JP3645553B2 - 歪みセンサ - Google Patents

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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01LMEASURING FORCE, STRESS, TORQUE, WORK, MECHANICAL POWER, MECHANICAL EFFICIENCY, OR FLUID PRESSURE
    • G01L1/00Measuring force or stress, in general
    • G01L1/12Measuring force or stress, in general by measuring variations in the magnetic properties of materials resulting from the application of stress

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インダクタを用いた歪みセンサに係わり、特に応力による導体の変形量を検知することで歪みを測定する歪みセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、センシングする対象に設けられる導体の裏面側に軟磁性膜を形成することにより、センス感度を高めることができ、上記導体とインダクタとの距離が大きくなったときにも感度の低下を抑制できる「位置センサ」(特許文献1参照)を提案している。
【0003】
上記提案に係わる位置センサを歪みセンサに適用した場合、導体および軟磁性膜の極く微小な変形を検知する必要がある歪みセンサでは感度が十分ではなく、後段回路での信号処理に際して信号/雑音(S/N)比を大きくとれないという問題がある。
【0004】
なお、歪みセンサの一例として、上底部および下底部を有する筒状の密閉容器の内部圧力変化を上記上底部あるいは上記下底部を構成する上底板あるいは下底板に形成した歪センサにより検出する方式が開示されている(特許文献2参照)。しかし、この歪センサは、非磁性体板の中央部に絶縁層を介して少なくとも一個の磁歪を有する磁性薄膜からなるコイルを形成しており、上記提案のように被検知物から離れてコイルが配設するセンサとは動作原理が異なる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−81902号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2000−292294号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、センシングする対象の微小な変形を検出でき、センシング感度をより向上することが可能な歪みセンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、導体と、この導体と一体に形成され絶対値が1×10−7より大きい磁歪定数を持つ磁性体を上記導体の片面側に備えたセンサ部と、上記センサ部の少なくとも一部を固定する固定機構と、上記センサ部の上記磁性体とは反対面側に対向して離れて配設されるインダクタと、上記インダクタのインダクタンスの変化に基づいて上記センサ部の変形量を検出する検出ユニットとを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる歪みセンサの全体構成を示すブロック図である。
図1において、この歪みセンサ10は、ガラス基板13上面と裏面とに夫々積層された導体11と軟磁性膜12とを有するセンサ部Sbと、上記センサ部Sbから離れて配設されるコイル14と、上記コイル14に発振信号を供給する発振器15と、上記発振信号の位相を検出する位相検出回路16と、歪み情報を算出する演算回路17とから構成される。
【0011】
図2は、図1に示した歪みセンサ10の動作原理を説明するための主要部を示す図である。図2(a)、(b)に示すように、ガラス基板13の片面側には導体11が設けられる。ガラス基板13の導体11とは反対面には軟磁性膜12が設けられる。これら導体11と、ガラス基板13と、軟磁性膜12とは、例えば接着剤による接着あるいは塗布あるいは気相成長法による直接形成により一体化されて、センサ部Sbを構成している。このセンサ部Sbは、例えば周縁部の複数点(本例では、センサ部の周縁部の全周)で図示しないセンシングする対象に固定される。このように固定することで、センサ部に応力が加わった場合、センサ部の中央部が弯曲変形する。
【0012】
上記導体11は、電気抵抗が低い(1×10−8[Ω・cm]以下)ことが好ましく、例えば銅が好適である。本例では、ガラス基板13に厚さΔAが0.15[mm]の銅箔を貼り付けることで導体11を形成している。
【0013】
上記軟磁性膜12は、透磁率が比較的高く、外部からの磁場で特性が簡単に変化するものである。この軟磁性膜12としては、透磁率が500以上で周波数特性が50MHz程度までフラットな特性を有する材料が好ましく、例えば(a)パーマロイやセンダスト、(b)鉄系のアモルファス金属、(c)高抵抗軟磁性膜であるヘテロアモルファスやナノクリスタルを材料として含む膜等を用いると良い。また、これらの材料で形成される上記軟磁性膜12は、負の磁歪定数λs(<0)を持ち、磁歪定数λsの値は、|λs|≧5×10−7(本例では|λs|≧10−6)のものが用いられる。
【0014】
本例では、上記軟磁性膜12としてFe−Ru−Si−Gaからなるソフマックス(ソニー社、商品名)を、ガラス基板13に厚さΔBが2[μm]になるように上記気相成長法によりガラス基板13上に形成したものを用いる。
【0015】
一方、コイル14は、上記導体11の上記ガラス基板13側とは反対面側に対向して配設される。また、コイル14と導体11とは距離dの間隔を空けて配設される。このコイル14は図面の簡単化のために単体で示されているが、実際には例えば支持基板上に銅板が選択的にエッチングされてスパイラル状に形成されたスパイラルインダクタ、あるいは半導体ウェハ上にアルミニウムパターンがスパイラル状に形成されたスパイラルインダクタ、あるいは単なるワイヤコイルなどである。本例のコイル14は、外径(OD):4000[μm]、コイル幅(L):80[μm]、コイル間スペース(S):80[μm]、巻数:10ターン、コイル厚さ(T):19[μm]を用いている。
【0016】
図1中の発振器15は、コイル14に例えば10MHzの周波数の発振信号を供給する。位相検出回路16は、上記発振信号の位相を検出して位相情報を出力する。また、演算回路17は、上記位相検出回路から出力された位相情報を導体11の歪み情報に変換して外部に出力する。
【0017】
これらの発振器15、位相検出回路16および演算回路17は、測定器を構成している。この測定器は、上記コイル14のインダクタンスの変化に基づいて上記導体11の変形量を電気的に測定する機能を有する。
【0018】
次に、上記のように構成された歪みセンサの動作を説明する。
【0019】
発振器15からコイル14に対して発振信号が供給されると、コイル14から磁束が発生する。図3は、導体11に軟磁性膜12を設けた場合と軟磁性膜12を設けない場合の等ベクトルポテンシャル線を示す図である。
【0020】
図3(a)に示すように軟磁性膜12を設けた場合には、図3(b)に示すように軟磁性膜12を設けない場合に比べて、等ベクトルポテンシャル線が導体11側に近付く。つまり、軟磁性膜12により磁気抵抗が低減され、コイル14に通電した際に発生する磁束がより有効に導体11を鎖交するようになる。このため、導体11には軟磁性膜12を設けない場合に比べて大きな渦電流が発生し、結果的にコイル14のインダクタンスは導体11の影響でより大きく減少する。
【0021】
図4は、センサ部Sbに軟磁性膜12を設けた場合と軟磁性膜12を設けない場合の磁束密度について説明するための図である。なお図4(b)は、図(a)に示す磁束密度を測定する位置を説明する図である。
【0022】
図4(a)は、導体11内の磁束密度のうち、図4(b)中の法線B方向(y方向)、つまり上下方向の成分がA−A’線(x方向)上でどのように分布しているかを、軟磁性膜12を設けた場合と設けない場合で比較して示している。
【0023】
導体11を鎖交する(法線B方向に横切る)成分の2乗が大きいほどインダクタンスの変化量が大きくなるので、軟磁性膜12を設けた場合の効果の指針となる。この図4Aから、軟磁性膜12を設けた場合は、設けない場合に比べて、導体11を鎖交する磁束密度が導体11の中心付近で高くなっていることが分かる。
【0024】
コイル14に発振信号が供給されている状態で、導体11が変形してコイル14と導体11との平均相対位置、即ち平均距離が変化すると、コイル14のインダクタンスが変化する。図5は、導体11に軟磁性膜12を設けた場合と軟磁性膜12を設けない場合のコイル14と導体11間の平均距離とインダクタンスとの関係を示す図である。ここでは、例えば軟磁性膜12の透磁率が630で発振器15の発振周波数が10MHzの場合についての比較結果を示している。軟磁性膜12を設けることにより、コイル14と導体11間の平均距離の変化量に対するインダクタンスの変化量が大きくなっていることが分かる。
【0025】
コイル14のインダクタンスが変化すると、コイル14に供給された発振信号の位相(周波数)が変化する。この発振信号の位相の変化を位相検出回路16で検出し、この検出した位相情報を演算回路17で導体11の歪み情報に変換する。そして、この歪み情報を外部に出力する。
【0026】
次に、センサ部Sbに応力が加わった場合の歪みセンサ10の動作を説明する。
【0027】
図6は、前述したように側縁部が全周固定(ここでは、固定機構Fで固定される)されたセンサ部Sbが弯曲変形する様子を示す断面図である。図6(a)はセンサ部Sbの中央部が応力によりコイル14に近付く側(内側)へ弯曲変形した場合、図6(b)は応力なしで弯曲しない場合、図6(c)は中央部が応力によりコイル14から離れる側(外側)へ弯曲変形した場合を示している。また、図6(a)、(c)中のΔdは導体11のたわみ量を示す。
【0028】
図6(a)に示すようにセンサ部Sbが内側へ弯曲した場合、コイル14とセンサ部との平均距離が小さくなる。したがって、コイル14のインダクタンスは、弯曲しない場合に比べて小さくなる。一方、図6(c)に示すように外側へ弯曲した場合、コイル14とセンサ部との平均距離が広くなる。したがって、コイル14のインダクタンスは、弯曲しない場合に比べて大きくなる。
【0029】
この場合、軟磁性膜12を設けているので磁気抵抗が低減され、導体11により多くの磁束が鎖交するのでセンサ感度が向上する。しかも、負の磁歪定数をもつ軟磁性膜12を用いているので、磁歪がない磁性膜を用いた場合と比べて、センサ部Sbの同じ変位量(変形量)に対するインダクタンスの変化量が大きくなり、センサ感度が向上する。
【0030】
即ち、センサ部Sbが図6(a)に示すように内側へ弯曲変形した場合は、前述したようにセンサ部Sbは全周が固定されているため、軟磁性膜12は収縮変形する。これにより軟磁性膜12の面内方向透磁率が大きくなり、磁歪がない磁性膜を用いた場合に比べて導体鎖交磁束の量が多くなるのでインダクタンスがより低下する。
【0031】
これに対して、センサ部Sbが図6(c)に示すように外側へ弯曲変形した場合は、軟磁性膜12は伸張変形する。これにより軟磁性膜12の面内方向透磁率が小さくなり、磁歪がない磁性膜を用いた場合に比べて導体鎖交磁束の量が少なくなる。したがって、コイル14のインダクタンス低下量が少なくなり、センサ感度が向上する。
【0032】
軟磁性膜12の磁歪による異方性磁界(磁気異方性)△Hkは
△Hk=3・λs ・E・Ts/2・Is・R・(1+γ) ……(1)
であり、E :膜12のヤング率 =2.1×1012[dyn/cm
Is:膜12の飽和磁化 =955[gauss]
γ :膜12のポアソン比=0.29
Ts:膜12の厚さ =0.01[cm]
R :弯曲の曲率半径=5.6[cm]
λs :磁歪定数 =−10−6 とすると、
△Hk≧5[Oe]
である。Rは、導体11面積が0.3[cm□]、最大たわみ量△dmax=20×10−4[cm]とし、
R=△dmax+(Ts/2)/2・△dmax ……(2)
で求めた。
【0033】
弯曲しない状態のHk=15[Oe]とすると、
図6(a)に示すように内側へ弯曲した場合には、Hk≧10[Oe]
透磁率μr≧100
図6(c)に示すように外側へ弯曲した場合には、Hk≧20[Oe]
透磁率μr≧50
となる。
【0034】
上記した数値例から分かるように、図6(c)に示すように外側へ弯曲した場合は、図6(a)に示すように内側へ弯曲した場合と比べて透磁率が半分になり、かつ、コイル14と導体11間の平均距離が40[μm]程度離れる。したがって、導体11に鎖交する磁束が効果的に減少し、図6(b)に示すように弯曲しない状態に比べてインダクタンスが大きくなる。また、軟磁性膜12として負の磁歪定数のものを用いたことにより、インダクタンスの変化量が大きくなる。したがって、センサ部Sbが弯曲した時には、透磁率が一定の場合(磁歪がない場合)に比べて、インダクタンスの変化量△Lが40[nH]から65[nH]へと約1.5倍向上する。
【0035】
上記第1の実施形態によれば、ガラス基板13の片面側に負の磁歪定数を持つ材料からなる軟磁性膜12を設けるようにしている。したがって、軟磁性膜12の弯曲変形による透磁率変化を利用して、コイル14のインダクタンスのより大きな変化を検知することが可能になるので、センサ感度が向上する。
【0036】
また、センサ部Sbが弯曲変形することでコイル14との平均距離が変化するため、この効果によるインダクタンスの変化によってもセンサ感度が向上する。
【0037】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係わる歪みセンサの主要部を示す図である。図7(b)は、図7(a)に示す歪みセンサの断面図である。
【0038】
この歪みセンサは、第1の実施の形態の歪みセンサに対して、軟磁性体18を、コイル14の裏面側(導体11に対向する面とは反対面側)に絶縁物(図示せず)を介して配設している点が異なり、その他は同じであるので図2(a),図2(b)中と同一の構成には同一符号を付している。
【0039】
このような構成によれば、軟磁性体18により、磁気抵抗がさらに低減され、コイル14に通電した際に発生する磁束がより有効に導体11を鎖交するようになる。
【0040】
よって、導体11により大きな渦電流が発生し、コイル14のインダクタンスは導体11の影響でより大きく減少する(変化量が大きくなる)。従って、軟磁性体18を配設しない場合と比べて、さらにセンス感度を高めることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、導体と正の磁歪定数を持つ軟磁性膜からなるセンサ部の中央部を固定して歪みセンサを構成したものである。
【0042】
図8は、本発明の第3の実施形態に係わる歪みセンサの動作原理を説明するための主要部を示す図である。図8(b)は、図8(a)に示す歪みセンサの断面図である。なお、上記第1の実施形態の歪みセンサと同一の構成には同一符号を付して説明は省略する。また、上記第1の実施形態の図1に示した構成のうち、センサ部以外の構成は同一であるため説明は省略する。
【0043】
図8(a)において、ガラス基板13の片面側には正の磁歪定数を持つ軟磁性膜19が設けられる。ガラス基板13の軟磁性膜19と反対面には導体11aが設けられる。このように構成されたセンサ部Scは、軟磁性膜19の中央部で固定機構20により固定される。
【0044】
上記軟磁性膜19は、透磁率が比較的高く、外部からの磁場で特性が簡単に変化するものである。この軟磁性膜19としては、透磁率が500以上で周波数特性が50MHz程度までフラットな特性を有する材料が好ましく、例えば(a)パーマロイやセンダスト、(b)鉄系のアモルファス金属、(c)高抵抗軟磁性膜であるヘテロアモルファスやナノクリスタルを材料として含む膜等を用いると良い。また、上記軟磁性膜19は、正の磁歪定数λs(>0)を持つ材料からなり、磁歪定数λsの値は、|λs|≧5×10−7(本例では|λs|≧10−6)のものが用いられる。本例では、正の磁歪定数を持つ軟磁性材料をガラス基板13上にスパッタ形成することで、軟磁性膜19を形成する。この際、所定の磁界中でスパッタリングを行うことにより、例えば磁化容易軸方向を所望の方向に向けることができる。
【0045】
上記導体11aは、銅をガラス基板13に塗布して形成する。
【0046】
図9は、図8に示したセンサ部Scが弯曲変形する様子を示す断面図である。図9(a)はセンサ部Scがコイル14に近付く側(内側)へ弯曲変形した場合、図9(b)は弯曲しない場合、図9(c)はセンサ部Scがコイル14から離れる側(外側)へ弯曲変形した場合を示している。
【0047】
センサ部Scにガラス基板13側から応力が加わると、センサ部Scは中央が固定されているので周辺部が図9(a)のように弯曲変形する。これにより、コイル14とセンサ部Scとの平均距離が小さくなる。したがって、コイル14のインダクタンスは、弯曲しない場合に比べて小さくなる。この場合、軟磁性膜19を設けているので磁気抵抗が低減され、導体11aにより多くの磁束が鎖交するのでセンサ感度が向上する。
【0048】
さらに、センサ部Scが図9(a)に示すように内側へ弯曲変形した場合、軟磁性膜19は伸張変形する。これにより、軟磁性膜19は正の磁歪定数を持つため、面内方向透磁率が大きくなる。したがって、磁歪がない磁性膜を用いた場合に比べて導体鎖交磁束の量が多くなるのでインダクタンスがより低下し、センサ感度が向上する。
【0049】
一方、センサ部Scの導体11a側から応力が加わると、センサ部Scの周辺部は図9Cのように弯曲変形する。これにより、コイル14とセンサ部Scとの平均距離が大きくなる。したがって、コイル14のインダクタンスは、弯曲しない場合に比べて大きくなる。
【0050】
さらに、センサ部Scが図9(c)に示すように外側へ弯曲変形した場合、軟磁性膜19は収縮変形する。これにより、軟磁性膜19は正の磁歪定数を持つため、面内方向透磁率が小さくなる。したがって、磁歪がない磁性膜を用いた場合に比べて導体鎖交磁束の量が少なくなる。この結果、コイル14のインダクタンス低下量が少なくなり、センサ感度が向上する。
【0051】
なお、上記第1の実施形態で説明した数値例は、磁歪定数を負から正に変更することにより、本実施形態においても同様に適用可能である。
【0052】
上記第3の実施形態によれば、ガラス基板13の片面側に正の磁歪定数を持つ材料からなる軟磁性膜19を設けるようにしている。したがって、軟磁性膜19の歪みによる透磁率変化を利用して、コイル14のインダクタンスのより大きな変化を検知することが可能になるので、センサ感度が向上する。
【0053】
さらに、センサ部Scが弯曲変形することでコイル14との距離が変化するため、この効果によるインダクタンスの変化によってもセンサ感度が向上する。
【0054】
また、上記第2の実施形態と同様に、軟磁性膜を、コイル14の裏面側(導体11aに対向する面とは反対面側)に絶縁物を介して配設して歪みセンサを構成することで、さらにセンス感度を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態の固定機構20を上記第1の実施形態のセンサ部Sbに適用しても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、導体と正の磁歪定数を持つ軟磁性膜からなるセンサ部の周縁部のうち一側面を固定して歪みセンサを構成したものである。
【0057】
図10は、本発明の第4の実施形態に係わる歪みセンサの動作原理を説明するための主要部を示す斜視図である。図10(b)は、図10(a)に示す歪みセンサの断面図である。なお、上記第3の実施形態の歪みセンサと同一の構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0058】
図10(a)において、導体11bは、弾性変形する材料が好ましい。しかし、塑性変形する材料でも本発明を実現可能である。塑性変形する材料を使用する場合には、弾性変形する基板等に上記塑性変形する材料をコーティングすることで、弾性変形可能にするようにしてもよい。また、導体11bは、電気抵抗が低い(1×10−8[Ω・cm]以下)ことが好ましく、例えば銅板が好適である。本例の導体11bは、例えば厚さ0.15[mm]の銅板により構成する。
【0059】
軟磁性膜19aは、上記第3の実施形態と同じ材料を使用する。この軟磁性材料からなる軟磁性膜19aを上記導体11bの片面側に貼り付けてセンサ部Sdを構成する。
【0060】
固定機構21は、図10(a)に示すように導体11bと軟磁性膜19aとからなるセンサ部Sdの周縁部のうち一側面を固定する。なお、固定方法としては、周縁部の一部を固定するようにしてもよい。
【0061】
図11は、図10のセンサ部Sdが弯曲変形する様子を示す断面図である。図11(a)はセンサ部Sdがコイル14に近付く側(内側)へ弯曲変形した場合、図11(b)は弯曲しない場合、図11(c)はセンサ部Sdがコイル14から離れる側(外側)へ弯曲変形した場合を示している。
【0062】
このような構成でも、上記第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、上記第2の実施形態と同様に、コイル14の背後へも軟磁性膜を配設することで、さらに歪みセンサのセンス感度を高めることができる。
【0064】
また、軟磁性膜19aの導体11bと反対面にガラス基板13を設けてセンサ部Sdを構成してもよい。このように構成すると、導体11bが弾性変形する材料でなくても本実施形態を実施できる。
【0065】
(歪みセンサの適用例)
図12は、第1の実施形態に示した歪みセンサの適用例を示す断面図である。
【0066】
図12(a)に示すように、筒状の密閉容器30の上底板31の中央部に第1の実施形態に示したセンサ部Sbを貼り付け固定し、密閉容器30の内部圧力の変化により生ずる上底板31の変形を、センサ部Sbの上方に固定された図示しないコイルのインダクタンスの変化により電気的に検出する方式の圧力センサを構成する。なお、センサ部Sbを下底板32の底面に貼り付け固定してもよい。
【0067】
この場合、上底板31あるいは下底板32は周縁部が固定されており、内部圧力の変化により上底板31あるいは下底板32の中央部とともにセンサ部Sbが弯曲変形する。
【0068】
密閉容器30の内部圧力の上昇によりセンサ部Sbが外側へ弯曲した場合および内部圧力の下降によりセンサ部Sbが内側へ弯曲した場合に、第1の実施形態に示した歪みセンサは、内部圧力の単位変化量に対するインダクタンスの単位変化量が大きいので、後段回路での信号処理に際してS/N比を大きくとることができ、信号処理を正確に行うことが可能になる。
【0069】
なお、上記適用例の一部を変更し、図12(b)に示すように、容器40の開口部をセンサ部Sbで密閉する状態で、センサ部Sbの周縁部を開口部の周縁部の全周で保持するようにしてもよい。このように変更しても、容器40内部の圧力に応じてセンサ部Sbの中央部が弯曲変形可能となり、上記適用例と同様に圧力センサを構成することができる。
【0070】
なお、上記適用例は、第1の実施形態に係わる歪みセンサを用いる場合を例にとって説明したが、第2の実施形態に係わる歪みセンサを用いてもよいのは勿論である。
【0071】
また、上記第1の実施形態で示したセンサ部の固定方法は、上記センサ部Sdにおいても適用可能である。また、上記第3の実施形態で示したセンサ部の固定方法は、上記センサ部Sb及びセンサ部Sdにおいても適用可能である。また、上記第4の実施形態で示したセンサ部の固定方法は、上記センサ部Sdにおいても適用可能である。
【0072】
また、上記各実施形態で示したセンサ部の固定方法は一例である。応力によりセンサ部が変形するように固定しさえすれば同様の効果を得ることができるため、測定する対象物に合わせて固定機構の構成を変えることで、歪みセンサのセンス感度を向上させることができる。
【0073】
また、上記各実施形態のセンサ部は、コイルと導体と軟磁性膜との位置関係を同一にすればよく、形成する方法や構成については他の実施形態で説明したものと変更しても同様に実施可能である。
【0074】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形して実施可能なことは勿論である。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、センシングする対象の微小な変形に対して、インダクタのインダクタンスの変化量を増大させることができ、これによりセンシング感度をより向上することが可能な歪みセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係わる歪みセンサの全体構成を示すブロック図。
【図2】 図1に示した歪みセンサ10の動作原理を説明するための主要部を示す図。
【図3】 導体11に軟磁性膜12を設けた場合と軟磁性膜12を設けない場合の等ベクトルポテンシャル線を示す図。
【図4】 センサ部Sbに軟磁性膜12を設けた場合と軟磁性膜12を設けない場合の磁束密度について説明するための図。
【図5】 導体11に軟磁性膜12を設けた場合と軟磁性膜12を設けない場合のコイル14と導体11間の平均距離とインダクタンスとの関係を示す図。
【図6】 図1に示した歪みセンサ10のセンサ部Sbが弯曲変形する様子を示す断面図。
【図7】 本発明の第2の実施形態に係わる歪みセンサの動作原理を説明するための主要部を示す図。
【図8】 本発明の第3の実施形態に係わる歪みセンサの動作原理を説明するための主要部を示す図。
【図9】 図8に示した歪みセンサのセンサ部Scが弯曲変形する様子を示す断面図。
【図10】 本発明の第4の実施形態に係わる歪みセンサの動作原理を説明するための主要部を示す図。
【図11】 図10に示した歪みセンサのセンサ部Sdが弯曲変形する様子を示す断面図。
【図12】 第1の実施形態に示した歪みセンサの適用例を示す図。
【符号の説明】
Sb,Sc,Sd…センサ部 10…歪みセンサ 11,11a,11b…導体 12,19,19a…軟磁性膜 13…ガラス基板 14…コイル 15…発振器 16…位相検出回路 17…演算回路 18…軟磁性体 20,21,F…固定機構 30…密閉容器 31…上底板 32…下底板 40…容器

Claims (17)

  1. 導体と、この導体と一体に形成され絶対値が1×10−7より大きい磁歪定数を持つ第1の磁性体を前記導体の片面側に備えたセンサ部と、
    前記センサ部の少なくとも一部を固定する固定機構と、
    前記センサ部の前記第1の磁性体とは反対面側に対向して離れて配設されるインダクタと、
    前記インダクタのインダクタンスの変化に基づいて前記センサ部の変形量を検出する検出ユニットとを具備する歪みセンサ。
  2. 前記第1の磁性体は、負の磁歪定数を持ち、
    前記固定機構は、応力に応じて前記センサ部の中央部が変形するように固定する固定部を有する請求項1に記載の歪みセンサ。
  3. 前記第1の磁性体は、正の磁歪定数を持つ請求項1に記載の歪みセンサ。
  4. 前記磁歪定数は、−5×10−7以下の値である請求項2に記載の歪みセンサ。
  5. 前記固定機構は、前記センサ部の周縁をすべて固定する請求項2に記載の歪みセンサ。
  6. 前記磁歪定数は、5×10−7以上の値である請求項3に記載の歪みセンサ。
  7. 前記固定機構は、前記センサ部の周縁の一部を固定する請求項3に記載の歪みセンサ。
  8. 前記固定機構は、前記センサ部の中央部を固定する請求項3に記載の歪みセンサ。
  9. 前記インダクタの前記センサ部とは反対面側に対向して離れて配設される第2の磁性体をさらに具備する請求項1乃至3に記載の歪みセンサ。
  10. 前記第1の磁性体は、軟磁性体からなる請求項1乃至3に記載の歪みセンサ。
  11. 前記検出ユニットは、前記インダクタに発振信号を供給する発振器と、この発振信号の位相情報を検出するための位相検出回路と、前記位相検出回路で検出した位相情報を前記センサ部の変形量に変換する演算回路とを含む請求項1乃至3に記載の歪みセンサ。
  12. 前記導体は、弾性変形が可能な材料からなる請求項1に記載の歪みセンサ。
  13. 前記導体は、塑性変形が可能な材料からなる請求項1に記載の歪みセンサ。
  14. 前記第1の磁性体は、その材料としてパーマロイ、センダスト、鉄系のアモルファス金属、ヘテロアモルファスおよびナノクリスタルから成るグループから選択された少なくとも一つにより形成される請求項1に記載の歪みセンサ。
  15. 前記インダクタは、スパイラル形状を有する請求項1に記載の歪みセンサ。
  16. 前記センサ部は、前記導体が設けられる第1の表面と前記第1の磁性体が設けられる第2の表面とを有するガラス基板を含む請求項1に記載の歪みセンサ。
  17. 前記導体は、電気抵抗が10−8[Ω・cm]以下である請求項1に記載の歪みセンサ。
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