JP2013227256A - 血管内皮機能改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然物から、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又はこれを活性化することができる成分を見出し、それを用いて血管内皮機能改善剤を提供する。
【解決手段】ピセアタンノールを血管内皮機能改善剤の有効成分とする。ピセアタンノールは化学合成品であってもよく、天然物由来のものであってもよい。例えばパッションフルーツの種子にはピセアタンノールが豊富に含まれているので、その抽出物を利用してもよい。この血管内皮機能改善剤は、例えば、高血圧症や動脈硬化、糖尿病由来の血行不良、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患を患う患者や動物、それらの疾患の予防につなげたいヒト・動物に対して、好ましく適用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ピセアタンノールを有効成分として含有する血管内皮機能改善剤に関する。
生体内の一酸化窒素(NO)は、各種の臓器や組織における生理機能のシグナル分子として、多様な役割を果たしている。その生合成は一酸化窒素合成酵素(NOS)が担い、基質であるL−アルギニンがL−シトルリンに変換される過程で、一酸化窒素(NO)が生成する。一酸化窒素合成酵素(NOS)には、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の3種のアイソフォームが存在し、それぞれの局在や関与する生理機能が異なっている。
これら一酸化窒素合成酵素(NOS)のうち血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)は、血管内皮細胞に細胞膜結合型として発現しており、セリン1177部位(Ser1177)のリン酸化による活性化を受ける。この酵素により産生される一酸化窒素(NO)が血管平滑筋に取り込まれると、グアニル酸シクラーゼを活性化し、cGMP依存性タンパクキナーゼの活性化を介して、血管平滑筋が弛緩されることにより血管を拡張する。また、この酵素により産生される一酸化窒素(NO)は、血液中の血小板にも作用し、血小板の凝集を阻害するとともに、凝固した血液の血管壁への接着を阻害して、血栓を防ぐ。更に、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)やこの酵素により産生される一酸化窒素(NO)が、動脈硬化症の促進因子である酸化LDLによる血管内皮細胞の障害を抑制し、アテローム性動脈硬化症の一因と考えられている血管壁傷害部分への白血球の誘導、付着・凝集に対しても、一酸化窒素(NO)がVCAM-1やIL-8を阻害することなどによって抑制的に働くことが報告されている。また、IL-8以外の炎症性サイトカインに対しても、IL-6を阻害して抗炎症作用を示すことが報告されている(以上、非特許文献1〜3参照。)。
したがって、血管内皮細胞に発現している血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又はこれを活性化することで、血管内皮機能を改善しその健全性を保つことができ、結果として高血圧症や動脈硬化、糖尿病由来の血行不良、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患の予防・改善や、ひいては血管機能の老化の遅延にもつながるものと考えられる。
一方、本出願人は、パッションフルーツの種子抽出物やこれに含まれるピセアタンノールを有効成分とする、コラーゲン産生促進剤やメラニン生成抑制剤の発明を開示している(特許文献1〜3)。しかしながら、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又は活性化の作用効果については知られていなかった。
大柳善彦著、「NOと医学〜一酸化窒素の生理作用と薬理作用〜」、共立出版株式会社、1993年10月1日, p. 34-56 Richard O. Cannon III、「Role of nitric oxide in cardiovascular disease:focus on the endothelium」、Clinical Chemistry、the American Association for Clinical Chemistry、1998年、第44巻、第8(B)号、p.1809-1819. De Caterina R, Libby P, Peng HB, Thannickal VJ, Rajavashisth TB, Gimbrone MA Jr, Shin WS, Liao JK、「Nitric oxide decreases cytokine-induced endothelial activation. Nitric oxide selectively reduces endothelial expression of adhesion molecules and proinflammatory cytokines.」、J Clin Invest.、1995年、第96巻、第1号、p.60-68.
特開2009−102298号公報 特開2009−102299号公報 特開2010−30911号公報
本発明の目的は、天然物から、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又はこれを活性化することができる成分を見出し、それを用いて血管内皮機能改善剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、パッションフルーツの種子に含まれるピセアタンノールが、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又は活性化の作用効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の構成を有する血管内皮機能改善剤を提供するものである。
[1]ピセアタンノールを有効成分として含有することを特徴とする血管内皮機能改善剤。
[2]血管内皮型一酸化窒素合成酵素の産生促進及び/又は活性化のために用いられる前記[1]記載の血管内皮機能改善剤。
[3]血管内皮型一酸化窒素合成酵素による一酸化窒素産生促進のために用いられる前記[1]又は[2]記載の血管内皮機能改善剤。
[4]所定期間にわたり継続的に投与されるように用いられる前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の血管内皮機能改善剤。
[5]パッションフルーツ種子から得られたピセアタンノール含有組成物を含む前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の血管内皮機能改善剤。
本発明の血管内皮機能改善剤によれば、その有効成分であるピセアタンノールが、血管内皮細胞に発現している血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又はこれを活性化するので、これを摂取することにより血管内皮機能を改善しその健全性を保つことができる。結果として高血圧症や動脈硬化、糖尿病由来の血行不良、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患の予防・改善や、ひいては血管機能の老化の遅延にもつながる。
試験例1において血管内皮細胞のeNOSのタンパク質合成量を測定した結果を示す図表であり、(A)はピセアタンノールで刺激したときの結果を示す図表であり、(B)はPFSエキスで刺激したときの結果を示す図表である。 試験例1においてeNOSの活性型(Ser1177リン酸化型)であるp-eNOSを測定した結果を示す図表であり、(A)はピセアタンノールで血管内皮細胞を刺激したときのp-eNOSのタンパク質産生量を測定した結果を示す図表であり、(B)はそれをp-eNOS/eNOS比で表わした結果を示す図表である。 試験例2においてピセアタンノールで血管内皮細胞を刺激したときの血管内皮細胞のNO産生能を測定した結果を示す図表である。
本発明において用いられるピセアタンノール(Piceatannol)は下記化学式で表される。
上記化学式で表されるピセアタンノールは、2個のフェニル基がトランス型のアルケン基で連結した構造のピセアタンノールであるが、上記化学式において、2個のフェニル基がシス型のアルケン基で連結した構造のピセアタンノールを用いることもできる。
ピセアタンノールは化学合成品であってもよく、天然物由来のものであってもよい。例えば、パッションフルーツの種子にはピセアタンノールが豊富に含まれているので、その抽出物を利用することもできる。
パッションフルーツは、パッシフローラ属トケイソウ科の植物であり、別名:クダモノトケイソウ(果物時計草)とよばれ、その実は甘酸っぱく果物として実をそのまま食したり、その果汁をジュースにして飲んだり、ゼリー、ケーキ等の飲食品に配合して、風味付けに用いられたりされている。パッションフルーツの種子は硬く、ジュースなどにする場合には果実から取り除かれ、果実を種ごと飲食した場合であってもその外皮は硬く消化を受けにくいのでそのまま排泄されてしまう。このような背景のなか、パッションフルーツの種子を有効利用するという面でも、ピセアタンノールの起源としては、パッションフルーツの種子であることが好ましい。パッションフルーツの種子抽出物は、パッションフルーツの食経験からも裏付けられるように、安全性には問題がないものである。
パッションフルーツの種子抽出物の調製方法は特に限定されないが、例えば、種子を細断、破砕、又は磨砕等し、種々の溶媒を用いて抽出する方法があげられる。抽出温度は適宜設定することができる。また、上記種子は、抽出効率をよくするため、適宜、酸又はアルカリ分解、酵素分解等の化学的処理を施してから抽出することもできる。
抽出溶媒としては、水、エタノール等の低級アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステル、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。これらの中で、含水1,3−ブチレングリコール又は含水エタノールは、ピセアタンノールを効率よく抽出することができるので好ましい。
パッションフルーツの種子抽出物は、上記の方法で得られた抽出液を、そのまま又は濃縮して液体のまま用いてもよく、更に上記抽出液を凍結乾燥又は噴霧乾燥により粉末化して用いることもできる。抽出物中に含まれる不溶物は、適宜、濾過などで除くことができる。不溶物はさらに粉砕し、微細粒子状にしてもよい。
上記のようにして得られる一次抽出物は、抽出の条件によっても異なるが、通常0.5μg〜20mg/100mg、より典型的には3μg〜10mg/100mgの純度でピセアタンノールを含有する。よってその一次抽出物をそのまま用いることもできるが、これをイオン交換、サイズ排除カラムクロマト法、HPLC法、ゲルろ過、膜分離等により、分画、精製して用いることもできる。
具体的には、例えば、パッションフルーツの種子抽出物の一次抽出物を下記条件でHPLCにかけたときの保持時間が19〜22分に溶出される化合物であり、質量分析装置によるマススペクトル測定によってネガティブイオンモードのシグナルとしてm/z243を呈する化合物を基準にして、HPLC等により分画、分取して、これを用いることができる。
[HPLC条件]
・ カラム:Mightysil RP-18 GP250-10 径10mm、長さ250mm(関東化学株式会社製)
・ カラム温度:40℃
・ 溶出条件:流速3ml/min、0%メタノール→30%メタノール(10min)
・ UV検出:280nm
なお、本発明において「パッションフルーツ種子から得られたピセアタンノール含有組成物」とは、上記パッションフルーツ種子の一次抽出物のみならず、それから更にピセアタンノールを指標にして抽出物を分画、精製等して得られた組成物を含む意味である。このときピセアタンノール濃度としては、0.0001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物であることが好ましく、0.001〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物であることがより好ましく、0.01〜99.9質量%の含有量で含むピセアタンノール含有組成物であることが最も好ましい。
本発明の血管内皮機能改善剤は、上記に説明したピセアタンノールを、血管内皮機能改善のための有効成分として含有するものである。その有効成分以外の他の成分を配合することに特に制限はなく、必要に応じて、薬学的に許容される基材や担体を添加して、公知の製剤方法によって、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、粉末、顆粒、カプセル剤、ゼリー状剤等の形態にして、これを経口剤として利用することができる。また、軟膏剤、クリーム剤、ジェル、パック、化粧水、化粧料等の形態にして、これを皮膚外用剤として利用することができる。
本発明の血管内皮機能改善剤において、上記有効成分であるピセアタンノールの含有量は、各製剤形態とした場合に、その製品が使用される量と有効投与量との関係を勘案して適宜定めればよく、特に制限されるものではないが、通常、固形状の製品の場合には、ピセアタンノール換算で、0.000001〜99質量%含有させることが好ましく、0.00001〜10質量%含有させることがより好ましい。そして、液状又はゼリー状の製品の場合には、ピセアタンノール換算で、0.000001〜30質量%含有させることが好ましく、0.00001〜10質量%含有させることがより好ましい。
本発明の血管内皮機能改善剤の投与形態としては、体の中から作用させるため経口的に摂取してもよく、あるいは皮膚に塗布して用いてもよい。また吸引して呼吸器系に適用してもよく、その投与形態が特に制限されるものではない。また、ヒトだけでなく動物にも適用できる。
後述する実施例で示すように、ピセアタンノールには、血管内皮細胞に発現している血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又は活性化の作用効果があるので、所定期間にわたり継続的に摂取することにより、血管内皮機能を改善しその健全性を保つ効果を期待できる。よって、例えば、高血圧症や動脈硬化、糖尿病由来の血行不良、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患を患う患者や動物、それらの疾患の予防につなげたいヒト・動物に対して、好ましくは1週間以上、より好ましくは1ヶ月以上にわたり継続的に投与されるように用いられることが望ましい。
本発明の血管内皮機能改善剤の投与量としては、特に制限はないが、典型的に経口摂取する場合には、ピセアタンノール換算で、成人1日当りおよそ125〜250,000μgである。また、皮膚に塗布する場合には、ピセアタンノール換算で単位面積あたり一回およそ0.000013〜10μg/cmの量で用いることが好ましい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<調製例1> (パッションフルーツ種子エキスの調製 その1)
[パッションフルーツ種子抽出物の調製]
パッションフルーツ種子を凍結乾燥して粉砕し、80%含水エタノールで抽出した。遠心後その上清をとりエバポレートで濃縮後、凍結乾燥して粉末にした。なお、この凍結乾燥した固形分中のピセアタンノール濃度は9.6質量%であった。
<調製例2> (パッションフルーツ種子エキスの調製 その2)
パッションフルーツ種子を30v/v%1,3−ブチレングリコール含有水溶液で抽出し、凍結乾燥した。凍結乾燥した固形分中のピセアタンノール濃度は3.7質量%であった。
<試験例1> (eNOSおよびp-eNOSのタンパク質発現解析)
ヒト臍帯静脈内皮細胞由来の細胞株EA.hy926(ATCC番号:CRL-2922)をピセアタンノール(東京化成工業株式会社)あるいは調製例1で得たパッションフルーツ種子エキス(以下、「PFSエキス」という。)で刺激したときの、eNOSおよびその活性型(Ser1177リン酸化型)であるp-eNOSのタンパク質発現量を調べた。具体的には以下のようにして試験を行った。
細胞培養は下記の条件で行なった。
(培養条件)
・培地:10% ウシ胎児血清(FBS), 1.5 g/L グルコース(glucose), 100 units/mL ペニシリン(penicillin), 100 μg/mL ストレプトマイシン(streptomycin), 及び2 mM グルタミン(glutamine)を含有するDMEM(GIBCO社)
・温度: 37℃ (5% CO2, 95% O2)
細胞を6ウェルプレート(6 well plate)に播種し、コンフルエントまで培養した後、その培養培地に、ピセアタンノールの場合には、50 mM ピセアタンノール含有DMSO溶液をピセアタンノールの最終濃度が20 μMまたは50 μMとなるように添加した。また、PFSエキスの場合には、3% PFSエキス含有35%エタノール溶液をPFSエキスの最終濃度が0.0025, 0.005, 0.01%となるように添加した。なお、このPFSエキスの最終濃度は、ピセアタンノールの最終濃度換算では、それぞれ10 μM、21 μM、42 μMである。更に、それぞれの対照として、ピセアタンノール添加の対照としては、0.1% DMSOの存在下に試験を行い、PFSエキス添加の対照としては、0.175% エタノールの存在下に試験を行なった。
上記条件による各試験物質の添加後、更に24時間培養した細胞について、以下のようにして、細胞からタンパク質を回収しそれに含まれるeNOSおよびp-eNOSをウェスタンブロッティングにより解析した。
Complete Protease Inhibitor Cocktail (ロシュ社)を添加した細胞溶解用溶液(20 mM Tris-HCl (pH7.5), 150 mM NaCl, 10 mM sodium pyrophosphate, 20 mM NaF, 10 nM okadaic acid, 2 mM orthovanadate, 1% Triton X-100)にて細胞を溶解、ソニケーション後、遠心してその遠心上清をタンパク質抽出液として回収した。DCプロテインアッセイキット(Bio-rad社)を用いてタンパク質濃度を定量し、そのタンパク質抽出液からタンパク質量として1.5 μg量を採って、ゲル濃度7.5%のSDS-PAGEに供した。ゲルからPVDF膜へ転写後、そのPVDF膜を3% BSA含有TBST(Tris-buffered saline containing 0.1% Tween 20)にて1時間ブロッキングし、一次抗体反応として、それぞれ以下抗体と一緒に、4℃で終夜インキュベーションした。
(一次抗体)
・β-tubulin: mouse anti-β-tubulin (1:20000, Sigma社)
・eNOS: mouse anti-eNOS (1:1000, BD Transduction Laboratories社)
・p-eNOS: rabbit anti-p-eNOS (phospho-Ser1177) (1:1000, Cell Signaling社)
一次抗体反応後のメンブレンをTBSTにて洗浄後、二次抗体反応として、以下抗体と一緒に、室温で1時間インキュベーションした。
(二次抗体)
・horseradish peroxidase (HRP)-conjugated anti-mouse IgG(1:10000 for eNOS detection and 1:20000 for β-tubulin detection, Cell Signaling社)
・HRP-conjugated anti-rabbit IgG(1:10000 for p-eNOS detection, Cell Signaling社)
標識されたバンドをECL Prime Western Blotting Detection System (GE Healthcare社)により可視化し、Image Jソフトウェア(フリーウェア)を用いて各バンドの強度を算出し、β-tubulinのバンド強度によりノーマライズしてタンパク質合成量を比較した。また、それぞれの値は、対照群の値を1とした時の相対値で示した。
得られた結果を、図1及び図2に示す。
その結果、ピセアタンノールにより、濃度依存的にeNOSタンパク質の産生が増加する傾向が認められた。(図1A)。また、PFSエキスについても同様に、濃度依存的にeNOSタンパク質の産生が増加する傾向が認められた(図1B)。よって、ピセアタンノールあるいはPFSエキスによる24時間の刺激により、血管内皮細胞のeNOSタンパク質の合成が促進されることが明らかとなった。
一方、eNOSタンパク質の合成促進がみられた時点におけるeNOSのリン酸化状態について検証した。eNOSのSer1177部位がリン酸化され、活性型となったp-eNOSを特異的に認識する抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った結果をみると、その発現量は、50 μM ピセアタンノールによる24時間の刺激により、対照よりも有意に増加していた(図2A)。また、p-eNOS/eNOS比についても、対照よりも有意に増加していた(図2B)。よって、ピセアタンノールによる24時間の刺激により、血管内皮細胞のeNOSタンパク質の産生が促進されるとともに、eNOSのSer1177部位のリン酸化も促進され、eNOSの活性化が起こることが明らかとなった。
<試験例2> (NO産生能の解析)
試験例1と同様にして、ヒト臍帯静脈内皮細胞由来の細胞株EA.hy926をピセアタンノールあるいはPFSエキスで刺激したときの、NO産生能を調べた。具体的には以下のようにして試験を行った。
試験物質(ピセアタンノール添加の対照としては0.1% DMSO、PFSエキス添加の対照としては0.175% エタノールの存在下)の添加後、更に24時間培養した細胞について、その培養上清を除去し、新しい培地にて2回洗浄した後、新たな培地に置換して37℃で30分間インキュベーションした。その後、Krebs-Ringer phosphate buffer(KRPバッファー; 120 mM NaCl, 4.8 mM KCl, 0.54 mM CaCl2, 1.2 mM MgSO4, 11 mM glucose, 15.9 mM sodium phosphate (pH7.2))で細胞を2回洗浄し、1 mM L-アルギニン, 1 μM Ca ionophore A23187, 0.1 μM Diaminofluorescein-2 (DAF-2)含有バッファー中にて、37℃で30分間インキュベーションした。その後、培養上清を回収して遠心後、上清中のDAF-2Tを以下のHPLC条件にて測定した。なお、DAF-2試薬はNOと反応して蛍光性のDAF-2Tに変換されるため、DAF-2Tを蛍光検出HPLCで測定することにより、NO産生量を測定することができる。
(HPLC条件)
・検出器: 蛍光検出器RF-10AXL(株式会社島津製作所)(Ex: 495 nm, Em: 515 nm)
・カラム: mightysil RP-18 GP (3μm, 4.6 mm i.d.×150 mm; 関東化学株式会社)
・移動相: A液: 10 mM リン酸ナトリウムバッファー(pH7.4), B液: アセトニトリル (A : B = 94 : 6, イソクラティック)
・流量: 0.5 mL/min
・カラム温度: 40℃
結果は、対照のNO生成量を1として、ピセアタンノールまたはPFSエキス刺激時のNO生産量を比較した。
得られた結果を、図3に示す。
その結果、試験例1において、eNOSのタンパク質生産量の増加やp-eNOS/eNOS比の増加がみられた時点(試験物質による24時間の刺激後)において、その細胞培養上清中に放出されるNO量が対照よりも有意に増加していた(図3A,B)。よって、ピセアタンノールあるいはPFSエキスによる24時間の刺激により、血管内皮細胞のNO産生能が促進されることが明らかとなった。
なお、先行文献(「Phytother. Res. 21, p186-189 (2007)」や「J. Agric. Food Chem. 59, p6209-6213 (2011)」)には、ピセアタンノールに血管弛緩作用があり、それに一酸化窒素(NO)がシグナル分子として関与している旨の報告はあるが、血管内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の産生促進及び/又は活性化の作用効果については、上記試験例によりはじめて明らかにされたものであり、その作用効果に基づいた血管内皮機能改善の用途についても、本明細書においてはじめて開示されたものである。

Claims (5)

  1. ピセアタンノールを有効成分として含有することを特徴とする血管内皮機能改善剤。
  2. 血管内皮型一酸化窒素合成酵素の産生促進及び/又は活性化のために用いられる請求項1記載の血管内皮機能改善剤。
  3. 血管内皮型一酸化窒素合成酵素による一酸化窒素産生促進のために用いられる請求項1又は2記載の血管内皮機能改善剤。
  4. 所定期間にわたり継続的に投与されるように用いられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の血管内皮機能改善剤。
  5. パッションフルーツ種子から得られたピセアタンノール含有組成物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の血管内皮機能改善剤。
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