JP4294918B2 - 電流値検出方法および電流値検出装置 - Google Patents

電流値検出方法および電流値検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、電灯線などの電線を流れる電流の値(交流の場合には実効値)に一意に対応する電流検出出力を得るようにする電流検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電線を流れる電流の値を検出する方法の一例として、図20に示すように、当該電線を電流iが流れることにより、この電流iの流れる位置を中心とした同心円を描くように発生する磁束Bを検出する方法が知られている。これは、発生する磁束Bが電流値iに正確に比例するため、磁束Bを正確に検出することにより、電線を流れる電流iの値を正確に検出することができるからである。
【0003】
この場合において、電線を流れる電流iの値を正確に検出するために、従来は、電流iが流れることにより発生する磁束Bのすべてを集めて、その磁束Bを検出する方法が通常用いられている。すなわち、漏れをなくすために閉磁路を形成するようにリング状にしたコアにコイルを巻回した、いわゆるトロイダルコイルを磁束センサとして用いる方法である。
【0004】
図21は、この従来の方法を説明するための図である。この図21において、1は電線であり、通常は絶縁被覆2により覆われた被覆線3の構造とされている。そして、例えばフェライトなどの磁性材からなるリング状のコア4を巻芯として、そのリング状コア4の全周に渡ってコイル5を巻回したトロイダルコイル6の中空部内に被覆線3を挿通するようにして、トロイダルコイル6を、被覆線3に対して取り付ける。
【0005】
すると、電線1を電流iが流れることにより発生する磁束Bは、図22に示すように、トロイダルコイル6内にのみ存在し、トロイダルコイル6の外には存在しなくなる。このため、コイル5から得られる磁束に応じた誘導電流は、電線1を流れる電流iの値に正確に対応するものとなる。
【0006】
したがって、コイル5から得られる電流iを、例えば利得一定のアンプ7で増幅することにより、電線1を流れる電流iに一意に対応する電流検出出力信号を得ることができる。この場合、電流iが交流の場合には、その検出電流値としては、通常、実効値(2乗平均平方根値)とされる。この電流検出出力信号により、例えば電流値を指し示すメータの指針を振らせるようにすれば、メータの指針は、正確に、電線1を流れる電流値に対応する値を指示するものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トロイダルコイルは、リング状コアにコイルを巻回したものであるため、寸法が比較的大きく、そのため、このトロイダルコイルを用いた電流検出装置の場合には、比較的大きな取り付けスペースが必要となり、取り付け部位が限られてしまうという問題がある。
【0008】
また、トロイダルコイルは、無端リング状の形状であるため、長い電線の途中において、その部位における電流を検出するために取り付けようとする場合には、当該取り付け部位において電線を切断してトロイダルコイルを装着した後、切断した電線を元のように接続する必要があり、取り付けに非常に手間がかかるという問題がある。
【0009】
この発明は、以上の問題点にかんがみ、トロイダルコイルを用いることなく、正確な電流値の検出を行える方法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明による電流検出方法は、
透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の電流の値を検出する方法であって、
前記検出対象の電流の流れる位置と磁束センサとの間の距離と、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角とに応じた増幅利得で、前記コイルから得られる信号を増幅して補正し、その補正後の信号から前記検出対象の電流の値を検出するようにした
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、
透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の電流の値を検出する方法であって、
前記磁束センサの前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ寸法は、予め定めた所定のものとすると共に、
前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角に応じた増幅利得で、前記コイルから得られる信号を増幅して補正し、その補正後の信号から前記検出対象の電流の値を検出するようにした
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の電流値検出方法において、
前記検出対象の電流が交流電流である場合には、前記コイルから得られる信号に対する増幅利得は、さらに、前記検出対象の交流電流の周波数に応じたものに補正する
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、
透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の交流電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の交流電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の交流電流の値を検出する方法であって、
前記磁束センサの前記シート状磁性体の寸法は、予め定めた所定のものとすると共に、
前記磁束センサの前記コイルから得られる信号に含まれる、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角に応じた周波数成分を抽出し、この抽出した周波数成分に基づいて、前記コイルから得られる信号に対する前記増幅利得を設定するようにする
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、
透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の交流電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の交流電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の交流電流の値を検出する方法であって、
前記磁束センサの前記シート状磁性体の寸法は、予め定めた所定のものとすると共に、
前記磁束センサの前記コイルから得られる信号に含まれる、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角に応じた周波数成分を抽出し、この抽出した周波数成分の周波数値に応じた増幅利得で、前記コイルから得られる信号を増幅して補正し、その補正後の信号から前記検出対象の交流電流の値を検出するようにした
ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項1〜請求項5に記載の電流値検出方法において、
前記磁束センサの前記シート状磁性体の、少なくとも前記検出対象の電流側とは反対側のシート面側には、磁気的なシールドが施される
ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電流値検出方法において、
前記磁束センサは、前記シート状磁性体を、前記検出対象の電流が流れる電線あるいは当該電線の被覆部分に巻き付けるように取り付ける
ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電流値検出方法において、
前記コイルは、前記シート状磁性体上において、あるいは前記シート状磁性体上に形成した絶縁層上において、導電性膜により形成されたものである
ことを特徴とする。
【0018】
【作用】
上述の構成の請求項1の発明においては、可撓性のシート状磁性体をコアとするようにコイルが形成された磁束センサが、シート状磁性体のシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置される。すなわち、例えば、請求項7のように、シート状磁性体を、検出対象の電流が流れる電線あるいは当該電線の被覆部分に巻き付けるようにして、磁束センサを電線に対して取り付ける。
【0019】
この場合、シート状磁性体は、トロイダルコイルのような閉磁路を形成しないため、トロイダルコイルのように、検出対象の電流が流れることにより発生する磁束の全てをコイル内に閉じ込めることはできない。そのため、コイルから得られる磁束に応じた信号を補正して、検出対象の電流値に一意に対応する信号出力を得るようにする必要がある。
【0020】
電流によって発生する磁界の強さは、ビオ・サバールの法則から、電流の位置からの距離の2乗に反比例する。したがって、原理的には、シート状磁性体が配置される位置の、検出対象電流の位置からの距離の2乗に応じた増幅利得で、磁束センサのコイルから得られる信号を増幅すれば、シート状磁性体の配置位置に関係なく、常に電線を流れる電流値に一意に対応する電流検出出力を得ることができる。
【0021】
ところで、検出対象電流の位置からの距離の2乗に応じた増幅利得といっても、その場合の増幅利得の特性曲線が具体的にどのような傾きのものであるかが問題となる。
【0022】
この点に関し、この発明の発明者は、磁束センサを、上述のような磁束路に沿って配置したときに、磁束センサで検出される磁束の強さ(すなわち、コイルから得られる電流値)と、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離との関係曲線は、検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記所定長分を見たときの開き角によって定まったものとなることを確認した。
【0023】
したがって、磁束センサを、上述のようの磁束路に沿って配置したときの前記開き角が既知となれば、磁束センサで検出される磁束の強さ(すなわち、コイルから得られる電流値)と、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離との関係曲線は、一義的に定まり、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離が既知となれば、コイルからの出力信号に対する必要な増幅利得が特定できる。
【0024】
前記開き角は、磁束センサを取り付ける電線あるいは被覆線の線径と、磁束センサのシート状磁性体の磁束路に沿う方向の長さとから算出できる。また、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離は、磁束センサを取り付ける電線あるいは被覆線の線径に等しいので、容易に検知できる。したがって、これらの開き角と、線径から、コイルからの出力信号に対する必要な増幅利得が設定できる。
【0025】
以上のようにして、請求項1の発明によれば、例えば、線径が既知の特定の電線あるいは被覆線に対して、シート状磁性体の磁束路に沿う方向の長さが既知の磁束センサを取り付けて、コイルからの出力信号の増幅利得を上記のように定めることにより、電線を流れる電流値に一意に対応する出力信号を得ることができる。
【0026】
この請求項1の発明によれば、従来のトロイダルコイルとは異なり、シート状の磁束センサを、例えば請求項7のように、電線あるいは当該電線の被覆部分に巻き付けるように取り付けるだけでよいので、従来のトロイダルコイルとは異なり、取り付けが簡単になると共に、取り付けスペースを殆ど必要としないので、電流値を検出しようとする任意の部位に取り付けることが可能であるという効果がある。
【0027】
請求項2の発明においては、磁束センサの寸法が予め定まっていて、シート状磁性体の磁束路に沿う方向の長さが一定であるので、検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から磁束センサのシート状磁性体の磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角が求まると、その開き角の値から、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離は一義的に定まる。
【0028】
したがって、この請求項2の発明の場合には、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離は、直接的には補正用の増幅利得を定めるためのパラメータとする必要はなく、直接的には、検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から磁束センサのシート状磁性体の磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角のみをパラメータとして増幅利得を定めることができる。
【0029】
次に、検出対象の電流が交流電流である場合には、その周波数に関係なく、電流値(実効値)に一意に対応する電流値検出信号を得る必要がある。請求項3の発明は、その点を考慮したものである。
【0030】
すなわち、交流電流によって発生する磁界の強さは、交流電流波形の1周期分の面積に比例する。したがって、交流電流によって発生する磁界の強さは、交流電流の周波数に反比例する。このため、請求項3の発明においては、交流電流の周波数に比例した増幅利得で、磁束センサのコイルから得られる信号を増幅する。これにより、請求項3の発明によれば、交流電流の周波数に関係なく、電流値(実効値)に一意に対応する電流値検出信号を得ることができる。
【0031】
請求項4の発明は、この発明の発明者の研究結果に基づくものである。この発明の発明者は、検出対象の電流が交流電流の場合、磁束センサのコイルから得られる信号中には、電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離(つまり磁束の強さ)と、磁束センサのシート状磁性体の寸法とに応じた周波数の成分が含まれることを確認した。
【0032】
これは次のように推論することができる。すなわち、請求項1と同様に配置された磁束センサのシート状磁性体には、交流電流が流れることにより、交番する磁束が通る。シート状磁性体においては、磁束が通ることにより、当初、ばらばらの方向を向いていた磁区の向きが、磁束の向きに整列するようになる。磁区の数は、シート状磁性体の寸法、つまり、シート状磁性体のシート面の面積とシートの厚さによって決まる。したがって、シート状磁性体の寸法が決まれば磁区の数は一定のものとなる。
【0033】
シート状磁性体を構成する材料によって、磁束による磁区の向きの回転のし易さの程度は異なるが、ある特定の材料のシート状磁性体において、全ての磁区の向きが整列する速度は、シート状磁性の寸法が決まれば、磁束の強さに応じたものとなる。つまり、定まった寸法のシート状磁性体の磁区の向きは、磁束によって、磁束の向きに揃うように回転するが、定まった寸法のシート状磁性体においては、その回転の速さは磁束の強さに応じたものとなるのである。
【0034】
そして、磁束が交番することにより、シート状磁性体の磁区の向きも、交互に反対方向を向くように回転することにより振動する。そして、この振動は、シート状磁性体の材料と、寸法(シート状磁性体中の磁区の数が対応)とに応じた周波数であって、前述したように、磁区の向きの回転速度が磁束の強さに比例することから、電流の流れる位置からの距離に対応した周波数値のものとなる。
【0035】
請求項4の発明は、上述のことに基づいたものである。すなわち、磁束センサのコイルから得られる信号中には、このシート状磁性体における磁区の振動による周波数成分が、交流電流に応じた信号成分に重畳された状態で得られる。
【0036】
したがって、請求項4の発明では、この周波数成分を、コイルの出力信号中から抽出し、その周波数の値を検出することにより、磁束センサが検出対象の電流が流れる位置から、どれくらい離れているかを検知することができる。
【0037】
したがって、コイルから得られる信号を、利得が可変の増幅器に供給するようにし、その増幅器の増幅利得(ゲイン)を、コイルの出力信号中から抽出した周波数成分に基づいて制御するようにすれば、磁束センサが、検出対象の電流が流れる位置からどれくらい離れた位置に配置されたかが判らなくとも、自動的に増幅器からは、磁束センサと検出対象の電流が流れる位置との距離に応じて補正された、検出対象の交流電流値に一意に対応する信号が得られる。
【0038】
次に、請求項5の発明においては、請求項3の発明と同様に、請求項4の発明において、検出対象の電流が交流電流である場合には、その周波数に関係なく、電流値(実効値)に一意に対応する電流値検出信号を得る必要があるため、交流電流の周波数に比例した増幅利得で、磁束センサのコイルから得られる信号を増幅する。これにより、請求項5の発明によれば、交流電流の周波数に関係なく、電流値(実効値)に一意に対応する電流値検出信号を得ることができる。
【0039】
次に、請求項6の発明によれば、磁束センサのシート状磁性体の、少なくとも検出対象の交流電流側とは反対側のシート面側には、磁気的なシールドが施されているので、検出対象の電流が流れることにより発生する磁束以外の磁束がシート状磁性体に飛び込んでノイズとなるのが防止される。
【0040】
また、請求項7の発明によれば、シート状磁性体を電線あるいは当該電線の被覆部分に巻き付けるように取り付けるだけで、磁束センサを、電流を検出しようとする部位に取り付けることができ、トロイダルコイルのような取り付けのための手間が不要となる。そして、シート状の磁性体を電線あるいは当該電線の被覆部分に取り付けるので、取り付けスペースは殆ど考える必要は無く、所望する部位において、当該部位の電線に流れる電流の値を検出することができる。
【0041】
また、請求項8の発明によれば、磁束センサは、シート状磁性体上に、あるいはシート状磁性体上に形成された絶縁層上に、導電性膜が形成されて構成されるものであって、シート状磁性体に細い導線を巻き線機などにより巻きつけてゆくものではないので、大量生産が容易であるというメリットがある。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明による電流値検出方法および装置の実施形態を、図を参照しながら説明するが、まず、磁束センサの構造およびその製法、次に、この発明の電流値検出方法の原理的説明、次に、電流値検出装置およびその具体的な利用例の順に説明する。
【0043】
[この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの例]
[磁束センサの構造]
この実施形態の磁束センサは、基本的には、極く薄い、所定の寸法の可撓性のシート状磁性体に、このシート状磁性体を巻き芯とするようにコイル導体が形成されたものである。この例では、シート状磁性体の磁性材としては、フェライトやアモルファス金属などを用いた透磁率が空気の透磁率(=1)に対して十分に高く、かつ、鉄損が少ないものを用いる。
【0044】
図1は、この例の磁束センサ10の構造の一例を示すものであり、また、図2は、その一部の拡大図を示すものである。図1(A)は、この磁束センサ10の平面図であり、シート面(厚さ方向に直交する面)に直交する方向から見た図である。また、図1(B)は、この磁束センサ10の断面図を示すものである。また、図2(A)は、磁束センサ10のコイル部分の説明のための図であり、図2(B)は、磁束センサ10のコイル部分における断面図である。
【0045】
シート状磁性体11の磁性材料としては、この例では、例えば日立金属株式会社製の商品名「ファインメット(登録商標)」が用いられる。これは、アモルファス金属からなるもので、透磁率が20000と高く、厚さが20μmと薄く、軽量で可撓性があるシート状磁性体である。そして、この例では、このシート状磁性体11は、矩形形状とされ、長さLが、この例ではL=25(ミリメートル)とされ、幅Wは、W=7(ミリメートル)と規定されている。
【0046】
このシート状磁性体11の、厚さ分を除くシート面の両面上には、絶縁層12,13が形成されている。そして、これら絶縁層12,13上の、シート状磁性体11の長さ方向のほぼ中央部分の所定の範囲、例えば6〜15ミリメートルの部分において、複数の線状の導電体からなるコイル14が形成されている。コイルのターン数は、例えば70〜100ターンとされる。
【0047】
このコイル14は、図2にも示すように、絶縁層12上に形成された複数の線状の導電体14aと、絶縁層13上に形成された複数の線状の導電体14bとが、図2(A)に示すように、シート状磁性体11の幅方向の両端においてスルーホール20を通じて電気的に接続されて形成されているものである。
【0048】
そして、コイル14および絶縁層12,13上を覆うように絶縁層15,16が形成されている。そして、絶縁層15の上には、磁気シールド層17が形成されて、シート面に直交する方向からの磁束を反射して、シート状磁性体11には、シート面に平行な方向からのみ、つまり、厚み部分にのみ磁束が通るようにされている。
【0049】
また、絶縁層16の上には、接着性を持つ層(以下、接着層という)18が形成され、さらに、この接着層18の上に基板層19が形成されている。この基板層19は、接着層18を磁束センサ10側に残して、剥離可能とされている。後述するように、この例の磁束センサ10は、基板層19が剥離されることにより露呈される接着層18により、電線や被覆部分に接着されて装着することができるようにされている。
【0050】
なお、図1に示すように、シート状磁性体11の長手方向の一方の端部のシールド層17が形成される側と、他方の端部の接着層18が形成される側とでは、絶縁層12、13、15,16、また、シールド層17、接着層18は形成されない部分23,24とされている。したがって、これらの部分23,24は、シート状磁性体11の表面が露呈するようにされている。この例では、これらの部分23,24は、それぞれ例えば2.5ミリメートル程度とされている。
【0051】
これらの部分23,24は、シート状磁性体11をリング状にしたときに、閉磁路を形成することができるようにするためである。このようにするのは、磁束センサ10を校正する際には、閉磁路として校正した方が、校正が容易であるからである。この校正は、製造された磁束センサ10のロット間のばらつきを考慮して行われるものである。なお、シート状磁性体11は、透磁率が非常に高いので、部分23と、部分24との両方でシート状磁性体を露呈させる必要はなく、部分23と、部分24とのどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0052】
[磁束センサ10の製法]
次に、上述のような構造を有するこの例の磁束センサの製造方法について、説明する。
【0053】
図3(A)に示すように、最初に基板層19を用意し、その上に接着層18をスプレイ付着して形成する。その上に、薄い絶縁層16を被着形成し、さらにその絶縁層16の上に導電層21を被着形成する。次に、この導電層について、リソグラフィによって形状を決め、化学エッチングによって、図3(B)に示すように、複数本の線状の導電体14bを形成するように加工する。
【0054】
次に、図3(C)に示すように、この線状の導電体14bおよび絶縁層16の上に絶縁層13を接着し、その上にシート状磁性体11の層を接着する。そして、シート状磁性体11について、リソグラフィによって位置と形状を決め、例えば化学エッチングによって、図3(D)に示すように、幅W=7ミリメートル、長さL=25ミリメートルの帯状に加工する。
【0055】
次に、図3(D)に示すように、シート状磁性体11の層の上に、絶縁層12を接着した後、シート状磁性体11の長さ方向のほぼ中央部分から所定の範囲に相当する部分において、シート状磁性体11の幅方向の両端において、絶縁層12、シート状磁性体11の層、絶縁層13を介して、下側の複数個の導電体14bのそれぞれの端部までスルーホール20を形成する。このスルーホール20の形成に際しては、下側の複数個の導電体14bのそれぞれの端部の位置に対応するように、スルーホール20の位置決めを行うものである。そして、電気メッキでスルーホール20に対して結線導体を形成する。
【0056】
その後、図3(E)に示すように、絶縁層12の上に導電層22を接着し、リソグラフィによって、下側の複数個の線状の導電体14bと対応させて、導電層22を加工して、図3(F)に示すように、複数個の線状の導電体14aを形成する。この場合に、複数個の線状の導電体14aの端部は、スルーホール20の金属メッキに接続される状態なるように、リソグラフィの形状が決められる。
【0057】
次に、図3(G)に示すように、複数個の線状の導電体14aおよび絶縁層12の上に、薄い保護用の絶縁層15を接着する。さらに、その絶縁層15の上に磁気シールド層17を接着する。
【0058】
以上にようにして形成されたシート状の中間品を、図3(G)において、一点鎖線で示すような位置において基板と共に、長さ25ミリメートル、幅7ミリメートルごとに切断して、それぞれコイル14を備える磁束センサ素子を分離する。そして、分離された磁束センサ素子のコイルの端部に外部リード線を接着して、個々の磁束センサ10を完成させる。
【0059】
なお、磁束センサのシート状磁性体11の材料の例としては、アモルファス金属やフェライトなどに限らず、透磁率が高く、損失(鉄損)が少ないものであれば用いることができるものである。
【0060】
また、磁束センサ10の寸法は、一例であって、長さLおよび幅Wは、これに限られるものではない。なお、幅Wが大きくなれば、シート状磁性体11に取り込まれる磁束が多くなるので、感度が上がるものである。
【0061】
[この発明による電流検出方法の第1の実施形態の説明]
この第1の実施形態は、特定の径の電線または被覆部分に、上述の磁束センサ10を取り付けて、電線を流れる電流値を検出する場合であり、交流電流のみならず、直流電流の場合も適用可能である。
【0062】
この実施形態においては、上述のようにして製造した磁束センサ10は、その基板層19を剥離して接着層18を露呈させて、その露呈した接着層18によって図4に示すように、例えば、電線31が絶縁被覆32により覆われた被覆線33の、絶縁被覆32の部分に巻き付けるようにして取り付ける。なお、絶縁被覆が剥がされた電線31の部分に巻き付けるようにして、磁束センサ10を取り付けるようにしても勿論よい。
【0063】
この場合に、磁束センサ10は、被覆線33に対して、シート状磁性体11の長手方向、つまりコイル14の巻き軸方向が、電線31を流れる電流によって生じる磁束路に沿う方向となるように、磁束センサ10のシート状磁性体11を、電線31の被覆部分32に巻き付けるようにして、取り付ける。なお、磁束センサ10は、被覆線33に対して、接着層18により接着されることにより、シート状磁性体11のシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行になる。
【0064】
そして、磁束センサ10のコイル14から導出される外部リード線は、距離補正用増幅回路41の入力端子に接続する。
【0065】
この距離補正用増幅回路41は、電線31を流れる電流の位置(電線31の断面の中心位置に相当)と、磁束センサ10との間の距離(電線31の被覆32を含めた径に相当)の2乗に反比例して、磁束センサ10で検出される磁束の強さが変わってしまうことを補正して、前記距離に関係なく、電線31に流れる電流値に一意に対応した出力信号が得られるようにするためのものである。
【0066】
距離補正用増幅回路41の増幅利得(ゲイン)は、次のようにして決められる。
【0067】
前述したように、トロイダルコイルのように、閉磁路を形成する場合には、電線31を流れる電流の位置と、磁束センサ10との間の距離(以下、センサ距離という)に関係なく、電流により発生する磁束の全てはトロイダルコイル内に閉じ込められるので、距離補正用増幅回路41のゲインは、センサ距離に関係なく一定でよい。つまり、センサ距離に応じた補正は不要である。
【0068】
しかし、この実施形態における磁束センサ10は、閉磁路を常に形成するように、被覆線に対して取り付けられるわけではない。このため、センサ距離の2乗に応じた増幅利得で、磁束センサ10のコイル14から得られる信号を増幅する必要がある。
【0069】
この場合に、磁束センサ10のコイル14から得られる信号出力(コイル出力電流)と、センサ距離との関係は、検出対象の電流iが流れる位置を中心Oiとしてこの中心Oiから、磁束センサ10のシート状磁性体11の長手方向(磁束路に沿う方向)の長さ分を見たときの開き角θ(図5参照)に応じて定まるものとなることを、この発明の発明者は確認した。
【0070】
図6は、磁束センサ10のコイル14の出力電流と、センサ距離との関係を示す特性曲線である。この図6に示されるように、センサ距離の2乗に反比例して、コイル14の出力電流が減少する特性となるが、その減少の傾きが開き角θが大きいほど小さく、開き角θが小さいほど大きくなる。
【0071】
すなわち、開き角θが大きく、360度に近いときには、トロイダルコイルと同様に、透磁率の高いシート状磁性体11を備える磁束センサ10のコイル14内に殆どの磁束を通すようにすることができることから、図6において曲線51に示すように、センサ距離が大きくなっても、コイル14の出力電流は減少が少ない。
【0072】
これに対して、開き角θが小さくなってゆくと、磁束センサ10のコイル14内を通る磁束が少なくなってゆくため、図6において、曲線52,53,54に示すように、開き角θが小さいほど、コイル14の出力電流の減少カーブが急な傾斜となる特性となる。
【0073】
この図6の特性から、距離補正用増幅回路41においては、開き角に応じたゲイン特性とすることにより、磁束センサ10のコイル14を増幅補正して、常に、電線31を流れる電流の値に一意に対応するセンサ出力が得られる。
【0074】
すなわち、図7は、距離補正用増幅回路41のセンサ距離に対するゲイン特性を示すもので、センサ距離に対して指数関数的にゲインを上昇させる特性とするが、その上昇カーブの傾きが、開き角θが大きいほど緩やかで、開き角が小さいほど急峻になるような特性とする。
【0075】
すなわち、開き角θが大きく、コイルの出力電流対センサ距離の特性が曲線51となるような場合に対しては、センサ距離に対するゲインの上昇カーブが緩やかな図7の曲線61となるような特性とする。そして、開き角θが小さくなって、曲線52,53,54となるような場合に対しては、それらの特性曲線に対応させて、図7において曲線62,63,64で示すように、上昇カーブが開き角θが小さいほど急峻になるような特性とする。
【0076】
以上のことから、磁束センサ10を電線あるいは被覆部分に取り付けたときの開き角θが既知となれば、距離補正用増幅回路41では、図7に示したようにして、ゲイン対センサ距離の特性曲線が決まる。そして、電線を流れる電流の位置から磁束センサまでの距離であるセンサ距離が判ると、距離補正用増幅回路41で必要となるゲインが定まる。距離補正用増幅回路14は、この定められたゲインを有するように設計する。
【0077】
例えば、開き角θに対応するゲイン対センサ距離の特性曲線は、曲線64であり、センサ距離、つまり、電線あるいは被覆線の径がRaであった場合に必要となる距離補正用増幅回路41のゲインはGaとなる。
【0078】
ところで、この例の磁束センサ10のシート状磁性体11の長手方向の長さLは、前述したように、一定のものとして定められているので、図8に示すように、半径がそれぞれr1、r2、r3というように異なる被覆線に磁束センサ10が装着された場合には、被覆線の半径r1、r2、r3、つまり、センサ距離に応じて、磁束センサ10の長手方向の長さ分を、電線31を流れる電流の位置から見たときの開き角が、θ1、θ2、θ3というように変化するものとなる。
【0079】
このように、この実施形態では、磁束センサ10のシート状磁性体11の長手方向の長さLは、定められたものとされているので、開き角θ1、θ2、θ3が算出されたときには、センサ距離は、r1、r2、r3として開き角に対して一義的に定まることとなる。
【0080】
したがって、この実施形態では、開き角θが算出されると、その開き角θに対応する図7に示したようなゲイン対センサ距離の特性曲線が求まり、また、センサ距離も定まることから、求まった特性曲線から距離補正用増幅回路41で必要とするゲインが求まる。すなわち、開き角θが算出されると、その開き角θから、距離補正用増幅回路41のゲインが一元的に決定されるものである。
【0081】
なお、磁束センサ10のシート状磁性体11の長手方向の長さは、上述のように一定のものとして定めなくても、上述したことから明らかなように、開き角と、センサ距離が既知であれば、距離補正用増幅回路41のゲインは、決定できることは言うまでもない。しかし、この例のように、シート状磁性体11の長手方向の長さを一定の規定値にしたときには、センサ距離は考えずに、開き角のみをパラメータとして考えればよいというメリットがある。
【0082】
以上のようにして、センサ距離に関係なく、電線31に流れる電流の値に一意に対応する出力信号が、距離補正用増幅回路41から得られる。この距離補正用増幅回路41の出力信号は、周波数補正用増幅回路42に供給される。
【0083】
この周波数補正用増幅回路42は、電線31を流れる電流が交流電流の場合に、電流検出出力信号が、その交流電流の周波数に依存しないように補正するためのものである。したがって、電線31を流れる電流が直流電流である場合には、この周波数補正用増幅回路42は、省略することができる。
【0084】
前述もしたが、図9に示すように、交流電流による磁束の強さは、その交流電流の周波数に反比例する。そこで、この周波数依存をなくすため、周波数補正用増幅回路42は、図10に示すように、ゲインが周波数に比例する特性のものを用いる。これは、いわゆる積分増幅回路の構成により実現できる。
【0085】
図10に示すようなゲイン対周波数特性の増幅回路を、周波数補正用増幅回路42として用いれば、図9のように、磁束センサ10のコイル14から得られる交流電流の周波数に反比例する出力電流の周波数特性は、図10のゲイン特性によりキャンセルされる。したがって、周波数補正用増幅回路42からは、交流電流の周波数に関係なく、電線31に流れる電流値に一意に対応した出力信号が得られる。
【0086】
したがって、周波数補正用増幅回路42の出力信号を、例えばドライブ回路を通じてメータの指針駆動回路に供給するようにすれば、メータの指針は、正確な検出電流値を指示するものとなる。
【0087】
なお、距離補正用増幅回路41と周波数補正用増幅回路42では、それぞれ予め定めた特定の開き角のとき、また、特性の周波数のときに、出力信号がある特定の値を示すように、校正しておくようにするものである。
【0088】
なお、上述した距離補正用増幅回路41と周波数補正用増幅回路とからなる回路部分は、特定の径の電線や被覆線に磁束センサ10を装着して、当該電線に流れる電流を検出する目的に特定するのであれば、ゲイン特性は、それぞれ予めその特定目的のために定めることができるので、固定的にIC(Integrated Circuit;集積回路)で構成することができる。
【0089】
なお、図4では、距離補正用増幅回路41と周波数補正用増幅回路とはそれぞれ別個に設けるようにしたが、距離補正用増幅回路41と周波数補正用増幅回路との機能を備える回路部分を、一つの増幅回路の構成として設計することもできる。その一つの増幅回路をICによって構成することも勿論できる。
【0090】
また、磁束センサ10のコイル14の出力電流を電圧変換した後、デジタル信号に変換し、そのデジタル信号をマイクロプロセッサに供給して、上述の補正のための増幅動作と等価な処理を行うようにすることもできる。その場合には、当該マイクロプロセッサには、開き角θの情報が入力されると共に、交流電流の場合にはその周波数の情報が入力され、マイクロプロセッサは、それらの情報を元に必要なゲインを計算により求め、その求めたゲイン分の増幅動作と等価な処理を行うようにすればよい。
【0091】
[電流検出方法の第2の実施形態]
距離補正用増幅回路41は、上述の第1の実施形態では、磁束センサ10を装着する電線の径から、磁束センサ10の開き角θを求め、その開き角θから必要なゲインを決定して、そのゲインを有するように設計する。しかし、それでは、径の異なる電線部分や被覆部分に装着するごとに、距離補正用増幅回路41の設計をやり直さなければならず、余りにも汎用性に欠ける。
【0092】
そこで、この第2の実施形態では、距離補正用増幅回路41として、図7に示した曲線61,62,63,64のような幾つかの開き角に対応したゲインに切り替え可能とし、算出した開き角に応じて、ゲインを切り替えるようにする。
【0093】
このとき、距離補正用増幅回路41においては、多数個の開き角に応じた多数個のゲインを用意しておく必要は無く、例えば4種類程度の開き角に対応したゲインを備えるようにするだけで、十分である。
【0094】
なぜなら、この実施形態の磁束センサ10のシート状磁性体11の透磁率は、前述したように、20000というように、非常に高い値であるため、例えば図11に示すように、4種類程度の開き角であっても、それぞれの開き角に対応するセンサ距離の位置に配置された磁束センサ10では、その配置位置の前後のセンサ距離に存在するであろう磁束をも、そのシート状磁性体11内に取り込むように働くと考えられるからである。
【0095】
例えば、図11の例であれば、半径r1とr2との間では、r1から、(r1+r2)/2の範囲の磁束は、半径r1に配置された磁束センサ10のシート状磁性体11内を通るようになり、また、(r1+r2)/2からr2の範囲の磁束は、半径r2に配置された磁束センサ10のシート状磁性体11内を通ると考えられるからである。
【0096】
したがって、半径r1から半径r2の間のセンサ距離に磁束センサ10を配置することは不要であり、そのセンサ位置に対応する開き角を想定する必要がないのである。
【0097】
この第2の実施形態では、このように利得特性が切り替え可能とされた距離補正用増幅回路41において、算出した開き角に応じてゲイン切り替えを行うようにすることにより、装着する電線あるいは被覆線の径に応じて、距離補正用増幅回路41のゲインを切り替えることが可能である。
【0098】
例えば、開き角θ1〜θ2、θ2〜θ3、θ3〜θ4、θ4〜θ5のように、開き角の範囲として幾つか用意し、そのいずれの範囲に装着しようとする電線あるいは被覆線に対する磁束センサ10の開き角が存在するかを、例えば開き角選択つまみなどを通じて入力することにより、距離補正用増幅回路41のゲインが切り替えられる構成とすることができる。
【0099】
[電流検出方法の第3の実施形態]
上述の2つの実施形態では、使用者が装着しようとする電線あるいは被覆線に対する磁束センサ10の開き角を求めて、距離補正用増幅回路41のゲインの切り替えを行う必要があったが、この第3の実施形態は、磁束センサ10を電線あるいは被覆線に対して装着するだけで、自動的に距離補正用増幅回路41のゲインが決定される例である。この例は、特に検出対象が交流電流の場合に適用される。
【0100】
なお、周波数補正用増幅回路42は、前述もしたように、特定の周波数のときに、特定の値が出力されるようにゲインの校正を行っておけば、特に調整や切り替えが不要であることは上述の実施形態と同様である。
【0101】
この第3の実施形態は、この発明の発明者の研究結果に基づくものである。すなわち、この発明の発明者は、商用電源の電源線に対して磁束センサ10を前述のように装着して、そのコイル14から得られる信号を精査したところ、前述したように、この信号中には、電線を流れる電流の位置と磁束センサ10との間の距離(つまり磁束の強さ)と、磁束センサ10のシート状磁性体の寸法(長さ、幅、厚さ)とに応じた周波数の成分が含まれることを確認した。
【0102】
図12は、50Hzの商用電源線に流れる交流電流を、磁束センサ10を用いて検出したときの検出波形を示す図である。この図12において、振幅の大きい波形は電圧波形であり、振幅の小さい波形が電流成分である。この図12から、50Hzの電流成分に高周波の周波数成分が重畳されていることが判る。
【0103】
前述したように、この周波数成分は、シート状磁性体11の材料と寸法および磁束の強さとによってシート状磁性体11に発生する振動成分である。上述したように、この例の磁束センサ10のシート状磁性体11の寸法は、定まっているので、この実施形態においては、磁束センサ10を電線あるいは被覆部分に装着したときの開き角は、電線を流れる電流の位置と磁束センサ10との間の距離(つまり磁束の強さ)に対応したものとなり、この開き角の大きさに対応して、前記振動成分の周波数が変化するものとなる。発明者は、このことを確認した。つまり、開き角と、前記振動成分の周波数とは1対1に対応するものである。
【0104】
図13、図14、図15は、径の異なる電線に磁束センサ10を装着した状態で、磁束センサ10の出力信号に含まれる、この高周波数成分を、102.3kHzまでについてスペクトラム分析したものである。図13は、直径が約5.3ミリメートルの電線、図14は、直径が約6.3ミリメートルの電線、図15は、直径が約6.6ミリメートルの電線のそれぞれに磁束センサ10を装着した場合の周波数スペクトル図である。したがって、開き角の大きさは、図13の場合が最も大きく約270度、図14の場合は227度、図15の場合は217度となる。
【0105】
これら図13〜図15においては、主として3つのスペクトルのピークが立つことが観察されるが、これらのスペクトルが立つ周波数は、低い方から順に磁束センサ10の長さ方向、幅方向、厚さ方向の振動成分に対応したものとなる。
【0106】
図13におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;20.6kHz、
幅方向に対応;49.4kHz
厚さ方向に対応;98.7kHz
であった。
【0107】
また、図14におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;22.0kHz、
幅方向に対応;49.6kHz
厚さ方向に対応;99.9kHz
であった。
【0108】
また、図15におけるそれぞれのスペクトルが立つ周波数は、
長さ方向に対応;23.5kHz、
幅方向に対応;50.2kHz
厚さ方向に対応;100.5kHz
であった。
【0109】
これにより、磁束センサ10のコイル14からの出力信号には、磁束センサ10が電線あるいは被覆部分に装着されたときの開き角の大きさに応じた振動成分(高周波信号成分)が重畳されていることが判る。
【0110】
そこで、この第3の実施形態においては、この磁束センサ10のコイル14からの出力信号に含まれる前記振動成分を抽出して、その周波数を検出し、その検出した周波数に応じて、自動的に距離補正用増幅回路41のゲインを決定するようにする。すなわち、検出した振動成分の周波数は、電線を流れる電流の位置と磁束センサ10との間の距離に対応しているので、当該距離に応じたゲインとなるように、距離補正用増幅回路41のゲインを決定するものである。
【0111】
この場合、前記の長さ、幅、厚さの3つ方向の振動成分の周波数を全て検出する必要はなく、そのいずれか一つの方向の振動成分、例えば長さ方向の振動成分の周波数を検出することにより、距離補正用増幅回路41のゲインを決定することができるものである。
【0112】
すなわち、前述の3種の径の電線の場合であれば、長さ方向の振動成分に対応するスペクトルは、図16の拡大図に示すように観測することができる。この図16のスペクトルは、径の異なる3種の電線に磁束センサ10を装着した場合において、磁束センサのシート状磁性体11の長さ方向の振動成分を、前記径の異なる3種の電線について比較可能なように示した場合であり、101のスペクトルは、3種の径のうちの、最小の径に対応するもの、102のスペクトルは、中間の径に対応するもの、103のスペクトルは最大の径に対応するものである。
【0113】
図17は、この第3の実施形態における磁束センサ10の出力に対する補正増幅回路の構成例を示すブロック図である。
【0114】
すなわち、この第3の実施形態においては、前述した第1および第2の実施形態と同様に、磁束センサ10のコイル14からの信号は、距離補正用増幅回路41と、周波数補正用増幅回路42とを通じて補正するようにする。
【0115】
この場合に、距離補正用増幅回路41としては、前述の第2の実施形態と同様に、複数個の開き角θに対応したゲインに切り替え可能なものを用いる。そして、この第3の実施形態の距離補正用増幅回路41においては、ゲイン切り替え制御端子41cを備え、このゲイン切り替え制御端子41cに入力される利得制御信号により、ゲイン切り替えが行われる構成を備える。
【0116】
また、この第3の実施形態においては、コイル14からの信号は、ローパスフィルタ71に供給されて、前述した例えば102.3kHz以下の振動成分(高周波数成分)が抽出される。抽出された振動成分は、例えばFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理を行うスペクトル分析回路72に供給される。そして、このスペクトル分析回路72の出力が利得制御回路73に供給される。
【0117】
この利得制御回路73は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により構成される。この利得制御回路73では、ピークが立つスペクトル成分を、最もレベルの大きいものから3個抽出する。抽出した3個のスペクトル成分は、磁束センサ10のシート状磁性体11の長さ、幅、厚さに対応する振動成分である。
【0118】
利得制御回路73は、これら3個のスペクトル成分のうち、この例では、最も低い周波数成分であるシート状磁性体11の長さ方向の振動成分を選択して、その周波数を検出する。
【0119】
そして、その検出した周波数が、複数個の開き角の範囲の内の、どの開き角の範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じた利得制御信号を生成する。そして、利得制御回路73は、その生成した利得制御信号を距離補正用増幅回路41に供給する。
【0120】
距離補正用増幅回路41では、利得制御回路73からの利得制御信号に対応するゲインとなるようにゲインを切り替える。そして、距離補正用増幅回路41は、その出力を周波数補正用増幅回路42に供給する。
【0121】
以上のようにして、この第3の実施形態によれば、距離補正用増幅回路41のゲインは、磁束センサ10が電線あるいは被覆線部分に装着されたときの開き角θに応じたものに自動的に設定される。したがって、単に、磁束センサ10を電線あるいは被覆線部分に装着すれば、その電線や被覆線部分の径に関係なく、その電線に流れる電流の値に一意に対応する出力信号を、周波数補正用増幅回路42から得ることができる。
【0122】
なお、この第3の実施形態では、各回路に供給する電源電圧も、磁束センサ10のコイル14からの電流により生成して、各回路に供給するように構成している。すなわち、この第3の実施形態においては、コイル14からの電流は、電源電圧生成回路74に供給される。この電源電圧生成回路74では、コイル14からの電流を整流すると共に、各回路に必要な電圧の直流電源電圧を生成する。そして、その生成した直流電源電圧を、各回路の電源ラインに供給する。
【0123】
したがって、この第3の実施形態においては、距離補正用増幅回路41、周波数補正用増幅回路42、バンドパスフィルタ71、スペクトル分析回路72、利得制御回路73のそれぞれの電源を供給する回路を別途必要としない。
【0124】
なお、前述の実施形態と同様に、図17の第3の実施形態の回路も、ICにより構成することができる。また、電源電圧生成回路74とバンドパスフィルタ71の部分を除く部分を、マイクロプロセッサで構成し、そのマイクロプロセッサに、バンドパスフィルタ71からの信号をデジタル信号に変換したものを供給するようにして、上述した距離補正用増幅回路41、周波数補正用増幅回路42、スペクトル分析回路72、利得制御回路73のそれぞれにおける処理をデジタル処理として実行するように構成してもよい。
【0125】
また、上述の例では、利得制御回路73では、磁束センサ10のシート状磁性体11の厚さ方向に対応する振動成分の周波数を検出するようにしたが、利得制御回路73では、レベルの大きい3個のスペクトルのうちの、最大レベルのものに着目し、それが、磁束センサ10のシート状磁性体11の長さ、幅、厚さのいずれの方向の振動成分であるかを認識すると共に、その周波数を検出し、その検出した周波数が、複数個の開き角の範囲の内の、どの開き角の範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じた利得制御信号を生成するようにしてもよい。
【0126】
[第3の実施形態の電流検出装置の実装例]
以上のように、この発明の実施形態に用いる磁束センサは、薄いシート状のものであり、接着層18により、狭いスペースにも、簡単に電線や被覆部分に装着することができる。
【0127】
図18の例は、例えば家電製品などの負荷80に接続された電源コード82の先端に取り付けられるACプラグ81内に磁束センサ10が取り付けられる場合である。この図18の例では、このACプラグ81の筐体に設けられた表示画面に電流値や電力量を表示することができるように構成されている。
【0128】
図18は、ACプラグ81の筐体を下側ハーフ81aと、上側ハーフ81bとに分けた状態の図である。83および84はプラグ導体であり、ACプラグ81の筐体の下側ハーフ81aと上側ハーフ81bとにより挟持されて固定される。プラグ導体83と84とは、それぞれ電源コード82の正側の電線82aと負側の電線82bとにそれぞれ接続されている。
【0129】
そして、この例では、磁束センサ10は、電源コード82の正側の電線82aの被覆部分に、図4に示したような態様で被着されている。そして、磁束センサ10のコイル14からの出力信号は、IC85に供給される。
【0130】
IC85は、図17に示した補正増幅回路の全ての構成を備えると共に、上側ハーフ81b側に設けられるLCD(Liquid Crystal Display)86,87のドライブ回路と、周波数補正用増幅回路42からの出力信号から電流値および電力値を数値としてLCD86,87に表示するための回路とを含んでいる。なお、IC85と、LCD86,87との間の接続線は、図18では省略してある。
【0131】
この図18の例によれば、家電製品毎の負荷電流および電力値を簡単に知ることができ、非常に便利である。この場合に、磁束センサ10の装着スペースは殆ど無視できるほど小さいので、ACプラグ81の形状を大きくする必要はなく、小形のもののままでよいというメリットがある。
【0132】
[磁束センサの他の例]
以上の磁束センサ10は、コイル導体も含めて積層構造として形成し、大量生産に向くようにすると共に、極めて薄く脆弱であるシート状磁性体11の補強をするようにしたが、シート状コイル部品としての磁束センサとしては、上述の例のようなものに限られるわけではない。
【0133】
例えば、前述と同様のシート状磁性体11を補強したものに、極細い線を巻回することにより、この発明による電流検出方法に使用可能な磁束センサを構成することができる。
【0134】
すなわち、前述したアモルファス薄膜からなるシート状磁性体11を補強する方法の第1の例は、一面側が接着性を持ち伸縮性がなくシート状磁性体よりも大きい2枚の樹脂テープを用意し、この2枚の樹脂テープの接着性を有する面をシート状磁性体側に向けた状態で、シート状磁性体1を挟んで、互いに接着するようにして、シート状磁性体1の全面を覆うようにする。その後、シート状磁性体の形状に合わせて、接着した樹脂テープを切除する。このとき、シート状磁性体の形状に合わせて正確に切除する必要はなく、シート状磁性体よりも大きな状態で切除するようにしても勿論よい。
【0135】
アモルファス薄膜からなるシート状磁性体11を補強する方法の第2の例は、シート状磁性体11の全面に常温硬化性の所望の特性を持つ樹脂を被着して、乾燥硬化させる方法である。
【0136】
なお、以上の2つの補強方法の例において、シート状磁性体11の一面側には、磁気シールド層を予め形成しておくとよい。
【0137】
以上の第1および第2の例によれば、シート状磁性体11の両面を、伸縮性の少ない膜で覆うことにより、シート状磁性体11にかかる応力を減少させることができる。これにより、補強されたシート状磁性体11は、シート状磁性体11を単体で取り扱う場合に比べて、取り扱い中の破壊がなくなり、信頼性と安定性が向上する。
【0138】
そして、以上のようにして、補強したシート状磁性体11に対して、導線を巻回して、コイルをシート状磁性体11に装着して、磁束センサを形成する。この場合のコイルの巻線方法を、巻線治具と共に、図19を参照して説明する。
【0139】
図19(A)は、この例の巻線治具を示す図である。この巻線治具90は、固定側治具93と、駆動側治具96とからなる。固定側治具93は、例えば矩形の板93aに、2本の支持針91,92が、互いに平行な状態で、垂直に埋め込み固定されたものである。駆動側治具96は、例えば矩形の板93aと同形の矩形の板96aに、2本の支持針91,92の先端が挿入される孔94,95が形成されたものである。
【0140】
2本の支持針91および92の間の、これら支持針の太さも含めた間隔WAは、補強されたシート状磁性体11Aの幅Wとほぼ同じとされる。また、支持針91,92の長さは、シート状磁性体11Aの長さよりも、少なくとも孔94,95の深さ分よりも長く選定されている。
【0141】
シート状磁性体11Aに導線を巻くに際しては、先ず、図19(B)に示すように、固定側治具93の2本の支持針91,92の先端を、駆動側治具96の孔94,95に挿入して、2つの治具間に支持針91,92を固定する。そして、2本の支持針91,92の間にシート状磁性体11Aの幅方向を橋渡すようにして、シート状磁性体11Aを、2本の支持針91,92の上に載せる。
【0142】
なお、図19の例では、補強されたシート状磁性体11Aは、前述の補強の第1の例が適用された場合のものを使用している。
【0143】
次に、支持針91,92の上にシート状磁性体11Aを載せた状態で、図19(C)に示すように、治具93,96により、間隔が固定された2本の支持針91,92およびシート状磁性体11Aをコアとするようにして、細い導線を巻きつけてゆき、コイル部分98を形成する。
【0144】
その後、図19(D)に示すように、駆動側治具96を支持針91,92から外し、2本の支持針91,92を図19(D)の一点鎖線で示すように、互いに内側に撓ました状態で、コイル部98が形成されたシート状磁性体11Aを支持針91,92から引き抜くようにする。その後、例えばコイル部98を接着剤などで固定し、その後、接着剤が塗布された剥離可能なシートを、コイル部98が形成されたシート状磁性体11Aの、磁気シールド層が形成されていない方の面に接着することにより、磁束センサの完成となる。
【0145】
なお、予め細い導線97に接着剤を着けてシート状磁性体11Aに巻回するようにして、コイル部98を形成するようにしてもよい。この場合には、接着剤が固化する前に、支持針91,92からシート状磁性体11Aを引き抜くようにするものである。
【0146】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、シート状磁性体に導体を接着してコイルを形成するようにしたが、シート状磁性体に細い導線を巻回することにより、シート状磁性体にコイルを形成するようにしても良いことは言うまでもない。
【0147】
また、以上の例では、電線や被覆線は、円形であることを前提に説明したが、実際には、扁平な楕円形状の被覆線なども存在する。その場合にもできるだけ、円形を維持するように磁束センサを配置した方が良いが、扁平の被覆線に沿って磁束センサのシート状磁性体を巻き付けるように配置しても、透磁率が非常に高いので、検出電流値に対する誤差は少ない。
【0148】
また、シート状磁性体11の材料としては、フェライトやアモルファス金属を例として挙げたが、これらに限られるものではなく、透磁率が高く、鉄損が小さいものであれば好適である。
【0149】
【発明の効果】
上述の構成のこの発明によれば、トロイダルコイルを用いることなく、薄いシート状の磁束センサを用いて、正確な電流値の検出を行うことができ、取り付けスペースの点で従来は電流値の検出ができなかった部位の電流をも、容易に検出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの一例の構造を説明するための図である。
【図2】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの一例の構造を説明するための図である。
【図3】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの一例の製造方法を説明するための図である。
【図4】この発明による電流値検出方法の実施形態を説明するための図である。
【図5】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図6】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図7】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図8】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図9】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図10】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図11】この発明による電流値検出方法の検出原理を説明するための図である。
【図12】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの出力波形の例を示す図である。
【図13】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの出力信号のスペクトル図である。
【図14】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの出力信号のスペクトル図である。
【図15】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの出力信号のスペクトル図である。
【図16】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの出力信号を説明するためのスペクトル図である。
【図17】この発明による電流値検出装置の実施の形態を示す図である。
【図18】この発明による電流値検出装置の実施の形態の適用例を示す図である。
【図19】この発明による電流値検出方法に用いる磁束センサの他の例の製造方法を説明するための図である。
【図20】電流値の検出原理を説明するための図である。
【図21】従来の電流値の検出方法を説明するための図である。
【図22】従来の電流値の検出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 磁束センサ
11 シート状磁性体
14 コイル
17 磁気シールド層
18 接着層
41 距離補正用増幅回路
42 周波数補正用増幅回路

Claims (16)

  1. 透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の電流の値を検出する方法であって、
    前記検出対象の電流の流れる位置と磁束センサとの間の距離と、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角とに応じた増幅利得で、前記コイルから得られる信号を増幅して補正し、その補正後の信号から前記検出対象の電流の値を検出するようにした
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  2. 透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の電流の値を検出する方法であって、
    前記磁束センサの前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ寸法は、予め定めた所定のものとすると共に、
    前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角に応じた増幅利得で、前記コイルから得られる信号を増幅して補正し、その補正後の信号から前記検出対象の電流の値を検出するようにした
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電流値検出方法において、
    前記検出対象の電流が交流電流である場合には、前記コイルから得られる信号に対する増幅利得は、さらに、前記検出対象の交流電流の周波数に応じたものに補正する
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  4. 透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成された磁束センサを、そのシート面が、検出対象の交流電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の交流電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように、配置し、この磁束センサの前記コイルから得られる信号に基づき、前記検出対象の交流電流の値を検出する方法であって、
    前記磁束センサの前記シート状磁性体の寸法は、予め定めた所定のものとすると共に、
    前記磁束センサの前記コイルから得られる信号に含まれる、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角に応じた周波数成分を抽出し、この抽出した周波数成分の周波数値に応じた増幅利得で、前記コイルから得られる信号を増幅して補正し、その補正後の信号から前記検出対象の交流電流の値を検出するようにした
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  5. 請求項4に記載の電流値検出方法において、
    前記コイルから得られる信号に対する増幅利得は、さらに、前記検出対象の交流電流の周波数に応じたものに補正する
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  6. 請求項1〜請求項5に記載の電流値検出方法において、
    前記磁束センサの前記シート状磁性体の、少なくとも前記検出対象の電流側とは反対側のシート面側には、磁気的なシールドが施される
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電流値検出方法において、
    前記磁束センサは、前記シート状磁性体を、前記検出対象の電流が流れる電線あるいは当該電線の被覆部分に巻き付けるように取り付けられる
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電流検出方法において、
    前記コイルは、前記シート状磁性体上において、あるいは前記シート状磁性体上に形成した絶縁層上に形成した線状の導電体により構成されたものである
    ことを特徴とする電流値検出方法。
  9. 透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成されたものであって、検出対象の電流が流れる電線あるいは前記電線の被覆部分において、前記シート状磁性体のシート面が、前記検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように取り付けられる磁束センサと、
    前記磁束センサの前記コイルから得られる信号を増幅する増幅回路と、
    を備え、
    前記増幅回路の増幅利得は、前記電線を流れる電流の位置と磁束センサとの間の距離と、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記所定長分を見たときの開き角とに応じた増幅利得となるように設定される
    ことを特徴とする電流値検出装置。
  10. 透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い、可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成されたものであって、検出対象の電流が流れる電線あるいは前記電線の被覆部分において、前記シート状磁性体のシート面が、前記検出対象の電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように取り付けられる磁束センサと、
    前記磁束センサの前記コイルから得られる信号を増幅する増幅回路と、
    を備え、
    前記磁束センサの前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ寸法は、予め定めた所定のものとされていると共に、
    前記増幅回路の増幅利得は、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記所定長分を見たときの開き角に応じた増幅利得となるように設定される
    ことを特徴とする電流値検出装置。
  11. 請求項10に記載の電流値検出装置において、
    前記検出対象の交流電流の周波数に応じて、前記コイルから得られる信号に対する増幅利得を可変する増幅手段を備える
    ことを特徴とする電流値検出装置。
  12. 透磁率が空気の透磁率に対して十分に高い可撓性のシート状磁性体を巻き芯とするようにコイルが形成されたものであって、検出対象の交流電流が流れる電線あるいは前記電線の被覆部分において、前記シート状磁性体のシート面が、前記検出対象の交流電流の流れる方向に平行であると共に、前記検出対象の交流電流が流れる位置を中心にして発生する磁束路が前記コイル内を通るような状態で、前記磁束路の少なくとも一部に沿うように取り付けられるものであって、前記シート状磁性体の寸法が、予め定めた所定のものとされている磁束センサと、
    前記磁束センサの前記コイルから得られる信号を増幅する可変利得増幅回路と、
    前記磁束センサの前記コイルから得られる信号に含まれる、前記検出対象の電流が流れる位置を中心としてこの中心から前記シート状磁性体の前記磁束路に沿う方向の長さ分を見たときの開き角に応じた周波数成分を抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段した周波数成分の周波数値に基づいて、前記増幅回路の利得を制御する利得制御手段と、
    を備えることを特徴とする電流値検出装置。
  13. 請求項12に記載の電流値検出装置において、
    前記検出対象の交流電流の周波数に応じて、前記コイルから得られる信号に対する増幅利得を可変する増幅手段を備える
    ことを特徴とする電流値検出装置。
  14. 請求項9〜請求項13に記載の電流値検出装置において、
    前記磁束センサの前記シート状磁性体の、少なくとも前記検出対象の電流側とは反対側のシート面側には、磁気的なシールドが施されている
    ことを特徴とする電流値検出装置。
  15. 請求項9〜請求項14のいずれかに記載の電流値検出装置において、
    前記磁束センサの前記シート状磁性体の一面側は接着性を持つ層が形成されており、前記磁束センサは、前記接着性を持つ層により、前記検出対象の電流が流れる電線あるいは前記電線の被覆部分に接着されて取り付けられる
    ことを特徴とする電流値検出装置。
  16. 請求項9〜請求項15のいずれかに記載の電流値検出装置において、
    前記コイルは、前記シート状磁性体上において、あるいは前記シート状磁性体上に形成した絶縁層上に形成した線状の導電体により構成されたものである
    ことを特徴とする電流値検出装置。
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