以下、本発明に係る映像監視システムを実施するための形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明に係る映像監視システムの一実施形態の構成を示す図である。
本発明に係る映像監視システムの一実施形態は、エレベーター101と、エレベーター101の乗りかご13(図2参照)内の映像を管理する映像管理装置102と、映像管理装置102とネットワーク103を介して通信接続され、エレベーター101の故障等の状態を遠隔的に監視する監視センター104と、監視センター104とネットワーク103を介して通信接続され、エレベーター101の顧客である管理人が所有する情報処理端末105とを備えている。
なお、映像管理装置102が管理する映像は、例えば、エレベーター101の稼働中に常時撮影される動画であってもよいし、予め定められた間隔で連続して撮影される複数の静止画であってもよい。また、本実施形態に係る映像監視システムは、エレベーター101、映像管理装置102、及び情報処理端末105がネットワーク103に複数接続された大規模なシステムであってもよい。
図2は本実施形態に係るエレベーター101の構成を示す図である。
図2に示すように、エレベーター101は、建物11に形成された昇降路12と、建物11の昇降路12内を昇降する乗りかご13と、一端が乗りかご13に取り付けられた主ロープ14と、この主ロープ14の他端が取り付けられ、昇降路12内に吊り下げられた釣合い錘15とを備えている。
また、エレベーター101は、昇降路12の上方に位置する機械室16に設けられ、乗りかご13及び釣合い錘15を駆動する巻上機17と、この巻上機17の近傍に配置されたそらせ車18とを備えている。さらに、エレベーター101は、乗り場19側に開閉可能に設けられ、乗りかご13の後述のかごドア135(図3参照)と連動して出入口を開閉する乗り場ドア20と、機械室16に設けられ、エレベーター101全体の動作を制御する制御盤21とを備えている。
巻上機17は、主ロープ14が巻き掛けられた駆動シーブ171と、この駆動シーブ171を回転させるモータ172と、駆動シーブ171の回転を制動するブレーキ装置(図示せず)とを有し、これらのモータ172及びブレーキ装置は、制御盤21に電気的に接続されている。したがって、巻上機17は、制御盤21からの制御信号を受けてモータ172及びブレーキ装置を作動させることにより、乗りかご13を釣合い錘15に対して相対的に昇降させるようにしている。
また、巻上機17のモータ172の出力軸には、モータ172の駆動に応じてパルス信号を出力するエンコーダ(図示せず)が取り付けられており、このエンコーダは制御盤21に電気的に接続されている。そして、エンコーダから出力されたパルス信号は制御盤21へ送信されることにより、制御盤21が乗りかご13の位置を演算することが可能となる。
制御盤21は、図示されないが、乗りかご13の昇降動作やかごドア135の開閉動作を行うための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、及びCPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含むハードウェアと、記憶装置に記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとから構成されている。
一方、制御盤21は、昇降路12内に配設されたテールコード22、中継器23、及び通信ケーブル24を介して乗りかご13の機器に電気的に接続されている。テールコード22は、一端が乗りかご13の下部に接続され、他端が中継器23に接続されており、昇降路12内においてU字状に垂下されている。中継器23は、昇降路12の壁面に固定されており、乗りかご13の各機器と制御盤21との間で行われる通信を中継する装置である。
図3は本実施形態に係るエレベーター101に設けられた機器のうち、特に乗りかご13に搭載された機器の詳細を示す図である。
図3に示すように、乗りかご13は、室内の監視対象を撮影する撮影装置としてのカメラ131と、乗りかご13の積載荷重を測定する秤装置132と、音を入力するマイク133とを有している。また、乗りかご13は、室内の臭気の度合いを測定する臭気センサ134と、乗り場ドア20と対向する前側(乗り場19から見て正面側)の側壁に開閉可能に設けられ、乗りかご13の出入口を開閉するかごドア135と、乗りかご13の上部に設けられ、かごドア135を駆動するドア駆動装置136とを有している。
カメラ131は、乗りかご13の天井のうち後側(奥側)の角隅に配置されており、監視対象として、乗りかご13内の機器や乗客の様子を撮影する。秤装置132は、乗りかご13の床下に設けられており、例えば、下方から乗りかご13の床を支持して測定する。なお、秤装置132は、乗りかご13の積載荷重を測定することが可能であれば、上方から乗りかご13を吊り下げて測定する方式を採用してもよい。
マイク133は、乗りかご13の右側の側壁に埋め込まれており、乗客の音声や物音等の乗りかご13内で発生した音を集音する。臭気センサ134は、乗りかご13の後側の側壁に設置されており、臭気の強弱を数値として検出することが可能になっている。かごドア135は、例えば、前側から見て乗りかご13の出入口の中央から左右の両側へ開閉する両開き構造になっている。なお、かごドア135は、このような両開き構造の場合に限らず、例えば、前側から見て左右の一方向へ開閉する片開き構造であってもよい。
また、かごドア135は、閉じ端部に設置され、乗りかご13に乗降する乗客が閉扉動作中のかごドア135に挟まれることを防止するドアセフティシュー(図示せず)を有している。さらに、かごドア135の上部には、かごドア135が完全に閉まったことを検出するドアスイッチ137が設置されている。このドアスイッチ137は、かごドア135が閉扉したときにON状態となり、かごドア135が開扉したときにOFF状態となる。
また、乗りかご13の後側の側壁の上部には、当該乗りかご13の現在位置や案内等の運行情報を表示する情報表示器、いわゆる、液晶CPI(Car Position Indicator)138が設置されている。そして、これらの乗りかご13の機器は、テールコード22等を介して制御盤21や映像管理装置102に通信接続されている。
図4は本実施形態に係るドア駆動装置136の構成を示す図である。
図4に示すように、ドア駆動装置136は、制御盤21からの制御信号に従って、かごドア135をトルクによって開閉駆動するドアモータ136Aと、このドアモータ136Aの出力軸に取り付けられ、ドアモータ136Aのトルクを受けて回転する駆動プーリ136Bと、この駆動プーリ136Bと同等の高さ位置に取り付けられ、駆動プーリ136Bに追従して回転する従動プーリ136Cとを含んでいる。
また、ドア駆動装置136は、駆動プーリ136B及び従動プーリ136Cに巻き掛けられ、駆動プーリ136B及び従動プーリ136Cに摺動する摺動ベルト136Dと、この摺動ベルト136Dとかごドア135との間に配置され、摺動ベルト136Dに沿って延設されたドアレール136Eと、かごドア135の上端部に固定され、かごドア135からドアレール136Eよりも上方へ突出した一対のドアハンガ136Fとを含んでいる。
さらに、ドア駆動装置136は、ドアハンガ136Fに回転可能に取り付けられ、ドアレール136Eを上下から挟持した状態で、このドアレール136Eを走行する複数のハンガローラ(本実施例では、8つのハンガローラ)136Gと、一端がドアハンガ136Fにそれぞれ固定され、他端が摺動ベルト136Dのうち駆動プーリ136Bと従動プーリ136Cとの間の上部側及び下部側の部分にそれぞれ係合する一対の係合部材136Hとを含んでいる。
このように構成されたドア駆動装置136では、ドアモータ136Aが駆動して駆動プーリ136Bを正転させると、この駆動プーリ136Bの回転に伴って摺動ベルト136Dが駆動プーリ136Bの回転方向と同じ方向へ回動し、摺動ベルト136Dに摺接する従動プーリ136Cが回転する。このとき、ドアハンガ136Fが係合部材136Hを介して摺動ベルト136Dから開扉方向の力を受けることにより、ハンガローラ136Gが回転しながらドアレール136Eを開扉方向へ走行する。そして、かごドア135が互いに反対方向へ移動して離れることにより、かごドア135が開く。
一方、ドアモータ136Aが駆動して駆動プーリ136Bを逆転させると、この駆動プーリ136Bの回転に伴って摺動ベルト136Dが駆動プーリ136Bの回転方向と同じ方向へ回動し、摺動ベルト136Dに摺接する従動プーリ136Cが回転する。このとき、ドアハンガ136Fが係合部材136Hを介して摺動ベルト136Dから閉扉方向の力を受けることにより、ハンガローラ136Gが回転しながらドアレール136Eを閉扉方向へ走行する。そして、かごドア135が互いに反対方向へ移動して接近することにより、かごドア135が閉じる。
なお、ドア駆動装置136は、閉扉動作中にドアセフティシューが作動すると、制御盤21からの制御信号に従って、ドアモータ136Aを駆動して駆動プーリ136Bを正転させることにより、かごドア135を強制的に開くようにしている。また、ドアモータ136Aには、当該ドアモータ136Aに流れる電流を検出する電流センサ136Iが取り付けられている。
図1において、映像管理装置102は、例えば、機械室16のうちエレベーター101の制御盤21の近傍に設置され、図示されないが、カメラ131によって撮影された映像を管理するための各種の演算を行うCPU、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD等の記憶装置、及びCPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAMを含むハードウェアと、記憶装置に記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとから構成されている。
このような映像管理装置102の構成において、ROMやHDD等の記憶装置に格納されたプログラム等がRAMに読み出され、CPUの制御に従って動作することにより、ソフトウェアとハードウェアとが協働して、映像管理装置102の各機能を実現する機能ブロックが構成される。なお、映像管理装置102の機能を示す具体的な構成については、後で詳細に述べる。
監視センター104は、情報処理端末105を所有する管理人等の情報を蓄積したり、映像管理装置102が管理する映像等の情報を取得して情報処理端末105へ送信したりするWebサーバ104Aを有している。このWebサーバ104A及び情報処理端末105は、映像管理装置102と同様に、各種の演算を行うCPU、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD等の記憶装置、及びCPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAMを含むハードウェアと、記憶装置に記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとから構成されている。
情報処理端末105は、カメラ131によって撮影された映像を含む、後述の要注意一覧表画面(図9参照)を表示する一覧表示部(以下、便宜的に要注意一覧表示部と称する)105Aと、ネットワーク103を介してWebサーバ104Aに通信接続し、要注意一覧表示部105Aの表示を制御するWebブラウザ105Bとを有している。要注意一覧表示部105Aは、例えば、情報処理端末105の利用者である管理人からのタッチ操作により、情報の入力を受け付けるタッチパネルから構成されている。Webブラウザ105Bは、後述の閾値記録部442B〜448B(図6参照)に記録される各閾値を設定する機能を有している。
図5は本実施形態に係る映像管理装置102の主な機能を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、映像管理装置102は、稼働状態検出部41、時計部42、録画部43、異常検出部44、要注意一覧表生成部45、通信制御部46、表示映像選択部47、顔マスク処理部48、及び表示スケジュール制御部49を含んでいる。稼働状態検出部41は、エレベーター101の制御盤21の制御信号を監視しており、乗りかご13が昇降路12内を上下方向へ移動しているとき、あるいはかごドア135が開閉動作を行っているとき、エレベーター101が稼働している状態(以下、便宜的に稼働状態と称する)を検出する。
時計部42は、現在の時刻を取得して録画部43及び要注意一覧表生成部45へ出力する。録画部43は映像記録部43Aを含んでいる。この録画部43は、エレベーター101のカメラ131の映像信号を取得し、稼働状態検出部41によってエレベーター101の稼働状態が検出されたとき、カメラ131によって撮影された映像を、時計部42が示す現在の時刻と共に映像記録部43Aに記録する。これにより、エレベーター101を利用する乗客の挙動を全て録画することが可能となる。なお、映像記録部43Aは、例えば、ROMやHDD等の記憶装置によって実現される。
異常検出部44は、エレベーター101に設けられた機器の信号を取得し、これらの機器の信号に基づいて、エレベーター101の故障を誘発する乗客の不適切な所定の行動に伴う異常を検出する。すなわち、本実施形態においては、異常検出部44が機器信号取得部としての機能も兼用している。
図6は本実施形態に係る異常検出部44の具体的な構成を示す図である。
図6に示すように、異常検出部44は、エレベーター101の制御系に関する異常を検出するエレベーター制御異常検出部44A、及びカメラ131によって撮影された映像を処理する映像処理部44Bを含んでいる。エレベーター制御異常検出部44Aは、異常停止判定部441A及びドア異常判定部442Aを含んでおり、映像処理部44Bは、動き異常判定部443A及び明度異常判定部444Aを含んでいる。
また、異常検出部44は、トルク異常判定部445A、振動異常判定部446A、騒音異常判定部447A、臭気異常判定部448A、及び閾値記録部442B〜448Bを含んでいる。すなわち、異常検出部44は、異常の種類に応じて各判定部441A〜448Aが独立して判定を行うように構成されている。閾値記録部442B〜448Bは、異常の有無を判定するための閾値を予めそれぞれ記録し、これらの各閾値は、例えば、異常検出部44の判定部442A〜448A毎に予め設定されている。
以下、エレベーター101の故障を誘発する状況の具体例を述べながら、異常検出部44の各判定部441A〜448Aの詳細について説明する。
最初に、異常停止判定部441Aの構成について説明する。例えば、乗りかご13が昇降路12内を走行中に、乗客がかごドア135に接触することにより、ドアスイッチ137がOFF状態になった場合、乗りかご13が停止して乗客が乗りかご13内に閉じ込められる、いわゆる、閉じ込めが発生する可能性がある。
そこで、本実施形態では、異常停止判定部441Aは、エレベーター101の制御盤21の信号を監視し、乗りかご13が正規の停止階以外の位置を走行している間に、ドアスイッチ137がON状態からOFF状態に切り換わったとき、エレベーター101の運転に異常が発生して乗りかご13の昇降動作が停止したと判定する。
次に、ドア異常判定部442Aの構成について説明する。例えば、乗客が乗りかご13内の開ボタン(図示せず)を押下する等の所定の手続きを行わずに、かごドア135が開扉した状態で、乗客がドアセフティシューを長時間押さえた場合、他の乗客に迷惑がかかると共に、エレベーター101の故障が疑われる。
そこで、本実施形態では、ドア異常判定部442Aは、エレベーター101の制御盤21の信号を監視し、かごドア135の開扉時間が閾値記録部442Bに記録された閾値以上になったとき、かごドア135に異常が発生したと判定する。なお、閾値記録部442Bに記録された閾値は、乗客が開ボタンを押下した場合と、ドアセフティシューを押さえた場合とで異なる値に設定されてもよい。
次に、動き異常判定部443Aの構成について説明する。例えば、乗りかご13が昇降路12内を走行中に乗客が乗りかご13内で歩き回った場合、乗りかご13のバランスが崩れることにより、エレベーター101が所定の性能を発揮できない可能性がある。
そこで、本実施形態では、映像処理部44Bは、カメラ131が直前に撮影した映像と現在の映像との画素数の差分を演算する。そして、動き異常判定部443Aは、映像処理部44Bによって演算された画素数の差分が閾値記録部443Bに記録された閾値以上になったとき、乗客の動きに伴う異常が発生したと判定する。
次に、明度異常判定部444Aの構成について説明する。例えば、乗りかご13内でライター等の発火物が使用された場合、乗りかご13内で乗客が喫煙をしていたり、あるいは乗りかご13の押し釦(図示せず)が焼損される可能性がある。
そこで、本実施形態では、映像処理部44Bは、カメラ131によって撮影された映像のうち明度差が生じた部分を検出する。そして、明度異常判定部444Aは、映像処理部44Bによって検出された明度差が閾値記録部444Bに記録された閾値以上になったとき、乗りかご13内の明度(明るさ)に起因する異常が発生したと判定する。
次に、トルク異常判定部445Aの構成について説明する。例えば、乗客が物を落とすこと等によって異物がかごドア135に挟まった場合、かごドア135は異物に接触した後に反転する。このとき、ドアモータ136Aに通常よりも大きな電流が流れるため、エレベーター101の故障に繋がる可能性がある。
そこで、本実施形態では、トルク異常判定部445Aは、電流センサ136Iによって検出されたドアモータ136Aの電流が閾値記録部445Bに記録された閾値以上になったとき、異物に伴う異常が発生したと判定する。
次に、振動異常判定部446Aの構成について説明する。例えば、乗客が乗りかご13内で飛び跳ねたりすることにより、乗りかご13が上下に加振された場合、乗りかご13が共振することにより、エレベーター101に備えられた安全装置(図示せず)が誤作動する可能性がある。
そこで、本実施形態では、振動異常判定部446Aは、秤装置132の出力信号を監視し、秤装置132の出力信号の振動数が閾値記録部446Bに記録された閾値以上になったとき、乗りかご13の振動に伴う異常が発生したと判定する。
次に、騒音異常判定部447Aの構成について説明する。例えば、乗客が台車等を乗りかご13内又はかごドア135にぶつけた場合、乗りかご13内又はかごドア135が破損すると同時に、衝突音等の大きな騒音が発生する。
そこで、本実施形態では、騒音異常判定部447Aは、マイク133によって入力された音量が閾値記録部447Bに記録された閾値以上になったとき、騒音に起因する異常が発生したと判定する。
次に、臭気異常判定部448Aの構成について説明する。例えば、乗客が臭気を発するゴミ等を乗りかご13内に運搬した場合、臭気が乗りかご13内に残存することにより、乗りかご13内に乗り込んだ他の乗客に不快感を与える可能性がある。
そこで、本実施形態では、臭気異常判定部448Aは、臭気センサ134によって測定された乗りかご13内の臭気の度合いが閾値記録部448Bに記録された閾値以上になったとき、乗りかご13内の臭気に伴う異常が発生したと判定する。
図5において、要注意一覧表生成部45は、異常検出部44の判定部441A〜448Aの少なくとも1つによって異常が発生したと判定されたとき、異常検出部44の判定部441A〜448A毎に対応して予め設定された種別情報としての検出コードに、時計部42から取得した異常の検出時刻(以下、便宜的に異常検出時刻と称する)を関連付けた要注意一覧表(図7参照)を生成する。また、要注意一覧表生成部45は、要注意一覧表記録部45Aを含んでおり、生成した要注意一覧表を要注意一覧表記録部45Aに記録する。すなわち、この要注意一覧表記録部45Aが異常検出時刻記録部として機能する。
図7は本実施形態に係る要注意一覧表記録部45Aに記録される要注意一覧表の一例を示す図である。
本実施形態においては、異常の検出の優先順位を考慮して、異常検出部44の判定部441A〜448Aに対して検出コード「1」〜「8」がそれぞれ割り当てられており、図7に示すように、要注意一覧表の検出コードが異常検出時刻の順に並べられている。したがって、図7に示す要注意一覧表では、ドア異常判定部442Aが、異なる時刻に3回、異常が発生したと判定し、トルク異常判定部445Aが、異なる時刻に2回、異常が発生したと判定し、動き異常判定部443A及び振動異常判定部446Aが、それぞれ一回ずつ、異常が発生したと判定している。なお、上述した異常の検出の優先順位は、例えば、エレベーター101の制御系に関する異常の検出が相対的に高くなり、エレベーター101の破損等の故障に関する異常の検出が相対的に低くなるように設定されている。
通信制御部46は、ネットワーク103を介して監視センター104のWebサーバ104Aとの間の通信を制御する。また、通信制御部46は、要注意一覧表記録部45Aに記録された要注意一覧表をWebサーバ104Aに送信したり、Webサーバ104Aからの要求に従って、映像記録部43Aに記録された映像を加工してWebサーバ104Aに送信したりする処理を行う。
表示映像選択部47は、Webサーバ104Aからの要求に従って、映像記録部43Aに記録された映像を加工して顔マスク処理部48又は表示スケジュール制御部49に送信する。また、表示映像選択部47は、指定検出コード記録部47Aを含んでおり、管理人によって指定された検出コードを指定検出コード記録部47Aに記録する。
顔マスク処理部48は、表示映像選択部47から受け取った映像に映し出された乗客の顔にマスクする処理を行った後、この顔マスクの処理が行われた映像を表示スケジュール制御部49に送信する。この顔マスク処理部48による顔マスクの処理は、表示映像選択部47から受け取った映像のうち乗客の顔の部分を抽出し、当該部分に対して、モザイク等の不可視処理を施すことにより、乗客のプライバシーを保護するものである。
顔マスクの処理における乗客の顔の部分の抽出は、例えば、乗客の顔の輪郭として丸い部分を検出し、この検出した箇所に1つ以上の丸が存在することをもって、乗客の顔の部分であると判断することにより行われる。なお、顔マスク処理部48による顔マスクの処理は、映像の中から乗客の顔の部分を抽出できるものであれば、上述した場合に限らず、他の抽出処理を用いてもよい。
表示スケジュール制御部49は、表示映像記録部49Aを含んでおり、表示映像選択部47又は顔マスク処理部48から受け取った映像を表示映像記録部49Aに記録する。また、表示スケジュール制御部49は、表示映像記録部49Aに記録された映像に対して、不適切な行動を行った乗客に注意を喚起する注釈を付加する処理を行った注意画面(図11参照)を作成し、この注意画面をエレベーター101の液晶CPI138に表示する。したがって、表示映像選択部47及び表示スケジュール制御部49が映像表示制御部として機能する。
次に、本実施形態に係る情報処理端末105への要注意一覧表画面の表示処理について、図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
図8に示すように、まずは、管理人がエレベーター101の状態を確認するために、情報処理端末105を用いてWebブラウザ105Bを起動すると(ステップ(以下、Sと記す)801)、Webブラウザ105Bは、ネットワーク103を介して監視センター104のWebサーバ104Aに接続する(S802)。
次に、Webサーバ104Aは、管理人が指定した映像管理装置102の通信制御部46に接続すると(S803)、通信制御部46を通じて要注意一覧表記録部45Aから要注意一覧表を読み出して取得し(S804)、当該要注意一覧表をWebブラウザ105Bに送信する。続いて、Webブラウザ105Bは、Webサーバ104Aから要注意一覧表を受信すると、当該要注意一覧表に基づいて、図9に示す要注意一覧表画面を作成し、作成した要注意一覧表画面を要注意一覧表示部105Aに表示する(S805)。
図9は本実施形態に係る要注意一覧表示部105Aに表示される要注意一覧表画面の一例を示す図である。
図9に示すように、要注意一覧表示部105Aに表示される要注意一覧表画面は、検出コード領域51、状態領域52、異常検出時刻領域53、及び映像表示操作領域54から構成されている。検出コード領域51は、異常検出部44の判定部441A〜448Aに対して割り当てられた検出コード「1」〜「8」が昇順に並べられている。状態領域52は、各検出コードに対応して予め設定され、エレベーター101の故障を誘発する状態、すなわち、異常の内容を示している。
異常検出時刻領域53は、Webブラウザ105Bが受信した要注意一覧表と同期し、各検出コードに対応する異常検出時刻を表示するものである。図9に示す要注意一覧表画面では、異常検出時刻領域53は図7に示す要注意一覧表と同期しているので、異常が発生した検出コード「2」、「3」、「5」、「6」の異常検出時刻領域53には、「xx/xx/xx xx:xx」が表示され、異常が発生していない検出コード「1」、「4」、「7」、「8」の異常検出時刻領域53には、「−−/−−/−− −−:−−」が表示される。
映像表示操作領域54は、映像を表示する映像表示領域541、映像表示領域541で映像を再生するためのタッチ操作を受け付ける再生ボタン542、映像表示領域541で再生された映像を停止するためのタッチ操作を受け付ける停止ボタン543、乗りかご13内の液晶CPI138に映像を表示するためのタッチ操作を受け付ける乗りかご用表示ボタン544、乗りかご13内の液晶CPI138に映像を継続して表示するためのタッチ操作を受け付ける乗りかご用継続表示ボタン545、及び乗りかご13内の液晶CPI138に映し出された乗客の顔にマスクする処理の設定を行う顔マスク設定チェックボックス546から構成されている。
図8において、S805の処理の後、管理人は、要注意一覧表示部105Aに表示された要注意一覧表画面の異常検出時刻領域53から自分が確認したい映像を決定し、異常検出時刻領域53のうち該当する異常検出時刻をタッチ操作すると、Webブラウザ105Bは、管理人からの異常検出時刻の選択を受け付ける(S806)。すなわち、Webブラウザ105Bは、異常検出時刻領域53の中から特定の検出時刻の選択を受け付ける選択受付部として機能する。次に、Webブラウザ105Bは、当該異常検出時刻をWebサーバ104Aに通知すると、Webサーバ104Aは、通信制御部46に対して、管理人によって選択された異常検出時刻の映像を要求する。
通信制御部46は、Webサーバ104Aからの要求を受けると、映像記録部43Aに記録された映像の中から管理人によって選択された異常検出時刻の前後の所定の時間(例えば、異常検出時刻の前後1分)における映像を切り出して抽出し(S807)、当該映像をWebサーバ104Aに送信する。Webサーバ104Aは、通信制御部46から映像を受信すると、当該映像をWebブラウザ105Bに転送する。
次に、Webブラウザ105Bは、Webサーバ104Aから映像を受信すると、要注意一覧表示部105Aの要注意一覧表画面における映像表示操作領域54の映像表示領域541に当該映像を再生して表示し(S808)、本実施形態に係る情報処理端末105への要注意一覧表画面の表示処理を終了する。
ここで、乗客の不適切な行動はエレベーター101毎に異なっているので、エレベーター101によっては異常の検出件数が多すぎたり、あるいは少なすぎたりする場合がある。この場合には、管理人が映像を選定し難くなるので、情報処理端末105を用いて閾値記録部442B〜448Bに記録された各閾値を調整する作業が行われる。例えば、Webブラウザ105Bが要注意一覧表画面とは異なるWebページの画面を表示することにより、管理人がタッチ操作によって各閾値を適正な値に自由に変更することが可能となる。これにより、管理人による映像の選定の円滑化を図ることができる。
次に、本実施形態に係る液晶CPI138への注意画面の表示処理について、図10のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
ここで、S808の処理の後、管理人は、要注意一覧表示部105Aの要注意一覧表画面における映像表示操作領域54の映像表示領域541に表示された映像を確認し、その映像を乗客に対して提示する必要があると判断した場合、映像表示操作領域54の乗りかご用表示ボタン544をタッチ操作する。このとき、管理人は、乗客のプライバシーを保護するために、液晶CPI138に表示される映像に対して、顔マスクの処理を施す必要があると判断した場合、映像表示操作領域54の顔マスク設定チェックボックス546をタッチ操作してチェックを挿入することにより、顔マスクの処理を設定することができる。
図10に示すように、Webブラウザ105Bは、管理人による乗りかご用表示ボタン544のタッチ操作が行われたか否かを判断する(S1001)。このとき、Webブラウザ105Bは、乗りかご用表示ボタン544のタッチ操作が行われていないと判断すると(S1001/NO)、S1001の処理が繰り返される。
一方、S1001において、Webブラウザ105Bは、乗りかご用表示ボタン544のタッチ操作が行われたと判断すると(S1001/YES)、S806の処理において、管理人によって選択された異常検出時刻に対応する検出コードを指定する。すなわち、Webブラウザ105Bが種別情報指定部として機能する。続いて、Webブラウザ105Bは、液晶CPI138への注意画面の表示をWebサーバ104Aに要求する。
Webサーバ104Aは、Webブラウザ105Bからの要求を受けると、通信制御部46を通じて当該要求を表示映像選択部47に出力する。次に、表示映像選択部47は、S1001において指定された検出コードを指定検出コード記録部47Aに記録すると共に、映像記録部43Aに記録された映像の中から管理人によって選択された異常検出時刻の前後の所定の時間(例えば、異常検出時刻の前後1分)における映像を切り出して抽出し(S1002)、通信制御部46を通じて、顔マスクの処理が設定されているか否かを確認する(S1003)。
このとき、表示映像選択部47は、顔マスクの処理が設定されていないことを確認すると(S1003/NO)、S1002において抽出した映像を表示スケジュール制御部49に送信して表示映像記録部49Aに記録した後、後述のS1005の処理が行われる。一方、S1003において、表示映像選択部47は、顔マスクの処理が設定されていることを確認すると(S1003/YES)、S1002において抽出した映像を顔マスク処理部48に送信する。
次に、顔マスク処理部48は、表示映像選択部47から映像を受信すると、図11に示すように、当該映像に対して顔マスクの処理を行った後(S1004)、顔マスクの処理が完了した映像を表示スケジュール制御部49に送信して表示映像記録部49Aに記録する。続いて、表示スケジュール制御部49は、表示映像記録部49Aに記録された映像を読み出すと、図11に示すように、当該映像に対して「このような行為はエレベーターが故障するのでお止め下さい」旨の注釈を付加する処理を行った注意画面を作成し、液晶CPI138の表示を乗りかご13の運行情報等の通常画面から注意画面に切り換えた後(S1005)、この注意画面に当該映像を再生して表示する(S1006)。
ここで、管理人は、要注意一覧表示部105Aの要注意一覧表画面における映像表示操作領域54の映像表示領域541に表示された映像を確認し、その映像を乗客に対して継続的に提示する必要があると判断した場合、映像表示操作領域54の乗りかご用継続表示ボタン545をタッチ操作する。
S1006の処理の後、Webブラウザ105Bは、管理人による乗りかご用継続表示ボタン545のタッチ操作が行われたか否かを判断する(S1007)。このとき、Webブラウザ105Bは、乗りかご用継続表示ボタン545のタッチ操作が行われていないと判断すると(S1007/NO)、後述のS1010の処理が行われる。
一方、S1007において、Webブラウザ105Bは、乗りかご用継続表示ボタン545のタッチ操作が行われたと判断すると(S1007/YES)、液晶CPI138への注意画面の継続表示をWebサーバ104Aに要求する。Webサーバ104Aは、Webブラウザ105Bからの要求を受けると、通信制御部46を通じて当該要求を表示映像選択部47に出力する。
次に、表示映像選択部47は、要注意一覧表記録部45Aに記録された異常検出時刻の中から指定検出コード記録部47Aに記録された検出コードに対応する異常検出時刻を検索し(S1008)、当該異常検出時刻が検出されたか否かを判断する(S1009)。このとき、表示映像選択部47は、異常検出時刻が検出されたと判断すると(S1009/YES)、当該異常検出時刻の前後の所定の時間(例えば、異常検出時刻の前後1分)における映像を切り出して抽出し(S1002)、S1003からの処理が繰り返される。これにより、S1006において、液晶CPI138に表示された注意画面が更新され、管理人によって指定された検出コードに対応する最新の映像を乗客に提示することができる。
一方、S1009において、表示映像選択部47は、異常検出時刻が検出されていないと判断すると(S1009/NO)、表示スケジュール制御部49が、液晶CPI138の表示を注意画面から乗りかご13の運行情報等の通常画面に切り換え(S1010)、本実施形態に係る液晶CPI138への注意画面の表示処理を終了する。
このように構成した本実施形態に係る映像監視システムによれば、要注意一覧表示部105Aの要注意一覧表画面において、エレベーター101の故障を誘発する乗客の不適切な行動の発生時刻である異常検出時刻が、各検出コードに対応する状態毎に一覧表示されることにより、管理人が要注意一覧表画面から目的の映像を容易に選択して映像表示操作領域54の映像表示領域541に迅速に再生することができる。そして、管理人は、映し出された映像から乗客の行動を確認し、その映像を乗客に対して提示する必要があると判断した場合には、映像表示操作領域54の乗りかご用表示ボタン544をタッチ操作することにより、乗客の不適切な行動の証拠となる映像が乗りかご13内の液晶CPI138に表示されるので、乗客に対して自分の行動を改善するように促すことができる。このように、本実施形態は、目的の映像を乗客に効率良く提示することができ、不適切な行動を行った乗客に対する指導を適切に行うことができるので、エレベーター101の故障を未然に防止することができる。
また、本実施形態では、表示映像選択部47は、要注意一覧表記録部45Aに記録された異常検出時刻の中から管理人によって指定された検出コードに対応する異常検出時刻を定期的に検索しているので、新たに異常検出時刻が検出されれば、液晶CPI138に表示された注意画面の映像が更新される。一方、異常検出時刻が検出されなければ、液晶CPI138に表示された注意画面の映像が映像記録部43Aから削除され、液晶CPI138の表示が注意画面から通常画面に切り換わる。このように、本実施形態は、管理人によって指定された検知コードに合致する最新の映像を液晶CPI138に継続して表示できるので、乗客の不適切な行動の抑制効果を高めることができる。
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、本実施形態では、Webサーバ104Aは監視センター104内に設置されているが、本発明はこの場合に限らず、Webサーバ104Aは、例えば、映像管理装置102内に搭載されてもよい。