JP6582858B2 - 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム及びその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム及びその製造方法に関するものである。詳しくは、長手方向の熱寸法安定性に優れた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム及びその製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂に代表されるポリエステルからなるフィルムは、力学的特性、耐熱性等に優れ様々な用途に展開されている。例えば、包装用途、電気絶縁用途、光学用途、磁気記録用途などの用途に広く利用されている。これら用途に用いられるポリエステルフィルムには、熱収縮しにくく寸法安定性に優れることがしばしば求められている。
ポリエチレンテレフタレート系フィルムの熱収縮を小さくする方法としては、ポリエチレンテレフタレートに別の熱可塑性樹脂を混合する方法、無機化合物を添加する方法、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルを混合する方法、硬化層を積層する方法などが提案されている。(特許文献1〜7)
ところで、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、回転速度に差を設けたロール間で長手方向に延伸された後に、テンター内でフィルムの端部を把持された状態で幅方向に延伸され、熱固定されることによって製造される。この場合、熱収縮を小さくする方法としては、延伸処理後、長手方向、幅方向に延伸張力を緩める方法、フィルムを把持するクリップの間隔を狭くする方法、弛緩してアニール処理を施す方法、クリップからフィルム端部を切断分離する方法などが提案されている。また、二軸延伸後の熱処理により、積層体の各層の配向度を制御する方法が提案されている。(特許文献8〜13)
特開2005−75904号公報 特開2004−195773号公報 特開2005−97560号公報 特開2004−35720号公報 特開2010−18789号公報 特開2007−133839号公報 特開2004−130594号公報 特開2005−335308号公報 特開2007−150084号公報 特開2007−276190号公報 特開2013−75512号広報 特表2012−501233号公報 特開2012−94699号公報
現在、上記特許文献に提案のフィルムが、包装用途、電気絶縁用途、光学用途、磁気記録用途などに幅広く利用されている。ところが、近年は、電子レンジで簡便に調理が可能なレトルト食品の需要が拡大しつつあり、その包装にもより耐熱性にすぐれ低価格であることが求められている。レトルト食品では、製造工程で食品を包装した状態での加熱殺菌が行われることがあるが、近年では細菌の高耐熱化が進んでいるため、従来よりも高温での加熱殺菌が求められる場合がある。その他、タブレット端末などの普及により、耐熱性を維持しつつもより軽量で低価格な光学用フィルムが求められている。これらの市場要求を満足するためには、寸法安定性にすぐれ、かつ低価格で軽量であることが必要となってきた。
一方、いずれの特許文献においても、150℃より低温の熱収縮率を小さくすることにのみ主眼が置かれており、高温下での寸法安定性を維持するには至っていなかった。
ここで、一般に幅方向の熱収縮率は、二軸延伸フィルムにおいては、横延伸工程におけるフィルムの緊張緩和率によって任意の制御が可能であるとされる。よって、高温下での寸法安定性を付与することは技術的難易度が低いと考えられる。一方で、フィルムの長手方向における、高温下での熱収縮率を小さくすることは、以下に述べる理由のために技術的に困難であった。
特許文献1〜7には、寸法安定性を持たせるため、ポリエチレンテレフタレートに別の熱可塑性樹脂や化合物を添加する、溶融混練する、あるいは積層することが開示されている。ここで150℃以上の高温下での寸法安定性を得ようとすると、かかる高温度での寸法安定性に優れた化合物を選別し、必要十分な割合で添加する、溶融混練する、あるいは積層する必要があるが、そのような技術は、フィルムの透明性、薄肉性、機械強度といったポリエチレンテレフタレートの特性を損なう恐れがあった。ポリエチレンテレフタレートの透明性、薄肉性、機械強度といった特性を維持しつつ、高温下での寸法安定性を維持することは、技術的に困難であった。
特許文献8には、熱固定後のフィルムに熱処理を施すことで、積層体の各層の配向度を制御し、寸法安定性を付与することが開示されている。特許文献9には、フィルムを製造後に一旦巻取り、別の工程に運んで再び巻きだしながら熱処理を施すことが開示されている。しかし、オーブン内での延伸後の熱処理は、熱によるシワが生じやすいため、幅方向に均一に熱処理を施すことが困難となり、安定した寸法安定性を得ることが困難という問題があった。150℃以上の高温下での寸法安定性を得ようとする場合には、必要十分な高温度での熱処理が必要であるが、高温であるほどシワが発生しやすく物性の均一性を維持するのが技術的に困難であった。加えて、別工程での熱処理では生産性が悪く、コストが割高であった。
また、特許文献10、11には、熱寸法安定性を持たせるため、二軸延伸後にフィルムを把持する部材の把持間隔を狭くすることで、長手方向にリラックス処理を施すことが開示されている。特許文献12には、二軸延伸後に長手方向・幅方向に同時緩和を施すことが開示されている。150℃以上の高温下の寸法安定性を得るには、必要十分な高温度かつ把持間隔での緩和処理が必要であるが、高温であるほど弛緩過程でシワが発生しやすく、物性の均一性を維持するのが技術的に困難であった。
加えて、特許文献13には、二軸延伸後にフィルム端部に刃を入れる方法が開示されている。150℃以上の高温下の寸法安定性を得るには、必要十分な高温度での端部切断が必要であるが、高温であるほどフィルム弾性率が低いため、延伸応力が発生せず、切断時に破断しやすいという問題があった。したがって、150℃以上の高温下の寸法安定性を付与するのは技術的に困難であった。
いずれの特許文献においても、高温下での寸法安定性を付与することは技術的に困難であった。とりわけ、一般に幅方向の熱収縮率は、横延伸工程におけるフィルムの緊張緩和率によって任意の制御が可能な一方で、長手方向の熱収縮率は、先に述べる理由のため、技術的に困難であった。しかし、高温下における寸法安定性のバランスを保つためには、長手方向の熱収縮率を小さくすることは重要である。
本発明の目的は、上記問題点を解消し、高温での寸法安定性(150℃及び200℃におけるフィルム長手方向の寸法安定性)に優れ、品位良好な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムを、低コストで安定的に製造する方法、並びに、高温での寸法安定性(150℃及び200℃におけるフィルム長手方向の寸法安定性)に優れ、品位良好な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムを提供することにある。
代表的な本発明は、以下の通りである。
項1.
以下の工程A〜Dを含む二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法。
工程A:ポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶融押出し、樹脂シートを製膜する工程、
工程B:工程Aで得られた樹脂シートを長手方向に延伸する縦延伸工程、
工程C:工程Bで得られたフィルムを140℃以上190℃以下の温度で予熱する工程と、予熱後のフィルムを160℃以上190℃以下の温度で、幅方向に5.5倍以上7.0倍以下延伸する工程とを含む、横延伸工程、及び
工程D:工程Cで得られたフィルムを200℃以上240℃以下の温度で熱固定し、フィルム幅方向に緩和する、熱固定工程
項2.
工程Bにおいて、長手方向に延伸されたフィルムは、長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率をそれぞれNx、Ny、Nzとしたときに、Nx−(Ny+Nz)/2の値が0.075〜0.110であり、かつ、
工程Bで得られたフィルムを50℃以上120℃以下の温度で加熱する工程を経た後、工程Cの工程を行う、項1に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法。
項3.
ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、下記構成要件(1)〜(4)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム。
(1)フィルム長手方向の150℃、30分における熱収縮率が0%〜1%、かつ200℃、30分における熱収縮率が2%〜4%
(2)熱収縮応力曲線において、フィルム長手方向の熱収縮応力の立ち上がり温度が150℃以上
(3)フィルム長手方向の屈折率Nxが1.63以上1.64以下、かつ幅方向の屈折率Nyが1.67以上1.70以下、かつ厚み方向の屈折率Nzが1.48以上1.49以下
(4)広角X線回折測定で得られるフィルム(−105)面の結晶子長が71Å以上80Å以下、かつフィルム(010)面の結晶子長が65Å以上75Å以下
本発明の製造方法によれば、高温での寸法安定性(150℃及び200℃におけるフィルム長手方向の寸法安定性)に優れ、品位良好な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムを、低コストで安定的に製造することができる。また、本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、高温での寸法安定性(150℃及び200℃におけるフィルム長手方向の寸法安定性)、品位に優れる。そのため、高温での後加工処理が可能で、高温下での安定した熱寸法安定性が求められる包装用途や光学用途において好適である。
本発明のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりなる。ここで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分として含有するポリマーである。具体的には、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味する。本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他のジカルボン酸成分およびグリコール成分を共重合させても良い。上記のほかのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス−(4−カルボキシフェニルエタン)、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1、4−ジカルボン酸等が挙げられる。上記の他のグリコール成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA等のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。この他、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分も利用され得る。
このようなポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下、単にPETという)の重合法としては、テレフタル酸とエチレングリコール、および必要に応じて他のジカルボン酸成分およびジオール成分を直接反応させる直接重合法、およびテレフタル酸のジメチルエステル(必要に応じて他のジカルボン酸のメチルエステルを含む)とエチレングリコール(必要に応じて他のジオール成分を含む)とをエステル交換反応させるエステル交換法等の任意の製造方法が利用され得る。
また、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度は、0.57dl/g〜0.7dl/gの範囲が好ましく、0.58dl/g〜0.65dl/gの範囲が更に好ましい。固有粘度が0.57dl/gよりも低いと、フィルムが裂けやすくなり、0.70dl/gより高いと濾圧上昇が大きくなって高精度濾過が困難となる。
前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂を形成する樹脂中には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の他に必要に応じて各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては二酸化チタン、微粒子シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機滑剤や、アクリル系架橋高分子よりなる微粒子の材料として、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等のアクリル系単量体からなる架橋高分子等の有機滑剤等が挙げられる。また、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を単独で含有してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法について説明する。本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法は、以下の工程A〜Dを含む。
工程A:ポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶融押出し、樹脂シートを製膜する工程、
工程B:工程Aで得られた樹脂シートを長手方向に延伸する縦延伸工程、
工程C:工程Bで得られたフィルムを140℃以上190℃以下の温度で予熱する工程と、予熱後のフィルムを160℃以上190℃以下の温度で、幅方向に5.5倍以上7.0倍以下延伸する工程とを含む、横延伸工程、及び
工程D:工程Cで得られたフィルムを200℃以上240℃以下の温度で熱固定し、フィルム幅方向に緩和する、熱固定工程
以下、各工程について説明する。なお、ポリエチレンテレフタレートのペレットを用いた代表例について詳しく説明するが、当然これに限定されるものではない。
(工程A:ポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶融押出し、樹脂シートを製膜する工程)
まず、フィルム原料の乾燥(熱風乾燥)によって、水分率が100ppm未満となるように乾燥することが好ましい。次いで、原料を押し出し機に供給し、シート状に溶融押出を行う。さらに、溶融状態のシートを、静電印加法を用いて回転金属ロール(キャスティングロール)に密着させて冷却固化し、未延伸PETシートを得る。
また、溶融樹脂が280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
次に、前記の方法で得られた未延伸シートを、後述する工程B,工程Cの逐次二軸延伸を行い、次いで熱処理を行う。
特許文献8〜13に開示されているように、これまで延伸過程の工夫により熱寸法安定性を高める方法が提案されている。しかしながら、前述のように特許文献8〜13に開示の方法では、簡便かつ低コストで、フィルムに安定した加熱寸法安定性を付与することが困難であった。また、製膜後のフィルムにオーブン内で熱処理を施したり、製膜途上でフィルムの端部を切断したりするといった従来の方法では、シワや破断は発生しやすいために、シワや破断の発生を抑えつつ、高温(150℃及び200℃)での熱寸法安定性を抑えることが技術的に困難であった。
本発明では、以下のような延伸方法を行い、延伸工程でフィルムに加えられる温度と、フィルムの配向状態を制御することにより、かかる課題を克服させるに至った。
(工程B:工程Aで得られた樹脂シートを長手方向に延伸する縦延伸工程)
まず、未延伸シートを長手方向に延伸する。長手方向の延伸は、下記範囲において行うことが好ましく、下記範囲を外れると、続く幅方向の延伸において良好な製膜性を得ることが困難となる恐れがある。
延伸温度をガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃、延伸倍率を2〜4倍とすることが好ましい。より好ましくは、ガラス転移温度〜ガラス転移温度+10℃、延伸倍率2.5〜3.0倍であるが、長手方向に延伸後のフィルムの複屈折Nx−(Ny+Nz)/2が0.075〜0.110となる条件で延伸されることが好ましい。なお、Nx,Ny,Nzは、それぞれフィルム長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率である。
長手方向に延伸後のフィルムの複屈折Nx−(Ny+Nz)/2は、0.075〜0.110の範囲とすることが好ましい。より好ましくは0.080〜0.098、更に好ましくは0.09〜0.095である。Nx−(Ny+Nz)/2が0.075より低いと、長手方向の配向が低いために強度が劣る傾向にあり、また長手方向での厚み変動が大きくなりやすい。Nx−(Ny+Nz)/2が0.11より高いと、長手方向の配向が高いために配向結晶化が進行し、幅方向延伸時の破断や幅方向での厚みむらが生じやすくなる。
長手方向に延伸されたフィルムの複屈折の測定方法は、特に限定されない。長手方向に延伸後のフィルムをロールに抱いてサンプリングし、アッベ屈折率計により測定する方法、オンライン複屈折計を用いる方法等、任意の方法が利用され得る。
次に、長手方向に延伸後のフィルムを加熱することが好ましい。加熱温度は、50℃〜120℃の範囲とすることが好ましい。より好ましくは70℃〜110℃、更に好ましくは90℃〜100℃である。上記範囲の温度での加熱により、フィルムの熱結晶化が充分に進行し、幅方向延伸時の破断や厚みむらが低減される。また、加熱時間は1秒を超えない時間であることが好ましいが、熱結晶化が充分に進行する加熱時間であれば、特に限定されるものではない。
長手方向に延伸後のフィルムの加熱方法としては、近赤外線ヒーター照射、熱風噴射、マイクロ波照射等の任意の加熱方法が利用され得る。
(工程C:工程Bで得られたフィルムを140℃以上190℃以下の温度で予熱する工程と、予熱後のフィルムを160℃以上190℃以下の温度で、幅方向に5.5倍以上7.0倍以下延伸する工程とを含む、横延伸工程)
つづいて、横延伸工程を行う。横延伸工程は、フィルムを140℃以上190℃以下の温度で予熱する工程と、予熱後のフィルムを160℃以上190℃以下の温度で、幅方向に5.5倍以上7.0倍以下延伸する工程とを含む。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法においては、幅方向の延伸を下記範囲にて行う。下記範囲を外れると、高温での熱寸法安定性を得ることが困難となる。
従来、150℃より低温での長手方向の熱収縮率を小さくするために、延伸処理後に延伸張力を緩める方法、フィルムを把持するクリップの間隔を狭くする方法、弛緩してアニール処理を施す方法などが提案されてきた。しかしながら、高温(150℃及び200℃)での長手方向の熱収縮率を小さくするためには、本願発明では、幅方向に延伸する際の温度を結晶化温度より充分に高くし、つづく熱固定ときわめて近しい温度とした。
幅方向延伸時の延伸温度が、高温(150℃及び200℃)でのフィルム長手方向の熱収縮率に及ぼす作用については定かではないが、以下のように非晶と結晶構造が変化するためであると考えている。すなわち。非晶部分については、結晶化温度より充分に高い温度での幅方向への延伸では、非晶鎖の運動性が上昇するため、延伸時の応力が低下する。非晶部分は延伸の進行に伴い幅方向に配向するが、応力が低いため、幅方向への配向が進行しやすく、長手方向の配向は残りにくいと考えられる。ゆえに延伸後フィルムでは長手方向の非晶鎖の配向度が低下すると考えられる。
その一方で結晶部分は、以下のようであると考えている。すなわち。長手方向に延伸したフィルムでは、一般に長手方向に配向した結晶が形成されている。該フィルムを幅方向の延伸に供する際、ガラス転移温度付近での延伸では、結晶子およびラメラ構造は延伸初期に一度崩壊し、延伸後期に幅方向に配向した構造が形成される。しかし、結晶化温度より充分に高い温度での幅方向への延伸では、結晶子およびラメラ構造は崩壊せず、構造を維持したまま回転して配向が変化する。ゆえに延伸後のフィルムでは、長手方向と幅方向ともに結晶子サイズが成長すると考えられる。
こうして、長手方向において非晶配向が緩和して縮みにくく、結晶構造が成長して構造を固定しているために、長手方向の熱収縮率が低下すると考えられる。
ただし、延伸応力の極度な低下は、一方で、延伸過程での脆性破壊や延伸むらを生じやすくする。そのため、良好な延伸性を得るために、長手方向に延伸した後に、テンターでの予熱とは別に(工程Cの予熱する工程より前に)、フィルムに加熱処理を施すこととした。加熱処理によってフィルムに熱結晶が導入され、結晶が分子鎖間を架橋するために、延伸応力の極度の低下による破壊やむらを抑制し、良好な延伸性が得られると考えられる。
(工程Cにおける予熱する工程について)
まず予熱温度は、140℃以上190℃以下の温度とする。好ましくは、150℃以上180℃以下、より好ましくは170℃以上180℃以下である。また、延伸温度との温度差は、幅方向延伸時の延伸温度−20℃〜幅方向延伸時の延伸温度−0℃の範囲であることが好ましい。更に好ましくは、幅方向延伸時の延伸温度−10℃〜幅方向延伸時の延伸温度−0℃である。140℃未満では、予熱不足のためにフィルム全面の白化、破断などが起こりやすい。190℃を越えると、予熱過剰のために延伸むらの発生や、脆性破壊が起こりやすい。
予熱温度を140℃以上190℃以下の温度とすることにより、高温(150℃及び200℃)での長手方向の熱収縮率を小さくすることができる。そのメカニズムについては、以下のように考えている。予熱温度が上記範囲であると、フィルムが結晶化温度より高い温度にまで十分に加熱されるため、非晶鎖の運動性が上昇する。予熱工程での加熱が十分であるほど、より非晶鎖が緩和した状態で、幅方向の延伸が行われる。そのため、幅方向の延伸過程における非晶鎖の緩和および結晶子の成長が促進され、高温(150℃及び200℃)での長手方向の熱収縮率が小さくなると考えられる。
(工程Cにおける幅方向へ延伸する工程について)
つづいて、延伸温度は、160℃以上190℃以下とすることが好ましい。より好ましくは170℃以上190℃以下、更に好ましくは180℃以上185℃以下である。延伸温度が160℃未満では、温度不足のためにフィルム全面が白化する。また非晶鎖の緩和および結晶子の成長が充分に起こらない。一方で延伸温度が190℃を超えると、温度過剰のため、延伸応力が低下して延伸むらが発生しやすい。また熱により結晶構造が融解しやすいため、結晶子の充分な成長が見られない。いずれにおいても、高温(150℃及び200℃)での熱寸法安定性を維持するのが困難となる。
また、延伸倍率は5.5倍以上7.0倍以下とすることが好ましい。より好ましくは6.0倍以上7.0倍以下、更に好ましくは6.0倍以上6.5倍以下である。延伸倍率が5.5倍未満では延伸残が発生し品位が損なわれる。5.5倍以上では、幅方向の厚みむらが低減されるため好ましく、加えて幅方向の強度が付与されるため好ましい。延伸倍率が7.0倍以下では、幅方向の耐破れ性を奏する上で好ましく、加えて破断が抑えられるため好ましい。
延伸倍率を5.5倍以上7.0倍以下とすることにより、高温(150℃及び200℃)での長手方向の熱収縮率を小さくすることができる。そのメカニズムについては、以下のように考えている。延伸倍率が上記範囲であると、幅方向の延伸過程において、非晶鎖の幅方向への配向が強くなりやすく、長手方向の配向が緩和しやすいと考えられる。結晶子は、構造を維持したまま回転して幅方向に配向するが、延伸過程で配向結晶子のサイズが成長しやすいと考えられる。そのため、幅方向の延伸過程における非晶鎖の緩和および結晶子の成長が促進され、高温(150℃及び200℃)での長手方向の熱収縮率が小さくなると考えられる。
(工程D:工程Cで得られたフィルムを200℃以上240℃以下の温度で熱固定し、フィルム幅方向に緩和する、熱固定工程)
幅方向に延伸後、つづいてフィルムに熱固定を行う。熱固定工程では、フィルムを200℃以上240℃以下の温度で熱固定し、幅方向に2%〜8%で緩和する。
熱固定の温度は、より好ましくは210℃以上240℃以下、更に好ましくは230℃以上240℃以下である。200℃未満ではフィルムの熱結晶化が充分に進行せず、構造が固定されないため、高温延伸処理の効果が充分に得られない。240℃を越えると、融点に近いために構造が融解し、脆性破壊が起こりやすい。また、フィルムの幅方向の緩和率は特に限定されず、任意の率が設定され得るが、2%〜8%が好ましい。本願の場合、熱固定工程におけるフィルム長手方向の緩和処理を行ってもよいが、必ずしも必要ではない。
本発明のフィルムは上記方法により製造されるものであるが、上記技術思想の範囲であれば、上記具体的に開示された方法に限定されるものではない。本発明のフィルムを製造する上で重要なのは、上記技術思想に基づき、横延伸、熱固定を限られた範囲で高精度の制御をすることである。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムは、フィルム長手方向の屈折率Nxが1.63以上1.64以下、かつ幅方向の屈折率Nyが1.67以上1.70以下、かつ厚み方向の屈折率Nzが1.48以上1.49以下であることが好ましい。
フィルムの配向を上記範囲とすることにより、幅方向の非晶鎖の配向度が上昇する一方で、長手方向の非晶鎖の配向度が低下した構造とすることができる。すなわち、長手方向の非晶鎖の配向が緩和し、熱収縮しにくい構造となる。
また、本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムは、広角X線回折測定で得られるフィルム(−105)面の結晶子長が71Å以上80Å以下、かつフィルム(010)面の結晶子長が65Å以上75Å以下であることが好ましい。より好ましくは(−105)面の結晶子長が71Å以上77Å以下、かつ(010)面の結晶子長が65Å以上73Å以下である。更に好ましくは、(−105)面の結晶子長が71Å以上73Å以下、かつ(010)面の結晶子長が65Å以上68Å以下である。フィルムの結晶子長を上記範囲とすることにより、幅方向・長手方向に結晶子が成長した構造とすることができる。すなわち、結晶子が非晶鎖を固定し、熱収縮しにくい構造となる。
なお、ここで(−105)面は、PET結晶子の分子鎖とほぼ垂直な面であり、その結晶子長は、分子鎖に平行な方向の結晶子サイズを反映する。また(010)面は、PET結晶子の分子鎖とほぼ平行な面であり、その結晶子長は、分子鎖に垂直な方向の結晶子サイズを反映する。幅方向に延伸されたフィルムでは、PET分子鎖は多分に幅方向に配向していることから、(−105)面は幅方向の結晶子サイズをよく反映し、(010)面は長手方向の結晶子サイズをよく反映すると考えられる。
上記技術思想に基づき製造される二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムでは、フィルム長手方向の150℃30分における熱収縮率が0%〜1%となることが好ましい。より好ましくは0%〜0.8%、更に好ましくは0%〜0.75%である。また、200℃30分における熱収縮率が2〜4%であることが好ましい。より好ましくは2〜3%、更に好ましくは2〜2.5%である。
熱収縮率は、収縮時に作用する応力が低いほど低下する。そのため、フィルム長手方向の熱収縮応力曲線において、高温での収縮応力が低いことが望ましい。ゆえに、熱収縮応力曲線において、フィルム長手方向の応力の立ち上がり温度が150℃以上であることが好ましく、より好ましくは155℃以上、更に好ましくは160℃以上である。応力の立ち上がり温度は高ければ高いほど良いが、200℃以上とすることは、製造上の点から、延伸過程での融解の恐れがあるため達成困難であり、実質的な上限は190℃である。
上記範囲を外れると、熱寸法安定性が不良となり、包装用途や光学用途で求められる高温下での熱寸法安定性が維持されない。
次に、本発明の効果を実施例および比較例を用いて説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
[評価方法]
(1)固有粘度(IV)
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を粉砕して乾燥した後、パラクロロフェノール/テトラクロロエタン= 75 /25(重量比)の混合溶媒に溶解した。ウベローデ粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間及び溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用い、Hugginsの定数が0.38であると仮定して極限粘度を算出した。
(2)屈折率
JIS K 7142に準拠して測定した。アッベ屈折率計により、NaD線光で屈折率を測定した。マウント液はヨウ化メチレンを用い、長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)及び厚み方向の屈折率(Nz)を測定した。測定は、フィルム幅方向の中央部において行った。
(3)150℃の熱収縮率、200℃の熱収縮率
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。測定すべき方向(フィルム長手方向)に対し、フィルムを幅10mm、長さ190mmに切り取り、10mm間隔で印をつけ、印の間隔(A)を測定した。次いで、フィルムを150℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で150℃±3℃で30分間加熱処理した後、印の間隔(B)を測定した。以下の式より150℃の熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
また、同様の方法でフィルムを200℃の雰囲気中のオーブンに入れ、無荷重下で200℃±3℃で30分間加熱処理し、200℃の熱収縮率を求めた。測定は、フィルム幅方向の中央部にて行った。
(5)熱収縮応力
セイコーインスツルメンツ社製TMA/SS6100型熱機械的分析装置を用い測定した。測定すべき方向(フィルム長手方向)に対し、フィルムを幅2mm、長さ30mmに切り取った。次いで、フィルムを装置に設置し、測定時の下側荷重を1.0763mNに設定した。組立L制御モードを選択し、室温から250℃まで速度20℃/分で昇温した。得られる熱収縮応力曲線において、熱収縮応力曲線が立ち上がる前のベースラインと、熱収縮応力が立ち上がったあと、傾きが最大となる点における接線との交点の温度を熱収縮曲線の立ち上がり温度とした。測定は、フィルム幅方向の中央部にて行った。
(6)結晶子長
理学電機製X線回折装置RINT2500を用い、透過法にて測定した。測定条件は下記の通りである。ターゲット:Cu、出力:40kv200mA、光学系:1mmφピンホールコリオメータ・横1/2°縦2°。
フィルムを5枚程度切り取り、長手方向・幅方向の向きを揃えて重ね合わせ、総厚みを90μm〜120μmの範囲とした。重ね合わせたフィルムを、長手方向が地面に対し垂直となる向きで装置に設置し、フィルム面に対して垂直にX線を照射した。次いで、結晶格子面間隔に対する(−105)面の結晶ピーク強度および(010)面の結晶ピーク強度を2θ/θスキャンにより測定した。それぞれの測定面について、得られる結晶ピーク曲線において、ピークの半値幅を算出し、また、ピークが最も高くなる時のX線回折角を算出した。半値幅およびX線回折角をSchrrerの式「ACS=kλ/βcosθ」に代入し、見かけの結晶子長ACSを計算した。ここで、kは補正定数、λはX線波長、βは半値幅の二乗から装置のブロードニング定数の二乗を除いた値の平方根、θはX線回折角である。
(7)熱しわ判定法
得られたフィルムの片面に下記シリコーン塗布液を加工張力10kg/mを印可した状態でダイコート方式でシリコーンを塗布し、150℃のオーブンで乾燥させた。
(シリコーン塗布液)
硬化性シリコーン(KS847H、信越化学) 100質量部
硬化剤(CAT PL−50T、信越化学) 2質量部
希釈剤 メチルエチルケトン/キシレン/メチルイソブチルケトン 898質量部
得られたシリコ−ン塗布後のサンプルをロ−ルからカットして、平坦なテ−ブルの上に5mの長さを広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて下記評価方法により熱しわの有無を確認した。
○:熱しわは全く見られず良好。
△:全面に熱しわは見られないが部分的に熱しわがみられた。
×:全面に熱しわが確認できた。
(8)延伸性
フィルム製膜を20分間連続で行い、途中破断する回数を計測した。
○:破断が起こらない
△:破断が発生するが、フィルム採取は可能
×:破断が頻発し、フィルム採取困難
(9)品位
白色光源の上に2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、その間に各実施例で得られたフィルムを配置した。光源として180Wのメタハラ伝送ライトを用いた。クロスニコルを通して見られるフィルム外観より、延伸むらを目視観察した。また、得られたフィルムを蛍光灯下にかざした外観より、白化の有無を目視観察した。
○:クロスニコルを通した際のコントラストが良好で、延伸むらや未延伸部が見えない。また蛍光灯下での白化が見えない。
△:延伸むら、未延伸部、白化のいずれかが、観察するフィルムの全面積中の50%を超えない範囲で見られた。
×:延伸むら、未延伸部、白化のいずれかが、観察するフィルムの全面積中の50%を超える範囲で見られた。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機に供給した。押出機に供給された原料を、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、Tダイよりシート状に溶融押し出した。また、前記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。Tダイの温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
該シートを長手方向に105℃で3.0倍延伸した。次いで長手方向延伸後のフィルムを1秒間100℃で加熱した。加熱後のフィルムをテンターに導き、170℃で予熱し、180℃で幅方向に6.0倍延伸した後、7%の弛緩処理を行いつつ230℃にて熱処理を行い、厚さ20μmとなる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたフィルムは、延伸むらや熱しわがみられず、品位良好なフィルムであった。なお、長手方向延伸後のフィルムの複屈折は、該フィルムをロールに抱いてサンプリングし、アッベ屈折率計にて測定した。
(実施例2)
テンター内での予熱温度を150℃、幅方向の延伸温度を160℃とした以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmとなる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたフィルムは、一部でわずかに白化が観察された。
(実施例3)
長手方向延伸後の加熱を行わなかった以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmとなる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。延伸過程で数回の破断が発生したが、フィルムを採取した。
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を実施例1と同様にして押し出し、樹脂シートとした。該シートを長手方向に105℃で3.0倍延伸した。次いで長手方向に延伸後のフィルムをテンターに導き、90℃で予熱し、100℃で幅方向に4.0倍延伸した後、7%の弛緩処理を行いつつ230℃にて熱処理を行い、厚さ20μmとなる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を実施例1と同様にして押し出し、樹脂シートとした。該シートを長手方向に105℃で3.0倍延伸した。次いで長手方向に延伸後のフィルムをテンターに導き、90℃で予熱し、100℃で幅方向に4.0倍延伸した後、7%の弛緩処理を行いつつ230℃にて熱処理を行い、厚さ20μmとなる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを190℃の乾燥炉内にて長手方向に3%の弛緩処理を行った。得られたフィルムは、微細なむらや白化部が全面にみられた。更には全面に微小なしわが見られたため、熱しわ判定法による評価を行うまでもなかった。
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を実施例1と同様にして押し出し、樹脂シートとした。該シートを長手方向に105℃で3.0倍延伸した。次いで長手方向に延伸後のフィルムを1秒間100℃で加熱した。加熱後のフィルムをテンターに導き、170℃で予熱し、180℃で幅方向に4.0倍延伸した後、7%の弛緩処理を行いつつ230℃にて熱処理を行った。延伸過程で数回の破断が発生し、フィルム採取が困難であった。また、一部採取できたとしても得られたフィルムは、クロスニコルを通して観察を行った際、細かな延伸残が全面に渡って発生していた。そのため続く物性評価が不可能であった。
(比較例4)
ポリエチレンテレフタレート樹脂を実施例1と同様にして押し出し、樹脂シートとした。該シートを長手方向に105℃で3.0倍延伸した。長手方向に延伸後のフィルムをテンターに導き、90℃で予熱し、100℃で幅方向に6.0倍延伸した後、7%の弛緩処理を行いつつ230℃にて熱処理を行った。破断が多発し、フィルムが得られなかった。
実施例1、2、3および比較例1、2、3、4の製膜条件を表1に示す。また実施例1、2、3および比較例1、2、3、4で得られたフィルムの物性評価結果を表2に示す。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムは、高温での熱寸法安定性に優れたフィルムであるため、軽量性と耐熱性が求められるレトルト食品の包装や、タブレット端末等光学機器の構成部材に適しており、幅広い用途分野に利用することができるため、産業界に寄与することが大である。

Claims (3)

  1. 以下の工程A〜Dを含む二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法。
    工程A:ポリエチレンテレフタレート系樹脂を溶融押出し、樹脂シートを製膜する工程、
    工程B:工程Aで得られた樹脂シートを長手方向に延伸する縦延伸工程、
    工程C:工程Bで得られたフィルムを140℃以上190℃以下の温度で予熱する工程と、予熱後のフィルムを160℃以上190℃以下の温度で、幅方向に5.5倍以上7.0倍以下延伸する工程とを含む、横延伸工程、及び
    工程D:工程Cで得られたフィルムを200℃以上240℃以下の温度で熱固定し、フィルム幅方向に緩和する、熱固定工程
  2. 工程Bにおいて、長手方向に延伸されたフィルムは、長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率をそれぞれNx、Ny、Nzとしたときに、Nx−(Ny+Nz)/2の値が0.075〜0.110であり、かつ、
    工程Bで得られたフィルムを50℃以上120℃以下の温度で加熱する工程を経た後、工程Cの工程を行う、請求項1に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムの製造方法。
  3. ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、下記構成要件(1)〜(4)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム。
    (1)フィルム長手方向の150℃、30分における熱収縮率が0%〜1%、かつ200℃、30分における熱収縮率が2%〜4%
    (2)熱収縮応力曲線において、フィルム長手方向の熱収縮応力の立ち上がり温度が150℃以上
    (3)フィルム長手方向の屈折率Nxが1.63以上1.64以下、かつ幅方向の屈折率Nyが1.67以上1.70以下、かつ厚み方向の屈折率Nzが1.48以上1.49以下
    (4)広角X線回折測定で得られるフィルム(−105)面の結晶子長が71Å以上80Å以下、かつフィルム(010)面の結晶子長が65Å以上75Å以下
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