以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に平行な任意の方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。なお、後述する腕部20bの進退方向(ワークWの搬送方向)は、Y方向とする。また、XY平面に垂直な方向を上下方向またはZ方向と表記する。また、本明細書において上方は+Z方向であり、下方は−Z方向である。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
図1は、実施形態に係る板材加工システム1の一例を示す上方から見た平面図である。図2は、実施形態に係る板材加工システム1の一例を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、板材加工システム1は、例えば、金属製の矩形板状のワークWに対して、切断加工や成形加工、タップ加工、打ち抜き加工等の複数種類の加工を行う。本実施形態では、ワークWに対して切断加工及び成形加工を行う板材加工システム1を例に挙げて説明する。板材加工システム1は、第1加工装置10と、フォーク装置(支持装置)20と、搬送装置24と、第2加工装置30と、これらを統括的に制御する制御部50を有している。
第1加工装置10は、ワークWに対してレーザ加工を施すことにより、所望の形状の製品に切断するレーザ加工機である。第1加工装置10は、レーザヘッド11と、ヘッド駆動部12とを有している。レーザヘッド11は、下方にレーザ光を射出する射出部(不図示)を有している。レーザヘッド11は、光ファイバ(不図示)などの光伝送体を介してレーザ光源(不図示)に接続されている。レーザ光源としては、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源が用いられる。これにより、例えば炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られるため、高速で切断等を行うことが可能となる。
レーザヘッド11は、ヘッド駆動部12により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能であり、ワークWに対して相対的に移動する。なお、レーザヘッド11がX方向及びY方向に移動する範囲を含んで第1加工領域10Rが設定される。第1加工領域10Rに配置されたワークWに対してレーザヘッド11を移動させて加工を行うので、ワークWの加工を高速で行うことができる。
ヘッド駆動部12は、ガントリー12aと、スライダ12bと、昇降部12cとを有している。ガントリー12aは、Y方向に沿って配置され、一対のガイドレール12d上に配置されている。一対のガイドレール12dは、第1加工領域10RをY方向に挟んでX方向に沿って互いに平行に配置されるように、フレーム18に形成される。ヘッド駆動部12は、例えばボールねじ機構など、ガントリー12aをX方向に移動させる駆動機構(不図示)を有している。ガントリー12aは、この駆動機構により、ガイドレール12dに沿ってX方向に移動可能となっている。
ガントリー12aの上面(+Z側の面)には、ガイド12eが設けられている。ガイド12eは、Y方向に沿って形成されており、スライダ12bを案内する。スライダ12bは、ガントリー12aの上面から−X側の面にわたって配置されている。ヘッド駆動部12は、例えばボールねじ機構など、スライダ12bをY方向に移動させる不図示の駆動機構を有している。スライダ12bは、この駆動機構により、ガイド12eに沿ってY方向に移動可能となっている。なお、スライダ12bを案内するガイドが、ガントリー12aの−X側の面に形成されてもよい。
スライダ12bの−X側の面には、ガイド12fが設けられている。ガイド12fは、上下方向に沿って形成されており、昇降部12cを案内する。昇降部12cは、スライダ12bの−X側の面上に配置されている。ヘッド駆動部12は、例えばボールねじ機構など、昇降部12cを上下方向に移動させる不図示の駆動機構を有している。昇降部12cは、この駆動機構により、ガイド12fに沿って上下方向に移動可能となっている。
上記レーザヘッド11は、昇降部12cに保持されている。ガントリー12aがX方向に移動することでレーザヘッド11、スライダ12b及び昇降部12cが一体でX方向に移動する。スライダ12bがY方向に移動することでレーザヘッド11及び昇降部12cが一体でY方向に移動する。昇降部12cが上下方向に移動することでレーザヘッド11が上下方向に移動する。これにより、レーザヘッド11は、第1加工領域10Rの上方をX方向、Y方向及びZ方向に移動可能となっている。なお、ヘッド駆動部12は、上記した構成に限定されない。例えば、ロボットアームによりレーザヘッド11をX、Y、Z方向に移動させるものでもよい。また、レーザヘッド11を移動させることに代えて、ワークWを移動させるものや、レーザヘッド11及びワークWの双方を移動させるものでもよい。
第1加工領域10Rには、パレット13が配置される。パレット13は、不図示の移動装置により位置13Pと第1加工領域10Rとの間を移動する。パレット13は、ワークWを載置し、第1加工領域10Rに対してワークWを搬入または搬出する。また、パレット13は、第1加工領域10Rにおいて、ワークWを支持するテーブルとしても機能する。パレット13は、フレーム18に備える載置部14上に載置される。載置部14は、パレット13を位置決めするための位置決め部が設けられてもよい。載置部14は、不図示の駆動装置によって上下方向に移動可能に設けられている。パレット13が載置部14に載置された状態で載置部14を上下方向に移動させることで、パレット13を例えば下方に移動させることが可能である。
パレット13は、図1及び図2に示すように、ベースプレート13a及び複数の支持プレート(ワーク支持部)13bを有している。支持プレート13bは、矩形状のベースプレート13aの上面に立った状態でX方向に並んで配置され、その上端でワークWの下面を支持する。2つの支持プレート13bの間隔は、後述するフォーク装置20の腕部20bが差し込み可能に設定される。なお、フレーム18は、−Y側の起立部分において不図示の開口部が形成されており、後述する第2加工装置30のフレーム31に形成された開口部34と同様に、ワークW、搬送装置24の一部及びフォーク装置20が通過可能に形成されている。各支持プレート13bは、例えば鋸歯状に形成された複数の上端部13cを有している。各上端部13cは、ベースプレート13aからの高さ(Z方向の位置)が同一となるように形成される。
複数の上端部13cには、ワークWが載置される。複数の上端部13cの高さが同一であるため、ワークWをほぼ水平に載置する。また、上端部13cが鋸歯状であるため、ワークWに対する接触面積が小さい。これにより、ワークWの加工によって支持プレート13bに溶着するのを減少でき、後述のフォーク装置20によって支持プレート13bからワークWを容易に引き離すことができる。なお、上端部13cは、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状や波形状としてもよい。また、パレット13は、複数の支持プレート13bを用いることに限定されず、例えば、複数のピンがベースプレート13a上に配置されたものでもよい。
パレット13は、ワークWを支持プレート13bの上端部13cに載置した状態で外部(例、位置13P)から−X方向に移動して搬入され、ワークWを乗せたまま第1加工装置10の加工領域に配置される。また、パレット13は、加工済みのワークWを載置して+X方向に移動して外部(例、位置13P)に搬出される。したがって、パレット13は、第1加工装置10と外部とを往復移動するように構成される。このワークWの搬入及びワークWの搬出は、例えば、外部のローダ装置(不図示)等を用いて行うことができる。
フォーク装置20は、基部20aと、腕部20bとを有している。基部20aは、X方向に延びて形成される。腕部20bは、基部20aから+Y方向に延びる棒状に形成されている。腕部20bは、基部20aの上面に、X方向に並んで複数設けられる。各腕部20bは、フォーク装置20を+Y方向に移動させた場合、各腕部20bが支持プレート13b同士の間を+Y方向に進入可能となるように形成されている。各腕部20bは、例えば、支持プレート13bとほぼ等しいピッチでX方向に並んで形成される。腕部20bの上面には、不図示のブラシ部が所定間隔で設けられている。このブラシ部は、例えば樹脂等の材料を用いて形成されており、ワークWを搬送する際にワークWを支持する。ブラシ部は、ワークWを搬送する際の抵抗を低減し、ワークWの下面に傷が付くのを抑制する。なお、ブラシ部を設けるか否かは任意である。また、ブラシ部に代えて、複数のフリーボールベアリング(ボールが全方向に転動可能)が配置されてもよい。
フォーク装置20は、不図示の駆動装置及び不図示のガイドを備え、腕部20bを待機領域20Rから第1加工領域10Rに対して進退可能に形成している。待機領域20Rは、第1加工領域10Rの周囲の領域の一部である。腕部20bの進退方向は、Y方向に設定される。待機領域20Rは、少なくとも腕部20bが−Y方向に移動して、後述する第2加工領域30Rから離れた領域を含んで設定される。待機領域20Rは、第2加工装置30を挟んで第1加工装置10(第1加工領域10R)の反対側に設定される。基部20a及び腕部20bは、待機領域20Rから、第2加工領域30Rを超えて、第1加工領域10Rに入り込むことができる範囲まで移動可能である。
待機領域20Rから第2加工領域30Rに向けて、固定テーブル22が設けられる。固定テーブル22は、X方向に延びる棒状の支持部20aと、支持部20a上から+Y方向に延びる複数の棒状部22bと、を備える。複数の棒状部22bは、X方向にほぼ等しいピッチでX方向に並んで配置される。複数の棒状部22bのX方向のピッチは、フォーク装置20の腕部20bにおけるX方向のピッチとほぼ同様に設定される。各棒状部22bの上面には、フォーク装置20の腕部20bと同様に、不図示のブラシ部やフリーボールベアリングが設けられており、ワークWを搬送する際にワークWを支持して、ワークW搬送時の抵抗を低減してワークWの下面に傷が付くことを抑制する。
図3はフォーク装置20及び固定テーブル22の一例を示す図である。図3(A)及び(B)に示すように、フォーク装置20は、基部20aが固定テーブル22の棒状部22bの下に位置するように配置される。また、フォーク装置20の腕部20bと固定テーブル22の棒状部22bとは、交互に配置される。これにより、複数の棒状部22bは、フォーク装置20の腕部20bとの干渉を避けつつY方向に移動可能となっている。また、図3(B)に示すように、フォーク装置20の各腕部20bの上面と固定テーブル22の棒状部22bの上面とは、同一面に設定されている。したがって、腕部20bを第1加工領域10Rに移動した場合においても、腕部20bの上面と固定テーブル22の棒状部22bの上面とが形成する面は同一面になり、ワークWを腕部20bから固定テーブル22に搬送するときでも段差がなく、ワークWを安定して搬送できる。
図1及び図2に戻り、搬送装置24は、第1加工領域10RのワークWを待機領域20Rに向けて−Y方向に搬送し、また、待機領域20RのワークWを第1加工領域10Rに向けて+Y方向に搬送する。搬送装置24は、後述する第2加工装置30(第2加工領域30R)の−Y側に配置されている。搬送装置24は、待機領域20Rと重なるように配置される。搬送装置24は、キャリッジ25と、プレート26と、ワークホルダ27とを有している。
キャリッジ25は、フォーク装置20及び固定テーブル22を跨ぐようにX方向に延びて形成される。また、キャリッジ25は、不図示の駆動装置により一対のガイド28に沿ってY方向に移動可能に形成される。一対のガイド28は、フォーク装置20及び固定テーブル22をX方向に挟んだ両側に、Y方向に沿って設けられている。駆動装置としては、例えばボールねじ機構やリニアモータなどが用いられる。プレート26は、上方から見て、矩形状に形成され、キャリッジ25の+Y側の側面に固定される。プレート26のX方向の長さは、ワークWのX方向の長さに対応して設定される。プレート26のY方向の長さは、キャリッジ25が第2加工装置30の−Y側に近接した際、ワークホルダ27がワークWを把持可能な長さに設定される。なお、プレート26は、交換可能であってもよいし、キャリッジ25に対してX方向に移動可能であってもよい。
ワークホルダ27は、プレート26の+Y側において、X方向に間隔を空けて3箇所に設けられる。各ワークホルダ27は、プレート26から+Y方向に突出して設けられる。各ワークホルダ27は、不図示の駆動装置によりワークWの端部を挟み込んで把持または解放可能な構成が採用される。なお、ワークホルダ27の個数は任意であり、例えば、1個、2個または4個以上であってもよい。ワークホルダ27は、ワークWを把持するものに代えて、ワークWの一部を吸着するものが使用されてもよい。
搬送装置24は、ワークホルダ27によってワークWを保持した状態でY方向に移動することにより、ワークWをY方向に搬送する。第2加工領域30Rは、搬送装置24によるワークWの搬送経路の一部に形成されている。これにより、搬送装置24は、ワークWを第1加工領域10R及び第2加工領域30Rの双方に対して搬送できる。また、搬送装置24は、ワークホルダ27により第1加工領域10RのワークWを保持する。これにより、第1加工装置10において加工時にワークWの位置ズレを防止し、レーザヘッド11による加工位置の精度を確保している。なお、プレート26の一部及びワークホルダ27は、後述する第2加工装置30の開口部34を通過可能に形成されている。搬送装置24は、待機領域20Rにおいてフォーク装置20や固定テーブル22の上方に配置され、上方から見てフォーク装置20の腕部20bに重なってY方向に移動するので、待機領域20Rや固定テーブル22の上方スペースを活用して、システム全体をコンパクトにすることができる。
第2加工装置30は、ワークWに対して、例えば、成形加工、タップ加工等を行う。第2加工装置30は、第1加工装置10(第1加工領域10R)と、フォーク装置20の待機領域20Rとの間に配置される。第2加工装置30は、フレーム31と、加工工具32と、ガイド33とを有する。フレーム31は、図2に示すように、加工工具32及びガイド33を支持する。フレーム31の中央部分は、上記したフォーク装置20や、プレート26の一部及びワークホルダ27、ワークWが通過可能な開口部34が設けられる。開口部34は、例えば−Y方向から見て矩形状に貫通する形状である。フレーム31は、第1加工装置10と固定テーブル22との間に配置され、その長手方向がX方向と平行になるように配置されている。なお、フレーム31の形状は特に限定されず、例えば門型などの形状であってもよい。
加工工具32は、ワークWに対して加工を行う工具である。加工工具32は、異なる加工または同種の加工を行う複数の加工工具を含む。本実施形態においては、加工工具32として、プレス工具35とタップ工具36とが配置される。なお、加工工具32は、プレス工具35及びタップ工具36以外が使用されてもよい。プレス工具35は、例えばパンチ等の上型37と、例えばダイ等の下型38とによりワークWを挟み込んでワークWを加工する。プレス工具35は、複数の上型37を保持する上型支持ブロック39と、複数の下型38を保持する下型支持ブロック40と、成形ヘッド41と、を有する。上型支持ブロック39や成形ヘッド41は、開口部34の上方に配置される。下型支持ブロック40は、開口部34の下方に配置される。成形ヘッド41は、上型支持ブロック39の上方に配置される。
複数の上型37のそれぞれは、複数の下型38のうち少なくとも1つに対応する。複数の上型37及び複数の下型38のそれぞれは、例えば、ワークWに対して異なる加工を行うものであってもよい。このように、上型支持ブロック39及び下型支持ブロック40のそれぞれに複数の上型37及び下型38を備えるので、いずれかを選択することにより加工工具の変更を容易に行うことができる。
複数の上型37及び下型38のそれぞれは、X方向に並んで、上型支持ブロック39及び下型支持ブロック40に保持される。これにより、成形ヘッド41をX方向に移動させるだけで容易に上型37及び下型38を選択することができる。成形ヘッド41は、不図示の駆動装置により上下方向に移動可能なヘッド部41aを有する。ヘッド部41aを上型37及び下型38のいずれかに位置決めし、下方に駆動することで上型37を下型38に向けて移動させる。また、下型支持ブロック40は、成形ヘッド40bを備え、選択された下型38を上方に移動させる。これにより、ワークWは、上型37と下型38とにより加工される。なお、ワークWの加工後、ヘッド部41aが元の位置に復帰することで上型37も同様に元の位置に復帰し、同様に下型38も元の位置に復帰する。なお、下型支持ブロック40が成形ヘッド40bを備えるか否かは任意である。
フレーム31の−Y側の面には、加工工具32を案内するガイド33が複数取り付けられている。複数のガイド33のそれぞれは、腕部20bの進退方向(Y方向)と交差する交差方向(X方向)に延びており、加工工具32がX方向に沿って移動するように案内する複数のガイド33は、上型支持ブロック39を案内する上側ガイド42と、下型支持ブロック40を案内する下側ガイド43と、成形ヘッド41を案内するヘッド用ガイド45と、タップ工具36を案内するタップ用ガイド46と、を有する。上側ガイド42は、開口部34の上方に配置される。上側ガイド43は、開口部34の下方に配置される。すなわち、上側ガイド42と下側ガイド43とは、開口部34を上下方向に挟んで配置される。なお、ガイド33は、上型支持ブロック39などの移動対象を個別にガイドすることに限定されず、1つのガイド(例えば上側ガイド42など)を2以上の移動対象(例えば、上型支持ブロック39及びタップ工具36など)で共用してもよい。これにより、ガイド33の本数が減るので、ガイド33の配置が容易となる。
上型支持ブロック39は、駆動装置39aを備える。上型支持ブロック39は、駆動装置39aにより上側ガイド42に沿ってX方向に移動する。下型支持ブロック40は、駆動装置40aを備える。下型支持ブロック40は、駆動装置40aにより下側ガイド43に沿ってX方向に移動する。上型支持ブロック39及び下型支持ブロック40を移動させることにより、ワークWの任意のX方向に上型37及び下型38を位置決めできる。制御部50は、上型支持ブロック39及び下型支持ブロック40の移動を制御するが、両者を同期させて移動させてもよい。これにより、上型支持ブロック39と下型支持ブロック40とを容易に位置決めできる。
成形ヘッド41は、駆動装置41bを備える。成形ヘッド41は、駆動装置41bによりヘッド用ガイド45に沿ってX方向に移動する。制御部50は、成形ヘッド41を上型37のいずれかの上方に位置決めするよう制御する。なお、成形ヘッド41は、例えば、上側支持ブロック39にピン等により連結され、上型支持ブロック39の移動とともにX方向に移動させてもよい。これにより、成形ヘッド41は、駆動装置41bが不要となり、製造コストを低減できる。
タップ工具36は、例えば、ワークWにねじ穴を形成するタップ加工を行う。タップ工具36は、ねじ穴を形成するためのタップ36aを有する。タップ36aは、不図示の駆動装置により駆動する。タップ加工は、ワークWに対して、タップ36aを下方に移動させてワークWに接触させた後、タップ36aを不図示の駆動装置により回転させることによりを行う。タップ工具36は、駆動装置36bを備える。タップ工具36は、駆動装置36bによりタップ用ガイド46に沿ってX方向に移動する。また、制御部50は、タップ工具36をX方向に移動させる際には、上型支持ブロック39、下型支持ブロック40及び成形ヘッド41を+X側に移動させ、タップ工具36の移動経路を確保するように制御する。
また、第2加工装置30は、加工工具32の位置を検出する位置検出装置48を備えている。位置検出装置48は、例えば、光学式センサ等の非接触式センサが用いられるが、他の検出装置が用いられてもよい。位置検出装置48は、タップ工具36、上型支持ブロック39、下型支持ブロック40、及び成形ヘッド41のそれぞれに対応して設置される。各位置検出装置48による位置情報は制御部50に送られ、加工工具32の位置制御に用いられる。
第2加工装置30は、プレス工具35やタップ工具36によりワークWを加工する領域として第2加工領域30Rを有する。第2加工領域30Rは、第1加工領域10Rと待機領域20Rとの間に形成される。この第2加工領域30Rにおいて、ワークWが上記した搬送装置24によってY方向に搬送され、かつ、プレス工具35やタップ工具36がX方向に移動することにより、ワークWの任意の部分にプレス工具35やタップ工具36を位置決めできる。
制御部50は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、ハードディスク等の記憶装置、各種制御に必要なプログラム等を備えている。制御部50は、例えば、第1加工装置10のレーザヘッド11の位置やレーザの出力、フォーク装置20の駆動、搬送装置24の駆動やワークホルダ27の保持または解放、第2加工装置30の各加工工具32の位置決めや加工動作等を制御する。
次に、板材加工システム1の動作について、図4〜図8を参照して説明する。ただし、以下の説明は一例であって、動作を限定するものではない。まず、ワークWが第1加工領域10Rに搬入される。ワークWは、位置13P(図1参照)でパレット13に載置された後、パレット13が−X方向に移動することにより、図4(A)に示すように、第1加工領域10Rに配置される。次に、図4(B)に示すように、搬送装置24を+Y方向に移動させてワークホルダ27でワークWを保持する。これにより、ワークWは、レーザ加工時において位置ズレが防止される。
レーザ加工は、ヘッド駆動部12によりレーザヘッド11をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させつつ、レーザヘッド11からワークWに対してレーザ光を射出する。レーザヘッド11をワークに対して相対的に移動させてレーザ加工を行うので、ワークWの加工を高速で行うことができる。なお、このレーザ加工では製品外形の切断まで行わず、穴あけ等の部分的な切断であってもよい。
次に、図5(A)に示すように、フォーク装置20を+Y方向に移動させ、各腕部20bを支持プレート13bの間に進入させる。図7(A)は、腕部20bを支持プレート13bの間に進入させた状態を示している。この状態では、ワークWは、主として支持プレート13bに載置された状態が維持される。続いて、載置部14(図2参照)を駆動してパレット13を降下させる。これにより、図7(B)に示すように、ワークWは、支持プレート13bから腕部20b上に載置される。このとき、レーザ加工によってワークWの一部が支持プレート13bに溶着している場合も、引き剥がすことができる。なお、図示していないが、ワークWは腕部20b上面のブラシ部に載置された状態となる。また、パレット13を降下させる動作には限定されない。例えば、腕部20bを上昇させることでパレット13からワークWを受け取ってもよい。また、腕部20bを上昇させつつ、パレット13を降下させて腕部20bがワークWを受け取ってもよい。
次に、図5(B)に示すように、腕部20bにワークWを載置した状態で、搬送装置24を−Y方向に移動させる。これにより、ワークWは、−Y方向に搬送され、図5(B)及び図7(C)に示すように、ワークWの一部が第2加工領域30RにおいてY方向に位置決めされる。なお、ワークWは、ワークホルダ27に保持されて加工中の位置ズレが防止される。また、フォーク装置20の基部20a及び腕部20bは、第1加工領域10Rに配置されており、ワークWを搬送するためのテーブルとして使用される。
次に、第2加工装置30によってワークWの加工を行う。ワークWはY方向に位置決めされており、加工工具32をX方向に移動させることにより、ワークWの所望位置に加工工具32を位置決めする。図8及び図9は、プレス工具35及びタップ工具36によって加工する動作を示している。プレス工具35を使用する場合、先ず、図8(A)に示すように、所望の上型37及び下型38をワークWの加工位置P1に合わせるように、上型支持ブロック39及び下型支持ブロック40をそれぞれX方向に移動させる。上型支持ブロック39の移動と同時または別に成形ヘッド41をX方向に移動させ、使用する上型37の上方に位置決めする。続いて、図8(B)に示すように、ヘッド部41aを駆動して上型37を下方に移動させ、かつ、成形ヘッド41bにより下型38を上方に移動させ、この上型37と下型38とによりワークWの加工位置P1に対して成形加工を行う。
また、タップ工具36を使用する場合、先ず、図9(A)に示すように、上型支持ブロック39、下型支持ブロック40及び成形ヘッド41を+X側に退避させる。退避後または退避の途中において、タップ36aをワークWの加工位置P2に合わせるように、タップ工具36をX方向に移動させる。続いて、図9(B)に示すように、タップ36aを駆動することにより、ワークWの加工位置P2に対してタップ加工を行う。
プレス工具35またはタップ工具36は、X方向の複数個所にプレス工具35またはタップ工具36を移動させて成形加工またはタップ加工を行い、続いて、搬送装置24によりワークWを−Y方向にずらした位置においてX方向の複数個所を加工するといった動作が繰り返されることにより、ワークW全体の加工位置に対してそれぞれ所望の加工を行う。なお、ワークWは、Y方向に移動する間、フォーク装置20の腕部20bと、固定テーブル22の棒状部22bに支持されるので、安定して搬送される。また、腕部20bの上面と棒状部22bの上面とが同一面に形成されるため、両者間に段差がなく、搬送されるワークWの下面が損傷するのを抑制できる。
次に、図6(A)に示すように、加工後のワークWを搬送装置24で第1加工領域10Rに搬送する。この第1加工領域10Rにおいて、ワークWはフォーク装置20の腕部20bに載置される。続いて、パレット13を上昇させる。これにより、図7(D)に示すように、ワークWは、腕部20bから支持プレート13bに載置された状態となる。続いて、図7(E)に示すように、フォーク装置20は、−Y方向に移動して待機領域20Rに移動する。続いて、ヘッド駆動部12によりレーザヘッド11をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させつつ、レーザヘッド11からワークWに対してレーザ光を射出して、レーザ加工を行う。なお、このレーザ加工は、先のレーザ加工で残した部分の切断や、製品外形の切断を行ってもよい。また、レーザ加工中は搬送装置24のワークホルダ27によりワークWを保持しており、レーザ加工中のワークWの位置ズレを防止している。ただし、このような2回目のレーザ加工を行うかは任意であり、2回目のレーザ加工を行わなくてもよい。この場合、ワークWはパレット13によって搬出されてもよく、また、ワークWをパレット13まで搬送せずに、待機領域20RにおいてワークWから製品の仕分け等を行ってもよい。
次に、図6(B)に示すように、レーザ加工が終了した後、搬送装置24は、ワークホルダ27によるワークWの保持を解除し、−Y方向に移動して待機領域20Rに戻る。その後、パレット13は、加工済みのワークWを載置したまま+X方向に移動して、ワークWを第1加工領域10Rから搬出する。なお、レーザ加工の終了後、再度フォーク装置20の腕部20bを支持プレート13b間に進入させ、パレット13を降下させて腕部20b上にワークWを載置してから、パレット13を上昇させて支持プレート13b上にワークWを載置させてもよい。一旦、支持プレート13bから腕部20bにワークWを載置させることにより、レーザ加工によってワークWの一部が支持プレート13bに溶着した場合でも引きはがすことができる。
加工済みのワークWは、例えば、位置13P(図1参照)においてワークW中から製品が不図示の仕分け装置等によりピックアップされ、残った残材がパレット13から排出される。その後、新たなワークWがパレット13上に載置され、上記した動作が行われ、かかる作業が繰り返されることにより複数のワークWが加工される。
以上のように、本実施形態によれば、第1加工装置10及び第2加工装置30において共通の搬送装置24を用いるので、ワークWを持ち替える動作なしにワークWを搬送することができ、レーザヘッド11や加工工具32によりワークWを精度良く加工できる。また、第1加工領域10Rと待機領域20Rとの間に第2加工領域30Rが配置され、ワークWを搬送する範囲として待機領域20Rを利用するので、システム全体を小型化することができる。また、レーザヘッド11を移動させる場合には、ワークWの加工を高速で行うことができる。
<他の実施形態>
次に、他の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、上記した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。また、上記した実施形態において説明した事項のうち、以下の各実施形態に適用可能なものは全て以下の各実施形態でも適用可能である。図10(A)は、他の実施形態に係る第2加工装置30Aを示す図である。この第2加工装置30Aは、図10(A)に示すように、成形ヘッド41が上型支持ブロック39に形成された選択用ガイド41cに沿って移動可能に構成される。成形ヘッド41は、駆動装置41bにより、選択用ガイド41cに沿ってX方向に移動し、所望の上型37の上方に位置決めされる。
このように、第2加工装置30Aによれば、成形ヘッド41のガイドがフレーム31に形成されず、上型支持ブロック39に形成されるので、成形ヘッド41の移動範囲が狭く、小さな駆動装置41bを用いることができる。なお、上型支持ブロック39に対する成形ヘッド41の位置検出は、例えばリニアエンコーダ等が用いられる。
次に、図10(B)は、他の実施形態に係る第2加工装置30Bを示す図である。この第2加工装置30Bは、図10(B)に示すように、タップ工具36が上型支持ブロック39の−X側に固定されている。従って、フレーム31にタップ工具36を案内するためのガイドは不要となる。タップ工具36は、上型支持ブロック39の駆動装置39aを駆動することにより、上型支持ブロック39とともにX方向に移動する。
このように、第2加工装置30Bによれば、タップ工具36が上型支持ブロック39に固定されるので、タップ工具36のためのタップ用ガイド46や駆動装置36b、位置検出装置48が不要となり、装置コストを低減することができる。なお、タップ工具36は、上型支持ブロック39の−X側に固定されることに限定されず、上型支持ブロック39の+X側に固定されてもよい。
次に、板材加工システムの他の実施形態について説明する。図11は、他の実施形態に係る板材加工システム100を示す図である。板材加工システム100は、図11に示すように、図1に示す板材加工システム1と異なる搬送装置124及び第2加工装置130を備える。搬送装置124は、第1加工領域10及び2つの第2加工領域130Ra、130RbにおいてワークWをY方向に搬送する。搬送装置124は、キャリッジ25の+Y側に固定されたプレート126を備える。ワークホルダ27は、プレート126の+Y側に取り付けられる。プレート126は、図1に示すプレート26よりもY方向に長いものが用いられ、2つの第2加工領域130Ra、130Rbを介して第1加工領域10RのワークWをワークホルダ27で保持できる長さに設定される。
第2加工装置130は、2つのフレーム131a、131bを備え、それぞれに形成されたガイド133a、133bによってX方向に移動可能な加工工具132a、132bを備えている。フレーム131a、131bは、Y方向に並んで配置されている。フレーム131a、131bは、それぞれの中央部分に開口部134a、134bを備える点など、図1に示すフレーム31と同様である。開口部134a、134bのそれぞれは、ワークW、搬送装置124のプレート126の一部及びフォーク装置20がY方向に通過可能に形成されている。
ガイド133a、133bは、図1に示すガイド33と同様である。ガイド133aに沿って移動可能な加工工具132aの範囲が第2加工領域130Raである。また、ガイド133bに沿って移動可能な加工工具132bの範囲が第2加工領域130Rbである。第2加工領域130Ra、130Rbは、Y方向に並んで形成される。
加工工具132aは、例えば、図2に示すプレス工具35であり、加工工具132bは、例えば、図2に示すタップ工具36である。ただし、加工工具132a、132bとしては、プレス工具35やタップ工具36、その他の加工工具のいずれであってもよい。このように、複数のフレーム131a、131bを用いることで、使用可能な加工工具を増やすことができ、また、これら加工工具同士の干渉を避けて独立してX方向に移動させることができる。なお、フレーム131a、131bの一方または双方は、図1に示すフレーム31のように複数の加工工具を搭載してもよい。
この第2加工装置130によれば、ワークWを搬送装置124で搬送することにより第2加工領域130Ra、130Rbのいずれかまたは双方においてワークWをY方向に位置決めし、加工工具132a、132bのいずれかまたは双方をX方向に移動させて駆動することにより、ワークWの所定部分にそれぞれ加工を行うことができる。また、上記した実施形態と同様に、第1加工領域10Rと待機領域20Rとの間に第2加工領域130Ra、130Rbが配置され、ワークWを搬送する範囲として待機領域20Rを利用するので、システム全体を小型化することができる。
次に、支持装置であるフォーク装置の他の実施形態、及び支持テーブルについて説明する。図12は、他の実施形態に係るフォーク装置(支持装置)220、及び支持テーブル222の一例を示す斜視図である。なお、このフォーク装置220及び支持テーブル222を用いた板材加工システムは、フォーク装置220及び支持テーブル222を除いて、上記した実施形態で説明した各構成が適用可能である。なお、腕部20bが待機領域20Rから第1加工領域10Rに対して進退可能な点は、上記した実施形態のフォーク装置20と同様である。また、支持テーブル222は、上記した実施形態の固定テーブル22に代えて配置される。
フォーク装置220は、図12に示すように、基部20aと、腕部20bと、進退駆動部221と、を有している。基部20a及び腕部20bは、進退駆動部221によってY方向に進退する。進退駆動部221は、基部20aの−Y側に配置され、基部20a及び腕部20bと同様に、不図示のガイドによってY方向に移動可能である。進退駆動部221の駆動方法は任意である。例えば、進退駆動部221は、電気モータ等によって回転駆動するピニオンギアを備え、このピニオンギアが不図示のガイドに沿って形成されたラックと噛み合うことでY方向に移動可能としてもよい。
また、進退駆動部221は、基部20aに対して切り離し可能に形成される。進退駆動部221は、例えば、基部20aの一部を把持する爪部等を備え、この爪部を駆動することにより基部20aと連結または解放可能としてもよい。なお、基部20aに対する進退駆動部221の連結または解放の手段は任意である。例えば、電磁石等を用いて基部20aと進退駆動部221との連結または解放を行ってもよい。
支持テーブル222は、矩形板状の部材が用いられ、上面側に複数のブラシ部223が形成される。支持テーブル222の大きさは、支持するワークWの大きさに対して設定される。ブラシ部223は、上端でワークWを支持するものであり、一定間隔で形成される。ただし、複数のブラシ部223の配置は任意であり、また、ブラシ部223に代えて、複数のフリーボールベアリングが配置されてもよい。また、ブラシ部223を形成するか否かは任意である。支持テーブル222は、昇降装置224により昇降可能に形成される。支持テーブル222は、上面(ブラシ部223の上端)が、フォーク装置220の腕部20aの上面とほぼ同一面となる上昇位置と、フォーク装置220の進退と干渉しないように下方に退避した退避位置との間を昇降する。昇降装置224は、電気モータの他に、油圧または空圧シリンダ機構等が用いられる。
次に、フォーク装置220及び支持テーブル222を用いた板材加工システム1の動作について、図13及び図14を参照して説明する。ただし、以下の説明は一例であって、動作を限定するものではない。まず、図13(A)に示すように、パレット13に載置されたワークWが第1加工領域10Rに搬入される。次に、図13(B)に示すように、搬送装置24を+Y方向に移動させてワークホルダ27でワークWを保持する。この状態で第1加工装置10によりワークWに対してレーザ加工が行われる。次に、図13(C)に示すように、進退駆動部221を駆動してフォーク装置220を待機領域20Rから+Y方向に移動させ、各腕部20bを支持プレート13bの間に進入させる。なお、図13(A)〜(C)の動作の間、支持テーブル222は、下方の退避位置に退避している。
次に、図13(D)に示すように、載置部14によりパレット13を下方に移動させ、ワークWをパレット13の支持プレート13bから腕部20b上に載置する。次に、図13(E)に示すように、進退駆動部221は、基部20aから切り離されて−Y方向に移動し、元の位置まで戻る。このとき、腕部20bは、第1加工領域10Rにおいて、不図示のガイド等によりワークWを載置した状態で保持されている。なお、進退駆動部221が基部20aから切り離される際及び切り離された後、不図示の保持装置等によって腕部20b(または基部20a)を第1加工領域10Rの所定位置に保持させてもよい。
次に、図14(A)に示すように、支持テーブル222は、昇降装置224により、上面が腕部20aの上面とほぼ同一面となる上昇位置まで上昇する。次に、図14(B)に示すように、搬送装置24を−Y方向に移動させる。これにより、ワークWは、−Y方向に搬送され、ワークWの一部が第2加工領域30RにおいてY方向に位置決めされて第2加工装置30によりワークWの加工が行われる。なお、ワークWは、腕部20bの上面と、支持テーブル222のブラシ部223の上端とで支持されるので、安定して搬送される。なお、基部20a及び腕部20bは、第1加工領域10Rに配置されたままである。また、第2加工装置30によるワークWの加工は、上記と同様である。また、腕部20bの上面と支持テーブル222の上面(ブラシ部223の上端)とがほぼ同一面に形成されるため、両者間に段差がなく、搬送されるワークWの下面が損傷するのを抑制できる。
次に、図14(C)に示すように、加工後のワークWは、搬送装置24により第1加工領域10Rに搬送されて腕部20b上に載置される。続いて、パレット13を上方に移動させ、ワークWを、腕部20b上からパレット13の支持プレート13b上に載置する。次に、図14(D)に示すように、支持テーブル222を昇降装置224により退避位置まで下降させた後、進退駆動部221を+Y方向に移動させる。
次に、図14(E)に示すように、進退駆動部221を基部20aに連結させる。続いて、図示しないが、進退駆動部221を駆動して基部20a及び腕部20bを−Y方向に待機領域20Rまで移動する。その後、第1加工装置10によりワークWをレーザ加工することや、レーザ加工の終了後に搬送装置24がワークWの保持を解除して待機領域20Rに戻ること、パレット13が加工済みのワークWを載置したまま第1加工領域10Rから移動して加工済みのワークWを搬出すること、などは上記した実施形態と同様である。
このように、フォーク装置220は、支持テーブル222が下方に退避するので、支持テーブル222と干渉することなく安定して進退することができる。また、フォーク装置220は、基部20aと切り離し可能な進退駆動部221を備えるので、第1加工領域10R内に基部20aや腕部20bが残るときでも、進退駆動部221が基部20aから離れて戻ることができ、フォーク装置220の駆動部が第2加工領域30Rに入り込んで、第2加工装置30による加工の妨げとなることを回避できる。
次に、上記したフォーク装置20、220(以下、フォーク装置20等と称す)は、第2加工領域30R、130Ra、130Rb(以下、第2加工領域30R等と称す)を挟んだ第1加工領域10Rの反対側である領域を待機領域20Rとして、この待機領域20Rから第1加工領域10Rに対して進退方向に移動するが、これに限定するものではない。図15は、板材加工システムの他の実施形態を示す平面図である。図15では板材加工システム200において、フォーク装置20等の配置を変更した例を示している。なお、図15では第2加工領域の符号130Ra、130Rbを省略している。
図15に示すように、フォーク装置20等は、第1加工領域10Rに対して−X側である領域A1や、第1加工領域10Rに対して+Y側である領域A2、第1加工領域10Rに対して+X側である領域A3のいずれかに配置され、これら領域A1、A2、A3から第1加工領域10Rに対して進退方向に移動させてもよい。なお、領域A1、A2、A3は、第1加工領域10Rの周囲の領域の一部である。フォーク装置20等は、領域A2に配置される場合、待機領域20Rに配置されるフォーク装置20等と同様の形態で向きを反対にして使用可能である。また、フォーク装置20等は、領域A1、A3に配置される場合、第1加工領域10Rの形状(パレット13の形状)に合わせて腕部22bの長さや本数が形成される。
また、例えば、領域A1、A3の双方からそれぞれフォーク装置20等が進退方向に移動するものでもよい。なお、領域A1やA3からフォーク装置20等が進退方向に移動する場合、上記したパレット13の支持プレート13b(図2参照)は、X方向に沿って立った状態でY方向に並んで配置されたものが使用される。なお、フォーク装置20等が領域A1、A2、A3から第1加工領域10Rに対して進退方向に移動する場合であっても、搬送装置24は、第1加工領域10RのワークWを待機領域20Rに向けて−Y方向に搬送し、また、待機領域20RのワークWを第1加工領域10Rに向けて+Y方向に搬送する。
また、支持装置としてフォーク装置20等を使用することに限定されない。図16及び図17は、それぞれ支持装置の他の例を示し、(A)はワークの支持前を示す図、(B)はワークの支持後を示す図である。図16(A)に示すように、支持装置60は、軸部61と、軸部61を軸として回転可能な棒状部62と、棒状部62の先端に設けられたフリーボールベアリング63と、を備える。支持装置60は、図16では2カ所に記載しているが、所定間隔で複数配置され、配置数は任意に設定可能である。
軸部61は、例えば、パレット13が載置される載置部14(図2参照)に形成される。棒状部62は、図16(A)に示すように、倒れた状態から不図示の駆動部によって起立した状態に回転する。なお、棒状部62のそれぞれは、パレット13の支持プレート13b間に入り込んだ状態で起立する。フリーボールベアリング63のボールは、棒状部62に対して回転可能に設けられる。支持装置60の動作は、例えば、制御装置50(図1参照)によって制御されてもよい。
棒状部62を起立させた状態で、パレット13を下方に移動させることにより、図16(B)に示すように、支持プレート13bの上端部13cに載置されていたワークWは、フリーボールベアリング63上に移載される。なお、パレット13を下方に移動させることに代えて、支持装置60を上方に移動させることによりワークWをフリーボールベアリング63上に移載させてもよい。この状態で搬送装置24によりワークWを搬送することが可能となる。このとき、ワークWはフリーボールベアリング63上に載置されているので、ワークWの移動によってフリーボールベアリング63のボールが回転し、ワークWに損傷を与えることなく安定してワークWを搬送することができる。なお、フリーボールベアリング63に代えて、棒状部62の先端にブラシが設けられてもよい。
次に、図17(A)に示すように、支持装置70は、棒状部71と、棒状部71の先端に設けられたフリーボールベアリング72と、を備える。支持装置70は、図17では2カ所に記載しているが、所定間隔で複数配置され、配置数は任意に設定可能である。棒状部71は、例えば、パレット13が載置される載置部14(図2参照)に支持される。棒状部71は、図17(A)に示すように、下方に収納された状態から不図示の駆動部によって上方に移動する。なお、棒状部71のそれぞれは、パレット13の支持プレート13b間に入り込んだ状態で上方に移動する。フリーボールベアリング72のボールは、棒状部71に対して回転可能に設けられる。支持装置70の動作は、例えば、制御装置50(図1参照)によって制御されてもよい。
棒状部71を上方に移動させた状態で、パレット13を下方に移動させることにより、図17(B)に示すように、支持プレート13bの上端部13cに載置されていたワークWは、フリーボールベアリング72上に移載される。なお、パレット13を下方に移動させることに代えて、支持装置70を上方に移動させることによりワークWをフリーボールベアリング72上に移載させてもよい。この状態で搬送装置24によりワークWを搬送することが可能となる。このとき、図16に示す支持装置60と同様に、ワークWはフリーボールベアリング72上に載置されているので、フリーボールベアリング72のボールが回転することにより、ワークWに損傷を与えることなく安定してワークWを搬送することができる。なお、フリーボールベアリング72に代えて、棒状部71の先端にブラシが設けられてもよい。
なお、支持装置70は、棒状部71を用いることに代えて、例えば、複数の筒状体を順次内挿したテレスコピック状に構成され、上下方向に伸縮可能なものが使用されてもよい。この場合、不図示の駆動部により棒状部71が上方に伸びることで、ワークWを移載することが可能となる。また、支持装置70は、パレット13が載置される載置部14に形成されることに代えて、パレット13に形成されてもよい。
また、支持装置として上下方向に移動するものに限定されない。図18は、支持装置の他の例を示し、(A)はワークの支持前を示す図、(B)はワークの支持準備を示す図、(C)はワークの支持後を示す図である。図18(A)及び(B)に示すように、支持装置80は、複数の筒状体81、82、83が順次内挿されて全長が伸縮可能なテレスコピック状に形成される。筒状体81等の数は任意であり2つまたは4つ以上でもよい。支持装置80は、例えば、第2加工装置30に設けられ、+Y方向に伸長可能に配置される。なお、支持装置80は、第2加工装置30に設けられることに代えて、パレット13(図18では不図示の第1加工領域10R)に対して+X側や、−X側、+Y側に配置されてもよい。
支持装置80の伸縮(筒状体81、82、83の移動)は、不図示の駆動部により行う。支持装置80の動作は、例えば、制御装置50(図1参照)によって制御されてもよい。また、各筒状体81、82、83は、断面が円形状であることに限定されず、例えば、断面が楕円形状、長円形状、四角形等の多角形状であってもよい。また、各筒状体81、82、83の上面に、フリーボールベアリングやブラシが形成されてもよい。支持装置80は、図18では2カ所に記載しているが、所定間隔で複数配置され、配置数は任意に設定可能である。
図18(A)に示すように、支持装置80が縮んだ状態では、筒状体81、82、83がパレット13の移動に干渉しない位置まで−Y方向に退避している。また、不図示の駆動部を駆動することにより、筒状体81、82、83は、それぞれ+Y方向に移動し、図18(B)に示すように、パレット13の支持プレート13b間に入り込んだ状態で伸長する。この状態で、パレット13を下方に移動させることにより、図18(C)に示すように、支持プレート13bの上端部13cに載置されていたワークWは、筒状体81、82、83上に移載される。なお、パレット13を下方に移動させることに代えて、支持装置80を上方に移動させることによりワークWを筒状体81等上に移載させてもよい。この状態で搬送装置24によりワークWを搬送することが可能となる。
上記した支持装置60、70、80のように、支持装置の他の例を示したが、支持装置としてこれらの例に限定されず、パレット13の支持プレート13bからワークWを移載することが可能な機構は支持装置として全て適用可能である。
図19は、支持装置で支持されたワークを搬送装置が保持した例を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。なお、図19及び次の図20においては、図16に示す支持装置60を例として説明しているが、図17や図18に示す支持装置70、80が使用されてもよい。また、図19及び図20において、支持装置60の軸部61は省略している。図19(A)及び(B)に示すように、第2加工領域30Rを挟んで第1加工領域10Rの反対側に、搬送装置24によって搬送されるワークWを載置するテーブル90を備えている。テーブル90の表面90aには、例えば、複数のブラシ部91が所定間隔で設けされている。なお、ブラシ部91に代えてフリーボールベアリングが配置されてもよい。
また、図19(B)に示すように、ブラシ部91の上端は、支持装置60のフリーボールベアリング63の上端と同一面となるように設定されている。搬送装置24は、テーブル90上を+Y方向に移動して、プレート26の複数のワークホルダ27によりワークWの−Y側端部を保持する。
ワークホルダ27によりワークWを保持した状態で、搬送装置24を−Y方向に移動させることによりワークWを−Y方向に移送する。図20は、ワークWを搬送装置24で搬送する例を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。図20(A)及び(B)に示すように、ワークWは、支持装置60に支持されつつ、テーブル90のブラシ部91に載置された状態となって移送される。なお、ワークWの一部を第2加工領域30Rに位置決めして、第2加工装置30(図1等参照)により加工することが可能な点は、上記と同様である。
第2加工装置30によるワークWの加工が終了した場合、例えば、搬送装置24によってワークWを+Y方向に移動させ、図19に示すように、支持装置60によりワークWを支持させてもよい。その後、パレット13を上昇させてワークWを支持装置60から支持プレート13bに持ち替えることにより、ワークWをパレット13により搬出可能である。なお、ワークWをパレット13に移送することは任意であり、テーブル90上から他の場所にワークWを搬送してもよく、また、テーブル90上においてワークWから製品を抜き出すなど、仕分けを行ってもよい。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記の各実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記した実施形態では、複数の上型37及び下型38が上型支持ブロック39及び下型支持ブロック40に保持されているが、これに限定されない。例えば、複数の上型37及び下型38のそれぞれが円盤状のタレットにより保持され、このタレットがガイド33によってX方向に移動可能としたものでもよい。
また、上記した実施形態では、成形ヘッド40bが下側支持ブロック40内に配置されるが、これに限定されない。例えば、成形ヘッド40bが下型支持ブロック40の下方に配置され、支持ブロック40と別にガイド等により移動可能に形成されてもよい。
また、上記した実施形態において、パレット13を用いてワークWを搬入及び搬出することに限定されない。例えば、ワークWを搬送可能なローダ装置によって第1加工領域10RにワークWを搬入してもよい。この場合、第1加工領域10Rには、支持プレート13bに相当する支持部が形成される。また、加工済みのワークWは、パレット13に第1加工領域10Rから搬出されるが、これに限定されず、第1加工領域10RにおいてワークW中から製品をピックアップするように仕分け作業を行ってもよい。
また、上記した実施形態では、タップ工具36がプレス工具35の−X側に配置されているが、これに代えて、プレス工具35の+X側に配置されてもよく、また、プレス工具35の+X側及び−X側の双方に配置されてもよい。