JP2004055973A - コイル装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】取り付けスペースを必要とせずに、限られた空間にも容易に取り付けが可能であるコイル装置を提供する。
【解決手段】基板19上に接着剤層18を形成する。接着剤層18上に第1の絶縁膜16を形成する。第1の絶縁膜16上に、第1の複数本の線状の導電体14bを、互いに分離して平行に形成し、その上に絶縁層13を形成し、その絶縁層13の上に、矩形形状の可撓性シート状磁性体11を積層する。可撓性シート状磁性体11上に、絶縁層12を介して、第2の複数本の線状の導電体14aを、互いに分離して平行に形成する。第1および第2の複数本の線状の導電体14bおよび14aは、スルーホールを介してそれぞれの端部において電気的に接続して、シート状磁性体11を巻き芯とするコイル14を形成する。第2の複数本の線状の導電体の上に第2の絶縁膜15を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板19上に接着剤層18を形成する。接着剤層18上に第1の絶縁膜16を形成する。第1の絶縁膜16上に、第1の複数本の線状の導電体14bを、互いに分離して平行に形成し、その上に絶縁層13を形成し、その絶縁層13の上に、矩形形状の可撓性シート状磁性体11を積層する。可撓性シート状磁性体11上に、絶縁層12を介して、第2の複数本の線状の導電体14aを、互いに分離して平行に形成する。第1および第2の複数本の線状の導電体14bおよび14aは、スルーホールを介してそれぞれの端部において電気的に接続して、シート状磁性体11を巻き芯とするコイル14を形成する。第2の複数本の線状の導電体の上に第2の絶縁膜15を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、電灯線などの電線を流れる電流の値(交流の場合には実効値)に一意に対応する電流検出出力を得る場合などに適用して好適なコイル装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電線を流れる電流の値を検出する方法の一例として、図24に示すように、当該電線を電流iが流れることにより、この電流iの流れる位置を中心とした同心円を描くように発生する磁束Bを検出する方法が知られている。これは、発生する磁束Bが電流値iに正確に比例するため、磁束Bを正確に検出することにより、電線を流れる電流iの値を正確に検出することができるからである。
【0003】
この場合において、電線を流れる電流iの値を正確に検出するために、従来は、電流iが流れることにより発生する磁束Bのすべてを集めて、その磁束Bを検出する方法が通常用いられている。すなわち、漏れをなくすために閉磁路を形成するようにリング状にしたコアにコイルを巻回した、いわゆるトロイダルコイルを磁束センサとして用いる方法である。
【0004】
図25は、この従来の方法を説明するための図である。この図25において、1は電線であり、通常は絶縁被覆2により覆われた被覆線3の構造とされている。そして、例えばフェライトなどの磁性材からなるリング状のコア4を巻芯として、そのリング状コア4の全周に渡ってコイル5を巻回したトロイダルコイル6の中空部内に被覆線3を挿通するようにして、トロイダルコイル6を、被覆線3に対して取り付ける。
【0005】
すると、電線1を電流iが流れることにより発生する磁束Bは、図26に示すように、トロイダルコイル6内にのみ存在し、トロイダルコイル6の外には存在しなくなる。このため、コイル5から得られる磁束に応じた誘導電流は、電線1を流れる電流iの値に正確に対応するものとなる。
【0006】
したがって、コイル5から得られる電流iを、例えば利得一定のアンプ7で増幅したものから、電線1を流れる電流iに一意に対応する電流検出出力信号を得ることができる。この場合、電流iが交流の場合には、その検出電流値としては、通常、実効値(2乗平均平方根値)とされる。この電流検出出力信号により、例えば電流値を指し示すメータの指針を振らせるようにすれば、メータの指針は、正確な検出電流値を指示するものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トロイダルコイルは、リング状コアにコイルを巻回したものであるため、寸法が比較的大きく、そのため、このトロイダルコイルを用いた電流検出装置の場合には、比較的大きな取り付けスペースが必要となり、取り付け部位が限られてしまうという問題がある。
【0008】
また、トロイダルコイルは、無端リング状の形状であるため、長い電線の途中において、その部位における電流を検出するために取り付けようとする場合には、当該取り付け部位において電線を切断してトロイダルコイルを装着した後、切断した電線を元のように接続する必要があり、取り付けに非常に手間がかかるという問題がある。
【0009】
この発明は、以上の問題点にかんがみ、取り付けスペースを必要とせずに、限られた空間にも容易に取り付けが可能であると共に、取り付け作業も容易であるコイル装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明によるコイル装置は、
矩形形状の可撓性シート状磁性体と、
前記シート状磁性体の一面上に、前記シート状磁性体の対向する前記一方の辺から前記他方の辺に渡って、互いに分離された状態で被着形成されている第1の複数本の線状の導電体と、
前記シート状磁性体の前記一面とは反対側の面上に、前記シート状磁性体の対向する前記一方の辺から前記他方の辺に渡って、互いに分離された状態で形成され、かつ、前記第1の複数本の線状の導電体のそれぞれと、前記一方の辺および前記他方の辺の近傍において電気的に接続されて、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するようにする第2の複数本の線状の導電体と、
前記第1の複数本の線状の導電体を覆うように前記前記シート状磁性体の一面側に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第2の複数本の線状の導電体を覆うように前記前記シート状磁性体の前記一面とは反対側の面側に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜または第2の絶縁膜のいずれか一方を覆うように、接着剤層を介して設けられ、剥離可能とされている基板と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、この発明によるコイル装置の製造方法は、
基板上に接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、第1の複数本の線状の導電体を、互いに分離して平行に形成する工程と、
矩形形状の可撓性シート状磁性体の一面側に、前記第1の複数本の線状の導電体が配置されるように、前記可撓性シート状磁性体を積層する工程と、
前記可撓性シート状磁性体の前記一面側とは反対側に、第2の複数本の線状の導電体を、前記第1の複数本の線状の導電体と共に前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するような配置状態において、互いに分離して平行に形成する工程と、
前記第1の複数本の線状の導電体と、前記第2の複数本の線状の導電体とを、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するように、前記線状の導電体のそれぞれの端部において電気的に接続する工程と、
前記第2の複数本の線状の導電体の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
【作用】
上述の構成のコイル装置の発明においては、可撓性のシート状磁性体をコアとするようにして、シート状の薄型コイル装置が形成される。このコイル装置は、機械的な安定さを持つ基板上に形成されるが、使用に当たっては、この基板が接着剤層から剥離され、露呈された接着剤層により、任意の取り付け場所に接着固定されて取り付けられる。
【0013】
基板が剥離されると、この発明によるコイル装置は、柔軟な曲げ性を呈する。このため、この発明によるコイル装置は、電線や被覆部分に、例えば巻き付けられるようにして、接着剤により固定されて装着可能である。
【0014】
また、この発明によるコイル装置は、シート状磁性体の両面にコイルを構成する第1および第2の複数本の線状の導体を形成すると共に、第1および第2の複数本の線状の導体のそれぞれの側から、絶縁膜でサンドイッチした構造となっているので、機械的に弱いシート状磁性体を補強することができると共に、磁性体や導電体などの重要な部分が絶縁層などにより覆われるものとなるので、特性の安定した良特性のコイル装置が得られる。
【0015】
また、上述のコイル装置の製造方法によれば、コイル装置製作後に剥離可能な厚い基板を用いてコイル装置を製造することができるので、柔軟な曲げ性を持つコイル装置を容易に製造することができる。また、上述のコイル装置の製造方法によれば、特性の揃った安価なコイル装置を量産することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明によるコイル装置の実施形態を、図を参照しながら説明するが、まず、実施形態のコイル装置の構造およびその製法について説明する。
【0017】
[実施形態のコイル装置の構造]
この実施形態のコイル装置は、基本的には、極薄い、所定の寸法の可撓性のシート状磁性体に、このシート状磁性体を巻き芯とするようにコイル導体が形成されたものである。この例では、シート状磁性体の磁性材としては、フェライトやアモルファス金属などを用いた透磁率が空気の透磁率(=1)に対して十分に高く、鉄損が少ないものを用いる。
【0018】
図1は、この例のコイル装置10の構造の一例を示すものであり、また、図2は、その一部の拡大図を示すものである。図1(A)は、このコイル装置10の平面図であり、シート面(厚さ方向に直交する面)に直交する方向から見た図である。また、図1(B)は、このコイル装置10の断面図を示すものである。また、図2(A)は、コイル装置10のコイル部分の説明のための図であり、図2(B)は、コイル装置10のコイル部分における断面図である。
【0019】
シート状磁性体11の磁性材料としては、この例では、例えば日立金属株式会社製の商品名「ファインメット(登録商標)」が用いられる。これは、アモルファス金属からなるもので、透磁率が20000と高く、厚さが20μmと薄く、軽量で可撓性があるシート状磁性体である。そして、この例では、このシート状磁性体11は、矩形形状とされ、長さLが、この例ではL=25(ミリメートル)とされ、幅Wは、W=7(ミリメートル)とされている。
【0020】
このシート磁性体11を用いることにより、例えば磁束センサを構成するコイル装置として直線性の優れたものを実現できるが、このシート状磁性体11は、非常にもろく、加工ひずみを受けやすい極めて薄い磁性薄膜である。そこで、この実施形態においては、シート状磁性体11を、強度と耐熱性のある薄い樹脂などの薄膜で両側から挟み、シート状磁性体11にひずみや損傷を与えることなく、全体を曲げられるように、伸縮性に富んだ構造とすることができるようにしている。
【0021】
すなわち、このシート状磁性体11のシート面の一面およびその反対側の面上には、絶縁層12,13が形成され、シート状磁性体11がこれら絶縁層12,13により両側から挟まれるように構成されている。
【0022】
そして、これら絶縁層12,13上の、シート状磁性体11の長さ方向のほぼ中央部分の所定の範囲、例えば6〜15ミリメートルの部分において、複数の線状の導電体からなるコイル14が形成されている。コイル14のターン数は、例えば10〜100ターンとされる。
【0023】
このコイル14は、絶縁層12上に形成された複数の線状の導電体14aと、絶縁層13上に形成された複数の線状の導電体14bとが、図2(A)に示すように、シート状磁性体11の幅方向の両端においてスルーホール20を通じて電気的に接続されて形成されているものである。
【0024】
そして、コイル14および絶縁層12,13上を覆うように絶縁層15,16が形成されている。さらに、絶縁層15の上には、磁気シールド層17が形成されて、シート面に直交する方向からの磁束を反射して、シート状磁性体11には、シート面に平行な方向からのみ、つまり、シート状磁性体11の厚さ部分にのみ、磁束が通るようにされている。
【0025】
また、絶縁層16の上には、接着性を持つ層(以下、接着層という)18が形成され、さらに、この接着層18の上に基板層19が形成されている。なお、接着層18が絶縁性材料で構成されている場合には、絶縁層16は別個に設ける必要はなく、絶縁性の接着層18のみを形成すればよい。
【0026】
また、シート状磁性体11が絶縁物からなるものであれば、絶縁層13および絶縁層12は、設けなくともよい。ただし、強度を得るためには、これらの絶縁層13,12を設けた方が良い。
【0027】
基板層19は、接着層18をコイル装置10側に残して、剥離可能とされている。後述するように、この例のコイル装置10は、基板層19が剥離されることにより露呈される接着層18により、電線に接着されて装着することができるようにされている。
【0028】
なお、図1に示すように、シート状磁性体11の長手方向の一方の端部のシールド層17が形成される側と、他方の端部の接着層18が形成される側とでは、絶縁層12や13、15,16、また、シールド層17、接着層18は形成されない部分23,24とされている。したがって、これらの部分23,24は、シート状磁性体11の表面が露呈するようにされている。この例では、これらの部分23,24は、それぞれ2.5ミリメートル程度とされている。
【0029】
これらの部分23,24は、シート状磁性体11をリング状にしたときに、閉磁路を形成することができるようにするためである。このようにするのは、コイル装置10を、トロイダル状に閉リングを形成するように取り付けることができるようにするためと、コイル装置10を校正する際には、閉磁路として校正した方が、校正が容易であるからである。この校正は、製造されたコイル装置10のロット間のばらつきを考慮して行われるものである。なお、シート状磁性体11は、透磁率が非常に高いので、部分23と、部分24との両方でシート状磁性体を露呈させる必要はなく、部分23と、部分24とのどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0030】
なお、コイル装置10の大きさは、図1に示したように、シート状磁性体11よりも若干大きなものとされて、前記部分23や24を除き、シート状磁性体11が完全に樹脂などの絶縁層により覆われている構成とされている。
【0031】
そして、この例では、図1に示すように、コイル14の一端および他端となる導電体14aの部分から、シート状磁性体11部分を避けた位置に、電極25,26が形成されている。この電極25,26の部分は、この例では、絶縁層15およびシールド層17は除去されて露呈するようにされている。この電極25,26にリード線が接続される。リード線の接続方法としては、半田付けによる方法でも良いが、電極25,26に対応するような突型電極が形成され、その突型電極にリード線が接続されているクリップ型のコネクタを用いることもできる。すなわち、クリップ型のコネクタの電極25,26に対応する突型電極が、電極25,26に衝合するようにして、クリップ型コネクタにより、コイル装置10を挟持するように取り付けることで、リード線の接続が可能である。
【0032】
[コイル装置10の製法]
次に、上述のような構造を有するこの例のコイル装置10の製造方法について、図3および図4、図5を参照しながら説明する。なお、図4、図5は、コイル装置10の1素子当たりを拡大した図であるが、この例のコイル装置10の製造方法においては、図6に示すように、多数のコイル装置10を同時に形成し、図6の縦、横の切断線27に沿って切断することにより、個々のコイル装置10を得るものである。
【0033】
また、以下に説明する例においては、接着層18として接着性絶縁物を用いることにより、絶縁層16は省略されている。
【0034】
図3(A)および図4(A)に示すように、最初に、やや厚く硬い基板19を用意し、その上に接着性絶縁物からなる接着剤層18を、例えばスプレイ付着して形成する。
【0035】
次に、その絶縁性の接着剤層18の上に、図4(B)に示すように、導電層21を被着形成する。すなわち、銅薄膜を導電層21として貼る。次に、この導電層21について、リソグラフィによって形状を決め、化学エッチングによって、図3(B)および図4(C)に示すように、複数本の線状の導電体14bを形成するように加工する。すなわち、複数本の線状の導電体14bを、基板19の一辺19aから、この一辺19aに対向する辺19bにまで渡って、互いに分離した状態で平行に形成する。
【0036】
次に、図4(D)に示すように、複数本の線状の導電体14bの隙間に接着性絶縁物27を充填させる。この接着性絶縁物27の部分は、絶縁性接着剤層18の一部となる。次に、図3(C)および図4(E)に示すように、この線状の導電体14bおよび絶縁性接着剤層18の上に絶縁層13を積層し、その上にシート状磁性体11の層を接着する。
【0037】
そして、シート状磁性体11について、リソグラフィによって位置と形状を決め、化学エッチングによって、図3(D)および図4(E)に示すように、幅W=7ミリメートル、長さL=25ミリメートルの帯状に加工する。
【0038】
次に、図4(F)に示すように、エッチングしたシート状磁性体11の隙間に接着性絶縁物28を充填する。次に、図3(D)および図5(A)に示すように、シート状磁性体11の層の上に、絶縁層12を積層した後、線状の導電体14bの、基板19の一辺19aおよび19b近傍において、下層の線状の導電体14bのそれぞれの表面まで貫通するスルーホール20を設ける。
【0039】
このスルーホール20の形成に際しては、下側の複数個の導電体14bのそれぞれの端部の位置に対応するように、スルーホール20の位置決めを行うものである。そして、電気メッキにより、スルーホール20内に結線導体を形成する。
【0040】
次に、図3(E)に示すように、絶縁層12の上に例えば銅薄膜からなる導電層22を導電性接着剤で接着する。そして、リソグラフィによって、下側の複数個の線状の導電体14bと共にコイル14を形成させるように対応させるべく、位置と形状を決め、例えば化学エッチングによって、導電層22を加工して、図3(F)および図5(B)に示すように、複数個の線状の導電体14aを形成する。この場合に、複数個の線状の導電体14aの端部は、スルーホール20の金属メッキに接続される状態なるように、リソグラフィの形状が決められる。
【0041】
このとき、図2(A)に示すように、この例では、絶縁層12の上には、電極25および26が形成されると共に、導電体14aの左端において、下側の導電体14bとスルーホール20を通じて接続される導電体14aLから電極25までのリード導体が形成され、また、導電体14aの右端の線状の導体14aRの端部から電極26までのリード導体が形成される。絶縁層12上の銅薄膜についてのリソグラフィの形状は、複数個の線状の導電体14aのみでなく、電極25,26や前記リード導体をも含めた形状となるように決められるものである。
【0042】
これにより、図5(C)に示すように、上側の導電体14aと、下側の導電体14bとは、スルーホール20の電気メッキにより形成された導体29により、互いの端部において、電気的に接続されて、コイル14が形成される。
【0043】
次に、エッチングにより形成した複数本の線状の導電体14aの隙間に接着性絶縁物30を充填する。次に、図5(D)および図3(G)に示すように、導電体14aおよび絶縁物30の上に、薄い保護用の絶縁層15を接着する。さらに、その絶縁層15の上に、図3(G)および図5(E)に示すように、磁気シールド層17を接着する。
【0044】
そして、各コイル装置素子のコイル14の端部から前述したようにして導出されている電極25,26を露呈するように、当該電極25,26近傍部分のシールド層17および絶縁層15を一部除去する。
【0045】
以上にようにして形成されたシート状の中間品を、図6および図3(G)において、一点鎖線で示すような位置において基板19と共に切断して、それぞれコイル14を備えるコイル装置素子を分離する。その後、外部リード線を接着して、個々のコイル装置10を完成させる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、電極25および26は、シート状磁性体11の幅方向の、図2において上方側に導出するようにしたが、図2において下方側に導出するようにしても良い。また、電極25,26の一方を上方側に、他方を下方側に導出するようにしても良い。
【0047】
さらに、電極25,26をシート状磁性体11の幅方向に導出するのではなく、図7および図8に示すように、シート状磁性体11の長手方向に導出することもできる。
【0048】
この場合には、図7および図8に示すように、コイル装置10の長手方向の長さは、電極25,26を形成する電極形成領域31分だけ、前述の例のコイル装置10よりも長くする。または、電極形成領域31の分だけコイル装置10より突出させるようにする。
【0049】
そして、この例では、突出した部分の電極は、後述するように、露呈せずに形成するようにしているので、上述の例のように、電極25,26を露呈する必要が無く、製造工程が減少する。また、同時に電極が露出することが無いので、コイル装置素子の特性の耐久性、信頼性が向上する。
【0050】
図7および図8の例では、下側の銅薄膜についてリソグラフィにより形状を決定してエッチングして複数個の導電体14bを形成する際に、下側の導電体14bのうちの一番左側の導電体14bLから、リード部32を介して電極25を形成するようにする。
【0051】
また、上側の銅薄膜についてリソグラフィにより形状を決定してエッチングして複数個の導電体14aを形成する際に、上側の導電体14aのうちの一番右側の導電体14aRの端部から、リード部33を介して電極26を形成するようにする。
【0052】
図8(B)に示すように、この例の場合には、電極形成領域31にはシート状磁性体11に延長されるように、例えば常温硬化性ゴム質樹脂からなる磁性膜34が塗布される。
【0053】
そして、この例では、電極25,26に対するリード線35,36の接続は、針電極37,39を介して行なうようにする。この場合、針電極37,38は、絶縁物で構成される保持部39,40の内部で、図8に示すように、リード線35,36に接続されている。この場合に、針電極37および針電極38の長さは、下側の電極25および上側の電極26にそれぞれ接続されるような長さに選定されている。
【0054】
そして、この針電極37,38を、電極25,26と電気的に接続するように、基板19を剥離して露呈する接着層18側からコイル装置10に差し込む。差し込んだ状態では、保持部39,40が接着層18に接着される状態になり、これにより針電極37,38が、それぞれ電極25,26に電気的に接続された状態で接着固定されるようになる。
【0055】
この例の場合には、電極25,26を外部に露呈する工程が不要となるので、コイル装置の作成が容易になるものである。
【0056】
なお、図7および図8では、電極25および電極26は、下側の導電体14bおよび上側の導電体14aを形成する際に、それぞれ形成するようにしたが、前述の例と同様に、導電体14aまたは14bの一方、例えば導電体14aの前述した左端導体14aLおよび右側導電体14aRからリード部32,33を介して、シート状磁性体11の長手方向に、同時に形成するようにしても良いことは言うまでもない。その場合には、前述の針電極37,38の長さは、同じ長さでよい。
【0057】
なお、以上の実施形態において、磁束センサのシート状磁性体11の材料の例としては、アモルファス金属やフェライトなどに限らず、透磁率が高く、損失(鉄損)が少ないものであれば用いることができるものである。
【0058】
以上説明したようなコイル装置によれば、以下のような効果を奏するものである。
【0059】
集積回路に用いられているリソグラフィ技術を用いて、安価で特性の揃ったコイル装置を得るためには、位置合わせと取り扱いを容易にするために、必要な厚さと、機械的安定さを持つ基板が必要であるが、上述の実施形態では、コイル装置10を製作後、基板19を剥離可能な構成としたことにより、コイル装置10の製造工程における要求を満足しながら、使用状態においては、基板19が剥離されて、コイル装置10に柔軟な曲げ性を持たせるようにすることができる。
【0060】
また、非常にもろく、加工ひずみを受けやすい極めて薄い磁性薄膜であるシート状磁性体11は、強度と耐熱性のある薄い樹脂などの絶縁薄膜で両側から挟み込まれ、シート状磁性体11にひずみや損傷を与えることなく、コイル装置10の全体が曲げられるようになる。
【0061】
さらに、絶縁膜でサンドイッチした構造となっているので、機械的に弱いシート状磁性体を補強することができると共に、磁性体や導電体などの重要な部分が絶縁層などにより覆われるものとなるので、特性が良く、かつ、特性の揃ったコイル装置が得られるものである。
【0062】
そして、このシート状のコイル装置10は、従来のトロイダルコイルとは異なり、狭いところにある、小さな物体から発生する磁気をも、容易かつ正確に測定することができるようになる。
【0063】
一般に、電流などから発生する磁気を測定するには、棒状の物体から発生する環状の磁気を、当該物体にできる限り接近して配置したコイル装置(センサ)で検出することが重要であるが、上述したこの実施形態のコイル装置10は、容易に、磁気を測定しようとする物体に近接して装着することが可能である。
【0064】
しかも、トロイダルコイルのような無端リングではなく、電線などにシート状コイル装置10を巻き付けるように取り付けることができるという特徴を有するものである。
【0065】
[実施形態のコイル装置10を用いた電流検出方法の説明]
以下に説明する電流検出方法は、特定の径の電線または被覆部分に、上述のコイル装置10を磁束センサとして取り付けて、電線を流れる電流値を検出する場合であり、交流電流のみならず、直流電流の場合も適用可能である。
【0066】
この例においては、上述のようにして製造したコイル装置10は、その基板層19を剥離して接着層18を露呈させて、その露呈した接着層18によって図9に示すように、例えば、電線41が絶縁被覆42により覆われた被覆線43の、絶縁被覆42の部分に巻き付けるようにして取り付ける。なお、絶縁被覆が剥がされた電線41の部分に巻き付けるようにして、コイル装置10を取り付けるようにしても勿論よい。
【0067】
この場合に、コイル装置10は、被覆線43に対して、シート状磁性体11の長手方向、つまりコイル14の巻き軸方向が、電線41を流れる電流によって生じる磁束路に沿う方向となるように、コイル装置10のシート状磁性体11を、電線41の被覆部分42に巻き付けるようにして、取り付ける。なお、コイル装置10は、被覆線43に対して、接着層18により接着されることにより、シート状磁性体11のシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行になるようにされる。
【0068】
そして、コイル装置10のコイル14から導出される外部リード線は、距離補正用増幅回路51の入力端子に接続する。
【0069】
この距離補正用増幅回路51は、電線41を流れる電流の位置(電線41の断面の中心位置に相当)と、コイル装置10との間の距離(電線41の被覆42を含めた径に相当)の2乗に反比例して、コイル装置10で検出される磁束の強さが変わってしまうことを補正して、前記距離に関係なく、電線41に流れる電流値に一意に対応した出力信号が得られるようにするためのものである。
【0070】
距離補正用増幅回路51の増幅利得(ゲイン)は、次のようにして決められる。
【0071】
前述したように、トロイダルコイルのように、閉磁路を形成する場合には、電線41を流れる電流の位置と、コイル装置10との間の距離(以下、センサ距離という)に関係なく、電流により発生する磁束の全てはトロイダルコイル内に閉じ込められるので、距離補正用増幅回路51のゲインは、センサ距離に関係なく一定でよい。つまり、センサ距離に応じた補正は不要である。
【0072】
しかし、この実施形態におけるコイル装置10は、閉磁路を常に形成するように、被覆線に対して取り付けられるわけではない。太い電線の場合には、電線の一部にしか、コイル装置10のシート状磁性体11は巻きつけられない。このため、センサ距離の2乗に応じた増幅利得で、コイル装置10のコイル14から得られる信号を増幅する必要がある。
【0073】
この場合に、コイル装置10のコイル14から得られる信号出力(コイル出力電流)と、センサ距離との関係は、検出対象の電流iが流れる位置を中心Oiとしてこの中心Oiから、コイル装置10のシート状磁性体11の長手方向(磁束路に沿う方向)の長さ分を見たときの開き角θ(図10参照)に応じて定まるものとなることを、この発明の発明者は確認した。
【0074】
図11は、コイル装置10のコイル14の出力電流と、センサ距離との関係を示す特性曲線である。この図11に示されるように、センサ距離の2乗に反比例して、コイル14の出力電流が減少する特性となるが、その減少の傾きが開き角θが大きいほど小さく、開き角θが小さいほど大きくなる。
【0075】
すなわち、開き角θが大きく、360度に近いときには、トロイダルコイルと同様に、透磁率の高いシート状磁性体11を備えるコイル装置10のコイル14内に殆どの磁束を通すようにすることができることから、図11において曲線61に示すように、センサ距離が大きくなっても、コイル14の出力電流は減少が少ない。
【0076】
これに対して、開き角θが小さくなってゆくと、コイル装置10のコイル14内を通る磁束が少なくなってゆくため、図11において、曲線62,63,64に示すように、開き角θが小さいほど、コイル14の出力電流の減少カーブが急な傾斜となる特性となる。
【0077】
この図11の特性から、距離補正用増幅回路51においては、開き角に応じたゲイン特性とすることにより、コイル装置10のコイル14を増幅補正して、常に、電線41を流れる電流の値に一意に対応するセンサ出力が得られる。
【0078】
すなわち、図12は、距離補正用増幅回路51のセンサ距離に対するゲイン特性を示すもので、センサ距離に対して指数関数的にゲインを上昇させる特性とするが、その上昇カーブの傾きが、開き角θが大きいほど緩やかで、開き角が小さいほど急峻になるような特性とする。
【0079】
すなわち、開き角が大きく、コイルの出力電流対センサ距離の特性が曲線61となるような場合に対しては、センサ距離に対するゲインの上昇カーブが緩やかな図12の曲線71となるような特性とする。そして、開き角θが小さくなって、曲線62,63,64となるような場合に対しては、それらの特性曲線に対応させて、図12において曲線72,73,74で示すように、上昇カーブが開き角θが小さいほど急峻になるような特性とする。
【0080】
以上のことから、コイル装置10を電線あるいは被覆部分に取り付けたときの開き角θが既知となれば、距離補正用増幅回路51では、図12に示したようにして、ゲイン対センサ距離の特性曲線が決まる。そして、電線を流れる電流の位置から磁束センサまでの距離であるセンサ距離が判ると、距離補正用増幅回路51で必要となるゲインが定まる。距離補正用増幅回路14は、この定められたゲインを有するように設計する。
【0081】
例えば、開き角θに対応するゲイン対センサ距離の特性曲線は、曲線74であり、センサ距離、つまり、電線あるいは被覆線の径がRaであった場合に必要となる距離補正用増幅回路51のゲインはGaとなる。
【0082】
ところで、この例のコイル装置10のシート状磁性体11の長手方向の長さLは、前述したように、一定のものとして定められているので、図13に示すように、半径がそれぞれr1、r2、r3というように異なる被覆線にコイル装置10が装着された場合には、被覆線の半径r1、r2、r3、つまり、センサ距離に応じて、コイル装置10の長手方向の長さ分を、電線41を流れる電流の位置から見たときの開き角が、θ1、θ2、θ3というように変化するものとなる。
【0083】
このように、この実施形態では、コイル装置10のシート状磁性体11の長手方向の長さLは、定められたものとされているので、開き角θ1、θ2、θ3が算出されたときには、センサ距離は、r1、r2、r3として定まることとなる。
【0084】
したがって、この実施形態では、開き角θが算出されると、その開き角θに対応する図12に示したようなゲイン対センサ距離の特性曲線が求まり、また、センサ距離も定まることから、求まった特性曲線から距離補正用増幅回路41のゲインが求まる。すなわち、開き角θが算出されると、その開き角θから、距離補正用増幅回路51のゲインが一元的に決定されるものである。
【0085】
なお、コイル装置10のシート状磁性体11の長手方向の長さは、上述のように一定のものとして定めなくても、上述したことから明らかなように、開き角と、センサ距離が既知であれば、距離補正用増幅回路51のゲインは、決定できることは言うまでもない。
【0086】
以上のようにして、センサ距離に関係なく、電線41に流れる電流の値に一意に対応する出力信号が、距離補正用増幅回路51から得られる。この距離補正用増幅回路51の出力信号は、周波数補正用増幅回路52に供給される。
【0087】
この周波数補正用増幅回路52は、電線41を流れる電流が交流電流の場合に、電流検出出力信号が、その交流電流の周波数に依存しないように補正するためのものである。したがって、電線41を流れる電流が直流電流である場合には、この周波数補正用増幅回路52は、省略することができる。
【0088】
すなわち、前述もしたが、図14に示すように、交流電流による磁束の強さは、その交流電流の周波数に反比例する。そこで、この周波数依存をなくすため、周波数補正用増幅回路52は、図15に示すように、ゲインが周波数に比例する特性のものを用いる。これは、いわゆる積分増幅回路の構成により実現できる。
【0089】
図15に示すようなゲイン対周波数特性の増幅回路を、周波数補正用増幅回路52として用いれば、図14のように、コイル装置10のコイル14から得られる交流電流の周波数に反比例する出力電流の周波数特性は、図11のゲイン特性によりキャンセルされる。したがって、周波数補正用増幅回路52からは、交流電流の周波数に関係なく、電線41に流れる電流値に一意に対応した出力信号が得られる。
【0090】
したがって、周波数補正用増幅回路52の出力信号を、例えばドライブ回路を通じてメータの指針駆動回路に供給するようにすれば、メータの指針は、正確な検出電流値を指示するものとなる。
【0091】
なお、距離補正用増幅回路51と周波数補正用増幅回路52では、それぞれ予め定めた特定の開き角のとき、また、特定の周波数のときに、出力信号がある特定の値を示すように、校正しておくようにするものである。
【0092】
なお、上述した距離補正用増幅回路51と周波数補正用増幅回路52とからなる回路部分は、特定の径の電線や被覆線にコイル装置10を装着するものであれば、ゲイン特性は、それぞれ予め定めることができるので、IC(Integrated Circuit;集積回路)で構成することができる。
【0093】
また、距離補正用増幅回路51と周波数補正用増幅回路52とからなる回路部分を、一つの増幅回路の構成として設計することもできる。そして、その一つの増幅回路をICによって構成することもできる。
【0094】
また、コイル装置10のコイル14の出力電流を電圧変換した後、デジタル信号に変換し、そのデジタル信号をマイクロプロセッサに供給して、上述の補正のための増幅動作と等価な処理を行うようにすることもできる。その場合には、当該マイクロプロセッサには、開き角θの情報が入力されると共に、交流電流の場合にはその周波数の情報が入力され、マイクロプロセッサは、それらの情報を元に必要なゲインを計算により求め、その求めたゲイン分の増幅動作と等価な処理を行う。
【0095】
[電流検出方法の第2の例]
距離補正用増幅回路51は、上述の電流検出方法の第1の例では、コイル装置10を装着する電線の径から、コイル装置10の開き角θを求め、その開き角θから必要なゲインを決定して、そのゲインを有するように設計する。しかし、それでは、径の異なる電線部分や被覆部分に装着するごとに、距離補正用増幅回路51の設計をやり直さなければならず、余りにも汎用性に欠ける。
【0096】
そこで、この電流検出方法の第2の例では、距離補正用増幅回路51として、図12に示した曲線71,72,73,74のような幾つかの開き角に対応したゲインに切り替え可能とし、算出した開き角に応じて、ゲインを切り替えるようにする。
【0097】
このとき、距離補正用増幅回路51においては、多数個の開き角に応じた多数個のゲインを用意しておく必要は無く、例えば4種類程度の開き角に対応したゲインを備えるようにするだけで、十分である。
【0098】
なぜなら、この実施形態のコイル装置10のシート状磁性体11の透磁率は、前述したように、20000というように、非常に高い値であるため、例えば図16に示すように、4種類程度の開き角であっても、それぞれの開き角に対応するセンサ距離の位置に配置されたコイル装置10では、その配置位置の前後のセンサ距離に存在するであろう磁束をも、そのシート状磁性体11内に取り込むように働くと考えられるからである。
【0099】
例えば、図16の例であれば、半径r1とr2との間では、r1から、(r1+r2)/2の範囲の磁束は、半径r1に配置されたコイル装置10のシート状磁性体11内を通るようになり、また、(r1+r2)/2からr2の範囲の磁束は、半径r2に配置されたコイル装置10のシート状磁性体11内を通ると考えられるからである。
【0100】
したがって、半径r1から半径r2の間のセンサ距離にコイル装置10を配置することは不要であり、そのセンサ位置に対応する開き角を想定する必要がないのである。
【0101】
この電流検出方法の第2の例では、このように利得特性が切り替え可能とされた距離補正用増幅回路51において、算出した開き角に応じてゲイン切り替えを行うようにすることにより、装着する電線あるいは被覆線の径に応じて、距離補正用増幅回路41のゲインを切り替えることが可能である。
【0102】
例えば、開き角θ1〜θ2、θ2〜θ3、θ3〜θ4、θ4〜θ5のように、開き角の範囲として幾つか用意し、そのいずれの範囲に装着しようとする電線あるいは被覆線に対するコイル装置10の開き角が存在するかを、例えば開き角選択つまみなどを通じて入力することにより、距離補正用増幅回路51のゲインが切り替えられる構成とすることができる。
【0103】
[電流検出方法の第3の例]
上述の2つの電流検出方法の例では、使用者が装着しようとする電線あるいは被覆線に対する磁束センサ10の開き角を求めて、距離補正用増幅回路51のゲインの切り替えを行う必要があったが、この第3の例は、磁束センサ10を電線あるいは被覆線に対して装着するだけで、自動的に距離補正用増幅回路51のゲインが決定される例である。この例は、特に検出対象が交流電流の場合に適用される。
【0104】
なお、周波数補正用増幅回路52は、前述もしたように、特定の周波数のときに、特定の値が出力されるようにゲインの校正を行っておけば、特に調整や切り替えが不要であることは上述の第1および第2の例と同様である。
【0105】
この第3の例は、この発明の発明者の研究結果に基づくものである。すなわち、この発明の発明者は、商用電源の電源線に対して磁束センサ10を前述のように装着して、そのコイル14から得られる信号を精査したところ、前述したように、この信号中には、電線を流れる電流の位置と磁束センサ10との間の距離(つまり磁束の強さ)と、磁束センサ10のシート状磁性体の寸法(長さ、幅、厚さ)とに応じた周波数の成分が含まれることを確認した。
【0106】
図17は、50Hzの商用電源線に流れる交流電流を、磁束センサ10を用いて検出したときの検出波形を示す図である。この図17において、振幅の大きい波形は電圧波形であり、振幅の小さい波形が電流成分である。この図17から、50Hzの電流成分に高周波の周波数成分が重畳されていることが判る。
【0107】
前述したように、この周波数成分は、シート状磁性体11の材料と寸法および磁束の強さとによってシート状磁性体11に発生する振動成分である。上述したように、この例のコイル装置10のシート状磁性体11の寸法は、定まっているので、この実施形態においては、コイル装置10を電線あるいは被覆部分に装着したときの開き角は、電線を流れる電流の位置とコイル装置10との間の距離(つまり磁束の強さ)に対応したものとなり、この開き角の大きさに対応して、前記振動成分の周波数が変化するものとなる。発明者は、このことを確認した。つまり、開き角と、前記振動成分の周波数とは1対1に対応するものである。
【0108】
図18、図19、図20は、径の異なる電線にコイル装置10を装着した状態で、コイル装置10の出力信号に含まれる、この高周波数成分を、102.3kHzまでについてスペクトラム分析したものである。図18は、直径が約5.3ミリメートルの電線、図19は、直径が約6.3ミリメートルの電線、図20は、直径が約6.6ミリメートルの電線のそれぞれにコイル装置10を装着した場合の周波数スペクトル図である。したがって、開き角の大きさは、図18の場合が最も大きく約270度、図19の場合は227度、図20の場合は217度となる。
【0109】
これら図18〜図20においては、主として3つのスペクトルのピークが立つことが観察されるが、これらのスペクトルが立つ周波数は、低い方から順にコイル装置10の長さ方向、幅方向、厚さ方向の振動成分に対応したものとなる。
【0110】
図18におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;20.6kHz、
幅方向に対応;49.4kHz
厚さ方向に対応;98.7kHz
であった。
【0111】
また、図19におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;22.0kHz、
幅方向に対応;49.6kHz
厚さ方向に対応;99.9kHz
であった。
【0112】
また、図20におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;23.5kHz、
幅方向に対応;50.2kHz
厚さ方向に対応;100.5kHz
であった。
【0113】
これにより、コイル装置10のコイル14からの出力信号には、コイル装置10が電線あるいは被覆部分に装着されたときの開き角の大きさに応じた振動成分(高周波信号成分)が重畳されていることが判る。
【0114】
そこで、この第3の例においては、このコイル装置10のコイル14からの出力信号に含まれる前記振動成分を抽出して、その周波数を検出し、その検出した周波数に応じて、自動的に距離補正用増幅回路51のゲインを決定するようにする。すなわち、検出した振動成分の周波数は、電線を流れる電流の位置とコイル装置10との間の距離に対応しているので、当該距離に応じたゲインとなるように、距離補正用増幅回路51のゲインを決定するものである。
【0115】
この場合、前記の長さ、幅、厚さの3つ方向の振動成分の周波数を全て検出する必要はなく、そのいずれか一つの方向の振動成分、例えば長さ方向の振動成分の周波数を検出することにより、距離補正用増幅回路51のゲインを決定することができるものである。
【0116】
すなわち、前述の3種の径の電線の場合であれば、長さ方向の振動成分に対応するスペクトルは、図21の拡大図に示すように観測することができる。この図21のスペクトルは、径の異なる3種の電線にコイル装置10を装着した場合において、磁束センサとしてのコイル装置10のシート状磁性体11の長さ方向の振動成分を、前記径の異なる3種の電線について比較可能なように示した場合であり、101のスペクトルは、3種の径のうちの、最小の径に対応するもの、102のスペクトルは、中間の径に対応するもの、103のスペクトルは最大の径に対応するものである。
【0117】
図22は、この第3の例におけるコイル装置10の出力に対する補正増幅回路の構成例を示すブロック図である。
【0118】
すなわち、この第3の例においては、前述した第1および第2の例と同様に、コイル装置10のコイル14からの信号は、距離補正用増幅回路51と、周波数補正用増幅回路52とを通じて補正するようにする。
【0119】
この場合に、距離補正用増幅回路51としては、前述の第2の例と同様に、複数個の開き角θに対応したゲインに切り替え可能なものを用いる。そして、この第3の例の距離補正用増幅回路51においては、ゲイン切り替え制御端子51cを備え、このゲイン切り替え制御端子51cに入力される利得制御信号により、ゲイン切り替えが行われる構成を備える。
【0120】
また、この第3の例においては、コイル14からの信号は、ローパスフィルタ81に供給されて、前述した例えば102.3kHz以下の振動成分(高周波数成分)が抽出される。抽出された振動成分は、例えばFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理を行うスペクトル分析回路82に供給される。そして、このスペクトル分析回路82の出力が利得制御回路83に供給される。
【0121】
この利得制御回路83は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により構成される。この利得制御回路83では、ピークが立つスペクトル成分を、最もレベルの大きいものから3個抽出する。抽出した3個のスペクトル成分は、コイル装置10のシート状磁性体11の長さ、幅、厚さに対応する振動成分である。
【0122】
利得制御回路83は、これら3個のスペクトル成分のうち、この例では、最も低い周波数成分であるシート状磁性体11の長さ方向の振動成分を選択して、その周波数を検出する。
【0123】
そして、その検出した周波数が、複数個の開き角の範囲の内の、どの開き角の範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じた利得制御信号を生成する。そして、利得制御回路83は、その生成した利得制御信号を距離補正用増幅回路51に供給する。
【0124】
距離補正用増幅回路51では、利得制御回路83からの利得制御信号に対応するゲインとなるようにゲインを切り替える。そして、距離補正用増幅回路51は、その出力を周波数補正用増幅回路52に供給する。
【0125】
以上のようにして、この第3の例によれば、距離補正用増幅回路51のゲインは、コイル装置10が電線あるいは被覆線部分に装着されたときの開き角θに応じたものに自動的に設定される。したがって、単に、コイル装置10を電線あるいは被覆線部分に装着すれば、その電線や被覆線部分の径に関係なく、その電線に流れる電流の値に一意に対応する出力信号を、周波数補正用増幅回路52から得ることができる。
【0126】
なお、この第3の例では、各回路に供給する電源電圧も、コイル装置10のコイル14からの電流により生成して、各回路に供給するように構成している。すなわち、この第3の例においては、コイル14からの電流は、電源電圧生成回路84に供給される。この電源電圧生成回路84では、コイル14からの電流を整流すると共に、各回路に必要な電圧の直流電源電圧を生成する。そして、その生成した直流電源電圧を、各回路の電源ラインに供給する。
【0127】
したがって、この第3の例においては、距離補正用増幅回路51、周波数補正用増幅回路52、バンドパスフィルタ81、スペクトル分析回路82、利得制御回路83のそれぞれの電源を供給する回路を別途必要としない。
【0128】
なお、図22の回路は、ICにより構成することができる。また、電源電圧生成回路84とバンドパスフィルタ81の部分を除く部分を、マイクロプロセッサで構成し、そのマイクロプロセッサに、バンドパスフィルタ81からの信号をデジタル信号に変換したものを供給するようにして、上述した距離補正用増幅回路51、周波数補正用増幅回路52、スペクトル分析回路82、利得制御回路83のそれぞれにおける処理をデジタル処理として実行するように構成してもよい。
【0129】
また、上述の例では、利得制御回路83では、コイル装置10のシート状磁性体11の厚さ方向に対応する振動成分の周波数を検出するようにしたが、利得制御回路83では、レベルの大きい3個のスペクトルのうちの、最大レベルのものに着目し、それが、コイル装置10のシート状磁性体11の長さ、幅、厚さのいずれの方向の振動成分であるかを認識すると共に、その周波数を検出し、その検出した周波数が、複数個の開き角の範囲の内の、どの開き角の範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じた利得制御信号を生成するようにしてもよい。
【0130】
[第3の実施形態の電流検出装置の実装例]
以上のように、この発明の実施形態に用いる磁束センサとしてのコイル装置10は、薄いシート状のものであり、接着層18により、狭いスペースにも、簡単に電線や被覆部分に装着することができる。
【0131】
図23の例は、例えば家電製品などの負荷90に接続された電源コード92の先端に取り付けられるACプラグ91内にコイル装置10が取り付けられる場合である。この図23の例では、このACプラグ91の筐体に設けられた表示画面に電流値や電力量を表示することができるように構成されている。
【0132】
図23は、ACプラグ91の筐体を下側ハーフ91aと、上側ハーフ91bとに分けた状態の図である。93および94はプラグ導体であり、ACプラグ91の筐体の下側ハーフ91aと上側ハーフ91bとにより挟持されて固定される。プラグ導体93と94とは、それぞれ電源コード92の正側の電線92aと負側の電線92bとにそれぞれ接続されている。
【0133】
そして、この例では、コイル装置10は、電源コード92の正側の電線92aの被覆部分に、図9に示したような態様で被着されている。そして、コイル装置10のコイル14からの出力信号は、IC95に供給される。
【0134】
IC95は、図22に示した補正増幅回路の全ての構成を備えると共に、上側ハーフ91b側に設けられるLCD(Liquid Crystal Display)96,97のドライブ回路と、周波数補正用増幅回路52からの出力信号から電流値および電力値を数値としてLCD96,97に表示するための回路とを含んでいる。なお、IC95と、LCD96,97との間の接続線は、図19では省略してある。
【0135】
この図23の例によれば、家電製品毎の負荷電流および電力値を簡単に知ることができ、非常に便利である。この場合に、コイル装置10の装着スペースは殆ど無視できるほど小さいので、ACプラグ91の形状を大きくする必要はなく、小形のもののままでよいというメリットがある。
【0136】
なお、コイル装置10として、図7および図8に示した例を用いる場合には、図22の増幅補正回路の一部または全部は、図8の針電極37,38とリード線35,36との間において、例えば保持部39,40内において一体化して設けるようにすることができる。さらに、増幅補正された信号は、前記一体化された回路中に組み込まれた発信機およびアンテナにより外部に送信するように構成することもできる。このように、回路の一部または全部を、コイル装置に装着することにより、磁束センサとしてのコイル装置の装着場所の制限を著しく少なくすることができる。
【0137】
また、電源電圧生成回路84としては、コイル14をセンサコイルとして使用しないときに、回路84内に設けた蓄電池に電圧を蓄えて、その蓄えた電圧を電源電圧として用いる回路構成とすることもできる。
【0138】
【発明の効果】
上述の構成のこの発明によるコイル装置は、シート状磁性体の両面にコイルを構成する第1および第2の複数本の線状の導体を形成すると共に、第1および第2の複数本の線状の導体のそれぞれの側から、絶縁膜でサンドイッチした構造となっているので、機械的に弱いシート状磁性体を補強することができると共に、磁性体や導電体などの重要な部分が絶縁層などにより覆われるものとなるので、特性のよいコイル装置が得られる。
【0139】
上述のコイル装置の製造方法によれば、コイル装置製作後に剥離可能な厚い基板を用いてコイル装置を製造することができるので、柔軟な曲げ性を持つコイル装置を容易に製造することができる。また、上述のコイル装置の製造方法によれば、特性の揃った安価なコイル装置を量産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるコイル装置の実施形態を説明するための図である。
【図2】この発明によるコイル装置の実施形態の要部を説明するための図である。
【図3】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図4】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図5】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図6】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図7】この発明によるコイル装置の他の実施形態を説明するための図である。
【図8】この発明によるコイル装置の他の実施形態を説明するための図である。
【図9】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図10】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図11】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図12】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図13】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図14】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図15】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図16】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図17】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力波形の例を示す図である。
【図18】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図19】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図20】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図21】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図22】この発明によるコイル装置の実施形態を用いた電流値検出装置の例を示す図である。
【図23】この発明によるコイル装置の取り付け例を示す図である。
【図24】電流値の検出原理を説明するための図である。
【図25】従来の電流値の検出方法を説明するための図である。
【図26】従来の電流値の検出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 コイル装置
11 シート状磁性体
12,13 絶縁層
14 コイル
14a、14b 複数個の線状の導電体
15,16 絶縁層
17 磁気シールド層
18 接着層
19 基板
20 スルーホール
25,26 電極
17,18 磁気ヨーク
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、電灯線などの電線を流れる電流の値(交流の場合には実効値)に一意に対応する電流検出出力を得る場合などに適用して好適なコイル装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電線を流れる電流の値を検出する方法の一例として、図24に示すように、当該電線を電流iが流れることにより、この電流iの流れる位置を中心とした同心円を描くように発生する磁束Bを検出する方法が知られている。これは、発生する磁束Bが電流値iに正確に比例するため、磁束Bを正確に検出することにより、電線を流れる電流iの値を正確に検出することができるからである。
【0003】
この場合において、電線を流れる電流iの値を正確に検出するために、従来は、電流iが流れることにより発生する磁束Bのすべてを集めて、その磁束Bを検出する方法が通常用いられている。すなわち、漏れをなくすために閉磁路を形成するようにリング状にしたコアにコイルを巻回した、いわゆるトロイダルコイルを磁束センサとして用いる方法である。
【0004】
図25は、この従来の方法を説明するための図である。この図25において、1は電線であり、通常は絶縁被覆2により覆われた被覆線3の構造とされている。そして、例えばフェライトなどの磁性材からなるリング状のコア4を巻芯として、そのリング状コア4の全周に渡ってコイル5を巻回したトロイダルコイル6の中空部内に被覆線3を挿通するようにして、トロイダルコイル6を、被覆線3に対して取り付ける。
【0005】
すると、電線1を電流iが流れることにより発生する磁束Bは、図26に示すように、トロイダルコイル6内にのみ存在し、トロイダルコイル6の外には存在しなくなる。このため、コイル5から得られる磁束に応じた誘導電流は、電線1を流れる電流iの値に正確に対応するものとなる。
【0006】
したがって、コイル5から得られる電流iを、例えば利得一定のアンプ7で増幅したものから、電線1を流れる電流iに一意に対応する電流検出出力信号を得ることができる。この場合、電流iが交流の場合には、その検出電流値としては、通常、実効値(2乗平均平方根値)とされる。この電流検出出力信号により、例えば電流値を指し示すメータの指針を振らせるようにすれば、メータの指針は、正確な検出電流値を指示するものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トロイダルコイルは、リング状コアにコイルを巻回したものであるため、寸法が比較的大きく、そのため、このトロイダルコイルを用いた電流検出装置の場合には、比較的大きな取り付けスペースが必要となり、取り付け部位が限られてしまうという問題がある。
【0008】
また、トロイダルコイルは、無端リング状の形状であるため、長い電線の途中において、その部位における電流を検出するために取り付けようとする場合には、当該取り付け部位において電線を切断してトロイダルコイルを装着した後、切断した電線を元のように接続する必要があり、取り付けに非常に手間がかかるという問題がある。
【0009】
この発明は、以上の問題点にかんがみ、取り付けスペースを必要とせずに、限られた空間にも容易に取り付けが可能であると共に、取り付け作業も容易であるコイル装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明によるコイル装置は、
矩形形状の可撓性シート状磁性体と、
前記シート状磁性体の一面上に、前記シート状磁性体の対向する前記一方の辺から前記他方の辺に渡って、互いに分離された状態で被着形成されている第1の複数本の線状の導電体と、
前記シート状磁性体の前記一面とは反対側の面上に、前記シート状磁性体の対向する前記一方の辺から前記他方の辺に渡って、互いに分離された状態で形成され、かつ、前記第1の複数本の線状の導電体のそれぞれと、前記一方の辺および前記他方の辺の近傍において電気的に接続されて、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するようにする第2の複数本の線状の導電体と、
前記第1の複数本の線状の導電体を覆うように前記前記シート状磁性体の一面側に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第2の複数本の線状の導電体を覆うように前記前記シート状磁性体の前記一面とは反対側の面側に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜または第2の絶縁膜のいずれか一方を覆うように、接着剤層を介して設けられ、剥離可能とされている基板と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、この発明によるコイル装置の製造方法は、
基板上に接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、第1の複数本の線状の導電体を、互いに分離して平行に形成する工程と、
矩形形状の可撓性シート状磁性体の一面側に、前記第1の複数本の線状の導電体が配置されるように、前記可撓性シート状磁性体を積層する工程と、
前記可撓性シート状磁性体の前記一面側とは反対側に、第2の複数本の線状の導電体を、前記第1の複数本の線状の導電体と共に前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するような配置状態において、互いに分離して平行に形成する工程と、
前記第1の複数本の線状の導電体と、前記第2の複数本の線状の導電体とを、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するように、前記線状の導電体のそれぞれの端部において電気的に接続する工程と、
前記第2の複数本の線状の導電体の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
【作用】
上述の構成のコイル装置の発明においては、可撓性のシート状磁性体をコアとするようにして、シート状の薄型コイル装置が形成される。このコイル装置は、機械的な安定さを持つ基板上に形成されるが、使用に当たっては、この基板が接着剤層から剥離され、露呈された接着剤層により、任意の取り付け場所に接着固定されて取り付けられる。
【0013】
基板が剥離されると、この発明によるコイル装置は、柔軟な曲げ性を呈する。このため、この発明によるコイル装置は、電線や被覆部分に、例えば巻き付けられるようにして、接着剤により固定されて装着可能である。
【0014】
また、この発明によるコイル装置は、シート状磁性体の両面にコイルを構成する第1および第2の複数本の線状の導体を形成すると共に、第1および第2の複数本の線状の導体のそれぞれの側から、絶縁膜でサンドイッチした構造となっているので、機械的に弱いシート状磁性体を補強することができると共に、磁性体や導電体などの重要な部分が絶縁層などにより覆われるものとなるので、特性の安定した良特性のコイル装置が得られる。
【0015】
また、上述のコイル装置の製造方法によれば、コイル装置製作後に剥離可能な厚い基板を用いてコイル装置を製造することができるので、柔軟な曲げ性を持つコイル装置を容易に製造することができる。また、上述のコイル装置の製造方法によれば、特性の揃った安価なコイル装置を量産することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明によるコイル装置の実施形態を、図を参照しながら説明するが、まず、実施形態のコイル装置の構造およびその製法について説明する。
【0017】
[実施形態のコイル装置の構造]
この実施形態のコイル装置は、基本的には、極薄い、所定の寸法の可撓性のシート状磁性体に、このシート状磁性体を巻き芯とするようにコイル導体が形成されたものである。この例では、シート状磁性体の磁性材としては、フェライトやアモルファス金属などを用いた透磁率が空気の透磁率(=1)に対して十分に高く、鉄損が少ないものを用いる。
【0018】
図1は、この例のコイル装置10の構造の一例を示すものであり、また、図2は、その一部の拡大図を示すものである。図1(A)は、このコイル装置10の平面図であり、シート面(厚さ方向に直交する面)に直交する方向から見た図である。また、図1(B)は、このコイル装置10の断面図を示すものである。また、図2(A)は、コイル装置10のコイル部分の説明のための図であり、図2(B)は、コイル装置10のコイル部分における断面図である。
【0019】
シート状磁性体11の磁性材料としては、この例では、例えば日立金属株式会社製の商品名「ファインメット(登録商標)」が用いられる。これは、アモルファス金属からなるもので、透磁率が20000と高く、厚さが20μmと薄く、軽量で可撓性があるシート状磁性体である。そして、この例では、このシート状磁性体11は、矩形形状とされ、長さLが、この例ではL=25(ミリメートル)とされ、幅Wは、W=7(ミリメートル)とされている。
【0020】
このシート磁性体11を用いることにより、例えば磁束センサを構成するコイル装置として直線性の優れたものを実現できるが、このシート状磁性体11は、非常にもろく、加工ひずみを受けやすい極めて薄い磁性薄膜である。そこで、この実施形態においては、シート状磁性体11を、強度と耐熱性のある薄い樹脂などの薄膜で両側から挟み、シート状磁性体11にひずみや損傷を与えることなく、全体を曲げられるように、伸縮性に富んだ構造とすることができるようにしている。
【0021】
すなわち、このシート状磁性体11のシート面の一面およびその反対側の面上には、絶縁層12,13が形成され、シート状磁性体11がこれら絶縁層12,13により両側から挟まれるように構成されている。
【0022】
そして、これら絶縁層12,13上の、シート状磁性体11の長さ方向のほぼ中央部分の所定の範囲、例えば6〜15ミリメートルの部分において、複数の線状の導電体からなるコイル14が形成されている。コイル14のターン数は、例えば10〜100ターンとされる。
【0023】
このコイル14は、絶縁層12上に形成された複数の線状の導電体14aと、絶縁層13上に形成された複数の線状の導電体14bとが、図2(A)に示すように、シート状磁性体11の幅方向の両端においてスルーホール20を通じて電気的に接続されて形成されているものである。
【0024】
そして、コイル14および絶縁層12,13上を覆うように絶縁層15,16が形成されている。さらに、絶縁層15の上には、磁気シールド層17が形成されて、シート面に直交する方向からの磁束を反射して、シート状磁性体11には、シート面に平行な方向からのみ、つまり、シート状磁性体11の厚さ部分にのみ、磁束が通るようにされている。
【0025】
また、絶縁層16の上には、接着性を持つ層(以下、接着層という)18が形成され、さらに、この接着層18の上に基板層19が形成されている。なお、接着層18が絶縁性材料で構成されている場合には、絶縁層16は別個に設ける必要はなく、絶縁性の接着層18のみを形成すればよい。
【0026】
また、シート状磁性体11が絶縁物からなるものであれば、絶縁層13および絶縁層12は、設けなくともよい。ただし、強度を得るためには、これらの絶縁層13,12を設けた方が良い。
【0027】
基板層19は、接着層18をコイル装置10側に残して、剥離可能とされている。後述するように、この例のコイル装置10は、基板層19が剥離されることにより露呈される接着層18により、電線に接着されて装着することができるようにされている。
【0028】
なお、図1に示すように、シート状磁性体11の長手方向の一方の端部のシールド層17が形成される側と、他方の端部の接着層18が形成される側とでは、絶縁層12や13、15,16、また、シールド層17、接着層18は形成されない部分23,24とされている。したがって、これらの部分23,24は、シート状磁性体11の表面が露呈するようにされている。この例では、これらの部分23,24は、それぞれ2.5ミリメートル程度とされている。
【0029】
これらの部分23,24は、シート状磁性体11をリング状にしたときに、閉磁路を形成することができるようにするためである。このようにするのは、コイル装置10を、トロイダル状に閉リングを形成するように取り付けることができるようにするためと、コイル装置10を校正する際には、閉磁路として校正した方が、校正が容易であるからである。この校正は、製造されたコイル装置10のロット間のばらつきを考慮して行われるものである。なお、シート状磁性体11は、透磁率が非常に高いので、部分23と、部分24との両方でシート状磁性体を露呈させる必要はなく、部分23と、部分24とのどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0030】
なお、コイル装置10の大きさは、図1に示したように、シート状磁性体11よりも若干大きなものとされて、前記部分23や24を除き、シート状磁性体11が完全に樹脂などの絶縁層により覆われている構成とされている。
【0031】
そして、この例では、図1に示すように、コイル14の一端および他端となる導電体14aの部分から、シート状磁性体11部分を避けた位置に、電極25,26が形成されている。この電極25,26の部分は、この例では、絶縁層15およびシールド層17は除去されて露呈するようにされている。この電極25,26にリード線が接続される。リード線の接続方法としては、半田付けによる方法でも良いが、電極25,26に対応するような突型電極が形成され、その突型電極にリード線が接続されているクリップ型のコネクタを用いることもできる。すなわち、クリップ型のコネクタの電極25,26に対応する突型電極が、電極25,26に衝合するようにして、クリップ型コネクタにより、コイル装置10を挟持するように取り付けることで、リード線の接続が可能である。
【0032】
[コイル装置10の製法]
次に、上述のような構造を有するこの例のコイル装置10の製造方法について、図3および図4、図5を参照しながら説明する。なお、図4、図5は、コイル装置10の1素子当たりを拡大した図であるが、この例のコイル装置10の製造方法においては、図6に示すように、多数のコイル装置10を同時に形成し、図6の縦、横の切断線27に沿って切断することにより、個々のコイル装置10を得るものである。
【0033】
また、以下に説明する例においては、接着層18として接着性絶縁物を用いることにより、絶縁層16は省略されている。
【0034】
図3(A)および図4(A)に示すように、最初に、やや厚く硬い基板19を用意し、その上に接着性絶縁物からなる接着剤層18を、例えばスプレイ付着して形成する。
【0035】
次に、その絶縁性の接着剤層18の上に、図4(B)に示すように、導電層21を被着形成する。すなわち、銅薄膜を導電層21として貼る。次に、この導電層21について、リソグラフィによって形状を決め、化学エッチングによって、図3(B)および図4(C)に示すように、複数本の線状の導電体14bを形成するように加工する。すなわち、複数本の線状の導電体14bを、基板19の一辺19aから、この一辺19aに対向する辺19bにまで渡って、互いに分離した状態で平行に形成する。
【0036】
次に、図4(D)に示すように、複数本の線状の導電体14bの隙間に接着性絶縁物27を充填させる。この接着性絶縁物27の部分は、絶縁性接着剤層18の一部となる。次に、図3(C)および図4(E)に示すように、この線状の導電体14bおよび絶縁性接着剤層18の上に絶縁層13を積層し、その上にシート状磁性体11の層を接着する。
【0037】
そして、シート状磁性体11について、リソグラフィによって位置と形状を決め、化学エッチングによって、図3(D)および図4(E)に示すように、幅W=7ミリメートル、長さL=25ミリメートルの帯状に加工する。
【0038】
次に、図4(F)に示すように、エッチングしたシート状磁性体11の隙間に接着性絶縁物28を充填する。次に、図3(D)および図5(A)に示すように、シート状磁性体11の層の上に、絶縁層12を積層した後、線状の導電体14bの、基板19の一辺19aおよび19b近傍において、下層の線状の導電体14bのそれぞれの表面まで貫通するスルーホール20を設ける。
【0039】
このスルーホール20の形成に際しては、下側の複数個の導電体14bのそれぞれの端部の位置に対応するように、スルーホール20の位置決めを行うものである。そして、電気メッキにより、スルーホール20内に結線導体を形成する。
【0040】
次に、図3(E)に示すように、絶縁層12の上に例えば銅薄膜からなる導電層22を導電性接着剤で接着する。そして、リソグラフィによって、下側の複数個の線状の導電体14bと共にコイル14を形成させるように対応させるべく、位置と形状を決め、例えば化学エッチングによって、導電層22を加工して、図3(F)および図5(B)に示すように、複数個の線状の導電体14aを形成する。この場合に、複数個の線状の導電体14aの端部は、スルーホール20の金属メッキに接続される状態なるように、リソグラフィの形状が決められる。
【0041】
このとき、図2(A)に示すように、この例では、絶縁層12の上には、電極25および26が形成されると共に、導電体14aの左端において、下側の導電体14bとスルーホール20を通じて接続される導電体14aLから電極25までのリード導体が形成され、また、導電体14aの右端の線状の導体14aRの端部から電極26までのリード導体が形成される。絶縁層12上の銅薄膜についてのリソグラフィの形状は、複数個の線状の導電体14aのみでなく、電極25,26や前記リード導体をも含めた形状となるように決められるものである。
【0042】
これにより、図5(C)に示すように、上側の導電体14aと、下側の導電体14bとは、スルーホール20の電気メッキにより形成された導体29により、互いの端部において、電気的に接続されて、コイル14が形成される。
【0043】
次に、エッチングにより形成した複数本の線状の導電体14aの隙間に接着性絶縁物30を充填する。次に、図5(D)および図3(G)に示すように、導電体14aおよび絶縁物30の上に、薄い保護用の絶縁層15を接着する。さらに、その絶縁層15の上に、図3(G)および図5(E)に示すように、磁気シールド層17を接着する。
【0044】
そして、各コイル装置素子のコイル14の端部から前述したようにして導出されている電極25,26を露呈するように、当該電極25,26近傍部分のシールド層17および絶縁層15を一部除去する。
【0045】
以上にようにして形成されたシート状の中間品を、図6および図3(G)において、一点鎖線で示すような位置において基板19と共に切断して、それぞれコイル14を備えるコイル装置素子を分離する。その後、外部リード線を接着して、個々のコイル装置10を完成させる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、電極25および26は、シート状磁性体11の幅方向の、図2において上方側に導出するようにしたが、図2において下方側に導出するようにしても良い。また、電極25,26の一方を上方側に、他方を下方側に導出するようにしても良い。
【0047】
さらに、電極25,26をシート状磁性体11の幅方向に導出するのではなく、図7および図8に示すように、シート状磁性体11の長手方向に導出することもできる。
【0048】
この場合には、図7および図8に示すように、コイル装置10の長手方向の長さは、電極25,26を形成する電極形成領域31分だけ、前述の例のコイル装置10よりも長くする。または、電極形成領域31の分だけコイル装置10より突出させるようにする。
【0049】
そして、この例では、突出した部分の電極は、後述するように、露呈せずに形成するようにしているので、上述の例のように、電極25,26を露呈する必要が無く、製造工程が減少する。また、同時に電極が露出することが無いので、コイル装置素子の特性の耐久性、信頼性が向上する。
【0050】
図7および図8の例では、下側の銅薄膜についてリソグラフィにより形状を決定してエッチングして複数個の導電体14bを形成する際に、下側の導電体14bのうちの一番左側の導電体14bLから、リード部32を介して電極25を形成するようにする。
【0051】
また、上側の銅薄膜についてリソグラフィにより形状を決定してエッチングして複数個の導電体14aを形成する際に、上側の導電体14aのうちの一番右側の導電体14aRの端部から、リード部33を介して電極26を形成するようにする。
【0052】
図8(B)に示すように、この例の場合には、電極形成領域31にはシート状磁性体11に延長されるように、例えば常温硬化性ゴム質樹脂からなる磁性膜34が塗布される。
【0053】
そして、この例では、電極25,26に対するリード線35,36の接続は、針電極37,39を介して行なうようにする。この場合、針電極37,38は、絶縁物で構成される保持部39,40の内部で、図8に示すように、リード線35,36に接続されている。この場合に、針電極37および針電極38の長さは、下側の電極25および上側の電極26にそれぞれ接続されるような長さに選定されている。
【0054】
そして、この針電極37,38を、電極25,26と電気的に接続するように、基板19を剥離して露呈する接着層18側からコイル装置10に差し込む。差し込んだ状態では、保持部39,40が接着層18に接着される状態になり、これにより針電極37,38が、それぞれ電極25,26に電気的に接続された状態で接着固定されるようになる。
【0055】
この例の場合には、電極25,26を外部に露呈する工程が不要となるので、コイル装置の作成が容易になるものである。
【0056】
なお、図7および図8では、電極25および電極26は、下側の導電体14bおよび上側の導電体14aを形成する際に、それぞれ形成するようにしたが、前述の例と同様に、導電体14aまたは14bの一方、例えば導電体14aの前述した左端導体14aLおよび右側導電体14aRからリード部32,33を介して、シート状磁性体11の長手方向に、同時に形成するようにしても良いことは言うまでもない。その場合には、前述の針電極37,38の長さは、同じ長さでよい。
【0057】
なお、以上の実施形態において、磁束センサのシート状磁性体11の材料の例としては、アモルファス金属やフェライトなどに限らず、透磁率が高く、損失(鉄損)が少ないものであれば用いることができるものである。
【0058】
以上説明したようなコイル装置によれば、以下のような効果を奏するものである。
【0059】
集積回路に用いられているリソグラフィ技術を用いて、安価で特性の揃ったコイル装置を得るためには、位置合わせと取り扱いを容易にするために、必要な厚さと、機械的安定さを持つ基板が必要であるが、上述の実施形態では、コイル装置10を製作後、基板19を剥離可能な構成としたことにより、コイル装置10の製造工程における要求を満足しながら、使用状態においては、基板19が剥離されて、コイル装置10に柔軟な曲げ性を持たせるようにすることができる。
【0060】
また、非常にもろく、加工ひずみを受けやすい極めて薄い磁性薄膜であるシート状磁性体11は、強度と耐熱性のある薄い樹脂などの絶縁薄膜で両側から挟み込まれ、シート状磁性体11にひずみや損傷を与えることなく、コイル装置10の全体が曲げられるようになる。
【0061】
さらに、絶縁膜でサンドイッチした構造となっているので、機械的に弱いシート状磁性体を補強することができると共に、磁性体や導電体などの重要な部分が絶縁層などにより覆われるものとなるので、特性が良く、かつ、特性の揃ったコイル装置が得られるものである。
【0062】
そして、このシート状のコイル装置10は、従来のトロイダルコイルとは異なり、狭いところにある、小さな物体から発生する磁気をも、容易かつ正確に測定することができるようになる。
【0063】
一般に、電流などから発生する磁気を測定するには、棒状の物体から発生する環状の磁気を、当該物体にできる限り接近して配置したコイル装置(センサ)で検出することが重要であるが、上述したこの実施形態のコイル装置10は、容易に、磁気を測定しようとする物体に近接して装着することが可能である。
【0064】
しかも、トロイダルコイルのような無端リングではなく、電線などにシート状コイル装置10を巻き付けるように取り付けることができるという特徴を有するものである。
【0065】
[実施形態のコイル装置10を用いた電流検出方法の説明]
以下に説明する電流検出方法は、特定の径の電線または被覆部分に、上述のコイル装置10を磁束センサとして取り付けて、電線を流れる電流値を検出する場合であり、交流電流のみならず、直流電流の場合も適用可能である。
【0066】
この例においては、上述のようにして製造したコイル装置10は、その基板層19を剥離して接着層18を露呈させて、その露呈した接着層18によって図9に示すように、例えば、電線41が絶縁被覆42により覆われた被覆線43の、絶縁被覆42の部分に巻き付けるようにして取り付ける。なお、絶縁被覆が剥がされた電線41の部分に巻き付けるようにして、コイル装置10を取り付けるようにしても勿論よい。
【0067】
この場合に、コイル装置10は、被覆線43に対して、シート状磁性体11の長手方向、つまりコイル14の巻き軸方向が、電線41を流れる電流によって生じる磁束路に沿う方向となるように、コイル装置10のシート状磁性体11を、電線41の被覆部分42に巻き付けるようにして、取り付ける。なお、コイル装置10は、被覆線43に対して、接着層18により接着されることにより、シート状磁性体11のシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行になるようにされる。
【0068】
そして、コイル装置10のコイル14から導出される外部リード線は、距離補正用増幅回路51の入力端子に接続する。
【0069】
この距離補正用増幅回路51は、電線41を流れる電流の位置(電線41の断面の中心位置に相当)と、コイル装置10との間の距離(電線41の被覆42を含めた径に相当)の2乗に反比例して、コイル装置10で検出される磁束の強さが変わってしまうことを補正して、前記距離に関係なく、電線41に流れる電流値に一意に対応した出力信号が得られるようにするためのものである。
【0070】
距離補正用増幅回路51の増幅利得(ゲイン)は、次のようにして決められる。
【0071】
前述したように、トロイダルコイルのように、閉磁路を形成する場合には、電線41を流れる電流の位置と、コイル装置10との間の距離(以下、センサ距離という)に関係なく、電流により発生する磁束の全てはトロイダルコイル内に閉じ込められるので、距離補正用増幅回路51のゲインは、センサ距離に関係なく一定でよい。つまり、センサ距離に応じた補正は不要である。
【0072】
しかし、この実施形態におけるコイル装置10は、閉磁路を常に形成するように、被覆線に対して取り付けられるわけではない。太い電線の場合には、電線の一部にしか、コイル装置10のシート状磁性体11は巻きつけられない。このため、センサ距離の2乗に応じた増幅利得で、コイル装置10のコイル14から得られる信号を増幅する必要がある。
【0073】
この場合に、コイル装置10のコイル14から得られる信号出力(コイル出力電流)と、センサ距離との関係は、検出対象の電流iが流れる位置を中心Oiとしてこの中心Oiから、コイル装置10のシート状磁性体11の長手方向(磁束路に沿う方向)の長さ分を見たときの開き角θ(図10参照)に応じて定まるものとなることを、この発明の発明者は確認した。
【0074】
図11は、コイル装置10のコイル14の出力電流と、センサ距離との関係を示す特性曲線である。この図11に示されるように、センサ距離の2乗に反比例して、コイル14の出力電流が減少する特性となるが、その減少の傾きが開き角θが大きいほど小さく、開き角θが小さいほど大きくなる。
【0075】
すなわち、開き角θが大きく、360度に近いときには、トロイダルコイルと同様に、透磁率の高いシート状磁性体11を備えるコイル装置10のコイル14内に殆どの磁束を通すようにすることができることから、図11において曲線61に示すように、センサ距離が大きくなっても、コイル14の出力電流は減少が少ない。
【0076】
これに対して、開き角θが小さくなってゆくと、コイル装置10のコイル14内を通る磁束が少なくなってゆくため、図11において、曲線62,63,64に示すように、開き角θが小さいほど、コイル14の出力電流の減少カーブが急な傾斜となる特性となる。
【0077】
この図11の特性から、距離補正用増幅回路51においては、開き角に応じたゲイン特性とすることにより、コイル装置10のコイル14を増幅補正して、常に、電線41を流れる電流の値に一意に対応するセンサ出力が得られる。
【0078】
すなわち、図12は、距離補正用増幅回路51のセンサ距離に対するゲイン特性を示すもので、センサ距離に対して指数関数的にゲインを上昇させる特性とするが、その上昇カーブの傾きが、開き角θが大きいほど緩やかで、開き角が小さいほど急峻になるような特性とする。
【0079】
すなわち、開き角が大きく、コイルの出力電流対センサ距離の特性が曲線61となるような場合に対しては、センサ距離に対するゲインの上昇カーブが緩やかな図12の曲線71となるような特性とする。そして、開き角θが小さくなって、曲線62,63,64となるような場合に対しては、それらの特性曲線に対応させて、図12において曲線72,73,74で示すように、上昇カーブが開き角θが小さいほど急峻になるような特性とする。
【0080】
以上のことから、コイル装置10を電線あるいは被覆部分に取り付けたときの開き角θが既知となれば、距離補正用増幅回路51では、図12に示したようにして、ゲイン対センサ距離の特性曲線が決まる。そして、電線を流れる電流の位置から磁束センサまでの距離であるセンサ距離が判ると、距離補正用増幅回路51で必要となるゲインが定まる。距離補正用増幅回路14は、この定められたゲインを有するように設計する。
【0081】
例えば、開き角θに対応するゲイン対センサ距離の特性曲線は、曲線74であり、センサ距離、つまり、電線あるいは被覆線の径がRaであった場合に必要となる距離補正用増幅回路51のゲインはGaとなる。
【0082】
ところで、この例のコイル装置10のシート状磁性体11の長手方向の長さLは、前述したように、一定のものとして定められているので、図13に示すように、半径がそれぞれr1、r2、r3というように異なる被覆線にコイル装置10が装着された場合には、被覆線の半径r1、r2、r3、つまり、センサ距離に応じて、コイル装置10の長手方向の長さ分を、電線41を流れる電流の位置から見たときの開き角が、θ1、θ2、θ3というように変化するものとなる。
【0083】
このように、この実施形態では、コイル装置10のシート状磁性体11の長手方向の長さLは、定められたものとされているので、開き角θ1、θ2、θ3が算出されたときには、センサ距離は、r1、r2、r3として定まることとなる。
【0084】
したがって、この実施形態では、開き角θが算出されると、その開き角θに対応する図12に示したようなゲイン対センサ距離の特性曲線が求まり、また、センサ距離も定まることから、求まった特性曲線から距離補正用増幅回路41のゲインが求まる。すなわち、開き角θが算出されると、その開き角θから、距離補正用増幅回路51のゲインが一元的に決定されるものである。
【0085】
なお、コイル装置10のシート状磁性体11の長手方向の長さは、上述のように一定のものとして定めなくても、上述したことから明らかなように、開き角と、センサ距離が既知であれば、距離補正用増幅回路51のゲインは、決定できることは言うまでもない。
【0086】
以上のようにして、センサ距離に関係なく、電線41に流れる電流の値に一意に対応する出力信号が、距離補正用増幅回路51から得られる。この距離補正用増幅回路51の出力信号は、周波数補正用増幅回路52に供給される。
【0087】
この周波数補正用増幅回路52は、電線41を流れる電流が交流電流の場合に、電流検出出力信号が、その交流電流の周波数に依存しないように補正するためのものである。したがって、電線41を流れる電流が直流電流である場合には、この周波数補正用増幅回路52は、省略することができる。
【0088】
すなわち、前述もしたが、図14に示すように、交流電流による磁束の強さは、その交流電流の周波数に反比例する。そこで、この周波数依存をなくすため、周波数補正用増幅回路52は、図15に示すように、ゲインが周波数に比例する特性のものを用いる。これは、いわゆる積分増幅回路の構成により実現できる。
【0089】
図15に示すようなゲイン対周波数特性の増幅回路を、周波数補正用増幅回路52として用いれば、図14のように、コイル装置10のコイル14から得られる交流電流の周波数に反比例する出力電流の周波数特性は、図11のゲイン特性によりキャンセルされる。したがって、周波数補正用増幅回路52からは、交流電流の周波数に関係なく、電線41に流れる電流値に一意に対応した出力信号が得られる。
【0090】
したがって、周波数補正用増幅回路52の出力信号を、例えばドライブ回路を通じてメータの指針駆動回路に供給するようにすれば、メータの指針は、正確な検出電流値を指示するものとなる。
【0091】
なお、距離補正用増幅回路51と周波数補正用増幅回路52では、それぞれ予め定めた特定の開き角のとき、また、特定の周波数のときに、出力信号がある特定の値を示すように、校正しておくようにするものである。
【0092】
なお、上述した距離補正用増幅回路51と周波数補正用増幅回路52とからなる回路部分は、特定の径の電線や被覆線にコイル装置10を装着するものであれば、ゲイン特性は、それぞれ予め定めることができるので、IC(Integrated Circuit;集積回路)で構成することができる。
【0093】
また、距離補正用増幅回路51と周波数補正用増幅回路52とからなる回路部分を、一つの増幅回路の構成として設計することもできる。そして、その一つの増幅回路をICによって構成することもできる。
【0094】
また、コイル装置10のコイル14の出力電流を電圧変換した後、デジタル信号に変換し、そのデジタル信号をマイクロプロセッサに供給して、上述の補正のための増幅動作と等価な処理を行うようにすることもできる。その場合には、当該マイクロプロセッサには、開き角θの情報が入力されると共に、交流電流の場合にはその周波数の情報が入力され、マイクロプロセッサは、それらの情報を元に必要なゲインを計算により求め、その求めたゲイン分の増幅動作と等価な処理を行う。
【0095】
[電流検出方法の第2の例]
距離補正用増幅回路51は、上述の電流検出方法の第1の例では、コイル装置10を装着する電線の径から、コイル装置10の開き角θを求め、その開き角θから必要なゲインを決定して、そのゲインを有するように設計する。しかし、それでは、径の異なる電線部分や被覆部分に装着するごとに、距離補正用増幅回路51の設計をやり直さなければならず、余りにも汎用性に欠ける。
【0096】
そこで、この電流検出方法の第2の例では、距離補正用増幅回路51として、図12に示した曲線71,72,73,74のような幾つかの開き角に対応したゲインに切り替え可能とし、算出した開き角に応じて、ゲインを切り替えるようにする。
【0097】
このとき、距離補正用増幅回路51においては、多数個の開き角に応じた多数個のゲインを用意しておく必要は無く、例えば4種類程度の開き角に対応したゲインを備えるようにするだけで、十分である。
【0098】
なぜなら、この実施形態のコイル装置10のシート状磁性体11の透磁率は、前述したように、20000というように、非常に高い値であるため、例えば図16に示すように、4種類程度の開き角であっても、それぞれの開き角に対応するセンサ距離の位置に配置されたコイル装置10では、その配置位置の前後のセンサ距離に存在するであろう磁束をも、そのシート状磁性体11内に取り込むように働くと考えられるからである。
【0099】
例えば、図16の例であれば、半径r1とr2との間では、r1から、(r1+r2)/2の範囲の磁束は、半径r1に配置されたコイル装置10のシート状磁性体11内を通るようになり、また、(r1+r2)/2からr2の範囲の磁束は、半径r2に配置されたコイル装置10のシート状磁性体11内を通ると考えられるからである。
【0100】
したがって、半径r1から半径r2の間のセンサ距離にコイル装置10を配置することは不要であり、そのセンサ位置に対応する開き角を想定する必要がないのである。
【0101】
この電流検出方法の第2の例では、このように利得特性が切り替え可能とされた距離補正用増幅回路51において、算出した開き角に応じてゲイン切り替えを行うようにすることにより、装着する電線あるいは被覆線の径に応じて、距離補正用増幅回路41のゲインを切り替えることが可能である。
【0102】
例えば、開き角θ1〜θ2、θ2〜θ3、θ3〜θ4、θ4〜θ5のように、開き角の範囲として幾つか用意し、そのいずれの範囲に装着しようとする電線あるいは被覆線に対するコイル装置10の開き角が存在するかを、例えば開き角選択つまみなどを通じて入力することにより、距離補正用増幅回路51のゲインが切り替えられる構成とすることができる。
【0103】
[電流検出方法の第3の例]
上述の2つの電流検出方法の例では、使用者が装着しようとする電線あるいは被覆線に対する磁束センサ10の開き角を求めて、距離補正用増幅回路51のゲインの切り替えを行う必要があったが、この第3の例は、磁束センサ10を電線あるいは被覆線に対して装着するだけで、自動的に距離補正用増幅回路51のゲインが決定される例である。この例は、特に検出対象が交流電流の場合に適用される。
【0104】
なお、周波数補正用増幅回路52は、前述もしたように、特定の周波数のときに、特定の値が出力されるようにゲインの校正を行っておけば、特に調整や切り替えが不要であることは上述の第1および第2の例と同様である。
【0105】
この第3の例は、この発明の発明者の研究結果に基づくものである。すなわち、この発明の発明者は、商用電源の電源線に対して磁束センサ10を前述のように装着して、そのコイル14から得られる信号を精査したところ、前述したように、この信号中には、電線を流れる電流の位置と磁束センサ10との間の距離(つまり磁束の強さ)と、磁束センサ10のシート状磁性体の寸法(長さ、幅、厚さ)とに応じた周波数の成分が含まれることを確認した。
【0106】
図17は、50Hzの商用電源線に流れる交流電流を、磁束センサ10を用いて検出したときの検出波形を示す図である。この図17において、振幅の大きい波形は電圧波形であり、振幅の小さい波形が電流成分である。この図17から、50Hzの電流成分に高周波の周波数成分が重畳されていることが判る。
【0107】
前述したように、この周波数成分は、シート状磁性体11の材料と寸法および磁束の強さとによってシート状磁性体11に発生する振動成分である。上述したように、この例のコイル装置10のシート状磁性体11の寸法は、定まっているので、この実施形態においては、コイル装置10を電線あるいは被覆部分に装着したときの開き角は、電線を流れる電流の位置とコイル装置10との間の距離(つまり磁束の強さ)に対応したものとなり、この開き角の大きさに対応して、前記振動成分の周波数が変化するものとなる。発明者は、このことを確認した。つまり、開き角と、前記振動成分の周波数とは1対1に対応するものである。
【0108】
図18、図19、図20は、径の異なる電線にコイル装置10を装着した状態で、コイル装置10の出力信号に含まれる、この高周波数成分を、102.3kHzまでについてスペクトラム分析したものである。図18は、直径が約5.3ミリメートルの電線、図19は、直径が約6.3ミリメートルの電線、図20は、直径が約6.6ミリメートルの電線のそれぞれにコイル装置10を装着した場合の周波数スペクトル図である。したがって、開き角の大きさは、図18の場合が最も大きく約270度、図19の場合は227度、図20の場合は217度となる。
【0109】
これら図18〜図20においては、主として3つのスペクトルのピークが立つことが観察されるが、これらのスペクトルが立つ周波数は、低い方から順にコイル装置10の長さ方向、幅方向、厚さ方向の振動成分に対応したものとなる。
【0110】
図18におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;20.6kHz、
幅方向に対応;49.4kHz
厚さ方向に対応;98.7kHz
であった。
【0111】
また、図19におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;22.0kHz、
幅方向に対応;49.6kHz
厚さ方向に対応;99.9kHz
であった。
【0112】
また、図20におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;23.5kHz、
幅方向に対応;50.2kHz
厚さ方向に対応;100.5kHz
であった。
【0113】
これにより、コイル装置10のコイル14からの出力信号には、コイル装置10が電線あるいは被覆部分に装着されたときの開き角の大きさに応じた振動成分(高周波信号成分)が重畳されていることが判る。
【0114】
そこで、この第3の例においては、このコイル装置10のコイル14からの出力信号に含まれる前記振動成分を抽出して、その周波数を検出し、その検出した周波数に応じて、自動的に距離補正用増幅回路51のゲインを決定するようにする。すなわち、検出した振動成分の周波数は、電線を流れる電流の位置とコイル装置10との間の距離に対応しているので、当該距離に応じたゲインとなるように、距離補正用増幅回路51のゲインを決定するものである。
【0115】
この場合、前記の長さ、幅、厚さの3つ方向の振動成分の周波数を全て検出する必要はなく、そのいずれか一つの方向の振動成分、例えば長さ方向の振動成分の周波数を検出することにより、距離補正用増幅回路51のゲインを決定することができるものである。
【0116】
すなわち、前述の3種の径の電線の場合であれば、長さ方向の振動成分に対応するスペクトルは、図21の拡大図に示すように観測することができる。この図21のスペクトルは、径の異なる3種の電線にコイル装置10を装着した場合において、磁束センサとしてのコイル装置10のシート状磁性体11の長さ方向の振動成分を、前記径の異なる3種の電線について比較可能なように示した場合であり、101のスペクトルは、3種の径のうちの、最小の径に対応するもの、102のスペクトルは、中間の径に対応するもの、103のスペクトルは最大の径に対応するものである。
【0117】
図22は、この第3の例におけるコイル装置10の出力に対する補正増幅回路の構成例を示すブロック図である。
【0118】
すなわち、この第3の例においては、前述した第1および第2の例と同様に、コイル装置10のコイル14からの信号は、距離補正用増幅回路51と、周波数補正用増幅回路52とを通じて補正するようにする。
【0119】
この場合に、距離補正用増幅回路51としては、前述の第2の例と同様に、複数個の開き角θに対応したゲインに切り替え可能なものを用いる。そして、この第3の例の距離補正用増幅回路51においては、ゲイン切り替え制御端子51cを備え、このゲイン切り替え制御端子51cに入力される利得制御信号により、ゲイン切り替えが行われる構成を備える。
【0120】
また、この第3の例においては、コイル14からの信号は、ローパスフィルタ81に供給されて、前述した例えば102.3kHz以下の振動成分(高周波数成分)が抽出される。抽出された振動成分は、例えばFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理を行うスペクトル分析回路82に供給される。そして、このスペクトル分析回路82の出力が利得制御回路83に供給される。
【0121】
この利得制御回路83は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により構成される。この利得制御回路83では、ピークが立つスペクトル成分を、最もレベルの大きいものから3個抽出する。抽出した3個のスペクトル成分は、コイル装置10のシート状磁性体11の長さ、幅、厚さに対応する振動成分である。
【0122】
利得制御回路83は、これら3個のスペクトル成分のうち、この例では、最も低い周波数成分であるシート状磁性体11の長さ方向の振動成分を選択して、その周波数を検出する。
【0123】
そして、その検出した周波数が、複数個の開き角の範囲の内の、どの開き角の範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じた利得制御信号を生成する。そして、利得制御回路83は、その生成した利得制御信号を距離補正用増幅回路51に供給する。
【0124】
距離補正用増幅回路51では、利得制御回路83からの利得制御信号に対応するゲインとなるようにゲインを切り替える。そして、距離補正用増幅回路51は、その出力を周波数補正用増幅回路52に供給する。
【0125】
以上のようにして、この第3の例によれば、距離補正用増幅回路51のゲインは、コイル装置10が電線あるいは被覆線部分に装着されたときの開き角θに応じたものに自動的に設定される。したがって、単に、コイル装置10を電線あるいは被覆線部分に装着すれば、その電線や被覆線部分の径に関係なく、その電線に流れる電流の値に一意に対応する出力信号を、周波数補正用増幅回路52から得ることができる。
【0126】
なお、この第3の例では、各回路に供給する電源電圧も、コイル装置10のコイル14からの電流により生成して、各回路に供給するように構成している。すなわち、この第3の例においては、コイル14からの電流は、電源電圧生成回路84に供給される。この電源電圧生成回路84では、コイル14からの電流を整流すると共に、各回路に必要な電圧の直流電源電圧を生成する。そして、その生成した直流電源電圧を、各回路の電源ラインに供給する。
【0127】
したがって、この第3の例においては、距離補正用増幅回路51、周波数補正用増幅回路52、バンドパスフィルタ81、スペクトル分析回路82、利得制御回路83のそれぞれの電源を供給する回路を別途必要としない。
【0128】
なお、図22の回路は、ICにより構成することができる。また、電源電圧生成回路84とバンドパスフィルタ81の部分を除く部分を、マイクロプロセッサで構成し、そのマイクロプロセッサに、バンドパスフィルタ81からの信号をデジタル信号に変換したものを供給するようにして、上述した距離補正用増幅回路51、周波数補正用増幅回路52、スペクトル分析回路82、利得制御回路83のそれぞれにおける処理をデジタル処理として実行するように構成してもよい。
【0129】
また、上述の例では、利得制御回路83では、コイル装置10のシート状磁性体11の厚さ方向に対応する振動成分の周波数を検出するようにしたが、利得制御回路83では、レベルの大きい3個のスペクトルのうちの、最大レベルのものに着目し、それが、コイル装置10のシート状磁性体11の長さ、幅、厚さのいずれの方向の振動成分であるかを認識すると共に、その周波数を検出し、その検出した周波数が、複数個の開き角の範囲の内の、どの開き角の範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じた利得制御信号を生成するようにしてもよい。
【0130】
[第3の実施形態の電流検出装置の実装例]
以上のように、この発明の実施形態に用いる磁束センサとしてのコイル装置10は、薄いシート状のものであり、接着層18により、狭いスペースにも、簡単に電線や被覆部分に装着することができる。
【0131】
図23の例は、例えば家電製品などの負荷90に接続された電源コード92の先端に取り付けられるACプラグ91内にコイル装置10が取り付けられる場合である。この図23の例では、このACプラグ91の筐体に設けられた表示画面に電流値や電力量を表示することができるように構成されている。
【0132】
図23は、ACプラグ91の筐体を下側ハーフ91aと、上側ハーフ91bとに分けた状態の図である。93および94はプラグ導体であり、ACプラグ91の筐体の下側ハーフ91aと上側ハーフ91bとにより挟持されて固定される。プラグ導体93と94とは、それぞれ電源コード92の正側の電線92aと負側の電線92bとにそれぞれ接続されている。
【0133】
そして、この例では、コイル装置10は、電源コード92の正側の電線92aの被覆部分に、図9に示したような態様で被着されている。そして、コイル装置10のコイル14からの出力信号は、IC95に供給される。
【0134】
IC95は、図22に示した補正増幅回路の全ての構成を備えると共に、上側ハーフ91b側に設けられるLCD(Liquid Crystal Display)96,97のドライブ回路と、周波数補正用増幅回路52からの出力信号から電流値および電力値を数値としてLCD96,97に表示するための回路とを含んでいる。なお、IC95と、LCD96,97との間の接続線は、図19では省略してある。
【0135】
この図23の例によれば、家電製品毎の負荷電流および電力値を簡単に知ることができ、非常に便利である。この場合に、コイル装置10の装着スペースは殆ど無視できるほど小さいので、ACプラグ91の形状を大きくする必要はなく、小形のもののままでよいというメリットがある。
【0136】
なお、コイル装置10として、図7および図8に示した例を用いる場合には、図22の増幅補正回路の一部または全部は、図8の針電極37,38とリード線35,36との間において、例えば保持部39,40内において一体化して設けるようにすることができる。さらに、増幅補正された信号は、前記一体化された回路中に組み込まれた発信機およびアンテナにより外部に送信するように構成することもできる。このように、回路の一部または全部を、コイル装置に装着することにより、磁束センサとしてのコイル装置の装着場所の制限を著しく少なくすることができる。
【0137】
また、電源電圧生成回路84としては、コイル14をセンサコイルとして使用しないときに、回路84内に設けた蓄電池に電圧を蓄えて、その蓄えた電圧を電源電圧として用いる回路構成とすることもできる。
【0138】
【発明の効果】
上述の構成のこの発明によるコイル装置は、シート状磁性体の両面にコイルを構成する第1および第2の複数本の線状の導体を形成すると共に、第1および第2の複数本の線状の導体のそれぞれの側から、絶縁膜でサンドイッチした構造となっているので、機械的に弱いシート状磁性体を補強することができると共に、磁性体や導電体などの重要な部分が絶縁層などにより覆われるものとなるので、特性のよいコイル装置が得られる。
【0139】
上述のコイル装置の製造方法によれば、コイル装置製作後に剥離可能な厚い基板を用いてコイル装置を製造することができるので、柔軟な曲げ性を持つコイル装置を容易に製造することができる。また、上述のコイル装置の製造方法によれば、特性の揃った安価なコイル装置を量産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるコイル装置の実施形態を説明するための図である。
【図2】この発明によるコイル装置の実施形態の要部を説明するための図である。
【図3】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図4】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図5】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図6】この発明によるコイル装置の実施形態を製造する方法を説明するための図である。
【図7】この発明によるコイル装置の他の実施形態を説明するための図である。
【図8】この発明によるコイル装置の他の実施形態を説明するための図である。
【図9】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図10】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図11】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図12】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図13】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図14】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図15】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図16】この発明によるコイル装置を用いた電流値検出方法を説明するための図である。
【図17】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力波形の例を示す図である。
【図18】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図19】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図20】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図21】この発明によるコイル装置の実施の形態からの出力信号のスペクトル図である。
【図22】この発明によるコイル装置の実施形態を用いた電流値検出装置の例を示す図である。
【図23】この発明によるコイル装置の取り付け例を示す図である。
【図24】電流値の検出原理を説明するための図である。
【図25】従来の電流値の検出方法を説明するための図である。
【図26】従来の電流値の検出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 コイル装置
11 シート状磁性体
12,13 絶縁層
14 コイル
14a、14b 複数個の線状の導電体
15,16 絶縁層
17 磁気シールド層
18 接着層
19 基板
20 スルーホール
25,26 電極
17,18 磁気ヨーク
Claims (12)
- 矩形形状の可撓性シート状磁性体と、
前記シート状磁性体の一面上に、前記シート状磁性体の対向する一方の辺から他方の辺に渡って、互いに分離された状態で被着形成されている第1の複数本の線状の導電体と、
前記シート状磁性体の前記一面とは反対側の面上に、前記シート状磁性体の対向する前記一方の辺から前記他方の辺に渡って、互いに分離された状態で形成され、かつ、前記第1の複数本の線状の導電体のそれぞれと、前記一方の辺および前記他方の辺の近傍において電気的に接続されて、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するようにする第2の複数本の線状の導電体と、
前記第1の複数本の線状の導電体を覆うように前記前記シート状磁性体の一面側に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第2の複数本の線状の導電体を覆うように前記前記シート状磁性体の前記一面とは反対側の面側に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜または第2の絶縁膜のいずれか一方を覆うように、接着剤層を介して設けられ、剥離可能とされている基板と、
を備えるコイル装置。 - 前記シート状磁性体の一面上および前記一面とは反対側の面上には、第3および第4の絶縁膜が形成され、
前記第1および第2の複数本の線状の導電体は、前記第3および第4の絶縁膜上に形成される
ことを特徴とするコイル装置。 - 請求項1または請求項2に記載のコイル装置において、
前記第1の絶縁膜と第2の絶縁膜のうちの、前記基板が設けられた方とは反対側の絶縁膜を覆うように、磁気シールド性を有する膜が形成される
ことを特徴とするコイル装置。 - 請求項1に記載のコイル装置において、
前記第1の複数本の線状の導電体のそれぞれと、前記第2の複数本の線状の導電体のそれぞれとは、前記一方の辺および前記他方の辺の近傍において、スルーホールを介して電気的に接続されている
ことを特徴とするコイル装置。 - 請求項1に記載のコイル装置において、
前記シート状磁性体は、高透磁率の材料からなる
ことを特徴とするコイル装置。 - 基板上に接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、第1の複数本の線状の導電体を、互いに分離して平行に形成する第1の導電体形成工程と、
前記第1の複数本の線状の導電体が、矩形形状の可撓性シート状磁性体の一面側に配置されるように、前記可撓性シート状磁性体を積層する工程と、
前記可撓性シート状磁性体の前記一面側とは反対側に、第2の複数本の線状の導電体を、前記第1の複数本の線状の導電体と共に前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するような配置状態において、互いに分離して平行に形成する第2の導電体形成工程と、
前記第1の複数本の線状の導電体と、前記第2の複数本の線状の導電体とを、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するように、前記線状の導電体のそれぞれの端部において電気的に接続する工程と、
前記第2の複数本の線状の導電体の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
を備えるコイル装置の製造方法。 - 基板上に接着性の第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記接着性の第1の絶縁膜上に、第1の複数本の線状の導電体を、互いに分離して平行に形成する第1の導電体形成工程と、
矩形形状の可撓性シート状磁性体の一面側に、前記第1の複数本の線状の導電体が配置されるように、前記可撓性シート状磁性体を積層する工程と、
前記可撓性シート状磁性体の前記一面側とは反対側に、第2の複数本の線状の導電体を、前記第1の複数本の線状の導電体と共に前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するような配置状態において、互いに分離して平行に形成する第2の導電体形成工程と、
前記第1の複数本の線状の導電体と、前記第2の複数本の線状の導電体とを、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するように、前記線状の導電体のそれぞれの端部において電気的に接続する工程と、
前記第2の複数本の線状の導電体の上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
を備えるコイル装置の製造方法。 - 請求項6または請求項7に記載のコイル装置の製造方法において、
前記第1の導電体形成工程においては、前記第1の複数本の線状の導電体を形成すると共に、前記コイルの一端となる線状の導電体に接続される第1の導電体電極が形成され、
前記第2の導電体形成工程においては、前記第2の複数本の線状の導電体を形成すると共に、前記コイルの他端となる線状の導電体に接続される第2の導電体電極が形成される
ことを特徴とするコイル装置の製造方法。 - 請求項6または請求項7に記載のコイル装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の上に、磁気シールド性を有する膜を形成する工程を備える
ことを特徴とするコイル装置の製造方法。 - 請求項6または請求項7に記載のコイル装置の製造方法において、
前記第1の導電体形成工程および第2の導電体形成工程のそれぞれは、
導電層を絶縁膜上に形成する工程と、
形成した導電層を、リソグラフィにより形状を決め、エッチングにより線状に加工する工程と、
を備えることを特徴とするコイル装置の製造方法。 - 請求項8に記載のコイル装置の製造方法において、
前記第1の導電体形成工程および第2の導電体形成工程のそれぞれは、
導電層を絶縁膜上に形成する工程と、
形成した導電層を、リソグラフィにより形状を決め、エッチングにより線状に加工すると共に、前記第1の導電体電極または第2の導電体電極を形成する工程と、
を備えることを特徴とするコイル装置の製造方法。 - 請求項5または請求項6に記載のコイル装置の製造方法において、
前記第1の複数本の線状の導電体と、前記第2の複数本の線状の導電体とを、前記シート状磁性体を巻き芯とするコイルを形成するように、前記線状の導電体のそれぞれの端部において電気的に接続する工程は、
前記第2の複数本の線状の導電体を前記シート状磁性体の前記一面側とは反対側に形成する前に、前記シート状磁性体の前記一面側の前記第1の複数本の線状の導電体の端部までスルーホールを開ける工程と、
前記スルーホールに電気めっきにより結線導体を形成する工程と、
前記結線導体に端部が位置するように、前記第2の複数本の線状の導電体を形成する工程と、
からなることを特徴とするコイル装置の製造方法。
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