JP2017160399A - 微少空隙を有するポリフェニレンエーテル紛体と製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリフェニレンエーテル紛体であり、一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の4.0〜13%であり、かつ、6.5μm超9.8μm以下の径を有する空隙の体積が、前記6.5μm超の径を有する空隙の体積の70〜100%であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル紛体。
【選択図】なし
Description
一方で、ゆるみ見かけ比重が低いポリフェニレンエーテル紛体は、ゆるめ見かけ比重が低いポリフェニレンエーテル紛体は、輸送時の運搬性等取扱性に劣るという問題を有している。
ポリフェニレンエーテル紛体であり、
一粒子において、
6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の4.0〜13%であり、かつ、
6.5μm超9.8μm以下の径を有する空隙の体積が、前記6.5μm超の径を有する空隙の体積の70〜100%である
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル紛体。
[2]
前記ポリフェニレンエーテルの還元粘度が、0.30〜1.0dL/gである、[1]に記載のポリフェニレンエーテル紛体。
[3]
前記ポリフェニレンエーテル紛体のゆるみ嵩密度が、0.35〜0.70g/cm3である、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル紛体。
[4]
ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、貧溶媒とを混合することで、ポリフェニレンエーテルを析出させ、
析出後の前記ポリフェニレンエーテルを、貧溶媒で洗浄し、
洗浄後の前記ポリフェニレンエーテルを、ガラス転移温度(Tg)以下の温度で圧縮し、
圧縮後の前記ポリフェニレンエーテルを粉砕して、ポリフェニレンエーテル紛体を得る
ことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
[5]
前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、[4]に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
[6]
前記貧溶媒が、アセトン、メチルエチルケトンからなる群より選ばれる少なくとも一種のケトン系溶媒を含む、[4]又は[5]に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
[7]
前記貧溶媒が、0.05〜20質量%の水を含む、[6]に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
[8]
圧縮後かつ粉砕前の前記ポリフェニレンエーテルの密度が、0.7〜1.0g/cm3である、[4]〜[7]のいずれか記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
[9]
圧縮前のポリフェニレンエーテル中における前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の含有量を、0.005〜0.4質量%とすることを特徴とする、[4]〜[8]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
[10]
圧縮前のポリフェニレンエーテル中における前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の含有量を、0.01〜0.1質量%とすることを特徴とする、[4]〜[9]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル紛体は、一粒子において、6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の4.0〜13%であり、かつ、6.5μm超9.8μm以下の径を有する空隙の体積が、前記6.5μm超の径を有する空隙の体積の70〜100%である。
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテル紛体は、ポリフェニレンエーテル粒子の集合体としてよい。
前記式(1)中、R1、R2、R3、及びR4で示されるアルキル基は、置換可能な位置で1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。
なお、数平均分子量(Mn)は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
なお、平均粒径は、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、まず、溶液重合により以下のフェノール化合物を重合して上記式(1)により表されるポリフェニレンエーテルを含むポリマー溶液を得る(重合工程)。
下記式(2)で表されるような二価のフェノール化合物は、対応する一価のフェノール化合物と、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等)、又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により、工業的に有利に製造できる。
式(2)中、Xは、単結合、2価のヘテロ原子、炭素数1〜12の2価の炭化水素基からなる群から選択される。
式(2−a)、式(2−b)、式(2−c)中、Xは、単結合、2価のヘテロ原子、炭素数1〜12の2価の炭化水素基からなる群から選択される。
多価フェノール化合物としては、例えば、分子内に3個以上9個未満のフェノール性水酸基を有し、その内の少なくとも1個のフェノール性水酸基の2,6位にアルキル基またはアルキレン基を有する化合物が挙げられる。
多価フェノール化合物の例を以下に列挙する。4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(4−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルエチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、2,2’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]−ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−エチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)メチル]−6−メチルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、3,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,5/3,6−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4/2−ヒドロキシ−2,3,5/3,4,6−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−[(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−6−メチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]−3,6−ジメチルフェノール]、6,6’−メチレンビス[4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’−シクロヘキシリデンビス[2−シクロヘキシル−6−[(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4’’,4’’’−(1,2−エタンジイリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’−(1,4−フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6−ジメチルフェノール)、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、多価フェノール化合物における2,6位のアルキル基またはアルキレン基としてはメチル基が好ましい。
溶液重合により得られる全ポリフェニレンエーテル分子は、溶解した状態にあり、分子量分布は広くなる傾向にある。ポリフェニレンエーテルが溶解したポリマー溶液に対し、必要に応じて濃縮工程を実施し、その後、析出工程でポリフェニレンエーテルに対する貧溶媒と混合することによって粒子状のポリフェニレンエーテルが得られる。
また、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、及び米国特許第3257358号の明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開昭63−152628号公報の各公報等に記載された方法も、ポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
前記酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、空気と窒素あるいは希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。
また、従来から重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を、重合溶媒中に添加してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、Aliquat336やCapRiquat(株式会社同仁化学研究所製)で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。分子量制御の観点から、界面活性剤の使用量は重合反応原料の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
重合工程におけるより好適な触媒としては、構成成分として、下記式(3)で表されるジアミン化合物、銅化合物、及びハロゲン化合物を含む触媒が挙げられる。
R13は、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
第一銅化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。
第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。
これらの中で特に好ましい銅化合物は、重合反応活性の観点から、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。
また、これらの銅化合物は、酸化物(例えば、酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸とから合成してもよい。例えば、塩化第一銅は、酸化第一銅とハロゲン化合物(例えば、ハロゲン化水素の溶液)とを混合することにより合成できる。
これらの銅化合物は、1種単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中で好ましいハロゲン化合物は、重合反応活性の観点から、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらのハロゲン化合物は、1種単独でも用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、銅原子の使用量、特に限定されないが、使用されるフェノール化合物100モルに対して0.02〜0.6モルの範囲であることが好ましい。
3級モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの3級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
3級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合工程において用いるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好ましい。
前記3級モノアミン化合物は、通常使用される全量を全て重合工程の反応系内に初期から加える必要はない。すなわち、その内の一部を途中で加えてもよいし、その一部を重合開始から逐次加えてもよい。また、重合の開始と同時にフェノール化合物又はフェノール化合物の溶液に加え、これと共に加えてもよい。
第2級脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
また、2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物も適用できる。
芳香族を含む2級モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
上述した2級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合工程において用いるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好適である。
当該後処理工程の具体的な方法については、特に限定されるものではないが、通常、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えることで、触媒を失活させる方法が挙げられる。
また、重合終結時の重合溶液は、ポリフェニレンエーテルが良溶媒に溶解した状態であるため、触媒の洗浄除去を目的として、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低く、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と相分離する溶媒(例えば、水等)を主成分とする溶液を用いて、繰り返し洗浄処理を行う方法も好適である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、重合工程で得られたポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含有するポリフェニレンエーテル溶液を、必要に応じて、良溶媒の沸点以上に加熱し、良溶媒を系外に抜出すことにより、ポリフェニレンエーテル溶液を濃縮してもよい((濃縮工程))。
濃縮後の溶液におけるPPEの含有量としては、15〜45質量%が好ましく、より好ましくは20〜38質量%であり、さらに好ましくは25〜35質量%である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、重合工程で得られたポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液(必要に応じて、濃縮工程を経たポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液)を、貧溶媒(例えば、ケトン系溶媒)と混合することで、ポリフェニレンエーテルを析出させる(析出工程)。
この範囲であれば、後述する洗浄工程、乾燥工程、圧縮工程、粉砕工程を経て得られるポリフェニレンエーテル粒子や紛体は、本発明の効果を示す。
この範囲であれば、析出槽内での流動状態が極めて安定し、これにより、粒径分布のバラツキが非常に少ないポリフェニレンエーテル粒子を得ることができる。また、流動状態が安定するため、析出槽内でのスケール(スケーリング)が極めて少なく、安定した運転が可能となる。貧溶媒とポリマー溶液中の良溶媒との質量比が0.6未満の場合、粒子の析出が不十分であり、ポリマーの回収量が低下してしまう。また、上記質量比が3.0より大きい場合、ポリフェニレンエーテルの良溶媒溶液の濃度にもよるが、粒子の凝集が効率よく起こらない。
なお、貧溶媒とは、ポリフェニレンエーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒である。
これらのケトン系溶媒は、1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
このときの析出槽内の全溶媒(良溶媒及び貧溶媒)における水の含有量は、析出粒子径の均一化及び肥大化の観点から、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
上述した析出工程においては、これらの撹拌翼によって撹拌を行うことが好ましい。また、撹拌翼は下方吐出であることが好ましい。また、流動性を安定させる観点から、析出槽は、少なくとも一枚のバッフルを備えるものを用いることが好ましい。
撹拌翼による撹拌の先端速度としては、2.0〜6.0m/sであることが好ましく、より好ましくは3.0〜5.5m/sである。
この場合、ドラフトチューブ内部には、析出槽中央に強い流れを作る観点から傾斜パドル翼、スクリュー翼、及びリボン翼からなる群より選ばれる少なくとも一段の撹拌翼を備えていることが好ましく、当該ドラフトチューブ内部の撹拌翼は、下方吐出翼であることが好ましい。上述した析出工程においては、当該下方吐出翼である撹拌槽によって撹拌を行うことが好ましい。これにより、ドラフトチューブ内を下降流、ドラフトチューブ外を上昇流として循環させることができ、撹拌運転状態が安定する効果が得られる。
続いて、本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、析出後の前記ポリフェニレンエーテルを、貧溶媒で洗浄する(洗浄工程)。
この洗浄工程では、例えば、析出工程において得られたスラリーを固液分離することで、溶剤と湿潤ポリフェニレンエーテルとに分離し、湿潤ポリフェニレンエーテルを貧溶媒(好適にはケトン系溶媒)で洗浄しながら、固液分離し、その後、湿潤ポリフェニレンエーテルを乾燥させる。
ケトン系溶媒としては、前述の析出工程において用いられるものと同じとしてよく、より具体的には、アセトン、メチルエチルケトンがより好ましく、アセトンがさらに好ましい。
続いて、本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、洗浄後の前記ポリフェニレンエーテルを、乾燥させる(乾燥工程)。
乾燥工程における温度としては、少なくとも60℃以上の温度により行うことが好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上がさらにより好ましく、150℃以上がよりさらに好ましい、160℃以上が最も好ましい。湿潤ポリフェニレンエーテルの乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル紛体中の芳香族炭化水素系良溶媒の含有量を効率よく低減できる。
続いて、本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、洗浄後の前記ポリフェニレンエーテル(任意選択的に洗浄かつ乾燥後のポリフェニレンエーテル)を、ガラス転移温度(Tg)以下の温度で圧縮する(圧縮工程)。
ここでは、ポリフェニレンエーテル成形体を調製してよい。
その好ましい温度としては、20℃〜Tg以下、より好ましくは20〜160℃程度であり、圧縮時にポリフェニレンエーテル紛体がTg超になることなく、加圧が可能であればよい。Tgを越えると、ポリフェニレンエーテル中に含まれ得るアミンが離脱し、加工時に品質の低下をもたらす。
特に、対向して設けられた一対の加圧ロール間に見かけ比重の低いポリフェニレンエーテル紛体を通過させ、後述の粉砕工程で圧縮により得られた板状のポリフェニレンエーテル成形体を粉砕して、所望の粒径に調製することができるロールタイプの圧縮方法の使用が好ましい。
続いて、本実施形態のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法においては、圧縮後の前記ポリフェニレンエーテルを粉砕して、ポリフェニレンエーテル紛体を得る(粉砕工程)。
前記圧縮後に得られたポリフェニレンエーテルは、粉砕機を用いて粉砕してもよく、これにより微粉率を調整することができる。
ポリフェニレンエーテル紛体における良溶媒(例えば、芳香族炭化水素系溶媒)の含有量としては、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.005〜0.25質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がさらに好ましい。圧縮時の紛体温度や圧縮力にもよるが、ポリフェニレンエーテル紛体に残留している芳香族炭化水素系量溶剤が0.005質量%未満の場合、圧縮成形効果が不十分であり、0.3質量%を超えた場合、ポリフェニレンエーテル紛体が溶融してしまい、変色してしまう。
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られたポリフェニレンエーテル紛体の数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとして、分子量が、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K−805Lを2本直列につないだものを使用した。
溶媒は、クロロホルムを使用し、溶媒の流量は1.0mL/min、カラムの温度は40℃として測定した。
測定用試料としては、ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。
検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製:パウダーテスタTYPE PT−E)を用いて、その操作マニュアルに従って、製造中のポリフェニレンエーテル及び得られたポリフェニレンエーテル紛体のゆるみ嵩密度を測定した。
具体的には、以下の(2−1)〜(2−7)に従って測定した。
(2−1)ケーシング前面の2個のピンに固定シュートをはめ、振動台に、バイブロシュート、スペースリング、フルイ(目開き710μm)、フルイオサエ、オサエバーの順で取り付け、各々をノブナットで固定した。
(2−2)矩形バットを固定シュートの真下に置き、テーブル・カップベースの凹みに、ゆるみ見かけ比重測定用カップ(以下、単に「カップ」とも記す。)を置いた。この際、カップと固定シュートとの中心をあわせた(カップ空重量は事前に秤量した)。
(2−3)スコップを用いて測定用の紛体を適当量フルイの上に静かに入れた。
(2−4)振動・タッピング切替スイッチをVIB.にセットした。タイマーは右側一杯にセットし、レオスタットの電圧が0になっていることを確認し、スタートボタンを押した。
(2−5)レオスタットの電圧を徐々に上げ紛体をカップに流出させた。カップに紛体が山盛りになるまでの時間が20〜30秒位になるように、レオスタットの電圧を調整した。カップに紛体が山盛りに充填されたらレオスタットの電圧を0にして振動を停止した。
(2−6)ブレードを垂直に立ててカップに山盛りに充填された紛体の側面をすり切って、カップ内の紛体の重量(紛体重量)を秤量した。
(2−7)カップの内容量は100cm3(cc)なので、紛体重量÷100の計算でゆるみ嵩密度(g/cm3)を算出し、記録した。
レーザー回析散乱法の粒度分布計である、島津製作所製レーザー回析散乱式粒度分布測定装置を使用して、湿式法(メタノール溶媒)で、得られたポリフェニレンエーテル紛体の体積平均粒子径を測定した。
体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から、中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)を平均粒径(μm)とした。
同様に体積平均粒子径の粒径分布の累積曲線から得られる粒径105μm以下の粒子の紛体における含有率を微粉率(質量%)として算出した。
乾燥工程後且つ圧縮工程前のポリフェニレンエーテル中に含まれる芳香族炭化水素系良溶媒の量(質量ppm)を、信和化工社製キャピラリーカラム(製品名:HR−1)を取り付けた島津製作所製ガスクロマトグラフィーを使用して、分析した。検出器としては、FIDを用い、t-ブチルベンゼンを内部標準物質とした内部標準検量線法を用いた。
得られたポリフェニレンエーテル紛体のポリフェニレンエーテル一粒子中に含まれる空隙を、リガク製高分解能3D X線顕微鏡を用いて解析した。
撮影条件は、投影数1000枚、露光時間8秒/枚であり、空間分解度0.54μm/pixである。
上記ポリフェニレンエーテル一粒子の空隙の評価は、ポリフェニレンエーテル粒子の集合体であるポリフェニレンエーテル紛体の中から無作為に選択された3つのポリフェニレンエーテル粒子についての評価の平均値とした。
・3DのX線画像において、外部空間(粒子の外表面より外側の空間)を含まない直方体部分をトリミングする。
(5−2)Percentile法(Doyle,W(1962),“Operation useful for similarity−invariant pattern recognition”, Journal of the Association for Computing Machinery 9:259−267参照)にて、空隙部分(空隙が占める部分)と樹脂部分(樹脂が占める部分)とに領域分割(2値化)する。
(5−3)空隙部分及び樹脂部分の体積をそれぞれ集計し、(A)6.5μm以下の中空部分の体積(ノイズ)、(B)6.5μm超の中空部分の体積、(C)中実部の体積として、式:(B)/{(A)+(C)}による計算により、6.5μm超の径を有する空隙の体積の粒子の全体積に対する割合を百分率(%)で評価した。
なお、ポリフェニレンエーテルは真比重が小さく、空気とのコントラスト差が小さい。また粒子内の解像度付近(6.5μm)のサイズの小さな空間は、2値化後にノイズとして残ってしまう。そのため6.5μm以下の空間はノイズとみなし、空隙率を算出する際には、排除して考えた。
またなお、粒子の空隙部分の径とは、空隙部分の最大径をいう。
5Lのポリプロピレン製広口瓶に、トルエンを2kg仕込み、ポリフェニレンエーテル紛体1kgを投入後、さらにトルエン2kg投入し、瓶の蓋を閉めた。その後、当該瓶を15回上下に振り撹拌した後、ダブルアクションラボシェイカー(アズワン製)に設置し撹拌を1時間行った。温度は50℃にした。1時間後目視にて溶剤への溶解性を確認し、下記の評価基準により溶剤溶解性を評価した。
A:ポリフェニレンエーテル紛体が、完全に溶解している、又はほぼ溶解している。
B:ポリフェニレンエーテル紛体が、多量に残っている。
ポリフェニレンエーテル紛体の0.5g/dLのクロロホルム溶液を調整し、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)(dL/g)を求めた。
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合混合物(重合液)は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(1)とした。
乾燥空気の通気時間を125分間とし、重合時間を変更することにより、分子量を制御した。その他の条件は、製造例1と同様に製造してポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をポリマー溶液(2)とした。
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.02gの酸化第二銅、29.876gの47質量%臭化水素水溶液、9.684gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、46.88gのジ−nブチルアミン、122.28gのブチルジメチルアミン、17.53kgのトルエン、及び1.5kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入すると同時に、プランジャーポンプより1.62kgの2,6−ジメチルフェノールと、3.12kgのトルエンからなる溶液とを30分かけて重合槽に添加した。乾燥空気を86分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようにコントロールした。重合終結時の重合混合物(重合液)は均一な溶液状態であった。
乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
分取した有機相はポリフェニレンエーテル13.1質量%を含むトルエン溶液であり、これをポリマー溶液(3)とした。
前記製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、ジャケット付きの撹拌槽に入れ、ジャケットに120℃の熱媒を流して加温した。発生するトルエンを主成分とする蒸気をコンデンサーにより冷却して、トルエンを系外に抜出し、撹拌槽内のポリマー濃度が30.5質量%になるまで濃縮した。この操作を繰返し、ポリマー濃度が30質量%のポリマー溶液を製造した。
なお、ドラフトチューブ外部にバッフル4枚を追加して備えた析出槽とした。この析出槽運転中の析出槽内液量は1100mLであった。当該析出槽にトルエン500gとアセトン550gを仕込み、1500rpm(インペラ径=67mm、先端速度=5.3m/s)で撹拌した。
析出槽にはオーバーフローラインを設け、内液量が1100mLを超えると内液はオーバーフローして槽外に排出される仕組みとした。フィードラインの位置は国際公開第2003/064499号の実施例1に記載されている位置と同じ位置とした。
終濃度で水4.0質量%を含むアセトン256g/minと、上記の30質量%ポリマー溶液308g/minとを析出槽内に30分間かけて添加(フィード)した。
パドル翼は、1500rpmで回し続けた。ポリフェニレンエーテルを析出させることにより得られたスラリー液を、前記析出槽から564g/minで排出し、スラリーポンプにより洗浄槽にフィードした。
洗浄槽には、別ラインよりアセトンを151g/minでフィードし、スラリー液と撹拌することにより、ポリフェニレンエーテル粒子中のトルエンを置換洗浄した。スラリー濃度12.9質量%の洗浄スラリー液を製造した。当該スラリー液を10kg毎に分けて、バスケットセントル(タナベウィルテック製0−15型)にて濾過した。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にてポリマー溶液を製造した。
析出槽の温度を30℃に設定し、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、35質量%まで濃縮した。
析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水4.0質量%を含むアセトンを248g/minとし、上記ポリマー溶液を321g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを292g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、42質量%まで濃縮した。析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水5.0質量%を含むアセトンを339g/minとし、上記ポリマー溶液を218g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを152g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水10.0質量%を含むアセトンを274g/minとし、上記ポリマー溶液を294g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを103g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水5.0質量%を含むアセトンを358g/minとし、上記ポリマー溶液を190g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にて貧溶媒を追加せず、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例2で得られたポリマー溶液(2)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、35質量%まで濃縮した。析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水4.0質量%を含むアセトンを248g/minとし、上記ポリマー溶液を321g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを292g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例3で得られたポリマー溶液(3)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて、38質量%まで濃縮した。析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水4.0質量%を含むアセトンを304g/minとし、上記ポリマー溶液を256g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、アセトンを191g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。析出槽へフィードする貧溶媒、及びポリマー溶液としては、それぞれ、終濃度で水4.0質量%を含むメチルエチルケトンを258g/minとし、上記ポリマー溶液を310g/minとして30分間かけてフィードした。洗浄槽にフィードする貧溶媒としては、メチルエチルケトンを151g/minとして、その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。実施例1に記載の方法と同様に、続く析出工程を行い、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。湿潤ポリフェニレンエーテルの洗浄用の貧溶媒をメタノールとする以外の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。析出工程により得られる湿潤ポリフェニレンエーテルを洗浄することなく乾燥させ、ポリフェニレンエーテル紛体を得た。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。析出工程及び洗浄工程では、メタノールを使用した。その他の条件は、表1に示す実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。メタノールを用いて析出を行った場合、得られるポリフェニレンエーテル紛体は見かけの比重が高く、圧縮造粒は行っていない。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたポリマー溶液(1)を、実施例1に記載した濃縮方法と同様の方法にて濃縮した。比較として、析出工程では、メタノールを使用した。また洗浄工程では、アセトンを使用した。その他の条件は、表1に示す通り実施例1と同様に実施しポリフェニレンエーテル紛体を得た。メタノールを用いて析出を行った場合、得られるポリフェニレンエーテル紛体は見かけの比重が高く、圧縮造粒は行っていない。
得られたポリフェニレンエーテル紛体について上述した方法により各測定を行った。測定結果を表1に示す。
・ポリマー溶液濃度:ポリフェニレンエーテルのトルエン溶液中の固形分濃度(質量%)。
・析出温度:析出槽のジャケット温度。
・水含有量:析出槽内の全溶媒に対する水量。
・添加貧溶媒/添加良溶媒:析出工程における、析出槽へ添加したポリフェニレンエーテル溶液中の良溶媒に対する、析出槽へ添加した貧溶媒の質量割合。
・貧溶媒/ポリマー:洗浄工程における、分離したポリフェニレンエーテル固形分に対する、洗浄用の貧溶媒の質量割合。
比較例3、4に示すように、メタノールを貧溶媒として使用し、ポリフェニレンエーテル溶液からポリフェニレンエーテル紛体を析出させた場合、一粒のポリフェニレンエーテル紛体に含まれる径6.5μm超の空隙が全体積の2.0〜3.0%程度と少ない。このため、比較例3、4では、特に、高分子量のポリフェニレンエーテル紛体の場合、トルエンへの溶解性が十分でない。
Claims (10)
- ポリフェニレンエーテル紛体であり、
一粒子において、
6.5μm超の径を有する空隙の体積が、全体積の4.0〜13%であり、かつ、
6.5μm超9.8μm以下の径を有する空隙の体積が、前記6.5μm超の径を有する空隙の体積の70〜100%である
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル紛体。 - 前記ポリフェニレンエーテルの還元粘度が、0.30〜1.0dL/gである、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル紛体。
- 前記ポリフェニレンエーテル紛体のゆるみ嵩密度が、0.35〜0.70g/cm3である、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル紛体。
- ポリフェニレンエーテルとその良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液と、貧溶媒とを混合することで、ポリフェニレンエーテルを析出させ、
析出後の前記ポリフェニレンエーテルを、貧溶媒で洗浄し、
洗浄後の前記ポリフェニレンエーテルを、ガラス転移温度(Tg)以下の温度で圧縮し、
圧縮後の前記ポリフェニレンエーテルを粉砕して、ポリフェニレンエーテル紛体を得る
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。 - 前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒が、ベンゼン、トルエン、及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
- 前記貧溶媒が、アセトン、メチルエチルケトンからなる群より選ばれる少なくとも一種のケトン系溶媒を含む、請求項4又は5に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
- 前記貧溶媒が、0.05〜20質量%の水を含む、請求項6に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
- 圧縮後かつ粉砕前の前記ポリフェニレンエーテルのみかけ密度が、0.7〜1.0g/cm3である、請求項4〜7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
- 圧縮前のポリフェニレンエーテル中における前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の含有量を、0.005〜0.4質量%とすることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
- 圧縮前のポリフェニレンエーテル中における前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒の含有量を、0.01〜0.1質量%とすることを特徴とする、請求項4〜9のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル紛体の製造方法。
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