JPH10330261A - ガン治療用薬剤 - Google Patents

ガン治療用薬剤

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JPH10330261A
JPH10330261A JP10855398A JP10855398A JPH10330261A JP H10330261 A JPH10330261 A JP H10330261A JP 10855398 A JP10855398 A JP 10855398A JP 10855398 A JP10855398 A JP 10855398A JP H10330261 A JPH10330261 A JP H10330261A
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ascorbic acid
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cancer
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JP10855398A
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English (en)
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Nobuhiko Miwa
信比古 三羽
Masahiro Suzuki
雅博 鈴木
Satoshi Tsuzuki
敏 続木
Toshiyuki Tsuchiya
敏行 土屋
Shinobu Ito
忍 伊東
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化に対して安定であり、動物細胞に対して
吸収性に優れ、細胞内蓄積量を効率よく高くすることが
できるL−アスコルビン酸誘導体からなるガン転移阻害
剤の開発並びにそれを用いたガン治療用方法の提供。 【解決手段】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
培地で20時間培養した時、培地中50μMのL−アス
コルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合に
比べ5μM以下の培地中濃度で同等以上のアスコルビン
酸細胞内蓄積量の得られる、2−位にエステル結合また
はエーテル結合を有し、少なくとも5−位または6−位
に疎水基を有するL−アスコルビン酸誘導体を有効成分
とするガン転移阻害剤、並びに該L−アスコルビン酸誘
導体と少なくとも1種の抗悪性腫瘍剤とからなるガン転
移阻害剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスコルビン
酸の活性安定型で細胞取り込み性能を向上させたL−ア
スコルビン酸誘導体または該誘導体とこれまで用いられ
ていた抗悪性腫瘍剤の両者を有効成分とする抗ガン剤、
ガン転移阻害剤の作用を有するガン転移阻害剤及び該ガ
ン転移阻害剤を用いたガン治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より数多くのガン転移阻害剤(特開
昭54−44011号公報、特開平02−3087号公
報、特開平03−31214号公報、特開平03−56
417号公報、特開平04−77435号公報、特開平
04−312531号公報、特開平06−72871号
公報、特開平06−107693号公報、特開平06−
116184号公報、特開平06−107548号公
報、特開平06−87847号公報など)が提案されて
きたが、その効果が不十分であった。
【0003】この中にはL−アスコルビン酸誘導体は従
来より抗癌作用があるとの報告があり、特開昭60−
139619号公報(O−ベンジリデン−アスコルビン
酸またはその塩よりなる抗腫瘍剤)、特開平02−0
96524号公報(抗ガン白金錯体と、L−アスコルビ
ン酸、5,6−O−ベンジリデンL−アスコルビン酸、
ベンジリデン部のアルデヒド基の少なくとも1−位を重
水素置換した5,6−O−ベンジリデンL−アスコルビ
ン酸とからなる抗ガン活性を有する治療薬組成物)また
は特開平05−004985号公報(5,6−(3−
ニトロ)ベンジリデン−L−アスコルビン酸またはその
塩)などが提案されている。しかし上記、及びの
L−アスコルビン酸誘導体は、生体内において酵素など
により簡単に分解され、安定性に欠けるため細胞内蓄積
量が不十分になり問題がある。またL−アスコルビン酸
−2−リン酸、L−アスコルビン酸−2−グリコシドな
どのL−アスコルビン酸誘導体は、細胞に対する吸収速
度が小さく、必要濃度を得るためには大量の投与が必要
となり、このための製剤化、あるいは投与方法に問題が
残っている。
【0004】一般に、L−アスコルビン酸誘導体は強い
還元性を有するため極めて酸化されやすく不安定で、製
剤中で酸化分解されるため、医薬品製剤としての品質保
持が困難であり、また注射剤などにしてもオートクレー
ブ処理などの加熱滅菌処理ができないため生体内に静脈
注射などの方法で安定な状態で取り込ませることができ
ないという問題がある。また、L−アスコルビン酸誘導
体を経口または静注投与しても、生体内では活性が消失
しやすく、速やかに体外に代謝され、L−アスコルビン
酸の効果が十分に発揮できないという問題があった。こ
れらの従来のL−アスコルビン酸誘導体の抗ガン剤、ガ
ン転移阻害剤の問題を解決するため、本発明者らは特定
のL−アスコルビン酸誘導体類をこれらの製剤の主成分
とする製剤を提案した。(特願平8−143720号)
しかし、この発明の中、L−アスコルビン酸−2−リ
ン酸エステル類を主剤にしたものは、酸化分解を阻害し
てL−アスコルビン酸の安定化することに成功したが、
このL−アスコルビン酸誘導体は親水性が大きいためか
細胞吸収速度が低く細胞内L−アスコルビン酸濃度を効
率よく高めることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸化に対し
て安定であり、動物細胞に対して吸収性に優れ、L−ア
スコルビン酸の細胞内蓄積量を効率よく高くすることが
できるL−アスコルビン酸誘導体からなるガン転移阻害
剤の開発並びにそれを用いたガン治療用方法の開発を目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 動物
細胞をアスコルビン酸誘導体を含む培地で20時間培養
した時、培地中50μMのL−アスコルビン酸−2−リ
ン酸マグネシウム塩を用いた場合に比べ5μM以下の培
地中濃度で同等以上のアスコルビン酸細胞内蓄積量の得
られるL−アスコルビン酸誘導体を有効成分とするガン
転移阻害剤、(2) L−アスコルビン酸誘導体の2−
位にエステル結合またはエーテル結合を有し、少なくと
も5−位または6−位に疎水基を有する一般式(1)
【化2】 (ただし、R1 は、エステル結合またはエーテル結合に
よりL−アスコルビン酸の2−位の炭素に結合し生体内
で水酸基に変換可能な置換基、R2 は水酸基または生体
内で水酸基に変換可能な置換基、R3 及びR4 のうち少
なくとも一つは疎水基であり、他は水酸基または疎水基
である。)で示される化合物またはその塩であるガン転
移阻害剤、
【0007】(3) 一般式(1)において、R1 がホ
スホリルオキシ基、ピロホスホリルオキシ基、トリホス
ホリルオキシ基、ポリホスホリルオキシ基、硫酸基また
はグリコシルオキシ基の少なくとも一つであり、R2
水酸基、ホスホリルオキシ基、ポリホスホリルオキシ
基、硫酸基、グリコシルオキシ基、アルコキシ基、アル
ケニルオキシ基またはフェノキシ基の少なくとも一つを
含む基であり、少なくともR3 またはR4 の一方がアシ
ルオキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、フェ
ノキシ基のいずれかである(2)記載のガン転移阻害
剤、(4) 一般式(1)において、R4 が炭素数10
〜22のアシルオキシ基のL−アスコルビン酸−2−リ
ン酸誘導体である(2)または(3)記載のガン転移阻
害剤、(5) 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
培地で20時間培養した時、培地中50μM L−アス
コルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合に
比べ5μM以下の培地中濃度で同等以上のアスコルビン
酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘導体を
有効成分とする(1)〜(4)のいずれかに記載の薬剤
と、少なくとも1種の抗悪性腫瘍剤とからなるガン治療
用薬剤、及び
【0008】(6) 動物細胞をアスコルビン酸誘導体
を含む培地で20時間培養した時、培地中50μMのL
−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた
場合に比べ5μM以下の培地中濃度で同等以上のアスコ
ルビン酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘
導体を有効成分とするL−アスコルビン酸誘導体の少な
くとも1種を有効成分とするガン転移阻害剤または該ガ
ン転移阻害剤と少なくとも抗悪性腫瘍剤を用いるガン治
療方法、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上述の事情を勘案
して鋭意研究した結果、安定化され適度な脂溶性を持
ち、生体内でL−アスコルビン酸に変換されやすいL−
アスコルビン酸誘導体が、低濃度でも良好な細胞吸収性
を示し、これらは極めて高いガン転移阻害効果のあるこ
とを見出した。なお本発明においては、別段の断りがな
い限り、L−アスコルビン酸誘導体には塩を含むものと
する。
【0010】このようなL−アスコルビン酸誘導体とし
ては、例えば、牛大動脈内皮細胞BAE−2をL−アス
コルビン酸誘導体を含む培地で20時間培養した時、培
地中50μMのL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネ
シウム塩を用いた場合に比べ、5μM以下の培地中濃度
で同等以上のL−アスコルビン酸細胞内蓄積量の得られ
るL−アスコルビン酸誘導体である。該L−アスコルビ
ン酸誘導体の構造としては、例えば安定性向上のために
2−位にエステル結合またはエーテル結合を持ち、脂溶
性を持たせ、細胞膜透過性を高めるため少なくとも5−
位または6−位に疎水基を持つL−アスコルビン酸誘導
体が挙げられる。
【0011】該L−アスコルビン酸誘導体の各置換基
は、用途や期待される効果により選定すれば良く特に限
定されないが、例えば2−位、3−位の置換基は即効性
を期待するならば血清中の酵素などで速やかに加水分解
される置換基(例えばヒトの場合、ホスホリルオキシ基
など)が望ましく、逆に持続性を期待するならば徐々に
加水分解される置換基(例えばヒトの場合、グリコシル
オキシ基など)が望ましい。5−位、6−位の置換基は
速やかに細胞内に取り込まれるように適度な疎水性を持
ち、細胞内酵素で水酸基に置換される置換基(例えばヒ
トの場合、パルミチン酸、ラウリン酸などのエステルな
ど)が望ましい。
【0012】このようなL−アスコルビン酸誘導体は、
一般式(1)
【化3】 で示される化合物またはその塩である。ここで、R1
は、エステル結合またはエーテル結合によりアスコルビ
ン酸の2−位の炭素に結合し、生体内で水酸基に変換可
能な基であり、例えばホスホリルオキシ基、ピロホスホ
リルオキシ基、トリホスホリルオキシ基、ポリホスホリ
ルオキシ基、グリコシルオキシ基などを挙げることがで
きる。好ましくはホスホリルオキシ基が製造の容易性、
安定性などの点で優れている。R2 は水酸基または生体
内で水酸基に変換可能な基であり、例えば水酸基、ホス
ホリルオキシ基、ピロホスホリルオキシ基、トリホスホ
リルオキシ基、ポリホスホリルオキシ基、硫酸基、グリ
コシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、
フェノキシ基などを挙げることができる。通常は、製造
に際しL−アスコルビン酸から誘導する時は、これは水
酸基のままで残しておいて問題はない。なお本発明にお
いてホスホリルオキシ基(2)、ピロホスホリルオキシ
基(3)、トリホスホリルオキシ基(4)及びポリホス
ホリルオキシ基(5)は、例えば各々次のように表すこ
とができる。
【化4】
【0013】R3 及びR4 は、そのうちの少なくとも一
つは疎水基を含む置換基であって、他は水酸基または疎
水基を含む置換基であり、疎水基としては、炭素数10
〜22のアシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニルオ
キシ基、フェノキシ基を挙げることができ、好ましい置
換基として、アシルオキシ基であり、ラウリル酸、、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸などのア
シルオキシ基を挙げることができる。具体的に好ましい
L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン
酸−2−リン酸(各種のリン酸を含む)−6−高級脂肪
酸エステル誘導体(高級脂肪酸としてはラウリン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸など)及びそ
の塩を挙げることができる。その塩としては生理学的に
許容される塩であれば良い。
【0014】これらの塩を生成させる無機塩基として
は、アンモニウム、アルカリ金属(例えばナトリウム、
カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えばカルシウ
ム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、
アルミニウム塩などが、有機塩基としては、例えばトリ
メチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリ
ン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、エタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリスヒドロキシメチル
アミノメタン、ジシクロヘキシルアミンなどから選択さ
れる一種または二種以上の混合物から選択されれば良い
が、細胞毒性が特に少なく、かつ安価であり、安全性の
高さ、経済性、からL−アスコルビン酸−2−リン酸類
の塩がナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、アルミニウムから選択される一種または二種以上の
混合物から選択されるものが特に適している。L−アス
コルビン酸−2−リン酸(各種のリン酸を含む)−6−
脂肪酸エステルのアルカリ金属などの塩は、L−アスコ
ルビン酸−2−リン酸−6−脂肪酸エステルに比較し安
定性が高く、水に溶けやすく、またpHが中性付近なた
め生体適合性が高いので本発明に使用するのにより適し
ている。
【0015】これら一般式(1)で示されるL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸−脂肪酸エステルの(5−脂肪酸
エステル、6−脂肪酸エステルおよび5,6−ジ脂肪酸
エステルを意味し、以下同様とする。)塩は一般に、水
に溶けやすく、一般的な抗悪性腫瘍剤に比べ細胞毒性も
低く、またpHの調製が可能なため生体適合性が高いも
のの選択が自由にできるので本発明のガン転移阻害剤に
使用するのにより適している。本発明の一般式(1)で
示されるL−アスコルビン酸−2−リン酸−脂肪酸エス
テル及びその塩の中の、L−アスコルビン酸−2−ピロ
リン酸類、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸類、L
−アスコルビン酸−2−ポリリン酸類及びその塩から選
択される一種または二種以上の混合物を有効成分とする
ガン転移阻害剤は、その製造コストが安価なため、従来
のガン治療用薬剤より安価なガン治療用薬剤を製造する
のに適している。
【0016】一般にガン治療用薬剤は注射薬や経口投与
剤として用いられるため、これら薬剤は水に対する溶解
性の高いものが望まれる。本発明の一般式(1)で示さ
れるL−アスコルビン酸−2−リン酸−脂肪酸エステル
及びその塩は、水分付加物または結晶水付加物を有効成
分とするものの方が水に対する溶解性が高いこと、また
一価の塩が二価の塩よりも水に対する溶解性が高いこ
と、水分付加物または結晶水付加物の水分または結晶水
の含有量は特に限定されないが、より良好な溶解性を保
持するためには本発明の有効成分が固体の場合は水分含
量が1%から50%(wt/wt)、結晶水の場合は1
から20水塩の範囲の水分子を保持するものが好まし
い。中でもこのようなL−アスコルビン酸誘導体のナト
リウム塩とカリウム塩は細胞毒性が低いので生体適合性
が高く、本発明のガン転移阻害剤として適している。
【0017】本発明のガン転移阻害剤は低毒性であり、
ヒトを含む哺乳動物に経口的または非経口的に投与する
ことができる。本発明のガン転移阻害剤の剤形は特に限
定されず、経口投与剤、錠剤、粉剤、液剤、坐薬、外用
剤、軟膏、貼付剤、点眼剤、静脈注射液、散剤、顆粒
剤、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピル、懸濁剤、液剤、
アンプル、注射液、等張液などが挙げられ、あらゆる医
薬品の製剤化が可能である。また医薬上許容される不活
性な単体または希釈剤及び/または他の薬理作用物質と
の混合物として組成することもできるし、また投薬量単
位形に組成してもよい。
【0018】また公知の製剤学的製造法に準じ、複合体
として製剤化されたものでも良い。例えば、水に対する
溶解度を高めて吸収を促進し、薬理活性を高める目的で
本発明のガン転移阻害剤の主成分をEP−A−461,
427号公報に記載の方法でシクロデキストリンあるい
はマルトシル−シクロデキストリンとの複合体として使
用してもよい。本発明のガン転移阻害剤は、通常これら
の有効成分を薬理学的に許容される担体もしくは賦形剤
と混合してなる医薬組成物として経口または非経口的に
用いられる。例えば、有効成分をあらかじめ水溶液とし
たもの、有効成分を凍結乾燥することによって固形状の
混合物としたもの、有効成分の水溶液としたものを凍結
乾燥することによってそれぞれ固形状としたもの、有効
成分のいずれかが水溶液で、別の有効成分が凍結乾燥す
ることにより固形状としたもの、各有効成分を別個に製
剤としたキットなどの形状が挙げられる。
【0019】本発明は、これらの有効成分を、公知の製
剤学的製造法に準じ、所望により製剤学的に許容され得
る第十二改正日本薬局方平成三年(廣川書店)に収載さ
れた希釈剤、賦形剤などを用い、混合して一剤として投
与できる。また、有効成分を別途、所望により製剤学的
に許容され得る希釈剤、賦形剤などを用い、製剤化して
投与することができる。
【0020】本発明の製剤が溶液である場合は、水溶性
剤(たとえば、蒸留水等)、水溶性製剤(例えば、生理
的食塩水、リンゲル液等)、油性溶剤(例えば、ゴマ
油、トウモロコシ油、オリーブ油等)等の溶剤を用い
て、常套手段により調製される。この際、所望により溶
解補助剤(例えば、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム等)、緩衝剤(例えばクエン酸ナトリウム、グリセ
リン等)、等張化剤(例えば、ブドウ糖等)、安定剤
(例えばヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール
等)、保存剤(例えばベンジルアルコール、フェノール
等)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、酢酸
プロカイン等)等の添加剤を用いることもできる。所望
により薬理学的、製剤学的に許容され得る添加剤(例え
ば、希釈剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、安定
剤、増量剤、湿潤化剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、
緩衝剤、矯味剤、矯臭剤、香料、保存剤、溶解補助剤、
溶剤、被覆剤、糖衣剤など)を混合またはこれらを用い
て製剤化したものを使用することもできる。
【0021】本発明のガン転移阻害剤の調製に用いられ
る希釈剤は、製薬上許容できるものであるが、本発明化
合物以外の素材を意味し、固体、半固体、液体あるいは
摂取しうるカプセル、デキストリン包摂物、リン脂質等
を用いたマイクロカプセル等であってもよく、種々のも
のがあげられる。例えば本発明によって得られるガン転
移阻害剤は、既知のいかなる方法で製造してもよく、例
えば活性成分を希釈剤と混合して、例えば顆粒とし、次
いでその組成物を成形して、例えば錠剤とする。非経口
投与剤は無菌とすべきであり、又必要により、血液と等
張とすべきである。非経口投与としては、注射(たとえ
ば、筋肉静脈注射点滴を含む)、経肛門(坐剤)による
投与を包含する。
【0022】一般式(1)で示されるL−アスコルビン
酸誘導体はそれ自体ガン転移阻害剤となりうるので、製
剤及び組成物中の活性成分であるL−アスコルビン酸誘
導体はは一般に0.01〜100重量%含まれる。経口
投与のための組成物としては更に、錠剤、丸剤、顆粒
剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、噴
霧剤などが挙げられる。かかる組成物は自体公知の方法
によって製造され、担体もしくは賦形剤として、乳糖、
でんぷん、ショ糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用
いられる。非経口投与のためには、たとえば注射剤、坐
薬、貼付剤、点眼剤、外用剤などと用いられる。注射剤
は、通常適当なアンプルに充填される。剤形型としては
たとえば、直腸坐薬、腟坐薬等が挙げられ、外用剤とし
てはたとえば、軟膏、経鼻投与剤、経皮製剤等が挙げら
れる。たとえば外用剤とするには、自体公知の方法に従
い、本発明の組成物を固状、半固状または液状の該溶剤
とすることができる。例えば上記固状のものとしては本
発明の組成をそのままあるいは賦形剤(例、グリコー
ル、マンニトール、デンプン、微結晶、セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、ア
クリル重合体など)などを添加混合して粉状の組成物と
する。
【0023】上記液状のものとしては、注射剤の場合と
ほとんど同様で、油性あるいは水性懸濁剤とする。半固
状の場合は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状
のものが良い。また、これらはいずれも、pH調節剤
(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウ
ムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル
類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)な
どを加えてもよい。坐剤とするには自体公知の方法に従
い、本発明の組成物を油性または水性の固状、半固状、
あるいは液状の坐剤とすることができる。
【0024】本発明の一般式(1)で示されるL−アス
コルビン酸誘導体の投与量は、症状、年齢、性別、体
重、剤形、投与形態により異なるが、経口投与、座剤投
与、外用剤などの場合、通常成人一日あたり、体重1k
g当たり0.001〜8500mg、好ましくは1〜1
00mgの範囲、また静脈注射、点滴の場合、通常、成
人一日あたり、体重1kg当たり0.025〜200m
g、好ましくは0.25〜100mgを1回または数回
に分けて投与することができる。
【0025】本発明の癌転移阻害剤は、腫瘍を保持する
ほ乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、タヌキ、キ
ツネ、ネコ、家兎、イヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒ
ト)の治療に有用であり、これらの担癌動物のガン治
療、延命、及びガン転移阻害に著しい効果を有する。
【0026】本発明のガン治療用薬剤は、ガン転移阻害
用薬剤として有効であり、適用範囲としては各種の悪性
及び良性腫瘍、例えば悪性黒色腫、悪性リンパ腫、消化
器ガン、肺ガン、食道ガン、胃ガン、大腸ガン、直腸ガ
ン、結腸ガン、尿管腫瘍、胆嚢ガン、胆管ガン、胆道ガ
ン、乳ガン、肝臓ガン、すい臓ガン、睾丸腫瘍、上顎ガ
ン、舌ガン、口唇ガン、口腔ガン、咽喉ガン、喉頭ガ
ン、卵巣ガン、子宮ガン、前立腺ガン、甲状腺ガン、脳
腫瘍、カポジ肉腫、血管腫、白血病、真性多血症、神経
芽腫、網膜芽腫、骨髄腫、膀胱腫、肉腫、骨肉腫、筋肉
腫、皮膚ガン、基底細胞ガン、皮膚付属器ガン、皮膚転
移ガン、皮膚黒色腫などが挙げられる。
【0027】特に本発明のガン転移阻害剤を病巣部に比
較的容易に直接接触させることが可能な悪性黒色腫、消
化器ガン、肺ガン、食道ガン、胃ガン、大腸ガン、直腸
ガン、結腸ガン、乳ガン、上顎ガン、舌ガン、口唇ガ
ン、口腔ガン、咽頭ガン、子宮ガン、カポジ肉腫、血管
腫、網膜芽腫、筋肉腫、皮膚ガン、基底細胞ガン、皮膚
付属器ガン、皮膚転移ガン、皮膚黒色腫に有効である。
【0028】さらに本発明のガン転移阻害剤の有効成分
であるL−アスコルビン酸誘導体は特定の既知の抗悪性
腫瘍剤と併用することにより、ガンの治療、ガン転移阻
害作用に相乗効果を示すことが確認された。これらの相
乗を示す既知の抗悪性腫瘍剤としては、ナイトロミン
(R)、シクロホスファミド、メルファラン、チオテ
バ、カルボコン、プロテクトン(R)、ブスルファン、
塩酸ニムスチン、ミトプルニトール、イホスファミド、
メルカプトプリン、チオイノシン、シタラビン、ダカル
バジン、フルオロウラシル、テガフール、塩酸アンシタ
ビン、メトトレキサート、カルモフール、UFT
(R)、エノシタビン、硫酸ビンプラスチン、硫酸ピン
クリスチン、硫酸ビンデシン、アクチノマイシン
(D)、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸
プレオマイシン、硫酸プレオマイシン、塩酸ダウノルビ
シン、塩酸ドキソルビシン、ネオカルチノスタチン、硫
酸ベブロマイシン、塩酸アクラルビシン、メビチオスタ
ン、エピチオスタノール、クエン酸タモキシフェン、ホ
ンパン、ビシパニール(R)、クレスチン、レンチナ
ン、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカ
ルバジン、プロクスウリジン、MDSコーワ3000
(R)、エストラサイト(R)、シゾフェラン、アドリ
アマイシン、マイトマイシン、シスプラチン、カルボブ
ラチン、ビンデシン、ビンクリスチン、サイクロフォス
ファミド、イフォマファミド、プレオマイシン、ペプレ
オマイシン、エトボシド、フルツロンから選択される一
種または二種以上の混合物から選択される抗悪性腫瘍剤
が挙げられる。本発明に使用する抗悪性腫瘍剤は、通常
使用される薬量の範囲内で併用投与されることが好まし
い。
【0029】また最近報告された抗腫瘍剤、プロタミ
ン、ヘパリン共存下でのアンギオスタチックステロイド
(Angiostatic steroids)、ペプ
チドグリカン複合体などのポリサッカライド、Cys−
Asp−Pro−Gly−Tyr−Ile−Gly−S
er−Arg−NH2 (CDPGYGSR−NH2 )な
どのラミニン・ペプチド(Laminin Pepti
de)、Arg−Gly−Asp−(R GD)配列を
含むペプチド、血小板因子−4(Platelet F
actor−4)及び天然型もしくは遺伝子工学的手法
で得られるインターフェロンなどの制ガン剤と本発明の
有効成分を併用する場合においてもガン転移阻害作用を
高めることができる。
【0030】本発明のガン転移阻害剤の有効成分である
L−アスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸の2
位に導入したエステル結合またはエーテル結合(例えば
リン酸エステル基)によりアスコルビン酸の酸化分解を
阻害し安定化するため、製剤の製造時及び保存期間中に
おける経時的分解がほとんどない。また、通常のアスコ
ルビン酸誘導体は生体内に取り込まれると、標的細胞に
到達する前に、特に消化管中の食物などに含有されるラ
ジカルにより分解され易いが、本発明のL−アスコルビ
ン酸誘導体は生体中で安定であること並びに脂溶性とし
ているため栄養吸収細胞などにより細胞内に急速に吸収
される。本発明者らの研究によると、本発明のL−アス
コルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸−2−リン酸
類またはその塩に比較して、極めて高い細胞吸収性を示
す。このためL−アスコルビン酸−2−リン酸塩に比較
して、細胞内のL−アスコルビン酸のより高い濃度を、
1/10以下の投与量で実現できることが確認できた。
これにより本願発明の一般式(1)で示されるL−アス
コルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸−2−リン酸
またはその塩では実現できない極めて少ない投与量で、
ガン転移阻害作用を発揮できるものと推定できる。
【0031】一般にガン細胞は移動性能を保持している
ため、ガン細胞は病巣から血管内に侵入し移動すること
ができ、広範囲の臓器へ転移し増殖する。このため延命
期間を著しく短くする。本発明のガン転移阻害剤の抗腫
瘍作用は、特にガン細胞の病巣から血管内皮への移動性
能を阻害し、結果的にガン転移を阻害することによりガ
ン転移阻害作用を発揮することが本発明者らにより明ら
かにされた。本発明のL−アスコルビン酸誘導体を投与
した時ガン細胞は、血管内皮に対する極めて低い浸潤率
を示すことが見いだされた。またこの作用は通常のL−
アスコルビン酸では見られない作用であり、本発明のL
−アスコルビン酸誘導体独自の作用であることが確認さ
れた。
【0032】本発明のガン転移阻害剤の有効成分である
L−アスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸の2
−位にエステルまたはエーテル結合により結合した置換
基によりL−アスコルビン酸の酸化分解を阻害し、安定
化する。また該L−アスコルビン酸誘導体は少なくとも
5−位または6−位に疎水基を導入することにより親油
性を高め、細胞吸収性を改善し、細胞内のL−アスコル
ビン酸濃度を効率よく高めることができたため、少量の
投与でもL−アスコルビン酸の抗腫瘍作用を最大限に発
揮できるものとなった。L−アスコルビン酸の抗腫瘍作
用は特に腫瘍細胞の血管内皮への浸潤を阻害し、結果的
にガンの転移を阻害することにより抗ガン作用を発揮し
たものと考えられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例、比較例を挙げて本発明を説明
するが、これによりなんら本発明を限定するものではな
い。本実施例に使用したL−アスコルビン酸−2−リン
酸−6−カルボン酸エステル及びその塩は次の方法によ
り合成した。公知のL−アスコルビン酸−2−リン酸エ
ステルまたはその塩にカルボン酸、そのエステルまたは
その塩を脱水触媒などの触媒の存在下に反応させてL−
アスコルビン酸−2−リン酸−6−カルボン酸エステル
またはその塩を得る。触媒として濃硫酸を用い、反応温
度は5〜70℃で行う。具体例として、L−アスコルビ
ン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸エステルの合成法
を詳しく説明する。L−アスコルビン酸−2−リン酸マ
グネシウム塩10mmolを室温で濃硫酸60mlに溶
解し、この溶液にパルミチン酸15mmolを添加し、
十分に攪拌した。室温で24時間放置後、反応混合物を
氷水300mlに注入し、沈殿物をジエチルエーテル2
00mlで2回抽出した。抽出液を30%イソプロパノ
ールを含む2N塩酸300mlで洗浄し、ジエチルエー
テルを減圧下で留去した。析出物をn−ヘキサンで2回
洗浄後、減圧乾燥し、目的のL−アスコルビン酸−2−
リン酸−6−パルミチン酸エステルを3.2gを得た。
なお6−O−ピバロイル−L−アスコルビン酸−3−リ
ン酸は特公平03−055470号公報記載の方法で合
成した。またL−アスコルビン酸−5,6−O−ベンジ
リデン誘導体類は特開平08−269074号公報及び
特開平01−313476号公報、特開平05−004
985号公報記載の方法で合成した。2−O−D−グル
コピラノシル−L−アスコルビン酸−カルボン酸エステ
ルはUVホワイト(資生堂:商品名)より抽出した。そ
の他の試薬は市販品を使用した。
【0034】(実施例1)正常ヒト成人乳房表皮角化細
胞(倉敷紡績株式会社)約6×105 個を60mの平
板にまき、無血清表皮角化細胞増殖用培地(倉敷紡績株
式会社製)で2時間培養し、その後アスコルビン酸また
はその誘導体2〜50μMを添加した同培地に置換し、
20時間培養した。トリプシン処理にてその細胞を集
め、コールターカウンターDN型(コールターエレクト
ロニクス社:商品名)で細胞数を計数した。その細胞を
ハンクス平衡塩溶液で洗浄し、超音波ホモジナイザーで
破砕した。これをモルカットII(UFP1LCC)(日
本ミリポア株式会社:商品名)でろ過後、Shodex
ODSpak F411A(昭和電工株式会社:商品
名)カラムによるHPLCで分析し、アスコルビン酸及
びその誘導体を定量し、細胞内蓄積量を求めた。またコ
ントロールとしてアスコルビン酸またはその誘導体を添
加せずに同様に培養し、アスコルビン酸を定量した。表
1にアスコルビン酸またはその誘導体を添加した場合と
添加しない場合の細胞内アスコルビン酸蓄積量の差を示
した。
【0035】
【表1】
【0036】(実施例2)牛大動脈内皮細胞BAE−2
(広島県立大)約6×105 個を60mmφ平板にま
き、透析した牛胎児血清(Moregate社)を20
%含む最小必須培地で2時間培養し、その後アスコルビ
ン酸またはその誘導体5μM(ただし、アスコルビン酸
−2−リン酸マグネシウム塩の場合は50μM)を含む
同培地で置換し、20時間培養した。以下、実施例1と
同様に細胞を処理しアスコルビン酸を分析した結果を表
2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】(実施例3)ラットの自然発生乳ガン細胞
(SST−2)を、自然発症高血圧ラット(SHRラッ
ト)(各群5匹)の背部皮下に1×100000個を移
植し、35日後にラットを屠殺して肺重量及びコロニー
形成数を測定し、SST−2の肺転移の程度を観察し
た。表3、表4に記載した化合物投与群は移植日から移
植後34日まで1mg/ラットを経口投与及び皮下注射
し、肺転移のコロニー形成数を無処理対照群と比較し
た。結果を表3に示した。実施例1、2の結果で、L−
アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩(培地中濃
度50μM)を用いた場合に比べ、同等以上のアスコル
ビン酸細胞内蓄積量の得られるアスコルビン酸誘導体
(培地中濃度5μM以下)は強いガン転移阻害作用を持
つことが確認された。またそれらは、すべて一般式
(1)の構造を持っていた。
【0039】
【表3】
【0040】(実施例4)ラットの自然発生乳ガン細胞
(SST−2)を、自然発症高血圧ラット(SHRラッ
ト)(各群5匹)の背部皮下に1×100000個を移
植し、35日後にラットを屠殺して肺への転移コロニー
形成数を測定し、SST−2の肺転移の程度を観察し
た。アスコルビン酸の誘導体としてL−アスコルビン酸
−2−リン酸−6−パルミチン酸、L−アスコルビン酸
−2−リン酸−6−安息香酸及びL−アスコルビン酸−
2−リン酸マグネシウムを使用し、表4に示した既知の
抗ガン剤との併用投与を試験した。移植7日前から移植
後34日まで該L−アスコルビン酸誘導体1mg/1日
/ラットを尾部静脈より注射し、既知の抗ガン剤につい
ては文献記載(医薬品要覧第4版、p1474ー150
9、薬業時報社、1989)の単独使用濃度の最小量を
経口投与し、肺への転移コロニー形成数をL−アスコル
ビン酸誘導体単独投与群及び既知の抗ガン剤単独投与群
と比較した。対応するL−アスコルビン酸誘導体単独投
与及び対応する既知の抗ガン剤単独投与に比べ高いガン
転移阻害効果の認められたものに+印を、そのいずれか
一方の単独投与に比べ高いガン転移阻害効果の認められ
ないものに−印を、どちらとも判定できないものに±印
を記入し結果を表4に示した。この結果から、実施例3
でガン転移抑制作用を示したL−アスコルビン酸誘導体
は、既知の抗ガン剤の単独投与及び該L−アスコルビン
酸誘導体の単独投与に比較し、より高いガン転移阻害作
用が確認された。
【0041】
【表4−1】
【0042】
【表4−2】
【0043】
【表4−3】
【0044】
【発明の効果】本発明は、生体内における加水分解を防
ぐため2−位にエステル結合またはエーテル結合を有
し、少なくとも5−位または6位のいずれかに適度な疎
水性を有する基により置換されたL−アスコルビン酸誘
導体であり、生体内においても活性の安定性に優れ、か
つ他のL−アスコルビン酸の誘導体に比して細胞取り込
み性能が向上したL−アスコルビン酸誘導体をガン転移
阻害剤とするものである。本発明のガン治療用薬剤は、
安価であり、細胞毒性が少なく、経済性に富み、かつ広
範な抗悪性腫瘍剤と併用することによりガン転移阻害作
用に相乗効果が認められるので、各種のガン、悪性腫瘍
などのガン治療用薬剤として有用なものであり、特にガ
ン転移阻害剤として極めて効果の高い薬剤である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土屋 敏行 千葉県千葉市緑区大野台1−1−1 昭和 電工株式会社総合研究所内 (72)発明者 伊東 忍 東京都港区芝大門一丁目13番9号 昭和電 工株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
    培地で20時間培養した時、培地中50μMのL−アス
    コルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合に
    比べ5μM以下の培地中濃度で同等以上のアスコルビン
    酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘導体を
    有効成分とすることを特徴とするガン転移阻害剤。
  2. 【請求項2】 L−アスコルビン酸誘導体が2−位にエ
    ステル結合またはエーテル結合を有し、少なくとも5−
    位または6−位に疎水基を有する一般式(1) 【化1】 (ただし、R1 は、エステル結合またはエーテル結合に
    よりL−アスコルビン酸の2−位の炭素に結合し生体内
    で水酸基に変換可能な置換基、R2 は水酸基または生体
    内で水酸基に変換可能な置換基、R3 及びR4 のうち少
    なくとも一つは疎水基であり、他は水酸基または疎水基
    である。)で示される化合物またはその塩であるガン転
    移阻害剤。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1 がホスホリ
    ルオキシ基、ピロホスホリルオキシ基、トリホスホリル
    オキシ基、ポリホスホリルオキシ基、硫酸基またはグリ
    コシルオキシ基の少なくとも一つであり、R2 が水酸
    基、ホスホリルオキシ基、ポリホスホリルオキシ基、硫
    酸基、グリコシルオキシ基、アルコキシ基、アルケニル
    オキシ基またはフェノキシ基の少なくとも一つを含む基
    であり、少なくともR3 またはR4 の一方がアシルオキ
    シ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、フェノキシ
    基のいずれかである請求項2記載のガン転移阻害剤。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、R4 が炭素数1
    0〜22のアシルオキシ基のL−アスコルビン酸−2−
    リン酸誘導体である請求項2または3記載のガン転移阻
    害剤。
  5. 【請求項5】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
    培地で20時間培養した時、培地中50μMのL−アス
    コルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合に
    比べ5μM以下の培地中濃度で同等以上のアスコルビン
    酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘導体を
    有効成分とする請求項1〜4のいずれかに記載の薬剤
    と、少なくとも1種の抗悪性腫瘍剤とからなるガン治療
    用薬剤。
  6. 【請求項6】 動物細胞をアスコルビン酸誘導体を含む
    培地で20時間培養した時、培地中50μMのL−アス
    コルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩を用いた場合に
    比べ5μM以下の培地中濃度で同等以上のアスコルビン
    酸細胞内蓄積量の得られるL−アスコルビン酸誘導体の
    少なくとも1種を有効成分とするガン転移阻害剤または
    該ガン転移阻害剤と少なくとも1種の抗悪性腫瘍剤を用
    いるガン治療方法。
JP10855398A 1997-04-04 1998-04-03 ガン治療用薬剤 Pending JPH10330261A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010505749A (ja) * 2006-08-11 2010-02-25 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング マトリックスの官能化のためのアスコルビン酸誘導体の使用
JP2011144115A (ja) * 2010-01-12 2011-07-28 Gunma Univ 走化性運動制御剤

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