(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るフック装置10Aについて、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、Z方向とは、フック装置10Aを吊り下げる方向を指し、Z1側とは上側を指し、Z2側とはそれとは逆の下側を指す。また、幅方向とは、図1における左右方向を指し、X1側は図1における右側を指し、X2側は図1における左側を指す。
<フック装置の構成について>
図1は、フック装置10Aの全体構成を示す側面図であり、フック50Aが閉じた状態を示す図である。図2は、フック装置10Aの全体構成を示す正面図であり、フック50Aが閉じた状態を示す図である。本実施の形態のフック装置10Aは、チェーンブロックやロープホイストが備える外部フック100に吊り下げて用いるものである。このフック装置10Aは、支持軸20Aと、垂下アーム30Aと、フック取付軸40Aと、フック50Aと、レバー60Aとを主要な構成要素としている。
図1に示すように、支持軸20Aは、鉤状の外部フック100の閉じ空間内に位置する部分であり、この閉じ空間に支持軸20Aが位置することで、フック装置10Aが外部フック100に支持される。図1および図2に示すように、支持軸20Aは、所定の直径を有する円柱状または円筒状の部材である。この支持軸20Aは、一対の垂下アーム30Aの支持孔31Aに挿入される。それにより、垂下アーム30Aを始めとする各部材を、支持可能としている。
なお、支持軸20Aが支持孔31Aから抜けるのを防止するために、支持孔31Aの端部にEリングや止め輪等の抜け止め手段を用いるようにしても良い。また、支持軸20Aの一方側の端部にフランジを設けると共に、他方側の端部にナットを取り付ける等によって抜け止めとしても良く、支持軸20Aの両端側にナットを取り付けて抜け止めとしても良い。
また、垂下アーム30Aは、支持軸20Aに吊り下げられる部材であり、所定の肉厚の板状部材を用いて形成されている。垂下アーム30Aは、無負荷の状態では、鉛直方向(Z方向)に長くなるように設けられている。なお、図1では、支持孔31Aと取付孔32Aを結ぶ線を、鉛直線Lとする。鉛直線Lは、無負荷状態においては鉛直方向に沿っているが、実際のフック装置10Aでは、鉛直線Lは、鉛直方向に対して傾斜しても良い。
この垂下アーム30Aの上端側には、厚み方向を貫く支持孔31Aが設けられていて、この支持孔31Aには、上述した支持軸20Aが挿入されている。この垂下アーム30Aは、支持軸20Aの両方の端部側にそれぞれ配置されていて、外部フック100への取り付け状態では、外部フック100を挟み込むように配置されている。
また、垂下アーム30Aは、鉛直方向(Z方向)の下方側(Z2側)に向かうにつれて、幅広となるように設けられている。そして、垂下アーム30Aの鉛直方向の中央よりも下方側(Z2側)には、厚み方向に貫く取付孔32Aが設けられている。この取付孔32Aには、後述するフック取付軸40Aが挿入され、このフック取付軸40Aを介してフック50Aが支持される。
また、垂下アーム30Aは、取付孔32Aが存在する部位よりも鉛直方向(Z方向)の下方側(Z2側)に突出する下方突出部33Aを有している。ただし、荷200の取手201等と干渉するのを防ぐために、下方突出部33Aは、図1に示すような無負荷状態においては、後述する斜辺部36Aの存在によって、下方に向かうにつれて鉛直線Lから離れるように傾斜している。そして、下方突出部33Aの下端側は、外部フック100の鉤状の先端部分よりも若干下方側に位置する程度となっている。それにより、フック装置10Aを側面視したときに、フック50Aの湾曲の内周側が、下方突出部33Aで閉じられる状態となっている。
なお、以下の説明では、図1に示すように側面視したときに、フック50Aの湾曲の内周側と、下方突出部33Aとで閉じられた空間を閉じ空間Sと称呼する。また、荷200の取手201は、荷の係止部位に対応する。しかしながら、係止部位は、取手201に限られない。たとえば、荷がワイヤを介して吊り下げられる場合には、そのワイヤも係止部位に対応する。
また、垂下アーム30Aには、側方突出部34Aも設けられている。側方突出部34Aは、垂下アーム30Aの側縁部35Aから図1における左側(X2側)に突出している部分である。ここで、本実施の形態では、図1に示すような無負荷状態においては、側縁部35Aは、鉛直線Lに対して略平行に設けられている。そして、上述した側方突出部34Aは、側縁部35Aのうち取付孔32Aよりも支持孔31Aに近接した部位から、図1における左側(X2側)に向かって突出している。
なお、側縁部35Aに連続するように、取付孔32Aの下方側からは、鉛直線Lに対して傾斜している斜辺部36Aが設けられている。
上述した側方突出部34Aには、厚み方向に貫く挿通孔34A1が設けられている。この挿通孔34A1には、後述するレバー軸63Aが差し込まれ、このレバー軸63Aを介して、レバー60Aが回動自在に支持されている。
次に、フック取付軸40Aについて説明する。フック取付軸40Aは、上述した取付孔32Aに挿入される部材であり、またフック50Aの回動孔52A1(後述)に挿入される部材である。そして、このフック取付軸40Aを介して、フック50Aを回動自在に支持している。フック取付軸40Aは、円柱状または円筒状の部分を主要な部位としているが、その両端側には抜け止めが設けられている。抜け止めとしては、たとえばボルトの頭部のようなフランジ部分を一端側に設けると共に、ナットを他端側に取り付けるような構成としても良い。しかしながら、止め輪やEリングを用いて、抜け止めを実現するようにしても良い。
図2に示すように、フック取付軸40Aには、フック50Aが取り付けられている。このフック50Aは、フック本体部51Aと、軸支部52Aと、レバー連結部53Aとを備えている。フック本体部51Aは、荷200の取手201等を掛ける部分であり、その外観が鉤状に設けられている。
なお、図2に示すように、フック50Aと、それぞれの垂下アーム30Aの間には、スペーサ70Aが配置されている。それにより、フック装置10Aを組みつけた場合に、一対の垂下アーム30Aの間に、外部フック100が挿入可能なスペースを確保している。
ここで、フック本体部51Aの図1における右側(X1側)の部位の先端部51A1は、上述した下方突出部33Aの下端側(Z2側)よりも上方に位置している。一方、フック本体部51Aの図1における左側(X2側)の部位の上方側(Z1側)は、軸支部52Aと連続しているが、本実施の形態では、その上方側の部位(本体上方部51A2)は、鉛直方向(Z方向)に沿うように延伸している。それにより、先端部51A1と軸支部52Aとの間に、荷200の取手201等をフック本体部51Aの内周側に挿入するスペース(図1においては閉じ空間S)を確保している。
ここで、図1に示す無負荷状態の場合には、フック本体部51Aを側面視すると、その最も下方側(Z2側)の下底部51A3は、後述する側辺部51A6側から先端部51A1に進行すると、徐々に上方に向かうように傾斜している。すなわち、荷200の上面等にフック50Aを置いた場合には、下底部51A3のうち側辺部51A6側が先に接触する。しかしながら、下底部51A3は、無負荷の吊り下げ状態では、概ね鉛直線Lに対して直交するように形成しても良い。
また、フック本体部51Aには、下底部51A3に連続するように、ガイド湾曲部51A4も設けられている。ガイド湾曲部51A4は、フック50Aにおいて最も曲率半径の大きな湾曲部分である。このガイド湾曲部51A4の存在により、フック50Aを荷200の上面等に置いた場合に、フック50Aが回動し易い状態となっている。
なお、フック本体部51Aには、ガイド湾曲部51A4に連続するように、外辺部51A5も設けられている。外辺部51A5は、ガイド湾曲部51A4と先端部51A1とを連結する部分であり、後述する51A6と略平行に設けられている。また、外辺部51A5は、無負荷状態では、概ね鉛直方向に平行となるように設けられている。しかしながら、このような外辺部51A5を省略する構成を採用しても良い。
また、フック本体部51Aの本体上方部51A2には、軸支部52Aが連続するように設けられている。軸支部52Aは、本体上方部51A2よりも右側(X1側)に突出している部分である。この軸支部52Aには、回動孔52A1が設けられていて、その回動孔52A1には、上述したフック取付軸40Aが差し込まれている。それにより、フック50Aが回動自在に支持されている。
また、フック本体部51Aの左側(X2側)の側辺部51A6からは、レバー連結部53Aが突出している。図2に示すように、レバー連結部53Aには、連結ピン54Aが取り付けられている。連結ピン54Aは、レバー連結部53Aの両面側から突出していて、その一端側および他端側は、後述するレバー60Aのガイド孔64Aに挿入されている。なお、連結ピン54Aは、摺動手段に対応する。
この連結ピン54Aは、レバー連結部53Aに孔部を形成して、その孔部に差し込むことで、レバー連結部53Aに取り付ける構成とすることができる。しかしながら、その他の手法によってレバー連結部53Aと一体的な連結ピン54Aを形成するようにしても良い。たとえば、フック50Aを鋳造によって形成する場合には、連結ピン54Aは、フック本体部51Aおよびレバー連結部53Aと一体的な状態で形成することができる。
次に、レバー60Aについて説明する。図1および図2に示すように、レバー60Aは、長尺状かつ薄板状の部材であり、それぞれの垂下アーム30Aの外側(フック50Aが位置しない側)に配置されている。このレバー60Aの上端側(Z1側)には、連結孔61Aが設けられていて、その連結孔61Aには、レバー軸63Aが差し込まれている。このレバー軸63Aは、上述した側方突出部34Aの挿通孔34A1に差し込まれている。それにより、レバー60Aは、レバー軸63A(連結孔61A)を支点として、垂下アーム30Aに対して回動可能となっている。
図1に示すように、レバー60Aには、その長手方向に沿うガイド孔64Aが設けられていて、このガイド孔64Aには、上述した連結ピン54Aが差し込まれている。なお、ガイド孔64Aは、ガイド部に対応する。このガイド孔64Aは、長孔部64A1と、保持ロック孔部64A2とを有している。長孔部64A1は、レバー60Aの長手方向に沿って長尺状に設けられている孔部分である。フック50Aがフック取付軸40Aを支点として回動した場合、連結ピン54Aは、長孔部64A1に沿ってスライドするように設けられている。
また、保持ロック孔部64A2は、長孔部64A1の長手方向に対して交差する方向に折れ曲がるように形成されている孔部分であり、図1に示すような無負荷状態においてガイド孔64Aの上端側(Z1側)に存在している。また、本実施の形態では、保持ロック孔部64A2は、無負荷状態におけるレバー60Aの位置においては、長孔部64A1からフック取付軸40Aに向かう方向に延伸している。
図3は、フック50Aが開放状態となると共に、連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2に位置する状態を示す図である。図3に示すように、保持ロック孔部64A2は、レバー60Aが図示を省略するワイヤで時計回りの上端側に回動させられた場合に、連結ピン54Aが位置する部分である。そのとき、フック50Aは、閉じ空間Sが開いた開放状態となるが、フック50Aの自重によって、閉じ空間Sが閉じた状態に戻ろうとする。しかしながら、保持ロック孔部64A2の内壁が支障となって、フック50Aが自重によって戻るのを防止可能となっている。このように、保持ロック孔部64A2は、フック50Aが開いた状態を保持するためのものである。
なお、連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2に位置するときの、力の作用状態を、図4に示す。図4に示すように、フック50Aの自重により、閉じ空間Sが閉じた状態にフック50Aが戻ろうとする場合、力F1が作用するが、その力F1の向きは、保持ロック孔部64A2の内壁を下側かつ左側(X2側)に押し込む向きとなっている。このような力F1が作用すると、連結ピン54Aは保持ロック孔部64A2の内壁と干渉する。したがって、フック50Aが自重によって戻るのが防止される。
ここで、レバー60Aを、力F1よりも軽い力F2で持ち上げるだけで、保持ロック孔部64A2に連結ピン54Aが入り込む。それにより、フック50Aが下方に回動して、閉じた状態に戻るのを防止可能となっている。
なお、図4から明らかなように、レバー軸63Aからリンクピン81Aまでの距離L1は、レバー軸63Aから連結ピン54Aまでの距離L2よりも大きくなっている。したがって、てこの原理から、力F2は力F1よりも十分に小さな力となっている。なお、上述したガイド孔64Aの内壁への連結ピン54Aの干渉により、力F2を加えずにレバー60Aから手を離しても、レバー60Aの姿勢が維持可能な場合も存在する。
また、図4に示すように、フック取付軸40A、レバー軸63Aおよび連結ピン54Aを結ぶ三角形においては、フック取付軸40Aと連結ピン54Aの間の距離L3は一定であり、フック取付軸40Aとレバー軸63Aの間の距離L4も一定である。しかしながら、レバー軸63Aと連結ピン54Aの間の距離L2は、フック50Aの転動に応じて変動するように設けられている。具体的には、フック50Aが閉じ状態から開き状態へと転動した場合、連結ピン54Aがレバー軸63Aに近付くように距離L2が変化する。
図1および図2に示すように、無負荷状態におけるレバー60Aの下端側(Z2側)には、連結用突出部65Aが設けられている。連結用突出部65Aは、レバー60Aの軸線方向から離れる向きに向かい突出する部分である。この連結用突出部65Aには、接続孔66Aが形成されていて、この接続孔66Aにはリンク部材80Aがリンクピン81Aを介して連結されている。
なお、リンク部材80Aは、レバー60Aの姿勢を操作するためのワイヤが、直接的または間接的に連結される部分であり、それらの連結のためのリンク孔82Aが設けられている。なお、ワイヤに代えて、チェーンをリンク孔82Aに連結する構成としても良い。これらワイヤやチェーンは、引上手段に対応する。
<作用について>
以上のような構成を有するフック装置10Aの作用について、以下に説明する。
(1)ワイヤを用いてフック50Aを操作する場合
まず、ワイヤを用いて、フック50Aを操作する場合の動作について説明する。図5は、ワイヤを用いてフック50Aを操作した場合の様子を示す側面図であり、(A)はワイヤを引く前、(B)はワイヤを引いている途中段階、(C)はワイヤを引いて連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2に入り込んだ状態を示す図である。たとえば、荷200の取手201が閉じ空間Sに存在する状態で、荷離し(荷200の吊り下げ状態の解除)を行いたい場合、フック50Aを開いた状態とする必要がある。しかしながら、荷200の取手201付近に、適切な平面状の上面が存在しない場合や、予めフック50Aを開いた状態としたい場合には、ワイヤを用いて、フック50Aを開き状態とする。このとき、リンク部材80Aのリンク孔82Aに連結されているワイヤを上方側に引く。すると、レバー60Aは、レバー軸63Aを支点として、図1および図5(A)で示す状態から時計回りに回動する。
ところで、フック50Aの閉じ状態では、連結ピン54Aは、図1における長孔部64A1の下端側(Z2側の端部)に位置している。この状態から、ワイヤを上方に引く場合、連結ピン54Aは、フック取付軸40A(回動孔52A1)を支点として、図1および図5(A)における時計回り(すなわち連結ピン54Aが上昇する向き)に回動するが、その回動の向きは、連結ピン54Aがレバー軸63Aに近づく向きとなっている。したがって、ワイヤを上方に引くことで、レバー60Aの連結用突出部65A側が上昇するように回動する場合、連結ピン54Aは、図5(B)に示すように、長孔部64A1を、レバー軸63Aに近づく向きにスライドする。
そして、連結用突出部65A側が最も上昇するようにレバー60Aが回動させられた場合、連結ピン54Aは、保持ロック孔部64A2に入り込む状態となる。このとき、フック50Aが自重の作用によって閉じ状態に戻ろうとしても、フック50Aの連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2の内壁と干渉してしまう。したがって、フック50Aが自重によって戻るのが防止される。
なお、ワイヤを引き上げる力F2を大きくして、レバー60Aを時計回りに回動させようとしても、連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2の内壁に干渉してしまう。そのため、必要以上にフック50Aを時計回りに回動させるのを防止可能となる。
また、フック50Aが図5(C)に示すように大きく転動したときには、下方突出部33Aと先端部51A1の間の距離が大きく開く。したがって、閉じ空間Sが開放された状態となる。また、上述した転動により、フック50Aは、荷200の取手201を外し易い角度となっている。その後に、取手201が先端部51A1を通過するようにフック50Aを移動させて、取手201を閉じ空間Sから外す。このようにして、荷200の取手201を外す(荷離しを行う)ことが可能となる。したがって、荷200の置き場所にも作業者を配置せずに済む。
(2)フック50Aが荷200の上面に置かれる場合
次に、フック50Aが荷200の上面に置かれる場合について説明する。図6は、フック50Aが荷200の上面に置かれる場合の挙動を示す図であり、(A)は荷200の上面に置くと共にフック50Aが倒れる前、(B)はフック50Aが倒れた状態、(C)は(B)の状態からさらにワイヤを引いて連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2に入り込んだ状態を示す図である。
荷200を吊り下げた状態で外部フック100を下降させて、荷200を所定の載置部位に置いた場合、フック50Aは荷200の吊り下げ状態の位置からさらに降下して、荷200の上面に置かれる状態となる。フック50Aが荷200の上面に置かれると、図6(A)に示すように、フック50Aの下底部51A3が荷200の上面に接触する状態となる。この状態で、外部フック100をさらに下降させると、フック取付軸40Aから下向きに作用する力も加わることにより、フック50Aは、ガイド湾曲部51A4に沿って大きく転動する。このフック50Aの転動は、図6(B)に示すように、外辺部51A5が全体的に接触する程度となるまで継続する。しかしながら、外辺部51A5が全体的に接触する手前の状態まで転動しても良く、また外辺部51A5が全体的に接触し、その後にさらに転動しても良い。
なお、荷200の上面には、フック50Aのみならず、垂下アーム30Aの下方突出部33Aの先端側も接触する。したがって、フック50Aが転動する場合、垂下アーム30Aも大きく傾斜する状態となる。
ここで、図6(B)に示すように、フック50Aが大きく転動するのに伴って連結ピン54Aがスライドすると、連結ピン54Aは、ガイド孔64Aの長孔部64A1のうち、最もレバー軸63Aに近付く端部側に位置する。この状態で、フック50Aを少し持ち上げると、図6(C)に示すように、連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2に入り込む。連結ピン54Aが保持ロック孔部64A2に入り込むと、フック50Aが自重によって閉じ状態に戻るのが防止される。それにより、垂下アーム30Aとフック50Aの相対的な角度が変わるのが抑えられ、閉じ空間Sが大きく開放された状態が維持される。
また、フック50Aが大きく転動したときには、下方突出部33Aと先端部51A1の間の距離が大きく開く。したがって、閉じ空間Sが開放された状態となる。また、上述した転動により、フック50Aは、荷200の取手201を外し易い角度となっている。その後に、取手201が先端部51A1を通過するようにフック50Aを移動させて、取手201を閉じ空間Sから外す。このようにして、荷200の取手201を外す(荷離しを行う)ことが可能となり、荷200の置き場所にも作業者を配置せずに済む。
<効果について>
以上のような構成のフック装置10Aによると、垂下アーム30Aは、フック取付軸40Aを支点としてフック50Aを回動自在に支持し、荷200を吊った際には、フック50Aを閉じ状態としている。また、レバー60Aは、一方側に存在するレバー軸63Aを支点として垂下アーム30Aに回動自在に連結されていると共に、このレバー60Aには長尺状のガイド孔64Aが設けられている。また、連結ピン54Aがフック50Aに設けられていて、その連結ピン54Aは、ガイド孔64Aでのガイドによって、このガイド孔64Aに沿って摺動する。さらに、フック50Aには、ガイド湾曲部51A4が設けられていて、このガイド湾曲部51A4は、連結ピン54Aが配置される側とは反対側の外周面を湾曲形状に形成している。
このように、ガイド湾曲部51A4の存在により、荷200の上面でフック50Aを容易に転動させることができる。それにより、フック50Aの自重を利用して、フック50Aの開き状態を容易に実現可能となり、荷200の取手201を閉じ空間Sから容易に外す(荷離しを行う)ことが可能となる。したがって、荷200の置き場所に作業者を配置せずに済む。
加えて、フック取付軸40A、レバー軸63Aおよび連結ピン54Aを結ぶ三角形において、フック取付軸40Aと連結ピン54Aの間の距離L3、およびフック取付軸40Aとレバー軸63Aの間の距離L4は変動しない一方、レバー軸63Aと連結ピン54Aの間の距離L2はフック50Aの回動に応じて変動する。このとき、フック50Aが閉じ状態から開き状態へと転動する場合に、連結ピン54Aがレバー軸63Aに近づくことで、距離が変動する。このように、開き状態のときに、レバー60Aのレバー軸63Aに連結ピン54Aが移動する。そのため、レバー60Aのうち、図3および図4における左側(X2側)の端部を引いて、フック50Aの開き状態を維持すると、てこの原理によって必要とする力F2を小さくすることができる。そのため、フック50Aの開き状態の維持が容易となる。
また、本実施の形態では、摺動手段として、フック50Aから連結ピン54Aが突出している。また、ガイド部は、レバー60Aを貫くと共に連結ピン54Aが入り込むガイド孔64Aである。この連結ピン54Aには、長尺状の長孔部64A1と、レバー60Aがレバー軸63Aを支点として垂れ下がる垂下状態で長孔部64A1から垂下アーム30Aの方向に折れ曲がる保持ロック孔部64A2とが設けられている。また、レバー60Aには、フック50Aを閉じ状態から開き状態とするために、レバー軸63Aから離れる側の端部側を上方に引き上げるワイヤ(引上手段に対応)が接続可能に設けられていて、そのワイヤによりレバー60Aを上方に引き上げることで、保持ロック孔部64A2に連結ピン54Aが入り込むと、この連結ピン54Aと保持ロック孔部64A2の内壁との干渉により、フック50Aが自重によって回動するのを防止して、フック50Aの開き状態を保持する。
このように、荷200の上面にフック50Aを置いた場合に、その自重を利用して自動的に開くと共に、フック50Aが開き状態となったときに、その開き状態を保持できるので、荷200を下す場所に作業者を配置せずに済む。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係るフック装置10Bについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態におけるフック装置10Aと共通の構成については、その説明を省略するものの、その符号の末尾に、第1の実施の形態に関連するアルファベット「A」に代えて、アルファベット「B」を付すものとする。なお、アルファベット「B」は、第2の実施の形態に関連する構成とする。したがって、第2の実施の形態では説明および図示等しないものの第1の実施の形態におけるフック装置10Aと同様の構成についても、アルファベット「B」を付して説明するものとする。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るフック装置10Bの全体構成を示す側面図であり、フック50Bが閉じた状態を示す図である。本実施の形態のフック装置10Bは、下方突出部33Bには、ストッパピン37Bが取り付けられている。ストッパピン37Bは、下方突出部33Bのうち、互いに対向する内面側を橋渡しする状態で取り付けられている。このストッパピン37Bは、フック50Bの先端部51B1に当接する部材である。かかる当接により、フック50Bが閉じ状態となった後に、さらに図7において時計回りに過度に回動して、閉じ空間Sを狭める状態となるのを防ぐことが可能となっている。また、フック50Bの過度の回動を防ぐことで、レバー60Bに過大な力が作用するのを防ぐことも可能となっている。
なお、本実施の形態の垂下アーム30Bでは、第1の実施の形態における側方突出部34Aに相当する構成は存在していないが、挿通孔34A1と同様の挿通孔34B1は存在している。しかしながら、側方突出部34Aに相当する構成を設けるようにしても良い。
また、図7に示すように、レバー60Bには、保持ロック孔部64B2の他に、開放ロック孔部64B3も設けられている。開放ロック孔部64B3は、長孔部64B1を挟んで、保持ロック孔部64B2とは反対側に設けられている。すなわち、図7に示すような無負荷状態では、開放ロック孔部64B3は、長孔部64B1から左側(X2側;フック50Bから離れる側)に向かうように形成されている。
この開放ロック孔部64B3にも、保持ロック孔部64B2と同様に、連結ピン54Bが入り込む。しかしながら、保持ロック孔部64B2の内壁と連結ピン54Bとの干渉により、フック50Bが自重によって回動するのを防止したり、ワイヤを上方に引いた場合に連結ピン54Bが入り込んで、それ以上のフック50Bの上昇を防止するのに対して、開放ロック孔部64B3では、ワイヤを上方に引かない場合に、連結ピン54Bが入り込む部分となっている。すなわち、荷200の上面にフック50Bを置いた場合、フック50Bは、フック取付軸40Bを支点として回動する。そして、連結ピン54Bが、長孔部64B1のうちレバー軸63Bに最も近い側の端部に位置すると、フック50Bの自重の作用によって、連結ピン54Bが開放ロック孔部64B3に入り込む状態となる。
なお、図7に示すように、保持ロック孔部64B2と開放ロック孔部64B3を結ぶ部位には、レバー軸63B側に膨らむ形状に設けられている。それにより、連結ピン54Bが入り込むのを容易としている。
<作用について>
以上のような構成を有するフック装置10Bの作用について、以下に説明する。
(1)ワイヤを用いてフック50Bを操作する場合
図8は、ワイヤを用いてフック50Bを操作した場合の様子を示す側面図であり、(A)はワイヤを引く前、(B)はワイヤを引いている途中段階、(C)はワイヤを引いて連結ピン54Bが保持ロック孔部64B2に入り込んだ状態を示す図である。図8(A)に示すように、ワイヤで引く前の状態では、先端部51B1は、ストッパピン37Bに当接している。以後、ワイヤを引くと、先端部51B1がストッパピン37Bから離れるが、その後のフック装置10Bの挙動は、図8(B)および図8(C)に示す通りであり、上述した第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
(2)フック50Bが荷200の上面に置かれる場合
次に、フック50Bが荷200の上面に置かれる場合について説明する。図9は、フック50Bが荷200の上面に置かれる場合の挙動を示す図であり、(A)は荷200の上面に置くと共にフック50Bが倒れる前、(B)はフック50Bが倒れる途中段階において下底部51B3が荷200の上面に全体的に接触した状態、(C)は(B)よりもさらにフック50Bが倒れた状態、(D)は連結ピン54Bが開放ロック孔部64B3に入り込んだ状態を示す図である。
荷200を吊り下げた状態で外部フック100を下降させて、荷200を所定の載置部位に置いた場合、フック50Bは荷200の吊り下げ状態の位置からさらに降下して、荷200の上面に置かれる状態となる。フック50Bが荷200の上面に置かれると、図9(A)に示すように、先に、フック50Bの下底部51B3のうち、側辺部51B6側(図7および図9(A)における左側;X2側)の部位が接触する。さらに外部フック100を下降させると、図9(B)に示すように、下底部51B3が全体的に荷200の上面等に接触し、図7および図9(A)に示す姿勢からフック50Bが傾く。
図9(B)に示すように、フック50Bが傾斜状態となる場合、そのフック50Bの重心位置は、図7および図9(A)に示すときよりも右側(X1側)に移動することになる。したがって、フック50Bは、より傾斜し易い状態となる。この状態で、外部フック100をさらに下降させると、フック取付軸40Bから下向きに作用する力も加わることにより、図9(C)に示すように、フック50Bは、ガイド湾曲部51B4に沿って大きく転動する。
さらに外部フック100を下降させると、荷200の上面には、フック50Bのみならず、垂下アーム30Bの下方突出部33Bの先端側も接触する。したがって、フック50Bが転動する場合、垂下アーム30Bも大きく傾斜する状態となる。
ここで、垂下アーム30Bが大きく傾斜して、先端部51B1と下方突出部33Bの間が大きく開き、連結ピン54Bが長孔部64B1の他端部(X1側の端部)に位置すると、連結ピン54Bは、長孔部64B1の上方の内壁への係合状態が解かれる。そのため、フック50Bが自重によってさらに時計回りに転動しようとする。すると、図9(D)に示すように、連結ピン54Bは、開放ロック孔部64B3に入り込む。
そして、開放ロック孔部64B3に連結ピン54Bが入り込むと、フック50Bがそれ以上、図9(D)において時計回りに回動するのを規制する。なお、この状態から外部フック100を上昇させる場合、フック50Bは自重によって反時計回りに回動しようとする。このとき、連結ピン54Bが開放ロック孔部64B3の内壁に干渉して、反時計回りに回動しない構成となり、フック50Bの開放状態がロックされることになる。しかしながら、このような開放状態のロックがなされずに、フック50Bが反時計回りに回動する構成としても良い。連結ピン54Bが開放ロック孔部64B3の内壁に干渉して、フック50Bの開放のロック状態となる場合、レバー60Bを軽く引き上げることで、連結ピン54Bの干渉を解いて、フック50Bを反時計回りに回動させることもできる。
<効果について>
以上のような構成の後のフック装置10Bによると、上述した第1の実施の形態で述べたフック装置10Aと同様の効果を発揮させることができる。加えて、本実施の形態のフック装置10Bでは、ガイド孔64Bには、レバー60Bがレバー軸63Bを支点として垂れ下がる垂下状態で垂下アーム30Bとは反対方向に折れ曲がる開放ロック孔部64B3が形成されている。この開放ロック孔部64B3に連結ピン54Bが入り込むと、その連結ピン54Bと開放ロック孔部64B3との干渉により、フック50Bが自重によって回動するのを防止して、そのフック50Bの開き状態を保持する。したがって、荷200の上面で、フック50Bの開き角度を維持することができ、荷200の取手201を容易に外すことが可能となる。
また、本実施の形態では、フック50Bの下方の外周側には、側面視したときに直線状となる下底部51B3が形成されていて、この下底部51B3は、フック装置10Bを吊り下げ状態としたときに、フック50Bの先端部51B1が位置する上方側(Z1側)に向かう方向に傾斜している。したがって、荷200の上面にフック50Bを置いた場合に、フック50Bを転動させ易くなり、それによってフック50Bを容易に開き状態とすることが可能となる。したがって、荷200の取手201を容易に外す行うことができる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態に係るフック装置10Cについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、上述した第1および第2の実施の形態におけるフック装置10A,10Bと共通の構成については、その説明を省略するものの、その符号の末尾に、第1および第2の実施の形態に関連するアルファベット「A」または「B」に代えて、アルファベット「C」を付すものとする。なお、アルファベット「C」は、第3の実施の形態に関連する構成とする。したがって、第1および第2の実施の形態では説明および図示等しないものの、第1および第2の実施の形態のフック装置10A,10Bと同様の構成についても、アルファベット「C」を付して説明するものとする。
図10は、本発明の第3の実施の形態に係るフック装置10Cの全体構成を示す側面図であり、フック50Cが閉じた状態を示す図である。本実施の形態のフック装置10Cは、図10に示すように、基本的には、上述した第2の実施の形態におけるフック装置10Bと同様の、ストッパピン37C、下底部51C3および開放ロック孔部64C3を備えている。
しかしながら、本実施の形態のフック装置10Cでは、レバー60Cのガイド孔64Cには、閉ロック孔部64C4が設けられている。また、レバー60Cには、ロック解除突部67Cも設けられている。以下、これらについて説明する。
図10に示すように、閉ロック孔部64C4は長孔部64C1と連続して設けられているが、その閉ロック孔部64C4が存在する位置は、図10における長孔部64C1の下端側(Z2側)となっている。かかる閉ロック孔部64C4は、長孔部64C1に対して、開放ロック孔部64C3と同じ向きに向かうように形成されている。すなわち、閉ロック孔部64C4は、連結用突出部65Cの接続孔66Cに向かうように形成されている。
この閉ロック孔部64C4は、連結ピン54Cが長孔部64C1に沿って移動するのを防止するための部分であり、フック50Cが閉じ状態となるのをロックするための部分である。なお、かかる閉ロック孔部64C4を形成するために、連結用突出部65Cの長さを、第1および第2の実施の形態における連結用突出部65A,65Bよりも長く形成することが好ましい。
また、ロック解除突部67Cは、レバー60Cのうちフック50C側(X1側)の側辺から、閉じ空間Sを狭める方向(X1方向)に向かって突出している部分である。このロック解除突部67Cは、図10における下方側(Z2側)から上方側(Z1側)に向かうと、徐々に長孔部64C1から離れるような傾斜辺部67C1を有している。かかる傾斜辺部67C1は、荷離しする際に荷200を所定の場所に置き、取手201がフック本体部51Cの内周下方側から離れた場合に、荷200の取手201が当たる部分である。このように傾斜辺部67C1に取手201が当たることで、レバー60Cは時計回りに回動する。それにより、連結ピン54Cが閉ロック孔部64C4から外れ、フック50Cの閉じ状態がロックされているのを解除可能となる。
このように、閉ロック孔部64C4とロック解除突部67Cの間では、取手201がフック本体部51Cの内周下方側から浮いて傾斜辺部67C1に当接した場合に、閉じ状態のロックを解除するように寸法設定されている。
<作用について>
以上のような構成を有するフック装置10Cの作用について、以下に説明する。なお、本実施の形態のフック装置10Cでは、ワイヤを用いてフック50Cを操作する場合は、上述した第2の実施の形態で述べた作用と同様となっている。したがって、かかる場合についての説明は省略し、吊り下げられている荷200を下ろすことで、フック50Cが荷200の上面に接触する場合に関して説明する。
図11は、荷200が吊り下げられているフック装置10Cから荷200を下ろす場合の様子を示す側面図であり、(A)は荷200が吊り下げられている状態、(B)は荷200を下ろしてフック本体部51Cの内周下方側から取手201が離れた状態、(C)はフック50Cが大きく倒れた状態、(D)は連結ピン54Cが開放ロック孔部64C3に入り込んだ状態を示す図である。
図11(A)に示すように、荷200が吊り下げられている状態では、荷200からの荷重の作用により、フック50Cは閉じ方向に回動しようとする。このとき、フック50Cの先端部51C1は、ストッパピン37Cに当接する。また、連結ピン54Cは、閉ロック孔部64C4に入り込む。
ここで、フック取付軸40Cを支点して、フック50Cが図11(A)に示す状態からさらに回動しようとする場合、連結ピン54Cは、レバー軸63Cに対する距離を縮める方向に向かおうとする。すると、連結ピン54Cは、閉ロック孔部64C4の内壁と干渉する。したがって、フック50Cが時計回りにさらに回動しようとしても、その回動が阻止される。そのため、荷200を吊り上げている場合に、不意にフック50Cが開いてしまうのを防止可能となる。
また、フック装置10Cに吊り下げられている荷200が、所定の置き場所に接触し、その接触後にさらに若干だけ外部フック100を降下させると、フック装置10Cにおいては、図11(B)に示すように、傾斜辺部67C1が取手201に押される。このように、傾斜辺部67C1が取手201に押されることで、レバー60Cはレバー軸63Cを支点として時計回りに回動し、閉ロック孔部64C4から連結ピン54Cが外れる。すると、連結ピン54Cは、長孔部64C1に沿って移動することが可能となるので、フック50Cは時計回りに回動可能となる。すなわち、フック50Cの閉じ状態のロックが解除される。
なお、図11(C)、(D)に示すフック装置10Cの挙動は、上述した図9(C)、(D)と同様の挙動となっている。したがって、これらについての説明は省略する。
<効果について>
以上のような構成の後のフック装置10Cによると、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態で述べたフック装置10A,10Bと共通する構成については、それらと同様の効果を発揮させることができる。加えて、本実施の形態では、ガイド孔64Cには、レバー軸63Cから離れる側の端部側に、長孔部64C1から折れ曲がる方向であってレバー60Cがレバー軸63Cを支点として垂れ下がる垂下状態で保持ロック孔部64C2とは反対方向に向かう閉ロック孔部64C4が形成されている。そして、閉ロック孔部64C4に連結ピン54Cが入り込むと、その連結ピン54Cと閉ロック孔部64C4との干渉により、フック50Cが閉じ状態から開くのを規制する。したがって、フック50Cの閉じ状態を維持可能となる。このため、荷200をフック装置10Cで吊り下げている場合に、不意にフック50Cが開き状態となるのを防止可能となる。
また、本実施の形態では、レバー60Cには、フック50Cで囲まれる閉じ空間Sに向かって突出するロック解除突部67Cが形成されている。このロック解除突部67Cは、取手201が閉じ空間S内でフック50Cの内周下方側から浮き上がった場合に、ロック解除突部67Cが荷200の取手201によって閉じ空間Sから押し出されることにより、連結ピン54Cが閉ロック孔部64C4から外れる。
したがって、荷200を吊り下げている状態において、フック50Cが開くのをロックされた状態でも、人手を要することなく、そのロックを解除させることができる。そのため、荷離しを容易に行うことが可能となると共に、荷200を置く場所に、作業者を配置せずに済む。
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態に係るフック装置10Dについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、上述した第1から第3の実施の形態におけるフック装置10A〜10Cと共通の構成については、その説明を省略するものの、その符号の末尾に、第1から第3の実施の形態に関連するアルファベット「A」、「B」または「C」に代えて、アルファベット「D」を付すものとする。なお、アルファベット「D」は、第4の実施の形態に関連する構成とする。したがって、第4の実施の形態では説明および図示等しないものの第1から第3の実施の形態におけるフック装置10A〜10Cと同様の構成についても、アルファベット「D」を付して説明するものとする。
図12は、本発明の第4の実施の形態に係るフック装置10Dの全体構成を示す側面図であり、無負荷の閉じた状態を示す図である。本実施の形態のフック装置10Dは、図12に示すように、基本的には、上述した第2の実施の形態におけるフック装置10Bと同様の、ストッパピン37D、下底部51D3および開放ロック孔部64D3を備えている。また、フック装置10Dのレバー60Dには、第3の実施の形態で述べたのと同様な、閉ロック孔部64D4が設けられている。
しかしながら、本実施の形態のフック装置10Dでは、レバー60Dには、ロック解除延伸部68Dが設けられている。ロック解除延伸部68Dは、レバー60Dのうち、レバー軸63Dから離れる側の端部側を延伸させた部分となっている。すなわち、ロック解除延伸部68Dは、レバー60Dを連結用突出部65Dよりも下方側(Z2側)に向かうように延伸した部分となっている。このロック解除延伸部68Dは、荷200の上面に当接する部分となっている。かかる当接により、レバー60Dは時計回りに回動する。それにより、連結ピン54Dが閉ロック孔部64D4から外れ、フック50Dの閉じ状態がロックされているのを解除可能となる。
ここで、荷200を吊り下げた状態でも、荷200の上面をロック解除延伸部68Dが押し込むのは、荷200の吊り下げの支障となる。したがって、ロック解除延伸部68Dの連結用突出部65Dからの突出長さは、荷200を吊り下げるときに支障とならない程度の長さとなっている。
なお、図12に示す構成では、第3の実施の形態で述べたロック解除突部67Cと同様の構成は設けられていない。しかしながら、レバー60Dに、ロック解除突部67Cと同様の構成を設けるようにしても良い。
<作用について>
以上のような構成を有するフック装置10Dの作用について、以下に説明する。なお、本実施の形態のフック装置10Dでは、ワイヤを用いてフック50Dを操作する場合は、上述した第2の実施の形態で述べた作用と同様となっている。したがって、かかる場合についての説明は省略し、吊り下げられている荷200を下ろすことで、フック50Dが荷200の上面に接触する場合に関して説明する。
図13は、荷200が吊り下げられているフック装置10Dから荷200を下ろす場合の様子を示す側面図であり、(A)は荷200が吊り下げられている状態、(B)は荷200を下ろしてフック本体部51Dの内周下方側から取手201が離れた状態、(C)はフック50Dが大きく倒れた状態、(D)は連結ピン54Dが開放ロック孔部64D3に入り込んだ状態を示す図である。
図13(A)に示すように、荷200が吊り下げられている状態では、図11(A)にて述べたのと同様に、荷200からの荷重の作用により、フック50Dは閉じ方向に回動しようとする。このとき、フック50Dの先端部51D1は、ストッパピン37Dに当接する。また、連結ピン54Dは、閉ロック孔部64D4に入り込む。
なお、第3の実施の形態で述べたのと同様に、連結ピン54Dが閉ロック孔部64D4に入り込むことで、荷200を吊り上げている場合に、不意にフック50Dが開いてしまうのを防止可能となっている。
また、フック装置10Dに吊り下げられている荷200が、所定の置き場所に接触し、その接触後にさらに若干外部フック100を降下させると、フック装置10Dにおいては、図13(B)に示すように、ロック解除延伸部68Dが荷200の上面に押される。すると、レバー60Dはレバー軸63Dを支点として時計回りに回動し、閉ロック孔部64D4から連結ピン54Dが外れる。すると、連結ピン54Dは、長孔部64D1に沿って移動することが可能となるので、フック50Dは時計回りに回動可能となる。すなわち、フック50Dの閉じ状態のロックが解除される。
なお、図13(C)、(D)に示すフック装置10Dの挙動は、上述した図9(C)、(D)と同様の挙動となっている。したがって、これらについての説明は省略する。
<効果について>
以上のような構成の後のフック装置10Dによると、上述した第1の実施の形態から第2の実施の形態で述べたフック装置10A〜10Cと共通する構成については、それらと同様の効果を発揮させることができる。加えて、本実施の形態では、レバー60Dにはロック解除延伸部68Dが形成されている。このロック解除延伸部68Dは、長孔部64D1のうちレバー軸63Dから離れた端部側が延伸している。そして、ロック解除延伸部68Dの下端が荷200の上面に接触して回動することにより、連結ピン54Dが閉ロック孔部64D4から外れる。
したがって、荷200を吊り下げている状態において、フック50Dが開くのをロックされた状態でも、人手を要することなく、そのロックを解除させることができる。そのため、荷離しを容易に行うことが可能となると共に、荷200を置く場所に、作業者を配置せずに済む。
<6.変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、摺動手段として、連結ピン54A〜54Dについて説明している。しかしながら、摺動手段は、連結ピン54A〜54D以外の構成であっても良い。また、上述の実施の形態では、ガイド部として、ガイド孔64A〜64Dについて説明している。しかしながら、ガイド部は、ガイド孔64A〜64D以外であっても良い。たとえば、フックに、長溝状のガイド溝(ガイド部に対応)を形成すると共に、レバーに、ガイド溝に嵌まり込む凸部(摺動手段に対応)を形成するようにしても良い。
また、ガイド孔64A〜64Dは、長孔部64A1〜64D1を始めとして、直線状に形成されている。しかしながら、ガイド孔64A〜64Dの各孔部は、曲線状に形成されていても良い。また、ガイド孔64A〜64Dには、たとえば長孔部64A1〜64D1の中途部分から枝分かれする、別途の孔部を備える構成としても良い。それにより、フック50Aが開き状態となるときの、開き角度を変更できるようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、垂下アーム30A〜40D,フック50A〜50Dおよびレバー60A〜60Dの間には、バネが設けられていない。しかしながら、フック50A〜50Dの開き状態や閉じ状態をアシストしたり、開き状態のロックや閉じ状態のロックをアシストしたり、それらのロック状態の解除をアシストするために、バネを設ける構成としても良い。