以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(プロジェクター)の光変調手段(ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
(第1実施形態)
まず、本実施形態の液晶装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は第1実施形態の液晶装置の構成を示す概略平面図、図2は図1に示すH−H’線に沿う液晶装置の構造を示す概略断面図、図3は第1実施形態の液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10の基材10s及び対向基板20の基材20sは、それぞれ透明な例えば石英基板やガラス基板が用いられている。
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板は、対向基板20の外縁に沿って配置されたシール部40を介して間隔を置いて貼り合わされている。シール部40において途切れた部分が注入口41となっており、真空注入法により注入口41から上記間隔に正又は負の誘電異方性を有する液晶が注入され、封止剤42を用いて注入口41が封入されている。なお、上記間隔に液晶を封入する方法は、真空注入法に限定されるものではなく、例えば、額縁状に配置されたシール部40の内側に液晶を滴下して、減圧下で素子基板10と対向基板20とを貼り合わせるODF(One Drop Fill)法を採用してもよい。
シール部40は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール部40には、一対の基板の上記間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
シール部40の内側には、マトリックス状に配列した複数の画素Pを含む画素領域Eが設けられている。また、シール部40と画素領域Eとの間の周辺領域E3に画素領域Eを取り囲んで遮光層としての見切り部21が設けられている。見切り部21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなる。なお、画素領域Eには、表示に寄与する画素Pの他に、画素領域Eの外縁に沿って配置された複数のダミー画素が含まれている。ダミー画素の詳しい配置については後述する。
素子基板10には、複数の外部接続用端子104が配列した端子部が設けられている。該端子部に沿った第1の辺部とシール部40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、第1の辺部に対向する第2の辺部に沿ったシール部40と画素領域Eとの間に検査回路103が設けられている。さらに、第1の辺部と直交し互いに対向する第3及び第4の辺部に沿ったシール部40と画素領域Eとの間に走査線駆動回路102が設けられている。第2の辺部のシール部40と検査回路103との間に、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、第1の辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子104に接続されている。なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と画素領域Eとの間のシール部40の内側に沿った位置に設けてもよい。
以降、第1の辺部に沿った方向をX方向とし、第3の辺部に沿った方向をY方向として説明する。また、対向基板20側から素子基板10側に向かう方向に沿って見ることを「平面視」または「平面的に」と言う。
図2に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた透光性の画素電極15及びスイッチング素子である薄膜トランジスター(以降、TFTと呼称する)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。素子基板10は、基材10sと、基材10s上に形成された画素電極15、TFT30、信号配線、配向膜18を含むものである。なお、図2には図示していないが、ダミー画素は、画素Pと同様に、ダミー画素電極と、ダミー画素電極をスイッチング制御するTFT30とを備えている。
素子基板10に対向配置される対向基板20は、基材20sと、基材20s上に形成された見切り部21と、これを覆うように成膜された平坦化層22と、平坦化層22を覆い、少なくとも画素領域Eに亘って設けられ、共通電極として機能する対向電極23と、対向電極23を覆う配向膜24とを含むものである。
見切り部21は、図1に示すように画素領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの回路に入射する光を遮蔽して、これらの回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が画素領域Eに入射しないように遮蔽して、画素領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
平坦化層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して見切り部21を覆うように設けられている。このような平坦化層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
対向電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、平坦化層22を覆うと共に、図1に示すように対向基板20の下方側の隅に設けられた上下導通部106に電気的に接続されている。上下導通部106は、素子基板10側の配線に電気的に接続している。
画素電極15を覆う配向膜18及び対向電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。配向膜18,24は、例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、正の誘電異方性を有する液晶分子に対して略水平配向処理が施された有機配向膜や、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
このような液晶装置100は透過型であって、電圧無印加状態で画素Pの透過率が最大となるノーマリーホワイトモードや、電圧無印加状態で画素Pの透過率が最小となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。素子基板10と対向基板20とを含む液晶パネル110の光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
本実施形態では、以降、配向膜18,24として前述した無機配向膜と、負の誘電異方性を有する液晶とを用い、ノーマリーブラックモードの光学設計が適用された例について説明する。
次に、図3を参照して、液晶装置100における液晶パネル110の電気的な構成について説明する。液晶パネル110は、画素領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号配線としての複数の走査線3a及び複数のデータ線6aと、データ線6aに沿って平行に配置された容量線3bとを有する。走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
走査線3a、データ線6a及び容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される表示信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを画素Pに供給する。
データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される表示信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される表示信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの表示信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された対向電極23との間で一定期間保持される。表示信号D1〜Dnの周波数は例えば60Hzである。
保持された表示信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と対向電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
なお、図1に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記表示信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図3の等価回路では図示を省略している。
本実施形態における画素回路を駆動制御する周辺回路は、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103を含んでいる。また、周辺回路は、表示信号D1〜Dnをサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を表示信号D1〜Dnに先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
<液晶分子の配向>
次に、図4を参照して、画素Pにおける配向膜18,24及び液晶分子の配向状態について説明する。図4は画素における液晶分子の配向状態を示す概略断面図である。
図4に示すように、素子基板10の画素電極15を覆う配向膜18は、例えば酸化シリコンを斜め蒸着して得られた酸化シリコンの柱状体18aの集合体である。基材10sの法線と実線の矢印で示した成膜方向とがなす角度θbは、例えば45度である。柱状体18aが基材10sの表面から成長する方向と法線とがなす角度θcは必ずしも上記角度θbと同じにならず、この場合は、およそ20度である。このような無機配向膜である配向膜18の膜面において負の誘電異方性を有する液晶分子LCは長軸が上記成膜方向側に傾いたプレチルトを有して略垂直配向している。基材10sの法線と液晶分子LCの長軸とがなすプレチルト角θpは例えば3度〜5度である。言い換えれば、液晶分子LCのプレチルト角θpが3度〜5度となるように、柱状体18aの基材10sに対する成長の角度θc、つまり成膜時の角度θbが制御されている。
同様に、対向基板20側の対向電極23を覆う配向膜24は、例えば酸化シリコンを斜め蒸着して得られた酸化シリコンの柱状体24aの集合体である。基材20sの法線と破線の矢印で示した成膜方向とがなす角度θbは、例えば45度である。無機配向膜である配向膜24の膜面(柱状体24a)に対して液晶分子LCは成膜方向側にプレチルトを有した状態で略垂直配向している。なお、図4では、柱状体18a,24aを一定の大きさで表したが、各柱状体18a,24aの大きさや成長方向は必ずしも同じではなく、ばらつきを有している。
配向膜18が形成された素子基板10と、配向膜24が形成された対向基板20とによって液晶層50が挟持されている。このような液晶パネル110の光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子81,82が配置されて用いられる。なお、本実施形態では、対向基板20側から液晶パネル110に光が入射する構成となっているが、これに限定されるものではなく、素子基板10側から光が入射する構成とすることも可能である。
液晶装置100において、画素電極15と対向電極23との間に交流電圧(駆動信号)を印加して液晶層50を駆動すると、液晶分子LCは画素電極15と対向電極23との間に生ずる電界方向に傾くように挙動(振動)する。言い換えれば、液晶分子LCはプレチルトの方向において振動する。
次に、図5を参照して、平面視における液晶分子LCの配向方向とイオン性不純物の拡散方向とについて説明する。図5は無機材料の斜め蒸着方向とイオン性不純物に起因する表示不具合との関係を示す概略平面図である。
シール部40で囲まれた領域には、複数の画素Pがマトリックス状に配置された画素領域Eと、画素領域Eを囲む周辺領域E3とが含まれている。本実施形態における液晶パネル110の光学設計は、前述したようにノーマリーブラックであることから、非駆動状態では、画素Pは黒表示となる。
配向膜18,24をなす柱状体18a,24aを斜め蒸着で形成するときの斜め蒸着方向は、図5に示すように、例えば、素子基板10側では、破線の矢印で示したように右上から左下に向かって所定の角度θaでY方向と交差する方向である。素子基板10に対して対向配置される対向基板20側では、実線の矢印で示したように左下から右上に向かって所定の角度θaでY方向と交差する方向である。所定の角度θaは例えば45度である。図4において説明したように、液晶分子LCは斜め蒸着における成膜方向にプレチルトして略垂直配向することから、このような配向状態は、1軸の略垂直配向と呼ばれる。本実施形態におけるプレチルトの方向(方位)は、Y方向に対して所定の角度θaで交差する、右上から左下、あるいは左下から右上に向かう方向である。略垂直配向におけるプレチルトの方向(方位)は、これに限定されるものではなく、左上から右下、右下から左上に向かう方向であってもよい。なお、図5に示した斜め蒸着方向は、液晶装置100を対向基板20側から見たときの方向である。
液晶層50を駆動することにより、上述したように液晶分子LCの挙動(振動)が生じ、液晶層50と配向膜18,24との界面近傍に図5に示した破線あるいは実線の矢印で示した斜め蒸着方向(1軸方向)に液晶分子LCのフロー(流れ)が生ずる。仮に液晶層50にアニオン系またはカチオン系のイオン性不純物が含まれていると、イオン性不純物は液晶分子LCのフロー(流れ)に沿って画素領域Eの左下の角部に向かって移動し偏在(凝集)するおそれがある。イオン性不純物の偏在により角部に位置する画素Pにおいて液晶層50の絶縁抵抗が低下すると、当該画素Pにおいて駆動電位の低下を招き、図5に示すような例えば光漏れが生じた表示ムラや通電による焼き付き現象が顕著となる。特に、配向膜18,24に無機配向膜を用いた場合には、無機配向膜がイオン性不純物を吸着し易いので、有機配向膜に比べてイオン性不純物の偏在による表示のシミ、ムラや焼き付き現象が目立ち易い。
イオン性不純物は、液晶パネル110を製造する工程で用いられる例えば接着剤や封止剤42などの部材に含まれていたり、工程の環境から侵入したりすることが考えられる。また、本実施形態の液晶装置100は後述する投射型表示装置(プロジェクター)の光変調手段(ライトバルブ)として用いられることから、直視型の液晶装置に比べて入射する照明光の強度が強い。液晶層50に強い強度の照明光が入射することにより有機化合物である液晶分子LCの末端基が外れてイオン性不純物となるおそれがある。
<イオントラップ機構と液晶装置の駆動方法>
本実施形態の液晶装置100では、イオン性不純物の偏在による表示のシミ、ムラや焼き付き現象などの表示不具合を改善するため、画素領域Eからイオン性不純物を掃き寄せてトラップ(捕集)するイオントラップ機構を設けている。以降、本実施形態におけるイオントラップ機構と液晶装置100の駆動方法について、図6〜図10を参照して説明する。
図6は第1実施形態の液晶装置におけるイオントラップ機構の構成を示す概略平面図、図7は図6のA−A’線で切った第1実施形態の液晶装置の構造を示す概略部分断面図、図8は周辺電極に印加されるイオントラップ信号を示すタイミングチャート、図9及び図10はダミー画素電極に印加される第1交流信号を示すタイミングチャートである。
図6に示すように、液晶装置100において、画素領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pが配置された表示領域E1と、表示領域E1を囲むように複数のダミー画素DPが配置された周辺領域E2とを含んでいる。画素Pには画素電極15が配置され、ダミー画素DPにはダミー画素電極15dが配置されている。対向電極23は、画素電極15及びダミー画素電極15dと対向するように画素領域Eに亘って配置されている。周辺領域E2が本発明における第1周辺領域に相当するものである。
表示領域E1には、例えば、X方向に1920個、Y方向に1080個、合計2073600個の画素Pがマトリックス状に配置されている。ダミー画素DPは、このような表示領域E1を挟んで、X方向の両側にそれぞれ4個配置され、同じくY方向の両側にそれぞれ4個配置されている。したがって、ダミー画素DPを画素として扱うと、画素領域Eには、X方向に1928個(n個)、Y方向に1088個(m個)の画素が配置されていることになる。なお、本実施形態では、周辺領域E2において、表示領域E1を挟んでX方向の両側とY方向の両側とに少なくとも3個のダミー画素DPが配置されることを前提とするものである。
画素Pの画素電極15には、前述したようにTFT30を介して表示信号が印加される。画素電極15に表示信号が印加される表示モードにおいて、従来、ダミー画素電極15dには、対向電極23に印加される対向電極電位と同じ電位が印加される。そうすると、ダミー画素電極15dと対向電極23との間には、電界が生じないことから、本実施形態では、ダミー画素DP(ダミー画素電極15d)が設けられた周辺領域E2は、ノーマリーブラック、すなわち全黒の表示状態となる。つまり、従来の表示モードでは、周辺領域E2は、表示が行われない電気見切り領域となる。以降、周辺領域E2を電気見切り領域E2と呼ぶこともある。
本実施形態のイオントラップ機構117は、画素領域Eを囲むように配置された3つの周辺電極17A,17B,17Cを有している。3つの周辺電極17A,17B,17Cは、互いに所定の間隔を置いてリング状に配置されている。3つの周辺電極17A,17B,17Cは、画素領域Eとシール部40との間の周辺領域E3に配置されている(図1参照)。周辺領域E3は本発明の第2周辺領域に相当するものである。以降、3つの周辺電極17A,17B,17Cについて、画素領域Eに近い方から順に、第1周辺電極17A、第2周辺電極17B、第3周辺電極17Cと呼ぶ。
イオントラップ機構117は素子基板10側に設けられており、第1周辺電極17Aは外部接続用端子104(It1)に接続され、第2周辺電極17Bは外部接続用端子104(It2)に接続され、第3周辺電極17Cは外部接続用端子104(It3)に接続されている。
対向基板20側に設けられた対向電極23は、上下導通部106を介して素子基板10に設けられた外部接続用端子104(LCCOM)に接続されている。外部接続用端子104(LCCOM)には、対向電極電位LCCOMが供給される。対向電極電位LCCOMは、例えば0Vである。
外部接続用端子104(It1)にはイオントラップ信号It1が供給され、外部接続用端子104(It2)にはイオントラップ信号It2が供給され、外部接続用端子104(It3)にはイオントラップ信号It3が供給される。これらのイオントラップ信号It1,It2,It3は、対向電極電位LCCOMを基準電位として、例えば+5Vと−5Vとの間で振幅する同一周波数であって互いに位相が異なる交流信号(矩形波)である。
具体的には、図8に示すように、イオントラップ信号It1,It2,It3は、1周期の時間が、時間t0〜時間t2までの長さと同じであって、互いに位相が1周期に対して1/3ずつずれている。イオントラップ信号It1が基準電位(0V)に対して正極性である期間(つまり半周期)に、イオントラップ信号It2は負極性から正極性に変化する。イオントラップ信号It1が基準電位(0V)に対して負極性である期間に、イオントラップ信号It2は正極性から負極性に変化する。イオントラップ信号It2が基準電位(0V)に対して負極性である期間に、イオントラップ信号It3は正極性から負極性に変化する。イオントラップ信号It2が基準電位(0V)に対して負極性である期間に、イオントラップ信号It3は正極性から負極性に変化する。イオントラップ信号It2が基準電位(0V)に対して正極性である期間に、イオントラップ信号It3は負極性から正極性に変化する。
すなわち、1周期の間に印加されるイオントラップ信号の極性が正極性である状態が、画素領域Eに最も近い第1周辺電極17Aから画素領域Eに対して最も遠い第3周辺電極17Cに遷移する。同じく、1周期の間に印加されるイオントラップ信号の極性が負極性である状態が、画素領域Eに最も近い第1周辺電極17Aから画素領域Eに対して最も遠い第3周辺電極17Cに遷移する。これによって、隣り合う周辺電極間に生ずる横電界の方向が、第1周辺電極17Aから第2周辺電極17Bへ、そして、第2周辺電極17Bから第3周辺電極17Cへと周期的に変化することになる(図7参照)。このようなイオントラップ機構117の駆動方法(イオントラップ信号の与え方)は、背景技術に示した特許文献1(特開2015−1634号公報)と基本的に同じである。
本実施形態の液晶装置100の駆動方法は、上記のようなイオントラップ機構117の駆動に加えて、周辺領域E2において表示領域E1側から外側に向かう順に配置された4つのダミー画素電極15dに、基準電位に対して振幅する同一周波数で、順次位相が異なる第1交流信号を印加する。第1交流信号における印加電圧は、ダミー画素電極15dを有するダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧である。
具体的には、図9に示すように、第1交流信号は、基準電位としての0Vに対して、例えば+0.5Vと、−0.5Vとの間で振幅する矩形波である。周波数は、上述したイオントラップ信号と同じであって、1周期は時間t0〜時間t2までの長さと同じである。第1交流信号における印加電圧は、基準電位に対して正極性または負極性であるときの最大振幅の絶対値である。本実施形態における液晶パネル110の光学設計がノーマリーブラックであることから、ダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧は、対向電極電位LCCOMと同じであって例えば0Vである。ダミー画素DPの明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧は例えば1.0Vであって、第1の電圧と第2の電圧との間の第3の電圧は例えば0.5Vである。なお、ダミー画素DPが全白となる印加電圧は例えば5Vである。また、第1交流信号の印加電圧における第1の電圧、第2の電圧、第3の電圧の設定は、液晶層50を構成するところの液晶材料の電気光学特性によるものであって、必ずしも上記に示した電圧値に限定されるものではない。
本実施形態では、表示領域E1の外縁から外側に4つのダミー画素DPが配置されていることから、表示領域E1側から順に、ダミー画素DP1、ダミー画素DP2、ダミー画素DP3、ダミー画素DP4と呼ぶこととする。
図9に示すように、4つのダミー画素DP1,DP2,DP3,DP4のうち、3つのダミー画素DP1,DP2,DP3のダミー画素電極15dに印加される第1交流信号は、1周期の時間が、時間t0〜時間t2までの長さと同じであって、互いに位相が1周期に対して1/3ずつずれている。ダミー画素DP1とダミー画素DP4のダミー画素電極15dには、同じ位相の第1交流信号が印加される。すなわち、1周期の間にダミー画素電極15dに印加される第1交流信号の極性が正極性である状態が、表示領域E1に最も近いダミー画素DP1から表示領域E1に対して最も遠いダミー画素DP4に遷移する。同じく、1周期の間にダミー画素電極15dに印加される第1交流信号の極性が負極性である状態が、表示領域E1に最も近いダミー画素DP1から表示領域E1に対して最も遠いダミー画素DP4に遷移する。これによって、隣り合うダミー画素電極間に生ずる横電界の方向が、ダミー画素DP1からダミー画素DP2へ、そして、ダミー画素DP2からダミー画素DP3へ、さらにダミー画素DP3からダミー画素DP4へと周期的に変化することになる(図7参照)。
ダミー画素DP4のダミー画素電極15dに印加される第1交流信号に対して、ダミー画素電極15dに最も近い第1周辺電極17Aに印加されるイオントラップ信号It1は、第1交流信号と同じ基準電位で振幅する同一周波数の矩形波であって、印加電圧が異なるものの位相はずれている。したがって、ダミー画素DP4のダミー画素電極15dと第1周辺電極17Aとの間にも横電界が生じ、当該横電界の方向は、隣り合うダミー画素電極間における横電界の方向と同じである。言い換えれば、ダミー画素DP4のダミー画素電極15dに印加される第1交流信号に対して位相がずれるようにイオントラップ信号It1が第1周辺電極17Aに印加される。
図7に示すように、表示領域E1では、液晶層50を介して画素電極15と対向電極23とが配置されている。したがって、画素電極15に表示信号を印加して駆動すると、負の誘電異方性を有する液晶分子LCは、配向膜18,24に対してプレチルトを有して略垂直配向した状態から電界方向と交差する方向に傾斜した状態となる。そして、駆動のON−OFFによってプレチルト方向に液晶分子LCのフロー(流れ)が生ずる。液晶層50にアニオン系(図7では(−)の符号で示す)またはカチオン系(図7では(+)の符号で示す)のイオン性不純物が含まれていると、イオン性不純物は液晶分子LCのフロー(流れ)に沿って移動する。
表示領域E1を囲む電気見切り領域E2において、ダミー画素DP1からダミー画素DP4のダミー画素電極15dに上述した第1交流信号を位相をずらした状態で順次印加することで、隣り合うダミー画素電極間に生じた横電界の動きによって、イオン性不純物は表示領域E1から電気見切り領域E2に運ばれる。さらに、電気見切り領域E2を囲む周辺領域E3には、3つの周辺電極17A,17B,17Cが配置され、上述したイオントラップ信号It1,It2,It3が印加される。隣り合う周辺電極間に生じた横電界の動きによって、電気見切り領域E2に運ばれたイオン性不純物は、電気見切り領域E2から周辺領域E3に運ばれてトラップ(捕集)される。
電気見切り領域E2では、液晶層50を介してダミー画素電極15dと対向電極23とが配置されている。ダミー画素電極15dに第1交流信号を印加して駆動すると、ダミー画素電極15dと対向電極23との間に電界が生じて液晶分子LCがわずかに振動することになる。ところが、第1交流信号の印加電圧は明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧であることから、ダミー画素DPにおける光漏れは抑制される。
3つの周辺電極17A,17B,17Cに印加されるイオントラップ信号It1,It2,It3は、ダミー画素電極15dに印加される第1交流信号よりも印加電圧が大きいことから、隣り合う周辺電極間に強い横電界が生じ、イオン性不純物を電気見切り領域E2から周辺領域E3に確実に掃き寄せることができる。本実施形態におけるイオントラップ信号It1,It2,It3は、本発明における第1交流信号よりも印加電圧が大きい第3交流信号の一例である。
複数のダミー画素電極15dが配置された周辺領域E2(第1周辺領域)から3つの周辺電極17A,17B,17Cが配置された周辺領域E3(第2周辺領域)にイオン性不純物を確実に掃き寄せる観点から、3つの周辺電極17A,17B,17Cの配置は、次の通りであることが好ましい。
周辺電極17A,17B,17CのそれぞれのX方向における幅をLaとし、周辺電極間の距離(スペース)をLbとすると、距離(スペース)Lbは幅Laと同じか、短いほうが好ましい。ダミー画素電極15dのX方向の幅をLdとし、第1周辺電極17Aに隣り合うダミー画素電極15dとの間の距離をLsとすると、距離Lsは幅Ldよりも短いことが好ましい。
本実施形態の液晶装置100の駆動方法によれば、複数のダミー画素DPが配置された周辺領域E2を電気見切り領域として機能させつつ、イオントラップ機構117を用いて、表示領域E1から外側の周辺領域E3に液晶層50に含まれるアニオン系またはカチオン系のイオン性不純物を効率的に掃き寄せてトラップ(捕集)することができる。
液晶層50中のイオン性不純物を表示領域E1から外側に掃き寄せる観点から、ダミー画素電極15dに印加される第1交流信号や周辺電極17A,17B,17Cに印加されるイオントラップ信号It1,It2,It3の周波数の設定は、液晶層50中のイオン性不純物の移動度による。イオン性不純物の移動度が大きければ、これらの電極間に生ずる横電界の移動速度が速くても、つまり周波数に依存する半周期の長さが短くても、横電界の移動にイオン性不純物の移動が追い付いてゆける。言い換えれば、イオン性不純物の移動度が小さければ、これらの電極間に生ずる横電界の移動速度が速いと、つまり周波数に依存する半周期の長さが短いと、横電界の移動にイオン性不純物の移動が追い付いてゆけずに掃き寄せ効果が低下する。液晶層50中のイオン性不純物の移動度は、例えば、A.Sawada,A.Manabe and S.Naemura,“ A Comparative Study on the Attributes of Ions in Nematic and Isotropic Phases”,Jpn.J.Appl Phys Vol.40,p220−p224(2001)に記載されている。該文献から、イオン性不純物の移動度を例えば、2.2×10-10(m2/V・s)とすると、周辺電極17A,17B,17C間に生ずる横電界の移動にイオン性不純物が追随可能な好ましい周波数は、周辺電極17A,17B,17C間の距離Lbを例えば8μmとし、周辺電極17A,17B,17C間に生ずる横電界の電位差を10V(±5.0V)とすると、12Hz程度となる。一方で、ダミー画素電極15dに第1交流信号を印加することによって生ずる横電界の電位差は前述したように1V程度(±0.5V)であることから、周波数を同じく12Hzとしてもイオン性不純物を効率的に掃き寄せられないおそれがある。したがって、周波数を12Hzの1/10以下の1Hz未満とすれば、確実にイオン性不純物を掃き寄せることができる。
つまり、ダミー画素電極15dに印加される第1交流信号の印加電圧は、ダミー画素電極15dが配置された周辺領域E2を電気見切り領域として機能させる観点から上述したように第3の電圧としている。したがって、ダミー画素電極間に生ずる横電界の電位差が1V程度(±0.5V)であることから第1交流信号の周波数はできるだけ低いことが好ましい。
なお、移動度における単位構成の「m」は横電界が生ずる電極間の距離に係り、「V」は電界強度に係り、「s」は時間(秒)である(特許文献1;特開2015−1634号公報参照)。
<液晶装置の電気的な構成>
本実施形態の液晶装置100の駆動方法を実現可能な液晶装置100の電気的な構成とその機能について、図10〜図16を参照して説明する。図10は第1実施形態の液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。
まず、図10を参照して、液晶装置100の電気的な構成の一例について説明する。図10に示すように、本実施形態の液晶装置100は、液晶パネル110と、コントロール回路(制御回路)120と、フレームメモリー131と、電圧発生回路132とを備えている。コントロール回路(制御回路)120は、表示データ(Video)や同期信号(Vs、Hs、Clk)などの制御信号の入力に対応して液晶パネル110の駆動に係る各種の信号を、液晶パネル110のデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102に出力する。フレームメモリー131は、フレームごとの表示データ(Video)を格納する。電圧発生回路132は、対向電極23に印加される対向電極電位(LCCOM)や3つの周辺電極17A,17B,17Cに印加されるイオントラップ信号It1,It2,It3を生成して、液晶パネル110に出力する。電圧発生回路132が上記各種の信号を生成する上で必要な電圧は、例えば、液晶装置100の内部または外部の電源から供給される。
コントロール回路(制御回路)120は集積回路(IC)であって、例えばフレキシブル基板(FPC)を介して液晶パネル110の素子基板10における端子部に接続される。コントロール回路(制御回路)120は、Vカウンター121、Hカウンター122、極性制御信号生成回路123、XYタイミング信号生成回路124、信号処理回路125メモリー128を含んで構成されている。信号処理回路125は、表示データセレクター126と極性制御信号セレクター127とを含んで構成されている。なお、メモリー128は、コントロール回路(制御回路)120に含まれることに限定されず、フレームメモリー131と同様に別構成であってもよい。
Vカウンター121は、同期信号のうち垂直同期信号Vsのパルスをカウントする。Hカウンター122は、同期信号のうち水平同期信号Hsのパルスをカウントする。極性制御信号生成回路123は、有効な画素P(画素電極15)に印加される駆動電圧の対向電極電位(LCCOM)に対する極性の反転タイミングを制御する1種の極性制御信号と、ダミー画素DP(ダミー画素電極15d)に印加される第1交流信号の対向電極電位(LCCOM)に対する極性の反転タイミングを制御する3種の極性制御信号とを生成する。XYタイミング信号生成回路124は、表示領域E1の画素Pや周辺領域E2のダミー画素DPにおける1ドットの表示データの書込みタイミングを規定するクロック信号Clkに基づいて、Y方向すなわち行の表示開始タイミングの制御に係るタイミング信号Clyを走査線駆動回路102に出力し、タイミング信号Clyに同期して、X方向すなわち列の表示開始タイミングの制御に係るタイミング信号Clxをデータ線駆動回路101に出力する。
信号処理回路125の表示データセレクター126は、Vカウンター121及びHカウンター122の出力を参照して、表示領域E1の複数の画素Pや周辺領域E2の複数のダミー画素DPのそれぞれのアドレス(位置)に対応した表示データ(Video)をセレクトしてデータ線駆動回路101に出力する。セレクトされた表示データは、データ線駆動回路101を経て表示信号D1〜Dnとして複数のデータ線6aに出力される(図3参照)。
信号処理回路125の極性制御信号セレクター127は、Vカウンター121及びHカウンター122の出力を参照して、表示領域E1の複数の画素Pや周辺領域E2の複数のダミー画素DPのそれぞれのアドレス(位置)に対応した極性制御信号をセレクトしてデータ線駆動回路101に出力する。
具体的には、図11は垂直同期信号と有効な画素に対応して生成される極性制御信号との関係を示す図である。図11に示すように、垂直同期信号Vsは、例えば120fps(Frame Per Second)であって、1秒間に120フレームの画面(表示データ)の書き込み数に対応するパルスとして示される。本実施形態の表示に寄与する有効な画素Pに対応して生成される極性制御信号PL1は、垂直同期信号Vsの1フレームごと(1画面ごと)に極性を反転させるように、極性制御信号生成回路123により生成される。
図12は垂直同期信号とダミー画素に対応して生成される極性制御信号との関係を示す図である。図12に示すように、ダミー画素DP(ダミー画素電極15d)に印加される第1交流信号の極性を制御する極性制御信号は、PL2a、PL2b、PL2cの3種類となっている。3種の極性制御信号PL2a,PL2b,PL2cは、1周期の長さが同じであって、互いに位相が1周期の1/3ずつずれている。このような位相の時間的なずれは、垂直同期信号Vsのパルスを例えばn回カウントすることで制御される。3種の極性制御信号PL2a,PL2b,PL2cは、極性制御信号生成回路123により生成される。つまり、極性制御信号生成回路123は、合計4種の極性制御信号を生成する。
前述したように、画素領域Eには、表示に寄与する有効な複数の画素PがX方向(行方向)とY方向(列方向)とに配列する表示領域E1と、複数のダミー画素DPがX方向(行方向)とY方向(列方向)とに配列する周辺領域E2と、が含まれている。画素P及びダミー画素DPのアドレス(位置)に応じて極性が制御された表示データが出力される。
図13は垂直同期信号と画素及びダミー画素に係る極性反転フラグ及びデータフラグとの関係を示す図である。詳しくは、図13は画素領域Eにおいて列方向(Y方向)に配置された画素P及びダミー画素DPに供給される表示データに係る制御信号を示すものである。図14は水平同期信号と画素及びダミー画素に係る極性反転フラグ及びデータフラグとの関係を示す図である。詳しくは、図14は画素領域Eにおいて行方向(X方向)に配置された画素P及びダミー画素DPに供給される表示データに係る制御信号を示すものである。
図13に示すように、垂直同期信号Vsの1フレームの期間には、1行(ライン)の表示データの書込みに対応する水平同期信号Hsに対してVカウンター121によってカウントされた数(0〜m;この場合、mは1088)が割り当てられる。Vカウンター121のカウント数(0)はリセットを示し、カウント数(1〜4)が4つのダミー画素DPを示し、カウント数(5〜m−4)が複数の有効な画素Pを示し、カウント数(m−3〜m)が4つのダミー画素DPを示すものである。列方向に配列するダミー画素DP、有効な画素P、ダミー画素DPのそれぞれに対応して、極性反転を制御するV極性反転フラグと、表示データを制御するVデータフラグとが割り付けられている。
同様にして、図14に示すように、水平同期信号Hsの1ラインの期間には、1ドット(画素)の表示データの書込みに対応するクロック信号Clkに対してHカウンター122によってカウントされた数(0〜n;この場合、nは1988)が割り当てられる。Hカウンター122のカウント数(0)がリセットを示し、カウント数(1〜4)が4つのダミー画素DPを示し、カウント数(5〜n−4)が複数の有効な画素Pを示し、カウント数(n−3〜n)が4つのダミー画素DPを示すものである。行方向に配列するダミー画素DP、有効な画素P、ダミー画素DPのそれぞれに対応して、極性反転を制御するH極性反転フラグと、表示データを制御するHデータフラグとが割り付けられている。
図15はV極性反転フラグ及びH極性反転フラグと極性制御信号との関係を示すテーブルである。V極性反転フラグ及びH極性反転フラグは、例えば、図15に示すように、前述した4種の極性制御信号PL1,PL2a,PL2b,PL2cに対応する数値1〜4が割り当てられる。
図16はVデータフラグ及びHデータフラグと表示データとの関係を示すテーブルである。Vデータフラグ及びHデータフラグは、例えば、図16に示すように、表示に寄与する有効な画素Pに供給される表示データ(a)と、電気見切りとして機能させるダミー画素DPに供給される第1交流信号に対応した表示データ(b)と、ダミー画素DPとして機能させる表示データ(c)とを示す3種の記号a,b,cが割り当てられる。図15におけるH極性反転フラグの「*」印、及び図16におけるHデータフラグの「*」印は、特定のダミー画素DPに対応するものであって、例えば表示領域E1のY方向における上下においてX方向に連続して配置された複数のダミー画素DPに対応するものである。
極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「1」でH極性反転フラグも「1」である場合は、有効な画素Pに供給される表示データに対応する極性制御信号PL1を選択する。極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「1」でH極性反転フラグが「2」である場合は、表示領域E1に最も近いダミー画素DP1に供給される表示データに対応する極性制御信号PL2aを選択する。同様に、極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「1」でH極性反転フラグが「3」である場合は、ダミー画素DP1に隣り合うダミー画素DP2に供給される表示データに対応する極性制御信号PL2bを選択する。極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「1」でH極性反転フラグが「4」である場合は、ダミー画素DP2に隣り合うダミー画素DP3に供給される表示データに対応する極性制御信号PL2cを選択する。極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「2」でH極性反転フラグが「*」である場合は、上記特定のダミー画素DPにおける表示データに対応する極性制御信号PL2aを選択する。極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「3」でH極性反転フラグが「*」である場合は、上記特定のダミー画素DPにおける表示データに対応する極性制御信号PL2bを選択する。極性制御信号セレクター127は、V極性反転フラグが「4」でH極性反転フラグが「*」である場合は、上記特定のダミー画素DPにおける表示データに対応する極性制御信号PL2cを選択する。
表示データセレクター126は、Vデータフラグが「a」でHデータフラグも「a」の場合、入力された表示データ(Video)を選択してデータ線駆動回路101に出力する。表示データセレクター126は、Vデータフラグが「a」でHデータフラグが「b」の場合、電気見切りとして機能させる印加電圧が第3の電圧である第1交流信号を選択してデータ線駆動回路101に出力する。表示データセレクター126は、Vデータフラグが「a」でHデータフラグが「c」の場合、上記特定のダミー画素DPに対応した第1交流信号を選択してデータ線駆動回路101に出力する。表示データセレクター126は、Vデータフラグが「b」でHデータフラグが「*」の場合、電気見切りとして機能させる印加電圧が第3の電圧である第1交流信号を選択してデータ線駆動回路101に出力する。表示データセレクター126は、Vデータフラグが「c」でHデータフラグが「*」の場合、上記特定のダミー画素DPに対応した第1交流信号を選択してデータ線駆動回路101に出力する。
このように、ダミー画素DP及び有効な画素Pの位置を、垂直同期信号Vsのカウント範囲と、水平同期信号Hsのカウント範囲とに設定し、これに対してV極性反転フラグ及びH極性反転フラグ、Vデータフラグ及びHデータフラグを割り当てるLUT(Look Up Table)をメモリー128に予め格納しておく。表示データセレクター126は、垂直同期信号Vsのパルスのカウント数と水平同期信号Hsのパルスのカウント数と、メモリー128のLUTとを参照して、ダミー画素DP1〜DP4、有効な画素Pに対応した表示データを選択して出力する。極性制御信号セレクター127は、同じく、垂直同期信号Vsのパルスのカウント数と水平同期信号Hsのパルスのカウント数と、メモリー128のLUTとを参照して、ダミー画素DP1〜DP4、有効な画素Pに対応した極性制御信号を選択して出力する。これにより、データ線駆動回路101に入力されたタイミング信号Clx及び走査線駆動回路102に入力されたタイミング信号Clyによって規定されたタイミングで、上記LUTに応じた信号が液晶パネル110に入力されて駆動される。すなわち、液晶パネル110のダミー画素DP及び有効な画素Pのそれぞれに、所望の階調及び極性の信号が供給される。
本実施形態の液晶装置100において、ダミー画素DPに第1交流信号を出力し、イオントラップ機構117の3つの周辺電極17A,17B,17Cにイオントラップ信号It1,It2,It3を出力可能な制御装置は、少なくともコントロール回路(制御回路)120と、電圧発生回路132とを含むものである。
本実施形態の液晶装置100によれば、表示領域E1側から外側に向かって配置された4つのダミー画素DP1〜DP4のダミー画素電極15dに対して、表示領域E1側から外側に向かう順に、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なる第1交流信号を順次出力するコントロール回路(制御回路)120を備えている。第1交流信号における印加電圧は、ダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧(例えば0V)と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧(例えば1.0V)との間の第3の電圧(例えば0.5V)である。さらに、周辺領域E2を囲む周辺領域E3にはイオントラップ機構117の3つの周辺電極17A,17B,17Cを有し、3つの周辺電極17A,17B,17Cに第1交流信号と同じ基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なると共に、第1交流信号よりも印加電圧が大きいイオントラップ信号It1,It2,It3を出力する電圧発生回路132を備えている。したがって、周辺領域E2を電気見切り領域として機能させつつ、表示領域E1の液晶層50に含まれるイオン性不純物を表示領域E1から周辺領域E2を容易に経由して周辺領域E3に掃き寄せてトラップ(捕集)することができる。
イオントラップ機構117の3つの周辺電極17A,17B,17Cが設けられた周辺領域E3は、平面視で遮光層としての見切り部21と重なっている。したがって、3つの周辺電極17A,17B,17Cに第1交流信号よりも印加電圧が大きいイオントラップ信号It1,It2,It3を印加して液晶層50の液晶分子LCの配向が乱れたとしても、液晶分子LCの配向の乱れに起因する光漏れは見切り部21によって遮光されるので、表示への影響を及ぼし難い。
イオントラップ機構117の3つの周辺電極17A,17B,17Cと対向電極23とは平面視で重なっていないため、3つの周辺電極17A,17B,17Cにイオントラップ信号It1,It2,It3を印加したとしても、3つの周辺電極17A,17B,17Cと対向電極23との間には電界が生じ難い。つまり、3つの周辺電極17A,17B,17Cと対向電極23との間の電界の影響を受けずに、3つの周辺電極17A,17B,17C間に生じた横電界によってイオン性不純物を効率的に周辺領域E3に掃き寄せることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の液晶装置とその駆動方法について、図17及び図18を参照して説明する。図17は第2実施形態の液晶装置における画素及びダミー画素の配置を示す概略平面図、図18は図17のA−A’線に沿った第2実施形態の液晶装置の構造を示す概略部分断面図である。第2実施形態の液晶装置は、上記第1実施形態の液晶装置100に対してイオントラップ機構117を削除し、遮光層としての見切り部21の平面的な配置を異ならせたものである。また、これに対応した駆動方法を採用している。したがって、上記第1実施形態の液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図17に示すように、本実施形態の液晶装置200は、シール部40で囲まれた領域内に設けられた画素領域Eを有している。画素領域Eは、複数の画素PがX方向とY方向とにマトリックス状に配置された表示領域E1と、表示領域E1を囲んで複数のダミー画素DPが配置された周辺領域E2を含んで構成されている。画素Pには画素電極15が配置され、ダミー画素DPにはダミー画素電極15dが配置されている。画素電極15及びダミー画素電極15dと平面視で重なるように、表示領域E1と周辺領域E2とに亘って対向電極23が配置されている。
表示領域E1には、例えばX方向に1920個、Y方向に1080個の画素Pが配置されている。周辺領域E2には、表示領域E1側から外側に向かうX方向及びY方向にそれぞれ4つのダミー画素DPが配置されている。本実施形態は、表示領域E1側から外側に向かって少なくとも4つのダミー画素DP(ダミー画素電極15d)が配置されていることを前提とするものである。
図18に示すように、液晶装置200は、シール部40を介して対向配置された素子基板210と対向基板220との間に挟持された液晶層50を有する液晶パネル230を備えている。素子基板210の基材10s及び対向基板220の基材20sは、それぞれ透明な例えば石英基板やガラス基板が用いられている。
図18では素子基板210における詳しい構成を示していないが、画素Pは、上記第1実施形態の液晶装置100と同様に、画素電極15、TFT30、保持容量16を含む画素回路を有している。ダミー画素DPも画素Pと同様に、ダミー画素電極15d、TFT30、保持容量16を含む画素回路を有している。
素子基板210は、基材10sと、複数の画素電極15と、複数のダミー画素電極15dと、画素電極15及びダミー画素電極15dを覆う配向膜18と、を有している。表示領域E1から外側に向かって4つのダミー画素電極15dが配置されている。ダミー画素電極15dを有するダミー画素DPについて、表示領域E1から外側に向かう順に、ダミー画素DP1、ダミー画素DP2、ダミー画素DP3、ダミー画素DP4とする。
対向基板220は、基材20sと、遮光層としての見切り部21と、平坦化層22と、対向電極23と、配向膜24とを有している。対向電極23は、液晶層50を介して周辺領域E2に配置された4つのダミー画素電極15dに対向するように、基材20sに配置されている。対向基板220側に設けられた対向電極23は、図17に示すように、上下導通部106を介して素子基板210側に設けられた外部接続用端子104(LCCOM)に電気的に接続されている。外部接続用端子104(LCCOM)には、対向電極電位LCCOMが与えられる。
図18に示すように、見切り部21は、平面視で、画素領域Eとシール部40との間の周辺領域E3と重なると共に、ダミー画素DP4のダミー画素電極15dと重なるように配置されている。言い換えれば、見切り部21は、複数のダミー画素電極15dのうち表示領域E1側の3つのダミー画素電極15dを除く残りのダミー画素電極15dと平面視で重なるように基材20sに配置されている。なお、見切り部21は、少なくとも残りのダミー画素電極15dと平面視で重なっていればよく、例えば残りのダミー画素電極15dに隣り合う表示領域E1側から3つ目のダミー画素電極15dと重なっていてもよい。
液晶装置200は、このような液晶パネル230に加えて、上記第1実施形態の液晶装置100と基本的に同じ電気的な構成を有するものである。すなわち、液晶装置200は、液晶パネル230と、コントロール回路(制御回路)120と、フレームメモリー131と、電圧発生回路132とを備えている(図10参照)。
本実施形態の液晶装置200の駆動方法は、4つのダミー画素電極15dのうち、表示領域E1側から外側に向かって順に配置された3つのダミー画素電極15dに、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なる第1交流信号を印加する。第1交流信号における印加電圧は、ダミー画素電極15dを有するダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧である。残りのダミー画素電極15dつまりダミー画素DP4のダミー画素電極15dには、上記第1交流信号と同じ基準電位に対して振幅する同一周波数で印加電圧が第1交流信号よりも大きい第2交流信号、または印加電圧が第1交流信号よりも大きく基準電位に対して正極性または負極性の直流信号を印加する。
本実施形態の液晶装置200において、本発明における制御装置は、少なくともコントロール回路(制御回路)120と、電圧発生回路132とを含むものである。
コントロール回路(制御回路)120は、入力された同期信号(Vs,Hs,Clk)に基づいて、有効な画素Pにそのアドレスに対応した表示データを選択して出力する。また、コントロール回路(制御回路)120は、入力された同期信号(Vs,Hs,Clk)に基づいて、ダミー画素DPにそのアドレスに対応付けられた第1交流信号または第2交流信号あるいは上記直流信号を出力する。画素Pと表示データとの対応付け、及びダミー画素DPと第1交流信号または第2交流信号あるいは上記直流信号との対応付けは、例えばLUTとしてメモリー128に予め格納される。
第1交流信号は、例えば0Vを基準電位として振幅する印加電圧(第3の電圧)が0.5Vの矩形波である。第2交流信号は、第1交流信号と同じ周波数であって、例えば0Vを基準電位として振幅する印加電圧が5.0Vの矩形波である。直流信号は、例えば0Vを基準電位とする、+5.0Vまたは−5.0Vの直流電圧である。
上記第2実施形態の液晶装置200とその駆動方法によれば、周辺領域E2に配置された4つのダミー画素電極15dのうち、表示領域E1側から外側に向かう3つのダミー画素電極15dを電気見切りとして機能させつつ、図18に示すように、隣り合うダミー画素電極間に生ずる横電界の移動によって、液晶層50に含まれるイオン性不純物を表示領域E1から周辺領域E2へ掃き寄せることができる。加えて、表示領域E1側の3つのダミー画素電極15dを除く残りのダミー画素電極15dには、印加電圧が第1交流信号よりも大きい第2交流信号、または印加電圧が第1交流信号よりも大きく基準電位に対して正極性または負極性の直流信号が印加されることから、周辺領域E2に掃き寄せられたイオン性不純物を捕捉して再び表示領域E1に拡散することを抑制できる。
さらに、遮光層としての見切り部21は、少なくとも残りのダミー画素電極15dと平面視で重なるように配置されている。したがって、残りのダミー画素電極15dに第2交流信号あるいは上記直流信号を印加してイオン性不純物が捕集され集積されることに起因して液晶分子LCの配向が乱れたとしても、液晶分子LCの配向の乱れに起因する光漏れは、見切り部21によって遮光されるので、表示に影響が及ばない。
つまり、上記第2実施形態の液晶装置200は、上記第1実施形態の液晶装置100におけるイオントラップ機構117の機能を、周辺領域E2に配置された複数のダミー画素電極15dのうち、表示領域E1側の3つのダミー画素電極15dを除く残りのダミー画素電極15dに与えたものである。よって、上記第1実施形態に比べて、液晶パネル230を簡素な構成としつつ、イオン性不純物を表示領域E1よりも外側に掃き寄せることができる構成となっている。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の液晶装置とその駆動方法について、図19〜図22を参照して説明する。図19は第3実施形態の液晶装置の表示領域の台形補正の一例を示す概略平面図、図20は表示領域の台形補正に係るダミー画素の扱いと極性制御信号との関係を示す図、図21及び図22は表示領域の台形補正における他の例を示す概略平面図である。なお、図20は、図19に破線Fで囲んだ領域を拡大して示した概略部分平面図である。
第3実施形態の液晶装置は、上記第1実施形態の液晶装置100または上記第2実施形態の液晶装置200と同じ電気的な構成を有するものである。また、第3実施形態の液晶装置の駆動方法は、第3実施形態の液晶装置を例えば後述する投射型表示装置の光変調手段(ライトバルブ)として用いたときに、投射による表示領域E1の変形を電気的に補正する方法に係るものである。したがって、上記第1実施形態の液晶装置100または上記第2実施形態の液晶装置200と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図19に示すように、本実施形態の液晶装置300は、シール部40によって囲まれた領域内に画素領域Eを有している。画素領域Eは、複数の画素PがX方向とY方向とにマトリックス状に配置された表示領域E1と、複数のダミー画素DPが表示領域E1を囲むように配置された周辺領域E2とを含んで構成されている。
液晶装置300における本来の表示領域E1は平面視で画素領域Eと同様な四角形であるが、図19は投射による表示領域E1の変形を電気的に台形補正した例を示すものである。具体的には、表示領域E1の上辺に対して下辺の長さが短くなるように、表示領域E1の行を構成する画素Pの数を第1行から第m行に行くにしたがって行の両端側の画素Pを段階的に減らす補正を行っている。その一方で、減らした分の画素Pをダミー画素DPとして扱っている。
このような表示領域E1の台形補正は、例えば、壁面などに配置された被投射物としてのスクリーンの中心を通って正面に延びる水平線に対して伏角または仰角を有して投射型表示装置が配置された場合に適用される。
本実施形態の液晶装置300は、上記第1実施形態の液晶装置100または上記第2実施形態の液晶装置200と同じ電気的な構成を有するものである。すなわち、液晶装置300は、液晶パネル110(または液晶パネル230)と、コントロール回路(制御回路)120と、フレームメモリー131と、電圧発生回路132とを備えている(図10参照)。
本実施形態の液晶装置300の駆動方法は、複数の画素電極15が配置された表示領域E1を囲む周辺領域E2に表示領域E1側から外側に向かって少なくとも3つのダミー画素電極15dが配置され、対向電極23は、平面視で少なくとも表示領域E1及び周辺領域E2に亘って配置されている。少なくとも3つのダミー画素電極15dには、表示領域E1側から外側に向かう順に、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なる第1交流信号を印加する。第1交流信号における印加電圧は、ダミー画素電極15dを有するダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧である。加えて、台形補正の制御指示によって表示に寄与する画素電極15の数が表示領域E1の行方向及び/または列方向に亘って減ぜられたとき、減ぜられた分の画素電極15をダミー画素電極15dとして扱って、台形補正後の有効な表示領域E1に沿った部分のダミー画素電極15dとして扱われた画素電極15には、同一の位相の第1交流信号を印加し、当該画素電極15から外側に位置する画素電極15には位相が異なる第1交流信号を印加する。
具体的には、図19は前述したように行方向に亘って画素Pが減ぜられた場合を示しており、その際には、図20に示すように、台形補正後の有効な表示領域E1の外縁に位置する画素P(画素電極15)にX方向に隣り合うダミー画素DP(ダミー画素電極15d)あるいは台形補正によってダミー画素DP(ダミー画素電極15d)として扱われる画素P(画素電極15)には、コントロール回路(制御回路)120から表示データとして第1交流信号が選択されて出力されると共に、極性制御信号PL2aが選択されて出力される。つまり、台形補正後の有効な表示領域E1の外縁に位置する画素P(画素電極15)にX方向に隣り合うダミー画素DP(ダミー画素電極15d)あるいは台形補正によってダミー画素DP(ダミー画素電極15d)として扱われる画素P(画素電極15)には、極性制御信号PL2aによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が出力される。
複数のダミー画素DP(ダミー画素電極15d)には、表示領域E1側から外側に向かう順に、基準電位(例えば0V)に対して振幅する同一周波数で、印加電圧(第3の電圧)が0.5Vの互いに位相が異なる第1交流信号(矩形波)が印加される。具体的には、極性制御信号PL2aによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加されたダミー画素DP(ダミー画素電極15d)にX方向に隣り合うダミー画素DP(ダミー画素電極15d)には、極性制御信号PL2bによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加される。また、極性制御信号PL2bによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加されたダミー画素DP(ダミー画素電極15d)にX方向に隣り合うダミー画素DP(ダミー画素電極15d)には、極性制御信号PL2cによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加される。極性制御信号PL2a,PL2b,PL2cは、図12に示したように、互いに位相が1周期の1/3ずつずれている。
なお、図20では、同一の極性制御信号によって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加されるダミー画素DPに同じ模様のハッチングを施して示している。
なお、表示領域E1の台形補正は行方向に限定されるものではない。例えば、図21に示すように、表示領域E1の左辺に対して右辺の長さが短くなるように、表示領域E1の列を構成する画素Pの数を第1列から第n列に行くにしたがって列の両端側の画素Pを段階的に減らす補正を行い、減らした分の画素Pをダミー画素DPとして扱う台形補正にも適用できる。当然ながら、表示領域E1の右辺に対して左辺の長さが短くなるように台形補正する場合にも適用できる。このような表示領域E1の台形補正は、例えば、壁面などに配置された被投射物としてのスクリーンの中心を通り正面に延びる水平線に対して、水平方向に左側または右側に投射型表示装置が配置された場合に適用される。
また、例えば、図22に示すように、表示領域E1の上辺に対して下辺の長さが短くなるように、表示領域E1の行を構成する画素Pの数を第1行から第m行に行くにしたがって行の両端側の画素Pを段階的に減らす補正を行う。また、左辺に対して右辺の長さが短くなるように、表示領域E1の列を構成する画素Pの数を第1列から第n列に行くにしたがって列の両端側の画素Pを段階的に減らす補正を行う。そして、減らした分の画素Pをダミー画素DPとして扱う台形補正にも適用できる。当然ながら、表示領域E1の下辺に対して上辺の長さが短く、右辺に対して左辺の長さが短くなるように台形補正する場合にも適用できる。このような表示領域E1の台形補正は、例えば、壁面などに配置された被投射物としてのスクリーンの中心を通り正面に延びる水平線に対して、伏角または仰角を有し、且つ水平方向に左側または右側に投射型表示装置が配置された場合に適用される。
本実施形態の液晶装置300において、本発明における制御装置は、上記のような台形補正に対応して、電気見切りとして機能させるダミー画素DP及び画素Pに第1交流信号を出力可能な少なくともコントロール回路(制御回路)120と、電圧発生回路132とを含むものである。
上記第3実施形態の液晶装置300とその駆動方法によれば、台形補正後の隣り合うダミー画素電極間に、有効な表示領域E1側から外側に向かって移動する横電界が生ずる。当該横電界の移動に伴って液晶層50に含まれるイオン性不純物は、台形補正後の有効な表示領域E1から周辺領域E2に掃き寄せられる。また、台形補正後の周辺領域E2は電気見切り領域として機能するので、見栄えのよい表示状態が台形補正後も維持される。
なお、表示領域E1の台形補正の割合は、被投射物と投射型表示装置との相対的な位置関係によって異なる。したがって、行方向及び/または列方向における補正の割合を例えば10段階程度異ならせた台形補正の水準をLUTとしてメモリー128に予め格納しておき、表示データセレクター126により参照可能としておく。
また、液晶装置300は、上記第1実施形態の液晶装置100と同様に、周辺領域E2を囲む周辺領域E3に3つの周辺電極17A,17B,17Cを配置したイオントラップ機構117を備えれば、周辺領域E2に掃き寄せたイオン性不純物をさらに外側の周辺領域E3にトラップ(捕集)して再び周辺領域E2や表示領域E1に拡散することを抑制することができる。
また、液晶装置300は、上記第2実施形態の液晶装置200と同様に、周辺領域E2において、表示領域E1側から外側に向かって少なくとも4つのダミー画素電極15dを配置し、このうちの少なくとも3つのダミー画素電極15dを電気見切りとして利用し、残りのダミー画素電極15dに第1交流信号と同じ基準電位に対して振幅する同一周波数であって、印加電圧が第1交流信号よりも大きな第2交流信号または基準電位に対して正極性または負極性の直流信号を印加するとしてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の液晶装置とその駆動方法について、図23を参照して説明する。図23は第4実施形態の液晶装置の駆動方法が適用された画素領域を正面から見て左上の角部周辺を示す図である。なお、図23の画素を示す破線のマス目に示された数字及びa、b、cは、当該画素に印加されるデータ信号の印加電圧(V)の値を示すものである。aは0Vを示し、bは1.00Vを示し、cは1.67Vを示すものである。
第4実施形態の液晶装置は、上記第1実施形態の液晶装置100または上記第2実施形態の液晶装置200と同じ電気的な構成を有するものである。また、第4実施形態の液晶装置の駆動方法は、周辺領域E2に配置された複数のダミー画素DPをイオン性不純物を掃き寄せる手段として利用し、掃き寄せ効率の向上を図ることを目的として開発された方法である。したがって、上記第1実施形態の液晶装置100または上記第2実施形態の液晶装置200と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態の液晶装置400の駆動方法は、表示領域E1の外縁に配置された画素電極15には、表示データに応じたデータ信号を印加し、表示領域E1を囲む周辺領域E2に配置された少なくとも3つのダミー画素電極15dには、表示領域E1側から外側に向かう順に、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なると共に、上記データ信号の1/3以下の印加電圧の第1交流信号を印加する。
具体的には、図23に示すように、表示領域E1の角部周辺の外縁に配置された画素Pの画素電極15には、表示データに応じたデータ信号が印加される。この場合、例えば、表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する3つの画素Pの画素電極15には、データ信号として対向電極電位LCCOMと同じ例えば0Vが印加される。つまり、表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する3つの画素Pは全黒表示となる。また、表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する4番目から6番目の3つの画素Pの画素電極15には、データ信号として印加電圧が3Vの交流信号が印加される。表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する7番目以降の画素Pの画素電極15には、データ信号として印加電圧が5Vの交流信号が印加されるとする。つまり、表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する4番目から6番目の画素Pはハーフトーン表示となり、7番目以降の画素Pは全白表示となる。
これらのデータ信号が印加された画素Pに対して、X方向及び/またはY方向に隣り合うダミー画素DPのダミー画素電極15dには、当該画素Pの画素電極15に印加されたデータ信号の1/3の印加電圧の第1交流信号が印加される。具体的には、表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する1番目から3番目の画素P(画素電極15)にX方向及びY方向に隣り合うダミー画素DPのダミー画素電極15dには、印加電圧が対向電極電位LCCOMと同じa=0Vの第1交流信号(定電位)が与えられる。表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する4番目から6番目の画素P(画素電極15)にX方向及びY方向に隣り合うダミー画素DPのダミー画素電極15dには、印加電圧がb=1.00Vの第1交流信号が与えられる。表示領域E1の角部を起点としてX方向及びY方向に配列する7番目以降の画素P(画素電極15)にX方向及びY方向に隣り合うダミー画素DPのダミー画素電極15dには、印加電圧がc=1.67Vの第1交流信号が与えられる。これらのダミー画素電極15dに印加される第1交流信号は、極性の反転タイミングが極性制御信号PL2aによって制御されたものである。そして、極性制御信号PL2aによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加されるダミー画素DPの外側において隣り合うダミー画素DPのダミー画素電極15dには、印加電圧が同じであって、極性制御信号PL2bによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加される。同様に、極性制御信号PL2bによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加されるダミー画素DPの外側において隣り合うダミー画素DPのダミー画素電極15dには、印加電圧が同じであって、極性制御信号PL2cによって極性の反転タイミングが制御された第1交流信号が印加される。
このような第1交流信号の印加を可能とする制御装置について、図10を参照して説明する。本実施形態の液晶装置400もまた例えば、図10に示した、コントロール回路(制御回路)120と、フレームメモリー131と、電圧発生回路132とを備えている。なお、本実施形態における液晶パネルは、周辺領域E2において表示領域E1側から外側に向かって少なくとも3つのダミー画素DP(ダミー画素電極15d)を有するものであればよい。
フレームメモリー131には、フレームごとの表示領域E1におけるデータ信号の構成が画素Pごとに記憶される。メモリー128には、上述した液晶装置400の駆動方法におけるダミー画素DPの配置に応じた表示データつまり第1交流信号に係る印加電圧(a、b、c)と極性制御信号(PL2a、PL2b、PL2c)の割り付けが例えばLUTとして格納されている。信号処理回路125の表示データセレクター126は、フレームメモリー131に記憶されたフレームごとの表示領域E1の外縁に配置された画素Pに係るデータ信号と、Vカウンター121による垂直同期信号Vsのパルスのカウント数と、Hカウンター122による水平同期信号Hsのパルスのカウント数と、メモリー128の上記LUTとを参照して、表示領域E1側から外側に向かって順に配置された3つのダミー画素DP(ダミー画素電極15d)に対応した表示データとしての第1交流信号を選択して出力する。当該第1交流信号の印加電圧はデータ信号の1/3以下となる。信号処理回路125の極性制御信号セレクター127は、同じく、Vカウンター121による垂直同期信号Vsのパルスのカウント数と、Hカウンター122による水平同期信号Hsのパルスのカウント数と、メモリー128の上記LUTとを参照して、表示領域E1側から外側に向かって順に配置された3つのダミー画素DPに対応した極性制御信号を選択して出力する。
実際には、表示領域E1の外縁に配置された画素P(画素電極15)に係るデータ信号はフレームごとに必ずしも一定でなく変化するため、表示領域E1側から外側に向かって順に配置された3つのダミー画素DPのダミー画素電極15dに印加される第1交流信号の印加電圧もまたフレームごとに変化することになる。つまり、表示領域E1と周辺領域E2の境界に位置するダミー画素DPの駆動状態は、これに隣り合う画素DPの駆動状態に追従して動的に変化することになる。
また、ダミー画素DP(ダミー画素電極15d)に印加される第1交流信号の印加電圧を画素Pに印加される最大電圧(本実施形態の場合は5V)の1/3以下とすることは、無機配向膜を採用したときのVth(閾値電圧)以下に相当するため光漏れが目立ち難い。
上記第1実施形態の液晶装置100、上記第2実施形態の液晶装置200、上記第3実施形態の液晶装置300に係る駆動方法は、いずれもダミー画素DPが配置された周辺領域E2を電気見切り領域として機能させることができるが、本実施形態の液晶装置400では、上述したようにダミー画素DPの駆動状態は、全白表示にならないものの、全黒表示からハーフトーン表示の間で動的に変化する。このようなダミー画素DPの駆動状態は、表示領域E1の外縁に配置された画素Pの駆動状態に追従していることから、表示領域E1に亘る表示状態に影響を及ぼし難い。すなわち、ダミー画素DPの駆動状態は電気見切りとして機能しないものの目立ち難い。一方で、表示領域E1側から外側に向かって配置された3つのダミー画素電極15dには、表示領域E1側から外側に向かう順に、位相が1周期の1/3ずつずれた第1交流信号が印加される。これによって、隣り合うダミー画素電極間に生ずる横電界の移動に伴って、液晶層50に含まれるイオン性不純物は、表示領域E1から周辺領域E2に掃き寄せられて捕集される。本実施形態において、ダミー画素電極15dに印加される第1交流信号の印加電圧は動的に変化するものの、電気見切りとして機能させる必要がないことから、上記第1実施形態〜第3実施形態に比べてより大きな印加電圧の第1交流信号とすることができ、イオン性不純物を比較的に効率よく掃き寄せることができる。
このような液晶装置400の駆動方法を実現可能な制御装置としては、少なくともコントロール回路(制御回路)120と、フレームメモリー131とを備えていればよい。
なお、少なくとも3つのダミー画素電極15dに印加される第1交流信号の印加電圧は、表示領域E1の外縁に配置された画素電極15に印加されるデータ信号の印加電圧の1/3以下であることに限定されない。例えば、表示領域E1の外縁に沿って配置された少なくとも2つの画素電極15に印加されるデータ信号の平均印加電圧の1/3以下の印加電圧としてもよい。これによれば、表示領域E1と周辺領域E2との境界におけるダミー画素DPの階調の変化を緩やかにして目立ち難くすることができる。
また、本実施形態の液晶装置400は、上記第1実施形態の液晶装置100と同様に、周辺領域E3に3つの周辺電極17A,17B,17Cを備えるイオントラップ機構117を備えていてもよい。また、上記第2実施形態の液晶装置200と同様に、周辺領域E2に表示領域E1側から外側に向かって少なくとも4つのダミー画素DP(ダミー画素電極15d)を有する構成とし、遮光層としての見切り部21と平面視で重なる残りのダミー画素電極15dに第1交流信号よりも印加電圧が大きい第2交流信号または、基準電位に対して正極性または負極性の直流信号を印加してもよい。
(第5実施形態)
<電子機器>
上記各実施形態の液晶装置を適用可能な電子機器として、投射型表示装置を例に挙げ、図24を参照して説明する。図24は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図24に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(表示データ)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投写され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上述したイオントラップ機構を有する上記第1実施形態の液晶装置100が適用されたものである。液晶パネル110の色光の入射側と射出側とにクロスニコルに配置された一対の偏光素子が隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
このような投射型表示装置1000によれば、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、上記液晶装置100が用いられているので、イオン性不純物に起因する表示不具合が改善され、優れた表示品質を長期に亘って維持することが可能な高い信頼性を有する投射型表示装置1000を提供することができる。なお、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、前述した第2実施形態の液晶装置200、第3実施形態の液晶装置300、第4実施形態の液晶装置400のいずれかを用いても同様な効果が得られる。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置の駆動方法及び液晶装置ならびに該液晶装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)周辺領域E3(第2周辺領域)に配置されイオントラップ機構として機能する周辺電極の数は、3つであることに限定されない。図25は変形例の液晶装置の構造を示す概略部分断面図、図26及び図27は変形例の周辺電極の配置を示す概略平面図である。
例えば、図25に示すように、変形例の液晶装置500Aは、素子基板510と対向基板520との間に挟持された液晶層50を有する液晶パネル550を備えている。素子基板510は、基材10sと、表示領域E1に画素Pごとに設けられた画素電極15と、周辺領域E2において表示領域E1側から外側に向かって配置された少なくとも3つのダミー画素電極15dと、シール部40と周辺領域E2との間の周辺領域E3に設けられた周辺電極17Dと、これらの電極を覆う配向膜18とを有している。対向基板520は、基材20sと、基材20sの周辺領域E3に設けられた遮光層としての見切り部21と、平坦化層22と、対向電極23と、対向電極23を覆う配向膜24とを有している。対向電極23は、液晶層50を介して、画素電極15、ダミー画素電極15d、周辺電極17Dと対向するように基材20sに設けられている。
素子基板510のダミー画素DP1,DP2,DP3のダミー画素電極15dには、表示領域E1側から外側に向かって、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が1周期の1/3ずつずれた第1交流信号が印加される。第1交流信号の印加電圧は、ダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧である。
一方、周辺電極17Dは、平面視で周辺領域E2を囲むようにリング状に設けられ、その幅は、ダミー画素電極15dの幅よりも大きい。また、周辺電極17Dには、対向電極23に印加される基準電位に対して正極性または負極性の直流信号が印加される。直流信号の印加電圧は、上記第1交流信号の印加電圧(第3の電圧)よりも大きい。
このような液晶装置500Aとその駆動方法によれば、ダミー画素DP1,DP2,DP3が配置された周辺領域E2を電気見切り領域として機能させつつ、液晶層50に含まれるアニオン系またはカチオン系のイオン性不純物を表示領域E1から周辺領域E2(第1周辺領域)へ、さらに周辺領域E2よりも外側の周辺領域E3(第2周辺領域)に掃き寄せてトラップ(捕集)することができる。
また、例えば、図26に示すように、変形例の液晶装置500Bは、上記変形例の液晶装置500Aと基本的に同じ構成であって、周辺領域E3に一対の周辺電極17E,17Fを有している。一対の周辺電極17E,17Fは、配向膜18,24の平面視における斜め蒸着方向(Y方向に対して角度θaで交わる方向)における、周辺領域E2の角部に沿った部分にL字状に設けられている。つまり、一対の周辺電極17E,17Fは、液晶層50の液晶分子LCのプレチルト方向に配置されている。
一対の周辺電極17E,17Fは外部接続用端子104(Id)に接続されている。外部接続用端子104(Id)には、基準電位に対して正極性または負極性の直流信号Idが供給される。周辺領域E2には表示領域E1側から外側に向かって少なくとも3つのダミー画素電極15dが配置されている。3つのダミー画素電極15dには、表示領域E1側から外側に向かう順に、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なる第1交流信号が印加される。第1交流信号における印加電圧は、ダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧である。なお、直流信号Idの印加電圧は、第1交流信号の印加電圧よりも大きい。
これによれば、周辺領域E2を電気見切り領域として機能させつつ、液晶層50に含まれるアニオン系またはカチオン系のイオン性不純物を、液晶分子LCのプレチルト方向に沿って生ずるフローによって運び、周辺領域E2を経て一対の周辺電極17E,17Fに効率的にトラップ(捕集)することが可能な液晶装置500Bを提供することができる。
なお、周辺領域E2に配置されたすべてのダミー画素電極15dに第1交流信号を印加せずに、一対の周辺電極17E,17Fに沿った、図26において破線Bで囲まれた領域に配置されたダミー画素電極15dに限って第1交流信号を印加し、他のダミー画素電極15dには、電気見切りとして機能させるべく対向電極電位LCCOMと同じ電位を印加してもよい。これによれば、イオン性不純物の掃き寄せ手段として機能させるダミー画素電極15dを限定して、表示に及ぼす影響を抑えることができる。
また、例えば、図27に示すように、変形例の液晶装置500Cは、上記変形例の液晶装置500Aと基本的に同じ構成であって、周辺領域E3において、シール部40の注入口41に対してY方向に所定の間隔をおいてX方向に延在する島状の周辺電極17Gを有している。周辺電極17Gは外部接続用端子104(Id)に接続されている。外部接続用端子104(Id)には、基準電位に対して正極性または負極性の直流信号Idが供給される。周辺領域E2には表示領域E1側から外側に向かって少なくとも3つのダミー画素電極15dが配置されている。3つのダミー画素電極15dには、表示領域E1側から外側に向かう順に、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なる第1交流信号が印加される。第1交流信号における印加電圧は、ダミー画素DPの階調レベルが全黒となる第1の電圧と、明るさが全黒よりも1段階上昇する第2の電圧との間の第3の電圧である。
これによれば、周辺領域E2を電気見切り領域として機能させつつ、注入口41を塞いだ封止剤42から例えば硬化開始剤などのアニオン系またはカチオン系のイオン性不純物が液晶層50に拡散したとしても、周辺領域E2を経てあるいは直接に周辺電極17Gに効率的にトラップ(捕集)することが可能な液晶装置500Cを提供することができる。
なお、上記液晶装置500Bと同様に、周辺領域E2に配置されたすべてのダミー画素電極15dに第1交流信号を印加せずに、周辺電極17Gに沿った、図27において破線Cで囲まれた領域に配置されたダミー画素電極15dに限って第1交流信号を印加し、他のダミー画素電極15dには、電気見切りとして機能させるべく対向電極電位LCCOMと同じ電位を印加してもよい。これによれば、イオン性不純物の掃き寄せ手段として機能させるダミー画素電極15dを限定して、表示に及ぼす影響を抑えることができる。
上記変形例の液晶装置500A,500B,500Cでは、ダミー画素電極15dが配置された周辺領域E2(第1周辺領域)を囲む周辺領域E3(第2周辺領域)に直流信号が印加される周辺電極17D,17E,17F,17Gを配置する例を示したが、周辺電極17D,17E,17F,17Gを除いた構成としてもよい。つまり、表示領域E1側から外側に向かって配置された少なくとも3つのダミー画素電極15dに互いに位相が異なると共に、印加電圧が第3の電圧である第1交流信号を印加することによって、電気見切り領域として機能させつつ、イオン性不純物の掃き寄せ手段とすることができる。すなわち、本発明に係る液晶装置は、表示領域E1側から外側に向かって配置された少なくとも3つのダミー画素電極15dに、基準電位に対して振幅する同一周波数で、互いに位相が異なると共に、印加電圧が第3の電圧である第1交流信号を出力する制御装置を備えればよい。
(変形例2)上記第2実施形態では、表示領域E1側から外側に向かう3つのダミー画素電極15dに互いに位相が異なる第1交流信号を印加し、残りのダミー画素電極15dに第1交流信号の印加電圧よりも大きい印加電圧の第2交流信号を印加するとしたがこれに限定されない。例えば、残りのダミー画素電極15dには第1交流信号の印加電圧と同じで、第1交流信号よりも周波数が小さい第2交流信号を印加するとしてもよい。前述したように、イオン性不純物の掃き寄せ効果は、イオン性不純物の移動度に影響される。したがって、周波数をより小さくすることでイオン性不純物の掃き寄せ効果を高めることができる。
(変形例3)本発明が適用される液晶装置は、透過型であることに限定されず、画素電極15やダミー画素電極15dが光反射性の導電膜で構成される反射型の液晶装置にも適用可能である。
(変形例4)上記実施形態の液晶装置100,200,300,400を適用可能な電子機器は、上記第5実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。例えば、液晶装置として画素に着色層を有するカラーフィルターを備える構成とすることで、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。