JP6578867B2 - 圧延機のスリップ防止装置 - Google Patents
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Description
被圧延材を圧延する一対のワークロールと、
前記ワークロールの入側における前記被圧延材の張力を測定する張力計と、
前記ワークロールの出側における前記被圧延材の搬送速度を測定する速度計と、
前記ワークロールのワークロール周速度を測定するロール速度検出器と、
前記張力計で測定される張力が張力目標値と一致するように、前記ワークロールのロールギャップまたはワークロール周速度を制御する張力制御手段と、
を備える圧延機のスリップ防止装置であって、
前記速度計により測定された搬送速度と、前記ロール速度検出器により測定されたワークロール周速度とから先進率を算出する先進率算出手段と、
前記先進率算出手段により算出された先進率が閾値よりも低い場合に、当該先進率と当該閾値との差に予め設定した張力変更ゲインを乗じて算出した張力目標値変更量に応じて、前記張力目標値を更新する張力目標値更新手段と、
前記張力目標値更新手段により更新された張力目標値を用いた前記張力制御手段による制御によって前記先進率算出手段により算出された先進率が前記閾値以上となるまでの間に、前記張力目標値更新手段により算出された張力目標値変更量の積算値を記憶する積算値記憶手段と、
少なくとも前記被圧延材の鋼種、サイズ、およびワークロール周速度を含む圧延条件に対応する張力学習値を予め定めた張力学習テーブルを記憶する張力学習値保存手段と、
前記張力目標値更新手段により更新された張力目標値を用いた前記張力制御手段による制御によって前記先進率算出手段により算出された先進率が前記閾値以上となった場合に、前記積算値に基づいて新たな張力学習値を算出し、前記被圧延材の鋼種、サイズ、および前記制御後に前記ロール速度検出器により測定されたワークロール周速度に対応する前記張力学習テーブル中の張力学習値を、前記新たな張力学習値で更新する張力学習値更新手段と、
前記被圧延材の次に圧延される材である次被圧延材について、更新された前記張力学習テーブルから前記次被圧延材の圧延条件に対応する張力学習値を取得し、取得した張力学習値に基づいて前記張力制御手段が用いる張力目標値を含む圧延スケジュールを決定する圧延スケジュール決定手段と、を備え、
前記新たな張力学習値は、前記新たな張力学習値をZ NEW 、現在の張力学習値をZ OLD 、前記積算値をZ CAL 、ゲインをαとして、関係式:Z NEW =αZ OLD +(1−α)Z CAL を用いて算出されること、を特徴とする。
前記圧延スケジュール決定手段は、
前記張力学習テーブルの前記次被圧延材の圧延条件に対応する張力学習値と前記張力目標値記憶手段に記憶された前記次被圧延材の圧延条件に対応する張力目標値との和が上限値よりも大きい場合に、前記上限値を新たな張力目標値とし、前記和が前記上限値よりも小さい下限値よりも小さい場合に、前記下限値を新たな張力目標値とする張力目標値設定手段と、
前記和が前記上限値よりも大きい場合に、前記和と前記上限値との差に影響係数を乗じて前記ワークロールの入側又は出側の板厚変更量を算出し、前記和が前記下限値よりも小さい場合に、前記和と前記下限値との差に前記影響係数を乗じて前記ワークロールの入側又は出側の板厚変更量を算出する板厚変更量算出手段と、
前記張力目標値設定手段により設定された新たな張力目標値と前記板厚変更量算出手段により算出された板厚変更量とに基づいて、前記次被圧延材の圧延に用いられる張力目標値とロールギャップとを含む圧延スケジュールを計算する圧延スケジュール計算手段と、を備えることを特徴とする。
[実施の形態1のシステム構成]
(圧延機)
本発明の実施の形態1では、本発明をタンデム冷間圧延機に適用する場合について説明する。実施の形態1について、図1、図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を示す構成図である。図1に示すタンデム冷間圧延機は、第1圧延機1と第2圧延機2を備える。ここでは、第1圧延機1がタンデム冷間圧延機の最初(上流)に、第2圧延機2がタンデム冷間圧延機の最後(下流)に配置されているものとして説明するが、タンデム冷間圧延機は3つ以上の圧延機で構成されていてもよい。
また、制御装置20は、パススケジュール計算手段19の他、先進率監視手段7、張力目標値ダイナミック変更手段8、張力学習手段13、張力学習値保存手段14、張力学習テーブル15、張力目標値計算手段16、張力目標値テーブル17、板厚スケジュール修正手段18を備える。以下、各手段の機能について説明する。
次に同じ鋼種、サイズの被圧延材を圧延する場合は、張力目標値計算手段16は、張力学習値保存手段14から該当する張力学習テーブルの低速テーブルと高速テーブルの張力学習値を受信する。張力目標値テーブル17には、各圧延条件に対応する張力目標値が予め記憶されており、張力目標値計算手段16は、張力目標値テーブル17から圧延条件に応じた張力目標値を取得する。張力目標値計算手段16は、張力学習値と張力目標値との和が予め決められた上下限値内かどうか比較する。張力学習値と張力目標値との和が予め決められた上下限値内であれば、張力学習値と張力目標値との和を新たな張力目標値とする。もし、張力学習値と張力目標値との和が予め決められた上下限値を超えていれば、新たな張力目標値を張力の上限値、または下限値に置換え、さらに、張力学習値と張力目標値との和と上限値、または下限値との差を計算する。張力目標値計算手段16の張力の上下限値は、設備制約内で、制御範囲を確保できるように設定されるべきで、表面性状や形状の品質確保、板破断防止の観点から決められる。
ΔH :入側板厚変更量 [mm]
∂H/∂P:圧延荷重の入側板厚への影響係数 [mm/kN]
∂P/∂tb:入側張力の圧延荷重への影響係数 [kN/MPa]
tdiff :張力学習値と予めテーブルに設定されている張力目標値との和と、張力目標値の上限値、または下限値との差 [MPa]
ΔHd :影響係数を計算するための入側板厚微小変更値 [mm]
P :圧延荷重 [kN]
Δtb :影響係数を計算するための入側張力微小変更値 [MPa]
である。なお、Pを算出するための圧延荷重モデルについては後述する。
Δh :出側板厚変更量 [mm]
∂h/∂P:圧延荷重の出側板厚への影響係数 [mm/kN]
∂P/∂tb:入側張力の圧延荷重への影響係数 [kN/MPa]
tdiff :張力学習値と予めテーブルに設定されている張力目標値との和と、張力目標値の上限値、または下限値との差 [MPa]
Δhd :影響係数を計算するための出側板厚微小変更値 [mm]
P :圧延荷重 [kN]
である。
P :荷重予測値[kN]
km:変形抵抗予測値[MPa]
tf:出側張力[MPa]
tb:入側張力[MPa]
W :被圧延材の幅方向の長さ[mm]
H :入側板厚[mm]
h :出側板厚[mm]
μ :摩擦係数[-]
Rd:偏平ロール半径予測値[mm]
VR:ロール周速度[mpm]
R :ワークロール半径[mm]
である。
図3は、張力制御の結果を用いて張力学習値を更新するために、タンデム冷間圧延機および制御装置20が実行する制御ルーチンのフローチャートである。本ルーチンは、タンデム冷間圧延機に新たな被圧延材が搬送される度に実行される。
図4は、図3の学習フローチャートにより更新された張力学習テーブル15中の張力学習値を用いた設定計算を実現するために、制御装置20が実行する制御ルーチンのフローチャートである。ルーチンは、各被圧延材に関する設定計算時に実行される。
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、スリップを防止する張力を、板厚、圧延本数、板幅、鋼種、圧延機の数、高速/低速などの圧延条件毎に学習することで、鋼種、サイズ毎にスリップを防止できる張力を学習できるとともに、圧延本数の増加に伴うワークロール粗度の低下が原因のスリップを防止できる。また、ワークロール周速度を高速、低速で学習できることから、速度増加に伴う摩擦係数の低下が原因のスリップも防止できる。さらに、スリップを防止できる張力値そのものを学習することにより、モデルの予測誤差により発生するスリップを効率的に防止できる。
ところで、上記の実施の形態の説明ではタンデム冷間圧延機を例に説明したが、本発明は張力計、速度計が設置された熱間圧延機、冷間圧延機等すべての圧延機を対象とすることができる。
また、図1の符号7、8、13〜19に示す各部は、制御装置20が有する機能を示す。図5は、制御装置20のハードウェア構成を示す図である。制御装置20の各機能は、処理回路により実現される。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ91と少なくとも1つのメモリ92とを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア93を備える。
また、ここでは、制御装置20が、上記ステップS104の処理を実行することにより本発明における「先進率算出手段」が、上記ステップS105〜ステップS107の処理を実行することにより本発明における「張力目標値更新手段」が、上記ステップS106の処理を実行することにより本発明における「積算値記憶手段」が、上記ステップS109〜ステップS110の処理を実行することにより本発明における「張力学習値更新手段」が、上記ステップS202、ステップS204、ステップS203、ステップS207の処理を実行することにより本発明における「張力目標値設定手段」が、上記ステップS205、ステップS208の処理を実行することにより本発明における「板厚変更量算出手段」が、上記ステップS206の処理を実行することにより本発明における「圧延スケジュール決定手段」が、それぞれ実現されている。
2 第2圧延機
3 被圧延材
4 方向
5 速度計
6 ロール速度検出器
7 先進率監視手段
8 張力目標値ダイナミック変更手段
9 張力制御装置
10 張力計
11 ロール速度制御装置
12 圧下装置
13 張力学習手段
14 張力学習値保存手段
15 張力学習テーブル
16 張力目標値計算手段
17 張力目標値テーブル
18 板厚スケジュール修正手段
19 パススケジュール計算手段
20 制御装置
30 上位計算機
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ハードウェア
Claims (3)
- 被圧延材を圧延する一対のワークロールと、
前記ワークロールの入側における前記被圧延材の張力を測定する張力計と、
前記ワークロールの出側における前記被圧延材の搬送速度を測定する速度計と、
前記ワークロールのワークロール周速度を測定するロール速度検出器と、
前記張力計で測定される張力が張力目標値と一致するように、前記ワークロールのロールギャップまたはワークロール周速度を制御する張力制御手段と、
を備える圧延機のスリップ防止装置であって、
前記速度計により測定された搬送速度と、前記ロール速度検出器により測定されたワークロール周速度とから先進率を算出する先進率算出手段と、
前記先進率算出手段により算出された先進率が閾値よりも低い場合に、当該先進率と当該閾値との差に予め設定した張力変更ゲインを乗じて算出した張力目標値変更量に応じて、前記張力目標値を更新する張力目標値更新手段と、
前記張力目標値更新手段により更新された張力目標値を用いた前記張力制御手段による制御によって前記先進率算出手段により算出された先進率が前記閾値以上となるまでの間に、前記張力目標値更新手段により算出された張力目標値変更量の積算値を記憶する積算値記憶手段と、
少なくとも前記被圧延材の鋼種、サイズ、およびワークロール周速度を含む圧延条件に対応する張力学習値を予め定めた張力学習テーブルを記憶する張力学習値保存手段と、
前記張力目標値更新手段により更新された張力目標値を用いた前記張力制御手段による制御によって前記先進率算出手段により算出された先進率が前記閾値以上となった場合に、前記積算値に基づいて新たな張力学習値を算出し、前記被圧延材の鋼種、サイズ、および前記制御後に前記ロール速度検出器により測定されたワークロール周速度に対応する前記張力学習テーブル中の張力学習値を、前記新たな張力学習値で更新する張力学習値更新手段と、
前記被圧延材の次に圧延される材である次被圧延材について、更新された前記張力学習テーブルから前記次被圧延材の圧延条件に対応する張力学習値を取得し、取得した張力学習値に基づいて前記張力制御手段が用いる張力目標値を含む圧延スケジュールを決定する圧延スケジュール決定手段と、を備え、
前記新たな張力学習値は、前記新たな張力学習値をZ NEW 、現在の張力学習値をZ OLD 、前記積算値をZ CAL 、ゲインをαとして、関係式:Z NEW =αZ OLD +(1−α)Z CAL を用いて算出されること、
を特徴とする圧延機のスリップ防止装置。 - 圧延条件毎の張力目標値を予め記憶した張力目標値記憶手段をさらに備え、
前記圧延スケジュール決定手段は、
前記張力学習テーブルの前記次被圧延材の圧延条件に対応する張力学習値と前記張力目標値記憶手段に記憶された前記次被圧延材の圧延条件に対応する張力目標値との和が上限値よりも大きい場合に、前記上限値を新たな張力目標値とし、前記和が前記上限値よりも小さい下限値よりも小さい場合に、前記下限値を新たな張力目標値とする張力目標値設定手段と、
前記和が前記上限値よりも大きい場合に、前記和と前記上限値との差に影響係数を乗じて前記ワークロールの入側又は出側の板厚変更量を算出し、前記和が前記下限値よりも小さい場合に、前記和と前記下限値との差に前記影響係数を乗じて前記ワークロールの入側又は出側の板厚変更量を算出する板厚変更量算出手段と、
前記張力目標値設定手段により設定された新たな張力目標値と前記板厚変更量算出手段により算出された板厚変更量とに基づいて、前記次被圧延材の圧延に用いられる張力目標値とロールギャップとを含む圧延スケジュールを計算する圧延スケジュール計算手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の圧延機のスリップ防止装置。 - 前記圧延条件は、前記ワークロールが圧延した被圧延材の本数を含むこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の圧延機のスリップ防止装置。
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