以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)〜図1(d)は、第1の実施形態に係る圧力センサを例示する模式図である。
図1(a)は、模式的斜視図である。図1(b)は、図1(a)及び図1(c)のA1−A2線断面図である。図1(c)は、模式的平面図である。図1(d)は、圧力センサに含まれる膜部の模式的平面図である。
図1(a)〜図1(c)に表したように、本実施形態に係る圧力センサ110は、膜部70dと、検知部50uと、を含む。この例では、支持部70sが設けられている。
支持部70sは、例えば、基板である。膜部70dは、支持部70sに支持される。膜部70dは、可撓性を有する。膜部70dは、例えば、ダイアフラムである。膜部70dは、支持部70sと一体的でも良く、別体でも良い。膜部70dには、支持部70sと同じ材料を用いても良く、支持部70sとは異なる材料を用いても良い。支持部70sとなる基板の一部を除去して、基板のうちの厚さが薄い部分が膜部70dとなっても良い。
膜部70dの厚さは、支持部70sの厚さよりも薄い。膜部70dと支持部70sとに同じ材料が用いられ、これらが一体的である場合は、厚さが薄い部分が膜部70dとなり、厚い部分が支持部70sとなる。
支持部70sが、支持部70sを厚さ方向に貫通する貫通孔を有しており、貫通孔を覆うように膜部70dが設けられても良い。この時、例えば、膜部70dとなる材料の膜が、支持部70sの貫通孔以外の部分の上にも延在している場合がある。このとき、膜部70dとなる材料の膜のうちで、貫通孔と重なる部分が膜部70dとなる。
膜部70dは、外縁70rを有する。膜部70dと支持部70sとに同じ材料が用いられ、これらが一体的である場合は、厚さが薄い部分の外縁が、膜部70dの外縁70rとなる。支持部70sが、支持部70sを厚さ方向に貫通する貫通孔を有しており、貫通孔を覆うように膜部70dが設けられている場合は、膜部70dとなる材料の膜のうちで、貫通孔と重なる部分の外縁が膜部70dの外縁70rとなる。
支持部70sは、膜部70dの外縁70rを連続的に支持しても良く、膜部70dの外縁70rの一部を支持しても良い。
外縁70rを含む平面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。
膜部70dの膜面70fs内の1つの方向を第1方向とする。第1方向は、例えばX軸方向である。第1方向に対して垂直で、膜面70fs内の方向を第2方向とする。第2方向は、例えばY軸方向である。
本実施形態においては、膜部70dの平面形状は、異方性形状を有する。
例えば、図1(d)に例示したように、膜部70dは、第1方向(X軸方向)の第1長さL1と、第2方向(Y軸方向)の第2長さL2と、を有する。第1長さL1は、第2長さL2よりも長い。第1長さL1は、膜部70dの第1方向における最大の長さである。第2長さL2は、膜部70dの第2方向における最大の長さである。
この例では、膜部70dの平面形状は、略矩形である。すなわち、膜面70fsは、第1〜第4辺70s1〜70s4を有する。第1辺70s1は、第1方向に沿う。第2辺70s2は、第1辺70s1と離間し、第1方向に沿う。第1辺70s1と第2辺70s2との間の距離は、例えば、第2長さL2である。第3辺70s3は、第1辺70s1の一端70s11と、第2辺70s2の一端70s21と、に接続され、第2方向に沿う。第4辺70s4は、第1辺70s1の他端70s12と、第2辺70s2の他端70s22と、に接続され、第3辺70s3と離間し、第2方向に沿う。第3辺70s3と第4辺70s4との間の距離は、例えば、第1長さである。後述するように、これらの辺の間は、直線状または曲線状のコーナー部により接続されても良い。
図1(d)に表したように、膜部70dの膜面70fsは、中央部70cと、周辺部70pと、を含む。周辺部70pは、中央部70cの周りに設けられる。膜部70dを、膜面70fsに対して平行な面(例えばX−Y平面)に投影したときに、周辺部70pは、中央部70cの周りに設けられる。
検知部50uは、膜部70dの中央部70cの上に設けられる。
本願明細書において、「上に設けられる」状態は、直接接して設けられる状態の他に、間に他の要素が挿入されて設けられる状態も含む。
検知部50uは、検知素子50を含む。この例では、検知部50uは、複数の検知素子50(例えば第1〜第5検知素子50a〜50eなど)を含む。検知部50uに設けられる検知素子50の数は、1でも良い。
図1(b)に表したように、検知素子50は、第1磁性層10と、第2磁性層20と、中間層30と、を含む。第2磁性層20は、第1磁性層10と膜部70dとの間に設けられる。中間層30は、第1磁性層10と第2磁性層20との間に設けられる。中間層30には、例えば非磁性材料を用いることができる。
圧力センサ110においては、第1配線61及び第2配線62が設けられている。第1配線61は、検知素子50のいずれかに接続される。第2配線62は、検知素子50のいずれかに接続される。第1配線61と第2配線62との間には、例えば、層間絶縁膜63が設けられ、第1配線61と第2配線62とが電気的に絶縁される。第1配線61と第2配線62との間に電圧が印加され、この電圧が、第1配線61及び第2配線62を介して、検知素子50に印加される。圧力センサ110に圧力が加わると、膜部70dが変形する。検知素子50においては、膜部70dの変形に伴って電気抵抗が変化する。電気抵抗の変化を第1配線61及び第2配線62を介して検知することで、圧力が検知できる。
例えば、図1(d)に表したように、膜面70fsの重心70dcと、中央部70cの重心と、は実質的に重なる。X−Y平面に投影したときに、膜部70dの重心と、中央部70cの重心と、は実質的に重なる。例えば、中央部70cの重心70ccと、膜面70fsの重心70dcと、は、近接または、一致している。中央部70cの重心70ccと、膜面70fsの重心70dcと、の間の距離は、例えば、第2長さL2の1/10以下である。
検知部50uが設けられる中央部70cは、膜面70fsのうちの中心部分に配置されている。図1(d)に表したように、例えば、中央部70cの第1方向の第3長さL3は、第1長さL1の0.3倍以下である。中央部70cの第2方向の第4長さL4は、第2長さL2の0.3倍以下である。中央部70cを除く領域が、周辺部70pとなる。
本実施形態に係る圧力センサ110においては、膜部70dの平面形状(膜面70fsの形状)が異方性形状を有しており、検知部50uは、このような膜部70dの中央部70cの上に設けられる。これにより、高感度の圧力センサが提供できる。
以下、圧力センサ110の例について説明する。
支持部70sには、例えば、板状の基板を用いることができる。基板の内部には、例えば、空洞部70hが設けられている。
支持部70sには、例えば、シリコンなどの半導体材料、金属などの導電材料、または、絶縁性材料を用いることができる。支持部70sは、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどを含んでも良い。空洞部70hの内部は、例えば減圧状態(真空状態)である。空洞部70hの内部に、空気などの気体、または、液体が充填されていても良い。空洞部70hの内部は、膜部が撓むことができるように設計される。空洞部70hの内部は、外部の大気とつながっていてもよい。
空洞部70hの上には、膜部70dが設けられている。膜部70dには、例えば、支持部70sとなる基板の一部が薄く加工され部分が用いられる。膜部70dの厚さ(Z軸方向の長さ)は、基板の厚さ(Z軸方向の長さ)よりも薄い。
膜部70dに圧力が印加されると、膜部70dは撓む。この圧力は、圧力センサ110が検知すべき圧力に対応する。印加される圧力は、音波または超音波などによる圧力も含む。音波または超音波などによる圧力を検知する場合は、圧力センサ110は、マイクロフォンとして機能する。
膜部70dには、例えば、絶縁性材料が用いられる。膜部70dは、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含む。膜部70dには、例えば、シリコンなどの半導体材料を用いても良い。膜部70dには、例えば、金属材料を用いても良い。
膜部70dの厚さは、例えば、0.1マイクロメートル(μm)以上3μm以下である。この厚さは、0.2μm以上1.5μm以下であることが好ましい。膜部70dには、例えば、厚さが0.2μmの酸化シリコン膜と、厚さが0.4μmのシリコン膜と、の積層体を用いても良い。
第1磁性層10及び第2磁性層20には、例えば強磁性層が用いられる。第1磁性層10は、例えば、磁化自由層である。第2磁性層20は、例えば、参照層である。参照層として、磁化固定層、または、磁化自由層が用いられる。例えば、第1磁性層10の磁化の変化は、第2磁性層20の磁化の変化よりも容易とすることができる。このようにすることで、例えば、後述するように、圧力が加わった際に、第1磁性層10の磁化と第2磁性層20の磁化との間の相対角度の変化を生じさせ易くできる。
以下、検知素子50の動作の例について説明する。以下の例では、第2磁性層20が磁化固定層である。
本実施形態の圧力センサ110において、膜部70dが外部からの圧力に対して撓んだ際に、検知素子50に歪が発生する。検知素子50は、この歪の変化を電気抵抗の変化に変換する機能を有する。
検知素子50が歪センサとして機能する動作は、例えば、「逆磁歪効果」と「磁気抵抗効果」との応用に基づく。「逆磁歪効果」は、磁化自由層に用いられる強磁性層において得られる。「磁気抵抗効果」は、参照層と中間層と磁化自由層との積層膜において発現する。
「逆磁歪効果」は、強磁性体の磁化が強磁性体に印加された歪によって変化する現象である。すなわち、検知素子50の積層膜に外部歪が印加されると、磁化自由層の磁化方向が変化する。その結果、参照層の磁化と磁化自由層の磁化との間の相対角度が変化する。この際に「磁気抵抗効果(MR効果)」により、電気抵抗の変化が引き起こされる。MR効果は、例えば、GMR(Giant magnetoresistance)効果、または、TMR(Tunneling magnetoresistance)効果などを含む。積層膜に電流を流すことで、磁化の向きの相対角度の変化を電気抵抗変化として読み取ることで、MR効果は発現する。例えば、積層膜に加わる歪によって、検知素子50に歪が加わる。歪によって磁化自由層の磁化の向きが変化し、磁化自由層の磁化の向きと、参照層の磁化の向きと、の相対角度が変化する。すなわち、逆磁歪効果によりMR効果が発現する。
磁化自由層に用いられる強磁性材料が正の磁歪定数を有する場合は、磁化の方向と引張歪の方向との角度が小さくなり、磁化の方向と圧縮歪の方向との角度が大きくなるように、磁化の方向が変化する。磁化自由層に用いられる強磁性材料が負の磁歪定数を有する場合は、磁化の方向と引張歪の方向との角度が大きくなり、磁化の方向と圧縮歪の方向との角度が小さくなるように、磁化の方向が変化する。
以下、磁化自由層に用いられる強磁性材料が正の磁歪定数を有する場合の例に関して、磁化の変化の例について説明する。
図2(a)〜図2(i)は、圧力センサの動作を例示する模式的斜視図である。
図2(a)〜図2(c)は、検知素子50に「垂直方向の歪」が加わる状態を例示している。「垂直方向の歪」は、積層方向(例えば第2磁性層20から第1磁性層10に向かう方向)に対して垂直で、磁化固定層の磁化の方向に対して垂直な方向の異方的な歪(以降、異方歪と呼ぶ)である。
図2(d)〜図2(f)は、検知素子50に「平行方向の歪」が加わる状態を例示している。「平行方向の歪」は、積層方向に対して垂直で、磁化固定層の磁化の方向に対して平行な方向の異方的な歪(異方歪)である。
図2(g)〜図2(i)は、検知素子50に「等方的な歪」が加わる状態を例示している。「等方的な歪」は、積層方向に対して垂直な面内で等方的な歪である。
図2(b)、図2(e)及び図2(h)は、歪が加わっていない状態に対応する。図2(a)、図2(d)及び図2(g)は、引張歪tsが加わった状態に対応する。図2(c)、図2(f)及び図2(i)は、圧縮歪csが加わった状態に対応する。
図2(a)に例示したように、「垂直方向の歪」である引張歪tsが加わった場合は、磁化自由層(第1磁性層10)の磁化10mの方向と、磁化固定層(第2磁性層20)の磁化20mの方向と、の間の角度(磁化の相対角度)が、歪が加わらない状態(図2(b)の状態)よりも小さくなる。その結果、検知素子50における電気抵抗が減少する。
図2(c)に例示したように、「垂直方向の歪」である圧縮歪csが加わった場合は、磁化の相対角度が、歪が加わらない状態(図2(b)の状態)よりも大きくなる。その結果、電気抵抗が増大する。
図2(d)に例示したように、「平行方向の歪」である引張歪tsが加わった場合は、磁化の相対角度が、歪が加わらない状態(図2(e)の状態)よりも大きくなる。その結果、検知素子50における電気抵抗が増大する。
図2(f)に例示したように、「平行方向の歪」である圧縮歪csが加わった場合は、磁化の相対角度が、歪が加わらない状態(図2(e)の状態)よりも小さくなる。その結果、検知素子50における電気抵抗が減少する。
このように、「平行方向の歪」における磁化の相対角度の歪に対する増減の関係は、「垂直方向の歪」におけるその関係とは、逆になる。「平行方向の歪」と、「垂直方向の歪」と、で、歪の極性に対する電気抵抗の変化が逆極性になる。
図2(g)〜図2(i)に例示したように、「等方的な歪」が加わる場合には、磁化自由層の磁化10mの方向は変化しない。このため、引張歪ts及び圧縮歪csの両極性の歪において、電気抵抗は、変化しない。
このように、検知素子50においては、加わる歪の向きによって、得られる電気抵抗の変化が、異なる。
本実施形態に係る圧力センサ110においては、膜部70dの平面形状が異方性形状を有している。例えば、膜面70fsの重心70dcを通る第1軸70x(膜面70fs内の軸)に沿う膜部70dの長さ(第1長さL1)は、第1軸70xと直交し膜面70fsの重心70dcを通る第2軸70yに沿う膜部70dの長さ(第2長さL2)よりも長い。検知部50uは、中央部70c(重心70dcの近く)に配置されている。例えば、複数の検知素子50は、膜面70fsの重心70dcの近くに集合して設けられている。
図3(a)〜図3(c)は、第1の実施形態に係る圧力センサの動作を例示する模式図である。
図3(a)は、本実施形態に係る圧力センサ110の膜部70dの模式的斜視図である。図3(b)は、図3(a)のA1−A2線断面図である。図3(c)は、図3(a)のB1−B2線断面図である。図3(b)及び図3(c)は、膜部70dに圧力が印加され、膜部70dが変形し、撓んだ状態を例示している。
図3(a)に表したように、膜部70dの平面形状は、例えば、長方形などの異方性形状を有している。図3(b)及び図3(c)中の点線は、圧力が印加されていないときの膜部70dの状態を模式的に示している。圧力が印加されていないときに、例えば、膜部70dは、X−Y平面に対して平行である。図3(b)及び図3(c)中の実線は、膜部70dに圧力Fzが印加されたときの膜部70dの状態を模式的に示している。これらの図に例示したように、圧力Fzが膜部70dの一方の面から加わると、膜部70dは撓む。この際に、その長軸方向と短軸方向とで、膜部70dの表面に生じる歪は、異なる。短軸方向に生じる歪は、長軸方向に生じる歪よりも大きくなる。これは、変形した膜部70dの表面の短軸方向における曲率半径が、長軸方向における曲率半径よりも小さくなることによる。
このように、膜部70dの平面形状が異方性形状を有している場合は、長軸方向(第1方向)と、短軸方向(第2方向)と、で膜部70dに生じる歪が異なる。このため、圧力センサ110においては、膜面70fsの中央部70c(重心70dcの近傍)においても、異方的な歪が得られる。本実施形態においては、膜部70d上において、異方的な歪が得られる領域が広い。
図4(a)〜図4(c)は、参考例の圧力センサの動作を例示する模式図である。
図4(a)は、参考例の圧力センサ119の膜部70dの模式的斜視図である。図4(b)は、図4(a)のA1−A2線断面図である。図4(c)は、図4(a)のB1−B2線断面図である。図4(b)及び図4(c)は、膜部70dに圧力が印加され、膜部70dが変形し、撓んだ状態を例示している。
図4(a)に表したように、参考例の圧力センサ119においては、膜部70dの平面形状は、等方的であり、この例では、円形である。この場合には、図4(b)及び図4(c)に例示したように、圧力Fzが加わり膜部70dが変形したときに膜部70dの表面に生じる歪は、等方的である。従って、参考例における圧力センサ119においては、膜面70fsの重心70dc付近においては、表面に生じる歪が等方的である。
すなわち、異方性形状を有する膜部70d(圧力センサ110)においては、等方的な形状を有する膜部70d(圧力センサ119)よりも、膜部70d上で異方的な歪が生じる領域が広い。
検知素子50は、膜部70d上に配置される。膜部70dが外部圧力に対して撓んだ際に、検知素子50に歪が加わり、その結果、検知素子50において、外部圧力が電気抵抗の変化として検出される。既に説明したように、検知素子50においては、検知素子50に加わる歪の方向に応じて歪に対する電気抵抗の変化が異なる。異方性形状を有する膜部70d上に検知素子50を設けることで、検知素子50に異方歪が加わる領域の面積を広くすることができる。例えば、異方性形状を有する膜部70dを用いることで、異方歪を大きくできる。さらに、膜部70dにおいて異方歪が加わる領域の面積が拡大できるので、検知素子50の配置の自由度が高まる。さらに、面積が拡大できるので、その領域に配置できる検知素子50の数が増大できる。例えば、圧力に対して同様(例えば同じ極性)の電気抵抗の変化を示す検知素子の数が増大できる。本実施形態によれば、圧力の検知感度を高めることができる。
図5(a)〜図5(f)は、第1の実施形態に係る圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、圧力センサ110の特性のシミュレーション結果を例示している。図5(a)は、膜部70dの模式的斜視図である。図5(b)及び図5(c)は、膜部70dに圧力が加わったときの膜部70dの撓み量uzを例示している。図5(b)及び図5(c)における縦軸は、撓み量uz(μm)である。図5(b)の横軸は、X軸方向における位置dx(μm)である。図5(c)の横軸は、Y軸方向における位置dy(μm)である。位置dx及び位置dyの基準は、膜面70fsの重心70dcである。
図5(d)及び図5(e)は、圧力が加わった膜部70dにおいて生じる歪εを例示している。図5(d)及び図5(e)における縦軸は、歪ε(無単位)である。図5(d)の横軸は、位置dxであり、図5(e)の横軸は、位置dyである。これらの図においては、引張歪において、歪εは正であり、圧縮歪において、歪εは負である。これらの図には、X軸方向の歪である第1歪εxと、Y軸方向の歪である第2歪εyと、それらの差(異方歪Δε)と、が示されている。異方歪Δεは、第1歪εxと第2歪εyとの差(すなわち、εx−εy)である。異方歪Δεが、検知素子50の磁化自由層の磁化の方向の変化に寄与する。
図5(f)は、膜部70dに生じる異方歪ΔεのX−Y面内分布を例示している。
図5(a)に表したように、この例では、膜部70dの平面形状は、長方形である。そして、膜面70fsの重心70dc付近に検知素子50(この図では省略)が配置されている。この例では、膜部70dの長辺の長さ(第1長さL1)は、625μmである。短辺の長さ(第2長さL2)は、400μmである。膜部70dの厚さLtは、2μmである。
この例では、膜部70dの外縁70rを完全拘束の固定端としている。この例では、有限要素法解析によって、膜部70dの表面に生じる歪εの解析が行われる。有限要素法で分割した各要素において、フックの法則を適用して解析が行われている。
シミュレーションにおいて、膜部70dの材料は、シリコンが想定されている。膜部70dのヤング率は165GPaであり、ポアソン比は、0.22である。シミュレーションにおいては、膜部70dの裏面から、13.33kPaの均一な圧力が加えられたときの、膜部70dの表面の歪εが求められる。有限要素法においては、X−Y平面において、平面メッシュサイズは5μmとされ、厚み方向のメッシュサイズは、2μmある。
図5(b)及び図5(c)に示したように、長軸方向及び短軸方向において、膜面70fsの重心70dc付近では、膜部70dは凸状(上に向かって凸)である。そして、膜部70dの外縁70r付近では、膜部70dは凹状(下に向かって凸)である。外縁70r付近で凹状になるのは、固定端付近における反りによる。膜部70dが凸状に反っている領域では、膜部70d(ダイアフラム)の表面には引張歪が生じる。逆に、凹状に反っている領域では、膜部70dの表面には圧縮歪が生じる。
図5(d)及び図5(e)に示したように、凸状に反っている重心70dcにおいては、第1歪εx及び第2歪εyは、引張歪である。凹状に反っている外縁70r付近では、第1歪εx及び第2歪εyは、圧縮歪である。重心70dcにおいて、異方歪Δεは圧縮の値を示しており、長軸方向(X軸方向)の圧縮性の歪が存在する。換言すれば、短軸方向(Y軸方向)に、引張性の異方歪が存在する。重心70dcで得られた異方歪と同様の異方歪が、膜面70fsの重心70dcから外縁70rまでの間の広い範囲で存在している。
図5(f)は、図5(d)及び図5(e)に示した異方歪Δεに関して、膜部70dの全面において解析した結果が例示されている。図5(f)に示したコンター図において、「10%」〜「90%」の文字で示されている線は、重心70dcにおける異方歪Δεの値(絶対値)の、それぞれ10%〜90%の異方歪Δεが得られる位置を示している。図5(f)から分かるように、異方性形状を有する膜部70dを用いることにより、重心70dc付近の広い領域で、重心70dcと同等(重心70dcにおける値の70%以上)の異方歪Δεを得ることができる。本実施形態においては、この同等の異方歪Δεが得られる範囲内に、検知素子50(複数の検知素子50)を配置することができる。これにより、高感度の圧力センサが得られる。
膜部70dで得られる最大の異方歪Δεの値の実質的に0.7倍(70%)の異方歪が得られる領域を、異方歪発生領域70aとする。図5(d)に示した例では、重心70dcにおいて、最大の異方歪Δεが得られる。図5(d)に例示した「70%」の文字で示した線の内側の領域が、異方歪発生領域70aとなる。
図5(f)に示すように、膜部70dの平面形状が長方形である場合は、異方歪発生領域70aの形状も、実質的に長方形となる。異方歪発生領域70aを、本実施形態における中央部70cに対応させる。
図5(f)から分かるように、膜面70fsの重心70dcと、異方歪発生領域70aの重心と、は実質的に重なる。例えば、膜面70fsの重心70dcと、異方歪発生領域70aの重心と、の間の距離は、例えば、第2長さL2の1/10以下である。
そして、例えば、異方歪発生領域70aのX軸方向の長さ(中央部70cの第1方向の第3長さL3に対応する)は、第1長さL1の0.3倍以下である。異方歪発生領域70aのY軸方向の長さ(中央部70cの第2方向の第4長さL4に対応する)は、第2長さL2の0.3倍以下である。
実施形態においては、このような異方歪発生領域70aに検知素子50を配置する。例えば、検知素子50をX−Y平面に投影したときの、検知素子50の重心は、異方歪発生領域70aと重なる。複数の検知素子50を設ける場合には、X−Y平面に投影したときに、複数の検知素子50のそれぞれの重心は、異方歪発生領域70aと重なる。これにより、高感度な圧力センサを提供できる。
図6(a)〜図6(d)は、参考例の圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、参考例の圧力センサ119aの特性のシミュレーション結果を例示している。圧力センサ119aにおいては、膜部70dの第1長さL1は、500μmであり、第2長さL2)も500μmである。すなわち、膜部70dの平面形状は正方形である。これ以外は、圧力センサ110と同様である。シミュレーションの条件も圧力センサ110と同様である。
図6(a)は、膜部70dの模式的斜視図である。図6(b)の縦軸は、撓み量uzであり、横軸は位置dx(μm)である。図6(c)の縦軸は、歪ε(無単位)であり、横軸は位置dxである。この例では、膜部70dの平面形状が正方形であり、Y軸方向の特性はX軸方向の特性と同じである。図6(d)は、異方歪Δεを示している。この例では、重心70dc付近では異方歪が得られないため、図6(d)のコンター図において、等高線は描かれない。
図6(b)に表したように、膜面70fsの重心70dc付近では、膜部70dは凸状で、外縁70r付近では、膜部70dは凹状である。
図6(c)に表したように、凸状に反っている重心70dcにおいて、第1歪εx及び第2歪εyは、引張歪であり、凹状に反っている外縁70r付近では、圧縮歪である。そして、重心70dcにおいては、異方歪Δεは、零である。これは、正方形の膜部70dにおいては、X−Y平面において等方的であることに起因する。
このため、図6(d)に示すように、重心70dc付近では異方歪が得られる領域は存在しない。従って、圧力センサ119aにおいては、膜面70fsの重心70dc付近に検知素子50を配置しても電気抵抗の変化を得ることはできない。
上述したように、X−Y平面において等方的な正方形の膜部70d(圧力センサ119a)では、重心70dc付近で異方歪は得られない。これに対して、X−Y平面において異方性形状を有する長方形の膜部70d(圧力センサ110)では、重心70dc付近の広い領域で異方歪Δεを得ることができる。このように、重心70dcを含む中央部70cにおいて、大きな面積で異方歪を得るための構成が見出された。実施形態においては、異方性形状を有する膜部70dを用いる。そして、その膜部70dの中央部70cに検知素子50を配置することで、高感度で応力を検出できる。
例えば、異方性形状を有する長方形の膜部70dにおいて、重心70dc付近に複数の検知素子50を配置することによって、複数の検知素子50には同様の異方歪が加わる。このため、圧力に対して同様(例えば同じ極性)の電気抵抗の変化を示す複数の検知素子50を得ることができる。これらの検知素子50を例えば、電気的に直列に接続することによってS/N比を増大することができる。さらに、バイアス電圧を適切な値に設定することで、高感度な圧力センサを提供することができる。
以下、圧力センサの特性の例についてさらに説明する。
図7は、圧力センサを例示する模式的平面図である。
図7は、圧力センサ110の膜部70dにおける座標系を例示している。この例では、膜部70dの平面形状は、長方形である。すなわち、第1長さL1(X軸方向の長さ)は、第2長さL2(Y軸方向の長さ)よりも長い。膜面70fsの重心の座標(x,y)を(0,0)とする。膜部70dの外縁70rのX軸方向上の1つの点の座標は、(L1/2,0)である。膜部70dの外縁70rのY軸方向上の1つの点の座標は、(0,L2/2)である。
膜部70dの平面形状が長方形である場合には、異方歪発生領域70aの平面形状も長方形になる。異方歪発生領域70aの第1方向(X軸方向の長さ)を長さL3aとし、異方歪発生領域70aの第2方向(Y軸方向の長さ)を長さL4aとする。異方歪発生領域70aの外縁のX軸方向上の1つの点PXaの座標は、(L3a/2,0)である。異方歪発生領域70aの外縁のY軸方向上の1つの点PYaの座標は、(0,L4a/2)である。
以下、膜部70dの平面形状が、このような長方形である場合について、膜部70dのアスペクト比ARを変えたときの特性の例について説明する。アスペクト比ARは、第2長さL2の第1長さL1に対する比である(すなわち、AR=L2/L1)。
図8(a)〜図8(d)は、圧力センサの特性を例示するグラフ図である。
これらの図においては、以下の第1〜第6構成を有する圧力センサについての特性が示されている。
第1構成においては、第1長さL1は2500μmであり、第2長さL2は、100μmであり、アスペクト比ARは、0.04である。
第2構成においては、第1長さL1は1580μmであり、第2長さL2は、158μmであり、アスペクト比ARは、0.1である。
第3構成においては、第1長さL1は1000μmであり、第2長さL2は、250μmであり、アスペクト比ARは、0.25である。
第4構成においては、第1長さL1は625μmであり、第2長さL2は、400μmであり、アスペクト比ARは、0.64である。第4構成は、図5(a)〜図5(f)に関して説明した構成に対応する。
第5構成においては、第1長さL1は560μmであり、第2長さL2は、448μmであり、アスペクト比ARは、0.8である。
第6構成においては、第1長さL1は500μmであり、第2長さL2は、500μmであり、アスペクト比ARは、1である。第6構成は、図6(a)〜図6(d)に関して説明した構成に対応する。
これらの構成においては、いずれも、膜部70dの面積は、250,000μm2で一定である。
これらの構成に関して、有限要素法解析により、膜部70dの表面に生じる歪の解析が行われる。有限要素法における条件は、図5(a)〜図5(f)に関して説明した条件と同じである。
図8(a)の縦軸は、膜面70fsの重心70dcにおける異方歪Δε0(異方歪の絶対値)である。横軸は、膜部70dの平面形状(膜面70fsの形状)のアスペクト比ARである。図7(a)には、第1〜第6構成の特性が示されている。
図8(a)に示したように、アスペクト比ARが1である第6構成においては、重心70dcにおける異方歪Δε0は、零であり、異方歪は生じていない。
これに対して、アスペクト比ARが1未満である第1〜第5構成においては、異方歪Δε0の絶対値は、0よりも大きい。すなわち、重心70dcにおいて、異方歪が得られる。この結果から、アスペクト比ARが1未満であり、膜部70dが異方性形状を有する場合には、重心70dc付近に検知素子50を設けることで、高感度な圧力センサが得られることがわかる。
図8(a)から分かるように、アスペクト比ARが、0.1以上0.8以下のときに大きな絶対値の異方歪Δε0が得られる。アスペクト比ARが、0.25以上0.64以下のときにさらに大きな絶対値の異方歪Δε0が得られる。重心70dcにおいて大きな絶対値の異方歪Δε0を得るという観点では、アスペクト比ARは、0.1以上0.8以下とすることが好ましく、0.25以上0.64以下とすることがさらに好ましい。
第1〜第5構成においても、重心70dcと同等の異方歪が得られる領域(異方歪発生領域70a)の形状は、図5(d)に関して説明したのと同様に、長方形であることが分かった。
異方歪発生領域70aの面積の膜部70dの面積に対する比を面積比Raとする。この例では、異方歪発生領域70aの面積は、長さL3aと長さL4aとの積である。膜部70dの面積は、第1長さL1と第2長さL2との積である。
図8(b)の縦軸は、面積比Raであり、横軸は、アスペクト比ARである。
図8(b)から分かるように、アスペクト比が1の正方形の膜部70d(第6構成)では、面積比Raは零あり、重心70dc付近で異方歪が得られる領域はない。これに対して、アスペクト比ARが1未満の長方形の膜部70dでは、面積比Raは、零よりも大きい。すなわち、重心70dc付近で異方歪が得られる領域が存在する。アスペクト比ARが低い(第1長さL1と第2長さL2との差が大きい)と、面積比Raは大きく(高く)なる。膜部70d上で異方歪が得られる領域を広くするという観点では、アスペクト比ARは、0.64以下が好ましく、0.25以下がさらに好ましい。
異方歪発生領域70aの外縁の位置(座標は、図7参照)について説明する。
図8(c)の縦軸は、異方歪発生領域70aの外縁のX軸方向上の1つの点PXaの座標(距離Xa)を規格化して表している。距離Xaは、(L3a)/(L1)に相当する。
図8(d)の縦軸は、異方歪発生領域70aの外縁のY軸方向上の1つの点PYaの座用(距離Ya)を規格化して表している。距離Yaは、(L4a)/(L2)に相当する。
これらの図の横軸は、アスペクト比ARである。
アスペクトARが1のとき(第6構成)においては、異方歪発生領域70aは存在しない。図8(c)及び図8(d)においては、このときの距離Xa及び距離Yaを便宜的に零であるとして表示している。
図8(c)及び図8(d)に示したように、アスペクトARが1未満の場合には、距離Xa及び距離Yaは、零よりも大きく、異方歪発生領域70aが得られる。
これらの図からわかるように、アスペクト比ARが0.8以上1未満の場合には、
|Xa|≦(L1/2)×{−0.8×(L2/L1)+0.8}、
|Ya|≦(L2/2)×{−2.5×(L2/L1)+2.5}
の範囲が好ましい。
一方、アスペクト比ARが、0.8未満の場合には、
|Xa|≦(L1/2)×{−0.8×(L2/L1)+0.8}、
|Ya|≦(L2/2)×{0.375×(L2/L1)+0.2}
の範囲が好ましい。
すなわち、図8(c)において薄いハッチングで示した第1ハッチング領域R1が、異方歪発生領域70aの条件に対応する。第1ハッチング領域R1は、以下の第1式で表される。
Xa≦−0.8AR+0.8 …(1)
距離Xaは、L3a/L1であり、ARは、L2/L1であるため、以下の第2式が得られる。
L3a≦L1{−0.8×(L2/L1)+0.8} …(2)
一方、図8(d)において、薄いハッチングで示した第2ハッチング領域R2、または、濃いハッチングで示した第3ハッチング領域R3が、異方歪発生領域70aの条件に対応する。第2ハッチング領域R2は、以下の第3式で表される。
Ya≦0.375AR+0.2 …(3)
距離Yaは、L4a/2L2であり、L2/L1であるため、以下の第4式が得られる。
L4a≦L2{0.375AR+0.2} …(4)
第3ハッチング領域R3は、以下の第5式で表される。
Ya≦−2.5AR+2.5 …(5)
従って、以下の第6式が得られる。
L4a≦L2{−2.5AR+2.5} …(6)
すなわち、アスペクト比ARが、0.8以上1未満の場合には、第1式、第2式、第5式及び第6式で表される条件が好ましい。
一方、アスペクト比ARが、0.8未満の場合には、第1式、第2式、第3式及び第4式で表される条件が好ましい。
本実施形態においては、例えば、中央部70cを異方歪発生領域70aに対応させて設定する。すなわち、中央部70cの第3長さL3を、異方歪発生領域70aの長さL3aに対応させ、中央部70cの第4長さL4を、異方歪発生領域70aの長さL4aに対応させる。中央部70cの外縁70rは、異方歪発生領域70aの外縁に設定する。
従って、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8以上1未満の場合は、以下の第7式を満たすように、中央部70cを設定する。
L3=L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8} …(7)
このとき、第3長さL3は、第7式の右辺に実質的に等しく設定しても良い。すなわち、第3長さL3は、第7式の右辺の0.8倍以上1.2倍以下に設定する。
すなわち、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8以上1未満の場合は、第3長さL3は、L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
そして、同様に、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8以上1未満の場合は、以下の第8式を満たすように、中央部70cを設定する。
L4=L2×{−0.25×(L2/L1)+2.5} …(8)
このときも、第4長さL4は、第8式の右辺に実質的に等しく設定しても良い。すなわち、第4長さL4は、第8式の右辺の0.8倍以上1.2倍以下に設定する。
すなわち、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8以上1未満の場合は、第4長さL4は、L2×{−2.5×(L2/L1)+2.5}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
一方、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8未満の場合は、以下の第9式及び第10式が得られる。
L3=L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8} (9)
L4=L2×{0.375×(L2/L1)+0.2} (10)
従って、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8未満の場合は、第3長さは、L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。そして、第4長さL4は、L2×{0.375×(L2/L1)+0.2}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
このような条件を満たすことで、より大きな異方歪が得られ、高感度の圧力センサがより確実に得られる。
膜部70dの平面形状が長方形である場合において、膜部70dの厚さLtを変えた場合においても、異方歪発生領域70aは、図8(a)〜図8(d)に関して説明した特性と同様である。例えば、少なくとも膜部70dの厚さLtが0.01μm以上20μm以下において、第7〜第10式を実質的に満たすように設定することが好ましい。以降に説明する実施形態においても、膜部70dの厚さLtを変えた場合において、同様の結果が得られる。
以下、膜部70dの平面形状が長方形である場合において、膜部70dの材料を変えたときの特性の例について説明する。材料が異なることでヤング率が変わる。この例では、膜部70dのヤング率を変えて、特性がシミュレーションされている。
図9(a)及び図9(b)は、圧力センサの特性を例示するグラフ図である。図9(a)及び図9(b)のコンター図において、「10%」〜「90%」の文字で示されている線は、重心70dcにおける異方歪Δεの値(絶対値)の、それぞれ10%〜90%の異方歪Δεが得られる位置を示している。これらの表示は、以下に示すコンター図においても同様である。
図9(a)は、膜部70dのヤング率が0.01GPaである場合について、異方歪発生領域70aについて計算した結果を例示している。このヤング率の値は、膜部70dの材料がゴムである場合に対応する。図9(b)は、膜部70dのヤング率が1200GPaである場合について、異方歪発生領域70aについて計算した結果を例示している。この値は、膜部70dの材料がダイヤモンドである場合に対応する。ヤング率以外の計算条件は、図5(a)〜図5(f)に結果を示した条件と同様である。
図9(a)及び図9(b)に示したように、0.01GPaと1200GPaとのいずれのヤング率を用いて計算した場合においても、膜部70dの異方歪発生領域70aは、図5(f)に示した165GPaの計算結果と同等であることがわかる。
このように、膜部70dの材料を変えた場合においても、異方歪発生領域70aは、図8(a)〜図8(d)に関して説明した特性と同様である。従って、少なくとも膜部70dのヤング率が0.01GPa以上1200GPa以下において、第7〜第10式を実質的に満たすように設定することが好ましい。
既に説明したように、図9(a)及び図9(b)は、膜部70dが異なるヤング率を有する場合についての例を示している。膜部70dが異なるポアソン比を有する場合についても、同様な異方歪発生領域70aを得ることができる。以下に説明する実施形態においても、膜部70dのヤング率及びポアソン比の少なくともいずれかを変えた場合においても、同様な異方歪発生領域70aを得ることができる。
本実施形態において、膜部70dの平面形状は、異方性形状を有していれば、長方形に限らず、種々の変形が可能である。以下、膜部70dの平面形状が扁平円(例えば楕円)である場合の例について説明する。
図10(a)〜図10(d)は、第1の実施形態に係る別の圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、本実施形態に係る圧力センサ111の特性のシミュレーション結果を例示している。図10(a)は、膜部70dの模式的斜視図である。図10(b)及び図10(c)は、圧力が加わった膜部70dにおいて生じる歪εを例示している。図10(b)及び図10(c)における縦軸は、歪εである。図10(b)の横軸は、位置dxであり、図10(c)の横軸は、位置dyである。図10(d)は、膜部70dに生じる異方歪ΔεのX−Y面内分布を例示している。
図10(a)に表したように、膜部70dの平面形状(膜面70fsの形状)は、扁平円(楕円も含む)である。すなわち、膜部70dをX−Y平面に投影した形状は、第1方向(この例ではX軸方向)を長軸とし第2方向(この例ではY軸方向)を短軸とした扁平円である。膜面70fsの形状は、第1方向を長軸とし第2方向を短軸とした扁平円である。
この例では、楕円の膜面70fsの重心70dc付近に検知素子50(この図では省略)が配置される。この例では、膜部70dの長軸の長さ(第1長さL1)は、704μmであり、短軸の長さ(第2長さL2)は、452μmである。膜部70dの厚さLtは、2μmである。シミュレーションの条件は、既に説明した条件と同じである。
圧力センサ111においても、長軸方向及び短軸方向において、膜面70fsの重心70dc付近では膜部70dは凸状である。外縁70r付近では、固定端付近の反りにより、凹状となる。凸状に反っている領域では、膜部70dの表面には引張歪が生じ、凹状に反っている領域では、膜部70dの表面には圧縮歪が生じる。
図10(b)及び図10(c)から分かるように、この場合も、凸状に反っている重心70dcにおいて、第1歪εx及び第2歪εyは、引張歪である。重心70dcにおいて、異方歪Δεは圧縮歪である。重心70dcにおいて、長軸方向(X軸方向)に圧縮性の歪が存在する。換言すれば、短軸方向(Y軸方向)に引張性の異方歪が存在する。この場合も、重心70dcで得られた異方歪と同様な異方歪が、重心70dcから外縁70rまでの間の広い範囲で存在する。
図10(d)は、異方歪発生領域70aを示している。既に説明したように、膜部70dで得られる最大の異方歪Δε(重心70dcにおける異方歪Δε0)の値(絶対値)の0.7倍の異方歪が得られる領域が、異方歪発生領域70aである。図10(d)に示すように、異方性形状を有する膜部70dを用いることにより、重心70dc付近の広い範囲(異方歪発生領域70a)で、重心70dcと同等の異方歪Δεを得ることができる。この異方歪発生領域70aに検知素子50(複数の検知素子50)を配置する。これにより、高感度の圧力センサが得られる。
図10(a)に例示した圧力センサ111におけるアスペクト比ARは、図5(a)に例示した圧力センサ110におけるアスペクト比ARと同じである。これらの圧力センサを比較すると、圧力センサ111(楕円形の膜部70d)の方が、圧力センサ110(長方形の膜部70d)よりも、異方歪発生領域70aの面積が広い。
図10(d)に示すように、膜部70dの平面形状が扁平円(楕円を含む)である場合は、異方歪発生領域70aの形状も、扁平円(または略円形)となる。この場合も、異方歪発生領域70aを、本実施形態における中央部70cに対応させる。
この場合も、膜面70fsの重心70dcと、異方歪発生領域70aの重心と、は実質的に重なる。例えば、膜面70fsの重心70dcと、異方歪発生領域70aの重心と、の間の距離は、例えば、第2長さL2の1/10以下である。
この場合も、例えば、異方歪発生領域70aのX軸方向の長さ(中央部70cの第1方向の第3長さL3に対応する)は、第1長さL1の0.3倍以下である。異方歪発生領域70aのY軸方向の長さ(中央部70cの第2方向の第4長さL4に対応する)は、第2長さL2の0.3倍以下である。
膜部70dの平面形状が扁平円である場合にも、このような異方歪発生領域70aに検知素子50を配置することで、高感度で圧力を検知することができる。
図11(a)〜図11(c)は、参考例の圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、参考例の圧力センサ119bの特性のシミュレーション結果を例示している。圧力センサ119bにおいては、膜部70dの平面形状は、円形であり、第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれが、564μmである。これ以外は、圧力センサ111と同様である。シミュレーションの条件も圧力センサ111と同様である。圧力センサ119bにおける膜部70dの面積は、圧力センサ111における膜部70dの面積と同じである。この例では、膜部の半径方向の歪εrと、円周方向の歪εθと、が求められる。異方性歪Δεは、εr−εθで表される。
図11(b)から分かるように、重心70dcにおいて、異方歪Δεは零である。これは、円形の膜部70dがX−Y平面において等方的であることに起因する。
図11(c)のコンター図において、等高線が描かれていないのは、重心70dc付近において、異方歪Δεが得られないことを示している。すなわち、円形の膜面70fsの重心70dc付近では、異方歪が得られる領域は存在しない。このため、重心70dc付近に検知素子50を配置しても電気抵抗の変化を得ることはできない。
このように、扁平円(例えば楕円)の膜部70dを用い、膜面70fsの重心70dcを含む領域(中央部70c)に検知素子50を配置することによって、異方歪を検知素子50に加えることができる。そして、この領域に複数の検知素子50を設けると、複数の検知素子において、圧力に対して同様(例えば同じ極性)の電気抵抗の変化が生じる。これらの複数の検知素子50を例えば、電気的に直列に接続することによってS/N比を増大することができる。また、バイアス電圧を適切な値に設定することで、高感度な圧力センサが得られる。
以下、膜部70dの平面形状が扁平円である場合に関して、圧力センサの特性の例についてさらに説明する。
図12は、圧力センサを例示する模式的平面図である。
図12は、圧力センサ111の膜部70dにおける座標系を例示している。この例では、膜部70dの平面形状は、楕円である。この場合も、膜部70dの外縁及び異方歪発生領域70aの外縁の座標は、図7に関して説明したのと同様に定義できる。そして、膜部70のアスペクト比ARも同様に定義できる。
膜部70dの平面形状が楕円である場合について、以下のような第7〜第12構成を有する圧力センサの特性の例について説明する。
第7構成においては、第1長さL1(長軸の長さ)は2820μmであり、第2長さL2(短軸の長さ)は、112μmであり、アスペクト比ARは、0.04である。
第8構成においては、第1長さL1は1784μmであり、第2長さL2は、178μmであり、アスペクト比ARは、0.1である。
第9構成においては、第1長さL1は1000μmであり、第2長さL2は、250μmであり、アスペクト比ARは、0.25である。
第10構成においては、第1長さL1は704μmであり、第2長さL2は、452μmであり、アスペクト比ARは、0.64である。第10構成は、図10(a)〜図10(d)に関して説明した構成に対応する。
第11構成においては、第1長さL1は630μmであり、第2長さL2は、504μmであり、アスペクト比ARは、0.8である。
第12構成においては、第1長さL1は564μmであり、第2長さL2も、564μmであり、アスペクト比ARは、1である。第12構成は、図11(a)〜図11(c)に関して説明した構成に対応する。
これらの構成においては、いずれも、膜部70dの面積は、250,000μm2で一定である。
これらの異なるアスペクト比ARを有する第7〜第12構成について、上記と同様の条件(膜部70dの厚さ、材料パラメータ、及びメッシュ分割等の条件)を用いて特性をシミュレーションした結果は、以下である。
アスペクト比ARが1である第12構成においては、重心70dcにおいては、異方歪は生じない。これに対して、アスペクト比ARが1未満の第7〜第11構成においては、重心70dcにおいて異方歪が得られる。異方性形状を有する膜部70dにおいて、重心70dc付近に検知素子50を設けることで、高感度な圧力センサが得られる。
膜部70dの平面形状が扁平円である場合における歪の、アスペクト比AR依存性は、平面形状が長方形である場合における歪みに、アスペクト比AR依存性と、同様である。このことから、重心70dcにおける異方歪の値(絶対値)を大きくする観点では、膜部70dのアスペクト比ARは、0.1以上0.8以下とすることが好ましく、0.25以上0.64以下とすることがさらに好ましい。
さらに、アスペクト比ARを変えた楕円状の膜部70dについて、異方歪発生領域70aを調べた結果、長方形状の膜部70dにおける特性と同様であることが分かった。
例えば、異方歪発生領域70aの膜部70dの面積に対する比(面積比Ra)は、アスペクト比が低い(第1長さL1と第2長さL2との差を大きくする)と、高く(大きく)なる。このことから、異方歪発生領域70aの面積を広くする観点では、アスペクト比ARは、0.64以下が好ましく、0.25以下がさらに好ましい。
膜部70dの平面形状が扁平円である場合も、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8以上1未満の場合は、上記の第7式及び第8式を満たすように、設定することが好ましい。従って、膜部70dの平面形状が扁平円である場合も、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8以上1未満の場合は、第3長さL3は、L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。そして、第4長さL4は、L2×{−2.5×(L2/L1)+2.5}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
膜部70dの平面形状が扁平円である場合も、上記の第9式及び第10式を満たすように設定することが好ましい。すなわち、アスペクト比AR(L2/L1)が0.8未満の場合は、第3長さは、L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。そして、第4長さL4は、L2×{0.375×(L2/L1)+0.2}の0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
このような条件を満たすことで、より大きな絶対値の異方歪が得られ、高感度の圧力センサがより確実に得られる。
図13(a)〜図13(c)は、第1の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的平面図である。
これらの図は、膜部70dの平面形状を例示している。
図13(a)に表したように、本実施形態に係る別の圧力センサ112においては、膜部70dの平面形状は、略矩形(長方形)であり、そのコーナー部70scが曲線状である。すなわち、膜部70dは、第1〜第4辺70s1〜70s4を有しており、これらの辺が、曲線状のコーナー部70scにより、接続されている。
図13(b)に表したように、本実施形態に係る別の圧力センサ113においては、膜部70dは、第1〜第4辺70s1〜70s4を有しており、これらの辺が、直線状のコーナー部70scにより接続されている。
このように、本実施形態においては、2つの辺が、コーナー部70scにより接続されても良い。この状態も、2つの辺が接続されている状態に含まれる。
図13(c)に表したように、本実施形態に係る別の圧力センサ114においては、膜部70dの平面形状は、平行四辺形であり、この例ではひし形である。すなわち、膜部70dは、第1〜第4辺70s1〜70s4を有している。第1辺70s1及び第2辺70s2は、第1方向(例えばX軸方向)に沿っており、第3辺70s1及び第4辺70s4は、第1方向に対して傾斜する第3方向に沿っている。第3方向は、第1方向に対して非平行であり、第1方向に対して直交していない。この例においても、これらの辺が、曲線状または直線状のコーナー部70scにより接続されても良い。
圧力センサ112〜114においても、膜部70dの平面形状は、異方性形状を有している。すなわち、例えば、膜面70fsの重心70dcを通る第1軸70xに沿う、膜部70dの長さは、第1軸70xと交差(例えば直交)し膜面70fsの重心70dcを通る第2軸70yに沿う膜部70dの長さよりも長い。このような膜部70dの中央部70cに検知素子50を配置する。圧力センサ112〜114によっても、高感度の圧力センサが得られる。
本実施形態において、異方歪発生領域70aの形状は、膜部70dの平面形状に対応する。膜部70dの平面形状が長方形の場合は、異方歪発生領域70aは、膜面70fsの重心70dcの付近の長方形の範囲となる。膜部70dの平面形状が扁平円の場合は、異方歪発生領域70aは、膜面70fsの重心70dcの付近の扁平円の範囲となる。膜部70dの平面形状がひし形の場合は、異方歪発生領域70aは、膜面70fsの重心70dcの付近のひし形の範囲となる。これらの異方歪発生領域70aが、膜部70dの中央部70cとなる。
本実施形態において、検知部50uに複数の検知素子を設けても良い。
図14(a)〜図14(c)は、第1の実施形態に係る圧力センサを例示する模式図である。
これらの図は、複数の検知素子の接続状態の例を示している。
図14(a)に表したように、複数の検知素子50は、直列に接続されている。複数の検知素子50が直列に接続されている検知素子の数をNとしたとき、得られる電気信号は、検知素子50の数が1である場合のN倍となる。その一方で、熱ノイズ及びショットキーノイズは、N1/2倍になる。すなわち、SN比(signal-noise ratio:SNR)は、N1/2倍になる。直列の接続する検知素子50の数Nを増やすことで、膜部70dのサイズを大きくすることなく、SN比を改善することができる。
本実施形態では、異方性形状を有する膜部70dを用いることで、その重心70dc付近に集合して配置された複数の検知素子50のそれぞれの、圧力に対する電気抵抗の変化(例えば極性)は、同様である。そのため、複数の検知素子50のそれぞれの信号を加算することが可能である。
1つの検知素子50に加えられるバイアス電圧は、例えば、50ミリボルト(mV)以上150mV以下である。N個の検知素子50を直列に接続した場合は、バイアス電圧は、50mV×N以上150mV×N以下となる。例えば、直列に接続されている検知素子50の数Nが25である場合には、バイアス電圧は、1V以上3.75V以下となる。
バイアス電圧の値が1V以上であると、検知素子50から得られる電気信号を処理する電気回路の設計は容易になり、実用的に好ましい。本実施形態においては、圧力が印加されたときに同じ極性の電気信号が得られる検知素子50を、複数配置することができる。このため、これらを直列に接続して、上記のように、SN比が向上できる。
バイアス電圧(端子間電圧)が10Vを超えると、検知素子50から得られる電気信号を処理する電気回路においては、望ましくない。実施形態においては、適切な電圧範囲になるように、直列に接続される検知素子50の数N、及び、バイアス電圧が設定される。
例えば、複数の検知素子50を電気的に直列に接続したときの電圧は、1V以上10V以下となるのが好ましい。例えば、電気的に直列に接続された複数の検知素子50の端子間(一方の端の端子と、他方の端の端子と、の間)に印加される電圧は、1V以上10V以下である。
この電圧を発生させるためには、1つの検知素子50に印加されるバイアス電圧が50mVである場合、直列に接続される検知素子50の数Nは、20以上200以下が好ましい。1つの検知素子50に印加されるバイアス電圧が150mVである場合、直列に接続される検知素子50の数Nは、7以上66以下であることが好ましい。
図14(b)に表したように、複数の検知素子50の少なくとも一部は、電気的に並列に接続されても良い。
図14(c)に表したように、複数の検知素子50がホイートストンブリッジ回路を形成するように、複数の検知素子50を接続しても良い。これにより、例えば、検出特性の温度補償を行うことができる。
図15(a)〜図15(c)は、第1の実施形態に係る圧力センサを例示する模式的斜視図である。
これらの図は、複数の検知素子50の接続の例を示している。
図15(a)に表したように、複数の検知素子50が電気的に直列に接続される場合において、下部電極60b(例えば第2配線62)と、上部電極60a(例えば第1配線61)と、の間に検知素子50及びビアコンタクト65を設ける。これにより、通電方向は、一方向となる。複数の検知素子50に通電される電流は、下向き、または、上向きである。この接続においては、複数の検知素子50のそれぞれのシグナル・ノイズ特性を互いに近い特性にできる。
図15(b)に表したように、ビアコンタクト65が設けられずに、下部電極60bと、上部電極60aと、の間に検知素子50が配置されている。この例では、隣り合う2つの検知素子50のそれぞれに通電される電流の方向は、互いに逆である。この接続においては、複数の検知素子50の配置の密度が高い。
図15(c)に表したように、1つの下部電極60bと、1つの上部電極60aと、の間に、複数の検知素子50が設けられている。複数の検知素子50は、並列に接続されている。
(第2の実施形態)
図16(a)〜図16(d)は、第2の実施形態に係る圧力センサを例示する模式図である。
図16(a)は、模式的斜視図である。図16(b)は、図16(a)及び図16(c)のA1−A2線断面図である。図16(c)は、模式的平面図である。図16(d)は、圧力センサに含まれる膜部の模式的平面図である。
図16(a)〜図16(c)に表したように、本実施形態に係る圧力センサ120も、膜部70dと、検知部50uと、を含む。この例では、支持部70sが設けられている。膜部70dは、支持部70sに支持され、可撓性を有する。検知部50uは、複数の検知素子50(例えば第1〜第5検知素子50a〜50eなど)を含む。複数の検知素子50は、膜部70dの上に設けられている。この例でも、複数の検知素子50のそれぞれは、第1磁性層10と、第1磁性層10と膜部70dとの間に設けられた第2磁性層20と、第1磁性層10と第2磁性層20との間に設けられた中間層30と、を含む。中間層30には、例えば、磁性性材料を用いることができる。圧力センサ120においては、検知部50uの配置が、圧力センサ110とは異なっている。
複数の検知素子50うちの少なくとも2つの、第1方向(例えばX軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。この例では、複数の検知素子50は、膜部70dの外縁70rに沿って並ぶ。これ以外は、圧力センサ110と同様なので説明を省略する。
図16(c)に表したように、圧力センサ120においては、膜部70dに素子配置領域75(例えば、第1素子配置領域76及び第2素子配置領域77)が設けられている。素子配置領域75は、膜部70dの外縁に沿って延在している。この素子配置領域75の上に、複数の検知素子50が設けられる。
素子配置領域75は、膜部70dの周辺部70pの上に設けられている。すなわち、膜部70dは、中央部70cと、周辺部70pと、を含んでいる。周辺部70pは、中央部70cの周りに設けられている。複数の検知素子50は、膜部70dの周辺部70pのうちの素子配置領域75の上に設けられている。
すなわち、複数の検知素子50は、中央部70cから周辺部70pに向かう放射状ではなく、周辺部70pにおいて、外縁70rに沿って並べることができる。
この例では、膜部70dの平面形状は、異方性形状を有している。すなわち、膜部70dの、膜面70fs内の第1方向(例えばX軸方向)の膜部70dの第1長さL1は、第2方向(例えばY軸方向であり、第1方向に対して垂直で膜面70fs内の方向)の膜部70dの第2長さL2よりも長い。
この場合、素子配置領域75内に設けられている複数の検知素子50の少なくとも2つの、第1方向(例えばX軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。この例では、複数の検知素子50は、素子配置領域75内において、第1方向(この例ではX軸方向)に沿って並ぶ。
本実施形態においては、例えば、複数の検知素子のうちの最近接の2つの検知素子50が、外縁70rに沿って並べられる。
この例では、膜部70dの平面形状は、略矩形である。
すなわち、図16(d)に表したように、膜部70dは、第1〜第4辺70s1〜70s4を有する。第1辺70s1は、第1方向(例えばX軸方向)に沿う。第2辺70s2は、第1辺70s1と離間し、第1方向に沿う。第3辺70s3は、第1辺70s1の一端70s11と、第2辺70s2の一端70s21と、に接続され、第2方向(例えばY軸方向)に沿う。第4辺70s4は、第1辺70s1の他端70s12と、第2辺70s2の他端70s22と、に接続され、第3辺70s3と離間し、第2方向に沿う。後述するように、これらの辺の間は、直線状または曲線状のコーナー部により接続されても良い。
こように、膜部70dの平面形状が略矩形である場合、素子配置領域75は、矩形の辺に沿って延在するように設けられる。この例では、膜部70dの周辺部70pは、第1辺70s1に沿って設けられた第1素子配置領域76を含む。複数の検知素子50は、第1素子配置領域76の上に設けられ、複数の検知素子50(の少なくとも2つ)の、第1方向(例えばX軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。この例では、第1素子配置領域76の上に設けられた複数の検知素子50は、第1辺70s1に沿って並ぶ。
この例では、膜部70dの周辺部70pは、第2辺70s2に沿って設けられた第2素子配置領域77を含む。複数の検知素子50は、第2素子配置領域77の上にさらに設けられている。第2素子配置領域77の上に設けられた複数の検知素子50(の少なくとも2つ)の、第1方向(例えばX軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。この例では、第2素子配置領域77の上に設けられた複数の検知素子50は、第2辺70s2に沿って並ぶ。
このように、本実施形態に係る圧力センサ120においては、複数の検知素子50の少なくとも2つは、第1方向(例えばX軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なり、例えば、第1方向に沿って並ぶ。これにより、複数の検知素子50において、印加される圧力に対して同様の抵抗変化が生じる。本実施形態によれば、高感度の圧力センサを提供できる。
圧力センサ120において、例えば、第1素子配置領域76及び第2素子配置領域77の少なくともいずれかに、複数の検知素子50が配置される。換言すれば、第1素子配置領域76が設けられ、第2素子配置領域77が設けられなくても良い。または、第2素子配置領域77が設けられ、第1素子配置領域76が設けられなくても良い。
本実施形態において、複数の検知素子50の接続には、例えば、図14(a)〜図14(c)、並びに、図15(a)〜図15(c)に関して説明したいずれかの構成を適用できる。
圧力センサ120においては、膜部70dの平面形状が異方性形状を有している。そして、複数の検知素子50は、膜部70dのうちの素子配置領域75上に集合して設けられている。素子配置領域75は、膜部70dのうちの、短軸の端部付近の領域である。
第1の実施形態に関して説明したように、膜部70dの平面形状が異方性形状を有している場合、圧力が膜部70dの一方の面から加わり膜部70dが撓んだ際に、膜部70dの長軸方向と短軸方向とで、互いに異なる歪が、膜部70dの表面に生じる。短軸方向に生じる歪のほうが、長軸方向に生じる歪みよりも大きくなる。異方性形状を有する膜部70dにおいては、等方的な形状を有する膜部70dよりも、膜部70d上で異方的な歪が生じる領域が広がる。この傾向は、膜部70dの短軸側の端部付近でも確認される。
等方的な形状の膜部70dの端部よりも、異方性形状を有する膜部70dの短軸側の端部においては、広い領域で、大きな絶対値の異方歪が生じる。このため、圧力に対して同様(例えば同じ極性の)電気抵抗の変化を生じる検知素子50の数を増大させることができる。これにより、高感度の圧力センサを提供することができる。
複数の検知素子50を直列に接続することで、SN比を改善することができる。本実施形態においても、圧力が印加されたときに同じ極性の電気信号が得られる検知素子50を配置することができる。これにより、SN比が向上できる。実施形態においては、例えば、適切な電圧範囲になるように、直列に接続される検知素子50の数N、及び、バイアス電圧が設定される。例えば、複数の検知素子50を電気的に直列に接続したときの電圧は、1V以上10V以下となるのが好ましい。例えば、1つの検知素子50に印加されるバイアス電圧が50mVである場合、直列の接続される検知素子50の数Nは、20以上200以下が好ましい。1つの検知素子50に印加されるバイアス電圧が150mVである場合、直列の接続される検知素子50の数Nは、7以上66以下であることが好ましい。
複数の検知素子50の少なくとも一部は、電気的に並列に接続されても良い。複数の検知素子50が、ホイートストンブリッジ回路を形成するように、複数の検知素子50を接続しても良い。これにより、例えば、検出特性の温度補償を行うことができる。
この例では、素子配置領域75(第1素子配置領域76及び第2素子配置領域77のそれぞれ)の平面形状は、略長方形である。
例えば、第1素子配置領域76の第1方向(例えばX軸方向)の長さ(第5長さL5)は、第1長さL1の0.5倍以下である。第1素子配置領域76の第2方向(例えばY軸方向)の幅(第6長さL6)は、第2長さL2の0.1倍以下である。
第1素子配置領域76のX軸方向の中心は、膜部70dのX軸方向の中心と、実質的に一致する。例えば、第1素子配置領域76の第1方向(例えばX軸方向)の中心と、膜部70dの第1方向の中心と、の間の第1方向の距離は、第2長さL2の1/10以下である。
同様に、例えば、第2素子配置領域77の第1方向(例えばX軸方向)の長さ(第7長さL7)は、第1長さL1の0.5倍以下である。第2素子配置領域77の第2方向(例えばY軸方向)の幅(第8長さL8)は、第2長さL2の0.1倍以下である。
第2素子配置領域77のX軸方向の中心は、膜部70dのX軸方向の中心と、実質的に一致する。例えば、第2素子配置領域77の第1方向(例えばX軸方向)の中心と、膜部70dの第1方向の中心と、の間の第1方向の距離は、第2長さL2の1/10以下である。
以下、膜部70dの平面形状が長方形であり、その短軸側の端部付近に複数の検知素子50を集合して配置した場合の特性の例について説明する。
図17(a)及び図17(b)は、第2の実施形態に係る圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、圧力センサ120の特性のシミュレーション結果を例示している。図17(a)は、膜部70dの模式的斜視図である。図17(b)は、膜部70dに生じる異方歪ΔεのX−Y面内分布を例示している。
図17(a)に表したように、この例では、膜部70dの平面形状は、長方形である。この例では、膜部70dの長軸方向の長さ(第1長さL1)は、625μmであり、短軸方向の長さ(第2長さL2)は400μmであり、厚さLtは2μmである。
このような膜部70dについて、膜部70dの表面に生じる歪の解析が行われる。解析の有限要素法の条件は、第1の実施形態に関して説明したのと同様である。膜部70dの変位の、重心70dcからの距離依存性は、第1の実施形態に関して説明した結果(図5(d)及び図5(e))と同じである。膜部70dの短軸側の端部において得られる異方歪(絶対値)の最大値の0.4倍(すなわち、40%)以上の異方歪が得られる範囲を、端部異方歪発生領域75aとする。2つの端部が存在するので、端部異方歪発生領域75aは、第1端部異方歪発生領域76aと、第2端部異方歪発生領域77aと、を含む。
図17(b)は、第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77aを例示するコンター図である。
図17(b)から分かるように、異方性形状を有する膜部70dを用いることにより、短軸方向の2つの端部の付近に、それぞれ、第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77aが生じる。これらの領域の面積は大きい。端部異方歪発生領域75aの面積(第1端部異方歪発生領域76aの面積と第2端部異方歪発生領域77aの面積の和)は、約8500μm2である。
このように、端部付近の広い範囲において、短軸方向の端部と同等の異方歪を得ることができる。本実施形態においては、この同等の異方歪が得られる範囲内に複数の検知素子50を配置する。すなわち、例えば、第1端部異方歪発生領域76aを第1素子配置領域76とし、第2端部異方歪発生領域77aを第2素子配置領域77とする。このような領域に複数の検知素子50を配置することで、高感度の圧力センサが得られる。
図17(b)から分かるように、膜部70dが長方形の形状を有する場合は、端部異方歪発生領域75a(第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77a)の形状も、略長方形となる。
第1端部異方歪発生領域76aのX軸方向の長さ(第5長さL5に対応する)は、第1長さL1の0.5倍以下である。第1端部異方歪発生領域76aのY軸方向の幅(第6長さL6に対応する)は、第2長さL2の0.1倍以下である。第1端部異方歪発生領域76aは、膜面70fsの重心70dcを通り第2方向に対して平行な軸を対称軸して、実質的に線対称である。例えば、第1端部異方歪発生領域76aのX軸方向の中心と、膜部70dのX軸方向の中心と、の間のX軸方向の距離は、第2長さL2の1/10以下である。
同様に、第2端部異方歪発生領域77aのX軸方向の長さ(第7長さL7に対応する)は、第1長さL1の0.5倍以下である。第2端部異方歪発生領域77aのY軸方向の幅(第8長さL8に対応する)は、第2長さL2の0.1倍以下である。例えば、第2端部異方歪発生領域77aのX軸方向の中心と、膜部70dのX軸方向の中心と、の間のX軸方向の距離は、第2長さL2の1/10以下である。
このような第1端部異方歪発生領域76aに第1素子配置領域76を対応させ、このような第2端部異方歪発生領域77aに第2素子配置領域77を対応させる。本実施形態においては、このような領域の上に、膜部70dの外縁70rに沿って、複数の検知素子50を配置する。例えば、複数の検知素子50をX−Y平面に投影したときに、複数の検知素子50のそれぞれの重心は、これらの領域と重なる。これにより、高感度の圧力センサが得られる。
本実施形態において、第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77aの少なくともいずれかに、複数の検知素子50が設けられる。
図18(a)及び図18(b)は、参考例の圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、参考例の圧力センサ119bの特性のシミュレーション結果を例示している。図18(a)は、膜部70dの模式的斜視図である。図18(b)は、膜部70dに生じる異方歪ΔεのX−Y面内分布を例示している。
図18(a)に表したように、参考例の圧力センサ119bにおいては、膜部70dの平面形状は、円形である。膜部70dの平面形状の直径(第1長さL1及び第2長さL2)は、564μmであり、厚さLtは2μmである。圧力センサ119bにおける歪は、図11(b)に関して説明した通りである。歪の解析結果から、端部異方歪発生領域75a(膜部70dの短軸側の端部において得られる異方歪の絶対値の最大値の0.4倍(すなわち、40%)以上の異方歪が得られる範囲)が求められる。
図18(b)は、端部異方歪発生領域75aのコンター図である。参考例においては、第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77aのそれぞれの面積は、小さい。端部異方歪発生領域75aの面積(第1端部異方歪発生領域76aの面積と第2端部異方歪発生領域77aの面積の和)は、約5000μm2である。
圧力センサ120と、圧力センサ119bと、では、膜部70dの面積は同じである。端部異方歪発生領域75aの膜部70dの面積に対する比は、圧力センサ120の方が圧力センサ119bに比べて高い。
このように、異方性形状(例えば長方形)を有する膜部70dを用いることで、等方的な円形の膜部70dを用いた場合よりも、大きな異方歪が得られる領域(端部異方歪発生領域75a)が大きくできる。本実施形態においては、この領域に複数の検知素子50を配置する。
圧力センサ120では、異方性形状を有する長方形の膜部70dにおいて、その短軸方向の外縁70rに沿って、集合して、複数の検知素子50が配置される。これにより、複数の検知素子50には、同様(例えば同じ極性)の異方歪が加わる。本実施形態においては、圧力に対して同様(例えば同じ極性)の電気抵抗の変化を示す複数の検知素子50を、その領域に配置できる。これらの検知素子を例えば、電気的に直列に接続することによってS/N比を向上することができる。さらに、バイアス電圧を適切な値に設定することで、高感度な圧力センサを提供することができる。
以下、膜部70dの平面形状が長方形であり、膜部の短軸方向の端部付近に複数の検知素子50を集合して配置した場合において、膜部70dのアスペクトを変えたときの特性の例について説明する。以下では、端部異方歪発生領域75aのうちの第1端部異方歪発生領域76aについて説明する。
図19は、圧力センサを例示する模式的平面図である。
図19は、圧力センサ120の膜部70dにおける座標系を例示している。膜面70fsの重心の座標(x,y)は(0,0)である。膜部70dの外縁70rのX軸方向上の1つの点の座標は、(L1/2,0)である。膜部70dの外縁70rのY軸方向上の1つの点の座標は、(0,L2/2)である。
第1端部異方歪発生領域76aの第1方向(X軸方向の長さ)の長さを長さL5aとし、第1端部異方歪発生領域76aの第2方向(Y軸方向の長さ)の長さを長さL6aとする。第2長さL2と長さL6aとの差をΔL6a(すなわち、ΔL6a=L2−2×L6a)とする。第1端部異方歪発生領域76aの外縁のX軸方向上の1つの点PXa1の座標は、(L5a/2,L2/2)である。第1端部異方歪発生領域77aの重心70dc側の外縁上のY軸方向上の1つの点PYa1の座標は、(0,ΔL6a/2)である。
以下、膜部70の平面形状がこのような長方形である場合について、膜部70dのアスペクト比ARを変えたときの特性の例について説明する。
図20(a)〜図20(d)は、圧力センサの特性を例示するグラフ図である。
これらの図においては、既に説明した第1〜第6構成を有する圧力センサについての特性が示されている。さらに、これらの図においては、第13構成の圧力センサの特性も示されている。
第13構成においては、膜部70dの平面形状は、円形である。すなわち、第1長さL1は564μmであり、第2長さL2は、564μmであり、アスペクト比ARは、1である。第13構成は、図18(a)及び図18(b)に関して説明した構成に対応する。
第1〜第5構成においては、膜部70dの平面形状は、長方形であり、異方性形状を有する。第6構成においては、膜部70dの平面形状は、正方形である。第13構成においては、膜部70dの平面形状は円形である。図20(a)〜図20(d)においては、第1〜第6構成の値を塗りつぶしの印で表示している。図20(a)及び図20(b)においては、第13構成の値を、塗り潰していない丸印で表示している。
これらの構成に関して、有限要素法解析により、膜部70dの表面に生じる歪の解析が行われる。有限要素法における条件は、図5(a)〜図5(f)に関して説明した条件と同じである。
図20(a)の縦軸は、膜部70dの端部における異方歪Δεe(異方歪の絶対値)である。横軸は、膜部70dの平面形状のアスペクト比ARである。第13構成(塗り潰していない丸印)においては、端部における異方歪Δεeの絶対値は、小さい。これに対して、第1〜第6構成(塗りつぶしの印)においては、端部における異方歪Δεeの絶対値が大きい。このように、膜部70dの平面形状が円形の場合に比べて、平面形状が長方形または正方形の第1〜第6構成においては、大きな絶対値の異方歪Δεeが得られる。
図20(a)から、膜部70dの端部における異方歪Δεeの絶対値を大きくするという観点では、膜部70dのアスペクト比ARは、0.25以上1.0未満とすることが好ましく、0.64以上1.0未満とすることがさらに好ましい。
さらに、第1〜第6構成について、第1端部異方歪発生領域76a(膜部70dの短軸側の端部において得られる異方歪の最大値の0.4倍(すなわち、40%)以上の異方歪が得られる範囲)が解析された。その結果、第1端部異方歪発生領域76aの平面形状が長方形となることが分かった。
図20(b)の縦軸は、第1端部異方歪発生領域76aの面積の、膜部70dの面積に対する比(面積比Ra)である。横軸は、アスペクト比ARである。図20(b)から分かるように、第1〜第6構成においては、第13構成よりも、面積比Raが高い(大きい)。アスペクト比ARが低い(第1長さL1と第2長さL2との差が大きい)と、面積比Raが大きくなる。膜部70d上で異方歪が得られる領域を広くする観点では、アスペクトARは、0.8以下が好ましく、0.25以下がさらに好ましい。
以下、第1端部異方歪発生領域76aの外縁の位置(座標は、図19参照)について説明する。
図20(c)の縦軸は、第1端部異方歪発生領域76aの外縁上の点PXa1のX軸方向の座標(距離Xa1)を規格化して表している。距離Xa1は、(L5a)/(L1)に相当する。
図20(d)の縦軸は、第1端部異方歪発生領域76aの外縁上の重心70dc側の点PYa1のY軸方向の座標(距離Ya1)を規格化して表している。距離Ya1は、(ΔL6a)/(L2)に相当する。
これらの図の横軸は、アスペクト比ARである。図20(c)及び図20(d)には、第1〜第6構成の結果が示されている。
これらの図から分かるように、第1〜第6構成において、距離Xa1及び距離Ya1は、零よりも大きい。すなわち、これらの構成において、第1端部異方歪発生領域76aが得られる。
これらの図から分かるように、アスペクト比ARが、0.8以上1未満の場合には、
|Xa1|≦(L1/2)×0.5、
|Ya1|≧(L2/2)×0.9
であることが好ましい。
一方、アスペクト比ARが0.8未満の場合には、
|Xa1|≦(L1/2)×{−0.375×(L2/L1)+0.8}、
|Ya1|≧(L2/2)×{0.125×(L2/L1)+0.8}
であることが好ましい。
図20(c)に示した、薄いハッチングの第4ハッチング領域R4、及び、濃いハッチングの第5ハッチング領域R5が、第1端部異方歪発生領域76aの条件に対応する。そして、図20(d)に示した薄いハッチングの第6ハッチング領域R6、及び、濃いハッチングの第7ハッチング領域R7が、第1端部異方歪発生領域76aの条件に対応する。
第4ハッチング領域R4は、以下の第11式すなわち第12式で表される。
Xa1≦−0.375AR+0.8 …(11)
L5a≦L1×{−0.375(L2/L1)+0.8} …(12)
第5ハッチング領域R5は、以下の第13式すなわち第14式で表される。
Xa1≦0.5 …(13)
L5a≦0.5L1 …(14)
第6ハッチング領域R6は、以下の第15式すなわち第16式で表される。
Ya1≧0.125AR+0.8 …(15)
L6a≦(L2/2){1−0.125(L2/L1)+0.8}…(16)
第7ハッチング領域R7は、以下の第17式すなわち第18式で表される。
Ya1≧0.9 …(17)
L6a≦0.05L2 …(18)
すなわち、アスペクト比ARが、0.8未満の場合には、第11式、第12式、第15式及び第16式で表される条件が好ましい。
一方、アスペクト比ARが、0.8以上1未満の場合には、第13式、第14式、第17式及び第18式で表される条件が好ましい。
すなわち、アスペクト比ARが0.8未満である場合は、第1素子配置領域76の第1方向の長さ(長さL5a)は、L1×{−0.375×(L2/L1)+0.8}以下であることが好ましい。そして、第1素子配置領域76の第2方向の幅(長さL6a)は、(L2/2)×{1−0.125×(L2/L1)+0.8}以下であることが好ましい。そして、第1素子配置領域76の第1方向の中心と、膜部70dの第1方向の中心と、が実質的に重なり、これらの間の第1方向の距離は、例えば、第2長さL2の1/10であることが好ましい。
一方、アスペクト比ARが0.8以上1未満である場合は、第1素子配置領域76の第1方向の幅(長さL5a)は、第2長さL2の0.5倍以下であることが好ましい。そして、第1素子配置領域76の第2方向の幅(長さL6a)は、第2長さL2の0.05倍以下であることが好ましい。
第2素子配置領域77の特性は、上記の第1素子配置領域76の特性と、同様である。
以下、膜部70dの平面形状が楕円であり、膜部70dの短軸方向の端部付近に複数の検知素子50を集合して配置する場合の特性の例について説明する。
図21(a)及び図21(b)は、第2の実施形態に係る別の圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
これらの図は、本実施形態に係る圧力センサ121の特性のシミュレーション結果を例示している。図21(a)は、膜部70dの模式的斜視図である。図21(b)は、膜部70dに生じる異方歪ΔεのX−Y面内分布を例示している。
図21(a)に表したように、膜部70dの平面形状は、扁平円(楕円も含む)である。膜部70dの短軸(第2方向)の端部に検知素子50(この図では省略)が配置されている。この例では、膜部70dの長軸の長さ(第1長さL1)は、704μmであり、短軸の長さ(第2長さL2)は、452μmである。膜部70dの厚さLtは、2μmである。シミュレーションの条件は、既に説明した条件と同じである。
膜部70dの表面の歪の、重心からの距離依存性は、既に説明した図10(b)及び図10(c)に例示した通りである。
図21(b)は、端部異方歪発生領域75a(第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77a)を例示するコンター図である。すでに説明したように、端部異方歪発生領域75aにおいては、膜部70dの端部において生じる異方歪Δεe(最大値に相当)の0.4倍(すなわち、40%)以上の異方歪が得られる。図21(b)に表したように、異方性形状を有する膜部70dを用いることにより、短軸方向の端部付近の広い範囲で、端部と同等の異方歪を得ることができる。端部異方歪発生領域75a(第1端部異方歪発生領域76aの面積と第2端部異方歪発生領域77aの面積の和)の面積は、約6600μm2である。
一方、既に説明したように、膜部70dの平面形状が円形である圧力センサ119bにおいては、端部異方歪発生領域75aの面積は、約5000μm2である。圧力センサ121と圧力センサ119bとでは、膜部70dの面積は同じである。端部異方歪発生領域75aの膜部70dの面積に対する比は、圧力センサ121の方が圧力センサ119bに比べて高い。
このように、本実施形態において、膜面70fsの形状は、扁平円(楕円を含む)でも良い。例えば、膜部70dの膜面70fsに対して平行な面(例えばX−Y平面)に投影した膜部70dの形状は、扁平円(楕円を含む)でも良い。この扁平円では、第1方向(例えばX軸方向)を長軸とし、第2方向(例えばY軸方向)を短軸としている。
図21(a)及び図21(b)に例示したように、膜部70dの周辺部70pは、長軸に沿う弧75b(長軸弧)を有している。長軸に沿う弧75bは、例えば、第1弧76bと、第2弧77bと、を含む。第1素子配置領域76は、第1弧76bに沿って設けられる。第2素子配置領域77は、第2弧77bに沿って設けられる。
複数の検知素子50の少なくとも2つは、第1素子配置領域76において、その長軸弧(第1弧76b)に沿って並ぶ。複数の検知素子50の別の少なくとも2つは、第2素子配置領域77において、その長軸弧(第2弧77b)に沿って並ぶ。
このような圧力センサ120により、高感度な圧力センサを提供できる。
この例において、第1端部異方歪発生領域76a及び第2端部異方歪発生領域77aの少なくともいずれかに、複数の検知素子50を設けても良い。
以下、膜部70dの平面形状が楕円であり、膜部70dの短軸方向の端部付近に複数の検知素子50を集合して配置する場合の特性の例について、さらに説明する。
既に説明した第7〜第11構成について、異方歪のアスペクト比AR依存性を解析したところ、長方形の膜部70dと同様の傾向が得られる。異方歪の絶対値を大きく観点では、アスペクト比ARは0.25以上1.0未満とすることが好ましく、0.64以上1.0未満とすることがさらに好ましい。
さらに、第7〜第11構成においては、端部異方歪発生領域75aの面積の膜部70dの面積に対する比(面積比)は、第13構成の場合よりも大きい。アスペクト比ARが低い(第1長さL1と第2長さL2との差が大きい)と、その面積比は大きくなる。膜部70d上で異方歪が得られる領域を広くする観点では、アスペクト比ARは、0.8以下が好ましく、0.25以下がさらに好ましい。
図22は、第2の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式図である。
図22は、圧力センサ121の膜部70dにおける座標系を例示している。膜部70dの平面形状が楕円である場合の第1端部異方歪発生領域76aの座標は、図19に例示した圧力センサ120と実質的に同様として良い。
このような座標を用いて、膜部70dの平面形状が楕円である場合の第1端部異方歪発生領域76aの座標に関する特性を調べた。その結果、膜部70dが楕円である場合の特性は、平面形状が長方形である場合の特性と同様であることが分かった。
従って、この場合も、アスペクト比ARが0.8未満である場合は、第1素子配置領域76の第1方向の長さ(長さL5a)は、L1×{−0.375×(L2/L1)+0.8}以下であることが好ましい。そして、第1素子配置領域76の第2方向の幅(長さL6a)は、(L2/2)×{1−0.125×(L2/L1)+0.8}以下であることが好ましい。そして、第1素子配置領域76の第1方向の中心と、膜部70dの第1方向の中心と、が実質的に重なり、これらの間の第1方向の距離は、例えば、第2長さL2の1/10であることが好ましい。
一方、この場合も、アスペクト比ARが0.8以上1未満である場合は、第1素子配置領域76の第1方向の幅(長さL5a)は、第2長さL2の0.5倍以下であることが好ましい。そして、第1素子配置領域76の第2方向の幅(長さL6a)は、第2長さL2の0.05倍以下であることが好ましい。
第2素子配置領域77の特性は、第1素子配置領域76の特性と同様である。
図23(a)及び図23(b)は、第2の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的平面図である。
これらの図は、膜部70dの平面形状を例示している。
図23(a)に表したように、本実施形態に係る別の圧力センサ122においては、コーナー部70scが曲線状である。図23(b)に表したように、本実施形態に係る別の圧力センサ123においては、コーナー部70scが直線状である。圧力センサ122及び123によっても、高感度の圧力センサが得られる。
図24(a)〜図24(f)は、第2の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的平面図である。
これらの図は、素子配置領域75における複数の検知素子50の配置を例示している。この例では、素子配置領域75として、第1素子配置領域76について例示している。第2素子配置領域77における複数の検知素子50の配置は、例えば、第1素子配置領域76における複数の検知素子50の配置と同様とすることができる。
図24(a)に表したように、圧力センサ120aにおいては、複数の検知素子50は、X軸方向(膜部70dの長辺に沿う方向)に沿って並ぶ。この例においては、検知素子50の平面形状(検知素子50をX−Y平面に投影したときの検知素子50の形状)は、矩形である。検知素子50の形状は、例えば正方形である。
図24(b)に表したように、圧力センサ120bにおいても、複数の検知素子50は、X軸方向(膜部70dの長辺に沿う方向)に沿って並ぶ。この例においては、検知素子50の平面形状は、円形である。検知素子50の平面形状は、扁平円形でも良い。検知素子50の平面形状は、矩形でも良い。
図24(c)に表したように、圧力センサ120cにおいては、複数の検知素子50は、複数の列で並ぶ。それぞれの列において、複数の検知素子50は、X軸方向(膜部70dの長辺に沿う方向)に沿って並ぶ。複数の検知素子50の配置は、例えば、staggered配置である。この例においては、検知素子50の平面形状は、円形である。検知素子50の平面形状は、扁平円形でも良い。検知素子50の平面形状は、矩形でも良い。
図24(d)及び図24(e)に表したように、圧力センサ120d及び120eにおいては、複数の検知素子50のそれぞれと、膜部70dの外縁70rと、の間の距離は、複数の検知素子50において異なる。複数の検知素子50は、弧に沿って並ぶ。これら例においては、検知素子50の平面形状は、円形である。検知素子50の平面形状は、扁平円形でも良い。検知素子50の平面形状は、矩形でも良い。
図24(d)に例示した圧力センサ120dにおいては、第1素子配置領域76の中の、X軸方向の中心部分の領域に配置されている検知素子50と、外縁70rと、の間の距離は、第1素子配置領域76の中の、X軸方向の端部分の領域に配置されている検知素子50と、外縁70rと、の間の距離よりも長い。
図24(e)に例示した圧力センサ120eにおいては、第1素子配置領域76の中の、X軸方向の中心部分の領域に配置されている検知素子50と、外縁70rと、の間の距離は、第1素子配置領域76の中の、X軸方向の端部分の領域に配置されている検知素子50と、外縁70rと、の間の距離よりも短い。
図24(f)に表したように、圧力センサ120fにおいては、複数の検知素子50は、素子配置領域75内において任意に配置される。この例においては、検知素子50の平面形状は、円形である。検知素子50の平面形状は、扁平円形でも良い。検知素子50の平面形状は、矩形でも良い。
このように、本実施形態においては、素子配置領域75(第1素子配置領域76及び第2素子配置領域77の少なくともいずれか)に設けられる、複数の検知素子50の少なくとも2つの、第1方向(X軸方向)に沿うそれぞれの位置が、互いに異なるように、複数の検知素子50が配置される。
図25(a)及び図25(b)は、第2の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的平面図である。
これらの図は、複数の検知素子50の配置、及び、素子配置領域75(第1素子配置領域76及び第2素子配置領域77)を例示している。
図25(a)及び図25(b)に表したように、実施形態に係る圧力センサ120g及び120hにおいては、第1素子配置領域76及び第2素子配置領域77が設けられている。それぞれの領域において、複数の検知素子50が設けられている。
図25(a)に表したように、圧力センサ120gにおいては、それぞれの領域において、複数の検知素子50は、X軸方向(膜部70dの長さL1に沿う方向)に沿っている。
図25(b)に表したように、圧力センサ120hにおいては、それぞれの領域において、複数の検知素子50は、X軸方向(膜部70dの長さL1に沿う方向)に沿って、複数の列で配置されている。複数の列に含まれる検知素子50の数が互いに異なる。それぞれの領域において、複数の検知素子50は、三角形状で配置されている。三角形の1つの辺が、X軸方向に沿っている。
図25(a)及び図25(b)に表したように、膜部70dを膜面70fsに対して平行な面(例えばX−Y平面)に投影したときに、外接矩形70crが形成可能である。外接矩形70crは、膜面70fsの形状に外接する。膜面70fsの形状は、例えば、膜部70dの外縁70rを膜面70fsに対して平行な面に投影した形状である。この例では、膜部70dの平面形状は、異方性形状を有しており、長方形である。外接矩形70crも、長方形となる。
外接矩形70crは、第1辺70s1、第2辺70s2、第3辺70s3及び第4辺70s4を有する。第2辺702は、第1辺70s1と離間する。第3辺70s3は、第1辺70s1の一端70s11と、第2辺70s2の一端70s21と、に接続される。第4辺70s4は、第1辺70s1の他端70s12と、第2辺70s2の他端70s22と、に接続され、第3辺70s3と離間する。
この例では、膜部70dの膜面70fs内の第1方向(X軸方向)の膜部70dの第1長さは、第1方向に対して垂直で膜面70fs内の第2方向(Y軸方向)の膜部70dの第2長さよりも長い。このため、外接矩形70crは、長方形である。第1辺70s1及び第2辺70s2は、第1方向(X軸方向)に延在する。第3辺70s3及び第4辺70s4は、第2方向(Y軸方向)に延在する。第1辺70s1の長さは、第2辺70s2の長さと同じである。第3辺70s3の長さは、第1辺70s1の長さよりも短く、第2辺70s2の長さよりも短い。第4辺70s4の長さは、第1辺70s1の長さよりも短く、第2辺70s2の長さよりも短い。
外接矩形70crは、重心70crdを有する。例えば、重心70crdは、膜面70fsの重心70dcと重なる。
外接矩形70crは、第1領域78a、第2領域78b、第3領域78c及び第4領域78dを有する。
第1領域78aは、重心70crdと第1辺70s1の一端70s11とを結ぶ線分と、重心70crdと第1辺70s1の他端70s12とを結ぶ線分と、第1辺70s1と、で囲まれた領域である。
第2領域78bは、重心70crdと第2辺70s2の一端70s21とを結ぶ線分と、重心70crdと第2辺70s2の他端70s22とを結ぶ線分と、第2辺70s2と、で囲まれた領域である。
第3領域78cは、重心70crdと第1辺70s1の一端70s11とを結ぶ線分と、重心70crdと第2辺70s2の一端70s21とを結ぶ線分と、第3辺70s3と、で囲まれた領域である。
第4領域78dは、重心70crdと第1辺70s1の他端70s12とを結ぶ線分と、重心70crdと第2辺70s2の他端70s22とを結ぶ線分と、第4辺70s4と、で囲まれた領域である。
図25(a)及び図25(b)に表したように、膜面70fsのうちの第1領域78aと重なる部分の上に、複数の検知素子50が設けられる。そして、膜面70fsのうちの第1領域78aと重なる領域に設けられた、複数の検知素子50の少なくとも2つの第1方向(X軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。
さらに、この例では、膜面70fsのうちの第2領域78bと重なる部分の上に、複数の検知素子50がさらに設けられている。すなわち、膜面70fsのうちの第1領域78aと重なる部分の上に設けられた、上記の少なくとも2つとは異なる別の、複数の検知素子50が、膜面70fsのうちの第2領域78bと重なる部分の上に配置される。そして、第2領域78と重なるその部分の上に配置された、別の少なくとも2つの検知素子50の、第1方向(X軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。
既に説明した圧力センサ121のように、膜部70dの平面形状(膜面70fsの形状)が扁平円である場合も、外接矩形70crが定義できる。圧力センサ122及び123のように、膜部70dの平面形状(膜面70fsの形状)において、曲線状または直線状のコーナー部70scが設けられる場合も、外接矩形70crが定義できる。そして、第1領域〜第4領域78a〜78dが定義できる。圧力センサ121〜123においても、膜面70fsのうちの第1領域78aと重なる部分の上に、複数の検知素子50が設けられる。そして、膜面70fsのうちの第1領域78aと重なる領域に設けられた、複数の検知素子50の少なくとも2つの第1方向(X軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。そして、さらに、膜面70fsのうちの第2領域78bと重なる部分の上に、複数の検知素子50が設けられる。第2領域78と重なるその部分の上に配置された、別の少なくとも2つの検知素子50の、第1方向(X軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。
図26は、第2の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的斜視図である。
図26に表したように、本実施形態に係る別の圧力センサ124においては、膜部70dの平面形状は、正方形である。これ以外は、圧力センサ120と同様である。
この例においては、膜部70dは、第1方向(例えばX軸方向)に沿う第1辺70s1と、第1辺70s1と離間し第1方向に沿う第2辺70s2と、第1辺70s1の一端70s11と、第2辺70s2の一端70s21と、に接続され、第2方向(例えばY軸方向)に沿う第3辺70s3と、第1辺70s1の他端70s12と、第2辺70s2の他端70s22と、に接続され、第3辺70s3と離間し、第2方向に沿う第4辺70s4と、を含む。
膜部70dの周辺部70pは、第1辺70s1に沿って設けられた第1素子配置領域76を含む。複数の検知素子50は、第1素子配置領域76において第1辺70s1に沿って並ぶ。圧力センサ124においても高感度の圧力センサが得られる。
図27(a)及び図27(b)は、第2の実施形態に係る別の圧力センサの構成及び特性を例示する模式図である。
図27(a)は、圧力センサ124の膜部70dを例示する模式的斜視図である。圧力センサ124においては、第1長さL1は500μmであり、第2長さL2も500μmであり、厚さLtは2μmである。
図27(b)は、膜部70dに生じる異方歪ΔεのX−Y面内分布を例示している。
図27(a)に表したように、圧力センサ124においても、広い面積の端部異方歪発生領域75aが得られる。
圧力センサ124においても、膜面70fsのうちの第1領域78a及び第2領域78bと重なる部分の上に、複数の検知素子50が設けられる。そして、膜面70fsのうちの第1領域78a及び第2領域78bと重なる領域に設けられた、複数の検知素子50の少なくとも2つの第1方向(X軸方向)に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。
(第3の実施形態)
図28は、第3の実施形態に係る圧力センサを例示する模式的斜視図である。
図28に表したように、本実施形態に係る圧力センサ130においては、複数の検知部50uが設けられている。検知部50uの1つは、膜部70dの中央部70cの上に設けられている。検知部50uの別の1つは、第1素子配置領域76の上に設けられている。検知部50uの別の1つは、第2素子配置領域77の上に設けられている。この例では、第1素子配置領域76は、第1辺70s1(長辺)に沿って設けられており、第2素子配置領域77は、第2辺70s2(長辺)に沿って設けられている。複数の検知素子50の少なくとも2つの、第1方向に沿うそれぞれの位置は、互いに異なる。
図29は、第3の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的斜視図である。
図29に表したように、本実施形態に係る圧力センサ131においては、複数の検知部50uのそれぞれが、中央部70c、第1素子配置領域76、及び、第2素子配置領域77の上に設けられている。この例では、第1素子配置領域76は、第3辺70s3(短辺)に沿って設けられており、第2素子配置領域77は、第4辺70s7(短辺)に沿って設けられている。
図30は、第3の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的斜視図である。
図30に表したように、本実施形態に係る圧力センサ132においては、検知部50uが中央部70cの上に設けられている。さらに、第1辺70s1〜第4辺70s4のそれぞれに沿う素子配置領域が設けられており、検知部50uはそれらの上に設けられている。
図31は、第3の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的斜視図である。
図31に表したように、本実施形態に係る圧力センサ133においては、第1辺70s1〜第4辺70s4のそれぞれに沿う素子配置領域が設けられており、検知部50uはそれらの上に設けられている。
圧力センサ130〜133においては、膜部70dの平面形状は、長方形である。楕円でも良い。または、正方形でも良い。
図32は、第3の実施形態に係る別の圧力センサを例示する模式的斜視図である。
図32に表したように、本実施形態に係る圧力センサ134においては、膜部70dの平面形状は正方形である。そして、第1辺70s1〜第4辺70s4のそれぞれに沿う素子配置領域が設けられており、検知部50uはそれらの上に設けられている。
圧力センサ130〜134においては、検知部50uに含まれる複数の検知素子50は、膜部70dの辺(第1〜第4辺70s1〜70d4など)に沿って並ぶ。
以下、第1〜第3の実施形態に係る圧力センサに用いられる検知素子の例について説明する。
以下において、「材料A/材料B」の記載は、材料Aの層の上に、材料Bの層が設けられている状態を示す。
図33は、実施形態に用いられる検知素子を例示する模式的斜視図である。
図33に表したように、実施形態に用いられる検知素子201は、順に並べられた、下部電極58lと、下地層59と、ピニング層55pと、第2磁化固定層52と、磁気結合層55xと、第1磁化固定層51と、中間層30と、磁化自由層55fと、キャップ層55cと、上部電極58uと、を含む。
この例では、磁化自由層55fは、第1磁性層10に対応し、第1磁化固定層51は、第2磁性層20に対応する。検知素子201は、ボトムスピンバルブ型である。
下地層59には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。
ピニング層55pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。第2磁化固定層52には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。磁気結合層55xには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第1磁化固定層51には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。中間層30には、例えば、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。磁化自由層55fには、例えば、Co40Fe40B20/Fe80Ga20が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、約2nmである。このFe80Ga20層の厚さは、4nmである。
キャップ層55cには、例えばTa/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
下部電極58l及び上部電極58uには、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、銀(Ag)、及び、金(Au)の少なくともいずれかが用いられる。下部電極58l及び上部電極58uとして、このような電気抵抗が比較的小さい材料を用いることで、検知素子50に効率的に電流を流すことができる。
下部電極58lは、下部電極58l用の下地層(図示せず)と、キャップ層(図示せず)と、の間に、Al、Al−Cu、Cu、Ag、及び、Auの少なくともいずれかの層が設けられた構造を有しても良い。例えば、下部電極58lには、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)などが用いられる。下部電極58l用の下地層としてTaを用いることで、例えば、膜部と下部電極58lとの密着性を向上することができる。下部電極58l用の下地層として、チタン(Ti)、または、窒化チタン(TiN)などを用いても良い。
下部電極58l用のキャップ層としてTaを用いることで、そのキャップ層の下の銅(Cu)などの酸化を防ぐことができる。下部電極58l用のキャップ層として、チタン(Ti)、または、窒化チタン(TiN)などを用いても良い。
下地層59には、バッファ層(図示せず)とシード層(図示せず)との積層構造を用いることができる。このバッファ層は、例えば、下部電極58lや膜部の表面の荒れを緩和し、バッファ層の上に積層される層の結晶性を改善する。バッファ層として、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。バッファ層として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いても良い。
バッファ層の厚さは、1nm以上10nm以下が好ましい。バッファ層の厚さは、1nm以上5nm以下がより好ましい。バッファ層の厚さが薄すぎると、バッファ効果が失われる。バッファ層の厚さが厚すぎると、検知素子50の厚さが過度に厚くなる。バッファ層の上にシード層が形成され、そのシード層がバッファ効果を有することができる。バッファ層は省略しても良い。バッファ層には、例えば、3nmの厚さのTa層が用いられる。
図示しないシード層は、シード層の上に積層される層の結晶配向を制御する。シード層は、シード層の上に積層される層の結晶粒径を制御する。シード層として、fcc構造(face-centered cubic structure:面心立方格子構造)、hcp構造(hexagonal close-packed structure:六方最密格子構造)またはbcc構造(body-centered cubic structure:体心立方格子構造)の金属等が用いられる。
シード層として、hcp構造のルテニウム(Ru)、または、fcc構造のNiFe、または、fcc構造のCuを用いることにより、例えば、シード層の上のスピンバルブ膜の結晶配向をfcc(111)配向にすることができる。シード層には、例えば、2nmの厚さのCu層、または、2nmの厚さのRu層が用いられる。シード層の上に形成される層の結晶配向性を高める場合には、シード層の厚さは、1nm以上5nm以下が好ましい。シード層の厚さは、1nm以上3nm以下がより好ましい。これにより、結晶配向を向上させるシード層としての機能が十分に発揮される。一方、例えば、シード層の上に形成される層を結晶配向させる必要がない場合(例えば、アモルファスの磁化自由層55fを形成する場合など)には、シード層は省略しても良い。シード層としては、例えば、2nmの厚さのCu層が用いられる。
ピニング層55pは、例えば、ピニング層55pの上に形成される第2磁化固定層52の強磁性層に、一方向異方性(unidirectional anisotropy)を付与して磁化を固定する。ピニング層55pには、例えば、反強磁性層が用いられる。ピニング層55pには、例えば、IrMn、PtMn、PdPtMn及びRuRhMnよりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。十分な強さの一方向異方性を付与するために、ピニング層55pの厚さが適切に設定する。
ピニング層55pとしてPtMnまたはPdPtMnが用いられる場合には、ピニング層55pの厚さは、8nm以上20nm以下が好ましい。ピニング層55pの厚さは、10nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層55pとしてIrMnを用いる場合には、ピニング層55pとしてPtMnを用いる場合よりも薄いピニング層55pで、一方向異方性を付与することができる。この場合には、ピニング層55pの厚さは、4nm以上18nm以下が好ましい。ピニング層55pの厚さは、5nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層55pには、例えば、7nmの厚さのIr22Mn78層が用いられる。
ピニング層55pとして、ハード磁性層を用いても良い。ハード磁性層として、例えば、CoPt(Coの比率は、50%以上85%以下)、(CoxPt100−x)100−yCry(xは50%以上85%以下、yは0%以上40%以下)、または、FePt(Ptの比率は40%以上60%以下)などを用いても良い。
第2磁化固定層52には、例えば、CoxFe100−x合金(xは0%以上100%以下)、NixFe100−x合金(xは0%以上100%以下)、または、これらに非磁性元素を添加した材料が用いられる。第2磁化固定層52として、例えば、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくともいずれかが用いられる。第2磁化固定層52として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いても良い。第2磁化固定層52として、(CoxFe100−x)100−yBy合金(xは0%以上100%以下、yは0%以上30%以下)を用いることもできる。第2磁化固定層52として、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、検知素子50のサイズが小さい場合にも検知素子50間のばらつきを抑えることができる。
第2磁化固定層52の厚さは、例えば、1.5nm以上5nm以下が好ましい。これにより、例えば、ピニング層55pによる一方向異方性磁界の強度をより強くすることができる。例えば、第2磁化固定層52の上に形成される磁気結合層55xを介して、第2磁化固定層52と第1磁化固定層51との間の反強磁性結合磁界の強度をより強くすることができる。第2磁化固定層52の磁気膜厚(飽和磁化Bsと厚さtとの積(Bs・t))は、第1磁化固定層51の磁気膜厚と実質的に等しいことが好ましい。
薄膜でのCo40Fe40B20の飽和磁化は、約1.9T(テスラ)である。例えば、第1磁化固定層51として、3nmの厚さのCo40Fe40B20層を用いる場合には、第1磁化固定層51の磁気膜厚は、1.9T×3nmであり、5.7Tnmとなる。一方、Co75Fe25の飽和磁化は、約2.1Tである。上記と等しい磁気膜厚が得られる第2磁化固定層52の厚さは、5.7Tnm/2.1Tであり、2.7nmとなる。この場合、第2磁化固定層52には、約2.7nmの厚さのCo75Fe25を用いることが好ましい。第2磁化固定層52として、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
検知素子201においては、第2磁化固定層52と磁気結合層55xと第1磁化固定層51とのシンセティックピン構造が用いられている。その代わりに、1層の磁化固定層からなるシングルピン構造を用いても良い。シングルピン構造を用いる場合には、磁化固定層として、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。シングルピン構造の磁化固定層に用いる強磁性層として、上述した第1磁化固定層51の材料と同じ材料を用いても良い。
磁気結合層55xは、第2磁化固定層52と第1磁化固定層51との間に反強磁性結合を生じさせる。磁気結合層55xは、シンセティックピン構造を形成する。磁気結合層55xとして、例えば、Ruが用いられる。磁気結合層55xの厚さは、0.8nm以上1nm以下であることが好ましい。第2磁化固定層52と第1磁化固定層51との間に十分な反強磁性結合を生じさせる材料であれば、磁気結合層としてRu以外の材料を用いても良い。磁気結合層55xの厚さは、RKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida)結合のセカンドピーク(2ndピーク)に対応する0.8nm以上1nm以下の厚さに設定することができる。さらに、磁気結合層55xの厚さは、RKKY結合のファーストピーク(1stピーク)に対応する0.3nm以上0.6nm以下の厚さに設定しても良い。磁気結合層55xとして、例えば、0.9nmの厚さのRuが用いられる。これにより、高信頼性の結合がより安定して得られる。
第1磁化固定層51に用いられる磁性層は、MR効果に直接的に寄与する。第1磁化固定層51として、例えば、Co−Fe−B合金が用いられる。具体的には、第1磁化固定層51として、(CoxFe100−x)100−yBy合金(xは0%以上100%以下、yは0%以上30%以下)を用いることもできる。第1磁化固定層51として、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いた場合には、例えば、検知素子のサイズが小さい場合においても、結晶粒に起因した素子間のばらつきを抑えることができる。
第1磁化固定層51の上に形成される層(例えばトンネル絶縁層(図示せず))を平坦化することができる。トンネル絶縁層の平坦化により、トンネル絶縁層の欠陥密度を減らすことができる。これにより、より低い面積抵抗でより大きいMR変化率が得られる。例えば、トンネル絶縁層の材料としてMgOを用いる場合には、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、トンネル絶縁層の上に形成されるMgO層の(100)配向性を強めることができる。MgO層の(100)配向性をより高くすることで、より大きいMR変化率が得られる。(CoxFe100−x)100−yBy合金は、アニール時にMgO層の(100)面をテンプレートとして結晶化する。このため、MgOと(CoxFe100−x)100−yBy合金との良好な結晶整合が得られる。良好な結晶整合を得ることで、より大きいMR変化率が得られる。
第1磁化固定層51として、Co−Fe−B合金以外に、例えば、Fe−Co合金を用いても良い。
第1磁化固定層51がより厚いと、より大きなMR変化率が得られる。より大きな固定磁界を得るためには、第1磁化固定層51は薄いほうが好ましい。MR変化率と固定磁界との間には、第1磁化固定層51の厚さにおいてトレードオフの関係が存在する。第1磁化固定層51としてCo−Fe−B合金を用いる場合には、第1磁化固定層51の厚さは、1.5nm以上5nm以下が好ましい。第1磁化固定層51の厚さは、2.0nm以上4nm以下がより好ましい。
第1磁化固定層51には、上述した材料の他に、fcc構造のCo90Fe10合金、または、hcp構造のCo、または、hcp構造のCo合金が用いられる。第1磁化固定層51として、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第1磁化固定層51として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金が用いられる。第1磁化固定層51として、bcc構造のFeCo合金材料、50%以上のコバルト組成を含むCo合金、または、50%以上のNi組成の材料を用いることで、例えば、より大きなMR変化率が得られる。第1磁化固定層51として、Co2MnGe、Co2FeGe、Co2MnSi、Co2FeSi、Co2MnAl、Co2FeAl、Co2MnGa0.5Ge0.5、及び、Co2FeGa0.5Ge0.5などのホイスラー磁性合金層を用いることもできる。例えば、第1磁化固定層51として、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
中間層30は、第1磁化固定層51と磁化自由層55fとの磁気的な結合を分断する。中間層30には、金属または絶縁体または半導体が用いられる。この金属としては、例えば、Cu、AuまたはAg等が用いられる。中間層30として金属を用いる場合、中間層30の厚さは、例えば、1nm以上7nm以下程度である。この絶縁体または半導体としては、例えば、マグネシウム酸化物(MgO等)、アルミ酸化物(Al2O3等)、チタン酸化物(TiO等)、亜鉛酸化物(ZnO等)、または、酸化ガリウム(Ga−O)などが用いられる。中間層30として絶縁体または半導体を用いる場合は、中間層30の厚さは、例えば0.6nm以上2.5nm以下程度である。中間層30として、例えば、CCP(Current-Confined-Path)スペーサ層を用いても良い。スペーサ層としてCCPスペーサ層を用いる場合には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)の絶縁層中に銅(Cu)メタルパスが形成された構造が用いられる。例えば、中間層30として、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
磁化自由層55fには、強磁性体材料が用いられる。磁化自由層55fの材料として、例えばFeCo合金、NiFe合金等が用いられる。さらに、磁化自由層55fには、Co−Fe−B合金、Fe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)が大きいFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)等が用いられる。磁化自由層55fの厚さは、例えば2nm以上である。
磁化自由層55fは、多層構造を有しても良い。磁化自由層55fは、例えば、2層構造を有しても良い。中間層30としてMgOのトンネル絶縁層を用いる場合には、中間層30に接する界面には、Co−Fe−B合金の層を設けることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗効果が得られる。この場合、中間層30の上にはCo−Fe−B合金の層を設け、その上にはFe−Co−Si−B合金、λsが大きいFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)を形成することができる。例えば、磁化自由層55fには、Co40Fe40B20/Fe80Ga20が用いられる。このCo40Fe40B20の厚さは、例えば、2nmである。このFe80Ga20の厚さは、例えば、4nmである。λsは、例えば、100ppmよりも大きい。
キャップ層55cは、キャップ層55cの下に設けられる層を保護する。キャップ層55cには、例えば、複数の金属層が用いられる。キャップ層55cには、例えば、Ta層とRu層との2層構造(Ta/Ru)が用いられる。このTa層の厚さは、例えば1nmであり、このRu層の厚さは、例えば5nmである。キャップ層55cとして、Ta層やRu層の代わりに他の金属層を設けても良い。キャップ層55cの構成は、任意である。キャップ層55cには、例えば、非磁性材料を用いることができる。キャップ層55cの下に設けられる層を保護可能なものであれば、キャップ層55cとして、他の材料を用いても良い。
図34は、実施形態に用いられる別の検知素子を例示する模式的斜視図である。
図34に表したように、実施形態に係る圧力センサに用いられる検知素子202は、順に並んだ、下部電極58lと、下地層59と、磁化自由層55fと、中間層30と、第1磁化固定層51と、磁気結合層55xと、第2磁化固定層52と、ピニング層55pと、キャップ層55cと、上部電極58uと、を含む。
この例では、磁化自由層55fは第1磁性層10に対応し、第1磁化固定層51は第2磁性層20に対応する。検知素子202は、トップスピンバルブ型である。
下地層59には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。
磁化自由層55fには、例えば、Fe80Ga20/Co40Fe40B20が用いられる。このFe80Ga20層の厚さは、例えば、4nmである。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。
中間層30には、例えば、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。第1磁化固定層51には、例えば、Co40Fe40B20/Fe50Co50が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。このFe50Co50層の厚さは、例えば1nmである。磁気結合層55xには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。第2磁化固定層52には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。ピニング層55pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
キャップ層55cには、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子202に含まれる層のそれぞれには、例えば、検知素子201に関して説明した材料を用いることができる。
図35は、実施形態に用いられる別の検知素子を例示する模式的斜視図である。
図35に表したように、実施形態に係る圧力センサに用いられる検知素子203は、順に並んだ、下部電極58lと、下地層59と、ピニング層55pと、第2磁化固定層52と、磁気結合層55xと、第1磁化固定層51と、中間層30と、磁化自由層55fと、中間層30aと、第1磁化固定層51aと、磁気結合層55xaと、第2磁化固定層52aと、ピニング層55paと、キャップ層55cと、上部電極58uと、を含む。
磁化自由層55fが第1磁性層10に対応し、第1磁化固定層51が、第2磁性層20に対応する。既に説明した検知素子201及び202においては、磁化自由層55fの一方の面側に磁化固定層が配置されている。検知素子203においては、2つの磁化固定層の間に磁化自由層55fが配置されている。検知素子203は、デュアルスピンバルブ型である。
下地層59には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。ピニング層55pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。第2磁化固定層52には、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。磁気結合層55xには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。第1磁化固定層51には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。中間層30には、例えば、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
磁化自由層55fには、例えば、Co40Fe40B20/Fe80Ga20/Co40Fe40B20が用いられる。このFe80Ga20層の厚さは、例えば、4nmである。2つのCo40Fe40B20層のそれぞれの厚さは、例えば2nmである。
中間層30aには、例えば、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。第1磁化固定層51aには、例えば、Co40Fe40B20/Fe50Co50が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。このFe50Co50層の厚さは、例えば1nmである。磁気結合層55xaには、例えば、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。第2磁化固定層52aには、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。ピニング層55paには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
キャップ層55cには、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば1nmである。このRu層の厚さは、例えば5nmである。
検知素子203に含まれる層のそれぞれには、例えば、検知素子201に関して説明した材料を用いることができる。
図36は、実施形態に用いられる別の検知素子を例示する模式的斜視図である。
図36に表したように、実施形態に係る圧力センサに用いられる検知素子204は、順に並んだ、下部電極58lと、下地層59と、ピニング層55pと、第1磁化固定層51と、中間層30と、磁化自由層55fと、キャップ層55cと、上部電極58uと、を含む。
磁化自由層55fが第1磁性層10に対応し、第1磁化固定層51が第2磁性層20に対応する。既に説明した検知素子201及び202においては、第2磁化固定層52と磁気結合層55xと第1磁化固定層51を用いた構造が適用されている。検知素子204においては、単一の磁化固定層を用いたシングルピン構造が適用されている。
下地層には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。ピニング層55pには、例えば、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。第1磁化固定層51には、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。中間層30には、例えば、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
磁化自由層55fには、例えば、Co40Fe40B20/Fe80Ga20が用いられる。このFe80Ga20層の厚さは、例えば4nmである。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば2nmである。
キャップ層55cには、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子204に含まれる層のそれぞれには、例えば、検知素子201に関して説明した材料を用いることができる。
図37は、実施形態に用いられる別の検知素子を例示する模式的斜視図である。
図37に表したように、実施形態に係る圧力センサに用いられる検知素子205は、順に並んだ、下部電極58lと、下地層59と、第2磁化自由層55fbと、中間層30と、第1磁化自由層55faと、キャップ層55cと、上部電極58uと、を含む。
第2磁化自由層55fbは、第2磁性層20に対応し、第1磁化自由層55faは、第1磁性層10に対応する。得に説明した検知素子201〜204においては、第2磁性層20に用いられる参照層が、磁化固定層である。検知素子205においては、第2磁性層20に用いられる参照層が、磁化自由層である。
下地層59には、例えば、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、3nmである。このRu層の厚さは、例えば、2nmである。
第2磁化自由層55fbには、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。中間層30には、例えば、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
第1磁化自由層55faには、例えば、Co40Fe40B20が用いられる。このCo40Fe40B20層の厚さは、例えば、4nmである。
キャップ層55cには、Ta/Ruが用いられる。このTa層の厚さは、例えば、1nmである。このRu層の厚さは、例えば、5nmである。
検知素子205に含まれる層のそれぞれには、例えば、検知素子201に関して説明した材料を用いることができる。
検知素子205のように、第2磁化自由層55fbと中間層30と第1磁化自由層55faとの積層構造が用いられる場合も、第2磁化自由層の磁化と第1磁化自由層の磁化との相対角度が歪に対して変化する。これにより、歪センサとして機能させることができる。この場合、第2磁化自由層55fbの磁歪の値と、第1磁化自由層55faの磁歪の値と、は互いに異なるように設計される。これにより、第2磁化自由層の磁化と第1磁化自由層の磁化との相対角度が、歪に対して変化する。
図38は、実施形態に用いられる別の検知素子を例示する模式的斜視図である。
図38に例示したように、検知素子206においては、絶縁層58iが設けられる。すなわち、下部電極58lと上部電極58uとの間に、互いに離間する2つの絶縁層58i(絶縁部分)が設けられ、それらの間に、積層体57が配置される。積層体57は、下部電極58lと上部電極58uとの間に配置されている。積層体57は、検知素子201の場合には、下地層59と、ピニング層55pと、第2磁化固定層52と、磁気結合層55xと、第1磁化固定層51と、中間層30と、磁化自由層55fと、キャップ層55cと、を含む。すなわち、積層体57の側壁に対向して、絶縁層58iが設けられる。
絶縁層58iには、例えば、アルミニウム酸化物(例えば、Al2O3)、または、シリコン酸化物(例えば、SiO2)などを用いることができる。絶縁層58iにより、積層体57の周囲におけるリーク電流を抑制することができる。
上記の絶縁層58iは、検知素子201〜205のいずれにも適用できる。
図39は、実施形態に用いられる別の検知素子を例示する模式的斜視図である。
図39に例示したように、検知素子207においては、ハードバイアス層58hがさらに設けられる。すなわち、下部電極58lと上部電極58uとの間に、互いに離間する2つのハードバイアス層58h(ハードバイアス部分)が設けられ、それらの間に、積層体57が配置される。そして、ハードバイアス層58hと積層体57との間に、絶縁層58iが配置される。さらに、この例では、ハードバイアス層58hと下部電極58lとの間に、絶縁層58iが延在している。
ハードバイアス層58hは、ハードバイアス層58hの磁化により、第1磁性層10の磁化及び第2磁性層20の磁化の少なくともいずれかを所望の方向に設定させる。ハードバイアス層58hにより、圧力が膜部70dに印加されていない状態において、第1磁性層10の磁化及び第2磁性層の磁化の少なくともいずれかを所望の方向に設定できる。
ハードバイアス層58hには、例えば、CoPt、CoCrPt、または、FePt等の磁気異方性が比較的高い硬質強磁性材料が用いられる。ハードバイアス層58hには、FeCoまたはFeなどの軟磁性材料の層と、反強磁性層と、を積層した構造を用いることができる。この場合には、交換結合により、磁化が所定の方向に沿う。ハードバイアス層58hの厚さ(下部電極58lから上部電極58uに向かう方向に沿った長さ)は、例えば5nm以上50nm以下である。
上記のハードバイアス層58h及び絶縁層58iは、検知素子201〜205のいずれにも適用できる。
上記の検知素子201〜207を、実施形態に係る検知素子50として用いることができる。
実施形態において、検知素子のサイズが小さくても、圧力センサとしての機能を十分に果たす。例えば、検知素子50の面積(X−Y平面に投影したときの面積)は、膜部70dの面積の1/100以下とすることができる。例えば、膜部70dの幅(第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれ)が約100μmである場合、検知素子50をX−Y平面に投影したときの第1方向の長さは、10μm以下とすることができる。例えば、円形である場合は、直径は、約10μm以下とすることができる。例えば、膜部70dの幅が約500μmの場合には、検知素子50をX−Y平面に投影したときの第1方向の長さは、50μm以下とすることができる。例えば、円形である場合は、直径は、約50μm以下とすることができる。例えば、検知素子50をX−Y平面に投影したときの第1方向の長さは、0.1μm以上50μm以下である。小サイズの検知素子50を用いることで、設ける検知素子50の数の自由度が高まる。
検知素子50の平面形状は、正方形、長方形、扁平円(楕円を含む)、または、円でも良い。検知素子50の平面形状は任意である。
以下、実施形態に係る圧力センサの製造方法の例について説明する。以下は、圧力センサ110の製造方法の例である。
図40(a)〜図40(e)は、実施形態に係る圧力センサの製造方向を例示する工程順模式的断面図である。
図40(a)に表したように、基板90s(例えばSi基板)の上に薄膜90dを形成する。基板90sは、支持部70となる。薄膜90dは、膜部70dとなる。
例えば、Si基板上に、SiOx/Siの薄膜90dをスパッタにより形成する。薄膜90dとして、SiOx単層、SiN単層、または、Alなどの金属層を用いても良い。また、薄膜90dとして、ポリイミドまたはパラキシリレン系ポリマーなどのフレキシブルプラスティック材料を用いても良い。SOI(Silicon On Insulator)基板を、基板90s及び薄膜90dとして用いても良い。SOIにおいては、例えば、基板の貼り合わせによってSi基板上にSiO2/Siの積層膜が形成される。
図40(b)に表したように、第2配線62を形成する。この工程においては、第2配線62となる導電膜を形成し、その導電膜を、フォトリソグラフィー及びエッチングにより加工する。第2配線62の周辺を絶縁膜で埋め込む場合、リフトオフ処理を適用しても良い。リフトオフ処理においては、例えば、第2配線62のパターンのエッチング後、レジストを剥離する前に、絶縁膜を全面に成膜して、その後レジストを除去する。
図40(c)に表したように、検知素子50を形成する。この工程においては、検知素子50となる積層膜を形成し、その積層膜を、フォトリソグラフィー及びエッチングにより加工する。検知素子50の積層体57の側壁を絶縁層58iで埋め込む場合、リフトオフ処理を適用しても良い。リフトオフ処理において、例えば、積層体57の加工後、レジストを剥離する前、絶縁層58iを全面に成膜して、その後レジストを除去する。
図40(d)に表したように、第1配線61を形成する。この工程においては、第1配線61となる導電膜を形成し、その導電膜を、フォトリソグラフィー及びエッチングにより加工する。第1配線61の周辺を絶縁膜で埋め込む場合、リフトオフ処理を適用しても良い。リフトオフ処理において、第1配線61の加工後、レジストを剥離する前に、絶縁膜を全面に成膜して、その後レジストを除去する。
図40(e)に表したように、基板90sの裏面からエッチングを行い、空洞部70hを形成する。これにより、膜部70d及び支持部70sが形成される。例えば、膜部70dとなる薄膜90dとして、SiOx/Siの積層膜を用いる場合は、薄膜90dの裏面(下面)から表面(上面)へ向かって、基板90sの深堀加工を行う。これにより、空洞部70hが形成される。空洞部70hを形成においては、例えば両面アライナー露光装置を用いることができる。これにより、表面の検知素子50の位置に合わせて、レジストのホールパターンを裏面にパターニングできる。
Si基板のエッチングにおいて、例えばRIEを用いたボッシュプロセスが用いることができる。ボッシュプロセスでは、例えば、SF6ガスを用いたエッチング工程と、C4F8ガスを用いた堆積工程と、を繰り返す。これにより、基板90sの側壁のエッチングを抑制しつつ、基板90sの深さ方向(Z軸方向)に選択的にエッチングが行われる。エッチングのエンドポイントとして、例えば、SiOx層が用いられる。すなわち、エッチングの選択比がSiとは異なるSiOx層を用いてエッチングを終了させる。エッチングストッパ層として機能するSiOx層は、膜部70dの一部として用いられても良い。SiOx層は、エッチングの後に、例えば、無水フッ化水素及びアルコールなどの処理などで除去されても良い。
このようにして、実施形態に係る圧力センサ110が形成される。実施形態に係る他の圧力センサも同様の方法により製造できる。
(第4の実施形態)
図41(a)〜図41(c)は、第4の実施形態に係る圧力センサ440の構成を例示するための模式図である。
図41(a)は、模式的斜視図であり、図41(b)及び図41(c)は、圧力センサ440の構成を例示するためのブロック図である。
図41(a)及び図41(b)に示すように、圧力センサ440には、基部471、センサ部450、半導体回路部430、アンテナ415、電気配線416、送信回路417、受信回路417rが設けられている。
アンテナ415は、電気配線416を介して、半導体回路部430と電気的に接続されている。
送信回路417は、検知素子450(50a)に流れる電気信号に基づくデータを無線で送信する。送信回路417の少なくとも一部は、半導体回路部430に設けることができる。
受信回路417rは、電子機器418dからの制御信号を受信する。受信回路417rの少なくとも一部は、半導体回路部430に設けることができる。受信回路417rを設けるようにすれば、例えば、電子機器418dを操作することで、圧力センサ440の動作を制御することができる。
また、図41(b)に示すように、送信回路417には、例えば、検知素子450(50a)に接続されたADコンバータ417aと、マンチェスター符号化部417bと、を設けることができる。また、切替部417cを設け、送信と受信を切り替えるようにすることができる。この場合、タイミングコントローラ417dを設け、タイミングコントローラ417dにより切替部417cにおける切り替えを制御することができる。またさらに、データ訂正部417e、同期部417f、判定部417g、電圧制御発振器417h(VCO;Voltage Controlled Oscillator)を設けることができる。
図41(c)に示すように、圧力センサ440と組み合わせて用いられる電子機器418dには、受信部418が設けられる。電子機器418dとしては、例えば、携帯端末などの電子装置を例示することができる。
この場合、送信回路417を有する圧力センサ440と、受信部418を有する電子機器418dと、を組み合わせて用いることができる。
電子機器418dには、マンチェスター符号化部417b、切替部417c、タイミングコントローラ417d、データ訂正部417e、同期部417f、判定部417g、電圧制御発振器417h、記憶部418a、中央演算部418b(CPU;Central Processing Unit)を設けることができる。
この例では、圧力センサ440は、固定部467をさらに含んでいる。固定部467は、膜部464(70d)を基部471に固定する。固定部467は、外部圧力が印加されたときであっても撓みにくいように、膜部464よりも厚み寸法を厚くすることができる。
固定部467は、例えば、膜部464の周縁に等間隔に設けることができる。
また、膜部464(70d)の周囲をすべて連続的に取り囲むように固定部467を設けることもできる。
固定部467は、例えば、基部471の材料と同じ材料から形成することができる。この場合、固定部467は、例えば、シリコンなどから形成することができる。
また、固定部467は、例えば、膜部464(70d)の材料と同じ材料から形成することもできる。
(第5の実施形態)
次に、圧力センサ441の製造方法について例示する。
図42(a)、図42(b)、図43(a)、図43(b)、図44(a)、図44(b)、図45(a)、図45(b)、図46(a)、図46(b)、図47(a)、図47(b)、図48(a)、図48(b)、図49(a)、図49(b)、図50(a)、図50(b)、図51(a)、図51(b)、図52(a)、図52(b)、図53(a)及び図53(b)は、第5の実施形態に係る圧力センサ441の製造方法を例示するための模式図である。
なお、図42(a)〜図53(a)は、模式的平面図であり、図42(b)〜図53(b)は、模式的断面図である。
また、各図中における矢印X、Y、Zは、互いに直交する方向を表している。
まず、図42(a)、図42(b)に示すように、半導体基板531の表面部分に半導体層512Mを形成する。続いて、半導体層512Mの上面に素子分離絶縁層512Iを形成する。続いて、半導体層512Mの上に、図示しない絶縁層を介して、ゲート512Gを形成する。続いて、ゲート512Gの両側に、ソース512Sとドレイン512Dとを形成することで、トランジスタ532が形成される。続いて、この上に層間絶縁膜514aを形成し、さらに層間絶縁膜514bを形成する。
続いて、非空洞部となる領域において、層間絶縁膜514a、514bの一部に、トレンチ及び孔を形成する。続いて、孔に導電材料を埋め込んで、接続ピラー514c〜514eを形成する。この場合、例えば、接続ピラー514cは、1つのトランジスタ532のソース512Sに電気的に接続され、接続ピラー514dはドレイン512Dに電気的に接続される。また、例えば、接続ピラー514eは、別のトランジスタ532のソース512Sに電気的に接続される。続いて、トレンチに導電材料を埋め込んで、配線部514f、514gを形成する。配線部514fは、接続ピラー514c及び接続ピラー514dに電気的に接続される。配線部514gは、接続ピラー514eに電気的に接続される。続いて、層間絶縁膜514bの上に、層間絶縁膜514hを形成する。
次に、図43(a)、図43(b)に示すように、層間絶縁膜514hの上に、酸化シリコン(SiO2)からなる層間絶縁膜514iを、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成する。続いて、層間絶縁膜514iの所定の位置に孔を形成し、導電材料(例えば、金属材料)を埋め込み、上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて平坦化する。これにより、配線部514fに接続された接続ピラー514jと、配線部514gに接続された接続ピラー514kと、が形成される。
次に、図44(a)、図44(b)に示すように、層間絶縁膜514iの空洞部570となる領域に凹部を形成し、その凹部に犠牲層514lを埋め込む。犠牲層514lは、例えば、低温で成膜できる材料を用いて形成することができる。低温で成膜できる材料は、例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe)などである。
次に、図45(a)、図45(b)に示すように、層間絶縁膜514i及び犠牲層514lの上に、膜部564(70d)となる絶縁膜561bfを形成する。絶縁膜561bfは、例えば、酸化シリコン(SiO2)などを用いて形成することができる。絶縁膜561bfに複数の孔を設け、複数の孔に導電材料(例えば、金属材料)を埋め込み、接続ピラー561fa、接続ピラー562faを形成する。接続ピラー561faは、接続ピラー514kと電気的に接続され、接続ピラー562faは、接続ピラー514jと電気的に接続される。
次に、図46(a)、図46(b)に示すように、絶縁膜561bf、接続ピラー561fa、接続ピラー562faの上に、配線557となる導電層561fを形成する。
次に、図47(a)、図47(b)に示すように、導電層561fの上に、積層膜550fを形成する。
次に、図48(a)、図48(b)に示すように、積層膜550fを所定の形状に加工し、その上に、絶縁層565となる絶縁膜565fを形成する。絶縁膜565fは、例えば、酸化シリコン(SiO2)などを用いて形成することができる。
次に、図49(a)、図49(b)に示すように、絶縁膜565fの一部を除去し、導電層561fを所定の形状に加工する。これにより、配線557が形成される。このとき、導電層561fの一部は、接続ピラー562faに電気的に接続される接続ピラー562fbとなる。さらに、この上に、絶縁層566となる絶縁膜566fを形成する。
次に、図50(a)、図50(b)に示すように、絶縁膜566fに開口部566pを形成する。これにより、接続ピラー562fbが露出する。
次に、図51(a)、図51(b)に示すように、上面に、配線558となる導電層562fを形成する。導電層562fの一部は、接続ピラー562fbと電気的に接続される。
次に、図52(a)、図52(b)に示すように、導電層562fを所定の形状に加工する。これにより、配線558が形成される。配線558は、接続ピラー562fbと電気的に接続される。
次に、図53(a)、図53(b)に示すように、絶縁膜566fに所定の形状の開口部566oを形成する。開口部566oを介して、絶縁膜561bfを加工し、さらに開口部566oを介して、犠牲層514lを除去する。これにより、空洞部570が形成される。犠牲層514lの除去は、例えば、ウェットエッチング法を用いて行うことができる。
なお、リング状の固定部567とするためには、例えば、空洞部570の上方における非空洞部の縁と膜部564との間を絶縁膜で埋めるようにすればよい。
以上の様にして圧力センサ441が形成される。
図54は、第5の実施形態に係る圧力センサ441の製造方法を例示するためのフローチャートである。
すなわち、図42(a)〜図53(b)において例示をした圧力センサ441の製造方法のフローチャートである。
図54に示すように、まず、半導体基板531の上にトランジスタ532を形成する(ステップS110)。
例えば、図42(a)、図42(b)において例示をしたようにしてトランジスタ532を形成する。
次に、半導体基板531の上に層間絶縁層を形成し、トランジスタ532の上に犠牲層514lを形成する(ステップS120)。
例えば、図43(a)〜図44(b)において例示をしたようにして層間絶縁層や犠牲層514lを形成する。なお、層間絶縁層には、例えば、層間絶縁膜514iが含まれる。
次に、層間絶縁層(例えば層間絶縁膜514i)と犠牲層514lとの上に、膜部564となる絶縁膜561bfを形成する(ステップS121)。
なお、場合によっては、以下の導電層561fが膜部564(70d)を兼ねる場合もある。この場合は、ステップS121は省略される。
次に、配線557となる導電層561fを形成する(ステップS130)。
例えば、図46(a)、図46(b)において例示をしたようにして導電層561fを形成する。
次に、犠牲層514lの上方であって、導電層561fの上に、第1磁性層10を含む検知素子550を形成する(ステップS140)。
例えば、図47(a)〜図48(b)において例示をしたようにして検知素子550を形成する。
次に、検知素子550(50a)の上に配線558となる導電層562fを形成する(ステップS150)。
例えば、図51(a)〜図52(b)において例示をしたようにして導電層562fを形成する。
次に、埋め込み配線を形成する(ステップS160)。
例えば、層間絶縁層の中に、導電層561fと半導体基板531とを電気的に接続する配線と、導電層562fと半導体基板531とを電気的に接続する配線と、を形成する。 例えば、図42(a)、図42(b)、図43(a)、図43(b)、図45(a)、図45(b)、図49(a)及び図49(b)において例示をしたようにして埋め込み配線を形成する。
なお、ステップS160は、例えば、ステップS110〜ステップS150の間、及び、ステップS150の後、の少なくともいずれかの工程において、1回、または、複数回実施することができる。
次に、犠牲層514lを除去する(ステップS170)。
例えば、図53(a)、図53(b)において例示をしたようにして犠牲層514lを除去する。
以上の様にして圧力センサが形成される。
なお、各工程の内容は、図42(a)〜図53(b)において例示をしたものと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
上記の各実施形態において、外部圧力が加わっていない状態(例えば初期状態)における磁化自由層55f(第1磁性層10)の磁化方向は、例えば、第1方向とは異なり、かつ、第2方向とも異なる。各実施形態において、外部圧力が加わった場合に、磁化自由層に加わる異方歪の方向は。第1方向または第2方向に沿う。このため、外部圧力が加わっていない状態における磁化自由層55fの磁化方向を上述したとおりにすることにより、正負の圧力の両方に対して出力の変化を得ることができる。
上記の各実施形態において、膜部70dの面積は、例えば、2500μm2以上640000μm2以下である。膜部70dの面積が小さすぎる場合、外部圧力に対して生ずる歪の大きさを十分に得ることが困難である。2500μm2以上とすることで、歪の大きさを十分に得ることができる。膜部の面積が大きすぎる場合、膜部の強度が十分に得られずに信頼性の高い圧力センサを提供することが困難である。640000μm2以下とすることで、高い信頼性が得られる。上記の各実施形態をマイクロフォンに応用する場合は、膜部の面積が大きすぎると、可聴域における周波数特性が悪化する。膜部70dの面積を640000μm2以下とすることが好ましく、360000μm2以下とすることがさらに好ましい。これにより、例えば、可聴域において、良好な周波数特性が得られる。上記の理由から、膜部70dの面積は、2500μm2以上640000μm2以下とすることが好ましい。
上記の各実施形態において、膜部70dの第2長さは、例えば、20μm以上800μm以下である。膜部70dの第2長さが短すぎる場合、外部圧力に対して生ずる歪の大きさを十分に得ることが困難である。20μm以上とすると、歪の大きさを十分に得ることができる。膜部70dの第2長さが大きすぎる場合、膜部の強度が十分に得られずに信頼性の高い圧力センサを提供することが困難である。800μm以下とすることで、信頼性の高い圧力センサが得られる。上記の各実施形態をマイクロフォンに応用する場合、膜部70dの第2長さが大きすぎると、可聴域における周波数特性が悪化する。膜部70dの第2長さを800μm以下とすることが好ましく、600μm以下とすることがさらに好ましい。これにより、例えば、可聴域において、良好な周波数特性が得られる。上記の理由より、膜部70dの第2長さは20μm以上800μm以下とすることが好ましい。
(第6の実施形態)
図55は、第6の実施形態に係るマイクロフォン610について例示をするための模式図である。
図55に示すように、マイクロフォン610は、前述した各実施形態に係る任意の圧力センサ(例えば、圧力センサ440)や、それらの変形に係る圧力センサを有する。以下においては、一例として、圧力センサ440を有するマイクロフォン610について例示をする。
マイクロフォン610は、携帯情報端末710の端部に組み込まれている。マイクロフォン610に設けられた圧力センサ440の膜部464(70d)は、例えば、携帯情報端末710の表示部620が設けられた面に対して実質的に平行とすることができる。なお、膜部464(70d)の配置は例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
マイクロフォン610は、圧力センサ440などを備えているので、広域の周波数に対して高感度とすることができる。
なお、マイクロフォン610が携帯情報端末710に組み込まれている場合を例示したがこれに限定されるわけではない。マイクロフォン610は、例えば、ICレコーダーやピンマイクロフォンなどにも組み込むことができる。
(第7の実施形態)
本実施形態は、上記の各実施形態の圧力センサを用いた音響マイクに係る。
図56は、第7の実施形態に係る音響マイクを例示する模式的断面図である。
本実施形態に係る音響マイク320は、プリント基板321と、カバー323と、圧力センサ310と、を含む。プリント基板321は、例えばアンプなどの回路を含む。カバー323には、アコースティックホール325が設けられる。音329は、アコースティックホール325を通って、カバー323の内部に進入する。
圧力センサ310として、上記の各実施形態に関して説明した圧力センサのいずれか、及び、その変形が用いられる。
音響マイク320は、音圧に対して感応する。高感度な圧力センサ310を用いることにより、高感度な音響マイク320が得られる。例えば、圧力センサ310をプリント基板321の上に搭載し、電気信号線を設ける。圧力センサ310を覆うように、プリント基板321の上にカバー323を設ける。
本実施形態によれば、高感度な音響マイクを提供することができる。
(第8の実施形態)
本実施形態は、上記の各実施形態の圧力センサを用いた血圧センサに係る。
図57(a)及び図57(b)は、第8の実施形態に係る血圧センサを例示する模式図である。
図57(a)は、ヒトの動脈血管の上の皮膚を例示する模式的平面図である。図56(b)は、図57(a)のH1−H2線断面図である。
本実施形態においては、圧力センサ310は、血圧センサ330として応用される。この圧力センサ310には、上記の各実施形態に関して説明した圧力センサのいずれか、及び、その変形が用いられる。
これにより、小さいサイズの圧力センサで高感度な圧力検知が可能となる。圧力センサ310を動脈血管331の上の皮膚333に押し当てることで、血圧センサ330は、連続的に血圧測定を行うことができる。
本実施形態によれば、高感度な血圧センサを提供することができる。
(第9の実施形態)
本実施形態は、上記の各実施形態の圧力センサを用いたタッチパネルに係る。
図58は、第9の実施形態に係るタッチパネルを例示する模式図である。
本実施形態においては、圧力センサ310が、タッチパネル340として用いられる。この圧力センサ310には、上記の各実施形態に関して説明した圧力センサのいずれか、及び、その変形が用いられる。タッチパネル340においては、圧力センサ310が、ディスプレイの内部及びディスプレイの外部の少なくともいずれかに搭載される。
例えば、タッチパネル340は、複数の第1配線346と、複数の第2配線347と、複数の圧力センサ310と、制御部341と、を含む。
この例では、複数の第1配線346は、Y軸方向に沿って並ぶ。複数の第1配線346のそれぞれは、X軸方向に沿って延びる。複数の第2配線347は、X軸方向に沿って並ぶ。複数の第2配線347のそれぞれは、Y軸方向に沿って延びる。
複数の圧力センサ310のそれぞれは、複数の第1配線346と複数の第2配線347とのそれぞれの交差部に設けられる。圧力センサ310の1つは、検出のための検出要素310eの1つとなる。ここで、交差部は、第1配線346と第2配線347とが交差する位置及びその周辺の領域を含む。
複数の圧力センサ310のそれぞれの一端310aは、複数の第1配線346のそれぞれと接続される。複数の圧力センサ310のそれぞれの他端310bは、複数の第2配線347のそれぞれと接続される。
制御部341は、複数の第1配線346と複数の第2配線347とに接続される。
例えば、制御部341は、複数の第1配線346に接続された第1配線用回路346dと、複数の第2配線347に接続された第2配線用回路347dと、第1配線用回路346dと第2配線用回路347dとに接続された制御回路345と、を含む。
圧力センサ310は、小型で高感度な圧力センシングが可能である。そのため、高精細なタッチパネルを実現することが可能である。
上記の各実施形態に係る圧力センサは、上記の応用の他に、気圧センサ、または、タイヤの空気圧センサなどのように、様々な圧力センサデバイスに応用することができる。
実施形態は、以下の特徴と含む。
(特徴1)
支持部に支持され可撓性を有する膜部であって、
前記膜部の膜面の、前記膜面内の第1方向の第1長さは、前記膜面の、前記第1方向に対して垂直で前記膜面内の第2方向の第2長さよりも長く、
前記膜面は、中央部と、前記中央部の周りに設けられた周辺部と、を含む膜部と、
前記中央部の上に設けられ検知素子を含む検知部であって、前記検知素子は、第1磁性層と、前記第1磁性層と前記膜部との間に設けられた第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた中間層と、を含む、検知部と、
を備えた圧力センサ。
(特徴2)
前記膜面は、
前記第1方向に沿う第1辺と、
前記第1辺と離間し前記第1方向に沿う第2辺と、
前記第1辺の一端と、前記第2辺の一端と、に接続され、前記第2方向に沿う第3辺と、
前記第1辺の他端と、前記第2辺の他端と、に接続され、前記第3辺と離間し、前記第2方向に沿う第4辺と、
を含む特徴1記載の圧力センサ。
(特徴3)
前記膜面の形状は、前記第1方向を長軸とし前記第2方向を短軸とした扁平円である特徴1記載の圧力センサ。
(特徴4)
前記中央部の前記第1方向の第3長さは、前記第1長さの0.3倍以下であり、
前記中央部の前記第2方向の第4長さは、前記第2長さの0.3倍以下であり、
前記中央部の重心と、前記膜面の重心と、の間の距離は、前記第2長さの1/10以下である特徴1〜3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴5)
前記第1長さをL1とし、前記第2長さをL2とし、前記第3長さをL3とし、前記第4長さをL4としたとき、
L2/L1は、0.8以上1未満であり、
前記L3は、L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8}の0.8倍以上1.2倍以下であり、
前記L4は、L2×{−2.5×(L2/L1)+2.5}の0.8倍以上1.2倍以下である特徴4記載の圧力センサ。
(特徴6)
前記第1長さをL1とし、前記第2長さをL2とし、前記第3長さをL3とし、前記第4長さをL4としたとき、
L2/L1は、0.8未満であり、
前記L3は、L1×{−0.8×(L2/L1)+0.8}の0.8倍以上1.2倍以下であり、
前記L4は、L2×{0.375×(L2/L1)+0.2}の0.8倍以上1.2倍以下である特徴4記載の圧力センサ。
(特徴7)
前記第2長さの前記第1長さに対する比は、0.1以上0.8以下である特徴1〜6のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴8)
前記第2長さの前記第1長さに対する比は、0.25以上0.64以下である特徴1〜6のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴9)
前記第2長さの前記第1長さに対する比は、0.25以下である特徴1〜6のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴10)
前記検知部は、複数の前記検知素子を含む特徴1〜9のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴11)
前記複数の検知素子の少なくとも2つは、電気的に直列に接続されている特徴1〜10のいずれか1つに記載の圧力センサ。
(特徴12)
前記膜部は、
前記第1方向に沿う第1辺と、
前記第1辺と離間し前記第1方向に沿う第2辺と、
前記第1辺の一端と、前記第2辺の一端と、に接続され、前記第2方向に沿う第3辺と、
前記第1辺の他端と、前記第2辺の他端と、に接続され、前記第3辺と離間し、前記第2方向に沿う第4辺と、
を含み、
前記周辺部は、前記第1辺に沿って設けられた第1素子配置領域を含み、
前記複数の検知素子は、前記第1素子配置領域に配置され、前記複数の検知素子の少なくとも2つの前記第1方向のそれぞれの位置は、互いに異なる圧力センサ。
(特徴13)
前記複数の検知素子の少なくとも2つは、電気的に直列に接続されている特徴11記載の圧力センサ。
実施形態によれば、高感度の圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルを提供することができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルに含まれる支持部、膜部、検知素子、第1磁性層、第2磁性層及び中間層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。