以下、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す測定装置1は、「測定装置」の一例であって、装置本体10、クランプセンサ11およびケーブル12を備えて構成されている。装置本体10は、クランプセンサ11とは別体に形成されると共に、クランプ対象X(電力ケーブルなどの導線)を流れる電流の電流値(「予め規定された被測定量」の一例)をケーブル12によって接続されたクランプセンサ11を介して測定可能に構成されている。
クランプセンサ11は、「クランプセンサ」の一例であって、図2に示すように、握持部21およびクランプ部22a,22bを備えている。握持部21は、クランプセンサ11によってクランプ対象Xをクランプする際に利用者が握持する部位であって、浅皿状のシェル21a,21bを備え、その上端部側にクランプ部22a,22bが取り付けられると共に、その下端部からケーブル12が引き出されている。クランプ部22a,22bは、「一対のクランプ部」の一例であって、それぞれ弧状に形成されている。
また、図3,4に示すように、クランプ部22aは、ケース用ハーフ31a,31bからなる絶縁ケース31内に、磁性コア32、絶縁キャップ33、フレキシブル基板34、ホール素子35および絶縁キャップ36が収容されると共に、図2に示すように、その基端部側がシェル21a,21bに挟み込まれるようにして握持部21に対して固定的に取り付けられている。なお、図4では、絶縁ケース31(ケース用ハーフ31a,31b)の図示を省略している。
また、図3,5に示すように、クランプ部22bは、ケース用ハーフ41a,41bからなる絶縁ケース41内に、磁性コア42および絶縁キャップ43が収容されると共に、図2に示すように、その基端部側がシェル21a,21bに挟み込まれるようにして握持部21に対して回動可能に軸支されている。この場合、本例のクランプセンサ11では、握持部21に対してクランプ部22bを回動させるためのレバー部23がクランプ部22bと一体的に形成されている。なお、図5では、絶縁ケース41(ケース用ハーフ41a,41b)の図示を省略している。
また、本例のクランプセンサ11では、図4,5に示すように、複数枚の板状磁性体32aを積層することで磁性コア32が構成されると共に、複数枚の板状磁性体42aを積層することで磁性コア42が構成されている。さらに、本例のクランプセンサ11では、図2に示すように両クランプ部22a,22bの各々の先端部側を閉じた「閉状態」において、絶縁ケース31,41内の各磁性コア32,42によってクランプ対象Xを取り囲むようにして環状の磁路が形成されるように両クランプ部22a,22bが構成されている。
また、本例のクランプセンサ11では、図6に示すように、磁性コア32における先端部側の端部を覆うように絶縁ケース31が形成され、かつ磁性コア42における先端部側の端部を覆うように絶縁ケース41が形成されて、「閉状態」において両クランプ部22a,22bの先端部側に磁路のギャップGtが生じるように構成されている。
この場合、図7に示すように、磁性コア32は、長さが異なる板状磁性体32aが交互に積層されることでその基端部が櫛刃状となっている。また、図11に示すように、磁性コア42は、長さが異なる板状磁性体42aが交互に積層することでその基端部が櫛刃状となっている。これにより、本例のクランプセンサ11は、「閉状態」、および両クランプ部22a,22bの各々の先端部側を開いた「開状態」の双方において、クランプ部22aの磁性コア32とクランプ部22bの磁性コア42とが基端部において互いに接した状態となって、基端部において磁路が連続するように構成されている。
また、本例のクランプセンサ11では、両クランプ部22a,22bによってクランプ対象Xをクランプした状態において、クランプ対象Xの周囲に生じる磁界によって磁性コア32,42(磁路)に誘起される磁束をホール素子35によって検出する構成が採用されている。この場合、ホール素子35は、「磁束検出素子」としての「第1の素子」の一例であって、「閉状態」においてギャップGt内に位置するようにクランプ部22aの絶縁ケース31内に磁性コア32と共に収容されている(「絶縁ケース内に第1の素子が収容されたクランプ部」がクランプ部22aである構成の例)。
また、本例のクランプセンサ11では、図13,14に示すように、「第1の信号線」に相当する配線パターン(図示せず)が形成されたフレキシブル基板34が、絶縁ケース31内において磁性コア32に沿ってクランプ部22aの基端部(クランプ部22aの基端部が固定された握持部21)まで延設され、握持部21内においてフレキシブル基板34の配線パターンがケーブル12に接続されている。
この場合、本例のクランプセンサ11におけるフレキシブル基板34は、図3,4に示すように、その横幅が磁性コア32の厚みと同程度の帯状に形成されると共に、上記の配線パターン(第1の信号線)が絶縁フィルム(フレキシブル基板34の支持体)の間に挟み込まれるようにして形成されており、これにより、ホール素子35の接続部位を除いて配線パターンが絶縁フィルムによって被覆された状態となっている。また、このフレキシブル基板34は、絶縁性の向上を目的として、その幅方向における端部から0.65mmの範囲内に配線パターンが存在しないように形成されている。
さらに、本例のクランプセンサ11では、図6に示すように、クランプ部22aの磁性コア32における先端部側の端部が絶縁ケース31内において「第1の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ33によって覆われると共に、フレキシブル基板34における先端部側の端部およびホール素子35が絶縁キャップ33の外側に位置させられた状態となっている。
また、本例のクランプセンサ11では、クランプ部22aの磁性コア32における先端部側の端部、絶縁キャップ33、フレキシブル基板34における先端部側の端部、およびホール素子35が絶縁ケース31内において「第5の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ36によって覆われた状態となっている。
さらに、本例のクランプセンサ11では、ホール素子35が配設されていないクランプ部22bの磁性コア42における先端部側の端部が絶縁ケース41内において「第4の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ43によって覆われた状態となっている(「絶縁ケース内に第1の素子が収容されていないクランプ部」がクランプ部22bである構成の例)。
このクランプセンサ11の製造に際しては、まず、クランプ部22a,22bを組み立てる。具体的には、クランプ部22aの組み立てに際しては、図7に示すように、長さが異なる板状磁性体32aを交互に積層して磁性コア32を形成する。次いで、図8に示すように、磁性コア32における先端部(後の工程でホール素子35を配設する側の端部)に絶縁キャップ33を装着する。これにより、磁性コア32における先端部側の端部が絶縁キャップ33によって覆われた状態となる。
続いて、図9に示すように、磁性コア32の外周にフレキシブル基板34を取り付ける。なお、フレキシブル基板34における先端部側の端部には、既にホール素子35が接続されている(半田付けされている)。また、本例のクランプセンサ11では、一例として、フレキシブル基板34の一面に粘着テープが貼付されている。したがって、フレキシブル基板34の粘着テープにおける台紙を剥がし、ホール素子35が接続されている部位を絶縁キャップ33の外側に位置させるようにしてフレキシブル基板34を磁性コア32に貼り付けることで磁性コア32に対するフレキシブル基板34およびホール素子35の取り付けが完了する。
これにより、ホール素子35が接続された配線パターン(フレキシブル基板34)が磁性コア32に沿ってその基端部(後に握持部21に固定される部位)まで延設された状態になると共に、フレキシブル基板34の配線パターンにおける先端部側の端部(ホール素子35が接続されている部位)、およびホール素子35が絶縁キャップ33の外側に位置させられた状態となる。
次いで、図10に示すように、磁性コア32における先端部側の端部、絶縁キャップ33、フレキシブル基板34の配線パターンにおける先端部側の端部、およびフレキシブル基板34(配線パターン)に接続されたホール素子35を覆うようにして、絶縁キャップ36を装着する。続いて、絶縁キャップ36の装着が完了した磁性コア32を収容するようにしてケース用ハーフ31a,31bを嵌め合わせる。この後、ケース用ハーフ31a,31bの当接部位を接着する(一例として、超音波溶着する)ことにより、ケース用ハーフ31a,31bからなる絶縁ケース31が形成されてクランプ部22aが完成する。
また、クランプ部22bの組み立てに際しては、図11に示すように、長さが異なる板状磁性体42aを交互に積層して磁性コア42を形成する。次いで、図12に示すように、磁性コア42における先端部に絶縁キャップ43を装着する。これにより、磁性コア42における先端部側の端部が絶縁キャップ43によって覆われた状態となる。
続いて、絶縁キャップ43の装着が完了した磁性コア42を収容するようにしてケース用ハーフ41a,41bを嵌め合わせる。この後、ケース用ハーフ41a,41bの当接部位を接着する(一例として、超音波溶着する)ことにより、ケース用ハーフ41a,41bからなる絶縁ケース41が形成されてクランプ部22bが完成する。
次いで、クランプ部22aのフレキシブル基板34における基端部側の端部(配線パターンにおける基端部側の端部)をケーブル12に接続する。続いて、クランプ部22aにおける基端部、ケーブル12におけるクランプ部22a側(フレキシブル基板34側)の端部、およびクランプ部22bにおける基端部を挟み込むようにしてシェル21a,21bを嵌め合わせる。なお、実際には、クランプ部22bの先端部をクランプ部22aの先端部に向けて付勢するためのスプリング等を装着するが、これらについての図示および説明を省略する。この後、シェル21a,21bをネジ止めすることにより、図2に示すようにクランプセンサ11が完成する。
このクランプセンサ11を用いてクランプ対象Xを流れる電流の電流値を測定する際には、図1に示すように、ケーブル12を介して装置本体10にクランプセンサ11を接続すると共に、クランプセンサ11によってクランプ対象Xをクランプする。これにより、クランプ対象Xを取り囲むようにして、クランプセンサ11の両クランプ部22a,22bにおける各磁性コア32,42によって環状の磁路が形成された状態となる。
この状態において、クランプ対象Xを電流が流れているときには、その電流の大きさに応じた強さの磁界がクランプ対象Xの周囲に発生し、この磁界によってクランプセンサ11の磁路に誘起される磁束がホール素子35によって検出される。したがって、ホール素子35から出力されてフレキシブル基板34およびケーブル12を介して装置本体10に入力される検出信号に基づき、クランプ対象Xを流れている電流の電流値が測定される。
この場合、本例のクランプセンサ11では、図6に示すように、クランプ部22aの磁性コア32における先端部側の端部とクランプ部22bの磁性コア42における先端部側の端部との間のギャップGtを十分に狭くするために、絶縁ケース31において磁性コア32における先端部側の端部を覆っている部位、および絶縁ケース41において磁性コア42における先端部側の端部を覆っている部位が非常に薄厚となっている。
したがって、前述したような測定作業(クランプ作業)に際して、例えば、クランプセンサ11(測定装置1)の使用に不慣れな利用者が、クランプ部22a,22bの各々の先端部の間にクランプ対象Xなどを挟み込んだ状態において両クランプ部22a,22bを無理矢理閉じようとしたときに絶縁ケース31,41における薄厚の部位に割れが生じるおそれがある。また、クランプセンサ11を誤って落下させたときには、重量が大きい磁性コア32,42が収容されているクランプ部22a,22bの側が下向きとなった状態で地面や床面にクランプセンサ11が当接するため、クランプ部22a,22bにおける先端部において絶縁ケース31,41に割れが生じるおそれもある。
この際に、出願人が前述した特許文献に開示している「クランプセンサ」と同様の構成を採用した「クランプセンサ」では、両クランプ部の先端部において絶縁ケース(コアカバー)に割れが生じている状態において、例えば、大きな電圧が印加されているクランプ対象Xをクランプしようとしてクランプ対象Xに「クランプセンサ」を近付けたときに、絶縁ケースに生じている割れを通過してクランプ対象Xからホール素子(磁電変換素子)の接続端子(または、電極)およびフレキシブル基板における配線パターン(配線パターンにおけるホール素子の接続部)などに電流が流れ込み、測定回路が破損するおそれがある。
また、出願人が前述した特許文献に開示している「クランプセンサ」と同様の構成を採用した「クランプセンサ」では、ホール素子等が配設されていないクランプ部における絶縁ケース(コアカバー)の先端部に割れが生じている状態においてクランプ対象Xに「クランプセンサ」を近付けたときに、絶縁ケースに生じている割れを通過してクランプ対象Xから磁性コア(磁気コア)に電流が流れ込み、この電流が、他方のクランプ部(ホール素子等が配設されているクランプ部)の磁性コアを介してホール素子の接続端子(または、電極)およびフレキシブル基板における配線パターンなどに電流が流れ込み、測定回路が破損するおそれがある。
これに対して、本例のクランプセンサ11では、前述したように、ホール素子35、フレキシブル基板34における配線パターン(配線パターンにおけるホール素子35の接続部)、および磁性コア32における先端部側の端部が絶縁ケース31内において絶縁キャップ36によって覆われている。したがって、仮に絶縁ケース31における先端部側の端部に割れが生じたとしても、ホール素子35、フレキシブル基板34(配線パターン)および磁性コア32が絶縁キャップ36によって好適に絶縁された状態が維持されるため、クランプ対象Xからこれらへの電流の流れ込みが好適に阻止される。
また、本例のクランプセンサ11では、前述したように、磁性コア42における先端部側の端部が絶縁ケース41内において絶縁キャップ43によって覆われている。したがって、仮に絶縁ケース41における先端部側の端部に割れが生じたとしても、磁性コア42が絶縁キャップ43によって好適に絶縁された状態が維持されるため、クランプ対象Xから磁性コア42への電流の流れ込みも好適に阻止される。
一方、この種の「クランプセンサ」では、例えば、壁や床などに「クランプ部」を強く打ち付けてしまったり、「クランプ部」の上に工具などを落下させてしまったりしたときに、「クランプ部」における先端部側の端部以外の位置において絶縁ケース(コアカバー)に割れが生じるおそれもある。
この際に、出願人が開示している「クランプセンサ」と同様の構成を採用した「クランプセンサ」では、例えば、ホール素子等が収容されている側の「クランプ部」における先端部側の端部と基端部側の端部との中間部位において絶縁ケースに割れが生じている状態においてクランプ対象Xに「クランプセンサ」を近付けたときに、絶縁ケースに生じている割れを通過してクランプ対象Xから磁性コアに電流が流れ込み、この電流が、先端部側の端部においてホール素子の接続端子(または、電極)およびフレキシブル基板における配線パターンなどに流れ込み、測定回路が破損するおそれがある。
また、ホール素子等が収容されていない側の「クランプ部」における先端部側の端部、および基端部側の端部の中間部位において絶縁ケースに割れが生じている状態においてクランプ対象Xに「クランプセンサ」を近付けたときには、絶縁ケースに生じている割れを通過してクランプ対象Xから磁性コアに電流が流れ込み、この電流が、他方の磁性コアを介して他方のクランプ部における先端部側の端部においてホール素子の接続端子(または、電極)およびフレキシブル基板における配線パターンなどに電流が流れ込み、測定回路が破損するおそれがある。
これに対して、本例のクランプセンサ11では、前述したように、ホール素子35等が収容されているクランプ部22aにおける磁性コア32の先端部側の端部が絶縁キャップ33によって覆われると共に、ホール素子35やフレキシブル基板34がこの絶縁キャップ33の外側に配置された状態で絶縁ケース31内に収容されている。したがって、絶縁ケース31内において磁性コア32と、ホール素子35およびフレキシブル基板34(配線パターン)とが絶縁キャップ33によって好適に絶縁されて磁性コア32からフレキシブル基板34(配線パターン)への電流の流れ込みが好適に阻止されているため、絶縁ケース31に生じた割れおよび磁性コア32を介してクランプ対象Xからホール素子35やフレキシブル基板34(配線パターン)に電流が流れ込んだり、絶縁ケース41に生じた割れおよび磁性コア42,32を介してクランプ対象Xからホール素子35やフレキシブル基板34(配線パターン)に電流が流れ込んだりする事態が好適に阻止される。
このように、このクランプセンサ11では、磁性コア32における先端部側の端部が絶縁ケース31において絶縁キャップ33によって覆われ、かつフレキシブル基板34(配線パターン)における先端部側の端部およびホール素子35が絶縁キャップ33の外側に位置させられている。また、この測定装置1は、上記のクランプセンサ11を備え、クランプセンサ11による磁束の検出結果に基づいてクランプ対象Xについての予め規定された被測定量(本例では、電流値)を測定可能に構成されている。
したがって、このクランプセンサ11および測定装置1によれば、磁性コア32からホール素子35やフレキシブル基板34(配線パターン)への電流の流れ込みを絶縁キャップ33によって好適に阻止することができるため、絶縁ケース31に割れが生じたとしても、クランプ対象Xなどから磁性コア32を介してホール素子35やフレキシブル基板34に電流が流れ込む事態を好適に阻止することができる。これにより、意図しない電流の流れ込みに起因する測定回路の破損を好適に回避することができる。
また、このクランプセンサ11および測定装置1によれば、両クランプ部22a,22bの各々の基端部において磁路が連続するように構成すると共に、磁性コア42における先端部側の端部を絶縁ケース41内において絶縁キャップ43によって覆ったことにより、絶縁ケース41における先端部側の端部に割れが生じたとしても、クランプ対象Xなどから磁性コア42に電流が流れ込む事態を絶縁キャップ43によって好適に阻止することができる。これにより、意図しない電流の流れ込みに起因する測定回路の破損を好適に回避することができる。
さらに、このクランプセンサ11および測定装置1によれば、磁性コア32における先端部側の端部、絶縁キャップ33、フレキシブル基板34(配線パターン)における先端部側の端部およびホール素子35を絶縁ケース31内において絶縁キャップ36によって覆ったことにより、絶縁ケース31における先端部側の端部に割れが生じたとしても、クランプ対象Xなどからホール素子35、フレキシブル基板34(配線パターン)および磁性コア32に電流が流れ込む事態を絶縁キャップ36によって好適に阻止することができる。これにより、意図しない電流の流れ込みに起因する測定回路の破損を好適に回避することができる。
なお、「クランプセンサ」および「測定装置」の構成は、上記のクランプセンサ11および測定装置1の構成の例に限定されない。例えば、クランプ部22aの磁性コア32、およびクランプ部22bの磁性コア42が互いに接して両クランプ部22a,22bの基端部において磁路が連続するように構成したクランプセンサ11の構成を例に挙げて説明したが、両「クランプ部」の基端部にも磁路のギャップを設けて「磁束検出素子」を配設することができる。具体的には、図15,16に示すクランプセンサ11Aは、「クランプセンサ」の他の一例であって、両クランプ部25a,25b(「一対のクランプ部」の他の一例)の先端部に設けた磁路のギャップGt内に配設したホール素子35に加え、両クランプ部25a,25bの基端部にも磁路のギャップGbを設け、このギャップGb内に「磁束検出素子」としての「第2の素子」の一例であるホール素子35aが配設されている。
なお、このクランプセンサ11Aは、ギャップGbを設けてホール素子35aを配設したことで、その「磁性コア」や「絶縁ケース」の形状が、クランプセンサ11の磁性コア32,42や絶縁ケース31,41とは相違しているが、このクランプセンサ11Aにおいて前述したクランプセンサ11と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、図15,16では、握持部21やレバー部23の図示を省略している。さらに、このクランプセンサ11Aを備えて構成された「測定装置」は、「クランプセンサ」の構成を除き、前述した測定装置1と同様のため、説明を省略する。
クランプ部25aは、ケース用ハーフ31a,31bからなる絶縁ケース31内に、磁性コア32、絶縁キャップ33,33a、フレキシブル基板34a、ホール素子35,35aおよび絶縁キャップ36,36aが収容されると共に、その基端部側がシェル21a,21bに挟み込まれるようにして握持部21に対して固定的に取り付けられている。この場合、このクランプセンサ11Aのクランプ部25aにおける磁性コア32は、一例として、長さおよび形状が等しい板状磁性体32aが積層されて構成されている。
また、フレキシブル基板34aは、ホール素子35をケーブル12に接続するための配線パターン(「第1の信号線」の他の一例:以下、「第1の配線パターン」ともいう)、およびホール素子35aをケーブル12に接続するための配線パターン(「第2の信号線」の一例:以下、「第2の配線パターン」ともいう)がそれぞれ形成され、各配線パターン(図示せず)が握持部21内においてケーブル12にそれぞれ接続されている。なお、このフレキシブル基板34aも、前述したクランプセンサ11におけるフレキシブル基板34と同様にして、その横幅が磁性コア32の厚みと同程度の帯状に形成されると共に、その幅方向における端部から0.65mmの範囲内に配線パターンが存在しないように形成されている。
さらに、図16に示すように、このクランプセンサ11A(クランプ部25a)では、磁性コア32における先端部側の端部が絶縁ケース31内において「第1の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ33によって覆われ、かつ磁性コア32における基端部側の端部が絶縁ケース31内において「第2の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ33aによって覆われている。また、このクランプセンサ11A(クランプ部25a)では、フレキシブル基板34aにおける第1の配線パターンの先端部側の端部、およびホール素子35が絶縁キャップ33の外側に位置させられ、かつフレキシブル基板34aにおける第2の配線パターンの基端部側の端部、およびホール素子35aが絶縁キャップ33aの外側に位置させられた状態で絶縁ケース31内に収容されている。
さらに、このクランプセンサ11A(クランプ部25a)では、図15に示すように、磁性コア32における先端部側の端部、絶縁キャップ33、フレキシブル基板34aにおける第1の配線パターンの先端部側の端部、およびホール素子35が絶縁ケース31内において「第5の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ36によって覆われると共に、磁性コア32における基端部側の端部、絶縁キャップ33a、フレキシブル基板34aにおける第2の配線パターンの基端部側の端部、およびホール素子35aが絶縁ケース31内において「第3の絶縁キャップ」の一例である絶縁キャップ36aによって覆われた状態となっている。
一方、クランプ部25bは、ケース用ハーフ41a,41bからなる絶縁ケース41内に、磁性コア42が収容されて構成され、その基端部側がシェル21a,21bに挟み込まれるようにして握持部21に対して回動可能に軸支されている。この場合、このクランプセンサ11Aでは、クランプ部25a,25bにおける基端部にギャップGbを設けたことにより、クランプ部25aの磁性コア32とクランプ部25bの磁性コア42とが非接触の状態となっている。したがって、このクランプ部25bは、前述したクランプセンサ11におけるクランプ部22bとは異なり、磁性コア42に絶縁キャップ43等が装着されていない。また、このクランプセンサ11A(クランプ部25b)における磁性コア42は、一例として、長さおよび形状が等しい板状磁性体42aが積層されて構成されている。
このクランプセンサ11Aでは、ギャップGtを十分に狭くするために、絶縁ケース31において磁性コア32における先端部側の端部を覆っている部位、および絶縁ケース41において磁性コア42における先端部側の端部を覆っている部位が非常に薄厚となっている。このため、前述したクランプセンサ11と同様にして、クランプセンサ11Aを誤って落下させたときなどに、両クランプ部25a,25bの先端部側において絶縁ケース31,41に割れが生じるおそれがある。
なお、クランプ部25a,25bの先端部において絶縁ケース31,41に割れが生じている状態においてクランプ対象Xから磁性コア32やフレキシブル基板34a(第1の配線パターン)への電流の流れ込みが絶縁キャップ33,36によって阻止される原理については、クランプセンサ11におけるクランプ部22a,22bの先端部において絶縁ケース31,41に割れが生じている状態においてクランプ対象Xから磁性コア32やフレキシブル基板34(配線パターン)への電流の流れ込みが絶縁キャップ33,36によって阻止される原理と同様のため、詳細な説明を省略する。
一方、この種の「クランプセンサ」では、前述したように、「クランプ部」における先端部側の端部以外の位置において絶縁ケース(コアカバー)に割れが生じるおそれもある。この場合、例えば、ホール素子35aが収容されている側の「クランプ部」における先端部側の端部と基端部側の端部との中間部位において絶縁ケース31に割れが生じている状態においてクランプ対象Xに「クランプセンサ」を近付けたときに、磁性コア32における基端部側の端部が絶縁キャップ33aによって覆われていない「クランプ部」を備えた「クランプセンサ」では、絶縁ケース31に生じている割れを通過してクランプ対象Xから磁性コア32に電流が流れ込み、この電流が、先端部側の端部においてホール素子35aの接続端子(または、電極)およびフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)流れ込み、測定回路が破損するおそれがある。
これに対して、本例のクランプセンサ11Aでは、前述したように、ホール素子35aが収容されているクランプ部25aにおける磁性コア32の基端部側の端部が絶縁キャップ33aによって覆われると共に、ホール素子35aやフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)がこの絶縁キャップ33aの外側に配置された状態で絶縁ケース31内に収容されている。したがって、絶縁ケース31内において磁性コア32と、ホール素子35aおよびフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)とが絶縁キャップ33aによって好適に絶縁されて磁性コア32からフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)への電流の流れ込みが好適に阻止されているため、絶縁ケース31に生じた割れおよび磁性コア32を介してクランプ対象Xからホール素子35aやフレキシブル基板34a(配線パターン)に電流が流れ込む事態が好適に阻止される。
また、両クランプ部25a,25bの基端部側にギャップGbを設けてホール素子35aを配設したクランプセンサ11Aでは、絶縁ケース31において磁性コア32における基端部側の端部を覆っている部位、および絶縁ケース41において磁性コア42における基端部側の端部を覆っている部位も非常に薄厚となっている。このため、クランプセンサ11Aを誤って落下させ、両クランプ部22a,22bのいずれかに強い衝撃が加わったときなどには、クランプ部25a,25bの基端部側において絶縁ケース31,41に割れが生じるおそれがある。
この際に、クランプ部25aの基端部側においてホール素子35aやフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)が絶縁キャップ36aによって覆われていない「クランプセンサ」では、クランプ部25aの先端部において絶縁ケース31に割れが生じている状態において、例えば、大きな電圧が印加されているクランプ対象Xをクランプしようとしてクランプ対象Xに「クランプセンサ」を近付けたときに、絶縁ケース31に生じている割れを通過してクランプ対象Xからホール素子35aの接続端子(または、電極)およびフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)に電流が流れ込み、測定回路が破損するおそれがある。
これに対して、本例のクランプセンサ11Aでは、前述したように、ホール素子35a、フレキシブル基板34aにおける第2の配線パターン(第2の配線パターンにおけるホール素子35aの接続部)、および磁性コア32における基端部側の端部が絶縁ケース31内において絶縁キャップ36aによって覆われている。したがって、仮に絶縁ケース31における基端部側の端部に割れが生じたとしても、ホール素子35a、フレキシブル基板34a(第2の配線パターン)および磁性コア32が絶縁キャップ36aによって好適に絶縁された状態が維持されるため、クランプ対象Xからこれらへの電流の流れ込みが好適に阻止される。
このような構成のクランプセンサ11A、およびそのクランプセンサ11Aを備えた「測定装置」によれば、先端部側のギャップGt内に位置させたホール素子35に加え、基端部側のギャップGb内に位置させるようにして絶縁ケース31内にホール素子35aを収容すると共に、磁性コア32における基端部側の端部を絶縁ケース31内において絶縁キャップ33aによって覆い、かつフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)における基端部側の端部およびホール素子35aを絶縁キャップ33aの外側に位置させたことにより、磁性コア32からホール素子35aやフレキシブル基板34a(第2の配線パターン)への電流の流れ込みを絶縁キャップ33aによって好適に阻止することができるため、絶縁ケース31に割れが生じたとしても、クランプ対象Xなどから磁性コア32を介してホール素子35aやフレキシブル基板34aに電流が流れ込む事態を好適に阻止することができる。これにより、意図しない電流の流れ込みに起因する測定回路の破損を好適に回避することができる。
また、このクランプセンサ11A、およびそのクランプセンサ11Aを備えた「測定装置」によれば、磁性コア32における基端部側の端部、フレキシブル基板34a(第2の配線パターン)における基端部側の端部およびホール素子35aを絶縁ケース31内において絶縁キャップ36aによって覆ったことにより、絶縁ケース31における基端部側の端部に割れが生じたとしても、クランプ対象Xなどからホール素子35a、フレキシブル基板34a(第2の配線パターン)および磁性コア32に電流が流れ込む事態を絶縁キャップ36aによって好適に阻止することができる。これにより、意図しない電流の流れ込みに起因する測定回路の破損を好適に回避することができる。
また、板状磁性体32aを積層した磁性コア32を絶縁ケース31内に収容したクランプ部22a,25a、および板状磁性体42aを積層した磁性コア42を絶縁ケース41内に収容したクランプ部22b,25bを備えたクランプセンサ11,11Aを例に挙げて説明したが、例えば、粉状磁性体を圧縮した「磁性コア」を「絶縁ケース」内に収容して「クランプセンサ」を構成することもできる。
さらに、「両クランプ部の一方(上記の例では、クランプ部22a,25a)」を握持部21に対して固定的に取り付け、「両クランプ部の他方(上記の例では、クランプ部22b,25b)」を握持部21に対して回動可能に取り付けたクランプセンサ11,11Aを例に挙げて説明したが、「両クランプ部」の双方を「握持部」に対して回動可能に取り付けて「クランプセンサ」を構成することもできる。
また、装置本体10とクランプセンサ11(11A)とを別体に構成した測定装置1を例に挙げて説明したが、「測定装置」の構成はこれに限定されず、例えば、出願人が特許文献に開示した「電流計」のように、「握持部」内に測定回路等を収容して「クランプセンサ」と一体化することもできる。