JP6037764B2 - メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6037764B2
JP6037764B2 JP2012231133A JP2012231133A JP6037764B2 JP 6037764 B2 JP6037764 B2 JP 6037764B2 JP 2012231133 A JP2012231133 A JP 2012231133A JP 2012231133 A JP2012231133 A JP 2012231133A JP 6037764 B2 JP6037764 B2 JP 6037764B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenylene ether
polymerization
dimethylphenol
trimethylphenol
methylphenol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012231133A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014080553A (ja
Inventor
山本 繁
繁 山本
三井 昭
昭 三井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2012231133A priority Critical patent/JP6037764B2/ja
Publication of JP2014080553A publication Critical patent/JP2014080553A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6037764B2 publication Critical patent/JP6037764B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyethers (AREA)

Description

本発明は、メチルフェノール組成物、及び該メチルフェノール組成物を使用したポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
ポリフェニレンエーテルを原料とする変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、溶融射出成形法や溶融押出成形法等の成形方法により所望の形状の製品・部品を生産できるため、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられている。
ポリフェニレンエーテル製造用のモノマーとして、代表的には2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールが挙げられる。これらフェノール類の不純物については、従来、様々な研究がなされている。
特許文献1には、2,6−キシレノール(2,6−ジメチルフェノールと同義)中の2,4,6−トリメチルアニソールを300ppm未満、2,6−ジメチルシクロヘキサノンを200ppm未満にすることが記載されている。特許文献1によると、この2,6−キシレノールを原料とすることで、臭気を改良することができる。
特許文献2には、m−クレゾール含有量が15〜700ppmの2,6−ジメチルフェノールを使ってポリフェニレンエーテルを重合する方法が記載されている。特許文献2には、この原料を選択することにより、ポリフェニレンエーテルの重合活性と色調を改良できると記載されている。
特開2010−132676号公報 WO2003/014050号公報
2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールの主な用途はポリフェニレンエーテルの原料であるので、この製造/精製設備とポリフェニレンエーテル製造設備が隣接していない場合等には、2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを系外の移動タンク等に抜出し、ポリフェニレンエーテル製造設備まで輸送する。しかし、同じ条件で合成した2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールであっても、輸送前の物を原料とすると色調の良好なポリフェニレンエーテルを得られるにもかかわらず、輸送後の物を使うとポリフェニレンエーテルの色調が悪い場合がある。すなわち、m−クレゾールの含有量を特許文献2のように調整しても、ポリフェニレンエーテルの色調が良好になるとは限らない。
これに加え、輸送したモノマーの利用に当たっては、生産効率の面でも問題がある。輸送効率の観点で、モノマーの輸送には容量の大きい容器を利用することが一般的であるが、容量が大きいほど、輸送後に2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを溶解させる作業に時間がかかる。溶解に時間がかかると、加熱の時間が長くなるので、コストの問題のみならず色調への影響も懸念される。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、色調の良好なポリフェニレンエーテルを与え、かつ溶解性に優れたメチルフェノール組成物、及び該メチルフェノール組成物を原料とした生産効率の高いポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
輸送時に加熱していない場合、2,6ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、又は2,6ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールの混合物は固体になるため、ポリフェニレンエーテルの製造に使用する際に、溶剤溶解や加熱溶解が必要になる。本発明者が鋭意研究を重ねた結果、輸送時に水が混入する等して、この溶解時に水が多く共存していると、2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを原料として生産されるポリフェニレンエーテルの色調が悪化することを見出した。また、その一方で、水を完全に排除してしまうと、固体状のモノマーを溶解させるのに非常に時間がかかることも見出した。
本発明者らは、以上の知見に基づき、2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール中の水含有量を特定範囲にすることにより、輸送等を経ても、2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを重合したポリフェニレンエーテルの色調を悪化させず、かつ、固体を比較的短時間に溶解させることも可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを含むメチルフェノール組成物中の水の含有量を、下記方法i)又はii)により、重量基準で10〜700ppmに調整する工程と、
方法i) 2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを製造設備系外の移動タンクに抜出す際に所定量の水を添加する方法
方法ii)抜出した2,3−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを大気中で自然吸湿させる方法
前記メチルフェノール組成物を溶解させる溶解工程と、
前記メチルフェノール組成物を、触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させる酸化重合工程とを有する、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
〔2〕
前記水の含有量を重量基準で15〜500ppmに調整する、〔1〕に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
〔3〕
前記触媒が、銅化合物、ハロゲン化合物、及び式(1)で表されるジアミン化合物を含む、〔1〕又は〔2〕に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、全てが同時に水素ではない。R 5 は、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。)
〔4〕
前記触媒が、3級モノアミン化合物、及び2級モノアミン化合物からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。

本発明によれば、色調の良好なポリフェニレンエーテルを与え、溶解性に優れたメチルフェノール組成物が実現される。また、そのメチルフェノール組成物を用いた、生産効率の高いポリフェニレンエーテルの製造方法が実現される。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔メチルフェノール組成物〕
本実施形態のメチルフェノール組成物は、水の含有量が重量基準で10〜700ppmであり、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、又は2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールを含む。本実施形態のメチルフェノール組成物はポリフェニレンエーテルの製造に用いられるモノマーとして有用である。本実施形態のメチルフェノール組成物であれば、固体状の2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを加熱溶解や溶剤溶解する際の速度が速く、ポリフェニレンエーテルの生産効率が高くなる。また、固体状の2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを加熱溶解する際のモノマーの着色、及び重合後のポリフェニレンエーテルの着色を抑えることも可能となる。
〔水の含有量〕
メチルフェノール組成物中の水含有量は、重量基準で700ppm以下であり、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下である。上限が上記範囲であることにより、得られるポリフェニレンエーテルの着色をより防止できる傾向にある。また、水含有量を700ppm以下にすることで、固体状のメチルフェノール組成物を溶解させるために加熱した場合でも、得られるポリフェニレンエーテルの色調が悪化しない傾向にある。メチルフェノール組成物が水を含有しない場合に、長時間加熱して溶解させても、モノマーの色調は悪化するものの、ポリフェニレンエーテルの色調悪化は見られなかった。従って、ポリフェニレンエーテルの色調を良好にするために調整すべき含水量には上限値のみが存在すると特定した。
一方、水含有量の下限値を設定することで、加熱溶解や溶剤溶解する際の溶解速度を速め生産効率を向上させるという効果を得ることが可能である。溶解速度を速めポリフェニレンエーテルの生産効率を向上させる観点で水含有量は10ppm以上であり、好ましくは15ppm以上であり、より好ましくは20ppm以上である。さらに、水含有量を10ppm以上にすることで、溶解のために加熱しても、モノマー自体の色調が悪化しないという効果も得られる。
一般的に、2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール製造後の水含有量はほぼゼロであるので、所定の方法により水含有量を10〜700ppmに調整する。調整方法としては、特に限定されないが、具体的には、2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを製造設備系外の移動タンク等に抜出す際に所定量の水を添加する方法、抜出した2,3−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを大気中で自然吸湿させる方法等が挙げられる。所定量の水含有量になった後は、タンクの気相部を窒素等の不活性ガスでパージする等、水含有量が過剰にならないように管理することが好ましい。
メチルフェノール組成物が含有する水以外に、o−クレゾール、o−エチルフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。本実施形態のメチルフェノール組成物は、これら不純物を含有していても、水含有量を10〜700ppmにすることにより、溶解性に優れ、色調の良好なポリフェニレンエーテルを与えるメチルフェノール組成物となる。
〔ポリフェニレンエーテル〕
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法により製造されるポリフェニレンエーテルについて以下に説明する。製造されるポリフェニレンエーテルは、下記式(2)で表される繰返し単位構造からなるホモ重合体及び/又は共重合体である。
式(2)において、2,6−ジメチルフェノール単位の場合はR、Rはメチル基であり、R、Rは水素原子である。同様に2,3,6−トリメチルフェノール単位の場合はR、R、及びRはメチル基であり、Rは水素原子である。
(還元粘度)
ポリフェニレンエーテル0.5gを、クロロホルムで溶解し1g/dLにしたクロロホルム溶液を、動粘度測定用恒温槽(吉田化学器械社製、製品名 VB−M6P)を用いて30℃で測定した還元粘度は、0.15〜1.0dL/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.85dL/gの範囲であり、さらに好ましくは0.25〜0.70dL/gの範囲である。還元粘度が0.15dL/g以上であることにより、より優れた機械的物性が発現できる傾向にある。また、還元粘度が1.0dL/g以下であることにより、重合時の溶液粘度が高くなりすぎず、重合槽の周辺機器の能力を適切に制御でき、後処理が容易であり、加工性も良好となる傾向にある。
(数平均分子量及び分子量分布)
ポリフェニレンエーテルの分子量に関わる情報は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)測定装置を用いた測定により得られる。具体的なGPCの測定は、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21(カラム:昭和電工(株)製K−805Lを2本直列、カラム温度:40℃、溶媒:クロロホルム、溶媒流量:1.0mL/min、サンプル濃度:ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液)を用いて、標準ポリスチレン(標準ポリスチレンの分子量は、3,650,000、2,170,000、1,090,000、681,000、204,000、52,000、30,200、13,800、3,360、1,300、550)の検量線を作成して、行なう。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmを、それぞれ選択できる。分子量分布を示す指標として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分散度を使用する。この分散度は、値が小さいほど分子量分布が狭いことを示し、1が最小値である。
ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)は、7,000以上35,000以下であることが好ましい。より好ましい下限は8,000以上であり、さらに好ましい下限は9,000以上である。また、より好ましい上限は30,000以下であり、さらに好ましい上限は25,000以下である。数平均分子量の下限が7,000以上であると、機械的特性により優れる傾向にある。また、数平均分子量の上限は35,000以下であると、重合反応時の液粘性がより良好となる傾向にある。
ポリフェニレンエーテルの分散度は4.5以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以下であり、さらに好ましくは3.75以下であり、さらにより好ましくは3.5以下である。ポリフェニレンエーテルの分散度は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは1.9以上、さらにより好ましくは2.0以上である。分散度が上記の範囲にあると低分子量成分と高分子量成分のバランスが良く、このような分散度を持つポリフェニレンエーテルは耐薬品性と流動性のバランスにより優れる傾向にある。
(残留金属触媒量)
ポリフェニレンエーテルは、残留金属触媒量が1.0ppm未満であることが好ましく、0.8ppm未満であることがより好ましく、0.6ppm未満であることがさらに好ましく、0.4ppm未満であることがさらにより好ましく、0.2ppm未満であることがよりさらに好ましい。ここで、残留金属触媒量とは、ポリフェニレンエーテル自体の純度の指標である。残留金属触媒量が1.0ppm未満であることにより、高純度のポリフェニレンエーテルとなり、さらに、熱履歴後の黄色味をより抑制できる傾向にある。なお、ポリフェニレンエーテルの残留金属触媒量は、原子吸光分光光度計(株式会社島津製作所社製、製品名 AA−6650)により測定することができる。
(色調)
本実施形態のメチルフェノール組成物を原料としたポリフェニレンエーテルは、色調の良好なものとなる。色調は、実施例に記載のカラーインデックスの測定方法により確認することができる。
〔ポリフェニレンエーテルの製造方法〕
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法は、
前記メチルフェノール組成物を溶解させる溶解工程と、
前記メチルフェノール組成物を、触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させる酸化重合工程とを有する。
〔単量体〕
上記式(2)により表されるポリフェニレンエーテルは、上記のメチルフェノール組成物を重合することにより製造できる。特に、安価であり入手が容易であるため、2,6−ジメチルフェノールを含むメチルフェノール組成物を用いることが好ましい。また、上記のメチルフェノール組成物の他、下記式(3)で表される二価のフェノール化合物をさらに用いてもよい。
式(3)で表されるような二価のフェノール化合物は、対応する一価のフェノール化合物と、ケトン類又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により工業的に有利に製造できる。二価のフェノール化合物としては、特に限定されないが、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサン等の汎用ケトン化合物と、一価のフェノール化合物との反応により得られる化合物群や、一価のフェノール化合物同士の反応により得られる化合群が挙げられる。
式(3)で表される二価のフェノール化合物としては、特に限定されないが、具体的には、下記式(3−a)、(3−b)、及び(3−c)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立して、水素又はメチル基を示し、全てが同時に水素ではない。Xは、両方のアリール基を直結している基、メチレン基、硫黄原子、エチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基を示す。)
式(3)で表される代表的な化合物としては、R10及びR11がメチル基、R12及びR13が水素でXが両方のアリール基を直結している化合物、R10及びR11がメチル基、R12及びR13が水素でXがメチレンである化合物、R10及びR11がメチル基、R12及びR13が水素でXがチオである化合物、R10、R11及びR12がメチル基、R13が水素でXがエチレンである化合物、R10及びR11がメチル基、R12及びR13が水素でXがイソプロピリデンである化合物、R10及びR11がメチル基、R12及びR13が水素でXがシクロヘキシリデンである化合物、R10、R11及びR12がメチル基、R13が水素でXが両方のアリール基を直結している化合物、R10、R11及びR12がメチル基、R13が水素でXがメチレンである化合物、R10、R11及びR12がメチル基、R13が水素でXがエチレンである化合物、R10、R11及びR12がメチル基、R13が水素でXがチオである化合物、R10、R11及びR12がメチル基、R13が水素でXがイソプロピリデンである化合物、R10、R11、R12及びR13がメチル基でXがメチレンである化合物、R10、R11、R12及びR13がメチル基でXがエチレンである化合物、R10、R11、R12及びR13がメチル基でXがイソプロピリデンである化合物等が挙げられるが、これらの例に限定されない。
ポリフェニレンエーテルの酸化重合工程においては、上述したフェノール化合物の他、さらに多価フェノール化合物を共存させることが可能である。多価フェノール化合物としては、特に限定されないが、分子内に3個以上9個以下のフェノール性水酸基を有し、その内の少なくとも1個のフェノール性水酸基の2,6位にアルキル基又はアルキレン基を有する化合物が挙げられる。フェノール性水酸基の数が上記範囲であることにより、重合の制御がより容易になる傾向にある。また、2,6位のアルキル基又はアルキレン基としてはメチル基が好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、特に限定されないが、具体的には、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルエチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、2,2’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−エチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、3,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,5/3,6−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,3,5/3,4,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−6−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、6,6’−メチレンビス[4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4”,4”’−(1,2−エタンジイリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’,4”,4”’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)等が挙げられる。
上記の中でも好ましい多価フェノール化合物は、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’,4”,4”’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)である。
〔溶解工程〕
溶解工程では、上記メチルフェノール組成物を溶解させる。溶解方法としては、一般的に重合前に行なわれる方法であれば特に限定されないが、具体的には、重合で使用するポリフェニレンエーテルの良溶媒に溶解する方法(溶解法1)、ジメチルフェノール組成物固体を加熱溶解する方法(溶解法2)が挙げられる。上記メチルフェノール組成物を用いることにより、溶剤溶解、加熱溶解の時間が短くなり、ポリフェニレンエーテルの生産効率が向上する。
溶解法1では、メチルフェノール組成物と溶媒とを混合する。所定の攪拌機で撹拌することにより、溶解時間を更に短くすることもできる。撹拌条件は特に制限されず、任意の条件で行なうことができる。また、溶解法2では、メチルフェノール組成物をヒーター等で加熱し、溶融する。加熱条件は特に制限されず、任意の条件で行なうことができる。なお、上記の二価フェノール化合物及び/又は多価フェノール化合物を用いる場合は、特に制限されず、メチルフェノール組成物と同時に溶解しても、溶解した二価フェノール化合物等と溶解したメチルフェノール組成物とを混合してもよい。
〔酸化重合工程〕
酸化重合工程では、前記溶解したメチルフェノール組成物を、触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させる。以下、沈殿析出重合及び溶液重合について説明する。
(沈殿析出重合)
ポリフェニレンエーテルの製造工程において、沈殿析出重合を行う場合、酸化重合工程は、下記の重合初期、重合中期、重合後期の各段階に分けられる。なお、下記各段階では、良溶媒量、貧溶媒量、モノマー種、モノマー濃度によって、析出を呈するまでの時間、スラリーが安定化するまでの時間が異なってくる。
重合初期:酸素含有ガス導入開始から、析出を観察し始めるまでの期間。
重合中期:析出開始から、スラリーが安定化するまでの期間。
重合後期:スラリーが安定化し、重合が完結するまでの期間。
重合初期における重合体の析出状態は、適宜目視で観察できる。具体的には、所定の反応器の覗き窓から重合体の析出状態を目視観察する方法、サンプリング口からガラス等の透明容器に重合液を抜き出して析出状態を目視観察する方法等が挙げられる。
重合体の状態の目視観察を開始する目安としては、重合系内に含まれるフェノール化合物の量やポリフェニレンエーテルに対する良溶媒又は貧溶媒の量にもよるが、好ましくは、重合率が80%に達してから、より好ましくは重合率が70%に達してから、さらに好ましくは重合率が50%に達してから重合体の析出に注意し観察を始める。重合溶媒中に沈殿析出が観察された後も、重合中期で沈殿析出を維持したまま重合を継続し、重合後期で完結させる重合形態であることが好ましい。
重合を完結した後は、貧溶媒等を添加し洗浄することもできる。ポリフェニレンエーテルと重合溶媒、洗浄溶媒を含む固液懸濁液を固液分離し、得られた湿潤ポリフェニレンエーテルを得ることができる。得られた湿潤ポリフェニレンエーテルに貧溶媒等を添加し、さらに洗浄を行い、固液分離を行うことも可能である。洗浄は繰り返し行うことも可能である。このようにして得られた湿潤ポリフェニレンエーテルを乾燥することにより、ポリフェニレンエーテルを単離することができる。
(溶液重合)
ポリフェニレンエーテルを製造する際、ポリフェニレンエーテルが重合中及び重合終結時に、重合に用いる良溶媒に溶解した状態で得られる重合法を溶液重合という。重合の進行に伴い、ポリフェニレンエーテルが析出する場合においては、重合初期又は重合途中に反応系中の温度を上昇させる、使用するモノマーの総量に対する良溶媒量を増大させる、モノマーを重合途中に添加する、析出しない重合溶媒を選択する等の処理を施すことにより、溶液状態での重合を完結することができる。
重合を完結した後、重合溶液に貧溶媒を添加する方法、重合溶液を直接乾燥させる方法等により、ポリフェニレンエーテルを単離することができる。重合が完結した重合溶液に貧溶媒を添加する場合は、貧溶媒の添加によりポリフェニレンエーテルが析出する。析出したポリフェニレンエーテルに貧溶媒等をさらに添加して、洗浄することも可能である。析出したポリフェニレンエーテルと重合溶媒、洗浄溶媒を含む固液懸濁液を固液分離し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得ることができる。得られた湿潤ポリフェニレンエーテルに貧溶媒等を添加し、さらに洗浄を行い、固液分離を行うことも可能である。洗浄は繰り返し行うことも可能である。このようにして得られた湿潤ポリフェニレンエーテルを乾燥することにより、ポリフェニレンエーテルを単離することができる。
ポリフェニレンエーテルの酸化重合工程においては、上述した沈殿析出重合、溶液重合のいずれにおいても、酸素含有ガスを供給しながら行う。酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、さらには空気と窒素、希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。
重合反応中の系内圧力は、常圧でよいが、必要に応じて減圧でも加圧でもよい。酸素含有ガスの供給速度は、除熱や重合速度等を考慮して任意に選択できるが、重合に用いるフェノール化合物1モル当たりの純酸素として5NmL/min以上が好ましく、10NmL/min以上がより好ましい。
(酸化重合工程に用いる良溶媒)
酸化重合工程において用いるポリフェニレンエーテルの良溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
(貧溶媒)
ポリフェニレンエーテルの重合溶液に添加しうる貧溶媒は、ポリフェニレンエーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒である。貧溶媒の具体例としては、特に限定されないが、具体的には、ケトン類、アルコール類、水を挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜10のアルコールである。このような貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、
ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、水が挙げられる。このなかでも、より好ましい貧溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、水である。これらの貧溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
ポリフェニレンエーテルの重合方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−ジメチルフェノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3306875号、同第3257357号及び同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号、特開昭50−51197号、同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
効率良くポリフェニレンエーテルを製造する観点及び特定の分子量分布をもつポリフェニレンエーテルを製造する観点から、モノマー濃度は、重合液の全量を基準として、10〜30質量%が好ましく、13〜27質量%がより好ましい。モノマー濃度が10質量%以上であると、ポリフェニレンエーテルの製造効率が高くなる。
モノマー濃度が30質量%以下であると、特定の分子量に調整しやすくなる傾向にある。この原因について本発明者らは以下のように推定している。モノマー濃度が30質量%以下であれば、重合終結時の液粘度は比較的低く、均一に撹拌することが容易となる。そのため、不均一な反応が抑制され、予想外の分子量のポリフェニレンエーテルが得られることが抑えられる傾向にある。その結果、上述したように数平均分子量が7,000以上35,000以下の、ポリフェニレンエーテルを効率よく製造することが容易となる。
ポリフェニレンエーテルの重合反応系には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等を添加してもよい。
また、従来から重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を重合溶媒中に添加してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、Aliquat336やCapRiquat(株式会社 同仁化学研究所製 商品名)で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。使用量は重合反応原料の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
(触媒)
ポリフェニレンエーテルの重合反応系には、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いられる公知の触媒系を添加してもよい。触媒としては、例えば、酸化還元能を有する遷移金属イオンと、この金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが挙げられる。具体的には、銅化合物とアミンとからなる触媒系、マンガン化合物とアミンとからなる触媒系、コバルト化合物とアミンとからなる触媒系等が挙げられる。ポリフェニレンエーテルの重合反応は、若干のアルカリ性条件下で効率良く進行するため、ここに若干のアルカリ若しくはさらなるアミンを加えてもよい。
ポリフェニレンエーテルの酸化重合工程における上記触媒としては、特に限定されないが、具体的には、銅化合物、ハロゲン化合物及び下記式(1)で表されるジアミン化合物を含む触媒が挙げられる。このような触媒を用いることにより、重合速度をより速め、重合時間をより短縮できる傾向にある。また、触媒量、酸素吹込み量、重合時間などを調整することにより、重合後の分子量がより調整しやすくなる傾向にある。
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、全てが同時に水素ではない。Rは炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。)
式(1)により示されるジアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−n−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−i−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
このなかでも、式(1)中、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基(R)の炭素数が2又は3のジアミン化合物が好ましい。これらのジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、使用される2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール100モルに対して0.01モル〜10モルの範囲で用いることができる。
触媒成分を構成する前記銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はこれらの混合物を使用できる。第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。これらの中で特に好ましい銅化合物は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。
これらの銅化合物は、酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸から合成してもよい。例えば、酸化第一銅とハロゲン化合物(例えばハロゲン化水素の溶液)とを混合することにより合成することができる。これらの銅化合物は、単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
触媒成分を構成する前記ハロゲン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。またこれらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。このなかでも、好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。これらのハロゲン化合物は、単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
触媒成分のうちの銅化合物とハロゲン化合物の使用量は特に限定されないが、触媒成分として銅化合物とハロゲン化合物を両方用いる場合、銅原子のモル数に対してハロゲン原子が2倍〜20倍であることが好ましく、使用される2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール100モルに対して銅原子の使用量としては0.02モル〜0.6モルの範囲であることが好ましい。上記範囲であることにより、重合操作が容易になり、重合後のポリマー物性がより良くなる傾向にある。
重合触媒としては、上述した化合物の他、例えば3級モノアミン化合物、及び2級モノアミン化合物からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含んでもよい。
3級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、脂環式3級アミンを含む脂肪族3級アミン等が挙げられる。このような3級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの3級モノアミン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。使用量は特に限定されないが、使用される2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール100モルに対して15モル以下が好ましい。
3級モノアミン化合物は通常使用される全量を全て反応系内に初期から加える必要はない。すなわち、そのうちの一部を途中で加えてもよいし、その一部を重合開始から逐次加えてもよい。また、重合の開始と同時にモノマー(2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール)又はモノマーの溶液に加え、これと共に加えてもよい。
2級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、第2級脂肪族アミンが挙げられる。第2級脂肪族アミンとしては、特に限定されないが、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
また、2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物も適用できる。芳香族を含む2級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。上述した2級モノアミン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、使用される2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノール100モルに対して15モル以下が好適である。
重合反応の終了後の後処理方法については、特に限定されるものではないが、通常、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて触媒を失活させる方法が挙げられる。触媒失活剤は、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低く、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と相分離する例えば水等に溶解させて添加することが好ましい。この場合、失活した触媒は水等の相に含まれ分離することができる。分離したポリフェニレンエーテルを含む溶剤相に再度水等の溶剤を添加撹拌することにより、洗浄し、さらに相分離して水等を除去することができる。さらに水等を添加し、洗浄操作を繰り返すことも可能である。
溶液重合の場合は、ポリフェニレンエーテルを析出させる前に、良溶媒の沸点以上に加熱し、良溶媒を留出させ、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液を濃縮することも可能である。溶液重合の場合は、ポリフェニレンエーテルの重合反応後の後処理後、又はさらに必要に応じて濃縮を行った後、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液に貧溶媒等を添加し、ポリフェニレンエーテルを析出する方法が挙げられる。
上記析出工程において得られたスラリー液に、貧溶媒をさらに加えて撹拌し、良溶媒を洗浄する、洗浄工程を行ってもよい。その後、固液分離工程により、溶剤と湿潤ポリフェニレンエーテルとに分離する。その際、湿潤ポリフェニレンエーテルを貧溶媒で洗浄し固液分離する工程を繰り返してもよい。
洗浄工程後に固液分離する装置としては、特に限定されるものではないが、遠心分離機(振動型、スクリュー型、デカンタ型、バスケット型など)や真空濾過機(ドラム型フィルター、ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター、ヤングフィルター、ヌッチェなど)やフィルタープレス、ロールプレスを用いることが可能である。
固液分離後に得られた湿潤ポリフェニレンエーテルは、粉砕機により粉砕し、微粉率を調整することができる。粉砕機としては特に制限されるわけではないが、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル、ボールミル、高速回転ミル、ジェットミル等を使用することが可能である。
析出工程、洗浄工程、及び必要に応じて粉砕を行った後、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、少なくとも60℃以上の温度により行うことが好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上がさらにより好ましく、150℃以上がよりさらに好ましい。ポリフェニレンエーテルの乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル中の芳香族炭化水素の含有量が効率よく抑制できる。
なお、残留溶媒量は、後加工での作業環境の観点、及び押出加工時の残留揮発分のガスがバックフローすることを防止し、運転の安定化を保つことができるという観点から1.5質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以下である。
ポリフェニレンエーテル粉体を高効率で得るためには、乾燥温度を上昇させる方法、乾燥雰囲気中の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が有効であるが、特に、乾燥温度を上昇させる方法が製造効率の観点から好ましい。
乾燥工程は、混合機能を備えた乾燥機を使用することが好ましい。混合機能としては、撹拌式、転動式の乾燥機等が挙げられる。これにより処理量を多くでき、生産性を高く維持できる。
以下、本発明について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
(1)水含有量の測定
JIS K 0113に基づきカールフィッシャー水分計により、メチルフェノール組成物の水含有量を測定した。
(2)カラーインデックスの測定
実施例及び比較例で得られたポリフェニレンエーテルをクロロホルムに溶解して、ポリフェニレンエーテル濃度0.05g/mLのクロロホルム溶液を調製した。セル長1cmの石英セルに、ポリフェニレンエーテルの溶解に用いたものと同一のクロロホルムを入れ、紫外線(波長480nm)により純クロロホルムの吸光度を測定し、吸光度0とした。同様のセルに上記調製したポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液を入れ、480nmでの吸光度を測定した。ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液の吸光度から純クロロホルムの吸光度を減じ、ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液中のポリフェニレンエーテル濃度で除した値をポリフェニレンエーテルのカラーインデックス値とした。
〔比較例1〕
2,6−ジメチルフェノール(旭化成プラスチックスシンガポール社製、製品名 2,6−キシレノール)製造設備の製品タンクより、18L缶(JIS Z162−1995)に2,6−ジメチルフェノールを抜出した。抜出した2,6−ジメチルフェノールに水を添加せず、18L缶内に乾燥窒素ガスを流した状態で、室温まで冷却し比較例1のメチルフェノール組成物の固体を得た。抜出後の水含有量を測定すると、8ppmであった。
〔比較例2〕
2,3,6−トリメチルフェノール(本州化学工業株式会社製、製品名 2,3,6−トリメチルフェノール)の18L缶を、18L缶ヒーターに挿入し、気相部に乾燥窒素をパージし、温度を100℃に設定した。溶解後の水含有量を測定すると、7ppmであった。水含有量7ppmの2,3,6−トリメチルフェノール溶解物を、気相部に乾燥窒素をパージしながら室温まで冷却し、比較例2のメチルフェノール組成物を得た。
〔実施例1〕
2,6−ジメチルフェノール(旭化成プラスチックスシンガポール社製、製品名 2,6−キシレノール)製造設備の製品タンクより、18リットルL缶(JIS Z162−1995)に2,6−ジメチルフェノールを抜出した。抜出した2,6−ジメチルフェノールに水を添加し、水含有量が17ppmになるように調整した。水分調整後、18L缶内に乾燥窒素ガスを流した状態で、室温まで冷却し実施例1のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例2〕
水含有量が25ppmになるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例3〕
水含有量が195ppmになるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例3のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例4〕
水含有量が255ppmになるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例4のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例5〕
水含有量が348ppmになるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例5のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例6〕
水含有量が442ppmになるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例6のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例7〕
水含有量が620ppmになるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例7のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔比較例3〕
抜出した2,6−ジメチルフェノールに水を添加せず、大気開放のまま、室温まで冷却し、固化させたこと以外は比較例1と同様の操作を行い、比較例3のメチルフェノール組成物の固体を得た。得られたメチルフェノール組成物を100℃に加熱し、再溶解させ、水含有率を測定したところ、772ppmであった。
〔実施例8〕
2,3,6−トリメチルフェノール(本州化学工業株式会社製、製品名 2,3,6−トリメチルフェノール)の18L缶を、18L缶ヒーターに挿入し、気相部に乾燥窒素をパージし、温度を100℃に設定した。溶解した2,3,6−トリメチルフェノールに水を添加し、水含有量が17ppmになるように調整した。水分率17ppmの2,3,6−トリメチルフェノールと実施例1にて水分量が17ppmになるように調整した2,6−ジメチルフェノールを溶解状態で混合した。この時の混合比は、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール=75/25(wt/wt)とした。該混合物の気相部に乾燥窒素をパージしながら、室温まで冷却し、実施例8のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例9〕
2,3,6−トリメチルフェノールの水含有量が25ppmになるように調整し、実施例2の2,6−ジメチルフェノールを混合した以外は実施例8と同様の操作を行い、実施例9のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例10〕
2,3,6−トリメチルフェノールの水含有量が195ppmになるように調整し、実施例3の2,6−ジメチルフェノールを混合した以外は実施例8と同様の操作を行い、実施例10のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例11〕
2,3,6−トリメチルフェノールの水含有量が255ppmになるように調整し、実施例4の2,6−ジメチルフェノールを混合した以外は実施例8と同様の操作を行い、実施例11のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例12〕
2,3,6−トリメチルフェノールの水含有量が348ppmになるように調整し、実施例5の2,6−ジメチルフェノールを混合した以外は実施例8と同様の操作を行い、実施例12のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例13〕
2,3,6−トリメチルフェノールの水含有量が442ppmになるように調整し、実施例6の2,6−ジメチルフェノールを混合した以外は実施例8と同様の操作を行い、実施例13のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔実施例14〕
2,3,6−トリメチルフェノールの水含有量が620ppmになるように調整し、実施例7の2,6−ジメチルフェノールを混合した以外は実施例8と同様の操作を行い、実施例14のメチルフェノール組成物の固体を得た。
〔比較例4〕
比較例1の水含有量が8ppmである2,6−ジメチルフェノール溶解品と、比較例2の水含有量が7ppmである2,3,6−トリメチルフェノール溶解品とを、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールの重量比が75/25(wt/wt)となるように混合した。該混合物を大気開放のまま、室温まで冷却し、固化させ、比較例4のメチルフェノール組成物の固体を得た。得られたメチルフェノール組成物を100℃に加熱し、再溶解させ、水含有率を測定したところ、778ppmであった。
〔メチルフェノール組成物の溶解〕
固体のメチルフェノール組成物を重合で使用する際には、再度溶解する必要がある。溶解方法としては、以下に詳述するように、固体のメチルフェノール組成物を重合で使用するポリフェニレンエーテルの良溶媒に溶解する方法(溶解法1)、固体のメチルフェノール組成物を加熱溶解する方法(溶解法2)が挙げられる。本実施例では、この2種の方法により完全に溶解するまでの溶解時間を測定した。
(溶解法1)
メチルフェノール組成物の塊より一辺が10mm程度の立方体を切り出し約1000g計量した。これに計量したメチルフェノール組成物と同量のトルエンを加え、室温(25℃)下で撹拌した。撹拌翼は直径60mm、翼高さ8mmの6枚タービン翼を用い、回転数600rpmで溶解した。目視でメチルフェノール組成物の固体がなくなるまでの溶解時間を測定した。
(溶解法2)
メチルフェノール組成物の入った18L缶を、18L缶ヒーターに挿入し、温度を100℃に設定した。18L缶内のメチルフェノール組成物の塊が見えなくなるまでの溶解時間を測定した。なお、測定した溶解時間はヒータースイッチを投入してからの時間であり、昇温時間も含んでいる。
〔製造例〕
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40Lのジャケット付き重合槽に、0.5L/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの溶解したメチルフェノール組成物(2,6−ジメチルフェノール)を入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。
次に、重合槽へ32.8NL/minの速度で乾燥空気をスパージャーより導入を始め重合を開始した。乾燥空気を185分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合液は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。分取した有機相を、ポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液として得た(以下、「ポリマー溶液」という。)。
得られたポリマー溶液を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより、冷却してトルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が30.5質量%になるまで濃縮した。
次に、国際公開第2003/064499号の実施例1に示すドラフトチューブと、4枚傾斜パドル翼とを備えたジャケット付き析出槽を用いてポリマーの析出を行った。なお、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。この析出槽運転中の析出槽内液量は1100mLであった。当該析出槽にトルエン500gとメタノール500gを仕込み、1500rpmで撹拌した。析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されている位置と同じ位置とした。水3.0質量%を含むメタノール230g/minと、上記の30.5質量%ポリマー溶液542g/minを析出槽内にフィードした。パドル翼は、1500rpmで回し続けた。ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、析出槽から772g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、別ラインよりメタノールを350g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄し、スラリー濃度15質量%の洗浄スラリー液を作製した。
当該スラリー液をバスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。各濾過後、ポリマーと当量のメタノールをバスケットセントル内の湿潤ポリフェニレンエーテルにスプレー状に吹き付け、再度濾過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。
ついで、湿潤ポリフェニレンエーテルを、150℃、1mmHgで1.5時間保持し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル粉体について上述した方法によりカラーインデックスの測定を行った。
〔比較例5〕
比較例1のメチルフェノール組成物を原料として、溶解法1と溶解法2による、溶解時間を測定した。また、溶解法2で溶解した比較例1のメチルフェノール組成物を用いて、上記製造例に示す方法で比較例5のポリフェニレンエーテル紛体を作製した。このポリフェニレンエーテルのカラーインデックスを上記の方法にて測定した結果を表1に示す。
〔比較例6〕
比較例2のメチルフェノール組成物を原料として、溶解法1と溶解法2による、溶解時間を測定した。また、溶解法2で溶解した比較例2のメチルフェノール組成物を用いて、上記製造例に示す方法で比較例6のポリフェニレンエーテル紛体を作製した。このポリフェニレンエーテルのカラーインデックスを上記の方法にて測定した。結果を表1に示す。
〔実施例15〜21〕
使用したメチルフェノール組成物を以下にしたこと以外は、比較例5と同様の操作を行い、実施例15〜21のポリフェニレンエーテルを得た。評価結果を表1に示す。
実施例15:実施例1のメチルフェノール組成物使用
実施例16:実施例2のメチルフェノール組成物使用
実施例17:実施例3のメチルフェノール組成物使用
実施例18:実施例4のメチルフェノール組成物使用
実施例19:実施例5のメチルフェノール組成物使用
実施例20:実施例6のメチルフェノール組成物使用
実施例 21:実施例7のメチルフェノール組成物使用
〔比較例7〕
使用したメチルフェノール組成物を比較例3のメチルフェノール組成物としたこと以外は比較例5と同様の操作を行い、比較例7のポリフェニレンエーテルを得た。評価結果を表1に示す。
〔実施例22〜28〕
使用したメチルフェノール組成物を以下にしたこと以外は、比較例6と同様の操作を行い、実施例22〜28のポリフェニレンエーテルを得た。評価結果を表1に示す。
実施例22:実施例 8のメチルフェノール組成物使用
実施例23:実施例 9のメチルフェノール組成物使用
実施例24:実施例10のメチルフェノール組成物使用
実施例25:実施例11のメチルフェノール組成物使用
実施例26:実施例12のメチルフェノール組成物使用
実施例27:実施例13のメチルフェノール組成物使用
実施例28:実施例14のメチルフェノール組成物使用
〔比較例8〕
使用したメチルフェノール組成物を比較例4のメチルフェノール組成物としたこと以外は比較例6と同様の操作を行い、比較例8のポリフェニレンエーテルを得た。評価結果を表1に示す。
※2,6−DMP:2,6−ジメチルフェノール
2,3,6−TMP:2,3,6−トリメチルフェノール
※2,6−DMP:2,6−ジメチルフェノール
2,3,6−TMP:2,3,6−トリメチルフェノール
表1に示すように、メチルフェノール組成物中の水含有量が10 wtppmより低い(比較例1)と、溶剤溶解性及び加熱溶解性が低かった。なお、実施例及び比較例における溶解に要する時間は、18L缶で評価したものであるが、工業的に輸送し、溶解する場合には、これよりも遥かに多量のメチルフェノール組成物を扱うことになるので、溶解にかかる時間もそれに伴って長くなるのは当然であり、溶解時間の差はより顕著となる。また、メチルフェノール組成物中の水含有量が多い(比較例2)と重合後のポリフェニレンエーテルの色調(カラーインデックス)が悪化する傾向にあった。
特定の水含有量であるメチルフェノール組成物を用いることにより、溶解時間を削減し、生産効率を向上させることができる。また、重合後のポリフェニレンエーテルの色調悪化を抑えることもできる。このようなメチルフェノール組成物により得られたポリフェニレンエーテルは、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品等の材料としての産業上の利用可能性がある。

Claims (4)

  1. 2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを含むメチルフェノール組成物中の水の含有量を、下記方法i)又はii)により、重量基準で10〜700ppmに調整する工程と、
    方法i) 2,6−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを製造設備系外の移動タンクに抜出す際に所定量の水を添加する方法
    方法ii)抜出した2,3−ジメチルフェノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールを大気中で自然吸湿させる方法
    前記メチルフェノール組成物を溶解させる溶解工程と、
    前記メチルフェノール組成物を、触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させる酸化重合工程とを有する、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  2. 前記水の含有量を重量基準で15〜500ppmに調整する、請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 前記触媒が、銅化合物、ハロゲン化合物、及び式(1)で表されるジアミン化合物を含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群より選ばれるいずれかを示し、全てが同時に水素ではない。R5は、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。)
  4. 前記触媒が、3級モノアミン化合物、及び2級モノアミン化合物からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
JP2012231133A 2012-10-18 2012-10-18 メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法 Active JP6037764B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012231133A JP6037764B2 (ja) 2012-10-18 2012-10-18 メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012231133A JP6037764B2 (ja) 2012-10-18 2012-10-18 メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014080553A JP2014080553A (ja) 2014-05-08
JP6037764B2 true JP6037764B2 (ja) 2016-12-07

Family

ID=50785052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012231133A Active JP6037764B2 (ja) 2012-10-18 2012-10-18 メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6037764B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100453516C (zh) * 2001-08-07 2009-01-21 旭化成化学株式会社 2,6-二甲基酚组合物
US7067595B2 (en) * 2003-10-03 2006-06-27 General Electric Company Poly (arylene ether) composition and method

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014080553A (ja) 2014-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5730894B2 (ja) ポリフェニレンエーテル粉体及びポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JP2003261674A (ja) 低分子量ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP2013256648A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
CN108017791B (zh) 聚苯醚粉体及制造方法
JP5362410B2 (ja) ポリフェニレンエーテル
JP2008063537A (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
US10059802B2 (en) Method for producing polyphenylene ether
CN110387037B (zh) 聚苯醚及其制造方法
JP2013256647A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2013256646A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP6037764B2 (ja) メチルフェノール組成物及びポリフェニレンエーテルの製造方法
JP2017160399A (ja) 微少空隙を有するポリフェニレンエーテル紛体と製造方法
JP2013256644A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP6789009B2 (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2013256645A (ja) ポリフェニレンエーテル粉体の製造方法
JP2006249133A (ja) ポリフェニレンエーテルの製法
JP5311717B2 (ja) 多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP5099805B2 (ja) 分子量分布のピークを2個有するポリフェニレンエーテルの製造方法
JP6510473B2 (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP2004307554A (ja) 低分子量ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP2011099051A (ja) ポリフェニレンエーテルの製造方法
JP7021023B2 (ja) ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法
JP2005272631A (ja) 低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂
JP5635862B2 (ja) ポリフェニレンエーテル
US9777114B1 (en) Method for producing polyphenylene ether

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151006

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160624

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160822

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6037764

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350