以下、使用者が手を触れることなく、衛生的なトイレットペーパーホルダー1の本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。先ず、前記トイレットペーパーホルダー1は、大きく分けて、トイレットを構成する部屋の室内空間を形成する壁面に固定される取付部材を構成する取付板2と、この取付板2に固定されるホルダー本体3とから構成される。
本実施形態では、前記取付板2は、例えば木材で構成し、前記ホルダー本体3は硬質の合成樹脂材料で構成するが、これに限らず、種々の材質が考えられる。この場合、前記ホルダー本体3は当初より一体成形で作製してもよいし、別部材を固定して一体化してもよい。また、前記取付板2は硬質の合成樹脂材料で構成してもよい。
なお、前記取付板2は、前記ホルダー本体3が取り付けられる前に、トイレットを構成する部屋の前記壁面に取り付けてもよいし、前記ホルダー本体3が取り付けられた後の状態で、前記壁面に取り付けてもよい。この場合、前記壁面を構成する材質に応じて、ネジ、釘等の固定部材を使用して前記取付板2を前記壁面に取り付け固定してもよいし、接着剤や、両面テープ(両面粘着テープ)等を介して取り付けてもよい。例えば、前記両面テープを使用した場合には、大掛かりな取付工事をすることなく、極めて簡単に前記壁面に取り付け固定することができる。また、面ファスナーを使用して、前記取付板2を前記トイレットを構成する部屋の前記壁面に取り付けてもよい。
前記ホルダー本体3は、それぞれ上端部が半円状に切除されて平行に配設される両側壁3A、3Bと、前記両側壁3A、3Bと上端の高さレベルが同じであるが前記両側壁3A、3Bより高さ寸法が短い後壁3Cと、前記両側壁3A、3Bと上端の高さレベルが同じであるが前記両側壁3A、3Bより高さ寸法が短いもので前記後壁3Cと平行に配設される前壁3Dと、前記両側壁3A、3Bと前記前壁3Dと前記後壁3Cとで形成される上面開口を閉塞するもので断面が半円状の上壁3Eとから構成され、下面は開口している。また、トイレットペーパーP(二点鎖線で示す。)を収納し易いように、前記ホルダー本体3の前記前壁3Dは前記両側壁3A、3Bより高さ寸法が短く、下部が開口していると共に、前記トイレットペーパーPを上方へ導くために、前記後壁3Cも前記両側壁3A、3Bより高さ寸法が短く、下部が開口している。
そして、前記両側壁3A、3B、前記前壁3D、前記後壁3C及び前記上壁3Eにより、左右のいずれの横方向(水平方向)から、少なくとも、左手又は右手の人差し指が入れるような空間S1が形成されることとなる。
なお、前記両側壁3A、3Bの上端部を半円形状に切除するだけで、前記上壁3Eを必ずしも設けなくともよい。このようにしても、前記両側壁3A、3B、前記前壁3D及び前記後壁3Cとにより、前述したような空間S1が形成されることとなる。このような空間S1を形成することにより、後述するように、使用者が前記ホルダー本体3に手を触れることなく、この空間S1内に片方の手の指(例えば、「人差し指又は中指、或いは両指」、以下同じ。)を入れて、この片方の手でトイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで、必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができる。
なお、図1及び図2において、二点鎖線で示す前記トイレットペーパーPは、シングル又はダブルのもの、ミシン目があるもの又は無いもの、紙管があるもの又は無いものの、いずれであってもよい。
そして、前記後壁3Cより少し後方へ延びた前記側壁3A、3Bの後端部は、例えば左側がヒンジ(例えば、平蝶番)5を介して前記取付板2に連結され、右側が工具を使用することなく固定部材6を介して前記取付板2に着脱自在に取り付け、取り外しが手でできるように取り付けられる。
なお、前記両側壁3A、3Bの後端部は、逆に右側が前記ヒンジ5を介して前記取付板2に接続され、また左側が前記固定部材6を介して前記取付板2に着脱自在に取り付けてもよい。従って、前記トイレットペーパーPのセット時に、前記固定部材6の固定を解除することにより、前記ホルダー本体3は一側の前記ヒンジ5の支軸5Cを介して他側を前方へと回動させることができる。
なお、本実施形態では、前記ヒンジ5は一方の面5Aが前記取付板2にネジ5Dで固定され、他方の面5Bが前記後壁3Cより後方へ突出した前記側壁3Bの後端壁3B1の内側にネジ5Dで固定され、支軸5Cを支点として、このヒンジ5により工具を使用することなく、前記ホルダー本体3は右側が手で開閉可能に前方及び後方へと回動することができる。
そして、前述したように、前記側壁3Aの後端部は前記固定部材6を介して前記取付板2に、工具を使用することなく着脱自在に取り付け、取り外しができるように取り付けられるが、本実施形態では、前記後壁3Cより後方へ突出した前記側壁3Aの後端壁3A1の内側面(後面でもよい)と前記取付板2の前面には、各磁石6A、6Bの対向する側が、互いに磁極が異なるように配設されてネジ7により取り付け固定される。従って、磁力により両磁石6A、6Bが吸着することにより、前記ホルダー本体3は閉じられ、逆に使用者は手で磁力に抗して前記ホルダー本体3の右部を前記ヒンジ5により前方へ回動させて開くことができる。
なお、前記ホルダー本体3の前記後壁3Cより後方へ突出した前記側壁3A又は3Bの後端壁3A1又は3B1の内側面(後面でもよい)と前記取付板2の前面の一方には磁石を取り付け固定し、他方には前記磁石に対応する部位に鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性体から成る磁石吸着体、例えば鉄板を取り付け固定してもよい。
そして、前記ホルダー本体3の前記側壁3A、3Bの下部の内側(内側面)には、ロール状のトイレットペーパーPを回転可能に支持するペーパー支持部材8が設けられ、即ち前記側壁3A、3Bの下部の内側の対向する部位に伸縮可能な概ね棒状の支持体9を支持する支持溝(図示せず)がそれぞれ形成されて、両支持溝内に前記支持体9の各挿入凸部9Aが挿入されると、前記トイレットペーパーPは両側壁3A、3B間で前記ペーパー支持部材8に回転可能に支持される。
具体的には、図3に示すように、前記支持体9の両端部には縮径の前記挿入凸部9Aが外方へ突出するように形成され、通常は前記支持体9が内蔵されたバネ(図示せず)の付勢力により伸長した状態で、即ち前記支持体9の一方9Bの縮径部9B1が他方9Cの開口部内に挿入されるも抜けない状態で伸長した状態で、各挿入凸部9Aが前記側壁3A、3Bに形成された前記側壁3A、3Bに設けられた前記支持溝にそれぞれ挿入され、前記トイレットペーパーPは前記ホルダー本体3に回転可能に支持される。
また、前記バネの付勢力に抗して前記支持体9を短縮すると、即ち前記支持体9の一方9Bの縮径部9B1を更に他方9Cに挿入させるようにして短縮させて各挿入凸部9Aを前記支持溝から外せるので、この外した状態にしてから未使用の前記トイレットペーパーPの中央開口部内に前記支持体9を挿通させて、前記支持体9を短縮又は伸長させながら各挿入凸部9Aを前記支持溝にそれぞれ挿入させることにより、前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3に収納し、セットできる。
この場合、外径が最大寸法である未使用の前記トイレットペーパーPが前記支持体9に支持された状態では、このトイレットペーパーPはその上方に位置する前記前壁3Dの下端には当接しないように、前記前壁3Dの上下方向の長さと下端の高さレベルが決められる。また同じく、未使用の前記トイレットペーパーPが前記支持体9に支持された状態では、前記後壁3Cに当接しないように、前記支持体9の回転中心と前記後壁3Cの下端との間の距離が考慮され、前記後壁3Dの上下方向の長さと下端の高さレベルが決められる。このため、使用者は前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3に収納し、セットでき、前記トイレットペーパーPは前記ホルダー本体3に回転可能に支持されることとなる。
なお、前記トイレットペーパーPを回転可能に支持する構造は、種々考えられ、例えば前述したような構造の前記支持体9に限らず、伸縮可能な蛇腹状の構造のものでもよく、伸縮可能な1本の前記支持体9に代えて、前記ホルダー本体3の前記側壁3A、3Bの内側の対向する部位に、それぞれ起伏可能な支持体(図示せず)を設けて、この一対の支持体により前記トイレットペーパーPを回転可能に支持するようにしてもよい。
即ち、前記トイレットペーパーPを支持する構造は、種々の形態があり、前記ホルダー本体3に前記トイレットペーパーPを簡単に取り付けられれば足りる。このようにして、前記ホルダー本体3に、前記トイレットペーパーPを回転可能に支持した状態で収納できる。
なお、図2に示すように、前記後壁3Cの裏面には、前記トイレットペーパーPの引き出しの際の上昇するときに適度の抵抗を与えることにより、空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにするためのものである抵抗付与部材10が取り付け固定される。この抵抗付与部材10は、種々の構造のものが考えられるが、本実施形態では、前記後壁3Cの裏面に固定される固定部分10Aと、この固定部分10Aの下部を斜め上方に折り返した抵抗付与部分10Bとから構成される。
なお、前記抵抗付与部材10を前記後壁3Cの裏面に取り付け固定したが、前記抵抗付与部分10Bが上部に向かうに従って前記取付板2から徐々に離れる度合を増すことにより前記空間S2に入り込む度合が増すように、前記取付板2の表面に取り付けるようにしてもよい。
この抵抗付与部分10Bと前記固定部分10Aとの成す角度は、例えば5度〜20度前後であって、折り返された前記抵抗付与部分10Bの上端には先端部には概ね三角形状の複数の鋸歯10Cが形成されている。なお、前記トイレットペーパーPの引き出しの際の抵抗の度合を増減するために、前記抵抗付与部分10Bと前記固定部分10Aとの成す角度を調整することにより対応できる。
なお、前記抵抗付与部材10Bは、種々の形態が考えられるが、前記トイレットペーパーPの引き出しの際の上昇するときに適度の抵抗を与えることにより、空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができるものであればよく、要は引き出し時のブレーキを与えるものであり、例えば、表面に滑り止め加工を施したものや、摩擦を生じるような材質で形成したものでもよい。また、前記抵抗付与部材10は、引き出しの際に空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができる。
そして、前記前壁3Dの上端部、即ち前記前壁3Dの上面には、この前壁3Dに沿って前記トイレットペーパーPを切断するための切断部材となるカッター11が上向きに埋設されて取り付けられているが、前述した埋設に限らず、単に前記前壁3Dの上端部に固定手段(例えば、ネジ等)で固定するようにしてもよい。
なお、前記カッター11(正確には、記カッター11の鋸歯11Aが形成されている部分)の長手方向の長さは、前記トイレットペーパーPの幅よりも十分長く、前記トイレットペーパーPの幅の全域が前記カッター11の鋸歯11Aに当たり、確実にミシン目以外の箇所においても前記トイレットペーパーPを断できる。
前記前壁3Dと前記後壁3Cとの高さレベルは同じか略同じ高さレベルであって、前記カッター11の上端は前記前壁3Dから上方へ突出するように配設されるので、前記前壁3Dと前記後壁3Cとの間の前記トイレットペーパーPの高さレベルは僅か後方へ向けて低いものの概ね水平であるが、前記カッター11の鋸歯11Aの上端と前記後壁3Cとの高さレベルを同じか略同じ高さレベルとし前記前壁3Dの高さレベルを前記後壁3Cと高さレベルより低くしてもよい。
なお、前記カッター11は、本実施形態では鉄等の金属製で上端部に前記鋸歯11Aが形成されたものであるが、これに限らず、材質は合成樹脂製であったり、鋸歯の形状も単に三角形状の鋸歯であったり、凹凸を交互に形成したものであってもよい。
以上説明したような構成により、以下前記トイレットペーパーPの前記トイレットペーパーホルダー1への収納(セット)の仕方について、説明する。先ず、磁力により両磁石6A、6Bが互いに吸着されて、前記ホルダー本体3が閉じられている状態において、使用者は内蔵する前記バネの付勢力に抗して前記支持体9を短縮させて、各挿入凸部9Aを前記支持溝から外した状態にしてから未使用の前記トイレットペーパーPの中央開口部内に前記支持体9を挿通させる。
そして、前記支持体9を短縮又は伸長させながら各挿入凸部9Aを前記両側壁3A、3Bの前記支持溝にそれぞれ挿入させることにより、前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3に収納する。この場合、前記トイレットペーパーPの端部が下方から後斜め上方へ引き上げられるように収納する。
そして、このように前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3内に収納した後、使用者は手で両磁石6A、6Bの磁力に抗して、前記ホルダー本体3を前記ヒンジ5を支点として、右部を前方へ回転させた状態にする。更に、前記トイレットペーパーPの開放側の端部を室内に向って手前方向に垂れ下げてから後方に導き、次いで前記ホルダー本体3の前記後壁3Cに沿って斜め上方へ移動させ、更に上方へ移動させた後、前記後壁3C及び前記前壁3D上端部の前記カッター11に上方から掛かるようにし、前記トイレットペーパーPの開放側の端部が前記カッター11より前方に位置するように移動させる。
しかる後、使用者が前記ホルダー本体3を左側の前記ヒンジ5の前記支軸5Cを介して右側を後方へと回動させて、両磁石6A、6Bを互いに吸着させて、前記ホルダー本体3を閉じる。このようにして、使用者は前記トイレットペーパーホルダー1を使用できるような状態にすることができる。
従って、使用者はトイレットに入り、用をたした後に、前記トイレットペーパーPを使用する際には、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記前壁3Dと前記後壁3Cと前記両側壁3A、3Bと前記上壁3Eにより、形成された前記空間S1内に片方の手の指を入れて、既に前記トイレットペーパーPの摘み代が確保されているので、一目瞭然に前記トイレットペーパーPの開放側端部(切り口側端部)を見つけてこの片方の手で摘まむことができ、必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができる。
その際、前記ホルダー本体3の両側壁3A、3Bと前記後壁3Cと前記取付板2とで形成される空間S2内を、前記トイレットペーパーPはこの空間S2内に入り込んでいる前記抵抗付与部分10Bに接触しながら、即ち適度な抵抗を受けながら上昇するので、空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができる。
なお、前記抵抗付与部材10はその折り返し部を起点として、その抵抗付与部分10Bが上部に向かうに従って前記後壁3Cから徐々に離れる度合を増すことにより前記空間S2に入り込む度合が増すように傾斜しているが、引き出しの際に、前記トイレットペーパーPの移動の際の進行方向とほぼ同じ順方向となるように前記空間S2に入り込んでいるので、前記トイレットペーパーPは前記空間S2内に入り込んでいる前記抵抗付与部分10Bの前記鋸歯10Cに接触して適度な抵抗を受けながら上昇することとなり、前述したように、前記トイレットペーパーPの引き出しの際に、空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができる。
従って、片方の手で前記トイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで、確実に必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができ、その後に前記トイレットペーパーPを下方へ引くことにより、前記前壁3D上端部に設けられた前記カッター11により、このカッター11の上部を支点として切断することができる。
また、この切断の際には、前記カッター11の鋸歯11Aが前記トイレットペーパーPに食い込みながら切断することになるので、前記トイレットペーパーPの滑り出しも制限できるので、確実に切断できると共に引き出しをする手とは異なる他方の手で前記トイレットペーパーPを直接又は間接的に押さえる必要が無く、容易に切断することができる。
切断後は前記トイレットペーパーPの切断された端部が前記カッター11の鋸歯11Aに食い込まれた状態となるため、前記トイレットペーパーPの開放側端部は前記カッター11と前記後壁3Cとに接触して概ね水平状態となっている。
このため、前記トイレットペーパーPの開放側端部は前記空間S1によって摘まみ易い状態にしたまま切断されており、次回使用時にも、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記空間S1内に横方向から片方の手の指を入れて、この片方の手で前記トイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで、必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができる。従って、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記トイレットペーパーPを手で引き出すことができると共に片手で切断できるから、衛生的で簡単に引き出し切断ができる。
以上のように、本実施形態によれば、前記トイレットペーパーPを片手で引き出すことができると共に片手で切断できるようにし、且つ前記トイレットペーパーPをその引き出し時に引き出し過ぎないように、前記抵抗付与部材10により適度の抵抗を持たせるようにして、確実に所望の長さ分だけ手前方向に引き出せるようにすることができる。
この切断の際には、前記カッター11の鋸歯11Aが前記トイレットペーパーPに食い込みながら切断することになるので、前記トイレットペーパーPの滑り出しも制限できるので、確実に切断できると共に引き出しをする手とは異なる他方の手で前記トイレットペーパーPを直接又は間接的に押さえる必要が無く、容易に切断することができる。
しかも、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記トイレットペーパーPを片手で引き出すことができると共に片手で切断できるから、衛生的で簡単に引き出し切断ができる。
また、前記後壁3Cより少し後方へ延びた一方の前記側壁3B(又は3A)の後端部は前記ヒンジ5により前記取付板2に連結し、他方の前記側壁3A(又は3B)は工具を使用することなく手で前記固定部材6を介して前記取付板2に着脱自在に取り付け、取り外しができるように取り付けたから、前記固定部材6による前記取付板2への固定を解除することにより前記ホルダー本体3を前記ヒンジ5により回動させられ、前記ホルダー本体3に前記トイレットペーパーPをセットするのが容易であり、更には一般に前記トイレットペーパーPの上方に回動可能に設けられる上蓋体を設ける必要ないからコンパクトである。
次に、本発明の衛生的な前記トイレットペーパーホルダー1の第2の実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。なお、この第2の実施形態においては、前述した第1の実施形態と異なる点を主として重点的に説明するが、同一の符号については、同一の機能又は類似の機能を果たすものとする。
先ず、第1の実施形態を示す図2における前記抵抗付与部材10に代えて、第2の実施形態においては、前記取付板2の表面に内容物を収容して指で押圧すると形状が変形して凹むような容器である押圧体21を固定する。
この第2の実施形態では、この押圧体21は、内容物の収容量を増加させると膨らんだり又は減少させると凹んで薄くなって収容体積を調整できるような容器を使用し、出入口を備えた口金21Aと、この口金21Aの出入口を開閉する蓋体21Bを開いて適宜な前記内容物を入れた後、閉じることにより、収容体積を調整でき、結果として、この押圧体21が前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3の前記後壁3Cの裏面に押圧する押圧力が調整できるので、収容体積を調整することにより適度な押圧力で押圧することができる。このため、前記トイレットペーパーPの引き出しの際の上昇移動するときに、適度の抵抗を与えることにより、空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができる。
なお、前記内容物は、空気等の気体や飲料等の液体のような少しの力を加えると容易に変形する物質である流体でも、またゲル状の食品や、ゾル状の食品(ポタージュスープ、固形ではないヨーグルトやはちみつ等)等でもよい。
そして、前述したように、収容体積を調整した状態の前記押圧体21を、例えば両面テープを使用して前記取付板2に着脱自在に固定し、前記ホルダー本体3を前記ヒンジ5を支点として、右部を前方へ回転させた状態において、前記トイレットペーパーPの開放側の端部を室内に向って手前方向に垂れ下げてから後方に導き、次いで前記ホルダー本体3の前記後壁3Cに沿って斜め上方へ移動させ、更に上方へ移動させた後、前記後壁3C及び前記前壁3D上端部の前記カッター11に上方から掛かるようにし、前記ホルダー本体3を左側の前記ヒンジ5の前記支軸5Cを介して右側を後方へと回動させて、両磁石6A、6Bを互いに吸着させて、前記ホルダー本体3を閉じる。
すると、前記押圧体21が前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3の前記後壁3Cの裏面に適当な押圧力で押圧し、前記トイレットペーパーPの引き出しの際の上昇移動するときに適度の抵抗を与えることにより、言い換えると、適度な抵抗を受けながら上昇移動できることにより、前記トイレットペーパーPが空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができる。
なお、前述したように、前記押圧体21を両面テープを使用して前記取付板2に着脱自在に固定したが、これに限らず、固定の仕方、構造については、例えば面ファスナーを使用してもよく、この場合、面ファスナーの一方を前記押圧体21に、他方を前記取付板2に取り付ければよく、更には接着剤その他の固定手段で固定してもよく、また必ずしも着脱自在に固定するものでなくともよい。
また、前記押圧体21は、内容物を収容して押圧すると形状が変形して凹むような容器であればよく、例えばキャップ付のスタンド袋や、キャップ付のガゼット袋や、キャップ付の変形袋等で構成でき、例えばポリエチレンフィルムや、ラミネートフィルム等の材質で袋が構成されるが、本第2の実施形態ではキャラクターが表示されたキャップ付の変形袋を使用する。このキャラクターが表示されたキャップ付の変形袋を使用すると、見て楽しく、遊び心を生じさせ、特に子供にとって、好適である。
しかし、これらに限らず、内容物を収容する量を変更することにより収容体積を調整できるような容器であるが、必ずしもキャップ付でなくともよく、また収容体積を調整できないものでもよく、前記トイレットペーパーPの移動の際に、適度の押圧力によって適度の抵抗を与えられるような収容体積を有するものを使用してもよい。
そして、前記ホルダー本体3の前記前壁3Dの上面及び前面の、例えば右端部(左端部や、左右両端部でもよい。)において、前記カッター11の右端部の上方に跨るように断面が略180度の円弧状を呈する手指保護部材22の開放端部のそれぞれを前記前壁3Dの上面、前面に埋設して固定する。しかし、前記手指保護部材22は、使用者の手指を保護するものであって、必ずしも、前述したような前記カッター11の右端部の上方に跨るように配置しなくともよく、使用者の手指が前記カッター11に触れにくくなるように邪魔するものであればよい。
従って、本第2の実施形態のように、前記カッター11の右端部の上方に跨るように配置しても、前記手指保護部材22が跨らない残りの前記カッター11の鋸歯11Aにより、前記トイレットペーパーPが切断できるように、前記トイレットペーパーPの前記鋸歯11Aの幅方向の長さが必要であると共に前記手指保護部材22を配置する必要がある。なお、前記前記手指保護部材22の材質は、合成樹脂材料やその他の金属材料で作製してもよく、使用者の手指が触れても傷つかないような材質や、形状であればよい。
以上のように、使用者の指を保護する前記手指保護部材22を設けることにより、前記トイレットペーパーPの引き出し時や切断時に、前記前壁3Dの上面に前記鋸歯11Aが上向きに設けられた前記カッター11に触れにくくなるように邪魔をして、使用者の手指を傷つけないように保護することができる。
また、片方の手で前記トイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで必要な長さ分だけ手前方向に引き出して、その後に前記トイレットペーパーPを下方へ引いて前記トイレットペーパーPを切断する時に、前記トイレットペーパーPが移動しないように保持する役目を果たすペーパー保持部材23を前記ホルダー本体3の前記前壁3Dの上面の前記カッター11の後方位置に設ける。
なお、この第2の実施形態では、前記カッター11の右端部の上方に跨るように前記手指保護部材22の開放端部のそれぞれを前記前壁3Dの上面、前面に埋設して固定したが、これに限らず、前記ペーパー保持部材23を前記ホルダー本体3の前記前壁3Dの右端部又は右端部直前位置まで延ばして、前記手指保護部材22の上の開放端部を前記ペーパー保持部材23に固定するか、前記ペーパー保持部材23及び前記前壁3Dの上面に固定するか、前記ペーパー保持部材23を貫通して前記前壁3Dの上面に固定するようにしてもよく、要は直接にか間接的に前記前壁3Dに固定すればよい。
なお、前述したように、第2の実施形態では、前記手指保護部材22を前記ホルダー本体3の前記前壁3Dの右端部に設けたために、前記トイレットペーパーPを切断する時には、直下方に引いて切断してもよいが、左下方向に向けて引いて切断してもよく、前記前壁3Dの左端部に設けた場合には、右下方向に向けて引いて切断してもよい。
このペーパー保持部材23は、その上面にその頂部の高さレベルが前記カッター11の鋸歯11Aの高さレベルと同じか僅か低い、例えば三角錐の突起23Aを複数個備える。このように、複数個備の前記突起23Aを備える前記ペーパー保持部材23により、前記トイレットペーパーPを下方へ引いて前記トイレットペーパーPを切断する時に、前記トイレットペーパーPが移動しないように保持することができるから、確実に前記トイレットペーパーPを切断することができる。なお、前記突起23Aは、三角錐に限らず、四角錐、五角錐、その他多角錐の形状でもよい。
また、ペーパー保持部材23として、前記トイレットペーパーPが移動しないように保持することができるように、合成樹脂材料又はアルミニウム等で作製されたおろしがねの一部を、引き出す際にその突起や起立片が前記トイレットペーパーPに食い込むように、複数個連続して配列してもよく、上面が粗面である、例えば研磨剤の接着してある基部が紙又は布である研磨布紙や、平板状の金属やすり等を使用してもよい。
以上説明したような構成により、以下第2の実施形態について説明するが、先ず前記トイレットペーパーPの前記トイレットペーパーホルダー1への収納(セット)の仕方について、説明する。先ず、前記ホルダー本体3が閉じられている状態において、使用者は前記支持体9を短縮させて、各挿入凸部9Aを前記支持溝から外した状態にしてから未使用の前記トイレットペーパーPの中央開口部内に前記支持体9を挿通させる。
そして、前記支持体9を短縮又は伸長させながら各挿入凸部9Aを前記両側壁3A、3Bの前記支持溝にそれぞれ挿入させることにより、前記トイレットペーパーPの端部が下方から後斜め上方へ引き上げられるように前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3に収納する。
そして、このように前記トイレットペーパーPを前記ホルダー本体3内に収納した後、使用者は手で両磁石6A、6Bの磁力に抗して、前記ホルダー本体3を開いた状態にする。更に、前記トイレットペーパーPの開放側の端部を手前方向に垂れ下げてから後方に導き、次いで前記ホルダー本体3の前記後壁3Cに沿って斜め上方へ移動させ、更に上方へ移動させた後、前記後壁3C及び前記前壁3D上端部の前記カッター11に上方から掛かるようにし、前記トイレットペーパーPの開放側の端部が前記カッター11より前方に位置するように移動させる。しかる後、使用者が前記ホルダー本体3を閉じて、使用者は前記トイレットペーパーホルダー1を使用できるような状態にすることができる。
従って、使用者はトイレットに入り、用をたした後に、前記トイレットペーパーPを使用する際には、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記前壁3Dと前記後壁3Cと前記両側壁3A、3Bと前記上壁3Eにより、形成された前記空間S1内に片方の手の指を入れて、既に前記トイレットペーパーPの摘み代が確保されているので、一目瞭然に前記トイレットペーパーPの開放側端部(切り口側端部)を見つけてこの片方の手で摘まむことができ、必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができる。
しかも、前記トイレットペーパーPの開放側端部(切り口側端部)を見つけてこの片方の手で摘まむ時や引き出し時には、使用者の手指が前記前壁3Dの上面に前記鋸歯11Aが上向きに設けられた前記カッター11に触れにくくなるように前記手指保護部材22が邪魔をして、使用者の手を傷つけないように保護することができる。
その引き出しの際、前記トイレットペーパーPは前記ホルダー本体3の両側壁3A、3Bと前記後壁3Cと前記取付板2とで形成される前記空間S2内を上昇するが、前記トイレットペーパーPは前記押圧体21により前記ホルダー本体3の前記後壁3Cの裏面に適当な押圧力で押圧されており、この前記トイレットペーパーPの引き出しの際の上昇移動するときに、前記トイレットペーパーPは適度の抵抗が与えられ、空回りすることよって生じる引き出し過ぎをしないようにすることができる。
なお、前記口金21Aの出入口を開閉する前記蓋体21Bを開いて前記内容物を出したり又は入れたりした後、前記蓋体21Bを閉じることにより、収容体積を調整することにより、前記トイレットペーパーPに対する前記押圧体21による押圧力を調整することができる。このため、押圧力が大きい場合には過度の抵抗により前記トイレットペーパーPが千切れたり、又は押圧力が小さいと抵抗の不足により前記トイレットペーパーPが空回りして引き出し過ぎが起こるが、前記押圧力を調整することにより、千切れたり又は引き出し過ぎしないようにすることができる。
従って、片方の手で前記トイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで、確実に必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができ、その後に前記トイレットペーパーPを下方へ引くことにより、前記前壁3D上端部に設けられた前記カッター11により、このカッター11の上部を支点として切断することができる。
また、この切断の際には、前記カッター11の鋸歯11Aが前記トイレットペーパーPに食い込みながら切断することになるので、前記トイレットペーパーPの滑り出しも制限できるので、確実に切断できると共に引き出しをする手とは異なる他方の手で前記トイレットペーパーPを直接又は間接的に押さえる必要が無く、容易に切断することができる。
しかも、片方の手で前記トイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで必要な長さ分だけ手前方向に引き出して、その後に前記トイレットペーパーPを下方へ引いて前記トイレットペーパーPを切断する際には、前記ペーパー保持部材23が前記トイレットペーパーPが移動しないように保持する役目を果たすので、前記カッター11により確実に切断できる。
そして、切断後は前記トイレットペーパーPの切断された端部が前記カッター11の鋸歯11A及び前記ペーパー保持部材23の前記突起23Aに食い込まれた状態となるため、前記トイレットペーパーPの開放側端部は前記カッター11と前記後壁3Cとに接触して概ね水平状態となっている。
このため、前記トイレットペーパーPの開放側端部は前記空間S1によって摘まみ易い状態にしたまま切断されており、次回使用時にも、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記空間S1内に横方向から片方の手の指を入れて、この片方の手で前記トイレットペーパーPの開放側端部を摘まんで、必要な長さ分だけ手前方向に引き出すことができる。従って、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記トイレットペーパーPを手で引き出すことができると共に片手で切断できるから、衛生的で簡単に引き出し切断ができる。
以上のように、第1及び第2の実施形態によれば、前記トイレットペーパーPを片手で引き出すことができると共に片手で切断できるようにし、且つ前記トイレットペーパーPをその引き出し時に引き出し過ぎないように、前記抵抗付与部材10又は前記押圧体21により適度の抵抗を持たせるようにして、確実に所望の長さ分だけ手前方向に引き出せるようにすることができる。
この切断の際には、前記カッター11の鋸歯11A又は前記ペーパー保持部材23の前記突起23Aが前記トイレットペーパーPに食い込みながら切断することになるので、前記トイレットペーパーPの滑り出しも制限できるので、確実に切断できると共に引き出しをする手とは異なる他方の手で前記トイレットペーパーPを直接又は間接的に押さえる必要が無く、容易に切断することができる。
しかも、前記ホルダー本体3に手を触れることなく、前記トイレットペーパーPを片手で引き出すことができると共に片手で切断できるから、衛生的で簡単に引き出し切断ができる。
更には、前記手指保護部材22を設けることにより、前記トイレットペーパーPの引き出し時や切断時に、前記前壁3Dの上面に前記鋸歯11Aが上向きに設けられた前記カッター11に触れにくくなるように邪魔をして、使用者の手を傷つけないように保護することができる。
また、前記後壁3Cより少し後方へ延びた一方の前記側壁3B(又は3A)の後端部は前記ヒンジ5により前記取付板2に連結し、他方の前記側壁3A(又は3B)は工具を使用することなく手で前記固定部材6を介して前記取付板2に着脱自在に取り付け、取り外しができるように取り付けたから、前記固定部材6による前記取付板2への固定を解除することにより前記ホルダー本体3を前記ヒンジ5により回動させられ、前記ホルダー本体3に前記トイレットペーパーPをセットするのが容易であり、更には一般に前記トイレットペーパーPの上方に回動可能に設けられる上蓋体を設ける必要ないからコンパクトである。
なお、前述した第2の実施形態で説明した前記手指保護部材22や、前記ペーパー保持部材23を第1の実施形態に適用してもよく、適用することにより第2の実施形態と同様な効果が得られる。
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代表例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代表例、修正又は変形を包含するものである。