JP6572542B2 - 論理シミュレーション方法、論理シミュレーション装置及びプログラム - Google Patents
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Description
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の論理シミュレーション方法及び論理シミュレーション装置の一例を示す図である。
ロック検出部12は、検出された位相差に基づき、PLL回路の出力クロックの周波数(以下出力周波数という)が目標とする周波数(以下目標周波数という)に対して所定の範囲内に収束しているか否かを判定する。
平滑化処理部14は、生成された周波数情報を平滑化する。
分周部16は、生成された出力クロックを分周してフィードバッククロックを生成する。
その後、プロセッサ2は、生成した周波数情報を平滑化する(ステップS3)。図1には、ステップS2の処理で生成される周波数情報(周波数調整部13の出力)と、平滑化後の周波数情報(平滑化処理部14の出力)の一例が示されている。これらは、SSCGのシミュレーションモデルにおいて生成される周波数情報の例である。縦軸はSSCGの出力周波数を示し、横軸は時間を示している。図1のように、平滑化前には、時間に対して急激な周波数変動がみられるが、平滑化後には、急激な周波数変動が抑えられている。
以上のように、本実施の形態の論理シミュレーション方法及び論理シミュレーション装置では、フィードバッククロックとリファレンスクロックとの位相差に基づく周波数情報を平滑化することで、シミュレーション特有の急激な周波数変動を抑えられる。そのため、分周比が変動する分周回路を備えたPLL回路の実際の動作を精度よく再現できる。
以下、第2の実施の形態の論理シミュレーション方法及び論理シミュレーション装置の一例を示す。
論理シミュレーション装置20は、たとえば、コンピュータであり、プロセッサ21によって装置全体が制御されている。プロセッサ21には、バス29を介してRAM(Random Access Memory)22と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ21は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ21は、たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ21は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
図3は、論理シミュレーション装置の一例の機能ブロック図である。
論理シミュレーション装置20は、論理ライブラリ31、物理仕様検出部32、監視部33、警告出力部34、シミュレーション実行部35を有している。
SSCGには、目標周波数を上限として周波数を変動させるダウンスプレッドと、目標周波数を中心として周波数を変動させるセンタースプレッドがある。図4には、ダウンスプレッドの場合の周波数の変動の様子が示されており、図5には、センタースプレッドの場合の周波数の変動の様子が示されている。
図3の説明に戻る。
シミュレーション実行部35は、論理ライブラリ31の記述をもとに、アナログ回路の論理シミュレーションを実行する。
(シミュレーション実行部35の機能ブロック図)
図6は、シミュレーション実行部の一例の機能ブロック図である。シミュレーション実行部35の要素は、図1に示した、シミュレーションモデル10の要素に対応しているものも含む。
リファレンスクロック生成部40は、所定の周波数のリファレンスクロックを生成する。
位相差検出部41aは、上記のフィードバッククロックと、リファレンスクロックとの位相差を検出する。
平滑化処理部41dは、生成された周波数情報を平滑化する。平滑化処理部41dは、ローパスフィルタなどで実現が可能である。
以下、平滑化処理部41dの例を説明する。
図7は、平滑化処理部の一例を示す図である。
平滑化処理部41dは、N−1(N≧2)個の遅延部51a1,51a2,51a3,…,51aN−1及び加算部52a1,52a2,…,52aN−2,52aN−1と、除算部53を有している。
このような平滑化処理部41dによれば、周波数調整部41cから出力される、最新の周波数値と、過去N−1回分の周波数値、すなわちN回分の周波数値の平均値が最新の出力周波数となる。
図10は、整数逓倍PLL回路のシミュレーションモデルの一例を示す図である。図6に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
また、図12は、平滑化処理部を有さないシミュレーションモデルを用いた場合のFractional−N PLLの出力周波数の一例の様子を示す図である。
なお、図11の例において、目標周波数は1000MHz(リファレンスクロックの周波数の100逓倍)で、前述したセンタースプレッドで、出力周波数が変動している。変調率は5%(目標周波数に対して±2.5%)、変調周波数は9.8kHz(リファレンスクロックの周波数の1/1024)である。
図11、図12のいずれの場合も、短期間で発生する急激な周波数変動(シミュレーション特有の周波数変動)が多くみられる。たとえば、図12の例では、出力周波数の全体の平均は1005MHz程度となるが、1005MHz−10MHzから、1005MHz+20MHzの範囲で出力周波数の急激な変動がみられる。
また、図14は、平滑化処理部を有するシミュレーションモデルを用いた場合のFractional−N PLLの出力周波数の一例の様子を示す図である。
なお、入力条件は、平滑化処理部41dにおける前述のNを、N=128とした以外は、図11、図12に示した例と同じである。
以上のように、平滑化処理を行うことで、シミュレーション特有の短期間での急激な周波数変動が抑えられ、分周比が変動する分周回路を備えた実際のPLL回路の回路動作を精度よく再現できるようになる。
ところで、平滑化処理部41dは、図7に示したようなものに限定されない。以下、平滑化処理部41dの他の例を説明する。
図15は、平滑化処理部の他の例を示す図である。
平滑化処理部41daは、加算部70、乗算部71、加算部72、レジスタ部73、乗算部74、加算部75を有している。
乗算部71は、加算部70の出力値に係数αを乗ずる。
レジスタ部73は、加算部72の出力値を、たとえば、トリガ信号による所定の周期で取得する。そして、レジスタ部73は、取得した加算部72の出力値を、その周期の時間分、出力する。なお、トリガ信号による上記の周期は、長くなると緩やかな周波数変動も抑制してしまうため、位相差検出部41aが位相比較を行う周期や、周波数調整部41cが周波数情報を出力する周期よりも短いことが望ましい。
加算部75は、乗算部71,74の出力値を加算して、平滑化後の周波数情報として出力する。
このような平滑化処理部41daにおいて、レジスタ部73には、初期値として、たとえば、目標周波数の値が保持されている。周波数調整部41cから、周波数情報として、ある周波数値が加算部70に供給されると、加算部70によって、その周波数値とレジスタ部73に保持されている周波数値(初期値は目標周波数の値)との差分がとられる。この差分に対して、乗算部71で係数αが乗ぜられることによって、差分は小さくなる。そのため、加算部75から出力される周波数値において、差分の影響は小さくなる。
また、図17は、図15に示した平滑化処理部を有するシミュレーションモデルを用いた場合のFractional−N PLLの出力周波数の一例の様子を示す図である。
なお、入力条件は、図15の平滑化処理部41daのα、ρをそれぞれ0.001、0.999とした他は、図11、図12に示した例と同じである。
以下、図3に示した論理シミュレーション装置20及び図6に示したようなシミュレーション実行部35による論理シミュレーション方法の一例の流れをフローチャートで説明する。なお、論理シミュレーション装置20及びシミュレーション実行部35は、図2に示したプロセッサ21による制御で実現されるため、以下では処理の主体をプロセッサ21として説明する。
図18、図19は、論理シミュレーションの一例の流れを示すフローチャートである。
プロセッサ21は、HDD23から論理シミュレーションのためのプログラムを読み出し実行する。これにより、論理シミュレーションが開始される。図18の例では、まず、プロセッサ21は、たとえば、HDD23に格納されている論理ライブラリ31を読み出し、論理ライブラリ31に記述されている検証対象のアナログ回路の物理仕様を検出する(ステップS10)。
プロセッサ21は、リファレンスクロックが物理仕様を満たしていると判定した場合、PLL回路の出力クロックが物理仕様を満たすか否かを判定する(ステップS13)。
プロセッサ21は、出力クロックが物理仕様を満たしていると判定した場合、シミュレーション実行部35の分周部42の機能を実行し、所定の分周比でフィードバッククロックを生成する(ステップS14)。分周比が変動する分周回路を備えたPLL回路の論理シミュレーションを行う場合は、次回のフィードバッククロック生成時に用いる分周比を生成する(ステップS15)。
プロセッサ21は、フィードバッククロックが物理仕様を満たしていると判定した場合、シミュレーション実行部35の位相差検出部41aの機能を実行し、リファレンスクロックとフィードバッククロックの位相差を検出する(ステップS17)。プロセッサ21は、位相差を検出すると、周波数調整部41cの機能を実行し、出力周波数の候補値を示す周波数情報を生成する(ステップS18)。そして、プロセッサ21は、平滑化処理部41d,41daの機能を実行し、生成した周波数情報に対して、前述したような平滑化処理を行う(ステップS19)。
ステップS19,S20の後、プロセッサ21は、出力部41eの機能を実行し、出力クロックを生成する(ステップS21)。また、プロセッサ21は、ステップS20の処理でロックを検出した場合には、位相差が所定の範囲内に収まった旨を示すロック信号を生成する(ステップS22)。プロセッサ21は、ステップS20の処理でロックを検出しなかった場合には、ロックしていない旨を示すロック信号を生成する。
図20は、図7に示した平滑化処理部を用いる場合の平滑化処理の一例の流れを示す図である。
平滑化処理部41daを用いた平滑化処理では、プロセッサ21は、周波数調整部41cの機能により生成した周波数値と、予め、たとえば、RAM22に保持している周波数値との差分を算出する(ステップS19c)。この処理は、図15に示した平滑化処理部41daの加算部70の処理に相当する。
その後、プロセッサ21は、ステップS19dとステップS19eの処理で得られた値を加算する。これによって出力周波数が算出される(ステップS19f)。この処理は、平滑化処理部41daの加算部75の処理に相当する。
2 プロセッサ
3 記憶部
10 シミュレーションモデル
11 位相差検出部
12 ロック検出部
13 周波数調整部
14 平滑化処理部
15 出力部
16 分周部
Claims (12)
- 分周比が変動する分周回路を備えたPLL回路の動作を再現する論理シミュレーション方法において、
プロセッサが、前記PLL回路のフィードバッククロックとリファレンスクロックとの位相差を検出し、
前記プロセッサが、前記位相差に基づいて、前記PLL回路から出力される出力クロックの第1の周波数値を示す第1の周波数情報を生成し、
前記プロセッサが、前記第1の周波数情報を平滑化して前記出力クロックの第2の周波数値を示す第2の周波数情報を生成し、
前記プロセッサが、前記第2の周波数情報に基づき周波数が前記第2の周波数値である前記出力クロックを生成する、
ことを特徴とする論理シミュレーション方法。 - 前記プロセッサは、連続するN(N≧2)回分の前記位相差の検出結果に基づいて生成したN個の前記第1の周波数値を平均化することで、前記第2の周波数値を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の論理シミュレーション方法。
- 前記プロセッサは、
前記第1の周波数値と予め保持している第3の周波数値との第1の差分に第1の係数を乗じて、前記第1の差分より小さい第2の差分を算出し、
前記第3の周波数値に前記第1の係数より大きい第2の係数を乗じた値を、前記第2の差分に加算することで、前記第2の周波数値を生成し、
前記第2の差分に前記第3の周波数値を加えた値で、前記第3の周波数値を更新する、ことを特徴とする請求項1に記載の論理シミュレーション方法。 - 前記PLL回路は、スペクトラム拡散クロック生成器または小数逓倍機能を有するPLL回路であることを特徴とする請求項1に記載の論理シミュレーション方法。
- 分周比が変動する分周回路を備えたPLL回路の動作を再現する論理シミュレーション装置において、
前記PLL回路のフィードバッククロックとリファレンスクロックとの位相差を検出する位相差検出部と、
前記位相差に基づいて、前記PLL回路から出力される出力クロックの第1の周波数値を示す第1の周波数情報を生成する周波数調整部と、
前記第1の周波数情報を平滑化して前記出力クロックの第2の周波数値を示す第2の周波数情報を生成する平滑化処理部と、
前記第2の周波数情報に基づき周波数が前記第2の周波数値である前記出力クロックを生成する出力部と、
を有することを特徴とする論理シミュレーション装置。 - 分周比が変動する分周回路を備えたPLL回路の動作を再現するプログラムであって、
前記PLL回路のフィードバッククロックとリファレンスクロックとの位相差を検出し、
前記位相差に基づいて、前記PLL回路から出力される出力クロックの第1の周波数値を示す第1の周波数情報を生成し、
前記第1の周波数情報を平滑化して前記出力クロックの第2の周波数値を示す第2の周波数情報を生成し、
前記第2の周波数情報に基づき周波数が前記第2の周波数値である前記出力クロックを生成する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。 - 前記プロセッサは、現在の前記位相差に基づいて生成された前記第1の周波数値を、過去の前記位相差に基づいて生成された前記第1の周波数値を用いて平滑化することで前記第2の周波数値を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の論理シミュレーション方法。
- 前記平滑化処理部は、現在の前記位相差に基づいて生成された前記第1の周波数値を、過去の前記位相差に基づいて生成された前記第1の周波数値を用いて平滑化することで前記第2の周波数値を生成する、ことを特徴とする請求項5に記載の論理シミュレーション装置。
- 現在の前記位相差に基づいて生成された前記第1の周波数値を、過去の前記位相差に基づいて生成された前記第1の周波数値を用いて平滑化することで前記第2の周波数値を生成する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
- 前記プロセッサが、前記出力クロックが前記PLL回路の物理仕様を満たすか否かを判定し、
前記プロセッサが、前記出力クロックが前記物理仕様を満たしていないとき、警告を出力し、
前記警告が出力されたとき、前記プロセッサがシミュレーションを終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の論理シミュレーション方法。 - 監視部が、前記出力クロックが前記PLL回路の物理仕様を満たすか否かを判定し、
警告出力部が、前記出力クロックが前記物理仕様を満たしていないとき、警告を出力し、
前記警告が出力されたとき、シミュレーションが終了される、
ことを特徴とする請求項5に記載の論理シミュレーション装置。 - 前記出力クロックが前記PLL回路の物理仕様を満たすか否かを判定し、
前記出力クロックが前記物理仕様を満たしていないとき、警告を出力し、
前記警告が出力されたとき、シミュレーションを終了する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
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