以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部または全部を模式的に記載するとともに、一部分を大きくまたは強調して記載する等適宜縮尺を変更して表現した部分を含んでいる。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に平行な任意の方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。なお、本実施形態においては、Y方向を横方向と表記する。XY平面に垂直な方向はZ方向(上下方向)と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<プレスドライブ機構>
図1〜図3は、実施形態に係るプレスドライブ機構1の一例を示す図である。図1は、プレスドライブ機構1を−Y方向から見た正面図である。図2は、プレスドライブ機構1を−X方向から見た側面図である。図3は、プレスドライブ機構1の斜視図である。なお、図2及び図3においては、後述するケーブル保護部材36の記載を省略している。プレスドライブ機構1は、図1〜図3に示すように、フレーム2と、ラム支持体3と、ラム支持体ガイド4と、ラム5と、工具支持体ガイド27と、工具支持体6と、連結機構7と、検出部8と、下型支持体9と、を備える。このプレスドライブ機構1は、板状のワークWを加工するためのプレス工具10を駆動する。
フレーム2は、縦フレーム2aと、横フレーム2bと、を備える。縦フレーム2aは、上下方向に起立しかつX方向に伸びる板状の部材である。縦フレーム2aは、一枚の金属部材から形成されており、プレス加工するために十分な強度を有するように、材質及び板厚などが設定される。縦フレーム2aは、プレスドライブ機構1の各部を支持する。また、縦フレーム2aには、開口部12が設けられる。開口部12は、ワークWの他に、後述する搬送装置51の一部、及びフォーク装置65を通過可能に形成される。なお、縦フレーム2aを一枚の金属部材とすることに限定されない。例えば、複数の板状部材で構成されてもよく、また、複数の棒状部材を組み合わせて構成されてもよい。
横フレーム2bは、縦フレーム2aから横方向に延びて形成される。横フレーム2bは、縦フレーム2aの上方の−Y側に設けられる。横フレーム2bは、X方向及びY方向に延びる板状の部材である。上記のように、縦フレーム2aを板状の部材とし、かつ、横フレーム2bが縦フレームから延びて形成される場合、コンパクトかつ十分な強度で、プレスドライブ機構を支持することができる。なお、横フレーム2bは、後述するラム支持体3を吊り下げた状態で支持する。
斜めリブ13は、横フレーム2bの端部と縦フレーム2aの上部とを接続する。斜めリブ13は、横フレーム2bの端部を縦フレーム2aに溶接あるいはボルト等により固定され、横フレーム2bの強度を向上させる。斜めリブ13は、縦フレーム2aの上部側に配置される。斜めリブ13は、板状の部材であり、上下方向(Z方向)に対して傾斜した状態で配置され、縦フレーム2a及び横フレーム2bのそれぞれに対しても傾斜している。なお、斜めリブ13は、横フレーム2bのX方向にわたって1枚の板状部材が用いられるが、これに限定されず、横フレーム2bのX方向において部分的に形成されてもよい。また、斜めリブ13の上下方向に対する角度は任意であるが、例えば、30度〜60度の範囲に設定される。
斜めリブ13の上面には、内部に電源ケーブル等を収容したケーブル保護部材15が配置される。ケーブル保護部材15は、一端が後述する昇降駆動部18等と接続され、かつ、他端が斜めリブ13の上面に固定され、昇降駆動部18等に接続される電源ケーブル等を収容する。なお、ケーブル保護部材15は、電源ケーブルの他に配管などが収容される。ケーブル保護部材15は、昇降駆動部18等のX方向の移動に追従して変形可能である。
本実施形態では、斜めリブ13により横フレーム2bを補強するため、斜めリブ13の平面状の上面をケーブル保護部材15の配置場所として有効に利用することができる。また、斜めリブ13の下方は、斜めリブ13と縦フレーム2aと縦フレーム2aとで囲まれたX方向の空間が形成される。この空間を各種部品の収容空間等として利用することができる。
ラム支持体ガイド4は、後述するラム支持体3をガイドする。ラム支持体ガイド4は、横フレーム2bの下部に、X方向に沿って形成される。ラム支持体ガイド4は、ラム支持体3の上部を支持し、ラム支持体3をX方向にガイドする。ラム支持体ガイド4は、後述するラム5の加工軸AX2のほぼ真上となるように配置される。これにより、プレス加工の際に生じる反力をラム支持体ガイド4で効率よく受けることができる。なお、ラム支持体ガイド4は、2本以上配置されてもよい。ラム支持体ガイド4を複数配置する場合、いずれか1本が加工軸AX2のほぼ真上に配置されてもよく、また、複数のラム支持体ガイド4を、加工軸AXを挟んで配置させ、バランスよく反力を受けるようにしてもよい。
ラム支持体3は、フレーム17と、昇降駆動部18と、ラム支持部24と、を備える。フレーム17は、ラム5を駆動する昇降駆動部18を支持する。フレーム17は、縦部分17aと、横部分17bと、を備える。縦部分17aは、縦フレーム2aに沿って形成され、横部分17bは、縦部分17aの上部からY方向に延びて形成される。縦部分17aは、ラム支持体ガイド4と接続され、ラム支持体3を、ラム支持体ガイド4に吊り下げた状態でX方向にガイドする。ラム支持体3がラム支持体ガイド4に吊り下げられるため、例えば、ラム5の側方でガイドすることと比較してコンパクトにすることができる。
昇降駆動部18は、ラム5を昇降させる。昇降駆動部18は、駆動装置19と、駆動力伝達部20と、を備える。ラム支持体3が昇降駆動部18を備えることにより、昇降駆動部18を他の部分に設置することと比較して、機構をコンパクトにすることができる。駆動装置19は、例えば電動モータが使用される。駆動装置19は、横部分17bの上面であって−Y側に支持される。
駆動力伝達部20は、ベルト21と、ボールねじ22と、を備える。ベルト21は、駆動装置19からボールねじ22にわたって架け渡され、駆動装置19の駆動力をボールねじ22に伝達する。ボールねじ22は、上下方向に沿って配置される。ボールねじ22の上端部分は、支持部材23を介して、縦部分17aに支持される。ボールねじ22には、不図示のナットが接続される。このナットは、ボールねじ22の回転により昇降する。ナットにはラム5が取り付けられており、ナットの昇降によりラム5が昇降する。なお、昇降駆動部18は、ラム5を昇降させるものであれば、上記したボールねじ22を有する機構に限定されない。例えば、昇降駆動部18は、油圧シリンダ装置あるいは空圧シリンダ装置などのアクチュエータが用いられてもよい。
ラム5は、下降することにより、後述するプレス工具10を駆動する。ラム5は、円筒状に形成され、昇降駆動部18により、昇降軸AX1に沿って昇降する。昇降軸AX1は、ボールねじ22の長手方向の軸とほぼ一致する。昇降軸AX1は、上下方向の軸である。ラム5が下降してプレス工具10を下降させることにより、ワークWに対するプレス加工(成形加工または打ち抜き加工)が行われる。ラム5の下端部分は、後述するプレス工具10の上端部分に対応して形成される。これにより、ラム5が下降した際、ラム5とプレス工具10とを正確に接続できる。
ラム支持部24は、ラム5を支持する。ラム支持部24は、縦部分17aの−Y側に設けられる。ラム支持部24は、縦部分17aに設けられる上下方向のガイド25を介して縦部分17aに接続され、縦部分17aに対して上下方向に移動可能である。ガイド25は、ラム支持部24の+X側及び−X側に配置される。ラム支持部24は、ラム5の昇降に伴って上下方向に移動する。
なお、プレス加工を行う際、ラム5は上方への反力を受ける。本実施形態においては、ラム支持体ガイド4のほぼ下方に設定された昇降軸AX1に沿ってラム5が昇降するので、プレス工具10の反力をラム支持体ガイド4で受けることになり、簡単な構成でプレス工具10を精度よく駆動させることによりワークWに対する加工精度を向上させることができる。また、反力を受けるために複雑な構成が不要となり、機構をコンパクトにすることができる。
工具支持体ガイド27は、後述する工具支持体6をガイドする。工具支持体ガイド27は、縦フレーム2aのラム支持体3の下方においてラム支持体3の移動方向と平行な方向(X方向)に沿って、上下に2本形成される。なお、工具支持体ガイド27は、1本でもよいし、また、3本以上でもよい。
工具支持体6は、複数のプレス工具10を支持可能である。プレス工具10は、例えば、プレス加工における上型である。工具支持体6は、縦部分28と下部分29とを備えるL字状に形成される。縦部分28は、上下方向に延びて形成される。下部分29は、縦部分28の下部から横(Y方向)に延びて形成される。下部分29は、X方向に沿って、複数のプレス工具10を支持可能である。工具支持体6は、縦部分28と下部分29とを備えるL字状に形成されるので、簡単な構成で複数のプレス工具10を安定して支持することができる。
下部分29は、ラム5によってプレス工具10のいずれかを下降させた際、プレス工具10の下端部分が下部分29から下方に突出するように支持する。各プレス工具10は、それぞれ、不図示の支持部材を介して、弾性部材31と接続されている。弾性部材31は各プレス工具10を弾性的に支持しており、各プレス工具10は、弾性部材31を圧縮しながら下降する。従って、各プレス工具10は、ラム5が上昇した場合、弾性部材31の弾性力により元の位置まで上昇する。
下部分29における縦部分28からプレス工具10の加工軸AX2までの長さL1は、縦部分28の縦方向の長さL2より短く設定される。なお、加工軸AX2とは、プレス工具10がプレス加工を行う軸である。加工軸AX2は、昇降軸AX1とほぼ同軸である。上記のように長さL1が、長さL2より短く設定されるので、プレス工具10を支持する下部分29の強度を向上させ、プレス工具10を安定して駆動できる。また、剛性が高い縦フレーム2aに対して加工軸AX2が近くなるので、プレス工具10の駆動精度を向上できる。
縦部分28の+Y側は、工具支持体ガイド27に接続される。工具支持体6は、工具支持体ガイド27に沿ってX方向に移動可能である。工具支持体6は、工具支持体6を駆動する走行駆動部35を備え、走行駆動部35により、工具支持体ガイド27に沿ってX方向に走行する。走行駆動部35は、例えば、電動モータなどが使用される。工具支持体6は、移動方向に沿って複数のプレス工具10を支持可能であり、かつ複数のプレス工具10を配列した延長線上に走行駆動部35を備える。これにより、走行駆動部35が工具支持体6からY方向に出っ張ることを防止し、また、走行駆動部35を他に配置することと比較してコンパクトにすることができる。工具支持体6が移動することにより複数のプレス工具10のいずれかをラム5の昇降軸AX1に対して容易に選択することができる。
走行駆動部35は、工具支持体6のうちメンテナンス領域M側から離れて配置される(図3参照)。本実施形態においては、メンテナンス領域Mは縦フレーム2aの−X側に設定され、走行駆動部35は工具支持体6のうち+X側に配置される。これにより、工具支持体6に対してプレス工具10の交換などのメンテナンスの際、走行駆動部35がじゃまになるのを防止できる。
下部分29とラム支持体3とは、ケーブル保護部材36により接続される(図1参照)。これにより、走行駆動部35に対する電力供給は、ケーブル保護部材36に収容された電源ケーブル等を介して行われる。なお、走行駆動部35に対する電力供給は、ラム支持体3を介することに限定されず、他の箇所から行ってもよい。なお、工具支持体6とラム支持体3とは、ケーブル保護部材36により接続されており、両者の相対的な移動は、ケーブル保護部材36の変形可能な範囲となる。
連結機構7は、複数の孔部38と、ピン39と、を有する。複数の孔部38は、工具支持体6に設けられる。複数の孔部38は、複数のプレス工具10に対応して工具支持体6に設けられる。例えば、図1に示すように、複数の孔部38のうち孔部38aは、複数のプレス工具10のうちのプレス工具10aに対応する。なお、孔部40は、プレス工具10に対応しないものであり、工具支持体6の+X側に配置される。孔部40は工具支持体6の走行時等に使用される。ピン39は、ラム支持体3の下部に設けられ、複数の孔部38のいずれかに挿入可能である。また、ピン39は孔部40に挿入可能である。ピン39は、Y方向に移動可能に形成される。ピン39は、ラム支持体3に設けられたピン駆動部41により−Y方向に移動し、孔部38のいずれかに挿入される。連結機構7は、ピン39が複数の孔部38のいずれかに挿入されることにより、工具支持体6とラム支持体3とを連結する。連結機構7が工具支持体6とラム支持体3とを連結する場合、走行駆動部35の駆動により工具支持体6及びラム支持体3の双方が移動可能になる。これにより、ラム支持体3を個別に移動させるための駆動部が不要となり、コストを低減しつつ、ラム支持体3をコンパクトにすることができる。
連結機構7は、複数の孔部38のいずれかにピン39を挿入することにより、所望のプレス工具10を選択した状態で工具支持体6とラム支持体3とを連結する。先ず、ピン39を孔部38から抜いた状態で走行駆動部35を駆動し、ラム支持体3に対して工具支持体6を移動させる。続いて、ラム5の昇降軸AX1を所望のプレス工具10aに合わせた状態で走行駆動部35を停止させ、ピン駆動部41を駆動してピン39を対応する孔部38aに挿入させる。以上の手順により所望のプレス工具10aが選択される。このように、連結機構7は、複数の孔部38とピン39とを用いて連結箇所を選ぶことにより、簡単な構成で複数のプレス工具10のいずれかを効率よく選択することができる。なお、上記では、工具支持体6に孔部38が設けられ、ラム支持体3にピン39が設けられているが、これに限定されず、工具支持体6にピン39が設けられ、ラム支持体3に孔部38が設けられてもよい。
検出部8は、複数のプレス工具10のうちいずれが選択されたかを検出する。検出部8は、被検出体(ドグ)8aと、近接センサ8bと、リードスイッチ8cと、を備える。被検出体8aは、各孔部38の下方に設けられる。近接センサ8bは、ピン駆動部41の下部において所定間隔でX方向に並ぶように3カ所に設けられ、それぞれ被検出体8aの近接を非接触で検出可能である。リードスイッチ8cは、例えばシリンダ装置などのピン駆動部41の一部に設けられ、ピン39の突出を検出可能である。
図4は、検出部8の一例を示す図であり、(A)は−Y方向から見た図、(B)は平面図、(C)は被検出体8aのパターンを示す図である。なお、図4(A)及び(B)に示す例では、3つの被検出体8aが、3つの近接センサ8bに対応する間隔でX方向に並んで設けられた例を示している。また、図4(A)及び(B)に示すように、被検出体8aは、各孔部38の下方において縦部分28から−Y方向に突出して設けられる。従って、近接センサ8bが図4(A)に示すように−X方向に移動して、図4(B)に示すように孔部38の下方に達した場合、各近接センサ8bは、被検出体8aとそれぞれ近接することにより3つの被検出体8aを検出する。
被検出体8aは、各孔部38に特有のパターンが設けられる。3つの近接センサ8bに対向可能な3カ所について、それぞれ被検出体8aが設けられるか否かによってパターンが決定される。被検出体8aを3カ所に配置可能な場合は、図4(C)に示すように、パターンP1〜P8の8種類が利用可能である。これらパターンP1〜P8は、孔部38のいずれかの下方にそれぞれ設けられる。3つの近接センサ8bが孔部38の下方に達した際に、パターンP1〜P8によって(3つの被検出体8aの有無によって)孔部38が識別される。
また、ピン駆動部41によりピン39を駆動することにより、リードスイッチ8cによってピン39を孔部38に挿入したことが検出される。検出部8は、上記のように孔部38の識別と、ピン39の駆動の検出とによって、複数の孔部38のうち、どの孔部38にピン39が挿入されたかを検出する。検出部8の検出結果を確認することにより、選択されたプレス工具10を容易に認識することができる。なお、検出部8は、上記した構成に限定されない。例えば、被検出体8a及び近接センサ8bは、それぞれ2つでもよく、また、4つ以上であってもよい。また、検出部8は、被検出体8a、近接センサ8b、及びリードスイッチ8cを備える構成に限定されず、選択したプレス工具10を識別可能な任意の検出機構を用いることができる。ただし、検出部8を備えるか否かは任意である。
図1〜図3に戻り、下型支持体ガイド42は、後述する下型支持体9をガイドする。下型支持体ガイド42は、縦フレーム2aの下部から−Y方向に延びる支持部材43の上面に設けられており、X方向に沿って2本形成される。なお、下型支持体ガイド42は、1本であってもよく、また、3本以上でもよい。
下型支持体9は、プレス工具としての複数の下型44を支持可能である。下型支持体9は、下型支持体ガイド42によってX方向にガイドされる。下型支持体9は、駆動装置45を備え、X方向に移動可能である。駆動装置45は、例えば、電動モータ等が使用される。下型支持体9は、複数の下型44を移動方向(X方向)に沿って支持する。下型支持体9のX方向への移動により、複数の下型44のうち、プレス加工に使用するものが選択される。なお、複数の下型44は、複数のプレス工具10に対応して並んで配置されてもよい。また、駆動装置45は、メンテナンス領域Mから離れて配置される。これにより、下型支持体9における下型44の交換等のメンテナンスの際、駆動装置45がじゃまになるのを防止できる。
また、プレスドライブ機構1の各部は、不図示の制御部により制御される。この制御部は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、ハードディスク等の記憶装置、各種制御に必要なプログラム等を備えている。制御部は、例えば、ラム支持体3の走行、工具支持体6の走行、下型支持体9の走行、昇降駆動部18の動作、連結機構7の動作等を制御する。
次に、プレスドライブ機構1の動作を説明する。図5及び図6は、プレスドライブ機構1の動作の一例を示す図である。ただし、以下の説明は一例であって、プレスドライブ機構1の動作を限定するものではない。プレス加工を行う際、図5(A)に示すように、工具支持体6及びラム支持体3は、連結機構7により連結された状態で走行駆動部35の駆動によりX方向に走行し、ワークWの所定位置にラム5の昇降軸AX1を合わせる。なお、図5(A)においては、ピン39が孔部40に挿入されており、プレス工具10が選択されていない。以下では、複数のプレス工具10のうち、プレス工具10bを選択する場合を例として説明する。
先ず、ピン39を孔部40から抜くことにより、工具支持体6とラム支持体3との連結を解除する。この解除は検出部8のリードスイッチ8c(図2参照)により検出される。続いて、図5(B)に示すように、走行駆動部35を駆動して工具支持体6のみを+X方向に移動させ、昇降軸AX1をプレス工具10bに合わせて停止させる。この位置でピン39を孔部38bに挿入することにより、プレス工具10bを選択した状態で工具支持体6とラム支持体3とが連結される。このとき、ラム5の昇降軸AX1と、プレス工具10bの加工軸AX2とがほぼ同軸となる。なお、他のプレス工具10を選択する場合も同様である。また、孔部38bへのピン39の挿入は検出部8のリードスイッチ8cにより検出され、検出部8の近接センサ8bによりプレス工具10bが選択されたことが検出される。
続いて、図6(A)に示すように、下型支持体9が駆動装置45により走行し、プレス工具10bに対応する下型44を加工軸AX2に合わせて停止させる。この停止位置は、不図示の検出装置により検出される。また、下型支持体9の走行及び停止は、工具支持体6及びラム支持体3の走行中に行ってもよく、また、上記したプレス工具10の選択中に行ってもよい。
続いて、図6(B)に示すように、昇降駆動部18を駆動してラム5を昇降軸AX1に沿って下降させる。ラム5の下降によりプレス工具10bが下降し、プレス工具10bと下型44とによってワークWの所定部分がプレス加工される。プレス加工の後、昇降駆動部18を駆動してラム5を上昇させることにより、プレス工具10bは弾性部材31により上昇して元の位置に戻る。以上の動作が繰り返されることにより、ワークWの複数個所にプレス加工を行うことができる。その際、プレス工具10を加工箇所に応じて容易に変更することができる。
以上のように、本実施形態によれば、ラム支持体3ガイドのほぼ下方に設定された昇降軸AX1に沿ってラム5が昇降するので、プレス工具10の反力をラム支持体ガイド4で受けることになり、簡単な構成でプレス工具10を精度よく駆動させることによりワークWに対する加工精度を向上させることができる。また、ラム支持体ガイド4がラム5の上方に設定され、かつ、プレス工具の反力をラム支持体ガイドで受けるので、反力を受けるために複雑な構成が不要となり、機構をコンパクトにすることができる。
<プレス機械>
次に、プレス機械100について説明する。図7及び図8は、実施形態に係るプレス機械の一例を示す図である。図7は、プレス機械100の平面図であり、図8は、プレス機械100の斜視図である。プレス機械100は、図7及び図8に示すように、プレスドライブ機構1と、固定テーブル50と、搬送装置51と、を備える。プレス機械100は、例えば、金属製の矩形板状のワークWの一部に対してプレス加工(成形加工や打ち抜き加工)を行う。なお、プレスドライブ機構1は、上記したものと同様である。
固定テーブル50は、ワークWを支持する。固定テーブル50は、プレス機械100の−Y側及び+Y側に配置される。固定テーブル50は、例えば、X方向に延びる基部50aと、Y方向に延びる複数の棒状部50bと、を備える。基部50aは、棒状部50bを支持する。棒状部50bは、上面でワークWを支持する。棒状部50bの上面には、不図示のブラシ部やフリーボールベアリング(ボールが全方向に転動可能)が所定間隔で設けられ、ワークWを搬送する際の抵抗を低減し、ワークWの下面に傷が付くのを抑制してもよい。なお、固定テーブル50は、複数の棒状部50bを持つものに代えて、板状のものでもよい。
搬送装置51は、開口部12を介してワークWをY方向に搬送し、ワークWをY方向に位置決めする。搬送装置51は、固定テーブル50上においてY方向に移動可能である。搬送装置51は、例えば、キャリッジ51aと、プレート51bと、ワークホルダ51cと、を有している。キャリッジ51aは、不図示の駆動装置により一対のガイド54に沿ってY方向に移動可能に形成される。矩形状のプレート51bは、キャリッジ51aの+Y側の側面に固定される。プレート51bのX方向の長さは、例えば、ワークWのX方向の長さに対応して設定される。プレート51bのY方向の長さは、例えば、+Y側の固定テーブル50上のワークWをワークホルダ51cで把持可能な長さに設定される。なお、プレート51bあるいはワークホルダ51cは、交換可能であってもよいし、X方向に移動可能であってもよい。
ワークホルダ51cは、プレート51bの+Y側から突出した状態で、X方向に間隔を空けて3箇所に設けられる。各ワークホルダ51cは、不図示の駆動装置によりワークWの端部を挟み込んで把持または解放可能な構成が採用される。なお、ワークホルダ51cの個数は任意である。また、ワークホルダ51cは、ワークWを把持するものに代えて、ワークWの一部を吸着するものが使用されてもよい。
プレス機械100は、ワークWを加工する領域として第2加工領域R2を有する。ワークWは、搬送装置51のワークホルダ51cに把持されてY方向に移動し、第2加工領域R2においてY方向に位置決めされる。第2加工領域R2において位置決めされたワークWは、プレス工具10によってプレス加工される。プレス工具10を駆動する機構として、プレスドライブ機構1が用いられる。プレスドライブ機構1によってプレス工具10を駆動し、ワークWの一部にプレス加工を行う点は上記と同様である。
このように、プレス機械100によれば、上記したプレスドライブ機構1を備えるので、ワークWに対する加工精度に優れ、かつ、機械全体をコンパクトにすることができる。 なお、プレス機械100は、プレス加工以外の加工を行う加工装置を備えてもよい。例えば、プレス機械100は、ワークWに対してタップ加工を行うためのタップ装置を備えてもよい。
<板材加工システム>
次に、板材加工システム200について説明する。図9及び図10は、板材加工システム200の一例を示す図であり、図9は、板材加工システム200の平面図であり、図10は、板材加工システム200の斜視図である。板材加工システム200は、板状のワークWを加工するレーザヘッド59を有するレーザ加工装置56と、レーザ加工装置56に配置されたワークWを搬送する搬送装置51と、を備え、搬送装置51によりレーザ加工装置56からワークWを搬送する途中に、プレス機械100、を備える。
板材加工システム200は、ワークWに対してレーザ加工装置56の第1加工領域R1でレーザ加工を行い、プレス機械100の加工領域(第2加工領域)R2でプレス加工を行う。レーザ加工装置56は、フレーム57に開口部58を備える。プレス機械100は、開口部12を備える。搬送装置51は、ワークホルダ51cによりワークWを把持して、レーザ加工装置56の開口部58及びプレス機械100の開口部12を介して、レーザ加工装置56とプレス機械100との間においてワークWを搬送する。
レーザ加工装置56は、図9及び図10に示すように、第1加工領域R1において、ワークWに対してレーザ加工を施すことにより、ワークWの一部を所望の形状の製品に切断する。レーザ加工装置56は、フレーム57と、レーザヘッド59と、ヘッド駆動部60と、加工パレット62と、を備える。
レーザヘッド59は、下方にレーザ光を射出する射出部(不図示)を有する。レーザヘッド59は、光ファイバなどの光伝送体(不図示)を介してレーザ光源(不図示)に接続される。レーザ光源としては、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源が用いられる。これにより、例えば炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られるため、高速で切断等を行うことが可能となる。
レーザヘッド59は、ヘッド駆動部60により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。なお、レーザヘッド59がX方向及びY方向に移動する範囲を含んで第1加工領域R1が設定される。レーザ加工装置56は、第1加工領域R1に配置されたワークWに対してレーザヘッド59を移動させて加工を行うので、ワークWの加工を高速で行うことができる。
ヘッド駆動部60は、ガントリー60aと、スライダ60bと、昇降部60cとを有する。ガントリー60aは、Y方向に沿って配置され、一対のガイドレール60d上に配置される。一対のガイドレール60dは、第1加工領域R1をY方向に挟んでX方向に沿って互いに平行に配置されるように、後述するメインフレーム57aの上面側に形成される。ヘッド駆動部60は、例えばボールねじ機構など、ガントリー60aをX方向に移動させる不図示の駆動機構を有する。ガントリー60aは、この駆動機構により、ガイドレール60dに沿ってX方向に移動可能である。
ガントリー60aの上面(+Z側の面)には、ガイド60eが設けられる。ガイド60eは、Y方向に沿って形成され、スライダ60bを案内する。スライダ60bは、ガントリー60aの上面から−X側の面にわたって配置される。ヘッド駆動部60は、例えばボールねじ機構など、スライダ60bをY方向に移動させる不図示の駆動機構を有する。スライダ60bは、この駆動機構により、ガイド60eに沿ってY方向に移動可能である。なお、スライダ60bを案内するガイドが、ガントリー60aの−X側の面に形成されてもよい。
スライダ60bの−X側の面には、ガイド60fが設けられる。ガイド60fは、上下方向に沿って形成され、昇降部60cを案内する。昇降部60cは、スライダ60bの−X側の面上に配置される。ヘッド駆動部60は、例えばボールねじ機構など、昇降部60cを上下方向に移動させる不図示の駆動機構を有する。昇降部60cは、この駆動機構により、ガイド60fに沿って上下方向に移動可能である。
上記レーザヘッド59は、昇降部60cの下部に保持される。ガントリー60aがX方向に移動することでレーザヘッド59、スライダ60b及び昇降部60cが一体となりX方向に移動する。スライダ60bがY方向に移動することでレーザヘッド59及び昇降部60cが一体となりY方向に移動する。昇降部60cが上下方向に移動することでレーザヘッド59が上下方向に移動する。これにより、レーザヘッド59は、第1加工領域R1の上方をX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。なお、ヘッド駆動部60は、上記した構成に限定されない。例えば、ロボットアームによりレーザヘッド59をX、Y、Z方向に移動させるものでもよい。また、レーザヘッド59を移動させる代わりに、ワークWを移動させてもよいし、レーザヘッド59及びワークWの双方を移動させてもよい。
加工パレット62は、ベースプレート62a及び支持プレート(支持部)62bを有する。支持プレート62bは、矩形状のベースプレート62aの上面に立った状態でX方向に沿って配置される。支持プレート62bは、その上端部でワークWの下面を支持する。支持プレート62bは、X方向に並んで複数設けられる。各支持プレート62bの上端部は、例えば鋸歯状に形成される。これにより、各支持プレート62bは、ワークWに対する接触面積を小さくし、レーザ加工によってワークWが支持プレート62bに溶着することを抑制することができる。各支持プレート62bの上端部は、ベースプレート62aからの高さが(Z方向の位置)が同一となるように形成される。
複数の支持プレート62bの上には、ワークWが載置される。各支持プレート62bの上端部の高さがほぼ同一であるため、ワークWは、ほぼ水平に載置される。なお、各支持プレート62bの上端部は、図示のような鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状や波形状としてもよい。また、加工パレット62は、複数の支持プレート62bを用いることに限定されず、例えば、複数のピンがベースプレート62a上に起立した状態で配置されたものでもよい。また、加工パレット62は、下面に不図示の車輪を備え、不図示の駆動装置によってX方向に走行可能でもよい。
第1加工領域R1は、フレーム57により囲まれた状態で設定される。図9に示すように、フレーム57は、上下方向に起立しかつX方向に伸びる板状の2つのメインフレーム57aと、2つのメインフレーム57aの下部において両者を連結する下部フレーム57bと、を備える。メインフレーム57aは、第1加工領域の+Y側及び−Y側のそれぞれに、X方向に沿って配置され、ヘッド駆動部60を支持する。下部フレーム57bは、第1加工領域R1の下部に配置され、加工パレット62を支持する。なお、フレーム57の構成は任意であり、メインフレーム57aや下部フレーム57b形状、大きさ及び数は、任意である。また、フレーム57は、加工パレット62を昇降させるための昇降装置を備えてもよい。
−Y側に配置されたメインフレーム57aは、ワークW及び後述する搬送装置51の一部が通過可能な開口部58を備える。ワークWは、この開口部58を介して、搬送装置51により、第1加工領域R1と第2加工領域R2との間を搬送される。開口部58は、−Y方向から見てX方向に長い矩形状であって、Y方向に貫通する形状である。なお、開口部58の形状は、ワークW及び搬送装置51の一部、後述するフォーク装置65の一部が通過可能であれば特に限定するものではなく、任意の形状とすることができる。
搬送装置51は、図9及び図10に示すように、レーザ加工装置56及びプレス機械100に跨ってワークWをY方向に搬送する。搬送装置51は、図7及び図8に示したものと同様である。搬送装置51は、ワークホルダ51cによってワークWを保持した状態でY方向に移動することにより、ワークWをY方向に搬送する。第2加工領域R2は、搬送装置51によるワークWの搬送経路の一部に配置される。これにより、搬送装置51は、ワークWを第1加工領域R1及び第2加工領域R2のそれぞれに搬送できる。また、搬送装置51は、ワークホルダ51cにより第1加工領域R1のワークWを保持する。これにより、レーザ加工装置56においてレーザ加工時にワークWの位置ズレを防止し、レーザヘッド59による加工位置の精度を確保することができる。
プレス機械100は、+Y側の固定テーブル50を除いて、図7及び図8に示すものと同様である。プレス機械100は、プレスドライブ機構1によって駆動するプレス工具10を備え、搬送装置51によって第2加工領域R2に位置決めされたワークWに対してプレス加工を行う。
また、板材加工システム200は、フォーク装置65を備える。フォーク装置65は、レーザ加工装置56の第1加工領域R1において加工パレット62上のワークWを受け取って、支持テーブルとして機能する。フォーク装置65は、基部65aと、腕部65bとを有する。基部65aは、X方向に延びて形成される。腕部65bは、棒状であり、基部65aの上面にX方向に複数並んで設けられる。フォーク装置の腕部65bと上記した固定テーブル50の棒状部50bとは、交互に配置される。フォーク装置65の腕部65bの上面には、不図示のブラシ部あるいはフリーボールベアリングが所定間隔で設けられ、ワークWの搬送時の抵抗を低減してワークWの下面に傷が付くのを抑制してもよい。
フォーク装置65は、不図示の駆動装置及び不図示のガイドを備え、フォーク装置65の少なくとも一部が待機領域R3(図9参照)から第1加工領域R1に対して進退可能である。待機領域R3は、第1加工領域R1の−Y側に配置されている。
板材加工システム200は、不図示の制御部を有する。制御部は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、ハードディスク等の記憶装置を備える。記憶装置は、各種制御に必要なプログラム等が記憶される。制御部は、例えば、レーザ加工装置56のレーザヘッド59の位置やレーザの出力、フォーク装置65の駆動、搬送装置51の駆動、プレス機械100の各動作等を制御する。
次に、板材加工システム200の動作を説明する。図11及び図12は、板材加工システム200の動作の一例を示す図である。ただし、以下の説明は一例であって、板材加工システム200の動作を限定するものではない。図11(A)に示すように、ワークWを載置した加工パレット62がレーザ加工装置56に搬入される。加工パレット62は、例えば、外部から−X方向に走行してワークWを搬入する。加工パレット62に載置されたワークWは、第1加工領域R1に配置される。
次に、図11(B)に示すように、搬送装置51は、+Y方向に移動して、ワークホルダ51cによりワークWの−Y側の端部を把持する。続いて、レーザ加工装置56は、第1加工領域R1に配置されたワークWをレーザ加工する。レーザ加工装置56は、レーザヘッド59をワークWに対して相対的に移動させ、レーザ光を照射することによりワークWを加工する。なお、レーザ加工時において、ワークホルダ51cでワークWを把持せずに、搬送装置51を−Y側に移動させてもよい。次に、図11(C)に示すように、フォーク装置65を待機領域R3(図9参照)から+Y方向に移動させて、腕部65bをワークWの下方に配置する。
次に、図12(A)に示すように、加工パレット62を下降させる。これにより、ワークWは加工パレット62の支持プレート62b上から腕部65b上に移載される。なお、本実施形態では、フォーク装置65がワークWを加工パレット62から受け取るが、これに限定されない。例えば、ワークWの下方に配置された他の支持装置が上昇しつつ加工パレット62が下降し、この支持装置上にワークWを移載してもよい。次に、図12(B)に示すように、ワークWは、搬送装置51によって、ワークWの搬送途中に設定された第2加工領域R2に配置される。ワークWは、所定部分が第2加工領域R2において位置決めされ、プレス機械100によってプレス加工される。プレス加工は、プレスドライブ機構1によってプレス工具10を駆動することによりワークWの所定部分に行う。
プレス機械100によるプレス加工の後、ワークWは、待機領域R3に搬送された後、他の搬送装置によって外部に搬送されてもよく、また、再度+Y方向に搬送されてレーザ加工装置56によってレーザ加工が行われてもよい。また、再度レーザ加工を行ったワークWは、加工パレット62に載置された状態でレーザ加工装置56の外側に搬送されてもよい。
このように、板材加工システム200によれば、上記したプレス機械100を備えるので、ワークWに対するプレス加工の加工精度に優れ、かつ、システム全体をコンパクトにすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記した実施形態で説明した事項の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態において、ラム支持体3は、ラム支持体3上方のラム支持体ガイド4によってガイドされるが、このラム支持体ガイド4に加えて、例えばラム支持体3の+Y側(縦フレーム2a)にもガイドが配置され、ラム支持体ガイド4と併せてX方向にガイドされてもよい。