JP7016223B2 - 積層材 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金からなる基材の表面または表面上に2または3以上の層を有する積層材に関する。
従来、金属材料の表面または表面上に様々な性能を付与するため、各種めっき層を形成させた金属材料が開発されている。例えば、特許文献1では、アルミニウム合金の片面に、Ni、Ni-Fe合金、Ni-Co合金等の磁性めっき層を形成させた複合材を、270℃~500℃で5分間~2時間熱処理することにより製造される、高出力が可能な電磁誘導加熱用複合材が提案されている。
特開2000-144479号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の複合材のうち磁性めっき層が所定のめっき層である場合、高温で長時間処理するとめっき層がアルミニウム合金から剥離する。それゆえ、高温で長時間処理しても剥離し難いめっき層を有する材料、すなわち、長時間高温にさらしても密着性に優れためっき層を有する材料が求められている。そこで、本発明は、アルミニウム合金からなる基材に対して密着性に優れためっき層を有する材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルミニウム合金からなる基材の表面または表面上に40原子%以上の鉄を含む第1のめっき層を形成させ、さらに、第1のめっき層の表面または表面上にニッケルを含む第2のめっき層を形成させることにより、長時間高温にさらしても当該基材から剥離し難いめっき層を有する積層材、すなわち、密着性に優れためっき層を有する積層材を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)アルミニウム合金からなる基材と、前記基材の表面または表面上に鉄を含む第1のめっき層と、前記第1のめっき層の表面または表面上にニッケルを含む第2のめっき層と、を有し、
前記基材は、0.5質量%以上のケイ素を含み、
前記第1のめっき層は、40原子%以上の鉄を含む、積層材
(2)前記基材が、鋳造法またはダイカスト法で少なくとも加工された基材、または溶体化処理が少なくともなされた基材である、積層材
等である。また、「第1のめっき層」および「第2のめっき層」における「めっき」は、単一金属めっきであってもよい。
本発明によれば、アルミニウム合金からなる基材に対して密着性に優れためっき層を有する材料を提供することができる。
以下、本発明に係る積層材について詳細に説明する。
≪積層材≫
本発明に係る積層材は、アルミニウム合金からなる基材と、前記基材の表面または表面上に鉄を含む第1のめっき層と、前記第1のめっき層の表面または表面上にニッケルを含む第2のめっき層(第1のめっき層とは組成が異なるめっき層)と、を有する。ここで、本発明に係る積層材は、基材と第1のめっき層の間、第1のめっき層と第2のめっき層の間、第2のめっき層表面に、一または複数のその他の層があってもよい。例えば、その他の層として、酸化皮膜、亜鉛めっき層(例えばジンケート膜)を挙げることができる。より具体的な例としては、基材と第1のめっき層の間に亜鉛めっき層があってもよい。また、本発明に係る積層材は、基材と第1のめっき層の間、または第1のめっき層と第2のめっき層の間に、それらの層に含まれる金属の主成分を考慮して、傾斜構造となるように1または2以上の層を設けてもよい。このように、例えば、基材と第1のめっき層とそれらの間に設けた層とを傾斜構造にすることにより、熱膨張差により生じる破壊を抑制することができる。また、第1のめっき層の膜厚は、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3~20μmであり、さらに好ましくは5~10μmである。他方、第2のめっき層の膜厚は、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5~100μmであり、さらにより好ましくは10~60μmである。以下、本発明に係る積層材の各構成要素を詳述する。
<基材>
基材は、アルミニウム合金からなる基材(以下、「アルミニウム合金材」と称することもある)であり、且つ、0.5質量%以上のケイ素を含む基材であれば特に制限されるものではない。尚、好適な基材は、鋳造法またはダイカスト法で少なくとも加工されたアルミニウム合金材、または溶体化処理が少なくともなされたアルミニウム合金材であることが好ましい。ここで、「鋳造法またはダイカスト法で少なくとも加工されたアルミニウム合金材、または溶体化処理が少なくともなされたアルミニウム合金材」における「少なくとも」は、当該プロセス(前者であれば鋳造法またはダイカスト法、後者であれば溶体化処理)以外の他の加工および/または他の処理がアルミニウム合金材になされていてもよいことを意味する。ここで、他の加工および/または処理は、当該プロセスの前、同時、後、のいずれに実施してもよい。例えば、鋳造法またはダイカスト法で少なくとも加工されたアルミニウム合金材は、他の加工、例えば、上記加工後、切削加工、研削加工、ブラスト加工、磨き(ラッピング)、穴あけ等の加工がなされていてもよい。同様に、溶体化処理が少なくともなされたアルミニウム合金材も、他の加工、例えば、展伸、押出、鍛造、切削加工、研削加工、ブラスト加工、磨き(ラッピング)、穴あけ等の加工がなされていてもよい。また、溶体化処理が少なくともなされたアルミニウム合金材は、他の処理、例えば、溶体化処理後に時効硬化処理を行ったものを含み、例えば、JIS H 0001:1998に規定されるT3、T4、T6、T7、T8、T9等の質別記号で示される方法により調質されたアルミニウム合金材が挙げられるが、これらに限定されない。前記基材は、板材のほか、棒、帯、管、線、鋳鍛造品、軸受等、その形状は特に限定されない。なお、基材は成形品であってもよいし、成形前の材料であってもよい。アルミニウム合金材とはアルミニウムを含有する合金材を指し、当該材の全質量を基準としてアルミニウムを40質量%以上含有するものが好ましい。アルミニウム合金材におけるアルミニウム以外の合金成分としては、ケイ素に加え、例えば、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛を挙げることができる。ただし、マンガンの含有量は1質量%未満が好ましい。また、ケイ素の含有量は1質量%以上であることが好ましい。
<第1のめっき層>
第1のめっき層は、鉄を40原子%以上含有する。当該鉄の存在が、高温下でのアルミニウム合金材と第1のめっき層との密着性向上に寄与すると理解される。第1のめっき層は、鉄を40原子%以上含んでいれば特に限定されず、鉄以外に水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、塩素、カリウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、およびタングステンから選択される1種または2種以上の元素を含んでいてもよい。2種以上の元素としては、例えば、水素と炭素の組み合わせ、ホウ素と炭素の組み合わせ、ホウ素と窒素の組み合わせ、炭素と窒素の組み合わせ、炭素と酸素の組み合わせ、炭素とフッ素の組み合わせ、炭素とケイ素の組み合わせ、炭素とリンの組み合わせ、炭素と硫黄の組み合わせ、炭素とクロムの組み合わせ、炭素とタングステンの組み合わせ、酸素とアルミニウムの組み合わせ、酸素とケイ素の組み合わせ、酸素とジルコニウムの組み合わせ、酸素とタングステンの組み合わせ、ケイ素とクロムの組み合わせ、リンとタングステンの組み合わせ、硫黄とモリブデンの組み合わせ、水素と炭素とリンの組み合わせ、ホウ素と炭素とリンの組み合わせ、ホウ素と窒素とリンの組み合わせ、炭素と窒素とリンの組み合わせ、炭素と酸素とリンの組み合わせ、炭素とフッ素とリンの組み合わせ、炭素とケイ素とリンの組み合わせ、炭素と硫黄とリンの組み合わせ、炭素とクロムとリンの組み合わせ、炭素とタングステンとリンの組み合わせ、酸素とアルミニウムとリンの組み合わせ、酸素とケイ素とリンの組み合わせ、酸素とジルコニウムとリンの組み合わせ、酸素とタングステンとリンの組み合わせ、ケイ素とクロムとリンの組み合わせ、硫黄とモリブデンとリンの組み合わせ等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。鉄成分の含有量は、40原子%以上が必要であり、好ましくは60原子%以上100原子%以下、より好ましくは70原子%以上90原子%以下、さらに好ましくは80原子%以上85原子%以下である。
<第2のめっき層>
第2のめっき層は、ニッケルを含む。第2のめっき層は、ニッケルを60原子%以上含んでいることが好適である。第2のめっき層は、例えば、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、塩素、カリウム、クロム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、およびタングステンから選択される1種または2種以上の元素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。なお、第2のめっき層はスズを含まないことが好ましい。2種以上の元素としては、例えば、水素と炭素の組み合わせ、ホウ素と炭素の組み合わせ、ホウ素と窒素の組み合わせ、炭素と窒素の組み合わせ、炭素と酸素の組み合わせ、炭素とフッ素の組み合わせ、炭素とケイ素の組み合わせ、炭素とリンの組み合わせ、炭素と硫黄の組み合わせ、炭素とクロムの組み合わせ、炭素とタングステンの組み合わせ、酸素とアルミニウムの組み合わせ、酸素とケイ素の組み合わせ、酸素とジルコニウムの組み合わせ、酸素とタングステンの組み合わせ、ケイ素とクロムの組み合わせ、リンとタングステンの組み合わせ、硫黄とモリブデンの組み合わせ、水素と炭素とリンの組み合わせ、ホウ素と炭素とリンの組み合わせ、ホウ素と窒素とリンの組み合わせ、炭素と窒素とリンの組み合わせ、炭素と酸素とリンの組み合わせ、炭素とフッ素とリンの組み合わせ、炭素とケイ素とリンの組み合わせ、炭素と硫黄とリンの組み合わせ、炭素とクロムとリンの組み合わせ、炭素とタングステンとリンの組み合わせ、酸素とアルミニウムとリンの組み合わせ、酸素とケイ素とリンの組み合わせ、酸素とジルコニウムとリンの組み合わせ、酸素とタングステンとリンの組み合わせ、ケイ素とクロムとリンの組み合わせ、硫黄とモリブデンとリンの組み合わせ等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
<性質>
本発明に係る積層材は、前記構成により、基材上の各めっき層が密着性に優れ、長時間高温にさらしても各めっき層が剥離し難いという性能を有する。ここで、高温とは、アルミニウム合金材の融点より低い温度を意味し、より具体的には、250℃以上600℃以下の範囲内、好ましくは300℃以上550℃以下の範囲内、より好ましくは350℃以上500℃以下の範囲内、特に好ましくは400℃以上450℃以下の範囲内を意味する。また、長時間とは、少なくとも1時間、好ましくは30時間、より好ましくは100時間、特に好ましくは300時間、または最も好ましくは500時間以上を意味する。本発明で得られる積層材は、前記温度範囲内で使用してもよい。また、温度変化を繰り返しても密着性を維持することができる。
≪積層材の製造方法≫
本発明に係る積層材の製造方法は、アルミニウム合金からなる基材の表面または表面上に、鉄を含む第1のめっき層を形成させる第1のめっき処理工程と、第1のめっき層の表面または表面上にニッケルを含む第2のめっき層を形成させる第2のめっき処理工程と、を含む。なお、本発明に係る積層材の製造方法においては、他の処理が存在してもよい。当該他の処理の一例としては、第1のめっき処理工程を行う前に、予め、アルミニウム合金材の表面を清浄化させる表面清浄工程、および/または、アルミニウム合金材の表面に対してジンケート処理を行うジンケート処理工程、を挙げることができる。なお、表面清浄工程およびジンケート処理工程の両方を行う場合、ジンケート処理工程の前に表面清浄工程を行うことが好ましい。以下、各工程を詳述する。
<第1のめっき処理工程>
第1のめっき処理工程におけるめっき手法は、特に限定されず、例えば、電解めっき、無電解めっき等を挙げることができる。電解めっきを行う場合、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、直流電解、交流電解、パルス電解、Wパルス電解、PR電解が挙げられる。当該処理工程にて用いられるめっき浴は、特に限定されず、例えば、鉄イオン濃度が30~130g/Lとなるような混合溶液を用いることができる。このときの混合溶液の成分は、鉄源としては、例えば、硫酸アンモニウム鉄、硫酸鉄、塩化鉄、スルファミン酸鉄、四フッ化ホウ酸鉄を挙げることができ、他の成分源としては、例えば、硫酸コバルト、塩化コバルト、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、ホウ酸、サッカリン、尿素等を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて使用できる。但し、これらに限定されるものではない。また、当該処理工程にて採用されるめっき条件は、特に限定されないが、例えば、めっき浴の浴温0~110℃、めっき浴のpH7以下である。さらに、電解めっきを採用する場合、その条件は特に限定されない。例えば、基材を陰極とし、鉄板、カーボン、または白金めっきチタンを陽極として、めっき電流密度1~50A/dm程度で1秒~1時間程度の条件で処理を行う。めっき浴の攪拌方法は特に限定されないが、ポンプ攪拌、空気攪拌、超音波攪拌、プロペラ攪拌、プレート揺動攪拌、基材の揺動のほか、バレルめっき法を行ってもよい。
<第2のめっき処理工程>
第2のめっき処理工程におけるめっき手法は、特に限定されず、電解めっき、無電解めっき等を挙げることができる。電解めっきを行う場合、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、直流電解、交流電解、パルス電解、Wパルス電解、PR電解が挙げられる。当該処理工程にて用いられるめっき浴は、特に限定されず、例えば、ニッケルイオン濃度が3~100g/Lとなるような混合溶液を用いることができる。このときの混合溶液の成分は、ニッケル源としては、例えば、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケルを挙げることができ、他の成分源としては、例えば、硫酸アンモニウム鉄、硫酸鉄、塩化鉄、スルファミン酸鉄、四フッ化ホウ酸鉄、硫酸コバルト、塩化コバルト、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、ホウ酸、サッカリン、尿素、タングステン酸ナトリウム、次亜リン酸、ホスフィン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて使用できる。但し、これらに限定されるものではない。また、当該処理工程にて採用されるめっき条件は、特に限定されないが、例えば、めっき浴の浴温0~110℃、めっき浴のpH10以下である。さらに、電解めっきを採用する場合、その条件は特に限定されない。例えば、基材を陰極とし、ニッケル板、カーボン、または白金めっきチタンを陽極として、めっき電流密度1~20A/dm程度で1秒~5時間程度の条件で処理を行う。めっき浴の攪拌方法は特に限定されないが、ポンプ攪拌、空気攪拌、超音波攪拌、プロペラ攪拌、プレート揺動攪拌、基材の揺動のほか、バレルめっき法を行ってもよい。
<他の工程>
(清浄工程)
前記のように、本発明に係る積層材の製造方法は、第1のめっき処理工程を行う前に、予め、アルミニウム合金材の表面を清浄化させる表面清浄工程を含んでいてもよい。例えば、表面清浄工程の一例として、アルミニウム合金材の表面を脱脂処理する工程を挙げることができる。脱脂処理の方法は、特に限定されず、例えば、溶剤系、水系またはエマルジョン系の脱脂剤を用いる手法を挙げることができる。ここで、当該脱脂剤は、アルカリ塩、界面活性剤等を含んでいてもよい。また、表面清浄工程の一例として、アルミニウム合金材の表面を酸洗処理する工程を挙げることができる。酸洗処理で用いられる薬剤としては、公知のものを適用することができる。なお、上記脱脂処理する工程の後に、酸洗処理する工程を行ってもよい。
(ジンケート処理工程)
前記のように、本発明に係る積層材の製造方法は、第1のめっき処理の前処理工程として、アルミニウム合金材の表面または表面上に対してジンケート処理を行うジンケート処理工程を含んでいてもよい。ジンケート処理としては、通常のジンケート処理方法を採用できる。ジンケート浴は、特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛を溶解させた水酸化ナトリウム溶液である。当該溶液の浴温を通常35℃以下に保ち、基材を1秒~5分程度当該溶液に浸漬することで、ジンケート膜を形成させることができる。また、さらにめっき層の密着性を向上させるため、形成されたジンケート膜を硝酸で剥離し、再度ジンケート処理を行う操作を1回以上行ってもよい。
(その他の処理工程)
前述の工程の他、必要に応じてその他の工程を適宜行ってもよい。例えば、水洗工程は全ての工程{各めっき工程の前に行う各種処理(例えば、清浄工程やジンケート処理工程)、各めっき処理工程、各めっき処理工程の後に行う各種処理等の、全ての工程}後に行ってもよい。また、各水洗工程後に適宜乾燥工程を行ってもよい。
≪積層材の用途≫
本発明に係る積層材は、基材上の各めっき層が密着性に優れ、長時間高温にさらしても基材上の各めっき層が剥離し難いという性能を有する。当該性質に基づき、高温下で使用される部材あるいは成形品の材料として有用である。部材や成形品の具体例としては、電磁誘導加熱用複合材、電磁誘導加熱用調理器具(鍋、フライパン、炊飯器、電気ケトル等)、コネクタ、プリント基板、磁気ディスク、磁気ヘッド、ロール、金型(インジェクション金型、プレス金型、引き抜き金型等)、内燃機関部材(エンジンブロック、エンジンシリンダー、ピストン、ピストンリング、弁等)、シャフト、モーター、ジャーナル、ボルト、ナット、建材、航空部材、船舶部材、電池部材等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
以下に、実施例を比較例とともに挙げ、本発明およびその効果を具体的に説明する。なお、実施例で使用した金属材料、脱脂剤、前処理およびめっき処理に用いた薬剤は、市販されている材料や試薬の中から任意に選定したものであり、本発明の実際の用途を限定するものではない。
≪実施例・比較例に係る積層材の製造方法≫
<実施例・比較例の積層材に使用した基材>
実施例1~22および比較例1、2に係る積層材の製造においては、特に断りのない限り、基材として46mmφ×5mmのアルミニウム合金AC8A-T6(Si:11.0~13.0質量%、Mn:0.15質量%以下)を用いた。
<実施例・比較例の積層材の製造方法>
実施例1~22および比較例1、2に係る積層材は、特に断りのない限り、[清浄化処理→ジンケート処理→マスキング→第1のめっき処理→第2のめっき処理]の処理工程を経て製造した。以下、当該処理工程の各処理を説明する。
(清浄化処理)
上記清浄化処理は、アルカリ脱脂{ファインクリーナー315E 日本パーカライジング株式会社製、30g/L(固形分濃度)、70℃、浸漬時間15分}ののち、酸洗(55%フッ化水素酸:60%硝酸=1:9、常温、浸漬時間30秒)を実施し、各工程後に水洗を実施するという処理である。
(ジンケート処理)
上記ジンケート処理は、一次亜鉛置換(プレコートT800、日本パーカライジング株式会社製、常温、浸漬時間30秒)、硝酸洗(30%硝酸、常温、浸漬時間1分)、二次亜鉛置換(プレコートT800、日本パーカライジング株式会社製、常温、浸漬時間20秒)の順に実施し、各工程後に水洗を実施するという処理である。
(マスキング処理)
上記マスキング処理は、基材の処理面φ46mm部分以外の裏面および側面について絶縁性のマスキングを施すというものである。
(第1のめっき処理)
上記第1のめっき処理は、基材を陰極、SPCC板を陽極として電解めっき処理を行い、鉄を40原子%以上含有するめっき膜を基材表面または表面上に形成させ、当該工程後に水洗を実施するという処理である。なお、めっき浴のpH調整に関しては、硫酸塩を用いためっき浴には、硫酸を用い(pH下降)、ニッケルを含むめっき浴には、炭酸ニッケルを用い(pH上昇)、また、ニッケルを含まないめっき浴には、炭酸ナトリウムを用いた(pH上昇)。
(第2のめっき処理)
上記第2のめっき処理は、(1)電解めっき処理の場合、陰極として基材(第1のめっき処理が施された基材)を、陽極としてニッケル板をめっき浴に浸漬し、電解処理を行い、ニッケルを主成分とするめっき膜を第1のめっき層表面または表面上に形成させ、当該工程後に水洗を実施するという処理であり、(2)無電解めっき処理の場合、基材(第1のめっき処理が施された基材)をめっき浴に浸漬し、ニッケルを主成分とするめっき膜を第1のめっき層表面または表面上に形成させ、当該工程後に水洗を実施するという処理である。なお、めっき浴のpH調整に関しては、スルファミン酸塩を用いためっき浴には、スルファミン酸を用い(pH下降)、硫酸塩を用いためっき浴には、硫酸を用い(pH下降)、ニッケルを含むめっき浴には、炭酸ニッケルを用いた(pH上昇)。
以下、上述した基材およびプロセスに基づき、実施例1~22および比較例1~2に係る積層材を製造した。なお、実施例・比較例毎に、他の実施例・比較例と相違する点等を述べる。各めっき層の厚さおよびめっき層の組成の測定方法については後述する。
[実施例1]
前記第1のめっき処理工程として、以下のめっき浴(1) を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が41原子%、ニッケルが59原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。
めっき浴(1)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :20g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
前記第2のめっき処理工程として、以下のめっき浴(2)を用いて、めっき電流密度8A/dmで30分間電解処理した。その結果、形成された第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして実施例1に係る積層材を得た。
めっき浴(2)
<浴成分>
・スルファミン酸ニッケル(II)四水和物:350g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :30g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
4.0
<温度>
60℃
[実施例2]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例2の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(3)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が51原子%、ニッケルが49原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例2の積層材を得た。
めっき浴(3)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :30g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例3]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例3の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(4)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が63原子%、ニッケルが37原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例3の積層材を得た。
めっき浴(4)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :40g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例4]
第1のめっき処理工程を変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(5)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が72原子%、ニッケルが28原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例4の積層材を得た。
めっき浴(5)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :60g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例5]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例5の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(6)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が81原子%、ニッケルが19原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例6の積層材を得た。
めっき浴(6)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :150g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例6]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例6の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(7)を用いて、めっき電流密度10A/dmで3分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が3μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例6に係る積層材を得た。
めっき浴(7)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :200g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例7]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例6]と同様の方法で、実施例7の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で電解時間を5分間とした。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例7の積層材を得た。
[実施例8]
基材を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例8の積層材を製造した。具体的には、基材として46mmφ×5mmのアルミニウム合金4032-T6(Si:11.0~13.5質量%)を用いた。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例8の積層材を得た。
[実施例9]
基材を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例9の積層材を製造した。具体的には、基材として46mmφ×5mmのアルミニウム合金ADC10-F(Si:7.5~9.5質量%、Mn:0.5質量%以下)を用いた。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例9の積層材を得た。
[実施例10]
ジンケート処理工程を実施しなかった以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例10の積層材を製造した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例10の積層材を得た。
[実施例11]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例6]と同様の方法で、実施例11の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で電解時間を10分間とした。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が10μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例11の積層材を得た。
[実施例12]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例12の積層材を得た。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(8)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が89原子%、ニッケルが11原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例12の積層材を得た。
めっき浴(8)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :270g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例13]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で実施例13の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(9)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が100原子%である鉄めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例13の積層材を得た。
めっき浴(9)
<浴成分>
・硫酸鉄(II)七水和物:250g/L
・硫酸アンモニウム:120g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例14]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例14の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(10)を用いて、めっき電流密度1A/dmで30分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が93原子%、リンが7原子%の鉄-リン合金めっき膜が形成された。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例14の積層材を得た。
めっき浴(10)
<浴成分>
・硫酸鉄(II)七水和物 :360g/L
・塩化鉄(II)四水和物 :34g/L
・次亜リン酸ナトリウム :53g/L
・ホウ酸 :40g/L
<pH>
3.0
<温度>
40℃
[実施例15]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例15の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(11)を用いて、めっき電流密度3A/dmで10分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が78原子%、コバルトが22原子%である鉄-コバルト合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例15の積層材を得た。
めっき浴(11)
<浴成分>
・硫酸鉄(II)七水和物 :290g/L
・硫酸コバルト(II )七水和物:125g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
[実施例16]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、実施例16の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(12)を用いて、めっき電流密度8A/dmで25分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が95原子%、モリブデンが5原子%である鉄-モリブデン合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例16の積層材を得た。
めっき浴(12)
<浴成分>
・硫酸鉄(II)七水和物 :50g/L
・モリブデン酸ナトリウム二水和物 :20g/L
・クエン酸三ナトリウム :75g/L
<pH>
3.0
<温度>
30℃
[実施例17]
第2のめっき処理工程を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例17の積層材を製造した。具体的には、第2のめっき処理工程で、以下のめっき浴(13)を用いて、めっき電流密度8A/dmで30分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが98原子%、リンが2原子%であるニッケル-リン合金めっき膜であった。このようにして、実施例17の積層材を得た。
めっき浴(13)
<浴成分>
・スルファミン酸ニッケル(II)四水和物:350g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :30g/L
・ホウ酸 :30g/L
・次亜リン酸 :1g/L
<pH>
4.0
<温度>
60℃
[実施例18]
第2のめっき処理工程を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例18の積層材を製造した。具体的には、第2のめっき処理工程として、以下のめっき浴(14)に基材を12時間浸漬し、無電解めっき処理を行った。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが86原子%、リンが14原子%である無電解ニッケル-リン合金めっき膜であった。このようにして、実施例18の積層材を得た。
めっき浴(14)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :30g/L
・ホスフィン酸ナトリウム:10g/L
・クエン酸ナトリウム :10g/L
<pH>
5.0
<温度>
90℃
[実施例19]
第2のめっき処理工程を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例19の積層材を製造した。具体的には、第2のめっき処理工程として、以下のめっき浴(15)を用いて、めっき電流密度8A/dmで30分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、実施例19の積層材を得た。
めっき浴(15)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :300g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :45g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
4.0
<温度>
60℃
[実施例20]
第2のめっき処理工程を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例20の積層材を製造した。具体的には、第2のめっき処理工程として、以下のめっき浴(16)を用いて、めっき電流密度8A/dmで30分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが85原子%、窒素が7.5原子%、ホウ素が7.5原子%であるニッケル-窒化ホウ素複合めっき膜であった。このようにして、実施例20の積層材を得た。
めっき浴(16)
<浴成分>
・スルファミン酸ニッケル(II)四水和物:350g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :30g/L
・ホウ酸 :30g/L
・窒化ホウ素粒子 :30g/L
<pH>
4.0
<温度>
60℃
[実施例21]
第2のめっき処理工程を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例21の積層材を製造した。具体的には、第2のめっき処理工程として、以下のめっき浴(17)を用いて、めっき電流密度8A/dmで30分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが85原子%、炭素が7.5原子%、ケイ素が7.5原子%であるニッケル-炭化ケイ素複合めっき膜であった。このようにして、実施例21の積層材を得た。
めっき浴(17)
<浴成分>
・スルファミン酸ニッケル(II)四水和物:350g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :30g/L
・ホウ酸 :30g/L
・炭化ケイ素粒子 :40g/L
<pH>
4.0
<温度>
60℃
[実施例22]
第2のめっき処理工程を変更した以外は[実施例7]と同様の方法で、実施例22の積層材を製造した。具体的には、第2のめっき処理工程として、以下のめっき浴(18)に基材を12時間浸漬し、無電解めっき処理を行った。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が85原子%、ニッケルが15原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが80原子%、リンが14原子%、炭素が3原子%、ケイ素が3原子%の無電解ニッケル-リン-炭化ケイ素複合めっき膜であった。このようにして、実施例22の積層材を得た。
めっき浴(18)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物:30g/L
・ホスフィン酸ナトリウム:10g/L
・クエン酸ナトリウム:10g/L
・炭化ケイ素粒子:10g/L
<pH>
5.0
<温度>
90℃
[比較例1]
第1のめっき処理工程を実施しなかった以外は[実施例1]と同様の方法で、比較例1の積層材を製造した。その結果、形成された第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、比較例1の積層材を得た。
[比較例2]
第1のめっき処理工程を変更した以外は[実施例1]と同様の方法で、比較例2の積層材を製造した。具体的には、第1のめっき処理工程で、以下のめっき浴(19)を用いて、めっき電流密度10A/dmで5分間電解処理した。その結果、形成された第1のめっき層は、膜厚が5μmであり、鉄が20原子%、ニッケルが80原子%である鉄-ニッケル合金めっき膜であった。また、第2のめっき層は、膜厚が50μmであり、ニッケルが100原子%であるニッケルめっき膜であった。このようにして、比較例2の積層材を得た。
めっき浴(19)
<浴成分>
・硫酸ニッケル(II)六水和物 :140g/L
・塩化ニッケル(II)六水和物 :40g/L
・硫酸鉄(II)七水和物 :14g/L
・ホウ酸 :30g/L
<pH>
2.0
<温度>
60℃
実施例および比較例の積層材について、めっき層の厚さ、めっき層に含まれる各成分の量、耐熱密着性は、次の方法で評価した。
[めっき層の厚さ]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて積層材の断面を観察し、めっき膜の厚さを求めた。なお、めっき膜厚さの測定に際しては、第1のめっき層を形成した後、その層の厚さを測定した。その後、第2のめっき層を形成した後、全ての層の厚さを測定し、全ての層の厚さから、第1の層の厚さを差し引き、第2の層の厚さを求めた。
[めっき層に含まれる各成分の量]
実施例および比較例と同一組成の第1のめっき浴に、ジンケート処理を行っていないアルミニウム板1050を浸し、実施例および比較例と同一条件において、当該アルミニウム板上に第1のめっき層を形成させた(以下、「試験片」という)。次いで、濃硝酸に試験片を浸漬することで第1のめっき層を溶解させた。その後、第1のめっき層溶解前後の試験片の重量を測定し、第1のめっき層重量を算出した。第1のめっき層が複合めっきの場合、めっき層溶解液をろ過し、複合粒子を回収した。希釈した第1のめっき層溶解液に含まれる成分を、株式会社島津製作所製ICP発光分光分析装置(ICPS-8100)を用いて定量分析した。型式はシーケンシャル、分光部はツェルニターナ、高周波電源部周波数は27.12MHzで、Arガスを使用した。測定条件は、高周波出力1.2kW、トーチ観測高11mm、クーラントガス14L/min、プラズマガス1.2L/min、キャリアガス0.7L/min、積分時間5sとした。第1のめっき膜重量、複合粒子重量、ICP発光分光分析の結果から、第1のめっき層に含まれる各成分の量を算出した。同様の操作を第2のめっき層に関しても実施し、第2のめっき層に含まれる各成分の量を算出した。この分析結果から原子パーセント(原子%)を算出した。
[耐熱密着試験]
実施例および比較例の積層材を、大気中で500℃、24時間加熱した。その後積層材を、マイクロカッターを用いて、基材側から第2のめっき層に向かって、R23mm半円×5mmの寸法となるよう(即ち、半分)に切断した。加熱後または切断後の積層材におけるめっき膜剥離の有無を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:めっき膜剥離が見られなかった。
△:めっき膜剥離が一部見られた。
×:めっき膜が完全に剥がれていた。
Figure 0007016223000001

Claims (1)

  1. アルミニウム合金からなる基材と、前記基材の表面または表面上に鉄を含む第1のめっき層と、前記第1のめっき層の表面または表面上にニッケルを含む第2のめっき層と、を有し、
    前記基材は、0.5質量%以上のケイ素を含み、
    前記第1のめっき層は、40原子%以上の鉄を含み、
    前記第1のめっき層の膜厚は、3~20μmであり、
    前記第2のめっき層は、60原子%以上のニッケルを含み、
    前記基材と前記第1のめっき層の間にニッケルの層を含む積層材を除く、積層材。
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