以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明を実施形態に記載されたものだけに限定するものではない。
〔実施例1〕
(1.画像形成装置の全体的な構成)
図1は、画像形成装置の一例を示す断面図である。
ここでは、画像形成装置100の全体的な構成について説明する。
画像形成装置100は、記録材収納部103に収納された記録材102を画像形成部309(図2)へ搬送し、記録材102上にトナー像(未定着)を形成する。尚、画像形成部309の詳細については後述する。
その後画像形成装置100は、画像形成部309にてトナー像が形成された記録材102を定着部(第一定着器150、第二定着器170)へ搬送し、熱と圧力を加えることで記録材102上のトナー像を記録材102に定着する。尚、定着部の詳細については後述する。
片面印刷の場合、画像形成装置100は、画像形成部309と定着部とを経て画像形成が完了した記録材102をフラッパ132が排出経路139へ導くことにより、画像形成装置100の外側へ排出する。
一方、両面印刷の場合、画像形成装置100は、片面の印刷を終えた記録材102を反転させて再度画像形成部309へと搬送する。具体的には、定着後の記録材102をフラッパ132が搬送経路134へと導き、反転部136へ搬送する。反転センサ135が記録材102の後端を検出すると、フラッパ133が記録材102の搬送方向を搬送経路137に切り替える。画像形成装置100は、反転させた記録材102を搬送経路137を経て再び画像形成部309と定着部とへ搬送する。
両面の画像形成が完了した記録材102は、フラッパ132により排出経路139へと導かれ、画像形成装置100の外側へ排出される。
ここでフラッパ132は、画像形成部309と定着部とを経た記録材102を搬送経路134へと搬送するか、画像形成装置100の外側へ排出するかを切り替える切り替え部材である。
また記録材102は、画像形成装置100によって画像が形成されるものであって、たとえば紙やOHP用シート等が挙げられる。
報知部や選択部、設定部、受付部として機能する操作部180は、表示画面と選択キーを備える。操作部180は、表示画面に画像形成装置100の状態を表示したり、選択キーにより操作者からの動作の指示を受け付けたりする。動作の指示の例としては、画像形成に用いる記録材102の種類(表面性、坪量、サイズ等)の設定や、印刷する部数の設定や、片面印刷/両面印刷の設定などが挙げられる。
電源スイッチ101は、画像形成装置100を起動する起動スイッチである。
また開閉部としての前扉140は、定着器(第一定着器150、第二定着器170)を装着部(第一装着部141、第二装着部142)に装着するための画像形成装置100の本体100Aの開口部に設けられた扉である。
また、画像形成装置100は、前扉140が閉じられた状態であることを検知するためのセンサとして、開閉センサ(光学センサ)305(図2)を備える。開閉センサ305とCPU301(図2)は開閉検知部として機能する。前扉140には突起(不図示)が設けてあり、前扉140が閉じられることにより画像形成装置100の本体100Aの受け部(不図示)に差し込まれる。CPU301は、突起が受け部に差し込まれたことに伴い開閉センサ305が出す信号を基に、前扉140が閉じられたことを検知する。一方、開閉センサ305からの信号が出力されていないときは、CPU301は前扉140が開いていることを検知する。尚、前扉140が開いたことに伴い開閉センサ305が出す信号を基にCPU301は前扉140が開いたことを検知し、一方、開閉センサ305からの信号が出力されていないときは、CPU301は前扉140が閉じていることを検知する構成としてもよい。
(2.制御系の構成)
図2は、制御系の構成の一例を示すブロック図である。
画像形成装置100(図1)は、画像形成装置100の動作を制御するためのCPU301、RAM302、ROM303等を備えている。
制御部として機能するCPU301は、ROM303に記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100の基本制御を行う。後述するフローチャートの動作は、ROM303に記憶された制御プログラムに基づいてCPU301により実行される。CPU301は、制御プログラムの処理を実行するためのワークエリアとしてRAM302を使用する。
CPU301は、RAM302、ROM303の他、制御対象となる各機構と電気的に接続している。
また、CPU301は、第一定着器150や第二定着器170内に搬送される記録材102の枚数をカウント(計数)するカウンター(計数部)としても機能する。具体的な構成は後述する。
外部I/F部304はネットワーク(例えばLANやWANなど)を介して接続される外部装置と通信するための通信回路である。外部装置としては、例えば、記憶装置200の他、パーソナルコンピューター(PC)や他の画像形成装置等が挙げられる。
記憶装置200は、外部I/F部304とネットワークを介して接続する外部装置の一例である。詳細は、実施例3において説明するので、ここでは省略する。
CPU301は、開閉センサ305と接続しており、前扉140が閉じられた状態か否かを検知する。
センサ群306は、図1に示すセンサ153、155、173、175を含む搬送経路上の各センサのことであり、CPU301が記録材の有無や通過を検知するためのセンサである。
また、CPU301は、操作部180と接続している。CPU301は、操作部180の選択キーを通して操作者から表示画面の表示内容の切り替えや動作の指示を受け付ける。また、CPU301は、画像形成装置100の動作状況や選択キーからの入力によって設定された動作モードなどの情報を、操作部180の表示画面に表示させる。
また、CPU301は、タイマー307と接続している。タイマー307は時間を計測する計時部として機能する。後述するように、ジャムの検知や定着リフレッシュ動作の時間の計測に用いられる。
またCPU301は、搬送部308に接続しており、記録材102の搬送を制御する。搬送部308は、記録材収納部103から搬送経路へと記録材102を供給する供給部や、搬送経路上の記録材102を搬送するための各搬送ローラ、搬送経路の各フラッパ(図1に示すフラッパ131、132、133)等である。
またCPU301は後述する画像形成部309に接続しており、画像形成部309の制御を行う。
またCPU301は、後述する第一の抵抗検出部310と接続しており、画像形成装置100に装着されている第一定着器150を識別する。第一定着器150が画像形成装置100に装着されると、第一の抵抗検出部310は、第一定着器150が有する抵抗体154と電気的に接続できるようになる。
またCPU301は、第二の抵抗検出部311と接続しており、画像形成装置100に装着されている第二定着器170を識別する。第二定着器170が画像形成装置100に装着されると、第二の抵抗検出部311は、第二定着器170が有する抵抗体174と電気的に接続できるようになる。
また、CPU301は本体メモリ312に接続している。本体メモリ312は書き換え可能な不揮発性のメモリであり、RAM302と一体であってもよい。
また、CPU301は、画像形成装置100に装着されている第一定着器150が有する機構群Xに接続しており、第一定着器150の温度調整制御(以下、温調とも呼ぶ。)や定着リフレッシュ動作の制御を行う。機構群Xは、温度センサ320、ヒーター321、接離機構322、モータ323、リフレッシュローラのモータ324、リフレッシュローラ接離機構325を示す。
ここで、温度センサ320は、第一定着器150が有する複数の温度センサであり、サーミスタ159(図3)と、加圧ベルト152のサーミスタ(不図示)とを含む。
ここで、ヒーター321は、第一定着器150が有する複数のヒーターであり、ハロゲンヒーター161(図3)と、加熱ローラ163の内部のハロゲンヒーター(不図示)とを含む。
また、CPU301は、画像形成装置100に装着されている第二定着器170の機構群Xに接続しており、第二定着器170の温度調整制御(以下、温調とも呼ぶ。)や定着リフレッシュ動作の制御を行う。第二定着器170の機構群Xについては、第一定着器150の機構群Xと同様であるから、同じ符号を付すことにより説明を省略する。(上述の機構群Xの説明においては、第一定着器150を第二定着器170に、加圧ベルト152を加圧ローラ172に、加熱ローラ163を加圧ローラ172に、それぞれ置き換えて読めばよい。)
本実施例では、各機構をCPU301が制御する。しかしながら、たとえばそれぞれの機構の動作を制御する複数のCPU回路部と、複数のCPU回路部に接続して全体を制御するメインのCPU回路部と、で構成してもよい。
(3.画像形成部)
画像形成装置100は、画像形成部309(図2)として、ステーション120、121、122、123と、中間転写体としての中間転写ベルト115と、転写部としての転写ローラ116とを備える(図1)。
ステーション120、121、122、123は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成して中間転写ベルト115に形成する。
ステーション120の構成を説明する。像担持体としての感光ドラム110は、図1において反時計回りに回転する。帯電部としての一次帯電器111は感光ドラム110を一様の表面電位に帯電する。露光部としてのレーザユニット112は、レーザ光を出力する光源113を有しており、感光ドラム110上に原稿画像に応じた静電潜像を形成する。現像部としての現像器114は、トナーを用いて感光ドラム110上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。ステーション121、122、123の構成はステーション120と同様であるから、説明を省略する。
ステーション120、121、122、123が形成したトナー像は、中間転写ベルト115上に転写される。転写ローラ116は、中間転写ベルト115上のトナー像を記録材収納部103から搬送される記録材102に転写する。
(4.定着部)
(4.1.タンデム定着)
定着部としての第一定着器150および第二定着器170は、記録材102に熱と圧力を加えることで記録材102に転写されたトナー像を記録材102に定着する(図1)。
第二定着器170は、第一定着器150よりも記録材102の搬送方向に対して下流側に配置されている。第二定着器170は、第一定着器150が定着した記録材102上のトナー像に光沢を付与したり、定着処理に多くの熱量を必要とする坪量の大きな記録材(たとえば厚紙など)に対して第一定着器150だけでは不足する熱量を補ったりする目的で使用される。
一方、第一定着器150だけで定着が可能な場合には第二定着器170を用いなくてよいので、エネルギー消費量低減の目的で記録材102は第二定着器170を経由せずに搬送経路130にて搬送される。例えば、記録材102が普通紙や薄紙の場合であって、光沢を多く付加する設定がされていない場合などである。第二定着器170に記録材102を搬送する(タンデム定着ルート)か、第二定着器170を迂回して記録材102を搬送する(バイパスルート)かは、CPU301がフラッパ131を切り替えることで制御する。
(4.2.定着器の構成)
第一定着器150および第二定着器170は、それぞれ画像形成装置100に設けられた第一装着部141および第二装着部142(装着部)に着脱可能に設けられている。第一定着器150および第二定着器170は、それぞれ以下の構成を有する定着器へ、交換することが可能である。
第一定着器150には、識別部としての抵抗体154が設置されている。第二定着器170には、識別部としての抵抗体174が設置されている。詳しくは後述する。
また、ジャム検知部として、第一定着器150にはセンサ153、155が、第二定着器170にはセンサ173、175が設けられている。また、それぞれの定着器において、記録材102の搬送方向上流側のセンサ155、175は、記録材102がそれぞれの定着器に搬送されたことを検知する検知部としても機能する。詳しくは後述する。
図3は定着部の一例を示す断面図である。図3を基に、第一定着器150の詳細な構成について説明する。
第一定着器150は定着ローラ151(定着部材)(回転体)と加圧ベルト152(加圧部材)(回転体)を有しており、これらが記録材102上のトナー像を定着処理するためのニップ部を形成する。
定着ローラ151は、中空ローラであり、その内部に加熱源としてハロゲンヒーター161を内蔵している。温度検知部としてのサーミスタ159は定着ローラ151の温度を測るセンサである。CPU301はサーミスタ159により検出された温度の情報を基にハロゲンヒーター161のON/OFFを制御する。これは、定着ローラ151の温度を所定の温度に維持、調整するためである。尚、所定の温度には誤差を含む。
加圧ベルト152は、3つのローラに支持される無端状のベルトである。加圧ベルト152の内周面には、加圧ベルト152を定着ローラ151に向けて押圧する加圧パッド164が設けられている。3つのローラのうちの1つである加熱ローラ163は中空ローラであり、その内部に加熱源としてのハロゲンヒーター(不図示)を内蔵しており、加圧ベルトを加熱する。加圧ベルト152も定着ローラ151と同様に、温度を測るセンサとしてのサーミスタ(不図示)による検出温度情報を基に加熱ローラ163のハロゲンヒーター(不図示)をCPU301が制御する。その結果、加圧ベルト152の温度が所定の温度に維持、調整される。
定着ローラ151は駆動源としてのモータ323(図2)により回転駆動され、図3の矢印Aの方向に記録材102を搬送する。加圧ベルト152は定着ローラ151に従動回転する構成となっている。
また、第一定着器150は、定着ローラ151と加圧ベルト152とが当接してニップ部を形成する当接状態と離間する状態とを取り得るように加圧ベルト152を移動させる接離機構322(図2)を有する。尚、本実施例では、接離機構322は加圧ベルト152を移動させるが、定着ローラ151を移動させる構成としてもよいし、定着ローラ151と加圧ベルト152との両方を移動させる構成としてもよい。
一方、第二定着器170は、加圧部材として加圧ベルトではなく加圧ローラ172を有し、定着ローラ171(定着部材)と加圧ローラ172(加圧部材)が記録材102上のトナー像を定着処理するためのニップ部を形成する(図1)。加圧ローラ172は、中空ローラであり、内部に加熱源としてのハロゲンヒーター(不図示)を内蔵している。また、加圧ローラ172は温度センサとしてサーミスタ(不図示)を備える。CPU301がサーミスタ(不図示)とハロゲンヒーター(不図示)とを制御することにより、加圧ローラ172の温度が所定の温度に維持、調整される。
第二定着器170のその他の構成は第一定着器150と同様であるから、説明は省略する。
また、以下の説明においても、第一定着器150を用いて説明するが、特に断りがない限り第二定着器170においても同様である。(この場合、第一定着器150に係る構成を第二定着器170に係る構成に置き換えて読めばよい。)
尚、本実施例では、第一定着器150と第二定着器170とで加圧側の構成が異なるが、同じ構成としてもよい。すなわち、第一定着器150と第二定着器170の両方の加圧側の構成が加圧ベルトであってもよいし、第一定着器150と第二定着器170の両方の加圧側の構成が加圧ローラであってもよい。また、第一定着器150の加圧側の構成を加圧ローラとし、第二定着器170の加圧側の構成を加圧ベルトとしてもよい。
(4.3.リフレッシュローラ)
次に、回転体の表面を摺擦処理する摺擦回転体としてのリフレッシュローラ156について説明する。
第一定着器150の定着ローラ151の表面を摺擦処理する場合を例に説明する。尚、第二定着器170においても同様であるから説明を省略する。
本実施例では、リフレッシュローラ156は、定着ローラ151の表面を摺擦処理する。リフレッシュローラ156は、定着ローラ151に対して接離可能に配置され、定着ローラ151の周面を摺擦可能である。リフレッシュローラ156は、周面に砥粒が固定され、定着ローラ151と周速差を持たせて回転駆動されることにより定着ローラ151の周面を粗す粗しローラである。
具体的には、リフレッシュローラ156は、外径12mmのステンレスパイプ(SUS304)の基材の周面に、接着層を介して砥粒を密に接着した摺擦層を設けている。
市販されている各種の砥粒又は各種の砥粒の混合物を接着層で接着処理して摺擦層を形成することができる。市販されている砥粒の例は、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化チタン、ジルコニア、リチウムシリケート、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、酸化クロム、酸化アンチモン、ダイヤモンド等である。
ここでは、摺擦層の砥粒として、酸化アルミニウム砥粒(アルミナ系砥粒、アランダム、モランダム)を用いた。酸化アルミニウム砥粒は、最も幅広く用いられる砥粒で、定着ローラ151に比べて十分硬度が高く、鋭角形状のため切削性に優れており、摺擦層として好適である。リフレッシュローラ156による摺擦処理後の定着ローラ151の表面粗さが後述する定着リフレッシュ動作の効果を満たすためには、摺擦層の砥粒の粒径は、5μm以上20μm以下が好ましいことが実験により確認されている。
リフレッシュローラ156は、リフレッシュローラ接離機構325により定着ローラ151と当接する当接状態と離間する離間状態とを取り得るように移動する。CPU301はリフレッシュローラ接離機構325を制御して、リフレッシュローラ156の当接―離間状態を制御する。
また、リフレッシュローラ156は、駆動源としてリフレッシュローラのモータ324を有しており、定着ローラ151と周速差を持って回転駆動される。CPU301は、リフレッシュローラのモータ324を制御して、リフレッシュローラ156の回転や停止を制御する。尚、リフレッシュローラ156は、定着ローラ151の表面の移動方向と同一方向に相対速度を持たせても、逆方向に相対速度差を持たせてもよい。
リフレッシュローラ156は、リフレッシュローラ接離機構325により定着ローラ151に当接されている状態でリフレッシュローラのモータ324により回転駆動されることで、定着ローラ151の周面を摺擦する。CPU301はリフレッシュローラ接離機構325とリフレッシュローラのモータ324を制御し、リフレッシュローラ156に定着ローラ151を摺擦させ、定着ローラ151の周面を均一な表面状態に近づける定着リフレッシュ動作を実行させる。
(5.記録材の端部による光沢ムラについて)
ここで、定着リフレッシュ動作が必要な理由について説明する。
定着ローラ151は外径68mmのアルミニウムからなる基層の周囲にゴム硬度20°(JIS−A1kg加重)の厚さ約1.0mmのシリコンゴムの弾性層を配置している。弾性層の表面は厚さ30μmのフッ素樹脂チューブからなる離型層により被覆されている。
そして、画像形成装置100において画像形成する際に、第一定着器150は定着ローラ151と、加圧ベルト152の間にニップ部を形成する。
本実施例のように、オイルレス定着方式において溶融性が高いトナーを使用する場合、定着ローラ151の表面状態が記録材102上のトナー層の表面に反映されやすい。すなわち、定着処理により定着ローラ151の表面の細かい凹凸の影響が出力画像の表面状態に現れやすくなるのである。このような性質を定着画像の写像性と呼ぶ。トナーの溶融性が向上して写像性が高まると、光沢度が高くて高画質の画像を形成するために、定着ローラ151の表面状態を維持することが重要になる。
図4は定着部が記録材をニップして搬送する状態を説明する図である。
図5は、記録材の端部による光沢ムラを説明する図である。
初期状態の定着ローラ151は、全体が一様な鏡面状態である。ここで、周面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、0.1μm〜0.3μm程度であった。以下、表面粗さRzは、(株)小坂研究所の表面粗さ測定器SE−3400を使用して測定した十点平均粗さ(JIS規格に準拠)である。測定条件は、送り速さ:0.5mm/sec、カットオフ:0.8mm、測定長さ:2.5mmである。
第一定着器150において、記録材102の定着処理が累積すると、記録材102の端部との接触や、紙粉、オフセットトナーなどよって定着ローラ151の表面状態が変化して、定着ローラ151の表面が徐々に粗れてくる。定着ローラ151の回転軸の方向において一定の位置を記録材102が繰り返し通過することで、定着ローラ151の(I)非通過部、(II)通過部、(III)境界領域における定着ローラ151の表面の粗れ方が異なってくる。
ここで、記録材102の端部とは、記録材102の搬送方向に垂直な方向の端部のことであり、以下、エッジ部と称する。
(I)非通過部は、記録材102が通過しない領域であり、記録材102に接触することがない。(I)非通過部では、定着ローラ151の表面が専ら加圧ベルト152の表面に当接する。
(II)通過部では、記録材102が通過する領域であり、記録材102が接触する。(II)通過部では、記録材102の繊維、記録材102の填料、トナーと共に記録材102上に存在する現像剤の外添剤等が接触して定着ローラ151の表面が徐々に均される。
(III)境界領域は、通過部と非通過部の境界に位置して記録材102のエッジ部に繰り返し接触するため、(II)通過部よりも表面粗さが粗くなる。
未定着のトナー像を記録材102に定着させる過程で、定着ローラ151の微小な表面形状が定着処理された定着画像の表面に転写される。
図5に示すように、定着ローラ151の(II)通過部と(III)境界領域とで表面状態が異なると、それに対応して定着画像の表面に表面状態の差が生じ、定着画像に光沢ムラ(グロスムラ)が生じる。また、(III)境界領域の幅は、1〜2mm程度で狭いため、(I)非通過部と(II)通過部の間で生じる光沢差は、広い領域での光沢ムラ(グロスムラ)として印象が大きい。
さらに、定着画像の光沢ムラは、記録材102の紙種にも依存する。例えば、普通紙では視認できないレベルの光沢ムラであっても、表面性の平滑性が高く高画質を要求される高光沢のグロスコート紙上の定着画像では光沢ムラが目立って顕著になる。グロスコート紙上の定着画像では、定着ローラ151の(III)境界領域(他の領域より粗い)に対応する位置に低光沢のスジとなって目立つとともに、(I)非通過部と(II)通過部の間で生じる光沢差も目立つ。よって全体として定着画像の光沢ムラが顕著になる。
このように、(I)非通過部と(II)通過部とで定着ローラ151の表面の粗さが異なってくることで、定着画像上に光沢度の差が生じる。特に、(III)境界領域は粗くなりやすく、(I)非通過部と(II)通過部の両方に対して光沢度の差を生じる。
尚、第一定着器150を例に説明したが、第二定着器170においても同様であるので、説明を省略する。
(6.定着リフレッシュ動作)
上述したように、記録材102が繰り返しニップ部を通過すると、定着ローラ151の長手方向(回転軸の方向)で表面状態の不均一が生じ、光沢ムラに繋がる恐れがある。
そこで、画像形成装置100では、所定の枚数の記録材102が第一定着器150に搬送された後、定着ローラ151の表面状態を改善させるための定着リフレッシュ動作を実行させる。以下では、第一定着器150を例に説明するが、第二定着器170においても同様であるので、説明を省略する。
リフレッシュローラ156は、定着リフレッシュ動作において定着ローラ151に摺擦する。これによって定着ローラ151の長手方向の表面粗さを均すことにより、定着ローラ151の表面状態を改善させる。
リフレッシュローラ156は、記録材102の通過によって粗された定着ローラ151の表面と比較的粗されていない定着ローラ151の表面の両方に対して細かい摺擦傷を多数つけて所望のレベルまで粗す。つまり、リフレッシュローラ156は定着ローラ151全体の表面状態の差を小さくする。
これにより、エッジ部((III)境界領域)に対応する画像上の位置の低光沢のスジや、(I)非通過部と(II)通過部の光沢差を解消する。つまり、定着ローラ151の表面状態を良化(改善)することができる。リフレッシュローラ156が付ける傷を細かい多数の摺擦傷とすることで、リフレッシュローラ156が定着ローラ151上に付けた傷は画像上では視認困難となる。つまり、定着ローラ151の表面に付いていた記録材102の端部による傷にリフレッシュローラ156による細かい摺擦傷を重畳させることによって、定着ローラ151上の記録材102の端部による傷を記録材102上では視認困難となるようにする。
リフレッシュローラ156による摺擦の目的は、定着ローラ151の表面に細かい摺擦傷を付けることであり、定着ローラ151の表面を削り取って新しい面を出すことではない。リフレッシュローラ156は、定着ローラ151の表面を実質的に削り取らずに、摺擦傷を付ける。リフレッシュローラ156による摺擦は、定着ローラ151を研磨するレベルではなく、定着ローラ151の表面の凹凸状態を初期の状態に戻す型押し程度のレベルである。
(6.1.記録材のカウント方法)
本実施例では、記録材102が第一定着器150に搬送された枚数を定着リフレッシュ動作を実行させる基準とする。具体的には、所定の枚数を500枚とし、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数(以下では、搬送枚数と称する。)が、500枚を超えた後、定着リフレッシュ動作を実行させる。
本例では、計数部(カウンター)として機能するCPU301がセンサ155の信号を基にRAM302上で搬送枚数をカウントする。
検知部としてのセンサ155は、第一定着器150に設けられたセンサであり、第一定着器150のニップ部に対して搬送方向上流側に設けられている。センサ155は、第一定着器150に記録材102が搬送されたことを検知するためのセンサであり、例えば光学センサが用いられる。CPU301は、センサ155が記録材102の通過により出力する信号を受け取ることで第一定着器150に記録材102が搬送されたことを検知する。
CPU301は、記録材102が第一定着器150に搬送されたことを検知する度に、RAM302上の値(カウント値)をカウントアップさせることで、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数を管理する。
そしてCPU301は、カウント値が所定の枚数を示す値(例えば、500)を超えた後に、定着リフレッシュ動作を実行させる。
尚、第一定着器150に搬送される記録材102の枚数のカウント方法はこれに限らない。
例えば、操作部180が受け付けた印刷ジョブにおいて指示された印刷枚数を基に第一定着器150に搬送される記録材102の枚数をカウントしてもよい。例えば指示された印刷ジョブが30枚であった場合、CPU301は30枚の記録材102を順次第一定着器150へと搬送する。これに併せて、CPU301は、RAM302上のカウント値を順次カウントアップ(合計30枚分)させる。
(6.2.定着リフレッシュ動作)
所定の枚数の記録材102が第一定着器150に搬送された後に行われる定着リフレッシュ動作についてより具体的に説明する。
定着リフレッシュ動作において、CPU301は、リフレッシュローラのモータ324を制御してリフレッシュローラ156を回転駆動させる。このとき、CPU301は、リフレッシュローラ接離機構325を制御し、リフレッシュローラ156を定着ローラ151に当接させた状態とする。これにより、リフレッシュローラ156は定着ローラ151の表面を摺擦する。
CPU301は、リフレッシュローラ156による定着ローラ151の摺擦を所定の時間実行させたら、リフレッシュローラ156を定着ローラ151から離間させる。
ここで、リフレッシュローラ156が摺擦処理する時間(本実施例では30秒)は画像形成装置100に内蔵されたタイマー307が計測する。尚、巻き取り時間の計測は、画像形成装置100に時計を設け、CPU301が時計の出力する時刻を基にカウントする構成としてもよい。
所定の時間が経過したら、CPU301は、リフレッシュローラ156を定着ローラ151から離間させ、リフレッシュローラの駆動を停止させる。これにより、定着リフレッシュ動作を終了する。
(7.定着リフレッシュ動作の効果)
定着リフレッシュ動作において、リフレッシュローラ156は、定着ローラ151の表面粗さRz(10点平均粗さ)が0.5μm以上2.0μm以下となるような無数の摺擦傷(方向性のある細い凹部)を、定着ローラ151の回転方向に沿って形成する。リフレッシュローラ156は、幅が10μm以下の摺擦傷(凹部)を、定着ローラ151の回転軸線方向に沿った100μmあたり10本以上の密度で形成する。
リフレッシュローラ156により定着ローラ151の周面全体に細かい多数の摺擦傷が形成されると、(I)非通過部と(II)通過部と(III)境界領域との間の表面状態の差が低減され、定着ローラ151上の表面状態の不均一が目立たなくなる。
これにより、定着ローラ151の表面状態が転写された定着画像上の光沢差が視認できないレベルに低下し、定着ローラ151上に形成された記録材102のエッジ部による傷の影響も画像上で視認困難となる。また、定着画像の(III)境界領域に対応する位置の低光沢のスジがほぼ解消され、定着画像の(I)非通過部と(II)通過部の間で生じていた光沢ムラも目立たなくなる。
具体的には、表面を摺擦した定着ローラ151で定着処理を行った記録材102の画像上(記録材102上のトナー部)の表面粗さRz(10点平均粗さ)は、0.5μm以下程度であり、この程度であればグロス差として視認困難であった。又、摺擦傷の密度に対しては、疎らに数本あるとスジとして視認可能となり易いが、密(高周波)にスジがあることで光沢差としては視認困難となる。
尚、定着ローラ151上の表面状態を回復させるのに適したリフレッシュローラ156の摺擦時間(本実施例では30秒)は予め設定されている(ROM303に格納されている)。また、定着リフレッシュ動作を実行させるための基準となる所定の枚数(本実施例では500枚)も予め設定されている(ROM303に格納されている)。これらの時間や枚数の値は、上述の例に限らず、装置の構成に応じて適宜設定すればよい。
(8.スタンバイモード)
スタンバイモードとは、画像形成装置100が画像形成を開始することが可能な状態であって、操作者からの印刷命令(印刷ジョブ)を待っている状態の期間を指す。受付部としての操作部180は、画像形成に用いる記録材102の種類(表面性、坪量、サイズ等)の設定や、印刷する部数の設定や、片面印刷/両面印刷の設定などの内容を含む印刷ジョブを受け付ける。
画像形成装置100の電源スイッチ101がオンされると、画像形成装置100は第一定着器150と第二定着器170、画像形成部309などのそれぞれの部分の画像形成を開始するための準備動作(立上げ動作)を行う。画像形成装置100が画像形成を開始できる状態となっても(すなわち、立上げ動作が完了しても)開始すべき印刷ジョブがない場合や、印刷ジョブの実行終了後などにスタンバイモードへと移行する。
画像形成装置100が画像形成を開始することが可能な状態となったことに伴い、CPU301は、操作部(報知部)180に「印刷できます」などの表示を行う。
本実施例では、スタンバイモードとなっているとき、印刷ジョブを受け付けてからすぐに印刷が開始できるように、第一定着器150と第二定着器170での温調(例えば定着ローラ151や加圧ベルト152の温調)を継続させている。
尚、画像形成装置100が画像形成を開始できる状態にする立上げ動作中に印刷予約が入った場合は、スタンバイモードに移行させることなく予約された印刷ジョブの処理(画像形成処理)を直ちに開始させる。
また、例えば印刷ジョブの実行途中にジャムが発生すると、画像形成装置100は動作を停止し印刷ジョブを中断する。この場合、ジャムの解消後に画像形成装置100が画像形成を開始できる状態にする立上げ動作が実行される。このように中断したジョブを再開させる場合、スタンバイモードには移行せず、立上げ動作が完了したことに伴い中断したジョブを再開する。
(9.定着器の載せ替えシステム)
定着器の載せ替えシステムについて説明する。
画像形成装置100は、複数の種類やサイズの記録材102に印刷が可能である。本実施例の画像形成装置100では、より高品質な成果物を得るために、画像形成可能な記録材102のうち定着する記録材102の種類や、操作者の好みに応じて使用目的の異なる定着器を入れ替えて使用することができる。
例えば、記録材102として封筒を使用する場合とそれ以外の場合とで、使用する定着器を変える場合である。記録材102として封筒を使用するときには封筒専用の定着器を用いる。封筒は袋状に綴じられていることから、定着処理時に与える圧により皺が発生しやすい。そのため、定着ローラ151と加圧ベルト152間の圧力(以下、ニップ圧とも呼ぶ)を封筒に合わせて調整された封筒専用の定着器を用いることが望ましい。
尚、第一定着器150を例に説明したが、第二定着器170においても同様である。
このように、本実施例の画像形成装置100ならば、操作者は、自身が印刷したい記録材102の種類や好みに応じた定着器に入れ替えて使用することが可能である。
定着器を入れ替える場合、操作者は前扉140を開けて、既に画像形成装置100に装着されている定着器を取り出す。そして操作者は取り出した定着器とは別の定着器を画像形成装置100に装着して、前扉140を閉じる。本実施例では、以上のように載せ替えることができる定着器は、第一定着器150、第二定着器170の双方となっている。
(10.定着器の識別部と本体メモリ)
第一定着器150に識別部としての抵抗体154を設けており、第二定着器170に識別部としての抵抗体174を設けている。
また、画像形成装置100に装着された状態にある第一定着器150と第二定着器170だけでなく、載せ替え用の定着器として画像形成装置100外に用意されている定着器にも同様に識別部としての抵抗体が設けられている。
これらの抵抗体(第一定着器150、第二定着器170、載せ替え用の定着器に設けられている抵抗体)は、識別情報を示すために互いに異なる抵抗値のものが用いられており、互いを識別するための識別部として機能する。
さらに、画像形成装置100に記憶部としての本体メモリ312を設けている。本体メモリ312は、EEPROM、フラッシュメモリなどに代表される書き換え可能な不揮発性のメモリである。尚、書き換え可能であって不揮発性であれば、RAM302と一体としてもよい。
以下では、第一定着器150を例に説明するが、第二定着器170についても同様であるから説明は省略する。
(10.1.定着器の識別方法)
CPU301は、第一定着器150が画像形成装置100に装着された状態で、抵抗体154に規定電圧を印加した際に抵抗体154に流れる電流値を検出する。具体的には、画像形成装置100は、第一の抵抗検出部310として、抵抗体154に規定電圧を印加する電圧印加部と抵抗体154に流れる電流を計測する電流計とを有している。CPU301はこの電流計の出力をモニタする構成となっている。
オームの法則により規定電圧を印加するとき、抵抗値と電流値は一対一に対応する。CPU301は、電流計の出力を取得することにより、抵抗体154の抵抗値を求めることができる。第一定着器150と載せ替え用の定着器は互いに異なる抵抗値の抵抗体を備えているので、CPU301は、電流計の出力の違いから定着器を識別することができる。すなわち、抵抗値が識別情報を示している。
このように、CPU301が抵抗体154の抵抗値に基づいて第一定着器150を識別することを、以下では「第一定着器150(定着器)のIDを識別する(取得する)」と称して説明する。
尚、第二の抵抗検出部311の構成は第一の抵抗検出部310と同様であるから、説明を省略する。また、第二定着器170においても同様であるから、説明を省略する。
尚、CPU301は、電流計の出力を取得することにより、抵抗体154の抵抗値を求めず、抵抗体154の抵抗値ごとに異なる電流計の出力値を識別情報として取得してもよい。すなわち、CPU301は定着器のIDとして電流計の出力値を本体メモリ312に記録する構成としてもよい。
また、本実施例では識別部として抵抗体を用いる構成としたが、定着器を載せ替え用の他の定着器と識別する方法はこれに限らない。例えば、定着器(第一定着器150、第二定着器170、載せ替え用の定着器)に設ける識別部として、複数のスイッチを備えるディップスイッチを用いる構成としてもよい。この場合、識別情報として、定着器ごとに異なるスイッチが予めONされた状態となっている(定着器ごとにON状態のスイッチの位置の組み合わせが異なる)。CPU301と画像形成装置100に装着されている定着器のディップスイッチは接続されており、ON状態のスイッチはCPU301からの入力信号に応答してCPU301へ信号を出力する。CPU301はON状態のスイッチからの信号を検出する(定着器のIDを取得する)ことにより、定着器を識別する。例えば、CPU301は1番と2番のスイッチに信号を入力させたとき、1番のスイッチの出力信号を検出した場合は定着器A、2番のスイッチの出力信号を検出した場合は定着器B、1番と2番のスイッチの両方の出力信号を検出した場合は定着器Cと判定する。
また、定着器を載せ替え用の他の定着器と識別する方法として、例えば、定着器(第一定着器150、第二定着器170、載せ替え用の定着器)に設ける識別部として、定着器の識別名(識別情報)を記憶するメモリを用いる構成としてもよい。この場合、メモリは、EEPROM、フラッシュメモリなどに代表される書き換え可能な不揮発性のメモリである。CPU301と画像形成装置100に装着されている定着器のメモリは接続されており、CPU301は、メモリに記憶されている定着器の識別名を読み出す(定着器のIDを取得する)ことにより定着器を識別する。
(10.2.定着器の識別部を設けた理由)
ここで、第一定着器150と第二定着器170を含む定着器群に抵抗体(識別部)を設けた理由は、以下の問題を解決するためである。つまり、第一定着器150及び/又は第二定着器170が画像形成装置100から一旦取り出されてしまい、さらにこの取り出された定着器が画像形成装置100に再度装着された場合に生じる問題を解決するためである。以下では第一定着器150を例に説明する。第二定着器170においても同様であるので、説明を省略する。
具体的には、以下のようなシチュエーションが想定される。載せ替え対象が第一定着器150のケースである。
たとえば、第一定着器150として用いられる定着器は、記録材102が500枚搬送された後に(搬送枚数が500枚となった後に)、定着リフレッシュ動作を行うとする。つまり、所定の枚数が500枚である。第一定着器150として封筒専用ではない定着器Aが装着されている場合において、450枚の印刷ジョブ(例えば、A4サイズの普通紙への画像形成。縦送り。)が行われたとする。その後、封筒の印刷が必要になった場合、封筒専用の定着器Bへ入れ替えるために、定着器Aを画像形成装置100から取り出す。操作者は、第一定着器150として定着器Bが装着されている状態で、50枚の印刷ジョブを実行する。
従来、CPUは第一定着器への記録材の搬送枚数を画像形成装置の本体に設けられたカウンターで管理することで、搬送枚数が所定の枚数を超えた後に定着リフレッシュ動作を実行させている。つまり、CPUは、第一定着器として装着されている定着器が定着器Aか定着器Bかに拘わらず、搬送枚数が所定の枚数を超えた後に定着リフレッシュ動作を実行させている。したがって、定着器Aから定着器Bに入れ替えられた場合、CPUは、載せ替え後の定着器Bが50枚の印刷ジョブを終えたタイミングで、第一定着器への搬送枚数が500枚になったと判定し、定着器Bにだけ定着リフレッシュ動作を実行させることになる。つまり、CPUは500枚の記録材が搬送された後の定着リフレッシュ動作を終えたと判定してしまうことになる。
後日、封筒以外の記録材(例えば、普通紙)の印刷をしようとする場合、操作者は再度定着器Aを装着することになる。操作者は、50枚の印刷ジョブ(A4サイズの普通紙への画像形成。縦送り。)を実行させたとする。
定着器Aは前回既に450枚の記録材が搬送されているから、50枚の印刷ジョブを終えた定着ローラは、長手方向で表面状態の不均一が生じている状態となる。この状態で次の印刷ジョブ(例えば、A3サイズの普通紙への画像形成)が行われてしまうと、出力された画像に光沢ムラが生じ、画像品質が大きく低下しまうことになる。
そのため、本実施例では抵抗体154を第一定着器150に設けているのである。例えば、先ほどのシチュエーションの場合、定着器Aに抵抗値R1の抵抗体を設け、定着器Bには抵抗値R2(R1とは異なる)の抵抗体を設けておく。
CPU301は、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数を示す情報(枚数情報)を識別した定着器のID(定着器の識別情報)と対応付けて本体メモリ312に保持させるようにしている。ここで、図10は本体メモリが保持している情報の一例を示す図である。
(10.3.本体メモリの情報に基づくカウント)
計数部としてのCPU301は、本体メモリ312が記憶する第一定着器150のIDに対応する情報に基づいて第一定着器150に搬送された記録材102の枚数(搬送枚数)をカウントする。
CPU301は、本体メモリ312が記憶する第一定着器150のIDに対応する枚数情報に基づいて搬送枚数をカウントすることによって、より正確な枚数の情報に基づいて第一定着器150に定着リフレッシュ動作を実行させることができる。出力される記録材102の画質が悪化することを抑制することができる。
本実施例の構成を具体的に説明する。
まず、操作者により第一定着器150が再装着されたことに伴い、CPU301は第一定着器150から定着器のIDを取得する。第一定着器150の装着については、後述する。CPU301は、第一定着器150から取得した定着器のIDに対応する搬送枚数の情報(枚数情報)を、本体メモリ312から取得する。
次に、本体メモリ312から取得した情報が所定の枚数を超えている場合には、CPU301がリフレッシュ動作を実行させるようにする。本体メモリ312から取得した情報が所定の枚数を超えていない場合には、CPU301は、RAM302上で本体メモリ312が記憶している搬送枚数の続きから第一定着器150に搬送される記録材102の枚数(搬送枚数)をカウントする。例えば、本体メモリ312から取得した情報が30枚だった場合、CPU301は、記録材102が第一定着器150に搬送される度にRAM302上で31、32、33、・・・とカウントする。RAM302上のカウント値が所定の枚数を超えたら、CPU301は定着リフレッシュ動作を実行させる。尚、本実施例では、上述したように、記録材102が第一定着器150に搬送されたことは、センサ155が検知する。定着リフレッシュ動作を実行したら、CPU301はRAM302上のカウント値をリセットする。
尚、1枚あたりのカウント数は、記録材102の搬送方向の長さに応じて重みづけする構成としてもよい。すなわち、定着リフレッシュ動作を実行させるための基準として、本体メモリ312に保持させたりRAM302上でカウントしたりする値は、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数(搬送枚数)に相当する値であればよい。この場合、記録材102の主走査長さの情報と同様に、記録材102の搬送方向の長さの情報は、CPU301が受け付けた印刷ジョブの内容から取得される。重みづけの度合いは、CPU301が取得できるよう、予めROM303に格納しておく。
尚、本体メモリ312の情報に基づいて搬送枚数をカウントする方法はこれに限らない。例えば、CPU301は、第一定着器150内に記録材102が搬送される度に本体メモリ312の搬送枚数の情報を更新・記録することにより、第一定着器150内に搬送された記録材102の枚数をカウントする構成としてもよい。この場合、CPU301が更新・記録する本体メモリ312の搬送枚数の情報は、画像形成装置100に装着されている第一定着器150のIDに対応付けられた情報である。CPU301は、本体メモリ312が記憶する搬送枚数の情報を基にカウントする。従って、この場合も、計数部としてのCPU301は、装着された第一定着器150のIDに対応する本体メモリ312の情報に基づいて第一定着器150に搬送された記録材102の枚数(搬送枚数)をカウントすることになる。
また例えば、CPU301は、本体メモリ312から取得する搬送枚数と合わせて所定の枚数となるように搬送枚数をカウントする構成としてもよい。具体的には、本体メモリ312から取得した情報が30枚だった場合、CPU301は、記録材102が第一定着器150に搬送される度にRAM302上で1、2、3、・・・とカウントする。所定の枚数が500枚だった場合、CPU301はRAM302上のカウント値が470になったことに応じて、搬送枚数が所定の枚数を超えたと判定する。
尚、定着リフレッシュ動作を実行させるための基準は、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数の情報でなくてもよい。例えば、第一定着器150に搬送される記録材102の搬送方向の長さを合計した値でもよい。この場合、本体メモリ312には第一定着器150に搬送された記録材102の搬送方向の長さを合計した値を、第一定着器150のIDと対応付けて保持させる。CPU301は、本体メモリ312から取得した値に、第一定着器150に搬送した記録材102の搬送方向の長さの値を足す(カウントする)。この値が所定の長さを超えたら、CPU301は、定着リフレッシュ動作を実行させる。
また、例えば定着リフレッシュ動作を実行させるための基準として、定着ローラ151が定着処理していた時間を計測し、本体メモリ312に第一定着器150のIDと対応付けて保持させる構成としてもよい。この場合、定着リフレッシュ動作を実行させる基準も時間(例えば4000秒)となる。例えば、定着ローラ151と加圧ベルト152が当接している時間をタイマー(計時部)307が計測する。具体的には、CPU301は、本体メモリ312から取得した定着処理していた時間をタイマー307の初期値としてセットする。タイマー307は、セットされた初期値の続きから定着ローラ151と加圧ベルト152が当接している時間を計測する。そしてタイマー307の値が所定の時間を超えたら、CPU301は、定着リフレッシュ動作を実行させる。尚、タイマー307の初期値をゼロとし、CPU301が、タイマー307の計測した時間と本体メモリ312の記憶する時間とを足すことで、定着ローラ151が定着処理していた時間を計測する構成としてもよい。
また、尚、本体メモリ312が保持する情報として、搬送枚数の情報がゼロ(データなし)の場合も、CPU301は、搬送枚数の情報を記憶しているものと判定する。
また、本体メモリ312は、定着器のIDや、搬送枚数以外の情報を記憶していてもよい。例えば、封筒用やA4サイズ用などの第一定着器150の用途、種類を示す情報を記憶していてもよい。また、例えば、第一装着部141と第二装着部142で装着できる定着器が異なる場合には、第一装着部141に装着される定着器についての情報か、第二装着部142に装着される定着器の情報かを区別する情報を併せて記憶していてもよい。
また、本体メモリ312は、複数の定着器についての情報を記憶していてもよい。
(10.4.定着器の装着)
ここで、第一定着器150が装着される場合について説明する。
第一定着器150が載せ替えられる場合、操作者は前扉140を開けて、既に装着されている第一定着器150を画像形成装置100から外側へ引き出し、定着器を載せ替える。そして、第一定着器150を引き出し時とは逆方向へ移動させて画像形成装置100の内部にセットし、前扉140を閉じる。
CPU301は、開閉センサ305からの信号により、前扉140が閉じられたことを検知する。CPU301は前扉140が閉じられたことを検知したことに伴い、画像形成装置100と第一定着器150との間の導通状態を確認することにより、第一定着器150が画像形成装置100に装着されていることを確認する。
また、電源スイッチ101がオフされた状態で載せ替えられた場合、開閉センサ305は前扉140が閉じられたことを検知できない。そのため、CPU301は電源スイッチ101がオンされたことに伴い、画像形成装置100と第一定着器150との間の導通状態を確認することにより、第一定着器150が画像形成装置100に装着されていることを確認する。
具体的には、画像形成装置100に電流計を設け、CPU301が電流計の出力をモニタすることにより電流が流れていることを検知する構成である。第一定着器150が画像形成装置100に装着されると、電流計と第一定着器150は電気的に接続される。これにより電流計は、第一定着器150に規定電圧を印加した際に第一定着器150に流れる電流を検知できる。第一定着器150に規定電圧を印加した際に電流計に電流が流れれば、すなわち画像形成装置100と第一定着器150とが導通状態であるから、CPU301は第一定着器150が装着されていると判定する。一方、第一定着器150に規定電圧を印加しても電流計に電流が流れなければ、すなわち画像形成装置100と第一定着器150とが非導通状態であるから、CPU301は第一定着器150が装着されていないと判定する。尚、電流計による電流の計測は、後述する抵抗体154の抵抗値の検出を兼ねる構成であってもよい。
尚、第一定着器150が装着されているか否かの判定(確認)方法はこれに限らない。
例えば、CPU301からの入力信号に応じて信号を出力する信号出力部(例えば、メモリやCPUなど)を第一定着器150に設ける。CPU301は、前扉140が閉じられたことを検知したことに伴い、この信号出力部へ信号を入力する。CPU301は、信号出力部への信号の入力に伴って出力される信号を検出することにより第一定着器150が装着されていることを確認する方法でも良い。CPU301は、信号出力部への信号の入力に伴って出力される信号を検出できなければ第一定着器150が装着されていないと判定する。
(10.4.幅サイズ毎のカウント)
さらに、本実施例では、搬送枚数を、記録材102の搬送方向に垂直な方向の記録材102の長さ毎に記憶させる。図10は、記録材102の主走査長さ5mm毎に搬送枚数を記憶している例である。ここで、記録材102の搬送方向に垂直な方向の記録材102の長さを、主走査長さ(あるいは、幅サイズ)と称する。
上述したように、(III)境界領域の粗い領域は、記録材102のエッジ部が定着ローラ151の回転軸の方向において一定の位置を繰り返し接触することで生じる。つまり、主走査長さが同じ記録材102の搬送枚数が多くなることにより生じる。
また、定着リフレッシュ動作において、定着ローラ151は長手全体((I)非通過部、(II)通過部、(III)境界領域)の表面状態が均される。他の主走査長さの記録材102のエッジ部による定着ローラ151の表面状態の不均一も併せて均される。
そこで、本実施例では、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数を、記録材102の主走査長さ5mm毎に本体メモリ312に記憶させているのである。いずれかの主走査長さの記録材102の搬送枚数が所定の枚数(本例では500枚)を超えた後、CPU301は定着リフレッシュ動作を実行させる。その後、全ての主走査長さの搬送枚数のカウントをゼロにする。再び、いずれかの主走査長さの記録材102の搬送枚数が所定の枚数(本例では500枚)を超えた場合、CPU301は、定着リフレッシュ動作を実行させる。
ここで、記録材102の主走査長さの情報は、CPU301が受け付けた印刷ジョブの内容から取得される。操作部180は、操作者から印刷ジョブを受け付ける際に、その内容の1つとして画像形成する記録材102のサイズ(例えば、A3など。)の指示も受け付ける。
これにより、出力される画像の光沢ムラを抑制するとともに、記録材102の主走査長さに関係なく定着リフレッシュ動作を実施する場合と比較して定着リフレッシュ動作の頻度を減らすことができる。
(11.制御フロー)
本実施例では、CPU301は、第一定着器150に搬送された記録材102の搬送枚数をRAM302上で主走査長さ毎(幅サイズ毎)にカウントし、本体メモリ312に記憶させる。印刷中にいずれかの主走査長さの記録材102の搬送枚数のカウント値が所定値を超えた場合、印刷ジョブの実行(画像形成処理)を終えてから定着リフレッシュ動作を実行させ、その後スタンバイモードへ移行する。つまり、画像形成処理の終了時のカウント値が所定値を超えた場合、印刷ジョブを終えてから定着リフレッシュ動作を実行させる。また、CPU301は、電源オン時や、前扉140が閉じられた場合に抵抗体154から第一定着器150のIDを取得する。CPU301は、本体メモリ312が保持する搬送枚数の情報のうち、第一定着器150のIDに対応する搬送枚数のカウント値がいずれかの主走査長さ毎のカウント値において所定値を超えていた場合、定着リフレッシュ動作を実行させる。その後、スタンバイモードに移行する。
以上を、図6〜図9のフローチャートを用いてより詳細に説明する。
尚、これらのフローチャートは、実行部(記録部)として機能するCPU301が、ROM303に記憶された制御プログラムに基づいて画像形成装置100の各種機構の動作を制御することにより行われる。また、第一定着器150を例に説明するが、第二定着器170においても同様である。
(11.1.電源オン時及び前扉クローズ時のシークエンス)
図6は電源スイッチがオンされてからスタンバイモードとなるまでのフローチャートである。
操作者により電源スイッチ101がオンされることに伴い、CPU301は起動する。CPU301は第一定着器150が画像形成装置100に装着されているかを判別する(S101)。第一定着器150が装着されていると、CPU301は定着器のIDを取得できるようになる。第一定着器150が装着されていない場合はS101へ戻る。この場合、CPU301は操作部180に第一定着器150の挿入を促すメッセージを表示してもよい。第一定着器150が画像形成装置100に装着されていたら、S102へ移行する。
CPU301は第一定着器150に図8のリフレッシュシークエンスを行わせる(S102)。詳細は後述する。
S103において、CPU301は、画像形成装置100が画像形成を開始できる状態となるまで待機する。CPU301は、電源スイッチ101がオンされてから第一定着器150や画像形成部309などの各機構に画像形成の開始するための準備動作(立上げ)を実行させている。例えば、定着ローラ151の温調もその一つである。
これらの立上げが完了して画像形成装置100が画像形成を開始できる状態となったら(S103 Yes)、CPU301は操作部180に「印刷できます」などの表示を行う(S104)。これにより、画像形成装置100が画像形成を開始できることを操作者に知らせる。そしてスタンバイモードへ移行する。
図7は前扉が開いている状態からスタンバイモードとなるまでのフローチャートである。
前扉140の開閉状態は、CPU301が前扉140の開閉センサ305からの信号を基に検知する。前扉140が開いている場合、CPU301は前扉140が閉状態となるのを待つ(S201)。また、前扉140が開いている場合、CPU301は操作部180に前扉140を閉めるように促す表示をしてもよい。CPU301は前扉140が閉じられたことを検知したら(S201)、S202へ移行する。S202〜S205は、図6のS101〜S104と同じなので説明は省略する。S205の後、スタンバイモードへ移行する。
(11.2.リフレッシュシークエンス)
図8は、リフレッシュシークエンスのフローチャートである。図8のフローチャートは、S102、S203、後述するS409のリフレッシュシークエンスの詳細を示している。
まず、CPU301は画像形成装置100に装着されている第一定着器150のIDを取得し、定着器を識別する(S301)。具体的なIDの取得方法は上述した通りであるから、説明は省略する。
CPU301は、本体メモリ312が保持する情報のうち、S301で取得した定着器のIDに対応する搬送枚数の情報を基にS302の判定を行う。本体メモリ312には、例えば、図10に示すような、記録材の主走査幅方向の長さ5mm毎の搬送枚数を示す情報が保持されている。
CPU301は、定着器のIDに対応する搬送枚数の情報が、全ての主走査長さの記録材102の搬送枚数(本体メモリ312上のカウント値)について所定の枚数(所定値)(本例では500枚)以下である場合、S303に移行する(S302)。
CPU301は、カウンターの値として定着器のIDについての主走査長さ毎の搬送枚数の値(本体メモリ312が記憶している値)をRAM302上に主走査長さ毎にセットする(S303)。
一方、S302において、CPU301は、定着器のIDに対応する主走査長さ毎の搬送枚数の情報のうちいずれかの主走査長さの記録材102の搬送枚数の値(カウント値)が所定値(本例では500枚)を超えている場合、S304に移行する。
S304においてCPU301は、上述した定着リフレッシュ動作を実行する。これにより、定着ローラ151の表面が摺擦され、表面状態の不均一が均される。
定着リフレッシュ動作が完了したら、CPU301はカウンターの値として、それぞれの主走査長さについてカウント値をゼロとしてセットする。すなわちカRAM302上の値をリセットする(S305)。
CPU301は、搬送枚数の情報として全ての主走査長さ毎の搬送枚数がゼロであることを、定着器のIDと対応させて本体メモリ312に記録する。(S306)。具体的には、S305でセットしたRAM302上の値をそれぞれ主走査長さの情報及び定着器のIDと対応させて本体メモリ312にコピーする。全ての主走査長さ毎の搬送枚数をゼロとして記録することにより、定着リフレッシュ動作の実行後に再びいずれかの主走査長さの搬送枚数が所定値(本例では500)を超えた場合にも、CPU301は、定着リフレッシュ動作を実行させることができる。つまり、CPU301は、定着リフレッシュ動作を実行させたことに伴い本体メモリ312上の第一定着器150のIDに対応付けられた全ての主走査長さ毎の搬送枚数をゼロとして記録する。これにより、本体メモリ312に定着リフレッシュ動作が実行されたことを示す情報を第一定着器150のIDと対応付けて記録していることになる。このようにして、いずれかの主走査長さの記録材102の搬送枚数が所定枚数を超える毎に、定着リフレッシュ動作は繰り返し実行される。
また、S306における本体メモリ312への枚数の情報の書き込みは、スタンバイモードの状態で、CPU301が開閉センサ305からの信号を基に前扉140の開放を検知することに伴って記録するようにしてもよい。さらに、S306における本体メモリ312への枚数の情報の書き込みは、電源スイッチ101がオフされることに伴って記録するようにしてもよい。第一定着器150の交換には、前扉140の開放を伴うためである。
(11.3.記録材のカウントについてのシークエンス)
図9は、記録材のカウントに関するフローチャートである。具体的には、画像形成装置100の印刷ジョブ実行時のフローチャートを示している。
画像形成装置100が印刷できる状態であるスタンバイモードにおいて、操作部180や、外部I/F部304を介して外部のPC等から印刷ジョブを受け付けるまで待機する(S401)。このとき、画像形成装置100は、操作部180や外部のPCの表示画面に、印刷する記録材102の種類を選択するための選択画面を表示し、印刷ジョブの内容として、操作者から印刷する記録材102の種類の指示も受け付ける。
印刷ジョブを受信すると(S401 Yes)、CPU301はステーション120〜123や第一定着器150や第二定着器170などの画像形成装置100の各機構を制御することにより、画像形成装置100による画像形成処理を開始させる。つまり、印刷ジョブを開始させる(S402)。
CPU301は、印刷ジョブが終了していない段階(S403 No)で、記録材102が第一定着器150に搬送されたことを検知したら(S404 Yes)、RAM302上のカウント値をカウントアップさせる。ここで、CPU301は、RAM302上のカウント値のうち、搬送された記録材102の主走査長さに対応するカウント値をカウントする。搬送された記録材102の主走査長さの情報は、S401において、CPU301は印刷ジョブの内容を基に取得している。また、CPU301は、センサ155からの信号により、記録材102が第一定着器150へ搬送されたことを検知する。
一方、S404において記録材102が第一定着器150に搬送されたことが検知されない場合、CPU301は、カウントアップさせずに、S406に移行する。例えば、印刷ジョブが終了していないにも関わらず、センサ155が1枚前の記録材102の通過を検知してから一定時間が経っても次の記録材102の通過を検知できない場合などである。一定時間はタイマー307が計測する。
画像形成装置100内でのジャムの発生を検知しない場合(S406 No)、CPU301はS404、S405の動作を繰り返しながら、印刷ジョブが終了するまで印刷ジョブを続行させる。
CPU301は、画像形成装置100内でのジャムを検知すると(S406)、搬送枚数の情報として、RAM302上のカウント値を第一定着器150のIDと対応付けて主走査長さ毎に本体メモリ312に記録する。(S407)。第一定着器150のIDは、電源オン時や前扉140が閉じられたこと等に伴って行われる図8のリフレッシュシークエンスのS301において既に取得されている。
ここで、CPU301は、センサ群306からの信号により、画像形成装置100内でのジャムを検知する。例えば、記録材102の搬送方向上流側のセンサが記録材102の通過を検出してから所定の時間経っても下流側のセンサが記録材102の通過を検出しない場合、CPU301は、これらの2つのセンサの間で記録材102が滞留していると判定する。ここで、所定の時間はタイマー307が計測する。
画像形成装置100内でジャムが発生した場合、CPU301により印刷ジョブは中断される。このとき、操作者により画像形成装置100の搬送経路内に滞留している記録材102の除去が行われるため、前扉140等が開放される。
CPU301は前扉140が閉状態となるのを待つ(S408)。CPU301は、開閉センサ305からの信号を基に前扉140が閉じられたことを検知したら(S408)、リフレッシュシークエンスを実行させる(S409)。
S409のリフレッシュシークエンスは図8に示すフローに対応している。このリフレッシュシークエンスでは、前述したように、第一定着器150のIDを読み出す(S301)。ここで、第一定着器150のIDの読み出しを実施する理由は、ジャム処理のために前扉140を開けたタイミングで第一定着器150が交換されている可能性がある為である。
S410において、CPU301は、画像形成装置100が画像形成を開始できる状態となるまで待機する。CPU301は、ジャムの解消に伴い画像形成装置100の第一定着器150や画像形成部309などの各機構に画像形成の再開するための準備動作(立上げ)を実行させている。例えば、定着ローラ151の温調もその一つである。
これらの立上げが完了して画像形成装置100が画像形成を再開できる状態となったら(S410 Yes)、CPU301は操作部180に「印刷を再開できます」などの表示を行う(S411)。これにより、画像形成装置100が画像形成を開始できることを操作者に知らせる。その後、S403に戻り、CPU301は中断していた印刷ジョブを再開させ、印刷ジョブが終了するまで印刷ジョブを続行させる。
印刷ジョブが終了したら(S403 Yes)、CPU301はRAM302が示す主走査長さ毎の搬送枚数の値のうちのいずれかが所定値(本例では500枚)を超えているか否かを判定する(S412)。
S412において、CPU301は、RAM302が示すすべての主走査長さ毎の搬送枚数の値が所定値(本例では500枚)以下である場合、S415に移行する。
S412において、CPU301はRAM302が示す主走査長さ毎の搬送枚数の値のうちのいずれかが所定値(本例では500枚)を超えている場合、上述した定着リフレッシュ動作を実行させる(S413)。定着リフレッシュ動作が完了したら、CPU301はRAM302が示すそれぞれの主走査長さについての値をゼロにする。すなわちカウンターの値をリセットする(S414)。
S415において、CPU301は、搬送枚数の情報として、RAM302が示すカウント値を第一定着器150のIDと対応付けて主走査長さ毎に本体メモリ312に記録する。ここで、S414のフローを経た場合、搬送枚数の情報として全ての主走査長さ毎の搬送枚数をゼロとして記録することになる。
CPU301は操作部180に「印刷できます」などの表示を行い、画像形成装置100が画像形成を開始できることを操作者に知らせる(S416)。そしてスタンバイモードへ移行する。
スタンバイモードに移行する前に搬送枚数の情報を本体メモリ312に第一定着器150のIDと対応付けて保持させておく。これにより、スタンバイモード中に第一定着器150が画像形成装置100から取り出された場合でも、より正確な搬送枚数の情報を本体メモリ312で保持しておくことができる。
尚、S407における本体メモリ312への書き込みは、S406におけるジャムの発生箇所が第一定着器150及び/又は第二定着器170(定着部でのジャム)であった場合にのみ実行する構成としてもよい。ジャムの発生後に操作者により前扉140が開放されるのは、定着部でのジャムが生じた場合であることが想定される。定着部でのジャムの場合、操作者は第一定着器150及び/又は第二定着器170に滞留している記録材102を取り除くためである。操作者により第一定着器150が入れ替えられる恐れがあるのは、前扉140が開放された場合である。
この場合、センサ153、155が、ジャム検知部として機能する。例えば光学センサが用いられる。CPU301は、センサ153や155の信号を受け取り、記録材102が第一定着器150に滞留していること(定着部でのジャム)を検知する。例えば、記録材102の搬送方向上流側のセンサ155が記録材102の通過を検出してから所定の時間経っても下流側のセンサ153が記録材102の通過を検出しない場合、CPU301はセンサ155、153間に記録材102が滞留していると判定する。ここで、所定の時間はタイマー307が計測する。
また、S304、S413での定着リフレッシュ動作において、リフレッシュローラ156が摺擦処理する時間は、一律でなくてもよい。すなわち、CPU301は、主走査長さ毎の搬送枚数の情報のうち主走査長さの記録材102の搬送枚数の値(カウント値)が所定値に対して超えている枚数(以下、超え量と称する。)に応じた時間に亘って摺擦処理を実行する。
例えば、S412、S413において、所定値が500枚に対して、カウント値が500枚の場合には30秒間の摺擦処理を、カウント値が600枚の場合には40秒間の摺擦処理を、実行させる。
この場合において、摺擦処理の時間は所定値に対するカウント値の超え量が多くなるにつれて漸次的に長くなるように設定してもよいし、超え量に応じたいくつかの段階的な時間を設定してもよい。所定値に対するカウント値の超え量と、摺擦処理の時間とを対応付けるためのデータ(テーブル、関数等)はROM303に予め記憶させておく。
前述したように、操作者による第一定着器150の交換には、画像形成装置100の前扉140の開閉を伴う。すなわち、操作者によって画像形成装置100の前扉140が開けられた場合には、第一定着器150が交換される可能性がある。また、電源スイッチ101がオフの間にも、第一定着器150が交換されている可能性がある。そのため、画像形成装置100の電源スイッチ101がオンになったことや、前扉140が閉じられたことに伴って、都度、第一定着器150のIDを取得する。そして、本体メモリ312が保持する搬送枚数の情報のうちそのIDに対応する搬送枚数の情報を基にS302の判定をする。これによって、CPU301は、より正確な搬送枚数の情報に基づいて第一定着器150に定着リフレッシュ動作を実行させることができるので、出力される記録材102の画質が悪化することを抑制することができる。
以上の説明において、第一定着器150を例に説明したが、第二定着器170においても同様である。
〔実施例2〕
実施例1では印刷中にいずれかの主走査長さの記録材102の搬送枚数のカウント値が所定値を超えた場合、印刷ジョブを終えてから定着リフレッシュ動作を実行させ、その後スタンバイモードへ移行する。
実施例2では、印刷中に主走査長さの記録材102の搬送枚数のカウント値の合計(総カウント値)が所定値を超えた場合、印刷ジョブの途中で定着リフレッシュ動作を実行させる。
また、実施例1では、主走査長さの記録材102の搬送枚数をRAM302上でカウントし、本体メモリ312に記憶させる。
本実施例2では、搬送枚数を第一定着器150の本体メモリ312上でカウントする。つまり、CPU301はセンサ155の信号を基に第一定着器150に記録材102が搬送されたことを検知する度に、本体メモリ312上の第一定着器150のIDに対応する搬送枚数のカウント値を更新して記録する。このようにして、CPU301は、計数部(カウンター)として機能する。
尚、第二定着器170についても同様である。
尚、その他の構成は実施例1と同様であるので、同じ構成には同符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
以下、第一定着器150を例に説明する。第二定着器170についても同様である。
本体メモリ312には、第一定着器150を搬送した記録材102の枚数を、第一定着器150のIDと対応付けて記録材102の主走査長さ5mm毎に記憶させる。CPU301は、第一定着器150について、主走査長さ毎の記録材102の搬送枚数の合計(総カウント値)が所定の値(本例では500枚)を超えた後、定着リフレッシュ動作を実行させる。その後、第一定着器150のIDに対応付けられた搬送枚数のカウントを全ての主走査長さについてゼロにする。再び、総カウント値が所定の値(本例では500枚)を超えた場合、CPU301は、定着リフレッシュ動作を実行させる。
尚、本体メモリ312上でカウントする値を、主走査長さ毎の搬送枚数とするのではなく、主走査長さに関係なく第一定着器150に搬送された全ての記録材102の枚数としてもよい。
また、印刷ジョブの途中での定着リフレッシュ動作は、印刷ジョブを中断して(つまり、第一定着器150に搬送される記録材102の間隔を広げて)実行するとしてもよいし、印刷を継続しながら(つまり、定着処理をしながら)実行するとしてもよい。ただし、印刷ジョブを中断して(つまり、第一定着器150に搬送される記録材102の間隔を広げて)実行する方が好ましい。この場合、定着リフレッシュ動作に伴いリフレッシュローラ156を定着ローラ151に当接させる時などの振動等により定着処理中のトナー画像が乱れる恐れを低減できるためである。
(12.制御フロー2)
実施例1から流用する図6、7のフローチャートと、図11、12のフローチャートを用いて説明する。尚、これらのフローチャートは、実行部(記録部)として機能するCPU301が、ROM303に記憶された制御プログラムに基づいて画像形成装置100の各種機構の動作を制御することにより行われる。また、第一定着器150を例に説明するが、第二定着器170においても同様である。
(12.1.電源オン時及び前扉クローズ時のシークエンス)
電源オン時及び前扉クローズ時のシークエンスは、それぞれ図6、7のフローチャートを流用して説明する。
本実施例では、S102(図6)及びS203(図7)において、図11のリフレッシュシークエンスに移行する。
その他の構成については実施例1と同様であるから説明を省略する。
(12.2.リフレッシュシークエンス)
図11は、リフレッシュシークエンスのフローチャートである。図11のフローチャートは、本実施例におけるS102(図6)、S203(図7)、後述するS608のリフレッシュシークエンスの詳細を示している。
S501は図8のS301と同じであるから説明を省略する。
CPU301は、本体メモリ312が保持する情報のうち、S501で取得した定着器のIDに対応する搬送枚数の情報を基にS502の判定を行う。
CPU301は、第一定着器150のIDと対応付けられた搬送枚数の全ての主走査長さについての搬送枚数の合計(総カウント値)が所定値(本例では500枚)以下である場合、S503に移行する(S502)。
S503は図8のS304と同じであるから説明を省略する。
定着リフレッシュ動作が完了したら、CPU301はカウンターとして機能する本体メモリ312のそれぞれの主走査長さについてカウンター値をゼロとしてセットする。すなわちカウンターの値をリセットする(S504)。
一方、S502において、CPU301は、本体メモリ312が保持する主走査長さ毎の搬送枚数の情報について、総カウント値が所定値(本例では500枚)以下である場合、定着リフレッシュ動作を実行することなく、リフレッシュシークエンスを終了する。
(12.3.記録材のカウントについてのシークエンス)
図12は、記録材のカウントに関するフローチャートである。具体的には、画像形成装置100の印刷ジョブ実行時のフローチャートを示している。
S601、S602はそれぞれS401、S402(図9)と同じであるから説明を省略する。
CPU301は、印刷ジョブが終了していない段階(S603 No)で、記録材102が第一定着器150に搬送されたことを検知したら(S604 Yes)、本体メモリ312のカウント値をカウントアップさせる。ここでCPU301がカウントアップさせるカウント値は第一定着器150のIDに対応付けられたカウント値である。第一定着器150のIDは、電源オン時や前扉140が閉じられたこと等に伴って行われる図11のリフレッシュシークエンスのS501において既に取得されている。さらに、ここでCPU301がカウントアップさせるカウント値は、本体メモリ312が保持するカウント値のうち、搬送された記録材102の主走査長さに対応するカウント値である。搬送された記録材102の主走査長さの情報は、S601において、CPU301は印刷ジョブの内容を基に取得している。また、CPU301は、センサ155からの信号により、記録材102が第一定着器150へ搬送されたことを検知する。
一方、S604において記録材102が第一定着器150に搬送されたことが検知されない場合、CPU301は、カウントアップさせずに、S606に移行する。例えば、印刷ジョブが終了していないにも関わらず、センサ155が1枚前の記録材102の通過を検知してから一定時間が経っても次の記録材102の通過を検知できない場合などである。一定時間はタイマー307が計測する。
画像形成装置100内でジャムが発生した場合(S606 Yes)、CPU301により印刷ジョブは中断される。このとき、操作者により画像形成装置100の搬送経路内に滞留している記録材102の除去が行われるため、前扉140等が開放される。
CPU301は前扉140が閉状態となるのを待つ(S607)。CPU301は、開閉センサ305からの信号を基に前扉140が閉じられたことを検知したら(S607)、リフレッシュシークエンスを実行させる(S608)。
S608のリフレッシュシークエンスは図11に示すフローに対応している。このリフレッシュシークエンスでは、前述したように、第一定着器150のIDを取得する(S501)。ここで、第一定着器150のIDを実施する理由は、ジャム処理のために前扉140を開けたタイミングで第一定着器150が交換されている可能性がある為である。
S609はS410と同じであるから説明を省略する。
これらの立上げが完了して画像形成装置100が画像形成を再開できる状態となったら(S609 Yes)、CPU301は操作部180に「印刷を再開できます」などの表示を行う(S610)。これにより、画像形成装置100が画像形成を開始できることを操作者に知らせる(S610)。
その後、S603に戻り、CPU301は中断していた印刷ジョブを再開させ、印刷ジョブが終了するまで印刷ジョブを続行させる。
画像形成装置100内でのジャムの発生を検知しない場合(S606 No)、CPU301は本体メモリ312が示す第一定着器150の主走査長さ毎の搬送枚数の値の合計(総カウント値)が所定値を超えているか否かを判定する(S611)。
S611において、CPU301は、本体メモリ312が示す第一定着器150の総カウント値が所定値(本例では500枚)以下である場合、S603へ移行し、印刷が終了するまで印刷ジョブを続行させる。
S611において、CPU301は本体メモリ312が示す総カウント値が所定値(本例では500枚)を超えている場合、上述した定着リフレッシュ動作を実行させる(S612)。
定着リフレッシュ動作が完了したら、CPU301は、本体メモリ312上の第一定着器150に対応した搬送枚数の値を全ての主走査長さにおいてゼロにする。すなわちカウンターの値をリセットする(S613)。
その後、S603に戻り、CPU301は印刷ジョブが終了するまで印刷ジョブを続行させる。
印刷ジョブが終了したら(S603 Yes)、CPU301は、スタンバイモードへ移行する。
本実施例では、記録材102の搬送枚数のカウント値を本体メモリ312上で管理する。第一定着器150に記録材102が搬送される度にCPU301は本体メモリ312の搬送枚数のカウント値を第一定着器150のIDと対応付けて記録する。これにより、第一定着器150が画像形成装置100から取り出された場合でも、より正確な搬送枚数の情報を本体メモリ312に保持させておくことができる。
前述したように、操作者による第一定着器150の交換には、画像形成装置100の前扉140の開閉を伴う。すなわち、操作者によって画像形成装置100の前扉140が開けられた場合には、第一定着器150が交換される可能性がある。また、電源スイッチ101がオフの間にも、第一定着器150が交換されている可能性がある。そのため、画像形成装置100の電源スイッチ101がオンになったことや、前扉140が閉じられたことに伴って、都度、第一定着器150のIDを取得する。そしてCPU301は、本体メモリ312の搬送枚数のカウント値に基づいて、搬送枚数をカウントする。これによって、CPU301は、より正確な搬送枚数の情報に基づいて第一定着器150に定着リフレッシュ動作を実行させることができるので、出力される記録材102の画質が悪化することを抑制することができる。
以上の説明において、第一定着器150を例に説明したが、第二定着器170においても同様である。
〔実施例3〕
実施例1では、CPU301は、搬送枚数の情報を定着器のIDと対応付けて本体メモリ312に保持させている。
本実施例では、CPU301は、搬送枚数の情報を定着器のIDと対応付けて記憶装置200に保持させる(画像形成システム)。
図2に示す記憶装置200は、ネットワークケーブルを介して画像形成装置100と通信可能に接続している。記憶装置200は、書き換え可能な不揮発性のメモリと、画像形成装置100の外部I/F部304とネットワークを介して接続する通信回路と、を有するサーバーコンピューターであり、画像形成装置100の情報を記憶する記憶サーバーとして機能する。尚、記憶装置200は、記憶装置200を制御するCPUと、CPUが実行する制御プログラムを記憶するROMと、を有する。記憶装置200のCPUは、ネットワークを介して通信回路が受け取る画像形成装置100の情報をメモリに記録したり、ネットワークを介して通信回路が受け付ける画像形成装置100の指示に応じてメモリの情報を画像形成装置100に提供したりする。
尚、記憶装置200と画像形成装置100はネットワークケーブルを介して接続するとしたが、無線通信により接続する構成としてもよい。
本実施例では、CPU301が記録部として機能する。
CPU301は、ネットワークを介して外部I/F部304と接続している記憶装置200のメモリに、搬送枚数の情報を第一定着器150のIDと対応付けて記憶させたり、記憶装置200のメモリが記憶している情報を取得したりする。
以下、実施例1に適用する例として説明する。
CPU301は、電源スイッチ101がオンされた場合や、前扉140が閉じられた場合に第一定着器150の識別部(抵抗体154)から第一定着器150のIDを取得する。
CPU301は、記憶装置200のメモリ記憶する搬送枚数の情報として、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数(搬送枚数)を主走査長さ毎に記憶させる。CPU301は、主走査長さ毎の搬送枚数を第一定着器150のIDと対応付けて記憶装置200に記憶させる。
CPU301は、記憶装置200が保持する搬送枚数の情報のうち、第一定着器150のIDに対応する主走査長さ毎の搬送枚数のカウント値のいずれかが所定値を超えていた場合、定着リフレッシュ動作を実行させる。その後、スタンバイモードに移行する。
記憶装置200が保持する第一定着器150のIDに対応する搬送枚数の情報が、いずれの主走査長さ毎の搬送枚数のカウント値についても所定値以下であることを示す場合、計数部としてのCPU301は、記憶装置200の情報に基づいてカウントする。すなわち、計数部としてのCPU301は、記憶装置200が記憶する第一定着器150のIDに対応する情報に基づいて第一定着器150に搬送された記録材102の枚数(搬送枚数)をカウントする。
尚、具体的な動作のフローは、上述の実施例1と同様であるから説明を省略する。上述の実施例1の説明において、本体メモリ312を記憶装置200に置き換えて読めばよい。図6〜9のフローチャートについても、「メモリ」(例えば図8のS306)の記載を、記憶装置200を示すものとして読めばよい。
この構成でも、CPU301は、記憶装置200が記憶する第一定着器150のIDに対応する情報に基づいて搬送枚数をカウントすることができる。つまり、より正確な枚数の情報に基づいて第一定着器150に定着リフレッシュ動作を実行させることができるので、出力される記録材102の画質が悪化することを抑制することができる。
(13.ユーザが複数の画像形成装置を所有する場合)
また、記憶装置200は、第一定着器150を装着可能な複数の画像形成装置とネットワークを介して接続する構成としてもよい。複数の画像形成装置の構成は、上述の画像形成装置100と同様であるから説明を省略する。
この場合、画像形成装置100のCPU301は、別の画像形成装置で第一定着器に搬送された記録材の枚数も踏まえた搬送枚数に基づいて、定着リフレッシュ動作を実行させることができる。すなわち、より正確な枚数の情報に基づき、より適切なタイミングで第一定着器150に定着リフレッシュ動作を実行させる。
具体的なシチュエーションを例に説明する。載せ替え対象が第一定着器150のケースである。
例えば、ユーザが2台の画像形成装置100(画像形成装置Pと画像形成装置Q)を所有している。定着器Aは、第一定着器150として画像形成装置P、Qのどちらの装置でも使用できる。尚、所定値は500枚とする。つまり、画像形成装置P,QのCPUは、第一定着器150に搬送された記録材102の枚数が500枚を超えた場合に、定着リフレッシュ動作を実行させる。
定着器Aは画像形成装置Pに装着されている。画像形成装置Pにおける印刷ジョブが完了した時点で、定着器Aへの搬送枚数は450枚であったとする。
操作者は、この定着器Aを画像形成装置Qの第一定着器150として使用しようとしたとする。操作者は、定着器Aを画像形成装置Pから取り外し、画像形成装置Qに装着する。そして100枚の印刷ジョブを画像形成装置Qにて実行させる。
上述の実施例1のように、本体メモリ312に搬送枚数の情報を保持させる構成の場合、画像形成装置QのCPU301は画像形成装置Qの本体メモリ312の情報に基づいて定着リフレッシュ動作を実行させる。従って、画像形成装置Qにおいて、定着器Aの装着時に本体メモリ312が保持する定着器Aについての搬送枚数の情報がゼロであった場合、100枚の印刷ジョブを終えたとしても定着リフレッシュ動作は実行されない。
しかし、実際には、定着器Aは画像形成装置Pにおいて既に450枚の記録材102が搬送されているため、画像形成装置Qでの搬送枚数と合わせると、100枚の印刷ジョブの終了時に定着器Aでの搬送枚数は所定値の500枚を超えていることになる。従って、100枚の印刷ジョブの終了後に、定着器Aを用いて定着処理を行うと、出力画像に光沢ムラが生じてしまう恐れがある。
一方、画像形成装置P、Qがネットワークを介して記憶装置200に接続しており、搬送枚数の情報(枚数情報)を記憶装置200に保持させる構成では、このようなシチュエーションにおいても、適切に定着リフレッシュ動作を実行させることができる。よって光沢ムラの発生を抑制することができる。
具体的な動作を、実施例1の図8のフローに対応させて説明する。
まず、定着器Aへの搬送枚数のカウント値は画像形成装置Pにより記憶装置200のメモリに記録されている(図8のS306や図9のS407、S415)。
そして操作者は、画像形成装置Pから取り外した定着器Aを画像形成装置Qに装着する。その後操作者により画像形成装置Qの電源スイッチ101がオンにされると、画像形成装置QのCPU301は、第一定着器150が装着されていることを確認し(図6のS101)、図8のリフレッシュシークエンスに移行する(図6のS102)。
画像形成装置QのCPU301は、図8のS302において、記憶装置200から取得する定着器Aについての搬送枚数の情報に基づく判定をする。また、図8のS303において、画像形成装置QのCPU301は、記憶装置200から取得した定着器Aについての搬送枚数が示す値を、画像形成装置Qのカウンター314にセットする。
これにより、画像形成装置QのCPU301は適切に定着器Aへの記録材102の搬送枚数をカウントさせることができる。従って、適切に定着リフレッシュ動作を実行させることができ、画質の悪化を抑制することができる。
尚、本変形例において、第一定着器150を例に説明したが、第二定着器170においても同様であるから、説明を省略する。
また、本実施例では、搬送枚数の情報を記憶装置200に保持させる構成(画像形成システム)を実施例1に適用する場合を例に説明したが、実施例2に適用する構成としてもよい。尚、具体的な動作は、上述の実施例2と同様であるから説明を省略する。上述の実施例2の説明において、本体メモリ312を記憶装置200に置き換えて読めばよい。
〔変形例1〕
以上の実施例1及び2では、CPU301は、第一定着器150及び第二定着器170に搬送された記録材102の枚数の情報を本体メモリ312に保持させる構成とした。また、実施例3では、CPU301は、第一定着器150及び第二定着器170に搬送された記録材102の枚数の情報を記憶装置200に保持させる構成とした。本体メモリ312又は記憶装置200のいずれか一方だけでなく、CPU301により本体メモリ312への情報の書き込みと並行して記憶装置200にも同じ情報をバックアップする構成としてもよい。
〔変形例2〕
尚、画像形成装置100は、ユーザの設定により、上述の定着リフレッシュ動作を実行させないモードに設定できる構成としてもよい。この場合、操作部180は、定着リフレッシュ動作を実行させるモードと、実行させないモードのいずれかに設定する設定画面を表示させるための選択部を備える。ユーザは、操作部180を通じて定着リフレッシュ動作を実施するか否かの設定を行うことができる。選択されたモードの情報は、画像形成装置100の設定情報として、本体メモリ312に保持される。定着リフレッシュ動作を実行させないモードに設定されている場合の動作プログラムは、ROM303に格納されている。画像形成装置100が定着リフレッシュ動作を実行させないモードに設定されている場合、CPU301は、上述した定着リフレッシュ動作は実行させないプログラムを実行させる。
定着リフレッシュ動作が必要な理由は前述の通り、定着ローラ151の(I)非通過部、(II)通過部、(III)境界領域の間で表面粗さの違いよって発生する画像の光沢ムラを抑制するためである。この定着ローラ151の表面粗さの違いが光沢ムラとして現れるのは、(I)非通過部、(II)通過部、(III)境界領域にまたがって記録材102がニップ部を通過する場合である。そのため、第一定着器150として同じ構成の定着器を記録材102の主走査長さごとに載せ替えて使い分けることでも、光沢ムラを抑制できる。そこで、定着器の載せ替えシステムにおいて、光沢性を重視するユーザが、成果物品位の低下を避けるため、印刷する記録材102の主走査長さ毎に定着器を用意する場合も少なくない。
このように記録材102のエッジ部による光沢ムラの影響を無視できる場合などには、定着リフレッシュ動作を実行させないようにして、リフレッシュローラ156による摺擦傷が画像の光沢性に影響するのを防ぐことが望ましい。
本変形例のように、ユーザの選択により、画像形成装置100の設定を、定着リフレッシュ動作を実行させるモードと実行させないモードとに切り換えることができる構成とすることで、より幅広いユーザのニーズに応える装置を提供することができる。
〔変形例3〕
また、以上の説明では、定着画像上に光沢度の差が生じる要因として、記録材102の端部が定着ローラ151と接触する場合を例に説明したが、これに限らない。例えば、定着ローラ151への記録材102の巻き付きを防ぐために定着ローラ151に当接する分離爪を設ける構成とした場合である。
この場合、定着処理の蓄積に伴い、分離爪の当接による接触傷が定着ローラ151の表面に生じる恐れがある。分離爪が定着ローラ151の長手方向(回転軸の方向)に間隔を設けて配置されている場合、分離爪の当接箇所近傍で定着ローラ151の表面が粗くなり、定着ローラ151の長手方向で表面状態の不均一が生じる恐れがある。結果、定着画像上に光沢度の差が生じる恐れがある。
このような場合においても、リフレッシュローラ156を設け、上述のように、定着リフレッシュ動作を実行させることで、接触傷による画質への影響を低減することができる。
〔変形例4〕
また、以上の説明ではリフレッシュローラ156を定着ローラ151に設け、定着部材の表面を摺擦処理する構成としたが、加圧ベルト152や加圧ローラ172の表面に摺擦回転体を設け、加圧部材の表面を摺擦処理する構成としてもよい。
〔変形例5〕
載せ替えシステムの運用においては、操作者は、自身が印刷したい記録材102の種類や好みに応じた定着器に入れ替えて使用する。このとき、操作者が印刷したい記録材102に合わせた定着器を使用しないと、より高品質な成果物を得ることができるといった載せ替えシステム採用時のメリットが得られない恐れがある。そこで、本変形例では、画像形成装置100は、操作者が印刷したい記録材102と定着器の用途が一致しているか否かを操作者に知らせるようにしている。
以下では、定着器の用途と印刷する記録材102の種類を対応させる方法について、前述の図8、図9(実施例1)に補足する形で説明する。その他の構成は上述の実施例1と同様であるので、詳細な説明を省略する。また、第一定着器150を例に説明するが、第二定着器170においても同様である。
第一定着器150は、制限情報部として機能する抵抗体を備える。この場合、図2に示す抵抗体154を制限情報部として機能する抵抗体として読みかえればよい。また、載せ替え用の定着器として画像形成装置100外に用意されている定着器にも同様に、制限情報部としての抵抗体が設けられている。この抵抗値は、第一定着器150による定着処理を制限する記録材102の種類ごとに異なっており、第一定着器150による定着処理を制限する記録材102の種類を示す制限情報として機能する。CPU301が制限情報を取得する方法は、前述した定着器のIDを取得する方法と同様であるから、説明を省略する。
本体メモリ312には、抵抗体(制限情報部)の抵抗値(制限情報)に対応させて定着処理を制限する記録材102の種類を示す情報が予め格納されている。例えば、抵抗値がR4の場合は封筒の定着を制限し、抵抗値がR5の場合は厚紙の定着を制限するなどである。
図8のS301において、CPU301は、画像形成装置100に装着された第一定着器150のIDを取得するのに併せて、第一定着器150の抵抗体(制限情報部)の抵抗値(制限情報)を取得する。CPU301は、この制限情報と、本体メモリ312が記憶する定着処理を制限する記録材102の種類とに基づいて、第一定着器150に対して定着処理を制限すべき記録材102の種類を把握する。
図9のS401において、CPU301は、操作者から印刷ジョブを受け付ける際に印刷に使用する記録材102の種類を操作者に選択させるための選択画面において、第一定着器150での定着処理を制限すべき記録材102の種類を選択不可にする。
これによって、操作者が印刷したい記録材102に対応しない第一定着器150での印刷を制限することができ、より高品質な成果物を得られる。
尚、定着処理を制限する記録材102の種類に対応する情報を、本体メモリ312が制限情報と対応させて記憶する構成ではなくてもよい。例えば、CPU301が実行するプログラムを、抵抗体(制限情報部)の抵抗値に応じて所定の種類の記録材102の定着処理を制限するプログラムとして構成する。この場合、このプログラムはROM303に格納されている。
尚、第一定着器150を例に説明したが、第二定着器170においても同様であるから、説明を省略する。
尚、本変形例では制限情報部として抵抗体を用いる構成としたが、以下の構成としてもよい。
例えば、定着器(第一定着器150、第二定着器170、載せ替え用の定着器)に設ける制限情報部として、複数のスイッチを備えるディップスイッチを用いる構成としてもよい。この場合、制限情報として定着処理を制限する記録材102の種類ごとに異なるスイッチが予めONされた状態となっており、CPU301はON状態のスイッチからの信号を基に定着処理が制限される記録材102の種類を把握する。その他の構成は、上述の識別部としてディップスイッチを設ける構成と同様であるから説明を省略する。
また、例えば、定着器(第一定着器150、第二定着器170、載せ替え用の定着器)に設ける制限情報部として、例えば「封筒用」などの定着器の種類や用途を示す情報(制限情報)を記憶するメモリを用いる構成としてもよい。この場合、メモリは、EEPROM、フラッシュメモリなどに代表される書き換え可能な不揮発性のメモリである。CPU301は、メモリに記憶されている制限情報を読み出すことにより定着処理が制限される記録材102の種類を把握する。この場合、定着処理を制限する記録材102の種類に対応する情報を、本体メモリ312が制限情報と対応させて記憶する構成とするのではなく、定着器に設ける制限情報部としてのメモリに定着処理を制限する記録材102の種類を記憶させる構成としてもよい。
尚、本変形例では、制限情報部と識別部を別体として定着器に設ける構成としたが、同一の抵抗体やメモリに制限情報部と識別部の機能を持たせる構成としてもよい。
また、本変形例は、実施例1に補足する形で説明したが、実施例2又は3に適用してもよい。この場合も同様であるから、説明は省略する。
〔変形例6〕
以上の説明では、操作部180は表示画面と選択キーとを備えるが、表示画面をタッチパネルとして、タッチパネルの画面が選択部として操作者の動作指示を受け付けてもよい。
〔変形例7〕
また、以上では、第一定着器150と第二定着器170を備える画像形成装置100を例に説明した(タンデム定着)。しかし画像形成装置100は第一定着器150のみを有する構成としてもよい。
〔変形例8〕
また、以上では、画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する像形成部(ステーション120〜123)を有するカラーの画像形成装置を例に説明したが、単色の画像形成装置であってもよい。例えば、ブラックのトナー画像を形成するモノクロの画像形成装置などである。
〔変形例9〕
また、以上の説明では、画像形成装置100は、中間転写体としての中間転写ベルト115を有する構成(中間転写方式)としたが、以下の構成(直接転写方式)としてもよい。
この場合、画像形成部309として、像形成部(ステーション120〜123)と、転写部として機能する転写搬送ベルトとを備える。像形成部(ステーション120〜123)は、転写搬送ベルトと当接するように設けられている。画像形成装置100は、記録材102を、記録材収納部103から転写搬送ベルトへ搬送する。転写搬送ベルトは、記録材102と静電吸着しながら記録材102を搬送するベルトであって、転写搬送ベルトを介して像形成部と対向する位置(ベルトの内周側)に転写ローラを備える。転写ローラは、像担持体上に形成されたトナー像を、転写搬送ベルトにより搬送される記録材102に転写する。これにより、記録材102にトナー像(未定着)を形成する。