以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、全ての図面において、本発明を説明するための構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略する場合がある。さらに、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る真空断熱体は、コア材と、コア材が内部に配置され、第1開口部を有する箱状の第1部材と、第1開口部を密閉する第2部材と、を有する、ガスバリア容器と、ガスバリア容器が内部に配置され、第2開口部を有する内箱と、第2開口部を閉鎖する外板と、を備え、第1部材は、真空成形により、その外面が内箱の内面と合着するように形成されている。
また、本実施の形態1に係る真空断熱体では、第1部材が、熱可塑性樹脂からなる第1樹脂層及び第2樹脂層と、第1樹脂層と第2樹脂層の間に配置され、有機樹脂と鱗片状無機材を有するガスバリア層と、を有していてもよい。
また、本実施の形態1に係る真空断熱体では、有機樹脂が、エチレン−ビニルアルコール共重合体又はポリビニルアルコール重合体であってもよい。
また、本実施の形態1に係る真空断熱体では、コア材が、連続気泡ウレタンフォームで構成されていてもよい。
さらに、本実施の形態1に係る真空断熱体では、第1部材にガスバリア容器内部を真空引きするための第1貫通孔が設けられていて、ガスバリア容器は、第1部材の第1貫通孔を封止する封止部材をさらに有していてもよい。
また、本実施の形態1に係る断熱機器は、上記実施の形態1に係る真空断熱体のうち、いずれかの真空断熱体が収容された断熱壁を備える。
以下、本実施の形態1に係る真空断熱体及びそれを備える断熱機器の一例について、図1〜図16を参照しながら説明する。
[断熱機器の構成]
図1は、本実施の形態1に係る断熱機器の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す断熱機器の縦断面図である。なお、図1及び図2において、断熱機器の上下方向を図における上下方向として表している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係る断熱機器100として、冷蔵庫を例示している。断熱機器100は、複数の貯蔵室を有する冷蔵庫本体2、冷蔵室扉3、製氷室扉4A、第1冷凍室扉4B、野菜室扉5、第2冷凍室扉6、圧縮器8、及び蒸発器9を備えている。
冷蔵庫本体2における上部の背面側には、冷蔵庫本体2の天面から下方に凹むように、凹部2Aが形成されている。凹部2Aは、圧縮器8が配置される機械室を構成する。また、冷蔵庫本体2の下部には、冷蔵庫本体2の背面から正面に向かって凹むように、凹部2Bが形成されている。
また、冷蔵庫本体2の内部空間は、仕切壁15〜17によって複数の貯蔵室に区画されている。具体的には、冷蔵庫本体2の上部に、冷蔵室11が設けられていて、冷蔵室11の下方に製氷室12と第1冷凍室(図示せず)が横並びに設けられている。また、製氷室12と第1冷凍室の下方には、野菜室13が設けられていて、野菜室13の下方には、第2冷凍室14が設けられている。
また、冷蔵庫本体2の正面は、開放されていて、冷蔵室扉3〜第2冷凍室扉6が設けられている。具体的には、冷蔵室11には、回転式の冷蔵室扉3が配置されている。また、製氷室12、第1冷凍室、野菜室13、及び第2冷凍室14には、それぞれ、レール等を有する引き出し式の製氷室扉4A、第1冷凍室扉4B、野菜室扉5、第2冷凍室扉6が配置されている。
凹部2Aには、圧縮器8が配置されている。なお、本実施の形態1においては、圧縮器8を上部に配置する形態を採用したが、これに限定されず、中央部又は下部に配置する形態を採用してもよい。
また、冷蔵庫本体2の中央部の背面側には、冷却室18が設けられている。冷却室18は、仕切壁16と仕切壁17とを接続する冷却室壁体19により、野菜室13の背面側に区画されている。冷却室18には、蒸発器9が配設されている。
蒸発器9は、圧縮器8から供給された冷媒と、冷却室18内に存在する空気との間で熱交換するように構成されている。これにより、蒸発器9周辺の空気が冷却され、冷却された空気は、図示されないファン等により、冷却流路10を介して、冷蔵室11等に供給される。なお、冷却流路10は、図示されない仕切壁と冷蔵庫本体2の背面との間に形成されている空間により構成される。
凹部2Bには、蒸発器9で発生した水を貯めるための蒸発皿20が配置されている。また、冷蔵庫本体2の蒸発器9と蒸発皿20との間の部分には、貫通孔210が設けられている。
そして、本実施の形態1に係る断熱機器100においては、冷蔵庫本体2、冷蔵室扉3、製氷室扉4A、第1冷凍室扉4B、野菜室扉5、第2冷凍室扉6、仕切壁15〜17、及び冷却室壁体19のうち、少なくとも1の部品が、本実施の形態1に係る真空断熱体101が収容された断熱壁を備えている。
[製氷室扉(真空断熱体)の構成]
次に、本実施の形態1に係る真空断熱体の一例として、製氷室扉4Aについて、図3〜図10を参照しながら説明する。
図3は、図1に示す断熱機器の製氷室扉の正面方向から見た斜視図であり、図4は、図1に示す断熱機器の製氷室扉の背面方向から見た斜視図である。
図5は、図4に示す製氷室扉における真空断熱体の縦断面図である。図6は、図5に示す真空断熱体を構成する各部材を展開した展開図である。図7は、図5に示す製氷室扉におけるガスバリア容器の縦断面図である。また、図8は、図5に示す真空断熱体のA部分を拡大した模式図である。図9は、図7に示す真空断熱体におけるガスバリア容器のB部分を拡大した模式図であり、図10は、図7に示す真空断熱体におけるガスバリア容器のC部分を拡大した模式図である。
図3及び図4に示すように、製氷室扉4Aは、真空断熱体101と、ガスケット441と、一対のフレーム442と、複数のネジ443と、を備えている。また、図5〜図10に示すように、真空断熱体101は、外板401、ガスバリア容器402、及び当該ガスバリア容器402を収納する内箱403を備えている。
外板401は、平板状に形成されていて、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されている。外板401とガスバリア容器402は、シート状(フィルム状)の接着剤404により接着されている。接着剤404としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱403は、第2開口部403Cを有する箱状に形成されていて、その正面が第2開口部403Cにより開放されている。内箱403の第2開口部403Cは、外板401により閉鎖されている。また、内箱403の背面は、段状に形成されていて、背面の周縁部分である第1主面403Aと、背面の中央部分である第2主面403Bと、を有している(図6参照)。
内箱403の第1主面403Aには、ガスケット441を配置するためのガスケット溝403Fが第2主面403Bを囲むように形成されている。また、内箱403の第2主面403Bの下部には、一対のフレーム442が、ネジ443によりネジ止めされている(図3及び図4参照)。
また、図5〜図7に示すように、内箱403の内面におけるガスバリア容器402と対向する面(底面)は、複数の凹部と凸部を有する凹凸形状になっている。そして、内箱403の底面には、接着剤405が配置されている。接着剤405は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤405は底面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
部分的に塗布する場合は、少なくともガスケット441と対向する部分に塗布することが望ましい。これにより、ガスバリア容器402と内箱403の間に生じる空間と、外部と、の連通(空気の出入り)を阻止することができ、断熱機器(冷蔵庫)の吸熱負荷をさらに低減することができる。
ガスバリア容器402は、第1部材421と、第2部材422と、コア材423と、吸着剤424と、封止部材425と、を有している。第1部材421と第2部材422で形成される筐体の内部空間には、コア材423と吸着剤424が配置されていて、ガスバリア容器402は、当該内部空間が所定の真空度になるように構成されている。
第1部材421は、内箱403の内面形状に合わせて、真空成形、射出成形、圧空成形、又はプレス成形等により作製された成形品であり、第1開口部421Bを有する箱状に形成されている。
また、第1部材421の外周縁には、フランジ部421Aが設けられている(図7及び図9参照)。フランジ部421Aには、第2部材422が接着されている。すなわち、第1部材421の第1開口部421Bは、第2部材422により封止されている。これにより、第2部材422は、フランジ部421Aにより、面状に圧接可能となり、第1部材421と第2部材422の間で強固なシールが可能となる。
さらに、第1部材421の背面の適所には、ガスバリア容器402の内部(第1部材421の内部)を真空引きするための第1貫通孔421Cが設けられている。第1貫通孔421Cの周縁部には、第1貫通孔421Cを封止するための封止部材425が配設されている。
封止部材425としては、例えば、ラミネートフィルムであってもよい。ラミネートフィルムの材料としては、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリアクリロニトリルフィルム等の熱可塑性樹脂、或いはそれらの混合体を使用してもよい。
また、ラミネートフィルムは、アルミニウム又はステンレス等の金属層を有していてもよい。この場合、金属層は、ラミネートフィルムの内部に形成されていてもよく、ラミネートフィルムの表面に形成されていてもよい。また、金属層は、アルミニウム箔等の金属箔であってもよく、アルミニウム等をラミネートフィルム表面に蒸着させて形成してもよい。
なお、封止部材425は、ガスバリア性を有していれば、どのような態様であってもよく、例えば、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されていてもよい。また、封止部材425として、ラミネートフィルムを用いた場合には、封止部材425は、第1部材421の背面に溶着されることで、第1貫通孔421Cを封止してもよい。さらに、封止部材425として、ガラス板又はプリコート鋼板を用いた場合には、接着剤を用いて、当該封止部材425を第1部材421の背面に接着させることで、第1貫通孔421Cを封止してもよい。
また、図8〜図10に示すように、第1部材421は、第1樹脂層21と、第2樹脂層22と、第1樹脂層21と第2樹脂層22の間に配置されているガスバリア層23と、から構成されている。
第1樹脂層21及び第2樹脂層22は、熱可塑性樹脂で構成されていて、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンであってもよい。なお、第1樹脂層21及び第2樹脂層22は、同一の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
ガスバリア層23は、有機樹脂と鱗片状無機材を有している。ガスバリア層23を構成する有機樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体又はポリビニルアルコール重合体であってもよい。また、鱗片状無機材としては、例えば、天然の粘土鉱物ベントナイトの主成分であるモンモリロナイト、イオン交換処理がなされたモンモリロナイト、合成シリカ等であってもよい。さらに、鱗片状無機材は、ガスバリア層23のガスバリア性を充分に担保する観点(酸素透過度を充分に抑制する観点)から、その厚みが1nm以上、又は平均粒子径が100nm以上であってもよく、ガスバリア層23を構成するシートを真空成形により所定の形状を有するように加工する観点から、その厚みが3nm以下、又は平均粒子径が300nm以下であってもよい。
なお、本実施の形態1においては、第1部材421は、複数の層から構成される態様を採用したが、これに限定されず、熱可塑性樹脂等の有機樹脂からなる単一の層で構成される態様を採用してもよい。また、第1部材421は、少なくとも一方の外面に、アルミニウム又はステンレス等の金属層が形成されている態様を採用してもよい。
第2部材422は、第1部材421の第1開口部421Bを密閉するように構成されている。第2部材422としては、例えば、ラミネートフィルムであってもよい。ラミネートフィルムの材料としては、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリアクリロニトリルフィルム等の熱可塑性樹脂、或いはそれらの混合体を使用してもよい。
また、ラミネートフィルムは、アルミニウム又はステンレス等の金属層を有していてもよい。この場合、金属層は、ラミネートフィルムの内部に形成されていてもよく、ラミネートフィルムの表面に形成されていてもよい。また、金属層は、アルミニウム箔等の金属箔であってもよく、アルミニウム等をラミネートフィルム表面に蒸着させて形成してもよい。なお、第2部材422は、封止部材425と同一の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
コア材423としては、例えば、連続気泡ウレタンフォームで構成されていてもよい。連続気泡ウレタンフォームは、例えば、特許第5310928号に開示されている特徴を有するものであってもよい。この場合、コア材423は、第1部材421の内面(内部空間)と同一形状に形成される。また、コア材423としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール、アルミナ繊維、又はポリエチレンテレフタレート繊維等を用いてもよい。
吸着剤424としては、水分を吸着除去する水分吸着剤と大気ガス等のガスを吸着する気体吸着剤が挙げられる。水分吸着剤としては、例えば、酸化カルシウム、又は酸化マグネシウム等の化学吸着物質、或いは、ゼオライトのような物理吸着物質を用いることができる。
また、気体吸着剤は、気体中に含まれる非凝縮性気体を吸着できる吸着材料と容器で構成されている。吸着材料としては、ジルコニウム、バナジウム及びタングステンからなる合金、鉄、マンガン、イットリウム、ランタンと希土類元素の1種の元素を含む合金、Ba−Li合金、並びに、金属イオン(例えば、銅イオン)とイオン交換したゼオライト等が挙げられる。
[製氷室扉(真空断熱体)の製造方法]
次に、図11を用いて、製氷室扉4Aの製造方法について説明する。
図11は、本実施の形態1に係る真空断熱体の一例である、製氷室扉の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
図11に示すように、ガスバリア容器402を製造する(ステップS11)。なお、ガスバリア容器402の製造方法の各工程については、後述する。
次に、射出成形、真空成形、圧空成形、又はプレス成形等の成形方法により、内箱403を製造する(ステップS12)。ついで、ガラス板等を適宜な大きさに切断する等により、外板401を製造する(ステップS13)。なお、ステップS11〜ステップS13は、順不同である。
次に、真空断熱体101を製造する(ステップS14)。具体的には、内箱403の内部空間にガスバリア容器402及び接着剤405を配置して、ガスバリア容器402と内箱403を接着剤405により接着する。ついで、ガスバリア容器402の正面にシート状の接着剤404を配置して、ガスバリア容器402と外板401を接着する。これにより、内箱403の第2開口部403Cが、外板401により閉鎖される。
次に、内箱403の裏面にガスケット441を取り付け、一対のフレーム442をネジ443でネジ止めすることにより、製氷室扉4Aを製造する(ステップS15)。
[ガスバリア容器の製造方法]
次に、図12〜図17を参照しながら、ガスバリア容器402の製造方法について、説明する。
まず、本実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402を製造するときに用いられる真空封止装置の一例について、図12を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態1に係る真空断熱体のガスバリア容器を製造するときに用いられる真空封止装置の概略構成を示す模式図である。なお、図12においては、真空封止装置の上下方向を図における上下方向として表している。
図12に示すように、真空封止装置500は、真空封止装置本体501、真空ポンプ502、駆動器503、加熱器504、及び制御器510を備えている。真空封止装置本体501は、段部を有する略円柱状の本体部501Aと、中空を有する略円筒状の外筒部501Bと、を有していて、駆動器503により、本体部501A及び外筒部501Bが、それぞれ、独立して、上下方向に進退移動可能に構成されている。なお、真空封止装置500は、ロボット装置のアーム先端に取り付けられていてもよい。
本体部501Aは、先端部51、中間部52、及び後端部53を有していて、後端部53から先端部51に向かうにつれて、その横断面の面積が小さくなるように形成されている。また、本体部501Aの内部には、先端部51(本体部501Aの先端面)から後端部53に至る排気流路54が形成されている。排気流路54には、本体部501Aの外部に設けられた第2排気流路505を介して、後述する第1排気流路506に接続されている。なお、先端部51に設けられた開口54Aが排気流路54の一端を構成する。
外筒部501Bは、本体部501Aの外周面を囲むように配置されている。外筒部501Bの内周面は、本体部501Aの後端部53の外周面と摺動するように構成されている。具体的には、外筒部501Bにおける後端部53と対向する内周面に、環状のシール部材55、56が上下方向に間隔をあけて配置されている。なお、シール部材55、56としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
また、外筒部501Bの先端面(下端面)には、環状の凹部が設けられていて、当該凹部には、シール部材57が配置されている。なお、シール部材57としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
そして、本体部501Aの先端部51及び中間部52の外周面と、外筒部501Bの内周面と、の間には、隙間58が形成されていて、当該隙間58と連通するように、第1排気流路506の一端(開口506A)が接続されている。第1排気流路506の他端は、真空ポンプ502に接続されている。
また、第1排気流路506の途中には、開閉弁507が設けられている。具体的には、第1排気流路506の開口506Aと第2排気流路505が接続されている部分との間の領域に開閉弁507が設けられている。
第1排気流路506は、第2排気流路505に比して、その断面積が大きくなるように構成されている。これにより、第1排気流路506を通流する空気の流量が、第2排気流路505を通流する空気の流量よりも大きくすることができる。
なお、本体部501Aが外筒部501Bに対して最も下方に位置するときに、隙間58と第2排気流路506とが連通するように、本体部501Aの先端部51及び中間部52の高さ寸法、外筒部501Bの高さ寸法、及び外筒部501Bにおける第2排気流路506の接続位置が、適宜設定されている。
すなわち、真空封止装置本体501と第2排気流路506は、本体部501Aが外筒部501Bに対して最も下方に位置するときに、外筒部501Bの内周面における第2排気流路506の開口が、本体部501Aの後端部53Aより下方に位置していて、隙間58と第2排気流路506とが連通するように構成されている。
また、本実施の形態1においては、第2排気流路506の他端が第1排気流路505に接続されている態様を採用したが、これに限定されない。例えば、第2排気流路506の他端は、真空ポンプ502とは別の真空ポンプに接続される態様を採用してもよい。
駆動器503は、本体部501A及び外筒部501Bをそれぞれ、独立に駆動させることができれば、どのような態様であってもよく、例えば、ガス圧、油圧、サーボモータ等を用いた機構であってもよい。
加熱器504は、本体部501Aの先端部51を加熱するように構成されていればどのような態様であってもよく、例えば、電熱器で構成されていてもよい。
制御器510は、真空封止装置500を構成する各機器を制御する機器であれば、どのような形態であってもよい。制御器510は、マイクロプロセッサ、CPU等に例示される演算処理部と、各制御動作を実行するためのプログラムを格納した、メモリ等から構成される記憶部と、時計部と、を備えている。そして、制御器510は、演算処理部が、記憶部に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、真空封止装置500に関する各種の制御を行う。
なお、制御器510は、単独の制御器で構成される形態だけでなく、複数の制御器が協働して真空封止装置500の制御を実行する制御器群で構成される形態であっても構わない。また、制御器510は、マイクロコントロールで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
次に、図13〜〜図17を参照しながら、ガスバリア容器402の製造方法の各工程について、説明する。
図13は、図11に示すガスバリア容器の製造方法の各工程を示すフローチャートである。また、図14は、図13に示すステップS106の製造工程を説明するための模式図である。図15は、図13に示すステップS107の製造工程を説明するための模式図である。図16は、図13に示すステップS108の製造工程を説明するための模式図である。
図13に示すように、ガスバリアシートを製造する(ステップS101)。ここで、ガスバリアシートは、熱可塑性樹脂からなる第1樹脂層21及び第2樹脂層22の間に、有機樹脂とその含有量が2〜14wt%である鱗片状無機材とを有するガスバリア層23が配置されたシートである。
具体的には、第1樹脂層21、第2樹脂層22、及びガスバリア層23の各層を構成するシートを製造し、これらのシートを積層して、熱圧着等により、これらのシートを接合し、ガスバリアシートが得られる。
第1樹脂層21及び第2樹脂層22は、例えば、これらの材料がポリプロピレンである場合には、公知の無延伸ポリプロピレンフィルムを用いてもよい。また、ガスバリア層23は、有機樹脂の一例であるエチレン−ビニルアルコール共重合体に、鱗片状無機材の一例であるモンモリロナイトを2〜14wt%添加して、公知の製造方法に従って、シート又はフィルムを製造する。なお、モンモリロナイトは、厚みが1〜3nm、平均粒子径が100〜300nmのものを用いてもよい。
次に、ステップS101で製造したガスバリアシートを真空成形により、内箱403の内面(内部空間)と同一形状になるように加工して、第1開口部421Bを有する箱状の第1部材421を製造する(ステップS102)。なお、第1部材421は、圧空成形、又は熱プレス成形等により製造してもよい。
次に、第1部材421の背面の適所に、第1貫通孔421Cを形成する(ステップS103)。なお、第1貫通孔421Cは、例えば、打ち抜き加工(パンチング)により、形成する態様を採用してもよい。また、ステップS102で第1部材421を製造するときに、予め第1部材421の金型に第1貫通孔421Cを設けるようにして、第1部材421の製造と同時に第1貫通孔421Cが形成される態様を採用してもよい。
一方、ステップS101〜S103と並行して、あるいは、ステップS101〜S103の前後に、コア材423を製造する(ステップS101A)。具体的には、コア材423として、連続気泡ウレタンフォームを用いる場合には、第1部材201の内部空間と同一形状を有するように、予め連続気泡ウレタンフォームを成形して、コア材423を製造する。また、コア材423として、例えば、ガラス繊維、ロックウール、アルミナ繊維、又はポリエチレンテレフタレート繊維等を用いる場合には、これらを加熱圧縮成型することにより、コア材423を製造する。
次に、第1部材421の内部空間に、コア材423及び吸着剤424を配置して、第1開口部421Bの開口部を覆うように、第2部材422を配置する(ステップS104)。ついで、第2部材422により、第1部材421の第1開口部421Bを密閉する(ステップS105)。
具体的には、例えば、第2部材422における第1部材421のフランジ部421Aとの当接部分を加熱して、第2部材422の当該部分をフランジ部421Aに熱圧着させて、第1開口部421Bを密閉する。なお、第2部材422とフランジ部421Aとを接着剤により接着することにより、第1開口部421Bを密閉してもよい。
次に、封止部材425を真空封止装置500に固定する(ステップS106)。具体的には、制御器510の演算処理部が、記憶部に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、以下の動作を実行する。
まず、制御器510が、図示されないロボット装置を駆動して、本体部501Aの先端面が、封止部材425の上方に位置するように、真空封止装置本体501を移動させる。ついで、制御器510は、開閉弁507を閉止させ、真空ポンプ502を作動させる。その後、制御器510は、駆動器503を作動させて、本体部501Aを下方に移動させ、本体部501Aの先端面と封止部材425とを当接させる(図14参照)。
これにより、真空ポンプ502が作動しているため、排気流路54内が負圧となり、封止部材425が本体部501Aの先端面に吸着された状態が維持され、封止部材425が真空封止装置500に固定される。
次に、真空封止装置500により、第1部材421の内部を真空引きさせる(ステップS107)。具体的には、制御器510が、図示されないロボット装置を駆動して、本体部501Aの先端面が、第1部材421の第1貫通孔421Cの上方に位置するように、真空封止装置本体501を移動させる。ついで、制御器510が、駆動器503を作動させて、外筒部501Bを下方に移動させ、外筒部501Bの先端面と第1部材421とを当接させる。このとき、本体部501A(先端部51A)の先端面は、外筒部501Bの先端面よりも上方に位置していて、外筒部501Bの先端面の開口部と第1部材421の第1貫通孔421Cが連通している。そして、制御器510が開閉弁507を開放する(図15参照)。
これにより、第2排気流路506と真空ポンプ502とが連通して、第2排気流路506からも排気が行われる。このため、第1部材421の内部が、第1貫通孔421C、外筒部501Bの内部空間、及び第2排気流路506を介して、真空引きされる。
次に、第1貫通孔421Cを封止部材425により封止させる(ステップS108)。具体的には、第1部材421の内部空間が、所定の真空度になると、制御器510が、駆動器503を駆動させて、封止部材425が第1部材421と当接するように、本体部501Aを下方に移動させる。ついで、制御器510は、加熱器504を作動させて、本体部501Aの先端部を介して、封止部材425を加熱し、封止部材425を第1部材421に溶着させ、第1貫通孔421Cを封止部材425により封止させる(図16参照)。
なお、第1部材421の内部空間が所定の真空度になったか否かの判定は、例えば、ステップS107で第1部材421の内部を真空引きしてから、所定時間が経過したか否かによって行うことができる。ここで、所定時間は、第1部材421の内部空間の容積、真空ポンプ502の性能(排気量)、及び第1排気流路505の流路長等から算出することができる。また、所定時間は、予め実験等により設定することもできる。
[真空断熱体及びそれを備える断熱機器の作用効果]
このように構成された、本実施の形態1に係る真空断熱体101及びそれを備える断熱機器100では、第1樹脂層21、第2樹脂層22、及びガスバリア層23から構成されるガスバリアシートを真空成形により加工して、第1部材421を製造することにより、複雑な立体形状に追随することができる。このため、従来の真空断熱構造体が配置されている冷蔵庫等に比して、製造工程を簡略することができ、製造コストを低減することができる。また、従来のように平板の真空断熱材と発泡ウレタンを併用する必要がなく、断熱機器100の断熱性能を高めることができる。
また、ガスバリア層23を構成する鱗片状無機材の厚みを1〜3nmとし、平均粒子径が100〜300nmとすることにより、2wt%という少量の添加で高いガスバリア性能を実現することができる。
また、本実施の形態1に係る真空断熱体101では、第1部材421は、有機樹脂に鱗片状無機材を添加して構成したガスバリア層23の両面にポリプロピレン等で構成した第1樹脂層21及び第2樹脂層22を備えている。このため、水分透過度の低いポリプロピレン等で構成した第1樹脂層21及び第2樹脂層22が、ガスバリア層23の水分に弱い有機樹脂を保護し、第1部材421の耐久性を高めることができる。
さらに、ガスバリア容器402を従来と同等の断熱性能とする場合には、真空断熱体101の厚みを薄くすることができ、断熱機器(冷蔵庫)の内容積を大きくすることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る真空断熱体は、第1部材には、ガスバリア容器の内部を真空引きするための第1貫通孔が設けられていて、内箱は、第1貫通孔と対向する位置に設けられ、その周縁部に設けられているボス部が溶着されることにより閉止される第2貫通孔をさらに有し、真空断熱体は、内箱の第2貫通孔部分に固着される封止部材をさらに備えている。
以下、本実施の形態2に係る真空断熱体の一例について、図17〜図24を参照しながら説明する。
[真空断熱体の構成]
図17は、本実施の形態2に係る真空断熱体の概略構成を示す縦断面図である。図18は、図17に示す真空断熱体を構成する各部材を展開した展開図である。図19は、図17に示す真空断熱体のD部分を拡大した模式図である。
図17〜図19に示すように、本実施の形態2に係る真空断熱体101は、実施の形態1に係る真空断熱体101と基本的構成は同じであるが、以下の点が異なる。
すなわち、本実施の形態2に係る真空断熱体101では、内箱403の第2主面403Bにおける第1部材421の第1貫通孔421Cと対向する部分に、第2貫通孔403Dが設けられていて、当該第2貫通孔403Dの周縁部にボス部403Eが設けられている。そして、ボス部403Eは、真空断熱体101を製造するときに加熱されて、第2貫通孔403Dを閉止している。なお、ボス部403Eは、第2貫通孔403Dを閉止することができるように、その高さ寸法、及び厚み寸法等が適宜設定されている。
また、本実施の形態2に係る真空断熱体101では、封止部材425が、上記第2貫通孔403Dを封止するように、第2主面403Bに溶着されている。
[真空断熱体の製造方法]
次に、本実施の形態2に係る真空断熱体の製造方法について、図17〜図24を参照しながら説明する。
まず、本実施の形態2に係る真空断熱体101を製造するときに用いられる真空封止装置の一例について、図20を参照しながら説明する。
図20は、本実施の形態2に係る真空断熱体を製造するときに用いられる真空封止装置の概略構成を示す模式図である。なお、図20においては、真空封止装置の上下方向を図における上下方向として表している。
図20に示すように、真空封止装置550は、真空封止装置本体551、真空ポンプ552、駆動器553、加熱器554、及び制御器560を備えている。真空封止装置本体551は、段部を有する略円柱状の本体部551Aと、中空を有する略円筒状の外筒部551Bと、を有していて、駆動器553により、本体部551A及び外筒部551Bが、それぞれ、独立して、上下方向に進退移動可能に構成されている。なお、真空封止装置550は、ロボット装置のアームに取り付けられていてもよい。
本体部551Aは、先端部51A、中間部52A、及び後端部53Aを有していて、後端部53Aから先端部51Aに向かうにつれて、その断面積が小さくなるように形成されている。外筒部551Bは、本体部551Aの外周面を囲むように配置されている。外筒部551Bの内周面は、本体部551Aにおける後端部53Aの外周面と摺動するように構成されている。具体的には、外筒部551Bにおける後端部53Aと対向する内周面に、環状のシール部材55A、56Aが配置されている。なお、シール部材55A、56Aとしては、例えば、Oリングを用いてもよい。
また、外筒部551Bの先端面には、環状の凹部が設けられていて、当該凹部には、シール部材57Aが配置されている。なお、シール部材57Aとしては、例えば、Oリングを用いてもよい。
そして、本体部551Aの先端部51A及び中間部52Aの外周面と、外筒部551Bの内周面と、の間には、隙間58Aが形成されていて、当該隙間58Aと連通するように、排気流路555の一端が接続されている。排気流路555の他端は、真空ポンプ552が接続されている。
駆動器553は、本体部551A及び外筒部551Bをそれぞれ、独立に駆動させることができれば、どのような態様であってもよく、例えば、ガス圧、油圧、サーボモータ等を用いた機構であってもよい。
加熱器554は、本体部551Aの先端部51Aを加熱するように構成されていればどのような態様であってもよく、例えば、電熱器で構成されていてもよい。
制御器560は、真空封止装置550を構成する各機器を制御する機器であれば、どのような形態であってもよい。制御器560は、マイクロプロセッサ、CPU等に例示される演算処理部と、各制御動作を実行するためのプログラムを格納した、メモリ等から構成される記憶部と、時計部と、を備えている。そして、制御器560は、演算処理部が、記憶部に格納された所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、真空封止装置550に関する各種の制御を行う。
なお、制御器560は、単独の制御器で構成される形態だけでなく、複数の制御器が協働して真空封止装置550の制御を実行する制御器群で構成される形態であっても構わない。また、制御器560は、マイクロコントロールで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
次に、図21〜〜図24を参照しながら、本実施の形態2に係る真空断熱体101の製造方法について、説明する。
図21は、本実施の形態2に係る真空断熱体の製造方法の各工程を示すフローチャートである。また、図22は、図21に示すステップS27の製造工程を説明するための模式図である。図23は、図21に示すステップS28の製造工程を説明するための模式図である。図24は、図21に示すステップS28の製造工程を説明するための模式図である。
図21に示すように、ガスバリアシートを製造する(ステップS21)。なお、ガスバリアシートの製造方法は、実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402を製造するときと同様に行われるため、詳細な説明は省略する。
次に、ガラス板等を適宜な大きさに切断する等により、外板401を製造する(ステップS21A)。なお、ステップS21及びステップS21Aは、順不同である。
次に、ステップS21で製造したガスバリアシートを真空成形により、内箱403の内面(内部空間)と同一形状になるように加工して、第1開口部421B及び第1貫通孔421Cを有する箱状の第1部材421を製造する(ステップS22)。なお、第1貫通孔421Cは、第1部材421を製造後、打ち抜き加工等により形成してもよい。
次に、内箱403をインサート成形により製造する(ステップS23)。具体的には、内箱403を製造するための金型に第1部材421を配置し、熱可塑性樹脂等の内箱403を構成する樹脂を流し込み、第2貫通孔403D及びボス部403Eを有する内箱403を製造する。
なお、第2貫通孔403Dは、該第2貫通孔403Dを形成するように金型を製造しておいてもよく、インサート成形後に、第2貫通孔403Dを打ち抜き加工等により形成してもよい。
また、本実施の形態2においては、第1部材421と内箱403をインサート成形により接合する態様を採用したが、これに限定されず、第1部材421と内箱403とを接着剤等により接合(接着)する態様を採用してもよい。
次に、第1部材421の内部空間に、コア材423及び吸着剤424を配置して、第1開口部421Bの開口部を覆うように、第2部材422を配置する(ステップS25)。ついで、第2部材422により、第1部材421の第1開口部421Bを密閉する(ステップS26)。
具体的には、例えば、第2部材422における第1部材421のフランジ部421Aとの当接部分を加熱して、第2部材422の当該部分をフランジ部421Aに熱圧着させて、第1開口部421Bを密閉する。なお、第2部材422とフランジ部421Aとを接着剤により接着することにより、第1開口部421Bを密閉してもよい。
次に、真空封止装置550により、第1部材421の内部を真空引きさせる(ステップS27)具体的には、制御器560が、図示されないロボット装置を駆動して、真空封止装置本体551の先端面が、第1部材421の第1貫通孔421C(内箱403の第2貫通孔403D)の上方に位置するように、真空封止装置本体551を移動させる。ついで、制御器560が、駆動器553を作動させて、外筒部551Bを下方に移動させ、外筒部551Bの先端面と内箱403とを当接させる(図22参照)。そして、制御器560が真空ポンプ552を作動させる。
これにより、第1部材421の内部が、第1貫通孔421C、第2貫通孔403D、外筒部551Bの内部空間(隙間58A)、及び排気流路555を介して、真空引きされる。
次に、内箱403のボス部403Eを加熱して、第2貫通孔403Dを閉止させる(ステップS28)。具体的には、第1部材421の内部空間が、所定の真空度になると、制御器560が、駆動器553を駆動させて、本体部551Aの先端部がボス部403Eと当接するように、本体部551Aを下方に移動させる(図23参照)。ついで、制御器560は、加熱器554を作動させて、本体部551Aの先端部を介して、ボス部403Eを加熱する。
これにより、ボス部403Eを構成する樹脂が溶解して、第2貫通孔403Dを閉止する(図24参照)。
次に、内箱403の第2貫通孔403Dが設けられていた部分を覆うように、封止部材425を配置して、封止部材425を内箱403の第2主面403Bに固着させる(ステップS29)。封止部材425の第2主面403Bへの固着は、封止部材425を加熱して、熱溶着させることにより固着させてもよく、接着剤により固着させてもよい。
次に、真空断熱体101を製造する(ステップS30)。具体的には、ガスバリア容器402(内箱403)の正面にシート状の接着剤404を配置して、ガスバリア容器402と外板401を接着し、真空断熱体101が製造される。
このように構成された、本実施の形態2に係る真空断熱体101であっても、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3)
[真空断熱体の構成]
図25は、本実施の形態3に係る真空断熱体の概略構成を示す縦断面図である。図26は、図25に示す真空断熱体を構成する各部材を展開した展開図である。
図25及び図26に示すように、本実施の形態3に係る真空断熱体101は、実施の形態1に係る真空断熱体101と基本的構成は同じであるが、第1部材421に第1貫通孔421Cが設けられていない点と、第1貫通孔421Cを封止するための封止部材425が配置されていない点と、が異なる。
[ガスバリア容器の製造方法]
次に、図25〜図27を参照しながら、本実施の形態3に係る真空断熱体101におけるガスバリア容器402の製造方法について、説明する。なお、本実施の形態3に係る真空断熱体101の製造方法については、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様に実行される。
図27は、本実施の形態3に係る真空断熱体におけるガスバリア容器の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
図27に示すように、ガスバリアシートを製造する(ステップS201)。ついで、コア材423を製造する(ステップS201A)。なお、ステップS201とステップS201Aは、順不同である。また、ガスバリアシート及びコア材423は、実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402を製造するときと同様に行われるため、詳細な説明は省略する。
次に、ステップS201で製造したガスバリアシートを真空成形により、内箱403の内面(内部空間)と同一形状になるように加工して、第1開口部421Bを有する箱状の第1部材421を製造する(ステップS202)。なお、第1部材421は、圧空成形、又は熱プレス成形等により製造してもよい。
次に、第1部材421の内部空間に、コア材423及び吸着剤424を配置する(ステップS203)。ついで、第1部材421、コア材423及び吸着剤424を真空チャンバ内に配置する(ステップS204)。
次に、真空チャンバ内を真空引きすることにより、第1部材421の内部を真空引きする(ステップS205)。そして、第1部材421の内部空間が、所定の真空度になると、第2部材422により、第1部材421の第1開口部421Bを封止する(ステップS206)。具体的には、例えば、第2部材422における第1部材421のフランジ部421Aとの当接部分を加熱して、第2部材422の当該部分をフランジ部421Aに熱圧着させて、第1開口部421Bを密閉する。なお、第2部材422とフランジ部421Aとを接着剤により接着することにより、第1開口部421Bを密閉してもよい。
このように構成された、本実施の形態3に係る真空断熱体101であっても、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態4)
[真空断熱体の構成]
図28は、本実施の形態4に係る真空断熱体の概略構成を示す模式図である。また、図29は、図28に示す真空断熱体のE部分を拡大した断面図であり、図30は、図28に示す真空断熱体のF部分を拡大した断面図である。
図28〜図30に示すように、本実施の形態4に係る真空断熱体101は、図1及び図2に示す断熱機器100の第2冷凍室扉6の一部を構成している。すなわち、第2冷凍室扉6は、本実施の形態4に係る真空断熱体101と、ガスケット661と、ハンドル662と、真空断熱体101にハンドル662を取り付けるためのネジ663と、を備えている。そして、本実施の形態4に係る真空断熱体101は、外板601、ガスバリア容器602、及び当該ガスバリア容器602を収納する内箱603を備えている。
外板601は、平板状に形成されていて、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されている。外板601とガスバリア容器602は、シート状(フィルム状)の接着剤604により接着されている。接着剤604としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
また、外板601の適所には、2つの貫通孔601Aが設けられている。貫通孔601Aは、内面側の開口面積が外面側の開口面積よりも大きくなるように、テーパー状に形成されていて、ネジ663の頭部が収納されるように構成されている。
内箱603は、正面が開放されていて、第2開口部603Cを有する箱状に形成されている。内箱603の第2開口部603Cは、外板601により閉鎖されている。また、内箱603の背面は、段状に形成されていて、背面の周縁部分である第1主面603Aと、背面の中央部分である第2主面603Bと、を有している。内箱603の第1主面603Aには、ガスケット661が取付けられている。また、第2主面603Bの両端部には、突起部603Dが形成されている。
また、内箱603の内面におけるガスバリア容器602と対向する面(底面)には、接着剤605が配置されている。接着剤605は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤605は底面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
部分的に塗布する場合は、少なくともガスケット661と対向する部分に塗布することが望ましい。これにより、ガスバリア容器602と内箱603の間に生じる空間と、外部と、の連通(空気の出入り)を阻止することができ、断熱機器(冷蔵庫)の吸熱負荷をさらに低減することができる。
なお、本実施の形態4に係る真空断熱体101のガスバリア容器602は、実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態4に係る真空断熱体101であっても、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。特に、本実施の形態4に係る真空断熱体101では、内箱603の第2主面603Bの両端部に突起部603Dを有するような複雑な形状を有しているため、その作用効果が顕著なものとなる。
(実施の形態5)
[真空断熱体の構成]
図31は、本実施の形態5に係る真空断熱体(冷蔵庫本体)の概略構成を示す斜視図である。また、図32は、図31に示す真空断熱体におけるガスバリア容器の縦断面図である。図33は、図32に示すガスバリア容器のG部分を拡大した断面図である。さらに、図34は、図31に示す真空断熱体の横断面図である。図35は、図34に示す真空断熱体のH部分を拡大した断面図である。図36は、図34に示す真空断熱体を構成する各部材を展開した展開図である。
なお、図31においては、冷蔵庫本体における上下方向を図における上下方向を表している。また、図32〜図34においては、ガスバリア容器における上下方向を図における上下方向を表している。
図31〜図36に示すように、本実施の形態5に係る真空断熱体101は、図1及び図2に示す断熱機器100の冷蔵庫本体2の一部を構成している。そして、本実施の形態5に係る真空断熱体101は、正面が開放されている箱状のガスバリア容器202と、ガスバリア容器202における、5つの外側の主面のそれぞれに取り付けられている外板201と、ガスバリア容器202の内面に取り付けられている内箱203と、を備えている。
外板201は、平板状に形成されていて、鋼板等で構成されている。外板201とガスバリア容器202は、シート状(フィルム状)の接着剤により接着されている。接着剤としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱203は、正面が開放されていて、第2開口部203Cを有する箱状に形成されている。なお、第2開口部203Cは、冷蔵室扉3〜第2冷凍室扉6により閉鎖されている(図1及び図2参照)。
内箱203の内面におけるガスバリア容器202と対向する面には、接着剤が配置されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は内箱203の内面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
また、図2に示すように、冷蔵庫本体2における、蒸発器9と蒸発皿20との間の部分には、貫通孔210が設けられている。より詳しくは、貫通孔210は、凹部2Bを形成する上面に設けられている。
貫通孔210は、外板201における凹部2Bを形成する上面に設けられた貫通孔と、内箱203における凹部2Bを形成する上面に設けられた貫通孔と、ガスバリア容器202における凹部2Bを形成する上面に設けられた貫通孔421Eと、から構成されている(図2、図32、及び図33参照)。
ガスバリア容器202における貫通孔421Eは、例えば、以下のようにして形成してもよい。すなわち、ガスバリア容器202の上記凹部2Bを形成する第1部材421の互いに対向する部分(ここでは、上部421Fと下部421G)のうち、少なくとも一方の部分を加熱して、上部421Fと下部421Gを熱溶着させて、平面状の熱溶着部421Dを形成する。そして、熱溶着部421Dに穴あけ加工を行って、貫通孔421Eを形成する。
なお、本実施の形態5に係る真空断熱体101のガスバリア容器202は、実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と基本的構成は同じであるため、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態5に係る真空断熱体101であっても、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態6)
[真空断熱体の構成]
図37は、本実施の形態6に係る真空断熱体の概略構成を模式的に示す斜視図である。また、図38は、図37に示す真空断熱体の縦断面図である。
図37及び図38に示すように、本実施の形態6に係る真空断熱体101は、図1及び図2に示す断熱機器100の仕切壁16を構成している。仕切壁16は、板状に形成されていて、断熱機器100の背面側には、冷却流路10を構成するダクト、又は冷気の風量を制御するダンパ等(図示せず)を配置するための凹部16Aが形成されている。また、本実施の形態6に係る真空断熱体101は、外板161、ガスバリア容器162、及び当該ガスバリア容器162を収納する内箱163を備えている。
外板161は、平板状に形成されていて、断熱機器100の背面側に凹部が形成されている。また、外板161は、樹脂成形等で構成されている。外板161とガスバリア容器162は、シート状(フィルム状)の接着剤164により接着されている。接着剤164としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱163は、上面が開放されていて、第2開口部163Cを有する箱状に形成されている。内箱163の第2開口部163Cは、外板161により閉鎖されている。
また、内箱163の内面におけるガスバリア容器162と対向する面(底面)には、接着剤(図示せず)が配置されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は底面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
なお、本実施の形態6に係る真空断熱体101のガスバリア容器162は、実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態6に係る真空断熱体101であっても、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態7)
[真空断熱体の構成]
図39は、本実施の形態7に係る真空断熱体の概略構成を模式的に示す斜視図である。また、図40は、図39に示す真空断熱体の縦断面図である。
図39及び図40に示すように、本実施の形態7に係る真空断熱体101は、図1及び図2に示す断熱機器100の冷却室壁体19を構成している。冷却室壁体19は、仕切壁16と仕切壁17とを接続していてい、段状に形成されている。また、本実施の形態7に係る真空断熱体101は、外板191、ガスバリア容器192、及び当該ガスバリア容器192を収納する内箱193を備えている。
外板191は、複数の段部を有し、断熱機器100の正面視にて、平板状に形成されている。また、外板191は、樹脂成形等で構成されている。外板191とガスバリア容器192は、シート状(フィルム状)の接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱193は、正面が開放されていて、第2開口部193Cを有する箱状に形成されている。内箱193の第2開口部193Cは、外板191により閉鎖されている。
また、内箱193の内面におけるガスバリア容器192と対向する面(底面)には、接着剤(図示せず)が配置されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は底面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
なお、本実施の形態7に係る真空断熱体101のガスバリア容器192は、実施の形態1に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態7に係る真空断熱体101であっても、実施の形態1に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態8)
[断熱機器の構成]
図41は、本実施の形態8に係る真空断熱筐体を備える断熱機器(実施の形態8に係る断熱機器;冷蔵庫)の斜視図である。図42は、図41に示す断熱容器の断面図である。図43は、図42に示す断熱機器のI部分を拡大した断面図である。
図41〜図43に示すように、本実施の形態8に係る断熱機器100は、複数の貯蔵室を有する冷蔵庫本体2、冷蔵室扉3、製氷室扉4A、第1冷凍室扉4B、野菜室扉5、第2冷凍室扉6、圧縮器8、及び蒸発器9を備えている。
冷蔵庫本体2の上部には、冷蔵庫本体2の天面から下方に凹むように、凹部2Aが形成されている。凹部2Aは、圧縮器8が配置される機械室を構成する。また、冷蔵庫本体2の下部には、冷蔵庫本体2の背面から正面に向かって凹むように、凹部2Bが形成されている。
冷蔵庫本体2における上部の背面側には、冷蔵庫本体2の天面から下方に凹むように、凹部2Aが形成されている。凹部2Aは、圧縮器8が配置される機械室を構成する。また、冷蔵庫本体2の下部には、冷蔵庫本体2の背面から正面に向かって凹むように、凹部2Bが形成されている。
また、冷蔵庫本体2の内部空間は、仕切壁15〜17によって複数の貯蔵室に区画されている。具体的には、冷蔵庫本体2の上部に、冷蔵室11が設けられていて、冷蔵室11の下方に製氷室12と第1冷凍室(図示せず)が横並びに設けられている。また、製氷室12と第1冷凍室の下方には、野菜室13が設けられていて、野菜室13の下方には、第2冷凍室14が設けられている。
また、冷蔵庫本体2の正面は、開放されていて、冷蔵室扉3〜第2冷凍室扉6が設けられている。具体的には、冷蔵室11には、回転式の冷蔵室扉3が配置されている。また、製氷室12、第1冷凍室、野菜室13、及び第2冷凍室14には、それぞれ、レール等を有する引き出し式の製氷室扉4A、第1冷凍室扉4B、野菜室扉5、第2冷凍室扉6が配置されている。
凹部2Aには、圧縮器8が配置されている。なお、本実施の形態1においては、圧縮器8を上部に配置する形態を採用したが、これに限定されず、中央部又は下部に配置する形態を採用してもよい。
また、冷蔵庫本体2の中央部の背面側には、冷却室18が設けられている。冷却室18は、仕切壁16と仕切壁17とを接続する冷却室壁体19により、野菜室13の背面側に区画されている。冷却室18には、蒸発器9が配設されている。
蒸発器9は、圧縮器8から供給された冷媒と、冷却室18内に存在する空気との間で熱交換するように構成されている。これにより、蒸発器9周辺の空気が冷却され、冷却された空気は、図示されないファン等により、冷却流路10を介して、冷蔵室11等に供給される。なお、冷却流路10は、図示されない仕切壁と冷蔵庫本体2の背面との間に形成されている空間により構成される。
凹部2Bには、蒸発器9で発生した水を貯めるための蒸発皿20が配置されている。また、冷蔵庫本体2の蒸発器9と蒸発皿20との間の部分には、貫通孔210が設けられている。
そして、本実施の形態8に係る断熱機器100においては、冷蔵庫本体2、冷蔵室扉3、製氷室扉4A、第1冷凍室扉4B、野菜室扉5、第2冷凍室扉6、仕切壁15〜17、及び冷却室壁体19のうち、少なくとも1の部品が、本実施の形態8に係る真空断熱体101が収容された断熱壁を備えている。
[冷蔵庫本体(真空断熱体)の構成]
次に、本実施の形態8に係る真空断熱体の一例として、冷蔵庫本体2について、図41〜図43を参照しながら説明する。
図41〜図43に示すように、冷蔵庫本体2は、外板201と、ガスバリア容器202と、内箱203と、ガスバリア容器202と内箱203の間に配置されている発泡断熱材206と、を備えている。外板201は、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等のガスバリア性の高い金属板又はガラス板で形成してもよい。
外板201とガスバリア容器202は、シート状(フィルム状)の接着剤204により接着されている。接着剤204としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。これにより、外板201とガスバリア容器202とを密着させることができ、ガスバリア容器202の外板201側からガスバリア容器202内へのガスの透過をより抑制することができる。
ガスバリア容器202は、本実施の形態8においては、中空成形(ブロー成形)等により、成形されている。ガスバリア容器202を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。また、ガスバリア容器202の内部空間には、コア材223が配置されている。
コア材223としては、例えば、連続気泡ウレタンフォームで構成されていてもよい。連続気泡ウレタンフォームは、例えば、特許第5310928号に開示されている特徴を有するものであってもよい。この場合、コア材223は、第1部材421の内面(内部空間)と同一形状に形成される。また、コア材223としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール、アルミナ繊維、又はポリエチレンテレフタレート繊維等を用いてもよい。
次に、ガスバリア容器202の壁面の構成について、図44〜図50を参照しながら説明する。
図44は、本実施の形態8に係る真空断熱体におけるガスバリア容器の壁面の一例を示す断面図である。図45〜図49は、本実施の形態8に係る真空断熱体におけるガスバリア容器の壁面の他の例を示す断面図である。
図44に示す例においては、ガスバリア容器202の壁面は、単層34で構成されている。単層板材34を構成する材料としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のガスバリア性の高い材料を用いてもよく、液晶ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等の水分透過度の低い材料を用いてもよい。
これにより、安易な材料構成で、ガスバリア容器202内へのガスの透過を抑制することができ、ガスバリア容器202内を所定の真空度を保つことができるので、断熱性能の低下も抑制することができる。
また、図45に示す例においては、ガスバリア容器202の壁面は、単層34と、単層34の両面に配置された高バリア層35と、で構成されている。高バリア層35を構成する材料としては、アルミニウム又はステンレス等の金属を用いてもよい。この場合、ガスバリア容器202の壁面として、ラミネートフィルムを用いてもよく、高バリア層35としての金属層は、アルミニウム箔等の金属箔であってもよく、アルミニウム等をラミネートフィルム表面に蒸着させて形成してもよい。
高バリア層35を配置することにより、空気又は水等のバリア性を向上させることができる。このため、安価な材料構成で、ガスバリア容器202内へのガスの透過を抑制することができ、ガスバリア容器202内を所定の真空度を保つことができるので、断熱性能の低下も抑制することができる。
図46に示す例においては、ガスバリア容器202の壁面は、空気バリア層36と、空気バリア層36の両面に配置された水バリア層37と、空気バリア層36と水バリア層37を接着する接着層38と、で構成されている。
空気バリア層36を構成する材料としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のガスバリア性の高い材料を用いてもよい。水バリア層37を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の水分透過度の低い材料を用いてもよい。また、接着層38を構成する材料としては、変性ポリエチレン・変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィンなどを用いてもよい。
図47に示す例においては、ガスバリア容器202の壁面は、空気バリア層36と、空気バリア層36の両面に配置された水バリア層37と、空気バリア層36と水バリア層37を接着する接着層38と、水バリア層37の外面側に配置された高バリア層35と、で構成されている。なお、高バリア層35〜接着層38のそれぞれの層については、前述されているので、その詳細な説明は省略する。
また、ガスバリア容器202の壁面を外板側とコア材側でガスバリア性を変化させてもよく、例えば、外板側の方がコア材側よりもガスバリア性が高くなるようにしてもよい。
図48に示す例においては、ガスバリア容器202の壁面は、空気バリア層36と、空気バリア層36の両面に配置された水バリア層37と、空気バリア層36と水バリア層37を接着する接着層38と、外板側に位置する水バリア層37の外面側に配置された高バリア層35と、で構成されていて、高温となる外板側に高バリア層35を配置することにより、高温環境下においても、ガスバリア性を充分に維持することができる。
このため、ガスバリア容器202内へのガスの透過を抑制することができ、ガスバリア容器202内を所定の真空度を保つことができるので、断熱性能の低下も抑制することができる。
さらに、図49に示す例においては、ガスバリア容器202の壁面は、空気バリア層36と、空気バリア層36の両面に配置された水バリア層37と、空気バリア層36と水バリア層37を接着する接着層38と、外板側に位置する水バリア層37と、空気バリア層36との間に配置された廃材混合層45と、で構成されている。なお、高バリア層35〜接着層38のそれぞれの層については、前述されているので、その詳細な説明は省略する。
ここで、図50を参照しながら、廃材混合層45について説明する。
図50は、図49に示すガスバリア容器の壁面を構成する廃材混合層の概略構成を示す断面図である。
図50に示すように、廃材混合層45は、空気バリア層36と、水バリア層37と、接着層38と、が混合された層であり、空気バリア層36を構成するエチレン−ビニルアルコール共重合体等と、水バリア層37を構成するポリエチレン、ポリプロピレン等と、が接着層38を構成する変性ポリオレフィン等で接着されている。
廃材混合層45では、空気バリア層36と水バリア層37が混在しているので、冷蔵庫1の庫外側(外板側)から庫内側(コア材側)への熱の移動が迷路のようになり、熱伝達が悪くなる。また、廃材混合層45は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の単層よりも、空気又は水などのガスバリア性が優位になるため、ガスバリア容器202の周囲温度によっては、廃材混合層45のみで、ガスバリア容器202の壁面を形成してもよい。
以上、様々な形態のガスバリア容器202の壁構造を紹介したが、要求されるガスバリア性能に対応して最適な構造のものを選択すればよい。
次に、図51を参照しながら、ガスバリア容器の材料であるガスバリア性の樹脂の使用環境温度とガス透過度の関係を説明する。
図51は、ガスバリア性を有する樹脂における、使用環境温度(周囲温度)とガス透過度の関係を示すグラフである。
図51に示すように、ガスバリア性の樹脂におけるガス透過度は、周囲の環境が高温側になるほど、材料の分子間に微細な隙間が生じるので、悪化する。一方、低温側では逆に、分子間の隙間が減少するので、ガス透過度は良化する傾向となる。つまり、高温になる程、ガスバリア性能が劣化するという特徴がある。
故に、使用箇所又は使用環境の温度帯によって、最適なガスバリア性能を満たすガスバリア容器の壁面(厚み又は材料)を選択することで、断熱性能の最適化と低コスト化を図ることができる。
したがって、冷蔵庫を構成している各箇所の周囲温度から、ガス透過度の最適化を図るために、ガスバリア容器202の壁面の構造を変化させてもよい。
例えば、図51に示す周囲温度と樹脂材料のガス透過度の関係図において、C又はDで示される範囲のような、周囲温度が低温域である箇所では、ガス透過度も低く設定することができる。このため、図44に示す例のように、ガスバリア容器202の壁面を単層34で構成してもよい。また、Bで示される範囲のような、周囲温度が0℃以上の高温域のみである箇所では、高温側のガスバリア性のみ向上させるために、ガスバリア容器202の壁面を、図45に示す例のように、単層34の両面に金属箔等の高バリア層35を施したもので構成してもよい。
また、Aで示される範囲のように、周囲温度が低温域から高温域まで広い範囲となる箇所では、ガスバリア性の透過ガス別の構成が必要となり、ガスバリア容器202の壁面を、図46に示す例のように、空気バリア層36と水バリア層37の多層で構成してもよい。さらに、Eに示される範囲のように、周囲温度がAで示される範囲よりもより広範囲となる箇所では、図47に示す例のように、空気バリア層36、水バリア層37、及び高バリア層35の多層で構成してもよい。
具体的には、例えば、冷蔵庫の外気温度を20℃とすると、冷蔵庫1の各箇所により、周囲温度が異なるため、冷蔵庫を構成する各箇所のガスバリア容器202の壁面は、以下のようになる。
冷蔵庫本体2は、外気温度と圧縮器8の影響により、周囲温度の高温側が約40℃となり、蒸発器9の影響により、周囲温度の低温側が約−30℃となる。このため、冷蔵庫本体2を構成するガスバリア容器202の壁面は、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Eの範囲を満たすものを選択してもよい。
同様に、冷蔵室扉3では、外気温度の影響により、周囲温度の高温側が約20℃となり、冷蔵室11の影響により、周囲温度の低温側が約2℃となるので、冷蔵室扉3を構成するガスバリア容器202の壁面は、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Bの範囲を満たすものを選択してもよい。
製氷室扉4Aでは、外気温度の影響により、周囲温度の高温側が約20℃となり、製氷室12の室温の影響により、周囲温度の低温側が約−18℃となるので、製氷室扉4Aを構成するガスバリア容器202の壁面は、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Aの範囲を満たすものを選択してもよい。
野菜室扉5では、外気温度の影響により、周囲温度の高温側が約20℃となり、野菜室13の室温により、周囲温度の低温側が約5℃となるので、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Bの範囲を満たすものを選択してもよい。
冷凍室扉6では、外気温度の影響により、周囲温度の高温側が約20℃となり、第2冷凍室14の室温により、周囲温度の低温側が−18℃となるので、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図におけるAの範囲を満たすものを選択してもよい。
仕切壁15では、冷蔵室11の室温により、周囲温度の高温側が約5℃で、製氷室12の室温により、周囲温度の低温側が約−18℃となるので、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Cの範囲を満たすものを選択してもよい。
また、仕切壁16では、野菜室13の室温により、周囲温度の高温側が約5℃となり、製氷室12の室温により、周囲温度の低温側が約−18℃となるので、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Cの範囲を満たすものを選択してもよい。
仕切壁17では、野菜室13の室温により、周囲温度の高温側が約5℃となり、第2冷凍室14の室温により、周囲温度の低温側が約−18℃となるので、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Cの範囲を満たすものを選択してもよい。
冷却室壁体19では、野菜室13の室温により、周囲温度の高温側が約5℃で、冷却室18の室温により、周囲温度の低温側が約−20℃となるので、図51に示す周囲温度とガス透過度の関係図における、Dの範囲を満たすものを選択してもよい。
[真空断熱体及びそれを備える断熱機器の作用効果]
以上のように構成された、本実施の形態8に係る真空断熱体101及びそれを備える断熱機器100の作用効果について説明する。
本実施の形態8に係る真空断熱体101では、外板201をガスバリア性の高い金属板又はガラス板で形成することで、真空断熱体101(断熱機器100)の外部から内部へのガスの透過を充分に抑制することができる。
また、本実施の形態8に係る真空断熱体101では、シート状の接着剤204により、外板201とガスバリア容器202を接着しているため、外板201とガスバリア容器202とを密着させることができ、外板201とガスバリア容器202の間に隙間が生じることを抑制することができる。このため、ガスバリア容器202の外板201側からガスバリア容器202内へのガスの透過をより抑制することができ、断熱性能の低下を充分に抑制することができる。
さらに、本実施の形態8に係る真空断熱体101では、自由に形状を形成することができる中空形成により、ガスバリア容器202を形成している。このため、ガスバリア容器202の内面形状を内箱203の内面と同一形状に形成することができ、ガスバリア容器202と内箱203との間に隙間が生じることを抑制することができる。
これにより、ガスバリア容器202と内箱203との間で、空気が対流することが抑制され、断熱性能を向上させることができる。また、ガスバリア容器202と内箱203を密着させることで、真空断熱体101の剛性強度を向上させることができる。
(実施の形態9)
[真空断熱体の構成]
図52は、本実施の形態9に係る真空断熱体(製氷室扉)の概略構成を模式的に示す斜視図であり、真空断熱体(製氷室扉)の正面方向から見た斜視図である。図53は、図52に示す製氷室扉の背面方向から見た斜視図である。図54は、図52に示す製氷室扉を構成する各部材を展開した展開図である。図55は、図52に示す製氷室扉における真空断熱体の縦断面図であり、図56は、図55に示す真空断熱体を構成する各部材を展開した展開図である。
また、図57は、図52に示す製氷室扉におけるガスバリア容器の第1部材の縦断面図である。図58は、図52に示すガスバリア容器の縦断面図である。図59は、図52に示すガスバリア容器の縦断面図である。なお、図57〜図59は、ガスバリア容器の封止工程を示している。
さらに、図60は、図59に示すガスバリア容器のJ部分を拡大した模式図である。図61は、図59に示すガスバリア容器のK部分を拡大した模式図である。図62は、図59に示すガスバリア容器のL部分を拡大した模式図である。
図52〜図54に示すように、本実施の形態9に係る真空断熱体101は、図41及び図42に示す製氷室扉4Aの一部を構成している。すなわち、製氷室扉4Aは、真空断熱体101と、ガスケット441と、一対のフレーム442と、複数のネジ443と、を備えている。また、図55〜図59に示すように、真空断熱体101は、外板401、ガスバリア容器402、及び当該ガスバリア容器402を収納する内箱403を備えている。
外板401は、平板状に形成されていて、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されている。外板401とガスバリア容器402は、シート状(フィルム状)の接着剤404により接着されている。接着剤404としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱403は、第2開口部403Cを有する箱状に形成されていて、その正面が第2開口部403Cにより開放されている。内箱403の第2開口部403Cは、外板401により閉鎖されている。また、内箱403の背面は、段状に形成されていて、背面の周縁部分である第1主面403Aと、背面の中央部分である第2主面403Bと、を有している(図53及び図56参照)。
内箱403の第1主面403Aには、ガスケット441を配置するためのガスケット溝403Fが第2主面403Bを囲むように形成されている。また、内箱403の第2主面403Bの下部には、一対のフレーム442が、ネジ443によりネジ止めされている(図52及び図53参照)。
また、内箱403の内面におけるガスバリア容器402と対向する面(底面)には、接着剤(図示せず)が配置されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は底面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
部分的に塗布する場合は、少なくともガスケット441と対向する部分に塗布することが望ましい。これにより、ガスバリア容器402と内箱403の間に生じる空間と、外部と、の連通(空気の出入り)を阻止することができ、断熱機器(冷蔵庫)の吸熱負荷をさらに低減することができる。
ガスバリア容器402は、第1部材421、コア材423、及び吸着剤424を有している。第1部材421で形成される筐体の内部空間には、コア材423と吸着剤424が配置されていて、ガスバリア容器402は、当該内部空間が所定の真空度になるように構成されている。
第1部材421は、内箱403の内面形状に併せて、中空成形により、作製された成形品であり、箱状に形成されている。
なお、第1部材421を構成する壁面は、図44〜図49に示すいずれかの壁面で構成されていてもよい。例えば、第1部材421を構成する壁面は、外板401側の壁面の厚みT1と、内箱403側の壁面の厚みT2を同じにしてもよい(図57参照)。この場合、外板401側の壁面の材質を、内箱403側の壁面よりもガスバリア性の高い材質で構成してもよい。
また、第1部材421を構成する壁面は、外板401側の壁面の厚みT1の方が、内箱403側の壁面の厚みT2よりも厚くなるように形成してもよい。これにより、製氷室扉4Aにおいて、周囲温度が高温となる外板401側のガスバリア性を高くすることで、高温側のガスバリア性を充分に保つことができ、断熱性能の低下を充分に抑制することができる。
また、第1部材421の背面の適所には、ガスバリア容器402の内部(第1部材421の内部)に、コア材423を構成するウレタン等を充填し、ガスバリア容器402の内部を真空引きするための第1貫通孔421Cが設けられている。第1貫通孔421Cの周縁部には、封止部材425が配設されている。封止部材425は、第1貫通孔421Cを封止するように構成されている(図62参照)。
さらに、第1部材421の上面には、ウレタン等を充填するときに、第1部材421の内部の空気を外部に排出するための空気逃げ孔421Hが設けられている。空気逃げ孔421Hの周縁部には、封止部材426が配設されている(図60参照)。同様に、第1部材421の下面には、空気逃げ孔421Iが設けられていて、空気逃げ孔421Iの周縁部には、封止部材427が配設されている(図61参照)。
なお、空気逃げ孔421H及び空気逃げ孔421Iは、中空成形時の空気注入口を用いている。また、封止部材426及び封止部材427は、第1部材421を中空成形するときに形成されるパーティングライン(図示せず)を覆うように配設されている。
そして、第1部材421の第1貫通孔421Cからウレタンが充填されるときに、空気逃げ孔421H及び空気逃げ孔421Iから第1部材421内部の空気が外部に排出される。第1部材421の内部空間にウレタンが充填され、所定の真空度になると、第1貫通孔421C、空気逃げ孔421H、及び空気逃げ孔421Iを、封止部材425〜427で封止する。
封止部材425〜427としては、例えば、ラミネートフィルムであってもよい。ラミネートフィルムの材料としては、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリアクリロニトリルフィルム等の熱可塑性樹脂、或いはそれらの混合体を使用してもよい。
また、ラミネートフィルムは、アルミニウム又はステンレス等の金属層を有していてもよい。この場合、金属層は、ラミネートフィルムの内部に形成されていてもよく、ラミネートフィルムの表面に形成されていてもよい。また、金属層は、アルミニウム箔等の金属箔であってもよく、アルミニウム等をラミネートフィルム表面に蒸着させて形成してもよい。
なお、封止部材425〜427は、ガスバリア性を有していれば、どのような態様であってもよく、例えば、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されていてもよい。また、封止部材425〜427として、ラミネートフィルムを用いた場合には、封止部材425〜427は、第1部材421に溶着されることで、第1貫通孔421C等を封止してもよい。さらに、封止部材425〜427として、ガラス板又はプリコート鋼板を用いた場合には、接着剤を用いて、当該封止部材425〜427を第1部材421に接着させることで、第1貫通孔421C等を封止してもよい。
コア材423としては、例えば、連続気泡ウレタンフォームで構成されていてもよい。連続気泡ウレタンフォームは、例えば、特許第5310928号に開示されている特徴を有するものであってもよい。この場合、コア材423は、第1部材421の内面(内部空間)と同一形状に形成される。また、コア材423としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール、アルミナ繊維、又はポリエチレンテレフタレート繊維等を用いてもよい。
吸着剤424としては、水分を吸着除去する水分吸着剤と大気ガス等のガスを吸着する気体吸着剤が挙げられる。水分吸着剤としては、例えば、酸化カルシウム、又は酸化マグネシウム等の化学吸着物質、或いは、ゼオライトのような物理吸着物質を用いることができる。
また、気体吸着剤は、気体中に含まれる非凝縮性気体を吸着できる吸着材料と容器で構成されている。吸着材料としては、ジルコニウム、バナジウム及びタングステンからなる合金、鉄、マンガン、イットリウム、ランタンと希土類元素の1種の元素を含む合金、Ba−Li合金、並びに、金属イオン(例えば、銅イオン)とイオン交換したゼオライト等が挙げられる。
[真空断熱体及びそれを備える断熱機器の作用効果]
以上のように構成された、本実施の形態9に係る真空断熱体101及びそれを備える断熱機器100の作用効果について説明する。
本実施の形態9に係る真空断熱体101では、外板401をガスバリア性の高い金属板又はガラス板で形成することで、真空断熱体101(断熱機器100)の外部から内部へのガスの透過を充分に抑制することができる。
また、本実施の形態9に係る真空断熱体101では、シート状の接着剤404により、外板401とガスバリア容器402を接着しているため、外板401とガスバリア容器402とを密着させることができ、外板401とガスバリア容器402の間に隙間が生じることを抑制することができる。このため、ガスバリア容器402の外板401側からガスバリア容器402内へのガスの透過をより抑制することができ、断熱性能の低下を充分に抑制することができる。
また、本実施の形態9に係る真空断熱体101では、自由に形状を形成することができる中空形成により、ガスバリア容器402を形成している。このため、ガスバリア容器402の内面形状を内箱403の内面と同一形状に形成することができ、ガスバリア容器402と内箱403との間に隙間が生じることを抑制することができる。
これにより、ガスバリア容器402と内箱403との間で、空気が対流することが抑制され、断熱性能を向上させることができる。また、ガスバリア容器402と内箱403を密着させることで、真空断熱体101の剛性強度を向上させることができる。
また、本実施の形態9に係る真空断熱体101では、第1部材421の第1貫通孔421Cと封止部材425を低温側となる内箱403側に配置している。これにより、封止部材425が高温にさらされることが抑制されるため、封止部材425の接着状態が充分に維持することができる。このため、ガスバリア容器402内の真空度が充分に保たれ、断熱性能の低下を充分に抑制することができる。したがって、本実施の形態9に係る真空断熱体101は、真空断熱性能を長期間保証することができる。
また、本実施の形態9に係る真空断熱体101では、第1部材421に空気逃げ孔421H及び空気逃げ孔421Iを設けることにより、第1部材421の内部にウレタンを充填し、発泡させるときに、第1部材421内部の空気が空気逃げ孔421H及び空気逃げ孔421Iから排出される。このため、ウレタンが、第1部材421内部に予め設定された所定の充填量を充填することができ、充分な真空断熱性能を実現することができる。
また、本実施の形態9に係る真空断熱体101では、ガスバリア容器402内に吸着剤424が配設されている。これにより、ガスバリア容器402内部に透過した空気又は水等のガスが、吸着剤424により吸着されるので、ガスバリア容器402内部が所定の真空度を長期に保つことができる。このため、本実施の形態9に係る真空断熱体101は、真空断熱性能を長期間保証することができる。
また、封止部材425〜427の材料を第1部材421の壁面のうち、最も外側に位置する層の材料と同じ材料をラミネートしたラミネートフィルムとすると、第1部材421の壁面への溶着がより強固となる。このため、第1貫通孔421C、空気逃げ孔421H、又は空気逃げ孔421Iの密閉状態を長期に亘って保つことができる。したがって、ガスバリア容器402内部が所定の真空度を長期に保つことができ、本実施の形態9に係る真空断熱体101は、真空断熱性能を長期間保証することができる。
さらに、本実施の形態9に係る真空断熱体101では、封止部材426及び封止部材427は、第1部材421を中空成形するときに形成されるパーティングライン(図示せず)を覆うように配設されている。このため、第1部材421の空気逃げ孔421H及び空気逃げ孔421Iの密閉状態を充分に保つことができ、ガスバリア容器402内部へのガスの透過をより抑制することができる。したがって、ガスバリア容器402内部が所定の真空度を長期に保つことができ、本実施の形態9に係る真空断熱体101は、真空断熱性能を長期間保証することができる。
[変形例1]
次に、本実施の形態9に係る真空断熱体101の変形例について、図63〜図65を参照しながら説明する。
[真空断熱体の構成]
図63は、本実施の形態9における変形例1の真空断熱体(製氷室扉)を構成する各部材を展開した展開図である。図64は、図63に示す製氷室扉における真空断熱体の縦断面図である。図65は、図63に示す製氷室扉における真空断熱体を構成する各部材を展開した展開図である。
図63〜図65に示すように、本実施の形態9における変形例1の真空断熱体101は、実施の形態9に係る真空断熱体101と基本的構成は同じであるが、内箱403の構成が異なる。具体的には、内箱403は、枠状の周縁部材413と内箱403の底面を構成する底部材414から構成されている。なお、周縁部材413は、一体的に構成されていてもよく、複数の部材から構成されていてもよい。例えば、周縁部材413は、内箱403の4つの側面を構成するように、4つの短冊状の部材から構成されていてもよい。
これにより、製氷室扉4Aにおける側面の設計自由度を高めることができ、意匠性及び使い勝手を高めた断熱扉を提供することができる。
なお、本変形例1においては、製氷室扉4Aの側面を周縁部材413で構成する形態を採用したが、これに限定されない。例えば、製氷室扉4Aの側面を外板401の一部と、一対の短冊状の部材と、で構成される形態を採用してもよい。具体的には、例えば、外板401の左右の一対の側面を折り曲げることにより、製氷室扉4Aの左右の側面を形成させ、製氷室扉4Aの上下の側面を一対の短冊状の部材で構成してもよい。
また、本変形例1における真空断熱体101の内箱403の構成は、上記実施の形態1〜9に係る真空断熱体101の内箱403の構成に用いてもよい。
(実施の形態10)
[真空断熱体の構成]
図66は、本実施の形態10に係る真空断熱体(冷蔵庫本体)の概略構成を示す斜視図である。図67は、図66に示す真空断熱体におけるガスバリア容器の縦断面図である。また、図68は、図67に示すガスバリア容器のM部分を拡大した断面図である。図69は、図67に示すガスバリア容器のN部分を拡大した断面図である。図70は、図67に示すガスバリア容器のO部分を拡大した断面図である。図71は、図67に示すガスバリア容器のP部分を拡大した断面図である。
なお、図66においては、冷蔵庫本体における上下方向を図における上下方向を表している。また、図67においては、ガスバリア容器における上下方向を図における上下方向を表している。
図66及び図67に示すように、本実施の形態10に係る真空断熱体101は、図41及び図42に示す断熱機器100の冷蔵庫本体2の一部を構成している。そして、本実施の形態10に係る真空断熱体101は、正面が開放されている箱状のガスバリア容器202と、ガスバリア容器202における、5つの外側の主面のそれぞれに取り付けられている外板201と、ガスバリア容器202の内面に取り付けられている内箱203と、を備えている。
外板201は、平板状に形成されていて、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されている。外板201とガスバリア容器202は、シート状(フィルム状)の接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱203は、正面が開放されていて、第2開口部を有する箱状に形成されている。なお、第2開口部は、冷蔵室扉3〜第2冷凍室扉6により閉鎖されている(図41及び図42参照)。
内箱203とガスバリア容器202は、接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は内箱203の内面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
また、図42、図67、及び図68に示すように、冷蔵庫本体2における、蒸発器9と蒸発皿20との間の部分には、貫通孔210が設けられている。より詳しくは、貫通孔210は、凹部2Bを形成する上面に設けられている。
貫通孔210は、外板201における凹部2Bを形成する上面に設けられた貫通孔と、内箱203における凹部2Bを形成する上面に設けられた貫通孔と、ガスバリア容器202における凹部2Bを形成する上面に設けられた貫通孔421Eと、から構成されている。
ガスバリア容器202における貫通孔421Eは、例えば、以下のようにして形成してもよい。すなわち、ガスバリア容器202の上記凹部2Bを形成する第1部材421の互いに対向する部分(ここでは、上部421Fと下部421G)のうち、少なくとも一方の部分を加熱して、上部421Fと下部421Gを熱溶着させて、平面状の熱溶着部421Dを形成する。そして、熱溶着部421Dに穴あけ加工を行って、貫通孔421Eを形成する。
また、ガスバリア容器202(第1部材421)における内箱203側の主面には、ガスバリア容器202の内部(第1部材421の内部)に、コア材423を構成するウレタン等を充填し、ガスバリア容器202の内部を真空引きするための第1貫通孔421Cが設けられている。第1貫通孔421Cの周縁部には、封止部材425が配設されている。封止部材425は、第1貫通孔421Cを封止するように構成されている(図67及び図71参照)
さらに、ガスバリア容器202(第1部材421)の正面上部には、空気逃げ孔421Hが設けられている。空気逃げ孔421Hの周縁部には、封止部材426が配設されている(図67及び図69参照)。同様に、ガスバリア容器202(第1部材421)の正面下部には、空気逃げ孔421Iが設けられていて、空気逃げ孔421Iの周縁部には、封止部材427が配設されている(図67及び図72参照)。
なお、本実施の形態10に係る真空断熱体101のガスバリア容器202は、実施の形態9に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と基本的構成は同じであるため、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態10に係る真空断熱体101であっても、実施の形態9に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態10においては、内箱403が、1の部材で構成されている形態を採用したが、これに限定されず、上記実施の形態9における変形例1の内箱403の構成を採用してもよい。
[変形例1]
次に、本実施の形態10に係る真空断熱体101の変形例について、図72を参照しながら説明する。
図72は、本実施の形態10における変形例1の真空断熱体のガスバリア容器の縦断面図である。
図72に示すように、本変形例1の真空断熱体101におけるガスバリア容器202は、実施の形態10に係るガスバリア容器202と基本的構成は同じであるが、ガスバリア容器202の下部(図72で符号Qで囲まれた部分)の厚みが、他の部分の厚みよりも大きくなるように形成されている点が異なる。なお、符号Qで囲まれた部分は、第2冷凍室14を構成する部分である。
これにより、ガスバリア容器202における符号Qで囲まれた部分は、他の部分に比して、断熱性能が高くなり、第2冷凍室14の室温の変動を抑制することができる。
また、このように構成された本変形例1の真空断熱体101であっても、実施の形態10に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態11)
[真空断熱体の構成]
図73は、本実施の形態11に係る真空断熱体の概略構成を模式的に示す斜視図である。また、図74及び図75は、図73に示す真空断熱体におけるガスバリア容器の縦断面図であり、図74は、ガスバリア容器の中央部分を切断した断面図であり、図75は、ガスバリア容器の端部を切断した断面図である。
図73〜図75に示すように、本実施の形態11に係る真空断熱体101は、図41及び図42に示す断熱機器100の仕切壁16を構成している。仕切壁16は、板状に形成されていて、断熱機器100の背面側には、冷却流路10を構成する仕切壁(図示せず)を配置できるように、凹部16Aが形成されている。また、本実施の形態11に係る真空断熱体101は、外板161、ガスバリア容器162、及び当該ガスバリア容器162を収納する内箱163を備えている。なお、外板161は、真空断熱体101における周囲温度の高温側(下部;野菜室13側)に配置されている。
外板161は、平板状に形成されていて、断熱機器100の背面側に凹部が形成されている。また、外板161は、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されている。外板161とガスバリア容器162は、シート状(フィルム状)の接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱163は、下面が開放されていて、第2開口部を有する箱状に形成されている。内箱163の第2開口部は、外板161により閉鎖されている。
内箱163とガスバリア容器162は、接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は内箱163の内面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
ガスバリア容器162(第1部材421)における内箱163側の主面(上面)には、ガスバリア容器162の内部(第1部材421の内部)に、コア材423を構成するウレタン等を充填し、ガスバリア容器162の内部を真空引きするための第1貫通孔421Cが設けられている。第1貫通孔421Cの周縁部には、封止部材425が配設されている。封止部材425は、第1貫通孔421Cを封止するように構成されている(図74及び図75参照)
さらに、ガスバリア容器162(第1部材421)の正面には、空気逃げ孔421Hが設けられている。空気逃げ孔421Hの周縁部には、封止部材426が配設されている(図74及び図75参照)。同様に、ガスバリア容器162(第1部材421)の背面には、空気逃げ孔421Iが設けられていて、空気逃げ孔421Iの周縁部には、封止部材427が配設されている(図75参照)。
なお、本実施の形態11に係る真空断熱体101のガスバリア容器162は、実施の形態9に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態11に係る真空断熱体101であっても、実施の形態9に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態11においては、内箱403が、1の部材で構成されている形態を採用したが、これに限定されず、上記実施の形態9における変形例1の内箱403の構成を採用してもよい。
(実施の形態12)
[真空断熱体の構成]
図76は、本実施の形態12に係る真空断熱体の概略構成を模式的に示す斜視図である。また、図77は、図76に示す真空断熱体におけるガスバリア容器の縦断面図である。
図76及び図77に示すように、本実施の形態12に係る真空断熱体101は、図41及び図42に示す断熱機器100の冷却室壁体19を構成している。冷却室壁体19は、仕切壁16と仕切壁17とを接続していてい、段状に形成されている。また、本実施の形態12に係る真空断熱体101は、外板191、ガスバリア容器192、及び当該ガスバリア容器192を収納する内箱193を備えている。
外板191は、複数の段部を有し、断熱機器100の正面視にて、平板状に形成されている。また、外板191は、ガラス板又はプリコート鋼板等で構成されている。外板191とガスバリア容器192は、シート状(フィルム状)の接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤としては、例えば、変性シリコーンで構成されていてもよく、また、変性ポリオレフィン等で構成されていてもよい。
内箱193は、正面が開放されていて、第2開口部を有する箱状に形成されている。内箱193の第2開口部は、外板191により閉鎖されている。
また、内箱193とガスバリア容器192は、接着剤(図示せず)により接着されている。接着剤は、例えば、変性シリコーン等で構成されていてもよい。なお、接着剤は内箱193の内面の全面に塗布してもよいし、部分的に塗布してもよい。
ガスバリア容器192(第1部材421)の背面には、ガスバリア容器192の内部(第1部材421の内部)に、コア材423を構成するウレタン等を充填し、ガスバリア容器192の内部を真空引きするための第1貫通孔421Cが設けられている。第1貫通孔421Cの周縁部には、封止部材425が配設されている。封止部材425は、第1貫通孔421Cを封止するように構成されている(図77参照)
さらに、ガスバリア容器192(第1部材421)の上面には、空気逃げ孔421Hが設けられている。空気逃げ孔421Hの周縁部には、封止部材426が配設されている(図77参照)。同様に、ガスバリア容器192(第1部材421)の下面には、空気逃げ孔421Iが設けられていて、空気逃げ孔421Iの周縁部には、封止部材427が配設されている(図77参照)。
なお、本実施の形態12に係る真空断熱体101のガスバリア容器192は、実施の形態9に係る真空断熱体101のガスバリア容器402と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された、本実施の形態12に係る真空断熱体101であっても、実施の形態9に係る真空断熱体101と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態12においては、内箱403が、1の部材で構成されている形態を採用したが、これに限定されず、上記実施の形態9における変形例1の内箱403の構成を採用してもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の要旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。