図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。以下において、アイランドの板厚方向をZ方向、Z方向に直交する一方向をX方向と示す。また、Z方向及びX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。特に断わりのない限り、上記したX方向及びY方向により規定されるXY面に沿う形状を平面形状とする。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図3に基づき、電子装置の概略構成について説明する。電子装置は、たとえば車載電子制御装置として用いられる。図1は、図3のI-I線に相当する断面図である。図2は、図3のII-II線に相当する断面図である。
図1及び図2に示すように、電子装置10は、モールドパッケージ20、基板30、はんだ40,41、及び樹脂成形体50を備えている。
モールドパッケージ20は、電子部品21、アイランド22、リード23、及びモールド樹脂24を有している。電子部品21は、基板30の配線とともに回路を形成する。電子部品21は、半導体チップに回路素子が形成されてなる。電子部品21は、たとえばICチップである。電子部品21は、平面略矩形状をなしている。矩形状を構成する2組の相対する辺のうち、一方がX方向に沿い、他方がY方向に沿っている。
アイランド22及びリード23は、リードフレームを構成している。アイランド22は、所定厚を有する金属板である。アイランド22は、平面略矩形状をなしている。アイランド22は、アイランド22の板厚方向であるZ方向において、搭載面22aを有している。搭載面22aには、接着材などのダイボンド材25を介して、電子部品21が固定されている。搭載面22aには、電子部品21が配置されている。アイランド22のうち、搭載面22aと反対の放熱面22bは、後述するようにモールド樹脂24から露出されている。放熱面22bも、平面略矩形状をなしている。
リード23は、電子部品21と電気的に接続されている。リード23は、モールド樹脂24の内部で電子部品21と電気的に接続されている。リード23は、ボンディングワイヤ26を介して、電子部品21と電気的に接続されている。リード23の一部は、基板30と電気的に接続が可能なように、モールド樹脂24から露出されている。リード23は、モールドパッケージ20における外部接続端子である。モールドパッケージ20は、複数のリード23を有している。
本実施形態では、モールドパッケージ20としてQFP(Quad Flat Package)を採用している。リード23は、モールド樹脂24の内外にわたって延設されている。リード23は、モールド樹脂24の側面24aから外部に突出している。リード23は、平面略矩形状をなすモールド樹脂24の4つの側面24aのそれぞれから外部に突出している。リード23は、モールド樹脂24の内部に配置されたインナーリード部と、モールド樹脂24から外部に突出したアウターリード部を有している。アウターリード部は、屈曲部を有しており、Z方向において基板30側に延設されている。
モールド樹脂24は、電子部品21、アイランド22、及びリード23を一体的に封止している。モールド樹脂24は、電子部品21を被覆保護している。モールド樹脂24は、アイランド22及びリード23について、それぞれの一部分を封止している。モールド樹脂24は、たとえば熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて形成されている。モールド樹脂24も、平面略矩形状をなしている。モールド樹脂24は、基板30との対向面である下面24bを有している。下面24bは、側面24aに連なる面である。上記したアイランド22の放熱面22bは、下面24bに対して略面一で露出されている。下面24b側において、放熱面22bが中心に位置し、下面24bが放熱面22bを取り囲んでいる。下面24bが、モールド樹脂24の一面に相当する。下面24bの外周端は、平面略矩形状をなしている。
このように、モールドパッケージ20は、モールド樹脂24の下面24bからアイランド22の放熱面22bが露出され、電子部品21の生じた熱を外部に放熱可能となっている。
基板30は、絶縁基材31に配線が配置されてなる。基板30は、配線基板とも称される。絶縁基材31は、樹脂などの電気絶縁性材料を用いて形成されている。基板30(絶縁基材31)は、Z方向においてモールドパッケージ20との対向面である一面30a及び一面30aと反対の面である裏面30bを有している。一面30aが、基板30における対向面に相当する。基板30には、導体パターン及びビアが配置されている。本実施形態では、絶縁基材31に導体パターンが多層に配置されている。ビアは、異なる層の導体パターンを接続している。配線は、導体パターン及びビアを備えて構成されている。
図1〜図3に示すように、基板30は、第1ランド32、第2ランド33、及び貫通溝34を有している。第1ランド32は、基板30の一面30aに設けられている。第1ランド32は、アイランド22の放熱面22bに対応して設けられている。第1ランド32は、一面30aにおける放熱面22bとの対向部位に設けられている。
第1ランド32は、はんだ40を介して、アイランド22に接続されている。第1ランド32には、ダイボンド材25、アイランド22、及びはんだ40を介して、電子部品21の熱が伝達される。第1ランド32は、放熱用のランドである。第1ランド32は、たとえばビアを介して、裏面30bに配置された図示しない導体パターンに接続されている。すなわち、電子部品21の熱を基板30の裏面30b側に放熱できるようになっている。第1ランド32は、回路を形成する配線ではなく、基板30において電気的な接続機能を提供しない導体パターンである。
第1ランド32は、放熱面22bに対向する対向面32a、Z方向において対向面32aと反対の裏面32b、及び対向面32aと裏面32bとを繋ぐ外周面32cを有している。外周面32cは、外側面とも称される。Z方向において外周面32cの一端に対向面32aが連なり、他端に裏面32bが連なっている。
第2ランド33は、リード23の露出部分に対応して複数設けられている。本実施形態では、上記したようにモールドパッケージ20としてQFPを採用しており、複数の第2ランド33が、Z方向からの投影視においてモールドパッケージ20を取り囲むように設けられている。詳しくは、下面24bの外周端に沿って複数の第2ランド33が設けられている。本実施形態では、平面略矩形状をなす外周端の各辺に対して、それぞれ9つの第2ランド33が設けられている。
第2ランド33は、はんだ41を介して、対応するリード23に接続されている。第2ランド33は、配線の電極部(端子部)である。第2ランド33は、回路を形成する配線であり、基板30において電気的な接続機能を提供する導体パターンである。
第1ランド32及び第2ランド33は、一面30aに配置された同一層の導体パターンであり、形状以外は互いに同じ構成となっている。したがって、厚みが互いにほぼ等しくなっている。第1ランド32及び第2ランド33は、たとえば一面30a上に配置された金属箔(銅箔)をパターニングすることで形成されている。金属箔上に、さらにめっき膜を有してもよい。
貫通溝34は、第1ランド32をZ方向に貫通している。貫通溝34は、第1ランド32の対向面32a及び裏面32bにわたって設けられている。貫通溝34は、Z方向に対して直交する方向に延設されている。貫通溝34は、アイランド22と第1ランド32とを接合するはんだ40に、後述する流路42を形成するために設けられている。貫通溝34の形成部位において、絶縁基材31が露出されている。貫通溝34は、第1ランド32の外周面32cに開口している。貫通溝34の詳細については後述する。
はんだ40は、アイランド22と第1ランド32との間に介在している。はんだ40は、アイランド22と第1ランド32を接合している。はんだ41は、リード23と第2ランド33との間のそれぞれに介在している。はんだ41は、リード23と第2ランド33を接合している。
上記したように、貫通溝34が、第1ランド32に形成されている。また、絶縁基材31が、貫通溝34から露出されている。絶縁基材31は、はんだ40に対する濡れ性が低く、はんだ付け時において、はんだ40が濡れ拡がらない。はんだ40は、第1ランド32において、対向面32aと貫通溝34の側面(第1ランド32の内側面)とに濡れ拡がる。このため、電子装置10は、貫通溝34に沿って形成された流路42を有している。流路42は、貫通溝34の底面である絶縁基材31の表面、及び、はんだ40を壁面として形成されている。流路42は、貫通溝34の底面を壁面としてはんだ40との間に形成されている。流路42は、はんだ40外に連通している。図2では、流路42の端部を破線で示している。
本実施形態では、はんだ40として、フラックス含有のはんだが用いられる。はんだ付けが完了した状態で、フラックスは、はんだ40に対して表出する。このため、はんだ付け後であって樹脂成形体50の成形前に、洗浄液によってフラックスの洗浄がなされる。
樹脂成形体50は、基板30の一面30aごと、モールドパッケージ20を封止している。樹脂成形体50は、モールドパッケージ20及び一面30aを一体的に封止している。樹脂成形体50は、モールドパッケージ20及び一面30aに接触しつつ、これらを覆っている。本実施形態では、基板30の裏面30bが樹脂成形体50から露出されている。電子装置10は、ハーフモールド構造をなしている。樹脂成形体50は、モールドパッケージ20と基板30との対向空間にも充填されている。
樹脂成形体50は、たとえば熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて形成されている。樹脂には、必要に応じて、アルミナやシリカ等のフィラーが添加されてもよい。樹脂成形体50は、たとえばトランスファモールド法やコンプレッションモールド法により形成されている。
以上のように構成される電子装置10は、モールドパッケージ20及び基板30をそれぞれ準備し、モールドパッケージ20を基板30にはんだ付けし、フラックス除去の洗浄を行った後、樹脂成形体50を形成することで得ることができる。
次に、図1〜図3に基づき、貫通溝34と、流路42に充填される樹脂成形体50について詳細に説明する。
貫通溝34は、第1ランド32の外周面32cに対して一端のみが開口する袋小路状をなしている。貫通溝34は、それぞれ複数の端部を有している。複数の端部のうち、一端のみが外周面32cに開口する開口端340とされ、残りは閉じた端部である終端341となっている。
本実施形態では、第1ランド32の対向面32aの外周端、すなわち外周面32cが平面略矩形状、詳しくは平面正方形をなしている。矩形状を構成する2組の相対する辺のうち、一方がX方向に沿い、他方がY方向に沿っている。外周面32cは、X方向において相対する一対の面と、Y方向において相対する一対の面を有している。基板30は、4つの貫通溝34を有している。外周面32cの4面のそれぞれに、貫通溝34が1つずつ設けられている。外周面32cのうちのX方向において相対する面、すなわちY方向に沿う面に開口する貫通溝34は、Y方向の中央で開口するとともに、それぞれX方向に延設されている。外周面32cのうちのY方向において相対する面、すなわちX方向に沿う面に開口する貫通溝34は、X方向の中央で開口するとともに、それぞれY方向に延設されている。
各貫通溝34は、一直線状に延設されており、それぞれ終端341を1つのみ有している。各貫通溝34は、各辺の中央から矩形状の中心に向けて延設されている。開口端340から終端341までの延設方向に沿う延設距離は、開口端340から終端341までの直線距離と等しくなっている。各貫通溝34の延設長さは、各辺の長さの1/2よりも短い長さとなっている。貫通溝34の延設方向に直交する長さ、すなわち幅は、延設方向全長でほぼ一定となっている。また、すべての貫通溝34で同じ幅となっている。
このように、基板30は、X方向に沿って延設された2つの貫通溝34と、Y方向に沿って延設された2つの貫通溝34を有している。4つの貫通溝34により、第1ランド32の対向面32aは、5つの領域を有している。貫通溝34は、隣り合う2つの領域を隔てている。これにより、対向面32aは平面矩形状の四隅部に対応して4つの領域を有している。また、4つの貫通溝34により囲まれる領域を、対向面32aの中心付近に有している。中心付近の領域に、残りの4つの領域がそれぞれ連なっている。
流路42は、上記したように、貫通溝34の底面である絶縁基材31の表面、及び、はんだ40を壁面として形成されている。流路42は、貫通溝34に沿って形成されている。流路42は狭く、洗浄液が入りにくいため、流路42内のフラックスを洗浄しきれない。特に、流路42の奥側ほどフラックスが残りやすい。したがって、図2に示すように、流路42内にフラックス残渣43を有することとなる。フラックス残渣43は、たとえば貫通溝34の終端341付近、すなわち流路42の終端付近に存在する。フラックス残渣43は、流路42の終端付近において、はんだ40、終端341を規定する第1ランド32の内側面、アイランド22の放熱面22b、及び絶縁基材31の表面に接触している。
樹脂成形体50は、フラックスの洗浄後に形成される。樹脂成形体50の形成時に、軟化した樹脂は、モールドパッケージ20と基板30との対向空間に充填される。このとき、貫通溝34の開口端340、すなわち流路42の開口端から、流路42内に樹脂が入り込む。本実施形態では、貫通溝34、ひいては流路42が袋小路状となっている。したがって、成形の圧力により、軟化した樹脂は流路42に入り込むものの、終端341まで充填しきれず、図2に示すように、流路42の途中まで充填される。樹脂の成形圧と、流路42内に閉じ込められ、樹脂によって圧縮された空気の圧力とが釣り合うところまで、樹脂が充填される。このため、流路42の終端と樹脂成形体50との間に、空間44が形成される。また、軟化した樹脂によって流路42の途中で表出しているフラックスが奥側に押されるため、たとえば樹脂成形体50の端面にもフラックス残渣43を有することとなる。
このように、本実施形態の電子装置10は、貫通溝34に沿って形成された流路42内に、フラックス残渣43を有している。
次に、図4〜図6に基づき、上記した電子装置10の効果について説明する。図4は、モールドパッケージ20と基板30とを接続する工程、すなわちアイランド22と第1ランド32の接合工程を示している。図5も図4と同じ工程を示している。図6は、樹脂成形体50の成形工程を示している。図6では、便宜上、電子部品21、リード23、ダイボンド材25、及びボンディングワイヤ26を省略している。
放熱性の観点などから、アイランドと第1ランドの対向間隔は狭い。したがって、アイランドと第1ランドとを接合するはんだ中に、フラックス由来などのガスが閉じ込められ、ボイドが生じる虞があった。
これに対し、本実施形態では、第1ランド32に貫通溝34が形成されている。貫通溝34から露出する絶縁基材31の表面には、はんだ40が濡れ拡がらない。したがって、アイランド22と第1ランド32を接合するはんだ40と基板30との間に、貫通溝34に沿って流路42が形成される。流路42は、はんだ40が配置されていない領域であり、樹脂成形体50の形成前において空間である。貫通溝34は外周面32cに開口し、これにより、流路42がはんだ40外の空間に連通している。したがって、はんだ40のリフロー時に、フラックス由来などのガスが生じても、図4及び図5に示すように、流路42を通じてはんだ40外に逃がすことができる。すなわち、アイランド22と第1ランド32とを接合するはんだ40に、ボイドが生じるのを抑制することができる。図4及び図5では、ガスの流れを実線矢印で示している。
流路42を有する構成とすると、流路42の狭い空間にフラックスの洗浄液が入りにくいため、流路42内にフラックス残渣43を有することとなる。
フラックス残渣は、水分などの存在下で、イオンマイグレーションを引き起こす原因となる。イオンマイグレーションによりデンドライトが析出し、これが成長すると絶縁不良が生じる。したがって、樹脂成形体の形成時に、軟化した樹脂によってフラックス残渣が流路の外、すなわち、はんだ外に押し出されると、たとえば第2ランド間が短絡する虞がある。
これに対し、本実施形態では、貫通溝34の一端のみが、第1ランド32の外周面32cに開口している。すなわち、貫通溝34、ひいては流路42が袋小路状となっている。樹脂成形体50の形成時において、軟化した樹脂は、図6に示すように、開口端340側から流路42に入り込み、実線矢印で示すように、流路42内を流動する。しかしながら、開口端340と反対が閉じた端部である終端341となっているため、流路42内に入り込んだ樹脂は、流路42から出て行かず、流路42内に留まる。したがって、洗浄後も流路42内に残るフラックス残渣43が、樹脂成形体50の形成時に樹脂によって流路42から押し出されるのを抑制することができる。これにより、第2ランド33間の短絡など、フラックス起因の不良が生じるのを抑制することができる。
以上により、本実施形態の電子装置10によれば、はんだ40にボイドが生じるのを抑制しつつ、フラックス起因の不良発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、図7に示すように、貫通溝34として長溝34aを有している。図7では、すべて(4つ)の貫通溝34が長溝34aとなっている。
長溝34aは、終端341の少なくとも1つである第1終端341aと開口端340とを結ぶ直線距離L1よりも、開口端340から第1終端341aまでの貫通溝34に沿う延設距離L2のほうが長くされた貫通溝34である。本実施形態では、開口端340における幅方向の中心位置と、第1終端341aにおける幅方向の中心位置が、距離の位置基準となっている。
また、長溝34aは、開口端340を含む第1溝部342と、第1溝部342に連なり、第1溝部342とは異なる方向に第1終端341aまで延設された第2溝部343を有している。詳しくは、1つの第1溝部342に1つの第2溝部343が連なっている。図7では、第1溝部342と第2溝部343の境界を破線で示している。第2溝部343は、第1溝部342における開口端340とは反対の端部に連なっている。第2溝部343は、第1溝部342の延設方向に対して直交する方向に延設されている。
X方向に延設された第1溝部342に連なる第2溝部343は、Y方向に延設されている。Y方向に延設された第1溝部342に連なる第2溝部343は、X方向に延設されている。このように、本実施形態の長溝34aは、平面略L字状をなしている。長溝34aの先端が曲がっているため、鈎状をなしているとも言える。このように、すべての終端341が、第1終端341aとなっている。貫通溝34は、第1実施形態に示した貫通溝34に、第2溝部343を追加した構成となっている。
次に、上記した電子装置10の効果について説明する。
本実施形態では、貫通溝34として長溝34aを採用している。長溝34aは、上記したように、開口端340と第1終端341aとを結ぶ直線距離L1よりも、開口端340から第1終端341aまでの貫通溝34に沿う延設距離L2のほうが長い。このため、開口端340から第1終端341aまで一直線状の貫通溝34を設ける構成に較べて、複数の貫通溝34での連通を避けつつ、貫通溝34の長さ、すなわち流路42の長さを長くすることができる。これにより、フラックス残渣43を、開口端340からより遠い位置に保持することができる。
フラックス残渣43が存在すると、フラックス残渣43との界面で樹脂成形体50の剥離が生じる虞がある。この剥離は、貫通溝34(流路42)に沿って進展する。本実施形態では、長溝34aを採用しており、流路42が長い。フラックス残渣43を起点として樹脂成形体50の剥離が生じても、開口端340、すなわちアイランド22と第1ランド32とを接合するはんだ40の外周端までの距離が遠いため、はんだ40外まで剥離が進展し難い。したがって、高温時に、フラックス残渣43がはんだ40外に染み出すのを抑制することができる。すなわち、フラックス起因の不良発生を抑制することができる。また、はんだ40外まで剥離が進展し難いため、はんだ40へ熱応力などの応力が集中するのを抑制することができる。すなわち、はんだ40にクラックが生じるのを抑制することができる。
なお、長溝34aとして、平面湾曲形状を採用することもできる。これに対し、本実施形態では、第1溝部342及び第2溝部343を有する平面略L字状の長溝34aを採用している。これによれば、湾曲形状に較べて、同じ直線距離L1で延設距離L2をより長くすることができる。すなわち、流路42をより長くすることができる。したがって、上記した効果をより高めることができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、図8に示すように、貫通溝34として、長溝34a及び短溝34bを有している。短溝34bは、直線距離L1と延設距離L2が等しい貫通溝34である。短溝34bは、一直線状に延設された貫通溝34である。第1実施形態に示した貫通溝34も、短溝34bである。
図8では、基板30が、貫通溝34として、4つの長溝34aと4つの短溝34bを有している。長溝34aは、外周面32cのうち、Y方向において相対する面に開口している。外周面32cのうち、Y方向において相対する一対の面の一方に2つの長溝34aが開口し、他方に2つの長溝34aが開口している。4つの長溝34aは、第1溝部342と、同じ第1溝部342に連なる2つの第2溝部343を有している。2つの第2溝部343は、第1溝部342から互いに相反する方向に延設されている。
詳しくは、第1溝部342の延設途中に、2つの第2溝部343が連なっている。2つの第2溝部343は、第1溝部342の延設方向において同じ位置で、第1溝部342に連なっている。本実施形態では、第1溝部342がY方向に沿って延設されており、2つの第2溝部343がX方向にそって延設されている。このように、本実施形態の長溝34aは、平面略十字状をなしている。終端341のうち、第2溝部343の端部が第1終端341aとされ、第1溝部342における開口端340と反対の端部が第2終端341bとなっている。すなわち、終端341の一部のみが、直線距離L1よりも延設距離L2のほうが長い関係を満たしている。
短溝34bは、外周面32cのうち、X方向において相対する面に開口している。外周面32cのうち、X方向において相対する一対の面の一方に2つの短溝34bが開口し、他方に2つの短溝34bが開口している。4つの短溝34bは、開口端340から終端341までX方向に沿って延設されている。短溝34bは、長溝34aの第2溝部343の延長上に位置するように設けられている。短溝34bの延設長さは、第2溝部343の延設長さとほぼ同じとなっている。
上記した貫通溝34により、第1ランド32の対向面32aは、互いに連なる9つの領域を有している。対向面32aは、4つの長溝34aにより囲まれる第1領域を、対向面32aの中心付近に有している。この第1領域に対してX方向両側に第2領域が連なり、Y方向両側に第3領域が連なっている。また、第2領域それぞれに対してY方向両側に第4領域が連なっている。
本実施形態でも、貫通溝34として、長溝34aを有している。したがって、フラックス残渣43を、開口端340からより遠い位置に保持することができる。これにより、高温時に、フラックス残渣43がはんだ40外に染み出すのを抑制することができる。すなわち、フラックス起因の不良発生を抑制することができる。また、はんだ40にクラックが生じるのを抑制することができる。
なお、1つの第1溝部342に対して2つの第2溝部343が連なる構成としては、上記した平面略十字状に限定されない。2つの第2溝部343が、第1溝部342の終端341(第2終端341b)に連なる構成を採用することもできる。この場合、長溝34aは、平面略T字状をなす。
第1ランド32に対して、平面略十字状や平面略T字状の長溝34aのみが形成された構成を採用することもできる。
(第4実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電子装置10と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態では、図9に示すように、第1ランド32に3つの貫通溝34が形成されている。各貫通溝34は、第1ランド32の外周面32cのうち、Y方向において相対する面に開口するとともに、Y方向に延設されている。すなわち、Y方向に延びる3つの貫通溝34が、X方向に並んで設けられている。3つの貫通溝34が、X方向に所定間隔を有して設けられている。Y方向が、第1方向に相当する。
外周面32cのうち、Y方向において相対する一対の面の一方(以下、第1面と示す)には、X方向に並んで設けられた3つの貫通溝34のうち、真ん中に位置する貫通溝34が開口している。一対の面の他方、すなわち第1面と反対の面(以下、第2面と示す)には、両サイドに位置する2つの貫通溝34が開口している。
このように、本実施形態では、X方向において隣り合う2つの貫通溝34の一方が第1面に開口し、他方が第2面に開口している。すなわち、第1面と第2面とに交互に開口している。これにより、第1ランド32は、ミアンダ形状をなしている。ミアンダ形状は、蛇行形状、折り返し形状とも称される。
次に、図10及び図11に基づき、本実施形態の効果について説明する。図10は、参考例について示している。参考例では、本実施形態の要素と共通乃至関連する要素に対し、本実施形態の要素の符号末尾にrを加算した符号を付与している。
図10に示す参考例は、3つの貫通溝34rが、第1ランド32rの外周面32crのうち、同じ面(たとえば第1面)に開口している。それ以外の構成は、本実施形態と同じである。この構成において、流路又は第1ランド32r外の空間にガスを逃がすのに最も遠い位置P1rは、貫通溝34rの壁面及び外周面32crに接する最小内接円C1rから、図10に示す位置となる。図10では、最小内接円C1rを一点鎖線で示している。最小内接円C1rの半径はLrrである。
これに対し、本実施形態では、図11に示すように、3つの貫通溝34がX方向に並んで設けられており、隣り合う貫通溝34の一方が第1面に開口し、他方が第2面に開口している。この構成において、流路42又は第1ランド32外の空間にガスを逃がすのに最も遠い位置P1は、貫通溝34の壁面及び外周面32cに接する最小内接円C1から、図11に示す位置となる。図11でも、最小内接円C1を一点鎖線で示している。図11では、参考線として、参考例の最小内接円C1rを二点鎖線で示している。最小内接円C1の半径はLrとなり、参考例の半径Lrrよりも短くなる。
このように、本実施形態によれば、すべての貫通溝34が同じ面に開口する構成に較べて、はんだ40中から、流路42、又は、はんだ40外へガスを逃がす距離を短くすることができる。したがって、はんだ40にボイドが生じるのを効果的に抑制することができる。なお、図10に示した参考例も、貫通溝の一端のみが第1ランドの外周面に開口し、他端が閉じた終端となっているため、第1実施形態に記載の効果を奏することができる。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
貫通溝34の平面形状(パターン)は、上記例に限定されない。貫通溝34としては、第1ランド32をZ方向に貫通するとともにZ方向と直交する方向に延設され、第1ランド32の外周面32cに対して一端のみが開口する袋小路状をなしたものであれば採用することができる。すなわち、1つの貫通溝34につき、開口端340を1つのみ有し、残りの端部が終端341とされていればよい。
モールドパッケージ20はQFPに限定されない。アイランド22の放熱面22bがモールド樹脂24の下面24bから露出され、且つ、リード23の一部がモールド樹脂24から露出されるものであればよい。モールドパッケージ20として、リード23が下面24bにおける外周縁部から露出するQFN(Quad Flat Non-leaded package)を採用することもできる。
電子装置10は、ハーフモールド構造に限定されない。一面30aだけでなく裏面30b側も樹脂成形体50によって被覆された構成、すなわちフルモールド構造の電子装置10にも適用することができる。
流路42の終端付近、すなわち貫通溝34の終端341付近に空間44を有する例を示したが、これに限定されない。図12に示す変形例のように、空間44を有さない電子装置10を採用することもできる。減圧(真空)下で樹脂成形体50を形成すると、軟化した樹脂が終端341まで充填され、空間44のない電子装置10を得ることができる。この場合、軟化した樹脂によって流路42の途中で表出しているフラックスが奥側に押され、終端341付近にフラックス残渣43が集まる。
また、電子装置10が空間44を有する場合、流路42に占める空間44の割合は上記例に限定されない。樹脂成形体50は、開口端340から流路42の少なくとも一部まで充填されればよい。
貫通溝34の幅が、延設方向の全長で一定とされる例を示したが、これに限定されない。延設方向において、幅が異なる貫通溝34を採用することもできる。たとえば開口端340を終端341より狭くしてもよい。また、開口端340を終端341より広くしてもよい。
複数の貫通溝34で幅を同じとする例を示したがこれに限定されない。互いに異なる幅としてもよい。また、一部の貫通溝34だけ、他の貫通溝34と異なる幅としてもよい。