JP2009275221A - ポリフェニレンエーテルを製造するための新規な方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテルを製造するための新規な方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重合触媒である金属塩をポリフェニレンエーテルから効率的に分離する方法を提供すること。
【解決手段】フェノール性化合物(M)10〜25質量部と芳香族溶媒(A)75〜90質量部の合計100質量部、及び
金属塩を成分として含有する触媒(C)0.1〜10質量部で構成される重合溶液を調製し、
該重合溶液に酸素含有ガスを通気して該フェノール性化合物(M)の酸化重合を行い、
該重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止し、
副生物として生成するジフェノキノン化合物をキノン結合処理又は還元除去し、
その後に、液液分離によって水性相を分離してポリフェニレンエーテルを得ることを含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
イオン触媒(D)0.001〜0.004重量部を重合溶液を調製する時点から、重合を停止するまでの間に、該重合溶液に添加する、上記方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテルを製造するための新規な方法に関する。
より詳しくは、本発明は、良溶媒、触媒成分としての金属塩、アミン化合物、及びフェノール化合物からなる重合溶液に酸素含有ガスを通気し、フェノール化合物を酸化重合してポリフェニレンエーテルを得た後、重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止し、該金属塩、キレート剤、及び、水を分離して得られるポリフェニレンエーテル溶液に、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を添加してポリフェニレンエーテル粒子を析出させてポリフェニレンエーテルを製造する方法において、金属塩、キレート剤、及び、水を効果的に分離し、色調と機械物性に優れるポリフェニレンエーテルを得る、上記方法に関する。
フェノール性化合物を酸化重合してポリフェニレンエーテルを製造する方法に関して、従来から、種々の方法が開示されている。
特許文献1〜4には、フェノール性化合物の酸化重合に有効な触媒として、銅化合物とアミンとを組み合わせた触媒、銅化合物とハロゲン化合物を組み合わせた触媒、1級アミン、2級アミン、3級アミン、モノアミン、ジアミン又はポリアミンを用いた触媒、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミンなどのテトラアルキルタイプのジアミンを用いた触媒が開示されている。
特許文献5〜6には、酸化重合に有効な触媒として、銅化合物、ヨウ素化合物とテトラアルキルタイプのジアミンを組み合わせた触媒が提案されている。
また、特許文献7〜9には、銅化合物、臭素化合物とN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、n−ブチルジメチルアミンなどの3級アミンを組み合わせた触媒、銅化合物、臭素化合物と3級アミン及び2級モノアミンとを組み合わせた触媒が開示されている。
また、特許文献10には、銅化合物と2級脂肪族アミン又は2級脂肪族アミンと特殊な構造を持つアニリン類とN,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンよりなる耐水性を改良した触媒が開示されている。
更に、特許文献8〜10には、4級アンモニウム化合物を使用することが有利である旨が記載されている。
また、特許文献11〜13には、不活性ガス雰囲気で重合触媒とフェノール性化合物とを調合することにより、触媒が高活性化して、ポリフェニレンエーテルの生産性が向上することが開示されている。
酸化重合を停止し、ポリフェニレンエーテルと重合触媒を分離する方法として、遠心分離器を用いて連続的に液液分離を行う方法が、特許文献14及び15に開示されている。
一方で、フェノール性化合物の酸化重合では、副生物としてジフェノキノンが生成する。このジフェノキノンは、ポリフェニレンエーテルの物性、及び、色調に影響を及ぼすため、処理する必要がある。
ジフェノキノンの処理法として、フェノール性化合物の酸化重合が完了したあとに、重合溶液にアミノカルボン酸誘導体及び還元剤を添加して、ポリフェニレンエーテルとジフェノキノンを分離する方法(還元除去)が特許文献16に開示されている。
また、ジフェノキノンの処理法として、ジフェノキノンをポリフェニレンエーテルと反応させる方法が、特許文献17及び18に開示されている。
しかしながら、特許文献8〜10に開示された触媒を用いてポリフェニレンエーテルを重合し、ジフェノキノンを処理した重合溶液から、特許文献14及び15に開示された技術で触媒を除去しようとすると、水相と有機溶媒相を液液分離する時に界面が安定せず、泡立ちが起こり、界面の部分を廃棄するなどの対策を講じなければ、重合触媒成分である金属塩をポリフェニレンエーテルから完全に分離することができない場合がある。
また、特許文献8〜10に記載された好ましい触媒を用いてポリフェニレンエーテルを製造し、上記と同様の方法を適用すると、重合触媒成分である金属塩をポリフェニレンエーテルから分離できるが、得られるポリフェニレンエーテルは機械物性に問題が生じる。即ち、ジフェノキノンを処理したポリフェニレンエーテルから重合触媒成分である金属塩を効率的に分離し、かつ、機械物性に優れるポリフェニレンエーテルを得る技術は開示されていない。
特公昭36−018692号公報 US3306875号明細書 US3344116号明細書 US3432466号明細書 特公昭52−017075号公報 特公昭52−017076号公報 特公昭58−053012号公報 特公昭59−023332号公報 特公昭59−131627号公報 特開昭60−042422号公報 特開昭59−179620号公報 特開昭61−001453号公報 特開2002−003596号公報 特開昭60−051720号公報 特表2004−504429号公報 特開昭51−122196号公報 特開昭54−033594号公報 特開昭54−033595号公報
ポリフェニレンエーテルから重合触媒成分である金属塩を効率的に分離し、機械物性に優れるポリフェニレンエーテルを得る方法が求められている。
本発明者らは、従来のフェノール性化合物の酸化重合において、重合溶液から重合触媒成分を分離する技術について検討した結果、ポリフェニレンエーテルから重合触媒成分である金属塩を効率的に分離する方法、及び、機械物性に優れるポリフェニレンエーテルを得る方法を見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
1.フェノール性化合物(M)10〜25質量部と芳香族溶媒(A)75〜90質量部との合計100質量部、及び
金属塩を成分として含有する触媒(C)0.1〜10質量部で構成される重合溶液を調製し、
該重合溶液に酸素含有ガスを通気して該フェノール性化合物(M)の酸化重合を行い、
該重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止し、
副生物として生成するジフェノキノン化合物をキノン結合処理又は還元除去し、
その後に、液液分離によって水性相を分離してポリフェニレンエーテルを得ることを含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
イオン触媒(D)0.001〜0.004重量部を重合溶液を調製する時点から、重合を停止するまでの間に、該重合溶液に添加する、上記方法。
2.イオン触媒(D)を重合溶液を調製する時点に、該重合溶液に添加する、上記1に記載の方法。
3.前記イオン触媒(D)を0.001〜0.003質量部添加する、上記1又は2に記載の方法。
4.前記イオン触媒(D)が、下記式(4)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩化合物、又は、下記式(5)で示されるポリエチレングリコール基含有アルキルアンモニウム塩化合物である、上記1〜3のいずれか一項に記載の方法。
Figure 2009275221

(式中、R,R,R,及びRはそれぞれ独立に炭素数1から22の直鎖状又は分岐状アルキル基、Xは対となる陰イオンである。)
Figure 2009275221

(式中、R及びRは炭素素数1から22の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、R10はRに定義した基、又は−(CHCHO)−H(nは1から40の整数)で表される基であり、R11は−(CHCHO)−H(nは1から40の整数)で表される基であり、Xは対となる陰イオンである。)
5.前記イオン触媒(D)が、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドである、上記1〜4のいずれか一項に記載の方法。
6.重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止した後に、副生物として生成するジフェノキノン化合物をキノン結合処理する、上記1〜5のいずれか一項に記載の方法。
7.前記酸素含有ガスが、酸素濃度10〜25容量%の酸素含有ガスである、上記1〜6のいずれか一項に記載の方法。
8.酸素分圧が0.0147MPa以上0.0883MPa以下の酸素含有ガスを使用し、かつ、反応器気相部の絶対圧力を0.098MPa以上0.392MPa未満に制御する、上記1〜7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
本発明によって、ポリフェニレンエーテルから重合触媒成分である金属塩を効率的に分離し、機械物性に優れるポリフェニレンエーテルを得ることが可能となった。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のポリフェニレンエーテルとしては、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する単独重合体あるいは共重合体が挙げられる。
Figure 2009275221

(上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、炭化水素オキシを表す。R及びRは、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニルを表す。)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の具体例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂共重合体とは、フェニレンエーテル単位を単量単位として含む共重合体である。その具体例としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、又は2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。
本発明に用いられるフェノール性化合物は下記式(2)で表される構造の化合物である。
Figure 2009275221

(上記式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、炭化水素オキシを表す。R及びRは、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニルを表す。)
該化合物の例としては例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また少量のフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール等を含んでいても実質上差し支えない。
これらのフェノール性化合物の中で、2,6−ジメチルフェノール、又は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの混合物が好ましく、2,6−ジメチルフェノールが特に好ましい。
本発明で用いる芳香族溶媒は、特に制限はないが、低分子量のフェノール性化合物を溶解し、触媒混合物の一部又は全部を溶解するものである。このような溶媒の例としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン等のニトロ化合物等を挙げることができる。
本発明で用いる芳香族溶媒として、トルエン、キシレン、又は、エチルベンゼンが好ましく、トルエンが極めて好ましい。
本発明の効果を妨げない限りの量において、芳香族溶媒に水と相溶する性質を持つ溶媒を混在させることができる。水と相溶する性質を持つ溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシドの様なスルホキシド類等を挙げることができる。溶媒の1種以上を、必要であれば更に混合して使用することができる。
本発明は使用される溶媒が実質的に水と相溶しない条件であれば特に好ましく作用することができる。しばしば用いられる溶媒の例としてはトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素溶媒である。フェノール性化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルに対する良溶媒と貧溶媒の比率を選ぶことによって溶液重合法にもなるし、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出する沈殿重合法にもなる。
本発明で用いる触媒(C)は、フェノール性化合物、芳香族溶媒、及び、触媒からなる重合溶液に酸素含有ガスを通気することにより、フェノール性化合物を効率的に酸化重合しポリフェニレンエーテルを製造するために有効な酸化触媒である。
本発明で用いる触媒(C)として、銅化合物及び臭素化合物、並びにジアミン化合物、3級モノアミン化合物、及び、2級モノアミン化合物から選択される1種以上からなる触媒が使用できる。特に、銅化合物、臭素化合物、ジアミン化合物、3級モノアミン化合物、及び、2級モノアミン化合物を必須成分とする触媒がより好ましく使用できる。
本発明における触媒(C)の成分として用いる銅化合物として、第一銅化合物、第二銅化合物又はそれらの混合物を使用することができる。第一銅化合物としては、例えば酸化第一銅、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。また第二銅化合物としては、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。これらの中で好ましい化合物は第一銅,第二銅化合物については酸化第一銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。またこれらの銅塩は酸化物、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸から使用時に合成してもよい。例えば酸化第一銅と臭化水素(の溶液)を混合することにより得られる。銅化合物として特に好ましいものは第一銅化合物である。これら銅化合物は単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
本発明における触媒(C)の成分として用いる臭素化合物は、例えば臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム等である。またこれらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。これらの臭素化合物は、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。最も好ましい銅化合物と臭素化合物の組み合わせは、酸化第一銅と臭化水素の水溶液である。これらの化合物の使用量は特に限定されないが、銅原子のモル量に対して臭素原子として2倍以上10倍以下が好ましく、フェノール性化合物の100モルに対して銅原子としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
本発明における触媒(C)の成分として用いるジアミン化合物は、下記式(3)で表されるジアミン化合物である。上記構造を持つジアミン化合物の内、好ましいジアミン化合物はN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミンである。ジアミン化合物の使用量は特に限定されないが通常使用される銅原子のモル数に対して0.5倍モル量以上であり上限は臨界的ではない。
Figure 2009275221

(上記式(3)中、R,R,R,及びRはそれぞれ独立に、水素、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素ではない。Rは炭素数2から5の直鎖状又はメチル分岐を持つアルキレン基である。)
本発明における触媒(C)の成分として用いる3級モノアミン化合物は、脂環式3級アミンを含めた脂肪族3級アミンである。例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。これらの使用量は特に限定されないが、フェノール性化合物100モルに対して0.1モルから15モルの範囲が好ましい。
本発明における触媒(C)の成分として用いる2級モノアミン化合物は、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。N−(置換又は非置換フェニル)アルカノールアミンとしては例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン等が挙げられる。N−炭化水素置換アニリンとしては例えば、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられるが、これらの例には限定されない。これらの第2級モノアミン化合物は成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。使用量は特に限定されないが、一般的にフェノール性化合物100モルに対し0.05モルから15モルの範囲である。
本発明における触媒(C)は、銅化合物、臭素化合物、ジアミン化合物、2級モノアミン化合物、3級モノアミン化合物の各成分を全て含有する。
本発明の触媒(C)は、銅化合物を、銅原子としてフェノール性化合物の100モルに対し、0.02モルから0.6モルの範囲で、臭素化合物を、臭素原子としてフェノール性化合物の100モルに対し、0.04モルから6モルの範囲で、ジアミン化合物を、銅原子の0.5倍モル量以上の範囲で、2級モノアミン化合物を、フェノール性化合物100モルに対して0.1モルから15モルの範囲で、3級モノアミン化合物を、フェノール性化合物100モルに対し、0.05モルから15モルの範囲で含有するものが好ましい。
本発明における触媒(C)は、銅化合物を、銅原子としてフェノール性化合物の100モルに対し、0.03モルから0.4モルの範囲で、臭素化合物を、臭素原子としてフェノール性化合物の100モルに対し、0.06モルから4モルの範囲で、ジアミン化合物を、銅化合物中の銅原子の0.6倍モル量から2倍モル量の範囲で、2級モノアミン化合物を、フェノール性化合物100モルに対して0.2モルから5モルの範囲で、3級モノアミン化合物を、フェノール性化合物100モルに対し、0.1モルから5モルの範囲で含有するものが更に好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法における重合溶液の調製方法は、フェノール性化合物(M)、芳香族溶媒(A)、及び触媒(C)の成分をそれぞれ単独に反応器に導入してもよく、また、フェノール性化合物(M)、及び触媒(C)を各々、予め芳香族溶媒(A)に溶解しておき両者を反応器に導入してもよい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法における重合溶液の調製方法として好ましい方法は、まず、予め芳香族溶媒(A)の一部に溶解した触媒(C)を反応器に導入し、引続き、残りの芳香族溶媒(A)に溶解したフェノール性化合物(M)を反応器に導入する方法である。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法における、重合溶液のフェノール性化合物(M)、芳香族溶媒(A)、及び触媒(C)の重量は、重合溶液の調製において、フェノール性化合物(M)及び、触媒(C)の反応器への導入が完了した時点の重量とする。
本発明では、フェノール性化合物(M)と芳香族溶媒(A)との合計100質量部に対するフェノール性化合物の濃度は、10〜25質量部であることが好ましい。本発明で、更に好ましいフェノール性化合物の濃度は、12〜23質量部であり、特に好ましくは、13〜21質量部、極めて好ましくは、14〜20質量部である。
本発明では、フェノール性化合物(M)と芳香族溶媒(A)の合計100質量部に対する触媒(C)の濃度は、0.1〜10質量%である。
本発明では、フェノール性化合物(M)を酸化重合した後に、重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止し、副生物として生成するジフェノキノン化合物を処理し、液液分離によって、重合触媒成分である金属塩、キレート剤、及び、水、即ち水性相を分離して、ポリフェニレンエーテルを得る方法において、重合溶液に、触媒(C)と同時にイオン触媒(D)0.001〜0.004重量部を添加することにより、生産性が向上し、かつ、液液分離する際の水相と有機溶媒相の界面が安定化し、重合触媒成分である金属塩をポリフェニレンエーテルから効果的に分離することができる。
本発明のイオン触媒(D)は、上記水相と有機溶媒相の界面を安定化するものである。
本発明のイオン触媒(D)とは、好ましくは、下記式(4)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩化合物、又は、下記式(5)で示されるポリエチレングリコール基含有アルキルアンモニウム塩化合物である。
Figure 2009275221

(上記式(4)中、R,R,R,Rはそれぞれ独立に炭素数1から22の直鎖状又は分岐状アルキル基、Xは対となる陰イオン、好ましくは、Cl、Brより選択される陰イオンである。)
Figure 2009275221

(上記式(5)中、R及びRは炭素素数1から22の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、R10はRに定義した基、又は−(CHCHO)−H(nは1から40の整数)で表される基であり、R11は−(CHCHO)−H(nは1から40の整数)で表される基であり、Xは対となる陰イオン、好ましくは、Cl、Brより選択される陰イオンである。)
本発明のイオン触媒(D)として、特に好ましいものは、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドである。
本発明では、重合溶液を調製する時点から、重合を停止するまでの間に、、重合溶液に重合溶液中のフェノール性化合物(M)と芳香族溶媒(A)の質量部の合計100質量部に対して、イオン触媒(D)0.001〜0.004重量部を、好ましくはイオン触媒(D)0.001〜0.003重量部を添加する。
本発明のイオン触媒(D)を重合溶液中のフェノール性化合物(M)と芳香族溶媒(A)の質量部の合計100質量部に対して、0.001質量部以上使用すれば液液分離性が改良する。また、本発明のイオン触媒(D)を重合溶液中のフェノール性化合物(M)と芳香族溶媒(A)の質量部の合計100質量部に対して、0.004質量部以下で使用すれば、得られたポリフェニレンエーテルを成分とするポリフェニレンエーテル組成物の機械物性に影響がない。
イオン触媒(D)を重合溶液を調製する時点に、触媒(C)と同時に重合溶液に添加すると重合活性が向上するため好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法では、酸素含有ガスの通気開始時期は特に限定されないが、重合溶液の調製において、フェノール性化合物(M)、芳香族溶媒(A)、又は触媒(C)のいずれかを反応器へ導入した後に、酸素含有ガスの通気を開始することが好ましい。
本発明における酸素含有ガスは酸素と任意の不活性ガスをその酸素濃度が本発明の領域になるように混合して調製するか、空気を用いるか、空気と任意の不活性ガスを混合して調製する。不活性ガスは重合反応に対して影響が大でなければ任意のものが使用できる。代表的には窒素である。
本発明では、酸素含有ガスが、酸素濃度10〜25容量%の酸素含有ガスであることが好ましい。本発明では、空気を窒素含有ガスで希釈して、酸素濃度10〜20容量%に調整した酸素含有ガスが更に好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法として、酸素分圧が0.0147MPa以上0.0883MPa以下の酸素含有ガスを使用し、かつ、反応器気相部の絶対圧力を0.098MPa以上0.392MPa未満に制御することが好ましい。
本発明の酸素含有ガスの通気量は、特に制限されないが、好ましい通気速度は重合反応に供するフェノール性化合物1kgに対して0.5Nl/minから15Nl/minである。この量は臨界的なものではないが、少なすぎると所望の分子量に達するのに非常に時間がかかり生産性が悪化する。一方多すぎても設備の過大化や排ガス量の増大という問題が発生し経済性を損なう。
本発明の重合溶液の温度については、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると触媒が失活することもあるので、0〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲で行われることが好ましい。
本発明の重合反応の停止方法は、特に制限はない。
本発明では、酸素含有ガスの通気を止め、塩酸や酢酸等の酸、又はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等のキレート剤水溶液を反応液に加えて触媒を失活し、重合を停止する方法が好ましく採用できる。
本発明では、重合中に副生物として生成するジフェノキノン化合物を処理する方法は限定されない。
本発明では、重合中に副生物として生成するジフェノキノン化合物をキノン結合処理、又は、還元除去する方法を好ましく採用できる。
本発明では、ジフェノキノン化合物とポリフェニレンエーテルとを反応させて、ジフェノキノン化合物を処理するキノン結合処理が更に好ましく方法として採用できる。
本発明では、重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止した後に、重合溶液の温度を60〜120℃に設定し、約20分〜150分間、この温度を維持するキノン結合処理が極めて好ましい。
本発明では、重合溶液からポリフェニレンエーテルを分離する方法は限定されない。
本発明では、重合溶液をメタノール等のポリフェニレンエーテルを溶解しない溶媒に沈殿し、これを濾過して、乾燥し、ポリフェニレンエーテルを分離する方法が好ましく採用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における、一般的手順を以下に述べる。
(一般的手順)
本発明の実施例及び比較例では、反応器として、内径16cmの円筒型の反応器底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼、及び、サンプリング用の排出バルブを設け、反応器側部にバッフル、温度調整装置、内部状態を確認するための覗き窓を設け、反応器上部に、重合溶液成分の導入口、及び、ベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを付属したコントロールバルブ付きの還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付きオートクレーブ型の反応器を用いた。
本発明の実施例及び比較例では、フェノール性化合物(M)として2,6−ジメチルフェノールを用いた。
本発明の実施例及び比較例では、芳香族溶媒(A)としてトルエンを用いた。
本発明の全ての実施例及び比較例で用いる触媒(C)の各成分の添加量の規定量を、2,6−ジメチルフェノール1000gに対して、酸化第一銅1.288g、臭化水素の47%水溶液7.749g、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン3.104g、ジメチル−n−ブチルアミン38.11g、及びジ−n−ブチルアミン15.03gとした。
本発明の実施例及び比較例では、イオン触媒(D)として、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドを用いた。
本発明の実施例及び比較例では、通気する酸素含有ガスとして、酸素濃度が9%の酸素含有ガスを使用した。
本発明の実施例及び比較例では、酸素含有ガスの通気速度を重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して4Nl/min・kgとして行った。
本発明の実施例及び比較例では、還流冷却器下流のコントロールバルブを調整し、反応器気相部の絶対圧力を0.25MPaに制御した。
本発明の実施例及び比較例では、まず、実施例及び比較例に指定した量のトルエン、2,6−ジメチルフェノール、触媒(C)、及び触媒(D)からなる重合溶液を調製し、これを反応器の導入口に導入し、重合溶液の温度を40℃に調整した。酸化重合終了まで、重合溶液の温度は40℃に調整した。
本発明の実施例及び比較例では、重合溶液を攪拌し、酸素含有ガスをスパージャーから導入して酸化重合を行った。酸素含有ガスを導入開始した時点を重合開始時間とした。
本発明の実施例及び比較例では、導入口からEDTA4ナトリウム塩の水溶液を添加し、10分間攪拌して酸化重合を停止した。
本発明の実施例及び比較例では、重合停止後、重合溶液を60分間80℃に調整することにより、ジフェノキノンとポリフェニレンエーテルを反応するキノン結合処理を行って、重合中に副生するジフェノキノンを処理した。
本発明の実施例及び比較例では、重合溶液から水相を分離した後に、重合溶液を等容積のメタノールに滴下し、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を沈殿した。
また、本発明の実施例及び比較例では、酸化重合を停止した直後に、重合溶液の一部を採取した。これに、ヒドロキノンを添加し、水相を分離した後に、重合溶液を等容積のメタノールに滴下し、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)を沈殿した。
本発明の実施例及び比較例では、沈殿したポリフェニレンエーテルを更に、三度、等容のメタノールを加えて洗浄し、濾過した後に145℃で真空乾燥した。
本発明の実施例及び比較例では、ポリフェニレンエーテルの濃度0.5g/dlのクロロホルム溶液を調製し、ウベローデ型の粘度計を用いてηsp/cを測定した。
本発明の実施例及び比較例では、得られたポリフェニレンエーテル(キノン処理後)とその他の組成物成分をZSK−25型二軸押出機を用いて溶融混練して、ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
本発明の実施例及び比較例で用いた組成物成分は以下のものである。
ポリフェニレンエーテル(PPE):各実施例及び比較例で得たポリフェニレンエーテル(キノン処理後)。
ハイインパクトポリスチレン(HIPS):0.5%トルエン溶液について、ウベローデ型粘度計を用いて、30℃で測定したηsp/Cの値が0.73dl/gであり、ゴム濃度が7.6質量%であり、コールカウンター法で測定した平均ゴム粒子径が1.0μmであるハイインパクトポリスチレン。
水添ブロック共重合体(HTR):数平均分子量が約23,000のスチレン重合体ブロック(Sブロック)と1,2−ビニル構造が約35%のブタジエンブロック(Bブロック)よりなるSBS型ブロック共重合体の水素添加物。
縮合リン酸エステル難燃剤(CR):大八化学(株)製、商品名CR−741。
ポリエチレン(PE):ASTM D1238に準じ、190℃、2.16kg荷重で測定したMFRが21g/10分の低密度ポリエチレン。
本発明の実施例及び比較例では、上記二軸押出機のシリンダー温度を310℃に調整し、上記PPE、HIPS、HTR、PEそれぞれの規定量をドライブレンドして主供給口より一括して定量供給し、同時に、加熱した液状の上記CRを定量ポンプを用いてサイド供給口より規定量供給し、溶融混練してポリフェニレンエーテル組成物を得た。押出速度を12kg/時に設定した。
本発明の実施例及び比較例では、ポリフェニレンエーテル組成物の成分構成をPPE:HIPS:HTR:PE:CR=56:24:2:2:16とした。
本発明の実施例及び比較例では、得られたポリフェニレンエーテル組成物について、以下の物性を測定した。
ノッチ付アイゾッド衝撃強度:ASTM D256に準じて測定した。試験片は東芝機械(株)製射出成形機を用い、シリンダー温度を260℃に調整して作成した。
耐薬品性:ASTM D638に準じて1/8厚の試験片を用い、引張強度を測定し、薬品処理前の引張強度(TS−Blank)を測定した。別の試験片を湾曲治具に取り付け表面歪が1%になるように調整した後に、イソプロパノール/シクロヘキサン(60/40)混合液に30分間浸漬した後、この試験件について引張強度を測定し、薬品処理後の引張強度(TS−S)を測定した。(TS−S)/(TS−Blank)を耐薬品性保持率とした。
色調:試験片の色調を目視で判定した。
(実施例1)
2,6−ジメチルフェノール1.26kg、及び、トルエン5.74kg、上記一般的手順に定めた規定量の触媒(C)とイオン触媒(D)250mgとで構成される重合溶液を調製し、これを反応器に導入し、還流冷却器下流のコントロールバルブを調整、液温を40℃に調整し、これを反応器に導入し、還流冷却器下流のコントロールバルブを調整、液温を40℃に調整し、酸素含有ガスをスパージャーより通気して2,6−ジメチルフェノールを酸化重合した。酸化重合開始後150分にEDTA4ナトリウム塩の水溶液を重合溶液に混合して、10分間攪拌して酸化重合を停止した。この時、重合溶液の一部を取り出しポリフェニレンエーテル(重合停止後)を採取した。その後、重合溶液を80℃に加熱し、60分間攪拌するキノン結合処理によりジフェノキノンを処理した。この重合溶液を分液ロートに移し、水を1kg添加した後、ポリフェニレンエーテルを含有する有機相と触媒を含有する水相を分離した。この時、有機相と水相の界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。更に、水1kgを添加し攪拌した後、有機相と水相を分離し、上記の一般的手順に従って処理してポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。
ポリフェニレンエーテル(重合停止後)のηsp/c、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)のηsp/cを測定した。
上記の一般的手順に従って、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)と他の組成物成分を溶融混練してポリフェニレンエーテル組成物を調製し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表1にまとめて示す。
(実施例2)
2,6−ジメチルフェノール;1.26kg、及び、トルエン;5.74kg、上記一般的手順に定めた規定量の触媒(C)とイオン触媒(D)150mgとで構成される重合溶液を調整し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調整し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表1にまとめて示す。
(比較例1)
2,6−ジメチルフェノール1.26kg、及び、トルエン5.74kg、上記一般的手順に定めた規定量の触媒(C)で構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。この重合溶液を分液ロートに移し、水を1kg添加した後、有機相と水相を分離する際に、有機相と水相の界面が泡立ち、分離が困難であった。界面部分を約100g廃棄した。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調整し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表2にまとめて示す。
得られたポリフェニレンエーテル組成物は赤茶色の色調を示した。
(比較例2)
2,6−ジメチルフェノール1.26kg、及び、トルエン5.74kg、上記一般的手順に定めた規定量の触媒(C)とイオン触媒(D)450mgとで構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調整し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表2にまとめて示す。
得られたポリフェニレンエーテル組成物は、実施例のポリフェニレンエーテル組成物に比べ、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率が劣った。
(比較例3)
2,6−ジメチルフェノール;1.26kg、及び、トルエン;5.74kg、上記一般的手順に定めた規定量の触媒(C)とイオン触媒(D)50mgで構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。この重合溶液を分液ロートに移し、水を1kg添加した後、有機相と水相を分離する際に、有機相と水相の界面が泡立ち、分離が困難であった。界面部分を約50g廃棄した。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調整し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表2にまとめて示す。
得られたポリフェニレンエーテル組成物は薄茶色の色調を示した。
(実施例3)
2,6−ジメチルフェノール1.47kg、及び、トルエン5.53kg、上記一般的手順に定めた規定量の1.17倍の触媒(C)とイオン触媒(D)250mgとで構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調製し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表1にまとめて示す。
(実施例4)
2,6−ジメチルフェノール0.77kg、及び、トルエン6.23kg、上記一般的手順に定めた規定量の0.61倍の触媒(C)とイオン触媒(D)100mgとで構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調製し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表1にまとめて示す。
(比較例4)
2,6−ジメチルフェノール1.47kg、及び、トルエン5.53kg、上記一般的手順に定めた規定量の1.17倍の触媒(C)とイオン触媒(D)400mgとで構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調製し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表2にまとめて示す。
得られたポリフェニレンエーテル組成物は、実施例のポリフェニレンエーテル組成物に比べ、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率が劣った。
(比較例5)
2,6−ジメチルフェノール0.77kg、及び、トルエン6.23kg、上記一般的手順に定めた規定量の0.61倍の触媒(C)とイオン触媒(D)500mgとで構成される重合溶液を調製し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。実施例1と同様にηsp/cの測定を実施した。また、実施例1と同様に、ポリフェニレンエーテル組成物を調製し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表2にまとめて示す。
得られたポリフェニレンエーテル組成物は、実施例のポリフェニレンエーテル組成物に比べ、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率が劣った。
(比較例6)
2,6−ジメチルフェノール1.47kg、及び、トルエン5.53kg、上記一般的手順に定めた規定量の0.61倍の触媒(C)で構成される重合溶液を調製し、これを反応器に導入し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(重合停止後)を得た。ジフェノキノンを処理した後に、重合溶液にトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(イオン触媒(D)を300mg添加し、実施例1と同様の手順で、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)を得た。有機相と水相を分離する際に界面に泡立ちはなく、容易に分離できた。
ポリフェニレンエーテル(重合停止後)のηsp/c、及び、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)のηsp/cを測定した。
上記の一般的手順に従って、ポリフェニレンエーテル(キノン処理後)と他の組成物成分を溶融混練してポリフェニレンエーテル組成物を調製し、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率、色調を測定した。
測定結果を表2にまとめて示す。
得られたポリフェニレンエーテル組成物は、実施例のポリフェニレンエーテル組成物に比べ、Izod衝撃強度、耐薬品性保持率が劣った。
Figure 2009275221

Figure 2009275221
本発明によって、フェノール性化合物の酸化重合において、ポリフェニレンエーテルから重合触媒成分である金属塩を完全に、かつ、効率的に分離することが可能となり、従来の方法に比べ、生産効率、収率が向上する。

Claims (8)

  1. フェノール性化合物(M)10〜25質量部と芳香族溶媒(A)75〜90質量部の合計100質量部、及び
    金属塩を成分として含有する触媒(C)0.1〜10質量部で構成される重合溶液を調製し、
    該重合溶液に酸素含有ガスを通気して該フェノール性化合物(M)の酸化重合を行い、
    該重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止し、
    副生物として生成するジフェノキノン化合物をキノン結合処理又は還元除去し、
    その後に、液液分離によって水性相を分離してポリフェニレンエーテルを得ることを含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
    イオン触媒(D)0.001〜0.004重量部を重合溶液を調製する時点から、重合を停止するまでの間に、該重合溶液に添加する、上記方法。
  2. イオン触媒(D)を重合溶液を調製する時点に、該重合溶液に添加する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記イオン触媒(D)0.001〜0.003質量部を添加する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記イオン触媒(D)が、下記式(4)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩化合物、又は、下記式(5)で示されるポリエチレングリコール基含有アルキルアンモニウム塩化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
    Figure 2009275221

    (式中、R,R,R,及びRはそれぞれ独立に炭素数1から22の直鎖状又は分岐状アルキル基、Xは対となる陰イオンである。)
    Figure 2009275221

    (式中、R及びRは炭素素数1から22の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、R10はRに定義した基、又は−(CHCHO)−H(nは1から40の整数)で表される基であり、R11は−(CHCHO)−H(nは1から40の整数)で表される基であり、Xは対となる陰イオンである。)
  5. 前記イオン触媒(D)が、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 重合溶液にキレート剤水溶液を混合して重合を停止した後に、副生物として生成するジフェノキノン化合物をキノン結合処理する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記酸素含有ガスが、酸素濃度10〜25容量%の酸素含有ガスである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 酸素分圧が0.0147MPa以上0.0883MPa以下の酸素含有ガスを使用し、かつ、反応器気相部の絶対圧力を0.098MPa以上0.392MPa未満に制御する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
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