JP6173440B2 - 新規美白剤 - Google Patents

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Description

本発明は、3-ヒドロキシ-2-ピロン誘導体である新規化合物、並びに該化合物を有効成分として含有する美白剤及びメラニン生成阻害剤に関する。
シミのような皮膚における色素沈着は、一般に、紫外線による刺激等によりメラノサイトが活性化され、メラニン色素の生合成が亢進されることによって発生すると考えられている。このため、皮膚美白剤の有効成分として、メラニン色素の生合成阻害活性(以下、「メラニン生成阻害活性」とも記載する)を有する多くの化合物が開発されている。
アスコルビン酸は、チロシナーゼ活性阻害作用等を介して細胞のメラニン生成を阻害する。このメラニン生成阻害活性により、アスコルビン酸は、美白作用を発現し得ることが広く知られている。しかしながら、アスコルビン酸は、水溶液中で分解し、褐色等に着色する。このため、水溶液中でより安定な、アスコルビン酸の誘導体が多く開発されている。
前記のようなアスコルビン酸の誘導体としては、例えば、アスコルビン酸の2位、3位、5位又は6位の水酸基に、リン酸基又はステアリン酸のような脂肪酸基をエステル結合させたエステル化誘導体、或いはグルコースのような糖をグリコシド結合させた誘導体を挙げることができる。例えば、特許文献1は、リン酸化アスコルビン酸又はその塩を含有させることを特徴とする化粧品の製造法を記載する。これらの誘導体は、生体内に吸収された後、酵素によって加水分解されて、アスコルビン酸を生成すると考えられる。このため、前記誘導体は、生体内で美白作用を発現することが期待される。
皮膚美白剤の有効成分として使用し得るその他の化合物としては、ハイドロキノン誘導体、コウジ酸及びその誘導体、並びにピロン化合物及びその誘導体等が知られている(特許文献2及び3)。例えば、特許文献2は、ピロン化合物を含有せしめたことを特徴とする色白化粧料を記載する。当該文献は、ピロン化合物として、コウジ酸及びコメニン酸を記載する。
ピロン化合物の一種である3-ヒドロキシ-2-ピロン(以下、「3H2P」とも記載する)は、アスコルビン酸の酸化分解物である。特許文献4は、アスコルビン酸を出発原料として、酸化反応によって3H2Pを合成する方法を記載する。近年、3H2Pの生物活性及び化学的特徴が明らかにされ、当該化合物の様々な用途が開発されている。例えば、特許文献4は、3H2Pが両親媒性抗酸化物質であること、並びに、血小板凝集抑制作用及び肝障害改善作用に優れ、医薬用組成物及び機能性飲食品として利用可能であることを記載する。特許文献5は、3H2Pを含有することを特徴とする香料組成物を記載する。
本発明者らは、3H2Pが高いチロシナーゼ活性阻害作用及びメラニン生成阻害作用を有しており、美白成分として有用であることを見出した(特許文献6)。当該文献は、3H2Pを含有する美白剤、チロシナーゼ活性阻害剤及びメラニン生成阻害剤を記載する。
特公昭44-31237号公報 特開昭53-3538号公報 特開昭59-157009号公報 特開2007-246475号公報 特開平3-47899号公報 国際公開第2012/098664号パンフレット
前記のような皮膚美白剤の有効成分として使用し得る公知の化合物には、いくつかの問題が存在した。例えば、アスコルビン酸の誘導体は、各種溶媒に対する溶解性が低く、且つ生体内で分解されなければ所望の美白作用を発現することができない。また、ハイドロキノン誘導体、並びにコウジ酸及びその誘導体は、各種溶媒に対する溶解性が低いだけでなく、美白作用が十分な水準ではない。
本発明者らが開発した皮膚美白剤の有効成分である3H2Pは、各種溶媒に対する溶解性が高く、美白作用も高い。しかしながら、3H2Pは、水溶液中での安定性が低いという問題が存在した。
それ故、本発明は、水に対する溶解性及び美白作用を維持しつつ、水溶液中での安定性を向上させた3H2Pの新規誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、3H2Pの3-位ヒドロキシル基にリン酸基をエステル結合させることにより、水溶液中での安定性を向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(I):
Figure 0006173440
[式中、
R1は、ヒドロキシル又は以下の基:
Figure 0006173440
〔式中、*はPとの結合部分を表す〕
である。]
で表される化合物又はその塩。
(2) 前記(1)に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する美白剤。
(3) 前記(1)に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有するメラニン生成阻害剤。
(4) 前記(1)に記載の化合物又はその塩、及び皮膚への適用が許容される成分を含有する、皮膚外用剤組成物。
(5) 3-ヒドロキシ-2-ピロンをリン酸化して、式(I)で表される化合物又はその塩を形成させる、リン酸化工程を含む、前記(1)に記載の化合物又はその塩の製造方法。
本発明により、水に対する溶解性及び美白作用を維持しつつ、水溶液中での安定性を向上させた3H2Pの新規誘導体を提供することが可能となる。
図1は、試験化合物の濃度とメラノーマ細胞によって生成されたメラニン量及びメラノーマ細胞の細胞数との関係を示す図である。A:遊離酸の形態の3-ヒドロキシ‐2-ピロンリン酸モノエステル及び3-ヒドロキシ‐2-ピロンリン酸ビスエステルを試験化合物として用いた試験結果;B:3-ヒドロキシ‐2-ピロンリン酸モノエステルのトリエチルアミン塩及び3-ヒドロキシ‐2-ピロンリン酸ビスエステルのトリエチルアミン塩を試験化合物として用いた試験結果。横軸:試験化合物濃度(μg/ml);左軸:メラニン量;右軸:細胞数。試験化合物を添加した各試験区のメラニン量及び細胞数は、試験化合物を添加しない対照区(濃度0)のメラニン量及び細胞数の測定値を100とした相対値である。3H2P:3-ヒドロキシ‐2-ピロン;3H2P‐PME:遊離酸の形態の3H2Pリン酸モノエステル;3H2P‐PBE:遊離酸の形態の3H2Pリン酸ビスエステル;3H2P‐PME Et3N:3H2Pリン酸モノエステルのトリエチルアミン塩;3H2P‐PBE Et3N:3H2Pリン酸ビスエステルのトリエチルアミン塩。 図2は、試験化合物の濃度とチロシナーゼ活性阻害率との関係を示す図である。3H2P:3-ヒドロキシ‐2-ピロン;3H2P‐PME:遊離酸の形態の3H2Pリン酸モノエステル;3H2P‐PBE:遊離酸の形態の3H2Pリン酸ビスエステル。
<1. 新規化合物>
本発明は、式(I):
Figure 0006173440
で表される化合物又はその塩に関する。
本発明者らは、3-ヒドロキシ-2-ピロン(3H2P)の誘導体群から、水溶液中での安定性が高い該化合物の誘導体を探索した。その結果、水に対する高い溶解性及び高い美白作用だけでなく、水溶液中での高い安定性を有する3H2Pの誘導体として、式(I)で表される新規化合物を見出した。
式(I)で表される化合物において、R1は、ヒドロキシル又は以下の基:
Figure 0006173440
〔式中、*はPとの結合部分を表す〕
であることが必要である。本明細書において、後者の基を、2-ピロン-3-イルオキシと記載する場合がある。
式(I)で表される化合物において、R1がヒドロキシルの場合、該化合物は、以下の式(I-i):
Figure 0006173440
で表される化合物又はその塩である。
式(I)で表される化合物において、R1が2-ピロン-3-イルオキシの場合、該化合物は、以下の式(I-ii):
Figure 0006173440
で表される化合物又はその塩である。
本明細書において、式(I-i)及び(I-ii)で表される化合物を、それぞれ3H2Pリン酸モノエステル及び3H2Pリン酸ビスエステルと記載する場合がある。前記の構造を有することにより、本発明の式(I)で表される化合物は、水溶液中において、3H2Pと比較してより安定に存在することができる。
本発明の式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の化合物の塩の対イオンとしては、限定するものではないが、例えば、1価、2価若しくは3価の金属カチオン又は有機カチオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン若しくはマグネシウムイオンのような金属カチオン、又はトリアルキルアミンイオン(トリアルキルアンモニウムイオン)(例えばトリエチルアミンイオン(トリエチルアンモニウムイオン))、ピリジニウムイオン、ピロリジウムイオン、ホスホニウムイオン若しくはスルホニウムイオンのような有機カチオンが好ましい。本発明の化合物が前記の対イオンとの塩の形態である場合、水溶液中での安定性及び水に対する溶解性だけでなく、メラニン生成阻害活性のような皮膚美白作用を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。
本発明の式(I)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その溶媒和物も包含する。本発明の化合物と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、水、又はメタノール、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)若しくはジメチルスルホキシド(DMSO)のような有機溶媒が好ましく、水がより好ましい。本発明の化合物が前記の溶媒との溶媒和物(例えば、水和物)の形態である場合、水溶液中での安定性及び水に対する溶解性だけでなく、メラニン生成阻害活性のような皮膚美白作用を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。
前記特徴を有することにより、式(I)で表される化合物は、高い皮膚美白作用を発現することができる。
<2. 新規化合物の製造方法>
本発明はまた、式(I)で表される化合物又はその塩の製造方法に関する。以下、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[2-1. リン酸化工程]
本発明の方法は、3-ヒドロキシ-2-ピロン(3H2P)をリン酸化して、式(I)で表される化合物又はその塩を形成させる、リン酸化工程を含むことが必要である。
本工程において、出発原料として使用される3H2Pは、例えば特許文献4〜6に記載のような公知の方法を実施することによって自ら調製してもよく、予め調製されたものを購入等して準備してもよい。いずれの実施形態も本発明の方法に包含される。
本工程において、3H2Pのリン酸化は、当該技術分野でアルコール化合物のリン酸化に通常使用される反応剤又は反応試薬を用いることにより、実施することができる。前記反応剤としては、例えば、塩化ホスホリル(POCl3)を挙げることができる。POCl3を反応剤として用いる場合、反応に伴って生成するHClを中和するために、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン(プロトンスポンジ(登録商標))のようなプロトン捕捉剤存在下で本工程を実施することが好ましい。前記の反応剤を用いて本工程を実施することにより、3H2Pを効率的にリン酸化して式(I)で表される化合物を得ることができる。
本工程において、3H2P及び反応剤を、適切な溶媒中で反応させることが好ましい。この場合、3H2P、反応剤及び溶媒を含む反応系中で本工程が進行する。前記溶媒としては、例えば、リン酸トリメチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)若しくは1,4-ジオキサンのようなエーテル系溶媒、及びトルエンを挙げることができる。前記の溶媒中で本工程を実施することにより、式(I)で表される化合物の収量を向上させることができる。
本工程において、3H2Pのリン酸化は、-20〜40℃の範囲の反応温度で実施することが好ましく、室温(例えば20〜30℃)の反応温度で実施することがより好ましい。また、3H2Pのリン酸化は、10分〜24時間の範囲の反応時間で実施することが好ましく、約2時間(例えば1〜3時間)の反応時間で実施することがより好ましい。前記の条件で本工程を実施することにより、式(I)で表される化合物の収量を向上させることができる。
本工程により、式(I-i)で表される化合物(3H2Pリン酸モノエステル)及び/又は式(I-ii)で表される化合物(3H2Pリン酸ビスエステル)が形成される。3H2Pリン酸モノエステル又は3H2Pリン酸ビスエステルは、1分子にそれぞれ2又は1個の解離基を有する。このため、式(I)で表される化合物は、自らの解離基に由来する酸によって加水分解され得る。それ故、本工程は、3H2P及び反応剤に加えて、適切な塩基存在下で実施することが好ましい。塩基存在下で本工程を実施する場合、式(I)で表される化合物と該塩基との塩が形成される。前記塩基としては、有機塩基及び無機塩基、例えば、重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを挙げることができる。前記塩基は、本工程におけるリン酸化反応の開始時に、3H2P、反応剤及び場合により溶媒を含む反応系中に加えてもよく、リン酸化反応が完全に又は部分的に進行した後で、該反応系に加えてもよい。前記塩基存在下で本工程を実施することにより、酸加水分解による式(I)で表される化合物の収量の低下を実質的に抑制することができる。
[2-2. 精製工程]
本発明の方法は、場合により、リン酸化工程で得られた式(I)で表される化合物又はその塩を精製する、精製工程を含むことができる。前記リン酸化工程により、式(I-i)で表される化合物及び/又は式(I-ii)で表される化合物が形成される。本工程は、リン酸化工程で得られた反応混合物から、式(I)で表される化合物又はその塩として、式(I-i)で表される化合物及び式(I-ii)で表される化合物並びにそれらの塩の少なくともいずれかを精製することを目的とする。
本工程において、式(I)で表される化合物又はその塩を精製する手段は特に限定されない。吸着、イオン交換、ゲル濾過若しくは逆相のような各種クロマトグラフィー若しくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、溶媒分画、又は再結晶のような当該技術分野で通常使用される各種の分離精製手段を適用することができる。前記の分離精製手段を適用することにより、式(I)で表される化合物又はその塩として、式(I-i)で表される化合物及び式(I-ii)で表される化合物並びにそれらの塩の少なくともいずれかを精製することができる。
前記リン酸化工程において、塩基を用いた場合、式(I)で表される化合物と該塩基との塩が形成される。この場合、式(I)で表される化合物の塩を適切な陽イオン交換手段で処理することにより、遊離酸の形態にイオン交換することができる。前記陽イオン交換手段は、当該技術分野で通常使用される強酸性陽イオン交換樹脂であれば特に限定されない。前記陽イオン交換手段としては、例えば、スルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂(例えばDowex(登録商標) 88)を挙げることができる。前記陽イオン交換手段を用いることにより、遊離酸の形態の式(I)で表される化合物を得ることができる。
<3. 新規化合物の用途>
本発明はまた、式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する美白剤又はメラニン生成阻害剤に関する。
本発明の式(I)で表される化合物は、メラニン生成を阻害し、且つ/又はチロシナーゼ活性を阻害することができる。前記特徴を有することにより、式(I)で表される化合物は、高い皮膚美白作用を発現することができる。
本発明の美白剤又はメラニン生成阻害剤において、有効成分として含有される式(I)で表される化合物は、該化合物の塩又は溶媒和物の形態であってもよい。式(I)で表される化合物の塩としては、前記で説明した塩のような、生理学的に許容される塩(例えば、医薬品、化粧品又は飲食品等として許容される塩)であることが好ましい。式(I)で表される化合物の溶媒和物としては、前記で説明した溶媒和物のような、生理学的に許容される溶媒和物(例えば、医薬品、化粧品又は飲食品等として許容される溶媒和物)であることが好ましい。式(I)で表される化合物が前記の塩又は溶媒和物の形態である場合、水溶液中での高い安定性及び水に対する高い溶解性を維持しつつ、高い皮膚美白作用を発現することができる。
本発明の式(I)で表される化合物は、皮膚美白作用、メラニン生成阻害作用又はチロシナーゼ活性阻害作用を提供する有効成分として、皮膚への適用が許容される成分(美白作用を有するさらなる成分、その他の作用を有する有効成分又は製剤化のための成分等)とともに、化粧品、医薬部外品又は医薬品のような皮膚外用剤に配合して用いることができる。それ故、本発明はまた、式(I)で表される化合物又はその塩、及び皮膚への適用が許容される成分を含有する、皮膚外用剤組成物に関する。皮膚外用剤組成物中での式(I)で表される化合物の含有量は、皮膚美白作用、メラニン生成阻害作用、及び/又はチロシナーゼ活性阻害作用を提供することができる有効量であれば特に限定されない。例えば、下記使用例III-3での結果と、通常の皮膚外用剤に配合できる有効成分の量とを鑑みて、皮膚外用剤組成物の総重量に対して、0.0001〜5重量%の範囲の含有量であることが好ましい。式(I)で表される化合物を前記含有量で配合することにより、本発明の皮膚外用剤組成物は、所望の皮膚美白作用、メラニン生成阻害作用、及び/又はチロシナーゼ活性阻害作用を発現することができる。
本発明の皮膚外用剤組成物に配合することができる美白作用を有するさらなる成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸硫酸エステル塩、アスコルビン酸グルコシド及びアスコルビン酸エチル等)、γ-ピロン配糖体、γ-ピロン類であるコウジ酸及びその誘導体、並びにアルブチン等のハイドロキノン誘導体等を挙げることができる。
本発明の皮膚外用剤組成物に配合することができる製剤化のための成分としては、化粧品、医薬部外品又は医薬品等の製剤化のために通常使用される成分、例えば、精製水、アルコール類、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、生薬成分、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤、及びpH調整剤等を挙げることができる。
本発明の皮膚外用剤組成物の剤形は特に限定されない。当該技術分野で通常使用される、クリーム状、軟膏状、乳液状、ローション状、溶液状、ゲル状、パック状又はスティック状のような任意の剤形を適宜選択することができる。
前記の特徴を備えることにより、本発明の皮膚外用剤組成物は、所望の皮膚美白作用、メラニン生成阻害作用、及び/又はチロシナーゼ活性阻害作用を発現することができる。
美白化を望むヒト等の対象に、本発明の式(I)で表される化合物又は皮膚外用剤組成物を投与することにより、皮膚を美白化する(例えば、シミ若しくはソバカス等の、色素沈着に伴う皮膚の障害を実質的に抑制又は改善する)ことができる。それ故、本発明は、皮膚の美白化を望むヒト等の対象に式(I)で表される化合物又はその塩を投与する工程を含む、皮膚を美白化する方法に関する。或いは、本発明はまた、皮膚美白用の皮膚外用剤又は皮膚を美白化するための医薬の製造のための、式(I)で表される化合物又はその塩の使用に関する。さらに、本発明は、皮膚を美白化する用途のための、式(I)で表される化合物又はその塩に関する。前記方法は、例えば、日焼け等により皮膚の色素沈着が生じる前に、ヒト等の対象に、式(I)で表される化合物又は皮膚外用剤組成物を投与して、皮膚の色素沈着を予防するか又はその進行を抑制する方法だけでなく、色素沈着が既に生じている対象に、式(I)で表される化合物又は皮膚外用剤組成物を投与して、色素沈着に伴う皮膚の障害を改善する方法も包含する。この方法は、美容のための方法であってもよく、医師等により行われる医療のための方法であってもよい。
本発明の式(I)で表される化合物は、in vivo又はin vitroにおいてメラニンの生成を阻害する方法に用いることができる。それ故、本発明は、in vivo又はin vitroにおいてヒト等の動物の細胞に式(I)で表される化合物又はその塩を適用する工程を含む、in vivo又はin vitroにおいてメラニン色素の生成を阻害する方法に関する。本明細書において、「in vivoにおけるメラニン色素の生成の阻害(又はメラニン生成の阻害)」は、ヒト等の生体内でのメラニン色素の生成の阻害(例えば、皮膚の色素細胞におけるメラニン色素の生成の阻害)を意味する。この方法は、美容のための方法であってもよく、医師等により行われる医療のための方法であってもよい。
本発明の式(I)で表される化合物又は皮膚外用剤組成物は、メラニン生成の阻害により改善される疾患若しくは症状の予防又は治療のために用いることができる。それ故、本発明は、メラニン色素の生成の阻害により改善される疾患若しくは症状の予防又は治療を必要とするヒト等の対象に、式(I)で表される化合物又はその塩を投与する工程を含む、該疾患若しくは症状の予防又は治療方法に関する。或いは、本発明はまた、メラニン生成阻害用皮膚外用剤、又は細胞におけるメラニン色素の生成の阻害により改善される疾患若しくは症状の予防若しくは治療のための医薬の製造のための、式(I)で表される化合物又はその塩の使用に関する。さらに、本発明は、in vivo又はin vitroにおいて細胞によるメラニン色素の生成を阻害する用途のための、式(I)で表される化合物又はその塩に関する。このような疾患又は症状としては、シミ又はソバカスを挙げることができる。
チロシナーゼは、アミノ酸であるチロシンからメラニン色素が生成する過程で作用する重要な酵素である。皮膚美白作用を有する多くの公知化合物は、チロシナーゼ阻害活性を有する。本発明の式(I)で表される化合物は、in vivo又はin vitroにおいてチロシナーゼ活性を阻害する方法に用いることができる。それ故、本発明はまた、in vivo又はin vitroにおいてチロシナーゼに式(I)で表される化合物又はその塩を適用する工程を含む、in vivo又はin vitroにおいてチロシナーゼ活性を阻害する方法に関する。本明細書において、「in vivoにおけるチロシナーゼ活性の阻害(又はチロシナーゼ阻害)」は、ヒト等の生体内でのチロシナーゼ活性の阻害(例えば、皮膚の細胞におけるチロシナーゼ活性の阻害)を意味する。この方法は、美容のための方法であってもよく、医師等により行われる医療のための方法であってもよい。
本発明の式(I)で表される化合物又は皮膚外用剤組成物は、チロシナーゼ活性の阻害により改善される疾患若しくは症状の予防又は治療のために用いることができる。それ故、本発明は、チロシナーゼ活性の阻害により改善される疾患若しくは症状の予防又は治療を必要とするヒト等の対象に、式(I)で表される化合物又はその塩を投与する工程を含む、該疾患若しくは症状の予防又は治療方法に関する。或いは、本発明はまた、チロシナーゼ活性阻害用皮膚外用剤、又はチロシナーゼ活性の阻害により改善される疾患若しくは症状の予防若しくは治療のための医薬の製造のための、式(I)で表される化合物又はその塩の使用に関する。さらに、本発明は、in vivo又はin vitroにおいてチロシナーゼ活性を阻害する用途のための、式(I)で表される化合物又はその塩に関する。このような疾患又は症状としては、シミ又はソバカスを挙げることができる。
前記で説明した美白化の用途、並びに、生体内でのメラニン生成又はチロシナーゼ活性を阻害する用途のために、ヒト等の対象に式(I)で表される化合物を投与する形態は特に限定されない。例えば、式(I)で表される化合物を、前記対象の皮膚に適用する経皮投与(例えば、皮膚外用剤の形態での投与)であってもよく、経口投与(例えば散剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤等の形態での投与)であってもよい。或いは、経皮投与以外の非経口投与(注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤又は経粘膜吸収剤等の形態での投与)により、該対象に式(I)で表される化合物を投与する形態を挙げることもできる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:3H2Pリン酸エステルの合成>
[I-1:合成]
100mgの3-ヒドロキシ-2-ピロン(3H2P)と、287 mgのプロトンスポンジ(登録商標)(アルドリッチ社)と、3 mlのリン酸トリメチルとを、窒素気流下で50 ml すり付き試験管に加えて溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、該溶液に、63μlのPOCl3を、氷冷下(0℃)で少量ずつ加えた。得られた反応溶液を、ゆっくりと室温に戻した後、終夜撹拌した。前記反応溶液に、4 mlの0.1 M 重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)水溶液を加えて、室温で2時間撹拌した。前記の手順において、各原料の使用量及び反応条件(反応温度及び/又は時間等)を変更して、5回の反応を行った。全ての反応によって得られた反応溶液を一つの溶液にまとめた。得られた溶液を、DEAE カラム(DEAE TOYOPEARL(登録商標) 650M、約150 mlのゲル量、東ソー製)にマウントして、未反応の3H2P及びプロトンスポンジを含む非吸着画分を水で溶出させた。その後、A: 水からB: 0.35 M TEAB水溶液のグラジエント溶出条件(0〜300分間で0〜100%のB液濃度勾配)で、DEAEカラムから吸着画分を溶出させた。溶出液のUV吸収をモニターして、UV吸収を有する生成物の画分を分取し、濃縮した。得られた生成物の画分を、強酸性陽イオン交換樹脂カラム(Dowex(登録商標) 88、約100 mlのゲル量、ダウケミカル製)にマウントして、水で溶出させた。溶出液のUV吸収をモニターして、UV吸収を有する生成物の画分を分取した。得られた画分を凍結乾燥して、遊離酸の形態の3H2Pリン酸モノエステル(1)(864 mg)及び遊離酸の形態の3H2Pリン酸ビスエステル(2)(1118.4 mg)を得た。
Figure 0006173440
[I-2:生成物の機器分析]
以下の条件で、生成物の機器分析を行った。
〔LC-MS分析〕
・MS条件
装置 :micro TOF Focus型(ブルカー・ダルトニクス製)
イオン化 :ESI(正イオン -low mode;負イオン -low mode)
・LC条件
装置 :Agilent 1100シリーズ
カラム :Agilent Zorbax SB-C18(Agilent Technologies社製)
2.1 mm(内径)×150 mm(カラム長)(粒径3.5μm)
溶出液 :(A)アセトニトリル
(B)10 mM NH4HCO3水溶液
グラジエント :0〜15分間で0〜100%のA液濃度勾配
流速 :0.2 ml/分
試料 :1000 ppm(10 mM NH4HCO3水溶液で希釈)
インジェクト量:2μl
カラム温度 :40℃
検出器 :マルチチャンネル検出器(UV:293, 295 nm)
1H-NMR分析〕
装置 :JEOL AL-400(日本電子社製)
共鳴周波数 :395.75 MHz
溶媒 :D2O
内部標準物質:水(4.81 ppm)
13C-NMR分析〕
装置 :JEOL AL-400(日本電子社製)
共鳴周波数 :99.45 MHz
溶媒 :D2O
外部標準物質:テトラメチルシラン(CDCl3溶液)(0 ppm)
31P-NMR分析〕
装置 :JEOL AL-400(日本電子社製)
共鳴周波数 :160.10 MHz
溶媒 :D2O
外部標準物質:85% H3PO4(0 ppm)
〔分析結果〕
3H2Pリン酸モノエステル(1)(遊離酸):
HRMS 計算値:C5H6O6P 192.9897; 測定値:192.9886 (M+H)+, 計算値:C5H4O6P 190.9751; 測定値:190.9743 (M-H)-1H-NMR (D2O, 395.75 MHz) δppm:7.40(ddd, JHH=5.1 Hz, JHH=1.7 Hz, JHP=1.0 Hz, 1H), 7.28(ddd, JHH=7.3-7.5 Hz, JHH=1.7-1.9 Hz, JHP=1.7-1.9 Hz, 1H), 6.36(dd, JHH=7.3 Hz, JHH=5.1 Hz, 1H);13C-NMR (D2O, 99.45 MHz) δppm:162.4(JCP=6.6 Hz), 147.5(JCP=1.6 Hz), 138.1(JCP=6.6 Hz), 128.9(JCP=4.1 Hz), 107.2(JCP=1.6 Hz);31P-NMR (D2O, 160.10 MHz) δppm:-3.5.
3H2Pリン酸ビスエステル(2)(遊離酸):
HRMS (MALDI-TOF) 計算値:C10H8O8P 286.9951; 測定値:286.9947 (M+H)+, 計算値:C10H6O8P 284.9806; 測定値:284.9805 (M-H)-1H-NMR (D2O, 395.75 MHz) δppm: 7.55(ddd, JHH=5.1 Hz, JHH=1.5-1.7 Hz, JHP=1.0-1.2 Hz, 1H), 7.48(ddd, JHH=7.3-7.5 Hz, JHH=1.7-1.9 Hz, JHP=1.7-1.9 Hz, 1H), 6.50(dd, JHH=7.3 Hz, JHH=5.1 Hz, 1H);13C-NMR (D2O, 99.45 MHz) δppm:162.0(JCP=6.6 Hz), 147.8(JCP=1.6 Hz), 137.9(JCP=7.4 Hz), 129.5(JCP=4.1 Hz), 107.0(JCP=1.6 Hz);31P-NMR (D2O, 160.10 MHz) δppm:-8.4.
<II:3H2Pリン酸エステル塩の合成>
[II-1:合成]
500mg(4.46 mmol)の3-ヒドロキシ-2-ピロン(3H2P)と、1.14 g(5.31 mmol)のプロトンスポンジ(登録商標)(アルドリッチ社)と、5 mlのリン酸トリメチルとを、窒素気流下で50 ml すり付き試験管に加えて溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、該溶液に、499μl(5.35 mmol)のPOCl3を、氷冷下(0℃)で少量ずつ加えた。得られた反応溶液を、前記と同じ温度で2時間撹拌した。前記反応溶液に、0.1 M 重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)水溶液を加えて、室温で2時間撹拌した。得られた反応溶液を、100 mlの水で希釈した。この溶液を、DEAE カラム(DEAE TOYOPEARL(登録商標) 650M、約150 mlのゲル量、東ソー製)にマウントして、A: 水からB: 0.3 M TEAB水溶液のグラジエント溶出条件(0〜40分間で0〜100%のB液濃度勾配)で、生成物の画分を分取した。得られた生成物の画分を、HPLCカラム(Phenomenex Luna(登録商標) 10μ C18(2)、10μm、21.2×250 mm、Phenomenex社製)にマウントして、A: 0.1 M TEAB水溶液からB: アセトニトリルのグラジエント溶出条件(0〜30分間で0〜40%のB液濃度勾配)で、生成物の画分を分取した。得られた画分を凍結乾燥して、3H2Pリン酸モノエステル(1)の1.5トリエチルアミン塩(138.6 mg、10.6%)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)の1トリエチルアミン塩(549.6 mg、31.8%)を得た(収率はモノトリエチルアミン塩として計算した)。
[II-2:生成物の機器分析]
以下の条件で、生成物の機器分析を行った。
〔LC-MS分析〕
装置 :Shimadzu LCMS-2010A EV(島津製作所製)
カラム :Agilent Zorbax SB-C18(Agilent Technologies社製)
2.1 mm(内径)×150 mm(カラム長)(粒径3.5μm)
溶出液 :(A)10 mM NH4HCO3(3H2Pリン酸モノエステルの場合)
10 mM NH4HCO3 + 0.1% HCOOH/H2O
(3H2Pリン酸ビスエステルの場合)
(B)アセトニトリル
グラジエント :0〜15分間で0〜100%のB液濃度勾配
流速 :0.2 ml/分
希釈液(濃度):水(1 mg/ml)
インジェクト量:2μl
カラム温度 :40℃
検出器1 :ESI
プローブ電圧 :+1.6 kV(ESI−正イオンモード)
:-1.6 kV(ESI−負イオンモード)
CDL温度 :250℃
ブロックヒーター温度:200℃
ネブライザーガス流量:1.5 ml/分
乾燥ガス圧力 :0.02 MPa
検出器2 :PDA(190〜800 nm)
1H-NMR分析〕
装置 :JEOL JNM-ECS400(日本電子社製)
共鳴周波数 :400 MHz
溶媒 :D2O
内部標準物質:3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩
〔分析結果〕
3H2Pリン酸モノエステル(1)(1.5トリエチルアミン塩):
ESI-MS m/z: 193 (M+H)+, 191 (M-H)-1H-NMR (D2O, 400 MHz) δppm: 7.48 (d, JHH = 4.4 Hz, 1H), 7.37 (m, 1H), 6.47 (dd, JHH = 7.4 Hz, JHH = 5.1-5.2 Hz, 1H), 3.2 (q, JHH = 7.4 Hz, 9H), 1.27 (t, JHH = 7.4 Hz, 13.5H).
3H2Pリン酸ビスエステル(2)(1トリエチルアミン塩):
ESI-MS m/z: 287 (M+H)+, 285 (M-H)-1H-NMR (D2O, 400 MHz) δppm: 7.53 (d, JHH = 5.1 Hz, 2H), 7.47 (d, JHH = 7.4 Hz, 2H), 6.48 (dd, JHH = 7.3 Hz, JHH = 5.2-5.3 Hz, 2H), 3.19 (q, JHH = 7.4 Hz, 6H), 1.27 (t, JHH =7.4 Hz, 9H).
<III:使用例>
[III-1:安定性試験]
遊離酸の形態の3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)を、0.1%(重量/体積)の濃度となるように、20 mMクエン酸緩衝溶液(pH6.0)に溶解させた。各試験溶液を、4℃、25℃又は40℃で3週間保存した。保存後の各試験溶液に含まれる3H2Pリン酸モノエステル(1)又は3H2Pリン酸ビスエステル(2)を、逆相HPLC(Inertsil(登録商標) ODS-3、5μm、4.6×250 mm、ジーエルサイエンス社製))を用いて定量分析した。比較例として、3H2Pを用いて前記の手順で同様の試験を行った。各保存温度で保存した後の各試験溶液に含まれる化合物の残存率(試験開始時の化合物量に基づく百分率)を表1に示す。
Figure 0006173440
表1に示すように、3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)は、リン酸エステル化されていない3H2Pと比較して、弱酸性〜中性の水中における安定性が大きく向上したことが確認された。
[III-2:メラニン生成阻害試験]
マウス由来B16メラノーマ細胞4A5(理研)を、5.0×104個/ウェルの細胞密度となるように10%FBSを含むDMEM培地を用いて6ウェルプレートに播種し(培養0日)、37℃、5%の二酸化炭素濃度の条件下で、24時間培養した。翌日、播種した培地から、所定の濃度の試験化合物を添加した培地に交換した(培養1日目)。2日目以降は、一日おきに培地交換を行った。培養6日目に細胞をトリプシン処理により回収し、1 N水酸化ナトリウム水溶液を用いてメラニンを抽出した。得られたメラニン抽出液の405 nmの吸光度を測定し、メラニン標品を用いて作成した検量線に基づき、メラニン量を算出した。また、DCプロテインアッセイキット(BIO-RAD社製)を用いて、前記の手順で回収した細胞のタンパク質量を算出し、細胞数の指標とした。前記の測定値に基づき、試験化合物の濃度と、メラノーマ細胞のメラニン量及び細胞数との関係を図1に示す。図1Aは、遊離酸の形態の3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)を試験化合物として用いた試験結果を、図1Bは、3H2Pリン酸モノエステル(1)のトリエチルアミン塩及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)のトリエチルアミン塩を試験化合物として用いた試験結果を、それぞれ示す。図中、試験化合物を添加した各試験区のメラニン量及び細胞数は、試験化合物を添加しない対照区(濃度0)のメラニン量及び細胞数の測定値を100とした相対値である。
図1に示すように、1、5及び10μg/mlの濃度の3H2Pリン酸モノエステル(1)並びに3H2Pリン酸ビスエステル(2)は、3H2Pよりやや低いものの、公知の美白剤であるアルブチンと同程度のメラニン生成阻害活性を示した。3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)は、5μg/mlの濃度で、対照区のメラニン量に対し約50%までメラニン生成を阻害した。また、3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)は、それぞれ遊離酸又はトリエチルアミン塩のいずれの形態であっても略同程度のメラニン生成阻害活性を示した。
[III-3:チロシナーゼ活性阻害試験]
6 mM L-DOPA溶液と、所定の濃度に調製した試験化合物の水溶液と、リン酸緩衝溶液(pH6.8)とを、2:2:1の体積比で混合した。1.0 mlの得られた基質混合液と0.2 mlの0.017 mg/ml チロシナーゼ酵素(シグマ社製)溶液とを混合して、37℃で酵素反応を開始させた。反応開始0分及び3分後における酵素反応溶液の475 nmの吸光度を測定した。前記の手順において、試験化合物を含まない他は前記と同様の方法で酵素反応を行った試験区を、ブランクの試験区とした。得られた吸光度の測定値から、下記の計算式に基づき、チロシナーゼ活性阻害率を算出した。結果を図2に示す。
Figure 0006173440
図2に示すように、遊離酸の形態の3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)は、0.1〜0.5 mg/mlの濃度範囲で低いチロシナーゼ阻害活性を示した。3H2Pリン酸モノエステル(1)及び3H2Pリン酸ビスエステル(2)のチロシナーゼ阻害活性は、同一の濃度範囲の3H2Pのチロシナーゼ阻害活性と比較して低い値であった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (5)

  1. 式(I-ii):
    Figure 0006173440
    で表される化合物又はその塩。
  2. 請求項1に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する美白剤。
  3. 請求項1に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有するメラニン生成阻害剤。
  4. 請求項1に記載の化合物又はその塩、及び皮膚への適用が許容される成分を含有する、皮膚外用剤組成物。
  5. 3-ヒドロキシ-2-ピロンをリン酸化して、式(I-ii)で表される化合物又はその塩を形成させる、リン酸化工程を含む、請求項1に記載の化合物又はその塩の製造方法。
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