JP6590300B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転支援装置に係り、特に車両の運転を支援する運転支援装置に関する。
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、居眠り等に起因する車両事故を未然に防止するため、運転者の状態を車内カメラで監視し、運転者が居眠りをしている等の異常状態である場合、車両を自動運転制御によって安全な場所に移動させる車載制御装置が知られている。この車載制御装置は、車内カメラに基づき運転者が異常状態であると判定した場合、自動運転制御を実行する前に、警報音や車内ハザードランプの点灯による警報を実行して、運転者が異常状態であるか否かを再確認している。これにより、運転者が正常状態であるにもかかわらず異常状態であると誤って判定されて自動運転制御が実行されることを防止している。具体的に、車載制御装置は、警報実行中に運転者が警報を停止した場合、正常状態であると判定して自動運転制御の実行を禁止している。一方、車載制御装置は、警報を実行してから所定時間が経過するまで運転者が警報を停止しない場合、異常状態であると判定して車外ハザードランプを点滅させると共に自動運転制御を実行している。
特開2016−85563号公報
しかしながら、上述した車載制御装置は、車内ハザードランプやスピーカの警報は、何ら工夫されずに単に発生されているだけであるので、運転者が瞬時に警報に気付くことは困難である。このため、運転者が警報を停止するまで時間が掛かり、正常状態であるにもかかわらず異常状態であると誤って判定される恐れがあるという問題がある。この問題を解決するために、警報を開始してから自動運転制御を実行するまでの時間を長くして、運転者が警報に気付くまでの時間を十分に確保することが考えられる。しかし、この場合は、万が一運転者が異常状態であると、自動運転制御を実行するまでに時間が掛かり、車両事故の発生に繋がる恐れがあるという問題がある。
従って、本発明は、運転者が可能な限り短時間で警報に気付くことができ、運転者が正常状態であるにもかかわらず異常状態であると誤って判定されることを防止することができる運転支援装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、車両の運転を支援する運転支援装置であって、運転者の状態を検知する検知手段と、運転者に警報を発する車内警報手段と、運転者の操作によって警報を停止する警報停止手段と、検知手段からの信号に基づいて運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定する運転者状態推定部と、車内警報手段の警報実行中に、警報停止手段の停止信号に基づいて、運転者が正常状態又は異常状態であるかを判定する運転者状態判定部と、危険回避制御部と、を有し、運転者状態推定部により運転者が異常状態であると推定された場合、車内警報手段が警報を発した後に、運転者状態判定部は、車両に対して運転者状態判定のための制動力を付与する減速処理を実行し、危険回避制御部は、停止信号を受信せず且つ減速処理を実行してから所定時間が経過した場合、車両の外部に設けられた車外警報手段を点灯させると共に自動で車両の走行を制御して上記車両を停止させて、その停止後に、他車両が走行している走行路に面していない側のドアのドアロック機構のみを解除状態にすると共に車外に向けて運転者が異常状態である旨を通報する。
このように構成された本発明においては、警報に加えて、車両の減速により運転者に減速Gを付与するため、運転者が正常状態である場合、従来よりも短時間で警報に気付いて警報を停止することができる。したがって、運転者が正常状態であるにもかかわらず異常状態であると誤って判定することを防止できる。
また、警報を発した後に、車両の減速により運転者に減速Gを付与するため、運転者は、慌てることなく順序良く警報に気付くことができる。
危険回避制御部は、車両の外部に設けられた車外警報手段を点灯させると共に、自動で車両の走行を制御して車両を停止させるため、車外警報手段の点灯により運転者が異常状態であることを車外に知らせると共に、自動運転により運転者を安全な場所に退避させることができる。
また、自動で車両を停止させた後に、車両のドアロック機構を解除状態にすると共に、車外に向けて運転者が異常状態である旨を通報するため、車両を救助可能な状態にして、車外の基地局や警察署、公共機関等に向けて運転者が異常状態であることを知らせることができる。その際に、他車両が走行している走行路に面していないドアのドアロック機構のみを解除状態にするため、異常状態の運転者が走行路側のドアを不意に開けて飛び出すことを防止できる。したがって、走行路を走行する他車両との衝突事故の発生を未然に防止することができる。
本発明において、好ましくは、運転者状態判定部は、減速処理として、車両のエンジンへの燃料供給を停止させることによって車両に対してエンジンブレーキによる制動力を付与させる。
本発明は、運転者が可能な限り短時間で警報に気付くことができ、運転者が正常状態であるにもかかわらず異常状態であると誤って判定されることを防止することができる。
本発明の実施形態による運転支援装置を示すブロック図である。 本発明の実施形態による運転支援装置を搭載した車両の前方部分を示す部分正面図である。 本発明の実施形態による運転支援装置の動作を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による運転支援装置を搭載した車両の動作を示す概略平面図である。 本発明の実施形態による運転支援装置の車内警報処理、減速処理等の各処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による危険回避処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1及び図2を参照して、運転支援装置の基本構成について説明する。図1は本発明の実施形態による運転支援装置を示すブロック図である。図2は本発明の実施形態による運転支援装置を搭載した車両の前方部分を示す部分正面図である。
図1に示すように、運転支援装置1は、車両に搭載され、運転者の状態を検知する検知部3、運転者が操作してハザードランプ19をON/OFFするハザードスイッチ5、運転支援に関する種々の処理を実行するECU7(Electronic Control Unit)、運転者に警報を発する車内警報部9、車両に付与する制動力を制御するブレーキ制御部11、エンジンの出力を制御するエンジン制御部13、車両の操舵を制御するステアリング制御部15、ハザード状態を知らせるハザードランプ19、ドアをロック状態又は解除状態にするドアロック機構17、車外に通報をする通信機18を備えている。検知部3は、後述する車外カメラ21、レーダ23、ソナー25、車速センサ27、車内カメラ28を備えている。車内警報部9は、後述するスピーカ29、ウィンカーインジケータ31、ヘッドアップディスプレイ33(HUD;Head-Up Display)、センターディスプレイ35を備えている。
次に、検知部3について説明する。検知部3は、本来、車両走行のために種々のデータ(車速、オフセット距離、車間距離、ブレーキ反応時間、運転者の顔画像等)を得るものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定するために運転者の状態を検知する検知手段として機能するようになっている。
車外カメラ21は、車両外部の前方中央又は車両内部の前方中央(フロントミラーの裏)に設けられる。車外カメラ21は、現在の車両の前方周囲の画像を撮像して、画像信号をECU7に送信する。車外カメラ21は、ステレオカメラ、CCDカメラ、単眼カメラ等が用いられる。
レーダ23は、車両外部の前方端に設けられる。レーダ23は、現在の車両に対する対象物(例えば、先行車、駐車車両、歩行者、障害物等)の相対位置及び相対速度を測定し、相対位置及び相対速度の信号をECU7に送信する。レーダ23は、ミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波センサ等が用いられる。
ソナー25は、車両外部の後方端に設けられる。ソナー25は、車両が低速(時速10km以下)で走行しているとき、現在の車両位置から後方にある対象物までの距離を測定し、距離の信号をECU7に送信する。ソナー25は、超音波センサ等が用いられる。
車速センサ27は、現在の車速(車両の絶対速度)を検知し、車速の信号をECU7に送信する。
図2に示すように、車内カメラ28は、運転者の顔面に向けられた状態で車両内部の運転席の前方に設けられる。車内カメラ28は、現在の運転者の顔画像を撮像し、運転者の顔画像の信号をECU7に送信する。車内カメラ28は、ステレオカメラ、CCDカメラ、単眼カメラ等が用いられる。
ハザードスイッチ5は、運転席と助手席との間で運転者が操作し易い位置に設けられる。ここで、ハザードスイッチ5は、本来、ハザードランプ19をONにして他車両の運転者等に自車両のハザード状態を知らせるものであるが、本実施形態においては、後述するように、警報を停止するために運転者によって操作される警報停止手段として機能するようになっている。具体的に、ハザードスイッチ5は、車両内部の前方のインストルメントパネル37の中央(ステアリング39の右側)付近に設けられる。ハザードスイッチ5は、運転者等が押下する操作に基づきON/OFF信号を検知してECU7に送信する。ハザードスイッチ5は、車両内部に設けられたウィンカーインジケータ31、HUD33、センターディスプレイ35、車両外部に設けられたハザードランプ19の動作と連動可能に接続されている。
スピーカ29は、左側スピーカ及び右側スピーカの2つのスピーカを備え、インストルメントパネル37の中央付近に左右方向に直列に設けられる。ここで、スピーカ29は、本来、運転者等にカーオーディオ等からの音を出力するものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者に警報を発する車内警報手段として機能するようになっている。スピーカ29は、音の音量や音圧レベル、伝搬時間等を調整可能であり、2つのスピーカ29により仮想音源の音像を車内空間の任意の方向及び距離に定位させる音像定位制御を行うことができるように構成されている。これにより、仮想音源の音像から運転席に向かう指向性を有する音を発生させることができる。図2に示すように、スピーカ29が発する音を調整することにより、仮想音源の音像30を助手席付近に形成し、仮想音源の音像30から運転席に向かう指向性を有する音を形成する。仮想音源の音像30から発生された音は、伝搬領域Aを経由して運転席の運転者に到達する。
ウィンカーインジケータ31は、運転席の前方の運転者が視認し易い位置に設けられる。ここで、ウィンカーインジケータ31は、本来、運転者等にハザードランプ19等の点灯状態を知らせるものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者に警報を発する車内警報手段として機能するようになっている。具体的に、ウィンカーインジケータ31は、運転席の前方のメーターパネルの上方位置に設けられる。ウィンカーインジケータ31は、複数のLED電灯を備えており、ウィンカーインジケータ31から発生される光が運転席に向かう指向性を有するように配置されている。また、ウィンカーインジケータ31は、光の明るさを多段階に変更可能(調光可能)に構成されている。ウィンカーインジケータ31は、方向指示スイッチ(図示せず)、ハザードスイッチ5の運転者によるON/OFF操作に基づき点灯/消灯が実行される。
HUD33は、運転者の正面の視界内に配置され、運転席の前方のフロントガラス41の下側領域に設けられる。ここで、HUD33は、本来、運転者等に車速等を表示するものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者に警報を発する車内警報手段として機能するようになっている。具体的に、HUD33は、透明なガラス材料で形成される板状パネルと、板状パネルの画面上に車速、制限速度、走行上の注意情報等のメッセージを投影する投影装置とを備えている。板状パネルは、フロントガラス41と平行に重なって配置され、板状パネルの画面上にメッセージ等が表示される。このため、運転者は、車外の走行環境とメッセージ等を重ねて視認することができる。投影装置は、複数のLED電灯を備えており、光の明るさを多段階に変更可能(調光可能)に構成されている。投影装置及び板状パネルは、投影装置から発生された光が板状パネルで反射され、運転席に向かう指向性を有するように配置されている。HUD33は、HUD用スイッチ(図示せず)、ハザードスイッチ5等の運転者によるON/OFF操作に基づき点灯/消灯する。
センターディスプレイ35は、運転席と助手席との間の運転者が視認し易い位置に設けられる。ここで、HUD33は、本来、運転者等に車両の現在位置、走行経路情報、地図情報、走行上の注意情報等の表示を行うものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者に警報を発する車内警報手段として機能するようになっている。具体的に、センターディスプレイ35は、車両内部の前方のインストルメントパネル37の中央上部に設けられる。センターディスプレイ35は、複数のLED電灯を備えており、光の明るさを多段階に変更可能(調光可能)に構成されている。センターディスプレイ35は、画面から発生される光が運転席に向かう指向性を有するように配置されている。センターディスプレイ35は、センターディスプレイ用スイッチ(図示せず)、ハザードスイッチ5等の運転者によるON/OFF操作に基づき点灯/消灯する。センターディスプレイ35は、カーナビゲーションシステム等が用いられる。
ECU7は、各機器からの信号を入力するための入力インターフェイス回路、各機器へ要求信号を出力するための出力インターフェイス回路、入力された信号を処理するためのCPU、メモリ及びこれらを作動させるためのプログラム(以上、図示せず)から構成されている。ECU7は、検知部3、ハザードスイッチ5と通信可能に接続され、これらから受け取った信号に基づき、各種解析、計算、データの記憶、判定を実行し、車内警報部9、ブレーキ制御部11、エンジン制御部13、ステアリング制御部15、ハザードランプ19、ドアロック機構17、通信機18に要求信号を出力する。ECU7は、内蔵されたCPU等の作用により、運転者状態推定部43、運転者状態判定部45、危険回避制御部47として機能するようになっている。
運転者状態推定部43は、車内カメラ28にて撮像された運転者の顔画像に基づき、運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定する(推定処理)。具体的に、運転者状態推定部43は、運転者の顔画像に基づき、運転者の視線、瞬き回数、瞳孔の大きさ等について、予め記憶された正常時の運転者の顔画像と比較することによって、運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定する。運転者の異常状態とは、運転者が交通規則に従い正常に運転することができない状態であり、例えば運転者の覚醒度又は意識レベルが低い状態(例えば、眠っている状態、心肺停止している状態等)や脳疾患に基づく視野欠損が発生している状態を含む。なお、本実施形態は、運転者の顔画像により運転者の状態を推定しているが、運転者状態推定部43は、車外カメラ21、レーダ23、ソナー25、車速センサ27等にて得られた各種データ(車速、オフセット距離、車間距離、ブレーキ反応時間等)に基づき、運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定してもよい。
運転者状態判定部45は、車内警報部9を制御して車内空間に対して警報を行う(第1の車内警報処理、第2の車内警報処理)と共に、エンジン制御部13を制御してエンジンブレーキによる制動力を発生させる(減速処理)。また、運転者状態判定部45は、各警報処理及び減速処理の実行中に、運転者がハザードスイッチ5を操作した操作信号に基づいて、運転者が正常状態又は異常状態であるかを判定する。本実施形態は、減速処理として、エンジンブレーキにより車両に制動力を発生させているが、運転者状態判定部45がブレーキ制御部11を制御してブレーキ液圧を昇圧させることにより車両に制動力を発生させてもよい。
危険回避制御部47は、車両に搭載された検知部3からの検知信号、ハザードスイッチ5の操作信号に基づき、エンジン制御部13、ブレーキ制御部11、ステアリング制御部15、ハザードランプ19、ドアロック機構17、通信機18を制御して、自動運転制御処理、車外警報処理、ロック解除処理、通報処理を実行する。具体的に、危険回避制御部47は、エンジン制御部13、ブレーキ制御部11、ステアリング制御部15のそれぞれのアクチュエータ(図示せず)を制御することにより、車両の速度・操舵を自動で制御する(自動運転制御処理)。これにより、危険回避制御部47は、衝突防止機能や車線逸脱防止機能、自動運転機能、その他様々な機能を実現する。危険回避制御部47は、ハザードランプ19にON信号を送信することによりハザードランプ19を点灯する(車外警報処理)。また、危険回避制御部47は、車両の各ドアに設けられたドアロック機構17に解除信号を送信することにより各ドアのロックを解除する(ロック解除処理)。危険回避制御部47は、通信機18にデータ等を送信することにより車外の基地局等に無線で運転者が異常状態である旨及び車両の位置情報を通報する(通報処理)。
ハザードランプ19は、車両外部の後方の両端に設けられる。ここで、ハザードランプ19は、本来、他車両の運転者等に、自車のハザード状態を知らせるものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者の異常状態を知らせる車外警報手段として機能するようになっている。ハザードランプ19は、複数のLED電灯を備え、ECU7からの要求信号に基づきLED電灯を点灯/消灯させる。
ドアロック機構17は、車両の各ドアにそれぞれ設けられる。ここで、ドアロック機構17は、本来、運転者等が操作してドアをロック状態(ドア開閉不可能状態)又は解除状態(ドア開閉可能状態)にするものであるが、本実施形態においては、後述するように、運転者が異常状態である時に自動でドアのロック状態を解除する機構として機能するようになっている。ドアロック機構17は、ECU7から要求信号を受信した場合に、各アクチュエータを作動させて全てのドア又は一部のドアを解除状態又はロック状態にする。
通信機18は、ECU7から要求信号を受信した場合に、運転者が異常状態である旨及び車両の位置情報を車外の基地局や警察署、公共機関に無線で通報するように構成されている。ここで、通信機18は、本来、車両の走行距離や部品のメンテナンス情報を送信するものであるが、後述するように、運転者の異常状態時に通報する装置として機能するようになっている。
次いで、図3、図4を参照して、本発明の本実施形態による運転支援装置の動作について説明する。図3は本発明の実施形態による運転支援装置の動作を示すタイムチャートである。図4は本発明の実施形態による運転支援装置を搭載した車両の動作を示す概略平面図である。
時間t0以前に、車内カメラ28にて撮像された運転者の顔画像に基づいて、ECU7の運転者状態推定部43は、現在の運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定する(推定処理)。具体的に、運転者状態推定部43は、車内カメラ28が撮像した現在の運転者の顔画像に基づき、運転者の視線が前方を向いていない状態又は瞬きが所定回数以上発生している状態、瞳孔が閉じている状態を検知した場合、運転者が異常状態であると推定する。
ECU7の運転者状態推定部43は、運転者が異常状態であると推定した場合、時間t0で、警報を行うために、車両内部の2つのスピーカ29に対してON信号を送信する。2つのスピーカ29は、ON信号を受信すると運転者に警告音又は音声による警報を発する(第1の警報処理)。具体的に、2つのスピーカ29は、車内空間に仮想音源の音像30を形成して、この仮想音源の音像30から運転席に向かう指向性を有する警告音又は音声を発する。このため、運転者が正常状態である場合、運転者は短時間で警告音又は音声に気付くことができる。警告音又は音声は、第1の所定音量で連続して発生される。
また、運転者が短時間で警報の停止方法を認識できるように、警告音はハザードスイッチ5をONにした場合の点滅音(例えば、「カチ、カチ、カチ」)に設定され、音声は警報の停止方法を案内するメッセージ(例えば、「ハザードスイッチを押してください」)に設定されている。このため、運転者は、警告音又は音声を聞いてから短時間でハザードスイッチ5の操作による停止方法を認識することができる。運転者によってハザードスイッチ5が操作された場合、ECU7の運転者状態判定部45は、運転者は正常状態であると判定して、スピーカ29からの警告音又は音声を停止する。
第1の所定時間(t0〜t1、例えば200msec)が経過した後、時間t1で、ECU7の運転者状態判定部45は、警報を発するためにウィンカーインジケータ31及びHUD33に対してON信号を送信する。ウィンカーインジケータ31及びHUD33は、ON信号を受信すると運転者に警告灯及び警告表示による警報を発する(第2の警報処理)。具体的に、ウィンカーインジケータ31の警告灯及びHUD33の警告表示は、運転席に向かう指向性を有する光を発する。このため、運転者が正常状態である場合、運転者は短時間で警告灯及び警告表示に気付くことができる。また、スピーカ29の警告音又は音声を発した後に所定時間が経過してウィンカーインジケータ31の警告灯及びHUD33の警告表示を発するため、運転者は慌てることなく順序良く警報内容を確認することができる。警告灯及び警告表示は、第1の所定光量で連続して発生される。
また、運転者が短時間で警報の停止方法を認識できるように、ウィンカーインジケータ31の警告灯は、通常の運転時においてハザードスイッチ5をONにした場合と同様に点滅(例えば、左右向きの矢印を所定間隔で点滅)するように設定されている。HUD33の警告表示は、板状パネルに警報の停止方法を案内するメッセージ(例えば、「ハザードスイッチを押してください」)を表示するように設定されている。このため、運転者は、ウィンカーインジケータ31の警告灯及びHUD33の警告表示を視認してから短時間でハザードスイッチ5の操作による停止方法を認識することができる。運転者によってハザードスイッチ5が操作された場合、ECU7の運転者状態判定部45は、運転者は正常状態であると判定して、ウィンカーインジケータ31の警告灯及びHUD33の警告表示を消灯する。
本実施形態では、ウィンカーインジケータ31及びHUD33の両方により警報を行っているが、何れか一方だけで行ってもよく、他の機器、例えば、センターディスプレイ35に警告表示をすることにより警報を行ってもよい。
第2の所定時間(t0〜t2、例えば600msec)が経過し、且つ車内カメラ28で撮像した運転者の顔画像に基づいて運転者の視線がウィンカーインジケータ31又はHUD33を向いていないことを検出している場合、時間t2で、ECU7の運転者状態判定部45は、エンジン制御部13に対して燃料供給の停止信号を送信する。エンジン制御部13は、停止信号を受信すると燃料噴射弁を閉弁させてエンジンブレーキによる制動力を発生させる(減速処理)。これにより、車速はt2以前と比べて大きく減速すると共に、運転者に減速Gが付与される。運転者は、減速Gを身体で感じるので、運転者が正常状態である場合、確実に警報に気付くことができる。運転者によってハザードスイッチ5が操作された場合、ECU7の運転者状態判定部45は、運転者が正常状態であると判定して、エンジンブレーキを停止して通常の運転モードに復帰させる。
第3の所定時間(t0〜t3、例えば、3000msec)が経過し、且つハザードスイッチ5の操作が検出されていない場合、時間t3で、ECU7の運転者状態判定部45は、第1及び第2の車内警報処理、減速処理を終了する。それと同時に、ECU7の危険回避制御部47は、車外警報を行うためにハザードランプ19に対してON信号を送信すると共に、自動運転制御を行うためにエンジン制御部13、ブレーキ制御部11、ステアリング制御部15に対して自動運転開始信号を送信する。ハザードランプ19は、ON信号を受信すると点灯して車外周囲の他車両の運転者や歩行者に対して運転者が異常状態であることを知らせる(車外警報処理)。エンジン制御部13、ブレーキ制御部11、ステアリング制御部15は、自動運転開始信号を受信すると、危険回避制御部47によって制御されて車両を安全な場所まで自動で走行し停止する(自動運転制御処理)。具体的に、図4に示すように、危険回避制御部47は、ステアリング制御部15を制御して自動で操舵することにより、他車両が走行している走行路R2と逆側である走行路R1の路肩に自車両を移動させる。また、危険回避制御部47は、エンジン制御部13及びブレーキ制御部11を制御して車速をt3以前より大きく減少させて車両を停車する。
図4に示すように、時間t4で、車両が停車(時速0km)すると、危険回避制御部47は、ドアロック機構17を制御して、走行路R2に面しない歩道側のドアのドアロック機構17のみを解除状態にする(ロック解除処理)。即ち、危険回避制御部47は、走行路R1に面する走行路R2側のドアのドアロック機構17は、ロック状態に維持する。このため、ロックが解除されている歩道側のドアを開けて異常状態の運転者を救助することができる。また、走行路R2側のドアはロックされており、異常状態の運転者がドアを不意に開けて飛び出すことを防止できる。したがって、走行路R2を走行する他車両との衝突事故の発生を未然に防止することができる。
時間t4で、危険回避制御部47は、通信機18を制御して、例えば、車外の基地局や警察署、公共機関の監視者と無線で通信して、運転者が異常状態である旨及び車両の位置情報を送信する。このため、監視者は短時間で緊急車両等を車両の停車場所に派遣することができる。
図5を参照して本発明の実施形態による運転支援装置の動作フローについて説明する。図5は本発明の実施形態による運転支援装置の車内警報処理、減速処理等の各処理を示すフローチャート、図6は本発明の実施形態による危険回避処理を示すフローチャートである。図5及び図6において、Sは各工程を示す。
図5に示すように、S1では、検知部3で検知した各種データ(車速、オフセット距離、車間距離、ブレーキ反応時間、運転者の顔画像、先行車の車速等)を読み込む。
S2では、ECU7の運転者状態推定部43は、車内カメラ21で撮像した運転者の顔画像に基づき現在の運転者が正常状態であるか又は異常状態であるかを推定する(推定処理)。運転者が異常状態であると推定した場合(S2;Yes)、S3に移行し、運転者状態判定部45はタイマによる時間カウントを開始する(t0)。運転者が正常状態であると推定した場合(S2;No)、継続して各種データを読み込む。
S4では、ECU7の運転者状態判定部45は、第1の所定音量でスピーカ29から警告音又は音声を発する(第1の車内警報処理)。次いで、S5で、運転者状態判定部45は、第1の所定時間(t1、例えば200msec)が経過したか否かを判定する。第1の所定時間が経過していない場合(S5;No)、第1の所定時間が経過するまでS4の警報を実行する。第1の所定時間が経過した場合(S5;Yes)は、S6で、運転者状態判定部45は、第1の所定光量でウィンカーインジケータ31の警告灯及びHUD33の警告表示の光を発する(第2の車内警報処理)。また、運転者状態判定部45は、各車内警報処理中に運転者によってハザードスイッチ5が操作された場合は警報を停止して、本フローを終了する。
S7では、第2の車内警報処理を実行している間、ECU7の運転者状態判定部45は、車内カメラ28によって撮像された画像に基づき、運転者の視線がウィンカーインジケータ31又はHUD33の方向を向いているか否かを判定する。運転者の視線がウィンカーインジケータ31又はHUD33の方向を向いていない場合(S7;Yes)、S8に移行する。運転者の視線がウィンカーインジケータ31又はHUD33を向いている場合(S7;No)、運転者は正常状態である可能性が高いので、S8〜S10を省略してS11に移行する。
S8で、ECU7の運転者状態判定部45は、第2の所定時間(t2、例えば600msec)が経過したか否か判定する。第2の所定時間が経過していない場合(S8;No)、第2の所定時間が経過するまでS7の運転者の視線の判定を繰り返し実行する。第2の所定時間が経過した場合(S8;Yes)は、S9で、運転者状態判定部45は、エンジンブレーキの制動力を車両に付与する(減速処理)。それと同時に、S10で、運転者状態判定部45は、スピーカ29の音量を第1の所定音量から第2の所定音量に増加させると共に、ウィンカーインジケータ31及びHUD33の光量を第1の所定光量から第2の所定光量に増加させる(S10)。このため、運転者に減速Gを付与して且つ大きな音量及び光量で警告を発するので、運転者が正常状態である場合、運転者は確実に警報に気付くことができる。また、運転者状態判定部45は、減速処理中に運転者によってハザードスイッチ5が操作された場合は減速及び警報を停止して、本フローを終了する。
S11で、ECU7の運転者状態判定部45は、第3の所定時間(t3、例えば3000msec)が経過したか否か判定する。第3の所定時間が経過していない場合(S11;No)、S12に移行する。第3の所定時間が経過した場合(S11;Yes)は、S15で、ECU7の危険回避制御部47は、危険回避処理(自動運転制御処理、車外警報処理、ロック解除処理、通報処理)を実行する。
S12では、ECU7の運転者状態判定部45は、ハザードスイッチ5の操作信号(警告停止信号)を受信したか否かを判定する。ハザードスイッチ5の操作信号を受信していない場合(S12;No)、第3の経過時間が経過するまでS11の判定を繰り返し実行する。ハザードスイッチ5の操作信号を受信した場合(S12;Yes)、運転者は正常状態であるので第1及び第2の車内警報処理、減速処理の全てを終了する(S13)。
S14では、ECU7の運転者状態判定部45は、スピーカ29に対して報知開始の信号を送信し、予め記憶しているメッセージを音声案内により報知する。具体的に、運転者状態判定部45は、車内警報処理及び/又は減速処理を実行した旨及び通常の運転モードに復帰した旨に関するメッセージ(例えば、「異常状態が疑われましたが、正常状態が確認できました。引き続き安全に運転してください」等のメッセージ)をスピーカ29から発して報知する(報知処理)。このため、運転者は車両の故障等を疑うことなく安心して運転を継続することができる。なお、本実施形態は、スピーカからメッセージを音声案内により報知しているが、HUD又はセンターディスプレイの画面にメッセージを表示することにより報知してもよい。
次いで、図6を参照して、S15の危険回避処理について詳細を説明する。
危険回避処理は、車外警報処理(S21)、自動運転制御処理(S22)、ロック解除処理(S24)、通報処理(S25)を含む。
S21では、ECU7の危険回避制御部47は、車両外部のハザードランプ19を点灯させる(車外警報処理)。S22では、危険回避制御部47は、車両を自動で走行させて安全な場所で停止させる(自動運転制御処理)。
S23では、ECU7の危険回避制御部47は、車速センサ27からの検知信号に基づき車両が停止(時速0km)したか否かを判定する。車両が走行している場合(S23;No)、車速の検知を繰り返し実行する。車両が停止した場合(S23;Yes)、S24で、危険回避制御部47は、歩道側のドアロック機構17のみを解除状態にする。次いで、S25で、危険回避制御部47は、運転者が異常状態である旨及び車両の位置情報を車外の基地局等に通報する(通報処理)。以上で運転支援装置の動作フローを完了する。
次いで、本実施形態の(作用)効果について説明する。
本実施形態の運転支援装置1において、ECU7の運転者状態判定部45は、ECU7の運転者状態推定部43により運転者が異常状態であると推定された場合、スピーカ29の警告音又は音声による警報を発し(第1の車内警報処理)、ウィンカーインジケータ31の警告灯及び/又はHUD33の警告表示による警報を発する(第2の車内警報処理)。それと共に、ECU7の運転者状態判定部45は、車両に対して運転者状態判定のためのエンジンブレーキによる制動力を付与する(減速処理)。このように構成された本実施形態においては、音又は/及び光による警報に加えて、エンジンブレーキにより運転者に減速Gが付与されるため、運転者が正常状態である場合、従来よりも短時間で警報に気付いて警報を停止することができる。したがって、運転者が正常状態であるにもかかわらず異常状態であると誤って判定することを防止できる。
本実施形態において、ECU7の運転者状態判定部45は、スピーカ29が警報を発した後に第2の所定時間が経過した場合、車両に対してエンジンブレーキによる制動力を付与する。このように構成された本実施形態においては、警報を発した後に、第2の所定時間が経過してからエンジンブレーキにより運転者に減速Gを付与するため、運転者は、慌てることなく順序良く警報に気付くことができる。
また、本実施形態において、ECU7の危険回避制御部47は、ハザードスイッチ5が操作されず、スピーカ29が警報を発した後に第3の所定時間が経過した場合、車両の外部に設けられたハザードランプ19を点灯させる(車外警報処理)。それと共に、ECU7の危険回避制御部47は、自動で車両の走行を制御して停止させる(自動制御処理)。このように構成された本実施形態においては、ハザードランプ19の点灯により運転者が異常状態であることを車外に知らせると共に、自動運転により運転者を安全な場所に退避させることができる。
本実施形態において、ECU7の危険回避制御部47は、自動で車両を停止(時速0km)させた後に、車両のドアロック機構17を解除状態にする(ロック解除処理)。それと共に、ECU7の危険回避制御部47は、通信機18によって車外の基地局等に向けて運転者が異常状態である旨及び車両の情報を通報する(通報処理)。このように構成された本実施形態においては、車両を救助可能な状態にし、車外の基地局や警察署、公共機関等に向けて運転者が異常状態であることを知らせることができる。
また、本実施形態において、ECU7の危険回避制御部47は、ドアロック機構17を解除状態にするときに、他車両が走行している走行路R2に面していないドアのドアロック機構17のみを解除状態にする。このように構成された本実施形態においては、異常状態の運転者が走行路R2側のドアを不意に開けて飛び出すことを防止できる。したがって、走行路R2を走行する他車両との衝突事故の発生を未然に防止することができる。
本実施形態では、警報停止手段としてハザードスイッチ5を用いたが、これに限定されず、例えば、ホーンスイッチ、パッシングスイッチ、方向指示スイッチ、その他スイッチを用いてもよい。
本発明の上述した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
1 運転支援装置
3 検知部
5 ハザードスイッチ
7 ECU
9 車内警報部
17 ドアロック機構
18 通信機
19 ハザードランプ
21 車外カメラ
29 スピーカ
30 仮想音源の音像
31 ウィンカーインジケータ
33 ヘッドアップディスプレイ(HUD)
43 運転者状態推定部
45 運転者状態判定部
47 危険回避制御部

Claims (2)

  1. 車両の運転を支援する運転支援装置であって、
    運転者の状態を検知する検知手段と、
    運転者に警報を発する車内警報手段と、
    運転者の操作によって上記警報を停止する警報停止手段と、
    上記検知手段からの信号に基づいて運転者が正常状態又は異常状態であるかを推定する運転者状態推定部と、
    上記車内警報手段の警報実行中に、上記警報停止手段の停止信号に基づいて、運転者が正常状態又は異常状態であるかを判定する運転者状態判定部と、
    危険回避制御部と、を有し、
    上記運転者状態推定部により運転者が異常状態であると推定された場合、上記車内警報手段が警報を発した後に、上記運転者状態判定部は、上記車両に対して運転者状態判定のための制動力を付与する減速処理を実行し、
    上記危険回避制御部は、上記停止信号を受信せず且つ上記減速処理を実行してから所定時間が経過した場合、上記車両の外部に設けられた車外警報手段を点灯させると共に自動で上記車両の走行を制御して上記車両を停止させて、その停止後に、他車両が走行している走行路に面していない側のドアのドアロック機構のみを解除状態にすると共に車外に向けて運転者が異常状態である旨を通報する、運転支援装置。
  2. 上記運転者状態判定部は、上記減速処理として、上記車両のエンジンへの燃料供給を停止させることによって上記車両に対してエンジンブレーキによる制動力を付与させる、請求項1に記載の運転支援装置。
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