JP2017110158A - ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents
ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017110158A JP2017110158A JP2015247665A JP2015247665A JP2017110158A JP 2017110158 A JP2017110158 A JP 2017110158A JP 2015247665 A JP2015247665 A JP 2015247665A JP 2015247665 A JP2015247665 A JP 2015247665A JP 2017110158 A JP2017110158 A JP 2017110158A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymerization
- oxygen
- polyphenylene ether
- containing gas
- polymerization solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G65/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
- C08G65/34—Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
- C08G65/38—Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols
- C08G65/44—Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols by oxidation of phenols
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Polyethers (AREA)
Abstract
【課題】本発明は、酸化重合前半(初期)の発泡を十分に抑制しつつ、所定の還元粘度のポリフェニレンエーテルを得るための反応時間を短縮させることができるポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】フェノール性化合物と芳香族溶媒のうちの一部と触媒とを添加して調製した第一重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、フェノール性化合物を酸化重合させる、第一の重合工程と、重合時の発泡が治まった時点で、芳香族溶媒のうちの残りを添加する溶媒添加工程と、第二重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、フェノール性化合物をさらに酸化重合させる、第二の重合工程とを有し、ここで、追加の芳香族溶媒の添加量を芳香族溶媒の添加量よりも少なくし、第二重合溶液における酸素含有ガスの通気量を第一重合溶液における酸素含有ガスの通気量よりも少なくすることを特徴とする、ポリフェニレンエーテルの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
ポリフェニレンエーテルは、電気絶縁性、耐熱性、耐加水分解性、及び難燃性に優れるため、当該ポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物は、家電、OA機器、自動車部品等の分野で広く使用されている。
従来から、フェノール性化合物を酸化重合させてポリフェニレンエーテルを製造する方法に関して、種々の方法が開示されている。例えば、特許文献1には、酸化重合初期の発泡部分の反応器内面に付着した重合溶媒、触媒成分などを効果的に除去することを目的として、酸化重合の初期に起こる重合溶液の発泡が治まった時点で反応器上部から芳香族溶媒を添加して、反応器内壁に付着した重合溶液を除去させる方法が開示されている。
一方、上記の溶液重合法においては、重合溶液中に酸素含有ガスを通気してフェノール性化合物を酸化重合するため、酸化重合の初期に、重合溶液の容量に対して10%〜30%容量の発泡が起こるという問題がある。かかる問題を解決するために、例えば、特許文献2に開示の方法では、フェノール性化合物10〜25質量部、芳香族溶媒75〜90質量部、及び触媒0.1〜10質量部からなる重合溶液に、消泡剤0.000001〜0.0001質量部を添加することによって、発泡を抑制している。
しかしながら、特許文献2に記載の技術に基づき、重合溶液に消泡剤を添加して重合反応を行う場合、酸化重合活性が低下する等の不都合が懸念される。このように、従来の技術では、ポリフェニレンエーテルの製造において、重合活性を維持しつつ発泡を十分に抑制するには至っていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、酸化重合前半(初期)の発泡を十分に抑制しつつ、希望する還元粘度のポリフェニレンエーテルを得るための反応時間を短縮させることができるポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ポリフェニレンエーテルを製造する反応器に、導入する重合溶液の芳香族溶媒の量、酸素含有ガスの導入量を重合反応前段と後段(後期)で調整することにより、酸化重合を完了させるとの着想に思い至り、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール性化合物と芳香族溶媒との合計100質量部と、触媒とを使用するポリフェニレンエーテルの製造方法であり、
前記フェノール性化合物10〜25質量部と、芳香族溶媒35〜85質量部と、触媒とを添加して調製した第一重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物を酸化重合させる、第一の重合工程と、前記第一の重合工程での前記第一重合溶液において、発泡部分の占める領域が、液相部分の占める領域100容量%に対して、1容量%以下になった時点で、前記第一重合溶液に追加の芳香族溶媒5〜55質量部を添加して第二重合溶液を調整する溶媒添加工程と、前記第二重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物をさらに酸化重合させる、第二の重合工程とを有し、
ここで、前記追加の芳香族溶媒の添加量を前記芳香族溶媒の添加量よりも少なくし、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量を前記第一重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量よりも少なくする、ことを特徴とする。
そして、前記第一重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、10〜20NL/minであり、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、0.5〜9.9NL/minであることが好ましい。
さらに、前記第一重合溶液における前記酸素含有ガス通気量は、前記フェノール性化合物1kgに対して、17〜20NL/minであることがより好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール性化合物と芳香族溶媒との合計100質量部と、触媒とを使用するポリフェニレンエーテルの製造方法であり、
前記フェノール性化合物10〜25質量部と、芳香族溶媒35〜85質量部と、触媒とを添加して調製した第一重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物を酸化重合させる、第一の重合工程と、前記第一の重合工程での前記第一重合溶液において、発泡部分の占める領域が、液相部分の占める領域100容量%に対して、1容量%以下になった時点で、前記第一重合溶液に追加の芳香族溶媒5〜55質量部を添加して第二重合溶液を調整する溶媒添加工程と、前記第二重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物をさらに酸化重合させる、第二の重合工程とを有し、
ここで、前記追加の芳香族溶媒の添加量を前記芳香族溶媒の添加量よりも少なくし、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量を前記第一重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量よりも少なくする、ことを特徴とする。
そして、前記第一重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、10〜20NL/minであり、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、0.5〜9.9NL/minであることが好ましい。
さらに、前記第一重合溶液における前記酸素含有ガス通気量は、前記フェノール性化合物1kgに対して、17〜20NL/minであることがより好ましい。
本発明によれば、酸化重合前半(初期)の発泡を十分に抑制しつつ、所定の還元粘度のポリフェニレンエーテルを得るための反応時間を短縮させることができるポリフェニレンエーテルの製造方法を実現できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
(ポリフェニレンエーテルの製造方法)
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール性化合物と芳香族溶媒との合計100質量部と、触媒とを使用するポリフェニレンエーテルの製造方法である。
そして、該方法は、前記フェノール性化合物10〜25質量部と、芳香族溶媒35〜85質量部と、触媒とを添加して調製した第一重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物を酸化重合させる、第一の重合工程と、前記第一の重合工程での前記第一重合溶液において、発泡部分の占める領域が、液相部分の占める領域100容量%に対して、1容量%以下になった時点で、前記第一重合溶液に追加の芳香族溶媒5〜55質量部を添加して第二重合溶液を調整する溶媒添加工程と、前記第二重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物をさらに酸化重合させる、第二の重合工程とを有する。
ここで、該方法は、前記追加の芳香族溶媒の添加量を前記芳香族溶媒の添加量よりも少なくし、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量を前記第一重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量よりも少なくする、ことを特徴とする。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール性化合物と芳香族溶媒との合計100質量部と、触媒とを使用するポリフェニレンエーテルの製造方法である。
そして、該方法は、前記フェノール性化合物10〜25質量部と、芳香族溶媒35〜85質量部と、触媒とを添加して調製した第一重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物を酸化重合させる、第一の重合工程と、前記第一の重合工程での前記第一重合溶液において、発泡部分の占める領域が、液相部分の占める領域100容量%に対して、1容量%以下になった時点で、前記第一重合溶液に追加の芳香族溶媒5〜55質量部を添加して第二重合溶液を調整する溶媒添加工程と、前記第二重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物をさらに酸化重合させる、第二の重合工程とを有する。
ここで、該方法は、前記追加の芳香族溶媒の添加量を前記芳香族溶媒の添加量よりも少なくし、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量を前記第一重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量よりも少なくする、ことを特徴とする。
上記のように構成されている本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法では、酸化重合前半(初期)の発泡が終了した時点で第一の重合工程で添加する量よりも少ない量の芳香族溶媒を添加し、また、第一の重合工程で通気する酸素含有ガスの量よりも少ない量の酸素含有ガスを通気して、その後、酸化重合を完了させる。
これにより、酸化重合前半(初期)の発泡を十分に抑制しつつ、所定の還元粘度のポリフェニレンエーテルを得るための反応時間を短縮させることができる。また、第二の重合工程における酸素含有ガスの使用量を減らして、製造コストを低減することができる。
これにより、酸化重合前半(初期)の発泡を十分に抑制しつつ、所定の還元粘度のポリフェニレンエーテルを得るための反応時間を短縮させることができる。また、第二の重合工程における酸素含有ガスの使用量を減らして、製造コストを低減することができる。
本実施形態においては、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒、必要に応じてその他の材料を含む重合溶液を調製して反応器中に収容し、反応器中で重合溶液に酸素含有ガスを通気して、フェノール性化合物を酸化重合することで、ポリフェニレンエーテルを得ることができる。
以下、第一の重合工程、溶媒添加工程、第二の重合工程において得られる結果物、並びにこれらの工程において用いられる原料(フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒、その他の材料)について詳述する。
<ポリフェニレンエーテル>
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法において製造されるポリフェニレンエーテルについて以下に説明する。
本実施形態で製造されるポリフェニレンエーテルは、特に限定されないが、具体的には、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する単独重合体又は共重合体である。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法において製造されるポリフェニレンエーテルについて以下に説明する。
本実施形態で製造されるポリフェニレンエーテルは、特に限定されないが、具体的には、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する単独重合体又は共重合体である。
[上記式(1)において、R1、R4は、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、及び炭化水素オキシからなる群より選ばれるいずれかを表し、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、及びフェニルからなる群より選ばれるいずれかを表す。]
ポリフェニレンエーテルの単独重合体としては、特に限定されないが、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが、原料が安価であり、入手が容易であるという観点から、好ましい。
ポリフェニレンエーテルの共重合体とは、フェニレンエーテル単位を単量体単位として含む共重合体である。ポリフェニレンエーテルの共重合体としては、特に限定されないが、具体的には、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。この中でも、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が、原料が安価であり、入手が容易であるという観点から、好ましい。
本実施形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c)は、0.3〜1.0dL/gであることが好ましい。還元粘度は、0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて30℃の温度条件で測定した値とする。還元粘度は、0.3〜0.8dL/gの範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.6dL/gの範囲である。上記還元粘度が0.3dL/g以上であることにより、ポリフェニレンエーテル本来の機械強度が得られる傾向にある。また、上記還元粘度が1.0dL/g以下であることにより、ポリフェニレンエーテル重合時の過度の分子量上昇を抑制する効果が得られる傾向にある。
還元粘度の制御方法について言えば、触媒量と空気通気量の増加と反応時間を長くすることにより還元粘度が高くなる傾向にあり、逆に、触媒量と通気量を下げて反応時間を短くすることにより還元粘度が低くなる傾向にある。
<フェノール性化合物>
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法における第一の重合工程及び第二の重合工程で用いられるフェノール性化合物は、下記式(2)で表される化合物である。
・・・(2)
[上記式(2)において、R5、R7は、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、及び炭化水素オキシからなる群より選ばれるいずれかを表し、R6、R8は、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、及びフェニルからなる群より選ばれるいずれかを表す。]
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法における第一の重合工程及び第二の重合工程で用いられるフェノール性化合物は、下記式(2)で表される化合物である。
[上記式(2)において、R5、R7は、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、及び炭化水素オキシからなる群より選ばれるいずれかを表し、R6、R8は、それぞれ独立して、水素、第一級又は第二級の低級アルキル、及びフェニルからなる群より選ばれるいずれかを表す。]
フェノール性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。これらのフェノール性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、重合溶液として使用される芳香族溶媒が少量のフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール等を不純物として含んでいても、フェノール性化合物の一部として重合反応により消費されてポリフェニレンエーテル内に組み込まれるので、実質上差し支えない。
これらの中でも、フェノール性化合物としては、2,6−ジメチルフェノール、又は2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの混合物であることが好ましく、2,6−ジメチルフェノールがより好ましい。
<芳香族溶媒>
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法で用いられる芳香族溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、低分子量のフェノール性化合物を溶解し、触媒の一部又は全部を溶解するものを用いることができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法で用いられる芳香族溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、低分子量のフェノール性化合物を溶解し、触媒の一部又は全部を溶解するものを用いることができる。
このような芳香族溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;ニトロベンゼン等のニトロ化合物等が挙げられる。この中でも、芳香族溶媒は、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、トルエンがより好ましい。
必要に応じて、芳香族溶媒には、水と相溶する性質を持つ溶媒を混在させることができる。水と相溶する性質を持つ溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル;ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種以上、必要であればさらに2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態で用いる芳香族溶媒としては、実質的に水と相溶しないものを好ましく用いることができる。実質的に水と相溶しないものとしては、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
また、本実施形態における重合の形態は、フェノール性化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルに対する良溶媒と貧溶媒との比率の選択によって変化する。具体的には、良溶媒の比率を大きくすることで溶液重合法になり、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに、重合体が反応溶媒中に粒子として析出する沈殿重合法になる。本実施形態における重合の形態は、特に限定されず、必要に応じて芳香族溶媒に添加する貧溶媒の量を調整して、所望とする重合形態を適宜選択することができる。
<触媒>
触媒は、フェノール性化合物と芳香族溶媒と触媒とを含む重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、フェノール性化合物を効率的に酸化重合し、ポリフェニレンエーテルを製造するために有効な酸化触媒である。
触媒は、フェノール性化合物と芳香族溶媒と触媒とを含む重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、フェノール性化合物を効率的に酸化重合し、ポリフェニレンエーテルを製造するために有効な酸化触媒である。
かかる触媒としては、特に限定されないが、具体的には、銅化合物と、臭素化合物と、ジアミン化合物、3級モノアミン化合物、及び2級モノアミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含むことものが好ましく、銅化合物と、臭素化合物と、ジアミン化合物、3級モノアミン化合物、及び2級モノアミン化合物とを必須成分として含有するものがより好ましい。
触媒の成分として用いる銅化合物としては、特に限定されないが、具体的には、第一銅化合物、第二銅化合物、又はそれらの混合物を使用することができる。第一銅化合物としては、特に限定されないが、具体的には、酸化第一銅、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。また、第二銅化合物としては、特に限定されないが、具体的には、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。これらの中で好ましい化合物は、第一銅、第二銅化合物については、酸化第一銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。また、これらの銅塩は、酸化銅、炭酸銅炭酸塩、及び水酸化銅等と、これらに対応するハロゲン又は酸とから、使用時に合成してもよい。例えば、酸化第一銅と臭化水素(の溶液)とを混合することにより、臭化第一銅が得られる。銅化合物として好ましいものは第一銅化合物である。これらの銅化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒の成分として用いる臭素化合物としては、特に限定されないが、具体的には、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。また、これらの臭素化合物は、水溶液や適当な溶媒を用いた溶液にした状態で使用してもよい。これらの臭素化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した銅化合物と臭素化合物との好ましい組み合わせは、酸化第一銅と臭化水素との水溶液である。これらの化合物の使用量は、特に限定されないが、銅原子のモル量に対して臭素原子のモル量で2〜10倍モル量が好ましい。また、フェノール性化合物100モルに対する銅原子の割合が0.02〜0.6モルであることが好ましい。
触媒の成分として用いるジアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、下記式(3)で表されるジアミン化合物等が挙げられる。
・・・(3)
[上記式(3)において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素ではなく、R5は、炭素数2〜5の、直鎖状若しくはメチル分岐を持つアルキレン基である。]
[上記式(3)において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素ではなく、R5は、炭素数2〜5の、直鎖状若しくはメチル分岐を持つアルキレン基である。]
式(3)で表されるジアミン化合物の中でも、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミンが好ましい。
これらのジアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、通常使用される銅原子のモル量に対して0.5倍モル量以上とすることができ、上限は特に限定されない。
ジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、通常使用される銅原子のモル量に対して0.5倍モル量以上とすることができ、上限は特に限定されない。
触媒の成分として用いる3級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、脂環式3級アミンを含む脂肪族3級アミン等が挙げられる。3級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、N−ブチル−ジメチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの3級モノアミンは、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
3級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、フェノール性化合物100モルに対して0.1〜15モルであることが好ましい。
これらの3級モノアミンは、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
3級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、フェノール性化合物100モルに対して0.1〜15モルであることが好ましい。
触媒の成分として用いる2級モノアミン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジベンジルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン、N(置換又は非置換フェニル)アルカノールアミン、N−炭化水素置換アニリン等が挙げられる。
前記N(置換又は非置換フェニル)アルカノールアミンとしては、特に限定されないが、具体的には、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン等が挙げられる。
前記N−炭化水素置換アニリンとしては、特に限定されないが、具体的には、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
これらの2級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
2級モノアミン化合物の使用量は特に限定されないが、一般的にフェノール性化合物100モルに対し0.05〜15モルの範囲である。
2級モノアミン化合物の使用量は特に限定されないが、一般的にフェノール性化合物100モルに対し0.05〜15モルの範囲である。
<その他の材料>
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合溶液が含みうるその他の材料としては、以下に限定されないが、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩化合物、ポリエチレングリコール基含有アルキルアミン、及びポリエチレングリコール基含有アルキルアンモニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記その他の材料の含有量としては、重合反応の効率の向上を図る観点から、第二重合溶液100質量%に対して0.1質量%を超えない範囲で含有されることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合溶液が含みうるその他の材料としては、以下に限定されないが、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩化合物、ポリエチレングリコール基含有アルキルアミン、及びポリエチレングリコール基含有アルキルアンモニウム塩化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記その他の材料の含有量としては、重合反応の効率の向上を図る観点から、第二重合溶液100質量%に対して0.1質量%を超えない範囲で含有されることが好ましい。
その他の材料の具体例としては、下記式(4)、(5)、又は(6)で表される化合物が挙げられる。
[上記式(5)において、R5は、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、R6は、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基、−(CH2CH2O)n−H[nは1〜40の整数]で表される基を表し、R7は、−(CH2CH2O)n−H[nは1〜40の整数]で表す。]
[上記式(6)において、R8、R9は、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、R10は、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基、−(CH2CH2O)n−H[nは1〜40の整数]で表される基を表し、R11は、−(CH2CH2O)n−H[nは1〜40の整数]で表される基を表し、Xは、対となる陰イオンである。]
上記式(4)及び(6)において、Xは、好ましくは、Cl-及びBr-からなる群より選ばれる陰イオンである。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、上記その他の材料としては、より具体的には、Aliquat336(ヘンケル社製)やCapriquat(株式会社同仁化学研究所製)の商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが好ましく用いられる。
((第一の重合工程))
第一の重合工程の第一重合溶液の調製は、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒の成分を、それぞれ単独に反応器に導入してもよく、また、フェノール性化合物及び触媒を、各々予め芳香族溶媒に溶解した後、反応器に導入してもよいが、まず、予め芳香族溶媒の一部に溶解した触媒を反応器に導入し、続いて、残りの芳香族溶媒に溶解したフェノール性化合物を反応器に導入するのが好ましい。
第一の重合工程の第一重合溶液の調製は、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒の成分を、それぞれ単独に反応器に導入してもよく、また、フェノール性化合物及び触媒を、各々予め芳香族溶媒に溶解した後、反応器に導入してもよいが、まず、予め芳香族溶媒の一部に溶解した触媒を反応器に導入し、続いて、残りの芳香族溶媒に溶解したフェノール性化合物を反応器に導入するのが好ましい。
第一の重合工程の第一重合溶液は、フェノール性化合物と芳香族溶媒(第一の重合工程で添加する芳香族溶媒と第二の重合工程で添加する芳香族溶媒との合計)との合計を100質量部として、フェノール性化合物10〜25質量部、芳香族溶媒35〜85質量部、及び触媒0.1〜10質量部の配合割合で調製することが好ましい。
このような配合割合とすることにより、ポリフェニレンエーテルの重合反応を安定的に制御することができる傾向にある。なお、第一重合溶液における、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒の量は、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒の反応器への導入が完了した時点の質量に基づくものとする。
このような配合割合とすることにより、ポリフェニレンエーテルの重合反応を安定的に制御することができる傾向にある。なお、第一重合溶液における、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒の量は、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒の反応器への導入が完了した時点の質量に基づくものとする。
本実施形態の第一の重合工程においては、フェノール性化合物と芳香族溶媒(第一の重合工程で添加する芳香族溶媒と第二の重合工程で添加する芳香族溶媒との合計)との合計を100質量部として、フェノール性化合物12〜23質量部、芳香族溶媒33〜78質量部、及び触媒0.5〜9質量部を含む重合溶液を用いることがより好ましく、フェノール性化合物と芳香族溶媒(第一の重合工程で添加する芳香族溶媒と第二の重合工程で添加する芳香族溶媒との合計)との合計を100質量部として、フェノール性化合物13〜21質量部、芳香族溶媒32〜72質量部、及び触媒0.8〜8質量部を含む重合溶液を用いることさらに好ましい。上記好ましい配合割合とすることにより、ポリフェニレンエーテルの重合反応を安定的に制御することができる傾向にある。
第一重合溶液に添加されるフェノール性化合物のフェノール性化合物と芳香族溶媒との合計に対する質量割合は、本実施形態における所望の効果を確保できる限り特に限定されないが、重合活性の向上、及び反応時間(重合時間)の短縮を可能とする観点から、18質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上であり、ポリフェニレンエーテルの生産性を考慮するという観点から、40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは37質量%以下であり、さらに好ましくは36質量%以下である。
(((酸素含有ガスの通気)))
酸素含有ガスの通気の開始時期は、特に限定されないが、第一重合溶液の調製において、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒のいずれかを反応器へ導入した後に、酸素含有ガスの通気を開始することが好ましい。
酸素含有ガスの通気の開始時期は、特に限定されないが、第一重合溶液の調製において、フェノール性化合物、芳香族溶媒、触媒のいずれかを反応器へ導入した後に、酸素含有ガスの通気を開始することが好ましい。
酸素含有ガスとしては、特に限定されないが、具体的には、酸素と任意の不活性ガスとを混合したもの、空気、空気と任意の不活性ガスとを混合したものを用いることができる。不活性ガスとしては、特に限定されないが、具体的には、重合反応に対する影響が大きくない限り、任意のものが使用できる。代表的な不活性ガスは、窒素である。
酸素含有ガスの酸素濃度は、特に限定されないが、具体的には、酸素含有ガス100容量%に対して、5〜25容量%であることが好ましく、特に、窒素含有ガスと空気とを含む場合には、酸素濃度が6〜20容量%であることがより好ましく、酸素濃度が8〜12容量%あることがさらに好ましい。このような好ましい酸素濃度であれば、徐熱や重合速度等がより安定する傾向になる。
第一の重合工程における酸素含有ガスの通気量は、特に限定されないが、第一の重合溶液は、重合反応に供するフェノール性化合物1kgに対して、10〜20NL/minであることが好ましく、さらに好適には、下限は、11NL/min、12NL/min、13NL/min、14NL/min、15NL/min、16NL/min、17NL/minとすることもでき、上限は、19NL/min、18NL/minとすることもできる。
10NL/min以上とすることにより、目的とするポリフェニレンエーテルが早期に所望の還元粘度に達し、生産性が向上する傾向にある。一方、20NL/min以下とすることにより、設備の過大化や排ガス量の増大という問題を回避でき、経済性に優れる傾向にある。
10NL/min以上とすることにより、目的とするポリフェニレンエーテルが早期に所望の還元粘度に達し、生産性が向上する傾向にある。一方、20NL/min以下とすることにより、設備の過大化や排ガス量の増大という問題を回避でき、経済性に優れる傾向にある。
ところで、フェノール性化合物の酸化重合に際しては、反応の進行に従って、反応溶液に泡が生じる。酸化重合を継続し重合溶液中のフェノール性化合物が消費されると発泡が収まることから、酸化重合の初期に重合溶液が発泡するのは、フェノール性化合物が重合溶液中に多く存在することと関係があるものと推察される。
酸化重合反応の前半(初期)においては、反応の進行とともに泡の高さが増加した後に急激に減少し、酸化重合反応の後半(後期)では泡は消失する。
なお、実際には、泡の高さが減少し始めてから約10分間で泡は完全に消泡する。
酸化重合反応の前半(初期)においては、反応の進行とともに泡の高さが増加した後に急激に減少し、酸化重合反応の後半(後期)では泡は消失する。
なお、実際には、泡の高さが減少し始めてから約10分間で泡は完全に消泡する。
ここで、酸化重合反応の前半(初期)から酸化重合反応の後半(後期)に移るタイミングは、第一の重合工程において、液相部分の占める領域(第一重合溶液の発泡していない部分)100容量%に対して、発泡部分の占める領域(第一重合溶液の発泡している部分)が1容量%以下となった時点、すなわち、実質的に発泡していない状態になった時点とすることが好ましい。
本実施形態では、第一の重合工程において、液相部分の占める領域100容量%に対して、発泡部分の占める領域が1容量%以下となった時点で、使用する芳香族溶媒のうち第一の重合工程で用いなかった残りの芳香族溶媒の全部又は一部を添加する、すなわち、後述の溶媒添加工程に移る。
((溶媒添加工程))
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、前述の第一重合溶液に、使用する芳香族溶媒の全量から上記第一の重合工程に使用した芳香族溶媒の一部を除いた残りの芳香族溶媒の全部又は一部を、酸化重合反応の後半(後期)に添加する。
本実施形態では、このように芳香族溶媒を前半と後半に分けて添加することで、重合溶液の初期の発泡を抑制しつつ、重合時間を短縮させることができる。
なお、反応時間(重合時間)については、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、前述の第一重合溶液に、使用する芳香族溶媒の全量から上記第一の重合工程に使用した芳香族溶媒の一部を除いた残りの芳香族溶媒の全部又は一部を、酸化重合反応の後半(後期)に添加する。
本実施形態では、このように芳香族溶媒を前半と後半に分けて添加することで、重合溶液の初期の発泡を抑制しつつ、重合時間を短縮させることができる。
なお、反応時間(重合時間)については、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、重合工程の前半(初期)に発生する発泡層の発生を抑制できるため、反応器に仕込む量を増加させることができ、生産効率が向上する。
溶媒添加工程において添加される追加の芳香族溶媒の量は、フェノール性化合物と芳香族溶媒との合計を100質量部として、5〜55質量部であり、10〜55質量部とすることが好ましく、15〜55質量部とすることが更に好ましい。
芳香族溶媒の添加方法としては、前記第一重合溶液に芳香族溶媒を添加することができる限り、特に制限されることなく、反応器上部から添加してもよく、反応器の循環ラインより添加してもよい。
((第二の重合工程))
上述の溶媒添加工程を行うことにより得られた重合溶液は、そのまま第二の重合工程の第二重合溶液としてよく、第一重合溶液における酸化重合を第二重合溶液においても引き続き行うことができる。
上述の溶媒添加工程を行うことにより得られた重合溶液は、そのまま第二の重合工程の第二重合溶液としてよく、第一重合溶液における酸化重合を第二重合溶液においても引き続き行うことができる。
本実施形態では、ポリフェニレンエーテルの生産性を考慮するという観点から、第二重合溶液におけるフェノール性化合物のフェノール性化合物と芳香族溶媒との合計に対する質量割合は、25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは22質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。
(((酸素含有ガスの通気)))
本実施形態では、第二重合溶液における酸素含有ガス通気量を第一重合溶液における酸素含有ガス通気量よりも少なくすることが肝要である。
本実施形態では、第二重合溶液における酸素含有ガス通気量を第一重合溶液における酸素含有ガス通気量よりも少なくすることが肝要である。
そして、本実施形態では、第一の重合工程において、液相部分の占める領域100容量%に対して、発泡部分の占める領域が1容量%以下となった時点で、通気する酸素含有ガスの量を減らすことが好ましい。すなわち、前述の溶媒添加工程の開始時点と同じ時点で、酸素含有ガスを減量することが好ましい。
この操作により、第二重合溶液中に含まれ得る酸素含有ガスの使用量を削減させることで、経済的に有利なポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することができる。
この操作により、第二重合溶液中に含まれ得る酸素含有ガスの使用量を削減させることで、経済的に有利なポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することができる。
第二の重合工程における酸素含有ガスの通気量は、重合反応に供するフェノール性化合物1kgに対して、0.5〜9.9NL/minであることが好ましく、より好適には、下限は、1NL/min、2NL/minとすることもでき、上限は、9.5NL/min、9NL/minとすることもできる。
0.5NL/min以上とすることにより、目的とするポリフェニレンエーテルが早期に所望の還元粘度に達し、生産性が向上する傾向にある。一方、9.9NL/min以下とすることにより、設備の過大化や排ガス量の増大という問題を回避でき、経済性に優れる傾向にある。
0.5NL/min以上とすることにより、目的とするポリフェニレンエーテルが早期に所望の還元粘度に達し、生産性が向上する傾向にある。一方、9.9NL/min以下とすることにより、設備の過大化や排ガス量の増大という問題を回避でき、経済性に優れる傾向にある。
本実施形態では、前述の通り、一般的なポリフェニレンエーテル重合工程における酸化重合の前半(前期)には、発泡層が発生する場合がある。なお、発泡層の発生については発泡量で評価することができ、当該発泡量は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
そして、本実施形態では、酸素含有ガスの通気量の変更のタイミングは、発泡層の発生量を基に調整することもできる。
そして、本実施形態では、酸素含有ガスの通気量の変更のタイミングは、発泡層の発生量を基に調整することもできる。
第一の重合工程及び第二の重合工程において、ポリフェニレンエーテルの酸化重合における重合溶液の温度は、反応の進行と触媒の活性との観点から、0〜80℃に調整することが好ましく、10〜60℃に調整することがより好ましく、20〜50℃に調整することがさらに好ましい。重合の前半(初期)では温度を低めに、重合の後半(後期)では温度を高めに設定することが好ましい。これにより、重合反応の進行がより促進される傾向にある。
第一の重合工程及び第二の重合工程における反応器気相部の絶対圧力は、0.098MPa以上であり、0.392MPa以下である。反応容器気相部の絶対圧力が0.392MPaを超える場合は過大な設備を必要とすることになるので好ましくない。0.098MPaに満たない場合は大気圧より負圧の領域になり、真空に対応した設備を必要とすることになるので好ましくない。
より具体的には、発泡抑制の効果を得る観点から、0.245MPa以上0.392MPa以下とすることが好ましい。
より具体的には、発泡抑制の効果を得る観点から、0.245MPa以上0.392MPa以下とすることが好ましい。
本実施形態では、これまでに記載の、第一の重合工程、溶媒添加工程、第二の重合工程に加えて、必要に応じて、さらなる溶媒添加工程や重合工程を設けてもよい。
(((酸化重合停止)))
本実施形態では、上述のように第一の重合工程及び第二の重合工程を行った後、目的とする還元粘度に達した時点で重合反応を停止する。
重合反応の停止方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。通常の停止方法としては、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を触媒失活剤として反応液に加えることで、触媒を失活させる方法が挙げられる。
重合停止の後、生成したポリフェニレンエーテルを分離して、メタノール等のポリフェニレンエーテルを溶解しない溶媒で洗浄し、乾燥して、ポリフェニレンエーテルを回収する。
本実施形態では、上述のように第一の重合工程及び第二の重合工程を行った後、目的とする還元粘度に達した時点で重合反応を停止する。
重合反応の停止方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。通常の停止方法としては、塩酸や酢酸等の酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を触媒失活剤として反応液に加えることで、触媒を失活させる方法が挙げられる。
重合停止の後、生成したポリフェニレンエーテルを分離して、メタノール等のポリフェニレンエーテルを溶解しない溶媒で洗浄し、乾燥して、ポリフェニレンエーテルを回収する。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法における好ましい形態としては、フェノール性化合物として2,6−ジメチルフェノールを使用し、触媒成分が銅化合物として酸化第一銅、臭素化合物として臭化水素(水溶液で使用)、ジアミン化合物としてN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2級モノアミン化合物としてN,N−ジ−n−ブチルアミン、3級モノアミンとしてN,N−ジメチル−n−ブチルアミンの5成分を併用した形態が挙げられるが、本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法は、この形態に限定されるものではない。
以上の通り、本実施形態では、重合溶液中に重合反応に影響を与える消泡剤を存在させる必要がなく、これにより重合反応の活性を低下させることなく、重合溶液の発泡を抑制しながらポリフェニレンエーテルを製造することができる。
以下、本実施形態について、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
(1)還元粘度(ηsp/c)の計測
ポリフェニレンエーテルの0.5g/dLのクロロホルム溶液を調整し、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)(dL/g)を求めた。
ポリフェニレンエーテルの0.5g/dLのクロロホルム溶液を調整し、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)(dL/g)を求めた。
(2)液面の高さの計測
反応器の側面にスケールを貼り、反応器の下部(0点とする)から液面と反応器の側面との接触部分(液相と泡との界面)までの距離(cm)を、反応溶液の液面の高さとして、測定した。すなわち、各例において、重合溶媒を反応容器へ導入した直後から一定の撹拌速度:500rpmで撹拌を開始し、酸化重合の開始から10分毎に上記距離の測定を行うことによって、重合溶液を撹拌する場合の撹拌状態における液面の高さを測定し、重合反応期間における最大値を各例の液面の高さ(cm)とした。
反応器の側面にスケールを貼り、反応器の下部(0点とする)から液面と反応器の側面との接触部分(液相と泡との界面)までの距離(cm)を、反応溶液の液面の高さとして、測定した。すなわち、各例において、重合溶媒を反応容器へ導入した直後から一定の撹拌速度:500rpmで撹拌を開始し、酸化重合の開始から10分毎に上記距離の測定を行うことによって、重合溶液を撹拌する場合の撹拌状態における液面の高さを測定し、重合反応期間における最大値を各例の液面の高さ(cm)とした。
(3)発泡量の計測
上記「液面の高さの計測」における条件と同様の条件下で、前述の反応溶液の液面と反応器の側面との接触部分(液相と泡との界面)から、液面上にある発泡層の上面と反応器の側面との接触部分までの距離(cm)を、発泡量を示す値として、計測した。各例において、重合反応期間における最大値を各例の発泡量を示す値(cm)とした。
上記「液面の高さの計測」における条件と同様の条件下で、前述の反応溶液の液面と反応器の側面との接触部分(液相と泡との界面)から、液面上にある発泡層の上面と反応器の側面との接触部分までの距離(cm)を、発泡量を示す値として、計測した。各例において、重合反応期間における最大値を各例の発泡量を示す値(cm)とした。
(4)発泡終了時間の計測
重合溶液において発泡が終了したとき(発泡部分の占める領域が液相100容量%に対して1容量%以下となったとき)を目視にて判定し、酸化重合開始から発泡終了までの時間を発泡終了時間(min)として計測した。
重合溶液において発泡が終了したとき(発泡部分の占める領域が液相100容量%に対して1容量%以下となったとき)を目視にて判定し、酸化重合開始から発泡終了までの時間を発泡終了時間(min)として計測した。
(5)液粘度の計測及び重合時間の計測
振動式液粘度計(SEKONIC社製、VISCOMATE VM−100A)を用いて、後述の通りサンプリングされた各例の重合溶液の温度を40℃に調整して、溶液の液粘度(cP)を求めた。上記重合溶液に対して酸素含有ガスの通気を開始した時点を酸化重合の開始時点とし、また、上記液粘度の値が250cPとなった時点を酸化重合の停止時点として、酸化重合開始から酸化重合停止までの重合時間(min)を計測した。
振動式液粘度計(SEKONIC社製、VISCOMATE VM−100A)を用いて、後述の通りサンプリングされた各例の重合溶液の温度を40℃に調整して、溶液の液粘度(cP)を求めた。上記重合溶液に対して酸素含有ガスの通気を開始した時点を酸化重合の開始時点とし、また、上記液粘度の値が250cPとなった時点を酸化重合の停止時点として、酸化重合開始から酸化重合停止までの重合時間(min)を計測した。
〔実施例1〕
反応器として、反応液を入れる高さの上限が50cm、内径が16cmの円筒型の反応器であって、反応器の底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼、サンプリング用の排出バルブを設け、反応器の側部にバッフル、温度調整装置を設け、反応器の上部に、重合溶液の導入口、ベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを付属した還流冷却器を設けた、15リットルのジャケット付きSUS製の反応器を用いた。デカンターのベントガス排出口には、圧力調整弁と圧力測定器を設置した。
分液操作のための液−液分離器として、重合溶液を入れる高さの上限が50cm、内径16cm円筒型の液−液分離器であって、分離器の底部に撹拌タービン翼、サンプリング用の排出バルブを設け、分離器の側部にバッフル、温度調整装置を設け、分離器の上部に、重合溶液の導入口、ベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを付属した還流冷却器を設けた、15リットルのジャケット付きSUS製の液−液分離器を用いた。
反応器として、反応液を入れる高さの上限が50cm、内径が16cmの円筒型の反応器であって、反応器の底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼、サンプリング用の排出バルブを設け、反応器の側部にバッフル、温度調整装置を設け、反応器の上部に、重合溶液の導入口、ベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを付属した還流冷却器を設けた、15リットルのジャケット付きSUS製の反応器を用いた。デカンターのベントガス排出口には、圧力調整弁と圧力測定器を設置した。
分液操作のための液−液分離器として、重合溶液を入れる高さの上限が50cm、内径16cm円筒型の液−液分離器であって、分離器の底部に撹拌タービン翼、サンプリング用の排出バルブを設け、分離器の側部にバッフル、温度調整装置を設け、分離器の上部に、重合溶液の導入口、ベントガスラインに凝縮液分離のためのデカンターを付属した還流冷却器を設けた、15リットルのジャケット付きSUS製の液−液分離器を用いた。
2,6−ジメチルフェノール18.2質量部、トルエン48.0質量部、及び触媒(2.5gの酸化第一銅、15.2gの47%臭化水素水溶液、6.1gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、41.2gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、11.4gのN,N−ジ−n−ブチルアミン)1.3質量部、で構成される第一重合溶液を調製し、これを上記反応器に導入し、酸化重合終了まで、重合溶液の温度を40℃、反応器気相部の絶対圧力を0.301MPaに調整した。その後、通気用酸素含有ガスとして、絶対圧力が0.301MPaであり、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して15.7NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始した(この酸素含有ガスの酸素分圧は、0.301(MPa)×0.09=0.02709(MPa)であった)。
重合反応中、上記(2)方法に従って液面の高さを、上記(3)方法に従って発泡量を計測した。上記酸化重合の開始以降、泡の発生が観測されたが、上記(4)の方法に従って発泡終了時間を計測したところ、酸化重合開始から80分後に完全に消泡したもの(液相100容量%に対して1容量%以下となった)と認められた。
この時点で、トルエン33.8質量部を上記反応器に導入し、第二重合溶液を調製するのと同時期に、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第二重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して6.5NL/min・kgとして、スパージャーより通気した。そして、第二重合溶液において2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を継続した。
重合反応中、上記(2)方法に従って液面の高さを計測した。そして、酸化重合60分経過時点から5分毎に少量ずつサンプリングを実施し、上記(5)の方法に従って液粘度を計測し、重合時間を計測した。
酸化重合開始から146分後に、エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製)の10%水溶液0.60kgを添加することで酸化重合を停止し、重合溶液を75℃で150分間撹拌した。その後、重合溶液全量を反応器より抜き出し、液−液分離器に導入した。その後、溶液を60分間静置し、液−液分離により有機相と水相とに分離した。
得られた有機相をメタノール6.50kgにて析出洗浄した後、ろ過して、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。得られた湿潤ポリフェニレンエーテルを150℃の温度条件で120分間乾燥処理を行い、実施例1のポリフェニレンエーテルを得た。
重合反応中、上記(2)方法に従って液面の高さを、上記(3)方法に従って発泡量を計測した。上記酸化重合の開始以降、泡の発生が観測されたが、上記(4)の方法に従って発泡終了時間を計測したところ、酸化重合開始から80分後に完全に消泡したもの(液相100容量%に対して1容量%以下となった)と認められた。
この時点で、トルエン33.8質量部を上記反応器に導入し、第二重合溶液を調製するのと同時期に、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第二重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して6.5NL/min・kgとして、スパージャーより通気した。そして、第二重合溶液において2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を継続した。
重合反応中、上記(2)方法に従って液面の高さを計測した。そして、酸化重合60分経過時点から5分毎に少量ずつサンプリングを実施し、上記(5)の方法に従って液粘度を計測し、重合時間を計測した。
酸化重合開始から146分後に、エチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製)の10%水溶液0.60kgを添加することで酸化重合を停止し、重合溶液を75℃で150分間撹拌した。その後、重合溶液全量を反応器より抜き出し、液−液分離器に導入した。その後、溶液を60分間静置し、液−液分離により有機相と水相とに分離した。
得られた有機相をメタノール6.50kgにて析出洗浄した後、ろ過して、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。得られた湿潤ポリフェニレンエーテルを150℃の温度条件で120分間乾燥処理を行い、実施例1のポリフェニレンエーテルを得た。
実施例1の詳細及び結果を表1に示す。
〔実施例2〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して13.6NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2のポリフェニレンエーテルを得た。実施例2の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して13.6NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2のポリフェニレンエーテルを得た。実施例2の詳細及び結果を表1に示す。
〔実施例3〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して14.7NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3のポリフェニレンエーテルを得た。実施例3の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して14.7NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3のポリフェニレンエーテルを得た。実施例3の詳細及び結果を表1に示す。
〔実施例4〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.0NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4のポリフェニレンエーテルを得た。実施例4の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.0NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4のポリフェニレンエーテルを得た。実施例4の詳細及び結果を表1に示す。
〔実施例5〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始し、完全に消泡したものと認められた(液相100容量%に対して1容量%以下となった)時点で、通気速度を第二重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して5.0NL/min・kgとして、酸化重合を継続したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5のポリフェニレンエーテルを得た。実施例5の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始し、完全に消泡したものと認められた(液相100容量%に対して1容量%以下となった)時点で、通気速度を第二重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して5.0NL/min・kgとして、酸化重合を継続したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5のポリフェニレンエーテルを得た。実施例5の詳細及び結果を表1に示す。
〔実施例6〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して9.4NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例5と同様の操作を行い、実施例6のポリフェニレンエーテルを得た。実施例6の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して9.4NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、実施例5と同様の操作を行い、実施例6のポリフェニレンエーテルを得た。実施例6の詳細及び結果を表1に示す。
〔比較例1〕
2,6−ジメチルフェノール18.2質量部、トルエン81.8質量部、及び触媒(2.5gの酸化第一銅、15.2gの47%臭化水素水溶液、6.1gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、41.2gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、11.4gのN,N−ジ−n−ブチルアミン)1.3質量部、で構成される重合溶液を用いて、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して9.4NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始し、一回の重合工程のみを行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1のポリフェニレンエーテルを得た。比較例1の詳細及び結果を表1に示す。
2,6−ジメチルフェノール18.2質量部、トルエン81.8質量部、及び触媒(2.5gの酸化第一銅、15.2gの47%臭化水素水溶液、6.1gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、41.2gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、11.4gのN,N−ジ−n−ブチルアミン)1.3質量部、で構成される重合溶液を用いて、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して9.4NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始し、一回の重合工程のみを行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1のポリフェニレンエーテルを得た。比較例1の詳細及び結果を表1に示す。
〔比較例2〕
2,6−ジメチルフェノール27.6質量部、トルエン72.4質量部、及び触媒(2.5gの酸化第一銅、15.2gの47%臭化水素水溶液、6.1gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、41.2gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、11.4gのN,N−ジ−n−ブチルアミン)1.9質量部、で構成される重合溶液を用いて、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例2のポリフェニレンエーテルを得た。比較例2の詳細及び結果を表1に示す。
2,6−ジメチルフェノール27.6質量部、トルエン72.4質量部、及び触媒(2.5gの酸化第一銅、15.2gの47%臭化水素水溶液、6.1gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、41.2gのN,N−ジメチル−n−ブチルアミン、11.4gのN,N−ジ−n−ブチルアミン)1.9質量部、で構成される重合溶液を用いて、酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例2のポリフェニレンエーテルを得た。比較例2の詳細及び結果を表1に示す。
〔比較例3〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例3のポリフェニレンエーテルを得た。比較例3の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例3のポリフェニレンエーテルを得た。比較例3の詳細及び結果を表1に示す。
〔比較例4〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して9.4NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始し、完全に消泡したものと認められた(液相100容量%に対して1容量%以下となった)時点で、通気速度を第二重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、酸化重合を継続したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例4のポリフェニレンエーテルを得た。比較例4の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を第一重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して9.4NL/min・kgとして、スパージャーより通気して、2,6−ジメチルフェノールの酸化重合を開始し、完全に消泡したものと認められた(液相100容量%に対して1容量%以下となった)時点で、通気速度を第二重合溶液中の2,6−ジメチルフェノール1kgに対して19.9NL/min・kgとして、酸化重合を継続したこと以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例4のポリフェニレンエーテルを得た。比較例4の詳細及び結果を表1に示す。
〔比較例5〕
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を、第一の重合工程及び第二の重合工程に亘って、2,6−ジメチルフェノール1kgに対して11.5NL/min・kgとして、スパージャーより通気したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例5のポリフェニレンエーテルを得た。比較例5の詳細及び結果を表1に示す。
酸素濃度が9容量%である酸素含有ガスの通気速度を、第一の重合工程及び第二の重合工程に亘って、2,6−ジメチルフェノール1kgに対して11.5NL/min・kgとして、スパージャーより通気したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例5のポリフェニレンエーテルを得た。比較例5の詳細及び結果を表1に示す。
本発明によれば、酸化重合前半(初期)の発泡を十分に抑制しつつ、所定の還元粘度のポリフェニレンエーテルを得るための反応時間を短縮させることができるポリフェニレンエーテルの製造方法を実現できる。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品等の材料の製造技術としての産業上の利用可能性がある。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品等の材料の製造技術としての産業上の利用可能性がある。
Claims (3)
- フェノール性化合物と芳香族溶媒との合計100質量部と、触媒とを使用するポリフェニレンエーテルの製造方法であり、
前記フェノール性化合物10〜25質量部と、芳香族溶媒35〜85質量部と、触媒とを添加して調製した第一重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物を酸化重合させる、第一の重合工程と、
前記第一の重合工程での前記第一重合溶液において、発泡部分の占める領域が、液相部分の占める領域100容量%に対して、1容量%以下になった時点で、前記第一重合溶液に追加の芳香族溶媒5〜55質量部を添加して第二重合溶液を調整する溶媒添加工程と、
前記第二重合溶液に、酸素含有ガスを通気して、前記フェノール性化合物をさらに酸化重合させる、第二の重合工程と
を有し、
ここで、
前記追加の芳香族溶媒の添加量を前記芳香族溶媒の添加量よりも少なくし、
前記第二重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量を前記第一重合溶液における前記酸素含有ガスの通気量よりも少なくする、
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテルの製造方法。 - 前記第一重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、10〜20NL/minであり、前記第二重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、0.5〜9.9NL/minである、請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
- 前記第一重合溶液における前記酸素含有ガス通気量が、前記フェノール性化合物1kgに対して、17〜20NL/minである、請求項2に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015247665A JP2017110158A (ja) | 2015-12-18 | 2015-12-18 | ポリフェニレンエーテルの製造方法 |
CN201610274613.3A CN106893091B (zh) | 2015-12-18 | 2016-04-28 | 聚苯醚的制造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015247665A JP2017110158A (ja) | 2015-12-18 | 2015-12-18 | ポリフェニレンエーテルの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017110158A true JP2017110158A (ja) | 2017-06-22 |
Family
ID=59081198
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015247665A Pending JP2017110158A (ja) | 2015-12-18 | 2015-12-18 | ポリフェニレンエーテルの製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017110158A (ja) |
CN (1) | CN106893091B (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109929103B (zh) * | 2019-03-26 | 2024-03-29 | 北京赛福瑞技术服务有限公司 | 一种高特性粘度聚苯醚的制造方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3504587B2 (ja) * | 2000-06-19 | 2004-03-08 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | ポリフェニレンエーテルの製造法 |
EP2267058B1 (en) * | 2008-04-18 | 2014-08-27 | Asahi Kasei Chemicals Corporation | Novel method for producing polyphenylene ether |
JP2010270248A (ja) * | 2009-05-22 | 2010-12-02 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ポリフェニレンエーテルの製造方法 |
JP6374343B2 (ja) * | 2014-04-15 | 2018-08-15 | 旭化成株式会社 | ポリフェニレンエーテルの製造方法 |
-
2015
- 2015-12-18 JP JP2015247665A patent/JP2017110158A/ja active Pending
-
2016
- 2016-04-28 CN CN201610274613.3A patent/CN106893091B/zh active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN106893091A (zh) | 2017-06-27 |
CN106893091B (zh) | 2019-02-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8394913B2 (en) | Method for producing polyphenylene ether | |
JP3504587B2 (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造法 | |
JP6374343B2 (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP2002003596A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP5960901B1 (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP2010270248A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP5349135B2 (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP5464907B2 (ja) | 新たなポリフェニレンエーテルの製法 | |
US10059802B2 (en) | Method for producing polyphenylene ether | |
JP2017110158A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP5841886B2 (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP2016074791A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造における溶媒回収方法 | |
JP5099805B2 (ja) | 分子量分布のピークを2個有するポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP2014031424A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP2004339343A (ja) | ポリフェニレンエーテル | |
JP2016089115A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造における溶媒回収方法 | |
JP7021023B2 (ja) | ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法 | |
JP5415133B2 (ja) | ポリフェニレンエーテルを製造するための新規な方法 | |
JP2023077682A (ja) | 2,6-ジメチルフェノール及びポリフェニレンエーテル | |
JP2009275220A (ja) | ポリフェニレンエーテルの新規な製造方法 | |
JP2010202786A (ja) | ポリフェニレンエーテルの製造方法 | |
JP2004099682A (ja) | ポリフェニレンエーテルを製造する方法 | |
JP2011012175A (ja) | 成形性及び耐薬品性に優れるポリフェニレンエーテルコポリマーの製造方法 | |
JP2006257227A (ja) | ポリフェニレンエーテルを製造する方法 | |
JP2022117890A (ja) | ポリフェニレンエーテル及びその製造方法、並びに接着剤組成物 |