JP3856680B2 - 発ガンプロモーター抑制剤及びそれを含有する組成物 - Google Patents

発ガンプロモーター抑制剤及びそれを含有する組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発ガンプロモーター抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAが切断などの損傷を受けるだけでは正常細胞はガン化しない。悪性化することにより正常細胞はガン化することが知られている。発ガンのメカニズムには、まず第一段階として、発ガン剤(発ガンのイニシエーター)を摂取する段階(発ガンのイニシエーション)がある。これによって、正常細胞が突然変異を起こす。まだこれだけでは、発ガンせずこれを促進する発ガンプロモーターと言うものを摂取する(発ガンプロモーション)必要がある。タバコなどはイニシエーターとプロモーターの両方を含んでいるために発ガン性が高いとされている。プロモーターを摂取することによって突然変異した細胞が不死化細胞となる。そしてコンバージョン(不死化細胞がガン細胞に変化する過程)という過程を経てガン細胞となる。普通、ガン細胞は免疫機能により正常細胞と異なる細胞と認識され排除される。しかし、排除しきれなかったガン細胞が増殖、悪性化(プログレッション)しガンとなる。これが、現在のところ考えられている発ガンの仕組みである。
【0003】
従って、発ガンを予防するためには、発ガンの初期物質であるイニシエーターやプロモーターの摂取を控えることが好ましい。前述のように、発ガンのメカニズムから考察して、イニシエーション、プロモーション、コンバージョン、プログレッションという4ステップの過程の進行を止めることによりガンの予防が可能であり、その様な物質の開発が急務とされており、様々な生薬成分の抗プロモーター活性物質がスクリーニングされている。
【0004】
一方、バラ科(Rosaceae)モモ属(Amygdalus)植物のモモ(Amygdalus persica Batsch)の成熟した種子中の仁を乾燥したものは、生薬名で「桃仁」と呼ばれ、主成分として、アミグダリン(amygdalin)、エムルシン(emulsin),脂肪油、ビタミンB6等を含んでおり、鎮痛、消炎、解毒、通便作用やお血改善作用があることで知られている。
【0005】
他方、本発明者らにより、バラ科(Rosaceae)モモ属(Amygdalus)植物、スモモ(Prunus)属植物乃至はアンズ属(Armeniaca)植物の種子の仁(モモの種子の仁は、生薬名で「桃仁」である。)から抽出、精製されたもの、若しくは化学合成されたフェニル−β−D−ゲンチオビオシド(化合物)又はフェニル−β−D−グルコピラノシド(化合物2)等の化合物は何れも文献上その存在が明かとなっている既知物質であるが、これらの化合物が発ガンプロモーター抑制作用を有していることについては、全く知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、新規の発ガンプロモーター抑制活性を有する発ガンプロモーター抑制剤及びガン予防用の組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは新規の抗ガン活性を有する化合物を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、下記する特定の化合物が、この様な特性を有していることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す技術に関するものである。(1)フェニル−β−D−ゲンチオビオシド(化合物1)、フェニル−β−D−グルコピラノシド(化合物2)から選択される化合物及び/又はその塩からなる発ガンプロモーター抑制剤。
【化3】
Figure 0003856680
【化4】
Figure 0003856680
(2)バラ科 (Rosaceae) のモモ属 (Amygdalus) 植物、スモモ (Prunus) 属植物乃至はアンズ属 (Armeniaca) 植物から抽出、精製されたものであることを特徴とする、(1)に記載の発ガンプロモーター抑制剤。
(3)化学合成により合成された物であることを特徴とする、(1)に記載の発ガンプロモーター抑制剤。
(4)発ガン促進剤をインデューサーとして、エプスタイン−バーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞に対する早期抗原(EBV−EA)の発現を測定したとき、EBV−EAの発現の阻害活性を有することを特徴とする、(1)〜(3)の何れか一つに記載の発ガンプロモーター抑制剤。
(5)(1)〜(4)の何れか一つに記載の発ガンプロモーター抑制剤を有効成分として含有することを特徴とする、ガン予防用の組成物。
(6)化粧品又は医薬品であることを特徴とする、(5)に記載の組成物。
以下、本発明について、実施の形態を中心に説明を加える。
【0008】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の発ガンプロモーター抑制剤
発ガンプロモータ抑制のメカニズムが、発ガン促進剤をインデューサーとして、エプスタインバーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞に対する早期抗原(EBV−EA)の発現を測定し、コントロールに対する阻害活性を指標とすることを特徴とする本発明の発ガンプロモーター抑制剤は、上記化合物又は生理的に許容されるその塩からなる。これらの化合物は何れも文献既知の化合物であり、バラ科(Rosaceae)モモ属(Amygdalus)植物のモモ(Amygdalus persica Batsch)、シンキョウモモ(Amygdalus ferganensis)、バントウ(Amygdalus platycarpa)、ノモモ(Amygdalus davidiana)、アーモンド(Amygdalus communis)、ロシアアーモンド(Amygdalus nana)等、スモモ(Prunus)属植物のスモモ(Prunus salicina)、アメリカスモモ(Prunus americana)、ヨーロッパスモモ(Prunusdomestica)等及びアンズ属(Armeniaca)植物のウメ(Armeniaca mume)、アンズ(Armeniaca vulgaris)等の種子の仁から抽出、精製することができる。また、化学的に合成することもできる。その起源植物からの抽出・精製法を以下に挙げる。
【0009】
(発ガンプロモーターの抽出・精製法例)
モモ(Amygdalus persica Batsch)の種子の仁である生薬「桃仁(ウチダ和漢薬)」500gを70%エタノール中でホモジナイズし、ろ過したろ液を1リットルまで減圧下濃縮し、n-ヘキサン、酢酸エチル、n-ブタノール各1リットルで3回づつ液液抽出を行い、それぞれの溶液を濃縮し、n-ヘキサンエキス5.05g、酢酸エチルエキス3.61g、n-ブタノールエキス10.13g、水エキス20.90gを得た。水エキス10gを合成吸着樹脂・ダイアイオン HP-20カラムクロマトにかけ、水、10%エタノール、20%エタノール、100%エタノールで溶出させ、溶出液を濃縮し各分画物を得た。この10%EtOH溶出部より分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、C-18カラム(ODSカラム)によりアミグダリン酸を93mg得た。また上記n-ブタノールエキス5gをダイアイオン HP-20カラムクロマトにかけ、水、10%エタノール、20%エタノール、100%エタノールで溶出させ、溶出液を濃縮し各分画物を得た。10%エタノール溶出部より分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、C-18カラム(ODSカラム)によりアミグダリン(480mg),プルナシン(24mg),アミグダリン酸(40mg),グルコピラノキシ−フェニル酢酸(43mg),化合物1(74mg),化合物2(5mg)を、20%エタノール溶出部の分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、C-18カラム(ODSカラム)によりアミグダリン(645mg),プルナシン(448mg)を得た。かくして得られた、本発明の化合物及び/又はその塩は、発ガンプロモータ抑制作用を有し、これによりガン防止作用を発揮する。
【0010】
更に、エキスの起源により発ガンプロモータ抑制作用の程度が異なるが、バラ科(Rosaceae)モモ属(Amygdalus)植物のモモ(Amygdalus persica Batsch)、シンキョウモモ(Amygdalus ferganensis)、バントウ(Amygdalus platycarpa)、ノモモ(Amygdalus davidiana)、アーモンド(Amygdalus communis)、ロシアアーモンド(Amygdalus nana)等、スモモ(Prunus)属植物のスモモ(Prunus salicina)、アメリカスモモ(Prunus americana)、ヨーロッパスモモ(Prunus domestica)等及びアンズ属(Armeniaca)植物のウメ(Armeniaca mume)、アンズ(Armeniaca vulgaris)等の種子の仁の極性溶媒抽出エキスの形態でも化合物1及び2の働きによる発ガンプロモータ抑制作用を有する。この様な極性溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコールなどのアルコール類、酢酸エチルや蟻酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル類から選ばれる1種乃至は2種以上が好ましく例示できる。これらの内、特に好ましいものは、水乃至はアルコールである。この様な抽出物を作成するには、植物体乃至はその加工物に1〜10倍量の溶媒を加え、室温であれば数日、沸点付近の温度であれば数時間浸漬すればよい。しかる後に、不溶物を濾過などで除去し、必要に応じて減圧濃縮や凍結乾燥により溶媒除去することが出来る。モモ属(Amygdalus)植物、スモモ(Prunus)属植物及びアンズ属(Armeniaca)植物の種子の仁の場合、50%エタノール抽出後、濾過し、減圧濃縮し、そして場合によって凍結乾燥するのがエッセンスとして特に好ましい。それは、種子の仁の部分が発ガンプロモーター抑制をする化合物1及び2が多く含まれており、特に好ましいからである。かくして得られた、本発明の発ガンプロモータ抑制剤であるバラ科(Rosaceae)モモ属(Amygdalus)植物、スモモ(Prunus)属植物及びアンズ属(Armeniaca)植物の種子の仁からの化合物1及び2を含むエキスは、発ガンプロモータ抑制作用を有し、これによりガン防止作用を発揮する。この様な作用を目的としてこれを、医薬品、食品及び化粧品に配合することにより優れたガン防止効果のある組成物を提供できる。
【0011】
本発明の発ガンプロモータ抑制剤が対象と出来るガンは、特段の限定はないが、例えば、対象腫瘍としては、肺ガン、前立腺ガン、食道ガン、膀胱ガン、胃ガン、大腸ガン、卵巣ガン、子宮ガン、脳腫瘍、乳ガン、腎ガン、膵臓ガン、骨肉腫、白血病及びメラノーマから選択されるものが好ましく例示できる。
【0012】
(2)発ガンプロモーター抑制アッセイ法
発ガンプロモータ抑制活性測定は、発ガン促進剤をインデューサーとして、エプスタインバーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞に対する早期抗原(EBV−EA)の発現を測定し、コントロールに対する阻害活性を指標とし測定した。エプスタインバーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞の培養液としてRPMI1640に4%胎仔血清および抗生物質(ペニシリン200単位/ml、ストレプトマイシン0.25mg/ml)を加えたものを使用した。この条件下で、EBV自然活性率は、0.1%以下であった。1×106/mlの濃度に調製したレイジ(Raji)細胞に、酪酸(4mM)、12−Oテトラデカノイルフォルボール13−アセテイト(TPA: 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)32pMのDMSO溶液を加え、CO2インキュベーター中、37℃で48時間培養後、塗沫標本を作成し、上咽頭癌患者血清を用いた間接蛍光抗体法にてEBV−EAを染色し、陽性細胞の発現率を100とし、これを陽性コントロールとした。各サンプルの発現率は、同じくレイジ(Raji)細胞株に、酪酸4mM,TPA32pMと各濃度のサンプル溶液を加え、同様に培養後算出した。
【0013】
(3)本発明の発ガンプロモータ抑制剤を含有する組成物
本発明の組成物は、上記本発明の化合物1,2及び/又はその塩からなる発ガンプロモータ抑制剤を含有することを特徴とする。組成物は、医薬品及び化粧品からなり、ガンの予防及び治療に有効であり、経口投与や外用塗布することにより優れた改善効果が得られる。
【0014】
本発明の化合物1,2及び/又はその塩からなる発ガンプロモータ抑制剤は、そのまま、あるいは慣用の製剤担体と共に動物及び人に投与することが出来る。本発明の医薬品用組成物としての1日の好ましい有効投与量は、発ガンプロモータ抑制剤または、発ガンプロモータ抑制剤を含有する乾燥エキスとして、0.001〜1000mg/kg体重/日、更に好ましい投与量は0.05〜500mg/kg体重/日であり、最も好ましくは、0.01〜100mg/kg体重/日である。投与形態としては、特に限定はなく、必要に応じて適宜選択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、座剤等の非経口剤が挙げられる。以上の製剤は、常法によって製造される。通常知られた任意成分を本発明の発ガンプロモータ抑制剤の生理活性が損なわれない程度に配合することが出来る。かかる任意成分として、白糖、乳糖等の賦形剤、デンプン、ゼラチン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤、タルク、ロウ類等の滑沢剤、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル等の流動促進剤、生理食塩水、ブドウ糖水溶液等の希釈剤、矯味矯臭剤、着色剤、殺菌剤、防腐剤、香料等が挙げられる。また、本発明で言う化粧品用組成物とは、皮膚に外用で適用される組成物の総称であって、貼付剤を含む皮膚外用医薬や洗浄剤を含む化粧料が好ましく例示でき、これらの内では、化粧料であることが特に好ましい。これは、本発明の発ガンプロモータ抑制剤の安全性が高く、作用が穏やかであるためである。本発明の発ガンプロモータ抑制剤が関与する、メラノーマ防止用の皮膚外用剤に於ける、発ガンプロモータ抑制剤の好ましい含有量は、皮膚外用剤全量に対して、0.001重量%〜10重量%であり、更に好ましくは0.01重量%〜5重量%である。これは、少なすぎると発ガンプロモータ抑制剤の作用が発揮されない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになり他の処方成分の自由度を損なうことがあるからである。
【0015】
本発明の発ガンプロモータ抑制剤が関与するメラノーマ防止用の皮膚外用剤は、上記必須成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意の成分を含有することが出来る。かかる任意成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス,オレイン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を含有することができる。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0017】
参考例1〜4及び実施例1〜2
(単離・精製化合物の発ガンプロモーター抑制試験)
エプスタインバーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞の培養液としてRPMI1640に4%胎仔血清および抗生物質(ペニシリン200単位/ml、ストレプトマイシン0.25mg/ml)を加えたものを使用した。この条件下で、EBV自然活性率は、0.1%以下であった。1×106/mlの濃度に調製したレイジ(Raji)細胞に、酪酸(4mM)、12−Oテトラデカノイルフォルボール13−アセテイト(TPA:12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)32pMのDMSO溶液を加え、CO2インキュベーター中、37℃で48時間培養後、塗沫標本を作成し、上咽頭癌患者血清を用いた間接蛍光抗体法にてEBV−EAを染色し、陽性細胞の発現率を100とし、これを陽性コントロールとした。各サンプルの発現率は、同じくレイジ(Raji)細胞株に、酪酸4mM,TPA32pMと各濃度、即ち、500 mol ratio/TPA濃度の化合物6種アミグダリン、プルナシン、アミグダリン酸、グルコピラノシロキシ−フェニル酢酸、フェニル−β−D−ゲンチオビオシド(化合物1)又はフェニル−β−D−グルコピラノシド(化合物2)のサンプル溶液を加え、同様に培養後算出した。結果を表1に示す。これより、本発明の発ガンプロモーター抑制剤であるフェニル−β−D−ゲンチオビオシド(化合物1)又はフェニル−β−D−グルコピラノシド(化合物2)は、500 mol ratio/TPA濃度において、レイジ(Raji)細胞に対する早期抗原(EBV−EA)の発現の高い阻害活性を示した。これは、本発明の発ガンプロモーター抑制剤は、ガン細胞の悪性化の過程であるプロモーションを阻害することを示しており、発ガンプロモーター抑制によるガン予防に有効であることを示している。
【0018】
【表1】
Figure 0003856680
【0019】
<実施例3〜8
(植物エキスの発ガンプロモーター抑制試験)
次の方法により、各種植物エキスを調製した。即ち、バラ科(Rosaceae)モモ属(Amygdalus)植物、スモモ(Prunus)属植物、アンズ属(Armeniaca)植物の乾燥種子の仁500gに5Lの50%エタノールを加え、一週間室温で抽出後、濾過して不溶物を取り除き、更に減圧濃縮をして、その後、凍結乾燥した。そして、本発明の発ガンプロモーター抑制剤である化合物1及び2を含む植物エキスを得た。エプスタインバーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞の培養液としてRPMI1640に4%胎仔血清および抗生物質(ペニシリン200単位/ml、ストレプトマイシン0.25mg/ml)を加えたものを使用した。この条件下で、EBV自然活性率は、0.1%以下であった。1×106/mlの濃度に調製したレイジ(Raji)細胞に、酪酸(4mM)、12−Oテトラデカノイルフォルボール13−アセテイト(TPA:12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)32pMのDMSO溶液を加え、CO2インキュベーター中、37℃で48時間培養後、塗沫標本を作成し、上咽頭癌患者血清を用いた間接蛍光抗体法にてEBV−EAを染色し、陽性細胞の発現率を100とし、これを陽性コントロールとした。各サンプルの発現率は、同じくレイジ(Raji)細胞株に、酪酸4mM,TPA32pMと各濃度、即ち、10000 mol ratio/TPA濃度のモモ(Amygdalus persica Batsch)のエキス、アーモンド(Amygdalus communis)のエキス、スモモ(Prunus salicina)のエキス、アメリカスモモ(Prunus americana)のエキス、ウメ(Armeniaca mume)のエキス、アンズ(Armeniaca vulgaris)のエキスのサンプル溶液を加え、同様に培養後算出した。結果を表2に示す。これより、本発明の発ガンプロモーター抑制剤である化合物1及び2を含む植物エキスは、10000 mol ratio/TPA濃度において、レイジ(Raji)細胞に対する早期抗原(EBV−EA)の発現の阻害活性を示した。特に、モモ(Amygdalus persica Batsch)のエキスは、阻害活性が高かった。これは、本発明の発ガンプロモーター抑制剤である化合物1及び2を含む植物エキスは、ガン細胞の悪性化の過程であるプロモーションを阻害することを示しており、発ガンプロモーター抑制剤がガン予防に有効であることを示している。
【0020】
【表2】
Figure 0003856680
【0021】
<実施例9〜10
以下に示す処方に従って、本発明の医薬組成物である顆粒剤を作成した。即ち、下記処方成分を流動層造粒装置に仕込み、良く混合した後、50%エタノール40重量部を噴霧して造粒し、40℃で48時間乾燥し、篩過して100メッシュパス200メッシュオンを取り、本発明のガン防止用の医薬組成物を得た。
デンプン 30 重量部
結晶セルロース 33 重量部
乳糖 20 重量部
*本発明の化合物1〜 2 重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 15 重量部
*表3に詳細を記す。
【0022】
【表3】
Figure 0003856680
【0023】
<実施例11〜21
以下に示す処方に従って、本発明の医薬組成物である顆粒剤を作成した。即ち、下記処方成分を流動層造粒装置に仕込み、良く混合した後、50%エタノール40重量部を噴霧して造粒し、40℃で48時間乾燥し、篩過して100メッシュパス200メッシュオンを取り、本発明のガン防止用の医薬組成物を得た。
デンプン 30 重量部
結晶セルロース 28 重量部
乳糖 20 重量部
*本発明の植物エキス 7 重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 15 重量部
*表4に詳細を記す。
【0024】
【表4】
Figure 0003856680
【0025】
<実施例22〜23
以下に示す処方に従ってクリームを作製した。即ち、イ、ロ、ハをそれぞれ80℃に加熱溶解して、イにロを徐々に加え、更にハを加え乳化した後、ホモミキサーにより乳化粒子を均一化し、冷却してクリームを得た。このクリームは、皮膚のシワ・クスミなどの老化現象、ほくろやメラノーマの防止作用があった。
イ)
スクワラン 10 重量部
セタノール 3 重量部
ソルビタンセスキステアレート 2 重量部
ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル 2 重量部
ビタミンA酸 1 重量部
ロ)
1,3−ブタンジオール 5 重量部
*本発明の化合物1〜 1 重量部
カルボキシビニルポリマー 0.3 重量部
水 40 重量部
ハ)
水 37.3 重量部
水酸化カリウム 0.2 重量部
表5に詳細を記す。
【0026】
【表5】
Figure 0003856680
【0027】
<実施例24〜34
以下に示す処方に従ってクリームを作製した。即ち、イ、ロ、ハをそれぞれ80℃に加熱溶解して、イにロを徐々に加え、更にハを加え乳化した後、ホモミキサーにより乳化粒子を均一化し、冷却してクリームを得た。このクリームは、皮膚のシワ・クスミなどの老化現象、ほくろやメラノーマの防止作用があった。
イ)
スクワラン 10 重量部
セタノール 3 重量部
ソルビタンセスキステアレート 2 重量部
ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル 2 重量部
ビタミンA酸 1 重量部
ロ)
1,3−ブタンジオール 5 重量部
*本発明の植物エキス 2 重量部
カルボキシビニルポリマー 0.3 重量部
水 40 重量部
ハ)
水 35.3 重量部
水酸化カリウム 0.2 重量部
*表6に詳細を記す。
【0028】
【表6】
Figure 0003856680
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、発ガンプロモーター抑制剤及びそれを含有する組成物を提供することができる。

Claims (6)

  1. フェニル−β−D−ゲンチオビオシド(化合物1)、フェニル−β−D−グルコピラノシド(化合物2)から選択される化合物及び/又はその塩からなる発ガンプロモーター抑制剤。
    Figure 0003856680
    Figure 0003856680
  2. バラ科(Rosaceae)のモモ属(Amygdalus)植物、スモモ(Prunus)属植物乃至はアンズ属(Armeniaca)植物から抽出、精製されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の発ガンプロモーター抑制剤。
  3. 化学合成により合成された物であることを特徴とする、請求項1に記載の発ガンプロモーター抑制剤。
  4. 発ガン促進剤をインデューサーとして、エプスタインバーウィルス(EBV)潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株レイジ(Raji)細胞に対する早期抗原(EBV−EA)の発現を測定したとき、EBV−EAの発現の阻害活性を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の発ガンプロモーター抑制剤。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の発ガンプロモーター抑制剤を有効成分として含有することを特徴とする、ガン予防用の組成物。
  6. 化粧品又は医薬品であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
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