JP6581064B2 - ポリフェニレンエーテル粉体と製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル粉体と製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規形状を有するポリフェニレンエーテル及びその製造方法に関するものである。
ポリフェニレンエーテルなどの樹脂の粒子は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合などの重合工程と、それに続く粒子析出工程、樹脂材料の乾式粉砕等により得られる。したがって、樹脂粒子は、不定形または球形のいずれかの形態となるのが一般的である。
従来から、樹脂粒子の力学的性質や取扱い性を向上させる目的、混合撹拌時及び空送時の粒子衝突による粒子破砕を抑制する目的、クリーニング特性を向上させる目的、溶融混練時のホッパー内での粉体の取扱性を向上させる目的、化粧品の滑り性を向上させる目的等、各種多様の目的に従って種々の形態を有する樹脂粒子が開発されてきた。
例えば、溶融混練等のホッパーでの粉体の取扱いに関する問題として、重量式フィーダーからなる粉体供給装置を使って粉体を供給する際に、粉体のフラッシング(粉体が液状現象を起こし、粉体供給装置のスクリュ部分をすり抜けていく)現象を起こす事があげられる。フラッシングが起こった場合、供給精度が悪化し、さらに一気に供給した原材料がスクリュをすり抜けてしまう。そこで、重量式フィーダーの連続運転では、フラッシング防止のため、粉体供給装置の能力を下げて運転していることが多く、生産性を下げている。
また使用する粉体に微粉量が多い場合、微粉飛散による収率低下、押出機等への食い込み不良や、乾燥工程から空送工程においてフィルター詰まり等の問題の原因となっている。
上述したような特殊形状の樹脂粒子の開発については、例えば、下記のような開発が行われてきた。特許文献1では、ポリフェニレンエーテルの真球状粒子が報告されている。また、ポリフェニレンエーテルが溶解した有機溶媒溶液を、水溶性有機高分子の水溶液に添加し、ポリフェニレンエーテルの分散状態を維持したまま脱液処理を行い、球形のポリフェニレンエーテルを製造する技術が提案されている(特許文献2)。亀裂を有する粒子が提案されており、微粉を捕捉する形状によりブリッジの抑制効果が提案されている(特許文献3)。
また、取扱い性を向上させる目的で、ポリフェニレンエーテル粉体のゆるめ見かけ比重を増大させるための、ポリフェニレンエーテル粉体の圧縮造粒が特許文献4〜9に開示されている。これらは、ポリフェニレンエーテル粉体を圧縮し、粉砕することで、粒度調整、微粉低減、押出機への粉体供給、輸送及び貯蔵の効率化に着目した技術である。
特開2010−47662号公報 特開昭62−172022号公報 特開2010−1411号公報 特表2007−532357号公報 特許第5119373号公報 特許第5066634号公報 特開2000−167827号公報 特許第4152521号公報 中国特許第101983987号公報
上述したように、これまでの開示技術により得られる粒子形態は、球形又は球形状の粒子に一箇所亀裂を発生させたものであり、フラッシングの抑制の改善に関しては不十分であった。
また、特許文献1に記載されている球形の樹脂粒子は、平均粒径が小さく微粉率が高いため、取扱い性の一層の改良が求められている。
特許文献2に記載の技術では、作製されるポリフェニレンエーテル粉体中に、系内に添加する水溶性有機高分子が3〜4%程度残留するため、加工時にゲルや異物を生じたりするという問題を有している。
特許文献3に記載の亀裂を有する樹脂粒子では、生成した微粉を亀裂で捕捉するものであり、微粉率が高いため、取扱性の一層の改良が求められている。さらに、特許文献3に開示されている技術は、沈殿重合法に限定されている。製造のし易さ、分子量の調整の容易さに関しては沈殿重合法が優れてはいるが、より色調の優れたポリフェニレンエーテルを得る目的で、溶液重合法での製造が望まれる。
特許文献4〜9に記載では、造粒装置が必要であり、プロセスが複雑になってしまう。また、粉体の形状に関しては詳細に記載されていない。
そこで、本発明においては、フラッシングを抑制でき、微粉化が起きにくく、取扱性が良好なポリフェニレンエーテル、及びその製造方法の提供を目的とする。
上記した従来の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、ポリフェニレンエーテルを析出する工程において、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒として特定のSP値を有する溶媒を使用し、かつ析出槽内の液温を制御することによって、縦長のポリフェニレンエーテル粒子を含み、フラッシングを抑制でき、微粉化が起きにくく、取扱い性が良好なポリフェニレンエーテル粉体、及びその製造方法を見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子を含み、
前記アスペクト比が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子の含有率(個数百分率)が、70%以上であり、
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の、ポリフェニレンエーテル粉体における含有率が、4質量%以下であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル粉体
[2]
前記ポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径が200〜1000μmである、[1]に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
[
前記ポリフェニレンエーテル粉体中の一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の0〜1.5%である、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
[]
ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを、−80〜30℃にて混合することで、ポリフェニレンエーテル粒子を析出させてスラリーを形成する析出工程を含み、
該ポリフェニレンエーテルの貧溶媒は、溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(すなわち、18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒を含み、
前記混合が、撹拌翼を先端速度1.7〜7.0m/sで回転させて撹拌することにより行われ、
前記混合が、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合液である初期仕込み液に、前記ポリフェニレンエーテル溶液と前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを添加して行われ、
添加する該貧溶媒に含まれる前記溶解度パラメーター値18.41(J/cm 1/2 未満の貧溶媒と添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒との質量比(添加する溶解度パラメーター値18.41(J/cm 1/2 未満の貧溶媒/添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒)が、0.9〜4.0の範囲であることを特徴とする、[1]〜[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[]
前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、[]に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[]
前記溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(すなわち、18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、[]又は[]に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[]
前記溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(すなわち、18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、[]〜[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[]
前記ポリフェニレンエーテル溶液100質量%中のポリフェニレンエーテル濃度が、20〜50質量%である、[]〜[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[]
全溶媒(良溶媒と貧溶媒との合計)100質量%に対して、溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)以上の貧溶媒を0.05〜10質量%含む、[]〜[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[1]
前記溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)以上の貧溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、及び水からなる群より選ばれる少なくとも一種である、[]に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
本発明によれば、フラッシングを抑制でき、微粉化が起きにくく、取扱性が良好なポリフェニレンエーテル、及びその製造方法を提供することができる。
本実施の形態の一態様である製造方法により得られたポリフェニレンエーテル粉体の光学顕微鏡による写真像である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は、この本実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
[ポリフェニレンエーテル粉体]
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体は、一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0であるポリフェニレンエーテル粒子を含む。この範囲のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子を含むことにより、フラッシングを抑制することができ、微粉化が起きにくく、取扱い性が良好なポリフェニレンエーテル粉体とすることができる。フラッシングの効果的な抑制という観点から、アスペクト比が3.0〜5.0であるポリフェニレンエーテル粒子を含むことがより好ましい。
なお、ポリフェニレンエーテル粒子のアスペクト比は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体における、2.0〜7.0のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率は、70%以上であることが好ましく、78%以上であることがより好ましい。
また、本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体における、3.0〜5.0のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率は、65%以上であることが好ましく、68%以上であることがより好ましい。
上記範囲のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率が上記範囲であると、フラッシングや微粉化を一層抑制することができ、取扱性を一層向上させることができる。
なお、上記所定のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
<ポリフェニレンエーテル>
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテル粉体は、ポリフェニレンエーテル粒子の集合体としてよい。
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテルは、特に限定されないが、下記式(1)で表されるフェノール化合物を重合して得られるホモ重合体及び/又は共重合体の粉体であることが好ましい。
・・・・・(1)
式(1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される。
前記式(1)中、R、R、R、及びRで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
前記式(1)中、R、R、R、及びRで示されるアルキル基としては、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示すものとし、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられ、メチル、エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
前記式(1)中、R、R、R、及びRで示されるアルキル基は、置換可能な位置で1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
このような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルケニル基(例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル等)、アルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等)等が挙げられる。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体の還元粘度(0.5dL/gクロロホルム溶液、30℃測定)は、優れた溶解性、優れた被覆性及び機械的特性の観点から、0.3〜1.0dL/gの範囲が好ましく、0.32〜0.80dL/gの範囲がより好ましく、0.35〜0.60dL/gの範囲がさらに好ましい。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体としては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテル粉体をブレンドしたものであってもよい。例えば、還元粘度0.40dL/g以下のポリフェニレンエーテル粉体と還元粘度0.45dL/g以上のポリフェニレンエーテル粉体との混合物であってもよいが、それらの混合物の還元粘度は、0.30〜0.55dL/gの範囲であることが好ましい。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体は、ゆるみ嵩密度が0.35〜0.70g/cmである。該ゆるみ嵩密度の下限は0.35g/cm以上であることがより好ましく、0.40g/cm以上であることが更に好ましい。該ゆるみ嵩密度の上限は、0.70g/cm以下であることがより好ましく、0.68g/cm以下であることが更に好ましく、0.65g/cm以下であることが特に好ましい。
ポリフェニレンエーテル粉体のゆるみ嵩密度が0.70g/cm以下であれば、フラッシングを一層抑制することができる。また、ポリフェニレンエーテル粉体のゆるみ嵩密度が0.35g/cm以上であれば、ポリフェニレンエーテル粉体は、ポリフェニレンエーテル粉体を容器に詰め運搬する際の運搬効率、ポリフェニレンエーテル粉体を取り扱う際の計量性や取扱性に優れる。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体の数平均分子量(Mn)としては、10,000〜27,000であることが好ましく、より好ましくは13,000〜25,000であり、さらに好ましくは15,000〜20,000である。数平均分子量(Mn)がこの範囲であると、ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合により、ポリフェニレンエーテル粉体を容易に析出することが可能であり、微粉化を抑制でき、取扱い性に優れる。
なお、数平均分子量(Mn)は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径としては、50〜2,000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜1,500μmであり、さらに好ましくは200〜1,000μmである。ポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径がこの範囲であると、フラッシングや微粉化を効果的に抑制することができる。
なお、平均粒径は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体中の一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の0〜1.5%であることが好ましく、全体積の0〜1.1%であることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル一粒子における6.5μm超の径を有する空隙の体積がこの範囲であると、衝突時の破砕を防止でき、微粉化を抑制することができる。
なお、ポリフェニレンエーテル一粒子における、6.5μm超の径を有する空隙の体積の全体積に対する割合は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体の分散度は、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましい。分散度がこの範囲であると、微粉率が低く、粒子の飛散が充分に抑制され、取扱い性に優れる。
なお、ポリフェニレンエーテル粉体の分散度は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体の差角は、19°未満が好ましく、17°未満がより好ましい。差角がこの範囲であると、衝突時の破砕の防止に優れ、フラッシングを一層抑制することができる。
なお、ポリフェニレンエーテル粉体の差角は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体は、スラリー溶液として攪拌した後の平均粒径に対する、スラリー溶液とする前の平均粒径の比(スラリー溶液とする前の平均粒径/スラリー溶液として攪拌した後の平均粒径)が、1.0〜1.80であることが好ましく、1.0〜1.65であることがより好ましい。スラリー溶液として攪拌した後の平均粒径に対する、スラリー溶液とする前の平均粒径の比が上記範囲であると、耐破砕性、すなわち、衝突時の破砕防止に優れる。
なお、スラリー溶液として攪拌した後の平均粒径は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
(重合工程)
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、まず、溶液重合により以下のフェノール化合物を重合して上記式(1)により表されるポリフェニレンエーテルを含むポリマー溶液を得る(重合工程)。
フェノール化合物として、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2,5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジ−n−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3−n−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−3−t−ブチルフェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の中でも、特に、安価であり入手が容易であるため、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノールが好ましく、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールがより好ましい。
上記フェノール化合物は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールとを組み合わせて用いる方法、2,3,6−トリメチルフェノールと2,5−ジメチルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとを組み合わせて用いる方法等が挙げられる。このとき、混合比は任意に選択できる。また使用するフェノール化合物の中には、製造の際の副産物として含まれている少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
本実施の形態では、上記式(1)で表されるフェノール化合物の他に、使用する化合物の中に下記式(2)で表される二価のフェノール化合物が含まれていてもよい。
下記式(2)で表されるような二価のフェノール化合物は、対応する一価のフェノール化合物と、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等)、又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により、工業的に有利に製造できる。
・・・・・(2)
式(2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される。
式(2)中、Xは、単結合、2価のヘテロ原子、炭素数1〜12の2価の炭化水素基からなる群から選択される。
詳細には、上記式(2)で表される二価のフェノール化合物としては、例えば、下記一般式(2−a)、式(2−b)、式(2−c)で表される化合物が挙げられる。
・・・・・(2−a)
・・・・・(2−b)
・・・・・(2−c)
式(2−a)、式(2−b)、式(2−c)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される。
式(2−a)、式(2−b)、式(2−c)中、Xは、単結合、2価のヘテロ原子、炭素数1〜12の2価の炭化水素基からなる群から選択される。
上記式(2−a)、式(2−b)、式(2−c)で表される代表的な化合物としては、R及びRがメチル基で、R及びRが水素で、Xが両方のアリール基を直結している化合物;R及びRがメチル基で、R及びRが水素で、Xがメチレンである化合物;R及びRがメチル基で、R及びRが水素で、Xがチオである化合物;R、R及びRがメチル基で、Rが水素で、Xがエチレンである化合物;R及びRがメチル基で、R及びRが水素で、Xがイソプロピリデンである化合物;R及びRがメチル基で、R及びRが水素で、Xがシクロヘキシリデンである化合物;R、R及びRがメチル基で、Rが水素で、Xが両方のアリール基を直結している化合物;R、R及びRがメチル基で、Rが水素で、Xがメチレンである化合物;R、R及びRがメチル基で、Rが水素で、Xがエチレンである化合物;R、R及びRがメチル基で、Rが水素で、Xがチオである化合物;R、R及びRがメチル基で、Rが水素で、Xがイソプロピリデンである化合物;R、R、R及びRがメチル基で、Xがメチレンである化合物;R、R、R及びRがメチル基で、Xがエチレンである化合物;R、R、R及びRがメチル基で、Xがイソプロピリデンである化合物;等であるが、これらに限定されない。
さらに、本実施の形態では、上記式(1)で表されるフェノール化合物の他に、多価フェノール化合物を共存させることが可能である。
多価フェノール化合物としては、例えば、分子内に3個以上9個未満のフェノール性水酸基を有し、その内の少なくとも1個のフェノール性水酸基の2,6位にアルキル基またはアルキレン基を有する化合物が挙げられる。
多価フェノール化合物の例を以下に列挙する。4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルエチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、2,2’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−エチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、3,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,5/3,6−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,3,5/3,4,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−6−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、6,6’−メチレンビス[4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4’’,4’’’−(1,2−エタンジイリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
多価フェノール化合物におけるフェノール性水酸基の数は3個以上であれば特に制限はないが、数が多くなると加熱時の分子量変化が大きくなる可能性があるため、好ましくは3〜6個、さらに好ましくは3〜4個である。
また、多価フェノール化合物における2,6位のアルキル基またはアルキレン基としてはメチル基が好ましい。
最も好ましい多価フェノール化合物は、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)である。
なお、後述するが、重合工程で得られたポリマー溶液を前記良溶媒の沸点以上に加温し、ポリマー濃度を調整することにより、濃縮したポリマー溶液を得てもよい(濃縮工程)。当該濃縮工程は必要に応じて行う。次に、ポリマー溶液とポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを混合することによってポリフェニレンエーテルを析出させ、スラリーを生成する(析出工程)。
本実施の形態で用いる溶液重合とは、ポリフェニレンエーテルの良溶媒中で重合が行われ、重合中にポリフェニレンエーテルの沈殿が析出しない重合方法である。
溶液重合により得られる全ポリフェニレンエーテル分子は、溶解した状態にあり、分子量分布は広くなる傾向にある。ポリフェニレンエーテルが溶解したポリマー溶液に対し、必要に応じて濃縮工程を実施し、その後、析出工程でポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒と混合することによって粒子状のポリフェニレンエーテルが得られる。
重合工程において用いるポリフェニレンエーテルの良溶媒としては、以下に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種が、ポリフェニレンエーテルの溶解性の観点から好ましい。
ポリフェニレンエーテルの重合方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、米国特許第3306874号明細書記載の、第一銅塩とアミンとのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法が挙げられる。
また、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、及び米国特許第3257358号の明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開昭63−152628号公報の各公報等に記載された方法も、ポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
効率良くポリフェニレンエーテルを製造する観点及び上述した好適な範囲の分子量分布をもつポリフェニレンエーテルを製造する観点から、重合工程におけるモノマー濃度は、重合液の全量を基準として、10〜30質量%が好ましく、13〜27質量%がより好ましい。前記濃度が10質量%以上であると、ポリフェニレンエーテルの製造効率が高くなる。一方、前記濃度が30質量%を超えると、上述した好適な数平均分子量に調整することが困難になる傾向がある。この原因について本発明者らは以下のように推定している。すなわち、前記モノマー濃度が30質量%を超えて高くなると、重合終結時の液粘度が高くなり、均一な撹拌が困難となる。そのため、不均一な反応が起こり、予想外の分子量のポリフェニレンエーテルが得られる場合がある。
ポリフェニレンエーテルの重合工程においては、酸素含有ガスを供給しながら行うことが好ましい。
前記酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、空気と窒素あるいは希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。
重合工程における反応系内の圧力は、常圧でもよく、必要に応じて減圧や加圧でもよい。上述した酸素含有ガスの供給速度は、除熱や重合速度等を考慮して任意に選択できるが、重合に用いるフェノール化合物1モル当たりの純酸素供給速度としては、5NmL/分以上が好ましく、10NmL/分以上がより好ましい。
ポリフェニレンエーテルの重合工程においては、反応系に、反応速度向上の観点から、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等を添加してもよい。
また、従来から重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を、重合溶媒中に添加してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、Aliquat336やCapRiquat(株式会社同仁化学研究所製)で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。分子量制御の観点から、界面活性剤の使用量は重合反応原料の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
ポリフェニレンエーテルの重合工程において、反応系には、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いられる公知の触媒を添加してもよい。
前記触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化還元能を有する遷移金属イオンと、この金属イオンと錯形成可能なアミン化合物とを含むものが挙げられ、具体的には、銅化合物とアミンとを含む触媒、マンガン化合物とアミンとを含む触媒、コバルト化合物とアミンとを含む触媒等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの重合工程において、重合反応は、若干のアルカリ性条件下で効率良く進行するため、若干のアルカリ又はアミンを添加することが好ましい。
重合工程におけるより好適な触媒としては、構成成分として、下記式(3)で表されるジアミン化合物、銅化合物、及びハロゲン化合物を含む触媒が挙げられる。
・・・・・(3)
上記式(3)中、R、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを示す。但し、R、R10、R11及びR12の全てが同時に水素ではないものとする。
13は、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
上記式(3)により示されるジアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
好ましいジアミン化合物は、金属触媒との錯体形成能の観点から、前記式(3)中、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基(R13)の炭素数が2又は3のものである。
これらのジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、通常、重合工程で用いられるフェノール化合物100モルに対して0.01〜10モルの範囲である。
触媒の構成成分となり得る前記銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はこれらの混合物を使用できる。
第一銅化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。
第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。
これらの中で特に好ましい銅化合物は、重合反応活性の観点から、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。
また、これらの銅化合物は、酸化物(例えば、酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸とから合成してもよい。例えば、塩化第一銅は、酸化第一銅とハロゲン化合物(例えば、ハロゲン化水素の溶液)とを混合することにより合成できる。
これらの銅化合物は、1種単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
触媒の構成成分となり得る前記ハロゲン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。またこれらは、水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用してもよい。
これらの中で好ましいハロゲン化合物は、重合反応活性の観点から、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらのハロゲン化合物は、1種単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
触媒の構成成分のうちの銅化合物とハロゲン化合物との使用量は特に限定されないが、触媒の構成成分として銅化合物とハロゲン化合物を両方用いる場合、銅原子のモル数に対してハロゲン原子が2倍〜20倍であることが好ましい。
また、銅原子の使用量、特に限定されないが、使用されるフェノール化合物100モルに対して0.02〜0.6モルの範囲であることが好ましい。
重合工程において用いる触媒としては、上述した化合物の他、例えば、3級モノアミン化合物又は2級モノアミン化合物を、それぞれ単独で又は組み合わせて含有させてもよい。
前記3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含む脂肪族3級アミンである。
3級モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの3級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
3級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合工程において用いるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好ましい。
前記3級モノアミン化合物は、通常使用される全量を全て重合工程の反応系内に初期から加える必要はない。すなわち、その内の一部を途中で加えてもよいし、その一部を重合開始から逐次加えてもよい。また、重合の開始と同時にフェノール化合物又はフェノール化合物の溶液に加え、これと共に加えてもよい。
前記2級モノアミン化合物としては、第2級脂肪族アミンが挙げられる。
第2級脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
また、2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物も適用できる。
芳香族を含む2級モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
上述した2級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合工程において用いるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好適である。
前記2級モノアミン化合物は、通常使用される全量を全て重合工程の反応系内に初期から加える必要はない。すなわち、その内の一部を途中で加えてもよいし、その一部を重合開始から逐次加えてもよい。また、重合の開始と同時にフェノール化合物又はフェノール化合物の溶液に加え、これと共に加えてもよい。
ここまで記載の重合工程の後、得られたポリフェニレンエーテルに対して所定の後処理工程を行ってもよい。
当該後処理工程の具体的な方法については、特に限定されるものではないが、通常、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えることで、触媒を失活させる方法が挙げられる。
また、重合終結時の重合溶液は、ポリフェニレンエーテルが良溶媒に溶解した状態であるため、触媒の洗浄除去を目的として、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低く、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と相分離する溶媒(例えば、水等)を主成分とする溶液を用いて、繰り返し洗浄処理を行う方法も好適である。
(濃縮工程)
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、重合工程で得られたポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含有するポリフェニレンエーテル溶液を、必要に応じて、良溶媒の沸点以上に加熱し、良溶媒を系外に抜出すことにより、ポリフェニレンエーテル溶液を濃縮してもよい(濃縮工程)。
濃縮後の溶液におけるPPEの含有量としては、15〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜48質量%であり、さらに好ましくは30〜46質量%である。
(析出工程)
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法は、重合工程で得られたポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液(必要に応じて、濃縮工程を経たポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液)を、貧溶媒(例えば、炭化水素系溶剤)と混合することで、ポリフェニレンエーテルを析出させる(析出工程)。
この析出工程では、例えば、貧溶媒を含む初期仕込み液を予め投入した析出槽に、上述した重合工程、又は上述した濃縮工程を経て得られたポリマー溶液と、溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒を含む貧溶媒とを添加して撹拌する。これにより、ポリフェニレンエーテルが析出し、スラリーが生成する。
まず、析出槽の初期仕込み液としては、安定運転の観点から、貧溶媒と良溶媒とを、これらの質量比(初期仕込み貧溶媒/初期仕込み良溶媒)が、0.4〜3.0の範囲になるように仕込むことが好ましく、より好ましくは0.6〜2.8であり、さらに好ましくは1.0〜2.5である。
初期仕込み液に含まれる貧溶媒は、特に限定されず、後から添加する貧溶媒に含まれる溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒として後述するものを用いることができる。初期仕込み液に含まれる貧溶媒は、溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒として、析出槽に添加されるものと同一であっても異なっていてもよい。これらの貧溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
初期仕込み液に含まれる良溶媒は、特に限定されず、重合工程で使用できる良溶媒として上述されたものを用いることができる。初期仕込み液に含まれる良溶媒は、重合工程で使用されポリフェニレンエーテル溶液(「ポリマー溶液」とも称する)に含まれる良溶媒と、同一であっても異なっていてもよい。これらの良溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
析出槽内の溶液全体(ポリフェニレンエーテルと良溶媒と貧溶媒とを含む)におけるPPEの含有量としては、5〜30質量%が好ましく、より好ましくは7〜28質量%であり、さらに好ましくは9〜25質量%である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法における析出工程で用いられる貧溶媒は、溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒を含む。
本発明で用いられる溶解度パラメーター値とは、ヒルデブランドの溶解度パラメーターであり、SP値とも呼ばれ、物質の溶解性の指標として用いられるもので、下記式(1)で算出される値と定義される。(Polymer Handbook, Third Edition, JOHN WILEY & SONS、1989参照)。
δ={(ΔH−RT)/V}1/2・・・(1)
ただし、
δ:溶解度パラメーター値(cal/cm1/2
(なお、1calは4.18605Jであるため、1(cal/cm1/2は2.046(J/cm1/2とした)
ΔH:モル蒸発熱(cal/mоl)
R:理想気体定数(cal/K・mol)
T:絶対温度(K)
V:モル体積(cm3/mol)
である。
溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(すなわち、18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ヘキサン{SP値:7.3(cal/cm1/2(すなわち、14.94(J/cm1/2)}、n−ヘプタン{SP値:7.4(cal/cm1/2(すなわち、15.14(J/cm1/2)}などの炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル{SP値:7.4(cal/cm1/2(すなわち、15.14(J/cm1/2)}、ジブチルエーテル{SP値:7.8(cal/cm1/2(すなわち、15.96(J/cm1/2)}、エチレングリコールジエチルエーテル{SP値:8.3(cal/cm1/2(すなわち、16.98(J/cm1/2)}などのエーテル系溶剤を用いることができる。これらの貧溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
前記析出工程で使用する溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(すなわち、18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒は、ポリフェニレンエーテル粒子の粒径の均一化及び肥大化の観点から、炭化水素系溶剤が好ましい。溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(すなわち、18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒は、初期仕込み液中の貧溶媒と同一であっても異なっていてもよい。
析出槽に添加する貧溶媒に含まれる溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒と析出槽に添加するポリマー溶液中の良溶媒との質量比(添加する溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒/添加するポリマー溶液中の良溶媒)は、0.9〜4.0の範囲であることが好ましく、1.0〜3.5であることがさらに好ましく、1.2〜3.2の範囲であることがさらに好ましい。ここで、「添加する」とは、初期仕込み液中の分を含まないことを意味する。
この範囲であれば、析出槽内の混合液の流動状態が極めて安定し、これにより、粒径分布のバラツキが非常に少ないポリフェニレンエーテル粒子を得ることができる。また、流動状態が安定するため、析出槽内でのスケール(スケーリング)が極めて少なく、安定した運転が可能となる。添加する溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒と添加するポリマー溶液中の良溶媒との質量比が0.9未満の場合、粒子の析出が不十分であり、ポリマーの回収量が低下してしまう。また、アスペクト比が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子の含有率が低下する。また、上記質量比が4.0より大きい場合、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液の濃度にもよるが、ポリフェニレンエーテル粒子の凝集が効率よく起こらない。
粒径制御のため、粒子析出時に溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)以上の貧溶媒、例えば、メタノール{SP値:14.5(cal/cm1/2(すなわち、29.67(J/cm1/2)}、エタノール{SP値:12.7(cal/cm1/2(すなわち、25.98(J/cm1/2)}、イソプロパノール{SP値:11.5(cal/cm1/2(すなわち、23.53(J/cm1/2)}などのアルコール系溶剤、アセトン{SP値:9.9(cal/cm1/2(すなわち、20.26(J/cm1/2)}、メチルエチルケトン{SP値:9.3(cal/cm1/2(すなわち、19.03(J/cm1/2)}などのケトン系溶剤、水などのうちの少なくとも一種を加えてもよい。析出槽内の全溶媒(良溶媒と貧溶媒との合計100質量%)における、溶解度パラメーターが9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)以上の貧溶媒の含有量は、析出粒子形状のコントロール及び肥大化の観点から、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
これらの貧溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
析出槽中のポリフェニレンエーテル溶液と貧溶媒との混合溶液の温度は、−80〜30℃の範囲とする。この範囲であれば、アスペクト比が2.0〜7.0の縦長のポリフェニレンエーテル粒子を析出することができる。析出槽中のポリフェニレンエーテル溶液と貧溶媒との混合物の温度は、析出粒子形状のコントロールの観点から、−40〜25℃の範囲が好ましく、−10〜20℃の範囲がより好ましい。
なお、前記混合溶液の温度は、析出槽のジャケット温度の設定を調節することによって所望の範囲に制御すればよい。
析出槽中におけるポリフェニレンエーテルの滞留時間は、析出する粒子の成長と、析出槽底部滞留によるスケールを抑制することのバランスを図り、析出粒径の安定性を維持する観点から、0.25〜5分間であることが好ましい。より好ましくは0.5〜3分間である。
析出槽としては、内部に傾斜パドル翼、スクリュ翼、及びリボン翼から選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えたものが好ましい。
上述した析出工程においては、これらの撹拌翼によって撹拌を行うことが好ましい。また、撹拌翼は下方吐出であることが好ましい。また、流動性を安定させる観点から、析出槽は、少なくとも一枚のバッフルを備えるものを用いることが好ましい。
撹拌時の撹拌翼の先端速度は、1.7〜7.0m/sであることが好ましく、より好ましくは2.0〜5.5m/sである。
なお、先端速度(m/s)は、下記式により求められる。
先端速度(m/s)={π×(インペラ直径(m))×(回転数(rpm))}/60
この範囲の先端速度で攪拌翼を回転させて攪拌すると、ポリフェニレンエーテルを、アスペクト比が2.0〜7.0の縦長形状の粒子として析出させることができる。
析出槽は、流動安定性及び粒径制御の観点からドラフトチューブを備えていることが好ましい。この場合、ドラフトチューブ内部には、析出槽中央に強い流れを作る観点から傾斜パドル翼、スクリュ翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えていることが好ましく、当該ドラフトチューブ内部の撹拌翼は、下方吐出翼であることが好ましい。上述した析出工程においては、当該下方吐出翼である撹拌槽によって撹拌を行うことが好ましい。これにより、ドラフトチューブ内を下降流、ドラフトチューブ外を上昇流として循環させることができ、撹拌運転状態が安定する効果が得られる。
また、析出工程において用いる析出槽としては、前記ドラフトチューブの外側にも強い流れを作る観点から、ドラフトチューブの外側にリボン翼である撹拌翼を備えるものが好ましく用いられる。当該ドラフトチューブの外側のリボン翼である撹拌翼は、ドラフトチューブ内の下降流を加速して循環させる観点から上方吐出翼であることが好ましく、上述した析出工程において、当該前記上方吐出翼である撹拌翼によって撹拌を行うことが好ましい。
析出工程後の段階で得られるポリフェニレンエーテルは、一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0の縦長形状のポリフェニレンエーテル粒子を含む。
(洗浄工程)
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、析出後の前記ポリフェニレンエーテルを、貧溶媒で洗浄してもよい(洗浄工程)。
この洗浄工程では、例えば、析出工程において得られたスラリーを固液分離することで、溶剤と湿潤ポリフェニレンエーテルとに分離し、湿潤ポリフェニレンエーテルを貧溶媒で洗浄しながら、固液分離し、その後、湿潤ポリフェニレンエーテルを乾燥させる。
必要に応じて、固液分離前に、洗浄性を高める目的で、前記析出工程によって得られたスラリーに、貧溶媒を追加し、さらに希釈し、スラリーを撹拌してもよい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法における洗浄工程で使用される貧溶媒としては、前述の析出工程において用いられるものと同じとしてよく、より具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤が好ましく、n−ヘキサンやジエチルエーテルなどの蒸発潜熱の低い貧溶媒がさらに好ましい。
洗浄工程において使用される貧溶媒(b)と、洗浄に供される析出工程後のポリフェニレンエーテル(a)との質量比(b/a)は、1.0〜5.0の範囲であることが好ましく、1.5〜4.0であることがさらに好ましく、2.0〜3.0の範囲であることがさらに好ましい。
洗浄工程で使用する貧溶媒を蒸発潜熱の低い貧溶媒にすると、乾燥機内で、短時間で貧溶媒成分を揮発させることができる。これにより、後述の乾燥工程において乾燥機に滞留する時間を、より高い沸点を有する良溶媒(例えば、芳香族炭化水素系溶媒)を揮発させるために、使うことができ、後述の乾燥工程を効率化することができる。
洗浄工程において固液分離する装置としては、特に限定されるものではないが、遠心分離機(振動型、スクリュ型、デカンタ型、バスケット型等)、真空濾過機(ドラム型フィルター、ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター、ヤングフィルター、ヌッチェ等)、フィルタープレス、及びロールプレスを用いることが可能である。
(乾燥工程)
続いて、本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、洗浄後の前記ポリフェニレンエーテルを、乾燥させる(乾燥工程)。
乾燥処理は、湿潤ポリフェニレンエーテルが融着しない程度の高温で行うことが可能である。
乾燥工程における温度としては、少なくとも60℃以上の温度により行うことが好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上がさらにより好ましく、150℃以上がよりさらに好ましい、160℃以上が最も好ましい。湿潤ポリフェニレンエーテルの乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル粉体中の芳香族炭化水素系良溶媒の含有量を効率よく低減できる。
乾燥処理前に入る湿潤ポリフェニレンエーテルとしては、前述の洗浄工程により、ポリフェニレンエーテル中の芳香族炭化水素系溶媒等の良溶媒の含有量を出来るだけ低下させたものが好ましい。良溶媒の含有量が少なければ少ないほど、乾燥機内で高温にした時に起こりうるポリフェニレンエーテルの融着を抑制することができる。
乾燥工程後のポリフェニレンエーテルのゆるみ嵩密度は、0.2〜0.6g/cmである。該ゆるみ嵩密度の下限は0.22g/cm以上であることがより好ましく、0.25g/cm以上であることが更に好ましい。該ゆるみ嵩密度の上限は、0.5g/cm以下であることがより好ましく、0.45g/cm以下であることが更に好ましい。
乾燥処理後のポリフェニレンエーテルに残存する溶媒量(例えば、PPEに残留するトルエン等の量)は、後加工での作業環境の観点、及び押出加工時の残留揮発分のガスがバックフローすることを防止し、運転の安定化を保つことができるという観点から、1.5質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
ポリフェニレンエーテル粉体を高効率で得るためには、乾燥温度を上昇させる方法、乾燥雰囲気中の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が有効であるが、特に、乾燥温度を上昇させる方法が製造効率の観点から好ましい。乾燥工程は、混合機能を備えた乾燥機を使用することが好ましい。混合機能としては、撹拌式、転動式の乾燥機等が挙げられる。これにより処理量を多くすることができ、生産性を高く維持できる。
本発明のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法は、上述の本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法に限定されることなく、前述の、重合工程、析出工程、洗浄工程、乾燥工程の順序や回数等を適宜調整してよい。
以下、本実施形態について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
(1)数平均分子量(Mn)の測定
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られたポリフェニレンエーテル粉体の数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K−805Lを2本直列につないだものを使用した。
溶媒は、クロロホルムを使用し、溶媒の流量は1.0mL/min、カラムの温度は40℃として測定した。
測定用試料としては、ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。
検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
(2)ゆるみ嵩密度の測定
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び製造後に得られたポリフェニレンエーテル粉体のゆるみ嵩密度を測定した。
具体的には、以下の(2−1)〜(2−7)に従って測定した。
(2−1)ケーシング前面の2個のピンに固定シュートをはめ、振動台に、バイブロシュート、スペースリング、フルイ(目開き710μm)、フルイオサエ、オサエバーの順で取り付け、各々をノブナットで固定した。
(2−2)矩形バットを固定シュートの真下に置き、テーブル・カップベースの凹みに、ゆるみ見かけ比重測定用カップ(以下、単に「カップ」とも記す。)を置いた。この際、カップと固定シュートとの中心をあわせた(カップ空重量は事前に秤量した)。
(2−3)スコップを用いて測定用の粉体を適当量フルイの上に静かに入れた。
(2−4)振動・タッピング切替スイッチをVIB.にセットした。タイマーは右側一杯にセットし、レオスタットの電圧が0になっていることを確認し、スタートボタンを押した。
(2−5)レオスタットの電圧を徐々に上げ粉体をカップに流出させた。カップに粉体が山盛りになるまでの時間が20〜30秒位になるように、レオスタットの電圧を調整した。カップに粉体が山盛りに充填されたらレオスタットの電圧を0にして振動を停止した。
(2−6)ブレードを垂直に立ててカップに山盛りに充填された粉体の側面をすり切って、カップ内の粉体の重量(粉体重量)を秤量した。
(2−7)カップの内容量は100cm(cc)なので、粉体重量÷100の計算でゆるみ嵩密度(g/cm)を算出し、記録した。
(3)平均粒径の解析
レーザー回析散乱法の粒度分布計である、島津製作所製レーザー回析散乱式粒度分布測定装置を使用して、湿式法(メタノール溶媒)で、得られたポリフェニレンエーテル粉体の体積平均粒子径を測定した。
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から、中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)を平均粒径(μm)とした。
同様に体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下の粒子の粉体における含有率を微粉率(質量%)として算出した。
(4)ポリフェニレンエーテル粒子のアスペクト比
粒子のアスペクト比は、光学顕微鏡(KEYENCE製光学顕微鏡VHX−1000)により求めた。粒子を倍率百倍で撮影した写真像から、代表的な粒子サンプルを100個選択し、スケールを用いて粒子像の長径(DL)と短径(DS)を測定し、アスペクト比(DL/DS)を求めた。評価対象となるポリフェニレンエーテル粒子としては、長径が150μm以上とした。
前記100個の粒子サンプルを観察し、DL/DSが2.0〜7.0の粒子の割合(%)、DL/DSが3.0〜5.0の粒子の割合(%)を調べ、表1に示した。
(5)粒子内空隙の評価
得られたポリフェニレンエーテル粉体のポリフェニレンエーテル一粒子中に含まれる空隙を、リガク製高分解能3D X線顕微鏡を用いて解析した。
撮影条件は、投影数1000枚、露光時間8秒/枚であり、空間分解度0.54μm/pixである。
上記ポリフェニレンエーテル一粒子の空隙の評価は、ポリフェニレンエーテル粒子の集合体であるポリフェニレンエーテル粉体の中から無作為に選択された3つのポリフェニレンエーテル粒子についての評価の平均値とした。
空隙の評価は、下記の手順により、行った。
(5−1)下記の画像解析により粒子の内部空間(粒子の外表面より内側の空間)を数値化する。3DのX線画像において、外部空間(粒子の外表面より外側の空間)を含まない直方体部分をトリミングする。
(5−2)Percentile法(Doyle,W(1962),“Operation useful for similarity−invariant pattern recognition”, Journal of the Association for Computing Machinery 9:259−267参照)にて、空隙部分(空隙が占める部分)と樹脂部分(樹脂が占める部分)とに領域分割(2値化)する。
(5−3)空隙部分に対してLocal Thickness法(“A new method for the model−independent assessment of thickness in three−dimensional images” T. Hildebrand and P. Ruesgsegger, Journal of Microscopy, 185 (1996) 67−75参照)にて、空間サイズを求める。
(5−4)空隙部分のうち空間サイズが6.5μm以下の体積、空隙部分のうち空間サイズが6.5μm超の体積、及び樹脂部分の体積を集計し、(A)空間サイズが6.5μm以下の空隙部分の体積(ノイズ)、(B)空間サイズが6.5μm超の空隙部分の体積、(C)樹脂部分の体積として、式:(B)/{(A)+(C)}による計算により、6.5μm超の空間サイズを有する空隙の体積の粒子の全体積に対する割合を百分率(%)で評価した。
なおポリフェニレンエーテルは真比重が小さく、空気とのコントラスト差が小さいことから、2値化後にサイズの小さな空間がノイズとして残ってしまう。そのため6.5μm以下の空間はノイズとみなし、空隙率を算出する際には、排除して考えた。
(6)還元粘度(ηsp/c)の計測
ポリフェニレンエーテル粉体の0.5g/dLのクロロホルム溶液を調整し、ウベローデ型粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)(dL/g)を求めた。
(7)分散度の測定
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び得られたポリフェニレンエーテル粉体の分散度を測定した。
具体的には、以下の(7−1)〜(7−5)に従って測定した。
(7−1)分散度測定ユニットを本体に取り付けた。
(7−2)ガラス円筒下部に短形バットを置き、スペースリングをショッカーバースにはめ込み、その上にウォッチグラスを乗せ、ガラス円筒とウォッチグラスの中心をあわせた。
(7−3)ユニット最上部にあるホッパー部に試料粉体10.0gを入れた。
(7−4)ホッパー部のレバーを下に押し、シャッターを開いて粉体をウォッチグラスの上に落下させた。
(7−5)ウォッチグラスの上に残った粉体の重量を秤量し、下記式により、分散度(%)を求めた。
分散度(%)={10−残粉重量(g)}×10
(8)差角の測定
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び得られたポリフェニレンエーテル粉体の差角を測定した。
具体的には、以下の(8−1)〜(8−7)に従って測定した。
(8−1)振動台にロート、スペースリング、フルイ(目開き710μm)、フルイオサエ、オサエバーの順ではめ込み、両側のノブナットで固定した。
(8−2)短形バットをロートの下に置き、テーブル・カップベースの凹みに安息角測定用のテーブルを乗せる。また、ショッカーを短形バットのショッカーベースの凹みに乗せる。
(8−3)測定する粉体を適当量フルイ上に静かに入れ、振動・タッピング切換スイッチをVIB.にセットする。
(8−4)振動・タッピング切替スイッチをVIB.にセットした。タイマーは右側一杯にセットし、レオスタットの電圧が0になっていることを確認し、スタートボタンを押した。
(8−5)レオスタットの電圧を徐々に上げ粉体を流出させた。テーブルの周囲から粉がこぼれはじめたら、レオスタットの電圧を下げ振幅を小さくし、安息角が一定の状態に達したら、レオスタットの電圧を0にして粉の流出を止め、分度器で安息角を計測した。
(8−6)錘をポールの上端まで持ち上げて落とし、バットにショックを与えた。これを3回繰り返し、分度器で崩潰角を計測した。
(8−7)安息角と崩潰角の差を計算し、差角を求めた。
(9)破砕性の評価
乾燥後のポリフェニレンエーテル粉体をメタノールに加え、ポリフェニレンエーテル10質量%を含むスラリー溶液を調製した。
4枚傾斜パドル翼を備えたジャケット付きガラス槽に、スラリー溶液を1L仕込み、先端速度3.5m/sにて、1分間撹拌し、(3)平均粒径の解析と同様の手順にて、撹拌後の平均粒径を求めた。
攪拌後の平均粒径に対する、スラリー溶液調製前の平均粒径の比(スラリー溶液調製前の平均粒径/攪拌後の平均粒径)を計算し、破砕性の指標とした。攪拌後の平均粒径に対する、スラリー溶液調製前の平均粒径の比は、1.00以上であり、数値が大きい程、細かく破砕されたことを示す。
(10)粉体のフラッシング性評価
後述する実施例1〜13及び比較例1〜5で得られたポリフェニレンエーテルを原料として用い、以下の条件のポリフェニレンエーテルの溶融樹脂を製造した。
この二軸押出機は、スクリュを挿入するシリンダーが各ブロック(バレル)1〜10で構成されており、最上流の原料供給口がバレル1で、溶融混練した溶融樹脂の出口であるダイスヘッドの直前がバレル10となっている。バレル4及び8には真空ベントを設けた。
シリンダー温度310℃、スクリュ回転数300rpmの条件で溶融混練してポリフェニレンエーテルの溶融樹脂を得た。
製造装置としては、二軸押出機TEM58SS(東芝機械社製)を用い、二軸押出機の第一供給口(トップフィード)から原料を供給した。
二軸押出機に原料を供給するための粉体供給装置は、重量式フィーダーと粉体ストックホッパーからなる。粉体ストックホッパーは2000Lの容積である。粉体ストックホッパーと重量式フィーダー間にはバタフライ弁を使用した。重量式フィーダーは、ホッパー容量150L、スクリュ長径D37mmΦ、スクリュ軸径15mm、シリンダー径40mmΦ、スクリュピッチ50mm(1.35D)、スクリュ部長さLが1m(27D)のシングルオーガタイプ単軸スクリュ(15.11m/m)を使用した。
粉体ストックホッパーに粉体を貯めておき、重量式フィーダーレベル下限値20%になると、バタフライ弁の開閉バルブが開き、粉体が一気に重量式フィーダーに供給される設定にした。また、重量式フィーダーレベル上限値60%に達するとバタフライ弁の開閉バルブは閉まる設定とした。ただし、重量式フィーダーレベル上限値を超えた時点からバタフライ弁の開閉バルブが閉まるまでにはタイムラグがあるので、実際は、粉体が70〜80%まで貯まる。供給量は200kg/hに設定した。フィーダースクリュ回転数は、400rpmとした。
上記操作をリフィルと呼び、リフィル時間を短くする目的で、短時間に一気に粉体を粉体ストックホッパーから重量式フィーダーに供給すると、このショックで粉体のフラッシングが起こる。
溶融混練を重量式フィーダーのリフィルを3回繰り返すまで行い、リフィル前後の重量式フィーダー供給量精度の変動値及び押出機トルクの経時変化より、粉体のフラッシング性を評価した。
粉体のフラッシング性は、下記の評価区分によって評価した。
〇:重量式フィーダー供給量精度の変動値が0〜3であり、かつ押出機トルクの経時変化が±3〜±5である場合、フラッシング抑制効果が大きい。
△:重量式フィーダー供給量精度の変動値が4以上であり、かつ押出機トルクの経時変化が±5〜±10である場合、フラッシング抑制効果が不十分である。
×:リフィル直後、粉体のフラッシングが起こり、押出機の運転が停止してしまった場合、フラッシング抑制効果がないとした。
なお、重量式フィーダー供給量精度の変動値は、リフィル直後の供給量精度から初期精度を差し引いた値として、下記式で求めることができる。
重量式フィーダー供給量精度の変動値=
リフィル直後の供給量精度(kg/h)−初期(リフィル前)の供給量精度(kg/h)
<製造例1>
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合混合物(重合液)は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(1)とした。
<製造例2>
乾燥空気の通気時間を125分間とし、重合時間を変更することにより、分子量を制御した。その他の条件は、製造例1と同様に製造してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をポリマー溶液(2)とした。
<製造例3>
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.02gの酸化第二銅、29.876gの47質量%臭化水素水溶液、9.684gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、46.88gのジ−nブチルアミン、122.28gのブチルジメチルアミン、17.53kgのトルエン、及び1.5kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入すると同時に、プランジャーポンプより1.62kgの2,6−ジメチルフェノールと、3.12kgのトルエンからなる溶液とを30分かけて重合槽に添加した。乾燥空気を86分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようにコントロールした。重合終結時の重合混合物(重合液)は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(3)とした。
<実施例1>
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより冷却して、トルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が30質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が30質量%のポリマー溶液を製造した。
次に、国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されているドラフトチューブと、4枚傾斜パドル翼とを備えた、ジャケット付き析出槽を用いてポリマーの析出を行った。
なお、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。この析出槽運転中の析出槽内液量は1100mLであった。当該析出槽にトルエン500gとn−ヘキサン550gを仕込み、1500rpm(インペラ径=67mm、先端速度=5.3m/s)で撹拌した。
析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されている位置と同じ位置とした。
n−ヘキサン364g/minと、上記の30質量%ポリマー溶液174g/minとを、20℃に設定した析出槽内に30分間かけて添加(フィード)した。
パドル翼は、1500rpmで回し続けた。ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から538g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、別ラインよりn−ヘキサンを122g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。スラリー濃度7.9質量%の洗浄スラリー液を製造した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。
各濾過後、ポリマー(a)に対するn−ヘキサン(b)の比(b/a)が2.0となる量のn−ヘキサンをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。前記洗浄操作を二回行った。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、130℃、1mmHgで60分保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。
<実施例2>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、25質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを369g/minとし、上記ポリマー溶液を164g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを123g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例3>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを346g/minとし、上記ポリマー溶液を210g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを116g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例4>
析出槽の撹拌回転数を500rpm(先端速度=1.75m/s)に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例5>
析出槽の撹拌回転数を2000rpm(先端速度=7.0m/s)に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例6>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを284g/minとし、上記ポリマー溶液を303g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを168g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例7>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを328g/minとし、上記ポリマー溶液を238g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを132g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例8>
析出槽内の温度を−10℃に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例9>
使用する貧溶媒及び洗浄溶媒をn−ヘプタンに変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例10>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、事前に準備しておいたn−ヘキサン/メタノール混合液を302g/minとし、上記ポリマー溶液を171g/minとして30分間かけてフィードした。メタノール量は、析出槽内のメタノール含有量が全溶媒に対して5質量%となるように調整した。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、ヘキサンを95g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例11>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、事前に準備しておいたn−ヘキサン/水混合液を360g/minとし、上記ポリマー溶液を204g/minとして30分間かけてフィードした。水の量は、析出槽内の水含有量が全溶媒に対して5質量%となるように調整した。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、ヘキサンを113g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例12>
製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを346g/minとし、上記ポリマー溶液を210g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを116g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例13>
製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを346g/minとし、上記ポリマー溶液を210g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを116g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<実施例14>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、ジブチルエーテルを379g/minとし、上記ポリマー溶液を230g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、ジブチルエーテルを104g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<比較例1>
析出槽内の温度を50℃に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<比較例2>
析出槽の撹拌回転数を2500rpm(先端速度=8.8m/s)と変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<比較例3>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、メタノールを385g/minとし、上記ポリマー溶液を233g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを129g/minとした。得られたスラリーを濾過した後、ポリマー(a)に対するメタノール(b)の比(b/a)が2.0となる量のメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。前記洗浄操作を二回行った。その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<比較例4>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、事前に準備しておいたアセトン/水混合液を362g/minとし、上記ポリマー溶液を197g/minとして30分間かけてフィードした。水量は、析出槽内の水含有量が全溶媒に対して8質量%となるように調整した。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを108g/minとした。得られたスラリーを濾過した後、ポリマー(a)に対するアセトン(b)の比(b/a)が2.0となる量のアセトンをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。前記洗浄操作を二回行った。その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
<比較例5>
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを191g/minとし、上記ポリマー溶液を434g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを239g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
表1中の記載は、以下の通りである。
・ポリマー溶液濃度:ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液中の固形分濃度(質量%)。
・析出温度:析出槽のジャケット温度。
・添加貧溶媒/添加良溶媒:析出工程における、析出槽へ添加したポリフェニレンエーテル溶液中の良溶媒に対する、析出槽へ添加した溶解度パラメーター値9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒の質量割合。
・添加剤含有量:析出槽内の全溶媒に対する、溶解度パラメーター値9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)以上の貧溶媒量(質量%)。
・貧溶媒/ポリマー:洗浄工程における、分離したポリフェニレンエーテル固形分に対する、洗浄用の貧溶媒の質量割合。
表1に示すように、実施例1〜13は、一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0であるポリフェニレンエーテルの粒子の集合体であった。さらに空隙率が低いことや分散度、差角が小さいことから、破砕されにくく、フラッシング性の抑制が期待される。押出機及び重量フィーダーを用いて、これら粉体の溶融混練を行うと、重量フィーダーの供給量や押出機のトルクが安定しており、フラッシング性が抑制されていた。
比較例1、2に示すように、析出槽の温度が高い場合や、析出槽の撹拌翼の先端速度が速い場合、縦長の粒子とはならない。
比較例3、4に示すように、溶解度パラメーター値が9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)以上の貧溶媒であるメタノールやケトンを貧溶媒として単独で使用した場合、粒子の空隙率が高く、脆いため、微粉化しやすかった。また、粒子のアスペクト比は1に近い値となっており、フラッシング性が高くなっていた。
比較例5に示すように、析出槽へ添加した溶解度パラメーター値9(cal/cm1/2(18.41(J/cm1/2)未満の貧溶媒が少ない場合も、粒子のアスペクト比は1に近い値となった。
また比較例1〜5の場合、押出機及び重量式フィーダーを用いて、粉体の溶融混練を行うと、高いフラッシング性のため、重量式フィーダーの供給量や押出機のトルクが不安定であった。
本発明の製造方法は、微粉化が進行し難く、フラッシングが抑制された縦長のポリフェニレンエーテル粉体を製造することのできる技術として、産業上の利用可能性がある。
また、本発明のポリフェニレンエーテル粉体は、取扱い性に優れるため、ポリフェニレンエーテル粉体を原材料とする製品の製造に好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. 一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子を含み、
    前記アスペクト比が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子の含有率(個数百分率)が、70%以上であり、
    体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の、ポリフェニレンエーテル粉体における含有率が、4質量%以下であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル粉体。
  2. 前記ポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径が200〜1000μmである、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
  3. 前記ポリフェニレンエーテル粉体中の一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の0〜1.5%である、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
  4. ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを、−80〜30℃にて混合することで、ポリフェニレンエーテル粒子を析出させてスラリーを形成する析出工程を含み、
    該ポリフェニレンエーテルの貧溶媒は、溶解度パラメーター値が18.41(J/cm1/2未満の貧溶媒を含み、
    前記混合が、撹拌翼を先端速度1.7〜7.0m/sで回転させて撹拌することにより行われ、
    前記混合が、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合液である初期仕込み液に、前記ポリフェニレンエーテル溶液と前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを添加して行われ、
    添加する該貧溶媒に含まれる前記溶解度パラメーター値18.41(J/cm 1/2 未満の貧溶媒と添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒との質量比(添加する溶解度パラメーター値18.41(J/cm 1/2 未満の貧溶媒/添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒)が、0.9〜4.0の範囲であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  5. 前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  6. 前記溶解度パラメーター値が18.41(J/cm1/2未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、請求項又はに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  7. 前記溶解度パラメーター値が18.41(J/cm1/2未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、請求項のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  8. 前記ポリフェニレンエーテル溶液100質量%中のポリフェニレンエーテル濃度が、20〜50質量%である、請求項のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  9. 全溶媒(良溶媒と貧溶媒との合計100質量%)に対して、溶解度パラメーター値が18.41(J/cm1/2以上の貧溶媒を0.05〜10質量%含む、請求項のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
  10. 前記溶解度パラメーター値が18.41(J/cm1/2以上の貧溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、及び水からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
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