた水栓金具は筒状部内に水が通されて活用されることとなる。
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
かし、近年、水に含有されている鉛による健康阻害が危惧されつつあり、水栓金具等のめっき製品の筒状部の内周面からの水への鉛の溶出量を一層低減させたいという要望がある。このため、上記従来の一般的なニッケル・クロムめっき方法において、鉛の除去を行いやすくすべく、単に脱脂工程S11でpHの高いアルカリ液への浸漬を行うこととすれば、めっき工程S2前においてワークの全表面から鉛がエッチングにより除去され、ワークの全表面に凹凸を生じやすい。このため、その後にめっき工程S2を行うことにより、ワークの外周面にめっき層を施したとしても、凹凸がめっき製品の外周面に生じ、めっき製品の外周面は悪い面性状となりやすい。このため、そのめっき製品は美観を損なうこととなってしまう。
【0008】
この点、ワークの外周面にめっき層を厚く施すことにより、めっき製品の美観を保つこととすれば、製造コストの高騰化を招来してしまうこととなる。
【0009】
かかる不具合は、鉛含有銅合金製のワークを用い、水を通す筒状部をもつめっき製品全てに生じる。特に、めっき製品が複雑な形状の水栓金具である場合にこの問題が大きい。
【0010】
また、筒状部をもつ水栓金具では、筒状部の内周面からの水への鉛の浸出量を低減させるべき要望がある。
【0011】
第1発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、筒状部の内周面から水への鉛の溶出量が低減し、優れた美観を奏し、かつ安価に製造可能なめっき製品を得ることのできる鉛除去方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0012】
また、第1発明は、水への鉛の溶出量が低減し、優れた美観を奏し、かつ安価に製造可能な水栓金具を提供することを解決すべき課題としている。
【0013】
第2発明は、鉛含有銅合金製品から水への鉛の浸出量を簡易に低減させることのできる鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0014】
また、第2発明は、特に、水への鉛の浸出量が低減し、かつ簡易に製造可能な水栓金具を提供することを解決すべき課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1発明の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法は、水を通す筒状部をもち鉛含有銅合金製のワークの外周面にめっき層を施すめっき工程を行っためっき製品について、該筒状部の内周面から鉛を除去する鉛除去工程を行うことを特徴とする。
【0016】
第1発明の鉛除去方法では、めっき工程後に鉛除去工程を行うため、ワークの外周面はめっき層に保護されて鉛の除去が行われず、めっき層のないワークの内周面のみから鉛が除去されることとなる。このため、ワークの外周面には凹凸を生じず、めっき層も損なわれないことから、めっき製品の外周面は優れた面性状をもつこととなる。このため、そのめっき製品は優れた美観を奏する。
【0017】
また、第1発明の鉛除去方法では、めっき製品の美観を保つためにワークの外周面にめっき層を厚く施す必要もないため、製造コストの低廉化を実現できる。
【0018】
第1発明の鉛除去方法において、水栓金具用のワークを採用すれば、めっき製品としての第1発明の水栓金具が得られる。その水栓金具は、水を通す筒状部をもつ鉛含有銅合金からなる母材部と、該筒状部の外周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が該母材部と等しい鉛含有層と、該鉛含有層の外周面側に形成されためっき層と、該筒状部の内周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が該母材部より低い低鉛含有層とからなることを特徴とする。
【0019】
第1発明の水栓金具では、筒状部の内周面側の低鉛含有層中に含まれる鉛の濃度が低いので、その内周面に水を通しても、その水に鉛が溶出し難い。このため、その水栓金具から供給される水を人が飲む場合、人の健康に害を及ぼす懸念を払拭することができる。また、その水が河川や下水に排出される場合、環境に与える影響を小さくすることができる。
【0020】
また、第1発明の水栓金具では、筒状部の外周面側には鉛の濃度が母材部と等しい鉛含有層が存在し、この鉛含有層の外周面側にめっき層が形成されていることから、鉛含有層には凹凸が存在せず、水栓金具の外観は優れたものとなっている。
【0021】
さらに、第1発明の水栓金具では、めっき層の厚みを厚くする必要もないため、安価に製造可能である。
【0022】
第1発明の鉛除去方法では、鉛除去工程の後、筒状部の内周面を不動態化する不動態化工程を備えることが好ましい。こうであれば、不動態化工程により、その内周面が不動態化されるので、低鉛含有層からの鉛の溶出量をより一層低減することができる。
【0023】
第1発明の鉛除去方法では、鉛除去工程は筒状部の内周面から鉛をエッチング可能なエッチング液への浸漬により行うことができる。エッチング液は、内周面の鉛と化学反応を起こし、その鉛を溶解して除去することができるからである。
【0024】
エッチング液としては酸性液やアルカリ液を用いることが考えられる。しかし、銅は酸に反応するのに対し、両性金属である鉛は酸にもアルカリにも反応するので、エッチング液としてはアルカリ液を用いることが好ましい。特に、活性アルカリ液を採用することが好ましい。その活性アルカリ液はpHが12〜14の範囲を示すようなアルカリ液をいう。pHがこの範囲の活性アルカリ液によれば、その活性アルカリ液は内周面の鉛と化学反応を起こしやすいので、その鉛を溶解して除去しやすい。このような活性アルカリ液は、主に炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液である。
【0025】
このようなエッチング液は界面活性剤を含むことが好ましい。エッチング液が界面活性剤を含めば、そのエッチング液の表面張力を低下させることができるので、筒状部の内周面に対するエッチング液の浸透性及び湿潤性を向上させることができる。このため、その内周面に含まれる鉛とエッチング液との化学反応を起こしやすい。
【0026】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸ナトリウム、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼン硫酸ナトリウム、高級アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α−オレフィン硫酸ナトリウム等を採用することができる。また、ノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等を採用することができる。
【0027】
また、エッチング液にキレート剤を含ませることも好ましい。キレート剤が鉛と化学反応を起こして水溶性の錯体が形成されるので、筒状部の内周面に含まれている鉛の除去を容易にすることができる。
【0028】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン、チオ尿素、酒石酸、ロッシェル塩、EDTA、トリエタノールアミン等を採用することができる。
【0029】
さらに、エッチング液に酸化剤を含ませることも好ましい。すなわち、活性アルカリ液であるエッチング液だけで筒状部の内周面に含まれている鉛を除去しようとすると、鉛は次の化学反応により溶解することとなる。
【0030】
(化1)
Pb+2NaOH→Na2PbO2+H2
【0031】
これに対し、活性アルカリ液であるエッチング液に酸化剤を含めば、まず酸化剤が鉛と以下の化2に示す化学反応を起こし、酸化鉛が形成される。
【0032】
(化2)
2Pb+O2→2PbO
【0033】
そして、酸化鉛は活性アルカリ液であるエッチング液に溶け、以下の化3に示す化学反応を起こし、酸化鉛塩が形成される。
【0034】
(化3)
PbO+2NaOH→Na2PbO2+H2
【0035】
上記化1のみの反応よりも上記化1及び化2の反応の方が迅速に行われるため、こうして活性アルカリ液であるエッチング液に酸化剤を含ませた方が筒状部の内周面に含まれている鉛の除去を容易にすることができる。
【0036】
酸化剤としては、例えば、メタニトロベンゼンズルホン酸ナトリウム、パラニトロ安息香酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、さらし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、過塩素酸塩等を採用することができる。
【0037】
第1発明の鉛除去方法では、めっき工程はクロム酸を含むクロムめっき浴を用いるクロムめっき工程を有し、不動態化工程はクロム酸を含むクロメート液へワークを浸漬するクロメート処理工程を有することすることが好ましい。
【0038】
まず、クロムめっき工程では、クロムめっき浴中のクロム酸により、クロム酸と鉛とが以下の化4に示す化学反応を起こし、クロム酸鉛が形成される。クロム酸鉛は難溶性のため不動態となる。このため、ワークの外周面から鉛は溶出しない。
【0039】
(化4)
Pb2++CrO4 2-→PbCrO4
【0040】
この後、鉛除去工程を経て行われるクロメート処理工程においても、クロメート液中のクロム酸により、クロム酸と鉛とが上述の化4に示した化学反応を起こし、クロム酸鉛が形成される。こうしてワークにおける筒状部の内周面に僅かに含まれる鉛についても溶出しない。また、これらクロムめっき工程及びクロメート処理工程では、ともにクロム酸を用いることから優れた作業性を発揮する。
【0041】
かかるクロメート処理工程では筒状部の内周面に以下の化5〜化7の化学反応によりクロメート皮膜(xCr23・yCrO3・zH2O)が形成される。
【0042】
(化5)
Pb→Pb2-+2e-
【0043】
(化6)
CrO4 2-+8H++3e-→Cr3++4H2
【0044】
(化7)
CrO4 2-+Cr3++H+→xCr23・yCrO3・zH2
【0045】
こうして得られた水栓金具では、低鉛含有層の内周面にクロメート皮膜が形成されることとなるため、筒状部の内周面に残存する鉛はクロメート皮膜により不動態化されて溶け出しにくくなる。
【0046】
クロメート液としては、クロム酸の他、例えば、硫酸等を含むものを採用することができる。また、これらにクロム酸塩、シュウ酸、酢酸、フッ酸、硝酸等を添加したものも採用することもできる。さらに、亜鉛めっき等に用いるクロメート剤をクロメート液としてもよい。
【0047】
第1発明で用いるクロムめっき浴にはフッ化物を含ませることが好ましい。クロムめっき浴中で形成されたクロム酸鉛はフッ化物によって溶解されることが考えられるからである。フッ化物としては、フッ化亜鉛、フッ化アルミニウム、フッ化アンチモン、フッ化アンモニウム、フッ化イオウ、フッ化ウラン、フッ化塩素、フッ化オスミウム、フッ化カドミウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化キセノン、フッ化銀、フッ化クロム、フッ化珪素、フッ化ゲルマニウム、フッ化コバルト、フッ化酸素、フッ化シアン、フッ化臭素、フッ化ジルコニウム酸塩、フッ化スズ酸塩、フッ化ストロンチウム、フッ化タリウム、フッ化タンタル酸塩、フッ化窒素、フッ化鉄、フッ化銅、フッ化ナトリウム、フッ化ニオブ酸塩、フッ化ニッケル、フッ化バリウム、フッ化ヒ素、フッ化ホウ素、フッ化ホウ素酸、フッ化マグネシウム、フッ化マンガン、フッ化メチル、フッ化ヨウ素、フッ化ヨウ素酸塩、フッ化リチウム、フッ化リン、フッ化レリウム等を用いることができる。フッ化物としての例えばフッ化珪素は鉛と以下の化8に示す化学反応を起こし、フッ化鉛を形成することも考えられる。こうして筒状部の内周面に含まれる鉛を除去することができる。
【0048】
(化8)
PbCrO4+H2SiF6→PbSiF6+H2CrO4
【0049】
第1発明で用いるクロメート液にはリン酸を含ませることが好ましい。クロム酸とリン酸とが鉛を溶解する化学反応とクロメート皮膜を形成する化学反応とを効果的に促進させると考えられるからである。このため、筒状部の内周面に含まれる鉛を効果的に溶解することができるとともに、その内周面にクロメート皮膜を効果的に形成することができる。また、リン酸に代えて、リン酸アンモニウム、リン酸エステル、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸トリ−n−ブチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸ナトリウム、リン酸ニ水素アンモニウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、リン酸リチウム、リン脂質、リン青銅、リンタングステン酸、リンタングステン酸塩、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸塩等を採用してもよいと考えられる。
【0050】
このようにして得られた水栓金具では、最も好ましくは、低鉛含有層に鉛を含まないことである。低鉛含有層に鉛を含まなければ、内周面を通る水に鉛が溶出せず、奥側の鉛が低鉛含有層を経て溶出することも少ない。
【0051】
第2発明の課題解決のために試行錯誤の研究を行い、鉛含有銅合金製のワークをリン酸水溶液等の処理液に浸漬すれば、ワークの表面にリンを含む皮膜が形成され、これにより 上記課題を解決できることを発見し、第2発明を完成させるに至った。
【0052】
2発明の鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法は、外周面にニッケル・クロムめっき層を施した鉛含有銅合金製のワークと、水にリン酸又はリン酸塩を添加したクロム酸を含まない処理液とを用意し、該ワークに該処理液を接触させて該ワークの表面にリンを含む皮膜を形成する皮膜形成工程を備え
該皮膜形成工程より前に、鉛をエッチング可能なエッチング液である活性アルカリ液への浸漬によりワークの内周面から鉛を除去する鉛除去工程を行うことを特徴とする。
【0053】
第2発明の鉛浸出防止方法では、皮膜形成工程で形成した皮膜が鉛の浸出を防止する。この皮膜は、例えば、第一リン酸亜鉛(Zn(H2PO42)とリン酸(H3PO4)とを主成分とする処理液を用いた場合、以下のように生成されるものと考えられる。
【0054】
まず、鉛含有銅合金製のワークにそのような処理液を接触させると、化9に示すように、リン酸によって銅が処理液中に溶解して銅イオンを生じる。
【0055】
(化9)
Cu+2H+→Cu2++H2
【0056】
また、そのワークの表面に鉛が存在するのであれば、化10に示すように、リン酸によって鉛も処理液中に溶解して鉛イオンを生じ得る。
【0057】
(化10)
Pb+2H+→Pb2++H2
【0058】
ここで、第一リン酸亜鉛は、化11に示すように、処理液中において一部が解離している。
【0059】
(化11)
Zn(H2PO42→ZnPO4 -+H3PO4+H+
【0060】
このため、処理液中の銅イオン及び/又は鉛イオンは、以下の化12及び/又は化13に示す化学反応を起こし、ワークの表面にリンを含む皮膜を形成するものと考えられる。
【0061】
(化12)
Cu2++2ZnPO4 -→Zn2Cu(PO42
【0062】
(化13)
Pb2++2ZnPO4 -→Zn2Pb(PO42
【0063】
また、Zn2Cu(PO42、Zn2Pb(PO42以外にも、Zn3(PO42・4H2O又は/及びZn(H2PO42の不活性な結晶からなる皮膜が形成されているものとも考えられる。発明者らの実験結果によれば、こうして形成された皮膜により、鉛の浸出を防止することができる。
【0064】
また、この鉛浸出防止方法では、処理液として水にリン酸又はリン酸塩を添加したクロム酸を含まないものを用いており、リン酸又はリン酸塩は、クロムめっき層を形成するための六価のクロムからなるクロム酸を含むクロムめっき浴や不動態化を行うためのクロム酸を含むクロメート液に比して毒性がほとんどない。このため、処理液を接触させた後のワークを洗浄した洗浄液や廃液に対して中和や希釈を行うだけでそれら洗浄液等を処分することができる。そのため、特開2000−96269号公報や特開2000−96270号公報に開示されるようなクロム酸を含むクロメート液の処分に比して、洗浄液等の管理も簡易となる。
【0065】
第2発明に係るリン酸とは、五酸化リン(P25)が種々の程度に水化して生じる一連の酸(P25・nH2O)である。例えば、オルトリン酸(H3PO4(0.5P25・1.5H2O))、メタリン酸(HPO3(0.5P25・0.5H2O))等である。
【0066】
また、第2発明に係るリン酸塩としては、リン酸亜鉛系、リン酸マンガン系、リン酸鉄系、リン酸亜鉛・カルシウム系等を採用することができる。リン酸亜鉛系としては、第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO42)を主成分とするもの等がある。その他、リン酸ナトリウム(NaH2PO4、Na2HPO4等)、リン酸アルミニウム(Al(H2PO43等)、リン酸アンモニウム(NH42PO4等)等がある。
【0067】
第2発明における処理液のリン酸又はリン酸塩の濃度は0.01〜10.0質量%であることが好ましい。発明者らの実験結果によれば、リン酸又はリン酸塩の濃度が0.01〜10.0質量%であれば、ワークの表面にリンを含む皮膜が形成し易いことがわかった。
【0068】
また、第2発明の鉛浸出防止方法では、皮膜形成工程より前に、ワークの表面から鉛を除去する鉛除去工程を行うことが好ましい。これにより、皮膜形成工程より前において、ワークの表面側に鉛の濃度が低い低鉛含有層を形成することができるため、ワークから鉛が浸出することをより防止することができる。
【0069】
鉛除去工程は、鉛をエッチング可能なエッチング液への浸漬により行うことができる。エッチング液は、ワークの表面の鉛と化学反応を起こし、その鉛を溶解して除去することができるからである。
【0070】
エッチング液としては酸性液やアルカリ液を用いることが考えられる。しかし、銅は酸に反応するのに対し、両性金属である鉛は酸にもアルカリにも反応するので、エッチング液としてはアルカリ液を用いることが好ましい。特に、活性アルカリ液を採用することが好ましい。その活性アルカリ液はpHが12〜14の範囲を示すようなアルカリ液をいう。pHがこの範囲の活性アルカリ液によれば、その活性アルカリ液は表面の鉛と化学反応を起こしやすいので、その鉛を溶解して除去しやすい。このような活性アルカリ液は、主に炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液である。
【0071】
このようなエッチング液は界面活性剤を含むことが好ましい。エッチング液が界面活性剤を含めば、そのエッチング液の表面張力を低下させることができるので、表面に対するエッチング液の浸透性及び湿潤性を向上させることができる。このため、その表面に含まれる鉛とエッチング液との化学反応を起こしやすい。
【0072】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸ナトリウム、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼン硫酸ナトリウム、高級アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α−オレフィン硫酸ナトリウム等を採用することができる。また、ノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等を採用することができる。
【0073】
また、エッチング液にキレート剤を含ませることも好ましい。キレート剤が鉛と化学反応を起こして水溶性の錯体が形成されるので、表面に含まれている鉛の除去を容易にすることができる。
【0074】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン、チオ尿素、酒石酸、ロッシェル塩、EDTA、トリエタノールアミン等を採用することができる。
【0075】
さらに、エッチング液に酸化剤を含ませることも好ましい。すなわち、活性アルカリ液であるエッチング液だけで表面に含まれている鉛を除去しようとすると、例えばエッチング液として水酸化ナトリウム水溶液を採用した場合、鉛は次の化学反応により溶解することとなる。
【0076】
(化14)
Pb+2NaOH→Na2PbO2+H2
【0077】
これに対し、活性アルカリ液であるエッチング液に酸化剤を含めば、まず酸化剤が鉛と以下の化15に示す化学反応を起こし、酸化鉛が形成される。
【0078】
(化15)
2Pb+O2→2PbO
【0079】
そして、酸化鉛は活性アルカリ液であるエッチング液に溶け、以下の化16に示す化学反応を起こし、酸化鉛塩が形成される。
【0080】
(化16)
PbO+2NaOH→Na2PbO2+H2
【0081】
上記化14のみの反応よりも上記化15及び化16の反応の方が迅速に行われるため、こうして活性アルカリ液であるエッチング液に酸化剤を含ませた方が表面に含まれている鉛の除去を容易にすることができる。
【0082】
酸化剤としては、例えば、メタニトロベンゼンズルホン酸ナトリウム、パラニトロ安息香酸ナトリウム、次亜塩素酸塩、さらし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、過塩素酸塩等を採用することができる。
【0083】
第2発明の鉛浸出防止方法は、ワークを外周面にニッケル・クロムめっき層を施しためっき品として、このめっき品について鉛除去工程を行う場合に特に有利な効果がある。すなわち、めっき品であるワークの外周面はニッケル・クロムめっき層に保護された状態で鉛除去工程が行われる。このため、そのワークは、外周面では何ら影響を受けず、ニッケル・クロムめっき層のない内周面のみから鉛が除去されることとなる。このため、ワークの外周面には凹凸を生じず、ニッケル・クロムめっき層も損なわれないことから、めっき品の外周面は優れた面性状をもつこととなる。このため、そのめっき品は優れた美観を奏する。
【0084】
また、この鉛浸出防止方法では、めっき前のワークに対して鉛除去工程を行わないことから、めっき前のワークは面性状が悪化していない。このため、この鉛浸出防止方法では、めっき前のワークに対して鉛除去工程を行うことにより悪化した面性状を隠蔽すべく、ワークの外周面にめっき層を厚く施す必要もないため、さらに製造コストの低廉化を実現できる。
【0085】
一方、第2発明の水栓金具は、水を通す筒状部をもつ鉛含有銅合金からなる母材部と、該筒状部の外周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が母材部と等しい鉛含有層と、該鉛含有層の外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層と、該筒状部の内周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が該母材部より低い低鉛含有層と、該低鉛含有層の表面に形成されたリンを含み、クロムを含まない皮膜とを有することを特徴とする。
【0086】
この水栓金具では、筒状部の内周面側にリンを含み、クロムを含まない皮膜が形成されているため、筒状部に水を通しても、母材部に含まれる鉛が浸出することはない。このため、この水栓金具から供給される水を人が飲む場合、人の健康に害を及ぼす懸念を払拭することができる。また、その水が河川や下水に排出される場合、環境に与える影響を小さくすることができる。
【0087】
また、この水栓金具では、処理液として水にリン酸又はリン酸塩を添加したクロム酸を含まないものを用いており、洗浄液等の管理も簡易となり、ひいては製造コストの低廉化を実現することができる。
【0088】
第2発明の水栓金具は、筒状部の外周面側で母材部と一体をなし、鉛の濃度が母材部と等しい鉛含有層と、鉛含有層の外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層と、筒状部の内周面側で母材部と一体をなし、鉛の濃度が母材部より低い低鉛含有層とを有し、皮膜を低鉛含有層の表面に形成させたものである。これにより、筒状部の内周面側に鉛の濃度が低い低鉛含有層を形成することができるため、ワークから鉛が浸出することをより防止することができる。
【0089】
【発明を実施するための最良の形態】
{第1発明}
以下、第1発明を具体化した実施例1〜4を比較例1、2とともに図面を参照しつつ説明する。
【0090】
(実施例1)
実施例1では鉛除去方法をニッケル・クロムめっき方法の一部として具体化している。このめっき方法では、図7に示すように、まず鋳造等したJISCAC406(青銅6種)の鉛含有銅合金を切削することにより得た水栓金具用のワーク50aを用意する。このワーク50aは水を通す筒状部10(図2参照)をもつ。そして、図1に示すように、ワーク50aに前処理を行う前処理工程S1と、この前処理工程S1後にワーク50aの外周面にニッケル・クロムめっき層を施すめっき工程S2と、このめっき工程S2後にワーク50aの鉛を除去する鉛除去工程S3と順次を行う。
【0091】
前処理工程S1は、図13に示す一般的めっきな方法と同様、脱脂工程S11と、陰極電解工程S12と、酸活性工程S13と、これらの工程間に設けられる水洗工程(図略)とを有している。ここで、脱脂工程S11では、ワーク50aをpH11のアルカリ液に5分間浸漬してワーク50aの全表面の脱脂を行う。このアルカリ液は、水酸化ナトリウムを数g/l含むとともに、界面活性剤とキレート剤と酸化剤とを含む水溶液であり、その温度は40°Cである。また、陰極電解工程S12では、同様のアルカリ液中において、ワーク50aを陰極とすることによって、ワーク50aの全表面のさらなる脱脂を行う。さらに、酸活性工程S13では、ワーク50aを室温、pH2の硫酸水溶液で洗浄してワーク50aの全表面を活性化している。なお、これらの工程S11〜S13間では、水洗工程(図略)としてワーク50aの水洗を行う。
【0092】
図1に示すように、めっき工程S2も、図13に示す一般的なめっき方法と同様、ニッケルめっき工程S21と、クロムめっき工程S22とを有している。ニッケルめっき工程S21では、ニッケルめっき浴を用いてワーク50aの外周面にニッケルめっき層を施している。また、クロムめっき工程S22では、クロムめっき浴を用いてニッケルめっき工程S21後のワーク50aの外周面にクロムめっき層を施している。このクロムめっき浴中にはフッ化物としてのケイフッ化ナトリウムが5〜10g/l含まれている。このクロムめっき工程S22では、クロムめっき浴中のクロム酸により、クロム酸と鉛とが化学反応を起こし、筒状部10の内周面に含まれる鉛が除去される。この際、クロムめっき浴中で形成されたクロム酸鉛がフッ化物によって溶解されると考えられる。なお、これらの工程S21、S22間では、水洗工程(図略)としてワーク50aの水洗を行っている。
【0093】
特に、実施例1では、図1に示すように、めっき工程S2の後、鉛除去工程S3が備えられている。この鉛除去工程S3では、めっき工程S2後のワーク50aを活性アルカリ液としてのpH14エッチング液に10分間浸漬している。このエッチング液は、水酸化ナトリウムを50g/l含む水溶液であり、その温度は50°Cである。こうして、エッチング液が筒状部10の内周面の鉛と化学反応を起こし、その鉛を溶解して除去する。この際、エッチング液が活性アルカリ液であるため、鉛含有銅合金の銅は反応せず、鉛だけが反応する。なお、この鉛除去工程S3の前後にも水洗工程(図略)としてのワーク50aの水洗を行っている。
【0094】
こうして実施例1のめっき方法により、図7に示す実施例1の水栓金具50がめっき製品として得られる。この水栓金具50は、図2に示すように、水を通す筒状部10をもつ鉛含有銅合金からなる母材部30と、筒状部10の外周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30と等しい鉛含有層30aと、鉛含有層30aの外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層20と、筒状部10の内周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30より低い低鉛含有層30bとからなる。この水栓金具50は筒状部10内に水Wが通されて活用されることとなる。
【0095】
(比較例1)
比較例1のめっき方法は、図13に示す一般的なニッケル・クロムめっき方法であり、実施例1のめっき方法と異なる点はめっき工程S2の後に鉛除去工程S3を行わないことである。他の条件は実施例1と同様である。
【0096】
こうして比較例1のめっき方法により比較例1の水栓金具50がめっき製品として得られる。
【0097】
(比較例2)
比較例2のめっき方法は、図13に示す一般的なニッケル・クロムめっき方法において、単に脱脂工程S11でpHの高いアルカリ液への浸漬を行ったものであり、比較例1と同様、めっき工程S2の後に鉛除去工程S3を行っていない。
【0098】
脱脂工程S11で用いたアルカリ液は、水酸化ナトリウムを50g/l含むとともに、界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ソーダを2g/lと、キレート剤としてのEDTAを2g/l及びエチレンジアミンを2g/lと、酸化剤としてのメタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを2g/lとを含む水溶液であり、その温度は50°Cである。他の条件は実施例1及び比較例1と同様である。
【0099】
こうして比較例2のめっき方法により比較例2の水栓金具50がめっき製品として得られる。
【0100】
(評価)
実施例1及び比較例1、2の水栓金具50について、JISS3200−7(1997年)「水道用器具−浸出性能試験方法」により、筒状部10内を通る水に溶出した鉛の濃度(ppb)を測定するとともに、ニッケル・クロムめっき層20の表面の面性状を目視により確認した。結果を表1に示す。
【0101】
【表1】
Figure 0003866198
【0102】
表1より、比較例1の水栓金具50は、ニッケル・クロムめっき層20の面性状は良好であるものの、めっき方法においてめっき工程S2の後に鉛除去工程S3を行わないため、溶出する鉛の濃度が高いことがわかる。
【0103】
また、比較例2の水栓金具50は、めっき方法の脱脂工程S11でpHの高いアルカリ液への浸漬を行っているため、溶出する鉛の濃度はある程度低いものの、ニッケル・クロムめっき層20の面性状が不良であることがわかる。
【0104】
これに対し、実施例1の水栓金具50は、めっき工程S2後に鉛除去工程S3を行っているため、溶出する鉛の濃度が極めて低く、かつニッケル・クロムめっき層20の面性状も良好であることがわかる。これは、実施例1のめっき方法では、めっき工程S2後に鉛除去工程S3を行うため、ワーク50aの外周面はニッケル・クロムめっき層20に保護されて鉛の除去が行われず、ニッケル・クロムめっき層20のないワーク50aの内周面のみから鉛が除去されることとなるためである。このため、ワーク50aの外周面には凹凸を生じず、ニッケル・クロムめっき層20も損なわれないことから、水栓金具50の外周面は優れた面性状をもち、優れた美観を奏するのである。
【0105】
また、実施例1のめっき方法では、水栓金具50の美観を保つためにワーク50aの外周面にニッケル・クロムめっき層20を厚く施す必要もないため、製造コストの低廉化を実現できる。
【0106】
したがって、実施例1のめっき方法によれば、筒状部10の内周面から水への鉛の溶出量が低減し、優れた美観を奏し、かつ安価な水栓金具50を製造できることがわかる。
【0107】
つまり、実施例1の水栓金具50では、筒状部10の内周面側の低鉛含有層30b中に含まれる鉛の濃度が低いので、その内周面に水を通しても、その水に鉛が溶出し難い。このため、その水栓金具50から供給される水を人が飲む場合、人の健康に害を及ぼす懸念を払拭できることがわかる。また、その水が河川や下水に排出される場合、環境に与える影響を小さくできることもわかる。
【0108】
(実施例2)
実施例2のめっき方法では、図3に示すように、図13に示す一般的なニッケル・クロムめっき工程によって得られていた在庫としての水栓金具50について、鉛除去工程S3を行っている。他の条件は実施例1と同様である。
【0109】
こうして実施例2のめっき方法では、過去の鉛の溶出基準に適合していた在庫の水栓金具50を実施例1と同様の水栓金具50にすることができる。このため、このめっき方法では、工場内の設計変更をほとんど特別に行う必要なく、新しい鉛の溶出基準に適合させることができる。このため、基準に適合させるために製造コストの高騰化を生じないという効果も奏する。
【0110】
(実施例3)
実施例3のめっき方法では、図4に示すように、実施例1によって得られた水栓金具50について、再度鉛除去工程S3を行っている。他の条件は実施例1と同様である。
【0111】
こうして実施例3のめっき方法では、さらに厳しい鉛の溶出基準が施行されるに至っても、工場内の設計変更をほとんど特別に行う必要なく、その基準に適合した水栓金具50を得ることができる。鉛除去工程S3の条件を厳しくすれば、筒状部10の低鉛含有層30bの鉛を皆無にすることも可能である。このため、このめっき方法においても、基準に適合させるために製造コストの高騰化を生じないという効果も奏する。
【0112】
(実施例4)
実施例4のめっき方法では、図5に示すように、鉛除去工程S3の後に不動態化工程としてのクロメート処理工程S4を行っている。このクロメート処理工程S4では、鉛除去工程S3後のワーク50aをクロメート液に1分間浸漬させている。このクロメート液は無水クロム酸を20〜100g/l含むとともに、リン酸を10g/l含む水溶液であり、その温度は室温である。他の構成は実施例1と同様である。
【0113】
クロメート処理工程S4においても、クロメート液中のクロム酸により、クロム酸と鉛とが化学反応を起こし、筒状部10の内周面に含まれる鉛がさらに除去される。この際、クロム酸とリン酸とが鉛を溶解する化学反応とクロメート皮膜40(図6参照)を形成する化学反応とを効果的に促進させると考えられる。また、クロムめっき工程S22及びクロメート処理工程S4では、ともにクロム酸を用いることから優れた作業性を発揮する。
【0114】
こうして得られる実施例4の水栓金具50は、図6に示すように、水を通す筒状部10をもつ鉛含有銅合金からなる母材部30と、筒状部10の外周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30と等しい鉛含有層30aと、鉛含有層30aの外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層20と、筒状部10の内周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30より低い低鉛含有層30bと、低鉛含有層30bの内周面側に形成されたクロメート皮膜40とからなる。
【0115】
この水栓金具50では、低鉛含有層30bの内周面にクロメート皮膜40が形成されているため、筒状部10の内周面に残存する鉛はクロメート皮膜40により不動態化されて溶け出しにくくなる。
【0116】
{第2発明}
以下、第2発明を具体化した実施例1、2と試験とを比較例1、2とともに図面を参照しつつ説明する。
【0117】
(実施例1)
実施例1の鉛浸出防止方法では、まず以下の材料1、2の2種類の鉛含有銅合金を用意する。材料1は、鉛5質量%、銅85質量%、亜鉛5質量%、スズ5質量%からなる青銅である。また、材料2は、鉛2質量%、銅63質量%、亜鉛35質量%からなる黄銅である。
【0118】
そして、図12に示すように、これらの鉛含有銅合金のインゴッドを切削することにより水栓金具用の各ワーク50aをそれぞれ得る。ワーク50aは、図9に示すように、水を通す筒状部10をもつ。そして、図8に示すように、各ワーク50aに前処理を行う前処理工程S1と、この前処理工程S1後に各ワーク50aの外周面にニッケル・クロムめっき層を施すめっき工程S2と、このめっき工程S2後に各ワーク50aの表面にリンを含む皮膜を形成する皮膜形成工程S3とを順次行う。
【0119】
前処理工程S1は、図13に示す一般的なめっき方法と同様、脱脂工程S11と、陰極電解工程S12と、酸活性工程S13と、これらの工程間に設けられる水洗工程(図略)とを有している。ここで、脱脂工程S11では、各ワーク50aをpH11のアルカリ液に5分間浸漬して各ワーク50aの全表面の脱脂を行う。このアルカリ液は、水酸化ナトリウムを数g/l含むとともに、界面活性剤とキレート剤と酸化剤とを含む水溶液であり、その温度は40°Cである。また、陰極電解工程S12では、同様のアルカリ液中において、各ワーク50aを陰極とすることによって、各ワーク50aの全表面のさらなる脱脂を行う。さらに、酸活性工程S13では、各ワーク50aを室温、pH2の硫酸水溶液で洗浄して各ワーク50aの全表面を活性化している。なお、これらの工程S11〜S13間では、水洗工程(図略)として各ワーク50aの水洗を行う。
【0120】
図8に示すように、めっき工程S2も、図13に示す一般的なめっき方法と同様、ニッケルめっき工程S21と、クロムめっき工程S22とを有している。ニッケルめっき工程S21では、ニッケルめっき浴を用いて各ワーク50aの外周面にニッケルめっき層を施している。また、クロムめっき工程S22では、クロムめっき浴を用いてニッケルめっき工程S21後の各ワーク50aの外周面にクロムめっき層を施している。このクロムめっき浴中にはフッ化物としてのケイフッ化ナトリウムが5〜10g/l含まれている。このクロムめっき工程S22では、クロムめっき浴中のクロム酸により、クロム酸と鉛とが化学反応を起こし、筒状部10の内周面に含まれる鉛が除去される。この際、クロムめっき浴中で形成されたクロム酸鉛がフッ化物によって溶解されると考えられる。なお、これらの工程S21、S22間では、水洗工程(図略)として各ワーク50aの水洗を行っている。
【0121】
そして、実施例1の鉛浸出防止方法では、図8に示すように、めっき工程S2の後、皮膜形成工程S3が備えられている。この皮膜形成工程S3では、めっき工程S2後のワーク50aを処理液に10分間浸漬している。
【0122】
この処理液は、リン酸(H3PO4)0.9質量%の水溶液であり、その温度は50°Cである。
【0123】
こうして、図9に示すように、処理液が筒状部10の内周面の銅及び/又は鉛と反応を起こし、筒状部10の内周面にリンを含む皮膜40を形成する。なお、この皮膜形成工程S3の前後にも水洗工程(図略)としての各ワーク50aの水洗を行っている。
【0124】
以上の鉛浸出防止方法により、図12に示す各水栓金具50がめっき製品として得られる。この各水栓金具50は、図9に示すように、水を通す筒状部10をもつ鉛含有銅合金からなる母材部30と、筒状部10の外周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30と等しい鉛含有層30aと、鉛含有層30aの外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層20と、筒状部10の内周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30と等しい鉛含有層30bと、鉛含有層30bの内周面側に形成されたリンを含む皮膜40とからなる。各水栓金具50は筒状部10内に水Wが通されて活用されることとなる。
【0125】
(実施例2)
実施例2の鉛浸出防止方法においても、実施例1と同様に、材料1、2の2種類の鉛含有銅合金から、図12に示す水栓金具用の各ワーク50aをそれぞれ得る。
【0126】
実施例2の鉛浸出防止方法が実施例1の鉛浸出防止方法と異なる点は、図10に示すように、めっき工程S2と皮膜形成工程S3との間に、各ワーク50aの鉛を除去する鉛除去工程S4を設けていること及び皮膜形成工程S3の処理時間が異なることである。
【0127】
この鉛除去工程S4では、めっき工程S2後の各ワーク50aを活性アルカリ液としてのpH14のエッチング液に3分間浸漬している。このエッチング液は、水酸化ナトリウム5質量%の水溶液であり、その温度は50°Cである。こうして、エッチング液が筒状部10の内周面の鉛と化学反応を起こし、その鉛を溶解して除去する。この際、エッチング液が活性アルカリ液であるため、鉛含有銅合金の銅は反応せず、鉛だけが反応する。なお、この鉛除去工程S4の前後にも水洗工程(図略)としての各ワーク50aの水洗を行っている。
【0128】
また、皮膜形成工程S3では、鉛除去工程S4後のワーク50aを処理液に3分間浸漬している。他の条件は実施例1と同様である。
【0129】
こうして実施例2の鉛浸出防止方法により、実施例1と同様、図12に示す各水栓金具50がめっき製品として得られる。この各水栓金具50は、図11に示すように、水を通す筒状部10をもつ鉛含有銅合金からなる母材部30と、筒状部10の外周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30と等しい鉛含有層30aと、鉛含有層30aの外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層20と、筒状部10の内周面側で母材部30と一体をなし、鉛の濃度が母材部30より低い低鉛含有層30cと、低鉛含有層30cの内周面側に形成されたリンを含む皮膜40とからなる。
【0130】
(比較例1)
比較例1の鉛浸出防止方法においても、実施例1と同様に、材料1、2の2種類の鉛含有銅合金から、図12に示す水栓金具用の各ワーク50aをそれぞれ得る。
【0131】
ただし、比較例1では、図13に示す一般的なニッケル・クロムめっき方法によりニッケル・クロムめっき層を施すのみで、特に鉛浸出防止方法を行わない。他の条件は実施例1と同様である。
【0132】
こうして比較例1のめっき方法により比較例1の水栓金具50がめっき製品として得られる。
【0133】
(比較例2)
比較例2の鉛浸出防止方法においても、実施例1と同様に、材料1、2の2種類の鉛含有銅合金から、図12に示す水栓金具用の各ワーク50aをそれぞれ得る。
【0134】
ただし、比較例2の鉛浸出防止方法は、図10に示す実施例2の鉛浸出防止方法において、皮膜形成工程S3を設けないものである。また、鉛除去工程S4においては、各ワーク50aを活性アルカリ液としてのpH14のエッチング液に10分間浸漬する点においても実施例2と異なる。他の条件は実施例2と同様である。
【0135】
こうして比較例2の鉛浸出防止方法により比較例2の水栓金具50がめっき製品として得られる。
【0136】
(評価)
実施例1、2及び比較例1、2の水栓金具50について、JISS3200−7(1997年)「水道用器具−浸出性能試験方法」により、筒状部10内を通る水に浸出した鉛の濃度(ppb)を測定した。結果を表2に示す。
【0137】
【表2】
Figure 0003866198
【0138】
表2より、比較例1の水栓金具50は、めっき工程S2の後に皮膜形成工程S3を行わないため、浸出する鉛の濃度が高いことがわかる。
【0139】
また、比較例2の水栓金具50は、めっき工程S2後に皮膜形成工程S3を行わないものの、鉛除去工程S4を行っているため、材料2については浸出する鉛の濃度が低くなることがわかる。ただし、材料1については浸出する鉛の濃度があまり低くならない。また、浸出する鉛の濃度をある程度低くするためには、鉛除去工程S4において、各ワーク50aをエッチング液に比較的長時間浸漬することが好ましいことがわかる。
【0140】
これらに対し、実施例1の水栓金具50は、めっき工程S2後に皮膜形成工程S3を行っているため、材料1、2の両方において、浸出する鉛の濃度が低いことがわかる。ただし、実施例1においても、浸出する鉛の濃度をある程度低くするためには、各ワーク50aを処理液に比較的長時間浸漬することが好ましいことがわかる。
【0141】
さらに、実施例2の水栓金具50は、めっき工程S2後に鉛除去工程S4及び皮膜形成工程S3を行っているため、浸出する鉛の濃度が極めて低いことがわかる。また、実施例2では、皮膜形成工程S3を行っているため、鉛除去工程S4において各ワーク50aをエッチング液に3分間浸漬するだけで十分である。つまり、実施例2では鉛除去工程S4及び皮膜形成工程S3の両工程を行っているものの、それらの合計の所要時間は6分であり、比較例2の鉛除去工程S4の所要時間10分間と比べて短時間であることから、実施例2が作業性に優れることがわかる。
【0142】
このように、実施例1及び2の水栓金具50において浸出する鉛の濃度が低いのは、皮膜形成工程S3において筒状部10の内周面に形成されたリンを含む皮膜40により、鉛の浸出を防止することができるためであると考えられる。
【0143】
また、この実施例1及び2の鉛浸出防止方法では、処理液として水にリン酸又はリン酸塩を添加したクロム酸を含まないものを用いており、リン酸又はリン酸塩は、クロムめっき層を形成するためのクロム酸を含むクロムめっき浴や不動態化を行うためのクロム酸を含むクロメート液に比して毒性がほとんどない。このため、処理液を接触させた後の各ワーク50aを洗浄した洗浄液や廃液に対して中和や希釈を行うだけでそれら洗浄液等を処分することができる。そのため、洗浄液等の管理も簡易となる。
【0144】
したがって、実施例1及び2の鉛浸出防止方法によれば、筒状部10の内周面から水への鉛の浸出量が低減し、かつ安価な水栓金具50を製造できることがわかる。
【0145】
つまり、実施例1及び2の水栓金具50では、筒状部10の内周面に形成されたリンを含む皮膜40により、鉛の浸出を防止することができるため、その内周面に水を通しても、その水に鉛が浸出し難い。このため、その水栓金具50から供給される水を人が飲む場合、人の健康に害を及ぼす懸念を払拭できることがわかる。また、その水が河川や下水に排出される場合、環境に与える影響を小さくできることもわかる。
【0146】
(試験)
以下に示す材料3の鉛含有銅合金から、実施例1と同様、図12に示す水栓金具用の複数のワーク50aを得る。材料3は、鉛5質量%、銅85質量%、亜鉛5質量%、スズ5質量%からなる青銅である。
【0147】
これらのワーク50aについて、図10に示すように、実施例2と同様、前処理工程S1、めっき工程S2、鉛除去工程S4及び皮膜形成工程S3の順に処理を行い、試料1〜6の水栓金具50がめっき製品として得られる。
【0148】
(評価)
これら試料1〜6の水栓金具50について、上記「水道用器具−浸出性能試験方法」により、筒状部10内を通る水に浸出した鉛の濃度(ppb)を測定した。この際、試料1〜6の水栓金具50について行った皮膜形成工程S3は、リン酸濃度(質量%)、処理液温度(°C)及び処理時間(秒)の処理条件が異なる。その他の条件は実施例2と同様である。試料1の水栓金具50についての処理条件を標準とした結果を表3に示す。
【0149】
【表3】
Figure 0003866198
【0150】
表3より、以下のことがわかる。試料1〜3の水栓金具50のデータより、リン酸(H3PO4)の濃度は0.9質量%程度が望ましいが、0.01〜10.0質量%の間であれば、浸出する鉛の濃度はそれほど変わらず、十分な効果が得られる。
【0151】
また、処理液の温度は高いほど好ましいことが推察されるが、試料4の水栓金具50のデータより、処理液の温度が5°Cまで下がっても、浸出する鉛の濃度はそれほど変わらず、十分な効果が得られることがわかる。このため、本発明の方法は、冬季等においても、十分な効果を奏し得ることがわかる。
【0152】
さらに、処理時間は長いほど好ましいことが推察されるが、試料5、6の水栓金具50のデータより、処理時間が5秒と短時間であっても浸出する鉛の濃度はそれほど変わらず、十分な効果が得られることがわかる。このため、本発明の方法は、比較的短時間の処理においても、十分な効果を奏し得ることがわかる。
【0153】
以上の実施例及び適用例は例示であり、第1、2発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0154】
第1発明の鉛除去方法では、筒状部の内周面から水への鉛の溶出量が低減し、優れた美観を奏し、かつ安価なめっき製品を製造することができる。
【0155】
第2発明の鉛浸出防止方法によれば、鉛含有銅合金製品から水への鉛の浸出量を簡易に低減させることができる。このため、この鉛浸出防止方法では、鉛の浸出の防止と、製造コストの低廉化とを実現できる。また、第2発明の水栓金具は、水への鉛の浸出量が低減し、かつ簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、第1発明の実施例1に係るめっき方法の工程図である。
図2は、第1発明の実施例1のめっき方法によって得られた水栓金具の断面図である。
図3は、第1発明の実施例2に係るめっき方法の工程図である。
図4は、第1発明の実施例3に係るめっき方法の工程図である。
図5は、第1発明の実施例4に係るめっき方法の工程図である。
図6は、第1発明の実施例4のめっき方法によって得られた水栓金具の断面図である。
図7は、第1発明の水栓金具の斜視図である。
図8は、第2発明の実施例1に係る鉛浸出防止方法の工程図である。
図9は、第2発明の実施例1の鉛浸出防止方法によって得られた水栓金具の断面図である。
図10は、第2発明の実施例2に係る鉛浸出防止方法の工程図である。
図11は、第2発明の実施例2の鉛浸出防止方法によって得られた水栓金具の断面図である。
図12は、水栓金具の斜視図である。
図13は、従来の技術に係るニッケル・クロムめっき方法の工程図である。

Claims (14)

  1. 水を通す筒状部をもち鉛含有銅合金製のワークの外周面にめっき層を施すめっき工程を行っためっき製品について、該筒状部の内周面から鉛を除去する鉛除去工程を行うことを特徴とする筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  2. 鉛除去工程後、筒状部の内周面を不動態化する不動態化工程を行うことを特徴とする請求項1記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  3. 鉛除去工程は、筒状部の内周面から鉛をエッチング可能なエッチング液への浸漬により行うことを特徴とする請求項1又は2記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  4. エッチング液は活性アルカリ液であることを特徴とする請求項3記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  5. めっき工程はクロム酸を含むクロムめっき浴を用いるクロムめっき工程を有し、不動態化工程はクロム酸を含むクロメート液へワークを浸漬するクロメート処理工程を有することを特徴とする請求項1記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  6. クロムめっき浴はフッ化物を含むことを特徴とする請求項5記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  7. クロメート液はリン酸を含むことを特徴とする請求項5記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  8. ワークは水栓金具用のものであることを特徴とする請求項1記載の筒状部をもつ鉛含有銅合金製のめっき製品の鉛除去方法。
  9. 水を通す筒状部をもつ鉛含有銅合金からなる母材部と、該筒状部の外周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が該母材部と等しい鉛含有層と、該鉛含有層の外周面側に形成されためっき層と、該筒状部の内周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が該母材部より低い低鉛含有層とからなることを特徴とする水栓金具。
  10. 低鉛含有層は鉛を含まないことを特徴とする請求項9記載の水栓金具。
  11. 低鉛含有層の内周面側にはクロメート皮膜があることを特徴とする請求項9又は10記載の水栓金具。
  12. 外周面にニッケル・クロムめっき層を施した鉛含有銅合金製のワークと、水にリン酸又はリン酸塩を添加したクロム酸を含まない処理液とを用意し、該ワークに該処理液を接触させて該ワークの表面にリンを含む皮膜を形成する皮膜形成工程を備え
    該皮膜形成工程より前に、鉛をエッチング可能なエッチング液である活性アルカリ液への浸漬によりワークの内周面から鉛を除去する鉛除去工程を行うことを特徴とする鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法。
  13. 処理液におけるリン酸又はリン酸塩の濃度は0.01〜10.0質量%であることを特徴とする請求項12記載の鉛含有銅合金製品の鉛浸出防止方法。
  14. 水を通す筒状部をもつ鉛含有銅合金からなる母材部と、
    該筒状部の外周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が母材部と等しい鉛含有層と、
    該鉛含有層の外周面側に形成されたニッケル・クロムめっき層と、
    該筒状部の内周面側で該母材部と一体をなし、鉛の濃度が該母材部より低い低鉛含有層と、
    該低鉛含有層の表面に形成されたリンを含み、クロムを含まない皮膜とを有することを特徴とする水栓金具。
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