JP6589435B2 - 金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物及び樹脂成型物 - Google Patents
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化合物(a2):ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又は下記式(1)で示されるポリオールであって、化合物(a3)以外のポリオール
本発明の金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物(以下、本組成物という。)に配合されるウレタン(メタ)アクリレート(A)成分は、下記の化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A1)、並びに化合物(a1)、化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレートである。この(A)成分は、本組成物の硬化塗膜(以下、単に塗膜という。)に耐ハジキ性を付与する。
化合物(a1)は、イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネートである。この化合物(a1)は、塗膜に可撓性を付与する。
化合物(a2)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又は前記式(1)で示されるポリオールであって、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは後述する化合物(a3)以外の化合物である。この化合物(a2)は、塗膜に耐ハジキ性を付与するものである。
化合物(a3)は、水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。この化合物(a3)は、その水酸基が化合物(a1)又は化合物(a1)から得られたイソシアネート基を有する中間体化合物のイソシアネート基とウレタン結合を形成し、(A)成分に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入できるものであればよい。
化合物(A)の合成法は、特に限定されず、例えば従来から知られるウレタン(メタ)アクリレート合成法を使用できる。具体的な合成法としては、例えば、フラスコ内に、化合物(a1)にあたるジイソシアネートを2モル仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒をジイソシアネートとジオールの合計質量に対して50〜300ppmを混合し、フラスコ内の温度を40〜60℃に保ちながら、滴下ロートを用いて化合物(a2)にあたるジオール1モルを2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマー末端に残存するイソシアネート基に当量の水酸基を有する化合物(a3)にあたる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを滴下し、60〜85℃で付加反応させればよい。その反応終点は、残存するイソシアネート基を定量することで判定できる。終点の反応率は、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して5〜25質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。(A)成分の配合割合の範囲の下限値は、硬化塗膜の平滑性、耐ハジキ性を良好にする点で意義がある。また上限値は、金属膜との付着性を良好にする点で意義がある。
(B)成分は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分以外のモノマーである。(B)成分は、塗膜の要求性能に応じて適宜選択すればよい。
(B)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して35〜60質量%であり、好ましくは40〜60質量%である。(B)成分の配合割合の範囲の下限値は、硬化性を向上できる点で意義が有る。また上限値は、塗膜の金属膜との付着性を良好にする点で意義が有る。
(C)成分は、ビニル系単量体の(共)重合体である。(C)成分の製造方法は特に限定されず、従来から知られるラジカル重合開始剤の存在下で1種又は2種以上のビニル系単量体を溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の方法で重合することにより得ることができる。
(C)成分の配合割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して30〜60質量%、好ましくは35〜50質量%である。(C)成分の配合割合の範囲の下限値は、塗膜の金属膜に対する付着性を良好にする点で意義が有る。また上限値は、塗膜の平滑性を良好にする点で意義が有る。
(D)成分は光重合開始剤であり、本組成物を活性エネルギー照射により硬化させる成分である。
本組成物には、粘度に調整するため等の目的で必要に応じて有機溶剤を配合することができる。具体的な有機溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン、石油ナフサ等の脂肪族化合物;イソプロピルアルコール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系化合物;1−メトキシプロパノール、1−メトキシプロパノールアセテート等のプロピレングリコール系化合物を挙げることができる。
また、本組成物には、レベリング剤、消泡剤、沈降防止剤、潤滑剤、研磨剤、防錆剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等の添加剤を配合してもよい。
本組成物は、基材の表面に蒸着やスパッタリング等の金属化処理により金属膜を形成する際に、予め基材の表面に形成しておくアンダーコート層の材料として使用される。この基材は樹脂成型物が好ましく、樹脂成型物としては、ABS樹脂、AES樹脂、PC樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂の他、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、PET樹脂、PBT樹脂等のポリエステル樹脂等の成型品が挙げられる。特にABS樹脂、PC樹脂、アクリル樹脂製の化粧品容器や家電製品の筐体に対して有用である。
2リットルの4つ口フラスコに、化合物(a1)としてイソホロンジイソシアネート435.71g(1.96モル)と酢酸ブチル243.88gをジブチル錫ジラウレート0.20gと共に仕込み、ウォーターバスでフラスコ内温が60℃になるように加熱した。次いで、フラスコ内温を60℃に保ち、その混合物を撹拌しながら、化合物(a2)として式(1)においてRがプロピレンオキサイド基、m+nが2である多価アルコール(商品名アデカポリエーテルBPX−11、ADEKA製、数平均分子量356)284.96g(0.8モル)とネオペンチグリコール(分子量104.15)20.83g均一に混合し、40℃に保温した状態で側管付きの滴下ロートを用いて4時間の等速滴下で加え、更に、同温度で2時間撹拌して反応させた。その後、フラスコ内温を70℃に保ちながら、化合物(a3)として2−ヒドロキシエチルアクリレート232.24g(2モル)とハイドロキノンモノメチルエーテル1.59gの均一混合溶液を滴下ロートを用いて2時間の等速滴下で加え、更に、フラスコ内温を75℃に保ちながら、4時間撹拌してウレタンアクリレートUA−1を得た。
化合物(a2)とネオペンチグリコールの混合液を加えず、酢酸ブチルの使用量を225.05gに変更し、2−ヒドロキシエチルアクリレートの量を464.48g(4モル)に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA−2を製造した。
酢酸ブチルの使用量を416.99gに変更し、化合物(a2)をポリエステルジオール(商品名アデカニューエースF18−62、ADEKA製、数平均分子量1000)1000.00g(1モル)に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA−3を製造した。
酢酸ブチルの使用量を383.99gに変更し、化合物(a2)をポリエーテルポリオール(商品名PTG850SN、保土谷化学工業製、数平均分子量868)868.00g(1モル)に変更したこと以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA−4を製造した。
2Lの4つ口フラスコに、トルエン500gを仕込み、内温が80℃になるように加温した。次いで、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド125g(25質量%)、メチルメタクリレート200g(40質量%)、スチレン175g(35質量%)と重合触媒としてアゾビスイソブチルニトリル1gを混合したものを2時間等速滴下によりフラスコ内に滴下した。滴下は、フラスコ内を攪拌し、内温を80℃に保ちながら行った。その後1時間毎にアゾビスイソブチルニトリル0.2gを合計4回追加投入しながら80℃で6時間攪拌し、共重合体PA−1を製造した。PA−1のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は2.5×104であった。
合成例5のメチルメタクリレート200g(40質量%)をメチルメタクリレート100g(20質量%)及びジシクロペンタニルメタクリレート100g(20質量%)に変更したこと以外は、合成例5と同様にして、GPC測定により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が3.1×104の共重合体PA−2を得た。
トップコート材に配合する共重合体PA−3を、滴下する単量体の混合比率を、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド150g(30質量%)、メチルメタクリレート50g(10質量%)、スチレン50g(10質量%)及びイソボルニルメタアクリレート250g(50質量%)とすること以外は、合成例2と同様にして調製した。PA−3のGPC測定により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は5.0×104であった。PA−3のトルエン溶液20質量部(固形分換算で10質量部)と、DPHA(日本化薬製、商品名:KAYARAD DPHA)30質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬製 商品名KAYARAD TMPTA)20質量部、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート(第一工業製薬製 商品名:ニューフロンティアHBPE―4)25質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業製 商品名:ビスコート#150)10質量部、ベンゾフェノン5質量部、キシレン30質量部、酢酸ブチル50質量部、酢酸エチル30質量部及びn−ブタノール30質量部を混合攪拌してトップコート材を調製した。
(1)被覆材組成物の調製:
(A)成分として上記1で合成したUA−1 8質量部(固形分換算で6.4質量部)及び2官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業製 商品名紫光UV−3000B)1.5質量部、(B)成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬製 商品名KAYARAD TMPTA)9.5質量部、EO4モル変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業製 商品名NKエステルA−BPE−4)19質量部、ポリエステルアクリレート(Miwon製 商品名Miramer PS−4140)17質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業製 ビスコート#150)4.6質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学製 アクリル酸―2−エチルヘキシル)5質量部、(C)成分として上記2で合成したPA−1 74質量部(固形分換算で37質量部)、(D)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1部及びベンゾフェノン3部、並びに有機溶剤としてトルエン30部、キシレン30部、n−ブタノール30部及び酢酸エチル20部を、混合溶解して被覆材組成物を得た。
上記(1)で調製した被覆材組成物をABS樹脂で成型された縦9cm、横5cm、厚さ3mmの長方形のテストピースに硬化後の塗膜の膜厚が約15μmになるようにスプレー塗装した。次いで、オーブン中で60℃で2分間加熱処理することにより有機溶剤を揮発させた。その後、空気中で、塗布面の上方より、高圧水銀灯を用いて、積算光量1000mJ/cm2(波長340nm〜380nmの紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射して硬化させ、アンダーコート層を形成した。引き続きアンダーコート層の表面にアルミを真空蒸着法により蒸着させて、更に金属膜の腐食防止等を目的として上記で調製したトップコート材を用いてアンダーコート塗膜層と同じ条件で紫外線硬化トップコート層を形成し、評価用硬化塗膜を作製した。
組成物をスプレーにより、ABS製テストピースに硬化後のアンダーコート膜厚が約15μmとなるように塗布し、硬化後塗膜の外観を目視評価した。目視評価の判定は以下の基準で行った。
◎…表面が平滑であり、高光沢である。
〇…表面が平滑である。
△…表面にやや凹凸が有り、平滑ではない。
×…表面の凹凸が酷く平滑ではない。
組成物をスプレーにより、ABS製テストピースに硬化後のアンダーコート膜厚が約15μmとなるように塗布し、硬化後塗膜の外観を目視評価した。目視評価の判定は以下の基準で行った。
◎…ピンホールが発生しなかった。
〇…極めて小さなピンホールが1〜2個発生するものの実用上問題がない。
△…極めて小さなピンホールが3個以上発生する。
×…大きな目立つピンホールが発生する。
アンダーコート硬化塗膜を形成させ、引き続きアルミ蒸着し、更に金属膜の上にトップコート層を形成し、塗膜の付着性を評価した。試験方法はカッターナイフで碁盤目に1mm間隔で基材まで達するカットを入れ1mm2 の碁盤目を100個作り、その上にニチバン製のセロテープ(登録商標)を貼りつけ急激にはがし、アンダーコートと蒸着膜との層間剥離した碁盤目の状態を観察した。
◎…碁盤目カット剥離試験で剥離なし。
〇…碁盤目カット試験で剥離なしだが、切り溝がややかける。
△…碁盤目カット試験でやや剥離。
×…碁盤目カット試験で全面剥離。
アンダーコート硬化塗膜を形成させ、引き続きアルミ蒸着し、更に金属膜の上にトップコート層を形成した金属化成型品を、50℃・98%RHの雰囲気中に72時間放置後取り出し、外観を以下の基準で評価し、さらに上記「3.付着性」に記載の方法で試験及び評価を行った。
・外観
〇…異常なし。
△…やや塗膜に白化あり。
×…塗膜の白化大。
・付着性
◎…碁盤目カット剥離試験で剥離なし。
〇…碁盤目カット試験で剥離なしだが、切り溝がややかける。
△…碁盤目カット試験でやや剥離。
×…碁盤目カット試験で全面剥離。
アンダーコート硬化塗膜を形成させ、引き続きアルミ蒸着し、更に金属膜の上にトップコート層を形成した金属化成型品を、50℃エタノール中に48時間浸漬後取り出し、外観を以下の基準で評価し、さらに上記「3.付着性」に記載の方法で試験及び評価を行った。
・外観
〇…異常なし。
△…やや塗膜に白化あり。
×…塗膜の白化大。
・付着性
◎…碁盤目カット剥離試験で剥離なし。
〇…碁盤目カット試験で剥離なしだが、切り溝がややかける。
△…碁盤目カット試験でやや剥離。
×…碁盤目カット試験で全面剥離。
表1の組成欄に示す配合及び組成とする以外は、実施例1と同様にして被覆材組成物を調製し、評価した。なお、実施例2、3及び4は参考例である。
・UA−1:合成例1で得たウレタンアクリレートUA−1
・UA−2:合成例2で得たウレタンアクリレートUA−2
・UA−3:合成例3で得たウレタンアクリレートUA−3
・UA−4:合成例4で得たウレタンアクリレートUA−4
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬製 商品名:KAYARAD TMPTA)
・BPAEODA:EO4モル変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業製 商品名:NKエステルA−BPE−4)
・NPGPODA:PO2モル変性ネオペンチルグリコールジアクリレート(Miwon製 商品名:Miramer M216)
・UV−3000B:2官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業製 商品名:紫光UV−3000B)
・PS−4140:ポリエステルアクリレート(Miwon製 商品名:Miramer PS−4140)
・THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業製 商品名:ビスコート#150)
・EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(三菱化学製 アクリル酸―2−エチルヘキシル)
・PA−1:合成例5で得た共重合体PA−1
・PA−2:合成例6で得た共重合体PA−2
・HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・BPN:ベンゾフェノン
Claims (2)
- 下記の化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A1)、並びに化合物(a1)及び化合物(a3)を反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート(A2)からなる群から選ばれる少なくとも2種のウレタン(メタ)アクリレート(A)成分、
少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(A)成分以外のモノマー(B)成分、
ビニル系単量体の(共)重合体(C)成分、
光重合開始剤(D)を含み、
前記(A)成分として、前記化合物(a2)が下記式(1)で示されるポリオールであるウレタン(メタ)アクリレート(A1)を含み、
前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総量に対して、前記(A)成分が5〜25質量%、前記(B)成分が35〜60質量%及び前記(C)成分が30〜60質量%である金属化処理用アンダーコート層形成用被覆材組成物。
化合物(a1):イソシアネート基を少なくとも2つ有するイソシアネート
化合物(a2):ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、又は下記式(1)で示されるポリオール
式(1)において、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、m+nは0〜10である。
化合物(a3):水酸基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物 - 樹脂成型物の少なくとも一部の表面に、請求項1に記載の被覆材組成物の硬化塗膜及び金属膜がこの順に積層されている樹脂成型物。
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