JP2011168573A - フコキサンチン由来の免疫賦活剤、活性化酸素阻害剤又は血管新生抑制剤 - Google Patents

フコキサンチン由来の免疫賦活剤、活性化酸素阻害剤又は血管新生抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】フコキサンチンを有効成分とする免疫賦活剤、活性化酸素阻害剤又は血管新生抑制剤を提供する。
【解決手段】オキナワモズクを凍結乾燥、更に微粉砕した後、イソプロパノール処理し、合成吸着樹脂カラムクロマトグラフィーで分離分画して得たフコキサンチンは、免疫賦活作用、活性化酸素阻害作用又は血管新生抑制作用を有し、毒性も極めて低い。
【選択図】なし

Description

本発明は、フコキサンチンを有効成分とする免疫賦活剤、活性化酸素阻害剤又は血管新生抑制剤に関する。
フコキサンチンは免疫賦活剤、活性化酸素阻害剤又は血管新生抑制剤としての利点を持つ。
特許第2015805号 特許第2863898号 特許第2873434号 特許第3811922号 特許第2678181号 特許第283550号 特許第2860637号 特許第2903464号 特許第2903465号 特許第2920827号 特許第3101875号 H.Maeda et al.:Bioche.Biophys.Res.Comm.,332,392−397(2005) 細川:バイオインダストリー,21巻,52−57頁(2004年) I.Konishi et al.:Comparative Biochemistry and Physiology.Part C,Pharmacology,toxicology & endocrinology,142,53−59(2006) J.L.Decker et al.:Ann.Intern.Med.,101,810−824(1984) McCord,J.M.&Fridovich,I.:J.Biol.Chem.,244,6049(1969) J.Folkman:N.Engl.J.Med.,285,1182−1186(1971) M.J.Crodd,J.Dixelius,T.Matsumoto,L.Claesson−Welsh: Trends Biochem.Sci.,28,488−494(2003) J.M.Schlaeppi,J.M.Woods:Cancer Metastasis Rev.,18,473−481(1999) A.J.Cunningham et al.:Immunology,14,599(1968) 藤原等:栄食誌,43巻(3号),203−208頁(1990年) 受田等、日本農芸化学会誌,72巻,1181頁(1998年) E.T.Bishop,N.Dengs:Angiogenesis,3(4),335−344(2000)
フコキサンチンは、天然色素の一種であるカロテノイドに含まれる化合物の一つであり、海藻、特に褐色の掲藻類に多く含まれている。近年、フコキサンチンのもつ様々な生理機能が脚光を浴び、抗肥満作用[非特許文献1]やガン細胞に対するアポトーシス誘導作用[非特許文献2,3]等の報告がなされてきた。しかしながら、フコキサンチンが下記で説明する免疫賦活作用、活性化酸素阻害作用又は血管新生抑制作用を有することは知られていない。
摂取された食品は消化管の中で分解、吸収される過程で宿主免疫系への種々の影響を与えることが知られている[非特許文献4〕。宿主の免疫反応は免疫担当細胞てあるリンパ球及びマクロファージから分泌される生理活性物質によって調節、制御されているが、食品成分中にも宿主免疫系を調節する物質の存在が知られている。すなわち免疫応答系を調節する本来の生体内物質としてインターロイキンをはじめとするサイトカインと呼ばれるポリペプチドに対して、食品蛋白質由来の外因性免疫賦活剤として発明者等は多くの免疫賦活ペプチド[特許文献1〜4]を報告してきた。一方、天然物由来の生理活性物質て免疫調節機能を持つものは多くはなく、未だ医薬品としての開発が進んでいるとの報告はなく、更に本発明におけるフコキサンチンに免疫賦活作用を持つことは未だ知られていない。
活性化酸素が関与する疾病は、火傷、関節炎などの炎症、再環流障害、抗癌剤の副作用、放射線障害、消化性潰瘍、細菌性ショック、悪液質、自己免疫疾患等幅広く存在する。好中球やマクロファージ等の活性化によって、発生する大量の活性化酸素が引き起こす疾患は、すべて対象となる。一般に、酸素には動物に必須の酸素(三重項酸素分子:)と、特定の条件あるいは体の不調時に生じるラジカル(活性化酸素)とが存在する。ラジカルは直接又は間接的(過酸化反応という形で)に細胞膜、細胞内顆粒膜、あるいはDNAをはじめ種々の細胞成分を変質、損傷させたりする。このラジカルは体内で生産され、その種類はスーパーオキシドアニオン(・)、一重項酸素(・)、水酸化ラジカル(・OH)等が存在する。このうちスーパーオキシドアニオン(・)は細胞膜の不飽和脂肪酸等に作用して過酸化反応を引き起こし、脂質に対する酸化力は動物に必須な酸素の数千倍も高いといわれている。活性化酸素阻害剤としてのスーパーオキシドジムスターゼ(SOD、酵素番号ECl.15.1.1)は、1969年マクコルド等[非特許文献5]によってその作用が発見された酵素であり、酸素分子が一電子還元されて生じるスーパーオキシドアニオン(・)を不均化する
・+2H→ H+O
を触媒する。人体が正常なときにはSODが働いてスーパーオキシドアニオンの発生を抑えている。このSOD活性は加齢と共に低下し、すなわち壮年期から老年期になると活性が低下し、SOD活性の増減は生体の老化、癌化のバロメーターともいわれている。このようなSOD活性が低下するとラジカルの発生は抑えにくくなりSODを摂取補強するか、又はラジカルを捕捉除去する活性化酸素阻害剤の摂取が必要となってくる。今日、抗癌、老化防止に対する特効薬がない状況で、環境中からDNA損傷因子、突然変異因子、発癌因子、老化因子等を取り除き不活性化し、活性化酸素フリーラジカル消去作用並びに抗酸化作用を示す天然物由来の生理活性物質に関する研究や検討が進められており、本発明者等はこれまで活性酸素阻害ペプチド[特許文献5〜11]を報告してきてはいるが、未だ医薬品としての開発が進んでいるとの報告はなく、更に本発明におけるフコキサンチンに活性酸素阻害作用を持つことは未だ知られていない。
血管新生(angiogenesis)は、既存の血管から新しい血管が形成される現象である。通常、血管新生の促進と抑制の両バランスは保たれているが、バランスが促進側に傾くと、血管新生が惹起される。血管新生と腫瘍の関りとして、腫瘍がある一定以上の大きさ(1〜2nm)になるには、腫瘍に栄養成分や酸素を供給するため血管新生が必要であることが唱えられ、血管新生の抑制による制ガンの可能性が始めて示唆された[非特許文献6]。その後、血管内皮細胞の培養系確立に伴い、血管新生研究が本格化し、種々の血管新生促進因子として、血管内皮増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)、血小板由来内皮細胞増殖因子(PDECGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF:platelet derived endothelial cell growth factor)、腫瘍懐死因子(TNF−α:tumor necrotic factor−α)、インターロイキン(interleukin8,IL8)等が次々に同定されてきた。腫瘍血管は、血管周皮細胞(ペリサイト)の欠如あるいは減少により、血管新生因子、特にVEGFの影響を受け易い状態にある。このため、未成熟な新生血管の形成が繰り返し行われている。腫瘍血管新生のメカニズムは、腫瘍などから分泌されたVEGFが内皮細胞、特にペリサイトが失われている内皮細胞膜上のVEGF受容体(VEGFR)に結合し、VEGFRのチロシンキナーゼドメインの活性化、自己リン酸化、細胞内シグナル伝達を経て、内皮細胞の増殖・遊走・管腔形成につながると考えられている[非特許文献7]。従って、血管新生抑制の観点からVEGFは最も有望な治療ターゲットといえる[非特許文献8]。このような背景のもとで開発されている血管新生抑制剤として特に注目を浴びている、例えば、組み換えヒト抗VEGFであるアバスチン(米国ジェネンテック社製)やEGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤であるイレッサ(アストラゼネカ社製)等が使用されてきてはいるが、細胞毒性が高く、副作用の発生が懸念されており、このような疾病の予防又は治療にあたっては、長期間に継続して行うことが必要なため、より効果的な血管新生の抑制と副作用の回避との両方を達成し得る血管新生抑制剤の開発が望まれている。
本発明者等は、天然物由来のフコキサンチンが強い免疫賦活作用、活性酸素阻害作用又は血管新生抑制作用を有することを見出し、これらフコキサンチンを医薬品として実用化するための研究を鋭意行った。その結果、これらフコキサンチンが免疫賦活剤、活性酸素阻害剤又は血管新生抑制財としての有用性を見出した。本発明は係る知見に基づくものである。以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるフコキサンチンは、その化学式がC4258(MW=658.91)公知の物質であり、純度の高いものは橙色の柱状化結晶構造を有す。
フコキサンチンを天然物から抽出する場合、その原料は特に限定されないが、例えば、海藻類が挙げられる。海藻類は特に限定されないが、例えば、コンブ、ワカメ、アラメ、ホンダワラ、アカモク、ヒジキ等の褐藻類を用いることが望ましい。
上記褐藻類からフコキサンチンを得る抽出方法は特に限定されないが、例えば、極性有機溶媒、水と極性有機溶媒の混合液等の極性溶媒と原料とを接触させることによりなされる。極性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール;プロピレングリコール;アセトン;酢酸エチル;ヘキサン;ジクロロメタン;クロロホルム等の単独あるいは2種類以上の組み合わせを挙げることが出来る。抽出方法は常法により行えばよい。例えば、原料に対し1.5〜150倍容の上記抽出溶媒を加え、原料を浸漬、撹拌することにより、フコキサンチンの抽出が容易となる。抽出されたフコキサンチンは、減圧蒸留、減圧濃縮等により有機溶媒を取り除くことが好ましい。又、必要に応じて、更に、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理に施すこともできる。
上記で得られたフコキサンチンを含む褐藻類由来の着色成分は、次に、合成吸着樹脂に吸着させ、その後、当該樹脂から濃度勾配を用いた有機溶媒で選択的にフコキサンチンを溶離させる。ここで用いられる合成吸着樹脂は、フコキサンチンを吸着させることが可能であれば、特に種類を制限するものでないが、例えば、スチレンジビニルベンゼン系合成樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンHP、セパビーズSP、オルガノ社製アンバーライトXAD)、メタクリル系合成樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンHP−MG、オルガノ社製アンバーライトXAD−HP)等を使用することができる。次に、フコキサンチンを含む掲藻類由来の着色成分を吸着させた合成吸着樹脂から溶離液を用いて選択的にフコキサンチンを溶離する。この溶離液の例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の有機溶媒、少なくとも1種以上又は有機溶媒と水との混液が挙げられ、これら溶離液を組み合わせた濃度勾配法でフコキサンチンを選択的に溶離する。
本発明に係るフコキサンチンは、静脈内への繰り返し投与を行った場合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキシーショックを起こさせない。又、これらフコキサンチンは投与後、生体内の分解酵素により徐々に分解される為、毒性は極めて低く安全性は極めて高い(LD50>60mg/kg:ラット経口投与)。これらフコキサンチンは、通常用いられる賦形剤等の添加物を用いて注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等に調整することができる。投与法としては、通常は免疫不全症又は活性化酸素が関与する疾病を有している哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ラット等)に注射すること、あるいは経口投与することがあげられる。投与量は、例えば、動物体重1kg当たりこれらフコキサンチンを0.1〜10mgの量である。投与回数は、通常、1日1〜4回程度であるが、投与経路によって、適宜、調整することができる。上記の各種製剤において用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤の種類は、特に限定されず、通常の注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用いられるものを使用することができる。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤に用いる添加剤としては、下記のものをあげることができる。賦形剤としては、結晶セルロース等の糖類、マンニトール等の糖アルコール類、でんぷん類、無水リン酸カルシウム等;結合材としてはでんぷん類、ヒドロキシルプロピルメチルセルローズ等;崩壊剤としてはカルボキシメチルセルロース及びそのカリウム塩類;滑沢剤としてはステアリン酸及びその塩類、タルク、ワックス類をあげることができる。又、製剤の調整にあたっては、必要に応じメントール、クエン酸およびその塩類、香料等の矯臭剤を用いることができる。注射用の無菌組成物は、常法により、本発明に係るフコキサンチンを、注射用水、生理食塩液及びキシリトールやマンニトールなどの糖アルコール注射液、プロピレングリコールやポリエチレングリコール等のグリコールに溶解又は懸濁させて注射剤とすることができる。この際、緩衝液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添加することができる。これらフコキサンチンを含有する製剤は凍結乾燥品又は乾燥粉末の形とし、用時、通常の溶解剤、例えば、水又は生理食塩液にて溶解して用いることもできる。
本発明に係るフコキサンチンは、優れた免疫賦活作用を有し、これらフコキサンチンをウサギに経口投与すると、末梢血リンパ球のコンカナバリンA(以下、Con Aと略記する)刺激に対する幼若化反応が有意に上昇し、又、これらフコキサンチンをC57BL/6マウスに経口投与すると抗体産生能が上昇した。更に、これらフコキサンチンのin vitroにおける優れた免疫賦活作用として、C3H/HeNマウスより得た脾細胞に対してこれらフコキサンチンは強い幼若化能(マイトジェン活性)を示した。
本発明に係るフコキサンチンは、優れた活性化酸素フリーラジカル消去作用並びに抗酸化作用を有し、活性化酸素阻害作用を示すことから、組織障害を引き起こす過剰な活性酸素を分解して組織を守る作用を持ち、例えば、抗炎症剤として関節炎やリュウマチ等に有効であるほか、ベーチュット病、心筋梗塞等に対しても有用である。
本発明に係るフコキサンチンは、固形ガンが既存の血管から新しい血管を誘引し、栄養分や酸素を得て増殖するとともに、血管系に進入して別の場所へ転移することを抑制することができることから、ガンの成長を特異的に抑制することができる。
発明を実施するための最良の形態・実施例
(1)本発明は、医薬品として有用性を有する本発明に係るフコキサンチンを有効成分と する免疫賦活剤に関する。
(2)本発明は、医薬品として有用性を有する本発明に係るフコキサンチンを有効成分と する活性化酸素阻害剤に関する。
(3)本発明は、医薬品として有用性を有する本発明に係るフコキサンチンを有効成分と する血管新生抑制剤に関する。
以下に実施例として、製造例及び試験例を記載し本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
製造例1
生オキナワモズク30kgを凍結乾燥にかけ、凍結乾燥オキナワモズクを得、更にジェットミルを用い凍結乾燥したオキナワモズクを微粉砕化し、メッシュ200以上のオキナワモズク粉末1.4kgを得た。微粉砕化されたオキナワモズク粉末に。等量の70%エタノールを加え撹拌してホモジネイト液を得た。このホモジネイト液を1規定の塩酸にてpH2.0に調整して、生じる沈殿物(主に、アルギン酸)を超遠心分離機(シャープレス)にて遠心分離(5,000〜15,000rpm)し、沈殿物(主に、アルギン酸)を除去した。次に、アルギン酸除去された遠心上清液に対し、冷所(5℃)にて5%〜95%のイソプロパノール分画を行った。その後、再度、遠心分離(5,000〜15,000rpm)し遠心上清液を得た。このようにイソプロパノール分画によって得られた上清液を減圧濃縮して、イソプロパノール除去した。前記工程で得られたモズクエキス500mLを、予め脱イオン水で平衡化していた三菱化学製ダイヤイオンHP20カラム(カラムサイズ;60×100cm)に負荷した。脱イオン水でカラムを十分洗浄後、溶離液としてアセトン水を用い濃度勾配法でカラムクロマトグラフィーした。溶離してきたフコキサンチン画分を集めて減圧濃縮乾固してメタノールに溶解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。HPLC条件は、カラムとして野村化学社製Develosil ODS−5(φ4.6mm ID×250mm L)を使用し、カラム温度:40℃、移動相として(A)メタノール:0.5M酢酸アンモニウム溶液(pH=7.2)=80:20から(B)アセトニトリル:水=90:10での濃度勾配法により、流速1.0mL/min、検出波長445nmでクロマトグラフィー処理し、溶出時間9.4分にフコキサンチンのピークを得た。これら分離精製によって得られた本発明に係るフコキサンチンは、以下に示す試験によって薬理効果が確認された
試験例1
(ウサギ末梢血リンパ球のコンカナバリンA刺激に対する幼若化反応の測定)ウサギは成熟雄性日本白色種(KBL:JW、SPF、体重2.0kg)を(株)北山ラベスより購入し、1週間予備飼育を行った後、健常な動物を試験に供した。飼育は温度23±2℃、湿度55±10%に保った飼育室内の金属製個別ゲージで行った。飼料はオリエンタル酵母社製RC4を1日120g給餌し、水は自家揚水(水道法、水質基準適合)を自由に摂取させた。1群3例のウサギを用い、製造例1におけるフコキサンチン20mg/kg/dayを体重1kg当たり5mLの割合で30日間連続投与した。対照群には同容量の溶媒を投与した。投与開始日並びに最終投与の翌日、各ウサギの耳静脈からヘパリン処理した注射器で10mLの血液を採取し、3時間以内に、リンパ球分離並びにH−サイミジン取り込み能測定法による幼若化反応を実施した。各リンパ球の取り込んだ放射能から次式により刺激指数(S.I.)を算出した。
S.I.=(Con Aを加えた培養系)/(Con Aを加えない培養系)
本発明に係るフコキサンチン(20mg/kg/day)を30日間経口投与した後の、ウサギ末梢血リンパ球のCon A刺激による幼若化反応(S.I.値)で表わし、その結果を表1に示した。
Figure 2011168573
試験例2
(マウス脾細胞の抗体産生能測定)マウスは雄性、5週齢(Slc:C57BL/6、SPF)を日本エスエルシー(株)より購入し、1週間予備飼育を行った後、健常な動物を試験に供した。マウスの飼育は温度23±2℃、湿度55±10%に保った飼育室内のエアコンゲージで行った。飼料はオリエンタル酵母社製MF、水は自家揚水(水道法、水質基準適合)を自由に摂取させた。1群3例のマウスを用い、製造例1におけるフコキサンチン20mg/kg/dayを体重10g当たり0.1mLの割合で10日間連続経口投与した。投与開始から5日後、それぞれのマウスの尾静脈にヒツジ赤血球(SRBC、デンカ生研社製)5×10cells/mlを0.2mL投与して免疫した。免疫の5日後、各群のマウスから脾臓を採取し、Eagle’s minimal essential medium(EMEN、日水製薬社製)を入れたシャーレ内で脾細胞を遊離させた。リン酸緩衝液(PBS)で3回洗浄した後、EMEMで2.5×10cells/mLに調整した脾細胞と50%SRBC浮遊液及びモルモット乾燥補体(デンカ生研社製)を8:1:1の割合で混合した。A.J.Cunningham等の方法〔非特許文献9〕に準じて37℃で90分反応後、溶血斑(PFC;plaque forming cell)を計測した。本発明に係るフコキサンチン(20mg/kg/day)を10日間経口投与したマウス脾細胞での抗体産生能を抗体産生細胞数で表わし、その結果を表2に示した。
Figure 2011168573
試験例3
(マウス脾細胞幼若化能の測定)藤原等の方法〔非特許文献10〕に準じて脾細胞の幼若化反応(マイトジェン活性)を測定した。製造例1におけるフコキサンチンを、25mMHEPES−RPMI1640培地(日水製薬社製)に対して溶解(最大濃度1mg/mL)し、0.2μのフィルター濾過滅菌後、同培地により2倍ごと段階希釈を行ったものを供試サンプルとした。C3H/HeNマウス(6週齢、雄性)の脾臓を無菌的に摘出し、ワイヤーメッシュ上で25mM HEPES−RPMI1640培地を滴下しながら穏やかに磨砕し、通過液をさらにもう一組のワイヤーメッシュを通すことにより単一細胞浮遊液を調製した。脾細胞は同培地にて3回洗浄後、牛胎児血清10%を含む25mM HEPES−RPMI 1640培地に浮遊させ、96ウェルマイクロプレートに5×105個/100μL/ウェルとなるように分注した。その後、前記の供試サンプル10μLを加え、5%CO2雰囲気下、37℃で培養した。尚、陰性対照には25mM HEPES−RPMI 1640培地10μLを、陽性対照にはコンカナバリンA(Con A、終濃度1μg/mL)並びにリポポリサッカライド(LPS、終濃度100μg/mL)を供試サンプルの代わりに加えている。その後、0.5%の3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5ジフェニル−2Hテトラゾリウムブロマイド(MTT)溶液を10μι加え、さらに3時間培養を行い、しかる後、生じたMTT−フォルマザンを酸−イソプロパノール溶液(0.04N濃度に塩酸を添加)100μLを加えて溶解し、EIAリーダーにて595nmの吸光度を測定した。データは陰性対照の値を100とした相対値にて表示している。本発明に係るフコキサンチンのマイトジェン活性の結果は表3に示した。
Figure 2011168573
試験例4
(活性化酸素フリーラジカル消去作用の測定)受田等の方法[非特許文11]に従って測定した。即ち、2.5mLの緩衝液(50mM)が入った試験管に3mMキサンチン、3mM EDTA、1mM XTT及び試料溶液をそれぞれ0.1mL加え、直ちにトリガーとして57mU/mL XODを0.1mL加えた。25℃で正確に20分間反応させた後、470nmにおける吸光度を測定した。活性化酸素フリーラジカル(スーパーオキシドアニオン)によるXTTの還元を50%阻害する濃度をIC50値とした。その結果、本発明に係るフコキサンチンの活性化酸素フリーラジカル消去活性すなわち活性化酸素阻害活性(IC50値)は、2.34×10−6である。
試験例5
(血管新生抑制作用)T.Bishop等の方法[非特許文献12]により開発された倉敷紡績(株)製血管新生キット(Angiogenesis Kit)を用いた。培養操作:ウェル培地中の本発明に係るフコキサンチンの最終濃度が35μg/mLとなるよう、及びウェル培地中VEGF(血管内皮成長因子:Vascular Endothelial Growth Factor)の最終濃度が10ng/mLとなるよう調製した培地を37℃、5%CO雰囲気下で培養し、4日目、7日目、及び9日目で新しい培地への交換を行った。細胞層の固定と染色方法:培養開始11日目に、各ウェルに対し、管腔染色キット(CD31染色用)を用いて染色を行った。即ち、1次抗体添加後インキュベート(37℃、60分間)、次に2次抗体添加後インキュベート(37℃、60分間)した後、BCIP/NBT(ブロモクロロインドリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム)基質溶液を用いて染色し、管腔が深紫色になるまでインキュベート(37℃)した。顕微鏡観察と画像の解析:管腔の染色画像を倉敷紡績製血管新生ソフトウェアVer2を用いて、管腔の面積、長さ、管腔ジョイント数(分岐点の数)、管腔パス数(分岐して得られた枝の数)を、陽性対照VEGF添加区(コントロール)を100%として再算出した。本発明に係るフコキサンチンのコントロールに対する%(n=3)を表4に示した。
Figure 2011168573
以上の試験の結果、本発明に係るフコキサンチンは、in vitro(試験管内)、in vivo(生体内)において優れた免疫賦活作用を有することが確認され、免疫不全症の治療又は予防薬として有用である。更に、本発明に係るフコキサンチンは、強力な活性化酸素阻害作用を有することが確認され、活性化酸素阻害剤の対象となる虚血性心疾患者、慢性関節リュウマチ及び重症火傷患者の治療又は予防薬として有用である。更に、本発明に係るフコキサンチンは、強力な血管新生抑制作用を有することにより抗腫瘍活性を十分に発現させると同時に副作用の少ない抗ガン剤として有用である。尚、本発明に係るフコキサンチンは、構造的にそのカロテノイド類において、構造中に採用することもできる。

Claims (3)

  1. フコキサンチンを有効成分とする免疫賦活剤。
  2. フコキサンチンを有効成分とする活性酸素阻害剤。
  3. フコキサンチンを有効成分とする血管新生抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013166790A (ja) * 2013-05-30 2013-08-29 Shingen Medical Co Ltd フコキサンチンの製造方法
JP2013213007A (ja) * 2012-04-02 2013-10-17 Maruhachi Muramatsu:Kk NF−κB阻害剤

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