本発明の第1,第2実施形態について、図面を参照して説明する。以下説明では、図1の上側、下側、左側、右側、手前側、奥側を、夫々、画像読取装置1の上側、下側、前側、後側、右側、左側とする。
−第1実施形態−
図1を参照して、画像読取装置1の概略構成について説明する。画像読取装置1は、筐体10、給紙トレイ16、及び排紙トレイ18を備える。筐体10は、第一筐体11及び第二筐体12を有する。第一筐体11及び第二筐体12の夫々の形状は、略箱形状である。第一筐体11は、筐体10の下部を形成する。第二筐体12は、第一筐体11に対して上側から重なる。第一筐体11と第二筐体12との上下方向における間の位置には、複数のシート35が搬送される搬送経路20が形成されている。搬送経路20は、画像読取装置1がシート35を取り込んで画像を読み取る過程で、シート35が通過する領域に対応する。搬送経路20は、給紙口10A及び排出口10Bによって筐体10の外側と繋がる。搬送経路20は、第一筐体11の上面と、第二筐体12の下面との間に定義される。
給紙トレイ16は、第一筐体11のうち給紙口10Aの後ろ側から、後方斜め上側に向けて延びる。給紙トレイ16は、略板形状である。給紙トレイ16の上側の面に、A4サイズ、レターサイズ等の薄紙又は厚紙からなる複数のシート35が載せられる。
排紙トレイ18は、第一筐体11のうち排出口10Bの下側から、前側に向けて延びる略板形状である。排紙トレイ18の上側の面は、排出口10Bから筐体10の外部に排出されるシート35を受ける。
第一筐体11には、給紙ローラ41、搬送ローラ91、及び搬送ローラ92が設けられる。給紙ローラ41、搬送ローラ91、及び搬送ローラ92は、搬送経路20に沿って後方斜め上側から前方斜め下側に順番に並ぶ。
給紙ローラ41は円柱状である。給紙ローラ41の回転軸線は、左右方向に延びる。給紙ローラ41の回転軸線に沿って軸部材42が延びる。軸部材42は、第一筐体11に回転可能に支持される。軸部材42は、後述する第一モータ71(図2参照)の回転に応じて回転する。給紙ローラ41は、軸部材42の回転に応じて、右側面視における反時計回りに回転する(矢印321)。給紙ローラ41の一部(例えば、給紙ローラ41の上に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。
搬送ローラ91、92は円柱状である。搬送ローラ91、92の回転軸線は、左右方向に延びる。搬送ローラ91、92は同一形状を有する。搬送ローラ91の回転軸線に沿って軸部材91Aが延びる。搬送ローラ92の軸線に沿って軸部材92Aが延びる。軸部材91A、92Aは、第一筐体11に回転可能に支持される。軸部材91A、92Aは、後述する第二モータ72(図2参照)の回転に応じて回転する。搬送ローラ91は、軸部材91Aの回転に応じて、反時計回りに回転する(矢印323)。搬送ローラ92は、軸部材92Aの回転に応じて、反時計回りに回転する(矢印324)。搬送ローラ91、92の一部(例えば、搬送ローラ91、92の上に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。
以下、搬送経路20に沿った方向を「搬送方向」という。搬送方向は、概して、前方斜め下側と後方斜め上側との間に亘って延びる方向に対応する。但し、搬送方向は、搬送経路20に沿った方向であるため、第一筐体11の上面と第二筐体12の下面との形状に対応し、直線方向として定義されなくてもよい。即ち、搬送方向は、搬送経路20における位置に応じて、前後、上下、左右方向に対する向きの関係が変化してもよい。搬送方向のうち、搬送経路20における給紙口10A側を「上流」という。搬送方向のうち、搬送経路20における排出口10B側を「下流」という。
第一筐体11は、第一読取部93を備える。第二筐体12は、第二読取部94を備える。第一読取部93及び第二読取部94は、後述する制御部50(図2参照)と電気的に接続する。第一読取部93は、搬送経路20の下側において、搬送方向において搬送ローラ91,92の間に設けられる。第二読取部94は、搬送経路20の上側において、搬送方向において搬送ローラ91,92の間に設けられる。第一読取部93及び第二読取部94は、左右方向に直線状に延びる。第一読取部93及び第二読取部94は、左右方向を主走査方向としている。第一読取部93は、搬送経路20に沿って上流から下流に向けて搬送されるシート35の、下面の画像を読み取る。第二読取部94は、搬送経路20に沿って上流から下流に向けて搬送されるシート35の上面の画像を読み取る。第一読取部93及び第二読取部94は、読み取った画像のデータを制御部50に出力する。
第二筐体12は、リバースローラ46、従動ローラ95,96、フロントセンサ691、及びリアセンサ693を備える。給紙ローラ41に対して上側に、リバースローラ46が配置される。リバースローラ46は円柱状である。リバースローラ46の直径は、給紙ローラ41の直径よりも小さい。リバースローラ46の回転軸線は左右方向に延びる。リバースローラ46の回転軸線に沿って軸部材47が延びる。軸部材47は、第二筐体12に回転可能に支持される。軸部材47は、後述する第二モータ72(図2参照)の回転に応じて回転する。リバースローラ46は、図示しないワンウェイクラッチを介して軸部材47に接続される。リバースローラ46は、軸部材47から、反時計回りの駆動力を受ける(矢印322)。ワンウェイクラッチの空転トルクは、シート35とリバースローラ46との間の摩擦力、及び、給紙ローラ41とリバースローラ46との間の摩擦力によって空転する値に設定されている。
一方、ワンウェイクラッチの空転トルクは、シート35同士の間の摩擦力によっては空転しない値に設定されている。このため、給紙ローラ41とリバースローラ46との間にシート35が存在しない場合、又は、一枚だけ存在する場合、リバースローラ46は、軸部材47から受ける駆動力に逆らって、時計回りに回転する。一方、給紙ローラ41とリバースローラ46との間にシート35が2枚以上存在する場合、リバースローラ46は、軸部材47から受ける駆動力に応じて、反時計回りに回転する。リバースローラ46の一部(例えば、リバースローラ46の下に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。リバースローラ46のうち給紙ローラ41と近接する端部は、搬送経路20において給紙ローラ41に接触する。リバースローラ46は、搬送経路20に対して上側に配置される。
従動ローラ95,96は円柱状である。従動ローラ95は、搬送ローラ91の上側に接触する。従動ローラ96は、搬送ローラ92の上側に接触する。従動ローラ95,96の回転軸線は、左右方向に延びる。従動ローラ95,96は同一形状を有する。従動ローラ95,96が固定される夫々の軸部材91A,92Aは、第二筐体12に回転可能に支持される。軸部材91A,92Aは、後述する第二モータ72(図2参照)の回転に応じて回転する。従動ローラ95は、図示しないバネによって、搬送ローラ91に向けて付勢される。従動ローラ96は、図示しないバネによって、搬送ローラ92に向けて付勢される。従動ローラ95,96の一部(例えば、従動ローラ95,96の下に位置する外周部分)は、搬送経路20に向けて突出する。
フロントセンサ691及びリアセンサ693は、シート35を検知可能なセンサである。フロントセンサ691及びリアセンサ693は、シート35の接触に応じて回動する回動部材と、回動部材の回動を検知可能な周知の光学センサとを含む。フロントセンサ691及びリアセンサ693は、後述する制御部50(図2参照)と電気的に接続する。フロントセンサ691及びリアセンサ693は、図示しない発光部及び受光部を備え、発光部から発光された光が受光部によって受光されたか否かを検出し、検出結果を示す信号を制御部50に出力する。例えば、シート35が回動部材に接触していない場合、回動部材は発光部から発光された光を遮り、受光部は光を検出しない。一方、シート35が回動部材に接触している場合、回動部材が回動することにより、発光部から発光された光は遮られず、受光部が光を検出する。但し、発光部と受光部とを、搬送経路20を挟んで対向させることにより、シート35が光を遮ったか否かを検出してもよい。この場合、回動部材は不要になる。
フロントセンサ691は、搬送経路20の上側において、搬送方向において給紙口10Aと給紙ローラ41との間の部分に設けられる。言い換えると、フロントセンサ691は、搬送経路20において給紙ローラ41の上流、且つ、給紙トレイ16の前下端部側の給紙口10A付近に配置されている。フロントセンサ691は、フロントセンサ691の配置される位置において、給紙トレイ16に配置されているシート35の有無を検出する。
リアセンサ693は、搬送経路20の上側において、搬送方向において搬送ローラ91と第一読取部93及び第二読取部94の間の部分に設けられる。言い換えると、リアセンサ693は、搬送経路20の途中において、搬送ローラ91の下流であり、且つ第一読取部93及び第二読取部94の上流に配置されている。リアセンサ693は、リアセンサ693の配置される位置において、搬送経路20に沿って搬送ローラ91から第一読取部93及び第二読取部94へ向けて搬送されるシート35の有無を検出する。
次に、画像読取装置1において複数のシート35が搬送され、画像が読み取られる場合の動作について説明する。ユーザによって複数のシート35が給紙トレイ16の上面に配置されると、フロントセンサ691がシート35を検出し、制御部50に検出信号を送信する。これによって、制御部50は、給紙トレイ16にシート35が配置されたことを検出する。
制御部50(図2参照)は、第一モータ71を回転駆動する。第一モータ71の回転駆動力は、軸部材42に伝達されて、給紙ローラ41を反時計回りに回転させる(矢印321)。制御部50は、第二モータ72を回転駆動する。第二モータ72の回転駆動力は、軸部材91A,92Aに伝達されて、搬送ローラ91,92の夫々を反時計回りに回転させる(矢印323,324)。なお、複数のシート35が給紙ローラ41とリバースローラ46との間に到達するまでは、リバースローラ46は、時計回りに回転する。複数のシート35が給紙ローラ41とリバースローラ46との間に到達すると、第二モータ72の回転駆動力は、リバースローラ46を反時計回りに回転させる(矢印322)。
上記の状態で、搬送経路20に沿って搬送方向の下流に移動する複数のシート35のうち最も下側のシート35に、給紙ローラ41が下側から接触する。このとき、給紙ローラ41及びリバースローラ46の回転によって、複数のシート35から1枚分離される。分離された1枚のシート35は、搬送経路20に沿って下流に移動する。
搬送ローラ91は、搬送経路20に沿って移動するシート35に下側から接触し、従動ローラ95との間にシート35を挟んで、シート35を下流に更に搬送する。リアセンサ693はシート35を検出し、制御部50に検出信号を送信する。これにより、制御部50は、リアセンサ693の配置される位置にシート35があることを検出する。
リアセンサ693の下流に搬送されたシート35は、搬送経路20に沿って下流に移動する。搬送ローラ91は、搬送経路20に沿って移動するシート35に下側から接触し、シート35を下流に更に搬送する。搬送ローラ91の下流に配置された第一読取部93は、シート35の下面の画像を読み取る。搬送ローラ91の下流に配置された第二読取部94は、シート35の上面の画像を読み取る。第一読取部93及び第二読取部94の出力信号は、制御部50に伝達され、画像データに変換される。画像データは、後述するRAM52の送信バッファ521(図2参照)に記憶される。
搬送ローラ92は、第一読取部93及び第二読取部94を通過したシート35に下側から接触し、従動ローラ96との間にシート35を挟んで、シート35を下流に更に搬送する。シート35は、排出口10Bから筐体10の外部に排出され、排紙トレイ18に配置される。
図2を参照し、画像読取装置1の電気的構成について説明する。画像読取装置1は、入出力インターフェース(以下、入出力I/Fと呼ぶ)30、外部通信部60、及び制御部50を備える。
入出力I/F30は、所定の規格(例えば、Universal Serial Bus (USB))に適合したインターフェース素子であり、画像読取装置1とUSBメモリ等のリムーバルメディアを接続するためのインターフェースである。本実施形態において、入出力I/F30は、USBポートである。
外部通信部60は、PC(パーソナルコンピュータ)100等の外部装置との間で、LAN、又はインターネット等を経由した通信を行うための回路等を備える。なお、外部通信部60は、LANを経由せずに外部装置との間で直接通信を行うためのインターフェース(例えばUSBインターフェース)で構成されてもよい。また、外部通信部60は、PC100等の外部装置との間で無線通信を行う回路等を備えてもよい。
制御部50は、CPU51、RAM52、ROM53、所定の電気回路等を備える。RAM52、ROM53、所定の電気回路は、CPU51に接続する。所定の電気回路は、CPU51からの指示に応じて、第一モータ71、第二モータ72に対して駆動信号(例えば、駆動電流)を送信する。RAM52は、CPU51による演算処理で得られた演算結果等、各種データを一時的に記憶する。更に、RAM52は、送信バッファ521、フラグ記憶領域522等を備える。送信バッファ521は、第一読取部93及び第二読取部94によって読み取られた画像データを記憶する。フラグ記憶領域522は、通信フラグ、読取停止フラグ等の各種フラグを記憶する。通信フラグは、PC100と通信する場合は1、通信を遮断する場合は0に設定される。読取停止フラグは、シート35の読取中に、後述する操作パネル40に設けられた本体停止ボタン403が押下されない場合は0、本体停止ボタン403が押下された場合は1に設定される。
ROM53は、OS(Operating System)、メインプログラム、データ送信プログラム等の各種プログラム、各種プログラムが使用するフラグ、データの初期値等を記憶する。メインプログラムは、後述するメイン処理(図3,図5参照)を実行する為のものである。データ送信プログラムは、後述するデータ送信処理(図4参照)を実行する為のものである。なお、ROM53は、非一時的な記憶媒体の一例である。非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を記憶可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。本実施形態の記憶装置はROM53であるが、記憶装置は、情報を記憶する時間の長さに関わらずデータを保持できる、他の非一時的な記憶媒体、例えば、フラッシュメモリ、RAM等で構成されてもよい。
制御部50は、操作パネル40、第一モータ71、第二モータ72、第一読取部93、第二読取部94、フロントセンサ691、リアセンサ693と電気的に接続する。操作パネル40は、表示部401、タッチパネル402、本体停止ボタン403等を備える。表示部401は、例えば、液晶パネルであって、制御部50から出力される各種操作画面等を切替え可能に表示する。タッチパネル402は、表示部401に設けられ、例えば、表示部401に表示された操作画面上のアイコン、ボタン等の押下を検出する。本体停止ボタン403は、表示部401とは異なる位置に設けられる物理的なボタンである。本体停止ボタン403は、例えば、シート35の読取中にジャム等が発生した場合に、シート35の搬送を即時停止させる場合にユーザによって押下される。本体停止ボタン403の押下は、「本体停止操作」である。本体停止操作は、画像読取装置1に起きた異常に対して行われることが想定される。なお、本体停止ボタン403は、表示部401に表示される仮想上のボタンでもよいが、シート35の搬送を即時停止させる緊急性の高いときに操作されるので、ユーザが即時押下できる操作性の良い位置に表示部401とは独立して設けられるのが好ましい。また、本体停止ボタン403は、種々のスイッチが採用可能であり、例えば、静電容量タッチスイッチ等の静電キーと、該静電キーの位置を示すLEDの表示との組み合わせで構成してもよい。また、機械的な断続接点を有するタクトスイッチを採用してもよい。
第一モータ71は、軸部材42(図1参照)を介して給紙ローラ41を回転駆動する。第二モータ72は、軸部材47、91A、92Aを介してリバースローラ46、搬送ローラ91,92を回転駆動する。第一モータ71及び第二モータ72には、種々のタイプのモータを使用できる。本実施形態では、第一モータ71及び第二モータ72は、共にステッピングモータである。ステッピングモータの駆動信号は、通常、所定周波数のパルス信号である。制御部50は、CPU51の制御に応じて、第一モータ71及び第二モータ72をステップ駆動するための駆動信号を生成することで、第一モータ71及び第二モータ72を駆動する。第一モータ71及び第二モータ72の回転速度の切替えは、例えば、駆動パルスの周波数を切替えることによって行われる。
第一読取部93は、CIS(Contact Image Sensor)21A及びAFE(Analog Front End)22Aを備える。第二読取部94は、CIS22A及びAFE22Bを備える。CIS21A,21Bは、原稿画像を読み取る。AFE22A,22Bは、CIS22A,21Bによって読み取られたアナログの画像をデジタルの画像データに変換する。画像データは、RAM52の送信バッファ521にライン毎に格納される。「ライン毎」とは、第一読取部93及び第二読取部94の主走査方向に並ぶ画素列毎という意味である。第一読取部93及び第二読取部94から制御部50に入力された画像データは、CPU51によって、ガンマ補正や拡大、縮小などの画像処理が施される。画像処理された画像データは、CPU51によって圧縮や符号化等のデータ処理が施された後に、送信バッファ521に格納される。送信バッファ521に格納された、データ処理の施された画像データは、後述するデータ送信処理(図4参照)によって、外部通信部60を介してPC100に転送される。
フロントセンサ691は、給紙トレイ16に配置されているシート35を検出した場合、制御部50にON信号を出力する。フロントセンサ691は、給紙トレイ16に配置されているシート35を検出しない場合、制御部50にOFF信号を出力する。リアセンサ693は、リアセンサ693の配置される位置のシート35を検出した場合、制御部50にON信号を出力する。リアセンサ693は、リアセンサ693の配置される位置のシート35を検出しない場合、制御部50にOFF信号を出力する。
PC100は、画像読取装置1と通信することによって、画像読取装置1で読み取られた画像データを受信する。PC100は、受信した画像データを、例えばハードディスク等の記憶装置に記憶できる。また、PC100は、ユーザの入力操作に応じて、画像読取装置1におけるシート35の読取開始、読取停止等の各種操作に対応する指示情報を、画像読取装置1に送信できる。これにより、ユーザは、画像読取装置1から離れた位置でも、操作パネル40で操作するのと同様に、画像読取装置1を操作できる。例えば、画像読取装置1においてシート35の読取中に、読取シートを変更したい等、読取ジョブとしてキャンセルしたい場合、ユーザは、読取停止操作をPC100に入力することで、画像読取装置1から離れた位置でも、シート35の読取を停止させることができる。以下説明では、PC100で入力される読取停止操作を「PC停止操作」と呼ぶ。
図3を参照し、CPU51が実行するメイン処理について説明する。画像読取装置1の電源がオンされると、CPU51は、ROM53に記憶されたメインプログラムを読み出し、本処理を実行する。先ず、CPU51は初期化処理を実行する(S1)。初期化処理では、RAM52に記憶する通信フラグと読取停止フラグの夫々を0に初期化する。
ユーザは、給紙トレイ16に複数枚のシート35を配置し、操作パネル40の表示部401に表示される読取開始ボタン(図示略)を押下する。読取開始ボタンの押下は、読取操作の一例である。CPU51は、タッチパネル402で読取操作を受け付けたか否か判断する(S2)。読取操作を受け付けるまで(S2:NO)、CPU51はS2に戻って待機する。読取操作を受け付けた場合(S2:YES)、CPU51は、PC100との通信を開始し、RAM52に記憶する通信フラグを1に設定する(S3)。なお、CPU51は、外部通信部60を介して、PC100から読取を開始する指示を受信した場合にも、読取操作を受け付けたと判断する。
CPU51は、シート35の搬送を開始する(S4)。具体的には、CPU51は、第一モータ71を駆動して、給紙ローラ41を回転させる。シート35は、給紙ローラ41の回転に応じて、搬送経路20内を搬送ローラ91,92に向けて移動する。CPU51は、第二モータ72を駆動して、搬送ローラ91,92を定速回転させる。シート35は、搬送ローラ91の回転に応じて、搬送経路20内を第一読取部93及び第二読取部94に向けて移動する。
CPU51は、リアセンサ693からの出力信号に基づき、シート35が読取開始位置に到達したか否か判断する(S5)。リアセンサ693からON信号が出力されていない場合、シート35は読取開始位置に到達していないので(S5:NO)、CPU51はS5に戻って待機する。なお、リアセンサ693からON信号が出力されてからの第二モータ72のステップ数が、リアセンサ693の位置から読取開始位置までの距離に対応する第一ステップ数よりも小さい場合も、CPU51は、シート35は読取開始位置に到達していないと判断する。リアセンサ693からON信号が出力され、ON信号が出力されてからの第二モータ72のステップ数が第一ステップ数に到達した場合、CPU51は、シート35の先端が読取開始位置に到達したと判断し(S5:YES)、第二モータ72の駆動を停止する。CPU51は、第二モータ72の駆動を停止した後に、第一モータ71の駆動を停止する。これにより、搬送ローラ91,92、給紙ローラ41は回転を停止するので、シート35は、読取開始位置で一旦停止する。そして、CPU51は、第二モータ72を駆動させ、搬送ローラ91,92を回転させると共に、第一読取部93及び第二読取部94に対し、シート35の読取を開始させる(S6)。シート35は、第一読取部93及び第二読取部94へ向けて移動する。第一読取部93及び第二読取部94は、読み取った画像データを、RAM52の送信バッファ521(図2参照)にライン毎に格納する。
[通常動作]
次いで、CPU51は、本体停止操作を受け付けたか否か判断する(S7)。本体停止操作を受け付けていない場合(S7:NO)、CPU51は、PC停止操作を受け付けたか否か判断する(S8)。PC停止操作も受け付けていない場合(S8:NO)、CPU51は、シート35の後端が第一読取部93及び第二読取部94の読取完了位置に到達したか否か判断する(S9)。シート35の後端が読取完了位置に到達したか否かの判断は、例えば、シート35の後端がリアセンサ693の配置される位置を通過してリアセンサ693から出力される信号がOFF信号になった時から第二モータ72が所定の第二ステップ数を駆動したか否かに応じて行えばよい。なお、第二ステップ数は、リアセンサ693の配置される位置と、読取完了位置との間の距離に対応した数である。シート35の後端が読取完了位置に到達するまで(S9:NO)、CPU51はS7に戻ってシート35の読取を継続する。
シート35の後端が読取完了位置に到達した場合(S9:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を停止させる(S10)。CPU51は次に読み取るシート35が有るか否か判断する(S13)。CPU51は、フロントセンサ691からの出力信号がON信号である場合、給紙トレイ16に次のシート35が載置されているので(S13:YES)、CPU51はS3に戻って、上記と同様に、次のシート35を搬送して読取動作を実行する(S3〜S10)。フロントセンサ691からの出力信号がOFF信号の場合、給紙トレイ16に次のシート35は無いので(S13:NO)、CPU51は読取を終了した一枚のシート35が排出口10Bから排出されたか否か判断する(S14)。シート35が排出口10Bから排出されたか否かの判断は、例えば、シート35の後端がリアセンサ693の配置される位置を通過してリアセンサ693がOFFとなった時から第二モータ72が所定の第三ステップ数を駆動したか否かに応じて行えばよい。なお、第三ステップ数は、リアセンサ693の配置される位置と、排出口10Bとの間の距離に対応した数である。
読取を終了したシート35が排出されるまで(S14:NO)、CPU51はS14に戻って、シート35の搬送を継続する。シート35が排出口10Bから排出された場合(S14:YES)、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72の駆動を停止して、給紙ローラ41、搬送ローラ91,92によるシート35の搬送を停止する(S15)。CPU51は、シート35の読取を全て正常に終了したので、RAM52に記憶する通信フラグを0に設定し、S1に戻って処理を繰り返す。
[読取中に本体停止操作を受け付けた場合]
シート35の読取中に、例えば、搬送経路20内でシート35にジャム等が発生した場合、シート35の破損を未然に防ぐ為、画像読取装置1は、シート35の搬送を即時停止させる必要がある。このような場合、ユーザは、操作パネル40の本体停止ボタン403を押下すればよい。
操作パネル40で本体停止操作を受け付けた場合(S7:YES)、CPU51は、シート35の搬送位置に関わらず、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を即時終了する(S21)。CPU51は、給紙ローラ41、搬送ローラ91,92の回転を停止することによって、シート35の搬送を即時停止する(S22)。これにより、シート35にジャムが発生する等の異常時に速やかに対応できるので、シート35の破損を未然に防止できる。また、ジャム等を生じたシート35が更に搬送されて搬送経路20内に深く詰まるのを防止できる。
ここで、「即時停止」とは、本体停止操作を受けた直後に、シート35の搬送が停止する構成に限定されず、第二モータ72が可能な減速パターンに応じた距離だけ搬送された後で停止する構成も含まれる。また、本体停止操作を受けた後で、CPU51が行う所定の処理に起因して、シート35が所定距離搬送された後に第二モータ72が減速を開始して停止する構成も含まれる。即ち、少なくともシート35が排出口10Bから排出されずに搬送が停止することを意味する。
そして、本体停止操作の受付に応じて読取を停止したので、CPU51は、RAM52に記憶する読取停止フラグを1に設定する(S23)。画像読取装置1では、シート35の読取中に搬送が即時停止されたので、搬送経路20内にはシート35が残留している。そこで、CPU51は、操作パネル40の表示部401に、例えば「搬送経路内にシートが残っている場合は取り出してOKキーを押下してください。」等のメッセージを表示する(S24)。このとき、表示部401には、上記メッセージと共に、OKキー(図示略)が表示される。メッセージを見たユーザは、搬送経路20内に残るシート35を取り除く作業を行う。そして、搬送経路20内にシート35が残っていないことを確認してから、表示部401に表示されたOKキーを押下する。
CPU51は、OKキーが押下されたか否か判断する(S25)。OKキーが押下されるまでは(S25:NO)、搬送経路20内にシート35が残っている可能性があるので、CPU51はS25に戻って待機する。OKキーが押下された場合(S25:YES)、CPU51は、搬送経路20内にシート35が残留しているか否か判断する(S26)。CPU51は、例えば、リアセンサ693からON信号が出力されている場合は、シート35が残留していると判断する。一方、CPU51は、リアセンサ693からOFF信号が出力されている場合は、シート35は残留していないと判断する。搬送経路20内にシート35が残留している場合(S26:YES)、CPU51はS24に戻って、表示部401にメッセージを表示した状態で待機する。そして、搬送経路20内からシート35が取り除かれ、搬送経路20内にシート35が残留していない場合(S26:NO)、CPU51は、表示部401に表示されたメッセージとOKキーを削除し、S1に戻って処理を繰り返す。
[読取中にPC停止操作を受け付けた場合]
PC停止操作は、画像読取装置1から離れたPC100において入力されるため、例えば、ユーザが読み取るシート35を変更する場合など、本体停止操作に比べて緊急性が高くない。PC100から、外部通信部60を介してPC停止操作を受け付けた場合(S8:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を停止する(S11)。これにより、PC停止操作を受け付けたにも関わらず、不要な画像データが発生するのを防止できる。
次いで、CPU51は、読取を停止したシート35が排出口10Bから排出されたか否か判断する(S14)。シート35が排出口10Bから排出された場合(S14:YES)、CPU51は、第一モータ71及び第二モータ72の駆動を停止して、給紙ローラ41、搬送ローラ91,92によるシート35の搬送を停止する(S15)。これにより、シート35の読取が途中で停止された場合でも、搬送経路20内にシート35が残留しないので、ユーザによるシート35を取り除く作業を不要にできる。そして、CPU51は、RAM52に記憶する通信フラグを0に設定し(S16)、S1に戻って処理を繰り返す。
図4を参照し、データ送信処理について説明する。画像読取装置1の電源がオンされると、CPU51は、ROM53に記憶するデータ送信プログラムを読み出し、所定時間毎に上記のメイン処理と並列して、本処理を実行する。データ送信処理は、メイン処理で読み取られたシート35の画像データを、PC100に送信する処理である。
先ず、CPU51は、RAM52に記憶する通信フラグが1か判断する(S31)。通信フラグが0の場合(S31:NO)、PC100との通信を開始していないので、CPU51はS31に戻って待機する。通信フラグが1の場合(31:YES)、PC100との通信を開始し、シート35の読取が実行されているので、CPU51は、RAM52の送信バッファ521に、第一読取部93及び第二読取部94によって読み取られた画像データが一定以上蓄積されたか否か判断する(S32)。送信バッファ521に画像データが一定以上蓄積されるまでは(S32:NO)、CPU51はS32に戻って待機する。
そして、送信バッファ521に画像データが一定以上蓄積された場合(S32:YES)、CPU51は、外部通信部60からPC100に向けて、送信バッファ521に記憶された画像データを送信する(S33)。PC100は、画像読取装置1から送信された画像データを受信し、ハードディスク等の記憶装置に記憶する。
次いで、CPU51は、RAM52に記憶する読取停止フラグが1か判断する(S34)。読取停止フラグが0の場合(S34:NO)、画像読取装置1は読取を停止していないので、CPU51は、RAM52に記憶する通信フラグが0か否か判断する(S35)。通信フラグが1の場合(S35:NO)、PC100との通信は継続しているので、CPU51は、S32に戻って処理を繰り返す。
そして、通信フラグが0の場合(S35:YES)、シート35の読取が正常に終了したので、CPU51は、外部通信部60からPC100へ、正常終了情報を送信し(S37)、本処理を終了する。PC100は、画像読取装置1から逐次画像データが送信されるので、正常終了情報を受信したことをトリガとして、画像ファイルとして保存できる。また、PC100は、画像読取装置1から正常終了情報を受信すると、記憶装置に記憶した画像データについて、例えば、正常終了情報を受信した日時等の時間情報を付与することによって、他の画像データと区別して記憶できる。また、時間情報の代わりに、識別情報を付与することによって、他の画像データと区別して記憶できる。
これに対し、送信バッファ521に一定以上蓄積した画像データをPC100に送信した後(S33)、読取停止フラグが1であった場合(S34:YES)、メイン処理において、シート35の読取が即時停止されたので、CPU51は、外部通信部60からPC100へ読取停止情報を送信し(S36)、本処理を終了する。PC100が画像読取装置1から読取停止情報を受信した場合、画像読取装置1から送信された画像データは、読取が途中で停止されたものであるので不要とされることが多い。よって、PC100は、受信した読取停止情報に基づき、そのような不要な画像データを消去することで、記憶装置に不要な画像データが蓄積されるのを防止できる。なお、PC100において、読取停止情報を受信したときの画像データの処理方法については、ユーザが自由に決定できるようにすればよい。
以上説明したように、第1実施形態の画像読取装置1によれば、CPU51が上記のメイン処理を実行することによって、シート35の画像の読取中に、画像読取装置1の操作パネル40において本体停止操作を受け付けた場合と、PC100においてPC停止操作を受け付けた場合とで、その後の画像読取装置1の制御内容を切替えることができる。本体停止操作は、例えばジャム等が発生してシート35の搬送を即時停止させるような場合に入力される。PC停止操作は、第1停止操作ほど緊急性が高くない場合に入力される。本体停止操作を受け付けた場合、CPU51は、搬送ローラ91,92によるシート35の搬送動作を即時停止させるので、異常時に速やかに対応でき、ジャム等の発生によるシート35の破損を未然に防止できる。これに対し、PC100からPC停止操作を受け付けた場合、CPU51は、シート35の読取を停止した後、搬送中のシート35が排出口10Bから排出されてから搬送ローラ91,92による搬送動作を停止させる。これにより、シート35の読取が停止された場合でも、搬送経路20内にシート35が残留しないので、ユーザによるシート35を取り除く作業を不要にできる。
また、上記第1実施形態では、本体停止操作の受付の有無を判断してから、PC停止操作の受付の有無を判断する。即ち、本体停止操作をPC停止操作よりも優先して判断するので、本体停止を受け付けた場合は、搬送ローラ91によるシート35の搬送を即時停止できる。
また、上記第1実施形態では、本体停止操作を受け付けた場合に、シート35の搬送位置に関わらず、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を即時停止するので、不要な画像データの発生を防止できる。
また、上記第1実施形態では、本体停止操作を受け付け、シート35の画像の読取と搬送を即時停止した場合は、搬送経路20内からシート35を取り除くことを促すメッセージを、操作パネル40の表示部401に表示するので、メッセージを見たユーザは、搬送経路20内に残留したシート35を速やかに除去できる。また、表示部401にメッセージを表示後、リアセンサ693によって、搬送経路20内にシート35を検出しない場合、表示部401に表示していたメッセージを消去する。これにより、ユーザは、搬送経路20内のシート35の残留を解消したことを認識できる。
また、上記第1実施形態では、PC停止操作を受け付けた場合、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を即時停止する。これにより、PC停止操作を受け付けたにも関わらず、不要な画像データが発生するのを防止できる。
また、上記第1実施形態では、第一読取部93及び第二読取部94で読み取った画像データを、データ送信処理においてPC100に転送できる。そして、シート35の読取中に本体停止操作を受け付けた場合、読取停止情報をPC100に送信するので、PC100では、画像読取装置1でシート35の読取の途中に搬送動作が停止したことを認識できる。PC100には、読取動作が停止された画像データが送信されている。よって、PC100は、例えば読取動作が停止された画像データを消去することで、不要な画像データを消去できる。
以上第1実施形態の説明において、シート35が本発明の「原稿」の一例である。第二モータ72、搬送ローラ91,92が本発明の「搬送部」の一例である。第一読取部93及び第二読取部94が本発明の「読取部」の一例である。操作パネル40が本発明の「受付部」の一例である。外部通信部60が本発明の「通信部」の一例である。リアセンサ693が本発明の「検知部」の一例である。CPU51が本発明の「制御部」の一例である。排出口10Bが本発明の「排出口」の一例である。操作パネル40の表示部401が本発明の「通知部」の一例である。
また、図3に示すメイン処理において、S7:YES、S21〜S27までの処理が本発明の「第1制御処理」の一例である。S8:NO、S11、S14、S15の処理が本発明の「第2制御処理」の一例である。S21の処理が本発明の「第1停止処理」の一例である。S14の処理が本発明の「第1判断処理」の一例である。S15の処理が本発明の「第2停止処理」の一例である。S7の処理が本発明の「第1受付判断処理」の一例である。S8の処理が本発明の「第2受付判断処理」の一例である。S21が本発明の「第5停止処理」の一例である。S24の処理が本発明の「通知処理」の一例である。S26の処理が本発明の「第3判断処理」の一例である。S27の処理が本発明の「通知停止処理」の一例である。S11の処理が本発明の「第6停止処理」の一例である。図4に示すデータ送信処理のS33が本発明の「データ送信処理」の一例である。図3のS23、図4のS34:YES、S36の処理を実行するCPU51が本発明の「停止情報送信手段」の一例である。
−第2実施形態−
本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の画像読取装置は、第1実施形態の画像読取装置1の変形例であり、CPU51が実行するメイン処理の一部が異なるのみである。その他の装置構成、データ送信処理等は第1実施形態と同一である。よって、第2実施形態では、第1実施形態のメイン処理と異なる部分を中心に説明する。
図5を参照し、第2実施形態のメイン処理について説明する。本処理は、図3に示す第1実施形態のメイン処理のS1〜S7までは同じであるので、説明を省略する。
操作パネル40で読取操作を受け付けたことに応じて、シート35の読取開始後に(S6)、本体停止操作を受け付けた場合(S7:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を即時停止し(S111)、RAM52に記憶する読取停止フラグを1に設定し(S112)、更に搬送ローラ91,92による搬送動作を即時停止する(S113)。その後、CPU51は、第1実施形態のメイン処理と同様に、S24〜S27の処理を実行する。
一方、シート35の読取開始後に、本体停止操作を受け付けなかった場合(S7:NO)、CPU51は、シート35の後端が第一読取部93及び第二読取部94の読取完了位置に到達したか否か判断する(S101)。シート35の後端が読取完了位置に到達するまでは(S101:NO)、CPU51はS7に戻って読取を継続する。シート35の後端が読取完了位置に到達した場合(S101:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を停止する(S102)。
次いで、CPU51は、PC停止操作を受け付けたか否か判断する(S103)。PC停止操作を受け付けていない場合(S103:NO)、CPU51は、次に読み取るシート35が給紙トレイ16上に有るか否か判断する(S104)。CPU51は、フロントセンサ691からの出力信号がON信号である場合、給紙トレイ16上に次のシート35が載置されているので(S104:YES)、CPU51はS3に戻って、次のシート35に対して読取動作を実行する。フロントセンサ691からの出力信号がOFF信号の場合、給紙トレイ16上に次のシート35は無いので(S104:NO)、CPU51は、再度、本体停止操作を受け付けたか否か判断する(S105)。
ここで、本体停止操作を受け付けた場合(S105:YES)、シート35の読取は既に完了しているので、CPU51は、RAM52に記憶する読取停止フラグを1に設定することなく、第一モータ71,第二モータ72の駆動を停止して、シート35の搬送を即時停止する(S113)。これにより、ジャム等の発生によるシート35の破損を未然に防止できる。そして、ここでは、読取停止フラグを1に設定していないので、CPU51は、図4に示すデータ送信処理において、PC100に読取停止情報を送信しない(S34:NO)。これにより、画像読取装置1は、本体停止操作を受け付けた場合でも、読取が既に完了したシート35の画像データを、PC100の記憶装置に残すことができる。
一方、本体停止操作を受け付けなかった場合(S105:NO)、CPU51は、現在搬送中の一枚のシート35が排出口10Bから排出されたか否か判断する(S106)。シート35が排出口10Bから排出されるまで(S106:NO)、CPU51はS105に戻り、本体停止操作を受け付けたか否か監視する。
そして、本体停止操作を受け付けることなく(S105:NO)、シート35が排出口10Bから排出された場合(S106:YES)、CPU51は、第一モータ71,第二モータ72の駆動を停止して、シート35の搬送を停止する(S15)。CPU51は、RAM52に記憶する通信フラグを0に設定し(S16)、S1に戻って処理を繰り返す。
また、PC停止操作を受け付けた場合(S103:YES)、緊急性が低いので、CPU51はシート35の搬送と読取の即時停止を行わない。よって、CPU51は、本体停止操作を受け付けたか否か判断し(S105)、上記同様に処理を繰り返す。
以上説明したように、第2実施形態の画像読取装置でも、第1実施形態と同様に、CPU51が図5に示すメイン処理を実行することによって、シート35の画像の読取中に、本体停止操作を受け付けた場合と、PC停止操作を受け付けた場合とで、その後の画像読取装置1の制御内容を切替えることができる。
また、第2実施形態では、シート35の読取中に、PC停止操作を受け付けた場合、シート35の後端が読取完了位置に到達してから、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を停止し、その後で、シート35が排出口10Bから排出されてから搬送を停止するので、搬送中のシート35を最後まで読み取ることができる。
また、第2実施形態では、PC停止操作を受け付けた後に、本体停止操作を受け付けたことに応じて、シート35の搬送位置に関わらず、搬送ローラ91,92による搬送動作を停止させる。これにより、例えばPC停止操作を受け付けた後で、シート35を搬送中にジャム等が発生したことで、本体停止操作を受け付けた場合、シート35の搬送動作を即時停止できる。
また、第2実施形態では、本体停止操作を受け付けた場合は、シート35の搬送を途中で止めるが、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取が完了している場合、停止情報をPC100に送信しない。これにより、画像読取装置1は、本体停止操作指示を受け付けた場合でも、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取が完了したシート35の画像データをPC100に残すことができる。それ故、読取が完了したシート35の画像データを活用できる。
また、第2実施形態では、シート35の第一読取部93及び第二読取部94による読取が完了してから(S101:YES)、PC停止操作を受け付けたか否か判断するので、PC停止操作を受け付けた後の排紙トレイ18上に載置されたシート35の画像は既に読み込まれている。よって、例えば、テストの答案用紙として使用されるマークシート等のように、どれも画像が同一又は類似で互いに区別がつかないものを複数枚読み取る場合において、途中でPC停止操作が受け付けられたようなときには、排紙トレイ18上に配置されたマークシートの画像は既に読取が完了したものであるので、どこまでが画像の読取が完了したものであるのか確認する手間を省略できる。
以上第2実施形態の説明において、図5に示すメイン処理において、S101の処理が本発明の「第2判断処理」の一例である。S102の処理が本発明の「第3停止処理」の一例である。S103:YES、S105:YES、S113が本発明の「第4停止処理」の一例である。S7の処理が本発明の「第1受付判断処理」の一例である。S103が本発明の「第2受付判断処理」の一例である。S101の処理が本発明の「第4判断処理」の一例である。なお、この場合、図6のS120が本発明の「第2判断処理」に相当し、S11が本発明の「第3停止処理」に相当する。
なお、本発明は上記の第1、第2実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態では、画像読取装置1にPC100が接続されているが、外部装置が接続されていなくてもよい。その場合、CPU51は、データ送信処理を実行しなくてもよい。
上記実施形態は、第一読取部93及び第二読取部94の画像データを、RAM52の送信バッファ521に記憶するが、その他の記憶装置に記憶してもよい。
上記実施形態では、第一読取部93及び第二読取部94は、CIS21A,21B及びAFE22A,22Bを備える。例えば、第一読取部93及び第二読取部94は、CIS21A,21Bのみを備え、CIS22A,21Bによって読み取られたアナログの画像をデジタルの画像データに変換するための回路を、制御部50等に別途備えていてもよい。
上記実施形態では、第一モータ71及び第二モータ72はステッピングモータによって構成されているが、これに限られず、第一モータ71及び第二モータ72は、その他のモータで構成されていてもよい。
メイン処理及びデータ送信処理は、複数の電子機器(つまり、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。例えば、メイン処理の一部が、インターネット又はLAN等に接続した外部装置で実行されてもよい。プログラムは、例えば、インターネット又はLAN等に接続したサーバ等の外部装置からダウンロードされて、画像読取装置1のROM53に記憶されてもよい。
上記実施形態では、メイン処理において、本体停止操作を受け付けた場合に、シート35の搬送を即時停止した後に、操作パネル40の表示部にメッセージを表示することで、ユーザに対し、シート35が搬送経路20内に残留していることを通知するが、通知の態様はメッセージの表示に限らず、これ以外の方法でもよい。例えば、操作パネル40にLED等の発光部を設けて、該発光部を点灯又は点滅させてもよい。また、操作パネル40に設けたスピーカ(図示略)から音声を出力する等して、シート35が搬送経路20内に残留していることを通知してもよい。また、表示、発光、音声等を組み合わせても通知してもよい。また、表示部401に表示するメッセージ内容は、上記実施形態の例に限定されない。
上記実施形態において、本体停止ボタン403が押下され、本体停止操作を受け付けた場合に、例えば「ピピッ」とアラーム音を出力するようにしてもよい。これにより、ユーザは、本体停止操作が受け付けられたことを明確に認識できる。
上記の第1実施形態のメイン処理と、第2実施形態のメイン処理の何れを実行するかについて、ユーザが自由に変更できるようにしてもよい。
上記第1実施形態のメイン処理(図3参照)において、PC停止操作を受け付けた場合(S8:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を即時停止するが、例えば、シート35の読取を完了してから停止するようにしてもよい。例えば、図6に示す変形例のように、CPU51は、PC停止操作を受け付けた場合(S8:YES)、シート35の後端が第一読取部93及び第二読取部94の読取完了位置に到達したか否か判断する(S120)。シート35の後端が読取完了位置に到達するまで(S9:NO)、CPU51は、S120に戻って読取を継続する。シート35の後端が読取完了位置に到達した場合(S120:YES)、CPU51は、第一読取部93及び第二読取部94によるシート35の読取を停止させる(S11)。これにより、搬送中のシート35を最後まで読み取ることができるので、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。