JP6588764B2 - 抗腫瘍剤 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた抗腫瘍作用を発揮する抗腫瘍剤に関する。
ビタミンCとして知られるL−アスコルビン酸は、抗腫瘍作用を有することが知られている。L−アスコルビン酸は、鉄などの遷移金属の還元を通し、間接的に過酸化酸素などの活性酸素種(Reactive Oxygen Species;ROS)を発生させる。腫瘍は、一般的に、正常細胞と比較してROSに対する抵抗性が弱いことから、アスコルビン酸の投与により、腫瘍組織に対して選択的に傷害を与えることができる。そこで、悪性腫瘍の治療法として、例えば高濃度のアスコルビン酸を点滴静注する高濃度アスコルビン酸点滴療法が注目されている。
しかしながら、L−アスコルビン酸で抗腫瘍作用を期待するには高濃度で大量投与する必要があり、点滴投与にかかる時間も長く、患者に負担がかかり、治療回数の制限にも結びついている。L−アスコルビン酸よりも強い抗腫瘍作用を示し、同じように安全な抗腫瘍剤が望まれている。
そこで、従来、種々のL−アスコルビン酸誘導体を含む抗腫瘍剤が提案されている。例えば、特許文献1にはO−ベンジリデン−アスコルビン酸を抗腫瘍剤として使用できることが開示されている。また、特許文献2には、ベンジリデン部のアルデヒド基の少なくとも1位を重水素置換した5,6−O−ベンジリデン−L−アスコルビン酸を抗腫瘍剤として使用できることが開示されている。さらに、特許文献3には、5,6−(3−ニトロ)ベンジリデン−L−アスコルビン酸を抗腫瘍剤として使用できることが開示されている。
特開昭60−139619号公報 特開平02−096524号公報 特開平05−004985号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載のL−アスコルビン酸の誘導体では、体内における安定性に欠け、依然として十分な抗腫瘍効果を得ることが難しかった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、L−アスコルビン酸の誘導体を利用して、優れた抗腫瘍作用を発揮する抗腫瘍剤を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、(i)L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基が、体内で分解されてヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基に置換されている、又は未置換であり、且つL−アスコルビン酸の6位に結合しているヒドロキシル基が、分岐を有するアシル基によってアシル化されている、L−アスコルビン酸のアシル化誘導体、(ii)その立体異性体、及び/又は(iii)それらの薬学的に許容される塩は、格段に優れた抗腫瘍作用を発揮し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明の一態様は、(i)L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基が、体内で分解されてヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基に置換されている、又は未置換であり、且つL−アスコルビン酸の6位に結合しているヒドロキシル基が、分岐を有するアシル基によってアシル化されている、L−アスコルビン酸のアシル化誘導体、(ii)その立体異性体、及び(iii)それらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする抗腫瘍剤である。このような態様の抗腫瘍剤は、従来のL−アスコルビン酸と比較して高い抗腫瘍作用を有する。また、L−アスコルビン酸の2位に置換基が結合している場合には、熱、光、酸素等に対して高い安定性を有するものとすることができる。
また、本発明の一態様では、上記L−アスコルビン酸のアシル化誘導体が、下記の一般式(1)で表される化合物、その立体異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩であってもよい。
[式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜9の直鎖又は分岐状のアルキル基を示し、R3は体内で分解されてヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基、又はヒドロキシル基を示す。]
さらに、本発明の一態様では、上記一般式(1)において、上記R1がCH3(CH2mであり、上記R2がCH3(CH2nであってもよい。ここで、m及びnは、それぞれ0〜3の整数である。このようなアシル基を有する上記アシル化誘導体を用いることにより、低量で、かつ高い抗腫瘍作用を発揮する抗腫瘍剤を提供することができる。
また、本発明の一態様では、上記一般式(1)において、上記R3が、グリコシル基及びリン酸基のうちのいずれか一方であってもよい。これにより、上記抗腫瘍剤の2位の置換基が、体内のグリコシダーゼ又はホスファターゼによって容易に分解を受け得る。したがって、当該分解によって変換された化合物、すなわち分岐を有するアシル基が結合されたアスコルビン酸及びアスコルビン酸が腫瘍組織に作用し、高い抗腫瘍作用を発揮することができる。
より具体的には、上記グリコシル基が、α−D−モノグルコピラノシル基であってもよい。
また、上記抗腫瘍剤は、静脈内投与用であってもよい。これにより、血中へ直接上記抗腫瘍剤を投与することができ、抗腫瘍効果を高めることができる。
さらに、上記静脈内投与が点滴静脈注射によるものであってもよい。これにより、所望の量の上記抗腫瘍剤を、一定時間にわたり持続的に血中へ投与することができる。
本発明によれば、優れた抗腫瘍作用を発揮する抗腫瘍剤が提供されるので、癌患者に対して新たな治療方策を提供でき、癌患者に福音をもたらすことができる。
試験例1の結果を示すグラフであり、横軸が実施例1、比較例1〜3の各薬剤の投与開始日(0日)からの経過日数、縦軸は後述する式(3)により算出した腫瘍体積を示す。 試験例2において、実施例1に係る薬剤(2−O−α−D−モノグルコシル−6−O−(2−プロピルペンタノイル)−L−アスコルビン酸:6−bOcta−AA−2G)を投与した場合のAA(アスコルビン酸)の量を示すグラフであり、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の濃度(量)を示す。 試験例2において、実施例1に係る薬剤(6−bOcta−AA−2G)を投与した場合のAA−2G(2−O−α−D−モノグルコシル−L−アスコルビン酸)の量を示すグラフであり、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の濃度(量)を示す。 試験例2において、実施例1に係る薬剤(6−bOcta−AA−2G)を投与した場合の6−bOcta−AA(6−O−(2−プロピルペンタノイル)−L−アスコルビン酸)の量を示すグラフであり、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の濃度(量)を示す。 試験例2において、比較例1に係る薬剤(2−O−α−D−モノグルコシル−6−O−オクタノイル−L−アスコルビン酸:6−sOcta−AA−2G)を投与した場合のAAの量を示すグラフであり、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の濃度(量)を示す。 試験例2において、比較例1に係る薬剤(6−sOcta−AA−2G)を投与した場合のAA−2Gの量を示すグラフであり、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の濃度(量)を示す。 試験例2において、比較例2に係る薬剤(AA)を投与した場合のAAの量を示すグラフであり、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の濃度(量)を示す。 試験例5の結果を示すグラフであり、横軸が試験開始日(0日)からの経過日数、縦軸は後述する式(3)により算出した腫瘍体積を示す。 試験例2の結果に基づいて予測される6−bOcta−AA−2G(実施例1)と6−sOcta−AA−2G(比較例1)の体内の代謝パターンの違いを説明する図である。
本発明の抗腫瘍剤は、(i)特定のL−アスコルビン酸(以下、AAとも称する)のアシル化誘導体(以下、AA誘導体とも称する)、(ii)その立体異性体、及び(iii)それらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分として使用することを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
<有効成分>
(i)L−アスコルビン酸のアシル化誘導体
L−アスコルビン酸の構造式は、以下の一般式(2)で示される。
本発明で使用されるAA誘導体は、L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基が、体内で分解されてヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基に置換されている、又は未置換であり、且つL−アスコルビン酸の6位に結合しているヒドロキシル基が、分岐を有するアシル基によってアシル化されている。
上記AA誘導体において、L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基が未置換である化合物(以下、Acyl−AAとも称する)は、体内で一部が分解を受けてAAに変換され得る。2位の炭素原子に置換基が置換している場合には、体内で当該置換基が分解され、後述するように、Acyl−AA及びAAに変換され得る。Acyl−AAやAAは、ROSを発生させ、腫瘍組織に対して選択的に傷害を与えることができるため、本発明の抗腫瘍剤は、高い抗腫瘍作用を発揮することができる。
本発明で使用されるAA誘導体において、体内で分解されヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基とは、グルコシダーゼ、ホスファターゼ、その他の酵素により体内で分解され、ヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基をいうものとする。
当該置換基としては、体内でヒドロキシル基に変換され得ることを限度として特に制限されないが、例えば、グリコシル基、リン酸基、スルホ基等が挙げられる。これらの置換基の中でも、好ましくはグリコシル基又はリン酸基である。本発明で使用されるAA誘導体において、2位に結合しているヒドロキシル基が上記置換基で置換されている場合には、光や熱、酸素等に対するAA誘導体の安定性を高めることができる。
上記グリコシル基は、糖類の1位(フルクトースの場合には2位)の水酸基の水素原子を除去して得られる残基である。上記グリコシル基を構成する糖類の種類については、特に制限されず、例えば、単糖であってもよく、また2〜6糖のオリゴ糖であってもよい。上記グリコシル基としては、好ましくは単糖類の残基が挙げられる。
上記グリコシル基として、具体的には、α−D−モノグルコピラノシル基、β−D−モノグルコピラノシル基等のグルコピラノシル基;β−D−モノガラクトピラノシル基等のガラクトピラノシル基等が挙げられる。これらのグリコシル基の中でも、より好ましくはグルコピラノシル基、さらに好ましくはα−D−モノグルコピラノシル基が挙げられる。このようなグリコシド基を使用することにより、光や熱、酸素等に対するAA誘導体の安定性を高めることができるとともに、AA誘導体を容易に製造することができる。
上記リン酸基としては、例えば、モノホスホリル基、ピロホスホリル基、トリホスホリル基、及びポリホスホリル基等が挙げられる。
本発明で使用されるAA誘導体において、アシル化とは、アスコルビン酸の6位のヒドロキシル基にアシル基を導入することをいう。本発明のAA誘導体が分岐を有するアシル基を含むことにより、後述するように、体内においてアシル基が加水分解されにくくなり、AA以外にAcyl−AAを作用本体として機能させることができる。
本発明で使用されるAA誘導体において、分岐を有するアシル基は、飽和又は不飽和のアシル基のいずれであってもよい。また、分岐を有するアシル基において、分岐の数については、特に制限されず、1個であってもよく、また2〜4個であってもよい。さらに、分岐を有するアシル基において、分岐の位置については、特に制限されず、アシル基のα位の炭素原子から分岐していてもよく、またそれ以外の炭素原子から、分岐していてもよい。
また、分岐を有するアシル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば4〜20、好ましくは4〜12、より好ましくは4〜10が挙げられる。
分岐を有するアシル基の好適な一態様として、飽和のアシル基であって、α位の炭素原子において分岐しているものが挙げられる。
また、分岐を有するアシル基の一態様として、以下の一般式(3)で示されるアシル基が挙げられる。このような構造のアシル基を含むことによって、上記AA誘導体をより好適な立体構造とすることができ、抗腫瘍作用をより一層高めることができる。
一般式(3)中、xは0〜2の整数、好ましくは0又は1の整数、より好ましくは0を示す。
一般式(3)中、R1及びR2は、それぞれ、炭素数1〜9の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。R1及びR2として、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基、さらに好ましくは炭素数2又は3の直鎖状のアルキル基が挙げられる。R1及びR2は、同一の構造であってもよく、また相互に異なる構造であってもよい。
上記AA誘導体の好適な一態様として、以下の一般式(1)で示される化合物が挙げられる。このような構造のAA誘導体を用いることにより、より高い抗腫瘍作用を有する抗腫瘍剤を提供することができる。
一般式(1)式中、R1及びR2はそれぞれアルキル基を示し、R3は、体内で分解されヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基、又はヒドロキシル基を示す。
一般式(1)におけるR1の炭素数及び構造は、上記一般式(3)におけるR1と同様であるが、好ましくはCH3(CH2mが挙げられる。ここで、mは、0〜3の整数、好ましくは1又は2である。
また、一般式(1)におけるR2の炭素数及び構造は、上記一般式(3)におけるR2と同様であるが、好ましくはCH3(CH2nが挙げられる。ここで、nは、0〜3の整数、好ましくは1又は2である。
一般式(1)におけるR1がCH3(CH2mであり、且つR2がCH3(CH2nである場合には、AA誘導体をより一層効果的に所望の立体構造とすることができ、抗腫瘍作用を格段に高めることができる。
一般式(1)におけるR3は、体内で分解されヒドロキシル基に変換されることが可能な置換基、又はヒドロキシル基であり、その具体例については前述する通りである。R3が、上記置換基である場合には、光や熱、酸素等に対するAA誘導体の安定性を高めることができるので、好適である。
(ii)L−アスコルビン酸のアシル化誘導体の立体異性体
本発明で使用されるAA誘導体の立体異性体としては、具体的には、上記AA誘導体におけるL−アスコルビン酸の骨格部分がエリソルビン酸に置き換わった化合物が挙げられる。
(iii)L−アスコルビン酸のアシル化誘導体及び/又はその立体異性体の塩
AA誘導体及び/又はその立体異性体の塩としては、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、特に毒性の低いものが好ましい。AA誘導体及び/又はその立体異性体の塩は、無機塩基との塩であってもよく、有機塩基との塩であってもよい。
AA誘導体及び/又はその立体異性体の塩を生成させる無機塩基としては、例えば、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム等)、アンモニウム、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等)、アルミニウム塩等が挙げられる。また、AA誘導体及び/又はその立体異性体の塩を生成させる有機塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの中でも、無機塩基、とりわけナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムが好適である。AA誘導体及び/又はその立体異性体の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、AA誘導体及び/又はその立体異性体の塩としては、例えば、L−アスコルビン酸の3位が陰イオンとなる構造であってもよいし、L−アスコルビン酸の2位に置換基を有する場合には、当該置換基が陰イオンとなる構造であってもよい。
有効成分の組み合わせ態様
本発明の抗腫瘍剤は、有効成分として、(i)AA誘導体、(ii)その立体異性体、及び(iii)それらの薬学的に許容される塩の中から、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
有効成分の製造方法
AA誘導体、その立体異性体、及びそれらの塩は、公知の合成法に従って製造することができる。例えば、AA誘導体の場合であれば、その製造方法は、種々の方法を採り得るが、具体的には、特開2003−300994号公報に記載されている方法を参照することができる。
例えば、L−アスコルビン酸の2位にヒドロキシル基を有するAA誘導体の場合であれば、その製造方法として、L−アスコルビン酸に対してアシル化剤等を用いて6位のヒドロキシル基をアシル化する方法が挙げられる。また、L−アスコルビン酸の2位に置換基を有するAA誘導体の場合であれば、2位のヒドロキシル基をグリコシル化又はリン酸化等により置換基を付与した後、アシル化剤等を用いて6位のヒドロキシル基をアシル化してもよい。
グリコシル化された2−グリコシル−L−アスコルビン酸は、例えば、市販されているものを用いることができる。あるいは、2−グリコシル−L−アスコルビン酸は、公知の方法によっても得ることができる(特開平3−139288号公報、特開平3−135992号公報、特開平3−183492号公報、特開平6−263790号公報等参照)。
2−リン酸−L−アスコルビン酸も同様に、公知の方法によって得ることができ、又は市販されている2−リン酸−L−アスコルビン酸又はその塩(2−リン酸−L−アスコルビン酸ナトリウム等)を用いることができる。
さらに、L−アスコルビン酸の2位に置換基を有するAA誘導体の場合であれば、その製造方法として、L−アスコルビン酸の6位のヒドロキシル基をアシル化した後、2位のヒドロキシル基を置換基と置換することもできる。
これらの方法によって得られたAA誘導体、その立体異性体、及びそれらの塩は、L−アスコルビン酸の脂肪酸エステルを精製するための通常の方法を適用することにより精製することができる。精製方法としては、例えば、塩析、透析、濾過、濃縮、分別沈澱、分液抽出、ゲルクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、親和クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、結晶化等が挙げられる。これらは、適宜組合せて適用されてもよい。
AA誘導体及びその立体異性体の製造に用いられるアシル化剤としては、酸又は酸ハライド、酸無水物若しくは酸エステル等が挙げられる。より具体的には、アシル化剤として、2−エチルブタン酸、2−プロピルペンタン酸、2−ブチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2−ペンチルへプタン酸などのカルボン酸、酸ハライド、酸無水物、カルボン酸エステル等が挙げられる。
AA誘導体及びその立体異性体におけるアシル化は、典型的には反応系への水の侵入を遮断した非水系の化学反応により行うことができる。この場合、例えば、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤中で、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸などの触媒を共存させて、2−グリコシル−L−アスコルビン酸、L−アスコルビン等にカルボン酸無水物を反応させることができる。
あるいは、AA誘導体及びその立体異性体におけるアシル化は、酵素反応によっても行うことができる。この場合は、グリコシル−L−アスコルビン酸、L−アスコルビン等とアシル化剤とを基質として適用し、これらの基質と酵素に応じた有機溶剤を適宜用いることができる。
<腫瘍>
本発明において腫瘍とは、悪性腫瘍及び良性腫瘍の双方を含む。本発明の抗腫瘍剤は、正常細胞と比較してカタラーゼ等の抗酸化酵素活性が低い腫瘍組織に対して有効である。
本発明の抗腫瘍剤の適用対象となる腫瘍の例としては、例えば、乳ガン、前立腺ガン、直腸ガン、肺ガン、悪性リンパ腫、大腸ガン、膵臓ガン、卵巣ガン、膀胱ガン、腎臓ガン、子宮ガン、多発性骨髄腫、皮膚ガン等が挙げられる。
また、本発明の抗腫瘍剤は、ヒト、及びヒト以外の動物(例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、イタチ、ブタ、イヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、鳥類等)に対して適宜適用することができる。
<剤型/投与経路>
本発明の抗腫瘍剤の剤型は特に限定されず、注射剤、散剤、錠剤、顆粒剤、粉剤、液剤、懸濁剤、カプセル剤、坐剤、外用剤、軟膏、貼付剤、点眼剤などが挙げられ、あらゆる剤型の医薬品の製剤化が可能である。
本発明の抗腫瘍剤の投与経路は、非経口、経口投与のいずれも可能であるが、特に静脈内投与が好ましく、さらに点滴静脈注射によるものが好ましい。またこの場合、上記抗腫瘍剤は注射剤とすることができ、例えば固形注射剤、水性注射剤、非水性注射剤、懸濁性注射剤等とすることができる。特に上記抗腫瘍剤を粉末注射剤、凍結乾燥注射剤等の固形注射剤とすることで、溶液中での分解や失活を抑制し、保存性を高めることが可能となる。
本発明の抗腫瘍剤を静脈内投与用とすることにより、消化酵素等による分解の影響を考慮する必要がなく、確実に薬剤を血中へ投与することができる。また、上記抗腫瘍剤を点滴静脈注射により投与することにより、1回あたり該抗腫瘍剤を所望の量投与することができる。
<抗腫瘍剤:製剤化>
本発明の抗腫瘍剤は、有効成分である(i)AA誘導体、(ii)その立体異性体、及び/又は(iii)それらの塩を、公知の製剤学的製造法に準じて製剤化することができる(第十六改正日本薬局方(平成23年3月24日 厚生労働省告示第65号)参照)。
この場合、上記抗腫瘍剤は、上記有効成分のほか、必要に応じて、溶剤(希釈剤)、賦形剤、添加物等を含んでいてもよい。
溶剤(希釈剤)としては、例えば、注射用水、生理食塩液、リンゲル液等の水性溶液;植物油等の非水性溶液を用いることができる。
添加物としては、例えば、一般的に注射剤に使用される金属塩(例えば、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等)、pH調節剤(例えば、水酸化ナトリウム等)、薬学的に許容される安定化剤、界面活性剤、緩衝剤、可溶化剤、抗酸化剤、消泡剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、溶解剤、溶解補助剤等が挙げられる。また、点滴静脈注射用の輸液製剤の場合は、これらの添加剤に加え、電解質類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等)、糖類(例えば、グルコース、果糖、ソルビトール、マンニトール、デキストラン等)、アミノ酸類(例えば、グリシン、アスパラギン酸、リジン等)、ビタミン類(例えば、ビタミンB1等)等の一般的に輸液に用いられる成分も用いることができる。
上記抗腫瘍剤は、最終工程において滅菌するか、無菌操作法によって製造、調製される。また上記抗腫瘍剤が固形注射剤の場合は、無菌的に固形剤を製造し、その使用前に滅菌精製水又は他の溶剤に溶解して使用することもできる。
本発明の抗腫瘍剤において、有効成分である(i)AA誘導体、(ii)その立体異性体、及び/又はそれらの塩の含有量については、後述する投与量を充足するように適宜設定すればよいが、例えば0.01〜100重量%とすることができる。
<抗腫瘍剤:併用される他の抗腫瘍剤>
本発明の抗腫瘍剤は、他の公知の抗腫瘍剤と併用することができる。当該他の抗腫瘍剤としては、例えば、ナイトロミン(R)、シクロホスファミド、メルファラン、チオテバ、カルボコン、プロテクトン(R)、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトプルニトール、イホスファミド、メルカプトプリン、チオイノシン、シタラビン、ダカルバジン、フルオロウラシル、テガフール、塩酸アンシタビン、メトトレキサート、カルモフール、UFT(R)、エノシタビン、硫酸ビンプラスチン、硫酸ピンクリスチン、硫酸ビンデシン、アクチノマイシン(D)、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸プレオマイシン、硫酸プレオマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、ネオカルチノスタチン、硫酸ベブロマイシン、塩酸アクラルビシン、メビチオスタン、エピチオスタノール、クエン酸タモキシフェン、ホンパン、ビシパニール(R)、クレスチン、レンチナン、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロクスウリジン、MDSコーワ3000(R)、エストラサイト(R)、シゾフェラン、アドリアマイシン、マイトマイシン、シスプラチン、カルボブラチン、ビンデシン、ビンクリスチン、サイクロフォスファミド、イフォマファミド、プレオマイシン、ペプレオマイシン、エトボシド、フルツロン、プロタミン、ヘパリン共存下でのアンギオスタチックステロイド(Angiostatic steroids)、ペプチドグリカン複合体などのポリサッカライド、Cys−Asp−Pro−Gly−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−NH(CDPGYGSR−NH)などのラミニン・ペプチド(Laminin Peptide)、Arg−Gly−Asp−(R GD)配列を含むペプチド、血小板因子−4(Platelet Factor−4)、及び天然型もしくは遺伝子工学的手法で得られるインターフェロン等が挙げられる。上記の他の抗腫瘍剤は、単独で、又は2種以上の混合物として選択され得る。
<投与量>
本発明の抗腫瘍剤の投与量については、抗腫瘍作用を発揮できる有効量であればよく、適用対象となる腫瘍の種類や進行度、患者の年齢や体重等に応じて、適宜設定される。
例えば、本発明の抗腫瘍剤を静脈内投与用として用いる場合、その投与量は、患者の体重1kgあたり、0.0025mg〜500mg、好ましくは0.25mg〜100mgとすることができ、これを1回または数回に分けて投与することができる。上記抗腫瘍剤を点滴静脈注射により投与する場合は、上記量の抗腫瘍剤を約1〜5時間、好ましくは約2時間で投与することができる。また投与頻度は、好ましくは1週間に1〜5回程度とすることができる。
<本発明の作用効果>
本発明の抗腫瘍剤は、生体に対する安全性が高く、しかも高い抗腫瘍作用を発揮することができる。
従来の高濃度AA点滴療法では、1回の治療において、患者の体重1kgあたり最大1gほど、総量で数十gのAAを投与していた。しかしながら、この高濃度での大量投与は、点滴投与にかかる時間も長く、患者に負担がかかり、治療回数の制限にも結びついていた。
一方、本発明の抗腫瘍剤によれば、従来の高濃度AA点滴療法と比較して10分の1以下の少ない投与量で高い抗腫瘍作用を有するため、患者に対する負担を軽減することができる。それによって、治療回数や頻度を増加させることができるため、より高い抗腫瘍効果を得ることができる。
これに加えて、本発明の抗腫瘍剤は、L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基が置換基に置換されているAA誘導体を使用する場合であれば、熱、光、酸素等に対する安定性が格段に高くなり、保存時や流通時の取り扱いを容易にすることができる。
以下、本発明を実施例等に基づき、さらに説明する。但し、本発明は、以下に示す実施例に限定されて解釈されるものではない。
[実施例1:6−bOcta−AA−2G]
実施例1として、L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基がα−D−モノグルコピラノシル基に置換されており、且つ6位に結合しているヒドロキシル基が2−プロピルペンタノイル基によってアシル化されているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、2−O−α−D−モノグルコシル−6−O−(2−プロピルペンタノイル)−L−アスコルビン酸であり、以下、6−bOcta−AA−2Gと称する。なお、6−bOcta−AA−2Gは、上記の一般式(1)において、R1及びR2が、いずれもCH3(CH22であり、且つR3がα−D−モノグルコピラノシル基である化合物に該当する。
6−bOcta−AA−2Gは、田井章博他著、「Synthesis and Characterization of 6-O-Acyl-2-O-α-D-glucopyranosyl-L-ascorbic Acids with a Branched-acyl Chain」、Chemical and Pharmaceutical Bulletin、Vol.51(2)、p.175-180 を参照して以下のように製造した。
まず、Mestres R., Palomo C.著、Synthesis, 1981年発行, p.218-220を参照し、酸無水物を準備した。すなわち、ジフェニルホスホクロライド(50 mmol)を2−プロピルペンタン酸(100 mmol)とトリエチルアミン(100 mmol)とを含むジクロロメタン溶液に加え、この混合物を15分間、室温で攪拌した。この溶液を冷水で洗浄し、分離された有機相に無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥させた。溶媒の留去によって、2−プロピルペンタン酸無水物を得た。得られた酸無水物を1H−NMRにより同定し、2−プロピルペンタン酸無水物であることを確認した。
続いて、ピリジン(40 ml)に、2−O−α−D−モノグルコシル−L−アスコルビン酸(11.8 mmol、株式会社林原生物化学研究所製)(以下、AA−2Gと称する)と、上記2−プロピルペンタン酸無水物(23.6 mmol)との混合物を、60℃で2時間攪拌し、反応物を減圧下で濃縮した。さらに、得られた油性の残渣を80 mlの水に溶かし、等量の酢酸エチルで分液した。
続いて、分液された水相から、ゲル濾過クロマトグラフィによって6−bOcta−AA−2Gを精製した。まず、上記水相をカラム(Sephadex LH-20 column (径4.0×31 cm)、GEヘルスケア製)に負荷し、メタノール/水/酢酸混合液(40:59:1, v/v)を用いて溶出した。そして、ベンゼン−イソプロパノール(4:1, v/v)を用いて再結晶させ、6−bOcta−AA−2Gを得た。得られた物質を1H−NMR及び13C−NMRにより同定し、6−bOcta−AA−2Gであることを確認した。
[実施例2:6−bOcta−AA]
実施例2として、L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基が置換されておらず、且つ6位に結合しているヒドロキシル基が2−プロピルペンタノイル基によってアシル化されているAA誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、6−O−(2−プロピルペンタノイル)−L−アスコルビン酸であり、以下、6−bOcta−AAと称する。なお、6−bOcta−AAは、上記の一般式(1)において、R1及びR2が、いずれもCH3(CH22であり、且つR3がヒドロキシル基である化合物に該当する。
6−bOcta−AAは、田中広義他著、「Pharmaceutical Studies on Ascorbic Acid Derivatives. I. Syntheses of Esters of Ascorbic Acid and Their Physicochemical Propaties」、薬学雑誌、Vol. 86、p.376-383、1966年を参照して以下のように製造した。
アスコルビン酸(29.0 mmol)に濃硫酸(60 ml)を加え、溶解させた後、2−プロピルペンタン酸(29.0 mmol)を加え、この混合物を24時間、30℃で撹拌した。この溶液を氷水で希釈し、酢酸エチルを加え、分離された有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。この有機相に硫酸ナトリウムを加え脱水し、減圧下で濃縮した。この濃縮物から6−bOcta−AAをクロマトグラフィーによって以下に示す条件で精製した。まず、上記濃縮物をカラム(TOYOPEARL HW-40C column(径4.0×35 cm)、TOSOH製)に負荷し、メタノール/水/蟻酸混合液(40:59.5:0.5, v/v)を用いて溶出した。そして、酢酸エチル−ジイソプロピルエーテルを用いて再結晶させ、6−bOcta−AAを得た。得られた物質を1H−NMRにより同定し、6−bOcta−AAであることを確認した。
[比較例1:6−sOcta−AA−2G]
比較例1として、L−アスコルビン酸の2位に結合しているヒドロキシル基がα−D−モノグルコピラノシル基に置換されており、且つ6位に結合しているヒドロキシル基がオクタノイル基(C715CO−)によってアシル化されているL−アスコルビン酸のアシル化誘導体を準備した。すなわちこの誘導体は、2−O−α−D−モノグルコシル−6−O−オクタノイル−L−アスコルビン酸であり、以下、6−sOcta−AA−2Gと称する。
酸無水物として無水カプリン酸を用いた以外は、実施例1と同様に6−sOcta−AA−2Gを製造した。得られた物質を1H−NMR及び13C−NMRにより同定し、6−sOcta−AA−2Gであることを確認した。
[比較例2:AA]
比較例2として、L−アスコルビン酸ナトリウム塩(以下、AAと称する)を準備した。AAは、製品名L−アスコルビン酸ナトリウムを和光純薬工業株式会社から購入した。
[比較例3:AA−2G]
比較例3として、AA−2G(株式会社林原生物化学研究所製)を準備した。
以下の試験例1及び試験例2では、実施例1及び比較例1〜3の薬剤、以下の試験例3では、実施例1の薬剤、以下の試験例4では、実施例1及び比較例3の薬剤、以下の試験例5では、実施例1、2、比較例2及び3の薬剤を用いて、それぞれ行った。
<試験例1:抗腫瘍作用の検証>
(使用細胞)
本試験例では、マウス結腸癌由来細胞(Colon-26)を用いた。当該細胞は、いずれも37℃、5% CO2気相下、10% Fetal bovine serum (FBS、lot. AVH77993、HyClone製)含有RPMI-1640培地(Corning製)中で2,3日毎に継代培養を行った。RPMI-1640培地には、100 U/ml ペニシリンGと100 mg/ml ストレプトマイシン(ナカライテスク製)を添加した。
(使用動物)
本試験例では、Balb/cマウス(4週齢、メス)及びCDF1マウス(4週齢、オス)を用いた。Balb/cマウスは、日本クレア株式会社より購入し、CDF1マウスは、日本エスエルシー株式会社より購入した。これらの動物は、試験前、自由飼育で餌(CE-2、日本クレア株式会社製)と水道水を与え、動物舎(室温20+/-5℃、湿度40〜70%、6時〜19時:明条件、19時〜6時:暗条件)にて飼育した。
(がん病態モデルマウスの作製)
Colon-26細胞をセミコンフルエントになるまで培養した後、0.05%トリプシン溶液(Trypsin-EDTA、SIGMA製)で剥離した。剥離した細胞を、FBSを含まないRPMI-1640培地を用いて1.0×106 cells/50 μlの細胞数となるように調整した。調整した細胞溶液を、イソフルラン(和光純薬工業株式会社製)麻酔下のBalb/cマウス(5週齢、メス)の背部に皮下注射した。さらに、固形化したColon-26細胞を2 mm角に剃刀で切り出し、移植針を用いてCDF1マウス(5週齢、オス)の背部皮下に移植した。移植後、腫瘍長径が0.8cm前後まで生育したマウスをがん病態モデルマウスとした。
(薬剤の投与)
実施例1、比較例1〜3の各薬剤をPBS(DPBS(-)10x、SIGMA製)で調整した。このとき、マウスの体重に鑑み、投与量が実施例1及び比較例1は0.17 mmol/kg、比較例2,3は1.7 mmol/kgとなるように調整した。すなわち、実施例1及び比較例1は比較例2,3の10分の1のモル濃度に調整した。比較例2以外の各薬剤は水酸化ナトリウムでpHを中性付近に調整し、フィルター濾過を行った。調整した各薬剤を、がん病態モデルマウスに尾静脈投与した。投与は隔日で計4回行い、投与液量は、マウス体重20 g当たり100 μlとした。なお、陰性対照(Control)として、薬剤を含有していない上記PBSをがん病態モデルマウスに同様に投与した。
(腫瘍体積の測定)
腫瘍体積は、薬剤の投与後、毎日ノギスで計測した。なお、腫瘍体積は、以下の(3)式によって算出した。
腫瘍体積(mm)=(a×b2)/2 ・・・(3)
(但し、a=長径(mm) b=短径(mm))
(結果)
図1は、試験例1の結果を示すグラフであり、横軸が各薬剤の投与開始日(0日)からの経過日数、縦軸は上記式(3)により算出した腫瘍体積を示す。また、データは、いずれも、平均値+/-標準誤差を表す。
図1に示すように、陰性対照(Control)に対して、実施例1及び比較例2は投与開始2日後から、比較例1,3は投与開始4日後から、腫瘍体積が有意に小さかった。比較例2のAAは、実際に高濃度AA点滴療法に用いられるものであるが、実施例1の6−bOcta−AA−2Gは、投与開始約2日後から比較例2よりも腫瘍体積が小さく、AAの10分の1以下の濃度で、高い腫瘍の成長抑制効果を有することが確認された。
一方で、比較例1、3は、いずれも、実施例1及び比較例2よりも腫瘍の成長抑制効果が低かった。特に比較例1の6−sOcta−AA−2Gは、実施例1の6−bOcta−AA−2Gとアシル基の構造のみ異なるものであるが、抗腫瘍作用については実施例1より劣ることが確認された。
続いて、実施例1、比較例1及び2を用いて、各薬剤の体内動態の検討を行った。
<試験例2:体内動態の検討>
(サンプルの採取)
上述の試験例1で説明したがん病態マウス(6〜7週齢、オス)に対し、実施例1、及び比較例1,2に係る薬剤を尾静脈投与した。各薬剤の調整は、試験例1と同様に行った。投与から15,30,60,180,360分後に、イソフルラン(和光純薬工業株式会社製)麻酔下で解剖を行い、血漿(全血)、腫瘍、肝臓、腎臓を採取した。なお、血漿は、ヘパリン(和光純薬工業株式会社製)でコートしたシリンジを用いて心臓採血し、得られた血液を遠心分離(4℃、10,000 g、10分)し、遠心分離後の上清を血漿サンプルとした。なお、採取した各組織サンプル及び血漿サンプルは、分析まで-80℃で凍結保存した。
(HPLCによる分析)
続いて、HPLC(High performance liquid chromatography:高速液体クロマトグラフィ)を用いて各組織サンプル及び血漿サンプル中に含まれる6−bOcta−AA−2G及び6−sOcta−AA−2G(以下、6−bOcta−、及び6−sOcta−をまとめて6−Acyl−とも称する)、6−Acyl−AA、AA並びにAA−2Gを定量した。
まず、凍結保存した各組織サンプル(血漿を除く)100 mgに対し、400 μlの抽出溶媒(87.5%アセトニトリル(和光純薬工業株式会社製)、250 mg/L ジチオスレイトール(ナカライテスク株式会社製)を含む)を加え、ホモジネートにより抽出した。血漿サンプルは100 μlに対し400 μlの抽出溶媒を加えた。これらの各サンプル抽出液を遠心分離し(4℃、10,000 g、10分)、回収した上清を分析に用いた。
HPLCの各分析条件を、以下に示す。
[6−Acyl−AA−2G及び6−Acyl−AAの分析条件]
機器:L-2130形ポンプ、L-2420型検出器、L-2300形カラムオーブン及びD-2500形クロマトインテグレータ(以上、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
カラム:Inertsil Ph分析カラム、粒子径5 μm、4.6 mm (I.D)×250 mm(ジーエルサイエンス株式会社製)
移動相:MeOH/H2O/HCOOH=55/44.5/0.5
波長:240 nm
カラム温度:40℃
流速:0.7 ml/min
注入量:10 μl
[AA−2G及びAAの分析条件]
機器:L-7100形ポンプ、L-7420形UV-VIS検出器、L-7300形カラムオーブン及びD-2500形クロマトインテグレータ(以上、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
カラム:Inertsil HILIC分析カラム、粒子径5μm、4.6 mm (I.D)×250 mm(ジーエルサイエンス株式会社製)
移動相:アセトニトリル/66.7 mM 酢酸アンモニウム=85/15
波長:260 nm
(結果)
図2〜7は、本試験例の結果を示すグラフであり、いずれも、横軸は薬剤の投与開始時(0時間)からの経過時間、縦軸は各組織サンプル及び血漿サンプル中の各物質の濃度(量)を示す。なお、上記各グラフのデータは、n=4における平均値+/- 標準誤差を示している。
また、図2,3,4は、実施例1に係る薬剤(6−bOcta−AA−2G)を投与した結果を示し、図2はAAの量、図3はAA−2Gの量、図4は6−bOcta−AAの量を示す。図5,6は、比較例1に係る薬剤(6−sOcta−AA−2G)を投与した結果を示し、図5はAAの量、図6はAA−2Gの量を示す。図7は比較例2に係る薬剤(AA)を投与した際のAAの量を示す。
まず、図2,3,5,6の結果より、実施例1及び比較例1に係る薬剤(6−Acyl−AA−2G)を投与した場合、各組織サンプル及び血漿サンプルからAA及びAA−2Gが検出された。これにより、実施例1及び比較例1に係る薬剤は、いずれも、α−グルコシダーゼやエステラーゼによって体内で分解され、AA及びAA−2Gに変換されていることが確認された。
また、図4に示すように、実施例1に係る薬剤を投与した場合、肝臓、腎臓及び血漿中から6−bOcta−AAが検出された。一方で、図示はしないが、比較例1に係る薬剤を投与した場合は、いずれの組織及び血漿からも6−sOcta−AAは検出されなかった。また、図3及び図6を参照し、比較例1に係る薬剤を投与した場合に検出された各組織からのAA−2Gの量は、実施例1に係る薬剤を投与した場合よりも多かった。これにより、実施例1に係る6−bOcta−AA−2Gは、アシル基よりも先にα−D−モノグルコピラノシル基が分解されやすいが、比較例1に係る6−sOcta−AA−2Gは、α−D−モノグルコピラノシル基よりも先にアシル基が分解されやすいことが示唆された。
また、図2A、図5A及び図7に示すように、腫瘍中のAAの量については、いずれも、薬剤の投与後一度投与時初期値より減少し、その後初期値に回復する傾向が見られた。これは、薬剤の作用により腫瘍が酸化ストレスを受け、その酸化ストレスに対応して腫瘍内在性のAAが消費されて減少し、その後遊離したAAが取り込まれて増加したものと考えられる。
さらに、図2A、図5A及び図7の腫瘍組織の結果を比較すると、実施例1の投与群のAA減少量は、比較例1,2の投与群のAA減少量よりも大きかった。さらに、比較例1の投与群における腫瘍中のAAの量は、3時間程度で初期値まで回復しているのに対し、実施例1の投与群における腫瘍中のAAの量は、6時間経過しても完全に回復していなかった。
<試験例3:α-グルコシダーセによる6−bOcta−AA−2Gの分解産物の検証>
(実験方法)
6−bOcta−AA−2Gを基本培地(100 U/ml ペニシリンG、100 μg/ml ストレプトマイシン、10% FBSを含むRPMI-1640)で20 mMの濃度に調整した。96穴プレートに新鮮な基本培地を80 μl分注し、10 μlのサンプル(終濃度2 mM)及び10 μlのα-グルコシダーセ(微生物由来、東洋紡績株式会社製)(終濃度8 U/ml、0分は基本培地)を添加し、37℃、5% CO2気相下でインキュベーションした。インキュベーション開始から15分、30分、及び60 分後に、80 μlずつ回収し、320 μlの除タンパク質剤(アセトニトリル/超純水 = 87.5/12.5, 250 mg/L ジチオトレイトールを含む)を加え、遠心分離 (4℃, 10,000 g, 10 min)後、上清を回収した。回収した上清について、試験例2に示す条件でHPLC分析を行い、6−bOcta−AA−2G、6−bOcta−AA、AA、及びAA−2Gの各濃度の測定を行った。
(結果)
表1に、経時的に6−bOcta−AA−2G濃度及び6−bOcta−AA濃度を測定した結果を示す。表1から明らかなように、α−グルコシダーセにより6−bOcta−AA−2Gが経時的に加水分解され、6−bOcta−AAが増加していった。AA及びAA−2Gは、本条件ではほとんど検出されなかった。
以上の結果から、6−bOcta−AA−2Gはα−グルコシダーセによる加水分解を受けて6−bOcta−AAを生成することが確認された。
<試験例4:In vitroにおける6-bOcta-AA-2Gの抗腫瘍作用の検証>
(試薬・器具類)
RPMI-1640培地(フェノールレッド含有)はSIGMAより購入し、100 U/mlのペニシリンGと100 μg/ml ストレプトマイシン(共にSIGMA)を添加したものを用いた。RPMI-1640培地(フェノールレッド非含有)はSIGMAより購入し、100 U/mlのペニシリンと100 μg/ml ストレプトマイシン(共にSIGMA)、1% L-グルタミン(SIGMA)を添加したものを使用した。FBSはHyClone(lot: AVH77993)より購入した。10% FBSを含むRPMI-1640培地を基本培地とした。
その他の試薬・器具の入手元は以下の通りである。
アスコルビン酸ナトリウム(AA-Na)、calcein-AM solution (1 mg/ml DMSO):和光純薬工業株式会社
α-グルコシダーゼ(微生物由来):東洋紡績株式会社
DPBS (-) 10x、0.05% Trypsin-EDTA 、Triton X-100:SIGMA
96穴平底マルチプレート(Cat. No.167008):Nunc
フィルター (0.20 μm): Sartorius stedim(東京)
また、上記以外の試薬は、すべて市販の特級又はそれに準ずるものを用いた。
(使用細胞)
マウス結腸由来がん細胞(Colon-26)
(実験方法)
Calcein-AMをDPBS(Dulbecco's phosphate-buffered saline)(-)で100 μMに調製し、-20℃で凍結保存した。使用時にDPBS (-)で20倍希釈し、5 μM calcein-AM溶液とした。6−bOcta−AA−2G又はAA−2Gをフェノールレッド非含有の基本培地で規定の濃度に希釈し、サンプルとした。培地は0.1 N NaOHでpHを中性付近に調製し、無菌化でフィルター滅菌して使用した。
Colon-26細胞はいずれも37℃、5% CO2気相下、基本培地中で約3日ごとに継代培養した。継代時はセミコンフルエントになるまで培養した後、0.05%トリプシン溶液で剥離して細胞浮遊液を得た。得られた細胞を96穴平底マルチプレートに1.0 × 104 cells/wellの密度で播種した。24時間培養後、培養上清を除去し、80 μlの新鮮な基本培地、サンプル(6−bOcta−AA−2G又はAA−2Gの終濃度2 mM、コントロール群は基本培地)及び10 μlのα-グルコシダーゼ(終濃度8 U/ml、未処理群は基本培地)を添加し、24時間、37℃、5% CO2気相下でインキュベーションした。インキュベーション後、培地を除去し、5 μM calcein-AM溶液を100 μl/wellで添加し、37℃、5% CO2気相下で30分間インキュベーションした。その後、0.6% Triton X-100含有DPBS (-)を20 μl/wellで添加し、5分間プレートシェイク(約1,000 rpm)後、Varioskanマイクロプレートリーダー(Thermo)にて蛍光強度を測定した(Ex.: 485 nm, Em.: 527 nm)。コントロールの蛍光強度を100%生存率とし、細胞生存率を算出した。
(結果)
表2に、各条件でのColon-26細胞の細胞生存率を示す。表2に示すように、Colon-26細胞に対して、6−bOcta−AA−2G添加だけでは細胞毒性を示さなかった。一方、6−bOcta−AA−2Gと同時にα-グルコシダーゼを添加したところ、有意な細胞生存率の低下が認められた。比較対照のAA-2Gも単独添加では細胞毒性を示さず、α-グルコシダーゼの同時添加により有意な細胞生存率の低下を示した。
以上の結果と前記試験例3の結果を踏まえると、6−bOcta−AA−2GによるColon-26細胞に対する細胞毒性は、α-グルコシダーゼによって2位のグルコースが加水分解されて6−bOcta−AAとなり、これが抗腫瘍作用を示したと考えられる。
<試験例5:がん病態モデルマウスを用いたAA誘導体の抗腫瘍効果の検討>
(使用動物)
本試験例では、CDF1マウス(7週齢、メス)を用いた。CDF1マウスは、日本エスエルシー株式会社より購入した。CDF1マウスは、試験前、自由飼育で(CE-2、日本クレア株式会社製)と水道水を与え、動物舎(室温20+/-5℃、湿度40〜70%、6時〜19時:明条件、19時〜6時:暗条件)にて飼育した。
(がん病態モデルマウスの作製)
固形化したマウス結腸由来がん細胞Colon-26細胞を約2 mm角に剃刀で切り出し、移植針を用いてCDF1マウス(7週齢、メス)の背部皮下に移植した。移植後、腫瘍体積が約200 mm3に生育したマウスをがん病態モデルマウスとした。この時点での腫瘍体積及び体重を指標とし、統計解析システムEXSAS 7.6(株式会社アームシステック)を用いて、層別無作為化割付を行い、5群(1群当たり9匹)に割りつけた。
(薬剤の投与)
がん病態モデルマウスに対して、6−bOcta−AA、6−bOcta−AA−2G、AA、及びAA−2Gの投与を行った。がん病態モデルマウスに投与する各薬剤は、PBS(DPBS(1×)、gibco製)で希釈した。このとき、マウスの体重を鑑みて投与量が、AA及びAA−2Gは1.7 mmol/kg、6−bOcta−AA及び6−bOcta−AA−2Gは0.17 mmol/kgとなるように調整した。すなわち、6−bOcta−AA及び6−bOcta−AA−2GはAA及びAA−2Gの10分の1のモル濃度に調整した。AA以外の薬剤は水酸化ナトリウムでpHを中性付近に調整し、フィルター濾過を行った。調整した各薬剤を、がん病態モデルマウスに尾静脈投与した。投与は隔日で計4回(1、3、5、及び7日目)行い、投与量は、マウス体重20 g当たり100 μlとして、計8日間飼育を行った。なお、陰性対照(Control)として、薬剤を含有していない生理食塩液をがん病態モデルマウスに前記と同条件で投与した。
(腫瘍体積の測定)
腫瘍体積は、2日毎にノギスで計測した。なお、腫瘍体積の算出方法は、前記試験例1の場合と同様である。
(結果)
図8は、試験例5の結果を示すグラフであり、横軸が試験開始日(0日)からの経過日数、縦軸は腫瘍体積を示す。また、データは、いずれも、平均値+/-標準誤差を表す。
図8から明らかなように、AA−2G及びAAを投与した場合には、コントロールと同程度に腫瘍体積の増加が認められたが、6−bOcta−AA−2G及び6−bOcta−AAを投与した場合には、コントロールに比べて、腫瘍体積の増加を抑制できていた。すなわち、本結果からも、6−bOcta−AA−2G及び6−bOcta−AAには、優れた抗腫瘍効果があることが確認された。
<考察>
まず、試験例1の結果より、6−bOcta−AA−2Gは、比較例1〜3に係る各薬剤と比較して、腫瘍の成長抑制効果が非常に高いことが確認された(図1参照)。特に、6−bOcta−AA−2Gは、AA及びAA−2Gの10分の1のモル濃度に関わらず、より高い腫瘍の成長抑制効果を有することが確認された。
また、試験例2の結果より、アシル基の構造によって、体内における分解パターンが異なることが示唆された。
更に、試験例4及び5の結果より、6−bOcta−AAであっても、6−bOcta−AA−2Gと同様に、抗腫瘍作用を発揮することが確認された。
図9は、試験例1〜5の結果に基づいて予測される6−bOcta−AA−2G(実施例1)と6−sOcta−AA−2G(比較例1)の体内の分解パターンの違いを説明する図である。同図に示すように、直鎖型のアシル基を有する6−sOcta−AA−2Gは、まずエステラーゼによりAA−2Gに変換され、続いてα−グルコシダーゼによりAAに変換される。AA−2G自体は抗腫瘍作用を有しないことから、6−sOcta−AA−2Gの抗腫瘍作用の作用本体は、AAのみと考えられる。一方、分岐を有するアシル基を有する6−bOcta−AA−2Gは、まずα−グルコシダーゼにより6−bOcta−AAに変換され、その後、エステラーゼによりAAに変換される。
これにより、6−bOcta−AA−2Gは、AAのみならず、6−bOcta−AAも作用本体として機能し、体内で強力な抗腫瘍作用を発揮する。これは、分岐を有するアシル基に基づく立体障害によって6−bOcta−AA−2Gがエステラーゼによる分解を受けにくくなり、相対的にα―グルコシダーゼによる分解を受けやすくなるためと考えられる。
一方、試験例2において、6−bOcta−AA−2Gの投与群の腫瘍におけるAA減少量が大きいのは、6−bOcta−AA−2Gが、他の薬剤と比較して腫瘍組織に対し多くの酸化ストレスを与えることができるためであると考えられる。さらに、6−bOcta−AA−2Gの投与群の腫瘍におけるAA量の回復時間が比較例1,2の投与群よりも長いのは、6−bOcta−AA−2Gの投与群において血漿中に遊離しているAA量が比較例1,2の投与群よりも少ないためであると考えられる(図2B,図5B参照)。すなわち、6−bOcta−AA−2Gは、AAまで加水分解されるスピードが緩やかであり、長時間にわたって6−bOcta−AAが抗腫瘍作用を発揮し続けると考えられる。
すなわち、本発明に係る抗腫瘍剤は、分岐を有するアシル基が立体障害によって分解を受けにくく、Acyl−AAが体内で長時間にわたり強力な抗腫瘍作用を発揮することができるため、より低濃度で高い高腫瘍作用を発揮することができる。したがって、例えば本発明の抗腫瘍剤を点滴療法に用いた場合、従来の高濃度AA点滴療法よりも低濃度の薬剤で少量投与で行うことができ、患者に対する負担を軽減することができる。これにより、投与頻度を高め、抗腫瘍効果をより高めることができると考えられる。

Claims (5)

  1. (i)下記一般式(1)で示されるL−アスコルビン酸のアシル化誘導体、
    (ii)その立体異性体、及び
    (iii)それらの薬学的に許容される塩
    よりなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とし、前記L−アスコルビン酸のアシル化誘導体と抗がん多糖類との結合体を含有しない、抗腫瘍剤。
    [式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜9の直鎖又は分岐状のアルキル基を示し、R3はヒドロキシル基又はグリコシル基を示す。]
  2. 前記R1がCH3(CH2mであり、前記R2がCH3(CH2nである(但し、m及びnは、それぞれ0〜3の範囲に含まれる整数を示す。)、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
  3. 前記R3が、ヒドロキシル基又はα−D−モノグルコピラノシル基である、請求項1又は2に記載の抗腫瘍剤。
  4. 静脈内投与用である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
  5. 前記静脈内投与が点滴静脈注射によるものである、請求項4に記載の抗腫瘍剤。
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