JP6569398B2 - リチウムイオン二次電池用負極活物質、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
リチウムイオン二次電池用負極活物質、およびリチウムイオン二次電池 Download PDFInfo
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Description
被覆する炭素は、多層に積層されたナノグラフェンであることが好ましい。ここで、ナノグラフェンとは、0.5nm以上50nm以下のサイズのグラフェンのことを示す。ナノグラフェンで被覆されることにより、電気伝導性を付加することができる。ナノグラフェン層の電気伝導率は、1000S/m以上である。
図2は、回転楕円体状のナノグラフェン被覆シリコン粒子の模式図である。回転楕円体状シリコン粒子201の表面に、ナノグラフェン被覆層202が形成された構造である。
シリコン粒子表面への炭素被覆量、混同するシリコン粒子量、混合する鱗片状黒鉛量を調整することにより、その電気容量を調整することが可能である。図4は、電気容量とシリコン粒子の重量の関係を示した図である。つまり、電気容量のシリコン重量比依存性を計算した結果である。炭素に対しては、リチウムイオンを充填した際の化学量論的組成を、LiC6と仮定し、その電気容量を372mAh/gとした。また、シリコンに対しては、リチウムイオンを充填した際の化学量論的組成を、Li15Si4と仮定し、その電気容量を3577mAh/gとした場合と、Li22Si5と仮定し、その電気容量を4197mAh/gとした場合について計算した。横軸のSi/(Si+C)のSiは、シリコン粒子の重量を、Cは、各種炭素の重量である。シリコン重量比を変えることで、炭素固有の電気容量から、シリコン固有の電気容量まで、幅広く制御することが可能である。現実的には、負極活物質中のシリコンの含有量が5重量%以上95重量%以下の複合材料を作製することが可能である。負極活物質におけるシリコン粒子の含有量は好ましくは、5重量%以上、95重量%以下である。この範囲内であれば、粒子形状を形成することが可能である。
鱗片状シリコン粒子は、平均直径が1ミクロンの球状シリコン粒子を、イソプロピルアルコールを溶媒とするビーズミル粉砕法により粉砕することにより作製した。球状シリコン粒子50gと、イソプロピルアルコール450gを混合し、直径が500ミクロンにジルコニア性ビーズを用いて、2時間粉砕した。ビーズミルを用いることで、球状シリコン粒子を粉砕するだけでなく、鱗片状シリコン粒子同士を分散させ、ダマとなることを防ぐことができる。
シリコン粒子表面へナノグラフェン被覆層の作製法を、図7を用いて説明する。図7はシリコン粒子表面へ炭素被覆の形成するための装置構成図である。サンプルボート701にシリコン粒子を入れて、反応炉702の中央付近に設置する。反応炉は、石英製であり、直径が5cm、長さが40cmである。水素ライン、アルゴンライン、プロピレンラインの流量はコントローラ704により調整できる。図7の水素ラインを用いて、水素ガスを200mL/minの流速で流し、反応炉を室温から1000℃まで、10℃/minでの速度で昇温し、さらに1000℃で1時間保持した。この熱処理工程により、シリコン粒子の表面に形成された自然酸化膜を還元することが可能である。その後、水素ラインを閉じ、アルゴンガスを200mL/minの流速で流し、10℃/minの速度で降温し、800℃まで降温した。800℃に達したところで、プロピレンガスを10mL/minの流速で導入し、同時にアルゴンガスの流速を190mL/minにして、炭素被覆層を1時間成長した。その後、プロピレンガスラインを閉じ、アルゴンガスを200mL/minの流速で流し、15min保持した後、自然冷却した。これにより、表面に、ナノグラフェン被覆層を作製されたシリコン粒子を作製できた。なお、上記方法により作製したナノグラフェン被覆層はナノグラフェンが多層に積層した構造であり、1000S/m以上の電気伝導率を有する。また、自然酸化膜を還元した後に炭素被覆層を形成させているため、炭素被覆層が酸化膜を介さずシリコン粒子に被覆している。
ナノグラフェン被覆シリコン粒子と鱗片状黒鉛との混合は、湿式ボールミル法により行った。ナノグラフェン被覆シリコン粒子80gと鱗片状黒鉛20gをイソプロピルアルコール400g中に加え、充分に撹拌した後、粒径1mmのジルコニア性ボールミルを用いて、混合することにより、鱗片状黒鉛の間にナノグラフェン被覆シリコン粒子が存在する負極活物質を得た。
シリコン粒子に炭素被覆処理を行わなかったこと以外実施例1と同様に負極活物質を作製した。
正極は以下の手順により作製した。正極活物質には、LiMn2O4を用いた。正極活物質の85.0wt%に、導電材として黒鉛粉末とアセチレンブラックをそれぞれ7.0wt%と2.0wt%を添加した。さらに、結着剤として6.0wt%のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記)(1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)に溶解した溶液)を加えて、プラネタリ−ミキサーで混合し、さらに真空下でスラリー中の気泡を除去して、均質な正極合剤スラリーを調製した。このスラリーを、塗布機を用いて厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一かつ均等に塗布した。塗布後ロールプレス機により電極密度が2.55g/cm3になるように圧縮成形した。これを切断機で裁断し、厚さ100μm、長さ900mm、幅54mmの正極801を作製した。
充放電容量は、市販の充放電測定装置を用いて測定を行った。作製した電池を装置にセットして10時間放置後、1Cの定電流条件で充放電を100回繰り返した。
Claims (9)
- 複数の鱗片状黒鉛と、表面が炭素被覆された鱗片状のシリコン粒子と、有し、
前記複数の鱗片状黒鉛は凝集して粒子形状を成し、
前記シリコン粒子は、前記複数の鱗片状黒鉛の間に存在し、
前記炭素は、多層に積層したグラフェンであって、
前記グラフェンの長径は1nm以上30nm以下であり、
前記グラフェンは、酸化膜を介さず前記シリコン粒子を被覆していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
前記シリコン粒子は少なくとも一つの鱗片状黒鉛に接していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
前記鱗片状黒鉛は、熱膨張黒鉛であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
前記シリコン粒子の含有量は、5質量%以上95質量%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
前記表面が炭素被覆された前記シリコン粒子の粒子径は、1nm以上100nm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
粒子径が1μm以上100μm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質であって、
前記鱗片状黒鉛の長径は、0.5μm以上100μm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極活物質。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質と、鱗片状黒鉛粒子と、を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質粒子を有する負極と、正極活物質を含む正極と、電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池。
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