JP6591511B2 - スプリットインテイン、複合体およびそれらの使用 - Google Patents

スプリットインテイン、複合体およびそれらの使用 Download PDF

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Description

米国政府支援の陳述
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH)により与えられた助成番号GM086868の下、米国政府の支援で行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
本出願は、開示の独立した部分として、コンピューター読み取り可能な形式の配列表を含み(ファイル名:47046A_SeqListing.txt;547,838バイト−ASCIIテキストファイル−2013年6月20日作成)、これは引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる。
背景
タンパク質スプライシングは、インテインとして知られるタンパク質ファミリーにより触媒される翻訳後プロセスである(1)。このプロセスでは、インテインドメインがより大きな前駆体タンパク質からのその自己切断を触媒し、同時に2つの隣接するポリペプチド 配列(エクステイン)を相互に連結する。ほとんどのインテインはスプライシングをシスに触媒するが、これらのタンパク質の少数のサブセットは自然に断片化されたドメインとして存在し、これらは別々に発現されるが、速やかに会合してスプライシングをトランスに触媒する。ポリペプチド結合を形成および破壊するそれらの能力を考えて(インテインはタンパク質リガーゼと考えることができる)、シススプライシングインテインおよびトランススプライシングインテインは両方ともケミカルバイオロジーツールとして幅広い用途を見出した(2)。
ケミカルバイオロジーにおいてインテインの使用はますます増えているにもかかわらず、それらの実際の有用性は、このファミリーの2つの共通の特徴、すなわち(i)速度が遅いこと、(ii)直接隣接するエクステイン配列に関してコンテキスト依存性の効率、によって制約を受けてきた(3、4)。最近、シアノ細菌ノストック・パンクチフォルメ(Nostoc punctiforme)(Npu)由来のスプリットインテインは、ほとんどのシスまたはトランススプライシングインテインのような何時間というものではなく、1分程度でタンパク質のトランススプライシングを触媒することが示された(5)。さらに、このインテインは、他のインテインよりも、重要な+2C−エクステイン残基における配列バリエーションの許容性が若干大きかった(6)。
よって、様々なタンパク質精製およびタンパク質修飾適用における使用のための、より頑強(robust)でより効率的なスプリットインテインの必要性が存在する。
概要
スプリットインテインN末端断片およびC末端断片、それらの変異体、ならびにポリペプチド精製および修飾においてこれらのスプリットインテインを使用する方法が開示される。
よって、本明細書では、以下により詳細に記載されるようなポリペプチドとスプリットインテインN末端断片またはその変異体の融合タンパク質が提供される。また、以下に詳細に記載されるような融合タンパク質とスプリットインテインC末端断片またはその変異体との複合体も提供される。融合タンパク質とC末端断片またはその変異体との複合体は、融合タンパク質とC末端断片もしくはその変異体との間の共有結合的相互作用を介するか、または非共有結合的相互作用(例えば、イオン、水素結合、および/またはファンデルワールス相互作用)を介したものであり得る。
さらに本明細書では、スプリットインテインC末端断片またはその変異体も提供される。場合によっては、スプリットインテインC末端断片は、ペプチドリンカー、または以下に詳細に記載されるような他のリンカーなどのリンカーをさらに含んでなる。企図される特異的ペプチドリンカーは、下記のスプリットインテインC末端断片のいずれかと結合した−SGGC(配列番号705)である。リンカーは、支持体、例えば、ビーズ、樹脂、スライドグラス、粒子への目的のスプリットインテインC末端断片の付着を可能とするように調整することができる。
また、以下に詳細に記載されるようなスプリットインテインN末端断片およびC末端断片、またはそれらの変異体を使用する方法も提供される。より詳しくは、本明細書では、(a)(1)以下に詳細に記載されるような、ポリペプチドおよびスプリットインテインN末端断片またはその変異体を含んでなる融合タンパク質と、(2)以下に詳細に記載されるようなスプリットインテインC末端断片またはその変異体とを接触させること;ここで、接触は、前記スプリットインテインN末端断片と前記スプリットインテインC末端断片が結合してインテイン中間体を形成することを可能とする条件下で行われる;および(b)前記インテイン中間体を求核試薬と接触させて、タンパク質と求核試薬の複合体を形成することを含んでなる方法が提供される。種々の実施態様において、スプリットインテインC末端断片またはその変異体は、支持体に結合される。いくつかの実施態様では、支持体は、ビーズ、樹脂、粒子またはスライドグラスである。N末端断片およびC末端断片の選択は同じ野生型スプリットインテインから(例えば、両方ともNpu、または下記に詳細に述べるようなN末端断片もしくはC末端断片のいずれかの変異体から)であり得、あるいはまた異なる野生型スプリットインテインまたは以下に述べるコンセンサススプリットインテイン配列から選択され得ると考えられるが、これは、異なるC末端断片に対するN末端断片の(例えば、Npu N末端断片またはその変異体とSsp C末端断片またはその変異体との)親和性は、開示される方法において使用するのに十分な結合親和性をなお維持することが見出されたためである。さらに、このような知見は、支持体に結合された単一のC末端断片またはその変異体が、N末端断片が本明細書で開示されるもののうちいずれかまたはその変異体である融合タンパク質を用いた本明細書で開示される精製および/または修飾方法において有用であることを考慮する。よって、任意の個々の目的ポリペプチド、例えば、本明細書で開示される他のものよりも良好に発現するものにとって有利なN末端断片を選択することができる。
融合タンパク質は全細胞溶解液中にあっても、または細胞(例えば、哺乳類細胞)から分泌され、細胞上清中にあってもよい。いくつかの場合では、融合タンパク質のポリペプチドは、抗体、例えばIgG抗体である。いくつかの実施態様では、N末端断片は、抗体の一方または両方の重鎖に融合される。いくつかの実施態様では、N末端断片は、抗体の一方または両方の軽鎖に融合される。本明細書で開示される方法は、(求核試薬と接触させる前に)インテイン中間体を洗浄して、例えば、細胞溶解液または細胞上清を除去することをさらに含んでなり得る。
本明細書で開示される方法は、生じたポリペプチドと求核試薬の複合体を単離することをさらに含んでなり得る。よって、本明細書で開示される方法は、組換えタンパク質法により生成されたポリペプチドのための効率的な精製として有用であり得る。
求核試薬は、本ポリペプチドのα−チオエステルである複合体を形成するためにはチオールであり得る。いくつかの場合では、生じたα−チオエステルは、タンパク質修飾のための周知のα−チオエステル化学を用いて第2の求核試薬と接触させることによってさらに修飾することができる。いくつかの場合では、本明細書で開示される方法は、本ポリペプチドの複合体を提供することができ、前記ポリペプチドはいくつかの場合では、抗体(例えば、IgG抗体)、および求核試薬(例えば、薬物、ポリマー、オリゴヌクレオチド)である。
図1は、スプリットDnaEインテインのトランススプライシングを示す。(a)可変ローカルC−エクステイン配列によるKanRタンパク質のタンパク質トランススプライシングを表すスキーム。(b)内因性「CFN」C−エクステイン配列ならびに外因性「CGN」、「CEN」、および「CRN」配列による30℃でのin vivo相対的トランススプライシング効率。IC50値(±SE、n=3〜4)は、適当なC−エクステイントリペプチドを有する完全KanRタンパク質の値に対して正規化したものである。 図2は、トランススプライシング反応のin vitro半減期を示す。示されている、モデルエクステインUbまたはSUMOに融合されたスプリットインテイン対(Ub−IntおよびInt−SUMO)を30℃または37℃のいずれかで混合し、生成物の形成をゲル電気泳動により経時的にモニタリングした。(a)半減期は反応進行曲線から導き出し、標準的な一次速度方程式に当てはめた(±SE、n=3)。(b)37℃での高速Avaスプライシング、および(c)37℃での非効率的Sspスプライシングを示す代表的なクーマシー染色SDS−PAGEゲル。 図3は、スプリットDnaEインテインにおける配列−活性の関係を示す。(a)対応する多重配列アラインメントから選択された切断を伴うin vivoスプライシング活性の順序で示したインテイン。(b)末端触媒残基C1およびN137への120番の位置の近接を強調したNpu構造のレンダリング。(c)AhaインテインにおけるC120G突然変異のin vivo分析(±SD、n=3)。(d)鍵となる触媒残基(棒)とSsp活性を調節する重要な非触媒位置(球)を強調したNpu構造のレンダリング。(e)Ssp活性を向上させるSspからNpuへの点突然変異のin vivo分析(±SD、n=4)。総ての残基のナンバリングはNMR構造(PDB:2KEQ)によって定義されるNpu上の関連位置に相当することに留意されたい(21)。 図4は、操作型の超高速DnaEインテインが効率的な発現タンパク質ライゲーションを補助することを示す。(a)直鎖チオエステル中間体の形成およびEPLを目的とするタンパク質α−チオエステルの生成のためのその使用を示すスキーム。(b)融合AvaDnaEインテインからのユビキチンの効率的MESNaチオ開裂によるUb−MESチオエステル4の生成を示す、クーマシー染色SDS−PAGEゲル。(c)ワンポットチオ開裂および示されたインテインを用いたネイティブケミカルライゲーション反応からのUb−CGK(フルオレセイン)連結産物(6)の形成を示す、蛍光SDS−PAGEゲル。(d)前駆体アミド(1)および直鎖チオエステル(2)の比較集団のpH依存性を示す、逆相HPLCクロマトグラフ。 図5は、スプリットDnaEインテインの配列アラインメントを示す。ナンバリングは、NMR構造(PDB 2KEQ)に関して割り付けられたNpuのナンバリングに従う。重要な触媒残基をアスタリスクで示す。 図6は、高活性および低活性インテインの配列ロゴを示す。インテインは、「CFN」C−エクステイン配列によるin vivo活性に基づいてランク付けされる。高活性および低活性インテインは、カナマイシン350μg/mLのカットオフIC50値に基づいて識別され、Ahaインテインは、C120G突然変異が劇的に高活性を回復させることを考えて、高活性セットに含める。 図7は、スプリットインテインを用いたC末端α−チオエステルの精製を示す。A)スプリットインテインに基づくタンパク質C末端α−チオエステルの精製のスキーム。B)WT Npuおよび固相支持体に固定するためのリンカー(下線)を有するその変異型Npu−AAの配列。溶液中でのチオ開裂実験のために、C末端Cys残基は事前にヨードアセトアミドでアルキル化された。 図8は、Npu−AAアフィニティーカラムを用いた可溶性タンパク質α−チオエステルの精製を示す。A)スプリットNpu DnaEインテインを用いる精製法のスキーム。B)細胞溶解液からのUb−チオエステル(Ub−COSR)の精製。C)細胞溶解液からのMBP−チオエステル(MBP−COSR)の精製。両精製とも、クーマシーで染色したSDSPAGE分析(上)またはα−His抗体を用いたウエスタンブロットによりモニタリングした。 図9は、UbおよびMBP α−チオエステルのRP−HPLCおよびMS分析を示す。A)Npu−AAカラムから溶出したUb−COSRのRP−HPLC(上)およびMS(下)分析。B)Npu−AAカラムから溶出されたMBP−COSRのRP−HPLC(上)およびMS(下)分析。 図10は、樹脂上でのチオ開裂の効率に及ぼす−1残基の影響を示す。UbのC末端に20のタンパク質構成アミノ酸のそれぞれ(−1残基)を含有する20種類の異なるUb−Npuタンパク質を発現させ、Npu−AAカラムで精製した。Npu−AAカラムからの切断収率をゲル電気泳動により評価し、副反応(主に加水分解)に対するチオエステルの量をRP−HPLCおよびMS分析により決定した。 図11は、変性条件下でのH2B(1−116)−α−チオエステルの精製を示す。A)3M尿素の存在下、Npu−AAカラムでのH2B(1−116)α−チオエステルの精製のSDSPAGE分析。パネルAからのE1のRP−HPLC(B)およびMS(C)分析により、所望のH2Bチオエステルの存在が確認された。 図12は、293T細胞で発現したαDECチオエステルの、スプリットインテインカラムを用いた精製を示す。A)293T細胞における、種々のインテインと融合したαDECの発現レベル。B)Npu−AAアフィニティーカラムによるαDEC α−チオエステルの精製。C)αDEC−チオエステルと蛍光ペプチドを含有するN末端Cysとの発現タンパク質ライゲーション(EPL)。 図13は、Int−カラムにより溶出されたチオエステルをそのまま用いた場合のEPLを示す。H−CGK(Fl)−NHペプチドと、Int−カラムを用いて大腸菌から精製したMBP MESチオエステル(A)との間、およびPHPT1 MESチオエステル(B)との間の反応のRP−HPLC(30から73%Bへの勾配、214nmおよび440nmで検出)およびMS分析。 図14は、H−CGK(フルオレセイン)−NHペプチド(CGK(Fl))に対する、ユビキチンのワンポット精製/連結実験。大腸菌細胞溶解液からのUb−NpuをInt−カラムに結合させ、十分洗浄して夾雑物を除去した後、インテイン切断および連結を、200mM MESおよび1mM CGK(Fl)ペプチドの添加により誘導した。クーマシー染色SDS−PAGE分析および精製/連結のゲル内蛍光(左)。溶出画分のRP−HPLC(214nmおよび440nmで検出)およびESI−TOF MS(右)により、所望の連結タンパク質が細胞溶解液から直接、ワンステップで、95%に近い連結収率(RP−HPLCにより定量)で得られたことが確認される。 図15は、変性条件下でのH2B−K120Acの半合成を示す。A)2M尿素の存在下でのH2B(1−116)α−チオエステル生成のクーマシー染色SDS−PAGE分析(sup:細胞溶解液上清、trit:封入体の1%トリトン洗液、inp:Int−カラムのインプットとして使用した可溶化封入体)。E1〜E6をプールし、150μMまで濃縮し、1mMのペプチドH−CVTK(Ac)YTSAK−OHと室温で3時間連結させた。B)ライゲーション反応混合物のRP−HPLC(左)および連結されたH2B−K120Ac産物のMS(右)。 図16は、H−CGK(フルオレセイン)−NH2ペプチド(CGK(Fl))に連結されたαDEC205の特性決定を示す。αDEC205−MESチオエステルを含有するNpu−カラムからの溶出画分を20μMに濃縮し、1mMのCGK(Fl)蛍光ペプチドと室温で48時間連結させた。A)連結後に脱グルコシル化(degycosylated)され、完全に還元されたHCのESI−TOF MS分析によれば、HCの75%が標識されることが示される。連結産物の予想量=50221.2Da。遊離HC=49575.0Da。B)連結された抗体のSEC−MALS分析によれば、チオ開裂および連結後にその四量体構造を保持することを示される(MW=151kDa、MW計算値=148kDa)。C)αDEC205−CGK(Fl)とDEC205受容体の結合。PE標識α−マウスIgGを用いるフローサイトメトリーによってモニタリングされた、マウスDEC205受容体を発現するCHO細胞に対するαDEC205−CGK(Fl)(左)または対照α−DEC205抗体(右)の用量依存的結合。受容体を発現しない対照CHO/NEO細胞に対する結合を灰色で示す。 図17は、CHO細胞で発現されたαDECチオエステルの、スプリットインテインカラムを用いた精製を示す。上)Npu−カラムを用いたCHO細胞からのαDEC−MESチオエステルの精製のクーマシー染色SDSPAGEゲル。下)同じ精製のウエスタンブロット解析。 図18は、Avaスプリットインテインカラムを用いたαDECチオエステルの精製、およびAva−カラムを用いた哺乳類細胞上清からのαDECチオエステルの精製のウエスタンブロット解析を示す。 図19は、抗体軽鎖のC末端を介してAvaスプリットインテインと融合したαDEC205抗体の発現試験、およびαDEC205−AvaN融合物を発現するCHO細胞上清の種々の時点でのウエスタンブロット解析。
発明の具体的説明
現在カタログに掲載されているおよそ600(7)のインテインのうち、5%未満がスプリットインテインであり、ほとんどがシアノバクテリアスプリットDnaEインテインとして知られるファミリーに由来する(8)。驚くことに、これらのうち、程度にかかわらず実験的に分析されているのはNpuを含む6つだけであり(6、9、10)、in vitroで厳密に特性決定されているのは、シアノバクテリア(Synechocystis)種PCC6803(Ssp)由来のNpuとその広く研究されている低効率の相同分子種だけである(5、11)。
スプリットインテインの効率を正確に比較するために、in vivoスクリーニング法を用いて18のスプリットDnaEインテインの迅速調査が行われた(12、13)。
このアッセイでは、スプリットインテインの2つの断片を、断片化されたアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(KanR)酵素との融合物として大腸菌で共発現させる。
トランススプライシング時、活性酵素が組み立てられ、細菌が抗生物質カナマイシン耐性となる(図1a)。活性の高いインテインほどより大きなカナマイシン耐性を付与することから、カナマイシン濃度の関数として、細菌増殖により高いIC50値を有する。このアッセイは、ダイナミックレンジを有意に混乱することなく変化するローカルC−エクステイン配列のバックグラウンドで行うことができる。総てのDnaEインテインはそれらの内在コンテキスト中の同じローカルエクステイン配列をスプライシングするので、このスクリーニングは最初、野生型C−エクステインバックグラウンド(CFN)にてKanR酵素内で行った。予想されたように、Npuインテインを発現する細菌は高い相対的IC50を持っていたが、Sspを発現するクローンはカナマイシンに不十分な耐性を示した。注目すべきは、これらのDnaEインテインのうち半数を超えるものが、in vivoにおいて30℃で、Npuに匹敵するスプライシング効率を示した(図1b)。
in vivoで見られた高いIC50値が迅速トランススプライシングを反映したものであることを確認するために、in vitroにおいて標準化された条件下で一連の動態研究を行った。このため、個々に発現させ精製したスプリットDnaEインテイン断片にモデルN−およびC−エクステインドメイン、ユビキチンならびにSUMOを融合したものを作製した。野生型スプライシングコンテキストを再現するために、内在ローカルエクステイン残基は、エクステインドメインとインテイン断片の間のリンカーとして保存した。同族インテイン断片を1μMで混合し、Ub−SUMOスプライシング産物の形成を30℃および37℃でゲル電気泳動によりモニタリングした。これらのアッセイにより、in vivoにおいて高い活性を有するこれらの新規インテインは、in vitroにおいて数十秒で実質的にSspより速く、トランススプライシングを触媒できたことが確認された(図2a)。興味深いことに、Sspを除く、分析した総てのインテインが37℃でスプライシング速度の上昇を示した。さらに、これらの高速スプライシングインテインの総てが低い、ないしは検出できないレベルの副反応を示し(図2b)、これについてもSspと対照的であった(図2c)。
C−エクステイン配列バリエーションに対するスプリットインテインの許容性を検討した。これまでに、DnaEインテインの感受性は、C−エクステインの+2位における変化に対して記載されている(6、12)。従って、総てのスプリットDnaEインテインを、in vivoスクリーニングアッセイにおいて+2グリシン(CGN)、グルタミン酸(CEN)、またはアルギニン(CRN)の存在下で分析した(図1b)。NpuおよびSspと同様に、ほとんどのインテインは、3種類の+2突然変異の総ての存在下で劇的な活性低下を示した。試験したアミノ酸のうち、グルタミン酸は総てのインテインに対して最も許容性があり、この位置における負電荷を考慮するための保存された機構が示唆された。トランススプライシングに及ぼすC−エクステイン突然変異の影響の大きさをより正確に評価するために、Npu、Cra(CS505)、およびCwaインテインをin vitroにて+2グリシンの存在下で分析した。3種類のこれらの反応は総て、チオエステル中間体の急速な蓄積を特徴とし、これらは数十分かけてゆっくりスプライシング産物とN−エクステイン切断産物へと分解した。これまでに報告された所見に一致して、これらのデータは、スプリットDnaEインテインが分岐型中間体の分割および効率的スプライシングのために+2位に立体的な嵩高さを必要とすることを示す(12)。Cra(CS505)およびCwaインテインはin vivoにおいてより高いC−エクステインの無差別性を示したが、Ssp(PCC7002)は試験した突然変異をいずれも許容しなかったことは注目に値する。これは、スプリットインテイン間の微妙な配列バリエーションが様々な無差別性を与え得ることを示す。よって、この特性は、定方向進化(12)または合理的設計によってさらに最適化され得る。
これらのデータは、スプリットDnaEインテインは、総てが事実上同一の基質に対してトランススプライシングを触媒するように進化してきたにもかかわらず、活性の多岐性が高い(highly divergent)ことを示す。興味深いことに、スプライシングに関与する重要な触媒残基は、ファミリー全体で保存されている(図5)。従って、スプライシング活性に影響を及ぼす残基は非触媒性であり、おそらくそこそこ保存されているに過ぎない。相対活性の測定は、高活性インテインを非効率なものから識別する特異的な配列特徴の発見を助ける可能性がある。実際に、配列ホモロジー分析は、高活性を有するインテインは、低活性インテインの場合よりも互いに相同性が高いことを示す。この所見に対する1つの顕著な例外が耐塩性シアノバクテリア(Aphanothece halophytica)(Aha)由来のインテインであり、高活性インテインと65%を超える配列同一性を有するにもかかわらず、in vivoにおいて野生型「CFN」C−エクステインモチーフとの活性がなかった。複数の配列アラインメントを詳しく調べたところ、このインテインは、それ以外の場合では絶対的に保存されているグリシンの代わりに非触媒システイン(120番の位置)を有することが示された(図3a)。さらに、この位置はインテイン活性部位に近接しており、外来の求核試薬が望ましくない副反応を促進する可能性もある(図3b)。満足なことに、このシステインからグリシンへの突然変異はAhaインテインに高い活性を回復させ、しかもその逆突然変異はNpuのスプライシング活性を損ない(図3c)、これらのデータの予測能がバリデートされた。
スプリットインテイン配列アラインメントをさらに分析したところ、高活性インテイン間でいくつかの位置が強いアミノ酸保存を有するが、低活性インテインでは逸脱している(diverge)ことを示した(図3a、6)。これらは、高速インテインが、低速インテインでは欠損されてしまった有益な相互作用を保持していた部位であり得る。この観点を検討するために、この配列−活性相関が明確であったいくつかの位置を選択し、Sspの残基をその高速インテインに見られる対応するアミノ酸で置換した。この仮説と一致して、いくつかの点突然変異がin vivoにおいてSspの活性を上昇させた(図3e)。これらの残基の具体的役割は明確でないものの、特に、それらが活性部位の外側にあること(図3d)を考えれば、インテインフォールド上のそれらの位置(14)は、それらの機能に何らかの洞察を与えるかもしれない。例えば、高活性インテインでは、56番の位置において、芳香族残基が好ましい。この位置は保存されている触媒TXXHモチーフ(69〜72番の位置)に隣接し、芳香族残基はそれらの残基を安定化させるためのパッキング相互作用を助長し得る。同様に、グルタミン酸は、触媒ヒスチジン125に近接した122番の位置に好ましい。89番の位置のグルタミン酸は、スプリットインテイン複合体を安定化させるために重要であることが従前に示された緊密なイオンクラスターに関与している(13)。興味深いことに、E23は触媒部位から離れ、明確な構造的役割を持たない。この位置は、他のインテインにおいて点突然変異の活性化に関して従前に見られたように、安定性または動力学を保持するために重要であると考えることができる(15、16)。
新規な高速トランススプライシングインテインの発見は、タンパク質化学に幅広い意味を持つ。実際に、Npuの発見は、スプリットインテインに基づく技術の使用の再燃の後押しをした(13、17、18)。総てのタンパク質化学の試みに理想的であるようなインテインは1つとして無いが、数種の新規な高速スプライシングスプリットインテインが利用できることは、ほとんどのトランススプライシング適用の効率を増強するための選択肢を提供し得る。例えば、スプリットインテインを用いた研究における1つの共通の問題が、問題のタンパク質とのインテイン断片融合物の低い発現収率または溶解度の低さである。実際に、ここで、過剰発現および精製の試みは、Ub−IntN融合物およびIntC−SUMO融合物は、インテインに依存して可溶性発現の著しく異なる収率を有することを示す。従って、挙動の異なる高活性のスプリットインテインのショートリストは、所与のトランススプライシング適用の経験的な最適化の出発点として役立つであろう。
さらに、異なる高速スプライシングスプリットインテインの断片は非同族体として混合してもなお極めて効率的なスプライシング活性を保持することができ、さらには、いずれのトランススプライシング適用にも利用可能な選択肢を拡大することができる。例えば、NpuのN末端断片スプリットインテインまたはその変異体は、NpuのC末端断片もしくその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくは変異体と結合し得る。同様に、SspのN末端断片もしくはその変異体は、SspのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;AhaのN末端断片またはその変異体は、AhaのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;AovのN末端断片またはその変異体は、AovのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;AspのN末端断片またはその変異体は、AspのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;AvaのN末端断片もしくはその変異体は、AvaのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Cra(CS5505)のN末端断片またはその変異体は、Cra(CS5505)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Csp(CCY0110)のN末端断片またはその変異体は、Csp(CCY0110)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Csp(PCC8801)のN末端断片またはその変異体は、Csp(PCC8801)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;CwaのN末端断片またはその変異体は、CwaのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Maer(NIES843)のN末端断片またはその変異体は、Maer(NIES843)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Mcht(PCC7420)のN末端断片またはその変異体は、Mcht(PCC7420)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;OliのN末端断片またはその変異体は、OliのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Sel(PC7942)のN末端断片またはその変異体は、Sel(PC7942)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;Ssp(PCC7002)のN末端断片またはその変異体は、Ssp(PCC7002)のC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;TelのN末端断片またはその変異体は、TelのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;TerのN末端断片またはその変異体は、TerのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る;また、TvuのN末端断片またはその変異体は、TvuのC末端断片もしくはその変異体、または下記に述べる他のいずれかのスプリットインテインC末端断片もしくはその変異体と結合し得る。
最も広く使用されているインテインに基づく技術としての発現タンパク質ライゲーションは、シス作用インテインを利用して組換えタンパク質α−チオエステル誘導体を生成する(2)。原理的には、いずれのスプリットインテインも人工的に融合させて、この適用においてシススプライシングインテインとして使用することができる(図4aの1)。超高速スプリットインテインは、それらの速度と効率のために、この点で特に魅力的である。この観点を試験するために、Npu、Ava、およびMchtとN末端ユビキチンドメインとの人工融合変異体を作製した。スプライシング、早期C末端切断または望ましくない高レベルの競合加水分解を防ぐために、残基Asn137およびCys+1をAlaに変異させた。外因性2−メルカプトエタンスルホン酸チオールナトリウム(MESNA)と反応させると、融合DnaEインテインは、速やかに切断されて、数時間内にユビキチンα−チオエステル4を生成した(図4b)。対照的に、慣用MxeGyrAインテインのMESNaチオ開裂は、同じ条件下で1日後であっても完了しなかった。融合DnaEインテインは、半合成タンパク質6を得るためのワンポットチオ開裂およびN末端システイン含有蛍光ペプチド5とのネイティブケミカルライゲーション反応を可能とするのに十分速かった(図4c)。さらに、これらのインテインを用いて、異なるC末端アミノ酸残基を有する、他の4つの構造がユニークなタンパク質ドメインのα−チオエステルを効率的に生成することができた。これらの結果は、融合型のスプリットDnaEインテインがタンパク質の半合成に全般的な有用性があることを実証する。
融合DnaEインテインに関して見られた高速のチオ開裂は、機械的意義ならびに実用的意義を持つ。特定の理論に縛られることを望むものではないが、MxeGyrAインテインを超えるそれらの増強された反応性の1つの可能性のある説明は、これらのインテインがNからSへのアシルシフト反応をより効率的に駆動して、反応性直鎖チオエステル種2のより大きな集団を生成するということであると考えられる(図4a)。このチオエステル中間体は一般に、タンパク質スプライシングにおいて一時的に分布すると思われ、発明者の知る限りでは、それは直接観察されたことがない(1)。驚くことに、逆相HPLCによりユビキチン−DnaEインテイン融合物を分析すると、2つの主要ピークと3つの副ピークが観察される場合が多く、総て同じ質量を持っている。これらの種の相対的存在量は、タンパク質を変性されること(unfolding)またはpH変化によって変調することができ、2つの主要な種はpH4から6まではほぼ等しく分布していた(図4d)。これらの主要ピークは前駆体アミド1と直鎖チオエステル2に、そして、副ピークは四面体オキシチアゾリジン中間体に相相当する可能性が最も高い。重要なことに、ユビキチン−MxeGyrA融合物では同じ条件下で1つのHPLCピークだけが見られた。これらの所見は、チオ開裂速度の上昇とともに、これらのDnaEインテインが超活性化N末端スプライスジャンクションを有するという見解を強く裏付ける。
スプリットインテインの一ファミリー全体でスプライシング活性が特性評価されている。このファミリーでは、超高速タンパク質トランススプライシングは、例外ではなく標準である。さらに、異なるスプリットインテインは、C−エクステイン突然変異に対して様々な許容度を持ち、このことは、いずれかの高活性インテインをある程度操作すれば痕跡のないタンパク質スプライシングが達成可能であることを示唆している。相同タンパク質の小ファミリーの活性の詳細比較を用いれば、活性を調節する重要な非触媒位を特定することができる。最終的に、スプリットDnaEインテイン断片を人工的に融合することにより、発現タンパク質ライゲーションにおいて使用されるタンパク質α−チオエステルの効率的合成のための新規構築物が得られた。これらの結果は、改良型タンパク質化学技術の開発を導き、効率的タンパク質スプライシングのより根本的な理解に向けた基礎を築くはずである。
スプリットインテインN末端断片の融合タンパク質
本明細書では、ポリペプチドとスプリットインテインN末端断片の融合タンパク質が開示される。本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」は、あまねく「タンパク質」と互換的に呼ばれるアミノ酸に基づくポリマーを意味し、糖タンパク質およびリポタンパク質を含み得る。いくつかの場合では、本ポリペプチドは、細胞(例えば、哺乳類細胞)から放出されるポリペプチドである。様々な場合において、本ポリペプチドは、抗体またはそのフラグメントである。本ポリペプチドは目的の天然または合成のどのようなポリペプチドであってもよく、20種の天然アミノ酸以外の1以上のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含む。
いくつかの場合では、本ポリペプチドは、45kDa以上、50kDa以上、60kDa以上、75kDa以上、100kDa以上、120kDa以上、または150kDa以上の分子量を有する。本ポリペプチドは、例えば、抗体またはそのフラグメントであり得る。抗体の場合、スプリットインテインN末端断片は、一方もしくは両方の重鎖、および/または一方もしくは両方の軽鎖に融合させることができる。いくつかの場合では、本ポリペプチドは、細胞、例えば、哺乳類細胞から分泌されるタンパク質である。
スプリットインテインN末端断片は、図5に示されるような配列、例えば、Npu(配列番号1)、Ssp(配列番号2)、Aha(配列番号3)、Aov(配列番号4)、Asp(配列番号5)、Ava(配列番号6)、Cra(CS505)(配列番号7)、Csp(CCY0110)(配列番号8)、Csp(PCC8801)(配列番号9)、Cwa(配列番号10)、Maer(NIES843)(配列番号11)、Mcht(PCC7420)(配列番号12)、Oli(配列番号13)、Sel(PC7942)(配列番号14)、Ssp(PCC7002)(配列番号15)、Tel(配列番号16)、Ter(配列番号17)、Tvu(配列番号18)、またはその変異体を含んでなる。いくつかの場合では、スプリット(spilt)インテインN末端断片配列は、Npu(配列番号1)またはSsp(配列番号2)以外の配列を含んでなり、他の場合では、Npu(配列番号1)、Ssp(配列番号2)、またはAha(配列番号3)以外の配列を含んでなる。いくつかの特定の場合では、スプリットインテインN末端断片配列は、Ava(配列番号6)、Cra(配列番号7)、Csp(PCC8801)(配列番号9)、Cwa(配列番号10)、Mcht(PCC7420)(配列番号12)、Oli(配列番号13)、Ter(配列番号17)およびTvu(配列番号18)の配列を含んでなる。いくつかの場合では、スプリットインテインN末端断片は、配列番号19:
のコンセンサス配列を含んでなる配列を有する。
本明細書で使用する場合、スプリットインテインN末端断片の変異体は、スプリットインテインN末端断片の活性(例えば、スプリットインテインC末端断片と結合し、かつ/またはそれに融合されたポリペプチドの求核作用を触媒するその能力)を保持する、本明細書で開示されるような変異型スプリットインテインN末端断片である。本明細書で開示されるスプリットインテインN末端断片の企図される変異体は、Cys1以外は、1以上のC残基の、A、I、LもしくはFなどの脂肪族残基への、またはS残基への突然変異を含む。企図されるこのような変異体の1つは、Cys28およびCys59がSerに変異した変異型Npu、配列番号20
である。
変異型スプリットインテインC末端断片および支持体への結合
本明細書で開示されるスプリットインテインC末端断片は、N137残基およびC+1残基が、N137ではAsnまたはGln以外の残基に、C+1ではCys以外の残基に変異するように天然配列から変異させる(配列番号129〜146)。いくつかの場合では、これらの2か所での突然変異は、疎水性残基、例えば、側鎖に遊離SHチオール(Cys)、カルボン酸(Asp、Glu)、または塩基(Arg、His、Lys)または他の望ましくない基(例えば、Asn、Gln)を含まない残基へのものである。様々な場合において、これら2つの変異した脂肪族残基は同じであっても異なっていてもよく、A、V、I、S、M、H、L、F、Y、G、もしくはWであり得るか、またはノルロイシン、2−アミノ酪酸、ノルバリン、2−アミノペンタン酸(aminopentoic acid)、または2−アミノヘキサン酸(aminohexaanoic acid)などの非天然型の(例えば、遺伝コードによりコードされていない)脂肪族アミノ酸残基であり得る(配列番号219〜236)。
具体的には、両残基がA、I、V、L、Y、GおよびFから選択される突然変異が企図される(配列番号309〜326)。様々な場合では、これら2つの変異残基のうち少なくとも1つはAである。
よって、本明細書では、Npu(配列番号129、147、165、183、201、219、237、255、273、291、309、327、345、363、381および399)、Ssp(配列番号130、148、166、184、202、220、238、256、274、292、310、328、346、364、382および400)、Aha(配列番号131、149、167、185、203、221、239、257、275、293、311、329、347、365、383および401)、Aov(配列番号132、150、168、186、204、222、240、258、276、294、312、330、348、366、384および402)、Asp(配列番号133、151、169、187、205、223、241、259、277、295、313、331、349、367、385および403)、Ava(配列番号134、152、170、188、206、224、242、260、278、296、314、332、350、368、386および404)、Cra(CS505)(配列番号135、153、171、189、207、225、243、261、279、297、315、333、351、369、387および405)、Csp(CCY0110)(配列番号136、154、172、190、208、226、244、262、280、298、316、334、352、370、388および406)、Csp(PCC8801)(配列番号137、155、173、191、209、227、245、263、281、299、317、335、353、371、389および407)、Cwa(配列番号138、156、174、192、210、228、246、264、282、300、318、336、354、372、390および408)、Maer(NIES843)(配列番号139、157、175、193、211、229、247、265、283、301、319、337、355、373、391および409)、Mcht(PCC7420)(配列番号140、158、176、194、212、230、248、266、284、302、320、338、356、374、392および410)、Oli(配列番号141、159、177、195、213、231、249、267、285、303、321、339、357、375、393および411)、Sel(PC7942)(配列番号142、160、178、196、214、232、250、268、286、304、322、340、358、376、394および412)、Ssp(PCC7002)(配列番号143、161、179、197、215、233、251、269、287、305、323、341、359、377、395および413)、Tel(配列番号144、162、180、198、216、234、252、270、288、306、324、342、360、378、396および414)、Ter(配列番号145、163、181、199、217、235、253、271、289、307、325、343、361、379、397および415)、またはTvu(配列番号146、164、182、200、218、236、254、272、290、308、326、344、362、380、398および416)のN137およびCys+1に突然変異を含んでなる変異型スプリットインテインC末端断片が提供され、ここで、N137およびCys+1における突然変異は、天然または非天然疎水性残基である。いくつかの特定の場合では、これらの突然変異のうち少なくとも1つはAであり(配列番号183〜200、255〜272、327〜344、および345〜416)、より具体的な場合では、両突然変異がAである(配列番号399〜416)。
様々な支持体が使用可能である。一般に、固相支持体はポリマー、または場合によりリンカーを介して、スプリットインテインC末端断片の連結を可能とする物質である。このリンカーは、スプリットインテインC末端断片のC末端に操作により付加されたさらなるアミノ酸残基であり得、または支持体にペプチドを結合させるための他の既知のリンカーであり得る。1つの企図されるリンカーは、小ペプチド−SGGC(配列番号705)であり、この場合、C末端Cysのチオールを用いてスプリットインテインC末端断片を支持体に結合させることができる。よって、具体的には、−SGGCペプチドリンカー(配列番号705)を有する(例えば、N137の位置で始まる残基を指定する:AAFN−SGGC)(配列番号706)、上記のNpu、Sspなどの配列の変異型スプリットインテインC末端断片が企図される。ペプチド(pepide)リンカーの長さは、任意の個々の状況において長さおよびフレキシビリティーの変更を提供するために可変である(例えば、3以上のGly残基)。また、ペプチドリンカーのC末端残基は、選択された表面にスプリットインテインC末端断片を結合させるために適当な反応性の官能基を導入するように改変できることも明らかである(例えば、アミンを介して反応させるにはLys、チオールを介して反応させるにはCys、またはカルボン酸を介して反応させるにはAspもしくはGlu)。その他、目的の支持体へのC末端断片の種々の結合化学を可能とする目的で他の官能基部分(例えば、アジド、アルキン、カルボニル、アミノ−オキシ、シアノ−ベンゾチアゾール、テトラゾール、アルケン、アルキル−ハリド)を提供するためのペプチドリンカーにおいて使用される非天然アミノ酸残基も企図される。リンカーはあるいはポリマーリンカーであり得る。
検討した高活性スプリットインテインC末端断片の配列の分析に基づけば、スプリットインテインC末端断片のコンセンサス配列が導かれる:配列番号707(VKIISRQSLGKQNVYDIGVEKDHNFLLANGLIASN)、ならびにN137がAsnまたはGln以外に変異している(配列番号708)、またはより具体的には、N137がA、V、I、M、H、L、F、Y、G、S、H、もしくはWなどの天然もしくは非天然疎水性残基に変異している、またはノルロイシン、2−アミノ酪酸、ノルバリン、2−アミノペンタン酸、または2−アミノヘキサン酸などの非天然(例えば、遺伝コードによりコードされていない)脂肪族アミノ酸残基であり得る(配列番号709)変異型。具体的には、コンセンサス配列のN137において企図される突然変異としては、A、I、V、L、Y、G、およびF(配列番号710)が含まれる。また、N137がAに変異している場合も企図される(配列番号711)。
さらに、+1位にCys以外の残基を有するコンセンサス配列の変異体(配列番号712、716、720、および724)も企図される。より具体的には、+1位は、A、V、I、M、H、L、F、Y、G、S、H、もしくはWなどの天然または非天然疎水性残基であり得、またはノルロイシン、2−アミノ酪酸、ノルバリン、2−アミノペンタン酸、または2−アミノヘキサン酸などの非天然(例えば、遺伝コードによりコードされない)脂肪族アミノ酸残基であり得る(配列番号713、717、721、および725)。具体的には、+1位がA、I、V、L、Y、G、およびFから選択される突然変異(配列番号714、718、722、および726)が企図される。様々な場合において、コンセンサス配列の変異残基のうち少なくとも1つはAである(配列番号715、719、および723)。いくつかの場合では、コンセンサスC末端断片配列は、両方の突然変異をAlaとして持つ(配列番号727)。さらに、+2および+3位にFNを含んでなるコンセンサス配列も企図される(配列番号728〜743)。また、固相支持体への結合のためのペプチドリンカーを含んでなるコンセンサス配列も企図され、1つの具体例は、+4〜+7位の−SGGCである(配列番号744〜759)。
本明細書で開示されるスプリットインテインC末端断片またはその変異体は、リンカーを介して固相支持体に結合させることができる。様々な場合において、リンカーは、限定されるものではないが、水溶性ポリマー、核酸、ポリペプチド、オリゴ糖、炭水化物、脂質、またはそれらの組合せを含むポリマーである。それは主としてリンカーとして働くので、リンカーの化学構造が何であるかは重要でない。リンカーは、C末端断片の活性に干渉しないように選択されるべきである。リンカーは、ペプチド結合により相互に連結されたアミノ酸で構成することができる。よって、いくつかの実施態様では、リンカーは、Yを含んでなり、ここで、Yは天然アミノ酸またはその立体異性体であり、「n」は1〜20のうちのいずれか1つである。従って、リンカーは、ペプチド結合により連結された1〜20のアミノ酸から構成することができ、ここで、アミノ酸は20の天然アミノ酸から選択される。いくつかの場合では、1〜20のアミノ酸は、Gly、Ala、Ser、Cysから選択される。いくつかの場合では、リンカーは、Glyなどの立体障害のない大多数のアミノ酸から構成される。
非ペプチドリンカーも可能である。例えば、−−HN−(CH−−CO−−(ここで、s=2〜20)などのアルキルリンカーが使用可能である。これらのアルキルリンカーは、低級アルキル(例えば、C−C)、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH、フェニルなどの立体障害のない任意の基でさらに置換されてよい。
別のタイプの非ペプチドリンカーは、ポリエチレングリコール基、例えば、−−HN−(CH−(O−CH−CH−O−CH−COであり、ここで、nは、リンカーの総分子量がおよそ101〜5000、好ましくは、101〜500の範囲となるようなものである。
いくつかの場合では、リンカーは、約0〜14サブユニット(例えば、アミノ酸)の長さを有する。
リンカーがポリヌクレオチドである場合、リンカーの長さは、種々の実施態様において、少なくとも約10ヌクレオチド、10〜30ヌクレオチド、またはさらには30を超えるヌクレオチドである。種々の面において、ポリヌクレオチドリンカーの塩基は、総てアデニン、総てチミン、総てシチジン、総てグアニン、総てウラシル、または総ていくつかの他の修飾塩基である。
別の実施態様では、本発明の非ヌクレオチドリンカーは、塩基性ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、または他のポリマー化合物を含んでなる。具体例としては、Seela and Kaiser, Nucleic Acids Res. 1990, 18:6353およびNucleic Acids Res. 1987, 15:3113; Cload and Schepartz, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:6324; Richardson and Schepartz, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:5109; Ma et al., Nucleic Acids Res. 1993, 21:2585およびBiochemistry 1993, 32:1751; Durand et al., Nucleic Acids Res. 1990, 18:6353; McCurdy et al., Nucleosides & Nucleotides 1991, 10:287; Jschke et al., Tetrahedron Lett. 1993, 34:301; Ono et al., Biochemistry 1991, 30:9914; Arnold et al., 国際公開第WO89/02439号; Usman et al., 国際公開第WO95/06731号; Dudycz et al., 国際公開第WO95/11910号およびFerentz and Verdine, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:4000に記載されているものが挙げられ、これらの開示は総て引用することにより本明細書の一部とされる。「非ヌクレオチド」は、糖置換および/またはリン酸基置換のいずれかを含め、1以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖に組み込むことができ、かつ、残りの塩基に酵素活性を呈させる任意の基または化合物をさらに意味する。このような基または化合物は、例えば、糖鎖のC1位に、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンなどの共通に認識されるヌクレオチド塩基を含まないという点で脱塩基性であり得る。
種々の面において、企図されるリンカーは、直鎖ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリリジン、デキストランなど)、分岐鎖ポリマー(例えば、1981年9月15日発行のDenkenwalterらの米国特許第4,289,872号;1993年7月20日発行のTamの同第5,229,490号;1993年10月28日公開のFrechetらによるWO93/21259参照);脂質;コレステロール群(例えば、ステロイド);または炭水化物またはオリゴ糖を含む。他のリンカーとしては、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号および同第4,179,337号に記載されるようなポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールなどの1以上の水溶性ポリマーの付加を含む。当技術分野で公知のリンカーとしての他の有用なポリマーとしては、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物に基づくポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびにこれらのポリマーの混合物が含まれる。
さらに他の面において、ポリAなどのオリゴヌクレオチド、または親水性もしくは両親媒性ポリマーなどのリンカーも企図され、例えば、両親媒性化合物(オリゴヌクレオチドを含む)を含む。
企図される固相支持体としては、樹脂、粒子、およびビーズが含まれる。より具体的な固相支持体としては、ポリヒドロキシポリマー、例えば、アガロース、デキストラン、セルロース、デンプン、プルランなどの多糖に基づくもの、および合成ポリマー、例えば、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(ヒドロキシアルキルビニルエーテル)、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)およびポリメタクリレート(例えば、ポリグリシジルメタクリレート)、ポリビニルアルコール、およびスチレンとジビニルベンゼンに基づくポリマー、および上述のポリマーに相当する2種類以上のモノマーが含まれるコポリマーが含まれる。企図される具体的固相支持体としては、アガロース、セファロース、セルロース、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、誘導体化アガロース、アクリルアミド、セファデックス、セファロース、ポリエチレングリコール(PEG)−アクリルアミド、およびポリスチレン−PEGに基づく支持体が含まれる。いくつかの場合では、固相支持体は、p−メチルベンズヒドリルアミン(pMBHA)樹脂(Peptides International、ルーイヴィル、Ky.)、ポリスチレン(例えば、Bachem Inc.、Peninsula Laboratoriesなどから入手されるPAM−樹脂)(クロロメチルポリスチレン、ヒドロキシメチルポリスチレンおよびアミノメチルポリスチレンを含む)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)グラフトスチレンコ−ジビニル−ベンゼン(例えば、POLYHIPE樹脂、Aminotech、カナダから入手)、ポリアミド樹脂(Peninsula Laboratoriesから入手)、ポリエチレングリコール(例えば、TENTAGELまたはARGOGEL、Bayer、チュービンゲン、ドイツ)、ポリジメチルアクリルアミド樹脂(Milligen/Biosearch、カリフォルニアから入手)、またはセファロース(Pharmacia、スウェーデン)をグラフトしたポリスチレン樹脂といった樹脂であり得る。種々の実施態様において、固相支持体は、磁性ビーズ、スライドグラス、ガラスビーズ、または金属もしくは無機粒子(例えば、金、シリカ、鉄、またはそれらの混合物)であり得る。
ポリペプチドの精製および修飾方法
タンパク質の部位特異的修飾は、タンパク質機能の分子詳細を研究するための極めて貴重なツールである(19)。さらに、タンパク質治療薬の創薬および開発に対するその可能性も最近承認された(20)。部位特異的修飾タンパク質を作製するためのいくつかの方法が長年かけて開発され、最も広く使用されているものの1つが発現タンパク質ライゲーション(EPL)であり、様々な研究でタンパク質機能の基本的疑問に取り組むために多くの異なるタンパク質に適用されている。EPLは、ネイティブケミカルライゲーション(NCL)(19、22)の組換えタンパク質への拡張として1998に初めて記載され(21)、C末端組換えタンパク質α−チオエステルと、N末端にCysを含む合成ペプチドとの間の、これら2つの断片の間での新たなネイティブペプチド結合の形成を介した反応からなる。Cys含有ペプチドの合成特性は、目的タンパク質へのほとんどどんな化学修飾の組み込みも可能とする。
EPLをどんな所与のタンパク質にも適用するためには、良好な収率かつ高純度でのタンパク質C末端チオエステルの生成が絶対的要件となる。このようなチオエステルの生成のためのEPLの出現以来、インテインと呼称されるシングルターンオーバー酵素のファミリーが使用されてきた。インテインは、天然の翻訳後修飾であるタンパク質スプライシングを触媒することができ、このタンパク質スプライシングにより、インテインは、自身が埋め込まれているポリペプチドから自身を切り取り、並行して、インテインの隣接タンパク質領域間に新たなペプチド結合を形成する(23)。重要なことに、この反応は、いくつかのタンパク質α−チオエステルを介して生じ、これらは外因性チオールとのトランスチオエステル化反応を介して捕捉され得る。
GyrAまたはVMAなどのインテインは、多様なタンパク質チオエステルを生成するために首尾良く利用されてきた。所望のタンパク質チオエステルを単離するためには、インテインは通常、キチン結合ドメインまたはヘキサ−Hisタグなどのアフィニティータグと融合される。しかしながら、この方法の著しい成功にもかかわらず、効率的チオ開裂に必要とされる反応条件(還元剤、高濃度のチオールおよび長いインキュベーション時間)がこのようなタグの性能に影響を及ぼし、かつ、ライゲーションに望まれる純粋な生成物を得るためにその後の付加的精製工程が必要とされる場合が多い(24〜26)。さらに、目的タンパク質のC末端残基の属性によっては、相当なレベルのin vivo早期切断が起こる場合があり、最終的な生成物収率が著しく減る。
理想的なシステムは、インテインのチオエステル形成能とビルトインアフィニティー精製方法(チオ開裂反応条件と完全に適合したもの)および早期切断のリスクの軽減を併せ持つべきである。自然にスプリットするインテインを調べたところ、このインテインはタンパク質スプライシングに類似した反応を実行できるが、インテイン自体が2つの異なるポリペプチドに分割される。これら2つのインテイン断片のそれぞれはそれら自体によっては完全に不活性であるが、互いに強い親和性を有し、結合時にそれらはスプライシング競合活性コンフォメーション(splicing competent active conformation)を採り、タンパク質トランススプライシングを実行することができる。最近、非修飾タンパク質の精製に関して人工スプリット型のDnaBインテインが報告された(27)。従って、代わりに天然スプリットインテインを用い、細胞溶解液から直接に組換えタンパク質α−チオエステル(図7)のワンポット精製および生成にそれらを利用するための精製方法が提供される。
天然スプリットインテインのこの極めて速い反応速度のおかげで、効率的チオエステル形成を可能とし、かつ、in vivoおよびin vitroにおいて望まない切断反応を最小化するためにいくつかの突然変異が導入された。具体的には、早期C末端切断およびN末端切断を防ぐためにそれぞれ、C−インテインC末端触媒Asn137およびCys+1残基の両方をAlaに変異させなければならなかった。天然または非天然の2個の連続する脂肪族残基への突然変異も、AA突然変異に匹敵する結果をもたらすと予想される。上記のような他の変異型スプリットインテインC末端断片も、記載の精製および/または修飾方法において使用可能であり、具体的に企図される。
スプリットインテインに基づく精製およびチオエステル形成方法を開発するために、これまでに知られている最速のDnaEスプリットインテイン[10]の1つであるNpuスプリットインテインが選択された。まず、溶液中でのスプリットNpuのタンパク質チオエステル生成能を、NpuNと融合したモデルタンパク質ユビキチンと変異型NpuC(Asn137およびCys+1→Ala)をチオールMESNaの存在下(および不在下)で混合することによって調べた。これらの反応のSDSPAGE、HPLCおよびMS分析によれば、数時間で所望のユビキチン(ubiquitin)C末端α−チオエステルの形成が示された。これらの結果に後押しされて、固相支持体へのNpuCインテイン変異体の共有結合的固定に基づくアフィニティー精製方法が設計された。次に、固定化された変異型NpuCは、複合体混合物からNpuNタグを持つタンパク質を精製するために使用可能であり、外因性チオールの添加により所望のタンパク質α−チオエステルを切り取り、これはカラムから高精製形態で溶出する。上記のような他のスプリットインテインN末端断片も本明細書で開示される方法において使用可能であり、具体的に企図される。
そのC−エクステインのC末端にCys残基を有するNpuC変異体(Asn137およびCys+1がAlaに変異、NpuC−AA(配列番号777)を作製し、ヨードアセチル樹脂にペプチドを固定するために用いた。得られたNpuC−AA親和性樹脂を用いたところ、数種のタンパク質C末端α−チオエステル(ユビキチン、MBP、PHPT1)が容易に生産でき、細胞溶解液から精製できることが示された(図8)。HPLCおよびMS分析によれば、望まない加水分解が極めて低いレベルで、所望のタンパク質チオエステルの形成が確認された(図9)。回収率は75〜95%の間で変動し、NpuC−AA樹脂は、1mL当たりタンパク質3〜6mgの一貫した負荷容量を持っていた。カラムから得られたUb、MBP、およびPHPT1のα−チオエステル誘導体の有用性を、N末端Cys含有蛍光ペプチド(CGK(Fl))に対してそれら各々のライゲーションを行うことによって実証し、対応する半合成生成物を優れた収率で得た(図13)。重要なこととしては、ワンポットチオ開裂/ライゲーション反応が実施可能であり、これにより、中間体チオエステルを単離することなく、細胞溶解液から直接部位特異的修飾タンパク質が得られる(図14)。
スプリットインテイン(およびインテインでも)を用いて実施する場合の懸念点は、スプライシングおよび/またはチオ開裂活性に対する隣接するアミノ酸配列の影響である。
N末端ジャンクションは天然N−エクステイン残基からの逸脱に対する許容性がより高いとみなされるが、目的タンパク質のC末端アミノ酸(インテインナンバリング慣例に従って−1残基)がチオエステル形成の収率に及ぼす影響を評価することが重要であった。C末端Ub残基(X)がその天然Glyから他の19のタンパク質構成アミノ酸の総てに変更された、Ub−X−NpuN融合タンパク質の完全ライブラリーを構築した。タンパク質を大腸菌および細胞溶解液で発現させ、NpuC−AAアフィニティー樹脂に適用し、精製した。タンパク質収量は、各精製に関するSDSPAGE分析から、また、加水分解
レベルは溶出画分のRP−HPLCおよびMS分析から評価した(図10)。結果はGyrAなどの非スプリットインテインに関して知られているもの(29)と同様の傾向を示し、ほとんどのアミノ酸は、MESNaとともに一晩インキュベートした後に高い切断収率を示す(例外はProおよびGluであり、これらに関する回収率はそれぞれ49および50%であった)。予測されたように、Asn α−チオエステルは、その側鎖の隣接するα−チオエステルとの周知の反応によるスクシンイミドの形成のために単離できなかった。
この精製方法は、自然条件下での数種の可溶性タンパク質の精製に極めて好結果を示した。しかしながら、EPLに必要とされるタンパク質断片は溶解度の低さおよび高い毒性という欠点があり、発現中に細胞封入体に蓄積する傾向がある。Npuスプリットインテインは、変性剤の存在下で有意な活性レベルを保持することを示されており(28)、これはこの方法がこのような条件下で適合することを示唆した。モデルUb−NpuNタンパク質融合物を用い、NpuC−AA−樹脂との結合およびチオエステル形成の両方が2Mおよび4M尿素の存在下で十分機能したことが確認された。結合およびチオ開裂の両方で、変性剤の不在下の同じ反応条件に比べて、類似したレベルが得られた。
この系を、次に、ヒストンH2Bの断片の封入体からの精製に関して調べた。EPLを用いた部位特異的修飾ヒストンの調製は、エピジェネティック調節の理解におけるそれらの重要な役割のために注目度の大きいトピックである。しかしながら、ヒストン断片は著しく挙動が不十分で、それらの組換えC末端α−チオエステルの調製は特に難しい。NpuNと融合したH2B(1〜116)断片を大腸菌で発現させ、封入体を6M尿素で抽出した。次に、H2B−NpuN融合物を3M尿素バッファー中に希釈し、対応するC末端α−チオエステルを、NpuC−AAアフィニティー樹脂上での精製と並行して生成した(図11)。その凝集傾向のために、極めて薄いタンパク質溶液の方がより効率的に樹脂と結合し、また、効率的なチオエステル生成により長い反応時間を要し、明らかにこれらはタンパク質とタンパク質の間で最適化する必要のあるパラメーターである。これらの条件を用い、H2B(1〜116)C末端チオエステルが優れた純度(RP−HPLCにより>90%)および単離収量(培養物1L当たり約20mg)で得られた。これは、得られるタンパク質が少なく(培養物1L当たり4mg)、RP−HPLCを含む複数のクロマトグラフィー精製工程の使用を必要とする従来のプロトコールに優る有意な改善に相当する。重要なこととしては、IntC−カラムから得られたH2B(1〜116)−MESチオエステルは、それ以上精製せずにそのままEPL反応に使用することができる。よって、このタンパク質は120位にアセチル化Lysを含有する合成H2B(117〜125)ペプチドに上手く連結され、半合成H2B−K120Acが得られた(図15)。
このチオエステル形成精製方法の可能性を、モノクローナル抗体の部位特異的修飾にそれを適用することにより実証した。従って、具体的には、本明細書で開示される抗体とスプリットインテインN末端断片の融合タンパク質および本明細書で開示される変異型スプリットインテインC末端断片を用いることにより抗体を精製する方法が企図される。
抗体の修飾は研究の激しい分野であり、特に治療用抗体−薬物複合体の開発に焦点が当てられている(30)。N−インテインの属性は、所与の目的タンパク質とのその融合物の発現レベルに有意な影響を持ち得る。最速スプリットDnaEインテインのうちいくつかのN末端断片はNpuCと交差反応し、それらはいずれも同じNpuCに基づくアフィニティーカラムとともに使用可能であった。従って、モデル抗体(αDEC、DEC205受容体に対する抗体)の発現レベルを調べたところ、αDECがAvaNインテインと融合された場合に最高の発現レベルが得られることが判明した(図12A)。αDEC−AvaN融合物を293T細胞にトランスフェクトし、培養4日後に上清を回収し、NpuC−AAカラムで精製した。精製したαDEC中のC末端チオエステルの存在を、それを、N末端Cys残基を有する短い蛍光ペプチドと反応させることによって確認した(図12BおよびC)。脱グリコシル化され還元されたaDEC−蛍光団複合体のMSを用いてその同一性を確認し、SEC−MALSは、生成物が単分散性であり、IgG抗体の予想サイズであったことを示す。
スプリットインテインはタンパク質α−チオエステルの調製のために操作することができ、2つのスプリットインテイン断片間の強い親和性がそれらの精製のための強力な手段を提供する。このアプローチの普遍性は、可溶性(ユビキチン(ubiquitin)、MBP、PHPT)および不溶性タンパク質(H2B断片)の両方の高純度のチオエステルならびにモノクローナル抗体(aDEC)を生成するためにこれを使用することによって実証される。さらに、数種のN−インテインを、目的タンパク質の最適発現レベルに関して調べることができ、ある単一のNpuC−カラムで使用することができる。
よって、本明細書で開示されるスプリットインテインは、目的ポリペプチドを精製および修飾するために使用することができる。目的ポリペプチドは、例えば、周知の組換えタンパク質法により、スプリットインテインN末端断片との融合タンパク質として提供される。次に、融合タンパク質と、対応するスプリットインテインC末端断片とを、そのN末端断片とC末端断片を結合してインテイン中間体の形成を可能とする条件下で接触させる。スプリットインテインC末端断片は支持体(例えば、樹脂などの固相支持体)に結合させることができ、またはその後に(例えば、スプリットインテインN末端断片と結合してインテイン中間体を形成した後に)支持体と結合させることもできる。これは組換えタンパク質合成のために混合物中に存在した成分の洗浄による除去を可能とし、融合タンパク質を他の成分から単離することを可能とする。洗浄液は洗剤、変性剤および塩溶液(例えば、NaCl)を含み得る。
次に、インテイン中間体を求核試薬と反応させて、結合したN末端断片インテインおよびC末端断片インテインから目的のポリペプチドを遊離させる、なお、このポリペプチドC末端は加えた求核試薬により修飾されている。求核試薬は、ポリペプチドをα−チオエステルとして定方向生産するためのチオールであり得、これはさらに、C末端のタンパク質修飾のための周知のα−チオエステル化学を用いて、例えば、異なる求核試薬(例えば、薬物、ポリマー、別のポリペプチド、オリゴヌクレオチド)、または他のいずれかの部分で修飾することはできる。この化学の1つの利点は、C末端がさらなる修飾のためのチオエステルで修飾され、従って、そのポリペプチドの他のいずれの酸性残基も修飾されることなく、C末端のみの選択的修飾を可能とする。
本明細書で開示される方法において、インテイン中間体とともに、または例えばα−チオエステルと反応する、その後の求核試薬として使用される求核試薬は、適切な求核部分を有するいずれの化合物または物質であってもよい。例えば、α−チオエステルを形成するために、チオール部分が求核試薬として企図される(contemplaed)。いくつかの場合では、チオールは、1,2−アミノチオール、または1,2−アミノセレノールである。α−セレノチオエステルは、セレノチオール(R−SeH)を用いることにより形成され得る。企図される別の求核試薬としては、アミン(すなわち、直接アミドを得るためのアミノ分解)、ヒドラジン(ヒドラジドを得るため)、アミノ−オキシ基(ヒドロキサム酸を得るため)が含まれる。さらに、求核試薬は、目的ポリペプチド(例えば、タンパク質−薬物複合体を形成するための薬物)とのコンジュゲーションのための目的化合物内の官能基であってもよく、あるいはアジドもしくはアルキン(トリアゾールを形成するための2つの官能基間のクリックケミストリー反応のため)、テトラゾール、α−ケト酸、アルデヒドもしくはケトン、またはシアノベンゾチアゾールといった、続いての既知の生体直交型(biorthogonal)反応のための付加的官能基を代わりに有してもよい。
本発明のさらなる面および詳細は、限定ではなく例示を意図する以下の実施例から明らかとなる。
材料
総てのバッファー塩、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)は、Fisher Scientific(ピッツバーグ、PA)から購入した。硫酸カナマイシン(Kan)、β−メルカプトエタノール(BME)、DL−ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム(MESNa)、エタンジチオール(EDT)、クーマシーブリリアントブルー、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh)、フェニルシラン、トリイソプロピルシラン(TIS)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物、および5(6)−カルボキシフルオレセインは、Sigma−Aldrich(セントルイス、MO)から購入した。トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロリド(TCEP)は、Thermo Scientific(ロックフォード、IL)から購入した。Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Lys(Alloc)−OH、およびBoc−Cys(Trt)−OHは、Novabiochem(レウフェルフィンゲン、スイス)から購入した(purchasd)。ピペリジンは、Alfa Aesar(ワールド・ヒル、MA)から購入した。ジクロロメタン(DCM)およびリンクアミド樹脂は、EMD Chemicals(ビレリカ、MA)から購入した。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)は、AnaSpec(フリーモント、Ca)から購入した。トリフルオロ酢酸(TFA)は、ハロ炭素(ノース・オーガスタ、SC)から購入した。完全プロテアーゼインヒビタータブレットは、Roche Diagnostics(マンハイム、ドイツ)から購入した。ニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)樹脂は、Novagen(ギブズタウン、NJ)からのものであった。QuikChange XL II部位特異的突然変異誘発キットは、Agilent(ラホヤ、CA)からのものであった。DpnIおよびPhusion High−Fidelity PCRキットは、New England Biolabs(イプスウィッチ、MA)からのものであった。DNA精製キット(QIAprepスピンミニキット、QIAquickゲル抽出キット、QIAquick PCR精製キット)は、Qiagen(バレンシア、CA)からのものであった。サブクローニング・エフィシェンシーDH5コンピテントセルおよびOne Shot BL21(DE3)化学コンピテント大腸菌(E. coli)は、Invitrogen(カールスバッド、CA)から購入し、「インハウス」高コンピテンシー細胞株を作製するために使用した。オリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(コーラルビル、IA)から購入した。新規インテイン遺伝子は、合成により作製され、GENEWIZ(サウス・プレインフィールド、NJ)から購入した。本研究で使用したプラスミドは総て、GENEWIZにより配列決定が行われた。
Criterion XT Bis−Trisゲル(12%)、免疫ブロットPVDFメンブレン(0.2μm)、およびブラッドフォード試薬色素濃縮液は、Bio−Rad(ハーキュリーズ、CA)から購入した。20×MES−SDSランニングバッファーは、Boston Bioproducts(アッシュランド、MA)から購入した。マウス抗mycモノクローナル抗体(α−myc)は、Invitrogen(カールスバッド、CA)から購入した。抗His Tag、クローンHIS.H8マウスモノクローナル抗体(α−His6)は、Millipore(ビルリカ、MA)から購入した。マウスHA.11モノクローナル抗体(α−HA)は、Covance(プリンストン、NJ)から購入した。IRDye 800CWヤギ抗マウスIgG二次抗体(Licorマウス800)およびLicorブロッキングバッファーは、LI−COR Biotechnology(リンカーン、NE)から購入した。
器具
サイズ排除クロマトグラフィーは、GE HealthcareからのAKTA FPLCシステムで実施した。分取および分析の両FPLCは、Superdex 75 10/300またはS200 10/300カラムで行った。総ての実施で、タンパク質を1.35カラム容量のバッファーで溶出させた(流速:0.5mL/分)。分析的RP−HPLCは、C18 Vydacカラム(5μm、4.6×150mm)を装備したHewlett−Packard 1100および1200シリーズ装置で、流速1mL/分にて実施した。分取RP−HPLCは、Waters 2545バイナリー・グラジェント・モジュールおよびWaters 2489 UV検出器から構成されるWaters
prep LCシステムで実施した。精製は、C18 Vydac 218TP1022カラム(10μM;22×250mm)にて実施した。総ての実施で、水中0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)(溶媒A)および0.1%TFAを含有する水中90%アセトニトリル(溶媒B)を使用した。総ての実施で、初期条件で2分の無勾配期間の後、バッファーB濃度を漸増して30分の直線的勾配とした。エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)は、Bruker Daltonics MicrOTOF−Q II質量分析計で実施した。in vivoインテイン活性アッセイは、Molecular DevicesからのVersaMax tunableマイクロプレートリーダーで実施した。細胞は、S−450D Branson Digital Sonifierを用いて溶解させた。ウエスタンブロットおよびクーマシー染色in vitroスプライシングアッセイゲルは、LI−COR Odyssey赤外線イメージャーで画像化した。蛍光フルオレセイン含有ゲルは、GE ImageQuant LAS 4000イメージャーを用いて画像化した。
DnaE配列ライブラリーと配列分析のコンパイル
スプリットDnaEインテインのタンパク質配列は、NEB InBase1から取得した。このリストは、2011年5月時点での23エントリーからなった。これらのエントリーのうち、Csp(PCC7822)およびNosp(CCY9414)の2つは、C−インテイン配列を持たなかったので本研究から除いた。2対のインテインは同一の配列を持っていた:Nsp(PCC7120)とAsp(これらは、2つの異なる名称を有する同じ生物である可能性が最も高い)およびSel(PCC6301)とSel(PC7942)。従って、Nsp(PCC7120)およびSel(PCC6301)は、ライブラリーから除いた。Mcht(PCC7420)およびOli C−インテイン配列も同一であったが、それらのN−インテイン配列が異なっていたので、両インテインともライブラリーで維持した。InBaseでは、Aovインテインは、87位に絶対的に保存されているイソロイシン(I)の代わりに「X」を持っており,従って、この位置においてI87が用いられた。Csp(PCC7424)インテインを有するカナマイシン耐性アッセイ用プラスミドは不安定であることが分かり、変動の大きい結果をもたらしたことから、このインテインは分析から除いた。最終的なライブラリーは18のインテインを含んだ(表1)。
DnaEインテイン配列の高い相同性が考えられたので、そのN−インテインとC−インテインを、多重アラインメントソフトウエアJalview2を用いて手作業でアラインした。N−インテイン配列は、最初のシステイン残基を整列させるために「左揃え」とし、可変N−インテインテール領域はアラインしなかった。C−インテイン配列は総て、C末端アスパラギンを整列させるために「右揃え」とした。本研究で用いた残基のナンバリングは、融合したNpuインテインのNMR構造(PDBコード2KEQ)のナンバリングに基づく。従って、残基102(NpuNの最後の残基)の後の可変N−インテインテール領域は、C−インテインのN末端メチオニンと同様に、ナンバリングから除いた。
C−インテインのナンバリングは、TelおよびTvuインテイン(この位置にギャップを有し、104番から始まる)を除き、103から始まる。配列ロゴ(図6)については、N−インテインアラインメントおよびC−インテインアラインメントはそれぞれ、高活性と低活性に基づいて2つのアラインメントに分けた。高活性の配列ロゴは、Cwa、Cra(CS505)、Csp(PCC8801)、Ava、Npu、Csp(CCY0110)、Mcht(PCC7420)、Maer(NIES843)、Asp、Oli、およびAha(高活性のC120G突然変異に基づいて含めた)から構成された。低活性の配列ロゴは、Aov、Ter、Ssp(PCC7002)、Tvu、Tel、Ssp、およびSel(PC7942)から構成された。配列ロゴは、WebLogoを用いて作成した(4)。ヒートマップは、統計コンピューター・グラフィックスプログラム「R」を用いて作成した。
in vivoスクリーニングのためのプラスミドのクローニング
アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(KanR)およびNpu遺伝子断片を、従前に記載されたように(36、37)、pBluescript KS(+)ベクターのKpnI制限部位とSacI制限部位の間にクローニングした。この構築物は下記の構造を含んだ。
[KanRプロモーター]−[RBS]−[myc−KanRN]−[IntN]−[iRBS]−[IntC]−[CFN−KanRC]
ここで、KanRプロモーターは、ほとんどのカナマイシン耐性プラスミドに見られる構成プロモーターであり、RBSは、共通の大腸菌(E. coli)リボゾーム結合部位であり、iRBSは、前にリンカーを持つ介在リボゾーム結合部位であり、mycは、c−mycエピトープタグ(EQKLISEEDL)(配列番号760)をコードし、KanRNおよびKanRCは、KanRタンパク質の断片であり、IntNおよびIntCは、スプリットインテイン断片である。類似のSspプラスミドも、従前に記載されたように(36、37)構築した。これらのプラスミドを、myc−KanR−NpuDnaEスプリットおよびmyc−KanR−SspDnaEスプリットと呼称する。残りのスプリットインテインのスクリーニングベクターを作製するために、以下の構造を含む合成遺伝子を設計し、GENEWIZから購入した。
[5’オーバーハング]−[IntN]−[iRBS]−[IntC]−[3’オーバーハング]
ここで、5’および3’オーバーハングはそれぞれ、myc−KanR−NpuDnaEスプリットプラスミドにおいてNpuNの上流に見られる正確に39bpおよびNpuCの下流に見られる25bpであった。総てのインテインについて、購入した遺伝子配列は、GenBank8の総ての大腸菌コード配列に基づいて作成されたデフォルト大腸菌コドン使用頻度表を用いてコドンの最適化を行った。これらの合成遺伝子は、pUC57ベクターに受容された。
これらのスクリーニングプラスミドをクローニングするために、総ての合成遺伝子を、Phusion High−Fidelityポリメラーゼを用い、5’および3’オーバーハングに対するプライマーアニーリングによって増幅した。得られたメガプライマーを、Phusionポリメラーゼを用いたオーバーラップ・エクステンションPCR(39)により、myc−KanRプラスミドに、Npuの代わりに挿入した。この結果、同一の骨格、プロモーター、およびKanR遺伝子を含むが、異なるコドン最適化インテイン遺伝子を有する18の相同プラスミドが得られた。これらのプラスミドをmyc−KanR−XyzDnaEスプリット(ここで、Xyzは、表1に示されるインテインを示す)と呼称する。QuikChange部位特異的突然変異誘発キットを標準的な推奨プロトコールを用い、種々のインテインに特定の点突然変異を導入した。
相対的インテイン活性のin vivoスクリーニング
96ウェルプレートアッセイ: インテイン活性共役カナマイシン耐性(KanR)アッセイを、従前に記載されたように(36、37)に、96ウェルプレート形式で行った。
一般に、プラスミドを熱ショックにより15μLのサブクローニング・エフィシェンシーDH5α細胞に形質転換し、形質転換細胞を、100μg/mLのアンピシリン(LB/amp)を含む3mLのLuria−Bertani(LB)培地中、37℃で18時間増殖させた。一晩培養物を8種類の異なるカナマイシン濃度を含有するLB/amp溶液(培養物当たり150μL)で250倍希釈した。細胞を96ウェルプレートにて30℃で、5分ごとに650nmで光学密度(OD)をモニタリングしながら24時間培養した(なお、各測定の前には1分間振盪した)。この増殖曲線(一般に、固定相)のエンドポイントをカナマイシン濃度の関数としてプロットして用量反応相を可視化し、変数勾配用量応答方程式に当てはめてIC50値を計算した。
各回帰分析では、一般に、GraphPad Prismソフトウエアを用い、3つまたは4つの独立した用量反応曲線をまとめて上記の方程式に当てはめた。各当てはめでは、ODMinを650nmでのバックグラウンド吸光度に固定し、他の総てのパラメーターを変動させた。IC50棒グラフに関して報告したエラーバー(図1b)は、3つまたは4つをひとまとめにして当てはめた用量反応曲線からのベストフィットのIC50値における標準誤差を表す。
in vivoスプライシングのウエスタンブロット分析: ウエスタンブロット分析では、DH5α細胞を96ウェルプレートセットアップの場合と同様にアッセイプラスミドで形質転換し、振盪しながら37℃で18時間増殖させた。一晩培養物を3mLの新鮮LB/ampに1:300希釈で播種し、これらの細胞を30℃で24時間インキュベートした。30℃の培養物のODを650nmで測定して相対的細菌レベルを評価した後、150μLの各培養物をエッペンドルフ管に移し、17,000rcfで2分間遠心分離した。上清を吸引除去し、細胞ペレットを、4%BMEを含有する約200μLの2×SDSゲルローディング色素に再懸濁/溶解した(再懸濁液容量は、ODの違いに関して正規化するために若干異なっていた)。これらのサンプルを10分間煮沸した後、17,000rcfで1分間遠心分離した。各サンプル(5μL)を12%Bis−Trisゲルにロードし、MES−SDSランニングバッファーで泳動させた。これらのタンパク質をTowbinトランスファーバッファー(25mM Tris、192mMグリシン、15%メタノール)中、100Vで90分間、PVDFメンブレンに転写した。メンブレンをTBST中4%のミルクでブロッキングした後、TBST中の4%ミルク中、一次抗体(α−myc、1:5000)および二次抗体(Licorマウス800、1:15,000)を順次適用した。これらのブロットを、Licor Odysseyスキャナを用いて画像化した。
in vitroスプライシングアッセイのためのプラスミドのクローニング
Ub−IntNプラスミド: N−インテイン発現プラスミドは、従前に記載のNpuNプラスミドpMR−Ub−NpuN(WT)(36、37)に由来した。このプラスミドは、以下のタンパク質配列をコードした。
ここで、NpuN配列を太字で、即時型天然ローカルエクステイン残基を下線で示し、これらの残基の前に、Glyリンカーを持つHis−Ubがある。この構築物の発現の際に著しいin vivoタンパク質分解が従前に見られたので、QuikChangeを用い、このプラスミドにGly配列を除去する改変を行った。得られたプラスミドpMR−Ub−NpuN−ΔGlyを他の総てのUb−IntNプラスミドのための鋳型として用い、以下のタンパク質配列をコードした。
他の総てのIntNプラスミドを、相同プラスミド内に痕跡のない方式でUb−IntN融合遺伝子を作出するためにオーバーラップ・エクステンションPCRを用いてクローニングした(39)。具体的には、pMR−Ub−NpuN−ΔGly内のNpuNの前後のプラスミド配列にアニールするオーバーハングを有するプライマーを用い、合成遺伝子プラスミドから、PhusionポリメラーゼによりN−インテイン遺伝子を増幅した。次に、得られたメガプライマーを用いて、NpuNの代わりに新規N−インテイン遺伝子を挿入し、N−インテイン遺伝子以外はNpuNプラスミドと同一の、pMR−Ub−IntNと呼ばれる新規プラスミドを作出した。
IntC−SUMOプラスミド: C−インテインプラスミドは総て、従前に記載されたNpuCプラスミドpET−NpuC(WT)−SUMO(37)に由来した。このプラスミドは、以下のタンパク質配列をコードした。
ここで、NpuC配列を太字で、即時型天然ローカルエクステイン残基を下線で示し、後にリンカー配列およびSUMO−HAが続く。この構築物の前にHisタグおよびタバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼ認識配列がある。TEVプロテアーゼ切断部位は「|」で示し、N末端IntCメチオニンの代わりにグリシン残基が後に残る。
他の総てのIntCプラスミドを、相同プラスミド内に痕跡のない方式でIntC−SUMO融合遺伝子を作出するためにオーバーラップ・エクステンションPCRを用いてクローニングした(39)。具体的には、pET−NpuC(WT)−SUMO内のNpuC前後のプラスミド配列にアニールするオーバーハングを有するプライマーを用い、合成遺伝子プラスミドから、PhusionポリメラーゼによりC−インテイン遺伝子を増幅した。次に、得られたメガプライマーを用いて、NpuCの代わりに新規C−インテイン遺伝子を挿入し、C−インテイン遺伝子以外はNpuCプラスミドと同一の、pET−IntC−SUMOと呼ばれる新規プラスミドを作出した。
in vitroスプライシングアッセイのためのタンパク質の精製
Ub−IntN構築物(Ub−CwaNを除く)の過剰発現および精製: 各N−インテインプラスミドで形質転換した大腸菌BL21(DE3)細胞を、100μg/mLのアンピシリンを含有する1LのLB中、37℃で、OD600=0.6まで増殖させた。次に、これらの細胞を18℃に冷却し、0.5mM IPTGの添加により18℃で16時間、発現を誘導した。遠心分離(10,500rcf、30分)により細胞を採取した後、細胞ペレットを、5mLの溶解バッファー(50mMリン酸塩、300mM NaCl、5mMイミダゾール、2mM BME、pH8.0)の入った50mLコニカル管に移し、−80℃で保存した。細胞ペレットを、完全プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した15mLの溶解バッファーを追加することにより再懸濁させた。細胞を音波処理(35%振幅、氷上、30秒間隔で8×20秒のパルス)により溶解した。可溶性画分を遠心分離(35,000rcf、30分)により回収した。可溶性画分を2mLのNi−NTA樹脂と混合し、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、スラリーをフリット付きカラムにロードした。通過画分を廃棄した後、カラムを5カラム容量(CV)の溶解バッファー、5CVの洗浄バッファー1(20mMイミダゾールを含む溶解バッファー)、および3CVの洗浄バッファー2(50mMイミダゾールを含む溶解バッファー)で洗浄した。タンパク質を溶出バッファー(250mMイミダゾールを含む溶解バッファー)で4つの1.5CV溶出画分に溶出した。洗浄液および溶出画分をSDS−PAGEにより分析した。
Ni−NTAカラムで濃縮した後、タンパク質をゲル濾過により精製した。洗浄液および溶出画分を総て50mM DTTで氷上にて30分間処理した。発現の十分なタンパク質については、次に、最初の溶出画分をそのままS75 10/300ゲル濾過カラムに注入し(3×1mL注入)、新しく調製して脱気したスプライシングバッファー(100mMリン酸塩、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、pH7.2)にて1.35CVにわたって溶出させた。より薄い低収量のタンパク質の場合、一般に、50mMイミダゾール洗浄画分と最初の2つの溶出画分をプールし、4倍濃縮して3mLとした。次に、この濃縮タンパク質を高収量構築物と同様にゲル濾過により精製した。
FPLC画分をSDS−PAGEにより分析し、最も純度の高い画分をプールし、分析的ゲル濾過、分析的RP−HPLC、および質量分析により分析した。純粋なタンパク質の濃度は、UV A280nmおよびブラッドフォードアッセイにより決定した。
Ub−CwaNの過剰発現および精製: Ub−CwaNタンパク質は可溶性画分中に十分発現せず、ゲル濾過分析により観察したところ、濃縮されたタンパク質は総て凝集していた。従って、上記のように、発現、細胞溶解、および分画の後の、タンパク質を次のように溶解液の不溶性画分から抽出した。まず、溶解液ペレットを20mLのトリトン洗浄バッファー(0.1%トリトンX−100を含む溶解バッファー)中に再懸濁させ、室温で30分間インキュベートした。このトリトン洗浄液を35,000rcfで30分間遠心分離し、上清を廃棄した。次に、このペレットを、6M尿素を含有する20mLの溶解バッファーに再懸濁させ、混合物を4℃で一晩インキュベートした。混合物を35,000rcfで30分間遠心分離した後、上清を2mLのNiNTA樹脂と混合した。このNiカラムを総てのバッファーが6M尿素のバックグラウンドを持っていたこと以外は上記の本来の精製と同様に流出させた。Ni−NTAカラムでの濃縮後、50mMイミダゾール洗浄液と最初の2つの溶出画分をプールし、0.2mg/mLに希釈した。希釈したタンパク質を、4℃での尿素の段階的透析除去によって溶解バッファー(尿素不含)でリフォールディングした。タンパク質を4倍濃縮して3mLとし、すぐに、上記の本来の精製に関して示した通りにゲル濾過により精製した。純粋なタンパク質を分析的ゲル濾過、分析的RP−HPLC、および質量分析により分析した。この構築物は極めて凝集を受けやすいことに留意されたい。0.2mg/mLではなく2mg/mLでリフォールディングを行った場合、得られたタンパク質の10%未満がモノマーであったが、より薄いリフォールディングでは、ほぼ50%のモノマータンパク質を生じた。得られたタンパク質は80%がモノマーであり、凝集物に対するモノマーの比は、4℃で24時間の保存の後にも変わらなかった。純粋なタンパク質の濃度は、ブラッドフォードアッセイで決定した。
IntC−SUMOの構築物過剰発現および精製: 各C−インテインプラスミドで形質転換した大腸菌BL21(DE3)細胞を、カナマイシン(50μg/mL)を含有する1LのLB培地中、37℃でOD600=0.6まで増殖させた。次に、0.5mM IPTGの添加により、37℃で3時間、発現を誘導した。細胞を溶解し、所望のタンパク質を、本来の方法で精製されたUb−IntNタンパク質の場合と同様にNi−NTA樹脂で濃縮した。AvaC−SUMOおよびCsp(PCC8801)C−SUMOタンパク質は37℃で十分な発現をしなかったので、これらのタンパク質は18℃で16時間の誘導により再発現させた。各タンパク質について、50mMイミダゾール洗浄液と最初の2つの溶出画分をプールし、TEV切断バッファー(50mMリン酸塩、300mM NaCl、5mMイミダゾール、0.5mM EDTA、0.5mM DTT、pH8.0)で透析した後、一晩室温にて40μgのHisタグTEVプロテアーゼで処理した。切断はRP−HPLC/MSにより確認し、その後、反応溶液を室温で30分間、Ni−NTA樹脂とともにインキュベートした。通過画分と、洗浄バッファー1を含む2回の1.5CV洗浄液を回収し、プールした。次に、タンパク質を3〜4mLに濃縮し、S75 10/300ゲル濾過カラム(3×1mL注入)に注入し、新しく調製して脱気したスプライシングバッファー(100mMリン酸塩、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、pH7.2)で1.35CVにわたって溶出した。FPLC画分をSDS−PAGEにより分析し、最も純度の高い画分をプールし、分析的ゲル濾過、分析的RP−HPLC、および質量分析により分析した。純粋なタンパク質の濃度は、UV A280nmおよびブラッドフォードアッセイにより決定した。
Ub−IntNおよびIntC−SUMO構築物の使用および保存: 精製されたタンパク質は総て4℃で保存し、それらの同族IntC−SUMOとのスプライシングアッセイのために2日以内に使用した。残りのタンパク質(2用量相当)を、60%グリセロールを含有するスプライシングバッファー(1用量相当)と混合して20%グリセロール原液を得、これをアリコートに分け、液体N中で急速冷凍した。これらのタンパク質アリコートは−80℃で保存した。これらのタンパク質は氷上で解凍した後に十分機能があり、検出可能な機能損失なく急速冷凍と再解凍を少なくとも1回行うことができた。
in vitroスプライシングアッセイ
動態アッセイ手順: 典型的なアッセイでは、Ub−IntN構築物およびIntC−SUMO構築物の個々のタンパク質原液を、濾過したスプライシングバッファー(100mMリン酸塩、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、pH7.2)中に終濃度の2倍で(例えば、1.0μMの反応のためには2.0μM原液)調製した。
各タンパク質溶液に1mM TCEPを加え(pHを中性にした100mM原液から)、これらのタンパク質を30℃または37℃で、反応温度にもよるが5分間インキュベートした。反応を開始させるために、N−インテインとC−インテインを等容量(すなわち、等モル比)で混合した。典型的な反応容量は300μLであり、ヒートブロック上のエッペンドルフ管で実施した。反応中、20μLアリコートの反応溶液を所望の時点で取り出し、氷上、20μLの2倍濃縮SDSゲルローディング色素中で急冷し、40mMトリス(pH約7.0)、10%(v/v)グリセロール、1%(w/v)SDS、0.02%(w/v)ブロモフェノールブルー、および2%(v/v)BMEを含む最終クエンチング溶液を得た。各反応について、等量の出発材料をクエンチャー溶液に直接混合することにより、人為的ゼロ時点を取った。サンプルを10分間煮沸した後、17,000rcfで1分間遠心分離した。出発材料および時点のアリコート(15μL)をBis−Trisゲルにロードし、MES−SDSランニングバッファーで泳動させた。ゲルをクーマシー染色した後、Licor Odysseyスキャナを用いて画像化した。
CGN C−エクステイン配列との反応については、クエンチャー溶液中にBMEは用いなかったことに留意されたい。さらに、サンプルを煮沸する前に、各サンプルを1μLの2N HClで処理した。サンプルを煮沸および冷却した後、それらを1μLの2N NaOHで処理した。この手順は、分岐型中間体の望まない加水分解またはチオ開裂を防いだ。
速度パラメーターの決定: 反応速度を決定するために、ゲルの各レーンを、Licor
Odyssey定量機能またはImageJを用いて分析した。出発材料バンドの密な近接が見られたので、これらのバンドを一般に積分した。ローディング誤差に関して正規化するために、あるレーンの各バンドの積分強度を、そのレーンの総バンド強度(レーン間で比較的一定を維持していた)の分数強度として表した。これらの正規化強度を時間の関数としてプロットし、GraphPad Prismソフトウエアを用い、3回の独立した反応からのデータをまとめて一次速度方程式に当てはめた。
反応物の消耗については:
生成物の形成については:
Yは、ある種の分数強度であり、tは、時間(分)であり、Sは、反応物の消耗の倍率であり(変動性)、Zは、反応エンドポイントに残留する反応物の分画を示し(変動性)、Ymaxは、生成物形成の倍率であり、kobsは、スプライシング反応に関して観測された一次速度定数である(変動性)。半減期は、一次速度定数に関するベストフィット値から計算した。
検出可能な副生成物の形成がない反応では、生成物(Ub−SUMO)およびIntN形成の速度は、出発材料消耗の速度と一致していた。
反応のウエスタンブロット分析: 見られたバンドの同一性を確認するために、ゼロ時点と反応エンドポイントのウエスタンブロットを行った。上記の反応の急冷時点のものを12%ビス−トリスゲル(5μL/サンプル、2つの同一ゲル)にロードし、MES−SDSランニングバッファーで泳動させた。分離したタンパク質をゲルから、CAPSトランスファーバッファー(10mM N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、10%(v/v)メタノール、pH10.5)中、100Vで60分間、PVDFメンブレンに転写した。メンブレンをLicorブロッキングバッファーでブロッキングした後、Licorブロッキングバッファー中、一次抗体(α−His、1:3000、またはα−HA、1:25,000)を適用した。TBST中の4%ミルク中で、二次抗体(Licorマウス800、1:15,000)を適用した。これらのブロットを、Licor Odysseyスキャナを用いて画像化した。30℃および37℃の反応からのブロットは実際に同一であった。
Npu−CGN反応およびCra(CS505)−CGN反応のHPLC/MS分析
Npu−CGNおよびCra(CS505)−CGNのHPLC/MS分析のため、Ub−IntNおよびIntC−CGN−SUMOの個々のタンパク質原液を、濾過したスプライシングバッファー(100mMリン酸塩、150mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、pH7.2)中に8.0μMで調製した。各タンパク質溶液に1mM TCEPを加え(pHを中性とした100mM原液から)、これらのタンパク質を30℃で5分間インキュベートした。反応を開始させるために、N−インテインおよびC−インテインを等容量(すなわち、等モル比)で混合し、30℃でインキュベートした。反応中、反応溶液の90μLアリコートを所望の時点で取り出し、30μLのクエンチング溶液(4%トリフルオロ酢酸を含む6M塩酸グアニジン)中で急冷した。各急冷時点のもの100μLを分析的C18 RP−HPLCカラムに注入し、25%バッファーBで2分間の無勾配期の後、25%から73%のバッファーB勾配で30分間溶出させた(カラムおよびランニングバッファーの詳細に関しては器具の節を参照)。種々の時点で、様々なHPLCピークを収集し、それらの同一性を質量分析により確認した。IntC−(Ub)SUMO種をMSにより同定し、分岐型中間体形成および消耗を確認した。
動態モデリング
CGNの存在下でNpu、Cra(CS505)、およびCwaの反応を比較したところ、スプライス産物よりも切断ユビキチンの速度が遅いにもかかわらず、スプライス産物よりも高い量の切断ユビキチン(すなわち、N−エクステイン切断)が見られた。この筋書きでは、スプライシングおよび切断は同じ反応物(分岐型中間体)から起こる競合一次反応であって、切断よりも多くのスプライス産物をもたらす(観察とは逆)ので、この所見は分岐型中間体からのみ起こるN−エクステイン切断およびスプライス産物形成と一致しない。これらの所見を一致させる試みとして、一連の動態モデリングシミュレーションを行った。総てのモデリングは、BPReidからの動態モデリングアプレットを用いて行った(40)。これらのモデルはスプライシング経路に関して3つの基本的仮定を持つ。
1.第1の平衡では正および逆反応が速い。さらに、この平衡の位置はややアミド側にある。
2.第2の平衡も速く、両中間体はシステイニルチオエステルであるので、Keqは1に近いはずである。
3.高速インテインでは、分岐型中間体の分割(k)は最初の2つの可逆的段階の速度と同桁であるが、L(k)およびB(k)からの切断速度は比較的遅い。遅いインテインでは、分岐型中間体の分割(k)も遅く、切断と同桁であった。
これらの仮定を用いると、切断および分岐型中間体の分割の相対的速度および直鎖型中間体と分岐型中間体の間の平衡が、切断およびスプライシング産物の形成の速度および程度にどのような影響を及ぼし得るかを評価する6通りの筋書きが案出された。外因性のC−エクステイン残基を持つものなどの遅いインテインでは、分岐型中間体の分割速度は、N−エクステイン切断の速度と同等である。これらの状況下では、3つの因子が重要である。
1.LとBからの切断の相対的速度(kとk)。
2.分岐型中間体の分割と切断の相対的速度(kとk+k)。
3.最も重要には、直鎖型中間体と分岐型中間体の間の交換速度(k/k)。
これらの分析は、切断が直鎖型中間体および分岐型中間体の両方から起こるはずであることだけでなく、直鎖中間体における切断が有利であり得ることを示唆する。
融合DnaEインテインおよびMxeGyrAからのタンパク質チオ開裂およびライゲーション
H−Cys−Gly−Lys(フルオレセイン)−NH (CGK−フルオレセイン)の固相合成および精製: Fmocに基づく固相ペプチド合成(SPPS)を用いて、配列H−Cys−Gly−Lys(フルオレセイン)−NHを有するペプチドを生産した。
このペプチドを下記のように0.2mmolスケールにてRinkアミド樹脂上で合成した:DMF中20%のピペリジンを用い、1分間の樹脂の平衡化の後に20分のインキュベーションを用いてFmocの脱保護を行った。Fmoc脱保護の後、活性化剤としてDIC/HOBtを用いてアミノ酸をカップリングした。まず、アミノ酸(1.1mmol)を50:50 DCM:DMF(2mL)に溶かし、0℃にて15分間、DIC(1.0 mmol)およびHOBt(1.2mmol)で活性化した。この混合物を、N末端を脱保護した樹脂に加え、室温で10分間カップリングした。
システインがカップリングされた後、乾燥DCM中で30分間、Pd(Ph(0.1当量)およびフェニルシラン(25当量)で処理することにより、リジン側鎖を脱保護した。ペプチジル樹脂をDCM(2×5mL)およびDMF(2×5mL)で洗浄した後、DMF中0.5%DIPEA(v/v)で2回洗浄し、およびDMF中0.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(w/v)で2回洗浄してPd触媒の残留痕跡を除去した。次に、DIC/HOBt活性化法を用い、一晩室温で、5(6)−カルボキシフルオレセインをリジン側鎖にカップリングした。最後に、このペプチドを、94%TFA、1%TIS、2.5%EDT、および2.5%HO(6.5mL)を用いて1時間、樹脂から切断した。切断後、TFAのほぼ半分を窒素流下で蒸発させた。粗ペプチドを冷エーテルで沈殿させ、冷エーテルで2回洗浄した。最後に、C18分取カラムでのRP−HPLCにより、40分かけて15%から80%のバッファーB勾配でペプチドを精製した。精製したペプチドをその同一性を確認するために、分析的RP−HPLCおよびESI−MSで分析した。5−カルボキシフルオレセイン複合体および6−カルボキシフルオレセイン複合体を別々に単離する試みは行わなかったので、このペプチドはこれら2種の異性体の混合物であることに留意されたい。
Ub−インテイン融合物のクローニング: 総てのUb−インテイン融合物を、ユビキチンを含有する、NEBからの改変pTXB1ベクター(His−タグおよび終止コドンをMxeGyrAインテインとキチン結合ドメインの間に挿入)にクローニングした。この結果、Ub−MxeGyrA−ATEA−Hと呼ばれる下記のタンパク質をコードするプラスミドpTXB1−Ub−MxeGyrA−ATEA−Hが得られた。
ここで、MxeGyrA(N198A)のインテイン配列を太字で示し、その前にユビキチンがあり、後に内因性ローカルC−エクステイン配列(下線)およびHis−タグが続く。
このプラスミドにMxeGyrAインテインを融合Npuインテインに置換する改変を行った。まず、myc−KanR−NpuDnaE−スプリットプラスミドに、QuikChangeにより、NpuN遺伝子およびNpuC遺伝子を隔てているiRBS配列を除去する改変を行った。次に、得られたプラスミドmyc−KanR−NpuDnaE融合物を鋳型として用い、改変pTXB1ベクター内のMxeGyrA前後の配列に相同なオーバーハングを有する融合Npuインテインを有するメガプライマーを増幅した。Phusionポリメラーゼを用いたオーバーラップ・エクステンションPCRを用い、MxeGyrAの代わりに、N137A突然変異を有するNpu遺伝子を挿入した(39)。
重要なこととしては、この構築物をNpuの天然C−エクステイン残基(CFN)をMxeGyrAのそれ(TEA)の代わりに含むように改変した。得られたプラスミドpTXB1−Ub−NpuDnaE−ACFN−Hは、下記のタンパク質をコードした。
この融合物は、大腸菌で発現させた際に、ユビキチンの実質的なin vivo加水分解を示した。よって、これを、QuikChange突然変異誘発を用い、+1システインからアラニンへ変異させることによってさらに改変し、プラスミドpTXB1−Ub−NpuDnaE−AAFN−Hを作出した。このプラスミドは、下記のタンパク質(Ub−NpuDnaE−AAFN−H)をコードし、これをin vitroチオ開裂実験に使用した。
下記のタンパク質配列(それぞれUb−AvaDnaE−AAFN−HおよびUb−MchtDnaE−AAFN−H)をコードするpTXB1−Ub−AvaDnaE−AAFN−HプラスミドおよびpTXB1−Ub−MchtDnaE−AAFN−Hプラスミドを、pTXB1−Ub−NpuDnaE−AAFN−Hプラスミドを改変することによって同様にクローニングした。
DnaEインテイン構築物における+1Cys残基の除去の対照として、+1Thr残基をpTXB1−Ub−MxeGyrA−ATEA−HプラスミドからQuikChange突然変異誘発によって変異させ、タンパク質Ub−MxeGyrA−AAEA−HをコードするプラスミドpTXB1−Ub−MxeGyrA−AAEA−Hを作出した。
融合DnaEインテインへのさらなる融合物のクローニング: いくつかの他のタンパク質をAvaDnaEまたはMchtDnaEに融合し、これらのインテインからのチオ開裂の配列依存性を調べた。用いたタンパク質は、ヒトGrb2のN末端SH3ドメイン(AA1〜55+/−外因性C末端Gly)、ヒトAblキナーゼのSH2ドメイン(AA122〜217)、eGFP、およびヒトPARP1の触媒ドメイン(AA657〜1015)であった。プラスミドは総て、上述の方法を用いてクローニングし、下記のタンパク質をコードするプラスミドを作出した。
種々のタンパク質−インテイン融合物の精製: 各タンパク質−インテイン融合物プラスミドで形質転換した大腸菌BL21(DE3)細胞を、アンピシリン(100μg/mL)を含有する1LのLB培地中、37℃でOD600=0.6まで増殖させた。次に、0.5mM IPTGの添加と37℃で3時間のインキュベーションまたは18で℃16時間のインキュベーションによって発現を誘導した。Ub融合物は総て37℃で発現し、eGFP融合物は18℃で発現し、SH3、SH2、およびPARP融合物は両方の温度で発現した。これらの細胞を遠心分離(10,500rcf、30分)により採取した後、細胞ペレットを5mLの溶解バッファー(50mMリン酸塩、300mM NaCl、5mMイミダゾール、BME無し、pH8.0)の入った50mLのコニカル管に移し、−80℃で保存した。細胞ペレットを、完全タンパク質阻害剤カクテルを添加した溶解バッファー15mLを追加することにより再懸濁させた。細胞を音波処理(35%振幅、氷上、30秒間隔で8×20秒のパルス)により溶解した。可溶性画分を遠心分離(35,000rcf、30分)により回収した。可溶性画分を2mLのNi−NTA樹脂と混合し、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、スラリーをフリット付きカラムにロードした。通過画分を廃棄した後、カラムを5カラム容量(CV)の溶解バッファー、5CVの洗浄バッファー1(20mMイミダゾールを含む溶解バッファー)、および3CVの洗浄バッファー2(50mMイミダゾールを含む溶解バッファー)で洗浄した。タンパク質を溶出バッファー(250mMイミダゾールを含む溶解バッファー)で4つの1.5CV溶出画分に溶出した。洗浄液および溶出画分を、チオール不含のローディング色素を用いSDS−PAGEにより分析した。最も純粋な画分をプールし、10mM TCEPで氷上にて20分間処理した。次に、溶液をS75またはS200 10/300ゲル濾過カラムに注入し(2×1mL注入)、チオ溶解バッファー(100mMリン酸塩、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM TCEP、pH7.2)中、1.35CVで溶出させた。FPLC画分を、チオール不含のローディング色素を用いSDS−PAGEにより分析した、最も純粋な画分をプールし、分析的RP−HPLCおよび質量分析により分析した。純粋なタンパク質の濃度をUV A280nmにより決定した。
Ub−インテイン融合物のチオ開裂および小蛍光ペプチドとのユビキチンライゲーション: 各Ub−インテイン融合タンパク質について、30℃にて100μLのスケールで4種類の反応を行った。バックグラウンド加水分解をモニタリングするための第1の反応では、融合タンパク質(50μM)を、新たにTCEP(さらに5mM)を加えたチオ溶解バッファー(100mMリン酸塩、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM TCEP、pH7.2)中でインキュベートした。第2および第3の反応では、タンパク質を、各反応が100mM MESNaまたは1mM CGK−フルオレセインのいずれかを含んだ以外は、第1の反応と同様にインキュベートした。第4の反応では、MESNaおよびペプチドを加えた。種々の時点で、5μLの反応溶液を取り出し、チオールを含有しない30μLの2倍SDSローディング色素中で急冷した。各時点の溶液を採取した際は、それらを反応が終了するまで−20℃で保存した。反応後、各時点の35μLの急冷溶液を解凍し、1μLの1M TCEP原液で処理し、10分間煮沸し、17,000rcfで1分間遠心分離した。各時点の溶液(5μL)を12%ビス−トリスゲルにロードし、MES−SDSランニングバッファーで泳動させた。これらのゲルを蛍光イメージャーで画像化してUb−CGK−フルオレセインライゲーション産物を可視化した。その後、これらのゲルをクーマシー染色し、Licor Odysseyスキャナを用いて画像化した。さらに、反応エンドポイント溶液を、0.1%TFAを含有するHOで20倍希釈することにより急冷し、分析的C18 RP−HPLCカラムに注入した。混合物を2分の0%B無勾配期の後、30分間かけて0から73%Bへの直線勾配で分離した。
主要ピークを回収し、MSにより分析した。
SH3−、SH2−、eGFP−、およびPARP −インテイン融合物のチオ開裂: AvaDnaE融合インテインおよびMchtDnaE融合インテインに融合した他の数種のタンパク質を用いてチオ開裂反応を、上記のユビキチン反応と同様に行った。30℃にて300μLスケールで行った典型的な反応において、10μMの融合タンパク質をチオ溶解バッファー中、5mMのTCEPで処理した後、pH調整した1Mの原液から加えたMESNa(100mMまたは200mMのいずれか)の存在下または不在下でインキュベートした。種々の時点で、アリコート(15μL)の反応溶液をチオール不含の30μLの2倍SDSゲルローディング色素中で急冷し、反応が終了するまで−20℃で保存した。反応後、各時点の45μLの急冷溶液を解凍し、1μLの1M TCEP原液で処理し、10分間煮沸し、17,000rcfで1分間遠心分離した。各時点の溶液(15μL)を12%ビス−トリスゲルにロードし、MES−SDSランニングバッファー中で泳動した。次に、これらのゲルをクーマシー染色し、Licor Odysseyスキャナを用いて画像化した。さらに、反応エンドポイント溶液を、0.1%TFAを含有するHOで4倍希釈することにより急冷し、分析的C18 RP−HPLCカラムに注入した。この混合物を2分の0%B無勾配期の後、30分間かけて0から73%Bへの直線勾配で分離した。生成物ピークを回収し、MSにより分析した。
融合DnaEインテインにおける直鎖チオエステル中間体の観察
ユビキチンとのNpu、Ava、およびMcht融合物について、中性バッファーからC18 RP−HPLCカラムに直接注入した場合、精製されたタンパク質に3つのピークが見られた。これらのピークは総て、同じ質量の目的タンパク質を持っていた。0.1%TFAを含有するHO(pH2)で20倍希釈し、室温で少なくとも2時間インキュベートした場合、最初の2つのピークは第3のピークに重なった(図4d)。MxeGyrAでは同じ条件で同じ観察はできなかった。前駆体アミドと直鎖チオエステルの間の平衡が生じていたことをさらに確認するために、Ub−NpuDnaE−AAFN−Hタンパク質を、1%SDSを含有するチオ溶解バッファーで20倍希釈した。煮沸前には、これら2つの主要ピークが見られた。10分間煮沸した後、このタンパク質がアンフォールド(unfolded)されると、第1の主要ピークは一部が第2の主要ピークに変換したが、このことは前記ピークが、アンフォールドした(unfolded)インテインにおいてより安定であるはずのアミドであったことを示唆する。3つのピークが平衡状態であったというさらなる証拠は、pH滴定から得られた。このタンパク質をpH2〜pH8の範囲のクエン酸/リン酸塩バッファーで20倍希釈し、室温で3〜4時間インキュベートした後、30分かけて30%から73%Bの勾配のHPLCにより分析した(図4d)。これら3つの種の相対的存在量を調整したところ、それらの活性部位に複数のイオン性官能基を含む酵素の活性と類似のベル型のpH依存性を示した。
観察された3つ総てのHPLCピークから目的タンパク質の質量が観察された他、最初の2つのピークでは、−18Da種の存在が見られた。この質量変化は脱水反応の特徴であり、このような反応は、最初のNからSへのアシルシフトを効率的に触媒することのできないSspDnaBインテインの変異型に関してMootzらによりこれまでに報告されている(41)。具体的には、正および逆アシル化反応の四面体中間体は、酸により触媒される脱水を受けてチアゾリン副生成物を生成し得る。Mootzおよび共同研究者らによれば、この種は、通常の反応条件下での、それらの変異型インテインの不可逆的副生成物であり、低収量を招いた。DnaEインテインが完全に反応可能な本明細書の系では、この種はRP−HPLCの際の酸性化の人為的産物であるか、または通常の反応条件下で十分可逆的である。MSによるチアゾリンのさらなる観察により、本反応混合物中に検出可能なレベルの四面体中間体の存在が確認されることは注目に値する。
ユビキチン以外のタンパク質とのDnaEインテインの融合についても、中性pHにおいて多重ピークを伴って同様のHPLC特性が見られたが、3つのピークの比率は配列によって異なっていた。さらに、内因性「A−E−Y」DnaE N−エクステインに類似性の高い配列(「I−E−M」配列とのSH3融合物など)では、MootzらによってスプリットSspDnaBインテインに関して見られたものと同様に(41)、脱水生成物の実質的蓄積(HPLC/MSによれば50%も)が見られた。これらの構築物に関して、この種はタンパク質発現中に蓄積して、「捕捉された」(脱水した)ものと「遊離型」(天然、水和)融合タンパク質の混合物を生じると思われる。中性のpHでMESNaを添加すると、「遊離型」のタンパク質は速やかにチオ開裂を受けて目的生成物を生じ、「捕捉された」タンパク質はゆっくり再水和し、チオ開裂も受け、同じ目的生成物を生じる。従って、反応進行曲線では、「バースト」相の後により緩慢な相が見られた。重要なこととしては脱水された融合タンパク質の蓄積は、より低い温度(37℃ではなく18℃)での発現によって減少させることができ、これらの反応は、MESNa濃度を100mMから200mM MESNaに引き上げることによってより速く、かつ、より完全に近くさせることができた。さらに、注目すべきは、SH3チオ開裂反応に関して、MchtDnaEインテインはAvaDnaEインテインよりも(that the AvaDnaE intein)実質的に効率的であるこということであり、このことは、目的のタンパク質によって異なる融合DnaEインテインが好ましい場合があることを示唆している。
上記の例示的実施例において示されるように当業者には本発明において多数の改変および変形が想到すると思われる。従って、添付の特許請求の範囲に見られる限定だけが本明細書に課せられるべきである。
参考文献

Claims (16)

  1. (a)(1)ポリペプチドと、配列番号1〜19からなる群から選択される配列を含んでなるスプリットインテインN末端断片またはその変異体とを含んでなる融合タンパク質と、(2)配列番号57〜74からなる群から選択される配列を含んでなるスプリットインテインC末端断片またはその変異体とを接触させること、
    ここで、前記スプリットインテインN末端断片の変異体は配列番号20〜38および761からなる群から選択される配列であり、
    前記スプリットインテインC末端断片の変異体は配列番号57〜398、708〜711、728〜742、417〜686および744〜759からなる群から選択される配列であり、
    前記接触は、前記スプリットインテインN末端断片と前記スプリットインテインC末端断片が結合してインテイン中間体を形成することを可能とする条件下で行われる;および
    (b)前記インテイン中間体を求核試薬と接触させて、タンパク質と求核試薬の複合体を形成すること
    を含んでなる、方法。
  2. 前記スプリットインテインC末端断片が支持体に結合されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記支持体がビーズ、樹脂、粒子またはスライドグラスを含んでなる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記融合タンパク質が全細胞溶解液中にある、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記インテイン中間体を洗浄して全細胞溶解液の成分からインテイン中間体を分離することをさらに含んでなる、請求項に記載の方法。
  6. 前記融合タンパク質が細胞上清に由来する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記インテイン中間体を洗浄して細胞上清の成分からインテイン中間体を分離することをさらに含んでなる、請求項に記載の方法。
  8. 前記ポリペプチドが40kDa以上の分子量を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ポリペプチドが抗体またはそのフラグメントである、請求項に記載の方法。
  10. 前記ポリペプチドが細胞から分泌される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記複合体を単離することをさらに含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記求核試薬が第2のポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ナノ粒子、薬物、またはポリマーを含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記求核試薬がチオールを含んでなり、前記複合体がチオエステルを含んでなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記チオールが2−メルカプトエタンスルホネート、アルキルチオール、またはアリールチオールである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記チオエステルを第2の求核試薬と反応させて第2の複合体を形成することをさらに含んでなる、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記第2の求核試薬がアミン、ヒドラジン、またはアミノ−オキシ部分を含んでなる、請求項15に記載の方法。
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