以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、電子部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が示される。Z方向は、電子部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
まず図1,2を参照して、電子部品実装装置1の構成を説明する。電子部品実装装置1は、電子部品(以下、単に「部品P」と称す。)を基板に移送して実装する機能を有する。図1において、基台2の上面には、基板搬送機構3がX方向に配設されている。基板搬送機構3は、部品実装対象となる基板4を搬送して、以下に説明する実装ヘッドによる作業位置に位置決め保持する。基板搬送機構3の両側方には、基板4に実装される部品Pを供給する部品供給部5が配設されている。部品供給部5には、複数のテープフィーダ6がX方向に並列して配置されている。テープフィーダ6は、部品Pを保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより実装ヘッドに部品Pを供給する。
基台2の上面においてX方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム7が配設されている。Y軸ビーム7には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム8が、Y方向に移動自在に結合されている。2基のX軸ビーム8には、それぞれ実装ヘッド9がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド9は、複数(ここでは4基)の保持ヘッド10を備えた多連型ヘッドである。図2において、それぞれの保持ヘッド10の下端部には部品Pを吸着する吸着ノズル11が装着されている。各保持ヘッド10は、ノズル昇降機構12によって吸着ノズル11をZ方向(上下方向)の所定の実装高さに下降させて(矢印a)、吸着ノズル11の下端の吸着面11aに吸着する部品Pを基板4の上面4aに実装する。
Y軸ビーム7、X軸ビーム8を駆動することにより、実装ヘッド9はX方向、Y方向に移動する。すなわち、Y軸ビーム7およびX軸ビーム8は、実装ヘッド9を水平面内で移動させて位置決めするヘッド移動機構13を構成する。これにより2つの実装ヘッド9は、それぞれ対応した部品供給部5のテープフィーダ6の部品吸着位置から部品Pを吸着ノズル11によって取り出して、基板搬送機構3に位置決め保持された基板4の実装点に移送搭載する。
次に図2を参照して、基板搬送機構3の詳細な構成について説明する。基板搬送機構3は、X方向に延伸する一対の板状部材14(図1も参照)の内側に、一対の搬送コンベア15が配設されている。搬送コンベア15は、図示省略するモータで駆動される搬送ベルトによって、基板4の両端を下方から支持してX方向に搬送する。一対の板状部材14の上端には、それぞれ搬送コンベア15の上方に張り出す押え板16が配設されている(図1も参照)。押え板16の下面と搬送コンベア15の上面との間隔は、搬送コンベア15によって搬送される基板4の厚さより広くなっている。
作業位置における基板4の下方には、シリンダ17によって昇降する(矢印b)下受け部材18が配設されている。基板搬送機構3は、基板4を作業位置に位置決めして下受け部材18を上昇させ、基板4を搬送コンベア15から持ち上げて基板4の両縁部を押え板16の下面で上から押さえ込むことによって、基板4を作業位置に位置決め保持する(図2に示す状態)。すなわち、基板搬送機構3は、基板4を作業位置に位置決め保持する基板保持部となる。また、基板搬送機構3は、基板4を搬送する際は、下受け部材18を基板4の下面と干渉しない位置まで下降させる。
このように、電子部品実装装置1は、基板4を基板搬送機構3(基板保持部)に位置決め保持し、ヘッド移動機構13により実装ヘッド9を移動させて部品供給部5から部品P(電子部品)を取り出し、実装ヘッド9を基板4に対して位置決めして部品P(電子部品)を基板4に実装する機能を有している。
図1において、部品供給部5と基板搬送機構3との間には、部品認識カメラ19が配設されている。部品供給部5から部品Pを取り出した実装ヘッド9が部品認識カメラ19の上方の視野内を移動する際に、部品認識カメラ19は吸着ノズル11の下端の吸着面11aに保持された部品Pを撮像する。これにより、実装ヘッド9に保持された部品Pの識別や位置認識が行われる。
実装ヘッド9にはX軸ビーム8の下面側に位置して、実装ヘッド9と一体的に移動する基板認識カメラ20及び照明部(図示省略)が装着されている。照明部はLEDなどの光源を備えており、光源から照明光を投射して基板認識カメラ20が撮像する領域を照明する。実装ヘッド9が移動することにより、基板認識カメラ20は基板搬送機構3に位置決め保持された基板4の上方に移動して基板4を撮像する。これにより、基板4の位置認識及び基板4の表面状態の確認が行われる。すなわち、実装ヘッド9は、基板4の表面(上面4a)を撮像する基板認識カメラ20(カメラ)を備えている。
図2において、実装ヘッド9の一側方には、実装ヘッド9と一体的に移動するレーザ変位センサなどの高さセンサ21が配設されている。高さセンサ21は、レーザ光を下方に向けて投射するレーザ光源と、レーザ光源が投射したレーザ光の反射光を受光する受光素子を含んで構成される。高さセンサ21は、高さ計測部34(図6参照)により制御されてレーザ光の投射・受光を行い、三角測量の原理で計測対象の高さを導出する。高さセンサ21は、基板4が基板搬送機構3によって作業位置に位置決め保持された状態において、基板4の表面(上面4a)までの距離(以下、「基板高さHs」と称す。)を計測する。
図3に示すように、基板4の上面4aには、基板4の反りを算出するために基板高さHsを計測する複数の計測領域An(n=1,2,・・・9)が設定されている。ヘッド移動機構13によって計測領域Anの上方に移動した高さセンサ21は、計測領域Anに向けてレーザ光を投射して基板高さHsを計測する。このように、高さセンサ21は、実装ヘッド9に備えられ、基板搬送機構3(基板保持部)に位置決め保持された基板4の基板高さHs(基板の表面の高さ)を計測する。
ここで図4を参照して、基板4の表面の粗さについて説明する。縦軸は基板4の表面の高さ(Z方向)、横軸は水平面内の任意の直線上(ここではX方向)である。粗さ曲線は、基板4の表面(上面4a)の微小な高低差を示している。平均線は、基板4の表面の平均的な高さを示している。粗さ曲線は、平均線と間隔不定に交差する。交差点間の間隔は基板4の表面の凹凸の間隔(Sm1,Sm2,Sm3,・・・)であり、所定範囲内の凹凸の間隔の平均値をここでは「基板の表面の凹凸の平均間隔」(以下、「凹凸平均間隔Sm」と称す。)」と定義する。
凹凸平均間隔Smが小さいと基板4の表面は滑らかとなり、逆に凹凸平均間隔Smが大きくなるに従って基板4の表面が粗くなる。すなわち凹凸平均間隔Smは、基板4の表面の粗さを示す指標となる。凹凸平均間隔Smが大きくなるに従って、基板4に投射された照明光やレーザ光などが基板4の表面で乱反射する割合が多くなる。
基板認識カメラ20によって基板4の表面を撮像すると、照明部が基板4を照明した照明光は基板4の表面で反射および乱反射されて基板認識カメラ20によって撮像される。基板4の表面で照明光が乱反射される具合は凹凸平均間隔Smに依存し、基板認識カメラ20によって撮像される基板4の表面の輝度LBも凹凸平均間隔Smに依存して変化する。すなわち、基板認識カメラ20によって撮像された基板4の表面の輝度LBを基に、基板4の表面の粗さ(凹凸平均間隔Sm)を知ることができる。
また、凹凸平均間隔Smが大きくなり、高さセンサ21から投射されるレーザ光の基板4の表面でのビーム径(以下、「ビーム直径BD」と称す。)に近づくに従って、レーザ光の基板4の表面での乱反射によって高さセンサ21が計測する基板高さHsの計測結果のばらつきが大きくなる。すなわち、高さセンサ21によって計測された基板高さHsの計測結果のばらつきを基に、基板4の表面の粗さ(凹凸平均間隔Sm)を知ることができる。
レーザ光の乱反射によって基板高さHsの計測結果がばらつく場合、計測領域An内に互いに近接する複数の計測点Snを設定し、高さセンサ21によって計測する多点高さ計測処理を実行することで、基板高さHsの計測誤差を低減することができる。ここで図5を参照して、多点高さ計測処理について説明する。この例では、計測領域A1内に5点の計測点S1(i)(i=1,2,・・・5)が設定されている。各計測点S1(1)〜S1(5)は高さセンサ21より投射されるレーザ光の中心の位置を、ビーム領域B1(1)〜B1(5)はレーザ光の広がりを示しており、ビーム領域B1(1)〜B1(5)の直径がビーム直径BD(基板4の表面でのビーム径)となる。
各計測点S1(1)〜S1(5)は、隣接する計測点S1(1)〜S1(5)のビーム領域B1(1)〜B1(5)の一部が互いにが重なるように設定される。すなわち多点高さ計測処理では、基板高さHs(基板の表面の高さ)が計測される計測領域A1内の互いに近接する複数の計測点S1(1)〜S1(5)のうち、隣接する計測点S1(1)〜S1(5)間の距離は高さセンサ21から投射されるレーザ光のビーム直径BD(基板の表面でのビーム径)より短い。
このように、ビーム領域B1(1)〜B1(5)が重なる複数の計測点S1(1)〜S1(5)の計測結果を、平均などの演算処理をして計測領域A1の基板高さHsとすることで、表面が粗い基板4であっても基板高さHsの測定誤差を低減することができる。なお、計測領域An内の計測点Snは5つに限定されることなく、基板4の表面の粗さ(凹凸平均間隔Sm)やビーム直径BDなどに基づいて任意に設定することができる。
次に図6を参照して、電子部品実装装置1の制御系の構成について説明する。
電子部品実装装置1が備える制御装置30は、機構制御部31、画像処理部32、輝度算出部33、高さ計測部34、粗さ判定部35、粗さ計測判定部36、反りデータ取得部37、実装実行部38、表示処理部39及び記憶部40を備えている。表示処理部39は、電子部品実装装置1の操作に必要な情報などを制御装置30に繋がるモニタ等の画像表示装置41に表示させる。記憶部40は、基板情報BI、ビーム直径BD、高さ計測結果MH、基板高さ範囲RS、規定ばらつき範囲RV、規定輝度範囲RB、高さ計測モードM、反りデータWDなどを記憶する。
基板情報BIには、部品Pが実装される基板4の種類毎に、多点高さ計測処理が必要か否かの情報、凹凸平均間隔Sm(基板の表面の凹凸の平均間隔)などが含まれている。すなわち、記憶部40は基板の情報(基板情報BI)を記憶し、基板の情報は凹凸平均間隔Sm(基板の表面の凹凸の平均間隔)を含んでいる。高さ計測モードMは、高さセンサ21による基板高さHsの計測が、計測領域An内の複数の計測点Snを計測する多点高さ計測処理を実行する多点高さ計測モードMmであるか、計測領域An内の1点の計測点Snを計測する単点高さ計測処理を実行する単点高さ計測モードMsであるかを示している。
機構制御部31は、搬送コンベア15とシリンダ17の作動制御を行って基板4の搬送及び下受け部材18の昇降を行い、ヘッド移動機構13の作動制御を行って実装ヘッド9を移動させる。また、機構制御部31は実装ヘッド9のノズル昇降機構12の作動制御を行って吸着ノズル11をテープフィーダ6の部品吸着位置に対して昇降させ、実装ヘッド9に内蔵された吸着機構(不図示)の作動制御を行って吸着ノズル11にテープフィーダ6により供給させた部品Pを吸着させる。
また、機構制御部31は実装ヘッド9のノズル昇降機構12の作動制御を行って吸着ノズル11を基板4の上面4aに対して昇降させ、実装ヘッド9に内蔵された吸着機構(不図示)の作動制御を行って、吸着ノズル11に吸着させた部品Pを基板4の上面4aの実装点mに実装させる。さらに、機構制御部31は部品認識カメラ19及び基板認識カメラ20の撮像動作制御を行い、各カメラの撮像動作によって得られた画像データは画像処理部32に入力されて画像認識処理がなされる。
輝度算出部33は、照明部によって照明された基板4の表面(上面4a)を基板認識カメラ20によって撮像し、画像処理部32によって画像認識処理がされた基板4の表面の画像を演算処理して、基板4の表面の輝度LBを算出する。前述のように、撮像画像における基板4の表面の輝度LBは、基板4の表面の粗さ(凹凸平均間隔Sm)に依存する。多点高さ計測処理を実行する必要がない基板4の表面の粗さに対応する基板4の表面の輝度LBの範囲が、規定輝度範囲RBとして記憶部40に記憶されている。
高さ計測部34は高さセンサ21の作動制御を行って、基板搬送機構3に位置決め保持された基板4の表面(上面4a)に設けられた複数の計測領域Anの基板高さHs(高さ)を高さセンサ21によって計測する。高さ計測部34は、高さ計測モードMが単点高さ計測モードMsの場合は単点高さ計測処理によって、多点高さ計測モードMmの場合は多点高さ計測処理によって基板4の基板高さHsを計測する。計測された基板高さHsは、高さ計測結果MHとして記憶部40に記憶される。
基板4の反りの実績から想定される基板高さHsの計測結果の範囲が、基板高さ範囲RSとして記憶部40に記憶されている。また前述のように、基板高さHsの計測結果のばらつきは、基板4の表面の粗さ(凹凸平均間隔Sm)に依存する。多点高さ計測処理を実行する必要がない基板4の表面の粗さに対応する計測される基板高さHsの計測結果のばらつきの範囲が、規定ばらつき範囲RVとして記憶部40に記憶されている。
図6において、粗さ判定部35は、基板4の表面の粗さが粗いか否かを判定する。より具体的に粗さ判定部35は、基板搬送機構3(基板保持部)に位置決め保持された基板4の記憶された基板情報BIに含まれる情報を基に、基板の表面の粗さ(多点高さ計測処理が必要なほど粗いか否か)を判定する。また粗さ判定部35は、基板情報BIに含まれる凹凸平均間隔Sm(基板の表面の凹凸の平均間隔)と高さセンサ21から投射されるレーザ光のビーム直径BD(基板の表面でのビーム径)を基に、凹凸平均間隔Smとビーム直径BDとを比較して基板4の表面の粗さを判定する。
また粗さ判定部35は、高さ計測部34が計測した高さ計測結果MHが基板高さ範囲RS(規定範囲)を外れた場合に、基板4の表面が粗いと判定する。そして、粗さ判定部35は、基板4の表面が粗いと判定した場合は高さ計測モードMを多点高さ計測モードMmに、粗くないと判定した場合は高さ計測モードMを単点高さ計測モードMsに設定する。
粗さ計測判定部36は、基板4の表面の粗さを計測して粗いか否かを判定する。より具体的に粗さ計測判定部36は、基板4の表面(上面4a)に設けられた互いに近接する複数の計測点Snの基板高さHsを高さセンサ21によって計測し、これら複数の計測点Snの計測値のばらつきが規定ばらつき範囲RV(所定の閾値)よりも大きい場合に、基板4の表面が粗いと判断する。粗さ計測判定部36によって計測される互いに近接する複数の計測点Snのうち、隣接する計測点Sn間の距離は、高さセンサ21から投射されるレーザ光のビーム直径BD(基板の表面でのビーム径)より長くなるように設定される(図7参照)。
また粗さ計測判定部36は、基板認識カメラ20(カメラ)によって撮像された基板4の表面の輝度LBを基に、基板4の表面の粗さを判定する。なお、基板4の表面の撮像画像による基板4の表面の粗さの判定の基準は輝度LBに限定されず、基板4の表面に映り込む照射部の広がり具合を基準に判定してもよい。例えば、基板4の表面に映り込んだ照射部が、基板4の表面において乱反射して所定範囲より広がっている場合に基板4の表面が粗いと判定するようにしてもよい。
反りデータ取得部37は、計測点Snの高さ計測結果MHに基づいて、基板4の上面4aの形状を近似した曲面モデルWM(図8(b)参照)を算出する。より具体的には図8(a)に示すように、まず反りデータ取得部37は、反りや変形のない平坦な基板4が基板搬送機構3に位置決め保持された状態の基板4の上面4aからの変位量hを、各計測点Snについて求める。多点高さ計測処理によって基板高さHsが計測されている場合、反りデータ取得部37は、各計測領域Anの計測点Snの基板高さHsから代表値を決定して計測領域Anの変位量hとする。代表値としては、計測領域An内の計測点Snの平均値、中央値、最大値と最小値を排除した平均値などが使用される。
次いで反りデータ取得部37は、各計測領域Anの変位量h(代表値)に基づいて曲面モデルWMを算出する。算出された曲面モデルWMは、反りデータWDとして記憶部40に記憶される。このように、反りデータ取得部37は、高さ計測結果MHに基づいて、複数の計測領域Anのそれぞれを代表する基板高さHsの代表値(変位量h)を順次導出し、代表値(変位量h)の基板面内分布である基板4の反りデータWDを取得する。
実装実行部38はヘッド移動機構13、実装ヘッド9を制御して、基板搬送機構3に位置決め保持された基板4の上面4aの実装点mに部品Pを実装する。その際、実装実行部38は、曲面モデルWMに基づいて実装点m(xm,ym)における変位量h(zm)を算出し(図8(b)参照)、算出された変位量hに基づいて実装高さ(ノズル昇降機構12の下降量)を補正して部品Pを実装する。すなわち実装実行部38は、反りデータWDに基づいて、実装高さを補正して部品P(電子部品)を基板4に実装する。
本発明の電子部品実装装置1は上記のように構成され、次に図9〜11のフローに則して、基板4の表面の粗さに適した基板高さHsの計測処理を選択して実行し、実装高さを補正して部品Pを基板4に実装する電子部品実装方法の第1実施例について説明する。基板搬送機構3(基板保持部)に基板4が位置決め保持されている状態からのフローを説明する。図9において、まず粗さ判定部35は、基板搬送機構3に位置決め保持されている基板4の表面の粗さを判定する粗さ判定処理を実行する(ST1:粗さ判定工程)。粗さ判定処理により、高さ計測モードMとして多点高さ計測モードMm、または、単点高さ計測モードMsが設定される。
ここで図10を参照して、粗さ判定処理の第1実施例について説明する。粗さ判定部35は、部品Pが実装される基板4の基板情報BIに含まれる、表面が粗くて多点高さ計測処理が必要か否かの情報を参照し、高さ計測モードMを判定する(ST11)。多点高さ計測処理が必要な場合(ST11においてYes)、粗さ判定部35は、高さ計測モードMを多点高さ計測モードMmに設定する(ST12:多点高さ計測モード設定工程)。
多点高さ計測処理が必要でない場合(ST11においてNo)、粗さ判定部35は、高さ計測モードMを単点高さ計測モードMsに設定する(ST13:単点高さ計測モード設定工程)。このように粗さ判定工程(ST1)において、粗さ判定部35は、基板搬送機構3(基板保持部)に位置決め保持された基板4の情報(基板情報BI)を基に、基板4の表面の粗さを判定して高さ計測モードMを設定する。
次に図11を参照して、粗さ判定処理の第2実施例について説明する。粗さ判定処理の第2実施例は、基板情報BIに含まれる凹凸平均間隔Smに基づいて高さ計測モードMを決定するところが粗さ判定処理の第1実施例と異なる。以下、粗さ判定処理の第1実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。粗さ判定部35は、基板情報BIに含まれる部品Pが実装される基板4の凹凸平均間隔Smが、高さセンサ21から投射されるレーザ光のビーム直径BD以上か否かを判定する(ST21)。凹凸平均間隔Smがビーム直径BD以上の場合(ST21においてYes)、粗さ判定部35は多点高さ計測モード設定工程(ST12)を実行して、高さ計測モードMに多点高さ計測モードMmを設定する。
凹凸平均間隔Smがビーム直径BDより小さい場合(ST21においてNo)、粗さ判定部35は単点高さ計測モード設定工程(ST13)を実行して、高さ計測モードMに単点高さ計測モードMsを設定する。すなわち、粗さ判定工程(ST1)において、粗さ判定部35は、凹凸平均間隔Sm(基板の表面の凹凸の平均間隔)と高さセンサ21から投射されるレーザ光のビーム直径BD(基板の表面でのビーム径)を基に、基板4の表面の粗さを判定して高さ計測モードMを設定する。なお、(ST21)における凹凸平均間隔Smとビーム直径BDの比較では、例えば凹凸平均間隔Smがビーム直径BDの1.5倍以上であるかなど、実験や経験に基づいて比較する比率を変更してもよい。
図9において、粗さ判定工程(ST1)において設定された高さ計測モードMが多点高さ計測モードMmの場合(ST2においてYes)、高さ計測部34は多点高さ計測処理によって、基板4の表面(上面4a)に設けられた複数の計測領域Anの基板高さHsを高さセンサ21によって計測する(ST3:第1多点高さ計測工程)。高さ計測モードMが単点高さ計測モードMsの場合(ST2においてNo)、高さ計測部34は単点高さ計測処理によって、基板4の表面(上面4a)に設けられた複数の計測領域Anの基板高さHsを高さセンサ21によって計測する(ST4:単点高さ計測工程)。
次いで粗さ判定部35は、単点高さ計測工程(ST4)における高さ計測結果MHの各計測領域Anにおける基板高さHsが、基板高さ範囲RSを外れているか否かを判定する(ST5)。基板高さ範囲RSを外れている場合(ST5においてYes)、粗さ判定部35は基板4の表面が粗いと判定し、高さ計測部34は多点高さ計測処理によって、複数の計測領域Anの基板高さHsを再度計測する(ST6:第2多点高さ計測工程)。このように、高さ計測部34は、単点高さ計測工程(ST4)における高さ計測結果MHが基板高さ範囲RS(規定範囲)を外れた場合に基板4の表面が粗いと判定し、高さ計測部34は多点高さ計測処理を行う。
第1多点高さ計測工程(ST3)、第2多点高さ計測工程(ST6)、または(ST5)においてNoと判定された単点高さ計測工程(ST4)において複数の計測領域Anの基板高さHsが計測されると、反りデータ取得部37は、高さ計測結果MHを基に反りデータWDを算出する(ST7:反りデータ取得工程)。より具体的に反りデータ取得部37は、多点高さ計測モードMmの場合は各計測領域Anの計測点Snから代表値を決定し、単点高さ計測モードMsの場合は各計測領域Anで計測された1点の計測点Snの基板高さHsを代表値として、曲面モデルWMを算出する。
すなわち、反りデータ取得工程(ST7)において反りデータ取得部37は、高さ計測結果MHに基づいて、複数の計測領域Anのそれぞれを代表する基板高さHsの代表値を順次導出し、代表値の基板面内分布である基板4の反りデータWDを取得する。
このように、粗さ判定工程(ST1)において基板4の表面が粗いと判定された場合(ST2においてYes)、第1多点高さ計測工程(ST3)における高さ計測が各計測領域An内の互いに近接する複数の計測点Snに対して行われるとともに、反りデータ取得工程(ST7)における各計測領域Anの代表値がこれら複数の計測点Snの高さ計測結果MH(計測値)から導出される。次いで実装実行部38は、反りデータWDに基づいて、実装高さを補正して部品P(電子部品)を基板4に実装する(ST8:実装実行工程)。
上記説明したように、電子部品実装装置1は、実装ヘッド9に基板搬送機構3(基板保持部)に位置決め保持された基板4の表面(上面4a)の高さ(基板高さHs)を計測する高さセンサ21を備えている。そして電子部品実装装置1は、基板4の表面の粗さを判定し、基板4の表面に設けられた複数の計測領域Anの基板高さHsを高さセンサ21によって計測し、高さ計測結果MHに基づいて、複数の計測領域Anのそれぞれを代表する基板高さHsの代表値を順次導出して基板4の反りデータWDを取得し、反りデータWDに基づいて、実装高さを補正して部品P(電子部品)を基板4に実装している。
そして電子部品実装装置1は、基板4の表面が粗い場合、各計測領域An内の互いに近接する複数の計測点Snに対して基板高さHsを計測し、複数の計測点Snの高さ計測結果MH(計測値)から各計測領域Anの代表値を導出して基板4の反りデータWDを取得している。これによって、表面が粗い基板4でも部品P(電子部品)の実装高さを適正に補正して基板4に実装することができる。また、表面が粗くない基板4の場合は単点高さ計測モードMsによって反りデータWDを取得することで、計測時間を短縮して実装基板の生産効率を向上することができる。
次に図12〜14のフローに則して、基板4の表面の粗さに適した基板高さHsの計測処理を選択して実行し、実装高さを補正して部品Pを基板4に実装する電子部品実装方法の第2実施例について説明する。電子部品実装方法の第2実施例は、粗さ計測判定処理によって高さ計測モードMを選択しているところが電子部品実装方法の第1実施例と異なる。以下、電子部品実装方法の第1実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
基板搬送機構3(基板保持部)に基板4が位置決め保持されている状態からのフローを説明する。図12において、まず粗さ判定部35は、基板搬送機構3に位置決め保持されている基板4の表面の粗さを計測して判定する粗さ計測判定処理を実行する(ST31:粗さ計測判定工程)。粗さ計測判定処理により、高さ計測モードMとして多点高さ計測モードMm、または、単点高さ計測モードMsが設定される。
ここで図13を参照して、粗さ計測判定処理の第1実施例について説明する。以下、粗さ判定処理の第1実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。粗さ計測判定部36は、基板4の表面(上面4a)に設けられた互いに近接する複数の計測点Snの基板高さHsを高さセンサ21によって計測する(ST41)。互いに近接する複数の計測点Snのうち、隣接する計測点Sn間の距離は高さセンサ21から投射されるレーザ光のビーム直径BD(基板の表面でのビーム径)より長くなるように設定する(図7参照)。次いで粗さ計測判定部36は、計測された複数の計測点Snの基板高さHsのばらつきが規定ばらつき範囲RV(所定の閾値)よりも大きいか否かを判定する(ST42)。
基板高さHsのばらつきが規定ばらつき範囲RVよりも大きい場合(ST42においてYes)、粗さ計測判定部36は基板4の表面が粗いと判断して多点高さ計測モード設定工程(ST12)を実行して、高さ計測モードMに多点高さ計測モードMmを設定する。すなわち、粗さ計測判定部36は、基板4の表面に設けられた互いに近接する複数の計測点Snの基板高さHsを高さセンサ21によって計測し、これら複数の計測点Snの高さ計測結果MH(計測値)のばらつきが規定ばらつき範囲RV(所定の閾値)よりも大きい場合に、基板4の表面が粗いと判断して多点高さ計測モードMmを設定する。
基板高さHsのばらつきが規定ばらつき範囲RVよりも小さい場合(ST42においてNo)、粗さ計測判定部36は基板4の表面が粗くないと判断して単点高さ計測モード設定工程(ST13)を実行して、高さ計測モードMに単点高さ計測モードMsを設定する。
次に図14を参照して、粗さ計測判定処理の第2実施例について説明する。粗さ計測判定処理の第2実施例は、基板認識カメラ20による基板4の表面の撮像画像に基づいて高さ計測モードMを決定するところが粗さ計測判定処理の第1実施例と異なる。以下、粗さ判定処理の第1実施例と同じ工程には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。機構制御部31はヘッド移動機構13と基板認識カメラ20を制御して、照明部によって照明されている基板4の表面(上面4a)を撮像し、画像処理部32によって画像処理された画像を基に、輝度算出部33が基板4の表面の輝度LBを算出する(ST51)。
粗さ計測判定部36は、算出された基板4の表面の輝度LBが規定輝度範囲RB外にあるか否かを判定する(ST52)。基板4の表面の輝度LBが規定輝度範囲RB外にある場合(ST52においてYes)、粗さ計測判定部36は基板4の表面が粗いと判断して多点高さ計測モード設定工程(ST12)を実行して、高さ計測モードMに多点高さ計測モードMmを設定する。基板4の表面の輝度LBが規定輝度範囲RB内にある場合(ST52においてNo)、粗さ計測判定部36は基板4の表面が粗くないと判断して単点高さ計測モード設定工程(ST13)を実行して、高さ計測モードMに単点高さ計測モードMsを設定する。すなわち、粗さ計測判定部36は、基板認識カメラ20(カメラ)によって撮像された基板4の表面の輝度LBを基に、基板4の表面の粗さを判定している。
図12において、粗さ計測判定工程(ST31)において設定された高さ計測モードMが多点高さ計測モードMmの場合(ST2においてYes)、第1多点高さ計測工程(ST3)が実行される。高さ計測モードMが単点高さ計測モードMsの場合(ST2においてNo)、単点高さ計測工程(ST4)が実行される。次いで単点高さ計測工程(ST4)における高さ計測結果MHが基板高さ範囲RSを外れているか否かが判定され(ST5)、基板高さ範囲RSを外れている場合(ST5においてYes)、第2多点高さ計測工程(ST6)が実行される。
第1多点高さ計測工程(ST3)、第2多点高さ計測工程(ST6)、または(ST5)においてNoと判定された単点高さ計測工程(ST4)において複数の計測領域Anの基板高さHsが計測されると、反りデータ取得工程(ST7)が実行される。次いで取得された反りデータWDに基づいて、実装実行工程(ST8)が実行される。このように、粗さ計測判定工程(ST31)において基板4の表面が粗いと判定された場合(ST2においてYes)、第1多点高さ計測工程(ST3)における高さ計測が各計測領域An内の互いに近接する複数の計測点Snに対して行われるとともに、反りデータ取得工程(ST7)における各計測領域Anの代表値がこれら複数の計測点Snの高さ計測結果MH(計測値)から導出される。
上記説明したように、電子部品実装装置1は、基板4の表面(上面4a)の粗さを計測して判定し、基板4の表面に設けられた複数の計測領域Anの基板高さHsを高さセンサ21によって計測し、高さ計測結果MHに基づいて、複数の計測領域Anのそれぞれを代表する基板高さHsの代表値を順次導出して基板4の反りデータWDを取得し、反りデータWDに基づいて、実装高さを補正して部品P(電子部品)を基板4に実装している。
そして電子部品実装装置1は、基板4の表面が粗い場合、各計測領域An内の互いに近接する複数の計測点Snに対して基板高さHsを計測し、複数の計測点Snの高さ計測結果MH(計測値)から各計測領域Anの代表値を導出して基板4の反りデータWDを取得している。これによって、凹凸平均間隔Sm(基板の表面の凹凸の平均間隔)などの基板情報BIがない場合であっても、表面が粗い基板4であるかを計測して判定し、部品P(電子部品)の実装高さを適正に補正して基板4に実装することができる。