JP6581064B2 - ポリフェニレンエーテル粉体と製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載されている球形の樹脂粒子は、平均粒径が小さく微粉率が高いため、取扱い性の一層の改良が求められている。
特許文献2に記載の技術では、作製されるポリフェニレンエーテル粉体中に、系内に添加する水溶性有機高分子が3〜4%程度残留するため、加工時にゲルや異物を生じたりするという問題を有している。
特許文献3に記載の亀裂を有する樹脂粒子では、生成した微粉を亀裂で捕捉するものであり、微粉率が高いため、取扱性の一層の改良が求められている。さらに、特許文献3に開示されている技術は、沈殿重合法に限定されている。製造のし易さ、分子量の調整の容易さに関しては沈殿重合法が優れてはいるが、より色調の優れたポリフェニレンエーテルを得る目的で、溶液重合法での製造が望まれる。
特許文献4〜9に記載では、造粒装置が必要であり、プロセスが複雑になってしまう。また、粉体の形状に関しては詳細に記載されていない。
[1]
一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子を含み、
前記アスペクト比が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子の含有率(個数百分率)が、70%以上であり、
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の、ポリフェニレンエーテル粉体における含有率が、4質量%以下であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル粉体。
[2]
前記ポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径が200〜1000μmである、[1]に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
[3]
前記ポリフェニレンエーテル粉体中の一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の0〜1.5%である、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを、−80〜30℃にて混合することで、ポリフェニレンエーテル粒子を析出させてスラリーを形成する析出工程を含み、
該ポリフェニレンエーテルの貧溶媒は、溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(すなわち、18.41(J/cm3)1/2)未満の貧溶媒を含み、
前記混合が、撹拌翼を先端速度1.7〜7.0m/sで回転させて撹拌することにより行われ、
前記混合が、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合液である初期仕込み液に、前記ポリフェニレンエーテル溶液と前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを添加して行われ、
添加する該貧溶媒に含まれる前記溶解度パラメーター値18.41(J/cm 3 ) 1/2 未満の貧溶媒と添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒との質量比(添加する溶解度パラメーター値18.41(J/cm 3 ) 1/2 未満の貧溶媒/添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒)が、0.9〜4.0の範囲であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[5]
前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、[4]に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[6]
前記溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(すなわち、18.41(J/cm3)1/2)未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、[4]又は[5]に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[7]
前記溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(すなわち、18.41(J/cm3)1/2)未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、[4]〜[6]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[8]
前記ポリフェニレンエーテル溶液100質量%中のポリフェニレンエーテル濃度が、20〜50質量%である、[4]〜[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[9]
全溶媒(良溶媒と貧溶媒との合計)100質量%に対して、溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)以上の貧溶媒を0.05〜10質量%含む、[4]〜[8]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
[10]
前記溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)以上の貧溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、及び水からなる群より選ばれる少なくとも一種である、[9]に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体は、一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0であるポリフェニレンエーテル粒子を含む。この範囲のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子を含むことにより、フラッシングを抑制することができ、微粉化が起きにくく、取扱い性が良好なポリフェニレンエーテル粉体とすることができる。フラッシングの効果的な抑制という観点から、アスペクト比が3.0〜5.0であるポリフェニレンエーテル粒子を含むことがより好ましい。
なお、ポリフェニレンエーテル粒子のアスペクト比は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
また、本実施の形態のポリフェニレンエーテル粉体における、3.0〜5.0のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率は、65%以上であることが好ましく、68%以上であることがより好ましい。
上記範囲のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率が上記範囲であると、フラッシングや微粉化を一層抑制することができ、取扱性を一層向上させることができる。
なお、上記所定のアスペクト比を有するポリフェニレンエーテル粒子の含有率は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテル粉体は、ポリフェニレンエーテル粒子の集合体としてよい。
前記式(1)中、R1、R2、R3、及びR4で示されるアルキル基は、置換可能な位置で1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
なお、数平均分子量(Mn)は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
なお、平均粒径は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
なお、ポリフェニレンエーテル一粒子における、6.5μm超の径を有する空隙の体積の全体積に対する割合は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
なお、ポリフェニレンエーテル粉体の分散度は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
なお、ポリフェニレンエーテル粉体の差角は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
なお、スラリー溶液として攪拌した後の平均粒径は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、まず、溶液重合により以下のフェノール化合物を重合して上記式(1)により表されるポリフェニレンエーテルを含むポリマー溶液を得る(重合工程)。
下記式(2)で表されるような二価のフェノール化合物は、対応する一価のフェノール化合物と、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等)、又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により、工業的に有利に製造できる。
式(2)中、Xは、単結合、2価のヘテロ原子、炭素数1〜12の2価の炭化水素基からなる群から選択される。
式(2−a)、式(2−b)、式(2−c)中、Xは、単結合、2価のヘテロ原子、炭素数1〜12の2価の炭化水素基からなる群から選択される。
多価フェノール化合物としては、例えば、分子内に3個以上9個未満のフェノール性水酸基を有し、その内の少なくとも1個のフェノール性水酸基の2,6位にアルキル基またはアルキレン基を有する化合物が挙げられる。
また、多価フェノール化合物における2,6位のアルキル基またはアルキレン基としてはメチル基が好ましい。
溶液重合により得られる全ポリフェニレンエーテル分子は、溶解した状態にあり、分子量分布は広くなる傾向にある。ポリフェニレンエーテルが溶解したポリマー溶液に対し、必要に応じて濃縮工程を実施し、その後、析出工程でポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒と混合することによって粒子状のポリフェニレンエーテルが得られる。
また、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、及び米国特許第3257358号の明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開昭63−152628号公報の各公報等に記載された方法も、ポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
前記酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、空気と窒素あるいは希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。
また、従来から重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を、重合溶媒中に添加してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、Aliquat336やCapRiquat(株式会社同仁化学研究所製)で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。分子量制御の観点から、界面活性剤の使用量は重合反応原料の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
重合工程におけるより好適な触媒としては、構成成分として、下記式(3)で表されるジアミン化合物、銅化合物、及びハロゲン化合物を含む触媒が挙げられる。
上記式(3)中、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを示す。但し、R9、R10、R11及びR12の全てが同時に水素ではないものとする。
R13は、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
第一銅化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。
第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。
これらの中で特に好ましい銅化合物は、重合反応活性の観点から、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。
また、これらの銅化合物は、酸化物(例えば、酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸とから合成してもよい。例えば、塩化第一銅は、酸化第一銅とハロゲン化合物(例えば、ハロゲン化水素の溶液)とを混合することにより合成できる。
これらの銅化合物は、1種単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中で好ましいハロゲン化合物は、重合反応活性の観点から、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらのハロゲン化合物は、1種単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、銅原子の使用量、特に限定されないが、使用されるフェノール化合物100モルに対して0.02〜0.6モルの範囲であることが好ましい。
3級モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの3級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
3級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合工程において用いるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好ましい。
前記3級モノアミン化合物は、通常使用される全量を全て重合工程の反応系内に初期から加える必要はない。すなわち、その内の一部を途中で加えてもよいし、その一部を重合開始から逐次加えてもよい。また、重合の開始と同時にフェノール化合物又はフェノール化合物の溶液に加え、これと共に加えてもよい。
第2級脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
また、2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物も適用できる。
芳香族を含む2級モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
上述した2級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合工程において用いるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好適である。
当該後処理工程の具体的な方法については、特に限定されるものではないが、通常、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えることで、触媒を失活させる方法が挙げられる。
また、重合終結時の重合溶液は、ポリフェニレンエーテルが良溶媒に溶解した状態であるため、触媒の洗浄除去を目的として、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低く、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と相分離する溶媒(例えば、水等)を主成分とする溶液を用いて、繰り返し洗浄処理を行う方法も好適である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、重合工程で得られたポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含有するポリフェニレンエーテル溶液を、必要に応じて、良溶媒の沸点以上に加熱し、良溶媒を系外に抜出すことにより、ポリフェニレンエーテル溶液を濃縮してもよい(濃縮工程)。
濃縮後の溶液におけるPPEの含有量としては、15〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜48質量%であり、さらに好ましくは30〜46質量%である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法は、重合工程で得られたポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液(必要に応じて、濃縮工程を経たポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液)を、貧溶媒(例えば、炭化水素系溶剤)と混合することで、ポリフェニレンエーテルを析出させる(析出工程)。
初期仕込み液に含まれる良溶媒は、特に限定されず、重合工程で使用できる良溶媒として上述されたものを用いることができる。初期仕込み液に含まれる良溶媒は、重合工程で使用されポリフェニレンエーテル溶液(「ポリマー溶液」とも称する)に含まれる良溶媒と、同一であっても異なっていてもよい。これらの良溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
δ={(ΔH−RT)/V}1/2・・・(1)
ただし、
δ:溶解度パラメーター値(cal/cm3)1/2
(なお、1calは4.18605Jであるため、1(cal/cm3)1/2は2.046(J/cm3)1/2とした)
ΔH:モル蒸発熱(cal/mоl)
R:理想気体定数(cal/K・mol)
T:絶対温度(K)
V:モル体積(cm3/mol)
である。
この範囲であれば、析出槽内の混合液の流動状態が極めて安定し、これにより、粒径分布のバラツキが非常に少ないポリフェニレンエーテル粒子を得ることができる。また、流動状態が安定するため、析出槽内でのスケール(スケーリング)が極めて少なく、安定した運転が可能となる。添加する溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)未満の貧溶媒と添加するポリマー溶液中の良溶媒との質量比が0.9未満の場合、粒子の析出が不十分であり、ポリマーの回収量が低下してしまう。また、アスペクト比が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子の含有率が低下する。また、上記質量比が4.0より大きい場合、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液の濃度にもよるが、ポリフェニレンエーテル粒子の凝集が効率よく起こらない。
これらの貧溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
なお、前記混合溶液の温度は、析出槽のジャケット温度の設定を調節することによって所望の範囲に制御すればよい。
上述した析出工程においては、これらの撹拌翼によって撹拌を行うことが好ましい。また、撹拌翼は下方吐出であることが好ましい。また、流動性を安定させる観点から、析出槽は、少なくとも一枚のバッフルを備えるものを用いることが好ましい。
なお、先端速度(m/s)は、下記式により求められる。
先端速度(m/s)={π×(インペラ直径(m))×(回転数(rpm))}/60
この範囲の先端速度で攪拌翼を回転させて攪拌すると、ポリフェニレンエーテルを、アスペクト比が2.0〜7.0の縦長形状の粒子として析出させることができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、析出後の前記ポリフェニレンエーテルを、貧溶媒で洗浄してもよい(洗浄工程)。
この洗浄工程では、例えば、析出工程において得られたスラリーを固液分離することで、溶剤と湿潤ポリフェニレンエーテルとに分離し、湿潤ポリフェニレンエーテルを貧溶媒で洗浄しながら、固液分離し、その後、湿潤ポリフェニレンエーテルを乾燥させる。
続いて、本実施形態のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法においては、洗浄後の前記ポリフェニレンエーテルを、乾燥させる(乾燥工程)。
乾燥工程における温度としては、少なくとも60℃以上の温度により行うことが好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上がさらにより好ましく、150℃以上がよりさらに好ましい、160℃以上が最も好ましい。湿潤ポリフェニレンエーテルの乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル粉体中の芳香族炭化水素系良溶媒の含有量を効率よく低減できる。
実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られたポリフェニレンエーテル粉体の数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K−805Lを2本直列につないだものを使用した。
溶媒は、クロロホルムを使用し、溶媒の流量は1.0mL/min、カラムの温度は40℃として測定した。
測定用試料としては、ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。
検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び製造後に得られたポリフェニレンエーテル粉体のゆるみ嵩密度を測定した。
具体的には、以下の(2−1)〜(2−7)に従って測定した。
(2−1)ケーシング前面の2個のピンに固定シュートをはめ、振動台に、バイブロシュート、スペースリング、フルイ(目開き710μm)、フルイオサエ、オサエバーの順で取り付け、各々をノブナットで固定した。
(2−2)矩形バットを固定シュートの真下に置き、テーブル・カップベースの凹みに、ゆるみ見かけ比重測定用カップ(以下、単に「カップ」とも記す。)を置いた。この際、カップと固定シュートとの中心をあわせた(カップ空重量は事前に秤量した)。
(2−3)スコップを用いて測定用の粉体を適当量フルイの上に静かに入れた。
(2−4)振動・タッピング切替スイッチをVIB.にセットした。タイマーは右側一杯にセットし、レオスタットの電圧が0になっていることを確認し、スタートボタンを押した。
(2−5)レオスタットの電圧を徐々に上げ粉体をカップに流出させた。カップに粉体が山盛りになるまでの時間が20〜30秒位になるように、レオスタットの電圧を調整した。カップに粉体が山盛りに充填されたらレオスタットの電圧を0にして振動を停止した。
(2−6)ブレードを垂直に立ててカップに山盛りに充填された粉体の側面をすり切って、カップ内の粉体の重量(粉体重量)を秤量した。
(2−7)カップの内容量は100cm3(cc)なので、粉体重量÷100の計算でゆるみ嵩密度(g/cm3)を算出し、記録した。
レーザー回析散乱法の粒度分布計である、島津製作所製レーザー回析散乱式粒度分布測定装置を使用して、湿式法(メタノール溶媒)で、得られたポリフェニレンエーテル粉体の体積平均粒子径を測定した。
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から、中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)を平均粒径(μm)とした。
同様に体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下の粒子の粉体における含有率を微粉率(質量%)として算出した。
粒子のアスペクト比は、光学顕微鏡(KEYENCE製光学顕微鏡VHX−1000)により求めた。粒子を倍率百倍で撮影した写真像から、代表的な粒子サンプルを100個選択し、スケールを用いて粒子像の長径(DL)と短径(DS)を測定し、アスペクト比(DL/DS)を求めた。評価対象となるポリフェニレンエーテル粒子としては、長径が150μm以上とした。
前記100個の粒子サンプルを観察し、DL/DSが2.0〜7.0の粒子の割合(%)、DL/DSが3.0〜5.0の粒子の割合(%)を調べ、表1に示した。
得られたポリフェニレンエーテル粉体のポリフェニレンエーテル一粒子中に含まれる空隙を、リガク製高分解能3D X線顕微鏡を用いて解析した。
撮影条件は、投影数1000枚、露光時間8秒/枚であり、空間分解度0.54μm/pixである。
上記ポリフェニレンエーテル一粒子の空隙の評価は、ポリフェニレンエーテル粒子の集合体であるポリフェニレンエーテル粉体の中から無作為に選択された3つのポリフェニレンエーテル粒子についての評価の平均値とした。
(5−2)Percentile法(Doyle,W(1962),“Operation useful for similarity−invariant pattern recognition”, Journal of the Association for Computing Machinery 9:259−267参照)にて、空隙部分(空隙が占める部分)と樹脂部分(樹脂が占める部分)とに領域分割(2値化)する。
(5−3)空隙部分に対してLocal Thickness法(“A new method for the model−independent assessment of thickness in three−dimensional images” T. Hildebrand and P. Ruesgsegger, Journal of Microscopy, 185 (1996) 67−75参照)にて、空間サイズを求める。
(5−4)空隙部分のうち空間サイズが6.5μm以下の体積、空隙部分のうち空間サイズが6.5μm超の体積、及び樹脂部分の体積を集計し、(A)空間サイズが6.5μm以下の空隙部分の体積(ノイズ)、(B)空間サイズが6.5μm超の空隙部分の体積、(C)樹脂部分の体積として、式:(B)/{(A)+(C)}による計算により、6.5μm超の空間サイズを有する空隙の体積の粒子の全体積に対する割合を百分率(%)で評価した。
なおポリフェニレンエーテルは真比重が小さく、空気とのコントラスト差が小さいことから、2値化後にサイズの小さな空間がノイズとして残ってしまう。そのため6.5μm以下の空間はノイズとみなし、空隙率を算出する際には、排除して考えた。
ポリフェニレンエーテル粉体の0.5g/dLのクロロホルム溶液を調整し、ウベローデ型粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)(dL/g)を求めた。
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び得られたポリフェニレンエーテル粉体の分散度を測定した。
具体的には、以下の(7−1)〜(7−5)に従って測定した。
(7−1)分散度測定ユニットを本体に取り付けた。
(7−2)ガラス円筒下部に短形バットを置き、スペースリングをショッカーバースにはめ込み、その上にウォッチグラスを乗せ、ガラス円筒とウォッチグラスの中心をあわせた。
(7−3)ユニット最上部にあるホッパー部に試料粉体10.0gを入れた。
(7−4)ホッパー部のレバーを下に押し、シャッターを開いて粉体をウォッチグラスの上に落下させた。
(7−5)ウォッチグラスの上に残った粉体の重量を秤量し、下記式により、分散度(%)を求めた。
分散度(%)={10−残粉重量(g)}×10
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び得られたポリフェニレンエーテル粉体の差角を測定した。
具体的には、以下の(8−1)〜(8−7)に従って測定した。
(8−1)振動台にロート、スペースリング、フルイ(目開き710μm)、フルイオサエ、オサエバーの順ではめ込み、両側のノブナットで固定した。
(8−2)短形バットをロートの下に置き、テーブル・カップベースの凹みに安息角測定用のテーブルを乗せる。また、ショッカーを短形バットのショッカーベースの凹みに乗せる。
(8−3)測定する粉体を適当量フルイ上に静かに入れ、振動・タッピング切換スイッチをVIB.にセットする。
(8−4)振動・タッピング切替スイッチをVIB.にセットした。タイマーは右側一杯にセットし、レオスタットの電圧が0になっていることを確認し、スタートボタンを押した。
(8−5)レオスタットの電圧を徐々に上げ粉体を流出させた。テーブルの周囲から粉がこぼれはじめたら、レオスタットの電圧を下げ振幅を小さくし、安息角が一定の状態に達したら、レオスタットの電圧を0にして粉の流出を止め、分度器で安息角を計測した。
(8−6)錘をポールの上端まで持ち上げて落とし、バットにショックを与えた。これを3回繰り返し、分度器で崩潰角を計測した。
(8−7)安息角と崩潰角の差を計算し、差角を求めた。
乾燥後のポリフェニレンエーテル粉体をメタノールに加え、ポリフェニレンエーテル10質量%を含むスラリー溶液を調製した。
4枚傾斜パドル翼を備えたジャケット付きガラス槽に、スラリー溶液を1L仕込み、先端速度3.5m/sにて、1分間撹拌し、(3)平均粒径の解析と同様の手順にて、撹拌後の平均粒径を求めた。
攪拌後の平均粒径に対する、スラリー溶液調製前の平均粒径の比(スラリー溶液調製前の平均粒径/攪拌後の平均粒径)を計算し、破砕性の指標とした。攪拌後の平均粒径に対する、スラリー溶液調製前の平均粒径の比は、1.00以上であり、数値が大きい程、細かく破砕されたことを示す。
後述する実施例1〜13及び比較例1〜5で得られたポリフェニレンエーテルを原料として用い、以下の条件のポリフェニレンエーテルの溶融樹脂を製造した。
粉体のフラッシング性は、下記の評価区分によって評価した。
〇:重量式フィーダー供給量精度の変動値が0〜3であり、かつ押出機トルクの経時変化が±3〜±5である場合、フラッシング抑制効果が大きい。
△:重量式フィーダー供給量精度の変動値が4以上であり、かつ押出機トルクの経時変化が±5〜±10である場合、フラッシング抑制効果が不十分である。
×:リフィル直後、粉体のフラッシングが起こり、押出機の運転が停止してしまった場合、フラッシング抑制効果がないとした。
なお、重量式フィーダー供給量精度の変動値は、リフィル直後の供給量精度から初期精度を差し引いた値として、下記式で求めることができる。
重量式フィーダー供給量精度の変動値=
リフィル直後の供給量精度(kg/h)−初期(リフィル前)の供給量精度(kg/h)
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合混合物(重合液)は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(1)とした。
乾燥空気の通気時間を125分間とし、重合時間を変更することにより、分子量を制御した。その他の条件は、製造例1と同様に製造してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をポリマー溶液(2)とした。
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.02gの酸化第二銅、29.876gの47質量%臭化水素水溶液、9.684gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、46.88gのジ−nブチルアミン、122.28gのブチルジメチルアミン、17.53kgのトルエン、及び1.5kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入すると同時に、プランジャーポンプより1.62kgの2,6−ジメチルフェノールと、3.12kgのトルエンからなる溶液とを30分かけて重合槽に添加した。乾燥空気を86分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようにコントロールした。重合終結時の重合混合物(重合液)は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(3)とした。
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより冷却して、トルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が30質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が30質量%のポリマー溶液を製造した。
なお、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。この析出槽運転中の析出槽内液量は1100mLであった。当該析出槽にトルエン500gとn−ヘキサン550gを仕込み、1500rpm(インペラ径=67mm、先端速度=5.3m/s)で撹拌した。
析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されている位置と同じ位置とした。
n−ヘキサン364g/minと、上記の30質量%ポリマー溶液174g/minとを、20℃に設定した析出槽内に30分間かけて添加(フィード)した。
パドル翼は、1500rpmで回し続けた。ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から538g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、別ラインよりn−ヘキサンを122g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。スラリー濃度7.9質量%の洗浄スラリー液を製造した。
当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、25質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを369g/minとし、上記ポリマー溶液を164g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを123g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを346g/minとし、上記ポリマー溶液を210g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを116g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
析出槽の撹拌回転数を500rpm(先端速度=1.75m/s)に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
析出槽の撹拌回転数を2000rpm(先端速度=7.0m/s)に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを284g/minとし、上記ポリマー溶液を303g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを168g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを328g/minとし、上記ポリマー溶液を238g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを132g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
析出槽内の温度を−10℃に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
使用する貧溶媒及び洗浄溶媒をn−ヘプタンに変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、事前に準備しておいたn−ヘキサン/メタノール混合液を302g/minとし、上記ポリマー溶液を171g/minとして30分間かけてフィードした。メタノール量は、析出槽内のメタノール含有量が全溶媒に対して5質量%となるように調整した。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、ヘキサンを95g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、事前に準備しておいたn−ヘキサン/水混合液を360g/minとし、上記ポリマー溶液を204g/minとして30分間かけてフィードした。水の量は、析出槽内の水含有量が全溶媒に対して5質量%となるように調整した。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、ヘキサンを113g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを346g/minとし、上記ポリマー溶液を210g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを116g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを346g/minとし、上記ポリマー溶液を210g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを116g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、ジブチルエーテルを379g/minとし、上記ポリマー溶液を230g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、ジブチルエーテルを104g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
析出槽内の温度を50℃に変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
析出槽の撹拌回転数を2500rpm(先端速度=8.8m/s)と変更した以外は、実施例3と同様に行った。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、メタノールを385g/minとし、上記ポリマー溶液を233g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メタノールを129g/minとした。得られたスラリーを濾過した後、ポリマー(a)に対するメタノール(b)の比(b/a)が2.0となる量のメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。前記洗浄操作を二回行った。その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、事前に準備しておいたアセトン/水混合液を362g/minとし、上記ポリマー溶液を197g/minとして30分間かけてフィードした。水量は、析出槽内の水含有量が全溶媒に対して8質量%となるように調整した。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを108g/minとした。得られたスラリーを濾過した後、ポリマー(a)に対するアセトン(b)の比(b/a)が2.0となる量のアセトンをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。前記洗浄操作を二回行った。その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、45質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、n−ヘキサンを191g/minとし、上記ポリマー溶液を434g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、n−ヘキサンを239g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル粉体を得た。
・ポリマー溶液濃度:ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液中の固形分濃度(質量%)。
・析出温度:析出槽のジャケット温度。
・添加貧溶媒/添加良溶媒:析出工程における、析出槽へ添加したポリフェニレンエーテル溶液中の良溶媒に対する、析出槽へ添加した溶解度パラメーター値9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)未満の貧溶媒の質量割合。
・添加剤含有量:析出槽内の全溶媒に対する、溶解度パラメーター値9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)以上の貧溶媒量(質量%)。
・貧溶媒/ポリマー:洗浄工程における、分離したポリフェニレンエーテル固形分に対する、洗浄用の貧溶媒の質量割合。
比較例3、4に示すように、溶解度パラメーター値が9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)以上の貧溶媒であるメタノールやケトンを貧溶媒として単独で使用した場合、粒子の空隙率が高く、脆いため、微粉化しやすかった。また、粒子のアスペクト比は1に近い値となっており、フラッシング性が高くなっていた。
比較例5に示すように、析出槽へ添加した溶解度パラメーター値9(cal/cm3)1/2(18.41(J/cm3)1/2)未満の貧溶媒が少ない場合も、粒子のアスペクト比は1に近い値となった。
また、本発明のポリフェニレンエーテル粉体は、取扱い性に優れるため、ポリフェニレンエーテル粉体を原材料とする製品の製造に好適に使用することができる。
Claims (10)
- 一粒子における長径(DL)と短径(DS)との比であるアスペクト比(DL/DS)が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子を含み、
前記アスペクト比が2.0〜7.0のポリフェニレンエーテル粒子の含有率(個数百分率)が、70%以上であり、
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下のポリフェニレンエーテル粒子の、ポリフェニレンエーテル粉体における含有率が、4質量%以下であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル粉体。 - 前記ポリフェニレンエーテル粉体の平均粒径が200〜1000μmである、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
- 前記ポリフェニレンエーテル粉体中の一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の0〜1.5%である、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル粉体。
- ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを、−80〜30℃にて混合することで、ポリフェニレンエーテル粒子を析出させてスラリーを形成する析出工程を含み、
該ポリフェニレンエーテルの貧溶媒は、溶解度パラメーター値が18.41(J/cm3)1/2未満の貧溶媒を含み、
前記混合が、撹拌翼を先端速度1.7〜7.0m/sで回転させて撹拌することにより行われ、
前記混合が、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合液である初期仕込み液に、前記ポリフェニレンエーテル溶液と前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とを添加して行われ、
添加する該貧溶媒に含まれる前記溶解度パラメーター値18.41(J/cm 3 ) 1/2 未満の貧溶媒と添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒との質量比(添加する溶解度パラメーター値18.41(J/cm 3 ) 1/2 未満の貧溶媒/添加する前記ポリフェニレンエーテルポリマー溶液中の良溶媒)が、0.9〜4.0の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。 - 前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
- 前記溶解度パラメーター値が18.41(J/cm3)1/2未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤及びエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、請求項4又は5に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
- 前記溶解度パラメーター値が18.41(J/cm3)1/2未満の貧溶媒が、炭化水素系溶剤から選ばれる少なくとも一種である、請求項4〜6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
- 前記ポリフェニレンエーテル溶液100質量%中のポリフェニレンエーテル濃度が、20〜50質量%である、請求項4〜7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
- 全溶媒(良溶媒と貧溶媒との合計100質量%)に対して、溶解度パラメーター値が18.41(J/cm3)1/2以上の貧溶媒を0.05〜10質量%含む、請求項4〜8のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
- 前記溶解度パラメーター値が18.41(J/cm3)1/2以上の貧溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、及び水からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項9に記載のポリフェニレンエーテル粉体の製造方法。
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